ベントナイト成形体の製造方法及び乾燥装置並びにベントナイト成形体
【課題】表面が平滑な略球形のベントナイト成形体を容易にかつ効率的に製造する。
【解決手段】粉体のベントナイトに水を加えて混ぜ合わせるとともに押し出し造粒によって湿潤状態のベントナイト成形体を成形する押し出し造粒工程と、該ベントナイト成形体を転動造粒によって略球形に成形する転動造粒工程と、該ベントナイト成形体(湿潤ペレット)11を乾燥収縮によって高密度化させるように乾燥する乾燥工程とを備える。乾燥工程は、水平姿勢で設置した円筒状の乾燥セル21内にベントナイト成形体を収容し、該乾燥セルを回転させつつ該乾燥セル内に温風を吹き込むことにより、ベントナイト成形体を乾燥セル内において攪拌混合しつつ温風によって乾燥させる。
【解決手段】粉体のベントナイトに水を加えて混ぜ合わせるとともに押し出し造粒によって湿潤状態のベントナイト成形体を成形する押し出し造粒工程と、該ベントナイト成形体を転動造粒によって略球形に成形する転動造粒工程と、該ベントナイト成形体(湿潤ペレット)11を乾燥収縮によって高密度化させるように乾燥する乾燥工程とを備える。乾燥工程は、水平姿勢で設置した円筒状の乾燥セル21内にベントナイト成形体を収容し、該乾燥セルを回転させつつ該乾燥セル内に温風を吹き込むことにより、ベントナイト成形体を乾燥セル内において攪拌混合しつつ温風によって乾燥させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば放射性廃棄物を処分した廃棄物埋設処分施設の処分坑道を埋め戻すための埋め戻し材などとして用いるベントナイト成形体の製造方法、及びその製造方法において用いる乾燥装置、並びにその製造方法により製造されるベントナイト成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように地下深部に高レベル(あるいは低レベル)の放射性廃棄物を埋設処分することが検討されている。この場合、放射性廃棄物はガラスと混ぜて固化され、このガラス固化体を炭素鋼などからなるオーバーパックで密閉した廃棄体として処分される。また、廃棄体は、図11及び図12に示すように、地下深部の比較的安定した地山内に、略環状に繋がる主要坑道1と、この主要坑道1と繋がるように形成した処分坑道2とからなる廃棄物埋設処分施設を構築し、この廃棄物埋設処分施設の処分坑道2内に処分される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような施設において廃棄体を処分した処分坑道2をそのままにしておくと、処分坑道2の周辺地山の緩みが拡大したり、地下水の卓越した水みちが形成され、廃棄物埋設処分施設全体としてのバリア性能を低下させるおそれがある。このため、地山と同等以上の低透水性の材料(埋め戻し材)で処分坑道2を埋め戻すことが必要であり、この埋め戻し材として膨潤性や放射性物質の吸着性に優れるベントナイトを用いることが検討されている。
ベントナイトを埋め戻し材として使用した場合には、地山から処分坑道2に浸入した地下水が接触してベントナイトが膨潤し地山を押圧することによってさらなる地下水の浸入を防止することができ、且つ膨潤に伴い埋め戻し材の透水係数が低下することで地下水の浸透を防止することができる。これにより、放射性廃棄物を確実に外部の自然環境から隔離して処分することが可能になる。
【0004】
そして、処分坑道2内に充填する埋め戻し材としては、例えば、ベントナイト原鉱石を破砕したベントナイト破砕材、ベントナイトを板状に圧密成形したベントナイトプレートを破砕したベントナイト破砕材、ベントナイトを例えば円柱状に圧密成形したベントナイトペレット、ベントナイトを等方圧加圧処理により球形に圧密成形したベントナイトボールなど、数mm〜数十mm程度の大きさに形成した各種のベントナイト成形体(ベントナイト粒状体)を用いることが検討されている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
【0005】
ところで、上記のようなベントナイト成形体を用いて優れたバリア性能を発揮させるためには、すなわち高密度のベントナイト遮水層を形成するためには、所定の空間にどれだけの質量のベントナイトを詰め込めるかが重要であるため、ベントナイト成形体を可及的に高密度で形成し、かつその高密度のベントナイト成形体を可及的に高充填率で充填(施工)する必要がある。
【0006】
しかし、ベントナイト原鉱石を破砕した単なるベントナイト破砕材を用いる場合には、ベントナイト原鉱石の密度が高くないため、また、ベントナイト原鉱石を破砕する際にさらなる密度低下が生じるおそれがあるため、充填後に締め固めることが必要になってしまう。また、このようなベントナイト原鉱石を破砕したベントナイト破砕材は、粒子形状が不規則であり、所定の空間に自由落下で投入しただけでは充填率が上がらないため、この点からも締め固めることが必要になってしまう。
また、ベントナイトプレートを破砕したベントナイト破砕材においても、やはりベントナイトプレートを破砕することによって密度低下が生じるおそれがある。
【0007】
一方、ベントナイトを等方圧加圧処理により球形に圧密成形したベントナイトボールにおいては、球形に成形されているため、単一粒径のベントナイトボールを所定の空間に自由落下で投入した場合に、理論的に約75%の高充填率で充填することが可能である。
しかしながら、数mm〜数十mm程度の粒径のベントナイトボールを数百MPaの圧力で等方圧加圧処理して成形することは、非常に大掛かりな装置が必要になるとともに、製造工程が複雑になり、製造に多大なコストを要するという問題があった。
【0008】
そこで本出願人は上記の問題を解決するため、粉体のベントナイトに水を加えて混ぜ合わせるとともに、押し出し造粒工程でディスクダイ(押し出し造粒機)を用いて湿潤状態の円柱状のベントナイト成形体を成形し、押し出し造粒工程で成形したベントナイト成形体を転動造粒工程で球形に成形し、さらに転動造粒工程で成形した球形のベントナイト成形体を乾燥収縮によって高密度化させるように乾燥工程で乾燥して、球形のベントナイト成形体を製造する方法を既に提案している(特許文献5参照)。
このベントナイト成形体の製造方法によれば、高い圧力を使用したり、複雑な工程を要することなく、乾燥密度が充分に高い高密度の略球形のベントナイト成形体を効率よく容易に製造することが可能である。また、このように製造したベントナイト成形体を所定の空間に自由落下で投入するだけで充分に高密度(理論的に約75%)の充填率で充填することが可能になる。
【0009】
しかも、上記の製造方法では、押出孔の孔径が異なるディスクダイを用いることで粒径が異なるベントナイト成形体を容易にかつ大量に製造することが可能であるから、上記の製造方法により粒径が異なる複数種類のベントナイト成形体を製造し、それら複数種類のベントナイト成形体を所定比率で混合して充填することにより充填率をさらに高めることが可能であり、それによりバリア性能に優れたベントナイト遮水層を容易に形成することが可能になる。
【0010】
図13及び図14は上記の製造方法により製造したベントナイト成形体を廃棄物埋設処分施設において埋め戻し材として用いる場合の具体例を示す。
図13は廃棄体(高レベル放射性廃棄物)3を縦形の処分孔4内に処分する場合に、廃棄体3の周囲に上記のベントナイト成形体5を充填装置6によって充填して処分孔4を埋め戻すことにより、廃棄体3の周囲に難透水性粘土層としてのベントナイト遮水層を形成するようにしたものである。
図14は水平な処分坑7に廃棄体(あるいは緩衝材一体型廃棄体)3を配置した後、その周囲に上記のベントナイト成形体5を充填して処分坑7全体を埋め戻すことにより、同様に廃棄体3の周囲に難透水性粘土層(ベントナイト遮水層)を形成するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−215297号公報
【特許文献2】特許第4036975号公報
【特許文献3】特開平6−41513号公報
【特許文献4】特許第3539928号公報
【特許文献5】特開2009−274910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上で説明したように、特許文献5に示される上記の製造方法は、高密度の球状のベントナイト成形体を効率よく容易に製造できる点で充分に有効であるが、その乾燥工程においては以下の点で改善すべき余地を残している。
【0013】
すなわち、上記製造方法における乾燥工程は、湿潤状態のベントナイト成形体を温風の強制対流により比較的短時間で乾燥させるか、あるいは温風の自然対流により長時間をかけてゆっくりと乾燥させることで行うのであるが、いずれも一長一短がある。
つまり、前者は高速乾燥が可能であるものの乾燥収縮による密度上昇が必ずしも充分ではなく、高密度成形の点では後者に比べて不利である。逆に、後者は充分な高密度成形が可能であるが、乾燥時間が長くかかるので効率の点で不利である。
特に、後者の場合、浅い容器内に湿潤状態のベントナイト成形体を敷き均して温風を送ることなくゆっくりと自然乾燥させることになるので、容器を置くスペースとして広大な温湿度制御室が必要となる。その場合においてスペースの節約を図るために浅い容器を多段積みにすると、各容器での乾燥状態を均等にするために作業員による一定時間ごとの確認作業や攪乱作業が必要となるので、乾燥工程の自動化や省力化の点でも不利である。
【0014】
しかも、いずれにしても上記製造方法により製造されるベントナイト成形体の表面はざらざらとした粗面状態であって必ずしも充分な平滑とはなっておらず、そのため空間に充填した際にはベントナイト成形体どうしの間で摩擦抵抗が生じて充填密度を高めるうえでは不利であるので、充填密度をさらに高めるためにベントナイト成形体の表面をより平滑にしたいという要請もある。
【0015】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、上述した製造方法を基本としつつその乾燥工程に改良を加えることにより、表面が充分に平滑な略球形のベントナイト成形体を容易にかつ効率的に製造し得る有効適切な製造方法と、その方法において用いる有効適切な乾燥装置、並びにそれにより製造される有効適切なベントナイト成形体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1記載の発明のベントナイト成形体の製造方法は、粉体のベントナイトに水を加えて混ぜ合わせるとともに押し出し造粒によって湿潤状態のベントナイト成形体を成形する押し出し造粒工程と、前記押し出し造粒工程で成形した前記ベントナイト成形体を転動造粒によって略球形に成形する転動造粒工程と、前記転動造粒工程で成形した前記ベントナイト成形体を乾燥収縮によって高密度化させるように乾燥する乾燥工程とを備え、前記乾燥工程は、水平姿勢で設置した円筒状の乾燥セル内に前記ベントナイト成形体を収容し、該乾燥セルを回転させつつ該乾燥セル内に温風を吹き込むことにより、前記ベントナイト成形体を前記乾燥セル内において攪拌混合しつつ前記温風によって乾燥させることを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のベントナイト成形体の製造方法における前記乾燥工程において用いる乾燥装置であって、水平姿勢で設置されて軸線を中心に回転可能に支持された円筒状の乾燥セルと、該乾燥セルを回転させる回転駆動機構と、該乾燥セル内に温風を供給する温風供給機構を具備してなることを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の発明は、同じく請求項1記載のベントナイト成形体の製造方法における前記乾燥工程において用いる乾燥装置であって、水平姿勢で設置されて軸線を中心に回転自在に支持された円筒状の回転胴と、該回転胴の内周部に水平姿勢で装着された複数の乾燥セルと、前記回転胴を回転させることにより前記各乾燥セルを該回転胴の軸線を中心としてその周囲を公転させる回転駆動機構と、前記回転胴の一端部からその内部に温風を供給することにより該温風を前記各乾燥セルに分配供給する温風供給機構を具備してなることを特徴とする。
【0019】
請求項4記載の発明のベントナイト成形体は、請求項1記載のベントナイト成形体の製造方法を用いて成形したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るベントナイト成形体の製造方法によれば、湿潤状態のベントナイト成形体を乾燥セル内において攪拌混合しつつ温風により乾燥させるので、最終的な乾燥密度を従来の強制対流による乾燥工程による場合と同等ないしそれ以上とできて充分に高密のベントナイト成形体を効率的に製造することができることはもとより、従来の自然対流による乾燥工程に比べれば所要スペースを節約できるし、乾燥所要時間を大幅に短縮し得て遙かに効率的な処理が可能であり、乾燥装置の自動運転も可能であるので省力化を図ることができる。しかも、乾燥工程においてベントナイト成形体どうしが自ずと相互に摩擦し合うので、表面が充分に平滑なベントナイト成形体を製造することができる。
【0021】
本発明に係る乾燥装置によれば、円筒状の乾燥セル内を回転させることで湿潤状態のベントナイト成形体を乾燥セル内において攪拌混合しつつ温風により乾燥させるので、乾燥工程を効率的に実施することが可能であって上記製造方法において用いるものとして好適である。
特に、回転胴内に複数の乾燥セルを装着した構成とすれば大量処理が可能であってより効率的である。
【0022】
本発明のベントナイト成形体は、上記の製造方法により製造されるものであるので、表面が充分に平滑であり、したがって充填密度を充分に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る製造方法の一実施形態を示すフロー図である。
【図2】同、ディスクダイの例を示す図である。
【図3】同、ディスクダイの他の例を示す図である。
【図4】本発明に係る乾燥装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図5】本発明に係るベントナイト成形体の乾燥密度を従来品と比較して示すための図であって、乾燥工程における処理条件を示す図である。
【図6】同、乾燥時間と含水比との関係を示す図である。
【図7】同、乾燥速度と最終的な乾燥密度との関係を示す図である。
【図8】本発明に係るベントナイト成形体により得られるかさ密度を示す図である。
【図9】本発明に係る乾燥装置の他の実施形態を示す概略構成図である。
【図10】同、概略構成図である。
【図11】廃棄物埋設処分施設を示す図である。
【図12】同、主要坑道および処分坑道を示す図である。
【図13】同、処分孔に対する埋め戻し状況を示す図である。
【図14】同、処分坑に対する埋め戻し状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図1〜図10を参照して本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、図11〜図12に示したような放射性廃棄物埋設処分施設において、図13〜図14に示したように埋め戻し材として用いられるベントナイト成形体を対象としてそれを製造するための製造方法、及びそれに用いる乾燥装置、並びにそれにより製造されるベントナイト成形体に関するものである。
なお、本実施形態の製造方法は、基本的には上述したように本発明の基礎となった製造方法(特許文献5参照)における乾燥工程を改良したものであるので、両者は乾燥工程が異なるのみでその他の工程(押し出し造粒工程および転動造粒工程)は実質的に同様である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態のベントナイト成形体の製造方法においては、はじめに、粉体のベントナイトに所定量の水を加えて混ぜ合わせる。このとき、一般に粉体のベントナイトの含水比は7〜10%程度であり、この含水比が例えば25〜28%程度になるようにベントナイトに水を加えて混ぜ合わせる。
なお、粉体のベントナイトに所定量の水を加えて混ぜ合わせた状態の含水比は、必ずしも25〜28%程度に限定されるものではなく、使用するベントナイトの特性(ベントナイトの産地など)や成形する粒径などに応じて適宜調整すれば良い。すなわち、粉体のベントナイトに対し水分量が少ないと、後述の押し出し造粒工程で成形した湿潤状態のベントナイト成形体の中の空気量が多くなり、後述の転動造粒工程による造粒時にベントナイト成形体が球形に成形されず、粉々になってしまう。また、水分量が多いと、押し出し造粒工程や転動造粒工程で成形される多数のベントナイト成形体が付着して大きな粒子になり、ベントナイト成形体が落花生型になったり、大きな空気層を含んで(低密度で)成形されてしまう。このため、粉体のベントナイトに加える水量は、ベントナイトの特性や成形する粒径などに応じ、押し出し造粒工程や転動造粒工程でベントナイト成形体を所定の形状に成形可能な量とする。
【0026】
そして、粉体のベントナイトと水を混練した段階で、例えば所定の孔径の複数の押出孔が形成されたディスクダイを備える押し出し造粒機を用いて、混練したベントナイトを押し出し造粒し、円柱状のベントナイト成形体を成形する(押し出し造粒工程)。
このように押し出し造粒機を用いることによって、ディスクダイの押出孔の孔径に応じたほぼ同形同大の円柱状で湿潤状態のベントナイト成形体が大量に効率よく且つ容易に成形される。
【0027】
この際、本実施形態の製造方法では、例えば図2(a)、(b)に示すように、押出孔の孔径(大きさ)が異なる複数のディスクダイ8,9を用い、それらディスクダイ8,9を交換しながら押し出し造粒することによって、大きさ(直径)が異なる複数種のベントナイト成形体を個別に製造することが可能である。
あるいは、押し出し造粒機のディスクダイとして、例えば図3に示すように孔径(大きさ)が複数段階(例えば1mm、2mm、4mm、15mm、20mmなど)に異なる押出孔を有するディスクダイ10を用意し、このディスクダイ10を用いて粒径の異なる複数種類のベントナイト成形体を同時に成形することも可能である。
【0028】
ついで、上記の押し出し造粒工程で成形された円柱状のベントナイト成形体を転動造粒機に供給し、転動造粒機で転動造粒することによりベントナイト成形体を略球形に成形する(転動造粒工程)。
このとき、例えば、転動造粒機のドラムに多数のベントナイト成形体を供給し、このドラムを高速回転させることで、大量のベントナイト成形体が効率よく且つ容易に略球形に成形される。
【0029】
そして、上記のように湿潤状態で略球形に成形されたベントナイト成形体11(以下、これを湿潤ペレット11という)を乾燥させる(乾燥工程)。
上述したように、従来における乾燥工程は、湿潤ペレット11を温風の強制対流により比較的短時間で乾燥させるか、あるいは温風の自然対流により長時間をかけてゆっくりと乾燥させることで行っていたのであるが、本実施形態ではそれに代えて、湿潤ペレット11を円筒状の乾燥セル内に収容して乾燥セルを回転させつつその内部に温風(特に例えば40〜50℃程度の比較的低温の微温風)を供給して低速で通過させることにより、湿潤ペレット11を乾燥セル内において攪拌混合しながら温風により乾燥させて最終製品であるベントナイト成形体(乾燥ペレット)を製造することを主眼とする。
【0030】
図4はそのような乾燥工程を実施するための乾燥装置20の一構成例を示す。
これは、所定量の湿潤ペレット11を収容可能な円筒状の容器である乾燥セル21を水平姿勢で配置して、その両端部を回転駆動機構としての対の駆動ローラ22および押さえローラ23により支持し、図示を略したモータ等の駆動源により駆動ローラ22を回転させることで乾燥セル21を矢印で示すように回転(乾燥セル21自身の軸線を中心として自転するような回転)させるようにしたものである。
乾燥セル21の一端側(図示例では(a)に示すように右端側)からは、図示を略したブロワ等の温風供給機構からダクト25を通して温風が供給されるようになっており、供給された温風は乾燥セル21内を低速で通過して他端側(同、左端側)から流出するようになっている。
なお、乾燥セル21の両端部には、湿潤ペレット11のこぼれ出しを防止し、かつ温風が通過可能な通風性を有する蓋体24が着脱自在に装着されるようになっている。
【0031】
上記の乾燥装置20による乾燥工程は、乾燥させるべき所定量の湿潤ペレット11を乾燥セル21内に収容し、乾燥セル21を上記のように低速で回転させつつ温風を供給して乾燥セル21内を通過させれば良い。これにより、乾燥セル21の回転に伴って湿潤ペレット11は乾燥セル21の内面との摩擦によって持ち上げられては重力によって崩れ落ちる運動を繰り返して自ずと攪拌混合されつつ、同時に乾燥セル21内を通過する温風に接触して乾燥がなされ、比較的短時間で全ての湿潤ペレット11が効率的にかつ均一に乾燥されて最終製品としての高密度のベントナイト成形体が製造される。
その際、乾燥セル21の回転速度、温風の温度や供給量、乾燥セル21内における温風の通過流速や通過時間(つまりは温風に対する湿潤ペレット11の接触時間)等は、乾燥セル21の形状や寸法、湿潤ペレット11の粒径や収容量(処理量)、必要とされる乾燥時間や最終的な乾燥密度等の条件に応じて適宜設定すれば良い。
例えば、乾燥セル21の回転は連続的に行うことでも良いが、あるいは適宜のインターバルをおいて断続的に回転させたり、正転と逆転を繰り返すことでも良い。温風の供給についても、温風を定温かつ定風量で連続的に供給することでも良いが、あるいは断続的に供給することでも良いし、必要であれば温度や風量を適宜変化させながら供給することでも良く、いずれにしてもそれらの設定を最適に行うことで充分に効率的な処理が可能である。
【0032】
上記の乾燥装置20による乾燥工程によれば、湿潤ペレット11を乾燥セル21内において攪拌混合しつつ温風により乾燥させるので、従来の製造方法における自然対流による乾燥工程に比べれば所要スペースを節約できるし、乾燥所要時間を大幅に短縮し得て遙かに効率的な処理が可能であり、乾燥装置20の自動運転も可能であるので省力化を図ることができる。
また、最終的な乾燥密度は従来の製造方法における強制対流による乾燥工程による場合と同等ないしそれ以上とできるから、充分に高密度のペレットを工業的規模で効率的に製造することができる。
【0033】
図5〜図7は、上記方法により製造された本発明のベントナイト成形体の最終的な乾燥密度を、従来法により強制対流で乾燥させた場合と比較して示すものである。
図5に示すように、従来法によるもの(試料NO.1〜4)は、静止状態の湿潤ペレットに対して90℃〜40℃の温風を定風量で強制送風して乾燥させたものであり、本発明によるもの(試料NO.5〜10)は上記実施形態の乾燥装置20を用いて試料を攪拌混合しながら40℃の温風により乾燥させることとして、乾燥セル21の回転間隔を図中に示したように設定したものである。なお、試料No.10のみは温風の供給を断続的(送風30分、休止30分の繰り返し)とした。
【0034】
図6は上記の乾燥工程による含水比の変化の状況を示すものであり、図7は上記により得られたデータから乾燥速度と最終的な乾燥密度との関係を整理したものである。図7の横軸の乾燥速度とは含水比の変化率(%/Hr)すなわち図6に示されるグラフの勾配であり、最初の含水比25-28%から乾燥後の1-10%になるまでの変化量をその所要時間で除した値である。
図7から、従来法においては乾燥速度が約4%/Hr以上の高速乾燥を行うことから最終的な乾燥密度が約1.8Mg/m3程度が限界であるが、本発明においては乾燥速度を1%/Hr以下に設定することで最終的な乾燥密度を約1.9Mg/m3以上にでき、従来の強制対流法による場合に比べて充分に高密度であり、かつ従来の自然対流法による場合に匹敵するような高密度のベントナイト成形体を製造できることが分かる。
また、本発明においては乾燥速度をやや速めて2%/Hrとした場合であっても約1.85Mg/m3以上の乾燥密度が得られるし、さらに乾燥速度を3%/Hr程度にまで速めても少なくとも従来と同等程度の乾燥密度を得られるから、本発明によれば乾燥時間の短縮を図りつつ高密度乾燥が可能であるといえる。
【0035】
しかも、上記の製造方法により製造される本発明のペレットは、乾燥工程において各湿潤ペレット11どうしが自ずと相互に摩擦し合うので、表面に適度の摩耗が生じて充分に平滑となり、それにより従来の製造方法により製造される従来のペレットに比較して充填密度(所定空間に充填した際のかさ密度)を高めることができるという効果が得られる。
図8は、20mm級ペレットと1mm級ペレットを様々な混合率で混合して円筒形モールド内に充填する場合において、従来のペレット(黒丸:従来の製造方法において自然対流により20日間乾燥させたもの)による場合のかさ密度と、本発明のペレット(白丸:上記実施形態の製造方法により乾燥セル21において2日間乾燥させたもの)による場合のかさ密度を比較して示すものである。
これによれば、個々のペレットの乾燥密度は従来のペレットの方がやや高いものの、1mm級ペレットを40%程度混合した場合には本発明のペレットを用いる方が全体としてのかさ密度に優れていることが分かる。
これは、従来の自然対流法により製造されるペレットは乾燥時間が充分に長いことから個々のペレットの密度を充分に高めることはできるものの、表面が粗面であることから必ずしも充分に密に充填できないのに対し、本発明のペレットは個々のペレットの乾燥密度はやや低いものの表面が充分に平滑であることからより多量のペレットを充填できるためであると考えられ、この点で本発明のペレットの有用性が裏付けられている。
勿論、本発明によれば上述したように従来の強制対流法により製造されたものに比べて高密度のベントナイト粒子を製造可能であるから、それとの対比ではベントナイト粒子自体の密度と充填密度の双方を高密度化できることになる。
【0036】
図9〜図10は本発明の乾燥装置の他の構成例を示す。
本実施形態の乾燥装置30は、上記の乾燥装置20における乾燥セル21を円筒状の回転胴31の内周部に複数(図示例では8本)装着し、かつそれら回転胴31を複数(図示例では2台)並設することにより多数(図示例では全16本)の乾燥セル21を備えたものであって、同時に多量の湿潤ペレット11を乾燥処理可能なものである。
すなわち、本実施形態の乾燥装置30では、各回転胴31がそれぞれ水平姿勢で配置されて駆動ローラ22により回転自在に支持されているとともに、各回転胴31の内周部に各乾燥セル21が水平姿勢で(つまり乾燥セル21の軸線を回転胴31の軸線と平行にした状態で)等間隔に装着されており、図示を略したモータ等の駆動源により回転駆動機構としての駆動ローラ22を回転させることで各回転胴31が回転(回転胴31自身の軸線を中心として自転するような回転)し、それに伴い、各乾燥セル21は回転胴31とともにその周方向に沿って公転していくとともに1公転する間には自ずと自身の軸線を中心として1回転(自転)することになり、したがって上記の乾燥装置20の場合と全く同様にその内部に収容した湿潤セル11を混同攪拌できるようになっている。
そして、図10(b)に示すように回転胴31内の一端部には仕切板32が設けられて温風チャンバ33が区画形成されていて、そこには温風供給機構としてのダクト34を通して適宜のブロワから温風(特に40〜50℃程度の比較的低温の微温風)が供給され、その温風は温風チャンバ33から各乾燥セル21に分配供給されてそれらの内部を通過するようになっており、これにより上記実施形態の乾燥装置20と同様に各乾燥セル21内において湿潤ペレット11を攪拌混合しつつ温風により乾燥させることが可能であって、一度に多量の湿潤ペレット11を効率的に乾燥できるものとなっている。
【0037】
なお、図9(c)に示すように各乾燥セル21は回転胴31に対して着脱自在にしておくと良く、そのためには上記の仕切板32を貫通するスリーブ状のホルダ35を取り付けておき、それらホルダ35に対して各乾燥セル21の端部を差し込むようにして容易に着脱できるように構成しておくと良い。その場合、ホルダ35の温風チャンバ33側の端部には、温風チャンバ33から各ホルダ35への温風の流入を案内するための切り込み35aを形成しておくと良い。
このように各乾燥セル21を回転胴31に対して着脱自在にしておくと、各乾燥セル21への湿潤ペレット11の収容作業やそこから取り出す作業を容易に行うことができるし、乾燥工程の途中において所望の乾燥セル21を回転胴31から取り外してその重量を高精度で測定すれば、その重量変化から乾燥の進捗状況を各乾燥セル21ごとに把握することが可能である。
【0038】
この乾燥装置30によれば、各乾燥セル21に同一粒径の湿潤ペレット11を収容して処理を行うことにより単一品種のペレットを一度に多量処理できるし、あるいは各乾燥セル21に粒径の異なる別種類の湿潤ペレット11を収容してそれらを同時に処理すれば多品種のペレットを少量ずつ処理することもできる。
勿論、必要であれば、粒径の異なる複数種類の湿潤ペレット11を混合したうえで乾燥セル21内に収容して処理することも可能である。例えば前工程において図3に示したようなディスクダイ10を用いて粒径の異なる複数種類の湿潤ペレット11を混合状態で造粒した場合には、それをそのまま乾燥セル21に収容して混合状態のままで乾燥処理すれば良い。
【0039】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば乾燥工程の具体的な手順や、乾燥装置の具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜の設計的変更や応用が可能であることはいうまもでない。
特に乾燥装置の構成としては、湿潤ペレット11を円筒状の乾燥セル21内に収容し、乾燥セル21を回転(自転あるいは公転)させることで湿潤ペレット11を攪拌混合しつつ温風により乾燥させる構成とすれば良いのであって、その限りにおいて乾燥セル21の形状や寸法、素材は任意であることは言うに及ばず、例えば以下に列挙するような形態が考えられる。
【0040】
図4に示した実施形態の乾燥装置20は最も基本的な構成として単一の乾燥セル21からなるものとしたのであるが、複数本の乾燥セル21を横方向に並設したり上下方向に多段に配置すれば多量処理が可能となる。その場合、各乾燥セル21のそれぞれに対して独立の回転駆動機構を設けて各乾燥セル21を独立に回転させることでも良いし、複数の乾燥セル21を単一ないし少数の回転駆動機構により同期して駆動するように構成しても良い。
また、上記の乾燥装置20のように乾燥セル21を駆動ローラ22により支持してその上部において自転させる構成に代えて、乾燥セル21を横方向に転動させて周長相当分だけ左右に往復移動させる構成とすることも考えられる。
さらに、乾燥セル21は基本的には水平姿勢を維持しつつ回転させる必要があるが、必要に応じて乾燥セル21の両端部を上下方向に揺動させて前後方向に傾斜させることにより、湿潤ペレット11を前後方向(乾燥セル21の軸方向)に滑らせて攪拌する機能を付加することも考えられる。
【0041】
また、図9〜図10に示した乾燥装置30においても、各回転胴31に対する乾燥セル21の装着本数は任意に増減可能であることは言うに及ばず、回転胴31の設置数も任意に増減可能であって多数の回転胴31を並設したり多段に配置しても良く、それらを回転させるための回転駆動機構の構成も任意である。
また、上記実施形態の乾燥装置30では、乾燥セル21を回転胴31に対しては相対回転不能な状態で装着して回転胴31の周囲を公転するのみとしたが、さらに乾燥セル21自体を回転胴31に対して相対回転するようにして乾燥セル21を自転させつつ公転させることでも良い。その場合、各乾燥セル21に対して例えば上記の乾燥装置20における回転駆動機構と同様の機構を設けて強制的に自転させるようにしても良いし、あるいは各乾燥セル21を回転胴31に対してたとえば遊星歯車機構を介して装着することにより、回転胴31の回転に伴って乾燥セル21が公転しつつ自ずと自転するように構成することも考えられる。
【符号の説明】
【0042】
11 湿潤ペレット(ベントナイト成形体)
20 乾燥装置
21 乾燥セル
22 駆動ローラ(回転駆動機構)
23 押さえローラ
24 蓋体
25 ダクト(温風供給機構)
30 乾燥装置
31 回転胴
32 仕切板
33 温風チャンバ
34 ダクト(温風供給機構)
35 ホルダ
35a 切り込み
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば放射性廃棄物を処分した廃棄物埋設処分施設の処分坑道を埋め戻すための埋め戻し材などとして用いるベントナイト成形体の製造方法、及びその製造方法において用いる乾燥装置、並びにその製造方法により製造されるベントナイト成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように地下深部に高レベル(あるいは低レベル)の放射性廃棄物を埋設処分することが検討されている。この場合、放射性廃棄物はガラスと混ぜて固化され、このガラス固化体を炭素鋼などからなるオーバーパックで密閉した廃棄体として処分される。また、廃棄体は、図11及び図12に示すように、地下深部の比較的安定した地山内に、略環状に繋がる主要坑道1と、この主要坑道1と繋がるように形成した処分坑道2とからなる廃棄物埋設処分施設を構築し、この廃棄物埋設処分施設の処分坑道2内に処分される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような施設において廃棄体を処分した処分坑道2をそのままにしておくと、処分坑道2の周辺地山の緩みが拡大したり、地下水の卓越した水みちが形成され、廃棄物埋設処分施設全体としてのバリア性能を低下させるおそれがある。このため、地山と同等以上の低透水性の材料(埋め戻し材)で処分坑道2を埋め戻すことが必要であり、この埋め戻し材として膨潤性や放射性物質の吸着性に優れるベントナイトを用いることが検討されている。
ベントナイトを埋め戻し材として使用した場合には、地山から処分坑道2に浸入した地下水が接触してベントナイトが膨潤し地山を押圧することによってさらなる地下水の浸入を防止することができ、且つ膨潤に伴い埋め戻し材の透水係数が低下することで地下水の浸透を防止することができる。これにより、放射性廃棄物を確実に外部の自然環境から隔離して処分することが可能になる。
【0004】
そして、処分坑道2内に充填する埋め戻し材としては、例えば、ベントナイト原鉱石を破砕したベントナイト破砕材、ベントナイトを板状に圧密成形したベントナイトプレートを破砕したベントナイト破砕材、ベントナイトを例えば円柱状に圧密成形したベントナイトペレット、ベントナイトを等方圧加圧処理により球形に圧密成形したベントナイトボールなど、数mm〜数十mm程度の大きさに形成した各種のベントナイト成形体(ベントナイト粒状体)を用いることが検討されている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
【0005】
ところで、上記のようなベントナイト成形体を用いて優れたバリア性能を発揮させるためには、すなわち高密度のベントナイト遮水層を形成するためには、所定の空間にどれだけの質量のベントナイトを詰め込めるかが重要であるため、ベントナイト成形体を可及的に高密度で形成し、かつその高密度のベントナイト成形体を可及的に高充填率で充填(施工)する必要がある。
【0006】
しかし、ベントナイト原鉱石を破砕した単なるベントナイト破砕材を用いる場合には、ベントナイト原鉱石の密度が高くないため、また、ベントナイト原鉱石を破砕する際にさらなる密度低下が生じるおそれがあるため、充填後に締め固めることが必要になってしまう。また、このようなベントナイト原鉱石を破砕したベントナイト破砕材は、粒子形状が不規則であり、所定の空間に自由落下で投入しただけでは充填率が上がらないため、この点からも締め固めることが必要になってしまう。
また、ベントナイトプレートを破砕したベントナイト破砕材においても、やはりベントナイトプレートを破砕することによって密度低下が生じるおそれがある。
【0007】
一方、ベントナイトを等方圧加圧処理により球形に圧密成形したベントナイトボールにおいては、球形に成形されているため、単一粒径のベントナイトボールを所定の空間に自由落下で投入した場合に、理論的に約75%の高充填率で充填することが可能である。
しかしながら、数mm〜数十mm程度の粒径のベントナイトボールを数百MPaの圧力で等方圧加圧処理して成形することは、非常に大掛かりな装置が必要になるとともに、製造工程が複雑になり、製造に多大なコストを要するという問題があった。
【0008】
そこで本出願人は上記の問題を解決するため、粉体のベントナイトに水を加えて混ぜ合わせるとともに、押し出し造粒工程でディスクダイ(押し出し造粒機)を用いて湿潤状態の円柱状のベントナイト成形体を成形し、押し出し造粒工程で成形したベントナイト成形体を転動造粒工程で球形に成形し、さらに転動造粒工程で成形した球形のベントナイト成形体を乾燥収縮によって高密度化させるように乾燥工程で乾燥して、球形のベントナイト成形体を製造する方法を既に提案している(特許文献5参照)。
このベントナイト成形体の製造方法によれば、高い圧力を使用したり、複雑な工程を要することなく、乾燥密度が充分に高い高密度の略球形のベントナイト成形体を効率よく容易に製造することが可能である。また、このように製造したベントナイト成形体を所定の空間に自由落下で投入するだけで充分に高密度(理論的に約75%)の充填率で充填することが可能になる。
【0009】
しかも、上記の製造方法では、押出孔の孔径が異なるディスクダイを用いることで粒径が異なるベントナイト成形体を容易にかつ大量に製造することが可能であるから、上記の製造方法により粒径が異なる複数種類のベントナイト成形体を製造し、それら複数種類のベントナイト成形体を所定比率で混合して充填することにより充填率をさらに高めることが可能であり、それによりバリア性能に優れたベントナイト遮水層を容易に形成することが可能になる。
【0010】
図13及び図14は上記の製造方法により製造したベントナイト成形体を廃棄物埋設処分施設において埋め戻し材として用いる場合の具体例を示す。
図13は廃棄体(高レベル放射性廃棄物)3を縦形の処分孔4内に処分する場合に、廃棄体3の周囲に上記のベントナイト成形体5を充填装置6によって充填して処分孔4を埋め戻すことにより、廃棄体3の周囲に難透水性粘土層としてのベントナイト遮水層を形成するようにしたものである。
図14は水平な処分坑7に廃棄体(あるいは緩衝材一体型廃棄体)3を配置した後、その周囲に上記のベントナイト成形体5を充填して処分坑7全体を埋め戻すことにより、同様に廃棄体3の周囲に難透水性粘土層(ベントナイト遮水層)を形成するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−215297号公報
【特許文献2】特許第4036975号公報
【特許文献3】特開平6−41513号公報
【特許文献4】特許第3539928号公報
【特許文献5】特開2009−274910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上で説明したように、特許文献5に示される上記の製造方法は、高密度の球状のベントナイト成形体を効率よく容易に製造できる点で充分に有効であるが、その乾燥工程においては以下の点で改善すべき余地を残している。
【0013】
すなわち、上記製造方法における乾燥工程は、湿潤状態のベントナイト成形体を温風の強制対流により比較的短時間で乾燥させるか、あるいは温風の自然対流により長時間をかけてゆっくりと乾燥させることで行うのであるが、いずれも一長一短がある。
つまり、前者は高速乾燥が可能であるものの乾燥収縮による密度上昇が必ずしも充分ではなく、高密度成形の点では後者に比べて不利である。逆に、後者は充分な高密度成形が可能であるが、乾燥時間が長くかかるので効率の点で不利である。
特に、後者の場合、浅い容器内に湿潤状態のベントナイト成形体を敷き均して温風を送ることなくゆっくりと自然乾燥させることになるので、容器を置くスペースとして広大な温湿度制御室が必要となる。その場合においてスペースの節約を図るために浅い容器を多段積みにすると、各容器での乾燥状態を均等にするために作業員による一定時間ごとの確認作業や攪乱作業が必要となるので、乾燥工程の自動化や省力化の点でも不利である。
【0014】
しかも、いずれにしても上記製造方法により製造されるベントナイト成形体の表面はざらざらとした粗面状態であって必ずしも充分な平滑とはなっておらず、そのため空間に充填した際にはベントナイト成形体どうしの間で摩擦抵抗が生じて充填密度を高めるうえでは不利であるので、充填密度をさらに高めるためにベントナイト成形体の表面をより平滑にしたいという要請もある。
【0015】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、上述した製造方法を基本としつつその乾燥工程に改良を加えることにより、表面が充分に平滑な略球形のベントナイト成形体を容易にかつ効率的に製造し得る有効適切な製造方法と、その方法において用いる有効適切な乾燥装置、並びにそれにより製造される有効適切なベントナイト成形体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1記載の発明のベントナイト成形体の製造方法は、粉体のベントナイトに水を加えて混ぜ合わせるとともに押し出し造粒によって湿潤状態のベントナイト成形体を成形する押し出し造粒工程と、前記押し出し造粒工程で成形した前記ベントナイト成形体を転動造粒によって略球形に成形する転動造粒工程と、前記転動造粒工程で成形した前記ベントナイト成形体を乾燥収縮によって高密度化させるように乾燥する乾燥工程とを備え、前記乾燥工程は、水平姿勢で設置した円筒状の乾燥セル内に前記ベントナイト成形体を収容し、該乾燥セルを回転させつつ該乾燥セル内に温風を吹き込むことにより、前記ベントナイト成形体を前記乾燥セル内において攪拌混合しつつ前記温風によって乾燥させることを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のベントナイト成形体の製造方法における前記乾燥工程において用いる乾燥装置であって、水平姿勢で設置されて軸線を中心に回転可能に支持された円筒状の乾燥セルと、該乾燥セルを回転させる回転駆動機構と、該乾燥セル内に温風を供給する温風供給機構を具備してなることを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の発明は、同じく請求項1記載のベントナイト成形体の製造方法における前記乾燥工程において用いる乾燥装置であって、水平姿勢で設置されて軸線を中心に回転自在に支持された円筒状の回転胴と、該回転胴の内周部に水平姿勢で装着された複数の乾燥セルと、前記回転胴を回転させることにより前記各乾燥セルを該回転胴の軸線を中心としてその周囲を公転させる回転駆動機構と、前記回転胴の一端部からその内部に温風を供給することにより該温風を前記各乾燥セルに分配供給する温風供給機構を具備してなることを特徴とする。
【0019】
請求項4記載の発明のベントナイト成形体は、請求項1記載のベントナイト成形体の製造方法を用いて成形したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るベントナイト成形体の製造方法によれば、湿潤状態のベントナイト成形体を乾燥セル内において攪拌混合しつつ温風により乾燥させるので、最終的な乾燥密度を従来の強制対流による乾燥工程による場合と同等ないしそれ以上とできて充分に高密のベントナイト成形体を効率的に製造することができることはもとより、従来の自然対流による乾燥工程に比べれば所要スペースを節約できるし、乾燥所要時間を大幅に短縮し得て遙かに効率的な処理が可能であり、乾燥装置の自動運転も可能であるので省力化を図ることができる。しかも、乾燥工程においてベントナイト成形体どうしが自ずと相互に摩擦し合うので、表面が充分に平滑なベントナイト成形体を製造することができる。
【0021】
本発明に係る乾燥装置によれば、円筒状の乾燥セル内を回転させることで湿潤状態のベントナイト成形体を乾燥セル内において攪拌混合しつつ温風により乾燥させるので、乾燥工程を効率的に実施することが可能であって上記製造方法において用いるものとして好適である。
特に、回転胴内に複数の乾燥セルを装着した構成とすれば大量処理が可能であってより効率的である。
【0022】
本発明のベントナイト成形体は、上記の製造方法により製造されるものであるので、表面が充分に平滑であり、したがって充填密度を充分に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る製造方法の一実施形態を示すフロー図である。
【図2】同、ディスクダイの例を示す図である。
【図3】同、ディスクダイの他の例を示す図である。
【図4】本発明に係る乾燥装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図5】本発明に係るベントナイト成形体の乾燥密度を従来品と比較して示すための図であって、乾燥工程における処理条件を示す図である。
【図6】同、乾燥時間と含水比との関係を示す図である。
【図7】同、乾燥速度と最終的な乾燥密度との関係を示す図である。
【図8】本発明に係るベントナイト成形体により得られるかさ密度を示す図である。
【図9】本発明に係る乾燥装置の他の実施形態を示す概略構成図である。
【図10】同、概略構成図である。
【図11】廃棄物埋設処分施設を示す図である。
【図12】同、主要坑道および処分坑道を示す図である。
【図13】同、処分孔に対する埋め戻し状況を示す図である。
【図14】同、処分坑に対する埋め戻し状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図1〜図10を参照して本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、図11〜図12に示したような放射性廃棄物埋設処分施設において、図13〜図14に示したように埋め戻し材として用いられるベントナイト成形体を対象としてそれを製造するための製造方法、及びそれに用いる乾燥装置、並びにそれにより製造されるベントナイト成形体に関するものである。
なお、本実施形態の製造方法は、基本的には上述したように本発明の基礎となった製造方法(特許文献5参照)における乾燥工程を改良したものであるので、両者は乾燥工程が異なるのみでその他の工程(押し出し造粒工程および転動造粒工程)は実質的に同様である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態のベントナイト成形体の製造方法においては、はじめに、粉体のベントナイトに所定量の水を加えて混ぜ合わせる。このとき、一般に粉体のベントナイトの含水比は7〜10%程度であり、この含水比が例えば25〜28%程度になるようにベントナイトに水を加えて混ぜ合わせる。
なお、粉体のベントナイトに所定量の水を加えて混ぜ合わせた状態の含水比は、必ずしも25〜28%程度に限定されるものではなく、使用するベントナイトの特性(ベントナイトの産地など)や成形する粒径などに応じて適宜調整すれば良い。すなわち、粉体のベントナイトに対し水分量が少ないと、後述の押し出し造粒工程で成形した湿潤状態のベントナイト成形体の中の空気量が多くなり、後述の転動造粒工程による造粒時にベントナイト成形体が球形に成形されず、粉々になってしまう。また、水分量が多いと、押し出し造粒工程や転動造粒工程で成形される多数のベントナイト成形体が付着して大きな粒子になり、ベントナイト成形体が落花生型になったり、大きな空気層を含んで(低密度で)成形されてしまう。このため、粉体のベントナイトに加える水量は、ベントナイトの特性や成形する粒径などに応じ、押し出し造粒工程や転動造粒工程でベントナイト成形体を所定の形状に成形可能な量とする。
【0026】
そして、粉体のベントナイトと水を混練した段階で、例えば所定の孔径の複数の押出孔が形成されたディスクダイを備える押し出し造粒機を用いて、混練したベントナイトを押し出し造粒し、円柱状のベントナイト成形体を成形する(押し出し造粒工程)。
このように押し出し造粒機を用いることによって、ディスクダイの押出孔の孔径に応じたほぼ同形同大の円柱状で湿潤状態のベントナイト成形体が大量に効率よく且つ容易に成形される。
【0027】
この際、本実施形態の製造方法では、例えば図2(a)、(b)に示すように、押出孔の孔径(大きさ)が異なる複数のディスクダイ8,9を用い、それらディスクダイ8,9を交換しながら押し出し造粒することによって、大きさ(直径)が異なる複数種のベントナイト成形体を個別に製造することが可能である。
あるいは、押し出し造粒機のディスクダイとして、例えば図3に示すように孔径(大きさ)が複数段階(例えば1mm、2mm、4mm、15mm、20mmなど)に異なる押出孔を有するディスクダイ10を用意し、このディスクダイ10を用いて粒径の異なる複数種類のベントナイト成形体を同時に成形することも可能である。
【0028】
ついで、上記の押し出し造粒工程で成形された円柱状のベントナイト成形体を転動造粒機に供給し、転動造粒機で転動造粒することによりベントナイト成形体を略球形に成形する(転動造粒工程)。
このとき、例えば、転動造粒機のドラムに多数のベントナイト成形体を供給し、このドラムを高速回転させることで、大量のベントナイト成形体が効率よく且つ容易に略球形に成形される。
【0029】
そして、上記のように湿潤状態で略球形に成形されたベントナイト成形体11(以下、これを湿潤ペレット11という)を乾燥させる(乾燥工程)。
上述したように、従来における乾燥工程は、湿潤ペレット11を温風の強制対流により比較的短時間で乾燥させるか、あるいは温風の自然対流により長時間をかけてゆっくりと乾燥させることで行っていたのであるが、本実施形態ではそれに代えて、湿潤ペレット11を円筒状の乾燥セル内に収容して乾燥セルを回転させつつその内部に温風(特に例えば40〜50℃程度の比較的低温の微温風)を供給して低速で通過させることにより、湿潤ペレット11を乾燥セル内において攪拌混合しながら温風により乾燥させて最終製品であるベントナイト成形体(乾燥ペレット)を製造することを主眼とする。
【0030】
図4はそのような乾燥工程を実施するための乾燥装置20の一構成例を示す。
これは、所定量の湿潤ペレット11を収容可能な円筒状の容器である乾燥セル21を水平姿勢で配置して、その両端部を回転駆動機構としての対の駆動ローラ22および押さえローラ23により支持し、図示を略したモータ等の駆動源により駆動ローラ22を回転させることで乾燥セル21を矢印で示すように回転(乾燥セル21自身の軸線を中心として自転するような回転)させるようにしたものである。
乾燥セル21の一端側(図示例では(a)に示すように右端側)からは、図示を略したブロワ等の温風供給機構からダクト25を通して温風が供給されるようになっており、供給された温風は乾燥セル21内を低速で通過して他端側(同、左端側)から流出するようになっている。
なお、乾燥セル21の両端部には、湿潤ペレット11のこぼれ出しを防止し、かつ温風が通過可能な通風性を有する蓋体24が着脱自在に装着されるようになっている。
【0031】
上記の乾燥装置20による乾燥工程は、乾燥させるべき所定量の湿潤ペレット11を乾燥セル21内に収容し、乾燥セル21を上記のように低速で回転させつつ温風を供給して乾燥セル21内を通過させれば良い。これにより、乾燥セル21の回転に伴って湿潤ペレット11は乾燥セル21の内面との摩擦によって持ち上げられては重力によって崩れ落ちる運動を繰り返して自ずと攪拌混合されつつ、同時に乾燥セル21内を通過する温風に接触して乾燥がなされ、比較的短時間で全ての湿潤ペレット11が効率的にかつ均一に乾燥されて最終製品としての高密度のベントナイト成形体が製造される。
その際、乾燥セル21の回転速度、温風の温度や供給量、乾燥セル21内における温風の通過流速や通過時間(つまりは温風に対する湿潤ペレット11の接触時間)等は、乾燥セル21の形状や寸法、湿潤ペレット11の粒径や収容量(処理量)、必要とされる乾燥時間や最終的な乾燥密度等の条件に応じて適宜設定すれば良い。
例えば、乾燥セル21の回転は連続的に行うことでも良いが、あるいは適宜のインターバルをおいて断続的に回転させたり、正転と逆転を繰り返すことでも良い。温風の供給についても、温風を定温かつ定風量で連続的に供給することでも良いが、あるいは断続的に供給することでも良いし、必要であれば温度や風量を適宜変化させながら供給することでも良く、いずれにしてもそれらの設定を最適に行うことで充分に効率的な処理が可能である。
【0032】
上記の乾燥装置20による乾燥工程によれば、湿潤ペレット11を乾燥セル21内において攪拌混合しつつ温風により乾燥させるので、従来の製造方法における自然対流による乾燥工程に比べれば所要スペースを節約できるし、乾燥所要時間を大幅に短縮し得て遙かに効率的な処理が可能であり、乾燥装置20の自動運転も可能であるので省力化を図ることができる。
また、最終的な乾燥密度は従来の製造方法における強制対流による乾燥工程による場合と同等ないしそれ以上とできるから、充分に高密度のペレットを工業的規模で効率的に製造することができる。
【0033】
図5〜図7は、上記方法により製造された本発明のベントナイト成形体の最終的な乾燥密度を、従来法により強制対流で乾燥させた場合と比較して示すものである。
図5に示すように、従来法によるもの(試料NO.1〜4)は、静止状態の湿潤ペレットに対して90℃〜40℃の温風を定風量で強制送風して乾燥させたものであり、本発明によるもの(試料NO.5〜10)は上記実施形態の乾燥装置20を用いて試料を攪拌混合しながら40℃の温風により乾燥させることとして、乾燥セル21の回転間隔を図中に示したように設定したものである。なお、試料No.10のみは温風の供給を断続的(送風30分、休止30分の繰り返し)とした。
【0034】
図6は上記の乾燥工程による含水比の変化の状況を示すものであり、図7は上記により得られたデータから乾燥速度と最終的な乾燥密度との関係を整理したものである。図7の横軸の乾燥速度とは含水比の変化率(%/Hr)すなわち図6に示されるグラフの勾配であり、最初の含水比25-28%から乾燥後の1-10%になるまでの変化量をその所要時間で除した値である。
図7から、従来法においては乾燥速度が約4%/Hr以上の高速乾燥を行うことから最終的な乾燥密度が約1.8Mg/m3程度が限界であるが、本発明においては乾燥速度を1%/Hr以下に設定することで最終的な乾燥密度を約1.9Mg/m3以上にでき、従来の強制対流法による場合に比べて充分に高密度であり、かつ従来の自然対流法による場合に匹敵するような高密度のベントナイト成形体を製造できることが分かる。
また、本発明においては乾燥速度をやや速めて2%/Hrとした場合であっても約1.85Mg/m3以上の乾燥密度が得られるし、さらに乾燥速度を3%/Hr程度にまで速めても少なくとも従来と同等程度の乾燥密度を得られるから、本発明によれば乾燥時間の短縮を図りつつ高密度乾燥が可能であるといえる。
【0035】
しかも、上記の製造方法により製造される本発明のペレットは、乾燥工程において各湿潤ペレット11どうしが自ずと相互に摩擦し合うので、表面に適度の摩耗が生じて充分に平滑となり、それにより従来の製造方法により製造される従来のペレットに比較して充填密度(所定空間に充填した際のかさ密度)を高めることができるという効果が得られる。
図8は、20mm級ペレットと1mm級ペレットを様々な混合率で混合して円筒形モールド内に充填する場合において、従来のペレット(黒丸:従来の製造方法において自然対流により20日間乾燥させたもの)による場合のかさ密度と、本発明のペレット(白丸:上記実施形態の製造方法により乾燥セル21において2日間乾燥させたもの)による場合のかさ密度を比較して示すものである。
これによれば、個々のペレットの乾燥密度は従来のペレットの方がやや高いものの、1mm級ペレットを40%程度混合した場合には本発明のペレットを用いる方が全体としてのかさ密度に優れていることが分かる。
これは、従来の自然対流法により製造されるペレットは乾燥時間が充分に長いことから個々のペレットの密度を充分に高めることはできるものの、表面が粗面であることから必ずしも充分に密に充填できないのに対し、本発明のペレットは個々のペレットの乾燥密度はやや低いものの表面が充分に平滑であることからより多量のペレットを充填できるためであると考えられ、この点で本発明のペレットの有用性が裏付けられている。
勿論、本発明によれば上述したように従来の強制対流法により製造されたものに比べて高密度のベントナイト粒子を製造可能であるから、それとの対比ではベントナイト粒子自体の密度と充填密度の双方を高密度化できることになる。
【0036】
図9〜図10は本発明の乾燥装置の他の構成例を示す。
本実施形態の乾燥装置30は、上記の乾燥装置20における乾燥セル21を円筒状の回転胴31の内周部に複数(図示例では8本)装着し、かつそれら回転胴31を複数(図示例では2台)並設することにより多数(図示例では全16本)の乾燥セル21を備えたものであって、同時に多量の湿潤ペレット11を乾燥処理可能なものである。
すなわち、本実施形態の乾燥装置30では、各回転胴31がそれぞれ水平姿勢で配置されて駆動ローラ22により回転自在に支持されているとともに、各回転胴31の内周部に各乾燥セル21が水平姿勢で(つまり乾燥セル21の軸線を回転胴31の軸線と平行にした状態で)等間隔に装着されており、図示を略したモータ等の駆動源により回転駆動機構としての駆動ローラ22を回転させることで各回転胴31が回転(回転胴31自身の軸線を中心として自転するような回転)し、それに伴い、各乾燥セル21は回転胴31とともにその周方向に沿って公転していくとともに1公転する間には自ずと自身の軸線を中心として1回転(自転)することになり、したがって上記の乾燥装置20の場合と全く同様にその内部に収容した湿潤セル11を混同攪拌できるようになっている。
そして、図10(b)に示すように回転胴31内の一端部には仕切板32が設けられて温風チャンバ33が区画形成されていて、そこには温風供給機構としてのダクト34を通して適宜のブロワから温風(特に40〜50℃程度の比較的低温の微温風)が供給され、その温風は温風チャンバ33から各乾燥セル21に分配供給されてそれらの内部を通過するようになっており、これにより上記実施形態の乾燥装置20と同様に各乾燥セル21内において湿潤ペレット11を攪拌混合しつつ温風により乾燥させることが可能であって、一度に多量の湿潤ペレット11を効率的に乾燥できるものとなっている。
【0037】
なお、図9(c)に示すように各乾燥セル21は回転胴31に対して着脱自在にしておくと良く、そのためには上記の仕切板32を貫通するスリーブ状のホルダ35を取り付けておき、それらホルダ35に対して各乾燥セル21の端部を差し込むようにして容易に着脱できるように構成しておくと良い。その場合、ホルダ35の温風チャンバ33側の端部には、温風チャンバ33から各ホルダ35への温風の流入を案内するための切り込み35aを形成しておくと良い。
このように各乾燥セル21を回転胴31に対して着脱自在にしておくと、各乾燥セル21への湿潤ペレット11の収容作業やそこから取り出す作業を容易に行うことができるし、乾燥工程の途中において所望の乾燥セル21を回転胴31から取り外してその重量を高精度で測定すれば、その重量変化から乾燥の進捗状況を各乾燥セル21ごとに把握することが可能である。
【0038】
この乾燥装置30によれば、各乾燥セル21に同一粒径の湿潤ペレット11を収容して処理を行うことにより単一品種のペレットを一度に多量処理できるし、あるいは各乾燥セル21に粒径の異なる別種類の湿潤ペレット11を収容してそれらを同時に処理すれば多品種のペレットを少量ずつ処理することもできる。
勿論、必要であれば、粒径の異なる複数種類の湿潤ペレット11を混合したうえで乾燥セル21内に収容して処理することも可能である。例えば前工程において図3に示したようなディスクダイ10を用いて粒径の異なる複数種類の湿潤ペレット11を混合状態で造粒した場合には、それをそのまま乾燥セル21に収容して混合状態のままで乾燥処理すれば良い。
【0039】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば乾燥工程の具体的な手順や、乾燥装置の具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜の設計的変更や応用が可能であることはいうまもでない。
特に乾燥装置の構成としては、湿潤ペレット11を円筒状の乾燥セル21内に収容し、乾燥セル21を回転(自転あるいは公転)させることで湿潤ペレット11を攪拌混合しつつ温風により乾燥させる構成とすれば良いのであって、その限りにおいて乾燥セル21の形状や寸法、素材は任意であることは言うに及ばず、例えば以下に列挙するような形態が考えられる。
【0040】
図4に示した実施形態の乾燥装置20は最も基本的な構成として単一の乾燥セル21からなるものとしたのであるが、複数本の乾燥セル21を横方向に並設したり上下方向に多段に配置すれば多量処理が可能となる。その場合、各乾燥セル21のそれぞれに対して独立の回転駆動機構を設けて各乾燥セル21を独立に回転させることでも良いし、複数の乾燥セル21を単一ないし少数の回転駆動機構により同期して駆動するように構成しても良い。
また、上記の乾燥装置20のように乾燥セル21を駆動ローラ22により支持してその上部において自転させる構成に代えて、乾燥セル21を横方向に転動させて周長相当分だけ左右に往復移動させる構成とすることも考えられる。
さらに、乾燥セル21は基本的には水平姿勢を維持しつつ回転させる必要があるが、必要に応じて乾燥セル21の両端部を上下方向に揺動させて前後方向に傾斜させることにより、湿潤ペレット11を前後方向(乾燥セル21の軸方向)に滑らせて攪拌する機能を付加することも考えられる。
【0041】
また、図9〜図10に示した乾燥装置30においても、各回転胴31に対する乾燥セル21の装着本数は任意に増減可能であることは言うに及ばず、回転胴31の設置数も任意に増減可能であって多数の回転胴31を並設したり多段に配置しても良く、それらを回転させるための回転駆動機構の構成も任意である。
また、上記実施形態の乾燥装置30では、乾燥セル21を回転胴31に対しては相対回転不能な状態で装着して回転胴31の周囲を公転するのみとしたが、さらに乾燥セル21自体を回転胴31に対して相対回転するようにして乾燥セル21を自転させつつ公転させることでも良い。その場合、各乾燥セル21に対して例えば上記の乾燥装置20における回転駆動機構と同様の機構を設けて強制的に自転させるようにしても良いし、あるいは各乾燥セル21を回転胴31に対してたとえば遊星歯車機構を介して装着することにより、回転胴31の回転に伴って乾燥セル21が公転しつつ自ずと自転するように構成することも考えられる。
【符号の説明】
【0042】
11 湿潤ペレット(ベントナイト成形体)
20 乾燥装置
21 乾燥セル
22 駆動ローラ(回転駆動機構)
23 押さえローラ
24 蓋体
25 ダクト(温風供給機構)
30 乾燥装置
31 回転胴
32 仕切板
33 温風チャンバ
34 ダクト(温風供給機構)
35 ホルダ
35a 切り込み
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体のベントナイトに水を加えて混ぜ合わせるとともに押し出し造粒によって湿潤状態のベントナイト成形体を成形する押し出し造粒工程と、
前記押し出し造粒工程で成形した前記ベントナイト成形体を転動造粒によって略球形に成形する転動造粒工程と、
前記転動造粒工程で成形した前記ベントナイト成形体を乾燥収縮によって高密度化させるように乾燥する乾燥工程とを備え、
前記乾燥工程は、水平姿勢で設置した円筒状の乾燥セル内に前記ベントナイト成形体を収容し、該乾燥セルを回転させつつ該乾燥セル内に温風を吹き込むことにより、前記ベントナイト成形体を前記乾燥セル内において攪拌混合しつつ前記温風によって乾燥させることを特徴とするベントナイト成形体の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のベントナイト成形体の製造方法における前記乾燥工程において用いるベントナイト成形体の乾燥装置であって、
水平姿勢で設置されて軸線を中心に回転可能に支持された円筒状の乾燥セルと、該乾燥セルを回転させる回転駆動機構と、該乾燥セル内に温風を供給する温風供給機構を具備してなることを特徴とするベントナイト成形体の乾燥装置。
【請求項3】
請求項1記載のベントナイト成形体の製造方法における前記乾燥工程において用いるベントナイト成形体の乾燥装置であって、
水平姿勢で設置されて軸線を中心に回転自在に支持された円筒状の回転胴と、該回転胴の内周部に水平姿勢で装着された複数の乾燥セルと、前記回転胴を回転させることにより前記各乾燥セルを該回転胴の軸線を中心としてその周囲を公転させる回転駆動機構と、前記回転胴の一端部からその内部に温風を供給することにより該温風を前記各乾燥セルに分配供給する温風供給機構を具備してなることを特徴とするベントナイト成形体の乾燥装置。
【請求項4】
請求項1記載のベントナイト成形体の製造方法を用いて成形したことを特徴とするベントナイト成形体。
【請求項1】
粉体のベントナイトに水を加えて混ぜ合わせるとともに押し出し造粒によって湿潤状態のベントナイト成形体を成形する押し出し造粒工程と、
前記押し出し造粒工程で成形した前記ベントナイト成形体を転動造粒によって略球形に成形する転動造粒工程と、
前記転動造粒工程で成形した前記ベントナイト成形体を乾燥収縮によって高密度化させるように乾燥する乾燥工程とを備え、
前記乾燥工程は、水平姿勢で設置した円筒状の乾燥セル内に前記ベントナイト成形体を収容し、該乾燥セルを回転させつつ該乾燥セル内に温風を吹き込むことにより、前記ベントナイト成形体を前記乾燥セル内において攪拌混合しつつ前記温風によって乾燥させることを特徴とするベントナイト成形体の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のベントナイト成形体の製造方法における前記乾燥工程において用いるベントナイト成形体の乾燥装置であって、
水平姿勢で設置されて軸線を中心に回転可能に支持された円筒状の乾燥セルと、該乾燥セルを回転させる回転駆動機構と、該乾燥セル内に温風を供給する温風供給機構を具備してなることを特徴とするベントナイト成形体の乾燥装置。
【請求項3】
請求項1記載のベントナイト成形体の製造方法における前記乾燥工程において用いるベントナイト成形体の乾燥装置であって、
水平姿勢で設置されて軸線を中心に回転自在に支持された円筒状の回転胴と、該回転胴の内周部に水平姿勢で装着された複数の乾燥セルと、前記回転胴を回転させることにより前記各乾燥セルを該回転胴の軸線を中心としてその周囲を公転させる回転駆動機構と、前記回転胴の一端部からその内部に温風を供給することにより該温風を前記各乾燥セルに分配供給する温風供給機構を具備してなることを特徴とするベントナイト成形体の乾燥装置。
【請求項4】
請求項1記載のベントナイト成形体の製造方法を用いて成形したことを特徴とするベントナイト成形体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−242289(P2011−242289A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115503(P2010−115503)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
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