説明

ベーンポンプ

ベーンポンプはポンプケーシング(10)を有しており、このポンプケーシングにはロータ(20)が配置されており、該ロータは駆動軸(12)により回転駆動されるようになっており、しかも、ロータ(20)はその周面にわたって配分された複数の溝(24)を有しており、これらの溝は、ロータ(20)の回転軸線(13)に対して少なくともほぼ半径方向に延びており且つ当該溝内では各1つの羽根状の圧送部材(26)が摺動可能に案内されている。ロータ(20)には、該ロータの回転軸線(13)の方向でポンプケーシング(10)のケーシング端壁(14,16)が隣接している。ロータ(20)の端面(201,202)のうちの少なくとも一方に、ロータの回転軸線(13)を取り囲む少なくとも1つの環状溝(38)が形成されており、該環状溝は、羽根(26)によりロータ(20)の溝(24)内で制限される内部領域(25)と、吐出し領域(32,34)とに接続されている。少なくとも1つの環状溝(38)はロータ(20)に、有利には最初から成形されることによって設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式のベーンポンプ、即ち、ベーンポンプであって、ポンプケーシングを備えており、該ポンプケーシング内にロータが配置されており、該ロータが駆動軸により回転駆動されるようになっており、ロータがその周面にわたって配分された複数の溝を有しており、これらの溝が、ロータの回転軸線に対して少なくともほぼ半径方向に延びており且つ当該溝内で各1つの羽根状の圧送部材が摺動可能に案内されており、該圧送部材が、ロータの溝において半径方向内側に位置する内側領域を制限しており、ロータを取り囲む、該ロータの回転軸線に対して偏心的に延びるポンプケーシングの周壁が設けられており、該周壁に、圧送部材の半径方向外側の端部が接触しており、ロータの回転軸線の方向でロータに隣接するポンプケーシングのケーシング端壁が設けられており、ロータの回転運動時に圧送部材により媒体が吸込み領域から、この吸込み領域に対してロータの回転方向でずらされた吐出し領域へ圧送されるようになっており、ロータの周面の少なくとも一部にわたって延びる少なくとも1つの環状溝が設けられており、該環状溝が、ロータの少なくとも2つの溝の内部領域に接続されている形式のものから出発する。
【0002】
このような形式のベーンポンプは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19952167号明細書に基づき公知である。この公知のベーンポンプはポンプケーシングを有しており、このポンプケーシングには、駆動軸によって回転駆動されるロータが配置されている。このロータは、その周面にわたって配分された複数の溝を有しており、これらの溝は、ロータの回転軸線に対して少なくともほぼ半径方向に延びており且つ溝内では各1つの羽根状の圧送部材が摺動可能に案内されている。ポンプケーシングは、ロータを取り囲む、このロータの回転軸線に対して偏心的な周壁を有しており、この周壁に、前記羽根の半径方向外側の端部が接触する。ポンプケーシングは、ロータの回転軸線の方向で見てこのロータに隣接するケーシング端壁を有している。前記周壁の偏心的な配置形式に基づき、ロータの回転時に拡大する室と縮小する室とが羽根間に形成され、これらの室間で、圧送しようとする媒体は増圧下で吸込み領域から、この吸込み領域に対して周方向でずらされた吐出し領域へ圧送される。この場合、羽根はロータ回転時の遠心力に基づき周壁に接触した状態に保たれるが、特にベーンポンプの始動時の回転数が低い状態では小さな遠心力しか作用しないので、ベーンポンプは少量しか圧送しない。公知のベーンポンプの場合は、このベーンポンプと共に1つの共通のポンプ装置を形成する別の圧送ポンプにより圧縮された媒体が、ロータの溝に設けられた羽根により制限された内部領域に供給され、これにより、羽根は遠心力に加えて付加的に、半径方向外側の周壁に向かって押圧されるということが規定されている。この場合、少なくとも1つのケーシング端壁には、ロータの周面の一部にわたって延びる環状溝が設けられており、この環状溝には別の圧送ポンプにより圧縮された媒体が供給される。この場合、ケーシング端壁における環状溝の製作は手間がかかり、一般には例えばフライス切削加工等の切削加工法を用いて行う必要がある。
【0003】
発明の利点
これに対して請求項1の特徴部に記載の構成、即ち、少なくとも1つの環状溝が、ケーシング端壁のうちの一方に対向位置するロータの少なくとも1つの端面に形成されており、更に、前記の少なくとも1つの環状溝が、吐出し領域に接続されている構成を有する本発明によるベーンポンプは、製作が簡略化されているという利点を有している。それというのも、少なくとも1つの環状溝をロータに設けることは、ケーシング端壁に設けるよりも簡単に可能だからである。
【0004】
従属請求項には、本発明によるベーンポンプの有利な構成及び改良が記載されている。請求項2記載の構成は、ロータの両側の圧力負荷を可能にするので、ロータには軸方向力が少なくともほぼ全く作用せず、ロータ及びケーシング端壁の摩耗が少なく保持され得る。請求項3記載の構成は、ロータに対する軸方向力の回避を少なくともほぼ可能にすると同時に、ロータの両端面における環状溝の制限された延在をも可能にする。1つの環状溝によって、ロータに設けられた連続する各2つの溝だけが互いに接続されることに基づき、請求項4記載の構成は特に有利である。それというのも、この場合は生じ得る漏れ損失が少なく保持され得るからである。
【0005】
実施例の説明
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0006】
図1〜図4に示したベーンポンプは、有利には燃料、特にディーゼル燃料を圧送するために規定されている。この場合、このベーンポンプによって燃料がリザーバタンクから高圧ポンプに圧送される。ベーンポンプは、高圧ポンプとは別個に配置されているか、高圧ポンプに取り付けられているか、又は高圧ポンプに組み込まれていてよい。当該ベーンポンプは、複数部材から形成されたポンプケーシング10と、このポンプケーシング10に突入している駆動軸12とを有している。ポンプケーシング10は2つのケーシング端壁14,16を有しており、これらのケーシング端壁14,16により軸方向で、つまり駆動軸12の回転軸線13の方向で、ポンプ室が制限される。このポンプ室は、周方向では周壁18により制限され、この周壁18は、ケーシング端壁14,16のうちの一方と一体に形成されているか、又はこれらのケーシング端壁14,16とは別個に形成されていてよい。ロータ20は、ケーシング端壁14,16に面した端面201,202を有している。
【0007】
ポンプ室には、図1、図3及び図4に示したようにロータ20が配置されており、このロータ20は駆動軸12と相対回動不能に、例えば溝/キー継ぎ手22を介して結合されている。ロータ20は、その全周にわたって配分されて配置された、ロータ20の回転軸線13に対して少なくともほぼ半径方向に延びる複数の溝24を有している。これらの溝24は、ロータ20の外周面から出発して回転軸線13に向かってロータ20内に突入して延在している。例えば4つの溝24が設けられているが、4つよりも少ない又は多い溝24が設けられていてもよい。各溝24には、以下羽根と呼ぶディスク状の圧送部材26がシフト可能に配置されており、この圧送部材26の半径方向外側の端部領域は、溝24から突出している。各羽根26により、各溝24内で半径方向内側に位置する内部領域25が制限される。
【0008】
ポンプケーシング10の周壁18の内面は、ロータ20の回転軸線13に対して偏心的に、例えば円形又は別の形状で形成されている。少なくとも1つのケーシング端壁14,16には、図2に示したように、少なくとも1つの吸込み開口28が開口する吸込み領域が設けられている。この吸込み領域内で、有利には少なくとも1つのケーシング端壁14,16に、ロータ20の周方向で長く延びた、例えば腎臓形に湾曲された吸込み溝30が形成されており、この吸込み溝30に前記吸込み開口28が開口している。この吸込み開口28は、吸込み溝30の、有利にはロータ20の回転方向21とは逆を向いた端部領域に開口している。吸込み開口28は、リザーバタンクから通じている供給部に接続されている。少なくとも1つのケーシング端壁14,16には更に吐出し領域が設けられており、この吐出し領域には少なくとも1つの吐出し開口32が開口している。吐出し領域内で、有利には少なくとも1つのケーシング端壁14,16に、ロータ20の周方向で長く延びた、例えば腎臓形に湾曲された吐出し溝34が形成されており、この吐出し溝34に吐出し開口32が開口している。この吐出し開口32は、吐出し溝34の、有利にはロータ20の回転方向21に向いた端部領域に開口している。吐出し開口32は、高圧ポンプに通じる流出部と接続されている。吸込み開口28、吸込み溝30、吐出し開口32及び吐出し溝34は、ロータ20の回転軸線13から半径方向で間隔をあけて、周壁18の内面付近に配置されている。羽根26は、その半径方向外側の端部で以て周壁18の内面に接触しており且つロータ20の回転運動時には前記内面に沿って回転方向21で滑動する。ロータ20の回転軸線13に関して周壁18の内面が偏心的に形成されていることに基づいて、羽根26間にはそれぞれ可変の容積を有する室36が形成される。吸込み溝30及び吸込み開口28は、ロータ20が回転方向21で回転運動する際に室36の容積が拡大し、これにより、当該の室が燃料で満たされる周方向領域に配置されている。吐出し溝34及び吐出し開口32は、ロータ20が回転方向21で回転運動する際に室36の容積が減少し、これにより、当該の室36から燃料が吐出し溝34に押し退けられ且つこの吐出し溝34から吐出し開口32に押し退けられる周方向領域に配置されている。
【0009】
図2に示した第1実施例では、ロータ20の少なくとも1つの端壁201,202に、ロータ20の全周にわたって延びる環状の溝38が設けられており、この環状の溝38は、各溝24内の各羽根26によって制限された内部領域25に接続されている。以下、前記環状の溝38は環状溝38と呼ぶ。環状溝38は、例えばその半径方向内側の縁部が、ロータ20に設けられた溝24の半径方向内側の縁部と少なくともほぼ同じ半径方向間隔を、ロータ20の回転軸線13からあけて延びているように延在していてよく、この場合、当該環状溝38は、前記溝24にほぼ接線方向で開口している。環状溝38の半径方向内側の縁部が、溝24の半径方向内側縁部よりも小さな半径方向間隔を回転軸線13からあけて延在しており、この場合、環状溝38は例えばほぼ半径方向で溝24に開口するということが規定されていてもよい。環状溝38は、溝24の半径方向内側縁部よりも小さな半径方向間隔を回転軸線13からあけて延び且つロータ20に設けられた別の溝を介して、溝24の内側領域25に接続されていてもよい。環状溝38は、溝24の半径方向内側の縁部よりも大きな半径方向間隔を回転軸線13からあけて延びていてもよいが、羽根26の半径方向内側の端部よりも小さな半径方向間隔を回転軸線13からあけて延びていることが望ましい。溝24によって、環状溝38は複数の環状溝区分に分割される。ロータ20の両端面201,202に各1つの環状溝38が設けられているということが規定されていてよいか、又は択一的に、ロータ20の一方の端面201又は202にだけ、環状溝38が設けられているということが規定されていてもよい。吐出し溝34からは、環状溝38が配置されたロータの端面201,202に面したケーシング端壁14,16内を内側に向かって接続溝40が導出されており、この接続溝40は、ほぼ環状溝38の回転軸線13からの間隔をあけて終わっており、従って、当該接続溝40を介して、環状溝38は吐出し溝34延いては吐出し領域に接続されている。接続溝40の代わりに接続孔が設けられていてもよい。環状溝38と駆動軸12との間にはシール領域39が形成されており、このシール領域39内では、ロータ20と隣接するケーシング端壁14,16との間に僅かな軸方向間隔しか存在していない。駆動軸12を取り囲む領域では、低い圧力だけが支配しているので、環状溝38と当該の駆動軸12を取り囲む領域との間には圧力勾配が生じる。
【0010】
ロータ20の一方の端面201若しくは202に設けられた環状溝38が、ロータ20の全周にわたって延びるのではなく、周面の一部にわたってのみ延びているということが規定されていてもよく、この場合、周方向で互いにずらされた複数の環状溝38が設けられていてもよい。例えば、ロータ20の2つの連続する溝24の内部領域25だけをそれぞれ互いに接続する、複数の環状溝38が設けられていてよい。このことは、図2に示した構成において環状溝38の2つの区分381,382が省かれるということを意味している。ロータ20における環状溝38の両側及び対称配置形式は、生じる力がロータ20に対して回転軸線13の方向では少なくともほぼ全く作用せず、回転軸線13に対して垂直な傾動モーメントも作用しないので、ロータ20は両ケーシング端壁14,16間の少なくともほぼ真ん中で、これらのケーシング端壁14,16に接触することなく回転するという利点を提供する。ロータ20の両端面201,202に、ロータ20の全周にわたっては延在していない環状溝38の各区分が設けられていると、漏れはシール領域38によって少なく保持され得る。
【0011】
接続溝40は、例えば半径方向で、又は回転軸線13に関する1放射線に対して傾斜して、吐出し溝34から内側に向かって延びていてよい。当該の接続溝40は特に、この接続溝40がロータ20の回転方向21で環状溝38に近づくように延びていてよい。更に、接続溝40は有利には一方では少なくともほぼ接線方向で吐出し溝34に開口し且つ/又は他方では少なくともほぼ接線方向で環状溝38に開口している。有利には、接続溝40はロータ20の回転方向21とは逆を向いた吐出し溝34の端部領域に開口している。環状溝38が吐出し溝34と接続されることにより、環状溝38内延いてはこの環状溝38と接続状態にあるロータ20の溝24の内部領域25内は、周壁18の内面における羽根26の接触力を強める増大された圧力が支配するので、これにより、ベーンポンプの圧送性能が改善される。
【0012】
少なくとも1つの環状溝38は、有利にはロータ20に最初から成形される(Urformen)ものであって、切削加工法により設けられるのではない。ロータ20は、例えばプレス過程又は鍛造過程を介して製作可能であり、この場合、プレス工具又は鍛造工具の適当な形状に基づき、環状溝38はロータ20の製作時に、このロータ20に成形される。ロータ20の十分な強度及び耐摩耗性を保証するためには、当該のロータ20は特に焼結金属から成っていてよい。
【0013】
一方のケーシング端壁14又は16にだけ、環状溝38を吐出し溝34に接続する接続溝40が配置されているということが規定されていてよいか、又は両ケーシング端壁14,16にそれぞれ少なくとも1つの接続溝40が配置されていてよく、この場合、これらの接続溝40は、有利には互いに鏡像対称的に、それぞれケーシング端壁14,16に配置されている。更に、一方のケーシング端壁14又は16にだけ、吸込み溝30及び/又は吐出し溝34が形成されており、この場合、他方のケーシング端壁16若しくは14は平滑に形成されているか、又は両ケーシング端壁14,16に各1つの吸込み溝30及び/又は吐出し溝34が形成されており、この場合、これらの吸込み溝30及び/又は吐出し溝34は、有利には互いに鏡像対称的にケーシング端壁14,16に配置されているということが規定されていてよい。但しこの場合、吸込み開口28及び吐出し開口32は、一方のケーシング端壁14又は16にしか設けられておらず、一方のケーシング端壁14には吸込み開口28が設けられており且つ他方のケーシング端壁16には吐出し開口32が設けられている。両ケーシング端壁14,16に吸込み溝30及び吐出し溝34、並びに環状溝38及び接続溝40が鏡像対称的に配置されると、ロータ20と羽根26とが軸方向で見て両側から少なくともほぼ同様に負荷されているので、生じる力は回転軸線13の方向でロータ20及び羽根26に対して全く又は僅かにしか作用しないということが達成される。ロータ20の少なくとも1つの環状溝38及びケーシング端壁14,16の接続溝40の深さは、例えば0.1〜2mmであり、当該の両溝38,40の幅は、有利にはその深さよりも大である。
【0014】
図4に示した第2実施例に基づくベーンポンプでは、本質的な構成は第1実施例の場合と同じである。ロータ20の両端面201,202には、それぞれ少なくとも1つの環状溝38が設けられており、この場合、一方の端面201の環状溝38は、他方の端面202の環状溝38とは異なるロータ20の周面域にわたって延びている。図示の実施例では、ロータ20は4つの溝24を有しており、この場合、一方の端面201の2つの環状溝383はそれぞれ約90°にわたって、連続する各2つの溝24の間に延びており且つ互いに正反対の方向で対向位置している。他方の端面202の2つの環状溝284も、やはりほぼ90°にわたって延びているが、前記端面201の溝383に対して90°だけずらされて配置されており、これにより、これらの環状溝383,384は重ならずに、連続する各2つの溝24の間に延在している。端面202の環状溝384は、図4では破線で描かれている。それというのも、これらの環状溝384は対向位置するロータ20の端面202に配置されており、これにより、図4では本来は見えないからである。図4に示した構成は、偶数の数の溝24が設けられたロータ20の別の構成に転用することもできる。この場合、ロータ20の各端面201,202において環状溝38は、それぞれ2つの連続した溝24の間にしか延在しておらず、両端面201,202の環状溝38は、それぞれ周方向で互いにずらされて配置されているので、当該環状溝38が重なり合うことはない。環状溝38のこの配置形式に基づいて、ロータ20を一方のケーシング端壁14,16に向かって押圧し延いては摩耗の増大を惹起する恐れのある、ロータ20に対する回転軸線13の方向の軸方向力は少なくともほぼ全く生ぜしめられない。更に、漏れはシール領域39によって少なく保持され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ベーンポンプを図3に示したI−I線に沿って横断して示した概略図である。
【図2】第1実施例によるベーンポンプを図3に示したII−II線に沿って横断して示した図である。
【図3】ベーンポンプを図1に示したIII−III線に沿って縦断して示した図である。
【図4】第2実施例によるベーンポンプを図3に示したII−II線に沿って横断して示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベーンポンプであって、ポンプケーシング(10)を備えており、該ポンプケーシング内にロータ(20)が配置されており、該ロータが駆動軸(12)により回転駆動されるようになっており、ロータ(20)がその周面にわたって配分された複数の溝(24)を有しており、これらの溝が、ロータ(20)の回転軸線(13)に対して少なくともほぼ半径方向に延びており且つ当該溝内で各1つの羽根状の圧送部材(26)が摺動可能に案内されており、該圧送部材(26)が、ロータ(20)の溝(24)において半径方向内側に位置する内側領域(25)を制限しており、ロータ(20)を取り囲む、該ロータの回転軸線(13)に対して偏心的に延びるポンプケーシング(10)の周壁(18)が設けられており、該周壁に、圧送部材(26)の半径方向外側の端部が接触しており、ロータの回転軸線(13)の方向でロータ(20)に隣接するポンプケーシング(10)のケーシング端壁(14,16)が設けられており、ロータ(20)の回転運動時に圧送部材(26)により媒体が吸込み領域(28,30)から、この吸込み領域に対してロータ(20)の回転方向(21)でずらされた吐出し領域(32,34)へ圧送されるようになっており、ロータ(20)の周面の少なくとも一部にわたって延びる少なくとも1つの環状溝(38;381,382;383,384)が設けられており、該環状溝が、ロータ(20)の少なくとも2つの溝(24)の内部領域(25)に接続されている形式のものにおいて、
少なくとも1つの環状溝(38;381,382;383,384)が、ケーシング端壁(14,16)のうちの一方に対向位置するロータ(20)の少なくとも1つの端面(201,202)に形成されており、更に、前記の少なくとも1つの環状溝(38;381,382;383,384)が、吐出し領域(32,34)に接続されていることを特徴とする、ベーンポンプ。
【請求項2】
ロータ(20)の両端面(201,202)に、それぞれ少なくとも1つの環状溝(38;381,382;383,384)が設けられており、これらの環状溝のうちの少なくとも1つが吐出し領域(32,34)と接続されている、請求項1記載のベーンポンプ。
【請求項3】
ロータ(20)の一方の端面(201)に設けられた少なくとも1つの環状溝(383)が、ロータ(20)の他方の端面(202)に設けられた少なくとも1つの環状溝(384)とは異なるロータ(20)の周面域にわたって延びている、請求項2記載のベーンポンプ。
【請求項4】
偶数の数の溝(24)がロータ(20)に設けられており、ロータ(20)の異なる端面(201,202)に配置された環状溝(383,384)によって、それぞれ連続する2つの溝(24)の内部領域(25)だけが互いに接続されている、請求項3記載のベーンポンプ。
【請求項5】
少なくとも1つの環状溝(38;381,382;383,384)が、ロータ(20)に最初から成形によって設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載のベーンポンプ。
【請求項6】
ロータ(20)が、プレス過程、鍛造過程又は焼結過程に基づき製作されており且つ特に焼結金属から成っている、請求項5記載のベーンポンプ。
【請求項7】
ロータ(20)の少なくとも1つの環状溝(38;381,382;383,384)が、一方のケーシング端壁(14,16)に形成された少なくとも1つの接続溝(40)又は接続孔を介して吐出し領域(32,34)と接続されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のベーンポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−510311(P2009−510311A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532710(P2008−532710)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066201
【国際公開番号】WO2007/039405
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】