ペクチンのアルキレンオキシド誘導体を含有する組成物
エステル化度が約30%〜約100%のペクチンのアルキレンオキシド誘導体を含む、皮膚保護アルカリ調整組成物が開示される。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
ペクチンは、植物細胞壁に関連した複合多糖類であり、細胞壁の中層に最も豊富である。ペクチンは細胞壁の生長中に産生及び堆積し、特に急生長及び高水分含量の条件下で軟植物組織中に豊富である。
【0002】
ペクチンは、ラムノース残基が介在し、中性糖側鎖、並びにアセチル基、メチル基、及びフェルラ酸基などの非糖成分で修飾されたα1−4結合ポリガラクツロン酸骨格から成る。中性糖側鎖は、アラビナン及びアラビノガラクタンを含み、骨格中のラムノース残基に結合している。ラムノース残基は骨格上でともに一団となる傾向がある。
【0003】
ペクチン中のガラクツロン酸残基は部分的にエステル化され、メチルエステルとして存在している。エステル化度は、エステル化されたカルボキシル基の割合として規定される。エステル化度(「DE」)が50%以上のペクチンは高メチルエステル(「HM」)ペクチン又は高エステルペクチンと呼ばれ、DEが50%未満のペクチンは低メチルエステル(「LM」)ペクチン又は低エステルペクチンと称する。
【0004】
ペクチンはpH3〜4で最も安定である。pH3以下では、メトキシル基及びアセチル基並びに中性糖側鎖が離脱する。温度が上昇するとこれらの反応は加速され、ガラクツロナン骨格中のグリコシド結合の切断が生ずる。中性及びアルカリ性条件下では、メチルエステル基はケン化され、ポリガラクツロナン骨格は、メトキシル化ガラクツロン酸残基の非還元末端におけるグリコシド結合のβ脱離−切断によって壊れる。これらの反応も温度上昇とともに速く進行する。ペクチン酸及びLMペクチンは、メチルエステル基が全くないか、数がわずかに限られているため中性及びアルカリ性条件に耐性である。
【0005】
ペクチンは弱酸であり、低pHでは高pHよりも可溶性ではない。したがって、ペクチンのpHを製造時に変化させることによって、低溶解性又は高溶解性のペクチンが提供される。pHは典型的にはアルカリ金属の水酸化物又はアルカリ金属の炭酸塩のような塩基の使用により上昇するが、他の塩基も同様に使用可能である。例えば、炭酸ナトリウムを使用することによってペクチン酸ナトリウムが形成され、炭酸ナトリウムの用量が多いほど、したがってpHが高いほど、より多くのカルボン酸がナトリウム塩に変換される。しかしながら、より高pHでは、ペクチンはpH調整、取り扱い及び保存中に脱エステル化し始める。したがって、pHは6以下のレベルに維持する必要がある。
【0006】
歴史的に、ペクチンは、ジャム、又は類似の果物含有若しくは果物風味の糖分に富んだ系に主にゲル化剤として使用されている。例は、従来のジャム、低糖分含量のジャム、透明なゼリー、果物風味の菓子ゲル、非果物風味の菓子ゲル、パン工業用熱可逆性光沢剤、パン工業用熱耐性ジャム、アイスクリームに使用するためのリップル、及びヨーグルト用果物調整品である。大部分のペクチンは、今日、発酵飲料や、果物ジュースと牛乳との混合物を含めた低pH乳飲料を安定化させるために使用されている。
【0007】
ペクチン及び他の多糖は、スキンクリームやローションなどのパーソナルケア組成物及び家庭用品における可能な使用も提唱されている。そのような組成物中のペクチンの役割について記載している特許及び他の出版物は、本明細書に援用されるデンマーク国特許出願PA2004/00649号、また、現在はPCT特許出願DK2005/000285号に詳細に記載されている。皮膚炎を処置し、皮膚保護を提供するスキンクリームなどの新規パーソナルケア製品に対する関心が継続して存在している。
【0008】
皮膚はその表面上に「酸外套」と呼ばれる保護層を有する。これは、皮膚の表面のすぐ下に存在する真皮層全体にわたって局在する皮脂腺及び汗腺によって排出される皮脂と汗との混合物である。皮膚を「要素」(風又は汚染物質など)から保護することに役立つことに加えて、酸外套は、有害な細菌や真菌の増殖も阻害する。酸外套が破壊され又はその酸性度を喪失すると、皮膚はより傷つきやすくそして感染しやすくなる。酸外套の喪失は、皮膚を中強度又は高強度の石けん又は界面活性剤で洗浄することの副作用の1つである。石けんで洗浄するとpH8〜10の洗浄液が構成されるためである。このアルカリ度は皮膚の天然の酸外套(pH5〜6)を中和する。正常な皮膚では、この酸外套は比較的迅速に再形成されるが、感受性の又はすでに傷害された皮膚では刺激が生じ得る。石けんの更なる欠点は、硬水中に不溶性の石灰石けんが形成されることである。アルカリ性では、石けんはヒトの皮膚の天然角質層を覆う脂質層を乳化し、通常およそ5.5〜6.5の酸性pHである同様に天然の表皮の酸外套を中和する。表皮の酸性脂質部分を容易に再生できないと、特に高齢者のあいだで、特に寒空では、表皮のかゆみ、肌荒れ、及びひび割れなどの皮膚症状を生ずることが多い。当然のことながら、常に考慮すべきことは、その使用から生ずる多くの反応(過敏症)に照らして慣用の石けんにアレルギーがあるか又は許容できない集団の顕著な部分である。
【0009】
化学的及び/又は生物学的反応の結果として、又は環境によって水系に課されるアルカリ度の結果としてアルカリ度が形成される水系のpHにおいて緩衝を提供可能であり、したがって、pHの際立った上昇を回避可能であり、及び/又は水系のpH低下に使用可能な組成物に対する必要性が依然として存在する。特に、酸外套を保護する組成物に対して必要性があり、また、ヒトの皮膚であれ動物の皮膚であれ、皮膚と接触する品にそのような組成物を導入する必要性がある。
【発明の開示】
【0010】
発明の簡単な概要
本発明は、エステル化度が約30%〜約100%のペクチンのアルキレンオキシド誘導体を含む、皮膚保護アルカリ調整組成物に関するものである。
【0011】
本発明はまた、(1)エステル化度(DE)が約30%〜約100%、DPGEが約5%〜約100%のペクチンのアルキレンオキシド誘導体を約0.1%〜約2%;及び(2)エステル化度が約5%〜約70%の低DEカルボン酸多糖を含む、皮膚保護アルカリ調整組成物に関するものである。
【0012】
図面の簡単な説明
上記概要、及び以下の本発明の好ましい態様の詳細な説明は、添付の図面とともに読むことでよりよく理解されるであろう。本発明を説明する目的で、現在好ましい態様を図面に示す。しかしながら、本発明は、示した正確な処置や手段に限定されるものではないことを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明による皮膚保護アルカリ調整組成物は、ペクチンの高DEアルキレンオキシド誘導体を含み、ヒトや動物の皮膚に適用することができる。用途には、限定されるものではないが、ローション、クリーム、ファンデーション、フェイスマスク、ヘアケア製品、性器ローション、デオドラント、オストミー製品、婦人生理用品、ランドリー製品、バスソルト製品、石けん製品、芳香製品、ローション化ティッシュ(lotionized tissue)製品、及びシェービング製品が含まれる。更に、そのようなペクチンを、動物を処置するための同様の製品に用いることができる。
【0014】
メチル化ペクチンやアルギン酸プロピレングリコールのような他のカルボン酸多糖と比較すると、本発明にしたがい製造されたペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、同様の全エステル化度におけるメチル化ペクチンよりも高レベルのアルカリ消費量を提供する。同様に、ペクチンのアルキレンオキシド誘導体とアルギン酸プロピレングリコールとのあいだにアルカリ消費量の明確な優位性があり、ペクチンのアルキレンオキシド誘導体は顕著に高レベルのアルカリ消費量を提供する。
【0015】
しかしながら、特定の状況下では、他のカルボン酸多糖は、低下したpHにおいてペクチンのアルキレンオキシド誘導体よりも有効であり得る。アルギン酸プロピレングリコールは低下したpHにおいてメチル化ペクチンよりも有効であり、同様にペクチンのアルキレンオキシド誘導体よりも有効である。しかしながら、ペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、メチル化ペクチンを製造するための慣用技術を用いて可能なものよりも高いエステル化度を達成することが可能であるため、依然として優れた性能を提供する。例えば、全エステル化度が90%を越えるペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、容易に達成可能であり、且つ慣用的に製造されたエステル化度が約70%のメチル化ペクチンよりも有効なpH低下性能を提供する。
【0016】
したがって、本発明にしたがい調製されたペクチンのアルキレンオキシド誘導体はエステル化度(「DE」)が高いであろう。好ましくはDEは約30%〜約100%、より好ましくは約80%〜約100%であろう。
【0017】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、アルキレンオキシドとペクチンとの反応として産生される。この方法は、本明細書に援用される、1950年9月19日発行のSteinerらの米国特許第2,522,970号に、より詳細に記載されている。分子の構造において、アルキレングリコールは、隣接炭素原子、又は例えば、エポキシエタン;1,2又は1,3エポキシプロパン;1,2、1,3、又は2,3エポキシブタンなどのようにわずか1つの位置によって離れた炭素原子にカップリングした酸素を有する。本明細書に援用される、1947年8月19日発行のSteinerらの米国特許第2,426,125号を参照されたい。ペクチンのアルキレンオキシド誘導体の好適な例は、エチレングリコールペクチン、プロピレングリコールペクチン、及びブチレングリコールペクチンである。
【0018】
本発明による皮膚保護アルカリ調整組成物は、ペクチンの高DEアルキレンオキシド誘導体を含み、ヒト又は動物の皮膚に適用することができる。用途には、限定されるものではないが、ローション、クリーム、ファンデーション、フェイスマスク、ヘアケア製品、性器ローション、デオドラント、オストミー製品、婦人生理用品、ランドリー製品、バスソルト製品、石けん製品、芳香製品、ローション化ティッシュ製品、及びシェービング製品が含まれる。更に、そのようなペクチンは、動物を処置するための同様の製品に用いることができる。
【0019】
メチル化ペクチンやアルギン酸プロピレングリコールのような他のカルボン酸多糖と比較すると、本発明にしたがい調製されたペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、同様の全エステル化度におけるメチル化ペクチンよりも高レベルのアルカリ消費量を提供する。同様に、ペクチンのアルキレンオキシド誘導体とアルギン酸プロピレングリコールとのあいだにアルカリ消費量の明確な優位性があり、ペクチンのアルキレンオキシド誘導体は顕著に高レベルのアルカリ消費量を提供する。
【0020】
しかしながら、特定の状況下では、他のカルボン酸多糖は、低下したpHにおいてペクチンのアルキレンオキシド誘導体よりも有効であり得る。アルギン酸プロピレングリコールは低下したpHにおいてメチル化ペクチンよりも有効であり、同様にペクチンのアルキレンオキシド誘導体よりも有効である。しかしながら、ペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、メチル化ペクチンを製造するための慣用技術を用いて可能なものよりも高いエステル化度を達成可能であるため、依然として優れた性能を提供する。例えば、全エステル化度が90%を越えるペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、容易に達成可能であり、且つ慣用的に製造されたエステル化度が約70%のメチル化ペクチンよりも有効なpH低下性能を提供する(上記結果は全て以下の実施例1及び7において更に詳細に考察する。)。
【0021】
したがって、本発明にしたがって調製されたペクチンのアルキレンオキシド誘導体はエステル化度(「DE」)が高いであろう。好ましくはDEは約30%〜約100%、より好ましくは約80%〜約100%であろう。
【0022】
更に、等しいのエステル化度では、アルカリ消費量はプロピレングリコールエステル化度(「DPGE」)の低下とともに増加することも測定されている(実施例1を参照されたい)。したがって、DPGEは比較的低くあるべきであり、約5%〜約100%、好ましくは約10%〜約90%、より好ましくは約30%〜約90%、更により好ましくは約70%〜約90%であることが好ましい。
【0023】
本発明の好ましい態様では、皮膚保護アルカリ調整組成物は、エステル化度(DE)が約5〜約70%、より好ましくは約5〜約40%、最も好ましくは10〜約35%の少なくとも1つの低DEカルボン酸多糖を更に含む。比較的低DEのカルボン酸多糖はアルカリ消費能又は緩衝能が大きい。
【0024】
緩衝能がより高いことの利点は、初期の高濃度アルカリを中和するペクチンの能力にある。これは、アルカリ性粉末洗剤に対して構造が不十分に消耗されるときに特に有利である。したがって、低DE及び高DEのカルボン酸多糖を組み合わせることによって、pH低下によって成功した初期アルカリ消費の緩衝を得ることができる。
【0025】
ペクチンの高DEアルキレンオキシド誘導体は、1以上の追加の高DEカルボン酸多糖によって補足することもできる。
追加の高DEカルボン酸多糖及び低DEカルボン酸多糖は、ペクチンエステル、アルギン酸エステル、エステル化セルロースエーテル、エステル化ヒドロキシエチルセルロース、エステル化カルボキシメチルセルロース、エステル化グァーガム、エステル化陽イオン性グァーガム、エステル化ヒドロキシプロピルグァーガム、デンプンエステル、及び重合糖エステルを含む群より選択することができる。
【0026】
本発明の1つの態様では、追加の高DEカルボン酸多糖及び低DEカルボン酸多糖はペクチンエステルであり、好ましくは脂肪族、アリール脂肪族、脂環式、又は複素環式アルコールのペクチンエステルであり、より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、又はイソプロパノールのエステル、最も好ましくはメタノールのエステルである。
【0027】
本発明のより具体的な態様では、追加の高DEカルボン酸多糖及び低DEカルボン酸多糖は、分子量が約5,000〜約140,000、好ましくは約10,000〜約125,000、最も好ましくは約10,000〜約40,000のペクチンである。
【0028】
本発明の好ましい態様では、エステル化アルギン酸は、2価脂肪族アルコール、好ましくはエチレングリコール又はアルギン酸プロピレングリコールのエステルのような置換アルコール由来エステルを含めた脂肪族、芳香族、アリール脂肪族(araliphatic)、脂環式、及び複素環式アルコールのアルギン酸エステルである。US5,416,205号は、好適なアルギン酸誘導体について開示しており、本明細書にその全体が援用される。
【0029】
本発明による皮膚保護アルカリ調整組成物は、パーソナルケア製品における使用に特に好適である。好ましい態様では、当該製品はヒトの皮膚に使用される。他の態様では、当該製品は動物の皮膚に使用される。好ましくは、ペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、皮膚保護アルカリ調整組成物の約0.1%〜約2%の濃度(より好ましくは、約0.1%〜約1%の濃度)で存在する。
【0030】
本発明の具体的態様では、皮膚保護アルカリ調整組成物は、スキンクリーム、スキンローション、デオドラント製品、芳香製品、ヘアケア製品、シェービング製品、石けん製品、及びバスソルト製品から成る群より選択される製品に用いられる。
【0031】
本発明の他の態様では、皮膚保護アルカリ調整組成物は、婦人生理用品及びおむつから成る群より選択される製品に使用される。
本発明の組成物の具体的な利点は、それらが適用される表面のアルカリ度を長期間調整可能であるという事実である。実施例5及び8において実証するように、カルボン酸多糖は、アルカリ度の複数回添加においてアルカリ度を調整可能である。この事実は、微生物によってアルカリ性物質に分解される汗に繰り返し曝露される、例えばデオドラント製品、おむつ、又は婦人生理用品に利用することができる。したがって、本発明による製品により、長期にわたって有効にアルカリ調整することができる。
【0032】
本発明の他の態様では、皮膚保護アルカリ調整組成物は、オストミー製品及び創傷ケア製品から成る群より選択される製品に用いられる。
オストミー製品は体液が流れているあいだ、より長期間不溶性である必要があるため、オストミー製品では、低溶解性ペクチンのような低溶解性多糖を使用する必要がある。この具体的場合では、低DEと低pHペクチンとの組み合わせは、使用のあいだオストミー製品のより長い耐久性を提供するであろう。
【0033】
本発明の更に他の態様では、皮膚保護アルカリ調整組成物は、ローション化ティッシュ製品、繊維処置(fabric treating)製品、及びランドリーリンス製品から成る群より選択される製品に使用される。
【0034】
本実験の実施に以下の実験材料及び方法を用いた。ペクチン種の1つの特定のアルキレンオキシド誘導体であるプロピレングリコールペクチンを実験及び評価のために選択した。更なる実験法を以下の特定の実施例の項に導入する。
【0035】
非アミドペクチンにおけるエステル化度(DE)及びガラクツロン酸(GA)の測定。
原理:
この方法は、アミド及び酢酸エステルを含有しないペクチンにおける%DE及び%GAの測定に関するものである。
【0036】
装置:
1. 化学天秤
2. 250mlガラスビーカー 5個
3. 100ml計量カップ
4. 真空ポンプ
5. 吸引瓶
6. ガラスフィルターのるつぼ No.1(ブフナー漏斗及びろ紙)
7. ストップウォッチ
8. 試験管
9. 105℃の乾燥キャビネット
10. デシケーター
11. マグネチックスターラー及びマグネット
12. ビュレット(10ml、精度±0,05ml)
13. ピペット(20ml:2本、10ml:1本)
14. pHメータ/オートビュレット又はフェノールフタレイン
化学物質:
1. 二酸化炭素不含水(脱イオン水)
2. イソプロパノール(IPA)、60%及び100%
3. 塩酸(HCl)、0.5N及び37%蒸気(fuming)
4. 水酸化ナトリウム(NaOH)、0.1N(小数点以下4位まで補正、例えば0.1002)、0.5N
5. 硝酸銀(AgNO3)、0.1N
6. 硝酸(HNO3)、3N
7. 指示薬フェノールフタレイン、0.1%
%DE及び%GAの測定手順
(酸アルコール:100mlの60%IPA+5mlのHCl 37%蒸気):
1. 250mlガラスビーカー中で2.0000gのペクチンを秤量する。
2. 100mlの酸アルコールを加え、マグネチックスターラー上で10分間撹拌する。
3. 秤量した乾燥ガラスフィルターのるつぼでろ過する。
4. ビーカーを6×15mlの酸アルコールで完全にリンスする。
5. ろ液が塩素不含になるまで60%IPAで洗浄する(およそ500ml)。
6. 20mlの100%IPAで洗浄する。
7. サンプルを105℃にて2.5時間乾燥させる。
8. デシケーター中で乾燥させ、冷却後、るつぼを秤量する。
9. 250mlガラスビーカー中で0.4000gのサンプルを正確に秤量する。
10. 2重測定用に2つのサンプルを秤量する。2重測定間の偏差は最大で絶対値1.5%でなければならない。偏差が1.5%を越える場合、試験を繰り返さなければならない。
11. ペクチンをおよそ2mlの100%IPAで湿らせ、マグネチックスターラー上で撹拌しながらおよそ100mlの二酸化炭素不含水、脱イオン水を加える。
【0037】
(無灰及び無水ベースの塩素試験:およそ10mlのろ液を試験管に移し、およそ3mlの3N HNO3を加え、2,3滴のAgNO3を加える。溶液が透明であればろ液は塩素不含であろう。さもなければ塩化銀の沈殿があるであろう。)
これでサンプルは指示薬による又はpHメータ/オートビュレットを用いた滴定準備ができている。
【0038】
%DEのみの測定手順
(酸アルコール:100mlの60%IPA+5mlのHCl 37%蒸気):
1. 250mlガラスビーカー中で2.00gのペクチンを秤量する。
2. 100mlの酸アルコールを加え、マグネチックスターラー上で10分間撹拌する。
3. ろ紙をのせたブフナー漏斗でろ過する。
4. 90mlの酸アルコールでビーカーをリンスする。
5. 1000mlの60%IPAで洗浄する。
6. およそ30mlの100%IPAで洗浄する。
7. ブフナー漏斗上のサンプルをおよそ15分間真空吸引で乾燥させる。
8. 250mlガラスビーカー中でおよそ0.40gのサンプルを秤量する。
9. 2重測定用に2つのサンプルを秤量する。2重測定間の偏差は最大で絶対値1.5%でなければならない。偏差が1.5%を越える場合は試験を繰り返さなければならない。
10. ペクチンをおよそ2mlの100%IPAで湿らせ、およそ100mlの脱イオン水をマグネチックスターラー上で撹拌しながら加える。
【0039】
これでサンプルは指示薬による又はpHメータ/オートビュレットを用いた滴定準備ができている。
(註:%DE<10%のサンプルは、滴定中ゆっくりしか溶解しないため、非常にゆっくり滴定することが非常に重要である。)
指示薬を用いた滴定:
1. 5滴のフェノールフタレイン指示薬を加え、0.1N NaOHを用いて色が変化するまで滴定する(V1滴定濃度として記録する)。
2. 撹拌しながら20.00mlの0.5N NaOHを加える。正確に15分間放置する。放置時、サンプルをホイルで覆わなければならない。
3. 撹拌しながら20.00mlの0.5N HClを加え、色が消失するまで撹拌する。
4. 3滴のフェノールフタレインを加え、0.1N NaOHを用いて色が変化するまで滴定する(V2滴定濃度として記録する)。
【0040】
ブラインドテスト(2重測定を行う):
1. 5滴のフェノールフタレインを100mlの二酸化炭素不含水又は脱イオン水(サンプルに使用したのと同じもの)に加え、250mlガラスビーカー中で0.1N NaOHを用いて色が変化するまで滴定する(1〜2滴)。
2. 20.00mlの0.5N NaOHを加え、サンプルを正確に15分間放置する。放置時、サンプルをホイルで覆わなければならない。
3. 20.00mlの0.5N HClと3滴のフェノールフタレインを加え、0.1N NaOHを用いて色が変化するまで滴定する(B1として記録する)。滴定に許容される最大量は0.1N NaOH 1mlである。1mlを越える量で滴定する場合は、0.5N HClを少量の脱イオン水で希釈しなければならない。0.5N HClの添加によりサンプルの色が変化した場合は、0.5N NaOHを少量の二酸化炭素不含水で希釈しなければならない。水による希釈に許容される最大値は0.52〜0.48Nの溶液である。
【0041】
pHメータ/オートビュレットを用いた滴定:
ABU80型オートビュレットを用いて、以下の設定を適用することができる:
サンプル %DE<10 ブラインドテスト
比例帯 0.5 5
遅延時間 秒 50 5
速度−V1 10 5
速度−V2 15 5
1. 0.1N NaOHを用いてpH8.5まで滴定する(結果をV1滴定濃度として記録する)。
2. 20.00mlの0.5N NaOHを撹拌しながら加え、サンプルを撹拌せずに正確に15分間放置する。放置時、サンプルをホイルで覆わなければならない。
3. 20.00mlの0.5N HClを撹拌しながら加え、pHが一定になるまで撹拌する。
4. その後、0.1N NaOHを用いてpH8.5まで滴定する(結果をV2滴定濃度として記録する)。
【0042】
ブラインドテスト(2重測定を行う):
1. 100mlの二酸化炭素不含水又は脱イオン水(サンプルに使用したのと同じもの)を0.1N NaOH(1〜2滴)を用いてpH8.5まで滴定する。
2. 20.00mlの0.5N NaOHを撹拌しながら加え、ブラインドテストサンプルを撹拌せずに正確に15分間放置する。放置時、サンプルをホイルで覆わなければならない。
3. 20.00mlの0.5N HClを撹拌しながら加え、pHが一定になるまで撹拌する。
4. 0.1N NaOHを用いてpH8.5まで滴定する(B1として記録する)。滴定に許容される最大量は0.1N NaOH 1mlである。1mlを越える量で滴定する場合は、0.5N HClを少量の脱イオン水で希釈しなければならない。0.5N HClを添加してもpHが8.5以下に下がらない場合、0.5N NaOHを少量の二酸化炭素不含水で希釈しなければならない。水による希釈に許容される最大値は0.52〜0.48Nの希釈である。
【0043】
計算:
・Vt=V1+(V2−B1)
・%DE(エステル化度)={(V2−B1)×100}/Vt
・%DFA(遊離酸度)=100−%DE
・%GA*(ガラクツロン酸度)=(194.1×Vt×N×100)/400
194.1: GAの分子量
N: 滴定に使用した0.1N NaOHの補正規定度(例えば0.1002N)
400: 洗浄し、乾燥させた滴定サンプルの重量(mg)
%純粋ペクチン={(酸で洗浄し、乾燥させたペクチンの量)×100}/(秤量したペクチンの量)。
【0044】
実施例
1950年9月19日発行のSteinerらの米国特許第2,522,970号に記載の方法により、7つのプロピレングリコールペクチンサンプルを調製した。この方法は、乾燥レモンピール由来の、DEが8.0%、34.8%、及び63.5%の乾燥ペクチンを用いて開始する。
【0045】
次に15gのペクチンを酸性化アルコールで10分間、室温にて撹拌しながら洗浄する(1000mlの60%イソプロパノール中の50mlの濃HCl)。洗浄したペクチンをブフナー漏斗上で排水させ、最初に100mlの酸性化アルコールで、次に1000mlの60%イソプロパノールで洗浄した。洗浄したペクチンをステンレス製容器に移し、そこに6gの酸化プロピレンを加えた。容器を密閉し、25℃又は40℃の温度で3時間又は16時間反応させた(以下の表を参照されたい)。反応後、得られた産物を100%イソプロパノールに懸濁させ、ブフナー漏斗上で排水させた。次に200mlのイソプロパノールで洗浄し、105℃で2時間30分乾燥させた。
【0046】
上記のプロピレングリコールペクチンの製造方法を、ペクチンの出発%DE、反応温度、及び反応時間を以下の表1に記載のように変更させながら数回繰り返した。表1には、特定の反応条件の結果として産生される対応のプロピレングリコールペクチン組成物を列挙する。
【0047】
【表1】
【実施例1】
【0048】
エステル化度の効果
エステル化度の効果は、上記サンプルのそれぞれについて滴定曲線を測定することによって評価した。以下の実験手順によって滴定曲線を測定した:
滴定曲線の手順
1. 2gのペクチンを70℃及び20℃にて200gの脱イオン水に溶解させた。
2. 溶液をサーモスタット制御された25℃の水浴中に置き、継続して撹拌した。
3. 0.1M NaOHを溶液に加え、加えた0.1M NaOHの関数としてpHを記録した。
【0049】
結果を以下の表2に記載する。
【0050】
【表2−1】
【0051】
【表2−2】
【0052】
上記表2に記載する結果を図1に図示する。
図1からわかるように、プロピレングリコールペクチンのアルカリ消費量(あるいは緩衝能)は、全エステル化度とともに低下する。これは、メチル化ペクチンやアルギン酸プロピレングリコールを用いた発見にも従う。したがって、緩衝能はポリマー中の遊離酸基度に関連している。
【0053】
図2は図1の詳細であり、反応1、3、及び6に由来するサンプルの滴定曲線を示す。これらのサンプルは全ておよそ同一のDE(約75%)である。それらを区別しているのは、プロピレングリコールエステル化度(「DPGE」)である。反応1に由来するサンプルのDPGEは10.7であり;反応3に由来するサンプルのDPGEは40.2であり;反応6に由来するサンプルのDPGEは67.3である。図2からわかるように、等しい全エステル化度においては、アルカリ消費量は、プロピレングリコールエステル化度の低下とともに増加するようである。
【実施例2】
【0054】
pH低下能
次に、同じ7つのサンプルの一部を、pH低下測定におけるpH低下能について評価した。以下の実験手順でpH低下を測定した:
pH低下の測定手順
1. 1gのペクチンを特定の溶解温度にて100gの脱イオン水に溶解させた。
2. 溶液をサーモスタット制御された水浴中に置き、継続して撹拌した。
3. 0.1M NaOHをpH9〜10になるまで加えた。
4. pHを時間の関数として記録した。
【0055】
測定結果を以下の表3に記載する。
【0056】
【表3】
【0057】
上記表3に記載する結果を図3に図示する。
図3からわかるように、pH低下は、全エステル化度の増加とともに増加する。したがって、この点で、プロピレングリコールペクチンは、メチル化ペクチンやアルギン酸プロピレングリコールのように作用する。
【0058】
図4は図3の詳細であり、反応1、3、及び6に由来する3つのサンプルのpH低下曲線を示す。これらのサンプルは全て、ほぼ同一DE(約75%)のプロピレングリコールペクチンを有するが、これらのサンプルはそれぞれDEの異なるペクチン材料から調製した。図4からわかるように、これらのサンプルは全て、図4にほぼ重複する曲線によって示されるように、ほぼ同一のpH低下性能を有する。これは、pH低下は、出発ペクチン産物の元のメチル化度に依存しないことを示している。
【実施例3】
【0059】
温度の効果
次に、反応6に由来するサンプルを更に試験し、pH低下のあいだの温度の効果を測定した。上記「pH低下の測定手順」にしたがって測定したが、温度は2つの異なる温度範囲内に維持した:工程(4)におけるpHの記録は30〜32℃及び45〜47℃の2つの異なる温度範囲にて行う。結果を以下の表4に記載する。
【0060】
【表4】
【0061】
上記表4に記載する結果を図5に図示する。
図5からわかるように、2つの同一サンプルに関し、pH低下はより高温でより速い。したがって、プロピレングリコールペクチンは、メチル化ペクチンやアルギン酸プロピレングリコールのように、より高温でより速く脱エステル化され、したがって、温度が上昇するにつれてより速いpH低下を引き起こす。
【実施例4】
【0062】
溶解温度の効果
次に、反応7に由来するサンプルを更に試験し、溶解温度の効果を測定した。上記「pH低下の測定手順」にしたがって測定し、工程1の溶解温度は2つの異なる温度:25℃及び70℃にて行った。結果を以下の表5に記載する。
【0063】
【表5】
【0064】
上記表5に記載する結果を図6に図示する。
図6からわかるように、70℃における溶解は、プロピレングリコールペクチンを25℃で溶解させる場合よりも若干速いpH低下を提供するようである。これは、プロピレングリコールペクチンは、メチル化ペクチンやアルギン酸プロピレングリコールとは異なり、室温で完全に可溶性ではないことを示していると考えられる。
【実施例5】
【0065】
プロピレングリコールペクチン濃度の効果
次に、反応7に由来するサンプルを更に試験し、プロピレングリコールペクチン濃度の効果を測定した。上記「pH低下の測定手段」にしたがって測定し、プロピレングリコールペクチン濃度は0.5%、1.0%、及び2.0%に変更した。次に、工程(4)で室温にてpHを測定した。結果を以下の表6に記載する。
【0066】
【表6】
【0067】
第1〜3列のデータは実際の測定データを表す。しかしながら、いくつかの異なるサンプルについて同一の出発値にpHを正確に調整するのは困難であるため(第1〜3列におけるt=0分のpH変動を参照されたい)、pH指数を計算した。第4〜6列の各サンプルに関し、t=0分のpHを100に設定した。次にこれらの指数値を図7にプロットする。
【0068】
図7からわかるように、pH低下は、プロピレングリコールペクチンの濃度増加に伴い増加する。この効果は濃度が0.50%から1.0%へ上昇したときに顕著である;しかしながら、pH低下の増加は、濃度が更に1.0%から2.0%へ上昇するとわずかな加速しか見られない。したがって、プロピレングリコールペクチンは、約1.0%濃度にて最適なpH低下を提供するようである。
【実施例6】
【0069】
複数回アルカリ添加の効果
反応5で産生したプロピレングリコールペクチンのサンプルに3回のアルカリ添加を行った。最初に、pHを約10まで上昇させた。30〜32℃にて1時間後、pHを再度約10まで上昇させ、30〜32℃にて更に1時間後、pHを3回目の約10まで上昇させ、サンプルを30〜32℃にて更に1時間放置した。2つの別の試験を実行した。1つのセットでは、プロピレングリコールペクチンを25℃の脱イオン水に溶解させ(「pH低下の測定手順」の工程1)、他のセットでは、溶解温度を70℃に設定した。結果を以下の表7に記載する。
【0070】
【表7−1】
【0071】
【表7−2】
【0072】
上記のように、実際のデータからpH指数を計算した。実際のデータを図8にプロットする;pH指数を図9にプロットする。
図8及び9からわかるように、プロピレングリコールエステルがアルカリによって除去されるにつれて、pH低下は減速する。したがって、アルカリの複数回添加のあいだ、pH低下は徐々に且つ継続的に減速する。25℃及び70℃にて溶解させた調製物のあいだに相違があることも明らかであり、70℃で溶解させたプロピレングリコールペクチンは、より速いpH低下を提供する。これは、プロピレングリコールペクチンは低温では完全に可溶性でないことを反映していると考えられる。
【実施例7】
【0073】
メチル化ペクチン及びアルギン酸プロピレングリコールを用いた性能比較
最後に、プロピレングリコールペクチンのアルカリ消費量及びpH低下を、メチル化ペクチン及びアルギン酸プロピレングリコールのアルカリ消費量及びpH低下と比較した。メチル化ペクチン及びアルギン酸プロピレングリコールに関するデータは、デンマーク国特許出願第PA2004/00649号、また、現在はPCT特許出願DK2005/000285号からの引用である。いずれの場合も、サンプルは70℃の脱イオン水に溶解させ、滴定曲線の手順(以下の表8)及び「pH低下の測定手段」(以下の表9)にしたがって試験し、測定した。
【0074】
【表8−1】
【0075】
【表8−2】
【0076】
表8のデータから、滴定曲線を図10に図示する。
【0077】
【表9】
【0078】
表9に示すpH低下を図11にプロットする。
表8及び図10からわかるように、本発明にしたがって調製されたプロピレングリコールペクチンは、同様の全エステル化度のメチル化ペクチンよりも高レベルのアルカリ消費量を提供する。同様に、プロピレングリコールペクチンとアルギン酸プロピレングリコールとのあいだにアルカリ消費量の明確な優位性があり、プロピレングリコールペクチンは顕著に高レベルのアルカリ消費量を提供する。
【0079】
しかしながら、表9及び図11からわかるように、アルギン酸プロピレングリコールはメチル化ペクチンよりもpH低下において有効であり、同様に、プロピレングリコールペクチンよりも有効である。それにもかかわらず、酸化プロピレンを用いると、メチル化ペクチンを製造するための慣用技術を用いて可能なものよりも高いエステル化度を依然として達成可能である。したがって、全エステル化度が90%を越えるプロピレングリコールペクチンは容易に達成可能であり、慣用的に製造されるエステル化度が約70%のメチル化ペクチンよりも効果が高い。
【0080】
当該技術分野に熟練した者には、その広義の発明概念から逸脱することなく、上記態様に改変をなし得ることが理解されるであろう。したがって、本発明は開示した特定の態様に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に規定する本発明の精神及び範囲内の修飾をカバーすることを意図するものであることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、エステル化度が異なるプロピレングリコールペクチンのアルカリ消費量を示す。
【図2】図2は、出発エステル化度が異なるプロピレングリコールペクチンのアルカリ消費量を示す。
【図3】図3は、エステル化度が異なるプロピレングリコールペクチンのpH低下を示す。
【図4】図4は、DEが75%であるが、出発エステル化度が異なる図3のプロピレングリコールペクチンのpH低下を示す。
【図5】図5は、DE75%のプロピレングリコールペクチンのpH低下を示し、pH低下性能を2つの異なる温度、30〜32℃及び45〜47℃にて測定している。
【図6】図6は、25℃及び70℃にて溶解させて調製したプロピレングリコールペクチン溶液のpH低下を示す。
【図7】図7は、プロピレングリコールペクチン濃度の、pH低下に対する効果を示す(pH低下指数を用いる)。
【図8】図8は、溶解温度及び複数回アルカリ添加の、pH低下に対する効果を示す。
【図9】図9は、図8と同一の結果を示すが、正規化pH低下指数を用いている。
【図10】図10は、3つの異なる材料、メチルペクチン、プロピレングリコールペクチン(本発明に記載のような)、及びアルギン酸プロピレングリコールの相対的アルカリ消費量を示す。
【図11】図11は、3つの異なる材料、メチルペクチン、プロピレングリコールペクチン(本発明に記載のような)、及びアルギン酸プロピレングリコールの相対的pH低下性能を示す。
【背景技術】
【0001】
発明の背景
ペクチンは、植物細胞壁に関連した複合多糖類であり、細胞壁の中層に最も豊富である。ペクチンは細胞壁の生長中に産生及び堆積し、特に急生長及び高水分含量の条件下で軟植物組織中に豊富である。
【0002】
ペクチンは、ラムノース残基が介在し、中性糖側鎖、並びにアセチル基、メチル基、及びフェルラ酸基などの非糖成分で修飾されたα1−4結合ポリガラクツロン酸骨格から成る。中性糖側鎖は、アラビナン及びアラビノガラクタンを含み、骨格中のラムノース残基に結合している。ラムノース残基は骨格上でともに一団となる傾向がある。
【0003】
ペクチン中のガラクツロン酸残基は部分的にエステル化され、メチルエステルとして存在している。エステル化度は、エステル化されたカルボキシル基の割合として規定される。エステル化度(「DE」)が50%以上のペクチンは高メチルエステル(「HM」)ペクチン又は高エステルペクチンと呼ばれ、DEが50%未満のペクチンは低メチルエステル(「LM」)ペクチン又は低エステルペクチンと称する。
【0004】
ペクチンはpH3〜4で最も安定である。pH3以下では、メトキシル基及びアセチル基並びに中性糖側鎖が離脱する。温度が上昇するとこれらの反応は加速され、ガラクツロナン骨格中のグリコシド結合の切断が生ずる。中性及びアルカリ性条件下では、メチルエステル基はケン化され、ポリガラクツロナン骨格は、メトキシル化ガラクツロン酸残基の非還元末端におけるグリコシド結合のβ脱離−切断によって壊れる。これらの反応も温度上昇とともに速く進行する。ペクチン酸及びLMペクチンは、メチルエステル基が全くないか、数がわずかに限られているため中性及びアルカリ性条件に耐性である。
【0005】
ペクチンは弱酸であり、低pHでは高pHよりも可溶性ではない。したがって、ペクチンのpHを製造時に変化させることによって、低溶解性又は高溶解性のペクチンが提供される。pHは典型的にはアルカリ金属の水酸化物又はアルカリ金属の炭酸塩のような塩基の使用により上昇するが、他の塩基も同様に使用可能である。例えば、炭酸ナトリウムを使用することによってペクチン酸ナトリウムが形成され、炭酸ナトリウムの用量が多いほど、したがってpHが高いほど、より多くのカルボン酸がナトリウム塩に変換される。しかしながら、より高pHでは、ペクチンはpH調整、取り扱い及び保存中に脱エステル化し始める。したがって、pHは6以下のレベルに維持する必要がある。
【0006】
歴史的に、ペクチンは、ジャム、又は類似の果物含有若しくは果物風味の糖分に富んだ系に主にゲル化剤として使用されている。例は、従来のジャム、低糖分含量のジャム、透明なゼリー、果物風味の菓子ゲル、非果物風味の菓子ゲル、パン工業用熱可逆性光沢剤、パン工業用熱耐性ジャム、アイスクリームに使用するためのリップル、及びヨーグルト用果物調整品である。大部分のペクチンは、今日、発酵飲料や、果物ジュースと牛乳との混合物を含めた低pH乳飲料を安定化させるために使用されている。
【0007】
ペクチン及び他の多糖は、スキンクリームやローションなどのパーソナルケア組成物及び家庭用品における可能な使用も提唱されている。そのような組成物中のペクチンの役割について記載している特許及び他の出版物は、本明細書に援用されるデンマーク国特許出願PA2004/00649号、また、現在はPCT特許出願DK2005/000285号に詳細に記載されている。皮膚炎を処置し、皮膚保護を提供するスキンクリームなどの新規パーソナルケア製品に対する関心が継続して存在している。
【0008】
皮膚はその表面上に「酸外套」と呼ばれる保護層を有する。これは、皮膚の表面のすぐ下に存在する真皮層全体にわたって局在する皮脂腺及び汗腺によって排出される皮脂と汗との混合物である。皮膚を「要素」(風又は汚染物質など)から保護することに役立つことに加えて、酸外套は、有害な細菌や真菌の増殖も阻害する。酸外套が破壊され又はその酸性度を喪失すると、皮膚はより傷つきやすくそして感染しやすくなる。酸外套の喪失は、皮膚を中強度又は高強度の石けん又は界面活性剤で洗浄することの副作用の1つである。石けんで洗浄するとpH8〜10の洗浄液が構成されるためである。このアルカリ度は皮膚の天然の酸外套(pH5〜6)を中和する。正常な皮膚では、この酸外套は比較的迅速に再形成されるが、感受性の又はすでに傷害された皮膚では刺激が生じ得る。石けんの更なる欠点は、硬水中に不溶性の石灰石けんが形成されることである。アルカリ性では、石けんはヒトの皮膚の天然角質層を覆う脂質層を乳化し、通常およそ5.5〜6.5の酸性pHである同様に天然の表皮の酸外套を中和する。表皮の酸性脂質部分を容易に再生できないと、特に高齢者のあいだで、特に寒空では、表皮のかゆみ、肌荒れ、及びひび割れなどの皮膚症状を生ずることが多い。当然のことながら、常に考慮すべきことは、その使用から生ずる多くの反応(過敏症)に照らして慣用の石けんにアレルギーがあるか又は許容できない集団の顕著な部分である。
【0009】
化学的及び/又は生物学的反応の結果として、又は環境によって水系に課されるアルカリ度の結果としてアルカリ度が形成される水系のpHにおいて緩衝を提供可能であり、したがって、pHの際立った上昇を回避可能であり、及び/又は水系のpH低下に使用可能な組成物に対する必要性が依然として存在する。特に、酸外套を保護する組成物に対して必要性があり、また、ヒトの皮膚であれ動物の皮膚であれ、皮膚と接触する品にそのような組成物を導入する必要性がある。
【発明の開示】
【0010】
発明の簡単な概要
本発明は、エステル化度が約30%〜約100%のペクチンのアルキレンオキシド誘導体を含む、皮膚保護アルカリ調整組成物に関するものである。
【0011】
本発明はまた、(1)エステル化度(DE)が約30%〜約100%、DPGEが約5%〜約100%のペクチンのアルキレンオキシド誘導体を約0.1%〜約2%;及び(2)エステル化度が約5%〜約70%の低DEカルボン酸多糖を含む、皮膚保護アルカリ調整組成物に関するものである。
【0012】
図面の簡単な説明
上記概要、及び以下の本発明の好ましい態様の詳細な説明は、添付の図面とともに読むことでよりよく理解されるであろう。本発明を説明する目的で、現在好ましい態様を図面に示す。しかしながら、本発明は、示した正確な処置や手段に限定されるものではないことを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明による皮膚保護アルカリ調整組成物は、ペクチンの高DEアルキレンオキシド誘導体を含み、ヒトや動物の皮膚に適用することができる。用途には、限定されるものではないが、ローション、クリーム、ファンデーション、フェイスマスク、ヘアケア製品、性器ローション、デオドラント、オストミー製品、婦人生理用品、ランドリー製品、バスソルト製品、石けん製品、芳香製品、ローション化ティッシュ(lotionized tissue)製品、及びシェービング製品が含まれる。更に、そのようなペクチンを、動物を処置するための同様の製品に用いることができる。
【0014】
メチル化ペクチンやアルギン酸プロピレングリコールのような他のカルボン酸多糖と比較すると、本発明にしたがい製造されたペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、同様の全エステル化度におけるメチル化ペクチンよりも高レベルのアルカリ消費量を提供する。同様に、ペクチンのアルキレンオキシド誘導体とアルギン酸プロピレングリコールとのあいだにアルカリ消費量の明確な優位性があり、ペクチンのアルキレンオキシド誘導体は顕著に高レベルのアルカリ消費量を提供する。
【0015】
しかしながら、特定の状況下では、他のカルボン酸多糖は、低下したpHにおいてペクチンのアルキレンオキシド誘導体よりも有効であり得る。アルギン酸プロピレングリコールは低下したpHにおいてメチル化ペクチンよりも有効であり、同様にペクチンのアルキレンオキシド誘導体よりも有効である。しかしながら、ペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、メチル化ペクチンを製造するための慣用技術を用いて可能なものよりも高いエステル化度を達成することが可能であるため、依然として優れた性能を提供する。例えば、全エステル化度が90%を越えるペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、容易に達成可能であり、且つ慣用的に製造されたエステル化度が約70%のメチル化ペクチンよりも有効なpH低下性能を提供する。
【0016】
したがって、本発明にしたがい調製されたペクチンのアルキレンオキシド誘導体はエステル化度(「DE」)が高いであろう。好ましくはDEは約30%〜約100%、より好ましくは約80%〜約100%であろう。
【0017】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、アルキレンオキシドとペクチンとの反応として産生される。この方法は、本明細書に援用される、1950年9月19日発行のSteinerらの米国特許第2,522,970号に、より詳細に記載されている。分子の構造において、アルキレングリコールは、隣接炭素原子、又は例えば、エポキシエタン;1,2又は1,3エポキシプロパン;1,2、1,3、又は2,3エポキシブタンなどのようにわずか1つの位置によって離れた炭素原子にカップリングした酸素を有する。本明細書に援用される、1947年8月19日発行のSteinerらの米国特許第2,426,125号を参照されたい。ペクチンのアルキレンオキシド誘導体の好適な例は、エチレングリコールペクチン、プロピレングリコールペクチン、及びブチレングリコールペクチンである。
【0018】
本発明による皮膚保護アルカリ調整組成物は、ペクチンの高DEアルキレンオキシド誘導体を含み、ヒト又は動物の皮膚に適用することができる。用途には、限定されるものではないが、ローション、クリーム、ファンデーション、フェイスマスク、ヘアケア製品、性器ローション、デオドラント、オストミー製品、婦人生理用品、ランドリー製品、バスソルト製品、石けん製品、芳香製品、ローション化ティッシュ製品、及びシェービング製品が含まれる。更に、そのようなペクチンは、動物を処置するための同様の製品に用いることができる。
【0019】
メチル化ペクチンやアルギン酸プロピレングリコールのような他のカルボン酸多糖と比較すると、本発明にしたがい調製されたペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、同様の全エステル化度におけるメチル化ペクチンよりも高レベルのアルカリ消費量を提供する。同様に、ペクチンのアルキレンオキシド誘導体とアルギン酸プロピレングリコールとのあいだにアルカリ消費量の明確な優位性があり、ペクチンのアルキレンオキシド誘導体は顕著に高レベルのアルカリ消費量を提供する。
【0020】
しかしながら、特定の状況下では、他のカルボン酸多糖は、低下したpHにおいてペクチンのアルキレンオキシド誘導体よりも有効であり得る。アルギン酸プロピレングリコールは低下したpHにおいてメチル化ペクチンよりも有効であり、同様にペクチンのアルキレンオキシド誘導体よりも有効である。しかしながら、ペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、メチル化ペクチンを製造するための慣用技術を用いて可能なものよりも高いエステル化度を達成可能であるため、依然として優れた性能を提供する。例えば、全エステル化度が90%を越えるペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、容易に達成可能であり、且つ慣用的に製造されたエステル化度が約70%のメチル化ペクチンよりも有効なpH低下性能を提供する(上記結果は全て以下の実施例1及び7において更に詳細に考察する。)。
【0021】
したがって、本発明にしたがって調製されたペクチンのアルキレンオキシド誘導体はエステル化度(「DE」)が高いであろう。好ましくはDEは約30%〜約100%、より好ましくは約80%〜約100%であろう。
【0022】
更に、等しいのエステル化度では、アルカリ消費量はプロピレングリコールエステル化度(「DPGE」)の低下とともに増加することも測定されている(実施例1を参照されたい)。したがって、DPGEは比較的低くあるべきであり、約5%〜約100%、好ましくは約10%〜約90%、より好ましくは約30%〜約90%、更により好ましくは約70%〜約90%であることが好ましい。
【0023】
本発明の好ましい態様では、皮膚保護アルカリ調整組成物は、エステル化度(DE)が約5〜約70%、より好ましくは約5〜約40%、最も好ましくは10〜約35%の少なくとも1つの低DEカルボン酸多糖を更に含む。比較的低DEのカルボン酸多糖はアルカリ消費能又は緩衝能が大きい。
【0024】
緩衝能がより高いことの利点は、初期の高濃度アルカリを中和するペクチンの能力にある。これは、アルカリ性粉末洗剤に対して構造が不十分に消耗されるときに特に有利である。したがって、低DE及び高DEのカルボン酸多糖を組み合わせることによって、pH低下によって成功した初期アルカリ消費の緩衝を得ることができる。
【0025】
ペクチンの高DEアルキレンオキシド誘導体は、1以上の追加の高DEカルボン酸多糖によって補足することもできる。
追加の高DEカルボン酸多糖及び低DEカルボン酸多糖は、ペクチンエステル、アルギン酸エステル、エステル化セルロースエーテル、エステル化ヒドロキシエチルセルロース、エステル化カルボキシメチルセルロース、エステル化グァーガム、エステル化陽イオン性グァーガム、エステル化ヒドロキシプロピルグァーガム、デンプンエステル、及び重合糖エステルを含む群より選択することができる。
【0026】
本発明の1つの態様では、追加の高DEカルボン酸多糖及び低DEカルボン酸多糖はペクチンエステルであり、好ましくは脂肪族、アリール脂肪族、脂環式、又は複素環式アルコールのペクチンエステルであり、より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、又はイソプロパノールのエステル、最も好ましくはメタノールのエステルである。
【0027】
本発明のより具体的な態様では、追加の高DEカルボン酸多糖及び低DEカルボン酸多糖は、分子量が約5,000〜約140,000、好ましくは約10,000〜約125,000、最も好ましくは約10,000〜約40,000のペクチンである。
【0028】
本発明の好ましい態様では、エステル化アルギン酸は、2価脂肪族アルコール、好ましくはエチレングリコール又はアルギン酸プロピレングリコールのエステルのような置換アルコール由来エステルを含めた脂肪族、芳香族、アリール脂肪族(araliphatic)、脂環式、及び複素環式アルコールのアルギン酸エステルである。US5,416,205号は、好適なアルギン酸誘導体について開示しており、本明細書にその全体が援用される。
【0029】
本発明による皮膚保護アルカリ調整組成物は、パーソナルケア製品における使用に特に好適である。好ましい態様では、当該製品はヒトの皮膚に使用される。他の態様では、当該製品は動物の皮膚に使用される。好ましくは、ペクチンのアルキレンオキシド誘導体は、皮膚保護アルカリ調整組成物の約0.1%〜約2%の濃度(より好ましくは、約0.1%〜約1%の濃度)で存在する。
【0030】
本発明の具体的態様では、皮膚保護アルカリ調整組成物は、スキンクリーム、スキンローション、デオドラント製品、芳香製品、ヘアケア製品、シェービング製品、石けん製品、及びバスソルト製品から成る群より選択される製品に用いられる。
【0031】
本発明の他の態様では、皮膚保護アルカリ調整組成物は、婦人生理用品及びおむつから成る群より選択される製品に使用される。
本発明の組成物の具体的な利点は、それらが適用される表面のアルカリ度を長期間調整可能であるという事実である。実施例5及び8において実証するように、カルボン酸多糖は、アルカリ度の複数回添加においてアルカリ度を調整可能である。この事実は、微生物によってアルカリ性物質に分解される汗に繰り返し曝露される、例えばデオドラント製品、おむつ、又は婦人生理用品に利用することができる。したがって、本発明による製品により、長期にわたって有効にアルカリ調整することができる。
【0032】
本発明の他の態様では、皮膚保護アルカリ調整組成物は、オストミー製品及び創傷ケア製品から成る群より選択される製品に用いられる。
オストミー製品は体液が流れているあいだ、より長期間不溶性である必要があるため、オストミー製品では、低溶解性ペクチンのような低溶解性多糖を使用する必要がある。この具体的場合では、低DEと低pHペクチンとの組み合わせは、使用のあいだオストミー製品のより長い耐久性を提供するであろう。
【0033】
本発明の更に他の態様では、皮膚保護アルカリ調整組成物は、ローション化ティッシュ製品、繊維処置(fabric treating)製品、及びランドリーリンス製品から成る群より選択される製品に使用される。
【0034】
本実験の実施に以下の実験材料及び方法を用いた。ペクチン種の1つの特定のアルキレンオキシド誘導体であるプロピレングリコールペクチンを実験及び評価のために選択した。更なる実験法を以下の特定の実施例の項に導入する。
【0035】
非アミドペクチンにおけるエステル化度(DE)及びガラクツロン酸(GA)の測定。
原理:
この方法は、アミド及び酢酸エステルを含有しないペクチンにおける%DE及び%GAの測定に関するものである。
【0036】
装置:
1. 化学天秤
2. 250mlガラスビーカー 5個
3. 100ml計量カップ
4. 真空ポンプ
5. 吸引瓶
6. ガラスフィルターのるつぼ No.1(ブフナー漏斗及びろ紙)
7. ストップウォッチ
8. 試験管
9. 105℃の乾燥キャビネット
10. デシケーター
11. マグネチックスターラー及びマグネット
12. ビュレット(10ml、精度±0,05ml)
13. ピペット(20ml:2本、10ml:1本)
14. pHメータ/オートビュレット又はフェノールフタレイン
化学物質:
1. 二酸化炭素不含水(脱イオン水)
2. イソプロパノール(IPA)、60%及び100%
3. 塩酸(HCl)、0.5N及び37%蒸気(fuming)
4. 水酸化ナトリウム(NaOH)、0.1N(小数点以下4位まで補正、例えば0.1002)、0.5N
5. 硝酸銀(AgNO3)、0.1N
6. 硝酸(HNO3)、3N
7. 指示薬フェノールフタレイン、0.1%
%DE及び%GAの測定手順
(酸アルコール:100mlの60%IPA+5mlのHCl 37%蒸気):
1. 250mlガラスビーカー中で2.0000gのペクチンを秤量する。
2. 100mlの酸アルコールを加え、マグネチックスターラー上で10分間撹拌する。
3. 秤量した乾燥ガラスフィルターのるつぼでろ過する。
4. ビーカーを6×15mlの酸アルコールで完全にリンスする。
5. ろ液が塩素不含になるまで60%IPAで洗浄する(およそ500ml)。
6. 20mlの100%IPAで洗浄する。
7. サンプルを105℃にて2.5時間乾燥させる。
8. デシケーター中で乾燥させ、冷却後、るつぼを秤量する。
9. 250mlガラスビーカー中で0.4000gのサンプルを正確に秤量する。
10. 2重測定用に2つのサンプルを秤量する。2重測定間の偏差は最大で絶対値1.5%でなければならない。偏差が1.5%を越える場合、試験を繰り返さなければならない。
11. ペクチンをおよそ2mlの100%IPAで湿らせ、マグネチックスターラー上で撹拌しながらおよそ100mlの二酸化炭素不含水、脱イオン水を加える。
【0037】
(無灰及び無水ベースの塩素試験:およそ10mlのろ液を試験管に移し、およそ3mlの3N HNO3を加え、2,3滴のAgNO3を加える。溶液が透明であればろ液は塩素不含であろう。さもなければ塩化銀の沈殿があるであろう。)
これでサンプルは指示薬による又はpHメータ/オートビュレットを用いた滴定準備ができている。
【0038】
%DEのみの測定手順
(酸アルコール:100mlの60%IPA+5mlのHCl 37%蒸気):
1. 250mlガラスビーカー中で2.00gのペクチンを秤量する。
2. 100mlの酸アルコールを加え、マグネチックスターラー上で10分間撹拌する。
3. ろ紙をのせたブフナー漏斗でろ過する。
4. 90mlの酸アルコールでビーカーをリンスする。
5. 1000mlの60%IPAで洗浄する。
6. およそ30mlの100%IPAで洗浄する。
7. ブフナー漏斗上のサンプルをおよそ15分間真空吸引で乾燥させる。
8. 250mlガラスビーカー中でおよそ0.40gのサンプルを秤量する。
9. 2重測定用に2つのサンプルを秤量する。2重測定間の偏差は最大で絶対値1.5%でなければならない。偏差が1.5%を越える場合は試験を繰り返さなければならない。
10. ペクチンをおよそ2mlの100%IPAで湿らせ、およそ100mlの脱イオン水をマグネチックスターラー上で撹拌しながら加える。
【0039】
これでサンプルは指示薬による又はpHメータ/オートビュレットを用いた滴定準備ができている。
(註:%DE<10%のサンプルは、滴定中ゆっくりしか溶解しないため、非常にゆっくり滴定することが非常に重要である。)
指示薬を用いた滴定:
1. 5滴のフェノールフタレイン指示薬を加え、0.1N NaOHを用いて色が変化するまで滴定する(V1滴定濃度として記録する)。
2. 撹拌しながら20.00mlの0.5N NaOHを加える。正確に15分間放置する。放置時、サンプルをホイルで覆わなければならない。
3. 撹拌しながら20.00mlの0.5N HClを加え、色が消失するまで撹拌する。
4. 3滴のフェノールフタレインを加え、0.1N NaOHを用いて色が変化するまで滴定する(V2滴定濃度として記録する)。
【0040】
ブラインドテスト(2重測定を行う):
1. 5滴のフェノールフタレインを100mlの二酸化炭素不含水又は脱イオン水(サンプルに使用したのと同じもの)に加え、250mlガラスビーカー中で0.1N NaOHを用いて色が変化するまで滴定する(1〜2滴)。
2. 20.00mlの0.5N NaOHを加え、サンプルを正確に15分間放置する。放置時、サンプルをホイルで覆わなければならない。
3. 20.00mlの0.5N HClと3滴のフェノールフタレインを加え、0.1N NaOHを用いて色が変化するまで滴定する(B1として記録する)。滴定に許容される最大量は0.1N NaOH 1mlである。1mlを越える量で滴定する場合は、0.5N HClを少量の脱イオン水で希釈しなければならない。0.5N HClの添加によりサンプルの色が変化した場合は、0.5N NaOHを少量の二酸化炭素不含水で希釈しなければならない。水による希釈に許容される最大値は0.52〜0.48Nの溶液である。
【0041】
pHメータ/オートビュレットを用いた滴定:
ABU80型オートビュレットを用いて、以下の設定を適用することができる:
サンプル %DE<10 ブラインドテスト
比例帯 0.5 5
遅延時間 秒 50 5
速度−V1 10 5
速度−V2 15 5
1. 0.1N NaOHを用いてpH8.5まで滴定する(結果をV1滴定濃度として記録する)。
2. 20.00mlの0.5N NaOHを撹拌しながら加え、サンプルを撹拌せずに正確に15分間放置する。放置時、サンプルをホイルで覆わなければならない。
3. 20.00mlの0.5N HClを撹拌しながら加え、pHが一定になるまで撹拌する。
4. その後、0.1N NaOHを用いてpH8.5まで滴定する(結果をV2滴定濃度として記録する)。
【0042】
ブラインドテスト(2重測定を行う):
1. 100mlの二酸化炭素不含水又は脱イオン水(サンプルに使用したのと同じもの)を0.1N NaOH(1〜2滴)を用いてpH8.5まで滴定する。
2. 20.00mlの0.5N NaOHを撹拌しながら加え、ブラインドテストサンプルを撹拌せずに正確に15分間放置する。放置時、サンプルをホイルで覆わなければならない。
3. 20.00mlの0.5N HClを撹拌しながら加え、pHが一定になるまで撹拌する。
4. 0.1N NaOHを用いてpH8.5まで滴定する(B1として記録する)。滴定に許容される最大量は0.1N NaOH 1mlである。1mlを越える量で滴定する場合は、0.5N HClを少量の脱イオン水で希釈しなければならない。0.5N HClを添加してもpHが8.5以下に下がらない場合、0.5N NaOHを少量の二酸化炭素不含水で希釈しなければならない。水による希釈に許容される最大値は0.52〜0.48Nの希釈である。
【0043】
計算:
・Vt=V1+(V2−B1)
・%DE(エステル化度)={(V2−B1)×100}/Vt
・%DFA(遊離酸度)=100−%DE
・%GA*(ガラクツロン酸度)=(194.1×Vt×N×100)/400
194.1: GAの分子量
N: 滴定に使用した0.1N NaOHの補正規定度(例えば0.1002N)
400: 洗浄し、乾燥させた滴定サンプルの重量(mg)
%純粋ペクチン={(酸で洗浄し、乾燥させたペクチンの量)×100}/(秤量したペクチンの量)。
【0044】
実施例
1950年9月19日発行のSteinerらの米国特許第2,522,970号に記載の方法により、7つのプロピレングリコールペクチンサンプルを調製した。この方法は、乾燥レモンピール由来の、DEが8.0%、34.8%、及び63.5%の乾燥ペクチンを用いて開始する。
【0045】
次に15gのペクチンを酸性化アルコールで10分間、室温にて撹拌しながら洗浄する(1000mlの60%イソプロパノール中の50mlの濃HCl)。洗浄したペクチンをブフナー漏斗上で排水させ、最初に100mlの酸性化アルコールで、次に1000mlの60%イソプロパノールで洗浄した。洗浄したペクチンをステンレス製容器に移し、そこに6gの酸化プロピレンを加えた。容器を密閉し、25℃又は40℃の温度で3時間又は16時間反応させた(以下の表を参照されたい)。反応後、得られた産物を100%イソプロパノールに懸濁させ、ブフナー漏斗上で排水させた。次に200mlのイソプロパノールで洗浄し、105℃で2時間30分乾燥させた。
【0046】
上記のプロピレングリコールペクチンの製造方法を、ペクチンの出発%DE、反応温度、及び反応時間を以下の表1に記載のように変更させながら数回繰り返した。表1には、特定の反応条件の結果として産生される対応のプロピレングリコールペクチン組成物を列挙する。
【0047】
【表1】
【実施例1】
【0048】
エステル化度の効果
エステル化度の効果は、上記サンプルのそれぞれについて滴定曲線を測定することによって評価した。以下の実験手順によって滴定曲線を測定した:
滴定曲線の手順
1. 2gのペクチンを70℃及び20℃にて200gの脱イオン水に溶解させた。
2. 溶液をサーモスタット制御された25℃の水浴中に置き、継続して撹拌した。
3. 0.1M NaOHを溶液に加え、加えた0.1M NaOHの関数としてpHを記録した。
【0049】
結果を以下の表2に記載する。
【0050】
【表2−1】
【0051】
【表2−2】
【0052】
上記表2に記載する結果を図1に図示する。
図1からわかるように、プロピレングリコールペクチンのアルカリ消費量(あるいは緩衝能)は、全エステル化度とともに低下する。これは、メチル化ペクチンやアルギン酸プロピレングリコールを用いた発見にも従う。したがって、緩衝能はポリマー中の遊離酸基度に関連している。
【0053】
図2は図1の詳細であり、反応1、3、及び6に由来するサンプルの滴定曲線を示す。これらのサンプルは全ておよそ同一のDE(約75%)である。それらを区別しているのは、プロピレングリコールエステル化度(「DPGE」)である。反応1に由来するサンプルのDPGEは10.7であり;反応3に由来するサンプルのDPGEは40.2であり;反応6に由来するサンプルのDPGEは67.3である。図2からわかるように、等しい全エステル化度においては、アルカリ消費量は、プロピレングリコールエステル化度の低下とともに増加するようである。
【実施例2】
【0054】
pH低下能
次に、同じ7つのサンプルの一部を、pH低下測定におけるpH低下能について評価した。以下の実験手順でpH低下を測定した:
pH低下の測定手順
1. 1gのペクチンを特定の溶解温度にて100gの脱イオン水に溶解させた。
2. 溶液をサーモスタット制御された水浴中に置き、継続して撹拌した。
3. 0.1M NaOHをpH9〜10になるまで加えた。
4. pHを時間の関数として記録した。
【0055】
測定結果を以下の表3に記載する。
【0056】
【表3】
【0057】
上記表3に記載する結果を図3に図示する。
図3からわかるように、pH低下は、全エステル化度の増加とともに増加する。したがって、この点で、プロピレングリコールペクチンは、メチル化ペクチンやアルギン酸プロピレングリコールのように作用する。
【0058】
図4は図3の詳細であり、反応1、3、及び6に由来する3つのサンプルのpH低下曲線を示す。これらのサンプルは全て、ほぼ同一DE(約75%)のプロピレングリコールペクチンを有するが、これらのサンプルはそれぞれDEの異なるペクチン材料から調製した。図4からわかるように、これらのサンプルは全て、図4にほぼ重複する曲線によって示されるように、ほぼ同一のpH低下性能を有する。これは、pH低下は、出発ペクチン産物の元のメチル化度に依存しないことを示している。
【実施例3】
【0059】
温度の効果
次に、反応6に由来するサンプルを更に試験し、pH低下のあいだの温度の効果を測定した。上記「pH低下の測定手順」にしたがって測定したが、温度は2つの異なる温度範囲内に維持した:工程(4)におけるpHの記録は30〜32℃及び45〜47℃の2つの異なる温度範囲にて行う。結果を以下の表4に記載する。
【0060】
【表4】
【0061】
上記表4に記載する結果を図5に図示する。
図5からわかるように、2つの同一サンプルに関し、pH低下はより高温でより速い。したがって、プロピレングリコールペクチンは、メチル化ペクチンやアルギン酸プロピレングリコールのように、より高温でより速く脱エステル化され、したがって、温度が上昇するにつれてより速いpH低下を引き起こす。
【実施例4】
【0062】
溶解温度の効果
次に、反応7に由来するサンプルを更に試験し、溶解温度の効果を測定した。上記「pH低下の測定手順」にしたがって測定し、工程1の溶解温度は2つの異なる温度:25℃及び70℃にて行った。結果を以下の表5に記載する。
【0063】
【表5】
【0064】
上記表5に記載する結果を図6に図示する。
図6からわかるように、70℃における溶解は、プロピレングリコールペクチンを25℃で溶解させる場合よりも若干速いpH低下を提供するようである。これは、プロピレングリコールペクチンは、メチル化ペクチンやアルギン酸プロピレングリコールとは異なり、室温で完全に可溶性ではないことを示していると考えられる。
【実施例5】
【0065】
プロピレングリコールペクチン濃度の効果
次に、反応7に由来するサンプルを更に試験し、プロピレングリコールペクチン濃度の効果を測定した。上記「pH低下の測定手段」にしたがって測定し、プロピレングリコールペクチン濃度は0.5%、1.0%、及び2.0%に変更した。次に、工程(4)で室温にてpHを測定した。結果を以下の表6に記載する。
【0066】
【表6】
【0067】
第1〜3列のデータは実際の測定データを表す。しかしながら、いくつかの異なるサンプルについて同一の出発値にpHを正確に調整するのは困難であるため(第1〜3列におけるt=0分のpH変動を参照されたい)、pH指数を計算した。第4〜6列の各サンプルに関し、t=0分のpHを100に設定した。次にこれらの指数値を図7にプロットする。
【0068】
図7からわかるように、pH低下は、プロピレングリコールペクチンの濃度増加に伴い増加する。この効果は濃度が0.50%から1.0%へ上昇したときに顕著である;しかしながら、pH低下の増加は、濃度が更に1.0%から2.0%へ上昇するとわずかな加速しか見られない。したがって、プロピレングリコールペクチンは、約1.0%濃度にて最適なpH低下を提供するようである。
【実施例6】
【0069】
複数回アルカリ添加の効果
反応5で産生したプロピレングリコールペクチンのサンプルに3回のアルカリ添加を行った。最初に、pHを約10まで上昇させた。30〜32℃にて1時間後、pHを再度約10まで上昇させ、30〜32℃にて更に1時間後、pHを3回目の約10まで上昇させ、サンプルを30〜32℃にて更に1時間放置した。2つの別の試験を実行した。1つのセットでは、プロピレングリコールペクチンを25℃の脱イオン水に溶解させ(「pH低下の測定手順」の工程1)、他のセットでは、溶解温度を70℃に設定した。結果を以下の表7に記載する。
【0070】
【表7−1】
【0071】
【表7−2】
【0072】
上記のように、実際のデータからpH指数を計算した。実際のデータを図8にプロットする;pH指数を図9にプロットする。
図8及び9からわかるように、プロピレングリコールエステルがアルカリによって除去されるにつれて、pH低下は減速する。したがって、アルカリの複数回添加のあいだ、pH低下は徐々に且つ継続的に減速する。25℃及び70℃にて溶解させた調製物のあいだに相違があることも明らかであり、70℃で溶解させたプロピレングリコールペクチンは、より速いpH低下を提供する。これは、プロピレングリコールペクチンは低温では完全に可溶性でないことを反映していると考えられる。
【実施例7】
【0073】
メチル化ペクチン及びアルギン酸プロピレングリコールを用いた性能比較
最後に、プロピレングリコールペクチンのアルカリ消費量及びpH低下を、メチル化ペクチン及びアルギン酸プロピレングリコールのアルカリ消費量及びpH低下と比較した。メチル化ペクチン及びアルギン酸プロピレングリコールに関するデータは、デンマーク国特許出願第PA2004/00649号、また、現在はPCT特許出願DK2005/000285号からの引用である。いずれの場合も、サンプルは70℃の脱イオン水に溶解させ、滴定曲線の手順(以下の表8)及び「pH低下の測定手段」(以下の表9)にしたがって試験し、測定した。
【0074】
【表8−1】
【0075】
【表8−2】
【0076】
表8のデータから、滴定曲線を図10に図示する。
【0077】
【表9】
【0078】
表9に示すpH低下を図11にプロットする。
表8及び図10からわかるように、本発明にしたがって調製されたプロピレングリコールペクチンは、同様の全エステル化度のメチル化ペクチンよりも高レベルのアルカリ消費量を提供する。同様に、プロピレングリコールペクチンとアルギン酸プロピレングリコールとのあいだにアルカリ消費量の明確な優位性があり、プロピレングリコールペクチンは顕著に高レベルのアルカリ消費量を提供する。
【0079】
しかしながら、表9及び図11からわかるように、アルギン酸プロピレングリコールはメチル化ペクチンよりもpH低下において有効であり、同様に、プロピレングリコールペクチンよりも有効である。それにもかかわらず、酸化プロピレンを用いると、メチル化ペクチンを製造するための慣用技術を用いて可能なものよりも高いエステル化度を依然として達成可能である。したがって、全エステル化度が90%を越えるプロピレングリコールペクチンは容易に達成可能であり、慣用的に製造されるエステル化度が約70%のメチル化ペクチンよりも効果が高い。
【0080】
当該技術分野に熟練した者には、その広義の発明概念から逸脱することなく、上記態様に改変をなし得ることが理解されるであろう。したがって、本発明は開示した特定の態様に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に規定する本発明の精神及び範囲内の修飾をカバーすることを意図するものであることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、エステル化度が異なるプロピレングリコールペクチンのアルカリ消費量を示す。
【図2】図2は、出発エステル化度が異なるプロピレングリコールペクチンのアルカリ消費量を示す。
【図3】図3は、エステル化度が異なるプロピレングリコールペクチンのpH低下を示す。
【図4】図4は、DEが75%であるが、出発エステル化度が異なる図3のプロピレングリコールペクチンのpH低下を示す。
【図5】図5は、DE75%のプロピレングリコールペクチンのpH低下を示し、pH低下性能を2つの異なる温度、30〜32℃及び45〜47℃にて測定している。
【図6】図6は、25℃及び70℃にて溶解させて調製したプロピレングリコールペクチン溶液のpH低下を示す。
【図7】図7は、プロピレングリコールペクチン濃度の、pH低下に対する効果を示す(pH低下指数を用いる)。
【図8】図8は、溶解温度及び複数回アルカリ添加の、pH低下に対する効果を示す。
【図9】図9は、図8と同一の結果を示すが、正規化pH低下指数を用いている。
【図10】図10は、3つの異なる材料、メチルペクチン、プロピレングリコールペクチン(本発明に記載のような)、及びアルギン酸プロピレングリコールの相対的アルカリ消費量を示す。
【図11】図11は、3つの異なる材料、メチルペクチン、プロピレングリコールペクチン(本発明に記載のような)、及びアルギン酸プロピレングリコールの相対的pH低下性能を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル化度が約30%〜約100%のペクチンのアルキレンオキシド誘導体を含む、皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項2】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体のエステル化度が約80%〜約100%である、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項3】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体の分子量が約5,000〜約140,000である、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項4】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体が約0.1%〜約2%の濃度で存在する、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項5】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体が約0.1%〜約1%の濃度で存在する、請求項4に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項6】
エステル化度(DE)が約5〜約70%の低DEカルボン酸多糖を更に含む、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項7】
低DEカルボン酸多糖のDEが約10%〜約35%である、請求項5に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項8】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体が、エチレングリコールペクチン、プロピレングリコールペクチン、及びブチレングリコールペクチンを含む群から選択される、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項9】
低DEカルボン酸多糖が、ペクチンエステル、アルギン酸エステル、エステル化セルロースエーテル、エステル化ヒドロキシエチルセルロース、エステル化カルボキシメチルセルロース、エステル化グァーガム、エステル化陽イオン性グァーガム、エステル化ヒドロキシプロピルグァーガム、デンプンエステル、及び重合糖エステルを含む群より選択される、請求項6に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項10】
スキンクリーム、スキンローション、デオドラント製品、芳香製品、ヘアケア製品、シェービング製品、石けん製品、及びバスソルト製品を含む群より選択されるパーソナルケア製品の形態である、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項11】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体のプロピレングリコールのエステル化度(「DPGE」)が約5%〜約100%である、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項12】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体のDPGEが約10%〜約90%である、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項13】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体のDPGEが約30%〜約90%である、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項14】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体のDPGEが約70%〜約90%である、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項15】
(1)エステル化度(DE)が約30%〜約100%、DPGEが約5%〜約100%のペクチンのアルキレンオキシド誘導体を約0.1%〜約2%;及び(2)エステル化度が約5%〜約70%の低DEカルボン酸多糖を含む、皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項16】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体のエステル化度が約80%〜約100%であり、DPGEが約30%〜約90%である、請求項15に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項17】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体が、エチレングリコールペクチン、プロピレングリコールペクチン、及びブチレングリコールペクチンを含む群から選択される、請求項15に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項1】
エステル化度が約30%〜約100%のペクチンのアルキレンオキシド誘導体を含む、皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項2】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体のエステル化度が約80%〜約100%である、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項3】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体の分子量が約5,000〜約140,000である、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項4】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体が約0.1%〜約2%の濃度で存在する、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項5】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体が約0.1%〜約1%の濃度で存在する、請求項4に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項6】
エステル化度(DE)が約5〜約70%の低DEカルボン酸多糖を更に含む、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項7】
低DEカルボン酸多糖のDEが約10%〜約35%である、請求項5に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項8】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体が、エチレングリコールペクチン、プロピレングリコールペクチン、及びブチレングリコールペクチンを含む群から選択される、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項9】
低DEカルボン酸多糖が、ペクチンエステル、アルギン酸エステル、エステル化セルロースエーテル、エステル化ヒドロキシエチルセルロース、エステル化カルボキシメチルセルロース、エステル化グァーガム、エステル化陽イオン性グァーガム、エステル化ヒドロキシプロピルグァーガム、デンプンエステル、及び重合糖エステルを含む群より選択される、請求項6に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項10】
スキンクリーム、スキンローション、デオドラント製品、芳香製品、ヘアケア製品、シェービング製品、石けん製品、及びバスソルト製品を含む群より選択されるパーソナルケア製品の形態である、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項11】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体のプロピレングリコールのエステル化度(「DPGE」)が約5%〜約100%である、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項12】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体のDPGEが約10%〜約90%である、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項13】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体のDPGEが約30%〜約90%である、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項14】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体のDPGEが約70%〜約90%である、請求項1に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項15】
(1)エステル化度(DE)が約30%〜約100%、DPGEが約5%〜約100%のペクチンのアルキレンオキシド誘導体を約0.1%〜約2%;及び(2)エステル化度が約5%〜約70%の低DEカルボン酸多糖を含む、皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項16】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体のエステル化度が約80%〜約100%であり、DPGEが約30%〜約90%である、請求項15に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【請求項17】
ペクチンのアルキレンオキシド誘導体が、エチレングリコールペクチン、プロピレングリコールペクチン、及びブチレングリコールペクチンを含む群から選択される、請求項15に記載の皮膚保護アルカリ調整組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−513652(P2009−513652A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537923(P2008−537923)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/041683
【国際公開番号】WO2007/050711
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(506128352)シーピー・ケルコ・ユーエス・インコーポレーテッド (18)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/041683
【国際公開番号】WO2007/050711
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(506128352)シーピー・ケルコ・ユーエス・インコーポレーテッド (18)
【Fターム(参考)】
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