説明

ペクチンのインサイチュゲル化

【課題】ペクチン質のインサイチュゲル化。
【解決手段】動物の体への生理学的に活性な物質の送達および持続性放出のためのペクチンのインサイチュゲル化処方の、組成物、調製方法、およびその使用方法。このペクチンは、Aloe veraから単離される。本発明の1つの目的は、動物の体内での、生理学的に活性な薬剤の制御または持続放出のための組成物を提供することである。本発明の別の目的は、特定の濃度範囲を超えて、ゲルの濁りの劇的な増加がなされない透明なポリマー溶液を提供することである。好ましくは、この組成物は、低濃度でインサイチュゲルを作製し得る。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
本発明は、ペクチン質のインサイチュゲル化に関する。詳細には、本発明は、送達のた
めのペクチンインサイチュゲル化処方物、および動物の身体に対して生理学的に活性な薬
剤の持続性放出に関する。より詳細には、ペクチン質は、Aloe vera L.植物
由来である。
【0002】
(本明細書中に使用される略語)
CMC、カルボキシメチルセルロース;Da、ダルトン;DM、メチル化の程度;Ga
l A、ガラクツロン酸;HEC、ヒドロキシエチルセルロース;HM、高メトキシル;
HPMC、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;kDa、キロダルトン;LM、低メト
キシル;PBS、リン酸緩衝化生理食塩水;PEG−PLGA−PEG、ポリエチレング
リコール−ポリ(乳酸−co−グリコール酸)−ポリエチレングリコール;PEO−PL
LA、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(L−ラクチド);PEO−PPO−PEO、ポ
リ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)。
【0003】
ペクチンは、生分解性の酸性炭水化物ポリマーである。ペクチンは、通常、植物細胞壁
中で見出される。植物の細胞壁は、中層、一次膜および二次膜からなる3つの層に分けら
れる。中層は、ペクチンが最も豊富である。ペクチンの化学的性質および生物学は、広範
に総説されている(PilnikおよびVoragen,Advances in pl
ant biochemistry and biotechnology 1,219
−270、1992;Voragenら、Food polysaccharides
and their applications.pp 287−339.Marcel
Dekker,Inc.New York,1995;Schols and Vor
agen,Progress in Biotechnology 14.Pectin
s and pectinases,J.VisserおよびA.G.J.Vorage
n(編)pp.3−20.Elsevier Science Publishers
B.V.Amsterdam,1996)。
【0004】
ペクチンは、ラムノース残基が間にあり、そして、中性糖側鎖および非糖成分(例えば
、メチル基およびアセチル基)で改変されたα−(1→4)連結ポリガラクツロン酸骨格
からなる。ラムノース挿入および他の改変の程度は、植物供給源に依存して変化する。G
al A含量は、一般に、70%を超えるが、ラムノース含量は、代表的に<2%である
。ラムノース残基は、骨格中で、Gal Aにα−(1→2)連結されている。これらは
、骨格鎖中でT形状変形の形成を生じ、そして、ラムノース含量の増加は、より可撓性の
分子を導く。中性糖側鎖は、骨格中のO−3位またはO−4位にてラムノース残基に結合
される。ラムノース残基は、骨格上でともにクラスターを形成する傾向がある。従って、
結合された側鎖を有するこの領域は、「ヘアリー領域」といわれるが、骨格の残りは、「
スムーズ領域」と名付けられる。
【0005】
メチル化は、Gal A残基のカルボキシル基で生じる。メチル化またはメチルエステ
ル化(「DM」)の程度は、メタノールでエステル化されたカルボキシル基(Gal A
残基)の割合として規定される。DMに基づいて、ペクチンは、以下の2つのクラスに分
けられる:50%より低いDMを有する低メトキシル(「LM」)ペクチン、および50
%より高いDMを有する高メトキシル(「HM」)。柑橘類およびリンゴ由来の市販のペ
クチンは、通常はHMペクチンである。LMペクチンは、代表的に、化学的な脱エステル
化プロセスを介して得られる。市販のLMペクチンは、代表的には、20〜50%のDM
を有する。完全に脱エステル化されたペクチンは、「ペクチン酸」または「ポリガラクツ
ロン酸」といわれる。酸形態のペクチン酸は、不溶性であるが、塩形態では可溶性である
。ペクチン酸の通常の塩形態は、ナトリウムまたはカリウムのいずれかである。
【0006】
ペクチンは、約3〜4の間の酸性pHレベルで最も安定である。pH3以下では、メト
キシル基およびアセチル基ならびに中性糖側鎖が除去される。中性およびアルカリ条件下
では、メチルエステル基が鹸化され、そして、ポリガラクツロナン骨格が、メチル化Ga
l A残基の非還元末端上のグリコシド結合のβ−脱離切断を介して破壊される。ペクチ
ン酸およびLMペクチンは、メチルエステル基が制限された数しか存在しないか、または
全く存在しないので、中性およびアルカリ条件下に比較的より耐性である。
【0007】
現在市販されているペクチンは、主に柑橘類およびリンゴ由来である。しかし、柑橘類
およびリンゴに加えて、ペクチンはまた、多くの他の植物から単離され得る。試験された
全ての野菜および果物がペクチンを含む。甜菜、ヒマワリ、ポテトおよびグレープフルー
ツ由来のペクチンは、まさに少しの他の周知の例である。
【0008】
HMペクチンおよびLMペクチンの両方がゲルを形成する。しかし、これらのゲルは、
全体的に異なる機構を介して形成する(Voragenら、Food polysacc
harides and their applications.pp 287−33
9.Marcel Dekker,Inc.New York,1995)。HMペクチ
ンは、低pHにて高濃度の共溶質(co−solute)(スクロース)の存在下で、ゲ
ルを形成する。LMペクチンは、カルシウムの存在下でゲルを形成し、従って、これは、
「カルシウム反応性」である。カルシウム−LMペクチンゲルネットワークは、通常、C
a++がポリガラクツロン酸鎖の2つの伸長の架橋を引き起こす「エッグボックス」連結
ゾーンといわれるものの形成によって、構築される。
【0009】
HMペクチンは、一般的に、カルシウムイオンとは反応せず、従って、カルシウムゲル
を形成し得ない。しかし、特定のHMが、カルシウム感受性であり、カルシウムゲルを形
成し得ることが報告されている。さらに、HMペクチンは、ブロック様式(block
wise)脱エステル化プロセスによってカルシウム反応性となり得るが、なお>50%
のDMを有する。Christensenら、米国特許第6,083,540号を参照の
こと。
【0010】
カルシウム−LMペクチンゲル化は、いくつかの因子(DM、イオン強度、pHおよび
分子量)によって影響される(Garnierら、Carbohydrate Rese
arch 240、219−232、1993;256、71−81、1994)。DM
が低くなり、そして、分子量が大きくなればなるほど、ゲル化がより効率的となる。さら
に、カルシウム−LMペクチンゲル化は、約3.5よりも約7.0の中性pHでより効率
的である。最後に、一価の対イオン(NaCl)の添加は、ゲル化を増強し、すなわち、
カルシウムはゲル化にほとんど必要とされない。
【0011】
ペクチンは、代表的に、食品産業で利用され、そして、「GRAS」(General
ly Regarded As Safe)としてFDAで分類される。これらはまた、
コロイド性の抗下痢剤として長く使用されている。最近、ペクチンは、医療装置および薬
物送達の分野で利用されている(Thakurら、Critical Reviews
in Food Science & Nutrition 37、47−73、199
7)。薬物送達の場合、ペクチンは、結腸への経口薬物送達の多くの実験的処方物中にそ
の存在を見出している。なぜならば、ペクチンは、腸のこの領域に存在する細菌によって
容易に分解されるからである。このペクチンは、関連するゲル化なしで直接的に使用され
るか、または、ペクチンカルシウムゲルは、投与される前に薬物因子をカプセル化するた
めに予備形成される。Ashfordら、J.Controlled Release
26,213−220,1993;30,225−232,1994;Munjeriら
、J.Controlled Release 46,273−278,1997;Wa
kerlyら、J.Pharmacy & Pharmacology 49,622−
625,1997;International Journal of Pharma
ceutics 153,219−224,1997;Miyazakiら、Inter
national Journal of Pharmaceutics 204,12
7−132,2000。本発明以前に、ペクチンのインサイチュでゲル化する能力を試験
するような試みは存在しないようである。
【0012】
アロエペクチンは、米国特許第5,929,051号(その全体が本明細書中で参考と
して援用される)中で記載されたAloe vera植物から単離された。このアロエペ
クチンは、天然に、LMペクチンであり、そして、カルシウムゲル化の能力がある。さら
に、このペクチンは、特にゲル化に関連する様々な独特の化学的特性(高分子量(>1×
10Da)、高Gal A含量(>90%と同じ高さ)および低級DM(<10%を含
む))を有する。
【0013】
現在市販されているペクチンは、代表的には、7〜14×10Daの大きさ、および
約75%のGal A含量を有する(Voragenら、Food polysacch
arides and their applications.pp 287−339
.Marcel Dekker,Inc.New York,1995)。これらのペク
チンは、<2%のラムノース含量を有する。市販のLMペクチンおよび他の中性LMペク
チンは、>20%のDMを有する。10%以下のDMは、ほぼペクチン酸である、アロエ
ペクチンを作製する。このような低級DM、高分子量、および高Gal A含量を有する
ペクチンは、以前に記載されていない。アロエペクチンは、最終産物としてオフホワイト
粉末である一方、全ての現在の市販および実験的なペクチンは、黄〜黄褐色の粉末である

【0014】
薬物送達は、近年にわたる猛烈な研究の対象である。目標は、持続的(または遅い)か
つ/または制御された薬物放出を達成することであり、これによって、効力、安全性およ
び/または患者の安心を改善する。持続的かつ/または制御された薬物因子の放出は、薬
物拡散の遅延によって、および/または適用後のポリマーマトリクスの漸次的分解によっ
て達成される。
【0015】
インサイチュゲル化は、組成物または処方物が部位に適用された後の、適用部位でのゲ
ル化のプロセスである。ヒトおよび動物の医薬分野において、適用部位は、様々な注射部
位、局所適用部位、外科的部位、および、薬剤が組織または体液と接触するような他の部
位をいう。薬物送達薬剤として、インサイチュゲルは、インサイチュで形成されるゲルま
たはポリマーのネットワークに関する利点を有し、薬物因子の持続的放出を提供する。同
時に、このインサイチュゲルは、薬物が液体形態で送達されるのを可能にする。
【0016】
インサイチュでゲル化し得るポリマーが、記載されている。これらとしては、Polo
xamer、Pluronics(Vadnereら、Int.J.Pharm.、22
、207−218、1984)、種々のコポリマー(例えば、PEO−PLLA、および
PEG−PLGA−PEG(Jeongら、Nature 388、860−862、1
997;Jeongら、J.Controlled Release 63、155−1
63、2000)、セルロースアセトファレート(acetophalate)ラテック
ス(Gurnyら、J.Controlled Release 353−361、19
85)、Gelrite(Rozierら、Int.J.Pham.57、163−16
8、1989)、Carbopol、およびMatrigelが挙げられる。このゲル化
は、温度変化(Poloxamer、Pluronics、PEO−PLLAジブロック
コポリマー、PEG−PLGA−PEGトリブロックコポリマー、およびMatrige
l)、pH変化(セルロースアセトファレートラテックスおよびCarbopol)、ま
たは一価カチオンまたは二価カチオンとの反応(Gelrite)により誘導される。し
かし、それらのほとんどは、インサイチュゲル化のために高いポリマー濃度(>20%)
(Poloxamer、PEO−PLLAジブロックコポリマー、PEG−PLGA−P
EGトリブロックコポリマー、セルロースおよびアセトファレートラテックス)を必要と
する。熱ゲル化ポリマー(thermally gelling polymer)(P
oloxamer、Pluronics、PEO−PLLAジブロックコポリマー、PE
G−PLGA−PEGトリブロックコポリマー、およびMatrigel)はまた、包装
または貯蔵の間の温度変化に起因して、投与前でのゲル化の不利益を有する。不運なこと
に、これらのポリマーのいくつかは、生分解性ではない(例えば、Poloxamer)
か、または投与前(PEO−PLLAジブロックコポリマー)もしくは処方の間(Plu
ronicsおよびGelrite)に温度調整を必要とする。Carbopolおよび
Pluronicの混合物からなる眼用インサイチュゲル化薬物の送達処方物が、いずれ
か一方からなる処方物より効果的であることが見出されている。しかし、Pluroni
cは、14%で使用される(LinおよびSung、Journal of Contr
olled Release 69、379−388、2000)。従って、そのような
ポリマーは、ヒトおよび動物の医療適用にあまり適していない。さらに、これらのポリマ
ーの多くは、粘性であるが、なお流動性の溶液であるヒドロゲルのみを形成する(例えば
、PoloxamerおよびPluronics)。
【0017】
イオン性多糖を用いるインサイチュゲル化組成物は、米国特許第5,958,443号
に開示されている。これは、薬物、ポリマー、および2つの組成物(イオン性多糖および
その形成を架橋し得る架橋イオン)からなるイオン性多糖を形成するゲルからなる。イン
サイチュゲル化は、架橋イオンの適用により誘導される。
【0018】
従って、薬物送達目的のために低いポリマー濃度のみを使用する、より単純かつより効
果的なインサイチュでのゲル化組成物の存在は、非常に必要とされる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の要旨)
本発明の1つの実施形態は、ペクチン質を用いて、動物用途およびヒト用途のための生
分解性インサイチュゲル化組成物を提供することに関する。この組成物は、標的部位への
投与後に、液体からゲルへと変化する。好ましくは、このペクチン質は、Aloeペクチ
ンである。
【0020】
本発明の1つの目的は、動物の体内での、生理学的に活性な薬剤の制御または持続され
た(sustained)放出のための組成物を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、特定の濃度範囲を超えて、ゲルの濁りの劇的な増加がなされない
透明なポリマー溶液を提供することである。好ましくは、この組成物は、低濃度でインサ
イチュゲルを作製し得る。
【0022】
本発明の別の目的は、増粘剤が添加される透明なポリマー溶液を提供することである。
好ましくは、この組成物は、低濃度でインサイチュゲルを作製し得る。
【0023】
本発明のさらなる目的は、一旦、液体形態で送達された、低濃度のインサイチュゲルを
作製し得る組成物を提供することである。
【0024】
本発明の別の目的は、薬物送達のための組成物を提供することである。薬物送達の場合
、例えば、治療剤または診断剤が、その処方物または組成物に組み込まれる。これらの薬
剤は、低分子および高分子(例えば、タンパク質)であり得る。好ましくは、この組成物
は、低濃度でインサイチュゲルを形成し得る。したがって、本発明は以下をも提供する。
(1) 動物における生理学的に活性な薬剤の持続性放出のための組成物であって、該組成物が
以下:
該生理学的に活性な薬剤;および
該動物中でのインサイチュゲル化に有効な量のペクチン質
を含む、組成物。
(2) キャリアをさらに含む、項目1に記載の組成物。
(3) 前記キャリアが、水、生理食塩水、緩衝化水溶液、油/水エマルジョン、アジュバント
、錠剤またはカプセルを含む、項目2に記載の組成物。
(4) 前記ペクチン質が、カルシウム反応性ペクチンを含む、項目1に記載の組成物。
(5) 前記ペクチン質が、低級メトキシルペクチンを含む、項目1に記載の組成物。
(6) 前記ペクチン質が、ポリガラクツロン酸を含む、項目1に記載の組成物。
(7) 前記ペクチン質が、アロエペクチンを含む、項目1に記載の組成物。
(8) 一価カチオンをさらに含む、項目1に記載の組成物。
(9) ナトリウム塩をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(10) 前記組成物が、約2〜約10のpHを有する、項目2に記載の組成物。
(11) 濃厚剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(12) 前記濃厚剤が、CMC、HPMC、コラーゲン、ゼラチン、デキストラン、ヒアルロン
酸、またはアルギン酸塩を含む、項目11に記載の組成物。
(13) 前記生理学的に活性な薬剤が、薬理学的に活性な物質、治療剤、診断剤、ペプチド、核
酸またはタンパク質を含む、項目1に記載の組成物。
(14) 前記組成物の総重量を基準として、前記生理学的に活性な薬剤が、約0.01〜約90
%の範囲にわたる、項目1に記載の組成物。
(15) 動物における生理学的に活性な薬剤の持続性放出のための組成物であって、該組成物が
以下:
該生理学的に活性な薬剤;
キャリア;
該動物中でのインサイチュゲル化に有効な量のペクチン質、
を含む、組成物。
(16) 前記キャリアが、水、生理食塩水、緩衝化水溶液、油/水エマルジョン、アジュバント
、錠剤またはカプセルを含む、項目15に記載の組成物。
(17) 前記ペクチン質が、カルシウム反応性ペクチンを含む、項目15に記載の組成物。
(18) 前記ペクチン質が、低級メトキシルペクチンを含む、項目15に記載の組成物。
(19) 前記ペクチン質が、ポリガラクツロン酸を含む、項目15に記載の組成物。
(20) 前記ペクチン質が、アロエペクチンを含む、項目15に記載の組成物。
(21) 一価カチオンをさらに含む、項目15に記載の組成物。
(22) ナトリウム塩をさらに含む、項目15に記載の組成物。
(23) 前記組成物が、約2〜約10のpHを有する、項目15に記載の組成物。
(24) 濃厚剤をさらに含む、項目15に記載の組成物。
(25) 前記濃厚剤が、CMC、HPMC、コラーゲン、ゼラチン、デキストラン、ヒアルロン
酸、またはアルギン酸塩を含む、項目24に記載の組成物。
(26) 前記生理学的に活性な薬剤が、薬理学的に活性な物質、治療剤、診断剤、ペプチド、核
酸またはタンパク質を含む、項目15に記載の組成物。
(27) 動物における生理学的に活性な薬剤の持続性放出のための組成物であって、該組成物が
以下:
該生理学的に活性な薬剤;
キャリア;
該動物中でのインサイチュゲル化に有効な量のアロエペクチン質、
を含む、組成物。
(28) 前記キャリアが、水、生理食塩水、緩衝化水溶液、油/水エマルジョン、アジュバント
、錠剤またはカプセルを含む、項目27に記載の組成物。
(29) 前記ペクチン質が、カルシウム反応性ペクチンを含む、項目27に記載の組成物。
(30) 前記アロエペクチン質が、低級メトキシルペクチンポリガラクツロン酸を含む、項目
27に記載の組成物。
(31) 一価カチオンをさらに含む、項目27に記載の組成物。
(32) ナトリウム塩をさらに含む、項目27に記載の組成物。
(33) 前記組成物が、約2〜約10のpHを有する、項目27に記載の組成物。
(34) 濃厚剤をさらに含む、項目27に記載の組成物。
(35) 前記濃厚剤が、CMC、HPMC、コラーゲン、ゼラチン、デキストラン、ヒアルロン
酸、またはアルギン酸塩を含む、項目34に記載の組成物。
(36) 前記生理学的に活性な薬剤が、薬理学的に活性な物質、治療剤、診断剤、ペプチド、核
酸またはタンパク質を含む、項目27に記載の組成物。
(37) 動物における生理学的に活性な薬剤の持続性放出のための組成物を調製するための方法
であって、以下:
キャリア中にペクチン質を溶解して、ペクチン溶液またはペクチン分散物を得る工程で
あって、該ペクチン質の量が、該動物中でのインサイチュゲル化に有効である、工程;
該生理学的に活性な薬剤を該ペクチン溶液または該ペクチン分散物に添加して、該組成
物を得る工程、
を包含する、方法。
(38) 前記キャリアが、水、生理食塩水、緩衝化水溶液、油/水エマルジョン、アジュバント
、錠剤またはカプセルを含む、項目37に記載の方法。
(39) 前記ペクチン質が、カルシウム反応性ペクチンを含む、項目37に記載の組成物。
(40) 前記ペクチン質が、低級メトキシルペクチンを含む、項目37に記載の組成物。
(41) 前記ペクチン質が、ポリガラクツロン酸を含む、項目37に記載の方法。
(42) 前記ペクチン質が、アロエペクチンを含む、項目37に記載の方法。
(43) 前記組成物に一価カチオンを添加する工程をさらに包含する、項目37に記載の方法

(44) 前記組成物にナトリウム塩を添加する工程をさらに包含する、項目37に記載の方法

(45) 前記組成物が、約2〜約10のpHを有する、項目37に記載の方法。
(46) 前記組成物に濃厚剤を添加する工程をさらに包含する、項目37に記載の方法。
(47) 前記濃厚剤が、CMC、HPMC、コラーゲン、ゼラチン、デキストラン、ヒアルロン
酸、またはアルギン酸塩を含む、項目46に記載の方法。
(48) 前記生理学的に活性な薬剤が、薬理学的に活性な物質、治療剤、診断剤、ペプチド、核
酸またはタンパク質を含む、項目37に記載の方法。
(49) 前記組成物の総重量を基準として、前記生理学的に活性な薬剤が、約0.01〜約90
%の範囲にわたる、項目37に記載の方法。
(50) 動物における生理学的に活性な薬剤の持続性放出のための、比較的乾燥した組成物を調
製するための方法であって、以下:
キャリア中にペクチン質および生理学的に活性な薬剤の混合物を溶解して、分散物の溶
液を得る工程であって、該ペクチン質の量が、該動物中でのインサイチュゲル化に有効で
ある、工程;
該キャリア中の揮発性成分を除去して、該比較的乾燥した組成物を得る工程、
を包含する、方法。
(51) 前記キャリアが、水、生理食塩水、緩衝化水溶液、油/水エマルジョン、アジュバント
、錠剤またはカプセルを含む、項目50に記載の方法。
(52) 前記ペクチン質が、カルシウム反応性ペクチンを含む、項目50に記載の方法。
(53) 前記ペクチン質が、低級メトキシルペクチンを含む、項目50に記載の方法。
(54) 前記ペクチン質が、ポリガラクツロン酸を含む、項目50に記載の方法。
(55) 前記ペクチン質が、アロエペクチンを含む、項目50に記載の方法。
(56) 前記溶液または分散物に一価カチオンを添加する工程をさらに包含する、項目50に
記載の方法。
(57) 前記溶液または分散物にナトリウム塩を添加する工程をさらに包含する、項目50に
記載の方法。
(58) 前記溶液または分散物に濃厚剤を添加する工程をさらに包含する、項目50に記載の
方法。
(59) 前記濃厚剤が、CMC、HPMC、コラーゲン、ゼラチン、デキストラン、ヒアルロン
酸、またはアルギン酸塩を含む、項目58に記載の方法。
(60) 前記生理学的に活性な薬剤が、薬理学的に活性な物質、治療剤、診断剤、ペプチド、核
酸またはタンパク質を含む、項目50に記載の方法。
(61) 前記組成物の総重量を基準として、前記生理学的に活性な薬剤が、約0.01〜約90
%の範囲にわたる、項目50に記載の方法。
(62) 前記キャリアの前記揮発性成分を除去する工程が、エバポレーションを包含する、請求
項50に記載の方法。
(63) 動物において生理学的に活性な薬剤を持続的に放出するための方法であって、以下:
キャリア中にペクチン質を溶解して、ペクチン溶液またはペクチン分散物を得る工程で
あって、該ペクチン質の量が、該動物でのインサイチュゲル化に有効である、工程;
該生理学的に活性な薬剤を、ペクチン溶液またはペクチン分散物に添加して、組成物を
得る工程、
該組成物を該動物に投与する工程
を包含する、方法。
(64) 前記キャリアが、水、生理食塩水、緩衝化水溶液、油/水エマルジョン、アジュバント
、錠剤またはカプセルを含む、項目63に記載の方法。
(65) 前記ペクチン質が、カルシウム反応性ペクチンを含む、項目63に記載の方法。
(66) 前記ペクチン質が、低級メトキシルペクチンを含む、項目63に記載の方法。
(67) 前記ペクチン質が、ポリガラクツロン酸を含む、項目63に記載の方法。
(68) 前記ペクチン質が、アロエペクチンを含む、項目63に記載の方法。
(69) 前記組成物に一価カチオンを添加する工程をさらに包含する、項目63に記載の方法

(70) 前記組成物にナトリウム塩を添加する工程をさらに包含する、項目63に記載の方法

(71) 前記組成物が、約2〜約10のpHを有する、項目63に記載の組成物。
(72) 前記組成物に濃厚剤を添加する工程をさらに包含する、項目63に記載の方法。
(73) 前記濃厚剤が、CMC、HPMC、コラーゲン、ゼラチン、デキストラン、ヒアルロン
酸、またはアルギン酸塩を含む、項目72に記載の方法。
(74) 前記生理学的に活性な薬剤が、薬理学的に活性な物質、治療剤、診断剤、ペプチド、核
酸またはタンパク質を含む、項目63に記載の方法。
(75) 前記組成物の総重量を基準として、前記生理学的に活性な薬剤が、約0.01〜約90
%の範囲にわたる、項目63に記載の方法。
【0025】
本発明のこれらの目的および他の目的は、本発明の記載される実施形態により提供され
る。先の議論は、本発明のいくつかのより適切な特徴を概説する。これらは、本発明のよ
り顕著な特徴および適用のいくつかを単に例示するものであると解釈されるべきである。
従って、本発明のより十分な理解は、以下の詳細な説明の記述によりなされ得る。
【0026】
(詳細な説明)
従って、一般的用語「ペクチン質」としては、本発明において使用される場合、個々に
、集団的に、または以下の組み合わせにおいて、ペクチン、低級メトキシルペクチンおよ
び高級メトキシルペクチン、脱エステル化(de−esterified)ペクチン、ペ
クチンカルシウムゲル、アロエ(Aloe)ペクチンナトリウムゲル、ペクチン(pec
tic)酸、ペクテート、ペクチン(pectinic)酸、ペクチナート、プロトペク
チン、ならびにペクチン−リッチ物質(例えば、アロエベラ(Aloe vera)内部
ゲル細胞壁繊維)が挙げられる。上記のように、ペクチンは、植物に存在するかまたは植
物から調製され、そして鎖状結合中に存在すると考えられている大きな割合の無水ガラク
ツロン酸ユニットを含む、これらのコロイド状炭水化物複合誘導体についての群の意味で
ある。カルボキシル基は、メチル基によって部分的にエステル化され得、そして1つ以上
の塩基によって部分的または完全に中和され得る。従って、「脱エステル化」とは、通常
、1つ以上のメチルエステル基が、ペクチン分子から除去されていることを意味する。「
ペクチン酸」とは、たいてい、コロイド状ポリガラクツロン酸から構成され、そして本質
的にメチルエステル基のないペクチン質に適用される群の意味である。完全に脱エステル
化したペクチンは、ペクチン酸またはポリガラクツロン酸である。「ペクテート」は、通
常のペクチン酸またはペクチン酸の酸塩のいずれかである。「ペクチン酸」は、無視でき
ない割合のメチルエステル基を含む、コロイド状ポリガラクツロン酸である。「ペクチナ
ート」は、通常のペクチン酸またはペクチン酸の酸塩のいずれかである。「プロトペクチ
ン」は、植物中に存在し、そして制限加水分解の際に、ペクチン、ペクチン酸などを生成
する、水に不溶性の親ペクチンについて適用される。この水に不溶性のペクチンは、植物
中に存在するセルロース(例えば、アロエベラ内部ゲルまたは外皮細胞壁繊維)と結合さ
れ得る。
【0027】
(アロエペクチン)
アロエベラの葉は、外側の緑色外皮および透明な内部ゲル(これはまた、果肉としても
言及される)の2つの部分から構成される。アロエペクチンは、内部ゲルまたは外側の外
皮細胞壁繊維から抽出される。わずかにアルカリ性pHのキレート化剤の使用は、最も効
率的な抽出方法であることが見出されている。アロエペクチンは、これまでに記載したペ
クチンと比較して独特である。アロエペクチンは、精製されたペクチン調製物において、
4%を超える高いラムノース含量を有し、この含量は、柑橘類、リンゴ、テンサイ、およ
びヒマワリのような他のペクチンにおいて述べられるよりも、少なくとも2倍高い。ラム
ノースは、ペクチン骨格において重要な糖であり、この含量は、分子の柔軟性に影響する
。アロエペクチンはまた、他のいずれのペクチンにおいて記載されていない、稀有な糖3
−OMe−ラムノースを有する。アロエペクチンは、生来LMであり、一般的には、30
%未満、そして10%未満の低さであり得るDMを有する。アロエペクチンのGal A
含量は、70%より多く、そして90%を超える高さであり得る。アロエペクチンは、カ
ルシウムの存在下で、ゲル化し得る。一価カチオン(例えば、ナトリウム、カリウムおよ
びリチウム)は、ゲルの形成を促進する。
【0028】
アロエペクチンは、1つ以上の以下の特徴によって、他のペクチンと区別され得る:
1)高分子量(>1×10Da)および高い固有粘度(>550ml/g);
2)高いラムノース含量(>4%);
3)高いガラクツロン酸含量(>90%);
4)3−OMe−ラムノースを含有する;
5)生来LMであり、10%未満の低さのDMを有する;
6)カルシウムゲル化の能力;
7)低温(4℃)での一価カチオンベースのゲル化の能力。
【0029】
本発明者らは、投与の経路として、身体への注射によってか、または創傷表面への局所
塗布によって、ゲル化していない液体ペクチンが、投与部位でインサイチュでゲルを形成
し得ることを見出した。このインサイチュのゲルは、インビトロで形成されたカルシウム
ゲルのように、硬くかつ非流動性であり、このゲルは、粘稠性であるが流動性溶液である
ヒドロゲルと区別される。このアロエペクチンのインサイチュでのゲル化は、安定な固体
のインサイチュゲルを形成するために必要とされる最小限のアロエペクチンの濃度が、2
.5mg/mlまたは0.25%(w/v)ほどの低さであり、そして増粘剤を添加する
場合、さらにより低くなり得るほど、特に効率的であることが見出された。
【0030】
ゲル組成物は、等張性または等浸透圧性に作製され得、そして哺乳動物の体液(例えば
、涙液の滴)のpHに調整され得る。このような体液のpHおよび浸透圧は、それぞれ、
7.4および29mOsm/kgである。例えば、体液のpHおよび浸透圧に一致する、
望ましいpHおよび浸透圧の条件で、薬理学的処置を必要とする哺乳動物の身体の領域に
薬理学的に活性な医薬を送達することは有利である。必要に応じて、本発明の薬学的組成
物は、滅菌状態で提供され得る。
【0031】
どんな理論によっても束縛されることを望まないが、ペクチンのインサイチュでのゲル
化は、体液中のカルシウムイオンによって、主に媒介されると考えられる。血液は、8.
5〜10.3mEq/dlのカルシウム濃度を有する。ペクチンのカルシウムゲル化は、
体液の通常の成分でもあるNaClの存在下で増強される。血液中には、134mEq/
LのNaClが存在する。
【0032】
インサイチュゲルはまた、種々の薬剤の存在下で形成し、種々の薬剤としては、以下が
挙げられる:カプセル化または捕捉された形態の広範な薬剤を送達するためのペクチンの
能力を示す、低有機化合物、タンパク質、核酸、生きた細胞、および皮下注射後の他のポ
リマー。不十分に可溶性の化合物(例えば、シルバデン(silvadene))が組込
まれた場合、このインサイチュゲルは、なお形成された。一旦送達されると、このペクチ
ンインサイチュゲルは、明らかに遅い放出効果を発揮した。このことは、低有機モデル化
合物(ファストグリーン)を用いて、インビトロ条件ならびにインビボ条件化で実証され
た。さらに、bFGFが、ペクチンインサイチュゲルと送達される場合、このゲルを取り
囲む有意に増加した細胞増殖が観察された。
【0033】
アロエペクチンは、現在市販のペクチン(LMペクチン、およびポリガラクツロン酸、
ならびにインサイチュゲル化のためのアミド化LMペクチンが挙げられる)よりもより効
果的である。十分に形成されたインサイチュゲルは、アロエペクチンについての濃度より
も、10倍より高い濃度で、市販のポリガラクツロン酸またはLMペクチンを用いてのみ
得られた。現在市販のLMペクチンおよびポリガラクツロン酸は、より低いGal A含
量(約75%)、はるかにより低い分子量(7〜14×10Da)、および20〜50
%のDMを有する。カルシウムゲルを形成し得る、他のポリマーが存在する。1つの例は
、アルギナートである。しかし、アルギナートは、試験した濃度で明確に規定されたイン
サイチュゲルを形成することができなかった。アルギナートは、グルウロン(gulur
onic)酸(G)およびマンウロン(manuronic)酸(M)から構成される多
糖のブロックコポリマーである(Moeら、Food polysaccharides
and their applications.pp287〜339.Marcel
Dekker,Inc.New York,1995)。アルギナート中のこれらの2
つの残基は、G−ブロック、M−ブロック、または交互のMG−ブロックとして存在する
。G−ブロックのみが、カルシウムゲル化を生じる。総G含量は、供給源に依存して広範
に変動し;最大G含量は、約70%である。さらに、このアルギナートカルシウムゲル化
は、生理学的な流体中に存在するNaClの存在によって阻害される。
【0034】
いくつかの他のポリマーもまた、インサイチュゲル化が可能であることを示されてきた
。しかし、これらのほとんどは、インサイチュゲル化について高いポリマー濃度(>20
%)を必要とする(ポロキサマー(Poloxamer)、PEO−PLLA二ブロック
コポリマー(copoly)、PEG−PLGA−PEG三ブロックコポリマー、セルロ
ースおよびアセトファラートラテックス)。これらのポリマーのいくつかは、生分解性で
ない(例えば、ポロキサマー)か、または投与前(PEO−PLLA二ブロックコポリマ
ー)もしくは処方中(プルロニクス(Pluronics)およびゲルライト(Gelr
ite))に温度の操作を必要とする。熱的にゲル化するポリマー(ポロキサマー、プル
ロニクス、PEO−PLLA二ブロックコポリマー、PEG−PLGA−PEG三ブロッ
クコポリマー、およびマトリゲル(Matrigel))はまた、パッケージングまたは
貯蔵の間の周囲温度の変化に起因して、投与前のゲル化という不都合を有する。さらに、
これらのポリマーの多くは、粘稠であるが流動性溶液であるヒドロゲルのみを形成する(
例えば、ポロキサマーおよびプルロニクス)。さらに、いくつかのポリマー処方物は、2
つの異なるポリマーまたはゲル化が生じるための第2の成分の適用を必要とする。
【0035】
ペクチン(特に、アロエペクチン)は、インサイチュでのゲル化を達成するために必要
とされるポリマー濃度が、非常に低く(χ0.25%,w/v)、そして増粘剤を添加す
る場合、さらにより低くし得るという点で、これらのポリマーまたは組成物よりも有利で
ある。この調製物は、温度もしくはpHの調整、またはインサイチュでのゲル化を生じる
ための第2の成分の適用を必要としない。このゲルは、透明であり、そしてPEG−PL
GA−PEG三ブロックコポリマーおよびプルロニクスのように、特定の濃度範囲を超え
てゲルの曇りの著しい増加が存在しない。
【0036】
生物工学の進歩は、ますますタンパク質ベースの治療法を生成する。タンパク質は、本
質的に不安定である。適切な処方物および送達は、これらのインビボでの機能に重要であ
る(Langer、Nature 392,5〜10,1998;PutneyおよびB
urke、Nature Biotechnology 16,153〜157,199
8)。ペクチンインサイチュゲルは、その穏やかなゲル化条件のために、タンパク質送達
について、特に適切である。多くのタンパク質薬剤(例えば、創傷治癒のための増殖因子
および治療的新脈管形成のための脈管形成因子)はまた、持続性の様式で局所的に送達さ
れることを意図される。これはまた、ペクチンインサイチュゲルを用いて達成され得る。
bFGFが、アロエペクチンインサイチュゲルとともに送達された場合、ゲルを取り囲む
有意に増加した細胞増殖が観察された。
【0037】
本明細書中で使用される場合、用語「生理学的に活性な薬剤」とは、動物の体内に生理
学的応答を及ぼし得る薬剤のことをいう。生理学的に活性な薬剤としては、例えば、薬理
学的に活性な物質;無機化合物、有機化合物およびその塩のような低分子;診断用薬;治
療薬:核酸;ペプチド;ポリマー;小タンパク質;大タンパク質;および生存細胞が挙げ
られる。薬理学的に活性な物質としては、ワクチンのように免疫応答を認めない(ill
icit)物質が挙げられる。治療薬の例としては、抗細菌物質、抗菌剤、駆虫剤、抗生
物質、抗ヒスタミン剤、鬱血除去薬、代謝拮抗剤、抗緑内障剤(antiglaucom
a agent)、抗癌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗炎症剤、抗糖尿病剤(anti
−diabetic agent)、麻酔薬、抗鬱剤、鎮痛薬、抗凝固剤、目薬(opt
halmic agent)、脈管形成因子、免疫抑制薬、および抗アレルギー剤が挙げ
られる。生理学的に活性な薬剤は、最終的な組成物または処方物の重量を規準にして、約
0.01%〜約90%より多くまで変化し得る。使用される生理学的に活性な薬剤の量は
、生理学的に活性な薬剤の型、形態、および性質に依存する。
【0038】
ペクチン質の範囲は、組成物の総重量を規準にして、約0.01%〜約40%、好まし
くは約0.1%〜約20%、より好ましくは、約0.25%〜約2%まで変化し得る。使
用されるペクチン質の量は、生理学的に活性な薬剤の型、形態および性質に依存する。必
要に応じて、キャリアまたは賦形剤が使用され得る。
【0039】
本発明に使用されるキャリアとしては、水;生理食塩水;緩衝化水溶液;油/水エマル
ジョンのようなエマルジョン;アジュバンド;湿潤剤;錠剤;およびカプセルのような薬
学的に受容可能な任意のキャリアが挙げられる。そのキャリアは、最終組成物または処方
物の重量を規準にして、約0%〜約90%まで変化し得る。存在するキャリアの量は、生
理学的に活性な薬剤、およびその処方物または組成物が送達される様式に依存する。
【0040】
代表的な緩衝剤としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、塩化物、硫
酸塩、リン酸塩、炭酸水素塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、およびコハク酸塩が挙げ
られる。代表的な防腐剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコ
ルビン酸塩、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、ホウ酸フェニル
水銀、パラベン、ベンジルアルコール、およびフェニルエタノールが挙げられる。
【0041】
従って、本発明の1つの実施形態は、生理学的に活性な化合物の持続送達のための組成
物を提供し、そしてその組成物は、ペクチン、および薬学的に受容可能な造粘剤を含むか
または含まない生理学的に活性な化合物を含む。好ましくは、この組成物は、動物の体に
組成物が投与されると、液体からゲルに変化し、従って、生理学的に活性な化合物の放出
は、維持または制御される。
【0042】
CMC、HPMC、アルギン酸ナトリウム、コラーゲン、ゼラチン、およびヒアルロン
酸のような生分解性増粘剤が、処方物に加えられ得る。このような増粘剤の添加は、以下
に記載するようにゲル化効率に影響を及ぼさず、低いペクチン濃度でのゲルマトリクスの
密度およびインサイチュのゲル化を増強する利点を提供する。さらに、pH、イオン強度
および温度の変化に応答するポリマーはまた、そのポリマーがペクチンのゲル化と相乗的
である限り、使用され得る。さらに、異なるペクチンのブレンドが、増粘剤を伴うかまた
は伴わずに使用され得る。他の増粘剤としては、Carbopol、Gelrite、キ
トサン、およびキシログルカンが挙げられる。その増粘剤は、最終組成物または処方物の
重量を規準にして、約0%〜90%まで変化し得る。使用される生分解性増粘剤の量は、
生理学的に活性な薬剤および組成物または処方物が使用される様式に依存する。
【0043】
本発明のなお別の実施形態は、医療用デバイスとして使用するための薬学的に受容可能
な増粘剤を含むかまたは含まないペクチンからなる組成物を提供する。
【0044】
好ましくは、ペクチン質は、カルシウム反応物である。より好ましくは、ペクチン質は
、LMペクチンまたはポリガラクツロン酸である。さらにより好ましくは、ペクチン質は
、アロエペクチンである。
【0045】
カルシウム反応性は、ゲル化、粘度変化、および電位差測定を含む方法によって決定さ
れ得る。
【0046】
用語「ゲル化」は、物理的状態または化学的状態の変化によって引き起こされる溶液粘
度の増加をいう。形成されたゲルは、粘性のある液体、固体、またはその間の任意の状態
であり得る。種々の状態のゲルは、ポリマー濃度または他の因子を調節することによって
得られ得る。特定の状態のゲルは、特定の用途に最も好適であり得る。
【0047】
治療薬または診断用薬を含む、ペクチンがインサイチュでゲル化する組成物は、種々の
手段によって動物に投与または送達され得る。例えば、その組成物は、眼、粘膜表面また
は創傷に局所的に適用され得る。その組成物はまた、皮下、筋肉内、または腹腔内注射を
介して、非経口的に送達され得る。その組成物はまた、器官、関節腔、または腫瘍に注射
され得る。
【0048】
ペクチンは、多くの異なる植物供給源から抽出され得る。ペクチンは、柑橘類およびリ
ンゴに加えて、例えば、ジャガイモ、グレープフルーツ、甜菜、およびヒマワリの頭部か
ら得られる。ペクチンは修飾され得る。例えば、アミド化ペクチンは、アンモニアで処理
することによって製造され得る。アロエペクチン様ペクチンは、異なる植物種に存在し得
または異なる植物供給源由来のペクチンは、本明細書中に開示される原理に基づいて、イ
ンサイチュでのゲル化力を増強するように製造され、再加工され、および/または修飾さ
れ得ると考えられる。さらに、50%未満のDMを含むLMペクチンが、そのカルシウム
反応性のために本明細書中で使用されるのに好ましいが、特定のHMペクチンがまた、カ
ルシウム感受性であり、カルシウムゲルを形成し得ることが知られており、従って、その
ペクチンがインサイチュでのゲル化のために使用され得る(Tibbitsら,Carb
ohydrate research 310,101−107,1998)。さらに、
ブロック様式でエステル分解されたHMペクチンはまた、まだ50%より多いDMを含ん
でいるが、ブロック様式によるエステル分解によってカルシウム感受性が与えられ、使用
され得る。Christensenら、米国特許第6,083,540号を参照のこと。
【0049】
従って、上記の特定の実施形態が、本発明と同じ目的を実行するための他の構築物を改
変または設計するための基礎として容易に利用され得ることは、当業者に理解されるべき
である。このような等価構築物は、添付の特許請求の範囲に示されたような本発明の精神
および範囲から逸脱しないこともまた、当業者に明らかであるべきである。
【実施例】
【0050】
(実施例1)
(アロエペクチンのインサイチュでのゲル化)
アロエペクチンの抽出
アロエペクチンを、Aloe veraの葉の果肉または外皮のいずれかから調製され
た細胞壁繊維から抽出した。このペクチンを抽出する一般的な方法は、報告されている。
Voragenら,Food polysaccharides and their
applications.287〜339頁.Marcel Dekker,Inc.
New York,1995を参照のこと。米国特許第5,929,051号(この内容
全体は、本明細書中で参考として詳細に援用されている)もまた、参照のこと。アロエペ
クチンの抽出は、EDTAのようなキレート剤を用いてかまたは温水、加熱した希薄酸(
HCl、pH1.5〜3)、および冷却した希薄塩基(NaOHおよびNaCO;p
H10)を含む他の条件下で達成した。
【0051】
抽出につづき、残った繊維を粗い濾過および微細濾過によって除去した。このペクチン
をエタノールで沈殿させた。このペクチン沈殿物を、乾燥させる前にさらにエタノール溶
液でリンスした。
【0052】
果肉または外皮の細胞壁繊維のいずれかからこの様式で得られたアロエペクチンを、分
子量(>1×10Da)、低DM(<50%)、およびGal A含有量(>80%)
で特徴付けた。好ましくは、分子量が1×10Daより大きく、DMは10%未満であ
り、そしてGal A含有量が90%より多いことであった。
【0053】
分子量を、標準としてプルランを用いて、HPLCベースのサイズ排除クロマトグラフ
ィーによって決定した。DMを、選択的還元法(selective reductio
n method)(Manessら,Analytical Biochemistr
y 185,346〜352,1990)およびHPLCベースの方法(Voragen
ら,Food Hydrocolloids,1,65〜70,1986)によって決定
した。Gal A含有量を、m−ヒドロキシジフェニル法(Blumenkrantz,
N.およびAsboe−Hansen,G.Analytical Biochemis
try 54,484−489,1973)によって決定した。これら3つの参考文献の
内容は、本明細書中で参考として援用される。
【0054】
(アロエペクチンのインサイチュゲル化)
アロエペクチンを最初に、滅菌した脱イオン水に溶解し、そして次いで、等容量の2×
生理食塩水(0.3MのNaCl)と混合した。アロエペクチンは、食塩水に容易に溶解
し得なかった。しかし、一旦水に溶解したら、ペクチンは、食塩水と混合して、生理学的
イオン強度を達成し得る。このようにして得られた生理食塩水中のペクチン溶液は、透明
なままであった。このペクチン溶液は、室温で自由流動性であり、そしてポリマーの濃度
に依存して5.0〜6.0のpHを有した。指示されない限り、温度またはpHの調整を
行う必要はなかった。この調製物を、動物の使用プロトコルに従って、Swiss We
bsterマウス(1部位につき0.05または0.1ml)の下腹部領域に皮下注射し
た。マウスを、注射後、種々の時間に屠殺し、そしてゲル化を試験した。
【0055】
注射部位の皮膚の腫脹は、生理食塩水コントロールの場合のように時間の経過と共には
消失はしなかった。注射部位にわたる皮膚を外科的に切開し、球または楕円のような形の
ゲル破片を採取した。このゲルは、透明(clear、transparent)でかつ
硬かった。これは、周囲の組織から容易に分離し得た。このゲルを外科的に皮膚と共に切
除し、ホルマリンで固定し、切片化し、H&Eで染色し、そして顕微鏡下で調べた。この
ゲルを軽く染色しただけであるが、はっきりと見え、そして皮膚組織によって囲まれてい
た。同様のインサイチュゲル化を、ラットにおいても観察した。その注射部位での腫脹は
、分厚い皮膚および被毛に起因して、ラットにおいては、マウスにおいてと同様に明白で
なかった。しかし、注射部位の皮膚を外科的に切開した場合、同様のインサイチュゲルが
観察された。ラットにおいて、1mlのアロエペクチン溶液を下腹部領域に皮下注射し得
、そして同様に、非常に大きなゲル破片を得た。
【0056】
このゲル化は、ペクチン濃度依存性である。χ0.25%(w/v)の濃度で、固体の
硬いゲルを得た。α0.1%(w/v)では、ゲル化は観察されなかった。0.1%と0
.25%との間の濃度で、軟らかいゲルを得た。
【0057】
アロエペクチン溶液のpHを、希水酸化ナトリウムで約7.2に調整した場合、このイ
ンサイチュゲルがまた形成された。
【0058】
このインサイチュゲル化能は、アロエペクチンの分子量に依存する。非常に低い分子量
(約3×10Da)を有するが同じDMおよびGal A含量を有するアロエペクチン
を用いた場合に、0.5%(w/v)で試験すると、インサイチュゲル化は観察されなか
った。
【0059】
腹腔内経路および筋内経路を介した注射後、インサイチュゲルがまた形成されたが、こ
の形成したゲルは、皮下注射後に形成されるゲルと同程度の均一な形状を有しないようで
あった。
【0060】
(実施例2)
(創傷表面への局所適用後のインサイチュゲル化)
生理食塩水中のアロエペクチン調製物(0.5%、w/v)を、マウスまたはラットに
おける新しい全層切除した皮膚創傷に直接適用した。生理食塩水中の0.5%(w/v)
のCMC調製物および市販のヒドロゲル創傷包帯剤をコントロールとして使用した。この
創傷は、動物使用プロトコルに従って生検穿孔鋏(biopsy punch)を用いて
作製した。4時間後、ラットを屠殺し、そして創傷を外科的に取り除いた。創傷をホルマ
リンで固定し、切片化し、そしてH&Eで染色した。アロエペクチン調製物を用いた場合
、創傷表面上にゲルの層が明らかに形成されたが、CMCまたは市販のヒドロゲル創傷包
帯剤を用いた場合には形成されなかった。
【0061】
(実施例3)
(カルシウムイオンによって媒介されるペクチンのインサイチュゲル化)
血液および涙液のような体液は、カルシウムイオンを含む(血液中で8.5〜10.3
mEq/dl)。アロエペクチンはカルシウムゲルを形成するので、インサイチュゲル化
を模倣する、動物の血清を用いたインビトロでのゲル化系を使用して、アロエペクチンの
インサイチュゲル化におけるカルシウムの役割を試験した。このインビトロアッセイを、
ゲル境界移動アッセイ(gel frontal migration assay)と
して記載する。このアッセイでは、動物血清をガラスチューブの底部に配置し、そしてア
ロエペクチン溶液をこの血清の上に重ねる(このペクチン溶液は、ペクチン溶液に対する
試験溶液の密度に依存してチューブの底部に配置され得る)。光源下で調べる場合、ペク
チン相で形成されるゲルを、その増加した濁度によってペクチン溶液から識別し得る。ま
た、ゲルが形成される場合、チューブを傾けても、界面は動かない。
【0062】
組織培養グレードの正常なウシ血清を使用した。2mlの血清をガラスチューブ(0.
8×11cm)の底部に配置し、そして1mlのペクチン溶液(0.5〜0.75%、w
/v)をそのチューブの上部に配置した。このゲル化は、接触線または相界で速効性であ
り、そしてゲル相またはゲル境界は、時間の経過と共に、ペクチン溶液中で徐々に上方へ
と広がった。しかし、血清を、生理食塩水に対して最初に透析する場合、またはEDTA
(2価のカチオンに対するキレート剤)もしくはEGTA(カルシウムに対して特異的な
キレート剤)を、最終濃度が10mMになるように血清に加える場合、ゲル化は観察され
なかった。このことは、カルシウムが、ペクチンのインサイチュゲル化に関与しているこ
とを示す。
【0063】
このペクチンのインサイチュゲル化はまた、それらのマウスから単離した全血または血
漿全てをヘパリン処置して生じた。
【0064】
(実施例4)
(他の体液を用いた、ペクチンのインサイチュゲル化)
血清または血液に加え、涙液のような、多くの他の型の体液が存在する。ペクチンのイ
ンサイチュゲル化が他の体液でも起こるかどうかを決定するために、アロエペクチン(生
理食塩水中で0.25%)とともに、実施例3に記載のゲル境界(frontal)遊走
アッセイを使用した。
【0065】
このゲル化は、腹水を用いた場合にも起こった。この場合、モノクローナル抗体産生の
ためのハイブリドーマを注射したマウス由来の腹水(ascite)を、腹水(peri
toneal fluid)として用いた。
【0066】
このゲル化はまた、模擬体液でも起こった。それら模擬体液は、以下である:
1)涙液(100mlにつき、0.68gのNaCl、0.22gのNaHCO、0
.008gのCaCl.2HO、および0.14gのKCl(Stjernscha
ntzおよびAsitin,Edman,P.(編),「Biopharmaceuti
cs of Ocular Drug Delivery,」CRC Press,Bo
ca Raton,1−15頁,1993を参照のこと)、あるいは、100mlにつき
、0.268gのウシ血清アルブミン、0.268gのリゾチーム、0.134gのグロ
ブリン、0.008gのCaCl.2HO、0.650gのD−グルコース、および
0.658gのNaCl(Cohenら、Journal of Controlled
Release 44,201−208,1997を参照のこと));
2)肺液(Lung fluid)(100mlにつき、0.01gのMgCl.6
O、0.61gのNaCl、0.03gのKCl、0.027gのNaHPO
7HO、0.007gのNaSO、0.018gのCaCl.2HO、0.0
95gのNaHC.3HO、0.26gのNaHCO、および0.01gのN
.2HO(FisherおよびBriant,Radiation
Protection Dosimetry,53,263−267,1994を参照の
こと));および
3)鼻分泌物(Nasal secretion)(100mlにつき、0.867g
のNaCl,0.44gのNaHPO、0.108gのNaHPO、0.058
gのCaCl.2HO、0.31gのKCl、0.636gのアルブミン(Lori
nら、Journal of Laboratory Clinical Medici
ne,2,275−267,1994を参照のこと))。
【0067】
(実施例5)
(NaClが、ペクチンカルシウムゲル化を促進する)
体液(例えば、血液および涙液)はまた、ナトリウムイオンを含む(血液中で135〜
146mEq/L)。局所的または非経口的な使用のための薬理学的調製物を、緩衝化し
た生理食塩水または緩衝化していない生理食塩水(0.15MのNaCl)あるいは等張
性溶液中で調製する。NaClは、LMペクチンのカルシウムゲル化を促進することが示
されている。アロエペクチンでも同じ効果が得られるかどうかを決定するために、同様の
ゲル境界移動アッセイを使用した。0.15MのNaCl(2ml)中で調製したアロエ
ペクチン(0.5%、w/v)溶液をチューブの底部に配置し、そして100mMのCa
Cl溶液(0.05ml)をこのペクチン溶液の上部に配置した。ゲルは、時間の経過
と共にペクチン溶液において下方向に広がって形成された。ゲル境界の遊走は、CaCl
添加から18時間後に測定した。この結果は、ゲル境界が、NaClの存在下でより速
く遊走する(すなわち、アロエペクチンのカルシウムゲル化は、NaClの存在によって
促進される)ことを示した(図1)。NaClの効果はまた、用量依存性であり;そのゲ
ル化速度は、0.05MのNaCl中でよりも、0.15MのNaCl中での方が速かっ
た。
【0068】
これらの観察は、他のLMペクチンを用いた先の研究結果と一致する(Garnier
ら、Carbohydrate Research 240,219−232,1993
;256,71−81,1994)。図1は、アロエペクチンのカルシウムゲル化に対す
るNaClの関連を示す棒グラフである。
【0069】
(実施例6)
(ペクチンのインサイチュゲル化は、低濃度のペクチンで、より速い)
上記のゲル境界移動アッセイを使用した。正常なウシ血清(2ml)に、生理食塩水(
1ml)での種々の濃度でアロエペクチンを注いだ。室温で10時間後、形成されたゲル
の長さを測定した。接触相での最初のゲル化は、ペクチン濃度に関わらず、速効性である
。しかし、時間の経過と共にゲルの長さが成長する速度は、異なるペクチン濃度で、異な
った。ペクチン濃度が低くなるほど、ゲル化はより速く;0.05%(w/v)で形成さ
れるゲルの長さは、0.5%(w/v)で形成されるゲルの長さよりも約5倍長いことが
見出された(図2)。低濃度(<0.2%、w/v)で形成されるゲルは非常に軟らかく
、そして強い攪拌によって破壊し得た。
【0070】
血清の代わりに塩化カルシウム溶液を用いた場合にも、同様の観察がなされた。このこ
とは、ペクチンカルシウムゲル化の速度が、より低いペクチン濃度で増加されることを示
す。

(実施例7)
(他のポリマーまたは増粘剤の添加は、ペクチンのインサイチュゲル化を促進する)
上記のゲル境界移動アッセイを使用した。ポリマー(例えば、HEC(0.45%、w
/v),CMC(0.45%、w/v)、またはアルギン酸ナトリウム(0.45%、w
/v))をアロエペクチン(0.05%、w/v)と混合した。アルギン酸ナトリウムは
、インビトロの条件下でCaCl溶液と一緒にカルシウムゲルを形成し得るが、血清と
はインサイチュゲルを形成しなかった。1mlのポリマー溶液を2mlの正常ウシ血清に
適用した。形成されたゲルの長さを18時間後に測定した。その結果は、他のポリマーの
添加がペクチンのインサイチュでのゲル化の速度に影響しないことを示した(図3Aおよ
び3B)。このポリマーをアロエペクチンと異なる割合(0.4%対0.1%)で混合し
た時にもまた同じ結果が得られた。
【0071】
インビボのマウスモデルにおいて、生理食塩水でのアロエペクチン(0.375%、w
/v)とCMC(0.375%、w/v)との混合物は、皮下注射後に、インサイチュゲ
ルを形成した。さらに、増粘剤(0.4%、w/vまたは0.3%、w/vでのアルギン
酸ナトリウムまたはHEC)の添加は、低いアロエペクチン濃度(0.1%、w/vまた
は0.2%、w/v)で、より良好な形成されたインサイチュゲルを得ることを可能にし
た。この濃度では、インサイチュゲルは、軟らかいか、あるいはアロエペクチン単独では
形成されないかのいずれかである(実施例1)。
【0072】
(実施例8)
(他のペクチンおよびアルギン酸塩との比較)
カルシウムゲル化が可能なLMペクチンを、実験に用いた。これらは、28%のDMを
有する柑橘類由来のLMペクチンおよびリンゴのペクチン(DM=0)から調製したポリ
ガラクツロン酸(これらの両方をSigma Chemical Co.から入手した)
、ならびに28〜34%のDMおよび16〜22%のDA(アミド化の程度)を有するア
ミド化したペクチンを含んでいた。使用前に、これらを脱イオン水に溶解し、濾過し、エ
タノール沈殿し、そして乾燥した。
【0073】
マウスにおける、皮下経路によるインサイチュゲル化実験を、実施例1に記載されるよ
うに実施した。2匹のマウスにおける4つの注射部位を、各サンプルのために使用した。
これらの結果は、皮下注射後、1.0%(w/v)の濃度の皮下注射でも1.65%(w
/v)の濃度の皮下注射でも、インサイチュゲル化が観察されなかったことを示した。ス
メア様(smear−like)のゲル物質だけが観察された。しかし、より高い濃度(
3.0%、w/vまたは3.3%、w/v)で試験した場合、ポリガラクツロン酸および
アミド化したLMペクチンの両方で、はっきりと(十分)形成されたゲルを観察した。
【0074】
同様に、実施例1に記載の低分子量のアロエペクチンはまた、高濃度(2.5%、w/
v)で、インサイチュでゲル化した。
【0075】
64%のDMを有するHM柑橘類ペクチンもまた試験した。LMペクチンについての方
法と同様の方法で調製した。HMペクチンについて3%(w/v)の濃度では、ゲル化は
観察されなかった。この注射部位は、湿って(wet)かつ水気が多く(watery)
、そして固形のゲル破片は観察されなかった。
【0076】
アルギン酸塩(Keltone HVCRおよび高GアルギナートManugel D
MB(G含量60〜70%)を含む)も、0.5%の濃度で試験した。皮下注射から4時
間後に調べた場合、スメア様のゲル物質だけが観察された。このことは、物質のほとんど
が、ゲル化することなく離れて拡散していることを示した。このアルギン酸塩はまた、上
記(実施例7)のように、正常な動物血清を用いたインビトロでのインサイチュゲル化ア
ッセイにおいても、ゲルを形成しなかった。これらの結果は共に、LMペクチン、ポリガ
ラクツロン酸、アミド化したLMペクチンおよびアルギン酸塩が、同じ濃度下では、イン
サイチュゲル化に対して、アロエペクチンほど効果的ではないことを示した。
【0077】
(実施例9)
(ペクチンのインサイチュゲルによる、生理学的に活性な薬剤の送達)
薬物送達に使用するためのインサイチュゲル化に関して、この現象が、薬物または診断
薬の存在下で起こらねばならない。従って、種々の化合物または薬剤を生理食塩水中でア
ロエペクチン(0.5%(w/v)の最終ペクチン濃度)と混合した。これらの化合物ま
たは薬剤は、小さい有機化合物(ファストグリーン(fast green)、808D
a、10mg/ml)、小さいタンパク質(bFGF、17kDa、10μg/ml)、
中程度のサイズのタンパク質(ウシ血清アルブミン、66kDa、10mg/ml)、大
きなサイズのタンパク質(ウシのI型コラーゲン、2mg/ml)、核酸(λDNA H
indIIIフラグメント、200μg/ml)、糖質(炭水化物)ポリマー(CMC、
0.5%、w/v)、およびRaw264.7細胞(マウスのマクロファージ株、1×1
/ml)であった。この混合物をマウスに皮下注射した。次いで、注射から4時間後
に、ゲル化を調べた。この結果は、ゲル化が、アロエペクチン単独のコントロールとして
試験した薬剤全ての存在下で起こったことを示した。使用した薬物因子の濃度は、試験し
た濃度であり、可能な最大濃度ではなかった。
【0078】
さらに、ゲル境界移動アッセイにより、0.5%(w/v)アロエペクチン溶液のイン
サイチュゲル化もまた、以下の存在下で起こった:1)0.1%(w/v)のシルバデン
(silvadene)(スルファジアジン銀)(創傷処置に一般に使用される難溶性の
抗菌剤)、2)0.5%(w/v)のヒドロキシエチルセルロース(HEC)、および3
)0.5%(w/v)のアルギン酸ナトリウム(Keltone HVCR、Kelco
)。0.5%(w/v)のHECまたはアルギン酸ナトリウムの存在は、実施例6に記載
されるように、インサイチュゲル化の有効性に影響しなかった。
【0079】
従って、このインサイチュゲル化がこれらの多くの異なる因子と一緒になって起こると
いう事実は、ペクチンのインサイチュゲルが広範囲の薬物因子の送達のために使用され得
ることを明確に示す。
【0080】
(実施例10)
(インビトロ条件下でのペクチンインサイチュゲルからの小さい有機化合物の徐放)
治療剤および診断剤は、100Da〜10,000Da以上の分子量で大きく異なる。
一般に、化合物が小さいほど、徐放効果を達成するのもより困難である。ここで、小さい
有機化合物を、試験モデルとして選択した。それは、色素であるファストグリーンである
。この色素は、808の分子量を有し、そして食品業界および製薬業界において広く使用
される。この色素を、生理食塩水中でアロエペクチン(0.5%、w/v)と1mg/m
lの濃度で混合した。生理食塩水中の1mg/mlの色素溶液を単独で、コントロールと
して使用した。1mlの色素/ペクチン調製物またはこのコントロールを、12kDaま
でを排除する(cut off)透析チューブ(直径1cm)内に配置した。次いで、サ
ンプルを有する透析チューブを、30mlのガラスチューブ中の25mlの正常ウシ血清
中に配置した。色素/アロエペクチン溶液を受容する1本の血清チューブはまた、最終濃
度10mMまでのEDTAを受容し、カルシウムゲル化を防止した。次いで、このサンプ
ルを含む血清チューブを、回転振盪機上で連続的に100rpmで攪拌した。少量の血清
(100μl)を種々の時点でサンプリングした。血清中に放出された色素の量を、62
0nmでのODを測定することによって決定した。既知量のファストグリーンを有する血
清サンプルを使用して、検量線を確立した。この結果は、同様の量のファストグリーンが
、コントロールおよびEDTAを含む色素/アロエペクチン(ゲル化しない)から放出さ
れ、そしてEDTAを含まない色素/アロエペクチン(ゲル化する)から放出される色素
の量は、測定した時点の始めから終わりまでの間に顕著に低下した(p<0.05;スチ
ューデントt−検定)ことを示した(図4)。このことは、アロエペクチンの存在および
そのゲル化が、化合物の放出を顕著に遅らせたことを示す。
【0081】
(実施例11)
(皮下注射後のペクチンインサイチュゲルからの小さい有機化合物の徐放)
以上で観察された徐放が、インビボ条件下で達成され得るかどうかを決定するために、
生理食塩水中のファストグリーン(1mg/ml)/アロエペクチン(0.5%、w/v
)または生理食塩水中のファストグリーン単独をマウスに皮下注射した。この注射部位(
サンプルにつき2箇所)を4時間後に調べた。ペクチンの存在下で、色は注射前の最初の
調製物ほど強くはないが、色素を保持しているインサイチュゲルが形成されることを見出
した。対照的に、コントロールの注射部位は、色を有さず、従って、色素を保持しなかっ
た。従って、このペクチンインサイチュゲルは色素を保持しており、そして実際にインビ
ボ条件下で、その放出を遅らせた。
【0082】
(実施例12)
(アロエペクチンのインサイチュゲルによるbFGFの局所的送達)
投与部位周囲の組織に局所的な効果を及ぼす成長因子について、成長因子は、ゆっくり
な様式または持続する様式で放出されるようにマトリックス中で送達される必要がある。
生理食塩水または緩衝液のみの送達は、この点について効果的でない。この実施例におい
て、成長因子(bFGF)を使用した。bFGF(塩基性線維芽細胞成長因子またはFG
F−2)は、線維芽細胞の増殖および脈管形成または血管形成を刺激することが公知の成
長因子である。これを、1〜10μg/mlの濃度の生理学的生理食塩水中でアロエペク
チン(0.5%、w/v)と混合し、次いでマウスの腹の部位の左隅側または右隅側に皮
下注射した。一方はコントロール(ペクチンアロエ)を受け、そして他方は、bFGF含
有調製物を受けた。2匹のマウスからのインサイチュゲルを、5〜10日での皮膚と一緒
に回収し、そしてホルマリン中で固定化し、切片化し、そしてH&E染色した。ゲルのど
ちらかの端での2つの同一の部位(ゲルの表面と皮膚の筋肉層との間の垂直方向およびゲ
ルの外側の端から内向きに水平方向に510μm)を選択し、そしてそれぞれのゲルから
選択されたこれら2つの領域中の細胞を、NIHイメージソフトウェアを用いて計算した
。この結果は、コントロールよりもbFGF処置において、細胞数が2倍よりも高いこと
を示した(図5)。ゲル周囲の血管形成の増加はまた、高いbFGF濃度(10μg/m
l)で観察された。これは、bFGFがインサイチュゲルから放出され、そして周囲の組
織中でその機能を発揮することを示している。
【0083】
(実施例13)
(乾燥ペクチン組成物のインサイチュゲル化)
アロエペクチンおよびCMC(それぞれ0.75重量%)の混合物および水中で調製さ
れた1.5%CMCを、別々に秤量トレイ中で凍結乾燥した。乾燥物質を、丸いパッド(
直径約1cmおよび厚さ約3mm)のように切り抜き、そしてペトリ皿中で10mlの正
常なウシ血清に浸した。アロエペクチン/CMCパッドは、透明なゲルを形成し、このゲ
ルは、実験が終了するまでの4日間、インタクトな状態を維持したが、一方CMCのみを
含むパッドは、同じ条件下で、数時間で溶解したか、または消滅した。従って、これらの
結果は、乾燥形態のペクチンはまた、体液で浸された後、ゲルを形成し得ることを示す。
【0084】
(実施例14)
(薬物送達のためのペクチンインサイチュゲルの使用:処方プロセス)
ペクチンのインサイチュゲルを使用して、治療的薬剤または診断的薬剤ならびに体液の
pH特性および浸透圧特性を有する低濃度のゲル化ポリマー(ペクチン)を含み、そして
投与の際に液体からゲルに変換する能力を有する、生理学的に受容可能な組成物を提供し
得る。
【0085】
液体処方物を調製するためのプロセスは、以下の工程を包含する。
【0086】
1.ペクチンを、滅菌水に溶解する。
【0087】
2.緩衝または非緩衝生理食塩水を調製する。
【0088】
3.2つの溶液を混合する。
【0089】
4.生理学的に活性な化合物を、工程3で調製物に添加する。
あるいは、生理学的な活性剤を、混合の前にいずれかの溶液に添加し得る。水および緩衝
または非緩衝生理食塩水あるいは水溶液に加えて、他の薬学的に受容可能なキャリア(乳
濁液(例えば、油/水エマルジョン)、アジュバント、種々の型の湿潤剤、錠剤およびカ
プセルを含む)もまた、使用され得る。
【0090】
処方物のpHを、適切な緩衝剤(例えば、ホウ酸−ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウ
ム(一塩基)−リン酸ナトリウム(二塩基)、およびTris−HCl)を用いて調整す
る。処方物の浸透圧を、塩(例えば、NaCl、KCLおよびMgCl)および他の浸
透性調整剤(例えば、ソルビトール、スクロース、グリセリンおよびマンニトール)を用
いて、体液の浸透圧を模倣するように適応させる。
【0091】
薬学的に受容可能な濃厚剤を、添加し得る。この濃厚剤は、CMC、HPMC、HEC
、アルギナート、ゼラチン、デキストラン、シクロデキストランまたはヒアルロン酸であ
り得る。
【0092】
この処方物を、室温にて貯蔵し得るか、または冷蔵し得る(4℃)。処方物が約0.1
5M NaClを含む場合、これが4℃で貯蔵される場合、(ナトリウム)ゲルが形成さ
れる。適用の前に、このゲルを、室温にて溶液に戻す。粒子であるか処方物を凝集する傾
向があるか、または低い水溶性を有する薬物または治療的薬剤(例えば、シルバデン(s
ilvadene)((シルバースルファジアジン)(silver sulfadia
zine))について、ゲルマトリックス中の貯蔵は、処方物の凝集または沈殿を予防し
得るので、有利であり得る。
【0093】
あるいは、処方物を、乾燥形態で調製し得る。緩衝水もしくは非緩衝水もしくは生理食
塩水中のペクチンおよび生理学的に活性な薬剤の混合物を、凍結乾燥する。あるいは、ペ
クチン粉末および乾燥した生理学的に活性な薬剤を混合し、そして、所望の形態に圧縮す
る。乾燥形態は、パッド、錠剤、カプセルまたは粉末として使用され得る。
【0094】
処方物または組成物中の生理学的に活性な薬剤およびペクチン質の相対的な量は、送達
されるべき特定の薬剤に依存して広範に変化し得る。液体処方物において、薬剤は、約0
.01%〜約50%(w/v)の範囲であり得、一方、ペクチン質は、約0.01%〜約
40%(w/v)の範囲であり得る。乾燥処方物または懸濁液処方物において、薬剤また
はペクチン質のいずれかは、90%(w/v)までの範囲であり得る。
【0095】
好ましい組成物または処方物および方法が、開示されているが、多数の改変および変化
が、上記の教示の権利内で可能であることは当業者に明白である。このような改変および
変化は、添付の特許請求の範囲に示されるような本発明の精神および範囲から逸脱しない
ことが当業者によってまた理解されるべきである。
【0096】
本発明のより好ましい実施形態をより完全に理解するために、添付の図面に関連して、
以上の詳細な説明に対する参照がなされ得る。ここで、同じ番号は、同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は、Aloeペクチンのカルシウムゲル化に対するNaClの関係を示す棒グラフである。
【図2】図2は、正常な動物血清を伴う種々のペクチン濃度でのAloeペクチンのインサイチュゲル化を示す。
【図3A】図3Aは、正常な動物血清を伴うHEC増粘剤の存在下でのAloeペクチンのインサイチュゲル化を示す。
【図3B】図3Bは、正常な動物血清を伴うアルギン酸ナトリウム増粘剤の存在下でのAloeペクチンのインサイチュゲル化を示す。
【図4】図4は、低分子有機化合物(ファーストグリーン)を用いてAloeペクチンインサイチュゲルに得られた徐放性効果を示す。
【図5】図5は、bFGF処理と細胞数との関係を規定された領域で示す棒グラフを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の組織または体液と接触した際にゲルを形成するための組成物であって、以下:
液体溶液または分散液であって、以下:
(i)液体キャリア;
(ii)動物の組織または体液に適用した際に該液体溶液または分散液をゲル化するのに有効な量の、0%未満のメチル化の程度および1×10ダルトンより大きい平均分子量を有する、アロエペクチン;ならびに
(iii)1つ以上の生理学的に活性な薬剤、
を含
該アロエペクチンは、該組成物の総重量に基づき、0.25%−2%の量で存在する、
組成物。
【請求項2】
前記アロエペクチンが、90%w/wより大きいガラクツロン酸含有量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アロエペクチンが、4モル%よりも大きいラムノースを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記アロエペクチンが、3−メトキシ−ラムノースを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記アロエペクチンがアミド化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
一価カチオンをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記一価カチオンがナトリウムである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記溶液または分散液が生分解性濃厚剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記溶液または分散液が、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コラーゲン、ゼラチン、デキストラン、ヒアルロン酸、またはアルギン酸塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記キャリアが、水または生理食塩水を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記溶液または分散液が粘膜表面に投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記体液が鼻分泌物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記溶液または分散液が局所投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記溶液または分散液が、創傷に、外科部位に、皮下的に、腹腔内に、非経口的に、器官に、腫瘍に、または関節腔に投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記生理学的に活性な薬剤が、薬理学的に活性な物質、治療剤、診断剤、ペプチド、核酸またはタンパク質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記生理学的に活性な薬剤が、タンパク質である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記生理学的に活性な薬剤が、ペプチドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記生理学的に活性な薬剤が、ワクチンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記生理学的に活性な薬剤が、抗細菌剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記生理学的に活性な薬剤が、スルファジアジン銀である、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記ゲルが、前記組織または体液への前記生理学的に活性な薬剤の持続的放出を提供する、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記溶液または分散液の適用が、カルシウムイオンを含む第2の成分の適用を必要としない、請求項1に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−29824(P2009−29824A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243407(P2008−243407)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【分割の表示】特願2002−567265(P2002−567265)の分割
【原出願日】平成14年2月27日(2002.2.27)
【出願人】(503311173)カーリントン ラボラトリーズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】