説明

ペットフード

【課題】 高たん白で低カロリーにする。ペットの食い付きを良くする。
【解決手段】 原料は、食材と調味料である。主原料の食材は、動物の肉類を含まず、粒状の大豆たん白又は粒状の大豆たんと植物性食品である。副原料の調味料は、動物の肉類の風味のある調味液である。食材と調味料は、混合して加熱調理され、大豆たん白に調味液が染み込んでいる。調理済の大豆たん白は、動物の肉類の風味であって、弾性のある塊状である。調理済の食材と調味料は、密封包装して加圧加熱殺菌したレトルト飼料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬や猫のような愛玩動物の飼料、ペットフードに関する。
【背景技術】
【0002】
市販中の多くのペットフードは、牛肉や鶏肉のような動物の肉類が主原料ないし主要成分になっている。動物の肉類は、高たん白であるが、高カロリーでもある。高たん白である点はペットの健康に好ましいが、高カロリーである点はペットの肥満や病気の原因になる。
【0003】
そこで、高たん白で低カロリーの大豆が注目される。大豆は、畑のお肉とも言われ、動物の肉類の代わりになる。大豆を原料とするペットフードが考えられた。
【0004】
特許文献1に開示されたペットフードは、大豆をすり潰し、これに小麦粉と好味料を添加して混練し、この生地を型に入れて加熱し、粒状又はビスケット状にする。大豆の全体を原料とする。
【0005】
特許文献2に開示のペットフードは、牛肉と大豆たん白及び脱脂大豆や小麦粉、澱粉などを配合した原料を混練しながら、加熱して圧縮し、その後、冷却して整形し、丸棒状にする。大豆たん白と脱脂大豆及び牛肉などを原料とする。
【0006】
特許文献3に開示のペットフードは、コーンスターチと大豆たん白及び水を配合した原料を射出成形機で熱と圧力を加えて成形し、硬い丸棒状にする。ペットの玩具を兼用している。
【0007】
【特許文献1】登録実用新案第3034883号公報
【特許文献2】特開平9−313113号公報
【特許文献3】特開平11−98964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示のペットフードは、大豆をその「おから」成分を含む全成分を主原料とする。大豆の種子は、種皮、子葉と胚の3部からなる。たん白は、子葉に多く含まれている。従って、大豆の全体を主原料にすると、大豆から分離した大豆たん白を主原料にする場合に比較して、主原料中の大豆たん白の割合が低くなる。
【0009】
特許文献2に開示のペットフードは、同量の大豆たん白と牛肉を主原料とする。大豆たん白のみならず、牛肉をも主原料に含めると、主原料の高カロリーを是正する効果が低くなる。脱脂大豆も原料に含めているが、脱脂大豆は、含有たん白が少ない。
【0010】
特許文献3の玩具兼用ペットフードは、ペットが噛んで遊べるほど硬い。ペットの間食にはなるが、食事にはなり難い。また、原料中のコーンスターチの割合が高く、大豆たん白の割合が低い。
【0011】
[課題を解決するための着想]
1)ペットフードは、ペットの健康のため、動物の肉類に代えて、大豆たん白を原料にすることにした。大豆たん白をペットに与えてみた。ところが、ペットは、大豆たん白を食べたがらなかった。
【0012】
大豆たん白は、粉状のみならず、粒状のものも、市販されている。粒状の大豆たん白は、粉状の大豆たん白を組織加工して粒にしたものである。この粒状の大豆たん白は、粉状のものよりも食べ易い。その粒状の大豆たん白をペットに与えたが、ペットは、食べたがらなかった。食い付きが悪い。
【0013】
ペットは、今まで、動物の肉類を主原料とするペットフードを食べていたのである。そこで、ペットの嗜好に合わせるため、大豆たん白は、動物の肉類の風味に味付けすることを考え付いた。
【0014】
2)粒状の大豆たん白は、含水率が低く、弾性に富んでいない。ばさばさしていて、ペットにとって食べ易くはない。そこで、ペットに食べ易くすると共に、ペットの嗜好に合わせるため、粒状の大豆たん白には、動物の肉類の風味のある調味液を染み込ませることを考え付いた。
【0015】
粒状の大豆たん白は、動物の肉類の風味のある調味液が染み込むと、動物の肉類の風味になると共に、含水率が高まって膨張し、動物の肉片のように弾性のあるしっとりとした塊状になる。そのようになった大豆たん白をペットに与えてみた。ペットは、喜んで食べた。食い付きが非常に良くなった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
1)原料は、食材と調味料であり、主原料の食材は、動物の肉類を含まず、粒状の大豆たん白又は粒状の大豆たん白と植物性食品であり、副原料の調味料は、動物の肉類の風味のある調味液であり、
食材と調味料は、混合して加熱調理され、大豆たん白に調味液が染み込んでおり、調理済の大豆たん白は、動物の肉類の風味であって、弾性のある塊状であることを特徴とするペットフード。
【0017】
2)上記のペットフードにおいて、
調理済の食材と調味料は、密封包装して加圧加熱殺菌したレトルト飼料であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
主原料の食材は、動物の肉類を含まず、大豆たん白又は大豆たん白と植物性食品である。高たん白で低カロリーになる。ペットの健康に良い。大豆たん白は、調味液が染み込み、動物の肉類の風味であって、弾性のある塊状である。ペットの食い付きが良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[第1例(ステーキ)]
本例のペットフードは、ビーフ風味又はチキン風味のステーキである。原料は、食材と調味料である。
【0020】
主原料の食材は、粒状の大豆たん白である。動物の肉類のような動物性食品を含んでいない。粒状の大豆たん白は、大豆からたん白を抽出分離し、これを組織加工したものである。粒状の具体的形状は、本例では、板片状である。実施例の大豆たん白は、フジプロテインテクノロジー株式会社が製造販売している「粒状大豆たん白」、商標名「フジニック」である。含水率が10%以下であり、大豆たん白の含有量(乾燥重量割合)が55〜65%位である。
【0021】
副原料の調味料は、ビーフ風味又はチキン風味のある調味液である。ビーフ風味のある調味液は、ビーフエキスを含んでいる。チキン風味のある調味液は、チキンエキスを含んでいる。調味液のその他の成分は、澱粉、砂糖、酵母エキス、カツオエキス、コンブエキス、麦芽抽出物、チキンレバー、醤油、米発酵調味料、みりん風調味料、牛筋肉、チキンオイルと香料である。これには、チキンレバーや牛筋肉などの動物性食品も含まれるが、それらは少量である。
【0022】
食材の板片状大豆たん白と調味料のビーフ風味又はチキン風味の調味液は、計量して所定量を密閉型蒸気釜に投入し、混合して、加熱調理する。
【0023】
調理済の大豆たん白は、その自重の2〜3倍位の調味液が染み込んでいる。調味液の染み込みで、味付けされ、ビーフ風味又はチキン風味になっている。また、調味液の吸収で、含水率が高まって数倍に膨張し、しっとりとした弾性のある塊状、具体的には板片状ないし肉片状になっている。調理済大豆たん白は、ビーフ又はチキンの肉片、ステーキのようである。実施例の調理済大豆たん白は、厚さが0.5〜1cm位で、直径ないし大きさが3〜5cm位の肉片状である。
【0024】
調理済の大豆たん白と調味液、即ち、ペットフードのステーキは、所定量を密封包装袋のパウチに充填して密封包装し、レトルト殺菌装置で加圧加熱殺菌する。レトルトパウチ飼料である。常温で長期間保存することができる。
【0025】
レトルトパウチのペットフードは、レトルトパウチを開封し、中身のペットフードを皿や椀に盛り、犬や猫のようなペットに給餌する。ペットは、喜んで食べる。このペットフードは、高たん白で低カロリーである。ペットの健康に良い。
【0026】
[第2例(シチュー)]
本例のペットフードは、ビーフ風味又はチキン風味のシチューである。原料は、食材と調味料である。
【0027】
主原料の食材は、粒状の大豆たん白と植物性食品である。動物の肉類のような動物性食品を含んでいない。粒状の大豆たん白は、第1例におけるのと同様である。ただし、粒状の具体的形状は、本例では、顆粒状である。植物性食品は、ジャガイモ、ニンジン、コーンとグリンピースである。ジャガイモとニンジンは、さいの目に切る。
【0028】
副原料の調味料は、ビーフ風味又はチキン風味のある調味液である。第1例におけるのと同様である。
【0029】
顆粒状の大豆たん白と、さいころ形状のジャガイモとニンジン、豆形状のコーンとグリンピース、及び、ビーフ風味又はチキン風味の調味液は、計量して所定量を密閉型蒸気釜に投入し、混合して、加熱調理する。
【0030】
調理済の大豆たん白は、その自重の2〜3倍位の調味液が染み込んでいる。調味液の染み込みで、味付けされ、ビーフ風味又はチキン風味になっている。また、調味液の吸収で、含水率が高まって数倍に膨張し、しっとりとした弾性のある塊状、具体的には粒状ないし小片状になっている。調理済大豆たん白は、ビーフ又はチキンの肉の粒ないし小片のようである。実施例の調理済大豆たん白は、直径ないし大きさが1cm以下の肉小片状である。調理済のジャガイモ、ニンジン、コーンとグリンピースは、人間用のシチューにおけるのとほぼ同様になっている。
【0031】
調理済の大豆たん白と植物性食品及び調味液、即ち、ペットフードのシチューは、所定量をパウチに充填して密封包装し、レトルト殺菌装置で加圧加熱殺菌する。長期常温保存に適したレトルトパウチ飼料である。
【0032】
レトルトパウチのペットフードは、第1例におけるのと同様にして、犬や猫のようなペットに給餌する。ペットは、喜んで食べる。このペットフードは、高たん白で低カロリーである。
【0033】
[第3例(肉ジャガ)]
本例のペットフードは、ビーフ風味又はチキン風味の肉ジャガである。原料は、食材と調味料である。
【0034】
主原料の食材は、粒状の大豆たん白と植物性食品である。動物の肉類のような動物性食品を含んでいない。粒状の大豆たん白は、第1例におけるのと同様である。ただし、粒状の具体的形状は、本例では、フレーク状である。植物性食品は、ジャガイモ、ニンジン、コーン、グリンピースとコンニャクである。ジャガイモとニンジンは、さいの目に切る。コンニャクは、糸状であり、短く切る。
【0035】
副原料の調味料は、ビーフ風味又はチキン風味のある調味液である。第1例におけるのと同様である。
【0036】
フレーク状の大豆たん白と、さいころ形状のジャガイモとニンジン、豆形状のコーンとグリンピース、短い糸状のコンニャク、及び、ビーフ風味又はチキン風味の調味液は、計量して所定量を密閉型蒸気釜に投入し、混合して、加熱調理する。
【0037】
調理済の大豆たん白は、その自重の2〜3倍位の調味液が染み込んでいる。調味液の染み込みで、味付けされ、ビーフ風味又はチキン風味になっている。また、調味液の吸収で、含水率が高まって数倍に膨張し、しっとりとした弾性のある塊状、具体的には薄い小片状、フレーク状になっている。調理済大豆たん白は、ビーフ又はチキンの肉の薄い小片、フレークのようである。実施例の調理済大豆たん白は、大きさが1cm以下の肉小片状である。調理済のジャガイモ、ニンジン、コーン、グリンピースとコンニャクは、人間用の肉ジャガにおけるのとほぼ同様になっている。
【0038】
調理済の大豆たん白と植物性食品及び調味液、即ち、ペットフードの肉ジャガは、所定量をパウチに充填して密封包装し、レトルト殺菌装置で加圧加熱殺菌する。長期常温保存用のレトルトパウチ飼料である。
【0039】
レトルトパウチのペットフードをペットに与える給餌方法は、第1例におけるのと同様である。ペットの食い付きが良い。このペットフードは、高たん白で低カロリーである。
【0040】
[変形例]
1)上記の実施形態において、ペットフードは、ビーフ風味又はチキン風味であるが、ビーフ風味又はチキン風味の調味液に代えてポーク風味の調味液を用い、ポーク風味にする。又は、その他の動物の肉類の風味にする。
2)上記の実施形態において、ペットフードは、料理品目がステーキ、シチュー又は肉ジャガであるが、動物の肉類と植物性食品との煮付けにする。動物の肉類は、ビーフ、チキンやポークなどであって、大豆たん白で代用する。植物性食品は、ジャガイモやニンジンなどの野菜にする。又は、その他の料理品目にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料は、食材と調味料であり、主原料の食材は、動物の肉類を含まず、粒状の大豆たん白又は粒状の大豆たん白と植物性食品であり、副原料の調味料は、動物の肉類の風味のある調味液であり、
食材と調味料は、混合して加熱調理され、大豆たん白に調味液が染み込んでおり、調理済の大豆たん白は、動物の肉類の風味であって、弾性のある塊状であることを特徴とするペットフード。
【請求項2】
調理済の食材と調味料は、密封包装して加圧加熱殺菌したレトルト飼料であることを特徴とする請求項1に記載のペットフード。

【公開番号】特開2006−20592(P2006−20592A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202978(P2004−202978)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(597012965)株式会社イトウアンドカンパニーリミテッド (1)
【Fターム(参考)】