説明

ペットボトル

【課題】ペットボトル入りの飲み物を購入した時点で、簡単にラベルを取外して吊下げ紐として使用できるようにした新規なペットボトルを提供する。
【解決手段】ラベル3を胴部11周りに装着させたペットボトル1であって、上記ラベル3は上下2部分4,5からなり、この上下2部分4,5は互いに分離可能とされ、上記ラベル3の少なくとも上部分4は、紐状態に引き伸ばし得るように横方向の伸張率の大きい樹脂素材で形成され、かつリング状態で上記胴部11から抜き取り可能な状態で装着される一方、上記ラベル3の下部分5の表面には、商品情報5aが印刷されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胴部に装着されたラベルを吊下げ紐として使用できるペットボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、ジュース、コーラ、お茶などの飲み物は、アルミ缶やスチール缶などに代って、ペットボトルに収容され販売されるものが増えており、このようなペットボトルには、商品名、商品情報などを印刷したラベルが胴部に装着されている。下記特許文献1には、ラベルをペットボトルに装着する際の挿入不良やシワ発生などの問題を生じないように、伸縮性のあるストレッチラベルを用いることが開示されている。
【0003】
上記のようなペットボトルは、開閉可能なキャップを備えているから、一度に飲みきれない場合は、キャップを閉栓して持ち歩き、所望の時に再度キャップを開栓して飲むことができ、アルミ缶やスチール缶などのように一度プルタブを引き開封してしまうと再び閉封できないものに比べて極めて便利である。ところで、この持ち歩きの際には、カバンやリュックなどの袋類を携行している場合には、これに収納することができるが、このような袋類を持ち合わせていない場合は、直接手に持つ必要があるため、手がこれで塞がってしまい不便を来たすことがあった。また、上記袋類に収納してしまうとその都度取り出す必要があり、その煩わしさも無視し得なかった。
【特許文献1】特開2002−156907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、上記のような不便さ、煩わしさを解消するため、掛け紐を備えたペットボトル用ホルダが考案され市場にも多く出回るようになった。このペットボトル用ホルダは、ホルダにペットボトルをキャップ部分を露出させた状態で収納し、掛け紐を首や肩に掛けて、或いは腰などに引っ掛けてペットボトルを携行することができるので、手が塞がれることがなく、所望の時には直ぐにキャップを開栓して飲むことができ便利であるので、好評を博するところとなっている。
【0005】
しかし、外出する際に、ペットボトル入りの飲み物の購入を予め想定して、上記専用のホルダを事前に準備しておくようなことは稀であり、また、準備する煩わしさもあることから、通常このようなホルダを携行せずに外出することが多い。その為、外出先でペットボトルを購入した時に上記不便さを感じることが多々あり、その改善が望まれるところであった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために提案され、ペットボトル入りの飲み物を購入した時点で、簡単にラベルを取外して吊下げ紐として使用できるようにした新規なペットボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1で提案するペットボトルは、ラベルを胴部周りに装着させたペットボトルであって、上記ラベルは上下2部分からなり、この上下2部分は互いに分離可能とされ、上記ラベルの少なくとも上部分は、紐状態に引き伸ばし得るように横方向の伸張率の大きい樹脂素材で形成され、かつリング状態で上記胴部から抜き取り可能な状態で装着される一方、上記ラベルの下部分の表面には、商品情報が印刷されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2では、請求項1において、上記ラベルの上部分は、胴部から抜き取られ引き伸ばされた状態では、ペットボトルのネック部分に掛け止め可能なリング状吊下げ紐とされ、上記ネック部分には、上記吊下げ紐を掛け止めする紐止部を備えている。紐止部はラベルの下半分における商品情報の印刷面と反対側部分に吊り下げ位置を規制するように形成することが望ましい。
ここに、吊下げ紐の掛け止め対象となるネック部分は、ボトルの胴部とキャップ装着部との境目部(鍔部)やキャップの基部(キャップを外したときにボトル側に残る部分)、更にはキャップの一部分であってもよい。紐止部は、上記境目部、キャップの基部或いはキャップの一部分に切り込みやフックを形成したものであってもよい。
【0009】
請求項3では、請求項1または2において、上記ラベルの上部分には、紐状に引き伸ばされたときに、判読可能な状態に拡大される宣伝情報や懸賞情報などの営業販促情報が縮小印刷される一方、上記ラベルの下部分の裏面にも、上記と同様の営業販促情報が印刷されていることを特徴とする。また、請求項4では、請求項1ないし3のいずれかにおいて、上記ラベルの下部分は、縦方向に切開く為の切離し部を備え、この切開きによって該下部分が胴部から取り剥がし可能とされていることを特徴とする
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
請求項1の発明のペットボトルは、分離可能な上下2部分からなるラベルが胴部周りに装着され、このラベルの少なくとも上部分は、紐状態に引き伸ばし得るように横方向の伸張率の大きい樹脂素材で形成され、かつリング状態で上記胴部から抜き取り可能とされているから、抜き取ったラベルの上部分を引き伸ばして紐状とし、その一端をボトルのネック部などに結んだり、掛け止めたりすればボトルの吊下げ紐として使用できる。従って、吊下げ紐を首や肩或いは腰などに掛けるようにすれば、携行時に手が塞がったりする不便さは生じない。また、ラベルの上部分を取外しても、下部分は残るから、その表面に印刷された商品情報による商品の識別機能等が損なわれることがない。
【0011】
請求項2の発明によれば、ネック部分には、上記吊下げ紐を掛け止めする紐止部を備えている。望ましい実施例では、この紐止部は上記ラベルの下部分における商品情報の印刷面と反対側部分に上記吊り下げ位置を規制するよう形成されているから、吊下げ紐を首や肩或いは腰などに掛けてペットボトルを携行する際、常に下部分における商品情報の印刷面が携行者の外側に位置することになり、第三者をして露見され、その営業的効果が維持される。
【0012】
請求項3の発明によれば、ラベルの上部分に印刷された営業販促情報は、ラベルの上部分が引き伸ばされる前は判読できないが、引き伸ばされた時には拡大されて判読可能となるので、広告情報や懸賞情報など需要者の興味をそそるような趣向を凝らすことによって営業販促効果を高めることができる。また、請求項4の発明によれば、ラベルの下部分も、切離し部の切開きによって胴部から取り剥がし可能とされているから、空ボトルの分別回収に役立ち、加えてその裏面にもスクラッチなどによってポイントや懸賞情報などの営業販促情報を印刷しておけば、上記と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の最良の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明のペットボトルの外観構成の一例を示す図である。ペットボトル1は、図1(a)に示すように、ボトル本体10の胴部11周りに、ラベル3が装着されており、このラベル3は上下2部分4,5からなり、引き剥がしタブ6aを備えたティアテープ6によってこの上下2部分4,5が互いに分離可能に接合されている。ラベル3の上下2部分4,5(以下、夫々ラベル上部分4、ラベル下部分5と言う)はいずれもリング状であって、ティアテープ6によって互いに分離された状態では、ラベル上部分4は、図1(b)に示すようにペットボトル1からリング状態のまま取り外せるようになされている。
なお、この実施例では、ティアテープを設けてラベル3を上下に分離可能にしているがこのような態様は必須ではない。
【0015】
このラベル上部分4は、横方向の伸張率の大きい柔軟な樹脂素材で形成され、長方形の樹脂素材シートの長手方向両端部を接着してリング状としたものであり、4aはこの接着による重合接合部を示す。そして、ラベル上部分4は、ペットボトル1から取外し、径方向に拡開するよう引き伸ばすと、図1(c)のようなループ状の吊下げ紐40となる。ここに、紐状に引き伸ばしても切断しない丈夫なものが望まれるが、後記するような首掛け時の安全を考慮して、ある程度の外力が加わったときに、重合接合部4aで分断されるようになされている。
【0016】
上記ラベル上部分4は、その表面に営業販促情報4bが縮小印刷されており、この営業販促情報4bは、文字や絵などからなり、ペットボトル1の胴部11に装着された状態では判読不能であるが、上記のように引き伸ばすと図1(c)に示すように拡大されて判読可能となる。図1(c)では「A賞当たり」なる文字が印刷されているが、製造業者、サービス業者、販売業者の広告宣伝情報や、商標、商号などを印刷したものであってもよい。このように、ラベル上部分4に営業販促情報4bを縮小した状態で印刷し、紐状に引き伸ばしたときに拡大されて判読できるようにすれば、新規な広告宣伝方法を実現でき、また需要者の興味をそそるような趣向を凝らすことによって商品の需要拡大に繋がる効果も期待できる。
【0017】
一方、ラベル下部分5は、長方形の樹脂シートをリング状に形成してなり、上記のようにティアテープ6によってラベル上部分4と分離可能な状態でペットボトル1の胴部11周りに装着されている。その表面には商品情報(商品名、製造者名、成分、賞味期限等、必要な商品情報)5aが印刷されている。そして、このラベル下部分5は、ラベル上部分4が分離され、ペットボトル1の胴部11から取外されても、胴部11に残るようになされており、従って、ラベル上部分4が取外された後もその商品識別機能等が維持される。また、ラベル下部分5は、縦方向に切開く為の切離し部5bを備え、この切開きによって胴部11から取り剥がし可能とされている。図1(a)における50は、この切開きによって胴部11から取り剥がし展開した状態を示している。更に、ラベル下部分5の裏面には、図1(a)に示すように、スクラッチなどによって、ポイントや懸賞情報などの営業販促情報5cが印刷されており、ラベル上部分4に印刷された営業販促情報4bと組み合わせることによって、より営業販促効果を高めるようになすことができる。この場合も、ラベル上部分4と同様に、横方向に引き伸ばしたときに印刷が大きくなるようにしてもよい。ラベル上部分4、ラベル下部分5共にペットボトル1の胴部11から取外すことができるから、空のペットボトル1の処理の際の分別回収に役立てることができる。
【0018】
ペットボトル本体10の上部は胴部11に連なるネック部12とされ、ネック部12の上端には雄ネジ部13a(図2参照)を備えたボトル口部13が形成されている。また、この雄ネジ部13aとネック部12の境界部分には鍔部14が一体形成されている。雄ネジ部13aには、キャップ2が螺合装着されている。このキャップ2は、基部2aと、雌ネジが付されたキャップ本体2bとよりなり、出荷・搬送等の流通過程で不意に外れることがないよう、ペットボトル本体10に固定された基部2aに対してキャップ本体2bが連結された状態で雄ネジ部13aに螺合されている。キャップ本体2bが需要者によって捻回螺緩操作された時には、基部2aから分断され、基部2aがペットボトル本体10に残り、キャップ本体2bのみが取外せるようになされている。取外されたキャップ本体2bは、再度雄ネジ部13aに螺合装着されてボトル口部13が閉栓され得ることは当然である。
【0019】
上記のようにラベル上部分4を引き伸ばして得られた吊下げ紐40は、ペットボトル本体10の一部に結び止めしたり、ネック部12に掛け止めしたりすることによって、ペットボトル1を吊下げ携行するよう用いることができる。この場合、ペットボトル本体10やキャップ2の基部2aなどにフック孔部(不図示)を形成し、これに結び止めや掛け止めを行うようにしてもよい。
【0020】
図2(a)(b)(c)は、上記のようにラベル上部分4を引き伸ばして得られた吊下げ紐40を、ペットボトル1のネック部12に掛け止めする要領を示している。図おいて、ループ状吊下げ紐40の一方のループ端41を、ペットボトル1のネック部12に形成された鍔部14の下方に巻き付け、このループ端41に他方のループ端42を挿通させることにより、吊下げ紐40が鍔部14の下方に掛け止めされている。このようにして掛け止めした吊下げ紐40の他方のループ端42を、図5、図6に示すように肩や首に掛ければ、ペットボトル1の自重によって掛け止め部分は、ネック部12に強く締まり、鍔部14によってこの締まり部分が拘束されるから、ペットボトル1が抜け落ちることがない。
【0021】
図3(a)(b)は、吊下げ紐40を、ペットボトル1のネック部12に掛け止めする別の態様を示している。この例では、ペットボトル1のネック部12に、紐孔15aを備えた鍔部15が一体形成されている。この紐孔15aは鍔部15に切欠形成された導入口15bと連なっており、図2に示す例と同じ要領で鍔部15の下方に掛け止めされた吊下げ紐40をこの導入口15bから紐孔15aに嵌め込むことによって、吊下げ紐40のペットボトル1に対する回動を防止し、それによって、ネック部12に対する掛け止め部が不用意に解けることが阻止され、ペットボトル1の抜け落ちが防止される。この場合も、図5或いは図6に示すように、吊下げ紐40を肩や首に掛けてペットボトル1を携行することができる。
【0022】
図3の例の場合、上記紐孔15aは、吊下げ紐40による吊り下げ位置を規制する紐止部の機能も奏する。即ち、この紐孔15aはラベル下部分5における商品情報5cの印刷面と反対側部分に形成されており、図5や図6のように肩や首に吊下げ紐40に掛けて携行する際、この商品情報5cの印刷面が常に携行者の外側に位置する。従って、商品情報5cが常に第三者に露見され、その営業的効果が維持される。
【0023】
図4(a)(b)(c)は、吊下げ紐40を、ペットボトル1のネック部12に掛け止めする更に別の態様を示している。この例では、鍔部16に結び止め孔16aが形成されており、吊下げ紐40の一方のループ端41をこの結び止め孔16aに挿通し、他方のループ端42を更にループ端41に挿通させて吊下げ紐40を鍔部16に掛け止めし得るようになされている。従って、この例の場合も、図5や図6に示すように吊下げ紐40を肩や首に掛けることにより、ペットボトル1を携行することができる。
【0024】
この図4の例の場合も、上記結び止め孔16aは、吊下げ紐40による吊り下げ位置を規制する紐止部の機能をも奏する。即ち、この結び止め孔16aはラベル下部分5における商品情報5cの印刷面と反対側部分に形成されており(図3参照)、図5や図6のように肩や首に吊下げ紐40を掛けて携行する際、この商品情報5cの印刷面が常に携行者の外側に位置し、商品情報5cが常に第三者に露見されるようになされ、上記同様の効果を奏する。
【0025】
図5及び図6は、このようにして吊下げ紐40を用いてペットボトル1を携行し持ち運びする例を示している。図5は吊下げ紐40を肩掛け態様で使用する例を、図6は吊下げ紐40を首掛け態様で使用する例を示しており、いずれの態様でも、手が塞がることなくペットボトル1を携行することができ、不便を来たすことがなく、極めて便利である。
【0026】
尚、吊下げ紐40は、図5や図6の例のように肩や首に掛けて使用する場合に限らず、腰やベルト或いはリュック等に掛止して使用することができることは言うまでもない。また、ネック部12の吊下げ紐40が掛け止めされる部位は、ペットボトル1の一部位やキャップ2の基部2aなどに形成されたフック部や孔部であっても良い。更に、ペットボトル1の形状は図例のものに限定されず、他の形状のものであっても良いことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は本発明のペットボトルの外観構成の一例を示す斜視図、(b)はラベル上部分をペットボトルから取外した状態の斜視図、(c)はラベル上部分をループ状に引き伸ばして吊下げ紐とした状態の斜視図である。
【図2】(a)(b)(c)は同吊下げ紐をペットボトルに掛け止めする作業要領を示す要部の斜視図である。
【図3】(a)(b)は同吊下げ紐をペットボトルに掛け止めする態様の別の例を示す図であり、(a)は要部の斜視図、(b)は平面図である。
【図4】(a)(b)(c)は同吊下げ紐をペットボトルに掛け止めする態様の更に別の例を示す要部の斜視図である。
【図5】同吊下げ紐を肩掛けで使用する例を示す図である。
【図6】同吊下げ紐を首掛けで使用する例を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ペットボトル
11 胴部
12 ネック部
3 ラベル
4 ラベル上部分
4b 営業販促情報
40 吊下げ紐
5 ラベル下部分
5a 商品情報
5b 切り離し部
5c 営業販促情報
15a 紐孔(紐止部)
16a 結び止め孔(紐止部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルを胴部周りに装着させたペットボトルであって、
上記ラベルは上下2部分からなり、この上下2部分は互いに分離可能とされ、
上記ラベルの少なくとも上部分は、紐状態に引き伸ばし得るように横方向の伸張率の大きい樹脂素材で形成され、かつリング状態で上記胴部から抜き取り可能な状態で装着される一方、上記ラベルの下部分の表面には、商品情報が印刷されていることを特徴とするペットボトル。
【請求項2】
請求項1において、
上記ラベルの上部分は、胴部から抜き取られ引き伸ばされた状態では、ペットボトルのネック部分に掛け止め可能なリング状吊下げ紐とされ、
上記ネック部分には、上記吊下げ紐を掛け止めする紐止部を備えていることを特徴とするペットボトル。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記ラベルの上部分には、紐状に引き伸ばされたときに、判読可能な状態に拡大される宣伝情報や懸賞情報などの営業販促情報が縮小印刷される一方、上記ラベルの下部分の裏面にも、上記と同様の営業販促情報が印刷されていることを特徴とするペットボトル。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
上記ラベルの下部分は、縦方向に切開く為の切離し部を備え、この切開きによって該下部分が胴部から取り剥がし可能とされていることを特徴とするペットボトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−197065(P2007−197065A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19731(P2006−19731)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(506031535)
【Fターム(参考)】