説明

ペニシリン結合タンパク質(PBP)3トランスペプチダーゼドメイン

【課題】 結晶化および化合物の検定に利用可能なペニシリン結合タンパク質(PBP)3トランスペプチダーゼドメインのタンパク質を提供する。
【解決手段】 インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)PBP3のトランスペプチダーゼドメイン領域を同定し、インフルエンザ菌および大腸菌(Escherichia coli)PBP3トランスペプチダーゼドメインのタンパク質を製造した。また、ドメイン中に存在するループ領域を短縮化した改変タンパク質を製造した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶化および化合物の検定に利用するためのペニシリン結合タンパク質(PBP)3トランスペプチダーゼドメインに関する。
【背景技術】
【0002】
ペニシリン結合タンパク質(PBP)は細菌における細胞壁を構成する構造ユニットであるムレインモノマーを基質として細胞壁ペプチドグリカンを組み立てる一連の酵素群であり、細菌のペプチドグリカンの重合および架橋反応に働く膜結合型のタンパク質である。インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)には数種類のPBPが確認されているが、耐性菌として増加傾向にあるβ−ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性(BLNAR)インフルエンザ菌においては、PBP3における変異がβ−ラクタム薬の感受性低下に大きく関与している(非特許文献1参照)。また、配列番号1に示されるRd株(ATCC51907)由来PBP3においては、アミノ酸残基番号377のメチオニン、385のセリン、389のロイシン、517のアルギニンおよび526のアスパラギンが各々イソロイシン、スレオニン、フェニルアラニン、ヒスチジンおよびリジンに置換された変異が薬剤耐性に重要であることが示唆されている(非特許文献2参照)。従って、PBP3の立体構造を結晶構造解析により解明することは、耐性のメカニズムを説明するだけでなく、耐性菌に有効な新薬を創出する上でも非常に重要である。
【0003】
インフルエンザ菌由来PBP3は、細胞内ドメイン、膜貫通領域、N末端ドメインおよびトランスペプチダーゼドメインから構成される膜結合型タンパク質であり、細胞内ドメインおよび膜貫通領域を除去し、膜結合機能を喪失させたPBP3可溶性部分の調製方法が明らかになっているが、0.5M 塩化ナトリウムを含有した溶液で保存していることから、低塩濃度で安定に存在できるかは不明である(非特許文献3参照)。また、PBP3可溶性部分からさらにN末端ドメインを除去したトランスペプチダーゼドメインの調製方法は未だ明らかとなっていない。結晶化に関しては、N末端、C末端部位は具体的に言及がなかったものの、膜結合部位を除去したPBP3を発現、精製、結晶化した報告がある。その報告では結晶の写真を提示した上で、ある方向から結晶にX線を照射した場合には分解能3.5Å程度の回折点が得られたものの、X線を照射する向きによっては回折点の強度が弱かったために、新規な構造を決定するために必要な回折データを収集することは困難であったと口頭で発表していた(非特許文献4参照)。さらに、現時点において、膜結合型PBP3、PBP3可溶性部分およびPBP3トランスペプチダーゼドメインのいずれについても、結晶構造の報告はない。従って、結晶構造解析によりPBP3の立体構造を決定し、効率的な阻害剤の設計を可能とする高品質のPBP3結晶の創出が望まれている。
【0004】
一般にタンパク質のN末端、C末端やループ領域は構造が揺らいでいる場合があり、その際には複数のコンフォメーションを取り得ることから、タンパク質の揺らいでいる領域の除去やドメインの切り出しは均一のコンフォメーションから構成される高分解能のX線回折能を有する結晶を作製するために有効な手段である(非特許文献5参照)。その一つの方法としてタンパク質分解酵素による限定分解を利用してドメインを推定する方法が知られている。一般に、タンパク質分解酵素は基質特異性に応じてタンパク質の特定の部分を切断するが、ドメイン構造をとっていないループ部分は切断されやすい傾向にある。そのため、タンパク質分解酵素で消化したタンパク質の断片を同定することによりドメインを推定することが可能となる(非特許文献6参照)。しかしながら、推定した領域が揺らぎの少ない結晶化に最適なドメインであるかは断定できず、推定した領域の前後の長さからなる種々のタンパク質について、実際にタンパク質を製造し、性状を確認する必要がある。インフルエンザ菌PBP3においては、タンパク質分解酵素による限定分解の報告は知られておらず、結晶化に適したトランスペプチダーゼドメインの領域は未だ明らかでない。結晶化に適したPBP3トランスペプチダーゼドメインを新規に見出すことができれば、高品質の結晶を作製し、PBP3の立体構造を解明することに多いに貢献できると考えられる。
【0005】
さらに、タンパク質のN末端およびC末端以外の内部の領域に存在するループ部分に関しても、構造が揺らいでいるため、結晶化に好ましくない場合がある。例えば、SWISSPROT Accession番号P14677に登録されているアミノ酸配列を有する肺炎連鎖球菌R6株由来PBP2xでは、アミノ酸残基番号74〜93、184〜199、218〜229および257〜750に対応する各ポリペプチドを1から3アミノ酸残基のリンカーでつないで発現させたmini−PBP2xについて結晶化の報告がある(特許文献1参照)。しかしながら、インフルエンザ菌PBP3のトランスペプチダーゼドメインにおいて、構造の揺らいでいるループ部分がどの領域であるのか報告はない。従って、インフルエンザ菌PBP3において、結晶化の改善を目的としたループ部分の短縮化の方法については明らかでない。
【0006】
また、大腸菌(Escherichia coli)PBP3は、インフルエンザ菌由来PBP3との相同性が約80%と高く、立体構造の類似性が推測される。このため、大腸菌由来PBP3の立体構造の解明は、大腸菌に抗菌活性を示す阻害剤の設計のみならず、インフルエンザ菌に抗菌活性を示す阻害剤の設計に有用である。大腸菌PBP3は配列番号25のアミノ酸番号37および57のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸番号577のアミノ酸で終わる配列からなる可溶性部分について発現、精製の報告がある(非特許文献7参照)。また、結晶化に関しては、N末端、C末端部位は具体的に記載はないが、PBP3結晶の回折測定の報告がある。その報告では分解能6−7Å程度の回折点しか得られておらず、結晶構造の決定には至っていない(非特許文献8参照)。従って、大腸菌PBP3においてもインフルエンザ菌PBP3の場合と同様に、高品質の結晶の作製に適したトランスペプチダーゼドメインの領域は未だ明らかでなく、結晶化に適したPBP3トランスペプチダーゼドメインを新規に見出すことができれば、高品質の結晶を作製し、PBP3の立体構造を解明することに多いに貢献できると考えられる。
【特許文献1】WO2004/007541
【非特許文献1】Antimicrob.Agents Chemother. 45(6)1693−1699(2001)
【非特許文献2】Antimicrob.Agents Chemother. 49(7)2834−2839(2005)
【非特許文献3】Antimicrob.Agents Chemother. 48(5)1630−1639(2004)
【非特許文献4】朴 三用、「ペニシリン結合タンパク質の構造による新抗生物質の開発」、2006年12月13日、横浜市立大学第3回産学連携フォーラム「横浜市立大学・蛋白質構造解析コンソーシアム合同シンポジウム―タンパク質研究から創薬へ―」予稿集
【非特許文献5】BIOベンチャー 3(5)、36−39(2003)
【非特許文献6】METHODS IN ENZYMOLOGY.368、77−84(2003)
【非特許文献7】Biochem.J. 298、189−195(1994)
【非特許文献8】CHARLIER Paulette、外2名、“Structure of Penicillin−Binding Protein 3 from Escherichia coli.”、[online]、1999年8月30日、ESRF、[2007年2月9日検索]、インターネット<http://www.esrf.eu/smis/reports/gen/ls_1286_a.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これまでインフルエンザ菌および大腸菌PBP3の結晶構造は報告されていない。そのため、創薬において重要であるPBP3の立体構造情報が存在せず効率的な阻害剤の設計が困難である。また、結晶化に適したPBP3トランスペプチダーゼドメインの製造方法は不明である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、PBP3可溶性部分をタンパク質分解酵素で消化することにより、トランスペプチダーゼドメイン領域を類推した後、種々の候補タンパク質に関して検証し、結晶化に適したトランスペプチダーゼドメインを製造することで上記課題を解決する。
【0009】
本発明者らは、タンパク質分解酵素での消化による安定性が向上し、また低塩濃度下でも可溶性であるPBP3トランスペプチダーゼドメインの製造に成功した。また、ドメイン中に存在するループ領域を短縮化することで、コンフォメーションの揺らぎが減少したと考えられる改変タンパク質の製造にも成功した。これらのタンパク質は結晶化に用いることが可能である。
【0010】
すなわち、本発明は以下の発明を含有する。
(1)下記からなる群より選択される、トランスペプチダーゼ活性を有するタンパク質:
(a)配列番号1のアミノ酸番号225〜262のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸番号566〜607のいずれか一つのアミノ酸で終わる配列からなる、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)ペニシリン結合タンパク質(PBP)3のトランスペプチダーゼドメインからなるタンパク質。
(b)配列番号1において少なくとも85%の相同性を有するアミノ酸配列のアミノ酸番号225〜262に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸番号566〜607に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸で終わる配列からなる相同タンパク質。
(c)配列番号1において1個もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列のアミノ酸番号225〜262に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸番号566〜607に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸で終わる配列からなる改変タンパク質。
(2)配列番号1においてアミノ酸番号301〜308に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸番号315〜322に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸で終わるポリペプチドを3〜5残基の任意のアミノ酸からなるポリペプチドに置換していることを特徴とする、(1)記載のタンパク質。
(3)配列番号1においてアミノ酸番号306〜317に相当する配列からなるポリペプチドを3〜5残基の任意のアミノ酸からなるポリペプチドに置換していることを特徴とする、(1)記載のタンパク質。
(4)配列番号1においてアミノ酸番号306〜317に相当する配列からなるポリペプチドをグリシン、スレオニン、グリシン、グリシンである4残基のアミノ酸からなるポリペプチドに置換していることを特徴とする、(1)記載のタンパク質。
(5)配列番号1においてアミノ酸番号235、242、249、252のいずれか一つのアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸から始まり、アミノ酸番号576、581、586、593、597のいずれか一つのアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸で終わる、(1)〜(4)のいずれか一項に記載のタンパク質。
(6)配列番号2〜24からなる群より選択される配列からなる、(1)〜(5)のいずれか一項に記載のタンパク質。
(7)下記からなる群より選択される、トランスペプチダーゼ活性を有するタンパク質:
(a)配列番号25のアミノ酸番号205〜242のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸番号559〜579のいずれか一つのアミノ酸で終わる配列からなる、大腸菌(Escherichia coli)ペニシリン結合タンパク質(PBP)3のトランスペプチダーゼドメインからなるタンパク質。
(b)配列番号25において少なくとも85%の相同性を有するアミノ酸配列のアミノ酸番号205〜242に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸番号559〜579に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸で終わる配列からなる相同タンパク質。
(c)配列番号25において1個もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列のアミノ酸番号205〜242に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸番号559〜579に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸で終わる配列からなる改変タンパク質。
(8)配列番号25においてアミノ酸番号215、232のいずれか一つのアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸で始まり、アミノ酸番号569のアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸で終わる配列からなる、(7)記載のタンパク質。
(9)配列番号26および27からなる群より選択される配列からなる、(7)または(8)のいずれか一項に記載のタンパク質。
(10)(1)〜(9)のいずれか一項に記載のタンパク質中の少なくとも1つのメチオニン残基がセレノメチオニンに置換されているタンパク質。
(11)(1)〜(10)のいずれか一項に記載のタンパク質中の少なくとも1つのリジン残基が還元ジメチル化されているタンパク質。
(12)(1)〜(10)のいずれか一項に記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
(13)(12)記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
(14)(13)記載の組換えベクターにより形質転換された宿主細胞。
(15)(14)記載の宿主細胞を培養する工程、および該培養によって得られる宿主細胞もしくはその培養物から(1)〜(11)のいずれか一項に記載のタンパク質を採取する工程を含むタンパク質の製造方法。
(16)インフルエンザ菌または大腸菌PBP3に結合する化合物の検定方法において、(1)〜(11)のいずれか一項に記載のタンパク質を化合物と接触させ、ついで上記化合物がPBP3に結合するかどうかを検出することからなる方法。
(17)インフルエンザ菌または大腸菌PBP3のトランスペプチダーゼドメインの結晶を製造する方法であって、(1)〜(11)のいずれか一項に記載のタンパク質を製造する工程と、製造したタンパク質と結晶化剤とを接触させ、インフルエンザ菌または大腸菌PBP3のトランスペプチダーゼドメインの結晶を析出させる工程とを少なくとも含んでなる、方法。
(18)配列番号28〜31のいずれか一つの配列を有することを特徴とするプライマー。
(19)インフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメインのタンパク質に存在する揺らぎの大きいループ構造を短縮化した改変タンパク質を製造する方法であって、(18)記載のプライマーを遺伝子増幅反応法に利用する工程を含む、(2)〜(4)のいずれか一項に記載のタンパク質を製造する方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のPBP3トランスペプチダーゼドメインは膜結合領域のみを除去した可溶性部分と比較するとコンフォメーションの揺らいでいる領域が減少しているため、良質の結晶の製造に適している。本発明は、PBP3を阻害する化合物の効率的な設計等に役立つ結晶構造情報取得に活用できるため、創薬において極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
<<PBP3可溶性部分およびトランスペプチダーゼドメイン>>
本発明のPBP3トランスペプチダーゼを構成するタンパク質は、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)または大腸菌(Escherichia coli)由来のタンパク質である。また、本発明において、「トランスペプチダーゼ」とは、細菌細胞壁の一つの成分であるペプチドグリカンの生合成の最終段階に関与し、ペプチドグリカン連鎖を構成しているN−アセチルムラミン酸から伸びるポリペプチド鎖の架橋を触媒する酵素を意味する。さらに、「トランスペプチダーゼドメイン」とは、上記ポリペプチド鎖を架橋する能力を有し、β−ラクタム薬との結合が可能であるタンパク質の構造単位である。本発明における「相同タンパク質」とは、配列番号1または25に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%、さらに好ましくは98%の相同性を有するアミノ酸配列を含んでおり、かつトランスペプチダーゼ活性を有するタンパク質である。ここで示した相同性の数値は、当業者に公知の相同性検索プログラムであるFASTA(Science,227,1435−1441(1985);Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85,2444−2448(1988);http://www.ddbj.nig.ac.jp/search/fasta−j.html)においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いて算出される数値を示す。本発明における「改変タンパク質」とは、配列番号1または25で示されるアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を含んでおり、かつトランスペプチダーゼ活性を有するタンパク質である。ここで、「置換、欠失、付加もしくは挿入」などの改変に係るアミノ酸の数は、好ましくは1〜40個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜12個である。改変タンパク質の具体例としては、配列番号14〜21からなる群より選択される点変異体タンパク質および配列番号22〜24からなる群より選択される、後述する実施例7および8に記載のループ領域を短縮化した改変タンパク質が挙げられる。
【0013】
PBP3は、細胞内ドメイン、膜貫通領域、N末端ドメインおよびトランスペプチダーゼドメインから構成される膜結合型タンパク質である。PBP3可溶性部分とは、細胞内ドメインおよび膜貫通領域を除去し、膜結合機能を喪失させたPBP3である。PBP3可溶性部分は由来となる株およびN末端およびC末端が異なる種々のものが存在可能であるが、インフルエンザ菌においては、好ましくは、配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基番号67から610に相当するアミノ酸で構成され、大腸菌においては好ましくは、配列番号25に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基番号37または57に相当するアミノ酸から始まり610に相当するアミノ酸で終わるタンパク質で構成される。PBP3トランスペプチダーゼドメインは、PBP3可溶性部分からさらにN末端ドメインを除去したものであり、除去する領域の違いにより種々のものが存在可能である。トランスペプチダーゼドメインの推定方法としては精製したPBP3可溶性部分を種々の濃度のタンパク質分解酵素存在下で限定分解した試料の質量分析および生じた各断片のN末端アミノ酸配列分析により候補部位を決定することができる。しかしながら、推定した領域が揺らぎの少ない結晶化に最適のドメインであるか断定はできず、推定した領域の前後の長さからなる種々のタンパク質について、実際にタンパク質を製造し、溶解性等の性状を確認する必要がある。
【0014】
インフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメインとしては、配列番号1においてアミノ酸番号225〜262のいずれか一つのアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸から始まり、アミノ酸番号566〜607のいずれか一つのアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸で終わる配列からなるタンパク質が好ましい。また、より好ましくは配列番号1においてアミノ酸番号235、242、249、252のいずれか一つのアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸から始まり、アミノ酸番号576、581、586、593、597のいずれか一つのアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸で終わる配列からなるタンパク質が好ましい。具体例としては、例えば配列番号2〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるタンパク質が挙げられる。
【0015】
大腸菌PBP3トランスペプチダーゼドメインとしては、配列番号25においてアミノ酸番号205〜242のいずれか一つのアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸から始まり、アミノ酸番号559〜579のいずれか一つのアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸で終わる配列からなるタンパク質が好ましい。また、より好ましくは配列番号25においてアミノ酸番号215、232のいずれか一つのアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸から始まり、アミノ酸番号569のアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸で終わる配列からなるタンパク質が好ましい。具体例としては、例えば配列番号26〜27からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるタンパク質が挙げられる。
【0016】
<<インフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメインに存在するループ構造の短縮化>>
一般に、一つのドメインから構成されるタンパク質の内部の領域に存在するループ部分に関しても、構造が揺らいでいるため、結晶化に好ましくない場合がある。本発明者らは、インフルエンザ菌PBP3のトランスペプチダーゼドメイン内にタンパク質分解酵素に切断されやすい領域、すなわちコンフォメーションが揺らいでいると推測されるループ領域があることを見出した。具体的には、タンパク質分解酵素であるトリプシンを用いて限定分解を試みた際に、配列番号1におけるアミノ酸番号306、310、315、317の各アミノ酸の直後で切断されることを見出し、この部分を短縮化した改変タンパク質を製造した。この改変タンパク質は配列番号1においてアミノ酸番号301〜308に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸残基番号315〜322に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸で終わるポリペプチドを3〜5残基の任意のアミノ酸からなるポリペプチドに置換していることを特徴とするインフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメインの改変タンパク質である。より好ましくは、配列番号1においてアミノ酸番号306〜317に相当する配列からなるポリペプチドを3〜5残基の任意のアミノ酸からなるポリペプチドに置換していることを特徴とするインフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメインの改変タンパク質であり、さらに好ましくは配列番号1においてアミノ酸番号306〜317に相当する配列からなるポリペプチドをグリシン、スレオニン、グリシン、グリシンである4残基のアミノ酸からなるポリペプチドに置換していることを特徴とするインフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメインの改変タンパク質である。具体例としては、例えば配列番号22〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるタンパク質が挙げられる。
【0017】
また、本発明においては、上述の改変タンパク質の発現系を構築するためのプライマーが開示される。配列番号34〜37、43からなる群より選択されるプライマーに代表されるトランスペプチダーゼドメインのN末端部分に対応するプライマーと配列番号28記載のプライマーを遺伝子増幅反応法に利用することで、配列番号1においてアミノ酸番号225〜262のいずれか一つのアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸から始まり、アミノ酸番号305のアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸で終わる配列をコードするDNAの末端にグリシン、スレオニンをコードする制限酵素Kpn I 認識配列を付加した断片を増幅できる。また、配列番号38〜42、44からなる群より選択されるプライマーに代表されるトランスペプチダーゼドメインのC末端部分に対応するプライマーと配列番号29〜31からなる群より選択されるプライマーを遺伝子増幅反応法に利用することで、配列番号1においてアミノ酸番号318のアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸から始まり、アミノ酸番号566〜607のいずれか一つのアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸で終わる配列をコードするDNAの末端にグリシン、スレオニンをコードする制限酵素Kpn I 認識配列および1〜3アミノ酸残基のグリシンからなるリンカーをコードするDNA配列を付加した断片を増幅できる。上記の二つのDNA断片を結合させ、後述する発現ベクターに導入することで、ループ構造を短縮化したインフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメインの製造に必要な組換えベクターを作製できる。
【0018】
<<PBP3トランスペプチダーゼドメインをコードするポリヌクレオチド>>
本発明によれば、インフルエンザ菌および大腸菌PBP3トランスペプチダーゼドメイン、その相同タンパク質および改変タンパク質をコードするポリヌクレオチドが提供される。タンパク質のアミノ酸配列が与えられれば、それをコードする塩基配列は容易に定まり、よって、本発明のタンパク質をコードする種々の塩基配列を選択することができる。なお、本明細書において、用語「ポリヌクレオチド」には、DNAおよびRNAの両方が含まれ、DNAが好ましい。
【0019】
<<PBP3可溶性部分およびトランスペプチダーゼドメインの発現>>
PBP3可溶性部分およびトランスペプチダーゼドメインは、それをコードするDNA断片を、宿主細胞内で複製可能かつ同遺伝子が発現可能な状態で含むDNA分子、特にDNA発現ベクターの形態とし、それによって宿主細胞の形質転換を行い、その形質転換体を培養することによって得られる。このDNA分子は、ベクター分子にPBP3可溶性部分またはトランスペプチダーゼドメインをコードするDNA断片を組み込むことによって得ることができる。本発明の好ましい態様によれば、このベクターはプラスミドである。本発明において利用されるベクターは、使用する宿主細胞の種類を勘案して、ウィルス、プラスミド、コスミドベクターなどから適宜選択することができる。例えば宿主細胞が大腸菌の場合はpUC、pBR系のプラスミド、枯草菌の場合はpUB系のプラスミド、酵母の場合はYEp、YRp、YCp系のプラスミドベクターが挙げられる。宿主細胞としては、宿主−ベクター系が確立されているものであれば利用可能であり、好ましくは大腸菌が挙げられる。宿主細胞の形質転換により得られた形質転換体は、適当な条件で培養し、得られた形質転換体の細胞抽出液を慣用の方法に従い回収することができる。ここで、PBP3可溶性部分またはトランスペプチダーゼドメインに付加的ポリペプチド、例えばグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)またはヒスチジン残基に富むポリペプチド(His−tag)を融合タンパク質として発現することも慣用の技術により可能である。
【0020】
<<PBP3可溶性部分およびトランスペプチダーゼドメインの精製>>
大腸菌で発現させたPBP3可溶性部分およびトランスペプチダーゼドメインは、慣用のクロマトグラフィーの技術により精製が可能である。His−tagを付加して発現させた場合はニッケルイオンを固定化したアフィニティーカラムにより精製が可能であり、タグを付加しない場合においても、イオン交換カラム、Cibacron Blue等の色素を利用したブルーカラム、ハイドロキシアパタイトカラム、疎水性相互作用カラムやゲルろ過カラム等を組み合わせることで精製できる。
【0021】
<<PBP3トランスペプチダーゼドメインの結晶化>>
上記の方法により精製したタンパク質は結晶化に用いることが可能である。精製したタンパク質は、ハンプトンリサーチ社やキアゲン社等から市販されている結晶化試薬を用いた蒸気拡散法、マイクロバッチ法による結晶化スクリーニングに使用できる。場合によっては、さらに結晶化剤の濃度、pH、塩の種類と濃度、添加剤などの条件を最適化することによって、X線結晶構造解析に供することができる良質の結晶が得られる。また、シーディング法またはリザーバー溶液にオイルを重層することにより結晶核の形成および結晶成長をコントロールすることもできる。結晶化の温度は4℃〜20℃が一般的である。結晶化に用いるタンパク質としては、配列番号2〜24、26〜27からなる群より選択されるタンパク質のいずれを用いても良い。また、前記タンパク質中のメチオニン残基がセレノメチオニンに置換されたセレノメチオニン置換体やリジン残基を還元ジメチル化した修飾タンパク質も同様に結晶化に用いられる。結晶化に用いる精製タンパク質の濃度は、4〜20mg/mL程度であることが好ましい。そして、蛋白質溶液に結晶化剤、塩類、緩衝液、添加剤などを適当量加えて、結晶化を行う。本発明のPBP3の結晶化に用いられる結晶化剤としては、硫酸アンモニウムなどの無機塩類、ポリエチレングリコールなどの水溶性高分子、イソプロパノールやエタノールなどの有機溶媒などが挙げられる。また、緩衝液としては、公知の緩衝液のいずれも用いることができる。さらに添加剤としては、種々の金属イオン、有機溶媒、還元剤等を用いることができる。セレノメチオニン置換体の場合には未置換体の場合における周辺の条件で結晶を作製できる場合が多いが、セレン原子の酸化を抑制するためにジチオスレイトール等の還元剤を添加することが好ましい。
【0022】
<<PBP3トランスペプチダーゼドメインを用いた酵素アッセイ>>
上述した精製タンパク質はPBPに親和性のある標識化合物、例えばBOCILLIN FL(蛍光標識ベンジルペニシリン、Molecular Probes社製)や[H]ベンジルペニシリン等、を用いた既存の方法による酵素アッセイに利用することができる。既存の方法は、Antimicrob.Agents Chemother. 43(5)1124−1128(1999)や公開特許広報2004−290070号、等に記載されている。
【0023】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は実施例によって限定されるものではない。また、各種ベクターの作製、蛋白質の発現等は、特に記載のない限り、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,3rd edition(Sambrook and Russell著,Cold Spring Harbor laboratory Press刊(2001))などに記載の公知の手法に従って実施できる。
【実施例1】
【0024】
<<インフルエンザ菌PBP3可溶性部分をコードする遺伝子の構築>>
膜結合領域を除いたPBP3可溶性部分をコードするDNAを単離するため以下のプライマーを設計した。
【0025】
HI−PBP3−67−5:5’−CGCTTAATTAAACATATGACCGGATCCTCTATTAATGCCGATACGTT−3’(配列番号32)
HI−PBP3−610−3:5’−TTAGTTAGTTACCGGATCCCCTCGAGTTAATTCACTTTTTGATTCTTGT−3’(配列番号33)
【0026】
インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)Rd株ゲノムDNAを鋳型に、前記プライマーを用いて、Pyrobest DNA Polymerase(タカラバイオ社製)でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を添付の説明書に従い実施した。増幅したDNA断片をBamHIおよびXhoIで消化した。この断片を予めBamHIおよびXhoIで切断したベクターpET−30a(+)(Novagen社製)にT4 DNA Ligase(Invitrogen社製)を添付の説明書の方法に従い用い、サブクローニングした。得られた組換えプラスミドを大腸菌COMPETENT high DH5α(TOYOBO社製)に添付の説明書の方法に従い導入し、形質転換体を得た。形質転換体を、30μg/mLのカナマイシンを含むLB agarプレート上にて、37℃で一晩培養し、カナマイシン耐性コロニーを取得した。取得したコロニーから組換えプラスミド(pET−30a(+)_HI_67−610)を調製した。
【実施例2】
【0027】
<<インフルエンザ菌PBP3可溶性部分の発現>>
pET−30a(+)_HI_67−610を大腸菌BL21(DE3)(Novagen社製)に形質転換し、得られた形質転換体を30μg/mLのカナマイシンを含むLB培地(100mL)により37℃で一晩振とう培養した。培養液20mLを30μg/mLのカナマイシンを含むLB培地1Lに加え、37℃、3時間振とう培養し、終濃度1mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加し、25℃で3時間誘導後、遠心分離機によって集菌し、菌体をリン酸緩衝食塩水(PBS)に懸濁した後、再度、遠心分離機によって集菌し、−20℃で凍結保存した。菌体を菌体破砕バッファー(50mM HEPES pH7.5、500mM 塩化ナトリウム、5mM イミダゾール、1mM 2−メルカプトエタノール、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル、0.1mg/mL リゾチーム)に懸濁し、超音波処理により細胞を破砕した。遠心分離とそれに続く0.2μmのフィルターによって超音波処理の残渣を除去し、細胞抽出液を得た。
【実施例3】
【0028】
<<インフルエンザ菌PBP3可溶性部分の精製>>
(1)アフィニティークロマトグラフィーによる精製
以下の精製操作はすべて4℃で行った。実施例2の方法で得られた細胞抽出液をアフィニティークロマトグラフィーで精製した。アフィニティークロマトグラフィーカラムは、Ni−NTA(QIAGEN社製)を担体として用い、マニュアル記載の方法でカラム容量30mlのカラムを作製した。平衡化バッファー(50mM HEPES pH7.5、500mM 塩化ナトリウム、5mM イミダゾール、1mM 2−メルカプトエタノール、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル)で平衡化した後、細胞抽出液をアプライし、3カラム容量の平衡化バッファーで洗浄した後、50mM HEPES pH7.5、500mM 塩化ナトリウム、1mM 2−メルカプトエタノール、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル溶液中の5−250mM イミダゾールの直線勾配(20カラム容量)で溶出し、主要なフラクションをまとめて回収した。
【0029】
(2)疎水性相互作用クロマトグラフィーによる精製
上記(1)で得られたPBP3可溶性部分を、50mM HEPES pH 7.5、3.5M 硫酸アンモニウム、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル、1mM ジチオスレイトール溶液と混合し、硫酸アンモニウムの終濃度が2Mになるように調製した。調製したPBP3可溶性部分を平衡化バッファー(50mM HEPES pH 7.5、2M 硫酸アンモニウム、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル、1mM ジチオスレイトール)で平衡化した疎水性相互作用カラムであるRESOURCEPHE 6ml(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に、流速5mL/minでアプライした。3カラム容量の平衡化バッファーで洗浄した後、50mM HEPES pH 7.5、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル、1mM ジチオスレイトール溶液中の2−0M 硫酸アンモニウムの直線勾配(150mL)で溶出し、主要な画分をまとめた。
【0030】
(3)ゲルろ過クロマトグラフィーによる精製
上記(2)で得られたPBP3可溶性部分を保持分子量30000以上の限外ろ過膜であるAmicon Ultra−4 30,000 MWCO(ミリポア社製)を用いて濃縮し、ゲルろ過バッファー(50mM HEPES pH 7.5、500mM 塩化ナトリウム、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル、1mM ジチオスレイトール)で平衡化したゲルろ過カラムHiload 16/60 Superdex75 prep grade(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に流速1mL/minでアプライした。主要な画分をまとめ、上記記載の限外ろ過膜を用いてタンパク質濃度10mg/mLになるまで濃縮した。
【実施例4】
【0031】
<<トリプシン限定分解によるトランスペプチダーゼドメインの推定>>
実施例3で精製したインフルエンザ菌PBP3可溶性部分を50mM HEPES pH 7.5、500mM 塩化ナトリウム、2mM ジチオスレイトールでタンパク質終濃度2mg/mLに希釈した。次に、希釈液10μLを2mM EDTA含有の0.001−0.003mg/mL トリプシン(Trypsin TPCK treated From Bovine Pancreas、Sigma社製)溶液10μLと混合し、26℃、1時間反応後、サンプルを2等分した。一方は終濃度1mM PMSFおよび還元剤含有のSDS−PAGEサンプルバッファーと等量混合し、3分間煮沸後、SDS−PAGEにアプライし泳動した後、PVDF膜に転写し、主要なバンドを切り出しプロテインシークエンサーによりN末端アミノ酸配列を分析した。残りの一方は10分の1量の10%酢酸を加えた後、ZipTipC4(ミリポア社製)を用いて精製しMALDI−TOF型質量分析装置にて分子量を測定した。その結果、SDS−PAGEにおいて分子量39k、31k付近の主要なバンドが確認された。N末端アミノ酸配列の結果では、39k付近のバンドのN末端アミノ酸配列はNIVA、31k付近のバンドはVGV、SELMR、NRAITおよびAITDTFの混合物であった。質量分析では多数のピークが観測されたが、その中に分子量39000、31000付近にピークが存在しており、以上の結果から、SDS−PAGEでの39kのバンドは配列番号1に示されるアミノ酸番号235〜593、31kのバンドは307〜593、311〜593、316〜593および318〜593の混合物に対応することが判明した。従って、トランスペプチダーゼドメイン領域のN末端の候補としてアミノ酸番号235および307〜318付近、C末端の候補としてアミノ酸番号593付近が推定された。大腸菌ではアミノ酸配列の類似性から、トランスペプチダーゼドメイン領域のN末端の候補としてアミノ酸番号215付近、C末端の候補としてアミノ酸番号569付近を選択した。
【実施例5】
【0032】
<<インフルエンザ菌および大腸菌PBP3トランスペプチダーゼドメインをコードする遺伝子の構築>>
インフルエンザ菌および大腸菌PBP3トランスペプチダーゼドメインをコードするDNAを単離するため以下のプライマーを設計した。
【0033】
HI−PBP3−235−5:5’−cagccatatggggaatattgttgcacatatc−3’(配列番号34)
HI−PBP3−242−5:5’−cagccatatgtccgatgagaaaaaatatgatgc−3’(配列番号35)
HI−PBP3−249−5:5’−cagccatatggcacaagatgttaccttaagtatcg−3’(配列番号36)
HI−PBP3−252−5:5’−cagccatatggttaccttaagtatcgatgaaaaattgc−3’(配列番号37)
HI−PBP3−593−3:5’−cccctcgagttatttcgttgttgtgttttcagc−3’(配列番号38)
HI−PBP3−597−3:5’−cccctcgagttaacgttttgcacttttcgttg−3’(配列番号39)
HI−PBP3−586−3:5’−cccctcgagttatgcttcagcatcttgcggaatag−3’(配列番号40)
HI−PBP3−581−3:5’−cccctcgagttacggaatagcatttgcacg−3’(配列番号41)
HI−PBP3−576−3:5’−cccctcgagttaacgtaacgcatagcccataatgttag−3’(配列番号42)
HI−PBP3−235−5−2:5’−gggaattccatatggggaatattgttgcacatatc−3’(配列番号43)
HI−PBP3−593−3−2:5’−ccgctcgagtttcgttgttgtgttttcagc−3’(配列番号44)
HI−PBP3−307−5:5’−gggaattccatatggtcggcgtgaaatcagagtta−3’(配列番号45)
EC−PBP3−232−5:5’−catgctagcctggcgctgagtattgatgaacg−3’(配列番号46)
EC−PBP3−215−5:5’−catgctagcggtcgcgtaattgaagatattt−3’(配列番号47)
EC−PBP3−569−3:5’−gttctcgagttatgtcagcgcatccggctc−3’(配列番号48)
【0034】
インフルエンザ菌Rd株ゲノムDNA、変異導入株ゲノムDNA、大腸菌菌体抽出液または既に作製したプラスミドDNAを鋳型に、前記プライマーを適宜組み合わせて、Pyrobest DNA Polymerase(タカラバイオ社製)でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を添付の説明書に従い実施した。インフルエンザ菌変異導入株は、文献記載の方法により作製した(Antimicrob.Agents Chemother. 49(7)2834−2839(2005)。増幅したDNA断片を制限酵素で消化し、これらの断片を予め制限酵素で切断したベクターpET−21b(+)、pET−28b(+)またはpET−30a(+)(Novagen社製)にLigation high(TOYOBO社製)またはT4 DNA Ligase(Invitrogen社製)を添付の説明書の方法に従い用い、サブクローニングした。得られた組換えプラスミドを大腸菌COMPETENT high DH5α(TOYOBO社製)に添付の説明書の方法に従い導入し、形質転換体を得た。形質転換体を、100μg/mLのアンピシリンまたは30μg/mLのカナマイシンを含むLB agarプレート上にて、37℃で一晩培養し、薬剤耐性コロニーを取得した。取得したコロニーから組換えプラスミドを調製した。組換えベクター名、発現部位、プライマー、ベクターおよび制限酵素の組み合わせは表1に示す。
【0035】
【表1】

【実施例6】
【0036】
<<インフルエンザ菌および大腸菌PBP3トランスペプチダーゼドメインの発現>>
実施例5で作製した組換えベクターを大腸菌BL21(DE3)またはB834(DE3)(Novagen社製)に形質転換し、得られた形質転換体を50−100μg/mLのアンピシリンまたは30μg/mLのカナマイシンを含むSB培地(1.2%(w/v)Bacto Tryptone、2.4%(w/v)Yeast Extract、0.5%(v/v)グリセロール、0.072M リン酸水素二カリウム、0.028M リン酸二水素カリウム)中で600nmにおけるO.D.が約1に達するまで増殖させた。終濃度1mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加し、20℃で一晩誘導後、遠心分離機によって集菌した。菌体を菌体破砕バッファーに懸濁し、超音波処理を施し、細胞を破砕した。遠心分離によって超音波処理の残渣を除去し、細胞抽出液を得た。SDS−PAGEにより分析したところ、配列番号1においてアミノ酸番号307のアミノ酸から始まり、アミノ酸番号593のアミノ酸で終わる、配列番号49に示される配列からなるインフルエンザ菌PBP3は不溶性画分にのみタンパク質の発現が確認された。それ以外のタンパク質に関しては、一部分が不溶性画分へ発現しているものも認められたが、すべての組み合わせにおいて、可溶性画分へ発現していることが確かめられた。従って、トランスペプチダーゼドメインのN末端部位としては、配列番号1におけるアミノ酸番号307〜318は不適切であり、この領域はドメイン内でループ構造をとっていると推定された。組換えベクター、宿主、タグ、破砕バッファーの組み合わせは表2に示す。
【0037】
【表2】

【実施例7】
【0038】
<<インフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメインに存在するループ構造を短縮化した改変タンパク質をコードする遺伝子の構築>>
ループ構造を短縮化した改変タンパク質をコードするDNAを単離するため以下のプライマーを設計した。
【0039】
HI−PBP3−305−Gly−Thr−3:5’−cggggtaccgttgtttggattataagagggcgcagtcgc−3’(配列番号28)
HI−PBP3−Gly−Thr−Gly−318−5:5’−cggggtaccggtgcaattaccgatacttttgagccagtt−3’(配列番号29)
HI−PBP3−Gly−Thr−Gly2−318−5:5’−cggggtaccggtggtgcaattaccgatacttttgagcca−3’(配列番号30)
HI−PBP3−Gly−Thr−Gly3−318−5:5’−cggggtaccggtggtggtgcaattaccgatacttttgag−3’(配列番号31)
HI−PBP3−235−5−2:5’−gggaattccatatggggaatattgttgcacatatc−3’(配列番号43)
HI−PBP3−593−3−2:5’−ccgctcgagtttcgttgttgtgttttcagc−3’(配列番号44)
HI−PBP3−252−5:5’−cagccatatggttaccttaagtatcgatgaaaaattgc−3’(配列番号37)
HI−PBP3−586−3:5’−cccctcgagttatgcttcagcatcttgcggaatag−3’(配列番号40)
HI−PBP3−576−3:5’−cccctcgagttaacgtaacgcatagcccataatgttag−3’(配列番号42)
【0040】
実施例5に記載した組換えベクターpET−30a(+)_HI_235−593を鋳型に、前記プライマーを適宜組み合わせて用い、Pyrobest DNA Polymerase(タカラバイオ社製)でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を添付の説明書に従い実施した。増幅したDNA断片とプライマーの組み合わせを表3に示す。
【0041】
【表3】

【0042】
増幅したDNA断片1を制限酵素NdeIおよびKpnIで消化し、DNA断片3をKpnIおよびXhoIで消化した。これらの断片を予めNdeIおよびXhoIで切断したベクターpET−30a(+)(Novagen社製)にT4 DNA Ligase(Invitorgen社製)を添付の説明書の方法に従い用い、サブクローニングした。得られた組換えプラスミドを大腸菌COMPETENT high DH5α(TOYOBO社製)に添付の説明書の方法に従い導入し、形質転換体を得た。形質転換体を、30μg/mLのカナマイシンを含むLB agarプレート上にて、37℃で一晩培養し、カナマイシン耐性コロニーを取得した。取得したコロニーから組換えプラスミド(pET−30a(+)_HI_235−305−GTGG−318−593)を調製した。
【0043】
次に、組換えベクターpET−30a(+)_HI_235−305−GTGG−318−593を鋳型に、プライマーHI−PBP3−252−5とHI−PBP3−576−3、またはHI−PBP3−252−5とHI−PBP3−586−3を組み合わせて用い、Pyrobest DNA Polymerase(タカラバイオ社製)でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を添付の説明書に従い実施し、各々DNA断片5および6を得た。増幅したDNA断片5および6を制限酵素NdeIおよびXhoIで消化した。これらの断片を予めNdeIおよびXhoIで切断したベクターpET−21b(+)(Novagen社製)にLigation High(TOYOBO社製)を添付の説明書の方法に従い用い、サブクローニングした。得られた組換えプラスミドを大腸菌COMPETENT high DH5α(TOYOBO社製)に添付の説明書の方法に従い導入し、形質転換体を得た。形質転換体を、100μg/mLのアンピシリンを含むLB agarプレート上にて、37℃で一晩培養し、アンピシリン耐性コロニーを取得した。取得したコロニーから組換えプラスミド(pET−21b(+)_HI_252−305−GTGG−318−576およびpET−21b(+)_HI_252−305−GTGG−318−586)を調製した。
【実施例8】
【0044】
<<インフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメインに存在するループ構造を短縮化した改変タンパク質の発現>>
実施例7で作製した組換えベクターを大腸菌B834(DE3)(Novagen社製)に形質転換し、得られた形質転換体を100μg/mLのアンピシリンまたは30μg/mLのカナマイシンを含むSB培地(1.2%(w/v)Bacto Tryptone、2.4%(w/v)Yeast Extract、0.5%(v/v)グリセロール、0.072M リン酸水素二カリウム、0.028M リン酸二水素カリウム)中で600nmにおけるO.D.が約1に達するまで増殖させた。終濃度1mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加し、20℃で一晩誘導後、遠心分離機によって集菌した。菌体を菌体破砕バッファーに懸濁し、超音波処理を施し、細胞を破砕した。遠心分離によって超音波処理の残渣を除去し、細胞抽出液を得た。SDS−PAGEにより分析したところ、一部が不溶性画分へ発現しているものも認められたが、目的タンパク質のすべての組み合わせにおいて、可溶性画分へ発現していることが確かめられた。組換えベクター、宿主、タグ、破砕バッファーの組み合わせは表4に示す。
【0045】
【表4】

【実施例9】
【0046】
<<インフルエンザ菌および大腸菌PBP3トランスペプチダーゼドメインのセレノメチオニン置換体の発現>>
(1)インフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメイン改変タンパク質(アミノ酸配列番号22)のセレノメチオニン置換体の発現
MAD法によるX線結晶構造解析に使用する重原子誘導体結晶を作製するために、メチオニンの硫黄原子が重原子であるセレンに置換されたセレノメチオニン置換体の発現を試みた。実施例8で得られた形質転換体(大腸菌B834(DE3)/pET−30a(+)_HI_235−305−GTGG−318−593)を30μg/mLのカナマイシンを含むLB培地100mLにて、37℃で一晩培養し、遠心分離機で集菌後、100mlのLeMaster培地(組成は表5に示す)で懸濁し、再度、遠心分離機によって集菌し、LeMaster培地100mlに再懸濁した。この懸濁液を30μg/mLのカナマイシンを含む5LのLeMaster培地に接種し、600nmにおけるO.D.が約1に達するまで増殖させた。終濃度1mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加し、20℃で10時間誘導後、遠心分離機によって集菌し、菌体をリン酸緩衝食塩水(PBS)に懸濁した後、再度、遠心分離機によって集菌し、−20℃で凍結保存した。菌体を菌体破砕バッファー(50mM HEPES pH 7.5、500mM 塩化ナトリウム、5mM イミダゾール、1mM EDTA、1mM 2−メルカプトエタノール、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル、1μM ロイペプチン、1μM ペプスタチンA、0.1mg/mL リゾチーム)に懸濁し、超音波処理により細胞を破砕した。遠心分離とそれに続く0.2μmのフィルターによって超音波処理の残渣を除去し、細胞抽出液を得た。
【0047】
【表5】

【0048】
(2)大腸菌PBP3トランスペプチダーゼドメイン(アミノ酸配列番号26)のセレノメチオニン置換体の発現
MAD法によるX線結晶構造解析に使用する重原子誘導体結晶を作製するために、メチオニンの硫黄原子が重原子であるセレンに置換されたセレノメチオニン置換体の発現を試みた。実施例6で得られた形質転換体(大腸菌B834(DE3)/pET−21b(+)_EC_215−569)を50μg/mLのアンピシリンを含むLB培地100mLにて、37℃で一晩培養し、半量を遠心分離機で集菌後、50μg/mLのアンピシリンを含む50mlのLeMaster培地で懸濁し、再度、遠心分離機によって集菌し、50μg/mLのアンピシリンを含むLeMaster培地50mlに再懸濁した。この懸濁液を50μg/mLのアンピシリンを含む4.8LのLeMaster培地に24mL接種し、600nmにおけるO.D.が約1に達するまで増殖させた。終濃度1mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加し、20℃で一晩誘導後、遠心分離機によって集菌し、菌体をリン酸緩衝食塩水(PBS)200mLに懸濁した後、再度、遠心分離機によって集菌し、−20℃で凍結保存した。菌体を菌体破砕バッファー(50mM リン酸ナトリウムバッファー pH8.0、1mM EDTA、5mM 2−メルカプトエタノール、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル、1μM ロイペプチン、1μM ペプスタチンA、0.1mg/mL リゾチーム)に懸濁し、超音波処理により細胞を破砕した。遠心分離とそれに続く0.2μmのフィルターによって超音波処理の残渣を除去し、細胞抽出液を得た。
【実施例10】
【0049】
<<インフルエンザ菌および大腸菌PBP3トランスペプチダーゼドメインの精製>>
(1)インフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメイン(アミノ酸配列番号2)の精製
(1−1)ニッケルカラムによる精製
以下の精製操作はすべて4℃で行った。BL21(DE3)/pET−30a(+)_HI_235−593の組換え大腸菌培養液(2L)から実施例6の方法で得られた細胞抽出液をアフィニティークロマトグラフィーで精製した。アフィニティークロマトグラフィーカラムは、Ni−NTA(QIAGEN社製)を担体として用い、マニュアル記載の方法でカラム容量30mlのカラムを作製した。平衡化バッファー(50mM HEPES pH 7.5、500mM 塩化ナトリウム、5mM イミダゾール、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル、1mM 2―メルカプトエタノール)で平衡化した後、細胞抽出液を流速3mL/minでアプライし、平衡化バッファーで洗浄した後、50mM HEPES pH 7.5、500mM 塩化ナトリウム、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル、1mM 2―メルカプトエタノール溶液中の5−250mM イミダゾールの直線勾配(3カラム容量)で溶出した。主要なフラクションをまとめて回収した。
【0050】
(1−2)疎水性相互作用カラムによる精製
上記(1−1)で得られたサンプルを、50mM HEPES pH 7.5、3.5M 硫酸アンモニウム、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル、1mM ジチオスレイトール溶液と混合し、硫酸アンモニウムの終濃度が2Mになるように調製した。平衡化バッファー(50mM HEPES pH 7.5、2M 硫酸アンモニウム、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル、1mM ジチオスレイトール)で平衡化した疎水性相互作用カラムであるRESOURCEPHE 6ml(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に、流速5mL/minでサンプルをアプライした。3カラム容量の平衡化バッファーで洗浄した後、50mM HEPES pH 7.5、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル、1mM ジチオスレイトール溶液中の2−0M 硫酸アンモニウムの直線勾配(150mL)で溶出し、主要な画分をまとめた。
【0051】
(1−3)ゲルろ過カラムによる精製
上記(1−2)で得られたサンプルを限外ろ過膜を用いて濃縮し、ゲルろ過バッファー(50mM HEPES pH 7.5、500mM 塩化ナトリウム、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル、1mM ジチオスレイトール)で平衡化したゲルろ過カラムHiload 16/60 Superdex75 prep grade(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に流速1mL/minでアプライした。主要な画分を各々まとめ、終濃度500mMまたは100mM 塩化ナトリウムの両方の条件下でタンパク質濃度10mg/mLになるまで限外ろ過膜を用いて濃縮した。その結果、いずれの塩濃度下においても沈殿は生じなかった。また、BOCILLIN FL(蛍光標識ベンジルペニシリン、Molecular Probes社製)溶液と混合した後(終濃度10μM)、37℃で20分間反応させ、SDS−PAGEを実施した。励起波長473nmのレーザーを照射し、波長520nm以上の蛍光を検出した結果、精製したPBP3トランスペプチダーゼドメインはBOCILLIN FLとの結合能を保持していることが確かめられた。
【0052】
(2)インフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメイン(アミノ酸配列番号3〜5、8および9)の精製
(2−1)ニッケルカラムによる精製
以下の精製は4℃で行った。B834(DE3)/pET−28b(+)_HI_235−597、B834(DE3)/pET−28b(+)_HI_242−597、B834(DE3)/pET−28b(+)_HI_242−593、B834(DE3)/pET−28b(+)_HI_249−597およびB834(DE3)/pET−28b(+)_HI_249−593の組換え大腸菌培養液(400mL)から実施例6の方法で得られた細胞抽出液をアフィニティークロマトグラフィーで精製した。HiTrap Chelatingカラム 5mL(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)にマニュアル記載の方法でニッケルを結合させた後、平衡化バッファー(20mM リン酸ナトリウムバッファー pH 7.4、500mM 塩化ナトリウム、20mM イミダゾール)で平衡化した。そこへ細胞抽出液を流速2mL/minでアプライし、流速4mL/minで5カラム容量の平衡化バッファーにより洗浄した後、20mM リン酸ナトリウムバッファー pH 7.4、500mM 塩化ナトリウム溶液中の20mM−500mM イミダゾールの直線勾配(10カラム容量)で溶出し、主要なフラクションをまとめて回収した。
【0053】
(2−2)His−tagの除去
上記(2−1)で精製したサンプルを透析バッファー(20mM トリス塩酸 pH 7.9、200mM 塩化ナトリウム、1mM EDTA)に対して透析した後、終濃度8unit/mLのトロンビン(シグマ社製)を添加し、8℃で一晩反応させた後、フッ化フェニルメチルスルホニルを終濃度1mMになるよう添加し反応を止めた。次に、終濃度20mMとなるようにイミダゾールを添加し、平衡化バッファー(20mM トリス塩酸 pH 7.9、200mM 塩化ナトリウム、1mM EDTA)で平衡化したNi Sepharose High Performance(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)担体を加えた。4℃で一時間混合した後、遠心分離により上清を回収した。
【0054】
(2−3)ブルーカラムによる精製
上記(2−2)で得られたサンプルをHiTrap Blue 5mL(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて精製した。流速は5mL/minであり、平衡化バッファー(20mM トリス塩酸 pH 7.9、200mM 塩化ナトリウム、1mM EDTA)で平衡化したカラムにサンプルをアプライし、2カラム容量の平衡化バッファーで洗浄した後、20mM トリス塩酸 pH 7.9、1mM EDTA溶液中の200−2000mM 塩化ナトリウムの直線勾配(20カラム容量)で溶出した。SDS−PAGEを実施し、主要な溶出画分をまとめた。
【0055】
(2−4)陽イオン交換カラムによる精製
上記(2−3)で得られたサンプルをMonoS HR10/10(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて精製した。サンプルを平衡化バッファー(20mM HEPES pH7.5、50mM 塩化ナトリウム、1mM EDTA)に対して透析した。平衡化バッファーで平衡化したカラムに流速4mL/minでサンプルをアプライし、2カラム容量の平衡化バッファーで洗浄した後、20mM HEPES pH7.5、1mM EDTA溶液中の50−500mM 塩化ナトリウムの直線勾配(20カラム容量)で溶出した。SDS−PAGEを実施し、主要な画分をまとめ、保持分子量30000以上の限外ろ過膜であるAmicon Ultra−4 30,000 MWCO(ミリポア社製)を用いて、終濃度200mM 塩化ナトリウムの条件下でタンパク質濃度10mg/mLになるまで濃縮した。濃縮したサンプルをBOCILLIN FL(蛍光標識ベンジルペニシリン、Molecular Probes社製)溶液と混合した後(終濃度10μM)、室温で20分間反応させ、SDS−PAGEを実施した。励起波長473nmのレーザーを照射し、波長520nm以上の蛍光を検出した結果、精製したサンプルはBOCILLIN FLとの結合能を保持していることが確かめられた。
【0056】
(3)インフルエンザ菌PBP3点変異体トランスペプチダーゼドメイン(アミノ酸配列番号15、16および19)の精製
(3−1)ニッケルカラムによる精製
以下の精製は4℃で行った。BL21(DE3)/pET−30a(+)_HI_235−593(M377I, S385T, R517H)、BL21(DE3)/pET−30a(+)_HI_235−593(S385T, N526K)およびB834(DE3)/pET−30a(+)_HI_235−593(M377I, S385T, L389F, N526K)の組換え大腸菌培養液(400mL)から実施例6の方法で得られた細胞抽出液をアフィニティークロマトグラフィーで精製した。HiTrap Chelatingカラム 5mL(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)にマニュアル記載の方法でニッケルを結合させた後、平衡化バッファー(20mM リン酸ナトリウムバッファー pH 7.4、500mM 塩化ナトリウム、20mM イミダゾール)で平衡化した。そこへ細胞抽出液を流速2mL/minでアプライし、流速4mL/minで5カラム容量の平衡化バッファーにより洗浄した後、20mM リン酸ナトリウムバッファー pH 7.4、500mM 塩化ナトリウム溶液中の20mM−500mM イミダゾールの直線勾配(10カラム容量)で溶出し、主要なフラクションをまとめて回収した。
【0057】
(3―2)ブルーカラムによる精製
上記(3−1)で精製したサンプルを透析バッファー(20mM トリス塩酸 pH 7.9、50mM 塩化ナトリウム、1mM EDTA)に対して透析した後、HiTrap Blue 5mL(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて精製した。流速は5mL/minであり、平衡化バッファー(20mM トリス塩酸 pH 7.9、200mM 塩化ナトリウム、1mM EDTA)で平衡化したカラムにサンプルをアプライし、2カラム容量の平衡化バッファーで洗浄した後、20mM トリス塩酸 pH 7.9、1mM EDTA溶液中の200−2000mM 塩化ナトリウムの直線勾配(20カラム容量)で溶出した。SDS−PAGEを実施し、主要な溶出画分をまとめ、保持分子量30000以上の限外ろ過膜であるAmicon Ultra−4 30,000 MWCO(ミリポア社製)を用いて、終濃度200mM 塩化ナトリウムの条件下でタンパク質濃度10mg/mLになるまで濃縮した。
【0058】
(4)インフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメインに存在するループ構造を短縮化した改変タンパク質(アミノ酸配列番号22)のセレノメチオニン置換体の精製
(4−1)ニッケルカラムによる精製
以下の精製操作はすべて4℃で行った。実施例9(1)の方法で得られた細胞抽出液をアフィニティークロマトグラフィーで精製した。アフィニティークロマトグラフィーカラムは、Ni−NTA(QIAGEN社製)を担体として用い、マニュアル記載の方法でカラム容量30mlのカラムを作製した。平衡化バッファー(50mM HEPES pH 7.5、500mM 塩化ナトリウム、5mM イミダゾール、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル、1mM 2―メルカプトエタノール、1μM ロイペプチン、1μM ペプスタチンA)で平衡化した後、細胞抽出液を流速3mL/minでアプライし、平衡化バッファーで洗浄した後、溶出バッファー(50mM HEPES pH 7.5、500mM 塩化ナトリウム、500mM イミダゾール、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル、1mM 2―メルカプトエタノール、1μM ロイペプチン、1μM ペプスタチンA)で溶出した。
【0059】
(4−2)疎水性相互作用カラムによる精製
上記(4−1)で得られたサンプルを、50mM HEPES pH 7.5、3.5M 硫酸アンモニウム5mM ジチオスレイトール溶液と混合し、硫酸アンモニウムの終濃度が約1.5Mになるように調製した。調製したサンプルを平衡化バッファー(50mM HEPES pH 7.5、2M 硫酸アンモニウム、5mM ジチオスレイトール)で平衡化した疎水性相互作用カラムであるRESOURCEPHE 6ml(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に、流速5mL/minでアプライした。3カラム容量の平衡化バッファーで洗浄した後、50mM HEPES pH 7.5、5mM ジチオスレイトール溶液中の2−0M 硫酸アンモニウムの直線勾配(150mL)で溶出し、主要な画分をまとめた。
【0060】
(4−3)ゲルろ過カラムによる精製
上記(4−2)で得られたサンプルを限外ろ過膜で濃縮し、ゲルろ過バッファー(50mM HEPES pH 7.5、500mM 塩化ナトリウム、5mM ジチオスレイトール)で平衡化したゲルろ過カラムHiload 16/60 Superdex75 prep grade(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に流速1mL/minでアプライし、主要な画分をまとめた。
【0061】
(4−4)陽イオン交換カラムによる精製
上記(4−3)で得られたサンプルをMonoS HR10/10(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて精製した。サンプルを平衡化バッファー(50mM HEPES pH7.5、50mM 塩化ナトリウム、5mM ジチオスレイトール)に対して透析した。平衡化バッファーで平衡化したカラムに流速2mL/minでサンプルをアプライし、流速3mL/minで3カラム容量の平衡化バッファーで洗浄した後、20mM HEPES pH7.5、5mM ジチオスレイトール溶液中の50−500mM 塩化ナトリウムの直線勾配(75mL)で溶出した。溶出画分をBOCILLIN FL(蛍光標識ベンジルペニシリン、Molecular Probes社製)溶液と混合した後(終濃度10μM)、37℃で20分間反応させ、SDS−PAGEを実施した。励起波長473nmのレーザーを照射し、波長520nm以上の蛍光を検出した結果、精製したサンプルはBOCILLIN FLとの結合能を保持していることが確かめられた。限外ろ過膜を用いて、終濃度50mM 塩化ナトリウムの条件下でタンパク質濃度10mg/mLになるまで濃縮した。
【0062】
(5)大腸菌PBP3トランスペプチダーゼドメイン(アミノ酸配列番号26)のセレノメチオニン置換体の精製
(5−1)陰イオン交換カラムによる精製
以下の精製操作はすべて4℃で行った。実施例9(2)の方法で得られた細胞抽出液を陰イオン交換クロマトグラフィーで精製した。Q Sepharose HP(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を担体として用い、マニュアル記載の方法でカラム容量114mLのカラムを作製した。平衡化バッファー(50mM リン酸ナトリウムバッファー pH6.0、1mM EDTA、5mM 2−メルカプトエタノール)で平衡化した後、流速2.5mL/minでサンプルをアプライし、流速5mL/minで約2カラム容量の平衡化バッファーで洗浄した後、50mM リン酸ナトリウムバッファー pH6.0、1mM EDTA、5mM 2−メルカプトエタノール溶液中の0−1M 塩化ナトリウムの直線勾配(720mL)で溶出し、SDS−PAGEにより主要なフラクションをまとめて回収した。
【0063】
(5−2)ブルーカラムによる精製
上記(5−1)で精製したサンプルを透析バッファー(20mM トリス塩酸 pH 8.5、1mM EDTA、5mM 2−メルカプトエタノール)に対して透析した後、HiTrap Blue 1mL(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて精製した。精製はサンプルを9回に分けて実施した。流速は1mL/minであり、平衡化バッファー(20mM トリス塩酸 pH 8.5、1mM EDTA、5mM 2−メルカプトエタノール)で平衡化したカラムにサンプルをアプライし、2カラム容量の平衡化バッファーで洗浄した後、20mM トリス塩酸 pH 8.5、1mM EDTA、5mM 2−メルカプトエタノール溶液中の0−2M 塩化ナトリウムの直線勾配(17.5カラム容量)で溶出し主要な溶出画分をまとめた。
【0064】
(5−3)ゲルろ過カラムによる精製
上記(5−2)で得られたサンプルを保持分子量30000以上の限外ろ過膜であるAmicon Ultra−15 30,000 MWCO(ミリポア社製)を用いて濃縮し、ゲルろ過バッファー(20mM Tris塩酸 pH 7.9、150mM 塩化ナトリウム、1mM EDTA、1mM ジチオスレイトール)で平衡化したゲルろ過カラムHiload 16/60 Superdex75 prep grade(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に流速1mL/minでアプライした。精製は2回に分けて実施した。主要な画分をまとめ、保持分子量10000以上の限外ろ過膜であるAmicon Ultra−15 10,000 MWCO(ミリポア社製)を用いて、バッファー置換および濃縮し、10mM Tris塩酸 pH 7.9、150mM 塩化ナトリウム、1mM ジチオスレイトール条件下、タンパク質濃度10mg/mLに調製した。
【実施例11】
【0065】
<<インフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメインの還元ジメチル化>>
実施例10(4)で精製したインフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメイン(アミノ酸配列番号22)のセレノメチオニン置換体のリジン残基を文献(Biochem. Biophys. Res. Commun. 2000, 275(2), 549−552)記載の方法に従い還元ジメチル化した。得られたサンプルを陽イオン交換カラムであるMonoS HR10/10(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて精製した。流速は4mL/minであり、平衡化バッファー(20mM HEPES pH 7.5、1mM EDTA、50mM 塩化ナトリウム)で平衡化したカラムにサンプルをアプライし、2カラム容量の平衡化バッファーで洗浄した後、20mM HEPES pH 7.5、1mM EDTA中の50−525mM 塩化ナトリウムの直線勾配(20カラム容量)で溶出した。SDS−PAGEを実施し、主要な溶出画分をまとめ、塩化ナトリウムの終濃度が0.2Mになるように調製し、タンパク質濃度10mg/mLになるように濃縮した。エレクトロスプレイイオン化法による質量分析装置により解析したところ、分子量39798に主要なピークが確認されたことから、今回の還元ジメチル化タンパク質は、計算値で39807の分子量を示す、リジン残基23個とN末端の合計24箇所のジメチル化修飾候補部位において22箇所がジメチル化されたと考えられた。
【実施例12】
【0066】
<<インフルエンザ菌PBP3可溶性部分、インフルエンザ菌および大腸菌PBP3トランスペプチダーゼドメインの結晶化スクリーニング>>
実施例3、10および11で調製したサンプルは、シッティングドロップ蒸気拡散法により結晶化スクリーニングを実施した。タンパク質溶液0.5μLと結晶化剤0.5μLを混合し結晶化ドロップとし、リザーバー溶液として結晶化剤50−100μLを分注した後、密閉したプレートを4℃〜20℃の恒温槽内に静置した。結晶化剤としてはキアゲン社等から市販されている試薬を利用した。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のPBP3トランスペプチダーゼドメインは新規なタンパク質であり、阻害剤の効率的な設計等に有効な結晶構造情報取得に利用できる良質の結晶の製造に利用できるため、産業上極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記からなる群より選択される、トランスペプチダーゼ活性を有するタンパク質:
(a)配列番号1のアミノ酸番号225〜262のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸番号566〜607のいずれか一つのアミノ酸で終わる配列からなる、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)ペニシリン結合タンパク質(PBP)3のトランスペプチダーゼドメインからなるタンパク質。
(b)配列番号1において少なくとも85%の相同性を有するアミノ酸配列のアミノ酸番号225〜262に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸番号566〜607に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸で終わる配列からなる相同タンパク質。
(c)配列番号1において1個もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列のアミノ酸番号225〜262に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸番号566〜607に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸で終わる配列からなる改変タンパク質。
【請求項2】
配列番号1においてアミノ酸番号301〜308に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸番号315〜322に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸で終わるポリペプチドを3〜5残基の任意のアミノ酸からなるポリペプチドに置換していることを特徴とする、請求項1記載のタンパク質。
【請求項3】
配列番号1においてアミノ酸番号306〜317に相当する配列からなるポリペプチドを3〜5残基の任意のアミノ酸からなるポリペプチドに置換していることを特徴とする、請求項1記載のタンパク質。
【請求項4】
配列番号1においてアミノ酸番号306〜317に相当する配列からなるポリペプチドをグリシン、スレオニン、グリシン、グリシンである4残基のアミノ酸からなるポリペプチドに置換していることを特徴とする、請求項1記載のタンパク質。
【請求項5】
配列番号1においてアミノ酸番号235、242、249、252のいずれか一つのアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸から始まり、アミノ酸番号576、581、586、593、597のいずれか一つのアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸で終わる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のタンパク質。
【請求項6】
配列番号2〜24からなる群より選択される配列からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のタンパク質。
【請求項7】
下記からなる群より選択される、トランスペプチダーゼ活性を有するタンパク質:
(a)配列番号25のアミノ酸番号205〜242のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸番号559〜579のいずれか一つのアミノ酸で終わる配列からなる、大腸菌(Escherichia coli)ペニシリン結合タンパク質(PBP)3のトランスペプチダーゼドメインからなるタンパク質。
(b)配列番号25において少なくとも85%の相同性を有するアミノ酸配列のアミノ酸番号205〜242に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸番号559〜579に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸で終わる配列からなる相同タンパク質。
(c)配列番号25において1個もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列のアミノ酸番号205〜242に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸から始まり、アミノ酸番号559〜579に相当するアミノ酸番号のいずれか一つのアミノ酸で終わる配列からなる改変タンパク質。
【請求項8】
配列番号25においてアミノ酸番号215、232のいずれか一つのアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸で始まり、アミノ酸番号569のアミノ酸またはそれに相当するアミノ酸で終わる配列からなる、請求項7記載のタンパク質。
【請求項9】
配列番号26および27からなる群より選択される配列からなる、請求項7または8のいずれか一項に記載のタンパク質。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のタンパク質中の少なくとも1つのメチオニン残基がセレノメチオニンに置換されているタンパク質。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のタンパク質中の少なくとも1つのリジン残基が還元ジメチル化されているタンパク質。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
【請求項13】
請求項12記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
【請求項14】
請求項13記載の組換えベクターにより形質転換された宿主細胞。
【請求項15】
請求項14記載の宿主細胞を培養する工程、および該培養によって得られる宿主細胞もしくはその培養物から請求項1〜11のいずれか一項に記載のタンパク質を採取する工程を含むタンパク質の製造方法。
【請求項16】
インフルエンザ菌または大腸菌PBP3に結合する化合物の検定方法において、請求項1〜11のいずれか一項に記載のタンパク質を化合物と接触させ、ついで上記化合物がPBP3に結合するかどうかを検出することからなる方法。
【請求項17】
インフルエンザ菌または大腸菌PBP3のトランスペプチダーゼドメインの結晶を製造する方法であって、請求項1〜11のいずれか一項に記載のタンパク質を製造する工程と、製造したタンパク質と結晶化剤とを接触させ、インフルエンザ菌または大腸菌PBP3のトランスペプチダーゼドメインの結晶を析出させる工程とを少なくとも含んでなる、方法。
【請求項18】
配列番号28〜31のいずれか一つの配列を有することを特徴とするプライマー。
【請求項19】
インフルエンザ菌PBP3トランスペプチダーゼドメインのタンパク質に存在する揺らぎの大きいループ構造を短縮化した改変タンパク質を製造する方法であって、請求項18記載のプライマーを遺伝子増幅反応法に利用する工程を含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載のタンパク質を製造する方法。

【公開番号】特開2008−220317(P2008−220317A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66037(P2007−66037)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000006091)明治製菓株式会社 (180)
【Fターム(参考)】