説明

ペプチドおよびその使用

本発明は、抗真菌剤として用いるペプチドに関する。ペプチドは、5〜15個の塩基性アミノ酸の配列を含み、前記配列におけるアミノ酸の実質的に全部が同じである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真菌感染症の処置におけるペプチドおよびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
全身性真菌性疾患(全身性真菌症)は、一般的に、慢性であり、通常は病原性ではないが、感染しやすい患者にとって重大な脅威になりうる日和見性原因真菌によって非常にゆっくり引き起こされる。感染しやすい個体は、原発性(先天性)免疫不全症を有するもの、入院している、または留置外科装置(例えば、ヒックマンカテーテルおよび正中線カテーテル)を用いて長期間生活しているもの、侵襲性外科的手法を受けたもの、およびHIV感染、免疫除去的化学療法またはイオン化照射、コルチコステロイドまたは他の免疫抑制薬、抗微生物剤への長期暴露などの結果として続発性免疫不全症を有するものである。
【0003】
生命にかかわる全身性真菌感染症は、血流、肺および他の粘膜組織、肝臓ならびにリンパ腺および脾臓などの免疫部位の病原生物が関与するものである。特定の真菌性疾患の診断は、痰、尿、血液、もしくは骨髄からの原因真菌の単離により、または流行性真菌型に関しては組織への侵入の徴候により、行うことができる。表在性真菌感染症は、一般的に、皮膚、毛髪、または爪の外層を侵す皮膚糸状菌によって引き起こされる。その感染症は、軽度の炎症を生じ、徐々に拡大し、剥がれ、隆起していく病変の断続的な寛解と悪化を引き起こす場合がある。酵母およびカビは、一般的に、健康な個体においては全身性感染症を引き起こさず、免疫低下の個体においてのみ引き起こすが、健康な個体は、表在性感染症に罹る可能性がある。口腔カンジダ症(口内鵞口瘡)を含む酵母感染症は、通常、皮膚および粘膜に限定されるが、酵母感染症もまた全身性でありうる。一般に、感染症は、腋窩、臍、鼠径部、足の指の間、および指の間の皮膜に紅斑性で、しばしば痒く、滲出性の斑として現れる。口内鵞口瘡は、舌または頬粘膜の炎症を伴い、滲出液の白斑として現れるが、慢性粘膜皮膚カンジダ症は、額または鼻の上の赤色の、膿疱性、痂皮性、肥厚した病変によって特徴づけられる。C.アルビカンス(C.albicans)は、健康な個体の膣腔の表在性感染症を引き起こす可能性があり、実際、全女性の4分の3までもの人が生涯に少なくとも1回の膣鵞口瘡の発現に苦しむ。これらの女性の大部分は、発病の頻度は低く、薬物治療によく反応するが、人によっては、その感染症は、再発性または持続性であり、薬物治療に反応しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
真菌(酵母を含む)に起因する、または真菌によって引き起こされる感染症の処置の選択肢は、非常に限定されており、そのような生物を抑制する、または殺す新しい治療を発見する緊急の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らの同時係属中の出願、WO2006/018652において、本発明者らは、微生物感染症、特に、爪甲真菌症などの皮膚糸状菌感染症を処置するために用いることができるペプチドの同定を記載している。そこに記載されたペプチドについて、抗微生物活性は、一般的に、28個から200個まで、またはそれ以上の塩基性アミノ酸を含む大きなカチオン性ペプチドに限定された。
【0006】
本発明は、5個から15個の間のアルギニン残基のより小さいペプチドが高い殺真菌性をもち、したがって、特定の真菌感染症、特に、全身性の真菌および酵母感染症の処置に効果的であるという知見に一部、基づいている。理論に縛られることを望むものではないが、1つの作用機構において、ペプチドは、真菌の負に帯電した細胞質膜に挿入すると、細胞溶解および/または膜完全性の崩壊、その後、微生物死滅をもたらすことができると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、抗真菌剤として用いるペプチドであって、5〜15個の塩基性アミノ酸の配列を含み、前記配列におけるアミノ酸の実質的に全部が同じである、ペプチドを提供する。
好ましいペプチドにおいて、塩基性アミノ酸は、リジン、アルギニン、およびヒスチジン、特にリジンおよびアルギニンから選択される。さらに好ましくは、塩基性アミノ酸はアルギニンである。
【0008】
本明細書に用いられる場合、「実質的に」とは、そのように修飾された特性からの許容ばらつきを示すことを意図した関係修飾語句である。具体的には、「5〜15個のアミノ酸の前記配列におけるアミノ酸の実質的に全部が同じである」とは、配列におけるアミノ酸の全部か、または高い割合のいずれかが同一であることを意味する。「高い割合」とは、1つまたは2つの置換が配列に生じてもよいことを企図する。
本発明によるペプチドは、関連した合成問題および細胞毒性問題がないので、15個より多いアミノ酸残基のそれぞれのペプチドに優る利点を有する。
【0009】
好ましい態様において、本発明のペプチドは、9〜15個、例えば11〜15個の塩基性アミノ酸の配列を含み、前記のアミノ酸配列におけるアミノ酸の実質的に全部が同じである。さらに好ましくは、本発明のペプチドは、9〜13個、例えば11〜13個の塩基性アミノ酸の配列を含み、前記配列におけるアミノ酸の実質的に全部が同じである。
【0010】
このように、本発明は、抗真菌剤として用いる、下記式(I)によるアミノ酸配列を含むペプチドまたはそのペプチド変異体を提供する:
(X) (I)
(式中、Xはアルギニンとリジンのいずれかであり、nは5から15の間の整数である。)。
本発明の好ましいペプチドにおいて、Xはアルギニンである。
本発明の別の好ましいペプチドにおいて、Xはリジンである。
【0011】
本発明のペプチドにおいて、nは、9から15の間、例えば、9、10、11、12、13、14、または15であってもよい。本発明の好ましいペプチドにおいて、nは、11から15の間、例えば、11から14の間の整数である。好ましくは、nは13または14である。さらに好ましくは、nは13である。
本発明の別の好ましいペプチドにおいて、nは、9から13の間、例えば、11から13の間の整数である。さらに好ましくは、nは9から11の間である。
式(I)のペプチドにおいて、XはD−アミノ酸であってもL−アミノ酸であってもよい。
【0012】
好ましい態様において、本発明は、式(I)によるアミノ酸からなる線状ペプチドを提供する。
本発明はまた、ペプチド模倣体、ならびに非排他的に、リン酸化、グリコシル化、スルホニル化、および/または水酸化を含む自然に(例えば、翻訳後修飾)かまたは化学的にかのいずれかで修飾されたものを含む、上記アミノ酸の既知の異性体(構造、立体、立体配座、および立体配置)および構造類似体を含む。
【0013】
加えて、ペプチドのアミノ酸配列は、L型よりむしろD型を利用する置換を含む、ペプチドにおける少なくとも1個(例えば、1個または2個)のアミノ酸残基が別のアミノ酸残基の代わりになっている置換を含むペプチド変異体であって、対応する非変異体ペプチドの生物活性の一部(典型的には、少なくとも10%)または全部を保持する、ペプチド変異体を生じるように改変することができる。このように、本発明は、式(I)の1個または複数のリジン残基またはアルギニン残基が1個または複数の他の残基、例えば、ヒスチジンなどの塩基性残基によって置換されているペプチド変異体を提供する。
【0014】
本明細書に用いられる場合、用語「ペプチド」とは、大まかに言えば、ペプチド結合によって連結した複数のアミノ酸残基を意味する。それは、ポリペプチドおよびタンパク質と交換可能に用いられ、同じ意味をもつ。
本発明のペプチドは、一般的に、合成ペプチドである。ペプチドは、単離され、精製されたペプチドまたはその変異体であってもよく、インビトロで、例えば、固相ペプチド合成法により、酵素触媒ペプチド合成により、または組換えDNAテクノロジーを用いて、合成することができる。
【0015】
本発明のペプチドは、例えば、遊離酸、遊離塩基、エステルおよび他のプロドラッグ、塩、ならびに互変異性体などの異なる形で存在することができ、本発明は、ペプチドのすべての変異型を含む。このように、本発明は、ペプチドの塩またはプロドラッグを含む。
本発明のペプチドは、薬学的に許容される塩の形で投与されてもよい。したがって、本発明は、本発明のペプチドの薬学的に許容される塩であって、親化合物がその酸性塩または塩基性塩を生成することによって修飾されている塩を含み、例としては、通常の非毒性塩、または、例えば無機酸もしくは有機酸または無機塩基もしくは有機塩基から形成される四級アンモニウム塩がある。そのような酸付加塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。塩基性塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルタミンなどの有機塩基との塩、ならびにアルギニン、リジンなどのアミノ酸との塩、その他が挙げられる。また、塩基性窒素含有基は、塩化、臭化、およびヨウ化メチル、塩化、臭化、およびヨウ化エチル、塩化、臭化、およびヨウ化プロピル、ならびに塩化、臭化、およびヨウ化ブチルなどのハロゲン化低級アルキル;ジメチル、ジエチル、ジブチルのような硫酸ジアルキル;および硫酸ジアミル、ならびに塩化、臭化、およびヨウ化デシル、塩化、臭化、およびヨウ化ラウリル、塩化、臭化、およびヨウ化ミリスチル、ならびに塩化、臭化、およびヨウ化ステアリルなどの長鎖ハロゲン化物、臭化ベンジルおよび臭化フェネチルのようなハロゲン化アラルキルなどのような作用物質で四級化されてもよい。
【0016】
本発明のペプチドまたはペプチド変異体のカルボキシル基の塩は、例えば、金属水酸化物塩基、例えば、水酸化ナトリウム;例えば、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウムなどの金属炭酸塩もしくは重炭酸塩;または、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩基などの所望の塩基の1つまたは複数の等価物とペプチドを接触させることによる通常の方法で調製することができる。
【0017】
投与および製剤
本発明のさらなる態様は、薬学的有効量の本発明のペプチドを含む医薬組成物を提供する。
組成物はまた、薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を含む。句「薬学的に許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内において、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしの、妥当な利益/リスク比に見合った、人間、または場合によっては、動物の組織との接触に用いるのに適している、化合物、材料、組成物、および/または剤形に言及するために本明細書で用いられる。
【0018】
所望の効果を達成するために、ペプチド、その変異体、またはそれらの組合せを、例えば、少なくとも約0.01mg/kg体重から約500〜750mg/kg体重まで、少なくとも約0.01mg/kg体重から約300〜500mg/kg体重まで、少なくとも約0.1mg/kg体重から約100〜300mg/kg体重まで、または少なくとも約1mg/kg体重から約50〜100mg/kg体重まで、または少なくとも約1mg/kg体重から約20mg/kg体重までの単一用量または分割用量として投与されてもよいが、他の用量が有益な結果をもたらす場合がある。
【0019】
組成物を調製するために、ペプチドは、合成され、または別な方法で獲得され、必要または要望に応じて精製され、その後、凍結乾燥および安定化される。その後、ペプチドは、適切な濃度に調整することができ、他の作用物質と組み合わせてもよい。
このように、本発明の治療用ペプチドを含む1つまたは複数の適切な単位剤形を、経口、局所、非経口(皮下、静脈内、筋肉内、および腹腔内)、膣、直腸、皮膚、経皮、胸内、肺内、および鼻腔内(呼吸)経路を含む様々な経路によって投与することができる。
本発明の治療用ペプチドを経口投与用に調製する場合、一般的に、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とそれらを組み合わせて、製剤または単位剤形を形成する。経口投与について、ペプチドは、粉末、粒剤、溶液、懸濁液、または乳濁液として存在してもよい。
【0020】
本発明の治療用ペプチドを含む製剤を、通常の賦形剤、希釈剤、または担体と共に製剤化し、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、粉末、エアロゾルなどへ形成することができる。
本発明の治療用ペプチドをまた、簡便な経口投与用のエリキシル剤もしくは溶液として、または、例えば筋肉内、皮下、腹腔内、または静脈内経路による、非経口投与に適切な溶液として、製剤化することができる。
【0021】
これらの製剤は、当技術分野において周知である、薬学的に許容される担体、媒体、および補助剤を含むことができる。例えば、水に加えて、アセトン、酢酸、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、「Dowanol」という名前で販売されている製品などのグリコールエーテル、ポリグリコールおよびポリエチレングルコール、短鎖酸のC〜Cアルキルエステル、乳酸エチルまたは乳酸イソプロピル、「Miglyol」という名前で市販されている製品などの脂肪酸トリグリセリド、イソプロピルミトリセート、動物油、鉱油、および植物油、ならびにポリシロキサンなどの溶媒から選択された、生理学的視点から許容される1つまたは複数の有機溶媒を用いて溶液を調製することは可能である。
【0022】
1つまたは複数の他の抗真菌剤、例えば、アムホテリジンB、アムホテリジンB脂質複合体(ABCD)、リポソームアムホテリジンB(L−AMB)、およびリポソームナイスタチンなどのポリエン、ボリコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ポザコナゾールなどのアゾールおよびトリアゾールなど;カスポファンギン、ミカファンギン(FK463)、およびV−エキノカンディン(LY303366)などのグルカンシンターゼ阻害剤;グリセオフルビン;テルビナフィンなどのアリルアミン;フルシトシンまたは他の抗真菌剤と組み合わせた、本発明の1つまたは複数のペプチドを含む生成物もまた企図される。さらに、シクロピロクスオラミン、ハロプロジン、トルナフタート、ウンデシレン酸塩、局所ナイスタチン、アモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン、および他の局所薬剤などの局所抗真菌剤とペプチドを組み合わせうることが企図される。
【0023】
局所投与について、標的領域、例えば、爪および皮膚への直接適用として当技術分野で公知であるように、活性作用物質を製剤化してもよい。主として局所適用として調整された形は、例えば、ラッカー、クリーム、乳液、ゲル、粉末、分散液またはマイクロエマルジョン、多かれ少なかれ濃縮されたローション、含浸パッド、軟膏またはスティック、エアロゾル製剤(例えば、スプレーまたは泡)、石けん、洗浄剤、ローション型または固形石けんの形をとる。この目的のための他の通常の形としては、創傷包帯、絆創膏または他のポリマー被覆剤、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゼリー、スプレー、およびエアロゾルが挙げられる。このように、本発明の治療用ペプチドは、皮膚投与用のパッチまたは包帯を介して送達することができる。
【0024】
本発明のペプチドは、例えば、ペッサリーまたは座剤の形をとって膣に投与されてもよい。
本発明のペプチドはまた、気道に投与することができる。したがって、本発明はまた、本発明の方法に用いるエアロゾル製剤および剤形を提供する。一般的に、そのような剤形は、特定の感染症、徴候、または疾患の臨床症状を処置または予防するのに効果的な量の本発明の作用物質の少なくとも1つを含む。本発明の方法に従って処置されている感染症、徴候、または疾患の1つまたは複数の症状のいかなる統計学的に有意な減衰も、本発明の範囲内におけるそのような感染症、徴候、または疾患の処置であるとみなされる。
【0025】
使用
本発明のペプチドは、酵母感染症およびカビ感染症を含む真菌感染症の処置または予防に有用でありうる。
したがって、本発明のさらなる態様は、真菌に起因する、または真菌によって引き起こされる感染症を処置または軽減するための医薬の製造における、本発明によるペプチドまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0026】
処置される感染症は、トリコフィトン属菌種(Trichophyton spp)、例えば、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)の真菌によって引き起こされる感染症などの皮膚糸状菌感染症であってもよい。
【0027】
好ましくは、処置される感染症は、非皮膚糸状菌感染症である。真菌感染症は、限定されるわけではないが、アブシディア属菌種(Absidia spp)(例えば、アブシディア・コリムビフェラ(Absidia corymbifera))、アスペルギルス属菌種(Aspergillus spp)(例えば、アスペルギルス・カンジダス(Aspergillus candidus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・タマリ(Aspergillus tamarii)、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・シドウィ(Aspergillus sydowii)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、アスペルギルス・ウスツス(Aspergillus ustus)、アスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor)、アスペルギルス・クラバツス(Aspergillus clavatus)、アスペルギルス・グラウクス(Aspergillus glaucus)群、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae))、クリプトコッカス属菌種(Cryptococcus spp)(例えば、クリトコッカス・ネオフォルマンス変種ネオフォルマンス(Crytococcus neoformans var.neoformans)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス変種ガティ(Crytococcus neoformans var.gatii)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス変種グルビ(Crytococcus neoformans var.grubii))、マラセジア属菌種(Malassezia spp)(例えば、マラセジア・フルフール(Malassezia furfur)、マラセジア・パチデルマティス(Malassezia pachydermatis)、マラセジア・グロボサ(Malassezia globosa)、マラセジア・オブツセ(Malassezia obtuse)、マラセジア・レストリクタ(Malassezia restricta)、マラセジア・スロオフィエ(Malassezia slooffiae)、マラセジア・シンポジアリス(Malassezia sympodialis))、カンジダ属菌種(Candida spp)(例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・クルゼイ(Candida krusei)、カンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae)、カンジダ・ケフィル(Candida kefyr)、カンジダ・サケ(Candida sake)、カンジダ・グイリエルモンディ(Candida guilliermondii)、カンジダ・デュブリニエンシス(Candida dubliniensis)、カンジダ・シフェリ(Candida ciferii)、カンジダ・ファマタ(Candida famata)、カンジダ・ラムビカ(Candida lambica)、カンジダ・リポリティカ(Candida lipolytica)、カンジダ・ノルベゲンシス(Candida norvegensis)、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)、カンジダ・ビスワナティ(Candida viswanathii)、カンジダ・ゼイラノイデス(Candida zeylanoides))、リゾムコール属菌種(Rhizomucor spp)(例えば、リゾムコール・プシルス(Rhizomucor pusillus)、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)、リゾムコール・バリアビリス(Rhizomucor variabilis))、サッカロミセス属菌種(Saccharomyces spp)(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ボウラルディ(Saccharomyces boullardii))、ハンゼヌラ属菌種(Hansenula spp)、フザリウム属菌種(Fusarium spp)(例えば、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)、フザリウム・クラミドスポルム(Fusarium chlamydosporum)、フザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)、フザリウム・プロリフェラツム(Fusarium proliferatum))、ムコール属菌種(Mucor spp)(例えば、ムコール・アムフィビオルム(Mucor amphibiorum)、ムコール・シルシネロイデス(Mucor circinelloides)、ムコール・ヒエマリス(Mucor hiemalis)、ムコール・インジクス(Mucor indicus)、ムコール・ラセモスス(Mucor racemosus)、ムコール・ラモシスシムス(Mucor ramosissimus))、トリコスポロン属菌種(Trichosporon spp)(例えば、トリコスポロン・ベイゲリ(Trichosporon beigelii)、トリコスポロン・クタネウム(Trichosporon cutaneum)、トリコスポロン・アステロイズ(Trichosporon asteroids)、トリコスポロン・オボイデス(Trichosporon ovoides)、トリコスポロン・イニキン(Trichosporon inikin)、トリコスポロン・アサヒ(Trichosporon asahii)、トリコスポロン・ムコイデス(Trichosporon mucoides))、ロドトルラ属菌種(Rhodotorula spp)(例えば、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)、ロドトルラ・ミヌタ(Rhodotorula minuta)、ロドトルラ・ムシラギノサ(Rhodotorula mucilaginosa))、ピキア属菌種(Pichia spp)(例えば、ピキア・アノモラ(Pichia anomola)、ピキア・グイリエルモンディ(Pichia guilliermondii)、ピキア・ノルベゲンシス(Pichia norvegensis)、ピキア・オーメリ(Pichia ohmerii))、リゾプス属菌種(Rhizopus spp.)(例えば、リゾプス・アルヒズス(Rhizopus arrhizus)、リゾプス・ミクロスポルス(Rhizopus microsporus))、ペニシリウム属菌種(Penicillium spp)(例えば、ペニシリウム・マルネフェイ(Penicillium maruneffei)、ペニシリウム・ベルコスム(Penicillium verrucosum))、スコプラリオプシス属菌種(Scopulariopsis spp.)(例えば、スコプラリオプシス・ブレビカウリス(Scopulariopsis brevicaulis))、およびブラストシゾミセス属菌種(Blastoshizomyces spp)(例えば、ブラストシゾミセス・カピタツス(Blastoshizomyces capitatus))からなる群より選択される真菌によって引き起こされるものであってよい。
【0028】
真菌は、絶対病原菌であっても日和見病原菌であってもよい。好ましくは、真菌は日和見病原菌である。
本発明による好ましい使用において、真菌感染症は、アスペルギルス属菌種、フザリウム属菌種、カンジダ属菌種、アルテルナリア属菌種(Alternaria spp.)、マラセジア属菌種、スコプラリオプシス属菌種、クリプトコッカス属菌種、またはペニシリウム属菌種より選択される真菌/酵母によって引き起こされる。
【0029】
本発明による好ましい使用において、真菌感染症は、酵母、例えば、カンジダ属菌種によって引き起こされる。
本発明による好ましい使用において、真菌感染症は、アスペルギルス属菌種によって引き起こされる。好ましい実施形態において、真菌感染症は、アスペルギルス・ニガーまたはアスペルギルス・ニデュランスによって引き起こされる。
【0030】
本発明による好ましい使用において、真菌感染症は、フザリウム属菌種によって引き起こされる。
本発明による好ましい使用において、真菌感染症は、アルテルナリア属菌種によって引き起こされる。
本発明による好ましい使用において、真菌感染症は、マラセジア属菌種によって引き起こされる。
【0031】
本発明による好ましい使用において、真菌感染症は、ペニシリウム属菌種によって引き起こされる。
本発明による好ましい使用において、真菌感染症は、スコプラリオプシス属菌種によって引き起こされる。
本発明による好ましい使用において、真菌感染症は、クリプトコッカス属菌種によって引き起こされる。
【0032】
本発明はさらに、真菌感染症に起因する、または真菌感染症によって引き起こされる疾患または状態を処置または軽減するための医薬の製造における、本発明のペプチドまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
本明細書で「真菌症」と呼ばれる疾患または状態は、表在性真菌症、皮下真菌症、または全身性真菌症であってよい。表在性真菌症としては、白癬感染症(例えば、白癬性毛瘡、頭部白癬、体部白癬、肢部白癬、黄癬、黒癬、足白癬、手白癬、渦状癬)、癜風、白色砂毛症、黒色砂毛症、皮膚糸状菌症(タムシ)、および皮膚、爪、または粘膜のカンジダ症を挙げることができる。
皮下真菌症としては、スポロトリクム症、黒色分芽菌症、および菌腫を挙げることができる。
【0033】
好ましくは、処置される疾患または状態は、全身性真菌症である。全身性真菌症の例としては、カンジダ血症、ヒストプラズマ症、コクシジオイデス症、ブラストミセス症、パラコクシジオイデス症、アスペルギルス症、カンジダ症、フザリウム症、クリプトコッカス症、フェオフィホ真菌症、ヒアロフィホ真菌症、ムコール症、および黒色真菌症が挙げられる。
全身性真菌症は、カンジダ血症、アスペルギルス症、フザリウム症、カンジダ症、アルテルナリア症、真菌血症、およびクリプトコッカス症からなる群より選択される。
【0034】
本発明の好ましい態様において、処置される疾患または状態は、日和見性全身性真菌症、例えば、限定されるわけではないが、カンジダ血症、アスペルギルス症、アルテルナリア症、カンジダ症、フザリウム症、およびクリプトコッカス症からなる群より選択される全身性真菌症である。
真菌症に起因しうる、または真菌症によって引き起こされうる臨床疾患または状態としては、限定されるわけではないが、カンジダ血症、肺炎、心内膜炎、爪甲真菌症、髄膜炎、脳炎、尿路感染症、菌腫、気胸症、アスペルギルス症、ヒアロフィホ真菌症、クリプトコッカス症(髄膜脳炎)、変色、カンジダ症、皮膚炎、毛包炎、膿疱症(新生児における)、眼瞼炎、白色砂毛症、黒色砂毛症、尋常性ざ瘡、敗血症、腹膜炎、鵞口瘡、外陰腟炎、蓄膿、肝膿瘍、トリコスポロン症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症、ヒストプラズマ症、パラコクシジオイデス症、スポロトリクム症、接合真菌症、黒色分芽菌症、眼感染症、ロボ真菌症、菌腫、爪、毛髪、および皮膚の病気、耳真菌症、骨髄炎、フェオフィホ真菌症、リノスポリジウム症、ムコール症が挙げられる。
【0035】
全身性真菌症に起因する、または全身性真菌症によって引き起こされる免疫低下宿主における主要な臨床疾患としては、限定されるわけではないが、カンジダ血症、肺炎、カンジダ症(中咽頭カンジダ症および食道カンジダ症を含む)、肺アスペルギルス症、脳感染症、副鼻腔炎、肺クリプトコッカス症、髄膜炎、鼻脳型ムコール症、および肺ムコール症が挙げられる。
アスペルギルス属菌種による感染に起因する、または感染によって引き起こされる疾患または状態としては、アスペルギルス症、耳真菌症、骨髄炎、副鼻腔疾患、肺疾患、および鼻眼窩感染症が挙げられる。アスペルギルス属菌種は、主に、白血病患者または移植(例えば、骨髄)患者などの免疫低下宿主を侵す。
【0036】
フザリウム属菌種による感染に起因する、または感染によって引き起こされる疾患または状態としては、角膜炎、眼内炎、中耳炎、爪甲真菌症、皮膚感染症(特に、熱傷創)、菌腫、副鼻腔炎、肺感染症、心内膜炎、腹膜炎、静脈カテーテル感染症、化膿性関節炎、播種性感染症、および真菌血症が挙げられる。
アルテルナリア属菌種による感染に起因する、または感染によって引き起こされる疾患または状態としては、気管支喘息、および皮膚または肺のアルテルナリア症が挙げられる。
【0037】
クリプトコッカス属菌種、例えば、クリプトコッカス・ネオフォルマンスによる感染に起因する、または感染によって引き起こされる疾患または状態としては、創傷クリプトコッカス症もしくは皮膚クリプトコッカス症、肺クリプトコッカス症、またはクリプトコッカス髄膜炎が挙げられる。
処置される疾患または障害は、院内で起こる障害であってもよい。
【0038】
1つの実施形態において、本発明は、日和見性全身性真菌症を処置するための医薬の製造における、式(I)(式(I)中、nが11から15の間(特に、11から13の間)の整数である)のペプチドまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
本発明のペプチドは、免疫低下患者および非免疫低下患者における酵母感染症およびカビ感染症の処置に有用である。酵母およびカビの大部分は、免疫低下患者、例えば、HIV感染、癌化学療法、留置外科装置(例えば、カテーテル)、イオン化照射、コルチコステロイド、例えば臓器移植もしくは骨髄移植における免疫抑制薬、侵襲性外科的手法、抗生物質への長期暴露による、または癌、白血病、肺気腫、気管支拡張症、糖尿病、火傷などの疾患もしくは状態による易感染性患者においては病原性である。
【0039】
免疫低下患者において病原性である酵母感染症およびカビ感染症としては、真菌血症(血流、肺、腎臓、肝臓、脾臓、脳、および心内膜の)、カンジダ血症、カンジダ症、肺炎、骨髄炎、椎間板炎、クリプトコッカス症(肺、皮膚、前立腺、および髄腔)、カテーテル関連感染症、髄膜炎、敗血症、および腹膜炎を含む真菌症、腐敗症、白色砂毛症、ならびにトリコスポロン症が挙げられる。
本発明による真菌感染症は、局所性感染症であっても全身性感染症であってもよい。カンジダ属菌種によって引き起こされる局所性感染症としては、鵞口瘡、例えば、口内鵞口瘡、食道炎、皮膚カンジダ症、膣鵞口瘡が挙げられる。そのような局所性感染症は、本発明のペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む錠剤、クリーム、軟膏、座剤などの製剤によって処置可能でありうる。
本発明のペプチドによって処置可能な酵母感染症およびカビ感染症は、表2に示された感染症およびそれらの原因病原菌のいずれからでも選択できる。
【0040】
本発明のさらなる態様は、治療有効量の本発明によるペプチドまたはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、真菌症の処置、予防、または進行遅延のための方法を提供する。
好ましくは、患者は哺乳動物、特に、ヒトである。
本発明の方法によって処置可能な真菌症は、全身性真菌症、例えば、日和見性全身性真菌症であってもよい。本発明の好ましい方法において、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、吸入、経口、または非経口投与用の製剤として意図される。
【0041】
このように、1つの実施形態において、本発明は、本発明によるペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含むエアロゾル製剤の治療有効量を患者に投与することを含む、真菌症の処置、予防、または進行遅延のための方法を提供する。本発明はさらに、本発明によるペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含むエアロゾル製剤を含む吸入器を含め、エアロゾル製剤を提供する。
【0042】
さらなる実施形態において、本発明は、本発明によるペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む非経口製剤の治療有効量を患者に投与することを含む、真菌症の処置、予防、または進行遅延のための方法を提供する。本発明はさらに、本発明によるペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む非経口製剤(特に、静脈注射用)を提供する。
なおさらなる実施形態において、本発明は、本発明によるペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む経口製剤の治療有効量を患者に投与することを含む、真菌症の処置、予防、または進行遅延のための方法を提供する。本発明はさらに、本発明によるペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む経口製剤を提供する。
【0043】
本発明により処置可能な特定の疾患または状態の診断については、血液、組織、尿などから原因真菌を単離し、続いて、ペプチドの殺真菌性/静真菌性効果をアッセイすることによって、当業者が容易に決定することができる。
防御の程度は、本発明の化合物を含む、または含むと主張する偽または詐欺の製品を含み、それらが実際、そのような化合物を含むかどうかを問わず、かつ任意のそのような化合物が治療有効量で含まれているかどうかを問わない。
【0044】
本発明の特定の態様、実施形態、または実施例と共に記載された特徴、整数、特性、化合物、化学的部分または化学基は、本明細書に記載された任意の他の態様、実施形態、または実施例に、それらと矛盾しない限り、適用できると理解されるべきである。
【実施例】
【0045】
以下の実施例は本発明を例示する。
材料および方法
ペプチド合成
すべてのペプチドについては、ペプチド供給業者、NeoMPS SA(Strasbourg、France)による契約によって固相合成で作製したか、またはSigma−Aldrich Chemical Company Ltd.(Poole、UK)から購入したかのいずれかであった。
ブロス希釈抗真菌薬感受性試験
ペプチドに対する関連真菌株の感受性を、Clinical Laboratory Standard Institute(CLSI;元NCCLS)認可標準(Approved Standards)を用いて測定した。真菌感受性を、「糸状菌のブロス希釈抗真菌薬感受性試験についての基準方法;認可標準M38−P(Reference Method for Broth Dilution Antifungal Susceptibility Testing of Filamentous Fungi; Approved Standard M38−P)」を用いて試験し、酵母感受性を、「酵母のブロス希釈抗真菌薬感受性試験についての基準方法;認可標準−第2版 M27−A(Reference Method for Broth Dilution Antifungal Susceptibility Testing of Yeasts; Approved Standard−Second Edition M27−A)」を用いて試験した。
【0046】
結果
カチオン性ペプチドの配列
分析されるペプチドの配列は表1に示されている。Acは、オリゴペプチドのC末端へのアセチル化修飾を表し、NHは、オリゴペプチドのN末端のアミド化を表す。
【0047】
【表1】



【0048】
酵母を含む様々な真菌株に対するペプチドの活性を示すデータは表2に示されている。
【0049】
【表2】










【0050】
アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・フミガツス、およびアスペルギルス・フラブスを含む特定のアスペルギルス属菌種菌株が、試験されたペプチドに対して非感受性であることを見出した(データは示さず)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗真菌剤として用いるペプチドであって、5〜15個の塩基性アミノ酸の配列を含み、前記配列におけるアミノ酸の実質的に全部が同じである、ペプチド。
【請求項2】
塩基性アミノ酸がリジン、アルギニン、およびヒスチジンからなる群より選択される、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
塩基性アミノがアルギニンまたはリジンである、請求項2に記載のペプチド。
【請求項4】
下記式(I)によるアミノ酸配列を含む、請求項1から3のいずれかに記載のペプチド:
(X) (I)
(式中、Xはアルギニンとリジンのいずれかであり、nは5から15の間の整数である。)。
【請求項5】
nが9から15の間である、請求項4に記載のペプチド。
【請求項6】
nが11から14の間である、請求項5に記載のペプチド。
【請求項7】
nが12から14の間である、請求項6に記載のペプチド。
【請求項8】
nが13および14から選択される、請求項7に記載のペプチド。
【請求項9】
nが9から13の間である、請求項5に記載のペプチド。
【請求項10】
nが9から11の間である、請求項9に記載のペプチド。
【請求項11】
nが13である、請求項5に記載のペプチド。
【請求項12】
Xがアルギニンである、請求項5から11のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項14】
真菌に起因する、または真菌によって引き起こされる感染症を処置または軽減するための医薬の製造における、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩の使用であって、前記ペプチドが5〜15個の塩基性アミノ酸の配列を含み、前記アミノ酸配列におけるアミノ酸の実質的に全部が同じである、使用。
【請求項15】
処置される感染症が皮膚糸状菌感染症である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
処置される感染症が非皮膚糸状菌感染症である、請求項14に記載の使用。
【請求項17】
非皮膚糸状菌感染症が、アブシディア属菌種(Absidia spp.)、アスペルギルス属菌種(Aspergillus spp.)、クリプトコッカス属菌種(Cryptococcus spp.)、マラセジア属菌種(Malassezia spp.)、カンジダ属菌種(Candida spp.)、リゾムコール属菌種(Rhizomucor spp.)、サッカロミセス属菌種(Saccharomyces spp.)、ハンゼヌラ属菌種(Hansenula spp.)、フザリウム属菌種(Fusarium spp.)、ムコール属菌種(Mucor spp.)、トリコスポロン属菌種(Trichosporon spp.)、ロドトルラ属菌種(Rhodotorula spp.)、ピキア属菌種(Pichia spp.)、リゾプス属菌種(Rhizopus spp.)、ペニシリウム属菌種(Penicillium spp.)、およびブラストシゾミセス属菌種(Blastoschizomyces spp.)からなる群より選択される真菌に起因する、または真菌によって引き起こされる、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
真菌が、アスペルギルス属菌種、フザリウム属菌種、カンジダ属菌種、アルテルナリア属菌種(Alternaria spp.)、ペニシリウム属菌種、スコプラリオプシス属菌種(Scopulariopsis spp.)、マラセジア属菌種、およびクリプトコッカス属菌種からなる群より選択される、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
真菌がカンジダ属菌種である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
真菌がアスペルギルス属菌種である、請求項18に記載の使用。
【請求項21】
真菌が日和見病原菌である、請求項14から20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
真菌感染症に起因する、または真菌感染症によって引き起こされる疾患または状態を処置または軽減するための医薬の製造における、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項23】
真菌感染症が酵母感染症である、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
処置される疾患または状態が全身性真菌症である、請求項22または23に記載の使用。
【請求項25】
全身性真菌症が、ヒストプラズマ症、コクシジオイデス症、ブラストミセス症、パラコクシジオイデス症、アスペルギルス症、カンジダ症、フザリウム症、クリプトコッカス症、フェオフィホ真菌症、ヒアロフィホ真菌症、アスペルギルス症、真菌血症、ムコール症、アルテルナリア症、トリコスポロン症、および黒色真菌症からなる群より選択される、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
全身性真菌症が、アスペルギルス症、フザリウム症、カンジダ症、アルテルナリア症、真菌血症、およびクリプトコッカス症からなる群より選択される、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
全身性真菌症が日和見性真菌症である、請求項24に記載の使用。
【請求項28】
日和見性真菌症が、アスペルギルス症、アルテルナリア症、カンジダ症、フザリウム症、およびクリプトコッカス症からなる群より選択される、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
疾患または状態が、肺炎、中咽頭および食道カンジダ症、肺アスペルギルス症、脳感染症、副鼻腔炎、肺クリプトコッカス症、髄膜炎、鼻脳型ムコール症、および肺ムコール症から選択される、請求項27に記載の使用。
【請求項30】
疾患または状態が、院内で起こる障害である、請求項27から29のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
治療有効量の本発明によるペプチドまたはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、真菌症の処置、予防、または進行遅延のための方法。
【請求項32】
ペプチドまたはその薬学的に許容される塩が吸入用に製剤化される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ペプチドまたはその薬学的に許容される塩が非経口投与用に製剤化される、請求項31に記載の方法。

【公表番号】特表2010−517988(P2010−517988A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547750(P2009−547750)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【国際出願番号】PCT/GB2008/000283
【国際公開番号】WO2008/093060
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(508066991)ノバビオティクス・リミテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】NOVABIOTICS LIMITED
【Fターム(参考)】