説明

ペンタエリスリトールジホスファイトの製造のためのプロセス

高スピロ異性体含量のペンタエリスリトールジホスファイトの生成のための方法を開示する。そのペンタエリスリトールジホスファイトは、モノホスファイト、続いて置換フェノールまたは他のアルコールを用いるペンタエリスリトールの一連のエステル交換によって生成され、そのエステル交換反応は、温度および圧力の制御された条件下で実施される。その独特の反応条件は、高スピロ異性体含量の中間体ペンタエリスリトールジホスファイトおよび最終的なペンタエリスリトールジホスファイトならびにそのジホスファイトの高い全収率を生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、スピロペンタエリスリトールジホスファイトの製造のためのプロセスに関する。より具体的には、本発明は、高スピロ異性体含量を有するジホスファイトを生成するために減圧下でのエステル交換を介するペンタエリスリトールジホスファイトの製造のためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
種々の有機ホスファイトは、ポリマー添加剤として効果的であることが公知であり、そして加工中のポリマーの熱酸化分解に対する安定剤として効果的である。特に、ペンタエリスリトールジホスファイトは、それらの改良された加水分解安定性およびいくつかのポリマー(例えば、ポリオレフィン)との増強された適合性によって、それらの化合物をポリマー安定剤として特に望ましくする用途に使用される。
【0003】
ペンタエリスリトールジホスファイトは、少なくとも2つの異性体形態(スピロ異性体およびかご型(caged)異性体)を含む。かご型異性体よりスピロ異性体の方が商業的に望ましいことが、周知である。従って、高スピロ異性体含量を有するペンタエリスリトールジホスファイトを生成することが所望される。
【0004】
一般に、ペンタエリスリトールジホスファイトは、少なくとも2つの異なる方法によって調製され得る。1つの方法において、2つの連続的なエステル交換反応(第1に、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイトを作製するためのトリフェニルホスファイトとペンタエリスリトールとの反応、および第2に、所望のペンタエリスリトールジホスファイトを生成するための適切なアルキルフェノールまたはアルコールと中間体ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイトとの反応)が実施される。別の方法において、ジクロロペンタエリスリトールジホスファイトが、所望のペンタエリスリトールジホスファイトを生成するために適切なアルキルフェノールまたはアルコールと反応される。後者の方法は、かご型異性体の割合が無視できる量でビス(アルキルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを生成すると言われているが、より複雑で高価な製造技術を含む。前者のエステル交換方法は、実施するにはより安いが、一般に、調製方法および反応物質に依存して50%〜75%までのスピロ異性体含量を有する異性体の混合物を生成する。従って、代表的にエステル交換によって調製されるビス(アルキルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトは、主にスピロ生成物を生成するために、選択的な結晶化によってさらに精製されなければならないスピロ異性体およびかご型異性体の混合物である。しかし、そのようなアプローチは、本質的に比較的低い収率をもたらす。
【0005】
エステル交換によって生成されるビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトのスピロ異性体含量を改良するための1つのアプローチは、C10−C16n−アルカン溶媒またはシクロアルカン溶媒中で2,4−ジ−t−ブチルフェノールとジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト(DPPEDP)を反応させることである。この方法は、90%までのスピロ異性体含量を有する生成物を与えるが、ジホスファイトの収率は、約77%で比較的低い。
【0006】
経済的により好ましく、従って望ましいエステル交換方法は、少なくとも90%のスピロ異性体含量、および少なくとも95%の高ジホスファイト収率でビス(アルキルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを生成する方法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(発明の要旨)
従って、本発明の目的は、高スピロ異性体含量および高収率を有するエステル交換化学反応を介するペンタエリスリトールジホスファイトの生成のための方法を提供することである。
【0008】
一般に、本発明は、95%より大きい収率でのエステル交換化学反応を介して90%より大きい高スピロ異性体含量でビス(アルキルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを生成するためのプロセスを提供する。本発明のプロセスは、従来のエステル交換反応を包含し、以下:(1)競合反応生成物を最小化する中間体生成物および最終生成物を生成するために使用される独特の反応条件;ならびに(2)中間体生成物および最終生成物のジホスファイト含量を濃縮するための蒸留の使用、からスピロ異性体含量および収率の増加を生じる。
【0009】
従って、本発明の目的は、ペンタエリスリトールジホスファイトのスピロ含量を最大化する一連のエステル交換反応を開示することである。
【0010】
本発明の別の目的は、好ましい実施形態において、中間体ペンタエリスリトールジホスファイトを生成するためのペンタエリスリトールおよびトリフェニルホスファイト、続いて高スピロ含量ペンタエリスリトールジホスファイトを生成するための置換フェノールまたは低級アルコールを用いる第2のエステル交換反応を使用して、上記の一連のエステル交換反応をもたらすことである。
【0011】
本発明のこれらおよび他の目的は、以下の詳細な説明の見解から、そして添付の特許請求の範囲をさらに参照して、より容易に明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明の方法は、中間体反応生成物および最終反応生成物を提供するための一連のエステル交換反応を包含する。第1の反応は、アルカリ触媒の存在下におけるモノホスファイトを用いるペンタエリスリトール(式I)
【0013】
【化9】

のエステル交換である。上記モノホスファイトは、トリアリールホスファイト(例えば、トリフェニルホスファイト(式II)
【0014】
【化10】

)またはトリアルキルホスファイト(例えば、トリメチルホスファイトまたはトリエチルホスファイト)からなる群より選択され得る。より一般的には、トリアルキルホスファイトまたはトリアリールホスファイトは、P−(ORとして示され得、ここで、Rは、直鎖アルキル基または分枝アルキル基、置換基を有し得る脂環式基、直鎖アルケニル基または分枝アルケニル基、非置換アリール基またはアルキル置換アリール基およびアリールアルキル基からなる群より選択される。
【0015】
直鎖アルキル基または分枝アルキル基の特定の非限定的な例は、C1−20アルキル(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基およびステアリル基)である。
【0016】
置換基を有し得る脂環式基または環状アルキル基の特定の非限定的な例は、5個〜7個の炭素原子を有するシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロヘプチル基)ならびに6個〜11個の炭素原子を有するアルキルシクロアルキル基であり、ここで、アルキル基の位置は変化し得る(例えば、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチルシクロヘプチル基、およびジエチルシクロヘプチル基)。
【0017】
直鎖アルケニル基または分枝アルケニル基の特定の非限定的な例は、2個〜30個の炭素原子を有するものであり、ここで、二重結合の位置は変化し得る(例えば、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、およびオクタデセニル基)。
【0018】
非置換アリール基またはアルキル置換アリール基の特定の例は、6個〜18個の炭素原子を有するアリール基(例えば、フェニル基、ジフェニル基およびナフチル基)ならびに7個〜40個の炭素原子を有するアルキルアリール基であり、ここで、アルキル基は、直鎖状であっても、分枝状であってもよく、アリール基上の任意の位置に結合され得る(例えば、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、ジエチルフェニル基、ジブチルフェニル基およびジオクチルフェニル基)。これらのアルキル基はさらに、官能基(例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロゲン化物、カルボン酸など)を含む置換基を有し得る。
【0019】
アリールアルキル基の特定の例は、7個〜40個の炭素原子を有するものであり、ここで、アルキル基は、直鎖状であっても、分枝状であってもよい(例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基およびフェニルヘキシル基)。
【0020】
この第1のエステル交換は、以下の基本式(III):
【0021】
【化11】

に示されるスピロ異性体を有する中間体ペンタエリスリトールジホスファイト反応生成物(ここで、Rは、以前に定義した通りである)、および以下の式(IV):
【0022】
【化12】

に示されるかご型異性体の生成を生じる。
【0023】
好ましい実施形態において、ペンタエリスリトールは、トリフェニルホスファイトでエステル交換されて、以下の式(V):
【0024】
【化13】

に示される中間体ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイトを生成する。
【0025】
第2の反応は、アルカリ触媒の存在下においてアルコール(R−OH)を用いる中間体ペンタエリスリトールジホスファイトのエステル交換であり、ここで、アルコールは、C8−22アルカノール、C8−22アルケノール、フェノールおよびその誘導体、C7−40アルキルアリールフェノールおよびその誘導体ならびにC7−40アリールアルキルフェノールおよびその誘導体からなる群より選択され、ここで、前記誘導体は、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ化合物、アミノ基、C1−6カルボン酸基、シアノ基、ニトロ基などからなる群より選択される化学的部分であり、以下の式(VI):
【0026】
【化14】

のペンタエリスリトールジホスファイトを生成し、ここで、Rは、好ましくは、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、2,4−ジクミルフェニル、および好ましくは2,4−ジ−t−ブチルフェノール、式(VII)
【0027】
【化15】

の2,4−ジクミルフェノールからなる群より選択される好ましくはアルコール由来の低級C−C20アルカン(例えば、ステアリル、イソデシルおよびデシル)からなる群より選択され、より一般的には以前に記載した通りである。
【0028】
好ましい実施形態において、第2のエステル交換反応において、本発明の第1のエステル交換反応からのジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト中間体は、アルカリ触媒の存在下において2,4−ジクミルフェノールでエステル交換されて、以下の式(VIII):
【0029】
【化16】

に示されるようなビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを高収率および高スピロ異性体含量で生成する。
【0030】
第1のエステル交換反応のための反応混合物を調製する際に、モノホスファイトおよびペンタエリスリトールを、1モルのペンタエリスリトール当たり約1〜3モルのモノホスファイトの割合で使用する。第1のエステル交換反応の好ましい実施形態において、1モルのペンタエリスリトール当たり2モルのモノホスファイトの化学量論の量を使用する。溶媒を、粘性、補助剤の反応性を減少させるため、そして/または反応混合物の分別晶出によるその後の精製を可能にするために反応混合物において使用し得る。従って、溶媒は、必ずしも必要とはされず、従って任意である。使用する場合、使用し得る溶媒としては、C〜C24の範囲における芳香族、脂肪族、および環状炭化水素が挙げられる。適切な溶媒は、直鎖パラフィンまたは環状パラフィンである。より具体的には、その溶媒は、C−C24n−アルカンおよびシクロ−アルカンからなる群より選択される飽和炭化水素または飽和炭化水素の混合物である。適切な炭化水素の代表的な例は、n−デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、n−ヘキサデカンなど、ならびに環状アナログおよび多環式アナログ(例えば、シクロドデカン、ビシクロ[4,4,0]デカン(デカヒドロナフタレン)など)である。しばしば、その溶媒は、溶媒混合物であり、低級アルカン(例えば、ヘキサン、ヘプタンおよびシクロヘキサン)を含む。不飽和溶媒(例えば、ベンゼンおよびトルエン)もまた、本発明において有用である。上記反応混合物において使用する場合、溶媒は、生成された中間体ペンタエリスリトールジホスファイトの重量に基づいて、約10重量%〜約200重量%までの範囲の量で使用する。
【0031】
アルカリ触媒もまた、第1のエステル交換反応において使用する。そのアルカリ触媒は、好ましくは、アルカリ無機化合物であり、最も好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩またはアルコラートであり、それらの全ては、これらの目的のために有用であることが当該分野で周知の触媒である。そのアルカリ触媒を、生成された中間体ペンタエリスリトールジホスファイトの重量に基づいて、約0.1重量%〜約5重量%の範囲の量で上記反応混合物において使用する。
【0032】
第1のエステル交換反応を、温度および圧力の制御された条件下で実施する。第1のエステル交換反応の好ましい実施形態において、その反応を、大気圧で実施する。その反応をまた、遊離したフェノールを蒸留によって除去しながら減圧下(完全真空から約200mmHgまで)で実施し得る。その第1の反応の温度は、約60℃と125℃未満の最終温度との間、好ましくは70℃〜約105℃の間の範囲である。これらの温度にて、望ましくない副反応生成物の形成は、最小化され、これに対応してペンタエリスリトールジホスファイトの収率は、最大化される。
【0033】
いかなる特定の理論にも束縛されることは望まないが、大気圧での第1のエステル交換反応の化学量論および低温度は、他の望ましくない副反応生成物を顧みずに中間体ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイトのスピロ異性体およびかご型異性体の形成を選択的に促進すると考えられている。そのエステル交換副反応物は、溶媒中のジホスファイトの蒸留または分別晶出によって、いくらかの残りの反応物、および副反応生成物から分離される。この独自の処理は、モノホスファイト反応物に基づいて、95%より大きい収率を示す中間体ペンタエリスリトールジホスファイトの混合した重量のスピロ異性体およびかご型異性体を生じる。
【0034】
第1のエステル交換反応の好ましい実施形態において、フェノールは、アルカリ触媒の存在下においてペンタエリスリトールおよびトリフェニルホスファイトのエステル交換によって生成されて、中間体ペンタエリスリトールジホスファイトとしてジフェニルペンタエリスリトールジホスファイトを生成する。その遊離したフェノール、いくらかの未反応のモノホスファイトおよびいくらかの副反応生成物は、蒸留によって除去される。その蒸留は、約100℃〜約300℃の範囲の温度、およびほとんど完全真空から約200mmHgまでの圧力で実施される。そのフェノール副生成物およびモノホスファイト反応物は、良質で、他の反応のための原料として使用され得る。副反応成分は、それらがスピロペンタエリスリトールジホスファイトおよびかご型ペンタエリスリトールジホスファイトに再構成される場合、次の第1のエステル交換反応に再利用され得る。
【0035】
第1の反応混合物の他の精製の方法としては、溶媒中の分別晶出および分別融解晶出(fractional melt crystallization)が挙げられる。上記反応を、溶媒中で実施する場合、その反応混合物の蒸留のために使用される同じ溶媒を、ペンタエリスリトールジホスファイトの分別晶出のために使用し得る。
【0036】
第1のエステル交換反応に続いて、生成した精製した中間体ペンタエリスリトールジホスファイトを、第2のペンタエリスリトールジホスファイトを生成するために、第2のエステル交換反応において使用する。第2のエステル交換反応混合物を調製する際に、置換フェノールまたは置換アルコールおよび中間体ペンタエリスリトールジホスファイトを、置換フェノールまたは置換アルコールのほぼ化学量論から約300重量%過剰の化学量論の量の範囲の量で使用する。その置換フェノール(または使用する場合、過剰のアルコール)は、第2の反応混合物の粘性を減少させて、反応を完了に偏らせるために使用される。好ましい実施形態において、その置換フェノールは、2,4−ジクミルフェノールまたは2,4−ジ−t−ブチルフェノールである。従って、置換フェノールを使用する場合、第2のエステル交換反応の間に生成した第2のペンタエリスリトールジホスファイトは、ビス(置換フェノール)ペンタエリスリトールジホスファイトであり得る。
【0037】
溶媒を、粘性、補助剤の反応性を減少させるため、そして/または分別晶出によって次の反応塊の精製を可能にするために、上記反応混合物において使用し得る。しかし、溶媒は、必ずしも必要とされず、従って任意である。使用し得る溶媒としては、6個〜24個の炭素の範囲における芳香族、脂肪族、および環状炭化水素が挙げられる。直鎖パラフィンまたは環状パラフィンは、適切な溶媒である。より詳細には、その溶媒は、6個〜24個の炭素のn−アルカンおよびシクロアルカンからなる群より選択される飽和炭化水素または飽和炭化水素の混合物である。適切な炭化水素の代表的な例は、n−デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、n−ヘキサデカンなど;ならびに環状アナログおよび多環式アナログ(例えば、シクロドデカン、ビシクロ[4,4,0]デカン(デカヒドロナフタレン)など)である。しばしば、その溶媒は、溶媒混合物であり、低級アルカン(例えば、ヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサン)を含む。不飽和溶媒もまた、本発明において有用である(例えば、ベンゼン、トルエンなど)。上記反応混合物において使用する場合、溶媒は、生成されたペンタエリスリトールジホスファイトの重量に基づいて、約10重量%〜約200重量%の範囲の量で使用する。
【0038】
アルカリ触媒もまた、第2のエステル交換反応において使用する。そのアルカリ触媒は、好ましくは、アルカリ無機化合物であり、最も好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、アルコラートであり、それらの全ては、これらの目的のために有用であるとして当該分野に周知の触媒である。そのアルカリ触媒を、生成された第2のペンタエリスリトールジホスファイトの重量に基づいて、約0.1重量%〜約5重量%の範囲の量で第2の反応混合物において使用する。
【0039】
第2のエステル交換反応を、温度および圧力の制御された条件下で実施する。第2の反応混合物の温度を、約120℃〜175℃未満の範囲、好ましくは120℃〜170℃の範囲に維持し、そして好ましくは約150℃に維持する。その反応を、ほぼ完全真空から約200mmHg(絶対圧)までの範囲の圧力を与えるために減圧下で実施する。好ましい実施形態において、フェノールは、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト中間体および2,4−ジクミルフェノールのエステル交換によって生成されて、第2のペンタエリスリトールジホスファイトとしてビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを生成する。第2のエステル交換反応の間に遊離した副生成物のフェノールを、蒸留によって除去する。そのフェノール副生成物は、良質であり、他の反応のための原料として使用され得る。
【0040】
特定の理論によって束縛されることは望まないが、ペンタエリスリトールジホスファイトの高純度とともに、第2のエステル交換反応の間の化学量論、副生成物のフェノールの除去は、かご型異性体を顧みずに第2のペンタエリスリトールジホスファイトのスピロ異性体の形成を選択的に促進すると考えられている。第1のエステル交換反応の条件と同様に、第2のエステル交換反応の間の独特の反応条件は、第2のエステル交換反応において生成された第2のペンタエリスリトールジホスファイトの混合されたスピロ異性体およびかご型異性体の全重量の90%より大きいスピロ異性体含量を生じる。第2のペンタエリスリトールジホスファイトのスピロ異性体およびかご型異性体の全混合重量は、中間体ペンタエリスリトールジホスファイト反応物に基づいて、95%より大きい収率を示す。
【0041】
第2のエステル交換反応に続いて、生成された第2のペンタエリスリトールジホスファイトを、蒸留によって第2の反応混合物から分離する。好ましい実施形態において、第2の反応混合物を蒸留して、あらゆる未反応の物質、過剰の置換フェノール(または使用する場合、アルコール)、溶媒(使用する場合)、および/またはあらゆる残りのフェノールを除去し、第2のペンタエリスリトールジホスファイトおよび残りの不純物の全重量に基づいて、好ましくは99重量%のスピロ異性体およびかご型異性体の第2のペンタエリスリトールジホスファイトである精製された第2のペンタエリスリトールジホスファイトを残す。その蒸留を、約100℃〜約300℃の範囲の温度、およびほとんど完全真空から約200mmHg(絶対圧)の圧力で実施する。好ましい実施形態において、第2のペンタエリスリトールジホスファイトは、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトである。
【0042】
第2の反応塊の他の精製の方法としては、分別晶出および分別融解晶出が挙げられる。溶媒晶出を、第2のエステル交換反応塊を精製するために使用する場合、その反応塊の希釈のために使用した同じ溶媒を、晶出分別プロセスのために使用し得る。使用し得る溶媒としては、6個〜24個の炭素の範囲の芳香族、脂肪族、および環状炭化水素が挙げられる。直鎖パラフィンおよび環状パラフィンは、適切な溶媒である。より詳細には、その溶媒は、6個〜24個の炭素のn−アルカンおよびシクロアルカンからなる群より選択される飽和炭化水素または飽和炭化水素の混合物である。適切な炭化水素の代表的な例は、n−デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、n−ヘキサデカンなど;ならびに環状アナログおよび多環式アナログ(例えば、シクロドデカン、ビシクロ[4,4,0]デカン(デカヒドロナフタレン)など)である。しばしば、その溶媒は、溶媒混合物であり、低級のアルカン(例えば、ヘキサンおよびシクロヘキサン)を含む。不飽和溶媒(例えば、ベンゼン、トルエンなど)もまた、本発明において有用である。上記反応混合物において使用する場合、溶媒は、生成されたペンタエリスリトールジホスファイトの重量に基づいて、約10重量%〜約200重量%までの範囲の量で使用する。
【実施例】
【0043】
本発明を実施するための最良の形態が、出願時に出願人に知られる最良の形態を説明する目的のために、ここに記載される。実施例は説明のみであり、添付の特許請求の範囲の範囲および精神によって判断される場合、本発明を制限すると意図されない。
【0044】
(実施例1:ビス−2,4−ジクミルペンタエリスリトールジホスファイトの調製)
モノペンタエリスリトールおよびトリフェニルホスファイト(TPP)のエステル交換反応を、大気圧で最初70℃で最終125℃未満、好ましくは105℃〜120℃の温度でアルカリ触媒の存在下で溶媒を用いて化学量論量のTPPおよびペンタエリスリトールで実施する。その反応の間に生成されたフェノールを、100℃〜300℃および0.01mmHgと100mmHg(絶対圧)との間の範囲の圧力で減圧蒸留によって除去し、理論で95%より多くを回収し、そして5%未満が反応塊中に残る。未反応物質は、代表的に1%未満、好ましくは0.1%未満のレベルで、この中間体生成物に残っている。そのフェノール副生成物は、良質であり、他の反応において原料として使用され得る。驚くことに、これらの条件下で、DPPEDPのスピロ異性体は、かご型異性体より優先して生成され、DPPEDP収率は、TPPに基づいて95%より大きい。溶媒は、上記の化学反応に必要不可欠ではなく、粘性を減少させるためのみの役割を果たし、従って任意である。使用し得る溶媒としては、6個〜20個の炭素の範囲における種々の芳香族炭化水素溶媒および炭化水素溶媒が挙げられる。負荷しているアルカリ触媒は、生成されたDPPEDPの0.01重量%〜5重量%である。使用する場合、溶媒を、生成されたDPPEDPの10重量%〜200重量%の量で上記反応系に添加し得る。上記反応スキームおよび操作パラメーターは、微量のTPP、フェノールおよびDPPEDPのかご型異性体とともに、溶媒を使用する場合、90%より大きいスピロ含量を有するDPPEDPを含む反応粗生成物を生じる。
【0045】
精製された高スピロDPPEDPは安定であり、中間体生成物として融解貯蔵または凝固貯蔵され得るか、あるいは売られ得る。除去されたTPP、微量のフェノールおよび/または溶媒は、次のDPPEDP生成へ再利用される。次の工程は、2,4−ジクミルフェノールで高スピロDPPEDPをエステル交換して、高スピロビス−2,4−ジクミルペンタエリスリトールジホスファイトを生成することである。

上記反応からの高スピロDPPEDPを、約150℃でアルカリ触媒された2,4−ジクミルフェノールに添加する。そのアルカリ触媒レベルは、生成されたビス−2,4−ジクミルペンタエリスリトールジホスファイトの0.1重量%〜5重量%である。その反応物を、化学量論(2モルの2,4−ジクミルフェノール対1モルのジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト)から化学量論的に大過剰(粘性を減少させるために300%以上)の2,4−ジクミルフェノールの量で添加し得る。0.01mmHg〜100mmHg(絶対圧)の減圧を、エステル交換反応において生成されたフェノールを微量のレベルまで蒸留するために維持する。その反応は、(DPPEDPに基づいて)95%より大きいホスファイト収率で、90%より大きいスピロ含量異性体を有するビス−2,4−ジクミルペンタエリスリトールジホスファイトを生成する。そのフェノール副生成物は、良質であり、他のプロセスにおける原料として使用され得る。
【0046】
次いで、その反応塊を、150℃〜300℃および0.01mmHg〜50mmHg(絶対圧)で薄膜蒸留によって揮発する物質を除去して、過剰の2,4−ジクミルフェノールを0.5%未満のレベルまで除去する。得られた生成物は、90%より多くがスピロビス−2,4−ジクミルフェニルペンタエリスリトールジホスファイトであり、それを所望の生成物を形成させるために、香錠化(pastilled)し得、小球状にし得、または薄片にはがし得るなどをし得る。その蒸留した2,4−ジクミルフェノールおよび微量のフェノールは、次の反応に再利用される。上記の反応パラメーターを用いることによって、最終的なジホスファイト反応生成物は、再結晶による精製に頼ることを必要とせずに使用され得る。
【0047】
本発明の方法によって作製した高スピロ異性体含量のペンタエリスリトールジホスファイトは、当該分野に公知の任意のポリマー(例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、スチレンポリマー、ポリカーボネート、アクリルポリマー、ポリアミド、ポリアセタール、ハロゲン化物含有ポリマーならびにポリオレフィンホモポリマーおよびコポリマー)を安定化するために使用され得る。さらに含まれるものは、異なるポリマー(例えば、ポリフェニレンエーテル/スチレン樹脂混合物、ポリビニルクロライド/ABSまたは他の衝撃緩和ポリマー(例えば、メタクリロニトリル含有ABS)、およびポリエステル/ABSの混合物であるか、あるいはいずれかの他の衝撃改質剤を加えたポリエステル)もまた使用され得る。そのようなポリマーは、市販されるか、または当該分野に周知の手段によって作製され得る。しかし、本発明のジホスファイトは、熱可塑性ポリマーがしばしば処理および/または使用される極度の温度に起因して、熱可塑性ポリマー(例えば、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル熱可塑性ポリマー(例えば、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンエーテルおよびスチレンポリマー))において特に有用である。
【0048】
モノオレフィンおよびジオレフィンのポリマー(例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン−1、ポリイソプレンまたはポリブタジエンが挙げられる)、ならびにシクロオレフィンのポリマー(例えば、シクロペンテンまたはノルボルネン)、ポリエチレン(必要に応じて架橋され得る)(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE))が使用される。これらのポリマーの混合物(例えば、ポリイソブチレンとポリプロピレンとの混合物、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合物(例えば、PP/HDPE))もまた、使用され得る。モノオレフィンとジオレフィンとの互いのコポリマーまたは他のビニルモノマーとのコポリマー(例えば、エチレン/プロピレン、LLDPEおよびその混合物とLDPE、プロピレン/ブテン−1、エチレン/ヘキセン、エチレン/エチルペンテン、エチレン/ヘプテン、エチレン/オクテン、プロピレン/ブタジエン、イソブチレン/イソプレン、エチレン/アルキルアクリラート、エチレン/アルキルメタクリラート、エチレン/ビニルアセテート(EVA)またはエチレン/アクリル酸コポリマー(EAA)およびそれらの塩(イオノマー)ならびにプロピレンおよびジエン(例えば、ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはエチリデン−ノルボルネン)とエチレンとのターポリマー;ならびにそのようなコポリマーの混合物および上記のポリマーとのそれらの混合物(例えば、ポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/EVA、LDPE/EAA、LLDPE/EVAおよびLLDPE/EAA))もまた、有用である。
【0049】
熱可塑性ポリマーとしてはまた、スチレンポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリ−(p−メチルスチレン)、ポリ−(α−メチルスチレン)、スチレン、p−メチルスチレンまたはα−メチルスチレンとジエンまたはアクリル誘導体とのコポリマー(例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/アルキルメタクリラート、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/ブタジエン/エチルアクリラート、スチレン/アクリロニトリル/メタクリラート);スチレンコポリマーおよび別のポリマー由来(例えば、ポリアクリラート、ジエンポリマーまたはエチレン/プロピレン/ジエンターポリマー由来)の高衝撃強度の混合物;ならびにスチレンのブロックコポリマー(例えば、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンまたはスチレン/エチレン/プロピレン/スチレン)が挙げられ得る。スチレンポリマーとしては、さらにまたは代替として、スチレンまたはα−メチルスチレンのグラフトコポリマー(例えば、ポリブタジエンにグラフトされたスチレン、ポリブタジエン−スチレンまたはポリブタジエン−アクリロニトリルにグラフトされたスチレン;ポリブタジエンにグラフトされたスチレンおよびアクリロニトリル(またはメタクリロニトリル);ポリブタジエンにグラフトされたスチレンおよび無水マレイン酸またはマレイミド;ポリブタジエンにグラフトされたスチレン、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸またはマレイミド;ポリブタジエンにグラフトされたスチレン、アクリロニトリルおよびメチルメタクリラート、ポリブタジエンにグラフトされたスチレンおよびアルキルアクリラートまたはメタクリラート、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーにグラフトされたスチレンおよびアクリロニトリル、ポリアクリラートまたはポリメタクリラートにグラフトされたスチレンおよびアクリロニトリル、アクリラート/ブタジエンコポリマーにグラフトされたスチレンおよびアクリロニトリル)、ならびに上記に示したスチレンコポリマーの混合物が挙げられ得る。
【0050】
ニトリルポリマーもまた有用である。それらとしては、アクリロニトリルおよびそのアナログ(例えば、メタクリロニトリル)のホモポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリアクリロニトリル)、アクリロニトリル/ブタジエンポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリラートポリマー、アクリロニトリル/アルキルメタクリラート/ブタジエンポリマー、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)、およびメタクリロニトリルを含むABS)が挙げられる。
【0051】
アクリル酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびエタクリル酸ならびにそれらのエステル)に基づいたポリマーもまた、使用され得る。そのようなポリマーとしては、ポリメチルメタクリラート、およびABS−型グラフトコポリマー(その中の全てまたは一部のアクリロニトリル型モノマーは、アクリル酸エステルまたはアクリル酸アミドによって置換されている)が挙げられる。他のアクリル型モノマー(例えば、アクロレイン、メタクロレイン、アクリルアミドおよびメタクリルアミド)を含むポリマーもまた、使用され得る。
【0052】
ハロゲン含有ポリマーもまた、有用であり得る。それらとしては、樹脂(例えば、ポリクロロプレン、エピクロロヒドリンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ化ポリビニリデン、臭素化ポリエチレン、塩化ゴム、塩化ビニル−ビニルアセテートコポリマー、塩化ビニル−エチレンコポリマー、塩化ビニルプロピレンコポリマー、塩化ビニル−スチレンコポリマー、塩化ビニル−イソブチレンコポリマー、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸ターコポリマー、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリルコポリマー、塩化ビニル−イソプレンコポリマー、塩化ビニル−塩素化プロピレンコポリマー、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニルターコポリマー、塩化ビニル−アクリル酸エステルコポリマー、塩化ビニル−マレイン酸エステルコポリマー、塩化ビニル−メタクリル酸エステルコポリマー、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマーおよび内部で可塑化された塩化ポリビニル)が挙げられる。
【0053】
他の有用な熱可塑性ポリマーとしては、環状エーテルのホモポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはビス−グリシジルエーテルとそれらのコポリマー);ポリアセタール(例えば、ポリオキシメチレンおよびコモノマーとしてエチレンオキシドを含むそれらのポリオキシメチレン);熱可塑性ポリウレタン、アクリラートまたはメタクリロニトリル含有ABSで改変されたポリアセタール;ポリフェニレンオキシドおよびポリフェニレンスルフィド、ならびにポリスチレンまたはポリアミドとポリフェニレンオキシドとの混合物;ポリカーボネートおよびポリエステル−カーボネート;ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルケトン;ならびにジカルボン酸およびジオール由来ならびに/またはヒドロキシカルボン酸もしくは対応するラクトン由来のポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリ−1,4−ジメチリオール−シクロヘキセンテレフタラート、ポリ−[2,2,4−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン]テレフタラートおよびポリヒドロキシベンゾエート)ならびにヒドロキシル末端基を有するポリエーテル由来のブロックコポリエーテルエステルが挙げられる。
【0054】
ジアミンおよびジカルボン酸由来ならびに/またはアミノカルボン酸もしくは対応するラクタム由来のポリアミドおよびコポリアミド(例えば、ポリミアド−4、ポリアミド−6、ポリアミド−6/6、ポリミアミド−6/10、ポリアミド−6/9、ポリアミド−6/12、ポリアミド−4/6、ポリアミド−11、ポリアミド−12)、m−キシレン、ジアミンおよびアジピン酸の縮合によって得られる芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミンならびにイソフタル酸および/またはテレフタル酸ならびに必要に応じて改変剤としてのエラストマーから調製されるポリアミド(例えば、ポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミドまたはポリ−m−フェニレンイソフタルアミド)もまた、使用され得る。さらに、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマーまたは化学的に結合されるかもしくはグラフトされたエラストマーと上述のポリアミドとのコポリマー;あるいはポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコール)と上述のポリアミドとのコポリマー、およびEPDMもしくはABSで改変されたポリアミドまたはコポリマーもまた、使用され得る。
【0055】
結果として得られる、本発明のプロセスによって作製される、ホスファイトを含有する安定化されたポリマー組成物はまた、必要に応じて、種々の従来の添加剤を含有し得る。これらの添加剤は、例えば、以下である:
(1)酸化防止剤
(1.1)アルキル化モノフェノールであって、例えば:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ブチルフェノール、2,6−ジ−シクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(∩−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−オクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−シクロヘキシルフェノール、および2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール。
【0056】
(1.2)アルキル化ヒドロキノンであって、例えば:2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキノン、2,5−ジ-−t−アミル−ヒドロキノン、および2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール。
【0057】
(1.3)ヒドロキシル化チオジフェニルエーテルであって、例えば:2,2’−チオ−ビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオ−ビス−(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、および4,4’−チオ−ビス−(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)。
【0058】
(1.4)アルキリデン−ビスフェノールであって、例えば:
2,2’−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、
2,2’−メチレン−ビス−[4−メチル−6(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、
2,2’−メチレン−ビス−(6−ノニル−4−メチルフェノール)、
2,2’−メチレン−ビス−[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、
2,2’−メチレン−ビス−[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、
2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、
4,4’−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、
1,1−ビス−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、
2,6−ジ−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、
1,1,3−トリス−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、
1,1−ビス−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコール−ビス−[3,3−ビス−(3’−t−ブチル−4’ヒドロキシ−フェニル)−ブチレート]、
ジ−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−ジシクロペンタジエン、および
ジ−[2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’メチル−ベンジル)−6−t−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート。
【0059】
(1.5)ベンジル化合物であって、例えば:
1,3,5−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、
ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、
イソオクチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−メルカプト−アセテート、
ビス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオールテトラフタレート、
1,3,5−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、
ジオクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−ホスホネート、モノエチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートのカルシウム塩、および
1,3,5−トリス−1,3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート。
【0060】
(1.6)アシルアミノフェノールであって、例えば、4−ヒドロキシ−ラウリル酸アニリド、4−ヒドロキシ−ステアリン酸アニリド、2,4−ビス−オクチルメルカプト−6−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−アニリノ)−s−トリアジン、およびオクチル−N−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−カルバネート。
【0061】
(1.7)
【0062】
【化17】

の、一価アルコールまたは多価アルコール(例えば、メタノール、ジエチレングリコール、オクタデカノール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、チオジエチレングリコール、およびジヒドロキシエチルシュウ酸ジアミド)とのエステル。
【0063】
(1.8)
【0064】
【化18】

の、一価アルコールまたは多価アルコール(例えば、メタノール、ジエチレングリコール、オクタデカノール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、チオジエチレングリコール、およびジ−ヒドロキシエチルシュウ酸ジアミド)とのエステル。
【0065】
(1.9)β−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸の、一価アルコールまたは多価アルコール(例えば、メタノール、ジエチレングリコール、オクタデカノール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、チオジエチレングリコール、およびN,N’−ビス(ヒドロキシエチル)シュウ酸ジアミド)とのエステル。
【0066】
(1.10)β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸のアミドであって、例えば:
N,N’−ジ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサメチレンジアミン、
N,N’−ジ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−トリメチレンジアミン、および
N,N’−ジ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヒドラジン。
【0067】
(2)UV吸収材および光安定化剤。
【0068】
(2.1)2−(2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾールであって、例えば、5’−メチル誘導体、3’、5’−ジ−t−ブチル誘導体、5’−t−ブチル誘導体、5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)誘導体、5−クロロ−3’,5’−ジ−t−ブチル誘導体、5−クロロ−3’−t−ブチル−5’−メチル誘導体、3’−sec−ブチル−5’−t−ブチル誘導体、4’−オクトキシ誘導体、3’,5’−ジ−t−アミル誘導体、および3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)誘導体。
【0069】
(2.2)2−ヒドロキシ−ベンゾフェノンであって、例えば、4−ヒドロキシ誘導体、4−メトキシ誘導体、4−オクトキシ誘導体、4−デシルオキシ誘導体、4−ドデシルオキシ誘導体、4−ベンジルオキシ誘導体、4,2’,4’−トリヒドロキシ誘導体、および2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ誘導体。
【0070】
(2.3)置換安息香酸および非置換安息香酸のエステルであって、例えば、サリチル酸フェニル、フェニルサリチル酸4−t−ブチル、サリチル酸オクチルフェニル、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス−(4−t−ブチルベンゾイル)−レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−t−ブチル−フェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、およびヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート。
【0071】
(2.4)アクリレートであって、例えば、α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸の、エチルエステルまたはイソオクチルエステル、α−カルボメトキシ−ケイ皮酸メチルエステル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ−ケイ皮酸のメチルエステルまたはブチルエステル、α−カルボメトキシ−p−メトキシ−ケイ皮酸メチルエステル、およびN−(β−カルボメトキシ−β−シアノ−ビニル)−2−メチル−インドリン。
【0072】
(2.5)ニッケル化合物であって、例えば、2,2’−チオ−ビス−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール]のニッケル錯体(例えば、1:1または1:2の錯体であって、必要に応じて、n−ブチルアミン、トリエタノールアミンまたはN−シクロヘキシル−ジ−エタノールアミンのようなさらなる配位子を有する)、ニッケルジブチルジチオカルバメート、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルホスホン酸モノアルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステルまたはブチルエステル)のニッケル塩、ケトキシム(例えば、2−ヒドロキシ−4−メチル−ペンチルウンデシルケトキシム)のニッケル錯体、および1−フェニル−4−ラウロイル−5−ヒドロキシ−ピラゾールのニッケル錯体(必要に応じて、さらなる配位子を有する)。
【0073】
(2.6)立体障害を有するアミンであって、例えば、ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−セバセート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−セバセート、n−ブチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロン酸、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)エステル、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジンとコハク酸との縮合生成物、N,N’−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンと4−t−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−s−トリアジンとの縮合生成物、トリス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−ニトリロトリアセテート、テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−四炭酸、1,1’−(1,2−エタンジイル)−ビス−(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)。このようなアミンとしては、ヒンダードアミン(例えば、ジ−(1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバセート;1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾキシピペリジン;1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ)ピペリジン;およびN−(1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ε−カプロラクタム)から誘導されるヒドロキシアミンが挙げられる。
【0074】
(2.7)シュウ酸ジアミドであって、例えば、4,4’−ジ−オクチルオキシ−オキサニリド、2,2’−ジ−オクチルオキシ−5,5−ジ−t−ブチル−オキサニリド、2,2’−ジ−ドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチル−オキサニリド、2−エトキシ−2’−エチル−オキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−オキサールアミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキサニリドおよびその2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−t−ブチルオキサニリドとの混合物、ならびにo−メトキシ二置換オキサニリドとp−メトキシ二置換オキサニリドとの混合物、およびo−エトキシ二置換オキサニリドとp−エトキシ二置換オキサニリドとの混合物。
【0075】
(3)金属不活性化剤であって、例えば、N,N’−ジフェニルシュウ酸ジアミド、N−サリチラール−N’−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヒドラジン、サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス−ベンジリデン−シュウ酸ジヒドラジド。
【0076】
(4)本発明のもの以外のホスファイトおよびホスホナイトであって、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニル−フェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、およびテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスファイト。
【0077】
(5)過酸化物スカベンジャーであって、例えば、β−チオジプロピオン酸のエステル(例えば、ラウリルエステル、ステアリルエステル、ミリスチルエステルまたはトリデシルエステル)、メルカプトベンゾイミダゾールまたは2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、亜鉛−ジブチル−ジチオカルバメート、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ドデシルメルカプト)−プロピオネート。
【0078】
(6)ポリアミド安定化剤であって、例えば、ヨウ化物および/またはリン化合物と組み合わせた銅塩、ならびに二価マンガンの塩。
【0079】
(7)塩基性共安定化剤であって、例えば、メラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、トリアリルシアヌレート、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン、ポリアミド、ポリウレタン、高級脂肪酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、リシノール酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、ピロカテコール酸アンチモン、およびピロカテコール酸亜鉛)。
【0080】
(8)核形成剤であって、例えば、4−t−ブチル−安息香酸、アジピン酸、ジフェニル酢酸。
【0081】
(9)充填剤および強化剤であって、例えば、炭酸カルシウム、シリケート、ガラス繊維、石綿、滑石、カオリン、雲母、硫酸バリウム、金属酸化物および金属水酸化物、カーボンブラック、黒鉛。
【0082】
(10)アミノキシプロパノエート誘導体であって、例えば、メチル−3−[N,N−ジベンジルアミノキシ]プロパノエート;
エチル−3−[N,N−ジベンジルアミノキシ]プロパノエート;
1,6−ヘキサメチレン−ビス[3−(N,N−ジベンジルアミノキシ)プロパノエート];
メチル−[2−(メチル)−3(N,N−ジベンジルアミノキシ)プロパノエート];
オクタデシル−3−[N,N−ジベンジル−アミノキシ]プロパン酸;テトラキス[(N,N−ジベンジルアミノキシ)エチルカルボニルオキシメチル]メタン;オクタデシル−3−[N,N−ジエチルアミノキシ]プロパノエート;
3−[N,N−ジベンジルアミノキシ]プロパン酸カリウム塩;および1,6−ヘキサメチレンビス[3−(N−アリル−N−ドデシルアミノキシ)プロパノエート]。
【0083】
(11)他の添加剤であって、例えば、可塑剤、滑沢剤、乳化剤、顔料、光学光沢剤、耐火剤、静電防止剤、ブロー剤およびチオ相乗作用剤(例えば、ジラウリルチオジプロピオネートまたはジステアリルチオジプロピオネート)。
【0084】
ヒンダードフェノール性酸化防止剤もまた、このポリマー組成物中に存在し得る。本発明のビス(アルキルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフェートの使用は、これらのフェノールの存在から生じる色の形成を減少させることによって、増強したポリマー保護を生じ得る。このようなフェノール性酸化防止剤としては、先に具体的に言及されたものに加えて、以下が挙げられる:
n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、ネオペンタンテトライルテトラキス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート)、
ジ−n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−ホスホネート、
1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、
チオジエチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
3,6−ジ−オキサオクタメチレンビス(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、
2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、
1,3,5−トリス−(2,6−ジ−メチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、
1,3,5−トリス[2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミルオキシ)−エチル]イソシアヌレート、
3,5−ジ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−メシトール、
ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、
1−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−3,5−ジ(オクチルチオ)−s−トリアジン、
N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナムアミド)、
ビス(エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸)カルシウム、
エチレンビス[3,3−ジ(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、
オクチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート、
ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジド、および
N,N’−ビス−[2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロキソシンナモイルオキシ)−エチル]−オキサミド、
ネオペンタンテトライルテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、
n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)ベンゼン、
1,3,5−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールまたは
2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)。
【0085】
(12)ラクトンであって、例えば、5,7−ジ−t−ブチル−3−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン;5,7−ジ−クミル−3−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン;ノニル−e−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン;ジノニル−3−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン;5−t−ブチル−3−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン;5−クミル−3−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン;およびオクチル−3−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン、ならびに他の3−アリールベンゾフラン−2−オン。
【0086】
他の添加剤(例えば、オキサアザホスホリジン)が、さらに、または代替的に、存在し得る。同様に、本発明の化合物は、ヒンダードアミン光安定化剤が存在する場合、色の形成を防止する。このようなヒンダードアミンとしては、以下が挙げられる:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−n−ブチル−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)マロネート;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバセート;4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとのジメチルスクシネートポリマー;および2,4−ジクロロ−6−オクチルアミノ−s−トリアジンとN’−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンとのポリマー。
【0087】
本発明は、好ましい実施形態および代替の実施形態を参照して、記載された。明らかに、本明細書を読み、そして理解すると、改変および変更を、他者が想到する。このような改変および変更の全ては、これらが添付の特許請求の範囲またはその均等物の範囲内である限り、包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
(a)式(I)
【化1】

のペンタエリスリトールをモノホスファイトでエステル交換して、以下の式(III)
【化2】

に示すスピロ異性体を有する中間体ペンタエリスリトールジホスファイト、以下の式(IV)
【化3】

に示すかご型異性体、未反応のモノホスファイトおよび副反応生成物を含む第1反応混合物を形成させる工程であって、ここで、Rは、直鎖C1−20アルキル基または分枝C1−20アルキル基、C5−7脂環式基およびそのC6−11置換誘導体、直鎖C2−30アルケニル基または分枝C2−30アルケニル基、C6−18アリール基、C7−40アルキルアリール基およびC7−40アリールアルキル基ならびにそれらの混合物からなる群より選択される工程;
(b)該第1反応混合物から該中間体ペンタエリスリトールジホスファイト以外の反応生成物を除去する工程;および
(c)C8−22アルカノール、C8−22アルケノール、フェノール、C7−40アルキルアリールアルコールおよびC7−40アリールアルキルアルコールからなる群より選択されるアルコールで該中間体ペンタエリスリトールジホスファイトをエステル交換して、式(VI)
【化4】

の最終的なペンタエリスリトールジホスファイトを含む第2反応混合物を形成させる工程、であって、ここで、Rは、C8−22アルキル、C8−22アルケニル、フェニル、C7−40アルキルアリールおよびC7−40アリールアルキルからなる群より選択される工程、
を包含する、ペンタエリスリトールジホスファイトを合成するための改良方法。
【請求項2】
前記第1反応混合物から前記中間体ペンタエリスリトールジホスファイトを分離して、精製された中間体ペンタエリスリトールジホスファイトを生産する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モノホスファイトが、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイトおよびトリフェニルホスファイトからなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記モノホスファイトが、トリフェニルホスファイトである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記中間体ペンタエリスリトールジホスファイトが、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイトである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ペンタエリスリトールに対する前記モノホスファイトの割合が、1モルのペンタエリスリトール当たり約2モルのモノホスファイトである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
アルカリ触媒をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アルカリ触媒の量が、前記中間体ペンタエリスリトールジホスファイトに基づいて、約0.01重量%〜約5重量%の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アルコールが、2,4−ジクミルフェノールである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のエステル交換反応圧力が、約0.01mmHg〜約100mmHgの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のエステル交換反応温度が、約70℃〜約105℃の範囲である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1反応混合物が、溶媒をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒が、C−C20芳香族炭化水素およびC−C20脂肪族炭化水素ならびにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が、前記中間体ペンタエリスリトールジホスファイトの約10重量%〜約200重量%の範囲の量で添加される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記中間体ペンタエリスリトールジホスファイトが、90%より多い量のスピロ異性体を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記中間体ペンタエリスリトールジホスファイトが、前記モノホスファイトに基づいて、95%より多い量の収率を有する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記分離する工程が、少なくとも99%の純度までに前記中間体ペンタエリスリトールジホスファイトを精製するために十分に前記反応混合物を蒸留することを包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記中間体ペンタエリスリトールジホスファイトの純度が、少なくとも99.9%である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2反応混合物から前記第2のペンタエリスリトールジホスファイトを分離する工程をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記第2反応混合物から前記第2のペンタエリスリトールジホスファイトを分離する工程が、蒸留の工程を包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記アルコールが、2,4−ジ−t−ブチルフェノールおよび2,4−ジクミルフェノールからなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記アルコールが、2,4−ジクミルフェノールである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記最終的なペンタエリスリトールジホスファイトが、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトおよびビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトからなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の温度が、約130℃〜約170℃の範囲である、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の圧力が、約0.01mmHg〜約100mmHgの範囲である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記アルコールの量が、1モルの前記中間体ペンタエリスリトールジホスファイト当たり約2モル〜約8モルの範囲である、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
第2のアルカリ触媒をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記第2のアルカリ触媒の量が、前記最終的なペンタエリスリトールジホスファイトに基づいて、約0.01重量%〜約5重量%の範囲である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記最終的なペンタエリスリトールジホスファイトが、90モル%より大きい量のスピロ異性体を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記モノホスファイトが、式(II)
【化5】

のトリフェニルホスファイトであり;
前記中間体反応物が、式(V)
【化6】

のジフェニルペンタエリスリトールジホスファイトであり;
前記アルコールが、式(VIII)
【化7】

の2,4−ジクミルフェノールであり;そして
前記最終的なペンタエリスリトールジホスファイトが、式(VIII)
【化8】

のビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトである、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2007−513947(P2007−513947A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543847(P2006−543847)
【出願日】平成16年11月23日(2004.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/039200
【国際公開番号】WO2005/060500
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(301012829)ドーバー・ケミカル・コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】