説明

ホストベース型情報システム、クライアント、ホスト、情報システム、表示端末および制御装置

【課題】単一ユーザが複数のクライアントを操作する電子ペーパー装置からなるシステムに好適に適用可能なホストベース型情報システムを提供すること。
【解決手段】通信可能なクライアント10から操作指示部28で指示された文書の文書データを取得し、その文書データに、操作指示部28が触れている指示接続部11に対応する処理を実行するようにした。そのため、例えば、表示データを保持したまま、紙のようにしばらく放置し、後で作業を継続したり、他のユーザに渡したり、といった複数クライアント10の活用時に想定される操作がされたとしても、ホスト側接続手段でクライアント10を指示することで、クライアント10に格納された反応マップに基づいて適切な処理を実行することができ、状態記憶手段や文書記憶手段を参照しながら、回帰的に処理過程を進めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数クライアントとホストとから構成されるホストベース型情報システム、クライアント、ホスト、情報システム、表示端末および制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の進展に伴い情報装置の小型化や低パワー化が図られ、個人でも複数の情報装置を操作することが多くなっている。特に、近い将来に実用化が期待される電子ペーパー技術によれば、従来の紙のような使い易さの実現が期待されている。そのため、複数の電子ペーパー装置を跨ぐ処理を行わせるといった利用形態の実現が望まれる。
また、このような利用形態を提供する際に、個々の電子ペーパー装置それぞれに高度の処理機能を設け、装置間の通信により連携処理を行わせるといった方法が想定される。しかしながら、このような形態では、個々の装置が複雑化し高価となるばかりか、通信やセキュリティといった管理項目が増大し且つ煩雑化するといった問題が生じる。
【0003】
そこで、個々の電子ペーパー装置は情報の入出力に特化させ、情報処理の主機能はホスト(サーバ装置)に集中させるホストベース(シンクライアント、サーバサイド)型の形態が、コスト的・管理的には好ましい。このようなホストベース型情報システムは、従来から企業内の基幹業務アプリケーションや、携帯電話の情報サービスといった、大規模なネットワークシステムにおいて利用されてきた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−157184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のホストベース型情報システムにあっては、クライアントとしてパーソナルコンピュータや携帯電話上のWebブラウザ等を想定しており、上記の電子ペーパー装置からなるシステムのように、単一ユーザが複数のクライアントを操作するシステムには必ずしも適していない。すなわち、従来のホストベース型情報システムは、クライアントを一時的な入出力端末として扱うのみである。したがって、表示データを保持したまま紙のようにしばらく放置し、後で作業を継続したり、他のユーザに渡したり、といった複数クライアントの活用時に想定される操作に対応することができない。
【0005】
本発明は、上記従来の技術の未解決の問題点を解決することを目的とするものであって、単一ユーザが複数のクライアントを操作する電子ペーパー装置からなるシステムに好適に適用できるホストベース型情報システム、クライアント、ホスト、情報システム、表示端末および制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のホストベース型情報システムは、複数クライアントとホストとから構成されるホストベース型情報システムであって、前記クライアントは、表示状態を不揮発的に保持可能な記憶性の表示装置と、前記表示装置に表示させる文書の文書データを記憶する文書記憶手段と、前記ホストが接続されると前記ホストと自装置とを通信可能とし且つそれぞれが所定処理に対応する複数のクライアント側接続手段と、前記クライアント側接続手段に対応する所定処理を示す反応マップを記憶する反応マップ記憶手段と、を備え、前記ホストは、前記クライアント側接続手段に自装置を接続可能なホスト側接続手段と、通信可能となった前記クライアントの前記表示装置に表示されている文書データを前記文書記憶手段から取得する文書データ取得手段と、前記文書データ取得手段で取得された文書データに対して、前記ホスト側接続手段が接続されている前記クライアント側接続手段に前記反応マップによって対応づけられている所定処理を実行する処理実行手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記ホスト側接続手段は、前記表示装置上の位置の指示に用いられ、前記ホストは、前記ホスト側接続手段で指示された位置を検出する位置検出手段を備え、前記処理実行手段は、前記所定処理において、前記位置検出手段で検出された位置情報を利用するようにしてもよい。
さらに、前記クライアントは、前記表示装置上の位置を示す被観測パターンが記されており、前記ホスト側接続手段は、指示位置に記されている前記被観測パターンを検出し、前記位置検出手段は、その検出結果に基づいて前記ホスト側接続手段で指示された位置を検出するようにしてもよい。
【0008】
また、前記クライアントは、前記文書データに基づいて生成された表示データを記憶する表示データ記憶手段と、前記表示データ記憶手段に記憶されている表示データに基づいて前記表示装置の表示状態を書き換える表示状態書換手段と、を備え、前記処理実行手段は、前記所定処理として、前記文書データ取得手段で取得された文書データに基づいて表示データを生成し、その表示データを当該クライアントの前記表示データ記憶手段に記憶させる処理を実行するようにしてもよい。
さらに、前記ホストは、前記反応マップを生成する反応マップ生成手段と、通信可能となった前記クライアントの前記反応マップ記憶手段に記憶されている反応マップを前記反応マップ生成手段で生成された反応マップで書き換える反応マップ書換手段と、を備えるようにしてもよい。
【0009】
また、前記ホストは、前記文書データ取得手段で取得された文書データに基づいて反応マップを生成する反応マップ生成手段と、通信可能となった前記クライアントの前記反応マップ記憶手段に記憶されている反応マップを前記反応マップ生成手段で生成された反応マップで書き換える反応マップ書換手段と、を備え、前記表示状態書換手段は、前記反応マップ書換手段によって反応マップを書き換えた後に、前記表示装置の表示状態の書き換えを開始するようにしてもよい。
さらに、前記クライアントは、前記ホストの電源から電力の供給を受けて動作するようにしてもよい。
【0010】
一方、本発明のクライアントは、複数クライアントとホストとから構成されるホストベース型情報システムにおけるクライアントであって、表示状態を不揮発的に保持可能な記憶性の表示装置と、前記表示装置に表示させる文書の文書データを記憶する文書記憶手段と、前記ホストが接続されると前記ホストと自装置とを通信可能とし且つそれぞれが所定処理に対応する複数のクライアント側接続手段と、前記クライアント側接続手段に対応する所定処理を示す反応マップを記憶する反応マップ記憶手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のホストは、複数クライアントとホストとから構成されるホストベース型情報システムにおけるホストであって、前記クライアントの所定位置に自装置を接続して前記クライアントと前記自装置とを通信可能とするホスト側接続手段と、通信可能となった前記クライアントの前記表示装置に表示されている文書データを前記クライアントから取得する文書データ取得手段と、前記文書データ取得手段で取得された文書データに対して、前記ホスト側接続手段が接続されている前記所定位置に対応づけられている所定処理を実行する処理実行手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の情報システムは、表示端末と制御装置とから構成される情報システムであって、前記表示端末は、表示状態を不揮発的に保持可能な記憶性の表示装置と、前記表示装置に表示させる文書の文書データを記憶する文書記憶手段と、前記制御装置が接続されると前記制御装置と自装置とを通信可能とする表示端末側接続手段と、前記文書データに基づいて生成された表示データを記憶する表示データ記憶手段と、前記表示データ記憶手段に記憶されている表示データに基づいて前記表示装置の表示状態を書き換える表示状態書換手段と、を備え、前記制御装置は、前記表示端末側接続手段に自装置を接続可能な制御装置側接続手段と、通信可能となった前記表示端末の前記表示装置に表示されている文書データを前記文書記憶手段から取得する文書データ取得手段と、前記文書データ取得手段で取得された文書データに基づいて表示データを生成し、その表示データを前記表示端末の前記表示データ記憶手段に記憶させる表示データ記憶処理を実行する処理実行手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、前記表示端末側接続手段は、それぞれが所定処理に対応して複数設けられ、前記表示端末は、前記表示端末側接続手段に対応する所定処理を示す反応マップを記憶する反応マップ記憶手段を備え、前記反応マップは、前記所定処理として前記表示データ記憶処理を含み、前記処理実行手段は、前記文書データ取得手段で取得された文書データに対して、前記制御装置側接続手段が接続されている前記表示端末側接続手段に前記反応マップによって対応づけられている所定処理を実行するようにしてもよい。
【0014】
さらに、本発明の表示端末は、表示状態を不揮発的に保持可能な記憶性の表示装置と、前記表示装置に表示させる文書の文書データを記憶する文書記憶手段と、自装置と情報システムを構成する制御装置が接続されると前記制御装置と自装置とを通信可能とする表示端末側接続手段と、前記表示データ記憶手段に記憶されている表示データに基づいて前記表示装置の表示状態を書き換える表示状態書換手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の制御装置は、自装置と情報システムを構成する表示端末の所定位置に自装置を接続可能な制御装置側接続手段と、通信可能となった前記表示端末の前記表示装置に表示されている文書の文書データを前記表示端末から取得する文書データ取得手段と、前記文書データ取得手段で取得された文書データに基づいて表示データを生成し、その表示データを前記表示端末に記憶させる処理を実行する処理実行手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、例えば、表示データを保持したまま、紙のようにしばらく放置し、後で作業を継続したり、他のユーザに渡したり、といった複数クライアントの活用時に想定される操作がされたとしても、ホスト側接続手段をクライアント側接続手段に接続することで、クライアントに格納された反応マップに基づいて適切な処理を実行することができ、文書記憶手段や反応マップを参照しながら、回帰的に処理過程を進めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図を参照して本発明のホストベース型情報システムを、コンテンツを切り換え表示可能な複数のクライアントを有する情報システムに適用した実施の形態を説明する。
【0018】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る情報処理システム1の外観構成を示す図である。この図1に示すように、情報処理システム1は、紙のように軽薄な形態を有する複数のクライアント10と、ペン型の指示操作部を有するホスト20とで構成されている。
【0019】
<クライアントの構成>
クライアント10は、指示接続部11、接続制御部12、不揮発性記憶部13、処理部14および記憶性表示体15を含んで構成され、これらはバス16で互いに通信可能に接続されている。
指示接続部11は、クライアント10とホスト20との間で情報および電力を入出力するためのインターフェースである。
【0020】
具体的には、指示接続部11は、異なる指示入力内容それぞれに対応して、電力および情報の入出力を行うためのアンテナコイルを備えており、ホスト20の指示接続部21(後述)に備えられているアンテナコイルと電磁的に結合することによって、ホスト20から受電して動作するとともに、誘導電磁界に重畳された情報を受信し、且つ、誘起による返信搬送波を送信すべき情報で変調して、ホスト20との間で情報を入出力する。
ここで、クライアント10とホスト20との間で入出力する情報としては、表示対象であるコンテンツの文書データ、表示データ、反応マップ、ホスト20の操作指示部28(後述)の先端が触れている部分の座標、各種処理の処理状態等を挙げることができる。
【0021】
反応マップは、各指示接続部11に対応づけられている実行指示や、記憶性表示体15の各座標に表示されている文書要素や対話要素(文字列、画像、リンク情報、実行指図)を示すマップである。
本実施形態では、このマップにより、図1の最上段にある指示接続部11は、次ページへの移動処理の実行指示が対応づけられ、二段目の指示接続部11は、文字列の抽出処理の実行指示が対応づけられている。
【0022】
接続制御部12は、指示接続部11を介して行われる情報および電力の入出力を制御する。すなわち、接続制御部12は、ホスト20の指示接続部21により指示され活性化した指示接続部11、すなわち、誘導電力が発生した指示接続部11からの入力を整流して動作電力を取り出すとともに、活性化した指示接続部11を比較回路等で判別の上、その指示接続部11を介して、ホスト20との間で入出力される所定のシリアルデータによるクライアント・プロトコルを実行する。これにより接続制御部12は、不揮発性記憶部13あるいは処理部14への入出力を管理する。そして、後述するように、ホスト20の接続制御部22が対応するホスト・プロトコルによって通信を行うことにより、クライアント10とホスト20とは透過的に入出力可能な接続状態となる。なお、この際、活性化した指示接続部11の判別結果は、接続されたホスト20からも参照可能となる。
【0023】
不揮発性記憶部13は、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリによって構成され、指示接続部11を介してホスト20から入力される情報(コンテンツの文書データ、表示データおよび反応マップ)や、ホスト20で行われる各種処理の処理状態を記憶する。
処理部14は、表示実行部17および反応抽出部18を含んで構成される。
【0024】
表示実行部17は、不揮発性記憶部13に記憶されている表示データが更新されると、記憶性表示体15を直接制御し、更新された表示データを記憶性表示体15に表示させる。具体的には、表示実行部17は、不揮発性記憶部13に記憶されている表示データを参照して、記憶性表示体15のXドライバおよびYドライバを駆動することにより、描画対象であるラスタ図形を記憶性表示体15に表示させる。なお、記憶性表示体15を駆動する方式としては、例えば、パッシブマトリクス駆動方式、TFT(Thin Film Transistor)方式、D−TFD(Digital Thin Film Diode)方式が採用可能である。
【0025】
反応抽出部18は、ホスト20から活性化された指示接続部11の判別結果や、操作指示部28の先端が触れていた部分の座標による問合せが入力されると、不揮発性記憶部13に記憶されている反応マップおよび文書データから該当する指示接続部11に対応づけられている実行指示や、記憶性表示体15に表示されている文書要素や対話要素のデータを抽出し、その抽出結果を指示接続部11、21、接続制御部22を介してホスト20の文書処理部25(後述)に出力する。
【0026】
記憶性表示体15は、A4サイズの高画素密度である表示装置によって構成され、表示実行部17の制御に応じて、所定画素に画素データを表示することで、ラスタ図形を表示する。なお、記憶性表示体15としては、例えば、電気泳動ディスプレイ、コレステリック液晶ディスプレイ、帯電トナーを利用したディスプレイ、ツイストボールを利用したディスプレイあるいはエレクトロデポジションディスプレイ等が採用可能である。
また、記憶性表示体15の表面には、当該表面上の座標を示す情報図形等による座標パターンがホスト20から観察可能に形成され、ホスト20に指示位置の座標を提供(後述)する。
【0027】
<ホストの構成>
次に、ホスト20は、指示接続部21、接続制御部22、位置検出部24、文書処理部25、情報サービス部および電源26を含んで構成され、これらはバス27によって通信可能に構成されている。
指示接続部21は、操作指示部28の先端に設けられ、クライアント10とホスト20との間で情報および電力を入出力するためのインターフェースである。具体的には、指示接続部21は、電力および情報の入出力を行うためのアンテナコイルを備えており、クライアント10の指示接続部11に同様に備えられているアンテナコイルと電磁的に結合することによって、クライアント10との間で情報および電力を入出力する。
【0028】
接続制御部22は、指示接続部21を介して行われる情報および電力の入出力を制御する。すなわち、接続制御部22は、電源26からの電力をもとにアンテナコイルに制御信号を含む交流電流を印加してクライアント10側の指示接続部11のアンテナコイルを誘起するとともに、指示接続部21を介してクライアント10との間で入出力される所定のシリアルデータによるホスト・プロトコルを実行制御することにより、文書処理部25への入出力を管理する。
【0029】
赤外線受発光部23は、操作指示部28の先端がクライアント10に触れると、触れた部分に赤外線を照射して反射光を受光し、その受光結果を位置検出部24に出力する。なお、操作指示部28の先端がクライアント10に触れたことを検出する方法としては、例えば、操作指示部28の先端にスイッチを設ける方法や電磁的な方法が採用可能である。
位置検出部24は、観測部29および演算部30を含んで構成される。
観測部29は、赤外線受発光部23から出力される受光結果に基づいて操作指示部28が触れている部分の座標パターンを検出し、その検出結果を演算部30に出力する。
演算部30では、観測部29から出力される検出結果(座標パターン)が示す座標を情報図形をデコードする等の処理により演算し、当該座標を文書処理部25に提供する。
【0030】
文書処理部25は、情報処理システム1全体を制御するものであり、指示接続部21を介してクライアント10から抽出される各種の処理実行指示に従って、予め記憶された対応する処理ルーチンを読み出して実行する。具体例としては、例えば、表示中文書の次ページを表示する実行指示に対しては、現在記憶性表示体15に表示されているページに関する情報(処理情報)と文書データとを指示接続部11、21、接続制御部22を介して不揮発性記憶部13から取得し、その処理情報と文書データとに基づいて次ページのレイアウト処理を実行し、次ページの表示データと反応マップとを生成し、指示接続部11、21、接続制御部12を介して不揮発性記憶部13に記憶させる、という一連の処理ルーチンが格納されており、これが実行される。
【0031】
あるいは、表示中文書から指示された表示文字列の抽出を行う実行指示に対しては、演算部30からユーザにより前もって指示された座標(抽出対象の文字列の始点および終点の座標)値を取得し、その座標に表示されている文書要素を反応抽出部18に問い合わせ、出力として反応抽出部18から抽出される文字列データを一時記憶に保持する、といった一連の処理ルーチンが格納されており、これが実行される。
電源26は、一次電池あるいは二次電池によって構成され、情報処理システム1の各部(ホスト20の指示接続部21)に電力を供給する。
【0032】
<情報処理システムの動作>
次に、本実施形態の情報処理システムの動作を説明する。
【0033】
<基本的な動作>
本実施形態の情報処理システムは、常に図2および図3(a)、(b)に示す基本手順に則って動作する。処理の内容は、指示接続部11の判別結果に対応し、且つ、ホスト20が座標パターンを基に演算取得した座標を用いて決定され、実行される。
全ての処理は、ホスト20がクライアント10を指示することによって開始される。
【0034】
ここで、ホスト20が指示した部分がクライアント10の指示接続部11であるか否かによって処理は二通りの場合がある。それぞれは、指示接続部11を介した通信が活性化されるか否かで判別することができる。すなわち、ホスト20は、操作指示部28の先端が触れたことを検出すると、接続制御部22により、電源26からの電力をもとにアンテナコイルに制御信号を含む交流電流を印加する。この際、指示接続部21のコイルが、クライアント10の指示接続部11に備えられているコイルと電磁的に結合されると、ホスト20の指示接続部21でもインピーダンスの変化や、クライアント・プロトコルによる初期応答を基に、接続が検出される。一方、指示接続部11、21が所定範囲に近づかないと、インピーダンスの変化や初期応答は発生せず、接続は未検出のままとなる。
【0035】
所定の時間内に接続が検出されない場合、ホスト20は図2に示すように単独での処理を行う。一方、接続が検出されると、ホスト20およびクライアント10は、図3(a)、(b)に示すように互いに通信しながら連携して処理を行う。
まず、図2に基づいて、指示接続部11以外を指示した場合について説明する。この場合、ユーザが操作接続部28の先端でクライアント10に触れ、ホスト20の接続制御部22が、アンテナコイルに制御信号を含む交流電流を印加しても、通信は活性化しない(ステップS101)。
【0036】
この場合、ホスト20は、位置検出とその記憶のみを実行する。すなわち、ホスト20は、赤外線受発光部23により、操作接続部28の先端が指示したクライアント10の表面上に赤外線を照射し、その反射光を受光して、受光結果が観測部29に出力される。そして、観測部29により、その出力された受光結果に基づいて指示位置の座標パターンが検出結果として演算部30に出力され、演算部30により、その座標パターンが示す座標が演算され、その演算結果が順次に記憶される(ステップS102、S103)。これらの手続が完了すると、ホスト20は、例えば、図示しない振動器等を駆動して、検出完了をユーザに告知し(ステップS104)、処理および指示操作が完了する(ステップS105)。
【0037】
次に、図3(a)、(b)に基づいて、指示接続部11を指示した場合について説明する。この場合、ユーザが操作接続部28の先端でクライアント10の指示接続部11に触れ(ステップS201)、ホスト20の接続制御部22が、アンテナコイルに制御信号を含む交流電流を印加すると、指示接続部11との間で通信が活性化する(ステップS202、S301)。ここで、活性化した指示接続部11は上記に基づき識別され(ステップS203)、ホスト20ではその符号を得る。これにより文書処理部25は、その指示接続部11に対応する処理実行指示を、反応抽出部18に対して問い合わせる。
【0038】
すると、反応抽出部18により、問い合わせに基づいて、反応マップから対応する処理実行指示が抽出され、その抽出結果が接続制御部12、指示接続部11、21、を介して文書処理部25に出力され(ステップS302)、文書処理部25により、対応する処理ルーチンが実行開始される(ステップS204)。
以上により、処理実行指示に基づいた処理が文書処理部25で実行される。通常、この処理は表示中の文書に対する処理であり、文書処理部25では、現在記憶性表示体15に表示されている文書の処理経過に関する情報(処理情報)と文書データとを指示接続部11、21、接続制御部22を介して不揮発性記憶部13から取得し、その処理情報と文書データとに基づいて処理を行う(ステップS205)。
【0039】
ここで実行される処理によっては、ホスト20に順次に記憶された座標検出の結果のデータが用いられる。例えば、あらかじめユーザが処理に関連する文書要素を記憶性表示体15上で順次に指示した後に、指示接続部11に触れて処理内容を指示する場合が相当する。このとき、座標のデータの処理にあたっては、文書処理部25は、反応抽出部18に対応した情報の検索を問い合わせ、結果として出力される文書要素を参照する。すなわち、文書処理部25で実行される処理において、例えば、直前に指示された座標に表示されている文書要素を、その処理対象にするとした場合、文書処理部25は、直前に指示された座標値を、記憶された座標検出データから参照し、その座標値により、該当位置に表示されている文書要素が何かを反応抽出部18に問い合わせる。反応抽出部18では問い合わせに基づき、不揮発性記憶部13に記憶されている反応マップから該当する文書要素や対話要素を抽出し、その抽出結果を文書処理部25に返答する。
【0040】
以上のような表示中文書に係る処理の結果としては、多様なものが考えられるが、一般化すると、処理を経て表示状態には何らかの変更が発生する。また、表示状態が変更される場合は、指示に際して実行すべき反応処理も付随して更新される。すなわち、文書処理部25は処理の結果として、必要に応じて、更新された反応マップと表示データとを出力する。出力される表示データと反応マップは、指示接続部21、11、接続制御部12を介して不揮発性記憶部13に記憶される(ステップS206、S207、S208、S209、S303、S304)。この際、表示実行部17では、不揮発性記憶部13に記憶された表示データを記憶性表示体15に順次表示する(ステップS305)。
ホスト20では、これらの手続が完了すると、例えば、図示しない振動器等を駆動して、検出完了をユーザに告知し(ステップS210)、処理および指示操作が完了する(ステップS211、S306)。
【0041】
<ページ捲り動作>
次に、上記の基本的な動作に沿った具体処理例として、ページ捲り動作を説明する。この動作は、ユーザが次ページへの移動を指定する指示接続部11や前ページへの移動を指定する指示接続部11を指示する操作に応じて、実行されるものとする。以下では、次ページへの移動が割り当てられた図1の最上段の指示接続部11にユーザが操作指示部28の先端で触れた場合を説明する。
【0042】
この例では、指示接続部11を指示するため、上記に基づき図3(a)、(b)のように通信が活性化される(ステップS201、S202、S301)。活性化した指示接続部11は上記に基づき識別され(ステップS203)、ホスト20ではその符号を得る。続いて文書処理部25は、その指示接続部11に対応する処理実行指示を、反応抽出部18に対して問い合わせる。
【0043】
すると、反応抽出部18により、問い合わせに基づいて、反応マップから対応する処理実行指示が抽出される。この例では、次ページを表示する実行指示が抽出され、その抽出結果が接続制御部12、指示接続部11、21を介して文書処理部25に出力され(ステップS302)、文書処理部25により、対応する処理ルーチンが実行される(ステップS204、S205)。この処理ルーチンにより、現在記憶性表示体15に表示されているページに関する情報(処理情報)と文書データとが指示接続部11、21、接続制御部22を介して不揮発性記憶部13から取得され、その処理情報と文書データとに基づいて次ページのレイアウト処理が実行され、次ページの反応マップが生成され、指示接続部21、11、接続制御部12を介して不揮発性記憶部13に記憶される(反応マップが書き換えられる)。また、反応マップが書き換えられた後に、次ページの表示データが生成され、指示接続部21、11、接続制御部12を介して不揮発性記憶部13に記憶される(ステップS206、S207、S208、S209、S303、S304)。
【0044】
そして、表示実行部17で、その不揮発性記憶部13に記憶された表示データが記憶性表示体15に表示される(ステップS305、S210、S211、S306)。
なお、この処理の場合は、座標からの要素抽出の手続は不要である。
【0045】
<文字列の抽出動作>
次に、上記の基本的な動作に沿った他の具体処理例として、文字列の抽出動作を説明する。この動作は、ユーザが、まず抽出したい表示された文字列の始点および終点を順次指示したのち、文字列抽出を指定するための指示接続部11を指示するという、一連の操作に応じて実行されるものとする。
【0046】
まず、対象となる文字列を指定するために、抽出対象である文字列の始点(記憶性表示体15)に、ユーザが操作指示部28の先端で触れると、この場合は図2のように通信が活性化されない(ステップS101)。従って、赤外線受発光部23により、触れた画素に赤外線が照射されて受光結果が観測部29に出力される。そして、観測部29により、その出力された受光結果に基づいて前記画素の座標パターンが検出結果として演算部30に出力され、演算部30により、その座標パターンが示す座標が演算され、その演算結果が記憶され(ステップS102、S103)、手続が完了される(ステップS104、S105)。
【0047】
次いで同様に、抽出対象である文字列の終点に、ユーザが操作指示部28の先端で触れると、同様に図2のように通信が活性化されず(ステップS101)、赤外線受発光部23、観測部29、演算部30により、その終点の座標が演算部30に記憶されて、手続が完了される(ステップS102〜S105)。
最後に文字列抽出の実行が割り当てられた図1の二段目の指示接続部11にユーザが操作指示部28の先端で触れると、指示接続部11により図3(a)、(b)のように、前記ページ捲り動作と同様に通信が活性化される(ステップS201、S202、S301)。活性化した指示接続部11は、上記に基づき識別され(ステップS203)、ホスト20ではその符号を得る。続いて文書処理部25は、その指示接続部11に対応する処理実行指示を、反応抽出部18に対して問い合わせる。
【0048】
すると、反応抽出部18により、問い合わせに基づいて、反応マップから対応する処理実行指示が抽出される。この例では、文字列の抽出を行う実行指示が抽出され、その抽出結果が接続制御部12、指示接続部11、21を介して文書処理部25に出力され(ステップS302)、文書処理部25により、対応する処理ルーチンが実行される(ステップS204、S205)。文書処理部25がこの処理ルーチンを実行することにより演算部30から順次指示された座標が取得され、その座標に表示されている文書要素が反応抽出部18に問い合わされ、出力として反応抽出部18から抽出される文字列データがホスト20に格納されて手続が完了する(ステップS206〜S211、S303、S304〜S306)。なお、文書要素の抽出は、反応マップには文書データの参照指示を記述して、反応抽出部18が文書データを参照して抽出するか、あるいは、反応マップ内に文書要素を伴った形式で抽出指示を記述して、文書データを参照することなく抽出するか、何れかの方式で実現される。なお、この処理の場合は、表示データや反応マップの更新は発生しない。
【0049】
(1)このように、本実施形態の情報処理システム1にあっては、クライアント10に文書データおよび反応マップを記憶させ、通信可能となったクライアント10に表示されている文書データをクライアント10から取得し、その文書データに対して、操作指示部28の先端が触れている指示接続部11に反応マップで対応づけられている処理ルーチンを実行するようにした。そのため、例えば、表示内容を保持したまま、紙のようにしばらく放置し、後で作業を継続したり、他のユーザに渡したり、といった複数クライアント10の活用時に想定される操作がされたとしても、操作指示部28でクライアント10の操作指示部11を指示することで、クライアント10に格納された反応マップに基づいて適切な処理を実行することができ、処理状態や文書データを参照しながら、回帰的に処理過程を進めることができる。
【0050】
また、例えば、他のユーザにクライアント10が渡ることにより、処理を実行するホスト20が変わっても全く問題なく、他のユーザへの譲渡・貸借が行いやすい。
さらに、クライアント10の反応抽出部18で反応マップおよび文書データから実行指示や文書データを抽出し、その抽出結果をホスト20に送信するようにした。そのため、指示接続部11、21を介した反応抽出処理を効率的に実行することができる。
【0051】
(2)また、操作指示部28の指示位置を検出し、その検出結果に基づいて文字列の抽出動作を行うようにした。そのため、例えば、抽出したい表示された文字列を操作指示部28で指示することで、その文字列に基づいて適切な処理を実行することができる。
(3)さらに、操作指示部28の指示位置に印刷されている座標パターンをホスト20の観測部29で検出し、その検出結果に基づいてホスト20の演算部30で前記座標を検出するようにした。そのため、クライアント10は一切能動的に動作する必要がなくなり、極限的に安価なシステムを提供することができ、複数利用を推進することができる。
【0052】
(4)また、クライアント10の不揮発性記憶部13に記憶されている表示データに基づいてクライアント10の表示実行部17に記憶性表示体15の表示状態を書き換えさせるようにした。そのため、クライアント10に自身の記憶性表示体15の書き換えを行わせることができ、指示接続部11、21を介した表示を効率的に実行することができる。
(5)さらに、通信可能となったクライアント10の不揮発性記憶部13に記憶されている反応マップをホスト20で生成された反応マップで書き換えるようにしたため、クライアント10に格納された反応マップに基づいて適切な処理を実行することができる。
【0053】
(6)また、不揮発性記憶部13に記憶されている反応マップを書き換えた後に、クライアント10の記憶性表示体15の表示状態の書き換えを開始するようにした。そのため、例えば、表示状態の書き換え中に、書き換えられた表示内容の一部を見たユーザが書き換えの終了を待たず、その表示内容に応じて指示接続部11で操作指示部28を新たに指示したときに、ユーザの意図にあった適切な処理を実行することができる。
【0054】
(7)さらに、ホスト20の電源26から電力の供給を受けてクライアント10を動作するようにした。そのため、ホスト20は事前の接続操作なく必要なクライアント10のみと通信し、また、動作させることができるので、無駄な手順を極限的に排除できる。
なお、本実施形態では、ホスト20で生成された表示データや反応マップを全てクライアント10に出力する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、表示データや反応マップの変更部分のみをクライアント10に出力するようにしてもよい。そのようにすれば、ホスト20からクライアント10に出力する情報量を削減でき、好ましい。
【0055】
具体的には、表示データは、直前に生成された表示データと更新データとを分けて生成し、ホスト20からクライアント10には更新データのみを出力し、クライアント10の不揮発性記憶部13には更新データのみを順次追加記憶させる。そして、表示実行部17は、その更新データに基づいて、記憶性表示体15を部分的に駆動する(書き換える)。
また、不揮発性記憶部13に記憶されている表示データに更新データを反映する更新処理を行い、その反映後の表示データに基づいて記憶性表示体15全体を駆動してもよい。
【0056】
さらに、反応マップにあっては、直前に生成された反応マップと更新マップとに分けて生成し、ホスト20からクライアント10には更新マップのみを出力し、クライアント10の不揮発性記憶部13には更新マップのみを順次追加記憶させる。そして、文書処理部25で文字列の抽出処理が行われた場合に、最新の更新マップを優先して利用する。
また、クライアント10に記憶されている反応マップに更新マップを反映させて更新する更新処理を行い、その更新後の反応マップ全体を利用するようにしてもよい。
【0057】
さらに、上記において、指示接続部11を指示したか否かの判別には、他の方法を用いることもできる。例えば、指示接続部11上にも記憶性表示体15の表面上と同様の座標パターンを設けておき、まず、ホスト20が座標値を取得し、それが所定の範囲内にある場合には指示接続部11と判断して、通信を起動するのでもよい。このようにすれば、指示毎にコイル誘導を試みる必要がなく、省電力な構成とすることができる。
また、指示接続部11を指示したと判別された際にも、さらに、座標パターンによる座標値をも処理に用いることもできる。例えば、指示接続部11の面積が指示接続部21の先端に比して大きくした場合に、さらに指示接続部11の範囲中の指示位置を細かく判別するようにしてもよい。
【0058】
また、クライアント10の反応抽出部18で必要な情報のみを抽出して出力する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、クライアント10から文書データだけでなく、反応マップ全体を出力してホスト20に必要な情報を抽出させるようにしてもよい。この際、連続して同一のクライアント10を処理する場合に備えて、文書データや反応マップをホスト20で所定の条件で保持するようキャッシュしてもよい。
【0059】
<第2実施形態>
次に、本発明のホストベース型情報システムの第2実施形態を説明する。
この第2実施形態は、クライアント10とホスト20との間の情報入出力を、コイルに代えて、赤外線を利用して行うようにした点が、前記第1実施形態と異なる。
具体的には、図4に示すように、クライアント10の指示接続部11は、情報の入出力を行うためのコイルに代えて赤外線受発光部(光通信モジュール19)を備える。また、ホスト20の指示接続部21は、情報の入出力はコイルに代えて赤外線受発光部(発光部=光送信・照明手段31、受光部=光受信・撮像手段32)を備えている。
【0060】
なお、指示接続部11、21は、前記第1実施形態と同様に、電力の送受を行うためのコイル(給電のための電磁カプリング部(送電部・受電部))を備えている。
このように、本実施形態の情報処理システム1にあっては、クライアント10とホスト20との間の情報入出力を赤外線で行うようにした。そのため、高速 (16Mbps等)の通信が低電力で可能となる。また、電磁カプリング部を設けてクライアント10への給電を行う場合にも、通信への影響は極小である。さらに、クライアント10の座標パターン(位置情報コード)を光学的に読み取るための赤外線受発光部23の照明や撮像部に光送信・照明手段31および光受信・撮像手段32を兼用させれば、部品点数を削減でき、コストを抑えることができるとともに、操作指示部28の小型化も図ることができる。
【0061】
<第3実施形態>
次に、本発明のホストベース型情報システムの第3実施形態を説明する。
従来、ホストベース型の情報システムでは、ホスト20は遠隔地にあるのが一般的であり、また、ホスト20はマルチタスク/マルチスレッド処理により、同時に複数の処理を行っているため、特定のクライアント10の情報を表示することは行われていない。
しかしながら、ホスト20はクライアント10の至近にあり、また、クライアント10との対向といった比較的粗い時間的粒度によって、処理対象のクライアント10を切り換えて実行するため、ホスト20において特定処理の情報を提示できることが望ましい。
【0062】
そこで、この第3実施形態では、図5に示すように、ホスト20の操作指示部28に情報表示部33を設け、操作指示部28の先端が触れているクライアント10の識別IDを表示させるようにした。そのため、複数のクライアント10を利用している場合に、ユーザによる確認作業に有用である。なお、クライアント10を判別する方法としては、座標パターンや指示接続部11の判別のためのIDをクライアント10毎に異ならせるようにして実現できる。また、通信の際に局IDを付与してやり取りするようにしてもよい。
【0063】
また、表示データや反応マップのクライアント10への転送状況や、そのときどきの転送方向(ホスト20→クライアント10か、クライアント10→ホスト20か)等を情報表示部33に表示させるようにすれば、ユーザによる操作の進展状況の把握に役立ち、転送中に操作指示部28の先端をクライアント10から離してしまうといった意図しない操作を防止することができる。さらに、操作中のクライアント10に関して、前回の処理が何時行われたかといった情報を表示すれば、操作履歴の把握・回想に有用である。
なお、これらの情報の表示要求は、短時間だけ生じるものであるので、記憶性表示体15には適さないものであるが、ホスト20ではそのような問題がなく、適している。
また、本実施形態では、ホスト20の操作指示部28に情報表示部33を設ける例を示したが、これに限られるものではない。例えば、ホスト20の本体部に設けてもよい。
【0064】
以上、上記実施形態にあっては、図1の記憶性表示体15が特許請求の範囲に記載の表示装置を構成し、以下同様に、図1の不揮発性記憶部13が文書記憶手段、反応マップ記憶手段および表示データ記憶手段を構成し、図1の指示接続部11がクライアント側接続手段を構成し、図1の指示操作部28がホスト側接続手段を構成し、図1の位置検出部24、観測部29および演算部30が位置検出手段を構成し、図1の文書処理部25が文書データ取得手段を構成し、図1の文書処理部25が処理実行手段を構成し、図1の処理部14および表示実行部17が表示状態書換手段を構成する。
【0065】
なお、本発明のホストベース型情報システム、クライアント、ホスト、情報システム、表示端末および制御装置は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、従来、ホストベース型システムでは、クライアント10に独立したネットワーク端末としての機能が期待されていた。よって、各クライアント10は、ユーザインタフェース処理機能やネットワーク端末機能といった比較的高度の独立機能を個々に搭載する必要があり、製造コストおよび管理コストを十分に削減することができなかった。
そこで、例えば、ホスト10の文書処理部25から利用可能な情報サービス(データストア、ネットワーク通信)を提供するようにしてもよい。そのようにすれば、文書処理部25のアプリケーションは多様で高度な処理を比較的容易に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1実施形態のホストベース型情報システムを示す構成図である。
【図2】図1のホストで実行される演算処理を示すフローチャートである。
【図3】図1のホストおよびクライアントで実行される演算処理を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態のホストベース型情報システムを示す構成図である。
【図5】第3実施形態のホストベース型情報システムを示す構成図である。
【符号の説明】
【0067】
1は情報処理システム、10はクライアント、11は指示接続部、12は接続制御部、13は不揮発性記憶部、14は処理部、15は記憶性表示体、16はバス、17は表示実行部、18は反応抽出部、19は光通信モジュール、20はホスト、21は指示接続部、22は接続制御部、23は赤外線受発光部、24は位置検出部、25は文書処理部、26は電源、27はバス、28は操作指示部、29は観測部、30は演算部、31は光送信・照明手段、32は光受信・撮像手段、33は情報表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数クライアントとホストとから構成されるホストベース型情報システムであって、
前記クライアントは、
表示状態を不揮発的に保持可能な記憶性の表示装置と、前記表示装置に表示させる文書の文書データを記憶する文書記憶手段と、前記ホストが接続されると前記ホストと自装置とを通信可能とし且つそれぞれが所定処理に対応する複数のクライアント側接続手段と、前記クライアント側接続手段に対応する所定処理を示す反応マップを記憶する反応マップ記憶手段と、を備え、
前記ホストは、
前記クライアント側接続手段に自装置を接続可能なホスト側接続手段と、通信可能となった前記クライアントの前記表示装置に表示されている文書データを前記文書記憶手段から取得する文書データ取得手段と、前記文書データ取得手段で取得された文書データに対して、前記ホスト側接続手段が接続されている前記クライアント側接続手段に前記反応マップによって対応づけられている所定処理を実行する処理実行手段と、を備えることを特徴とするホストベース型情報システム。
【請求項2】
前記ホスト側接続手段は、前記表示装置上の位置の指示に用いられ、
前記ホストは、前記ホスト側接続手段で指示された位置を検出する位置検出手段を備え、
前記処理実行手段は、前記所定処理において、前記位置検出手段で検出された位置情報を利用することを特徴とする請求項1に記載のホストベース型情報システム。
【請求項3】
前記クライアントは、前記表示装置上の位置を示す被観測パターンが記されており、
前記ホスト側接続手段は、指示位置に記されている前記被観測パターンを検出し、前記位置検出手段は、その検出結果に基づいて前記ホスト側接続手段で指示された位置を検出することを特徴とする請求項2に記載のホストベース型情報システム。
【請求項4】
前記クライアントは、前記文書データに基づいて生成された表示データを記憶する表示データ記憶手段と、前記表示データ記憶手段に記憶されている表示データに基づいて前記表示装置の表示状態を書き換える表示状態書換手段と、を備え、
前記処理実行手段は、前記所定処理として、前記文書データ取得手段で取得された文書データに基づいて表示データを生成し、その表示データを当該クライアントの前記表示データ記憶手段に記憶させる処理を実行することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のホストベース型情報システム。
【請求項5】
前記ホストは、前記反応マップを生成する反応マップ生成手段と、通信可能となった前記クライアントの前記反応マップ記憶手段に記憶されている反応マップを前記反応マップ生成手段で生成された反応マップで書き換える反応マップ書換手段と、を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のホストベース型情報システム。
【請求項6】
前記ホストは、前記文書データ取得手段で取得された文書データに基づいて反応マップを生成する反応マップ生成手段と、通信可能となった前記クライアントの前記反応マップ記憶手段に記憶されている反応マップを前記反応マップ生成手段で生成された反応マップで書き換える反応マップ書換手段と、を備え、
前記表示状態書換手段は、前記反応マップ書換手段によって反応マップを書き換えた後に、前記表示装置の表示状態の書き換えを開始することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のホストベース型情報システム。
【請求項7】
前記クライアントは、前記ホストの電源から電力の供給を受けて動作することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のホストベース型情報システム
【請求項8】
複数クライアントとホストとから構成されるホストベース型情報システムにおけるクライアントであって、
表示状態を不揮発的に保持可能な記憶性の表示装置と、前記表示装置に表示させる文書の文書データを記憶する文書記憶手段と、前記ホストが接続されると前記ホストと自装置とを通信可能とし且つそれぞれが所定処理に対応する複数のクライアント側接続手段と、前記クライアント側接続手段に対応する所定処理を示す反応マップを記憶する反応マップ記憶手段と、を備えることを特徴とするクライアント。
【請求項9】
複数クライアントとホストとから構成されるホストベース型情報システムにおけるホストであって、
前記クライアントの所定位置に自装置を接続して前記クライアントと前記自装置とを通信可能とするホスト側接続手段と、通信可能となった前記クライアントの前記表示装置に表示されている文書データを前記クライアントから取得する文書データ取得手段と、前記文書データ取得手段で取得された文書データに対して、前記ホスト側接続手段が接続されている前記所定位置に対応づけられている所定処理を実行する処理実行手段と、を備えることを特徴とするホスト。
【請求項10】
表示端末と制御装置とから構成される情報システムであって、
前記表示端末は、
表示状態を不揮発的に保持可能な記憶性の表示装置と、前記表示装置に表示させる文書の文書データを記憶する文書記憶手段と、前記制御装置が接続されると前記制御装置と自装置とを通信可能とする表示端末側接続手段と、前記文書データに基づいて生成された表示データを記憶する表示データ記憶手段と、前記表示データ記憶手段に記憶されている表示データに基づいて前記表示装置の表示状態を書き換える表示状態書換手段と、を備え、
前記制御装置は、
前記表示端末側接続手段に自装置を接続可能な制御装置側接続手段と、通信可能となった前記表示端末の前記表示装置に表示されている文書データを前記文書記憶手段から取得する文書データ取得手段と、前記文書データ取得手段で取得された文書データに基づいて表示データを生成し、その表示データを前記表示端末の前記表示データ記憶手段に記憶させる表示データ記憶処理を実行する処理実行手段と、を備えることを特徴とする情報システム。
【請求項11】
前記表示端末側接続手段は、それぞれが所定処理に対応して複数設けられ、
前記表示端末は、前記表示端末側接続手段に対応する所定処理を示す反応マップを記憶する反応マップ記憶手段を備え、
前記反応マップは、前記所定処理として前記表示データ記憶処理を含み、
前記処理実行手段は、前記文書データ取得手段で取得された文書データに対して、前記制御装置側接続手段が接続されている前記表示端末側接続手段に前記反応マップによって対応づけられている所定処理を実行することを特徴とする請求項10に記載の情報システム。
【請求項12】
表示状態を不揮発的に保持可能な記憶性の表示装置と、前記表示装置に表示させる文書の文書データを記憶する文書記憶手段と、自装置と情報システムを構成する制御装置が接続されると前記制御装置と自装置とを通信可能とする表示端末側接続手段と、前記表示データ記憶手段に記憶されている表示データに基づいて前記表示装置の表示状態を書き換える表示状態書換手段と、を備えることを特徴とする表示端末。
【請求項13】
自装置と情報システムを構成する表示端末の所定位置に自装置を接続可能な制御装置側接続手段と、通信可能となった前記表示端末の前記表示装置に表示されている文書の文書データを前記表示端末から取得する文書データ取得手段と、前記文書データ取得手段で取得された文書データに基づいて表示データを生成し、その表示データを前記表示端末に記憶させる処理を実行する処理実行手段と、を備えることを特徴とする制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−37641(P2009−37641A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264237(P2008−264237)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【分割の表示】特願2006−236010(P2006−236010)の分割
【原出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】