説明

ホットパック用乾式加温装置

【課題】収容したホットパックPの全てを均一かつ円滑に加温し、かつ側壁11外面の温度上昇を抑える。
【解決手段】断熱箱製加温庫1内を仕切り部材5によって複数に区画し、その加温庫1の両側壁、底壁及び仕切り部材5にヒータ9a、9b、9cを配置し、庫内にホットパックPを収容する。仕切り部材上にホットパックを載置すれば、ホットパックの収容量を増すことができるとともに、取り入れ・取り出し易い。各ヒータの出力を、仕切り部材ヒータ9c、底壁ヒータ9b、側壁ヒータ9aの順に大きくして、庫内の加温を均一かつ省エネする。扉2の内面と仕切り部材前面との間隙tを介し下方の庫内から上方の庫内に熱気aが上昇して、庫内を均一かつ円滑に加温かつ省エネする。側壁11は、その内側通気路14の下端開口15から上端開口17に空気a’が流通して冷却され、その側壁外面の温度上昇が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温熱療法に使用するホットパックの乾式加温装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホットパックは温湿布のことで、関節部等に貼付することで血行をよくし、炎症・こわばり・痛み等を抑制することが期待できることから、温熱療法に使用される。
そのホットパックは、一般的に、布袋等にシリカゲル等の入った保温剤を入れて温蔵庫に収納し、その温蔵庫から取り出して乾いたバスタオルにくるんで熱の放散を防ぎ、患部にあてがって所要時間温めて治療を行なう(特許文献1)。
【0003】
上記温蔵庫は、温水槽(庫)が一般的であり、その温水からホットパックを取り出す際、ホットパック表面に水滴が付着していると、バスタオルにその水滴が付着して患者に不快感を与えるため、その水滴を拭き取る必要がある。
このため、特許文献2、3に示されるような食品等を温蔵する温蔵庫を模した乾式のホットパック用加温装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−57919号公報
【特許文献2】特開2000−287850号公報
【特許文献3】特開2001−269249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の乾式ホットパック用加温装置は、その温蔵庫の両側壁のみにヒータを設けたものであるため、その庫内の温度分布にムラがあり、庫内に収納されたホットパックの全てを均一に加温できない上に、その加温に時間がかかっている問題がある。特に、ホットパックの収容量を増やすと、その問題が顕著になる。
また、そのホットパックの収容量を増やすと、自ずと、加温能力を上げることとなり、加温装置外周面も内部の熱が伝わって従来より加温されることとなる。この外周面が加温されることは、その加温程度が大きい(過ぎる)と、その外周、特に外側面に触れた際、その触れた者に不快感を与える。
【0006】
この発明は、上記実状に鑑み、収容したホットパックの全てを均一に加温するとともに、その加温を円滑に行ない得る乾式加温装置を提供することを第1の課題、加温装置外側面の加温を抑えることを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の課題を達成するために、この発明は、ホットパックの収容量が増せば、その加温用ヒータの出力も大きくする必要があり、断熱箱製加温庫内を仕切り部材によって複数に区画し、加温用ヒータを、従来の温蔵庫の両側壁に加えて、温蔵庫の底壁及びその仕切り部材にも設けることとしたのである。
このように、底壁及び仕切り部材にヒータを設ければ、温蔵庫の底面及び仕切り壁からその周りのホットパックが温められるため、側壁のみにヒータを設けた場合に比べれば、温蔵庫の収容量を多くしても、収納したホットパックの全てを均一に加温するとともに、その加温を円滑に行ない得る。
すなわち、底壁ヒータによって、底面付近のホットパックは加温され、熱気は、上昇して庫内上部に滞留するため、庫内上部のホットパックも適切に加温されるが、その中間部位に位置するホットパックは、熱気が通過するだけで、十分に加温されにくい。このため、仕切り部材にもヒータを設ける。
【0008】
この発明の構成としては、断熱箱製加温庫内を仕切り部材によって複数に区画し、その加温庫の両側壁、底壁及び前記仕切り部材にヒータを配置し、前記底壁の上面及び仕切り部材の上面にホットパックを載置し、前記ヒータへの通電によって前記ホットパックを加温するようにした構成を採用することができる。
【0009】
この構成において、仕切り部材の数は、1つ、2つ、それ以上と任意であり、その間隔(距離)も、庫内容量、加温度合を考慮して実験などによって適宜に決定する。
各ヒータは、その側壁、底壁及び仕切り部材の全面に設けることが好ましいが、設置できる範囲、ホットパックの載置範囲等を考慮して適宜に決定する。また、そのヒータは、ニクロム線等の線状、カーボン、アルミニウム等の面状などの種々の態様のものを採用することができる。
【0010】
各ヒータの出力は、同一でも良いが、加温庫の形状、例えば、縦長直方体、横長直方体、正方体等やホットパックの収容態様によって、各ヒータによる加温態様も異なり、縦長直方体の加温庫の場合、上記両側壁のヒータ及び(又は)底壁のヒータの出力に対し、少なくとも、仕切り部材のヒータの出力は小さくすることが好ましく、さらに、仕切り部材のヒータ、底壁のヒータ、両側壁のヒータの順にその出力を大きくすることがより好ましい。側壁のヒータは、庫内の全域に臨んでその全域に亘って加温するため、大出力であることが好ましく、底壁のヒータは、庫内収容量を大きくすると、その側壁ヒータでは、庫内全体に、特に底部を、十分な加温ができなくなるため、その補助加温用として必要であるが、底面からの加温であるから、側壁のヒータに比べれば、低出力で十分である。
また、上記のように、庫内中間部位に位置するホットパックは、熱気が通過するだけで、十分に加温されにくいため、仕切り部材にもヒータを設けたが、その加温は、側壁と底壁のヒータによる加温を補助するものであるため、それらに比べれば、出力は小さくできる。
【0011】
一方、横縦長直方体の加温庫の場合、側壁の面積が小さくなって、底壁や仕切り部材の面積が大きくなるため、側壁のヒータの出力に対して、底壁及び仕切り部材のヒータの出力を大きくすることとなり、そのとき、上記理由から、底壁のヒータの出力に対して、仕切り部材のヒータの出力は小さくする。
しかし、縦長直方体、横長直方体等の加温庫の形状に関係なく、仕切り部材を縦方向に設けた場合は、底壁のヒータの出力に対して、仕切り部材のヒータの出力を大きくすることも考えられる。
このように、設置場所のヒータの出力を異ならせることによって、適切な電力でもって収納したホットパックの全てを均一に加温するとともに、その加温を円滑に行ない得るようにし得る。また、省エネにもなる。その各ヒータの出力は、実験などによって適宜に決定する。
【0012】
さらに、これらの構成において、上記加温庫の扉をしめた際、その扉の内面と上記仕切り部材の前面の間に、仕切り部材下方の庫内から上方の庫内に熱気が上昇する通気用間隙を設けることが好ましい。
このように、通気用間隙によって、熱気を庫内下方から上方に循環させることによって、庫内全域が均一に加温されることとなる。
因みに、食品用温蔵庫においては、ファン等によって強制的に熱気を循環させているが(特許文献3)、ホットパックは、上記のように、バスタオルに包まれたり、患部に当てられるため、埃等の各種のゴミが付着し、そのゴミがその強制循環流に載って庫内に撒き散らされて、隅に溜まったり、熱で燃える等の不都合があるが、通気用間隙による自然循環であれば、その恐れも少ない。
【0013】
つぎに、上記第2の課題を達成するために、この発明は、加温装置の加温庫を、外装箱と、その外装箱内面の断熱材層と、その断熱材層内面の内装箱とから構成し、前記外装箱側壁と断熱材層の側壁との間に上下方向の通気路を形成し、その通気路の下端を外装箱外面に開口すると共に、同上端を外装箱外面に開口したのである。
このように、加温庫の外装箱と断熱材層の間に上下方向の通気路を形成すれば、熱気は下から上に向かうことから、加温庫外部の空気は、その通気路に下端開口から入り込んで上方に流れて上端開口から流出する。この空気流によって外装箱は冷却される。このため、従来のように、外装箱が過度に加温されることはなく、その外側面に触れても、その触れた者に不快感を与えることは少なくなる。
【0014】
この発明の具体的な構成としては、ホットパックを収納する断熱箱製加温庫内にヒータを配置し、そのヒータへの通電によって前記ホットパックを加温するようにしたホットパック用乾式加温装置において、前記加温庫を、外装箱と、その外装箱内面の断熱材層と、その断熱材層内面の内装箱とから構成し、前記外装箱側壁と断熱材層の側壁との間に上下方向の通気路を形成し、その通気路の下端を外装箱外面に開口すると共に、同上端を外装箱外面に開口した構成を採用することができる。
この構成において、通気路の上下方向長さは、実験などによって所望の冷却効果を得ることができるように適宜に設定すれば良いが、例えば、通気路をホットパックを収納する庫内の上下面より延ばせば、その庫内から伝わる熱を有効に逃がすことができる。
これらの外装箱冷却の構成は、上記第1の課題を達成し得る上記発明の構成と併用することができる。
なお、断熱材層と通気路の位置関係を逆(通気路が内側)にすることもできるが、この場合、側壁ヒータや庫内が空気流によって冷却され易いため、十分な加温能力が発揮され得ない。すなわち、この構成のように、外装箱、通気路、断熱材層、庫内の態様は、加温庫としては好ましいものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、以上のように、加温庫内の側面、底面及び中間部から加温するようにしたので、収容されたホットパックの全てが均一に加温されるとともに、その加温を円滑に行ない得る。
また、通気路でもって外装箱側面(側壁)を冷却するようにしたので、外装箱側面が過度に加温されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施形態の扉を省略した斜視図
【図2】同実施形態の右側壁省略右側面図
【図3】同実施形態のホットパック収容状態説明図
【図4】同実施形態の表示パネルの正面図
【図5】同表示パネルの週間タイマー設定パネルの作用説明図
【図6】同温度設定パネルの作用説明図であり、(a)は庫内温度部、(b)は設定温度部
【図7】他の実施形態の扉を省略した斜視図
【図8】同実施形態の一部省略切断正面図
【図9】同実施形態の要部切断斜視図
【図10】同実施形態のホットパック収容状態説明図
【発明を実施するための形態】
【実施形態1】
【0017】
この発明に係る加温装置の一実施形態を図1〜図6に示し、この実施形態の加温装置は、内容量:162Lの縦長直方体状加温庫1とその扉2とからなり、その加温庫1の下面四隅にキャスタ3が設けられてそのキャスタ3を介して移動自在となっているとともに、同四隅にロックねじ脚4が設けられてそのねじでもってその移動が阻止(固定)される。
【0018】
また、加温庫1は,その内外面がステンレス板からなってその両ステンレス板間に断熱材層を設けた断熱箱であり(図7〜図9参照)、その内部は中程で仕切り部材となる中板5によって上下に区画され、その上下の区画室にかご6a、6aがそれぞれ配置され、中板5上面及び底面にもかご6b、6bを配置している。各かご6a、6bはレール7上を取手7aでもって引き出し自在になっている。前者のかご6aは、例えば、図3に示すように、ホットパックPを横置きして収容し、後者のかご6bは、左右方向が三つの仕切り枠8で区画されて、同図に示すように、ホットパックPを縦置きして収容する。
各かご6a、6bは耐熱樹脂をコーティングして耐熱性を高めることが好ましい。図中、5aは中板前面カバー、5bは中板支え材である。
【0019】
加温庫1の側壁1a、1a、底壁1b及び中板5のほぼ各全面にアルミ箔やカーボン等からなる面ヒータ9a、9a、9b、9cが内蔵されている。例えば、その側壁ヒータ9aは178W、底壁ヒータ9bは147W、中板ヒータ9cは107Wにそれぞれ出力設定されている。
このように、側壁ヒータ9aは、庫1内の全域に臨んでその全域に亘って加温するため、大出力とし、底壁ヒータ9bは、庫1内収容量を大きくすると(例えば、100L→162L)、側壁ヒータ9aでは十分な加温ができなくなるため、その補助加温用として設置し、底面のみであることから、側壁ヒータ9aに比べて低出力とする。
さらに、庫内中間部位に位置するホットパックPは、熱気aが通過するだけで、十分に加温されにくいため、中板ヒータ9cでもって庫内中央部のホットパックPを加温し、その加温は、側壁、底壁ヒータ9a,9bによる加温を補助するものであるため、それらに比べて、出力が小さいものとすれば、適切な電力でもって、加温庫1内に収容したホットパックPの全てを均一に加温するとともに、その加温を円滑に行ない得るようにし得る。このとき、中板ヒータ9cの両端は、図1、図3に示すように側壁内面から所要長さ後退させて、その後退した部分の両ヒータ9a、9cによる過熱を防止している。その後退量は実験などによって適宜に設定する。このように、各ヒータ9a、9b、9cが対向する部分には、その加温度を考慮して一方のヒータ端を適宜に後退させることが好ましい。
【0020】
また、中板5はその全面が閉塞した板状のため、その前端面は、30mm程後退しており、扉2をしめた際、その扉2の内面と中板5前端面の間には隙間tが形成され、中板5下方の庫内から上方の庫内に熱気aが上昇する経路が形成され、この通気(熱気a)によって庫内温度の均一化が図られる(図2参照)。
さらに、加温庫1内の中板5の上側の上下かご6a、6bの間及び同下側の上下かご6a、6bの間に、それぞれ計4個の温度センサSを設けている(図3の参照)。この温度センサSの数及び設置箇所は、実験などによって適宜に設定する。各センサSの設置奥行きは、この実施形態では加温庫1の前面から約388mmとした。
【0021】
これらの温度センサSの測定値に基づき、上記各ヒータ9a、9a、9b、9cへの通電が別個にそれぞれオン・オフされて加温庫1内が適温に制御される。また、庫内の適宜箇所及び制御回路にバイメタル、サーモスタット、サーミスタが設置され(組み込まれ)、その検出値に基づき、各ヒータ9a、9a、9b、9cへの通電を停止して過熱を防止する。このように、複数の過熱防止手段を有することによって、例えば、一防止手段(例えば、サーモスタット)が故障しても他の防止手段(サーミスタ等)によって異常過熱は適切に防止される。
【0022】
加温庫1の上部前面に操作パネルTが設けられ、その操作パネルTは、図4に示すように、週間タイマー設定部20、温度設定部30及び運転設定部40からなる。
週間タイマー設定部20は、各曜日を表すダイオードランプ21、時間・設定表示液晶板22、設定ボタン(キー)23、操作ボタン(キー)24(24a、24b、24c、24d、24e)、各設定項目表示ダイオードランプ25(25a、25b、25c)をそれぞれ有する。
【0023】
この週間タイマー設定部20の操作は、通常、時間・設定表示液晶板22に「現在時刻」が表示されており、図5に示すように、設定ボタン23をオン(押圧)すると、週間タイマー設定モードとなり、同長オン(例えば、5秒程長く押圧)すると、時刻設定モードとなる。設定ボタン23を再度オンすると、現在の時刻表示に戻る。
その「週間タイマー設定モード」における「曜日選択」は、操作ボタン24a、24bをオンすることによって、設定項目表示ダイオードランプ25a、25b、25cが順々に点灯し、その点灯したランプの項目設定が可能となるため、曜日表示ダイオードランプ25aが点灯した時点で設定ボタン24eをオンして「曜日選択」を確定する。その確定後、操作ボタンの24a、24bを順々にオンすることによって各曜日が変更し(ボタン24a:月→火→水→・・、ボタン24b:月→日→土→・・)、その設定ボタン24eをオンすることによって、その曜日が確定する。この確定によって、「開始時刻設定/終了時刻設定モード」に移行する。
【0024】
その「開始時刻設定/終了時刻設定モード」に移行すると、開始時刻表示ダイオードランプ25bが点灯し、操作ボタンの24a、24bをオンすることによって「時設定」と「分設定」とを切り替え、操作ボタンの24c、24dをオンすることによって「時」「分」の時刻が変更し、設定ボタン24eをオンすると、その「時」「分」が確定する。この確定によって、「終了時刻設定モード」に移行し、同様にして、終了時刻の「時」、「分」を設定する。
【0025】
「時刻(現在時刻)設定モード」における「曜日選択」は、各設定項目表示ダイオードランプ25(25a、25b、25c)が全て消灯し、上記と同様に、操作ボタンの24a、24bを順々にオンすることによって各曜日が変更し、その設定ボタン24eをオンすることによって、その曜日が確定する。この確定によって、「時刻設定モード」に移行する。その「時刻設定」は、上記「開始時刻設定」又は「終了時刻設定」と同様にして行なう。
【0026】
温度設定部30は、「夏」「冬」のモード表示ダイオードランプ31a、31b、庫内温度/設定温度表示液晶板32、設定ボタン33、操作ボタン(キー)34(34a、34b)、ヒータ、エラー、扉開表示ダイオードランプ35(35a、35b、35c)をそれぞれ有する。「春(秋)」モードを加入することもできる。
【0027】
この温度設定部30において、左側の液晶板32は現在の庫内温度を表示し、右側の液晶板32は設定温度を表示し、温度設定部30の操作は図6(a)、(b)に示すように行なわれる。すなわち、同図(a)に示すようにヒータ9に通電されれば、ヒータ表示ランプ35aが点灯し、何らかのエラーが発生すれば、エラー表示ランプ35bが点灯すると共に、左側の液晶板32にそのエラー内容を示す数字が表示される。設定ボタン33のオン(押圧)によってそのエラー表示は解除される。扉2が開放されれば、扉開表示ランプ35cが点灯する。この点灯時間(扉開放時間)が一定時間、例えば、2分間を超えると、警報音が発せられる。
【0028】
庫内温度設定は、同図(b)に示すように、「夏」又は「冬」の設定モードボタン31をオンすると、それに対応する表示ダイオードランプ31a又は31bが点灯から点滅に変わる。その後、設定ボタン33をオンすると、右側の液晶板32の「設定温度」が点滅し、操作ボタン34a又は同34bをオンすることによって温度設定する。設定ボタン33をオンすることによって、その設定温度が確定する。その途中で、「夏」又は「冬」の設定モードボタン31を再度オンすると、設定を取り消してオンした季節モードの表示に移行する。
【0029】
運転設定部40は、設定ボタン41、「連続運転」、週間タイマー運転」の表示ダイオードランプ42を有し、連続運転中、そのランプ42:点灯、週間タイマー運転表示ランプ42:消灯、週間タイマー運転中、そのランプ42:点灯、連続運転表示ランプ42:消灯、停止中、両ランプ42、42:消灯となる。「連続運転」と「週間タイマー運転」及び「停止」は、設定ボタン41を押す(オンする)ことによって切り替る。
【0030】
この実施形態は以上の構成であり、ホットパックPにパラフィン系保温剤を使用した場合の図3の各測定点(1)〜(13)で測定した温度℃を下記表1に示す。表中、HPはホットパックPを示す
【0031】
【表1】

【0032】
この表1から、この実施形態1において、パラフィン系保温剤は60℃を超えると液状となって各ホットパックPの使用が可能となり、その60℃以上には、4〜5時間程度で加温され、加温庫1内全体がほぼ均一に加温されて、収容したホットパックPの全てがほぼ均一に加温されるとともに、その加温を円滑に行ない得ることが理解できる。なお、ホットパックPの載置態様によって庫内の熱気aの流れが異なり、例えば、縦置きは横置きに対してホットパックP内に熱(熱気a)がこもり易いため高温となりがちである。
【実施形態2】
【0033】
上記実施形態1において、加温庫1の側壁1a、1aの外面温度が55度以上になることがあり、その外面に人が触れると、不快を感じた。このため、この実施形態2は、実施形態1において、その外側面の温度上昇を抑制したものであり、図7〜図9示すように、上記実施形態1と同様に、加温庫1の内外面がステンレス板からなり、加温庫1は、そのステンレス板からなる外装箱11と、その外装箱11の内面に間隙を設けた断熱材層12と、その断熱材層12内面のステンレス板からなる内装箱13とからなっている。
その外装箱11と断熱材層12の間の空隙が、この実施形態2でいう通気路14となり、この通気路14は、外装箱11の内側面幅方向全長に亘っているととともにホットパックPを収納する庫内の上下面(図8において、庫内の天面と底面)より上下方向に延びて、その下端は加温庫1の底面に開口し、上端は制御室Cに至っている。
【0034】
通気路14の下端は空気取込み孔(空気取込み口)15となり、上端は仕切り板16によって制御室Cとは区分けされて空気吐き出し孔(空気吐出口)17となって、その孔(開口)にはそれぞれルーバが設けられている。このため、そのルーバを介して通気路14の下端開口15から空気a’が入り込み、熱による上昇流となって上端に至って上端開口17から吐出する。この空気a’の通気路14内の流通によって、庫内から空隙内に至った熱気が奪われる。このため、外装箱11は過度に加温されることはない。図中、18は補強リブであり、このリブ18にも通気孔19が形成されている。
なお、扉2にも同様に通気路を形成することもできるが、この実施形態では形成していない。また、ヒータ9、庫内の中板5、かご6a、6b等の構成は実施形態1と同一である。
【0035】
この実施形態2は以上の構成であり、同様に、ホットパックPにパラフィン系保温剤を使用した場合の図10の各測定点(1−1)〜(2−8)で測定した温度℃を下記表2に示す。
【0036】
【表2】

【0037】
この表2から、この実施形態2においても、各ホットパックPは、同様に、使用可能な60℃以上には、4〜5時間程度で加温され、加温庫1内全体がほぼ均一に加温されて、収容したホットパックPの全てがほぼ均一に加温されるとともに、その加温を円滑に行ない得ることが理解できる。一方、外装箱11の側面(1−6点、2−7点)は、47℃以下に抑えられて、人が触れても不快を感じる温度にはならないことが理解できる。
【0038】
上記実施形態1、2において、ヒータ9は、側壁、底壁及び中板5以外に、加温庫1の容量に応じて、その庫内背面、扉2内面、中板以外の各棚等にも選択的に設けることができる。各棚にヒータ9を設ける場合には、その棚部分に中板5と同様な板材を架設し、その板材にヒータを設けることとなる。
また、各ヒータ9は分割することができ、その分割したヒータ9はそれぞれ通電制御することができて、庫内温度制御を細かくする(詳細に行なう)ことができる。このとき、上記側壁、底壁及び仕切り部材の各ヒータ9a、9b、9cの出力は、その各分割したヒータの合計値とする。
さらに、中板5によってその上のかご6bのレール7を兼用することもでき、他のかご6aも中板5と同様な板材によってレール7を兼用することができる。この加温庫1は、蓄電池を搭載して、停電時においても加熱し得るようにすることができる。
【0039】
外装箱11と断熱材層12の間に通気路14を形成する考えは、実施形態1、2のように、仕切り部材5があったり、複数のヒータ9a、9b、9cを設けたりした加温庫1に限らず、他の態様の加温庫、例えば、従来の両側壁のみにヒータを設けたホットパック収納用加温庫や食品等を温蔵する温蔵庫等の種々の態様の加温装置に採用することができる。
このように、この発明の実施形態は、上記加温装置以外の態様が考えられることから、この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
1 加温庫
2 扉
5 仕切り部材(中板)
6a、6b かご
9、9a、9b、9c ヒータ
11 外装箱
12 断熱材層
13 内装箱
14 通気路
15 通気路下端空気取込み口
17 通気路上端空気吐出口
20 週間タイマー設定部
30 温度設定部
40 運転設定部
P ホットパック
S 温度センサ
a 熱気
a’冷却空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱箱製加温庫(1)内を仕切り部材(5)によって複数に区画し、その加温庫(1)の両側壁、底壁及び前記仕切り部材(5)にヒータ(9a、9b、9c)を配置し、前記底壁の上面及び仕切り部材(5)の上面にホットパック(P)を載置し、前記ヒータ(9a、9b、9c)への通電によって前記ホットパック(P)を加温するようにしたことを特徴とするホットパック用乾式加温装置。
【請求項2】
上記加温庫(1)を、外装箱(11)と、その外装箱内面の断熱材層(12)と、その断熱材層内面の内装箱(13)とから構成し、前記外装箱側壁と断熱材層(12)との間に上下方向の通気路(14)を形成し、その通気路(14)の下端を外装箱外面に開口(15)すると共に、同上端を外装箱外面に開口(17)したことを特徴とする請求項1に記載のホットパック用乾式加温装置。
【請求項3】
上記通気路(14)を上記ホットパック(P)を収納する庫内の上下面より上下方向に延ばしたことを特徴とする請求項2に記載のホットパック用乾式加温装置。
【請求項4】
上記両側壁のヒータ(9a)又は上記底壁のヒータ(9b)の出力に対し、上記仕切り部材(5)のヒータ(9c)の出力が小さいことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載のホットパック用乾式加温装置。
【請求項5】
上記各ヒータ(9a、9b、9c)の出力を、上記仕切り部材(5)のヒータ(9c)、上記底壁のヒータ(9b)、上記両側壁のヒータ(9a)の順に大きくしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載のホットパック用乾式加温装置。
【請求項6】
上記加温庫(1)の扉(2)をしめた際、その扉(2)の内面と上記仕切り部材(5)の前端面の間に、その仕切り部材(5)下方の庫内から上方の庫内に熱気(a)が上昇する通気用間隙(t)を設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のホットパック用乾式加温装置。
【請求項7】
ホットパック(P)を収納する加温庫(1)内にヒータ(9)を配置し、そのヒータ(9)への通電によって前記ホットパック(P)を加温するようにしたホットパック用乾式加温装置において、
上記加温庫(1)を、外装箱(11)と、その外装箱内面の断熱材層(12)と、その断熱材層内面の内装箱(13)とから構成し、前記外装箱側壁と断熱材層との間に上下方向の通気路(14)を形成し、その通気路(14)の下端を外装箱外面に開口(15)すると共に、同上端を外装箱外面に開口(17)したことを特徴とするホットパック用乾式加温装置。
【請求項8】
上記通気路(14)を上記ホットパック(P)を収納する庫内の上下面より延ばしたことを特徴とする請求項7に記載のホットパック用乾式加温装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−39338(P2013−39338A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249580(P2011−249580)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】