説明

ホットメルト案内アダプター

【課題】ホットメルトガンを用いて手作業で効率的に面状に接着剤を塗布することが可能なホットメルト案内アダプターを提供する。
【解決手段】ホットメルト案内アダプター4は、ノズル挿入用開口部41とホットメルト吐出用開口部42と流通路部43とを備える。ノズル挿入用開口部41は一方側に形成され、ノズル2の先端21がノズル挿入用開口部41に挿入される。ホットメルト吐出用開口部42は他方側に形成され、ノズル2から注出されるホットメルトを外部に吐出する。流通路部43は、ノズル挿入用開口部41とホットメルト吐出用開口部42との間に形成され、ホットメルトを案内し、幅と厚みを有する扁平状に形成され、ノズル挿入用開口部41からホットメルト吐出用開口部42に向かうにしたがって、流通路部43の幅が大きくなるように、かつ、流通路部43の厚みが小さくなるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルトガンのノズルの先端に装着されてホットメルトの注出を案内するホットメルト案内アダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロッドの形で供給される熱可塑性の接着剤を溶かして、接着される対象物の表面(接着面)上に連続して定量注出する接着剤塗布装置として、たとえば、特公平6‐224号公報(特許文献1)に記載されているようなホットメルトガンが用いられている。
【0003】
ホットメルト接着剤は、ホットメルトガンのノズルから線状または点状の形態で連続して押し出される。幅広のノズルが存在するが、ノズルの開口部の幅は10mm程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6‐224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
畳材等のシート材を貼り合わせる場合にはシート全面に接着剤を塗布する必要がある。しかし、ホットメルトガンを用いてホットメルト接着剤をシート全面に塗布しようとすると、ホットメルト接着剤は、10mm程度以下の開口から線状または点状の形態で連続して押し出されるので、長時間かかるという問題がある。したがって、従来のホットメルトガンを用いて手作業で効率的にシート全面に接着剤を塗布することは、困難であった。
【0006】
なお、シート全面に接着剤を付着させるために両面テープを用いることが考えられるが、この場合、コストが高いという問題がある。また、ローラコーターを用いて自動的に接着剤をシート全面に塗布することも考えられるが、コストが高いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ホットメルトガンを用いて手作業で効率的に面状に接着剤を塗布することが可能なホットメルト案内アダプターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従ったホットメルト案内アダプターは、ホットメルトガンのノズルの先端に装着されてホットメルトの注出を案内するものである。本発明のホットメルト案内アダプターは、ノズル挿入用開口部と、ホットメルト吐出用開口部と、流通路部とを備える。ノズル挿入用開口部は一方側に形成され、ノズルの先端がノズル挿入用開口部に挿入される。ホットメルト吐出用開口部は、他方側に形成され、ノズルから注出されるホットメルトを外部に吐出する。流通路部は、ノズル挿入用開口部とホットメルト吐出用開口部との間に形成され、ホットメルトを案内する。流通路部は、幅と厚みを有する扁平状に形成されている。また、流通路部は、ノズル挿入用開口部からホットメルト吐出用開口部に向かうにしたがって、流通路部の幅が大きくなるように、かつ、流通路部の厚みが小さくなるように形成されている。
【0009】
このように構成されているので、ノズルの先端から注出されたホットメルトは、流通路部を通じて案内されて、ホットメルト吐出用開口部から外部に吐出される。このとき、流通路部は、ノズル挿入用開口部からホットメルト吐出用開口部に向かうにしたがって、流通路部の幅が大きくなるように、かつ、流通路部の厚みが小さくなるように形成されているので、ノズルから注出されたホットメルトが面状に拡がってホットメルト吐出用開口部から外部に吐出される。これにより、ホットメルトガンを用いて手作業で効率的に面状に接着剤を吐出することができるので、所定の対象物の接着面、たとえば、シート材の接着面に効率的に塗布することができる。
【0010】
本発明のホットメルト案内アダプターにおいて、ホットメルト吐出用開口部の開口端面は、ノズルの中心軸線に対して鋭角をなす傾斜面を有することが好ましい。
【0011】
このように構成することにより、ホットメルト吐出用開口部をホットメルトの塗布面に密着させることができる。また、ノズルの先端に装着されたホットメルト案内アダプターと塗布面とのなす角度を調整することによって、ホットメルトの塗布膜の厚みを調整することができる。
【0012】
また、本発明のホットメルト案内アダプターにおいて、ノズル挿入用開口部側の外周面には、複数のネジ部材が周方向に間隔をあけて配置されていることが好ましい。複数のネジ部材の先端がノズルの外周面に密着して押圧することによってノズルに対して当該ホットメルト案内アダプターが固定されるようになっていることが好ましい。
【0013】
このように構成することにより、ノズルの外周面に対してノズル挿入用開口部側の外周面が外周方向に沿って変位するように、ホットメルト案内アダプターをノズルに対して回転させて位置を変えても、その変えた位置にて、複数のネジ部材を用いてノズルに対してホットメルト案内アダプターを固定することができる。これにより、使用者がホットメルトガンをノズルの軸線方向の周りに回転させて、すなわち、ホットメルトガンを任意の位置に傾けて用いても、上記のようにノズルに対するホットメルト案内アダプターの位置を変えて固定することにより、ホットメルト吐出用開口部の開口端面を塗布面に密着させることができる。
【0014】
さらに、本発明のホットメルト案内アダプターにおいて、ホットメルト吐出用開口部側の外表面には、ホットメルト吐出用開口部からホットメルト吐出方向に向かって延びる案内プレートが取り付けられていることが好ましい。
【0015】
このように構成することにより、案内プレートがホットメルト吐出用開口部から突出する長さを変更することにより、ホットメルトの塗布量を調整することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ホットメルトガンを用いて手作業で効率的に面状に接着剤を吐出することができるので、所定の対象物の接着面、たとえば、シート材の接着面に効率的に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一つの実施形態としてのホットメルト案内アダプターが装着されたホットメルトガンの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の一つの実施形態としてのホットメルト案内アダプターとノズルとの分解斜視図である。
【図3】本発明の一つの実施形態としてのホットメルト案内アダプターがノズルに装着された状態を示す側面図である。
【図4】本発明の一つの実施形態としてのホットメルト案内アダプターがノズルに装着された状態を示す正面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った方向から見た断面を示す断面図である。
【図6】本発明のもう一つの実施形態としてのホットメルト案内アダプターがノズルに装着された状態を示す側面図である。
【図7】本発明のもう一つの実施形態としてのホットメルト案内アダプターがノズルに装着された状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のホットメルト案内アダプターの実施の形態について説明する。なお、本発明のホットメルト案内アダプターは以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0019】
図1に示すように、ホットメルトガン1のノズル2の先端に、本発明の一つの実施の形態としてのホットメルト案内アダプター4が複数のネジ部材44、たとえば、4本の穴付きボルトによって装着されている。ホットメルト接着剤は、ホットメルトガン1の後端部に挿入されてロッド3の形で供給される。ロッド3は、電源に接続される電気コードを通じて供給される電力によって、ホットメルトガン1内のヒータによって加熱される。これにより、ロッド3が溶融されてホットメルトがノズル2から注出される。注出されたホットメルトは、ホットメルト案内アダプター4のホットメルト吐出用開口部42から吐出される。このようにして、ホットメルト案内アダプター4がホットメルトガン1のノズル2の先端に装着されてホットメルトの注出を案内する。
【0020】
図2に示すように、ホットメルト案内アダプター4は、一方側に形成されたノズル挿入用開口部41と、他方側に形成されたホットメルト吐出用開口部42と、ノズル挿入用開口部41とホットメルト吐出用開口部42との間に形成された流通路部43とを備えている。ノズル挿入用開口部41には、ノズル2の先端21が挿入される。ホットメルト吐出用開口部42は、ノズル2から注出されるホットメルトを外部に吐出する。流通路部43は、幅と厚みを有する扁平状に形成されている。また、流通路部43は、ノズル挿入用開口部41からホットメルト吐出用開口部42に向かうにしたがって、流通路部43の幅が大きくなるように、かつ、流通路部43の厚みが小さくなるように形成されている。
【0021】
なお、ノズル2は、締結部26を回して、ホットメルトガン1の本体にネジ部25によって固定される。
【0022】
このように構成されているので、図5に示すようにホットメルト注出路24を通じてノズル2の先端21から注出されたホットメルトは、流通路部43を通じて案内されて、ホットメルト吐出用開口部42から外部に吐出される。このとき、流通路部43は、ノズル挿入用開口部41からホットメルト吐出用開口部42に向かうにしたがって、流通路部43の幅が大きくなるように、かつ、流通路部43の厚みが小さくなるように形成されているので、ノズル2から注出されたホットメルトが面状に拡がってホットメルト吐出用開口部42から外部に吐出される。これにより、ホットメルトガン1を用いて手作業で効率的に面状に接着剤を吐出することができるので、所定の対象物の接着面、たとえば、シート材の接着面に効率的に塗布することができる。
【0023】
なお、上記の実施形態では、ホットメルト吐出用開口部42において、開口の幅が50mm程度、開口の厚みが1mm未満であるが、種々の厚みと幅を有する複数種類のホットメルト案内アダプター4を作製して、シート材等の対象物の接着面の大きさに応じて使い分けてもよい。
【0024】
図3と図5に示すように、ホットメルト案内アダプター4において、ホットメルト吐出用開口部42の開口端面421は、ノズル2の中心軸線22に対して鋭角θをなす傾斜面を有する。
【0025】
このように構成することにより、ホットメルト吐出用開口部42をホットメルトの塗布面に密着させることができる。また、ノズル2の先端21に装着されたホットメルト案内アダプター4と塗布面とのなす角度θを調整することによって、ホットメルトの塗布膜の厚みを調整することができる。
【0026】
図2〜図5に示すように、ホットメルト案内アダプター4において、ノズル挿入用開口部41側の外周面411には、複数のネジ部材44、たとえば、4本の穴付きボルトが周方向に間隔をあけて配置されている。複数のネジ部材44の先端441(図5)がノズル2の外周面23に密着して押圧することによってノズル2に対してホットメルト案内アダプター4が固定されるようになっている。
【0027】
このように構成することにより、ノズル2の外周面23に対してノズル挿入用開口部41側の外周面411が外周方向に沿って変位するように、ホットメルト案内アダプター4をノズル2に対して回転させて位置を変えても、その変えた位置にて、複数のネジ部材44を用いてノズル2に対してホットメルト案内アダプター4を固定することができる。これにより、使用者がホットメルトガン1をノズル2の中心軸線22の周りに回転させて、すなわち、ホットメルトガン1を任意の位置に傾けて用いても、上記のようにノズル2に対するホットメルト案内アダプター4の位置を変えて固定することにより、ホットメルト吐出用開口部42の開口端面421を塗布面に密着させることができる。
【0028】
さらに、図6と図7に示すように、ホットメルト案内アダプター4において、ホットメルト吐出用開口部42側の外表面422には、ホットメルト吐出用開口部42からホットメルト吐出方向に向かって延びる案内プレート5が取り付けられていてもよい。この場合、案内プレート5には、たとえば、2個の長穴52が形成されている。ホットメルト吐出用開口部42側の外表面422には、2個のネジ棒部423が固着されている。長穴52にネジ棒部423を挿入してナット51を取り付けることによって、案内プレート5を任意の位置でホットメルト吐出用開口部42側の外表面422に取り付けることができるようになっている。
【0029】
このように構成することにより、案内プレート5がホットメルト吐出用開口部42の開口端面421から突出する長さを変更することにより、ホットメルトの塗布量を調整することができる。
【0030】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0031】
ホットメルトガンを用いて手作業で効率的に面状に接着剤を吐出することができるので、所定の対象物の接着面、たとえば、畳材等のシート材の接着面に効率的に塗布することができる。
【符号の説明】
【0032】
1:ホットメルトガン、2:ノズル、3:ロッド、4:ホットメルト案内アダプター、41:ノズル挿入用開口部、42:ホットメルト吐出用開口部、43:流通路部、44:ネジ部材、5:案内プレート。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルトガンのノズルの先端に装着されてホットメルトの注出を案内するホットメルト案内アダプターであって、
一方側に形成され、前記ノズルの先端が挿入されるノズル挿入用開口部と、
他方側に形成され、前記ノズルから注出されるホットメルトを外部に吐出するホットメルト吐出用開口部と、
前記ノズル挿入用開口部と前記ホットメルト吐出用開口部との間に形成され、ホットメルトを案内する流通路部とを備え、
前記流通路部は、幅と厚みを有する扁平状に形成されており、前記ノズル挿入用開口部から前記ホットメルト吐出用開口部に向かうにしたがって、前記流通路部の幅が大きくなるように、かつ、前記流通路部の厚みが小さくなるように、形成されている、ホットメルト案内アダプター。
【請求項2】
前記ホットメルト吐出用開口部の開口端面は、前記ノズルの中心軸線に対して鋭角をなす傾斜面を有する、請求項1に記載のホットメルト案内アダプター。
【請求項3】
前記ノズル挿入用開口部側の外周面には、複数のネジ部材が周方向に間隔をあけて配置されており、前記複数のネジ部材の先端が前記ノズルの外周面に密着して押圧することによって前記ノズルに対して当該ホットメルト案内アダプターが固定されるようになっている、請求項1または請求項2に記載のホットメルト案内アダプター。
【請求項4】
前記ホットメルト吐出用開口部側の外表面には、前記ホットメルト吐出用開口部からホットメルト吐出方向に向かって延びる案内プレートが取り付けられている、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のホットメルト案内アダプター。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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