説明

ホッパおよび乾燥システム

【課題】簡易な構成で材料を排出することができるホッパ、および、そのホッパを備える乾燥システムを提供すること。
【解決手段】
材料を乾燥する乾燥システム1に備えられるホッパ3に、材料を貯留する貯留部44と、貯留部44に設けられ、貯留部44からの材料の排出、および、貯留部44への気体の供給の両方に用いられる垂直管47と、貯留部44からの材料の排出を許容する開状態と、貯留部44からの材料の排出を規制するとともに、貯留部44への気体の通過を許容する閉状態とに切り替えられる開閉機構46とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を貯留するホッパ、および、そのホッパを備える乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形の材料としての樹脂ペレットは、乾燥機によって乾燥された後、押出成形機や射出成形機などの溶融成形機に投入され、加熱溶融されて、所定形状に成形される。
【0003】
樹脂ペレットを乾燥させる乾燥機として、例えば、ペレット状樹脂が投入されるタンクと、タンクの下端部に接続され、タンク内に熱風を供給する送風口と、タンクの上端部に接続され、タンク内から排気する排気口と、タンクの側面に設けられ、タンク内の樹脂を排出する樹脂排出管と、タンク内に設けられ、ペレット状樹脂の大きさより小さな孔を有するパンチングメタルからなる通風板とを備えるホッパードライヤーが提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
このホッパードライヤーでは、タンク内に材料が貯留された状態で、タンク下端部の送風口から熱風が供給される。
【0005】
すると、通風板の孔を通過した熱風により、ペレット状樹脂が乾燥される。乾燥されたペレット状樹脂は、タンク側面の樹脂排出管から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−5864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、上記したホッパードライヤーでは、ペレット状樹脂の通過を規制する通風板がタンク内に固定されている。
【0008】
そのため、タンク内からペレット状樹脂を排出するために、送風口、排出口とは別に、タンク側面に樹脂排出管が設けられている。また、通風板は、ペレット状樹脂を樹脂排出管に向かわせるように、傾斜して取り付けられている。
【0009】
このように、タンク内からペレット状樹脂を排出するための構成が複雑化している。
【0010】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成で材料を排出することができるホッパ、および、そのホッパを備える乾燥システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ホッパであり、材料を貯留する貯留部と、前記貯留部からの前記材料の排出を許容する開状態と、前記貯留部からの前記材料の排出を規制するとともに、前記貯留部への前記気体の通過を許容する閉状態とに切り替えられる開閉機構とを備え、前記開閉機構は、前記貯留部に接続され、前記貯留部からの前記材料の排出、および、前記貯留部への気体の供給の両方に用いられる筒部と、前記開状態にあるときに、前記筒部内に進出し、前記閉状態にあるときに、前記筒部内から退避する弁体とを備え、前記弁体には、前記材料の通過を規制するとともに、前記気体の通過を許容する貫通穴が形成されていることを特徴としている。
【0012】
このような構成によれば、開閉機構に備えられる弁体には、材料の通過を規制するとともに、気体の通過を許容する貫通穴が形成されている。
【0013】
そのため、簡易な構成で、開閉機構を閉状態にしたときには、材料の排出を規制しながら、貯留部に気体を供給することができ、開閉機構を開状態にしたときには、貯留部から材料を排出することができる。
【0014】
その結果、貯留部から材料を排出するための構成と、貯留部へ気体の供給する構成とを別途設けることなく、簡易な構成で、貯留部へ気体を供給することができ、貯留部から材料を排出することができる。
【0015】
また、このような構成によれば、開閉機構を閉状態にあるときには、弁体が筒部内へ進出し、開閉機構を開状態にあるときには、弁体が筒部内から退避される。
【0016】
そのため、弁体の進退動作において、筒部と弁体との間に材料が噛み込むことを防止することができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記弁体は、前記閉状態にあるときに、材料の排出方向に沿う前記筒部の中心線と交差するように、前記排出方向上流側から前記排出方向下流側へ傾斜していることを特徴としている。
【0018】
このような構成によれば、貫通穴を有する弁体が、筒部に対して傾斜するように設けられている。
【0019】
そのため、筒部内に進出する弁体の面積を筒部の開口断面積よりも大きく形成することができ、弁体において、多量の気体を容易に通過させることができる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記開閉機構は、前記弁体を進退可能に支持する支持部と、前記支持部と前記弁体との間を密閉するシール部材とを備えていることを特徴としている。
【0021】
このような構成によれば、弁体を支持する支持部と、弁体との間がシール部材により密閉されている。
【0022】
そのため、支持部と弁体との間から外気が流入することを抑制することができる。
【0023】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記筒部は、前記弁体が進退される外筒と、前記外筒内に設けられ、前記材料の排出に用いられる内筒とを備え、前記弁体は、前記開閉機構が閉状態にあるときに、前記外筒内に進出され、前記内筒からの材料の排出を規制するように、前記内筒に対して前記排出方向下流側から対向されることを特徴としている。
【0024】
このような構成によれば、弁体を外筒内に進出させれば、内筒からの材料の排出を規制するように、内筒に対して排出方向下流側から対向させることができる。
【0025】
そのため、内筒からの材料の排出を、弁体によって確実に規制することができる。
【0026】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記開閉機構は、径方向を貫通する第1通路と、前記第1通路が延びる方向と直交する方向に延び、前記第1通路から分岐する第2通路とが形成された回転体を備え、前記第2通路には、前記材料の通過を規制するとともに、前記気体の通過を許容する貫通穴が形成される多孔板が設けられており、前記回転体の回転により、前記開状態にあるときに、前記第1通路が前記貯留部に接続され、前記閉状態にあるときに、前記第2通路が前記貯留部に接続されることを特徴としている。
【0027】
このような構成によれば、開閉機構に備えられる回転体の第2通路には、材料の通過を規制するとともに、気体の通過を許容する貫通穴が形成される多孔板が設けられている。
【0028】
そのため、簡易な構成で、開状態において、貯留部から材料を排出でき、また、閉状態において、貯留部からの材料の排出を規制するとともに、貯留部への気体の通過を許容することができる。
【0029】
また、請求項6に記載の発明は、乾燥システムであって、請求項1〜5のいずれか一項に記載のホッパと、前記ホッパに気体を供給する気体供給手段と、前記気体供給手段と前記ホッパとに接続され、前記ホッパに前記気体を供給する気体供給ラインと、前記ホッパに接続され、前記ホッパから前記気体を排出する気体排出ラインとを備え、前記ホッパは、前記気体供給ラインに接続される第1接続部と、前記気体排出ラインに接続される第2接続部とを備え、前記第1接続部において、前記気体供給ラインに対して着脱自在、かつ、前記第2接続部において、前記気体排出ラインに対して着脱自在に設けられていることを特徴としている。
【0030】
このような構成によれば、ホッパは、第1接続部において、気体供給ラインに対して着脱自在、かつ、第2接続部において、気体排出ラインに対して着脱自在に設けられている。つまり、ホッパは、乾燥システムに対して着脱自在に設けられている。
【0031】
そのため、乾燥システムのうち、ホッパのみを取り外して、容易に持ち運ぶことができるとともに、ホッパを容易にメンテナンスすることができる。
【0032】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記ホッパが前記気体供給ラインおよび前記気体排出ラインから離脱されたときには、前記第1接続部および前記第2接続部が密閉されることを特徴としている。
【0033】
このような構成によれば、ホッパが取り外されたときに、ホッパの第1接続部および第2接続部が密閉される。
【0034】
そのため、ホッパが取り外されたときにおいても、ホッパ内を密閉することができ、ホッパ内に湿気などの外気が流入することを防止することができる。
【0035】
その結果、ホッパが取り外されたときにおいて、ホッパ内の材料の状態(乾燥状態など)を維持することができる。
【0036】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の発明において、前記気体排出ラインは、前記ホッパから排出される気体を前記貯留部に接触させないように、前記ホッパから独立して形成されていることを特徴としている。
【0037】
このような構成によれば、気体排出ラインは、ホッパから排出される気体を貯留部に接触させないように、ホッパから独立して形成されている。
【0038】
そのため、ホッパから排出された気体により、貯留槽が加熱または冷却されることを防止することができ、効率よく、ホッパ内の材料を加熱または冷却することができる。
【発明の効果】
【0039】
請求項1に記載の発明によれば、簡易な構成で、貯留部へ気体を供給することができ、貯留部から材料を排出することができる。また、弁体の進退動作において、筒部と弁体との間に材料が噛み込むことを防止することができる。
【0040】
また、請求項2に記載の発明によれば、弁体を筒部の開口断面積よりも大きく形成することができ、弁体において、多量の気体を容易に通過させることができる。
【0041】
また、請求項3に記載の発明によれば、支持部と弁体との間から外気が流入することを抑制することができる。
【0042】
また、請求項4に記載の発明によれば、内筒からの材料の排出を、弁体によって確実に規制することができる。
【0043】
また、請求項5に記載の発明によれば、簡易な構成で、開状態において、貯留部から材料を排出でき、また、閉状態において、貯留部からの材料の排出を規制するとともに、貯留部への気体の通過を許容することができる。
【0044】
また、請求項6に記載の発明によれば、乾燥システムのうち、ホッパのみを取り外して、容易に持ち運ぶことができるとともに、ホッパを容易にメンテナンスすることができる。
【0045】
また、請求項7に記載の発明によれば、ホッパが取り外されたときにおいて、ホッパ内の材料の状態(乾燥状態など)を維持することができる。
【0046】
また、請求項8に記載の発明によれば、ホッパから排出された気体により、貯留槽が加熱または冷却されることを防止することができ、効率よく、ホッパ内の材料を加熱または冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の乾燥システムを示す概略構成図である。
【図2】図1に示す乾燥システムであって、(a)は、正面図であり、(b)は、右側面図である。
【図3】図2に示す本発明のホッパを示す正面図である。
【図4】図3に示すホッパの開閉機構を説明するための説明図であって、開閉機構の閉状態を示す。
【図5】図4に示す弁体を説明するための説明図である。
【図6】開閉機構の開閉を説明するための説明図であって、開閉機構の開状態を示す。
【図7】ホッパの第1変形例を説明するための説明図である。
【図8】ホッパの第2変形例を説明するための説明図である。
【図9】ホッパの第3変形例を説明するための説明図である。
【図10】ホッパの第4変形例を説明するための説明図であって、(a)は、開閉機構の閉状態を示し、(b)は、開閉機構の開状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、本発明の乾燥システムを示す概略構成図である。図2は、図1に示す乾燥システムであって、(a)は、正面図であり、(b)は、右側面図である。
【0049】
乾燥システム1は、図1および図2に示すように、乾燥装置2を備えている。なお、以下の説明において、方向に言及するときには、ホッパ3の開閉機構46(後述)が設けられる側(図2(b)において紙面左側)を前側とし、その反対側を後側とする。また、乾燥システム1を前側から見たときを上下左右の基準とする。すまわち、図2(a)の紙面上側が上側であり、紙面下側が下側である。また、図2(a)の紙面左側が左側であり、紙面右側が右側である。
【0050】
乾燥装置2は、台部14と、台部14の後側に立設される側壁部15とを備える筐体5と、乾燥装置2に対して着脱可能に設けられるホッパ3と、乾燥機構部4を備えている。
【0051】
乾燥機構部4は、筐体5内において、ブロワ6(気体供給手段の一例)、気体供給ライン7、気体排出ライン8、ヒータ9(加熱手段の一例)を備えている。
【0052】
ブロワ6は、ホッパ3へ向かう気流を発生させる。
【0053】
気体供給ライン7は、ブロワ6からの気体をホッパ3へ供給するための配管である。気体供給ライン7の供給方向上流側端部は、筐体5内においてブロワ6に接続されている。また、気体供給ライン7の供給方向下流側端部は、台部14の上端部から上側に向かって突出し、ホッパ3の下端部において、第1接続部40(後述)に接続されている。
【0054】
気体排出ライン8は、ホッパ3から気体を排出するための配管であり、ホッパ3から独立して形成されている。気体排出ライン8の排気方向上流側端部は、台部14の上端部から上側に向かって突出し、略U字形状に湾曲されて、ホッパ3の上端部において、第2接続部73(後述)に接続されている。また、気体排出ライン8の排気方向下流側端部は、筐体5内において、ブロワ6に接続されている。また、気体排出ライン8の途中には、筐体5内において、フィルタ10が設けられている。
【0055】
フィルタ10は、ホッパ3から排気された気体から、粉塵などを除去する。
【0056】
ヒータ9は、気体供給ライン7の途中において、ブロワ6とホッパ3との間に設けられており、ブロワ6からホッパ3へ向かう気体を加熱する。
【0057】
また、筐体5内には、冷却ライン11および冷却装置12が設けられている。
【0058】
冷却ライン11は、ブロワ6とヒータ9との間において、気体供給ライン7のバイパスラインとして設けられている。すなわち、冷却ライン11の一端部は、気体供給ライン7の供給方向上流側に接続され、冷却ライン11の他端部は、一端部に対して、気体供給ライン7の供給方向下流側に接続されている。また、冷却ライン11の一端部と気体供給ライン7との接続部分には、三方弁13が設けられている。
【0059】
三方弁13は、気体供給ライン7内を流れる気体を、そのまま気体供給ライン7を介してヒータ9に向かわせる加熱位置と、冷却ライン11を介して冷却装置12に向かわせる冷却位置とに切り換えられる。
【0060】
冷却装置12は、冷却ライン11の途中に設けられ、冷却ライン11内を流れる気体を冷却する。
【0061】
また、乾燥システム1には、窒素発生装置21、エアコンプレッサ22、第1空気供給ライン23および窒素供給ライン24が設けられている。
【0062】
窒素発生装置21は、窒素を高濃度に含有する窒素ガスを発生させる。窒素発生装置21は、空気から窒素を分離することにより、窒素ガスを発生させる。
【0063】
エアコンプレッサ22は、空気を圧縮して、圧縮された空気を、窒素発生装置21および三方弁13に供給する。
【0064】
第1空気供給ライン23は、窒素発生装置21にエアコンプレッサ22からの空気を供給するための配管であり、その供給方向上流側端部が、エアコンプレッサ22に接続され、その供給方向下流側端部が、窒素発生装置21に接続されている。また、第1空気供給ライン23の途中には、第1空気供給ライン23内の圧力を調整する圧力調整弁25が設けられている。
【0065】
窒素供給ライン24は、窒素発生装置21により発生された窒素ガスを、乾燥機構部4に供給するための配管であり、その供給方向上流側端部が、窒素発生装置21に接続され、その供給方向下流側端部が、乾燥機構部4の気体排出ライン8の途中に接続されている。
【0066】
また、窒素供給ライン24は、第1電磁弁26、第1供給ライン27および第2供給ライン28を備えている。
【0067】
第1電磁弁26は、窒素供給ライン24の途中に設けられている。第1電磁弁26は、第2供給ライン28を閉鎖し、第1供給ライン27を開放する大流量位置と、第1供給ライン27を閉鎖し、第2供給ライン28を開放する小流量位置とに切り換えられる。
【0068】
第1供給ライン27は、窒素供給ライン24のバイパスラインであり、その供給方向上流側端部が、第1電磁弁26に接続され、その供給方向下流側端部が、第1電磁弁26に対して、窒素供給ライン24の供給方向下流側端部に接続されている。また、第1供給ライン27の途中には、第1流量調整弁29が設けられている。
【0069】
第1流量調整弁29は、第1供給ライン27内を流れる窒素ガスの流量を、第2供給ライン28内を流れる窒素ガスの流量よりも大流量となるように調整する。
【0070】
第2供給ライン28は、第1電磁弁26に対して供給方向下流側の窒素供給ライン24であり、その途中には、第2流量調整弁30が設けられている。
【0071】
第2流量調整弁30は、第2供給ライン28内を流れる窒素ガスの流量を、乾燥システム1からの窒素ガスの漏洩量よりも大流量となるように調整する。また、第2供給ライン28内を流れる窒素ガスの窒素濃度は、第1供給ライン27内を流れる窒素ガスの窒素濃度よりも高濃度である。
【0072】
また、乾燥システム1には、第2空気供給ライン31が設けられている。
【0073】
第2空気供給ライン31は、三方弁13にエアコンプレッサ22からの空気を供給するための配管であり、その供給方向上流側端部が、第1空気供給ライン23の途中に接続され、その供給方向下流側端部が、三方弁13に接続されている。第2空気供給ライン31は、エアコンプレッサ22から第1空気供給ライン23を介して供給された空気を、三方弁13に供給する。また、第2空気供給ライン31の途中には、第2電磁弁32が設けられている。
【0074】
第2電磁弁32は、三方弁13を加熱位置に切り換える第1位置と、三方弁13を冷却位置に切り換える第2位置とに切り換えられる。
【0075】
図3は、図2に示すホッパを示す正面図である。図4は、図3に示すホッパの開閉機構を説明するための説明図であって、開閉機構の閉状態を示す。図5は、図4に示す弁体を説明するための説明図である。図6は、開閉機構の開閉を説明するための説明図であって、開閉機構の開状態を示す。
【0076】
ホッパ3は、台部14の上側において、筐体5に対して着脱可能に設けられており(図2参照)、図3および図4に示すように、貯留槽41、保温カバー42および蓋部材43を備えている。
【0077】
貯留槽41は、プラスチックペレットなどの材料を貯留する容器であり、貯留部44および開閉機構46を備えている。
【0078】
貯留部44は、略円筒形状の上側部分と、下側に向かうに従って開口断面積が狭くなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成されている。
【0079】
開閉機構46は、管路45、弁体50および固定部51を備えている。
【0080】
管路45は、上下方向に延びる垂直管47(筒部の一例)と、垂直管47の途中に接続される傾斜管48とを一体的に備えるY字管である。
【0081】
垂直管47は、貯留部44の下側部分に接続され、下方に延びる略円筒形状に形成されている。また、垂直管47は、第1接続部40を備えている。
【0082】
第1接続部40は、垂直管47の下端部において、フランジとして形成されている。第1接続部40には、ホッパ3が筐体5に装着されるときには、上記したように、気体供給ライン7の供給方向下流側端部が接続される。また、第1接続部40には、ホッパ3が筐体5から離脱されるときには、気体供給ライン7との接続が解除され、蓋74が、パッキン75を介して被せられ、クランプ76によって固定される。すなわち、第1接続部40は、ホッパ3が気体供給ライン7から離脱されたときに、蓋74およびパッキン75により密閉される。
【0083】
傾斜管48は、垂直管47と同径の、前側から後側へ向かうに従って上側から下側へ傾斜するように延びる略円筒形状に形成されており、後端部において垂直管47に接続されている。また、傾斜管48は、垂直管47に連通されている。また、傾斜管48の前端部には、フランジ49が形成されている。
【0084】
弁体50は、管路45内において、前後方向(詳しくは、傾斜管48が延びる方向(前側から後側へ向かうに従って上側から下側へ傾斜する方向))に延びている。すなわち、弁体50は、開閉機構46が閉状態にあるときに、垂直管47の上下方向に沿う中心線と交差するように、上側から下側へ傾斜している。また、弁体50は、図5に示すように、規制部52、軸部53、操作部54および鍔部55を備えている。
【0085】
規制部52は、弁体50の後端部に設けられ、フレーム56およびパンチングメタル57を備えている。
【0086】
フレーム56は、後端部が略半円形状に形成された略馬蹄形の枠形状に形成されている。フレーム56は、傾斜管48の内周面に沿う左右方向長さに形成されている。また、フレーム56は、上下方向に投影したときに、少なくとも垂直管47の径方向すべてにわたるような前後方向長さに形成されている(図4参照)。
【0087】
パンチングメタル57は、後端部が略半円形状に形成された略矩形平板形状に形成されている。また、パンチングメタル57には、多数の貫通穴58が、上下方向に沿って貫通形成されている。
【0088】
各貫通穴58は、パンチングメタル57の全面にわたって、互いに間隔を隔てて整列配置されている。また、各貫通穴58は、材料の通過を規制するとともに気体の通過を許容するように、材料の最小長さよりも短い開口長さを有する開口として形成されている。
【0089】
そして、フレーム56は、パンチングメタル57の周縁部に外嵌されている。また、フレーム56は、その後端部において、緩衝部材59を備えている。
【0090】
緩衝部材59は、ゴムなどの弾性部材から、フレーム56の半円形状部分に対応する略円弧形状に形成されている。緩衝部材59は、フレーム56の半円形状部分において、フレーム56の周縁部に外嵌されている。
【0091】
軸部53は、フレーム56の前端部の左右方向略中央に連結され、前方へ延びる棒状に形成されている。
【0092】
操作部54は、軸部53の前端部に固定されており、弁体50を操作するときにユーザによって把持される。
【0093】
鍔部55は、中央部に挿通穴62を有する略円板形状に形成されており、挿通穴62に軸部53が挿通され、その後面が規制部52の前端部に当接するように、軸部53の後端部に固定されている。また、鍔部55の直径は、傾斜管48の内径とほぼ同径に形成されている。鍔部55は、開閉機構46が閉状態にあるときに、規制部52の上方に積層される材料の傾斜管48への流入を防止し、規制部52の上方に積層される材料が、規制部52の前端部を周り込むようにして、規制部52の下方へ漏洩することを防止する。
【0094】
固定部51は、前後方向に延びる略円柱形状の支持部65と、支持部65の後端部に設けられるフランジ60とを一体的に備えている。なお、支持部65、フランジ60およびパッキン61(後述)には、径方向中心において、弁体50の軸部53が挿通される挿通穴63が形成されている。
【0095】
支持部65は、挿通穴63に弁体50の軸部53が挿通されることにより、弁体50の軸部53を前後方向にスライド可能(詳しくは、前上側と後下側とにスライド可能)に支持している。
【0096】
フランジ60は、ボルトなどにより、パッキン61(シール部材の一例)を介して傾斜管48のフランジ49に固定されている。これにより、固定部51は、傾斜管48の前端部を密閉している。また、固定部51の支持部65と、弁体50との間は、パッキン61により密閉されている。
【0097】
そして、操作部54を把持して、後下側へ押すと、弁体50が、後下側へスライドされ、垂直管47内へ進出される。
【0098】
そして、図4に示すように、操作部54が固定部51に前上側から当接されると、弁体50の後下側へのそれ以上のスライドが規制される。これにより、開閉機構46は、弁体50が垂直管47内に進出する閉状態に切り替えられる。
【0099】
開閉機構46が閉状態に切り替えられたときには、規制部52の後端部は、垂直管47の後端部の内面に近接するか、または、当接される。なお、規制部52の後端部が、垂直管47の後端部の内面に近接している場合には、規制部52と垂直管47との間隔は、材料の最小長さよりも短く、その間隔を材料が通過することは規制されている。
【0100】
また、操作部54を把持して、前上側へ引くと、弁体50が前上側へスライドされ、垂直管47から傾斜管48へ退避される。
【0101】
そして、図6に示すように、鍔部55がパッキン61に後下側から当接されると、弁体50の前上側へのそれ以上のスライドが規制される。これにより、開閉機構46は、弁体50が垂直管47から傾斜管48へ退避する開状態に切り替えられる。
【0102】
開閉機構46が開状態に切り替えられたときには、規制部52の後端部は、垂直管47の前端部よりも前側において、傾斜管48内に退避されている。つまり、規制部52は、そのすべてが垂直管47から傾斜管48内に退避している。
【0103】
保温カバー42は、図3に示すように、上端および下端が開放された略矩形枠形状に形成されている。また、保温カバー42は、貯留槽41を被覆するように、貯留槽41の直径よりも長い左右方向長さおよび前後方向長さ(図2(b)参照)、かつ、貯留槽41の上下方向長さよりも長い上下方向長さに形成されている。保温カバー42は、貯留槽41を被覆するとともに、貯留槽41の径方向外面に対して、ねじ止めなどにより固定されている。
【0104】
また、保温カバー42は、開閉機構露出部71、把持部72および脚部77を備えている。
【0105】
開閉機構露出部71は、図7に示すように、保温カバー42の前端部において、前面から後側へ凹む正面視略矩形状に形成されている。開閉機構露出部71の後端部には、傾斜管48が挿通される挿通穴64が形成されている。そして、開閉機構露出部71の挿通穴64に傾斜管48の前端部が挿通されることにより、開閉機構46の前端部(すなわち、固定部51および操作部54)が保温カバー42の外側に露出されている。
【0106】
把持部72は、保温カバー42の左右両側面にそれぞれ設けられる取っ手であり、ホッパ3を乾燥装置2に対して着脱するときに、ユーザによって把持される。
【0107】
脚部77は、保温カバー42の下端部において、前端部の左右両端部、および、後端部の左右両端部に1つずつ設けられている。また、脚部77は、保温カバー42の下端部から下側に向かって、垂直管47よりも下側に突出するように延びている。
【0108】
蓋部材43は、ホッパ3の上端部に設けられ、前後左右に延びる略平板形状に形成されている。蓋部材43は、保温カバー42とほぼ同じ左右方向長さおよび前後方向長さに形成されており、貯留槽41の上端部を密閉するように、保温カバー42の上端部に対して着脱可能に固定されている。
【0109】
また、蓋部材43には、その略中央において、貯留槽41内に臨む貫通穴(図示せず)が形成されている。また、蓋部材43は、その貫通穴(図示せず)の周縁部から上側に延びる第2接続部73を備えている。
【0110】
第2接続部73は、略円筒形状に形成されており、その上端部は、フランジとして形成されている。第2接続部73には、ホッパ3が乾燥装置2に装着されたときには、上記したように、気体排出ライン8の排出方向上流側端部が接続される。また、第2接続部73には、ホッパ3が乾燥装置2から離脱されたときには、蓋74が、パッキン75を介して被せられ、クランプ76によって固定される。すなわち、第2接続部73は、ホッパ3が気体排出ライン8から離脱されたときに、蓋74およびパッキン75により密閉される。
【0111】
次いで、図1を参照して、乾燥システム1の動作について説明する。なお、予め、ホッパ3は乾燥装置2から離脱されている。このとき、ホッパ3の開閉機構46は、閉状態に切り替えられており、垂直管47内には、弁体50の規制部52が進出されている。
【0112】
乾燥システム1を用いて材料を乾燥させるには、まず、蓋部材43を離脱させて、ホッパ3に材料を投入する。
【0113】
このとき、ホッパ3に投入された材料は、弁体50の規制部52によって垂直管47の通過を規制され、ホッパ3内に貯留される。すなわち、開閉機構46は、閉状態において、貯留部44からの材料の排出を規制している。
【0114】
そして、ホッパ3を台部14に配置して、ホッパ3の第1接続部40を気体供給ライン7に接続するとともに、ホッパ3の第2接続部73を気体排出ライン8に接続して、ホッパ3を筐体5に装着し、その後、乾燥システム1を作動させる。
【0115】
乾燥システム1を作動させるには、まず、エアコンプレッサ22を作動させるとともに、ブロワ6を作動させる。
【0116】
なお、このとき、窒素発生装置21、ヒータ9および冷却装置12は、いずれも作動していない。また、第1電磁弁26は、大流量位置に配置され、第2電磁弁32は、第1位置に配置されている。
【0117】
すると、ブロワ6から、気体供給ライン7、ホッパ3、気体排出ライン8を順次循環し、再びブロワ6に戻る気流が発生する。
【0118】
そして、気体供給ライン7から第1接続部40を介してホッパ3の垂直管47に供給された気体は、垂直管47内を上昇し、規制部52の貫通穴58を通過して、貯留部44内に供給される。すなわち、開閉機構46は、閉状態において、貯留部44への気体の通過を許容している。また、垂直管47は、貯留部44への気体の供給に用いられる。
【0119】
その後、貯留部44内に供給された気体は、材料に作用された後、第2接続部73を介して、気体排出ライン8へ排出される。
【0120】
なお、気体排出ライン8は、ホッパ3から独立して形成されているため、ホッパ3から排出され、気体排出ライン8を通過する気体は、貯留部44に接触しない。
【0121】
次いで、窒素発生装置21を作動させる。
【0122】
すると、窒素発生装置21によって窒素ガスが発生され、窒素供給ライン24の第1供給ライン27を介して、気体排出ライン8に窒素ガスが供給される。そして、気体排出ライン8に供給された窒素ガスは、ブロワ6によって、気体供給ライン7を介してホッパ3へ供給される。
【0123】
その後、第1電磁弁26を、大流量位置から小流量位置へ切り替え、同時に、ヒータ9を作動させる。
【0124】
すると、窒素発生装置21から第2供給ライン28を介して気体排出ライン8に窒素ガスが供給されるとともに、気体供給ライン7および気体排出ライン8により形成されるクローズドライン内の窒素ガスが徐々に加熱され始める。
【0125】
そして、加熱された窒素ガスにより、ホッパ3内の材料が乾燥され、材料の乾燥が完了される。
【0126】
次いで、材料の乾燥が完了した後、冷却運転を実施する。冷却運転を実施するには、ブロワ6および窒素発生装置21が作動している状態で、まず、ヒータ9を停止させる。その後、冷却装置12を作動させ、第2電磁弁32を第2位置へ切り替えて三方弁13を冷却位置へ移動させる。
【0127】
すると、乾燥装置2内の窒素ガスは、ブロワ6から、気体供給ライン7を介して冷却ライン11を通過する途中で、冷却装置12により冷却された後、気体供給ライン7を介してホッパ3に供給される。
【0128】
これにより、窒素ガスによってホッパ3内の材料が冷却される。なお、材料を冷却した窒素ガスは、その後、気体排出ライン8を介して、再びブロワ6に戻される。
【0129】
そして、材料の冷却が完了した後、図3に示すように、ホッパ3を台部14から取り外して、ホッパ3の第1接続部40を乾燥装置2の気体供給ライン7から離脱させるとともに、ホッパ3の第2接続部73を乾燥装置2の気体排出ライン8から離脱させて、ホッパ3を筐体5から離脱させる。
【0130】
そして、ホッパ3の脚部77を床などに載置させた後、すぐに、第1接続部40に対して、蓋74を、パッキン75を介して被せ、クランプ76によって固定する。また、第2接続部73に対して、蓋74を、パッキン75を介して被せ、クランプ76によって固定する。これにより、第1接続部40および第2接続部73を密閉し、ホッパ3の貯留槽41を密閉する。
【0131】
そして、ホッパ3を、密閉された状態で、例えば、成形機などに運搬し、成形機などに材料を供給する。
【0132】
成形機などに材料を供給するには、第1接続部40のクランプ76による固定を解除して蓋74を取り外し、第1接続部40において、成形機などに接続する。
【0133】
その後、図6に示すように、開閉機構46の操作部54を把持し、前上方に引くことにより、弁体50を、垂直管47から傾斜管48へ退避させ、開閉機構46を開状態に切り替える。
【0134】
すると、貯留部44内の材料が、垂直管47内を落下し、成形機などに供給される。すなわち、開閉機構46は、開状態において、貯留部44からの材料の排出を許容する。また、垂直管47は、貯留部44からの材料の排出に用いられる。
【0135】
このホッパ3によれば、垂直管47は、貯留部44からの材料の排出、および、貯留部44への気体の供給の両方に用いられる。
【0136】
そして、開閉機構46を閉状態にして、材料の排出を規制しながら、垂直管47を介して貯留部44に気体を供給することができ、開閉機構46を開状態にして、貯留部44から垂直管47を介して材料を排出することができる。
【0137】
そのため、貯留部44から材料を排出するための構成と、貯留部44へ気体の供給する構成とを別途設けることなく、簡易な構成で、垂直管47を介して、貯留部へ気体を供給することができ、貯留部44から材料を排出することができる。
【0138】
また、このホッパ3によれば、図5に示すように、規制部52のパンチングメタル57には、材料の通過を規制するとともに、気体の通過を許容する貫通穴58が形成されている。
【0139】
そのため、簡易な構成で、開状態において、貯留部44から材料を排出でき、また、閉状態において、貯留部44からの材料の排出を規制するとともに、貯留部44への気体の通過を許容することができる。
【0140】
また、このホッパ3によれば、図4に示すように、弁体50が、垂直管47に対して傾斜するように設けられている。
【0141】
そのため、垂直管47内に進出する弁体50の面積を垂直管47の開口断面積よりも大きく形成することができ、弁体50において、多量の気体を容易に通過させることができる。
【0142】
また、このホッパ3によれば、図4に示すように、弁体50が、垂直管47に対して、前方から後方に向かうに従って下方に向かうように傾斜している。
【0143】
そのため、開閉機構46を閉状態から開状態に切り替えるときに、弁体50を、前上側、すなわち、材料の落下方向と反対側の上側にスライドさせて、規制部52の下端部から徐々に垂直管47を開放することができる。
【0144】
その結果、材料が垂直管47内に残留することを防止することができる。
【0145】
また、このホッパ3によれば、図4に示すように、貯留部44の下側部分は、下側に向かうに従って、その開口断面積が狭くなるように、言い換えると、上側に向かうに従って、その開口断面積が拡がるように形成されている。
【0146】
そのため、貯留部44に材料を貯留したときに、材料をその拡がった上側部分の開口断面積に応じて貯留することができ、上下方向における材料の積層厚みを低減させることができる。
【0147】
その結果、上下方向における圧力損失を低減させて、効率よく、材料に気体を作用させることができ、効率よく材料を乾燥させることができる。
【0148】
また、この乾燥システム1によれば、図1に示すように、乾燥システム1は、上記したホッパ3を備えており、ブロワ6からホッパ3へ供給される気体は、ヒータ9により加熱されてからホッパ3へ供給される。
【0149】
そのため、ホッパ3の開閉機構46を閉状態にして、垂直管47を介して貯留部44に気体を供給すると、加熱された気体により、ホッパ3内の材料を乾燥することができる。
【0150】
また、ホッパ3内の材料が乾燥された後、開閉機構46を開状態にすると、貯留部44から垂直管47を介して材料を排出することができる。
【0151】
このように、ホッパ3内の材料を乾燥することができながら、簡易な構成で、貯留部44から垂直管47を介して材料を排出することができる。
【0152】
また、この乾燥システム1によれば、ホッパ3は、第1接続部40において、気体供給ライン7に対して着脱自在、かつ、第2接続部73において、気体排出ライン8に対して着脱自在に設けられている。つまり、ホッパ3は、筐体5に対して着脱自在に設けられている。
【0153】
そのため、乾燥システム1のうち、ホッパ3のみを取り外して、容易に持ち運ぶことができるとともに、ホッパ3を容易にメンテナンスすることができる。
【0154】
また、この乾燥システム1によれば、図3に示すように、ホッパ3が取り外されたときに、ホッパ3の第1接続部40および第2接続部73が密閉される。
【0155】
そのため、ホッパ3が取り外されたときにおいても、ホッパ3内を密閉することができ、ホッパ3内に湿気などの外気が流入することを防止することができる。
【0156】
その結果、ホッパ3が取り外されたときにおいて、ホッパ3内の材料の状態(乾燥状態など)を維持することができる。
【0157】
また、この乾燥システム1によれば、図2に示すように、気体排出ライン8は、ホッパ3から排出される気体を貯留部44に接触させないように、ホッパ3から独立して形成されている。
【0158】
そのため、ホッパ3から排出された気体により、貯留部44が加熱または冷却されることを防止することができ、効率よく、ホッパ3内の材料を加熱または冷却することができる。
(第1変形例)
図7は、ホッパの第1変形例を説明するための説明図である。なお、第1変形例において、上記した実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0159】
上記した実施形態では、ホッパ3の貯留部44は、略円筒形状の上側部分と、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成したが、第1変形例では、図7に示すように、貯留部81は、垂直管47とほぼ同径の略円筒形状に形成することもできる。
【0160】
貯留部81が、垂直管47とほぼ同径の略円筒形状であれば、垂直管47から貯留部81へ流入する気体が、貯留部81の径方向に拡散することを抑制することができる。
【0161】
そのため、気体を材料に均一に作用させることができ、材料を均一に乾燥させることができる。
【0162】
なお、第1変形例においても、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第2変形例)
図8は、ホッパの第2変形例を説明するための説明図である。なお、第2変形例において、上記した実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0163】
また、上記した実施形態では、弁体50の規制部52に貫通穴58を形成したが、垂直管47内において気体を上下方向に通過させることができれば、貫通穴58を形成する部分は特に限定されず、第2変形例では、図8に示すように、弁体50の規制部52に貫通穴58を形成せずに、弁体50の鍔部91に貫通穴92を形成することもできる。
【0164】
弁体50の鍔部91に貫通穴92が形成されていれば、垂直管47に下側から流入した気体は、弁体50の規制部52に沿って前方へ向かい、貫通穴92を通過して規制部52を周り込むように、規制部52の上方へ流入し、その後、貯留部44へ流入される。
【0165】
なお、第2変形例においても、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第3変形例)
図9は、ホッパの第3変形例を説明するための説明図である。なお、第3変形例において、上記した実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0166】
上記した実施形態では、貯留部44を、略円筒形状の上側部分と、下側に向かうに従って開口断面積が狭くなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成し、開閉機構46の垂直管47の上端部を、貯留部44の下側部分に接続している。
【0167】
しかし、第3変形例では、図9に示すように、貯留部44の下側部分に連続して下側へ延びる排出管86(内筒の一例)を設け、排出管86が垂直管47(外筒の一例)の上端部内に挿通されるように、垂直管47を貯留部44の下側部分に接続する。つまり、排出管86と垂直管47とで、筒部を二重筒として構成する。
【0168】
詳しくは、貯留部44は、その最下端部の外径が、垂直管47の内径よりも小径となるように形成されている。また、貯留部44は、その下端部に連続する排出管86を備えている。
【0169】
排出管86は、貯留部44の下端部から下側へ延びる略円筒形状に形成されている。また、排出管86の下端部は、弁体50の規制部52の傾斜に対応して、前側から後側へ向かうに従って上側から下側へ傾斜するように、切り欠き形成され、開閉機構46が閉状態にあるときに、規制部52に対してわずかに(粉粒体の通過を規制できる程度に)間隔を隔てて対向されるように配置されている。
【0170】
また、排出管86の外径は、貯留部44の最下端部の外径と同径であり、垂直管47の内径よりも小径である。また、排出管86の内径は、規制部52の前後方向長さおよび左右方向長さに対して、同径または小径である。
【0171】
そして、開閉機構46が閉状態に切り替えられたときには、規制部52の後端部は、垂直管47の後端部の内面に近接するか、または、当接される。また、このとき、規制部52は、排出管86の下端部の下側に対向されており、排出管86からの粉粒体の排出が規制されている。
【0172】
また、開閉機構46が開状態に切り替えられたときには、規制部52の後端部は、垂直管47の前端部よりも前側において、傾斜管48内に退避されている。つまり、規制部52は、そのすべてが垂直管47から傾斜管48内に退避されており、排出管86からの粉粒体の排出が許容されている。
【0173】
なお、第3変形例では、規制部52は、上記のようにそのすべてが垂直管47から傾斜管48内に退避される必要はなく、例えば、規制部52は、その後端部が垂直管47内において排出管86の前端部よりも前側に配置されるように、退避されてもよい。
【0174】
この第3変形例によれば、弁体50を垂直管47内に進出させれば、排出管86からの材料の排出を規制するように、排出管86に対して排出方向下流側から対向させることができる。
【0175】
そのため、排出管86からの材料の排出を、弁体50によって確実に規制することができる。
【0176】
また、第3変形例においても、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第4変形例)
図10は、ホッパの第4変形例を説明するための説明図であって、(a)は、開閉機構の閉状態を示し、(b)は、開閉機構の開状態を示す。なお、第4変形例において、上記した実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0177】
上記した実施形態では、開閉機構46は、貯留部44から排出される材料を通過させる垂直管47を有する管路45と、弁体50とを備え、弁体50が垂直管47内に進出することにより、開閉機構46が閉状態に切り替えられ、弁体50が垂直管47から退避することにより、開閉機構46が開状態に切り替えられている。すなわち、開閉機構46は、スライドゲートとして構成されている。
【0178】
一方、第4実施形態では、図10に示すように、開閉機構101は、ボールバルブとして構成することもできる。
【0179】
詳しくは、開閉機構101は、ボール102(回転体の一例)と、ボール102を回転可能に収容するボールケーシング103とを備えている。
【0180】
ボール102は、貯留部44の下端部の開口の直径よりも長い直径を有する略球状に形成されている。また、ボール102には、略T字状の通路104が形成されている。
【0181】
通路104は、ボール102を径方向に貫通する第1通路105と、第1通路105に連通される第2通路106とからなる。
【0182】
第1通路105は、ボール102の径方向に沿って延び略円筒形状に形成されており、ボール102の径方向において、両端が開放されている。
【0183】
第2通路106は、ボール102の径方向に沿って、第1通路105が延びる方向と直交する方向に延び、第1通路105から分岐してボール102の表面に連通されるように、第1通路105と同径の略円筒形状に形成されている。また、第2通路106には、ボール102の径方向における外側端部において、パンチングメタル107(多孔板の一例)が設けられている。
【0184】
パンチングメタル107は、第2通路106の内径よりも少し大径な円板形状に形成されており、第2通路106の径方向に沿うように、第2通路106内に嵌合されている。
【0185】
なお、パンチングメタル107の形状は、特に限定されず、例えば、ボールケーシング103との間に隙間が形成されないように、ボール102の外周面に応じて、ボール102の外周面とともに球面を形成するように湾曲形成することもできる。
【0186】
また、パンチングメタル107には、多数の貫通穴108が貫通形成されている。
【0187】
各貫通穴108は、パンチングメタル107の全面にわたって、互いに間隔を隔てて整列配置されている。また、各貫通穴108は、材料の通過を規制するとともに気体の通過を許容するように、材料の最小長さよりも短い開口長さを有する開口として形成されている。
【0188】
ボールケーシング103は、ボール102を収容可能な中空の略球形状に形成されている。また、ボールケーシング103には、上端部において第1開口110、水平方向一端部において第2開口111、下端部において第3開口112が貫通形成されている。
【0189】
第1開口110、第2開口111および第3開口112は、第1通路105および第2通路106の直径と同径の略円形状に形成されている。
【0190】
また、ボールケーシング103の水平方向一端部には、第2開口111の周縁部から水平方向に延びる略円筒形状の第1接続部113が設けられている。
【0191】
第1接続部113の水平方向一端部は、フランジとして形成されている。第1接続部113には、気体供給ライン7が接続されている。
【0192】
そして、ボールケーシング103は、その上端部において、貯留部44の下端部に対して、第1開口110を介して連通されるように接続されている。
【0193】
そして、ボール102は、第1通路105の一端部がボールケーシング103の第2開口111に対向し、第1通路105の他端部がボールケーシング103の水平方向他方側の内壁に対向し、第2通路106がボールケーシング103の第1開口110に対向する閉位置(図10(a)参照)と、第1通路105の一端部がボールケーシング103の第1開口110に対向し、第1通路105の他端部がボールケーシング103の第3開口112に対向し、第2通路106がボールケーシング103の水平方向他方側の内壁に対向する開位置(図10(b)参照)とに回動可能に、ボールケーシング103内に収容されている。
【0194】
これにより、開閉機構101は、ボール102が閉位置に配置されたときには、パンチングメタル107によって、貯留部44からの材料の排出を規制するとともに、パンチングメタル107の貫通穴108を介して、貯留部44への気体の通過を許容する閉状態に切り替えられる。
【0195】
また、開閉機構101は、ボール102が開位置に配置されたときには、第1通路105を介して、貯留部44からの材料の排出を許容する開状態に切り替えられる。
【0196】
そして、乾燥システム1の乾燥動作において、貯留部44に材料を貯留するときには、ボール102を閉位置に配置して、材料を貯留部44に投入する。
【0197】
すると、第2通路106内のパンチングメタル107によって、第2通路106において材料の通過が規制され、貯留部44内に材料が貯留される。
【0198】
すなわち、開閉機構101は、開状態において、貯留部44からの材料の排出を規制している。
【0199】
次いで、第1接続部113を気体供給ライン7に接続して、気体供給ライン7から、ボールケーシング103の第1接続部113および第2開口111を順次介して、ボール102の第1通路105に気体を供給する。
【0200】
すると、気体は、第1通路105から第2通路106に流入し、パンチングメタル107の貫通穴108、および、ボールケーシング103の第1開口110を順次介して、貯留部44内に供給される。
【0201】
すなわち、開閉機構101は、閉状態において、貯留部44への気体の通過を許容している。
【0202】
そして、乾燥システム1における乾燥動作が完了し、ホッパ3を筐体5から離脱させて成形機などに運搬し、成形機などに材料を供給するときには、ボール102を、閉位置から開位置へ回動させて、開閉機構101を開状態に切り替える。
【0203】
すると、貯留部44内の材料が、第1通路105内を落下し、成形機などに供給される。すなわち、開閉機構101は、開状態において、貯留部44からの材料の排出を許容する。
【0204】
第4変形例においても、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0205】
詳しくは、開閉機構101に備えられるボール102の第2通路106には、材料の通過を規制するとともに、気体の通過を許容する貫通穴108が形成されるパンチングメタル107が設けられている。
【0206】
そのため、簡易な構成で、開状態において、貯留部44から材料を排出でき、また、閉状態において、貯留部44からの材料の排出を規制するとともに、貯留部44への気体の通過を許容することができる。
(その他の変形例)
上記した実施形態では、弁体50にパンチングメタル57を設けたが、特に限定されず、例えば、多孔質板や金網などであってもよい。
【符号の説明】
【0207】
1 乾燥システム
3 ホッパ
6 ブロワ(気体供給手段の一例)
7 気体供給ライン
8 気体排出ライン
9 ヒータ(加熱手段の一例)
40 第1接続部
44 貯留部
46 開閉機構
47 垂直管(筒部の一例、外筒の一例)
50 弁体
58 貫通穴
61 パッキン(シール部材の一例)
65 支持部
73 第2接続部
81 貯留部
86 排出管(内筒の一例)
92 貫通穴
101 開閉機構
102 ボール(回転体の一例)
105 第1通路
106 第2通路
107 パンチングメタル(多孔板の一例)
108 貫通穴
113 第1接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を貯留する貯留部と、
前記貯留部からの前記材料の排出を許容する開状態と、前記貯留部からの前記材料の排出を規制するとともに、前記貯留部への前記気体の通過を許容する閉状態とに切り替えられる開閉機構と
を備え、
前記開閉機構は、
前記貯留部に接続され、前記貯留部からの前記材料の排出、および、前記貯留部への気体の供給の両方に用いられる筒部と、
前記開状態にあるときに、前記筒部内に進出し、前記閉状態にあるときに、前記筒部内から退避する弁体とを備え、
前記弁体には、前記材料の通過を規制するとともに、前記気体の通過を許容する貫通穴が形成されていることを特徴とする、ホッパ。
【請求項2】
前記弁体は、前記閉状態にあるときに、材料の排出方向に沿う前記筒部の中心線と交差するように、前記排出方向上流側から前記排出方向下流側へ傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載のホッパ。
【請求項3】
前記開閉機構は、
前記弁体を進退可能に支持する支持部と、
前記支持部と前記弁体との間を密閉するシール部材と
を備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載のホッパ。
【請求項4】
前記筒部は、
前記弁体が進退される外筒と、
前記外筒内に設けられ、前記材料の排出に用いられる内筒と
を備え、
前記弁体は、前記開閉機構が閉状態にあるときに、前記外筒内に進出され、前記内筒からの材料の排出を規制するように、前記内筒に対して前記排出方向下流側から対向されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のホッパ。
【請求項5】
前記開閉機構は、径方向を貫通する第1通路と、前記第1通路が延びる方向と直交する方向に延び、前記第1通路から分岐する第2通路とが形成された回転体を備え、
前記第2通路には、前記材料の通過を規制するとともに、前記気体の通過を許容する貫通穴が形成される多孔板が設けられており、
前記回転体の回転により、
前記開状態にあるときに、前記第1通路が前記貯留部に接続され、
前記閉状態にあるときに、前記第2通路が前記貯留部に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のホッパ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のホッパと、
前記ホッパに気体を供給する気体供給手段と、
前記気体供給手段と前記ホッパとに接続され、前記ホッパに前記気体を供給する気体供給ラインと、
前記ホッパに接続され、前記ホッパから前記気体を排出する気体排出ラインとを備え、
前記ホッパは、
前記気体供給ラインに接続される第1接続部と、
前記気体排出ラインに接続される第2接続部とを備え、
前記第1接続部において、前記気体供給ラインに対して着脱自在、かつ、前記第2接続部において、前記気体排出ラインに対して着脱自在に設けられていることを特徴とする、乾燥システム。
【請求項7】
前記ホッパが前記気体供給ラインおよび前記気体排出ラインから離脱されたときには、前記第1接続部および前記第2接続部が密閉されることを特徴とする、請求項6に記載の乾燥システム。
【請求項8】
前記気体排出ラインは、前記ホッパから排出される気体を前記貯留部に接触させないように、前記ホッパから独立して形成されていることを特徴とする、請求項6または7に記載の乾燥システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−245851(P2011−245851A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92071(P2011−92071)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】