説明

ホッパー内粉流体整流ガイド

【課題】 本発明は、数種類の金属粉を混合し、これをホッパーに入れて、成形機に自動供給して焼結金属を造るラインに於いて、ホッパー内のラットホールの発生、紛体対流の発生を防止し、金属粉の偏析を防止し、金属粉の成分均一化と、金属粉の偏析皆無による材料歩留まり向上が課題である。
【解決手段】 ホッパー内に、円錐管とこれを逆さにした逆円錐管を円錐の底面で一体化させ、かつ、円錐管の内部は空洞とし、下部円錐管の斜面に数個の逆三角形の穴を明けた整流ガイドを設ける。この整流ガイドの下部円錐管には、紛体供給管の穴に挿入可とした、挿入管を一体化する。
上記から、紛体は上部円錐でホッパー壁面に向かって、放射状に流れ、かつ、下部円錐管の穴から下部円錐管の空洞部に流れ込み、ラットホールの発生と対流を防止し、紛体の偏析を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多種類の混合金属粉末を成形、焼成して造る焼結金属製造ラインに於いて、ホッパー内の混合金属粉末の混合比率を最後まで均一に保つ、ホッパー内粉流体整流ガイドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉流体をホッパーで下部装置に供給するラインに於いて、ホッパーの内壁に粉流体が残留しないホッパーのテーパー部安息角が重要な因子である。一方、混合された多種類の金属粉を成形して造る焼結金属生産ラインにおいては、ホッパーから下方の成形機に供給される混合粉体の各金属の混合比が均一である事が重要である。
現状は、粉をホッパーに入れ、下部機械に重力で粉を供給すると、粉の中心にラットホールが出来、かつ、ホッパー内壁とラットホールの間に対流が起きる。この結果、粉体が少なくなると、鉄分が下方に、カーボンがその上に、銅箔の微粒子が最上部に堆積し、粉の偏析が起きて粉体は、使用不可となる。即ち、歩留まりが悪い。
先行技術として、ホッパー下部の粉体混合比を確保すべく、機械的に粉を攪拌する装置が特許文献1に見られる。しかし、これでは、粉の粒径が細かくなり、所期の目的の焼結金属が出来ない。また、粉のラットホールを防止すべく、ホッパー中心にプロペラ軸を設け、これを強制的に回す方式が特許文献2に見られる。しかし、これも、粉の粒径を損傷する事から、焼結金属には適用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開2011−121776
【特許文献2】特許公開2007−91242
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホッパー内の多種類の混合金属粉体混合比率を常時均一とし、全ての混合粉体を使用出来るようにするため、ホッパー内に如何なる機構を設けるべきかが、解決すべき課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
粉体の混合比率が変化する原因を図1、図2、図3で説明する。図1はホッパー1に粉体2を充填した状態、1aはホッパー1のテーパー部、θは安息角、1bは粉体供給口である。図2は仕切り板1cを開け、粉体が下方に落下している状態を示す。この時、粉体3の中心部に3のラットホールが発生する。この状態を続けると、ラットホールとホッパー内壁の間に放射状の対流3aが発生する。図3は図2の状態を続けた際の粉体の成分分離状態を示す。即ち、ホッパーテーパー部にAの如く、鉄分部3a,カーボン部3b、銅箔部3cの堆積部が生じる。この堆積部は粉の混合比率が均一でない為、使用できず、廃棄せざるを得ない。
本発明の目的は、このラットホールの発生と対流現象を無くし、粉体の混合比を最後まで均一とし、全ての粉体が最後まで使用でき、歩留まり100%を実現するものである。
【0006】
上記を達成するためには、粉体の落下を粉体中心から行うのではなく、ホッパー壁面から、即ち粉体の側面から落下させれば良い。これは、実験結果から言えることである。
次に、本発明の詳細を図4、図5で説明する。
【0007】
初めに構造を説明する。4が本発明のホッパー内紛流体整流ガイドである。
4の上部は円錐形状を成し、粉体2をホッパー1のテーパー部1aに流すガイドである。4bは4aとは逆に、円錐を逆さにし、上部を円錐4aと接続、下部を粉体供給管1bに挿入する管4dで形成する。一方、円錐の中は空洞で、下部逆円錐の側面に4cの粉体侵入穴を設ける。この穴は、図5に示す如く、円錐4b斜面に設け、数個の逆三角形形状の穴とする。
この構造から、粉体2は、整流ガイド4で、上部aからホッパー1の斜面1aをガイドにして、b方向に流れ、下部逆円錐の穴4cを通り、cからの粉体は挿入管4dを通り、供給管1bに流される。即ち、a−b−c−dの経路で、粉体がホッパーから供給管に流入する。
【0008】
類似構造を図6、図7に示す。図6は上下円錐を多角錐とした例で、円錐と同様の効果が発揮できる。また、図7は、上部が楕円錐で、下部を逆円錐とした例である。
【0009】
更に、図8、図9に整流ガイドのホッパー内取付け構造の他の実施例を示す。
図8は、整流ガイドをホッパー内上部ステーで吊下げた例、図9は、ホッパーの長さが長い時、ホッパー内に、粉流体整流ガイドを多段に設ける他の実施例を示す。
【発明の効果】
【0010】
以上記載の如く請求項1の発明によれば、紛体2は紛体供給管1bに落ちる際、上部円錐により、紛体中心からホッパー内壁方向に放射状に自動仕分けされる。この紛体は、ホッパー1の斜面1aから、逆円錐の穴4cを通り、逆円錐4bの空洞部に流れ込み、下部穴4dを通って紛体供給管1bに落ちる。従って、従来のように、ラットホールの発生が無くなり、紛体の対流もなく、紛体成分の偏析も防止できる。これにより、更なる効果として、材料の歩留まりが向上する。
また、整流ガイドをホッパーに取り付ける際、挿入ガイド4dがあるため、容易である。
【0011】
特許請求項2の発明によれば、円錐に代えて多角錐5a,5bにしても、円錐4a,4bと同様の効果を発揮させる事が出来る。
【0012】
特許請求項3の発明によれば、上部円錐4aを楕円錐6aに代えても、円錐4aと同様の効果を発揮させる事が出来る。
【0013】
特許請求項4の発明によれば、粉流体整流ガイド4をホッパー1内上部のステー7aで、ロッド7bで吊下げても、同様の効果が発揮される。但し、この時は、粉流体整流ガイドの下端をホッパー1の出口7cに接触させ、位置決めをすればよい。尚、吊下げ方式では、粉流体供給管4dが省略できる。
【0014】
ホッパーが著しく長い時は、整流ガイド1つでは、ラットホール発生が防げない為、多段に整流ガイド41,42を設ける。即ち、粉流体の流れは、a−b−c−dの流れを繰返し、粉流体成分の材料偏析が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の粉体供給ホッパーの一例を示す断面図である。
【図2】従来ホッパー内の粉体落下断面図である。
【図3】従来ホッパーで発生する粉体成分不均一化による使用不可粉体断面図である。
【図4】本発明を説明する概念図である。
【図5】本発明を説明する図4のB−B断面である。
【図6】本発明の他の実施例を示す全景図である。
【図7】本発明の他の実施例を示す全景図である。
【図8】整流ガイドの他の取付け構造説明図である。
【図9】整流ガイドの多段取付け例説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ホッパー内の粉流体を下部に供給する装置において、円錐の頂点で、粉流体を自動的に放射状に分散させ、粉流体の自然落下を、ホッパー内壁に沿って行わせる事ができる。また、内部空洞の円錐を逆さにした下部円錐の斜面に数個の穴を設ければ、粉流体はこの穴を通過し、自動的に粉流体供給管に落下させる事ができる。
【実施例1】
【0017】
図4は、本発明を説明する概念図である。4a,4bは本発明の基本部で、中央が底面となる円錐4a,4bである。また、内部を空洞とし、下の斜面4bには数個の逆三角形の穴4cを設ける。下部逆円錐の下端に挿入管4dを設けてある。
【0018】
この結果、紛体2は紛体供給管1bに落ちる際、上部円錐により、紛体中心からホッパー内壁方向に放射状に自動仕分けされる。この紛体は、ホッパー1の斜面1aから、逆円錐の穴4cを通り、逆円錐4bの空洞部に流れ込み、下部穴4dを通って紛体供給管1bに落ちる。
従って、従来のように、ラットホールの発生が無くなり、紛体の対流もなく、紛体成分の偏析も防止できる。これにより、更なる効果として、材料の歩留まりが向上する。
また、整流ガイドをホッパーに取り付ける際、挿入ガイド4dがあるため、容易である。
【実施例2】
【0019】
図6は、他の実施例の説明図である。
これは、上記円錐4a、逆円錐4bの代わりに、多角錐5a、逆多角錐5bを使用した例である。
これも、円錐、逆円錐の組合せと同様の効果を発揮させる事が出来る。
【実施例3】
【0020】
図7は、その他の実施例説明図である。
これは、上記の上部円錐4aを楕円錐6aとし,下部は上記と同じく逆円錐6bとした例で、これも、円錐、逆円錐の組合せと同様の効果を発揮させる事が出来る。
【実施例4】
【0021】
図8は、整流ガイド4をホッパー1のステー7aからロッド7bで吊るした例で、これも、整流ガイド4の下部挿入管1bを省略した例として、同様の効果を発揮する。
【実施例5】
【0022】
図9は、ホッパーが著しく長い時に使用する例である。ホッパーが長いと、下部での整流は出来るが、上部にラットホールが発生する。このラットホールも粉流体の成分偏析を起こすもので、防がなければならない。これは、整流ガイドを図9の如く多段に配置する事により、ラットホールの発生を防止できる。即ち、粉流体は、上部から、a−b−c−dの流れを繰返し落下する為、粉流体成分の偏析が食い止められるものと考えられる。
【符号の説明】
【0023】
1:ホッパー 1a:ホッパー斜面 1b:供給管 2:紛体 3:ラットホール
A:材料偏析部 3a:鉄分 3b:カーボン部 3c:銅箔部 4:粉流体整流ガイド
4a:円錐 4b:逆円錐 4c:穴 4d:挿入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部円錐、下部逆円錐、かつ内部空洞の2つの管を一体化し、下部逆円錐の斜面に数個の逆三角状の穴を設け、更に下部逆円錐の下端に粉体供給管を設けたことを特徴とする、ホッパー内粉流体整流ガイド。
【請求項2】
上部多角錐、下部逆多角錐、かつ内部空洞の2つの管を一体化し、下部逆多角錐の斜面に数個の逆三角形状の穴を開け、更に下部逆多角錐の下端に粉体供給管を設けたことを特徴とする、ホッパー内粉流体整流ガイド。
【請求項3】
上部楕円錐、下部逆円錐、かつ内部空洞の2つの管を一体化し、下部逆円錐の斜面に数個の逆三形状の穴を設け、更に下部逆円錐の下端に粉体供給管を設けたことを特徴とする、ホッパー内粉流体整流ガイド。
【請求項4】
整流ガイド上部の円錐をホッパー上部に渡したステーで上部から吊り下げる事を特徴とる、ホッパー内粉流体整流ガイド。
【請求項5】
長い粉流体ホッパーにおいて、ホッパー内に多段に整流ガイドを設けることを特徴とする、ホッパー内粉流体整流ガイド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate