説明

ホメオトロピック配向制御された液晶フィルム

【課題】従来の方法では、ホメオトロピック配向の均一性および安定性は不十分であり、さらに重合性液晶を塗工する際にも、ハジキや、ピンホール等の塗工不良があった。本発明は、このような問題を生じさせることなく、ガラスや光学用プラスチックフィルム等の支持基材上に均一かつ安定に形成されたホメオトロピック配向液晶フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】環状エーテル基と非重合性の極性基とを有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を用いて、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体から得られる配向制御膜を有する支持基材上に形成されるホメオトロピック配向液晶フィルム。環状エーテル基の例はオキシラニルおよびオキセタニルである。非重合性の極性基の好ましい例は、−Cl、−CN、−OCFおよび−OCFHである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホメオトロピック配向液晶フィルムに関する。更に、このフィルムを用いた光学素子および液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光重合性の液晶を用いた偏光板や位相差板のような光学素子へのその応用が提案されている。これらの光学素子は、光学異方性を有する重合性液晶を液晶状態で重合し固定化することによって得られる。重合性液晶は、液晶状態において適切な配向制御を行った後、その配向状態を保持したまま重合させることができる。従って、液晶骨格の配向ベクトルをホモジニアス配向、チルト配向、ホメオトロピック配向またはツイスト配向等の配向状態で固定化することにより、種々の光学異方性を有する重合体を得ることができる。以下において、上記の配向状態を示すことを、簡略化して「ホモジニアス配向を有する」、「チルト配向を有する」、「ホメオトロピック配向を有する」または「ツイスト配向を有する」と記すことがある。
【0003】
特に、ホメオトロピック配向を有する重合体は、光軸の方向がn方向にあり、光軸方向の屈折率がその直交する方向の屈折率より大きいもので、屈折率楕円体では、ポジティブC−プレートに分類される。このポジティブC−プレートは水平配向した液晶モード、いわゆるIPSモード等の光学補償、例えば偏光板の視野角特性改善用に他の光学機能を有するフィルムと組み合わせて応用することができる。しかし、均一で、かつ安定なホメオトロピック配向の形成は、技術的に困難であった。例えば、長鎖アルキル基を有する界面活性剤、カップリング剤や金属錯体をガラス等の支持基材に塗布する方法がある(非特許文献1参照)。しかしながら、ホメオトロピック配向の均一性および安定性は不十分であり、さらに重合性液晶を塗工する際にも、ハジキや、ピンホール等の塗工不良があった。VA(垂直配向)型液晶表示素子に用いられるポリイミド系重合体をガラス等の支持基材に塗工し、さらに200℃程度の温度で焼成(イミド化を進行させる)すると、その膜上に重合性液晶が塗工できない問題もあった。さらに、支持基材として光学用プラスチックフィルム(例えば、TAC(トリアセチルセルロース))、ノルボルネン類の重合体等のフィルム)を選択した場合には、上記の焼成温度条件では耐熱性の観点から使用できないとか、あるいはポリイミド系高分子を溶解させるのに用いる溶剤に対する耐性が低く、使用に制限があるといった問題もあった。
【非特許文献1】季刊 化学総説 No.22 液晶の化学 日本化学会編 p.99〜100(1994)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記のような問題を生じさせることなく、ガラスや光学用プラスチックフィルム等の支持基材上に均一かつ安定に形成されたホメオトロピック配向液晶フィルムを提供することである。更に、このフィルムを用いた光学補償フィルムを提供することである。また、この光学補償フィルムを含む液晶表示装置、有機EL表示装置、PDPなどの画像表示装置を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記の課題を解決するため鋭意検討した結果、分子中にアミノ基を有する水溶性のシルセスキオキサン誘導体を用いて配向制御膜を形成させ、この配向制御膜上に環状エーテル基と非重合性の極性基とを有する重合性液晶化合物を含有する組成物を塗布し、これを重合することが上記の問題点を解決するために有効であることを知った。すなわち、支持基材としてのガラスは勿論、光学用プラスチックフィルムの耐熱温度以下で配向制御膜を形成することが可能であり、その配向制御膜上に重合性液晶組成物を塗布できる。本発明は下記の構成を有する。
【0006】
[1]環状エーテル基と非重合性の極性基とを有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を用いて、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体から得られる配向制御膜を有する支持基材上に形成されるホメオトロピック配向液晶フィルム。
【0007】
[2]環状エーテル基がオキシラニルまたはオキセタニルであり;非重合性の極性基が−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHCOR、−COOH、−COOR、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−SOR、−NHまたは−NRであり、そしてこれらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルである、[1]項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【0008】
[3]環状エーテル基がオキシラニルまたはオキセタニルであり;非重合性の極性基が−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHまたは−NRであって、これらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有する基と3つの加水分解性基とを有するケイ素化合物の部分加水分解物である、[1]項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【0009】
[4]環状エーテル基がオキシラニルまたはオキセタニルであり;非重合性の極性基が−Cl、−CN、−OCFまたは−OCFHであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有するトリアルコキシシランの部分加水分解物である、[1]項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【0010】
[5]式(I)で示される重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を用いて、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体から得られる配向制御膜を有する支持基材上に形成されるホメオトロピック配向液晶フィルム:


ここに、Pは重合性の環状エーテル基であり;
Spは1〜20個の炭素原子を有するアルキレンであって、炭素原子数が2以上であるときにはこのアルキレン中の隣接しない任意の−CH−は−O−、−OCO−または−COO−で置き換えられてもよく;
Gは単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−CHO−、または−OCF−(CH−であり;
Xは非重合性の極性基であり;
そして、MGは式(II)で示されるメソゲン骨格である:



ここに、T、TおよびTは独立して、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであり;この1,4−フェニレンにおいては、任意の−CH=が−N=で置き換えられてもよく;この1,4−シクロヘキシレンにおいては、任意の−CH−が−O−または/および−S−で置き換えられてもよく、そして隣り合わない2つの炭素が架橋されてもよく;ここに挙げたすべての環において、任意の水素はハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−NO2、または1〜7個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよく;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
およびGは独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−(CHO−、−O(CH−、−CF=CF−、−CFCF2−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−N=N−、アゾキシ基(−N(O)=N−)、−CH=N−、−N=CH−、−O−(CH−OCO−、−COO−(CH−O−、−CH=CH−CONH−、−CONH−CH=CH−、−CONH−または−NHCO−であって、これらの基におけるkは1〜20の整数であり;
そして、fは0〜3の整数であり;fが2または3であるとき、複数のTは同じ基であってもよく異なる基であってもよく、そして複数のGも同じ基であってもよく異なる基であってもよい。
【0011】
[6]Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHまたは−NRであって、これらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルであり;Spが1〜20個の炭素原子を有するアルキレンであって、炭素原子数が2以上であるときにはこのアルキレン中の隣接しない任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Gが単結合、−O−、−COO−または−OCO−であり;支持基材がガラスまたはプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有する基と3つの加水分解性基とを有するケイ素化合物の部分加水分解物である、[5]項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【0012】
[7]Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHまたは−NRであって、これらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルであり;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mが2〜8の整数であり;Gが単結合または−O−であり;T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよく;GおよびGが独立して単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−であり;支持基材がガラスまたはプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有する基と3つの加水分解性基とを有するケイ素化合物の部分加水分解物である、[5]項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【0013】
[8]Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHまたは−NRであって、これらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルであり;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mが2〜8の整数であり;Gが単結合または−O−であり;T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよく;GおよびGが独立して単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−であり;支持基材がガラスまたはプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有するトリアルコキシシランの部分加水分解物である、[5]項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【0014】
[9]Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCFまたは−OCFHであり;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mが2〜8の整数であり;Gが単結合または−O−であり;T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよく;GおよびGが独立して単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−であり;支持基材がポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース、トリアセチルセルロース、トリアセチルセルロースの部分鹸化物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、またはノルボルネン樹脂から得られるプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体が式(IV)で示される構成単位を有するポリシルセスキオキサンであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有するトリアルコキシシランの部分加水分解物である、[5]項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【0015】
[10]重合性液晶組成物が式(I)で示される重合性液晶化合物とその他の重合性液晶化合物を含有するとき、これらの重合性液晶化合物の合計量の割合が重合性液晶組成物全量を基準として60〜100重量%であり、式(I)で示される重合性液晶化合物の割合が重合性液晶化合物全量を基準として5〜99重量%である、[5]〜[9]のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【0016】
[11]重合性液晶組成物中の重合性化合物が式(I)で示される重合性液晶化合物のみからなる、[5]〜[9]のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【0017】
[12]式(I)で示される重合性液晶化合物および式(III)で示される重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を用いて、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体から得られる配向制御膜を有する支持基材上に形成されるホメオトロピック配向液晶フィルム:


ここに、Pは重合性の環状エーテル基であり;
Spは1〜20個の炭素原子を有するアルキレンであって、炭素原子数が2以上であるときにはこのアルキレン中の隣接しない任意の−CH−は−O−、−OCO−または−COO−で置き換えられてもよく;
Gは単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−であり;
Xは非重合性の極性基であり;
そして、MGは式(II)で示されるメソゲン骨格である:



ここに、T、TおよびTは独立して、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであり;この1,4−フェニレンにおいては、任意の−CH=が−N=で置き換えられてもよく;この1,4−シクロヘキシレンにおいては、任意の−CH−が−O−または/および−S−で置き換えられてもよく、そして隣り合わない2つの炭素が架橋されてもよく;ここに挙げたすべての環において、任意の水素はハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−NO2、または1〜7個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよく;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
およびGは独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−(CHO−、−O(CH−、−CF=CF−、−CFCF2−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−N=N−、アゾキシ基(−N(O)=N−)、−CH=N−、−N=CH−、−O−(CH−OCO−、−COO−(CH−O−、−CH=CH−CONH−、−CONH−CH=CH−、−CONH−または−NHCO−であって、これらの基におけるkは1〜20の整数であり;
そして、fは0〜3の整数であり;fが2または3であるとき、複数のTは同じ基であっても異なる基であってもよく、そして複数のGも同じ基であっても異なる基であってもよい:


ここに、P、Sp、GおよびMGは式(I)におけるこれらの記号と同様に定義される基であり、それぞれ式(I)における場合と同じ基であってもよく、異なる基であってもよく;Wは水素、1〜25個の炭素原子を有するアルキル、2〜12個の炭素原子を有するアルケニル、フッ素、または式(−G−Sp−P)で示される基であり;これらのアルキルおよびアルケニルにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−S−CO−、−CO−S−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0018】
[13]Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHまたは−NRであって、これらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルであり;Spが1〜20個の炭素原子を有するアルキレンであって、炭素原子数が2以上であるときにはこのアルキレン中の隣接しない任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Gが単結合、−O−、−COO−または−OCO−であり;支持基材がガラスまたはプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有する基と3つの加水分解性基とを有するケイ素化合物の部分加水分解物である、[12]項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【0019】
[14]Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHまたは−NRであって、これらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルであり;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mが2〜8の整数であり;Gが単結合または−O−であり;T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであって、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよく;GおよびGが独立して単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−であり;Wが1〜12個の炭素原子を有するアルキル、1〜12個の炭素原子を有するアルキルオキシ、2〜10個の炭素原子を有するアルケニル、2〜10個の炭素原子を有するアルケニルオキシ、フッ素、または式(−G−Sp−P)で示される基であり;この式(−G−Sp−P)において、Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり、Gが単結合または−O−であり、そしてSpが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、nが2〜8の整数であり;支持基材がガラスまたはプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有する基と3つの加水分解性基とを有するケイ素化合物の部分加水分解物である、[12]項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【0020】
[15]Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHまたは−NRであって、これらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルであり;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mが2〜8の整数であり;Gが単結合または−O−であり;T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであって、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよく;GおよびGが独立して単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−であり;Wが1〜12個の炭素原子を有するアルキル、1〜12個の炭素原子を有するアルキルオキシ、2〜10個の炭素原子を有するアルケニル、2〜10個の炭素原子を有するアルケニルオキシ、フッ素、または式(−G−Sp−P)で示される基であり;この式(−G−Sp−P)において、Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり、Gが単結合または−O−であり、そしてSpが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、nが2〜8の整数であり;支持基材がガラスまたはプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有するトリアルコキシシランの部分加水分解物である、[12]項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【0021】
[16]Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCFまたは−OCFHであり;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mが2〜8の整数であり;Gが単結合または−O−であり;T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよく;GおよびGが独立して単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−であり;Wが1〜12個の炭素原子を有するアルキル、1〜12個の炭素原子を有するアルキルオキシ、2〜10個の炭素原子を有するアルケニル、2〜10個の炭素原子を有するアルケニルオキシ、フッ素、または式(−G−Sp−P)で示される基であり;この式(−G−Sp−P)において、Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり、Gが単結合または−O−であり、そしてSpが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、nが2〜8の整数であり;支持基材がポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース、トリアセチルセルロース、トリアセチルセルロースの部分鹸化物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂またはノルボルネン樹脂から得られるプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有するトリアルコキシシランの部分加水分解物である、[12]項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【0022】
[17]重合性液晶組成物が式(I)で示される重合性液晶化合物とその他の重合性液晶化合物を含有するとき、これらの重合性液晶化合物の合計量の割合が重合性液晶組成物全量を基準として60〜100重量%であり、この重合性液晶化合物の合計量を基準として、式(I)で示される重合性液晶化合物の割合が5〜99重量%であり、そして式(III)で示される重合性液晶化合物の割合が95〜1重量%である、[12]〜[16]のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【0023】
[18]アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体を用いて支持基材上に配向制御膜を形成させ、この配向制御膜上に環状エーテル基と非重合性の極性基とを有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を塗布し、そしてこの液晶性組成物を液晶状態においてホメオトロピック配向とすることを特徴とする配向制御方法。
【0024】
[19]アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体を支持基材に塗布し、これを80〜150℃の温度で焼成して配向制御膜を形成させることを特徴とする、[18]項に記載の配向制御方法。
【0025】
[20]アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体を用いて支持基材上に配向制御膜を形成させ、この配向制御膜上に環状エーテル基と非重合性の極性基とを有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を塗布し、この重合性液晶性組成物を液晶状態においてホメオトロピック配向とし、そしてこの配向を維持した状態で重合性液晶性組成物を重合させることを特徴とするホメオトロピック配向液晶フィルムの製造方法。
【0026】
[21]アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体を用いて支持基材上に配向制御膜を形成させ、この配向制御膜上に環状エーテル基と非重合性の極性基とを有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を塗布し、この重合性液晶組成物を重合させることによってホメオトロピック配向状態を形成させることを特徴とするホメオトロピック配向液晶フィルムの製造方法。
【0027】
[22][5]〜[11]のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルムを有する光学補償素子。
【0028】
[23][12]〜[17]のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルムを有する光学補償素子。
【0029】
[24][5]〜[11]のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルムと偏光板とを有する光学素子。
【0030】
[25][12]〜[17]のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルムと偏光板とを有する光学素子。
【0031】
[26][22]項に記載の光学補償素子を液晶セルの内面または外面に有する液晶表示装置。
【0032】
[27][23]項に記載の光学補償素子を液晶セルの内面または外面に有する液晶表示装置。
【0033】
[28][24]項に記載の光学素子を液晶セルの外面に有する液晶表示装置。
【0034】
[29][25]項に記載の光学素子を液晶セルの外面に有する液晶表示装置。
【発明の効果】
【0035】
本発明により、均一で安定なホメオトロピック配向液晶フィルムが提供される。そして、この液晶フィルムはラビング等の表面処理が行われていない配向制御膜上にも適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明で用いる用語について説明する。液晶骨格の配向ベクトルが支持基材平面と成す角度を「チルト角」とする。チルト角が一方の界面から他方の界面にかけて一様にゼロに近く、特に0〜5°である配向状態を「ホモジニアス配向」と称する。ここで、界面は、配向層を備えた支持基材界面または自由界面である。チルト角が一方の界面から他方の界面にかけて5〜85°の範囲で一定、または0〜90°の範囲で連続的に変化する配向状態を「チルト配向」と称する。チルト角が一方の界面から他方の界面にかけて一様に85〜90°である配向状態を「ホメオトロピック配向」と称する。
【0037】
「液晶性」の意味は、液晶相を有することだけに限定されない。それ自体は液晶相を持たなくても、他の液晶化合物と混合したときに、液晶組成物の成分として使用できる特性も、「液晶性」の意味に含まれる。「任意の」は、位置だけでなく個数についても任意であることを示すが、個数が0である場合を含まない。そして、例えば、アルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいと表現するときには、複数の−CH−がそれぞれ異なる基で置き換えられてもよい。このような場合の例は、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルケニルオキシアルキルなどである。なお、本発明においては、連続する2つの−CH−が−O−または−S−で置き換えられて、−O−O−、−O−S−または−S−S−になることは好ましくない。アクリレートおよびメタクリレートの総称として、「(メタ)アクリレート」を用いることがある。特に断らずにアルキルまたはアルキレンと記述するときは、直鎖アルキルと分岐アルキルの両方を含むアルキルまたはアルキレンを意味する。例えば、ブチルはn−ブチル、2−メチルプロピルおよび1,1−ジメチルエチルのいずれであってもよい。ハロゲンは、フッ素、塩素または臭素を意味する。アルケニルまたはアルケニレンと記述するときは、直鎖アルケニルと分岐アルケニルの両方を含むアルケニルまたはアルケニレンを意味する。シクロアルキルおよびシクロアルケニルには、通常の環状基の他、架橋構造の環状基も含まれる。
【0038】
本発明で用いる重合性液晶組成物は、環状エーテル基と非重合性の極性基とを有する重合性液晶化合物を必須成分として含有する。環状エーテル基の好ましい例はオキシラニルおよびオキセタニルである。本発明におけるオキセタニルは、オキセタン−3−イルおよびオキセタン−2−イルの総称として用いられるが、どちらかと言えば、オキセタン−3−イルの方が好ましい。非重合性の極性基の好ましい例は、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHCOR、−COOH、−COOR、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−SOR、−NHおよび−NRである。これらの基において、Rは1〜20個の炭素原子を有するアルキルである。そして、非重合性の極性基のより好ましい例は−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−Cl、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHおよび−NRであり、特に好ましい例は−CN、−OCFおよび−OCFHである。
【0039】
環状エーテル基と非重合性の極性基とを有する重合性液晶化合物の好ましい例は式(I)で示される化合物である。


式(I)におけるPは重合性の環状エーテル基であり、その好ましい例はオキシラニルおよびオキセタニルである。
【0040】
式(I)におけるSpは1〜20個の炭素原子を有するアルキレンである。この炭素原子数が2以上であるときには、このアルキレン中の隣接しない−CH−は−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよい。Spの好ましい例は、1〜20個の炭素原子を有するアルキレン、1〜19個の炭素原子を有するオキシアルキレン、および2〜19個の炭素原子を有するアルコキシアルキレンである。Spのより好ましい例は−(CH−および−CH−O−(CH−であり、このときmは2〜8の整数である。より好ましいmは2〜6の整数である。
【0041】
式(I)におけるGは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−SO−O−、−O−SO−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−CHO−、または−OCF−(CH−である。Gの好ましい例は単結合、−O−、−COO−、−OCO−であり、特に好ましい例は単結合および−O−である。
【0042】
式(I)におけるXは非重合性の極性基である。Xの好ましい例は−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHCOR、−COOH、−COOR、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−SOR、−NHまたは−NRであり、そしてこれらの基におけるRは1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルである。Xのより好ましい例は−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHおよび−NRである。そして、Xの特に好ましい例は−CN、−OCFおよび−OCFHである。
【0043】
式(I)におけるMGは式(II)で示されるメソゲン骨格である。


式(II)におけるT、TおよびTは独立して、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルである。この1,4−フェニレンにおいては、任意の−CH=が−N=で置き換えられてもよい。このような基の例はピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルおよびピリダジン−3,6−ジイルである。この1,4−シクロヘキシレンにおいては、任意の−CH−が−O−または/および−S−で置き換えられてもよく、そして隣り合わない2つの炭素が架橋されてもよい。このような基の例は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン−2,5−ジイルおよびノルボルナン−2,5−ジイルである。そして、上記の定義によるすべての環状基において、任意の水素はハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−NO2、または1〜7個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよい。このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0044】
、TまたはTの好ましい例は1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルおよびフルオレン−2,7−ジイルであり、より好ましい例は1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、ナフタレン−2,6−ジイルおよびフルオレン−2,7−ジイルである。そして、これらの環状基における任意の水素は、フッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよい。このアルキルの好ましい例はメチルである。
【0045】
式(II)におけるGおよびGは独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−(CHO−、−O(CH−、−CF=CF−、−CFCF2−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−N=N−、アゾキシ基(−N(O)=N−)、−CH=N−、−N=CH−、−O−(CH−OCO−、−COO−(CH−O−、−CH=CH−CONH−、−CONH−CH=CH−、−CONH−または−NHCO−であり、nは1〜20の整数である。そして、GまたはGの好ましい例は、単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−および−OCO−CH=CH−である。
【0046】
そして、式(II)におけるfは0〜3の整数である。fが2または3であるとき、複数のTは同じ基であってもよく異なる基であってもよく、そして複数のGも同じ基であってもよく異なる基であってもよい。
【0047】
以下の説明においては、式(I)で表される重合性液晶化合物を化合物(I)と称することがある。他の式で表される化合物についても同様に簡略化して称することがある。本発明で用いる好ましい化合物(I)は、式(I)における記号がそれぞれ次のように定義される化合物である。Pがオキシラニルまたはオキセタニルである;Xが−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHまたは−NRであって、これらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルである;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mが2〜8の整数である;Gが単結合または−O−である;T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであって、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよい;GおよびGが独立して単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−である。
【0048】
より好ましい化合物(I)は、式(I)における記号がそれぞれ次のように定義される化合物である。Pがオキシラニルまたはオキセタニルである;Xが−Cl、−CN、−OCFまたは−OCFHである;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mが2〜6の整数である;Gが単結合または−O−である;T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよい;そして、GおよびGが独立して単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−である。
【0049】
以下に、化合物(I)の具体例を式(1−1−1)〜式(1−1−138)、および式(2−1−1)〜式(2−1−139)で示す。これらの式において、mは1〜19の整数であり、Rはメチルまたはエチルであり、そしてRは1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルである。
【0050】


【0051】


【0052】



【0053】



【0054】



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【0072】


【0073】


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【0075】



【0076】


【0077】
上記の化合物のうち好ましい化合物は、式(1−1−1)〜式(1−1−10)、式(1−1−17)〜式(1−1−26)、式(1−1−33)〜式(1−1−39)、式(1−1−45)〜式(1−1−52)、式(1−1−56)〜式(1−1−78)、式(1−1−82)〜式(1−1−87)および式(1−1−102)〜式(1−1−138)のそれぞれで示される化合物である。そして、これらの式においてmが2〜8の整数である化合物がより好ましく、mが2〜6の整数である化合物が特に好ましい。
【0078】


【0079】


【0080】


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【0101】


【0102】



【0103】


【0104】



【0105】


【0106】


【0107】
上記の化合物のうち好ましい化合物は、式(2−1−1)〜式(2−1−10)、式(2−1−17)〜式(2−1−26)、式(2−1−33)〜式(2−1−39)、式(2−1−45)〜式(2−1−52)、式(2−1−56)〜式(2−1−78)、式(2−1−82)〜式(2−1−87)および式(2−1−102)〜式(2−1−139)のそれぞれで示される化合物である。そして、これらの式においてmが2〜8の整数である化合物がより好ましく、mが2〜6の整数である化合物が特に好ましい。
【0108】
化合物(I)は1つだけを選んで単独で用いてもよいし、2つ以上を選んで組み合わせて用いてもよい。
【0109】
本発明で用いる重合性液晶組成物は、化合物(I)に加えてこれ以外の重合性液晶化合物を含有することができる。化合物(I)以外の重合性液晶化合物の好ましい例は式(III)で示される化合物である。


式(III)におけるP、Sp、GおよびMGは式(I)におけるこれらの記号と同様に定義される基であり、それぞれの好ましい例も同じである。そして、Wは水素、1〜25個の炭素原子を有するアルキル、2〜12個の炭素原子を有するアルケニル、フッ素、または式(−G−Sp−P)で示される基である。これらのアルキルおよびアルケニルにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0110】
式(III)におけるWの好ましい例は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、1〜12個の炭素原子を有するアルキルオキシ、2〜10個の炭素原子を有するアルケニル、2〜10個の炭素原子を有するアルケニルオキシ、フッ素、または式(−G−Sp−P)で示される基である。この式(−G−Sp−P)において、Pはオキシラニルまたはオキセタニルであり、Gは単結合または−O−であり、そしてSpは−(CH−または−CH−O−(CH−であって、nは2〜8の整数である。
【0111】
Wのより好ましい例は、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、1〜8個の炭素原子を有するアルキルオキシ、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルオキシ、フッ素、または式(−G−Sp−P)で示される基である。このとき、Pはオキシラニルまたはオキセタニルであり、Gは単結合または−O−であり、そしてSpは−(CH−または−CH−O−(CH−であって、nは2〜6の整数である。
【0112】
本発明で用いる好ましい化合物(III)は、式(III)における記号がそれぞれ次のように定義される化合物である。Pがオキシラニルまたはオキセタニルである;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mは2〜8の整数である;Gが単結合または−O−である;MG即ち式(II)において、T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであって、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよい;GおよびGが独立して単結合、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−である;そして、Wが1〜12個の炭素原子を有するアルキル、1〜12個の炭素原子を有するアルキルオキシ、2〜10個の炭素原子を有するアルケニル、2〜10個の炭素原子を有するアルケニルオキシ、フッ素、または式(−G−Sp−P)で示される基である;この式(−G−Sp−P)において、Pはオキシラニルまたはオキセタニルであり、Gは単結合または−O−であり、そしてSpは−(CH−または−CH−O−(CH−であって、nは2〜8の整数である。
【0113】
より好ましい化合物(III)は、式(III)における記号がそれぞれ次のように定義される化合物である。Pがオキシラニルまたはオキセタニルである;Xが−Cl、−CN、−OCFまたは−OCFHである;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mが2〜6の整数である;Gが単結合または−O−である;T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよい;GおよびGが独立して単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−である;そして、Wが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、1〜8個の炭素原子を有するアルキルオキシ、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルオキシ、フッ素、または式(−G−Sp−P)で示される基である;この式(−G−Sp−P)において、Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり、Gが単結合または−O−であり、そしてSpが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、nが2〜6の整数である。
【0114】
以下に、化合物(III)の具体例のうち環状エーテル基を1つ有する化合物を、式(A−1−1)〜式(A−1−322)および式(B−1−1)〜式(B−1−322)で示す。なお、これらの化合物は、本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。下記の具体例中、mは1〜19の整数であり、Rはメチルまたはエチルであり、そしてRは炭素数1〜24のアルキル、または炭素数2〜11のアルケニルである。
【0115】


【0116】


【0117】


【0118】


【0119】


【0120】


【0121】


【0122】


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【0201】


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【0213】


【0214】


【0215】


【0216】


【0217】


【0218】


【0219】
上記化合物のうち好ましい化合物は、式(A−1−1)〜式(A−1−117)、式(A−1−134)〜式(A−1−322)、式(B−1−1)〜式(B−1−117)および式(B−1−134)〜式(B−1−322)のそれぞれで示される化合物である。そして、これらの式においてmが2〜8の整数である化合物がより好ましく、mが2〜6の整数である化合物が特に好ましい。
【0220】
次に、化合物(III)のうち環状エーテル基を2つ有する化合物の具体例を、式(A−2−1)〜式(A−2−238)、式(A−3−1)〜式(A−3−50)、式(B−2−1)〜式(B−2−238)および式(B−3−1)〜式(B−3−50)で示す。これらの化合物も本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。下記の具体例中、mおよびnは独立して1〜19の整数であり、qは1〜20の整数であり、Rは独立してメチルまたはエチルである。
【0221】


【0222】


【0223】


【0224】


【0225】


【0226】


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【0254】


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【0256】


【0257】


【0258】


【0259】


【0260】
上記の例のうち好ましい化合物は、式(A−2−1)〜式(A−2−39)、式(A−2−46)〜式(A−2−171)、式(A−2−175)〜式(A−2−238)、および式(A−3−1)〜式(A−3−50)のそれぞれで示される化合物である。そして、これらの式においてmが2〜8の整数である化合物がより好ましく、mが2〜6の整数である化合物が特に好ましい。
【0261】


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【0296】


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【0298】


【0299】


【0300】
上記の例のうち好ましい化合物は、式(B−2−1)〜式(B−2−27)、式(B−2−34)〜式(B−2−39)、式(B−2−46)〜式(B−2−171)、式(B−2−175)〜式(B−2−238)、および式(B−3−1)〜式(B−3−50)のそれぞれで示される化合物である。そして、これらの式においてmが2〜8の整数である化合物がより好ましく、mが2〜6の整数である化合物が特に好ましい。
【0301】
なお、上記の化合物(I)および化合物(III)の具体例のうちオキセタニルを有する化合物については、オキセタニルがオキセタン−3−イルである化合物のみを示した。オキセタニルがオキセタン−2−イルである化合物の例を知るには、上記の例においてオキセタン−3−イルをオキセタン−2−イルに置き換えればよい。
【0302】
上記の化合物は、有機合成化学における公知の手法を適宜組み合わせることにより合成することができる。出発物質に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、ホーベン−ワイル(Houben-Wyle, Methods of Organic Chemistry, Georg Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・シンセシーズ(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などに記載されている。
【0303】
重合性液晶化合物だけからなる組成物から得られる重合体は高分子量であり、大抵の場合、三次元構造を有し有機溶剤に不溶である。従って、分子量を測定することが困難である。
【0304】
重合性液晶組成物における重合性液晶化合物の割合は、この組成物全量を基準として60〜100重量%である。組成物の液晶性が保たれ、液晶層が層分離しないためには、この割合が60重量%以上であることが好ましい。そして、この組成物が化合物(I)と化合物(I)以外の重合性液晶化合物を含有するとき、化合物(I)の割合は重合性液晶化合物全量を基準として5〜99重量%である。この割合の好ましい範囲は5〜60重量%であり、より好ましい範囲は5〜50重量%である。更に好ましい範囲は5〜45重量%であり、最も好ましい範囲は10〜40重量%である。化合物(I)以外の重合性液晶化合物の好ましい例は、前述のように化合物(III)である。化合物(I)に加えて化合物(III)を用いるとき、化合物(III)の割合は、重合性液晶化合物全量を基準として95〜1重量%であり、より好ましい範囲は95〜40重量%である。更に好ましい範囲は95〜45重量%であり、最も好ましい範囲は90〜60重量%である。このような割合で化合物(I)および化合物(III)を含有する重合性液晶組成物を用いることにより、均一で安定なホメオトロピック配向液晶フィルムを形成させることができる。なお、化合物(I)および化合物(III)以外の重合性液晶化合物を用いることもできる。
【0305】
重合性液晶組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において液晶性を有しない重合性化合物を配合することができる。液晶性を有しない重合性化合物を配合するとき、その好ましい使用量は、重合性液晶化合物の構造やそれらの組成比などによって変動するが、通常は組成物全量を基準とする割合で0.1〜40重量%である。より好ましい範囲は0.1〜30重量であり、更に好ましい範囲は0.1〜20重量である。組成物の液晶性が保たれ、液晶層が層分離しないためには、この割合が40重量以下であることが好ましい。液晶性を有しない重合性化合物の例は、末端に重合性の環状エーテル基を有するエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂の例は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪酸系エポキシ樹脂、脂環式系エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂などである。
【0306】
本発明で用いる重合性液晶組成物には、付加成分として非重合性の液晶性化合物を添加することができる。この非重合性の液晶性化合物を含有する重合性液晶組成物の膜を重合すると、液晶性化合物が重合性液晶化合物の重合体に取り込まれた構成の膜が得られる。この膜は光学異方性膜であり、その光学特性は温度依存性を有する。この膜は、その光学特性の温度依存性が広い温度範囲で光学補償の条件を満たすのに有効であるため、広い温度範囲で液晶表示素子の表示特性を向上させることができる。非重合性の液晶性化合物の具体例は、液晶化合物データベースLiqCryst(LCI Publisher GmbH (Hamburg, Germany))に記載されている。なお、重合性液晶化合物だけからなる重合性液晶組成物の膜を重合して、未反応の重合性化合物が系内に残存した場合も上記の膜と同様な膜が得られる。
【0307】
上記の重合性液晶組成物は、これに重合開始剤を添加してから光照射により重合させる。なお、光照射時には、液晶相が維持される温度範囲内であれば、加熱操作を行ってもよい。本発明においては、通常の光カチオン重合開始剤を使用する。光カチオン重合開始剤の例は、ジアリールヨードニウム塩(以下DASと略す)、およびトリアリールスルホニウム塩(以下TASと略す)である。
【0308】
DASの例は、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムジフェニルヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロアセテート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、およびビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムジフェニルヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0309】
DASにチオキサントン、フェノチアジン、クロロチオキサントン、キサントン、アントラセン、ジフェニルアントラセン、ルブレンなどの光増感剤を添加することにより、光カチオン重合開始機能を高感度化することもできる。
【0310】
TASの例は、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフェニルスルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、および4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0311】
光カチオン重合開始剤の具体的な商品名として、UCCの製品のうちからサイラキューアーUVI−6990、サイラキュアーUVI−6974、サイラキュアーUVI−6992、旭電化(株)の製品からアデカオプトマーSP−150、SP−152、SP−170、SP−172、ローディアの製品からPHOTOINITIATOR2074、チバスペシャリティーの製品からイルガキュアー250、GEシリコンズの製品からUV−9380C、みどり化学の製品からDTS−102などを挙げることができる。
【0312】
本発明で用いる重合性液晶組成物は光カチオン重合開始剤と併用して通常の光ラジカル重合開始剤を添加してハイブリッド重合することもできる。光ラジカル重合開始剤の例は、チバ・スペシャリティー・ケミカル(株)の製品のうちから、ダロキュアー1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)、イルガキュアー184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、イルガキュアー651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、イルガキュアー500、イルガキュアー2959、イルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー1300、イルガキュアー819、イルガキュアー1700、イルガキュアー1800、イルガキュアー1850、ダロキュアー4265、イルガキュアー784などである。
【0313】
光ラジカル重合開始剤のその他の例は、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン混合物、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール混合物、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4−ジエチルキサントン/p−ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物、ベンゾフェノン/メチルトリエタノールアミン混合物などである。
【0314】
本発明では、Angew. Chem. Int. Ed, 2000, 39, 3425に開示された方法を参考にして、重合性液晶組成物を光による塩基増殖反応を利用して重合することもできる。光重合開始剤の好ましい添加量は、液晶組成物に対して、0.01〜10重量%である。より好ましくは、0.01〜5重量%である。
【0315】
重合性液晶組成物には、保存時の重合開始を防止するために重合防止剤を添加することができる。公知の重合防止剤のうちの好ましい例は、2,5−ジ(t−ブチル)ヒドロキシトルエン(BHT)、ハイドロキノン、メチルブルー、ジフェニルピクリン酸ヒドラジド(DPPH)、ベンゾチアジン、4−ニトロソジメチルアニリン(NIDI)、およびo−ヒドロキシベンゾフェノンである。
【0316】
重合性液晶組成物の保存性を向上させるために、酸素阻害剤を添加することもできる。組成物内で発生するラジカルは雰囲気中の酸素と反応しパーオキサイドラジカルを与え、重合性化合物との好ましくない反応が促進される。これを防ぐ目的で酸素阻害剤を添加することが好ましい。酸素阻害剤の例はリン酸エステル類である。
【0317】
本発明のホメオトロピック配向液晶フィルムは、配向制御膜を有する支持基材上に、上述の重合性液晶組成物を用いて形成させる。そしてこの配向制御膜は、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体から得られるものである。アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体の好ましい例は、アミノ基を有する基と3つの加水分解性基とを有するケイ素化合物の部分加水分解物である。加水分解性基の例は、ケイ素原子に直接結合するハロゲンおよびアルコキシである。加水分解性基の好ましい例はアルコキシである。即ち、このケイ素化合物の好ましい例はアミノ基を有するトリアルコキシシランである。このケイ素化合物を加水分解するとアルコ−ルが副生するので、これを除去しなければならない。従って、容易に除去できることを条件にすれば、炭素数の小さなアルコキシが好ましい。即ち、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシが好ましい。しかしながら、副成するアルコールの除去が可能である限り、アルコキシ基の炭素数についての制限はない。
【0318】
アミノ基を有するトリアルコキシシランを用いて水溶性シルセスキオキサン誘導体を得る方法の例は、国際公開パンフレット02/26749号に記載の方法である。即ち、アミノを有するトリアルコキシシラン1モルと、水1.5〜10モルとを反応させ、この反応において副生する揮発性有機成分を4重量%以下まで溜去することによってアミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体が得られる。この誘導体は、トリアルコキシシランの完全縮合体ではなく、遊離のシラノール基が残っているオリゴマーである。
【0319】
アミノ基を有するトリアルコキシシランの好ましい例は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、および3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランである。これらのケイ素化合物のうち、より好ましい例は3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、およびN−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0320】
アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体として、市販品を用いることができる。市販品の例は、チッソ(株)から販売されているSF330、MS3301、MS3302、MS3201、MS3202、WSA−7011、WSA−9911およびWSA−7021である。
【0321】
アミノ基を有するトリアルコキシシランを用いてアミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体を製造する際には、シルセスキオキサン構造の形成を阻害しない程度の量であれば、アミノ基を有するモノアルコキシシランを添加することができる。アミノ基を有するモノアルコキシシランの例は、3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、および3−アミノプロピルジメチルエトキシシランである。
【0322】
アミノ基を有するシルセスキオキサン誘導体として、式(IV)で示される構成単位を有するシルセスキオキサン誘導体を用いてもよい。以下の説明では、式(IV)で示される構成単位を有するシルセスキオキサン誘導体を化合物(IV)と称することがある。


【0323】
式(IV)における記号は次のように定義される。R、RおよびRは独立して、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル、4〜8個の炭素原子を有するシクロアルケニル、6〜10個の炭素原子を有するアリール、または7〜10個の炭素原子を有するアリールアルキルである。Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、CHCO−、CH=CHCO−、またはCH=C(CH)CO−である。zは0または0.05〜2.0である。(y1+y2)は、zが0であるとき0.1〜2.0であり、zが0でないとき0.05〜2.0である。y2は0、またはy1の3倍以下である。(y1+y2+z)は0.1〜3.0である。そして、Rは炭素原子数が1〜8であり、そして隣り合わない1〜2個の−CH−が−O−または−NH−で置き換えられてもよいアルキレンである。
【0324】
の好ましい例は−CH−である。RまたはRの好ましい例はメチル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチルおよびフェニルであり、メチルが最も好ましい。RおよびRは異なる基の組み合わせであってもよいが、同一の基であることが好ましい。そして、Rの好ましい例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ビニル、プロペニル、5−ヘキセニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−6−イル、フェニル、フェニルメチル、フェニルエチルおよびメチルフェニルである。Rの好ましい例は1〜4個の炭素原子を有するアルキルである。そして、好ましいZは0である。
【0325】
化合物(IV)はアモルファス型のポリシルセスキオキサン誘導体である。この化合物は、下記の式(IV−1)で示される構成単位を有するSi−H基含有ポリシルセスキオキサンを原料として用いることにより得られる。


【0326】
そして、化合物(IV−1)は、特開2003−119288明細書に記載されている方法を参考にして製造することができる。即ち、化合物(IV−1)は、1モルのRSiClとyモルのH−Si(R)−Clの混合物にzモルのROHを反応させた後、(3+y−z)/2倍モル量の水を添加して加水分解・縮合させることによって得られる。式(IV−1)において、zは0または0.05〜2.0であり、yはz=0のとき0.1〜2.0であり、z≠0のとき0.05〜2.0である。(y+z)は0.1〜3.0であり、0.1〜2.5であることが好ましく、そして0.1〜2.0であることがより好ましい。式(IV−1)におけるその他の記号は、式(IV)における記号とそれぞれ同じ意味を有する。
【0327】
以下の説明では、重合性液晶組成物から得られる本発明のホメオトロピック配向液晶フィルムを単に液晶フィルムと称することがある。液晶フィルムは、次のようにして形成させることができる。まず、支持基材上にアミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体の溶液を塗布して、80〜150℃の温度範囲で乾燥させることにより配向制御膜を形成させる。次いで、重合性液晶組成物をこの配向制御膜上に塗布して塗膜を形成させる。そして、その塗膜に光照射して重合性液晶組成物を重合させ、塗膜中の組成物が液晶状態で形成するネマチック配向を固定化する。
【0328】
支持基材の選択条件は、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体を溶解させる溶剤成分に侵されないことのみである。このような支持基材の例はガラスおよびプラスチックフィルムである。プラスチックの例は、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース、トリアセチルセルロースおよびその部分鹸化物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、脂環式炭化水素樹脂、およびノルボルネン樹脂である。
【0329】
これらのプラスチックフィルムは、一軸延伸フィルムであってよく、二軸延伸フィルムであってもよい。これらのプラスチックフィルムは、例えば、コロナ処理やプラズマ処理などの親水化処理、または疎水化処理などの表面処理を施したものであってもよい。そして、プラスチックフィルムは積層フィルムであってもよい。プラスチックフィルムに代えて、表面にスリット状の溝をつけたアルミニウム、鉄、銅などの金属基板や、表面をスリット状にエッチング加工したアルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フリントガラスなどのガラス基板などを用いることもできる。
【0330】
重合性液晶組成物の塗布を容易にするため、または液晶相の配向を制御するために、本発明の効果を損なわない範囲で界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤の例はイミダゾリン、4級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイド、ポリアミン誘導体、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、ポリエチレングリコールおよびそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪族または芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、ラウリルアミドプロピルベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基と親水性基とを有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基と親油性基とを有するオリゴマー、およびパーフルオロアルキル基を有するウレタンである。界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類、重合性液晶組成物の組成比などにより異なるが、重合性液晶化合物に対して、0.002〜5重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。
【0331】
上記のようにして支持基材上に形成された配向制御膜には、重合性液晶組成物の塗膜形成に先立って、ラビング等による物理的、機械的な表面処理が行われてもよい。ホメオトロピック配向の重合性液晶層を形成する場合およびホメオトロピック配向の液晶フィルムを形成する場合はラビング等の表面処理を行わない場合が多いが、配向欠陥等を防止するためにはラビング処理を行ってもよい。ラビング処理には任意の方法が採用できるが、通常はレーヨン、綿、ポリアミドなどの素材からなるラビング布を金属ロールなどに捲き付け、支持基板または重合体被膜に接した状態でロールを回転させながら移動させる方法、ロールを固定したまま支持基材側を移動させる方法などが採用される。
【0332】
液晶フィルムを製造する際には、重合性液晶組成物をそのまま用いてもよいが、これに溶剤を加えてから塗布あるいは成形した後に、溶剤を除去して薄膜を製造してもよい。このとき用いる溶剤の選択条件は、上記の配向制御膜を浸食しないことのみである。このような溶剤の好ましい例は、ベンゼン、トルエン、ヘプタン、キシレン、メシチレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、1,4−ジオキサン、ビス(メトキシエチル)エーテル、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸エチル、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール、およびジメチルホルムアミドである。これらは、単独溶剤または複数の混合溶剤として用いることができる。
【0333】
特に好ましい溶剤の例は、ベンゼン、トルエン、ヘプタン、キシレン、メシチレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、PGMEA、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、THF、クロロホルム、1,4−ジオキサン、ビス(メトキシエチル)エーテル、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸エチル、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、およびブチルセルソルブである。
【0334】
重合性液晶組成物を溶液として配向制御膜に塗布する場合、均一に塗布するために、スピンコート、ロールコート、カテンコート、フローコート、プリント、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコード法、ディップコート法、スプレーコート法、ダイコート法、またはメニスカスコート法を利用する。ラビング等による基板の表面処理を行わないで液晶組成物の配向を制御する場合には、塗布時に重合性液晶組成物にせん断応力がかかるワイヤーバーコート法等を用いてもよい。
【0335】
アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体は水溶液として用いることが好ましい。このとき、好ましい成分濃度は、特に限定されないが、0.1〜60重量%である。この水溶液を支持基材上に塗布するときには、膜厚調整のため、予め水により希釈する操作が必要とされることがある。シルセスキオキサン誘導体の濃度が40重量%以下であると粘度が最適となり、膜厚調整のためにこの水溶液を希釈するときに、水を容易に混合できる。スピンナ−法や印刷法のときには膜厚を良好に保つために、通常30重量%以下とすることが多い。その他の塗布方法、例えばディッピング法やインクジェット法ではさらに低濃度とすることもあり得る。一方、シルセスキオキサン誘導体の濃度が1重量%以上であると、得られる重合体被膜の膜厚が最適となり易い。従って、アミノ基を有するシルセスキオキサン誘導体水溶液中のこの成分の濃度は、通常のスピンナ−法や印刷法などでは1重量%以上、好ましくは1〜30重量%である。しかしながら、この水溶液の塗布方法によっては、さらに希薄な濃度で使用してもよい。
【0336】
この水溶液においては、シルセスキオキサン誘導体成分を溶解することができる溶剤を併用することができる。このような溶剤は、シルセスキオキサン誘導体成分の製造工程や用途において通常使用されている溶剤から、使用目的に応じて適宜選択できる。この溶剤は、水溶性であることが好ましく、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、非プロトン性極性溶剤などから選択できる。
【0337】
このような溶剤の例は、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、THF、1,4−ジオキサン、ビス(メトキシエチル)エーテル、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸エチル、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、PGMEA、γ−ブチロラクトン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール、およびジメチルホルムアミドである。
【0338】
アミノ基を有するシルセスキオキサン誘導体水溶液を塗布する工程では、スピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法、インクジェット法などが採用できる。乾燥工程における加熱の方法として、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法などが採用できる。
【0339】
アミノ基を有するシルセスキオキサン誘導体水溶液を塗布した後の乾燥工程は、溶剤の蒸発が可能な範囲内の温度で実施することが好ましい。加熱処理の工程は、支持基材の耐熱温度以下で行うことが好ましい。特に支持基材がプラスチック基板の場合には、使用する支持基材のガラス転移温度以下である80〜150℃、さらに好ましくは90〜120℃で乾燥することが好ましい。
【0340】
支持基材上に形成させた配向制御膜へ重合性液晶組成物を塗布するために溶剤を用いる場合は、塗布後に溶剤を乾燥除去して、配向制御膜上に膜厚の均一な重合性液晶組成物の塗膜層を形成させる。溶剤除去の条件は特に限定されない。溶剤がおおむね除去され、塗膜層の流動性がなくなるまで乾燥すればよい。室温での風乾、ホットプレートでの乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹き付けなどを利用して溶剤を除去することができる。重合性液晶組成物に用いる化合物の種類と組成比によっては、塗膜を乾燥する過程で、塗膜中の重合性液晶組成物のネマチック配向が完了していることがある。従って、乾燥工程を経た塗膜は、後述する熱処理工程を経由することなく、重合工程に供することができる。しかしながら、塗膜中の液晶分子の配向をより均一化させるためには、乾燥工程を経た塗膜を熱処理し、その後に光重合処理することが好ましい。
【0341】
塗膜を熱処理する際の温度および時間、光照射に用いられる光の波長、光源から照射する光の量などは、重合性液晶組成物に用いる化合物の種類と組成比、光重合開始剤の添加の有無やその添加量などによって、好ましい範囲が異なる。従って、以下に説明する塗膜の熱処理の温度および時間、光照射に用いられる光の波長、および光源から照射する光の量についての条件は、あくまでもおよその範囲を示すものである。
【0342】
塗膜の熱処理は、重合性液晶組成物の液晶相転移点以上で行われる。熱処理方法の一例は、前記重合性液晶組成物がネマチック液晶相を示す温度まで塗膜を加温して、塗膜中の重合性液晶組成物にネマチック配向を形成させる方法である。重合性液晶組成物がネマチック液晶相を示す温度範囲内で、塗膜の温度を変化させることによってネマチック配向を形成させてもよい。この方法は、上記温度範囲の高温域まで塗膜を加温することによって塗膜中にネマチック配向を概ね完成させ、次いで温度を下げることによってさらに秩序だった配向にする方法である。上記のどちらの熱処理方法を採用する場合でも、熱処理温度は室温〜120℃である。この温度の好ましい範囲は室温〜80℃であり、より好ましい範囲は室温〜70℃である。熱処理時間は5秒〜2時間である。この時間の好ましい範囲は10秒〜40分であり、より好ましい範囲は20秒〜20分である。重合性液晶組成物からなる層の温度を所定の温度まで上昇させるためには、熱処理時間を5秒以上にすることが好ましい。生産性を低下させないためには、熱処理時間を2時間以内にすることが好ましい。
【0343】
塗膜中に形成された重合性液晶組成物のネマチック配向状態は、光照射により塗膜を重合することによって固定化される。光照射に用いられる光の波長は特に限定されない。電子線、紫外線、可視光線、赤外線(熱線)などを利用することができる。通常は、紫外線または可視光線を用いればよい。波長の範囲は150〜500nmである。好ましい範囲は250〜450nmであり、より好ましい範囲は300〜400nmである。光源の例は、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などである。光源の好ましい例は、メタルハライドランプやキセノンランプ、および高圧水銀ランプである。光源と重合性液晶組成物の塗膜層との間にフィルターなどを設置して特定の波長領域のみを通すことにより、照射光源の波長領域を選択してもよい。光源から照射する光量は、2〜5000mJ/cm2である。光量の好ましい範囲は10〜3000mJ/cm2であり、より好ましい範囲は100〜2000mJ/cm2である。光照射時の温度条件は、上記の熱処理温度と同様に設定されることが好ましい。
【0344】
重合性液晶組成物からなる配向層、およびこの配向層を光や熱などにより重合させた液晶フィルムを様々な光学素子に用いる場合、または液晶表示装置に用いる光学補償素子として適用する場合には、厚み方向におけるチルト角の分布の制御が極めて重要となる。
【0345】
チルト角を制御する方法の一つは、重合性液晶組成物に用いる液晶性化合物の種類や組成比などを調整する方法である。この重合性液晶組成物に他の成分を添加することによっても、チルト角を制御することができる。液晶フィルムのチルト角は、重合性液晶組成物に加える溶剤の種類や重合性液晶組成物溶液中の溶質濃度、他の成分の1つとして加える界面活性剤の種類や添加量などによっても制御することができる。また、配向制御膜を構成する成分の構造や、塗膜の乾燥条件や熱処理条件などによっても、液晶フィルムのチルト角を制御することができる。さらに、配向後の光重合工程での照射雰囲気や照射時の温度なども液晶フィルムのチルト角に影響を与える。即ち、液晶フィルムの製造プロセスにおけるほとんど全ての条件が多少なりともチルト角に影響を与えると考えてよい。従って、重合性液晶性組成物の最適化と共に、液晶フィルムの製造プロセスの諸条件を適宜選択することにより、任意のチルト角にすることができる。
【0346】
ホメオトロピック配向は、チルト角が基板界面から自由界面にかけて一様に85°〜90°に分布している。この配向状態は、環状エーテル基と極性基とを有する重合性液晶化合物を、支持基材上で焼成した配向制御膜上に塗布することにより得られる。安定して、均一なホメオトロピック配向を得るためには、前述のように、化合物(I)を重合性液晶化合物全量の5〜100重量%とすることが好ましい。そして、液晶フィルムの耐熱性等の機械的特性を保持するためには、10〜50重量%程度にすることが好ましい。そして、アミノ基を有するシルセスキオキサン誘導体を用いて配向制御膜を形成させるとき、強度を得るためにもある程度脱水を進める必要があり、80℃〜150℃程度で焼成することが好ましい。ホメオトロピック配向は、支持基材上に形成された配向制御膜の表面がラビング等で機械的、物理的に処理が行われなくても得ることができる。しかし、ラビング処理を行わないで塗膜した際に配向欠陥等が生じたりする場合にはラビング処理等を行うと均一なホメオトロピック配向が得られる。
【0347】
液晶フィルムの厚さは、目的とする素子に応じたレタデーションや液晶フィルムの複屈折率によって好ましい数値が異なる。従って、その範囲を厳密に決定することはできないが、液晶フィルムの好ましい厚さは、一応0.05〜50μmである。そして、より好ましい範囲は0.1〜20μmであり、さらに好ましい範囲は0.5〜10μmである。液晶フィルムの好ましいヘイズ値は1.5%以下であり、好ましい透過率は80%以上である。より好ましいヘイズ値は1.0%以下であり、より好ましい透過率で95%以上である。透過率については、可視光領域でこれらの条件を満たすことが好ましい。
【0348】
液晶フィルムは、液晶表示素子(特に、アクティブマトリックス型およびパッシブマトリックス型の液晶表示素子)に適用する光学補償素子として有効である。この液晶フィルムを光学補償膜として使用するのに適している液晶表示素子の型の例は、TN型(ツィステッドネマティック)、STN型(スーパーツィステッドネマティック)、ECB型(電気的に制御された複屈折)、OCB型(光学的に補償された複屈折)、DAP型(整列相の変形効果)、CSH型(カラー スーパーホメオトロピック)、VAN/VAC型(垂直配向したネマチック/コレステリック)、OMI型(光学モード干渉)、SBE型(超複屈折効果)などである。さらにゲスト−ホスト型、IPS型(イン・プレーン・スイッチング)、強誘電性型、反強誘電性型などの表示素子用の位相レターダーとして、この液晶フィルムを使用することもできる。なお、液晶フィルムに求められるチルト角の厚み方向の分布や厚みなどのパラメーターの最適値は、補償すべき液晶表示素子の種類とその光学パラメーターに強く依存するので、素子の種類によって異なる。
【0349】
液晶フィルムは、偏光板などと一体化した光学素子としても使用することができ、この場合は液晶セルの外側に配置させられる。以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0350】
実施例で行った評価法を以下に示す。
(1)重合性液晶組成物の重合条件:大気中または窒素雰囲気下において、室温で250Wの超高圧水銀灯を用いて30mW/cm(365nm)の強度の光を30秒間照射。
(2)液晶配向ベクトルの確認:回転可能な偏光子および検光子で回転/傾斜ステージを挟んだ光学系を用いて、得られた液晶フィルムを回転/傾斜ステージに設置し、フィルム面に対して垂直方向から傾斜させながらレタデーションを測定し確認した。
なお、支持基材はケン化処理を行ったTACフィルムを用いた。評価サンプルは、ケン化処理TACフィルム上にアミノ基を有するシルセスキオキサン誘導体の水溶液を塗布して乾燥させ、その後、重合性液晶組成物を塗布し、上記重合条件下で重合させることによって得た。
【実施例1】
【0351】
<重合性液晶組成物の溶液の調製(1)>
[MIX1]



上記の重合性液晶組成物(MIX−1)にトルエン/シクロヘキサノン混合溶剤(重量比=2/1)を加えて、20重量%溶液とした。このようにして得られた溶液を調整組成物−1とする。なお、以下の説明においては、重量比2/1のトルエン/シクロヘキサノン混合溶剤を単に混合溶剤と記述する。
【実施例2】
【0352】
<重合性液晶組成物の溶液の調製(2)>
[MIX2]



上記の重合性液晶組成物(MIX−2)に混合溶剤を加えて、20重量%溶液とした。このようにして得られた溶液を調整組成物−2とする。
【実施例3】
【0353】
<重合性液晶組成物の溶液の調製(3)>
[MIX3]


上記の重合性液晶組成物(MIX−3)に混合溶剤を加えて、20重量%溶液とした。このようにして得られた溶液を調整組成物−3とする。
【実施例4】
【0354】
<重合性液晶組成物の溶液の調製(4)>
[MIX4]



上記の重合性液晶組成物(MIX−4)に混合溶剤を加えて、20重量%溶液とした。このようにして得られた溶液を調整組成物−4とする。
【実施例5】
【0355】
<重合性液晶組成物の溶液の調製(5)>
[MIX5]



上記の重合性液晶組成物(MIX−5)に混合溶剤を加えて、20重量%溶液とした。このようにして得られた溶液を調整組成物−5とする。
【実施例6】
【0356】
<配向制御膜の作製>
支持基材であるケン化処理TACフィルム上に、前記のSF330を希釈して25%水溶液として用い、これをスピンコートによりフィルム上に塗布して、その後100℃で3分間乾燥して配向制御膜を形成した。なお、SF330は、3−アミノプロピルトリエトキシシランの部分加水分解物であり、50重量%水溶液として販売されている。
【実施例7】
【0357】
実施例6で得られた配向制御膜上に、調整組成物−1をスピンコートにより塗布し、70℃で3分間加熱することで溶剤を除去し、紫外線により大気中で重合させて均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムを得た。2枚の偏光板をクロスニコル状態にして、得られた光学フィルムをはさんだところ暗視野であり、この光学フィルムをフィルム面に対して垂直方向から傾斜させながらレタデーションを測定したところ、図1のような結果であった。
【実施例8】
【0358】
調整組成物−1を調整組成物−2に替えた以外は実施例7と同様にして行ったところ、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムを得た。この光学フィルムのレタデーションの傾斜角依存性は実施例7と同様の傾向であった。
【実施例9】
【0359】
調整組成物−1を調整組成物−3に替えた以外は実施例7と同様にして行ったところ、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムを得た。この光学フィルムのレタデーションの傾斜角依存性は実施例7と同様の傾向であった。
【実施例10】
【0360】
調整組成物−1を調整組成物−4に替えた以外は実施例7と同様にして行ったところ、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムを得た。この光学フィルムのレタデーションの傾斜角依存性は実施例7と同様の傾向であった。
【実施例11】
【0361】
調整組成物−1を調整組成物−5に替えた以外は実施例7と同様にして行ったところ、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムを得た。この光学フィルムのレタデーションの傾斜角依存性は実施例7と同様の傾向であった。
【0362】
[比較例1]
MIX−1から化合物(2−1−85)を除き、DTS−102の濃度を3重量%とした組成物(MIX−1’)を用い、これに混合溶剤を加えて20重量%溶液とした調整組成物、およびMIX−4から化合物(2−1−115)を除き、DTS−102の濃度を3重量%とした組成物(MIX−4’)を用い、これに混合溶剤を加えて20重量%溶液とした調整組成物を、それぞれ調整組成物−1に替えて用いること以外は実施例7と同様にして液晶フィルムを作製したところ、いずれの場合も液晶は配向せず、フィルムも白濁しており外観に問題があった。
【0363】
[比較例2]
MIX−2から化合物(2−1−3)を除き、DTS−102の濃度を3重量%とした組成物(MIX−2’)を用い、これに混合溶剤を加えて20重量%溶液とした調整組成物、MIX−3から化合物(1−1−3)を除き、DTS−102の濃度を3重量%とした組成物(MIX−3’)を用い、これに混合溶剤を加えて20重量%溶液とした調整組成物、およびMIX−5から化合物(1−1−138)を除き、DTS−102の濃度を3重量%とした組成物(MIX−5’)を用い、これに混合溶剤を加えて20重量%溶液とした調整組成物を、それぞれ調整組成物−1に替えて用いること以外は実施例7と同様にして、液晶フィルムを作製したところ、いずれの場合も液晶は配向せず、フィルムも白濁しており外観に問題があった。
【0364】
[比較例3]
配向制御膜を作製せず、ケン化処理TAC上に直接、調整組成物−1を塗布し、70℃で3分間加熱して溶剤を除去し、紫外線により大気中で重合させて液晶フィルムを作製したところ、液晶は配向せず、フィルムも白濁しており外観に問題があった。
【0365】
[比較例4〜7]
調整組成物−1の代わりに調整組成物−2〜5を用い、配向制御膜を作製しないこと以外は実施例7と同様にして液晶フィルムを作製したところ、液晶は配向せず、フィルムも白濁しており外観に問題があった。
【0366】
上記の実施例および比較例の結果を表1に示す。これらの結果によれば、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体から得られる配向制御膜上に、化合物(I)を含有する重合性液晶組成物を塗工することにより、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムが形成されることがわかる。
【0367】
<表1>


【図面の簡単な説明】
【0368】
【図1】実施例7で得られた光学フィルムについて、フィルム面に対して垂直方向から傾斜させながらレタデーションを測定した結果。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状エーテル基と非重合性の極性基とを有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を用いて、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体から得られる配向制御膜を有する支持基材上に形成されるホメオトロピック配向液晶フィルム。
【請求項2】
環状エーテル基がオキシラニルまたはオキセタニルであり;非重合性の極性基が−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHCOR、−COOH、−COOR、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−SOR、−NHまたは−NRであり、そしてこれらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルである、請求項1に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【請求項3】
環状エーテル基がオキシラニルまたはオキセタニルであり;非重合性の極性基が−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHまたは−NRであって、これらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有する基と3つの加水分解性基とを有するケイ素化合物の部分加水分解物である、請求項1に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【請求項4】
環状エーテル基がオキシラニルまたはオキセタニルであり;非重合性の極性基が−Cl、−CN、−OCFまたは−OCFHであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有するトリアルコキシシランの部分加水分解物である、請求項1に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【請求項5】
式(I)で示される重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を用いて、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体から得られる配向制御膜を有する支持基材上に形成されるホメオトロピック配向液晶フィルム:


ここに、Pは重合性の環状エーテル基であり;
Spは1〜20個の炭素原子を有するアルキレンであって、炭素原子数が2以上であるときにはこのアルキレン中の隣接しない任意の−CH−は−O−、−OCO−または−COO−で置き換えられてもよく;
Gは単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−CHO−、または−OCF−(CH−であり;
Xは非重合性の極性基であり;
そして、MGは式(II)で示されるメソゲン骨格である:



ここに、T、TおよびTは独立して、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであり;この1,4−フェニレンにおいては、任意の−CH=が−N=で置き換えられてもよく;この1,4−シクロヘキシレンにおいては、任意の−CH−が−O−または/および−S−で置き換えられてもよく、そして隣り合わない2つの炭素が架橋されてもよく;ここに挙げたすべての環において、任意の水素はハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−NO2、または1〜7個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよく;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
およびGは独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−(CHO−、−O(CH−、−CF=CF−、−CFCF2−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−N=N−、アゾキシ基(−N(O)=N−)、−CH=N−、−N=CH−、−O−(CH−OCO−、−COO−(CH−O−、−CH=CH−CONH−、−CONH−CH=CH−、−CONH−または−NHCO−であって、これらの基におけるkは1〜20の整数であり;
そして、fは0〜3の整数であり;fが2または3であるとき、複数のTは同じ基であってもよく異なる基であってもよく、そして複数のGも同じ基であってもよく異なる基であってもよい。
【請求項6】
Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHまたは−NRであって、これらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルであり;Spが1〜20個の炭素原子を有するアルキレンであって、炭素原子数が2以上であるときにはこのアルキレン中の隣接しない任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Gが単結合、−O−、−COO−または−OCO−であり;支持基材がガラスまたはプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有する基と3つの加水分解性基とを有するケイ素化合物の部分加水分解物である、請求項5に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【請求項7】
Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHまたは−NRであって、これらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルであり;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mが2〜8の整数であり;Gが単結合または−O−であり;T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよく;GおよびGが独立して単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−であり;支持基材がガラスまたはプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有する基と3つの加水分解性基とを有するケイ素化合物の部分加水分解物である、請求項5に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【請求項8】
Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHまたは−NRであって、これらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルであり;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mが2〜8の整数であり;Gが単結合または−O−であり;T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよく;GおよびGが独立して単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−であり;支持基材がガラスまたはプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有するトリアルコキシシランの部分加水分解物である、請求項5に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【請求項9】
Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCFまたは−OCFHであり;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mが2〜6の整数であり;Gが単結合または−O−であり;T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよく;GおよびGが独立して単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−であり;支持基材がポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース、トリアセチルセルロース、トリアセチルセルロースの部分鹸化物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、またはノルボルネン樹脂から得られるプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有するトリアルコキシシランの部分加水分解物である、請求項5に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【請求項10】
重合性液晶組成物が式(I)で示される重合性液晶化合物とその他の重合性液晶化合物を含有するとき、これらの重合性液晶化合物の合計量の割合が重合性液晶組成物全量を基準として60〜100重量%であり、式(I)で示される重合性液晶化合物の割合が重合性液晶化合物全量を基準として5〜99重量%である、請求項5に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【請求項11】
重合性液晶組成物中の重合性化合物が式(I)で示される重合性液晶化合物のみからなる、請求項5に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【請求項12】
式(I)で示される重合性液晶化合物および式(III)で示される重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を用いて、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体から得られる配向制御膜を有する支持基材上に形成されるホメオトロピック配向液晶フィルム:


ここに、Pは重合性の環状エーテル基であり;
Spは1〜20個の炭素原子を有するアルキレンであって、炭素原子数が2以上であるときにはこのアルキレン中の隣接しない任意の−CH−は−O−、−OCO−または−COO−で置き換えられてもよく;
Gは単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−であり;
Xは非重合性の極性基であり;
そして、MGは式(II)で示されるメソゲン骨格である:



ここに、T、TおよびTは独立して、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであり;この1,4−フェニレンにおいては、任意の−CH=が−N=で置き換えられてもよく;この1,4−シクロヘキシレンにおいては、任意の−CH−が−O−または/および−S−で置き換えられてもよく、そして隣り合わない2つの炭素が架橋されてもよく;ここに挙げたすべての環において、任意の水素はハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−NO2、または1〜7個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよく;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
およびGは独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−(CHO−、−O(CH−、−CF=CF−、−CFCF2−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−N=N−、アゾキシ基(−N(O)=N−)、−CH=N−、−N=CH−、−O−(CH−OCO−、−COO−(CH−O−、−CH=CH−CONH−、−CONH−CH=CH−、−CONH−または−NHCO−であって、これらの基におけるkは1〜20の整数であり;
そして、fは0〜3の整数であり;fが2または3であるとき、複数のTは同じ基であっても異なる基であってもよく、そして複数のGも同じ基であっても異なる基であってもよい:


ここに、P、Sp、GおよびMGは式(I)におけるこれらの記号と同様に定義される基であり、それぞれ式(I)における場合と同じ基であってもよく、異なる基であってもよく;Wは水素、1〜25個の炭素原子を有するアルキル、2〜12個の炭素原子を有するアルケニル、フッ素、または式(−G−Sp−P)で示される基であり;これらのアルキルおよびアルケニルにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−S−CO−、−CO−S−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【請求項13】
Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHまたは−NRであって、これらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルであり;Spが1〜20個の炭素原子を有するアルキレンであって、炭素原子数が2以上であるときにはこのアルキレン中の隣接しない任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Gが単結合、−O−、−COO−または−OCO−であり;支持基材がガラスまたはプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有する基と3つの加水分解性基とを有するケイ素化合物の部分加水分解物である、請求項12に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【請求項14】
Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHまたは−NRであって、これらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルであり;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mが2〜8の整数であり;Gが単結合または−O−であり;T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであって、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよく;GおよびGが独立して単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−であり;Wが1〜12個の炭素原子を有するアルキル、1〜12個の炭素原子を有するアルキルオキシ、2〜10個の炭素原子を有するアルケニル、2〜10個の炭素原子を有するアルケニルオキシ、フッ素、または式(−G−Sp−P)で示される基であり;この式(−G−Sp−P)において、Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり、Gが単結合または−O−であり、そしてSpが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、nが2〜8の整数であり;支持基材がガラスまたはプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有する基と3つの加水分解性基とを有するケイ素化合物の部分加水分解物である、請求項12に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【請求項15】
Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NHまたは−NRであって、これらの基におけるRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたは2〜20個の炭素原子を有するアルケニルであり;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mが2〜8の整数であり;Gが単結合または−O−であり;T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであって、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよく;GおよびGが独立して単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−であり;Wが1〜12個の炭素原子を有するアルキル、1〜12個の炭素原子を有するアルキルオキシ、2〜10個の炭素原子を有するアルケニル、2〜10個の炭素原子を有するアルケニルオキシ、フッ素、または式(−G−Sp−P)で示される基であり;この式(−G−Sp−P)において、Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり、Gが単結合または−O−であり、そしてSpが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、nが2〜8の整数であり;支持基材がガラスまたはプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有するトリアルコキシシランの部分加水分解物である、請求項12に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【請求項16】
Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり;Xが−Cl、−CN、−OCFまたは−OCFHであり;Spが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、mが2〜6の整数であり;Gが単結合または−O−であり;T、TおよびTが独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環状基における任意の水素はフッ素、−CF、−CFHまたは炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよく;GおよびGが独立して単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−であり;Wが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、1〜8個の炭素原子を有するアルキルオキシ、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルオキシ、フッ素、または式(−G−Sp−P)で示される基であり;この式(−G−Sp−P)において、Pがオキシラニルまたはオキセタニルであり、Gが単結合または−O−であり、そしてSpが−(CH−または−CH−O−(CH−であって、nが2〜6の整数であり;支持基材がポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース、トリアセチルセルロース、トリアセチルセルロースの部分鹸化物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂またはノルボルネン樹脂から得られるプラスチックフィルムであり;そして、アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体がアミノ基を有するトリアルコキシシランの部分加水分解物である、請求項12に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【請求項17】
重合性液晶組成物が式(I)で示される重合性液晶化合物とその他の重合性液晶化合物を含有するとき、これらの重合性液晶化合物の合計量の割合が重合性液晶組成物全量を基準として60〜100重量%であり、この重合性液晶化合物の合計量を基準として、式(I)で示される重合性液晶化合物の割合が5〜99重量%であり、そして式(III)で示される重合性液晶化合物の割合が95〜1重量%である、請求項12に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
【請求項18】
アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体を用いて支持基材上に配向制御膜を形成させ、この配向制御膜上に環状エーテル基と非重合性の極性基とを有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を塗布し、そしてこの液晶性組成物を液晶状態においてホメオトロピック配向とすることを特徴とする配向制御方法。
【請求項19】
アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体を支持基材に塗布し、これを80〜150℃の温度で焼成して配向制御膜を形成させることを特徴とする、請求項18に記載の配向制御方法。
【請求項20】
アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体を用いて支持基材上に配向制御膜を形成させ、この配向制御膜上に環状エーテル基と非重合性の極性基とを有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を塗布し、この重合性液晶性組成物を液晶状態においてホメオトロピック配向とし、そしてこの配向を維持した状態で重合性液晶性組成物を重合させることを特徴とするホメオトロピック配向液晶フィルムの製造方法。
【請求項21】
アミノ基を有する水溶性シルセスキオキサン誘導体を用いて支持基材上に配向制御膜を形成させ、この配向制御膜上に環状エーテル基と非重合性の極性基とを有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を塗布し、この重合性液晶組成物を重合させることによってホメオトロピック配向状態を形成させることを特徴とするホメオトロピック配向液晶フィルムの製造方法。
【請求項22】
請求項5に記載のホメオトロピック配向液晶フィルムを有する光学補償素子。
【請求項23】
請求項12に記載のホメオトロピック配向液晶フィルムを有する光学補償素子。
【請求項24】
請求項5に記載のホメオトロピック配向液晶フィルムと偏光板とを有する光学素子。
【請求項25】
請求項12に記載のホメオトロピック配向液晶フィルムと偏光板とを有する光学素子。
【請求項26】
請求項22に記載の光学補償素子を液晶セルの内面または外面に有する液晶表示装置。
【請求項27】
請求項23に記載の光学補償素子を液晶セルの内面または外面に有する液晶表示装置。
【請求項28】
請求項24に記載の光学素子を液晶セルの外面に有する液晶表示装置。
【請求項29】
請求項25に記載の光学素子を液晶セルの外面に有する液晶表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−23656(P2006−23656A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203529(P2004−203529)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【出願人】(596032100)チッソ石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】