説明

ホログラム作製方法及びその方法により作製されたホログラム

【課題】 簡単な方法でデザイン性やセキュリティー性に優れたホログラムを作製する方法を提供する。
【解決手段】 計算機を用いた演算により所定の記録面上に振幅情報と位相情報を記録し、直交する二次元方向に視差を有する計算機合成ホログラム1を作製し、計算機合成ホログラム1に第1再生照明光3を照射して、計算機合成ホログラム1から第1再生像O’を再生させ、第1再生像O’近傍にホログラム記録材料21を配置して反射型あるいは透過型の体積型ホログラム21として記録することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム作製方法に関し、特に、計算機合成ホログラムの再生像を記録した体積型ホログラムの作製方法及びその方法により作製されたホログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、偽造防止のためホログラムを金券やクレジットカード等に貼り付け又は一体に形成するものがある。このホログラムとして、計算機を用いた演算により所定の記録面上に干渉縞を記録させて作製する計算機ホログラムがある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−214751号公報
【特許文献2】特開2002−72837号公報
【特許文献3】特開2005−215570号公報
【非特許文献1】「3次元画像コンファレンス‘99−3D Image Conference‘99−」講演論文集CD−ROM(1999年6月30日〜7月1日 工学院大学新宿校舎)、論文「EB描画によるイメージ型バイナリCGH(3)−隠面消去・陰影付けによる立体感の向上−」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これまでに提案されている上記従来の計算機ホログラムは、デザイン性やセキュリティー性に優れたホログラムであるが、レリーフ型のホログラムであり、体積型のホログラムと比較すると偽造されやすく、セキュリティー性の面で劣る部分がある。
【0004】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な方法でデザイン性やセキュリティー性に優れた体積ホログラムを作製する方法及びその方法により作製されたホログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のホログラム作製方法は、上記課題を解決するものであって、計算機を用いた演算により所定の記録面上に振幅情報と位相情報を記録し、直交する二次元方向に視差を有する計算機合成ホログラムを作製し、前記計算機合成ホログラムに第1再生照明光を照射して、前記計算機合成ホログラムから第1回折光を生じさせ第1再生像を再生させると共に、ホログラム記録材料に前記第1回折光と第1参照光を同時に入射させて反射型あるいは透過型の体積型ホログラムとして記録することを特徴とする。
【0006】
また、前記第1再生像を前記計算機合成ホログラムと離間した位置に再生させると共に、前記ホログラム記録材料を前記第1再生像近傍に配置したことを特徴とする。
【0007】
また、前記第1再生照明光の0次光は、前記ホログラム記録材料と被らないようにすることを特徴とする。
【0008】
また、前記計算機合成ホログラムとして白色光の下でフルカラーの画像再生が可能な計算機合成ホログラムを用い、前記ホログラム記録材料は、前記第1再生照明光の波長を順に変えて1層の前記ホログラム記録材料中に多重記録するか、又は、前記第1再生照明光の波長を変える毎に別々の前記ホログラム記録材料中に記録された複数の異なる波長のホログラム層を一体に積層するかして、2波長以上の再生が可能なホログラムとすることを特徴とする。
【0009】
また、前記計算機合成ホログラムとして白色光の下でフルカラーの画像再生が可能な計算機合成ホログラムを用い、前記ホログラム記録材料は、異なる波長にそれぞれ感度をもつ複数のホログラム記録材料を一体に積層し、前記異なる波長にそれぞれ対応する第1再生照明光を同時に照射し記録して、2波長以上の再生が可能なホログラムとすることを特徴とする。
【0010】
また、前記計算機合成ホログラムとして複数の異なる波長の計算機合成ホログラムを用い、前記ホログラム記録材料は、前記第1再生照明光の波長を順に変えて1層の前記ホログラム記録材料中に多重記録するか、又は、前記第1再生照明光の波長を変える毎に別々の前記ホログラム記録材料中に記録された複数の異なる波長のホログラム層を一体に積層するかして、2波長以上の再生が可能なホログラムとすることを特徴とする。
【0011】
また、前記第1再生像を再生させ、前記第1再生像近傍に配置した1段目のホログラム記録材料に前記第1回折光と第1参照光を同時に入射させて1段目のホログラムを記録し、記録した前記1段目のホログラムに第2再生照明光を照射して、前記1段目のホログラムから第2回折光を生じさせ第2再生像を再生させ、前記第2再生像近傍に配置した2段目のホログラム記録材料に前記第2回折光と第2参照光を同時に入射させて2段目のホログラムを反射型あるいは透過型の体積型ホログラムとして記録することを特徴とする。
【0012】
また、前記第1再生照明光の0次光は前記1段目のホログラムに非入射又は第2再生照明光の0次光は2段目のホログラムに非入射の少なくとも一方とすることを特徴とする。
【0013】
また、前記計算機合成ホログラムとして白色光の下でフルカラーの画像再生が可能な計算機合成ホログラムを用い、前記1段目のホログラム作製時に第1再生照明光の波長を順に変えて前記各波長に対応する複数の1段目のホログラムを作製し、2段目のホログラムの作製時に、前記各波長に対応する複数の1段目のホログラムを入れ替えながら対応する波長の第2再生照明光を入射することで、1層の2段目のホログラム記録材料中にそれぞれの波長に対応するホログラムを多重記録するか、又は、それぞれの波長に対応する別々の2段目のホログラム記録材料中にそれぞれの波長に対応するホログラムを記録することで多層記録することを特徴とする。
【0014】
また、前記計算機合成ホログラムとして白色光の下でフルカラーの画像再生が可能な計算機合成ホログラムを用い、前記1段目のホログラム作製時に、異なる波長にそれぞれ感度をもつ複数のホログラム記録材料を一体に積層し、前記異なる波長にそれぞれ対応する第1再生照明光を同時に照射して、記録し、2波長以上の再生が可能な前記1段目のホログラムを作製し、前記2段目のホログラムの作製時に、異なる波長にそれぞれ感度をもつ複数のホログラム記録材料を一体に積層し、前記異なる波長にそれぞれ対応する前記第2再生照明光を前記1段目のホログラムに同時に照射して、記録し、2波長以上の再生が可能な前記2段目のホログラムを作製することを特徴とする。
【0015】
また、前記計算機合成ホログラムとして複数の異なる波長の計算機合成ホログラムを用い、前記1段目のホログラム作製時に第1再生照明光の波長を順に変えて前記各波長に対応する複数の1段目のホログラムを作製し、2段目のホログラムの作製時に、前記各波長に対応する複数の1段目のホログラムを入れ替えながら対応する波長の第2再生照明光を入射することで、1層の2段目のホログラム記録材料中にそれぞれの波長に対応するホログラムを多重記録するか、又は、それぞれの波長に対応する別々の2段目のホログラム記録材料中にそれぞれの波長に対応するホログラムを記録することで多層記録することを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明のホログラムは、前記ホログラム作製方法により作製されたことを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明のセキュリティー媒体は、前記ホログラムを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡単な方法でデザイン性やセキュリティー性に優れたホログラムを作製することができると共に、体積型ホログラムを作製する際の従来のH1ホログラムを作製する工程を減らすことができる。また、再生照明光の0次光は、ホログラム記録材料と被らないようにするので、0次光のノイズを発生しないようにすることができる。また、2波長以上の再生が可能なホログラムとするので、デザイン性やセキュリティー性がさらに拡張されたホログラムを作製することができる。
【0019】
また、このように作製されたホログラムをセキュリティー媒体に用いることで、セキュリティー媒体のデザイン性やセキュリティー性がさらに向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照にして本実施形態のホログラムの作製方法を説明する。本実施形態では、まず、直交する二次元方向に視差を有する計算機合成ホログラム1を作製する。図1乃至8は、計算機合成ホログラム1を作製する原理を示す。
【0021】
本実施形態では、図1に示すように、原画像10を記録面20上に干渉縞として記録する方法を用いる。ここでは、説明の便宜上、図示のとおりXYZ三次元座標系を定義し、記録面20がXY平面上に置かれているものとする。光学的な手法を採る場合、記録対象となる物体が原画像10として用意されることになる。この原画像10上の任意の点Pから発せられた物体光Oは、記録面20の全面に向けて進行する。一方、記録面20には、参照光Rが照射されており、物体光Oと参照光Rとの干渉縞が記録面20上に記録されることになる。
【0022】
記録面20の位置に計算機ホログラムを作成するには、原画像10、記録面20、参照光Rを、コンピュータ上にデータとしてそれぞれ定義し、記録面20上の各位置における干渉波強度を演算すればよい。具体的には、図2に示すように、原画像10をN個の点光源P1,P2,P3,…,Pi,…,PNの集合として取り扱い、各点光源からの物体光O1,O2,O3,…,Oi,…,ONが、それぞれ演算点Q(x,y)へと進行するとともに、参照光Rが演算点Q(x,y)に向けて照射されたものとし、これらN本の物体光O1〜ONと参照光Rとの干渉によって生じる干渉波の演算点Q(x,y)の位置における振幅強度を求める演算を行えばよい。物体光および参照光は、通常、単色光として演算が行われる。記録面20上には、必要な解像度に応じた多数の演算点を定義するようにし、これら各演算点のそれぞれについて、振幅強度を求める演算を行えば、記録面20上には干渉波の強度分布が得られることになる。
【0023】
具体的には、物体上に配置した点光源の座標をPi(xi,yi,zi)、点光源のもつエネルギーを4πAi2とすると、XY平面上の演算点Q(x,y)の位置における物体光の合成複素振幅値O(x,y)は、次の式(1)によって求めることができる。
【0024】
【数1】

ここで、Aiは点光源Piから発せられた物体光の振幅を表す係数を示し、ri(x,y)は、式(2)に示すように、点光源Piと演算点Q(x,y)との距離を示している。
【0025】
【数2】

すなわち、式(1)におけるAi/ri(x,y)の項は、距離による振幅の減衰を示すものである。
【0026】
また、指数関数の形で記述された次の項は、この物体光の周期的な振幅変動を複素振幅の形式で示す項であり、jは複素単位、kは波長をλとした場合にk=2π/λ、φiはPiにおける点光源の初期位相を示す。ここで、kri(x,y)なる項は、光路長を示しており、この光路長に初期位相φiを加えることにより、演算点Q(x,y)における物体光の合成複素振幅値が与えられることになる。なお、初期位相φiは各物体光にそれぞれランダムに設定することが可能である。
【0027】
また、平行光からなる参照光Rの入射ベクトルを(Rx,Ry,Rz)、振幅をAR、座標原点での位相をφRとすると、演算点Q(x,y)の位置における参照光Rの複素振幅値R(x,y)は、次の式(3)によって求めることができる。
【0028】
【数3】

【0029】
【数4】

このような強度分布を示す画像データに基づいて、実際の媒体上に物理的な濃淡パターンやエンボスパターンを形成すれば、原画像10を干渉縞として記録したホログラムが作成できる。媒体上に高解像度の干渉縞を形成する手法としては、電子線描画装置を用いた描画が適している。電子線描画装置は、半導体集積回路のマスクパターンを描画する用途などに広く利用されており、電子線を高精度で走査する機能を有している。そこで、演算によって求めた干渉波の強度分布を示す画像データを電子線描画装置に与えて電子線を走査すれば、この強度分布に応じた干渉縞パターンを描画することができる。
【0030】
ただ、一般的な電子線描画装置は、描画/非描画を制御することにより二値画像を描画する機能しか有していない。そこで、演算によって求めた強度分布を二値化して二値画像を作成し、この二値画像データを電子線描画装置に与えるようにすればよい。
【0031】
図3は、このような二値化処理を用いて干渉縞パターンを記録する一般的な方法の概念図である。上述した演算により、記録面20上の各演算点Q(x,y)には、所定の干渉波強度値、すなわち干渉波の振幅強度値が定義されることになる。たとえば、図3(a) に示す演算点Q(x,y)にも、所定の振幅強度値が定義される。そこで、この振幅強度値に対して所定のしきい値(たとえば、記録面20上に分布する全振幅強度値の平均値)を設定し、このしきい値以上の強度値をもつ演算点には画素値「1」を与え、このしきい値未満の強度値をもつ演算点には画素値「0」を与えるようにする。したがって、図3(a) に示す演算点Q(x,y)には、「1」か「0」のいずれかの画素値が定義されることになる。
【0032】
そこで、図3 (b) に示すように、この演算点Q(x,y)の位置に単位領域U(x,y)を定義し、この単位領域U(x,y)を「1」か「0」のいずれかの画素値をもった画素として取り扱うようにすれば、所定の二値画像を得ることができる。この二値画像のデータを電子線描画装置に与えて描画を行えば、物理的な二値画像として干渉縞を描画することができる。実際には、この物理的に描画された干渉縞に基づいて、たとえばエンボス版を作成し、このエンボス版を用いたエンボス加工を行うことにより、表面に干渉縞が凹凸構造として形成されたホログラムを量産することができる
図4には、記録面20上に二次元配列された単位領域U1〜U24が示されている。この例では、いずれの単位領域も、一辺が2μmの正方形となっているが、これは、記録面20上に定義された演算点Q1〜Q24が縦横に2μmピッチで配置されているためである。記録面20上に定義される演算点は、いわば干渉波強度のサンプル点としての機能を果たすことになるので、原画像10上に定義された点光源のピッチ、原画像10と記録面20との距離、参照光Rの方向、波長などの光学的な条件設定を考慮して、干渉縞を記録するのに最適なピッチで配置すればよい。図4に示す例では、演算点Qのピッチは縦横ともに2μmとしているが、縦横のピッチを変えるようにしてもよい(この場合、各単位領域は長方形となる)。また、図4に示す例では、正方形状の単位領域の中心点が各演算点上に重なるように、個々の単位領域を個々の演算点上に配置しているが、単位領域と演算点との位置関係は、必ずしもこのとおりにする必要はない。たとえば、各単位領域の左上隅点を基準点として定め、この左上隅点の基準点が演算点上に重なるように、個々の単位領域を配置してもかまわない。
【0033】
上述したように、この図4に示す各演算点Q1〜Q24には、それぞれ所定の干渉波強度値が演算される。そして、従来の一般的な手法では、各強度値は、所定のしきい値に基づいて二値化され、「1」または「0」の画素値に変換される。そこで、たとえば、画素値「1」が定義された演算点Qを含む単位領域Uを白画素、画素値「0」が定義された演算点Qを含む単位領域Uを黒画素として取り扱えば、白黒の二値画像が得られることになる。この二値画像に基づいて、白画素の部分を凹部、黒画素の部分を凸部(あるいはその逆)とする物理的な凹凸構造を形成すれば、ホログラム媒体が得られることになる。
【0034】
しかしながら、このような一般的な計算機ホログラムの作成方法では、各単位領域に割り付けられるのは、白画素か黒画素かのいずれかに限定されることになるため、演算により求められた干渉波強度の階調値は失われてしまう。
【0035】
そこで、本実施形態では、単位領域を第1の画素値をもった第1の領域と第2の画素値をもった第2の領域とに分割することにより定義される二値パターンを、「単位領域に対する第1の領域の占有率」を変えることにより複数通り用意しておき、各演算点の位置に、それぞれ各演算点についての干渉波強度に対応した占有率(「単位領域に対する第1の領域の占有率」)を有する二値パターンを割り付けるようにしたのである。
【0036】
まず、図5に示すように、干渉波強度の値に応じて特定の階調値を画素に割り付ける。本実施形態では、図6に示すように、5種類の二値パターンD0〜D4を予め用意しておく。いずれの二値パターンも、一辺が2μmの正方形からなる単位領域内のパターンであり、第1の画素値「1」をもった第1の領域(図では白い部分)と、第2の画素値「0」をもった第2の領域(図ではハッチングが施された部分)とによって構成されている。もっとも、二値パターンD0には第2の領域のみしか含まれておらず、二値パターンD4には第1の領域のみしか含まれていないが、これは便宜上、他方の領域の面積が0である特別な場合と考えることにする。ここで、「単位領域(正方形全体)に対する第1の領域(白い部分)の占有率」に着目すると、二値パターンD0,D1,D2,D3,D4についての当該占有率は、それぞれ0%,25%,50%,75%,100%となる。
【0037】
いずれの二値パターンにおいても、図示のとおり、第1の領域(白い部分)は、単位領域(正方形全体)の縦幅に等しい縦幅を有し、所定の占有率に応じた横幅を有する矩形から構成されており、しかもこの第1の領域を構成する矩形は、単位領域の横幅に関する中心位置に配置されている。そして、単位領域内の第1の領域が配置された残りの部分が第2の領域(ハッチングが施された部分)となっている。なお、二値パターンは、図6に示したものに限らず、図7に示すような様々なパターン又はそれ以外のパターンでもよい。また、それぞれの二値パターンにそれぞれ異なる屈折率を対応させることで階調を表現してもよい。
【0038】
さて、こうして用意された5種類の二値パターンD0〜D4を、記録面上の各演算点位置に選択的に割り付けることにより、各演算点における干渉波強度を5段階の階調によって表現することが可能になる。図5に示す例では、各演算点における干渉波強度は、0〜4の5段階の強度値として与えられている。この5段階の強度値に、5種類の二値パターンD0〜D4を割り当てるためには、たとえば、強度値0については二値パターンD0、強度値1については二値パターンD1、強度値2については二値パターンD2、強度値3については二値パターンD3、強度値4については二値パターンD4といった対応関係を予め定義しておけばよい。図7は、上述の対応関係に基づいて、図5に示す各強度値に対応する二値パターンを割り付けて得られる二値画像の一例を示す図である。一般的な方法により得られる二値画像と比較すると、いずれも二値画像であることに変わりはないものの、各演算点における干渉波強度値が階調情報をもったまま表現されている。
【0039】
この図8に示すような二値画像が得られたら、この二値画像に基づいて、媒体上に物理的な干渉縞を形成すれば、品質の高い階調画像を再現することが可能な計算機ホログラム媒体が得られる。具体的には、図8における黒い部分を凸部、白い部分を凹部(またはその逆)とするエンボス構造を媒体上に形成すればよい。実際には、このような二値画像の形成は、電子線描画装置を用いた電子ビーム走査によって行うのが好ましい。現在、一般的に利用されている電子線描画装置における電子ビームのスポット径は0.05μm程度、その走査精度は0.01μm程度であり、図6に示すような寸法構成をもった二値パターンであれば十分に描画可能である。もちろん、図8に示すような二値画像を得るまでの工程は、所定のプログラムを組み込んだコンピュータによって行われ、このコンピュータによって作成された二値画像データを電子線描画装置に与えることにより、実際の物理的な描画処理が行われることになる。
【0040】
なお、以上の方法において、分割領域上の演算点Qでの物体光の振幅と位相の記録には、上記で説明したような参照光との干渉による干渉縞で記録する方法以外に、特許文献2、3に記載されているように一面に溝を持った3次元セルの溝の深さで位相を、溝の幅で振幅を記録する方法でもよい。
【0041】
あるいは、非特許文献1に記載されたA.W.Lohmann等の方法、Leeの方法等で振幅と位相を記録するようにしてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、計算機合成ホログラム1の作製に干渉波の強度分布を使用したが、参照光と干渉させずに複素振幅分布を適用してもよい。
【0043】
次に、得られた計算機合成ホログラム1としてのCGH原版1から、体積型ホログラムを作製する方法の第1実施形態を図9に示す。本実施形態では、図9(a)に示すように、得られたCGH原版1に第1再生照明光3をCGH原版1に対してH2ホログラム記録用感光材料21を配置する側とは反対側から入射させる。この際、第1再生照明光3の0次光40は、H2ホログラム記録用感光材料21に被らないようにするとノイズが減り好ましい。CGH原版1に第1再生照明光3を入射させると、CGH原版1から第1回折光4が生じ、CGH原版1の面に対して離間した記録のときの原画像Oの相対位置と同じ位置に原画像Oの第1再生像O’が再生結像される。この際、図9(b)に示すように、CGH原版1からの第1回折光4は、第1再生像O’の結像位置に向けて集光する。これによって、物体光の強度を高くすることができる。
【0044】
そして、第1再生像O’のすぐ近傍にフォトポリマー、銀塩材料等からなるH2ホログラム記録用感光材料21を配置し、第1再生照明光3と可干渉な同一光源からの平行光からなる第1参照光5を第1回折光4と反対側あるいは同じ側から任意の入射角で同時に入射させ、H2ホログラム記録用感光材料21中にH2ホログラムを露光する。
【0045】
ここで、比較のために従来の体積型ホログラムの作製方法としての2ステップ法について説明する。図12は、従来の2ステップ法によりホログラムを作製する際の1段階目のH1ホログラムの撮影配置(a)と2段階目のH2ホログラムの撮影配置(b)とを示す側面図である。まず、フォトポリマー、銀塩材料等のH1ホログラム記録用感光材料111を用い、図12(a)に示すように、ホログラムに記録する物体(ここでは、立方体で示してある。)100に面してそのH1ホログラム記録用感光材料111を配置する。そして、物体100を所定波長のレーザ光で照明して物体100で散乱された物体光101をH1ホログラム記録用感光材料111に入射させると共に、H1ホログラム記録用感光材料111の面に入射角θで物体光100と可干渉な同一光源からの平行光からなる参照光102を同時に入射させ、H1ホログラム記録用感光材料111に物体100のホログラムを露光する。このホログラムが露光されたH1ホログラム記録用感光材料111を後処理してH1ホログラム111を作製する。ここで、H1ホログラム記録用感光材料111とH1ホログラム111を同じ符号111で示す。
【0046】
次いで、得られたH1ホログラム111に、図12(b)に示すように、記録のときの参照光102と共役な再生照明光103をH1ホログラム111に対して記録のときの参照光102が入射する側とは反対側から入射させる。すると、H1ホログラム111から回折光104が生じ、H1ホログラム111の面に対して記録のときの物体100の相対位置と同じ位置に物体100の像100’が再生結像される。この物体100の像100’が結像される位置近傍にフォトポリマー、銀塩材料等からなる2段階目のH2ホログラム記録用感光材料121を配置し、再生照明光103と可干渉な同一光源からの平行光からなる参照光105を回折光104と反対側あるいは同じ側から任意の入射角で同時に入射させ、H2ホログラム記録用感光材料121中に2段階目のH2ホログラムを露光する。この2段階目のH2ホログラムが露光されたH2ホログラム記録用感光材料121を後処理してH2ホログラム121を作製する。ここで、H2ホログラム記録用感光材料121とH2ホログラム121を同じ符号121で示す。
【0047】
以上のようにして記録されたH2ホログラム121は体積型ホログラムであり、参照光105を回折光104と反対側から入射させる場合は反射型ホログラムとして記録され、参照光105を回折光104と同じ側から入射させる場合は透過型ホログラムとして記録される。
【0048】
このように従来の2ステップ法によるホログラム作製方法と比較して、本発明にかかる実施形態の方法では、CGH原版1を使用するので、H2ホログラムに相当する体積型ホログラム21を作製する際に従来のH1ホログラム111を作製する工程を減らすことができる。
【0049】
なお、本実施形態では、CGH原版1として白色光の下でフルカラーの画像再生が可能なCGH原版1を用い、H2ホログラム記録用感光材料21は、第1再生照明光3の波長を順に変えて1層のH2ホログラム記録用感光材料21中に多重記録するか、又は、第1再生照明光3の波長を変える毎に別々のH2ホログラム記録用感光材料21中に記録された複数の異なる波長のホログラム層を一体に積層するかして、2波長以上の再生が可能なH2ホログラム21とするとよい。
【0050】
また、CGH原版1として白色光の下でフルカラーの画像再生が可能なCGH原版1を用い、H2ホログラム記録用感光材料21は、異なる波長にそれぞれ感度をもつ複数のH2ホログラム記録用感光材料21を一体に積層し、異なる波長にそれぞれ対応する第1再生照明光3を同時に照射し記録して、2波長以上の再生が可能なH2ホログラム21としてもよい。
【0051】
また、CGH原版1として複数の異なる波長のCGH原版1を用い、H2ホログラム記録用感光材料21は、第1再生照明光3の波長を順に変えて1層のH2ホログラム記録用感光材料21中に多重記録するか、又は、第1再生照明光3の波長を変える毎に別々のH2ホログラム記録用感光材料21中に記録された複数の異なる波長のホログラム層を一体に積層するかして、2波長以上の再生が可能なH2ホログラム21としてもよい。
【0052】
さらに、CGH原版1として白色光の下でフルカラーの画像再生が可能なCGH原版1を用い、H2ホログラム記録用感光材料21は、波長の異なる第1再生照明光3を同時に照射し、1層のH2ホログラム記録用感光材料21中に多重記録して、2波長以上の再生が可能なH2ホログラム21としてもよい。
【0053】
次に、得られたCGH原版1から、体積型ホログラムを作製する方法の第2実施形態を示す。まず、図10に示す本発明の第2実施形態について説明する。図10(a)はCGH原版1から1段目のH1ホログラム11を作製する際の撮影配置、図10(b)は1段目のH1ホログラム11から2段目のH2ホログラム21を作製する際の撮影配置を示す図である。
【0054】
図10(a)に示すように、CGH原版1に面してフォトポリマー、銀塩材料等のH1ホログラム記録用感光材料11を配置する。そして、CGH原版1に第1再生照明光3を照射し、第1回折光4を生じさせ、原画像Oの第1再生像O’を結像させると共に、H1ホログラム記録用感光材料11に第1回折光4を入射させる。そして、その第1回折光4と共にH1ホログラム記録用感光材料11の面に入射角θで第1回折光4と可干渉な同一光源からの平行光からなる第1参照光5を同時に入射させ、H1ホログラム記録用感光材料11に第1再生像O’のホログラムを露光する。この際、第1再生照明光3の0次光は、H1ホログラム記録用感光材料11に被らないようにするとノイズが減り好ましい。そして、このホログラムが露光されたH1ホログラム記録用感光材料11を後処理してH1ホログラム11を作製する。ここで、H1ホログラム記録用感光材料11とH1ホログラム11を同じ符号11で示す。
【0055】
次に、図10(b)に示すように、得られたH1ホログラム11に面してフォトポリマー、銀塩材料等のH2ホログラム記録用感光材料21を配置し、記録のときの第1参照光5と共役な第2再生照明光6をH1ホログラム11に対して記録のときの第1参照光5が入射する側とは反対側から入射させる。この際第2再生照明光6の0次光は、H2ホログラム記録用感光材料21に被らないようにするとノイズが減り好ましい。
【0056】
すると、H1ホログラム11から第2回折光7が生じ、その第2回折光7と共にH2ホログラム記録用感光材料21の面に所定の入射角で第2回折光7と可干渉な同一光源からの平行光からなる第2参照光8を同時に入射させ、H2ホログラム記録用感光材料21に第2再生像O’’のホログラムを露光する。この際、H2ホログラム21を透過型とする場合第2参照光8を第2回折光7と同じ側から入射させ、H2ホログラム21を反射型とする場合第2参照光8を第2回折光7と反対側から入射させる。このホログラムが露光されたH2ホログラム記録用感光材料21を後処理してH2ホログラム21を作製する。ここで、H2ホログラム記録用感光材料21とH2ホログラム21を同じ符号21で示す。
【0057】
図11は、反射型として作製したH2ホログラム21からそれと同一特性のH3ホログラム31を複製する際の撮影配置を示す図である。図11に示すように、体積型反射ホログラムからなるH2ホログラム21にフォトポリマー等の体積型のH3ホログラム記録用感光材料31を密着するかあるいは屈折率整合液を介して密着させて配置する。次に、H3ホログラム記録用感光材料31側からH2ホログラム21に、図9に示したH2ホログラム作製時の第1参照光5又は図10に示したH2ホログラム作製時の第2参照光8と共役な第3再生照明光9をH2ホログラム作製時の第2参照光8が入射する側とは反対側から入射させる。そして、H3ホログラム記録用感光材料31に入射した第3再生照明光9とH2ホログラム21からの1次回折光とをH3ホログラム記録用感光材料31中で干渉させてH3ホログラム記録用感光材料31にH2ホログラム21を複製する。
【0058】
このように、現実の物体を使用せずに、簡単な方法でホログラムを作製することができる。さらに、コンピュータにより原画像を作製することができるので、微細な構造でデザイン性やセキュリティー性に優れたホログラムを作製することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、CGH原版1として白色光の下でフルカラーの画像再生が可能な計算機合成ホログラム1を用い、1段目のH1ホログラム11作製時に第1再生照明光3の波長を順に変えて各波長に対応する複数の1段目のH1ホログラム11を作製し、2段目のH2ホログラム21の作製時に、各波長に対応する複数の1段目のH1ホログラム11を入れ替えながら対応する波長の第2再生照明光6を入射することで、1層の2段目のH2ホログラム記録用感光材料21中にそれぞれの波長に対応するホログラムを多重記録するか、又は、それぞれの波長に対応する別々の2段目のH2ホログラム記録用感光材料21中にそれぞれの波長に対応するH2ホログラム21を記録することで多層記録するとよい。
【0060】
また、CGH原版1として白色光の下でフルカラーの画像再生が可能なCGH原版1を用い、1段目のH1ホログラム11作製時に、異なる波長にそれぞれ感度をもつ複数のH1ホログラム記録用感光材料11を一体に積層し、異なる波長にそれぞれ対応する第1再生照明光3を同時に照射して、記録し、2波長以上の再生が可能な1段目のH1ホログラム11を作製し、2段目のH2ホログラム21の作製時に、異なる波長にそれぞれ感度をもつ複数のH2ホログラム記録用感光材料21を一体に積層し、異なる波長にそれぞれ対応する第2再生照明光6を1段目のH1ホログラム11に同時に照射して、記録し、2波長以上の再生が可能な2段目のH2ホログラム21を作製してもよい。
【0061】
また、CGH原版1として複数の異なる波長のCGH原版1を用い、1段目のH1ホログラム11作製時に第1再生照明光3の波長を順に変えて各波長に対応する複数の1段目のH1ホログラム11を作製し、2段目のH2ホログラム21の作製時に、各波長に対応する複数の1段目のH1ホログラム11を入れ替えながら対応する波長の第2再生照明光6を入射することで、1層の2段目のH2ホログラム記録用感光材料21中にそれぞれの波長に対応するH2ホログラム21を多重記録するか、又は、それぞれの波長に対応する別々の2段目のH2ホログラム記録用感光材料21中にそれぞれの波長に対応するホログラムを記録することで多層記録してもよい。
【0062】
さらに、CGH原版1として白色光の下でフルカラーの画像再生が可能なCGH原版1を用い、1段目のH1ホログラム11作製時に、波長の異なる第1再生照明光3を同時に照射して、1層のH1ホログラム記録用感光材料11中に多重記録して、2波長以上の再生が可能な1段目のH1ホログラム11を作製し、2段目のH2ホログラム21の作製時に、波長の異なる第2再生照明光6を1段目のH1ホログラム11に同時に照射して、1層の2段目のH2ホログラム記録用感光材料21中にそれぞれの波長に対応するH2ホログラム21を多重記録して、2波長以上の再生が可能なH2ホログラム21としてもよい。
【0063】
これにより、デザイン性やセキュリティー性がさらに拡張されたホログラムを作製することができる。
【0064】
さらに、このように作製されたホログラムをカード、ブランドプロテクションラベル、紙幣、パスポート、シール、携帯用シール又は商品券等のセキュリティー媒体に用いることができる。
【0065】
これにより、セキュリティー媒体のデザイン性やセキュリティー性がさらに向上する。
【0066】
以上、本発明のホログラム作製方法を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施形態に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】計算機合成ホログラムの記録方法の概念を示す斜視図である。
【図2】図1の演算処理の概念に基づく具体例を示す図である。
【図3】干渉波強度分布から二値画像を得る概念を示す図である。
【図4】記録面状に格子状に配列された領域を示す図である。
【図5】各領域の5値化された干渉縞強度を示す図である。
【図6】二値パターンの構成を示す図である。
【図7】他の二値パターンの構成を示す図である。
【図8】本実施形態により得られる二値画像を示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態を示す図である。
【図11】第3のホログラムを示す図である。
【図12】従来の技術を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1…CGH原版(計算機合成ホログラム)、CGH原版用記録媒体
3…第1再生照明光
4…第1回折光
0…0次光
5…第1参照光
6…第2再生照明光
7…第2回折光
8…第2参照光
9…第3再生照明光
10…原画像
20…記録面
11…H1ホログラム、H1ホログラム記録用感光材料(1段目のホログラム記録材料)
21…H2ホログラム、H2ホログラム記録用感光材料(2段目のホログラム記録材料)
31…H3ホログラム、H3ホログラム記録用感光材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算機を用いた演算により所定の記録面上に振幅情報と位相情報を記録し、直交する二次元方向に視差を有する計算機合成ホログラムを作製し、前記計算機合成ホログラムに第1再生照明光を照射して、前記計算機合成ホログラムから第1回折光を生じさせ第1再生像を再生させると共に、ホログラム記録材料に前記第1回折光と第1参照光を同時に入射させて反射型あるいは透過型の体積型ホログラムとして記録することを特徴とするホログラム作製方法。
【請求項2】
前記第1再生像を前記計算機合成ホログラムと離間した位置に再生させると共に、前記ホログラム記録材料を前記第1再生像近傍に配置したことを特徴とする請求項1に記載のホログラム作製方法。
【請求項3】
前記第1再生照明光の0次光は、前記ホログラム記録材料と被らないようにすることを特徴とする請求項1又は2に記載のホログラム作製方法。
【請求項4】
前記計算機合成ホログラムとして白色光の下でフルカラーの画像再生が可能な計算機合成ホログラムを用い、前記ホログラム記録材料は、前記第1再生照明光の波長を順に変えて1層の前記ホログラム記録材料中に多重記録するか、又は、前記第1再生照明光の波長を変える毎に別々の前記ホログラム記録材料中に記録された複数の異なる波長のホログラム層を一体に積層するかして、2波長以上の再生が可能なホログラムとすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のホログラム作製方法。
【請求項5】
前記計算機合成ホログラムとして白色光の下でフルカラーの画像再生が可能な計算機合成ホログラムを用い、前記ホログラム記録材料は、異なる波長にそれぞれ感度をもつ複数のホログラム記録材料を一体に積層し、前記異なる波長にそれぞれ対応する第1再生照明光を同時に照射し記録して、2波長以上の再生が可能なホログラムとすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のホログラム作製方法。
【請求項6】
前記計算機合成ホログラムとして複数の異なる波長の計算機合成ホログラムを用い、前記ホログラム記録材料は、前記第1再生照明光の波長を順に変えて1層の前記ホログラム記録材料中に多重記録するか、又は、前記第1再生照明光の波長を変える毎に別々の前記ホログラム記録材料中に記録された複数の異なる波長のホログラム層を一体に積層するかして、2波長以上の再生が可能なホログラムとすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のホログラム作製方法。
【請求項7】
前記第1再生像を再生させ、前記第1再生像近傍に配置した1段目のホログラム記録材料に前記第1回折光と第1参照光を同時に入射させて1段目のホログラムを記録し、記録した前記1段目のホログラムに第2再生照明光を照射して、前記1段目のホログラムから第2回折光を生じさせ第2再生像を再生させ、前記第2再生像近傍に配置した2段目のホログラム記録材料に前記第2回折光と第2参照光を同時に入射させて2段目のホログラムを反射型あるいは透過型の体積型ホログラムとして記録することを特徴とする請求項1記載のホログラム作製方法。
【請求項8】
前記第1再生照明光の0次光は前記1段目のホログラムに非入射又は第2再生照明光の0次光は2段目のホログラムに非入射の少なくとも一方とすることを特徴とする請求項7記載のホログラム作製方法。
【請求項9】
前記計算機合成ホログラムとして白色光の下でフルカラーの画像再生が可能な計算機合成ホログラムを用い、前記1段目のホログラム作製時に第1再生照明光の波長を順に変えて前記各波長に対応する複数の1段目のホログラムを作製し、2段目のホログラムの作製時に、前記各波長に対応する複数の1段目のホログラムを入れ替えながら対応する波長の第2再生照明光を入射することで、1層の2段目のホログラム記録材料中にそれぞれの波長に対応するホログラムを多重記録するか、又は、それぞれの波長に対応する別々の2段目のホログラム記録材料中にそれぞれの波長に対応するホログラムを記録することで多層記録することを特徴とする請求項7又は8に記載のホログラム作製方法。
【請求項10】
前記計算機合成ホログラムとして白色光の下でフルカラーの画像再生が可能な計算機合成ホログラムを用い、前記1段目のホログラム作製時に、異なる波長にそれぞれ感度をもつ複数のホログラム記録材料を一体に積層し、前記異なる波長にそれぞれ対応する第1再生照明光を同時に照射して、記録し、2波長以上の再生が可能な前記1段目のホログラムを作製し、前記2段目のホログラムの作製時に、異なる波長にそれぞれ感度をもつ複数のホログラム記録材料を一体に積層し、前記異なる波長にそれぞれ対応する前記第2再生照明光を前記1段目のホログラムに同時に照射して、記録し、2波長以上の再生が可能な前記2段目のホログラムを作製することを特徴とする請求項7又は8に記載のホログラム作製方法。
【請求項11】
前記計算機合成ホログラムとして複数の異なる波長の計算機合成ホログラムを用い、前記1段目のホログラム作製時に第1再生照明光の波長を順に変えて前記各波長に対応する複数の1段目のホログラムを作製し、2段目のホログラムの作製時に、前記各波長に対応する複数の1段目のホログラムを入れ替えながら対応する波長の第2再生照明光を入射することで、1層の2段目のホログラム記録材料中にそれぞれの波長に対応するホログラムを多重記録するか、又は、それぞれの波長に対応する別々の2段目のホログラム記録材料中にそれぞれの波長に対応するホログラムを記録することで多層記録することを特徴とする請求項7又は8に記載のホログラム作製方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項記載のホログラム作製方法により作製されたことを特徴とするホログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のホログラムを用いたことを特徴とするセキュリティー媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−250054(P2008−250054A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92281(P2007−92281)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】