ホログラム記録再生装置、ホログラム記録再生媒体の温度検出装置、およびホログラム記録再生媒体の温度検出方法
【課題】 ホログラム記録再生媒体の温度を検出する。
【解決手段】 ホログラフィを利用してホログラム記録層13に情報を記録するホログラム記録再生媒体10の温度検出装置において、ホログラム記録層13に所定の入射角度θ0で入射し、ホログラム記録層13を透過する光ビームBTを出射する光源Lと、ホログラム記録層13を透過した光ビームを受光するフォトディテクタDと、を備え、フォトディテクタDで受光される光ビームBTの位置の変化からホログラム記録再生媒体の温度検出するようにした。
【解決手段】 ホログラフィを利用してホログラム記録層13に情報を記録するホログラム記録再生媒体10の温度検出装置において、ホログラム記録層13に所定の入射角度θ0で入射し、ホログラム記録層13を透過する光ビームBTを出射する光源Lと、ホログラム記録層13を透過した光ビームを受光するフォトディテクタDと、を備え、フォトディテクタDで受光される光ビームBTの位置の変化からホログラム記録再生媒体の温度検出するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィを利用して情報が記録されるホログラム記録再生装置、ホログラム記録再生媒体の温度検出装置およびホログラム記録再生媒体の温度検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、超高密度光記録再生のために、記録再生媒体の厚み方向も積極的に活用し、2次元の情報を1ページとするページデータの干渉パターンを、3次元的に一度に記録し、再生をするホログラフィックメモリが注目を集めている。このようなホログラフィックメモリは、高記録密度で高転送速度が実現可能な記録再生方式としてその応用範囲は、民生分野、産業分野での広範囲な応用が期待されている。
【0003】
ホログラフィックメモリでは、同一の光源からのレーザ光を、記録すべき記録信号で変調を受けた信号光と参照光とに分割して記録再生媒体に照射して、信号光と参照光との干渉縞に応じた回折格子を記録再生媒体に形成させる。そして、このようにして形成された回折格子に参照光を照射して再生光を得て、この再生光から、記録された信号を復調することができるものである。
【0004】
このようなホログラフィックメモリに用いる記録再生媒体(ホログラムメディア)として、フォトポリマーが注目されている。フォトポリマーは、安価に記録再生媒体が作成できることや、その耐久性、高感度性などからその採用が精力的に検討されている。
【0005】
しかしながら、ホログラフィックメモリにフォトポリマーを用いた場合には、温度変化によって膨張や収縮、又は屈折率変化などが生じてしまう。それによって記録再生媒体に形成された回折格子の角度変化や格子間隔の変化が生じてしまう。したがって、例えば、記録時点における温度と再生時点における温度が異なる場合には、温度変化量を検知して、例えば、再生条件を補償しなければ高精度の記録再生が困難となる。
【0006】
収縮や熱膨張などのディメンジョン変化を検知する方式としては、再生光に含まれるサーボ用の信号をCCD(電荷結合素子)などの2次元光検知素子を配置することによって収縮や熱膨張などのディメンジョン変化を間接的に検知するという方式が提案されている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2002−216359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示された方式を用いた場合には、直接に記録再生媒体の温度を知ることが困難であり、また、記録時においては記録再生媒体の温度を検知できず、さらに、記録された記録信号が含まれる再生光を復調しなければならず、装置が複雑化するという問題がある。
【0008】
また、サーミスタや熱伝対などの温度センサを用いることも考えられるが、回転する記録再生媒体の温度を直接に測定することは困難である。そこで、記録再生媒体の配置された雰囲気の温度を測定することが考えられるが、この場合には、記録再生媒体の温度と雰囲気温度とが平衡状態に達する所定の時間を経過した後でなければ正確なメディアの温度を検知できず、特に、記録再生媒体がリムーバブル媒体である場合には、正確な記録再生媒体の温度検出が困難であるという問題が生じている。
【0009】
以上のような事情に鑑み本発明はなされたものであり、本発明は、記録時、再生時を問わず、記録再生装置に頻繁に着脱するリムーバブルな記録再生媒体においても、高速に記録再生媒体の温度を検出できる、ホログラム記録再生装置、ホログラム記録再生媒体の温度検出装置およびホログラム記録再生媒体の温度検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のホログラム記録再生媒体の温度検出装置は、ホログラフィを利用してホログラム記録層に情報を記録するホログラム記録再生媒体の温度検出装置において、ホログラム記録層に所定の入射角度で入射し、ホログラム記録層を透過する光ビームを出射する光源と、ホログラム記録層を透過した光ビームを受光するフォトディテクタと、フォトディテクタで受光される光ビームの変化からホログラム記録層の温度を検出する演算器と、を具備する。
【0011】
このホログラム記録再生媒体の温度検出装置は、ホログラム記録層に所定の入射角度で入射し、ホログラム記録層を透過する光ビームを出射する光源を備える。この光源からの光ビームがホログラム記録層を透過する際に温度変化に応じて光ビームの進路が変えられる。そして、ホログラム記録層を透過した光ビームを受光するフォトディテクタを備え、光ビームの進路の変化は、フォトディテクタで検出される。そして、演算器がフォトディテクタで受光される光ビームの変化からホログラム記録層の温度を検出する。
【0012】
本発明のホログラム記録再生装置は、サーボ用光ビームを用いるサーボ手段によって記録媒体に配されたホログラム記録層の所定の位置に記録用光ビームを集光させて情報を記録し、または、ホログラム記録層に再生用光ビームを集光させて前記情報を再生するホログラム記録再生装置であって、ホログラム記録層に所定の入射角度で入射し、ホログラム記録層を透過する温度検出用光ビームを出射する光源と、ホログラム記録層を透過した、温度検出用光ビームを受光するフォトディテクタと、フォトディテクタで受光される光ビームの変化からホログラム記録層の温度を検出する演算器と、を具備する。
【0013】
このホログラム記録再生装置は、サーボ手段によって記録媒体に配されたホログラム記録層の所定の位置に記録用光ビームを集光させて情報を記録し、または、再生用光ビームを集光させて前記情報を再生する。そして、このような装置で、さらに、温度検出用光ビームを出射する光源と、温度検出用光ビームを受光するフォトディテクタと、を具備する。そして、温度検出用光ビームは、ホログラム記録層に所定の入射角度で入射し、ホログラム記録層を透過する際に温度変化に応じて光ビームの進路が変えられる。また、ホログラム記録層を透過した度検出用光ビームを受光するフォトディテクタで、温度検出用光ビームの進路の変化が検出される。そして、演算器がフォトディテクタで受光される光ビームの変化からホログラム記録層の温度を検出する。
【0014】
本発明のホログラム記録再生媒体の温度検出方法は、ホログラフィを利用してホログラム記録層に情報を記録するホログラム記録再生媒体の温度検出方法において、ホログラム記録層に所定の角度で光ビームを入射し、ホログラム記録層を透過した光ビームをフォトディテクタで受光し、フォトディテクタで受光される光ビームの変化に基づいてホログラム記録層の温度を検出する。
【0015】
このホログラム記録再生媒体の温度検出方法は、ホログラム記録層に所定の角度で光ビームを入射する。このとき、を透過する際に温度変化に応じて光ビームの進路が変えられる。そして、ホログラム記録層を透過した光ビームをフォトディテクタで受光し、これにより、ホログラム記録層の温度を検出する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のホログラム記録再生装置、ホログラム記録再生媒体の温度検出装置、およびホログラム記録再生媒体の温度検出方法では、ホログラム記録層を透過する光ビームの進路の変化をフォトディテクタによって検出し、記録時、再生時を問わず記録再生媒体の温度を検出できる。また、記録再生装置に頻繁に着脱するリムーバブルな記録再生媒体においても、高速に記録再生媒体の温度を検出できる。そして、正確で容易にホログラム記録再生媒体の温度検出が可能なホログラム記録再生装置、ホログラム記録再生媒体の温度検出装置、およびホログラム記録再生媒体の温度検出方法の提供ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0018】
(記録再生媒体の構造)
まず、図1にホログラフィックメモリに用いるホログラム記録再生媒体10を示す。図1はホログラム記録再生媒体10の断面図であり、図面の上方から、光ビームは照射される。
【0019】
ホログラム記録再生媒体10は、反射防止膜11、プラスチック基板12、ホログラム記録層13、ギャップ層14、ダイクロイック層15、ギャップ層16、グルーブ17、プラスチック基板18によって形成されている。
【0020】
反射防止膜11は、メディア表面からの反射を防ぎ、レーザ光源への戻り光が発生することを防止し、さらに迷光の発生を防止するためのものである。また、プラスチック基板12は、ホログラム記録層13を保護する役目を果たしている。プラスチック基板12を構成する材料であるプラスチックをガラスに置き換えても同様の作用を奏するものである。
【0021】
また、ホログラム記録層13は、回折格子が形成される部分であり、本実施形態においては、フォトポリマーが採用されている。ギャップ層14は、ホログラム記録層13とダイクロイック層15の間に設けられており、この層を設けることによってダイクロイック層15で反射するホログラム記録再生用ビームとプラスチック基板18の表面で反射するサーボ用光ビームとのフォーカスの位置を変化させている。ダイクロイック層15は、波長選択特性を有し、ホログラム記録再生用ビームを反射し、これと異なる波長のサーボ用光ビームを透過させるようになされている。
【0022】
また、ギャップ層16は、ダイクロイック層15とプラスチック基板18との間にギャップを設けるためのものである。グルーブ17はプラスチック基板に配された溝であり、アルミ反射膜がグルーブ17の凹凸の面に配されている。グルーブ17はトラッキングサーボを行い、アドレスを検出できるように所定のフォーマットの形状とされている。
【0023】
ホログラム記録再生媒体10は、このような構造を有するので、サーボ用光ビーム(例えば、波長660nmのコヒーレント光)とホログラム記録再生用ビーム(例えば、波長407nmまたは532nmのコヒーレント光)との2つの波長をホログラム記録再生媒体10に照射する場合において、サーボ用光ビームとホログラム記録再生用ビームとを分離して、グルーブ17とホログラム記録層13に作用させることが可能となる。
【0024】
すなわち、ホログラム記録再生用ビーム(波長407nm)はダイクロイック層15より下の層に届かないようにされている。そのために、記録時においては、アルミ反射膜が配されたグルーブ17からの波長407nmの戻り光が反射して、再び、ホログラム記録層13に作用することがない。これによって、グルーブ17からの戻り光が混入することなく、精度良く回折格子が形成される。また、再生時においては、アルミ反射膜が配されたグルーブ17からの戻り光が、ホログラム記録層13に形成された回折格子からの再生光に混入することがなく高品位の再生光が得られる。図1においては、ホログラム記録再生用ビームには符号29を付して模式的にあらわしている。
【0025】
一方サーボ用光ビーム(波長660nm)は、ダイクロイック層15を透過して、グルーブ17に配されたアルミ反射膜に到達した後に反射した戻り光からアドレス信号やサーボ用のエラー信号が得られる。図1においては、サーボ用光ビームには符号30を付して模式的にあらわしている。
【0026】
ここで、波長660nmのコヒーレント光は、いわゆる赤色レーザダイオードによって得ることができ、波長407nmのコヒーレント光は、いわゆる青色レーザダイオードによって得ることができ、波長532nmのコヒーレント光は、Nd−YAGの第二高調波として得るこができる。
【0027】
次に、ホログラム記録層13の材料としてフォトポリマーを用いた場合の温度に対する特性を図2、図3に示す。図2は、温度に対するフォトポリマーの屈折率の変化を示し、図3は、温度に対するフォトポリマーの膨張率の変化を示すものである。
【0028】
図2に示すように、フォトポリマーの屈折率は、温度の上昇とともに、略比例して小さくなり、その比例定数は、約0.0004/℃である。また、図3に示すように、フォトポリマーの膨張率は、温度の上昇とともに、略比例して大きくなり、その比例定数は、約0.0006/℃である。これらの特性に基づいて、ホログラム記録層13の温度を検出することができる。以下に、その詳細を説明する。
【0029】
(第1実施形態の温度検出装置)
図4に沿って第1実施形態の温度検出装置の原理を説明する。なお、図4は、原理を示す模式図であり、図面に表された各部の大きさの比率は、実際のホログラム記録再生媒体10におけるものとは異なるものである。
【0030】
温度検出用の光源Lから発せられた温度検出用の光ビームは、ホログラム記録再生媒体10へ、垂直面(図4の表面から裏面へ伸びる平面)に対する所定の入射角度θ0で入射され、ホログラム記録再生媒体10で反射され、その反射光は、後述する2分割フォトディテクタDで検出される。ここで、温度検出用の光ビームは、2分割フォトディテクタDで検出するに適したスポット径となるような、収束光または拡散光であっても良いが、例えば、第1実施形態においては、5〜100μm(マイクロメータ)の直径を有する断面が円形の平行光を用いている。
【0031】
また、本実施形態においては回折現象を用いて温度を検出するものではないので、インコヒーレント光を温度検出用の光ビームとして用いても良いが、例えば、第1実施形態では、波長660nmのレーザ光を用いている。
【0032】
図4において、符号BT1を付された実線、符号BT2を付された破線は、光源Lから出射された平行光の仮想的な、各々1本の光ビームの軌跡を示すものである。光ビームBT1は、ホログラム記録層13の温度が温度T1の場合の仮想的な1本の光ビームを示し、光ビームBT2は、ホログラム記録層13の温度が温度T2の場合の仮想的な1本の光ビームを示している。
【0033】
光ビームBT1および光ビームBT2は、図4の紙面上を進行し、この紙面は、ホログラム記録再生媒体10の平面(図4の紙面の表面から裏面に伸びる面)と直交している。また、この紙面およびホログラム記録再生媒体10の平面の両方に直交する図4の紙面の表から裏に伸びる、上述した垂直面に対しては、光ビームは所定の角度を有して入射しており、この角度を入射角度θ0で表す。
【0034】
このような入射角度θ0で入射した光ビームは、反射防止膜11、プラスチック基板12、ホログラム記録層13、ギャップ層14、ダイクロイック層15、ギャップ層16、グルーブ17の各々において、隣り合う層と屈折率が異なる場合には、実際には、各層の境界で光ビームの角度は、スネル(Snell)の法則にしたがって変化するが、本実施形態においては、ホログラム記録層13のみに注目しており、また、それ以外の層の屈折率変化は相対的に影響が小さい。よって、説明を簡単にして、本実施形態の温度検出装置の動作原理を明確にするために、ホログラム記録層13以外の層の屈折率は1として、温度による屈折率の変化の変化も存在しないものとして図4は作図されている。
【0035】
ホログラム記録層13の温度が温度T1の場合の光ビームBT1は、スネルの法則にしたがって、ホログラム記録層13に入射する境界面で屈折(入射角度θ0→出射角度θ1)し、ホログラム記録層13から出射する境界面で屈折(入射角度θ1→出射角度θ2)する。そして、アルミ反射膜が配されたグルーブ17で反射され、再び、ホログラム記録層13に入射する境界面で屈折(入射角度θ2→出射角度θ1、図示せず)し、ホログラム記録層13から出射する境界面で屈折(入射角度θ1→出射角度θ0、図示せず)する。
【0036】
そして、光ビームBT1は、アルミ反射膜が配されたグルーブ17から距離Wdmの長さ離間した位置である投影位置Pt1に照射される。
【0037】
また、ホログラム記録層13の温度が温度T2の場合の光ビームBT2は、ホログラム記録層13の屈折率が変化するので温度T1のときとは光路(進路)が異なるものとなり、その光路は、同様にスネルの法則にしたがって、ホログラム記録層13に入射する境界面で屈折(入射角度θ0→出射角度θ1´)し、ホログラム記録層13から出射する境界面で屈折(入射角度θ1´→出射角度θ2´)する。そして、アルミ反射膜が配されたグルーブ17で反射され、再び、ホログラム記録層13に入射する境界面で屈折(入射角度θ2´→出射角度θ1´、図示せず)し、ホログラム記録層13から出射する境界面で屈折(入射角度θ1´→出射角度θ0´、図示せず)する。そして、光ビームBT2は、アルミ反射膜が配されたグルーブ17から距離Wdmの長さ離間した位置である投影位置Pt2に照射される。
【0038】
すなわち、ホログラム記録層13の温度変化に応じた屈折率の変化は、光ビームが照射される位置の変化として検出することが可能である。
【0039】
なお、グルーブ17に照射される光ビームの断面の直径は5〜100μm程度であるのに対してグルーブ17のピッチおよびグルーブ17の凹凸はその1/数10〜1/数100程度にされているので、グルーブ17からの反射光がグルーブ17のグルーブ形状によって変化を受けることはない。
【0040】
また、温度が変化するとホログラム記録層13の厚みLの大きさも変化するため、その影響によっても同様に出射後のビームの位置がずれる。反射防止膜11、プラスチック基板12、ホログラム記録層13、ギャップ層14、ダイクロイック層15、ギャップ層16、グルーブ17の各々においても、実際には、各々の層の厚みが変化するが、本実施形態においては、ホログラム記録層13のみに注目しており、それ以外の層の温度による厚みの変化はあまり大きな影響を与えないので、説明を簡単にして、本実施形態の原理を明確にするために、上述したように、ホログラム記録層13以外の層の屈折率を1とすることによって、ホログラム記録層13以外の層の厚みの変化は考慮から除外している。
【0041】
図4においては、光ビームの光路を描くことによって、投影位置Pt1が投影位置Pt2に移動することを示したが、上述のホログラム記録層13の屈折率と、ホログラム記録層13の厚みLと、光ビームのシフト量Δt(図4の投影位置Pt1と投影位置Pt2との距離に対応する)との関係は、(式1)で表される。この式はスネルの法則を元に導き出されたものである。
【0042】
(式1)
Δt=2L×[tan{Arcsin(n0/n1×sinθ0)}
−(1+ψ)×tan{Arcsin(n0/n2×sinθ0)}]
【0043】
(式1)において、空気中の屈折率をn0、ホログラム記録層13の温度T1における屈折率をn1、温度T2における屈折率をn2、ホログラム記録再生媒体10への入射角を入射角度θ0、温度T1におけるホログラム記録層13の厚みをL、温度T2におけるホログラム記録層13の厚みを(1+ψ)Lとするものである。すなわち、シフト量Δtは、温度T1における屈折率と温度T2における屈折率n1、屈折率n2と、温度T1におけるホログラム記録層13の厚みLと温度T2におけるホログラム記録層13の厚み(1+ψ)Lと、入射角度θ0との関数となっている。
【0044】
なお、(式1)を計算するには、各々の温度に対する屈折率および厚みLの値を、ホログラム記録層13ごと(すなわち、ホログラム記録再生媒体10ごと)に知ることが必要となる。このために、ホログラム記録再生媒体10の所定の領域、例えば、ベンダーユニーク情報としてヘッダ領域、の一部に記録されており、これらの情報は、容易に知ることができるようになされている。
【0045】
また、各温度、例えば、温度T1、温度T2ごとに、これらの情報をベンダーユニーク情報として記憶させるのではなく、初期温度における屈折率および膨張率と、温度の変化に対する屈折率の変化の割合および温度の変化に対する厚みLの変化の割合をベンダーユニーク情報として記憶させておけば、より少ないデータ量のベンダーユニーク情報から(式1)を計算することができる。
【0046】
図5に、このシフト量Δtに応じた電気信号を検出する2分割フォトディテクタDを示す。この2分割フォトディテクタDからの信号を演算して差電圧Vdを検出することによって、ホログラム記録層13の温度変化を導くことが可能となる。なお、2分割フォトディテクタDの詳細は後述する。
【0047】
ここで、ホログラム記録層13の温度検出の原理を簡単に説明する。まず、初期の所定の初期温度Tiにおける2分割フォトディテクタDからの差電圧Vdの値である初期差電圧Vdiが予め分かっているとする。このとき、ある未知の温度における差電圧Vdを求めた後、初期差電圧Vdiとこの差電圧Vdとの誤差である誤差差電圧ΔVdを求め、誤差差電圧ΔVdに対応するシフト量Δtをさらに求め、(式1)に代入することによって、ホログラム記録層13の初期温度Tiからの温度の変化量を知り、初期温度Tiにこの温度の変化量を加算してホログラム記録層13の温度を知ることができることとなる。
【0048】
しかしながら、上述の手続きは煩雑であるので、予め、(式1)と、光スポットS(図5参照)の変位に対する2分割フォトディテクタDの出力電圧特性と、を掛け算しておき、2分割フォトディテクタDからの差電圧Vdの値から温度変化を求めるのが、より簡便である。図6は、このような目的に沿って、2分割フォトディテクタDからの差電圧Vdの値と温度変化との関係を実測した一例である。
【0049】
図6は、ホログラム記録層13として、フォトポリマーを用いた場合の差電圧Vdと初期温度Tiからの温度変化との関係を示す。ホログラム記録層13として、フォトポリマーを用いる場合には、差電圧Vdの大きさは温度の上昇に伴って単調に増加する1価関数であるので、1つの差電圧Vdに対して必ず1の温度変化の値が対応する。
【0050】
そして、図6から明らかなように、差電圧Vdの値を検出して、その差電圧Vdに対応する温度変化を求め、その温度変化の大きさに初期温度Tiを加算することによって、ホログラム記録層13の温度を知ることが可能となる。ここで、差電圧Vdは正負いずれの値も採るものである。例えば、差電圧Vdが負の値である場合には、ホログラム記録層13の温度は、初期温度Tiよりも低く、差電圧Vd1が正の値である場合には、ホログラム記録層13の温度は、初期温度Tiよりも高いものである。また、初期温度Tiにおける差電圧Vdの値である初期の差電圧Vdiの値は、この場合には0Vとされている。
【0051】
図5に沿って、2分割フォトディテクタDの説明をする。図5には、光スポットSが、照射されている状態を模式的に示す。2分割フォトディテクタDはフォトディテクタDAとフォトディテクタDBとの2つのディテクタから構成され、各々のフォトディテクタからは照射される光量に応じた電気信号を取り出すことができる。そして、光スポットが、ホログラム記録層13の屈折率または厚みの変化に応じて、図5の矢印の方向に移動するようにフォトディテクタDは温度検出装置において配置されている。また、フォトディテクタの大きさは、この移動する光スポットSを受光できる面積があれば十分である。
【0052】
このような2分割フォトディテクタDから得られる差電圧Vdは、(式2)の演算によって得られる。ここで、電圧Vdaは、フォトディテクタDAから検出される電圧であり、電圧Vdbは、フォトディテクタDBから検出される電圧である。
【0053】
(式2)
Vd=(Vda−Vdb)/(Vda+Vdb)
【0054】
(式2)において、電圧Vdaから電圧Vdbを引き算して、電圧Vdaと電圧Vdbとの和で割り算をしたのは、電圧Vdaと電圧Vdbとの和で規格化することによって、温度検出用の光ビームの光源Lからの光量の変化、ホログラム記録再生媒体10からの反射光量の変化があったとしても差電圧Vdの大きさが変化しないようにして正しい光スポットSの移動量、すなわち、正しい温度が検出できるようにするためである。
【0055】
(式2)で検出された差電圧Vdの値は演算器(図示せず)に入力され、温度に変換される。ここで、演算器は、例えば、差電圧Vdから温度を出力するテーブルまたは、CPU(セントラルプロセッシングユニット)によって、所定の計算式に基づき、差電圧Vdを入力として温度を出力とするものであっても良い。
【0056】
第1実施形態の温度検出装置において、2分割フォトディテクタDを、どのように配置するかについて、再び図4を参照して説明する。2分割フォトディテクタDの光検出面と、ホログラム記録再生媒体10の平面とは対抗して、距離Wdmの長さ離間して略平行に配置されている。そして、フォトディテクタDAとフォトディテクタDBとを分割する線は、図4の紙面に直交し、紙面の表面から裏面へ伸びている。
【0057】
ここで、フォトディテクタDAまたはフォトディテクタDBのいずれを光源Lに近い側に配置するかによって、差電圧Vdの極性が定まる。フォトディテクタDBを光源Lに近い側に配置すると、図2および図3に示す特性を有するフォトポリマーを用いたホログラム記録層13では、温度が上昇するに従って、光スポットSは光源Lからより離れる方向に移動し、フォトディテクタDAからの電気信号の大きさはより大きく、フォトディテクタDBからの電気信号の大きさはより小さくなり、(式2)の演算の結果として、差電圧Vdはより正方向に大きくなる。したがって、このような配置を採るときには、差電圧Vdの値が正である場合には初期温度Tiよりも高い温度が演算の結果ホログラム記録層13の温度として検出され、差電圧Vdの値が負である場合には初期温度Tiよりも低い温度が演算の結果ホログラム記録層13の温度として検出されることとなる。
【0058】
次に、このような温度検出装置の特性について説明する。温度の変化に対する差電圧Vdの変化の量(S)とノイズ(N)との比であるS/N比は、どれだけ細かく温度変化を検出できるかの分解能をあらわすものであって、温度検出用の光ビームの直径、温度検出用の光ビームの強度、2分割フォトディテクタDの大きさ、2分割フォトディテクタDのディテクタ間距離に依存しており、温度検出用の光ビームの直径および温度検出用の光ビームの強度が大きくなるほど、S/N比は大きくなる。また、2分割フォトディテクタDの大きさは、温度検出用の光ビームの直径が大きくなるほど大きくして、温度検出用の光ビームが2分割フォトディテクタDで検出されるようにしなければならないが、過度に大きくすると、検出信号以外の迷光を検出してノイズ(N)レベルを上げてS/N比を悪化させることとなる。
【0059】
一方、差電圧Vdの変化の量と温度の変化の量との比である感度は、温度検出用の光ビームの入射角度θ0に依存している。本実施形態においては、入射角度θ0は20〜60(°)の範囲としている。ここで、入射角度θ0が大きくなると、感度が高くなるが、2分割フォトディテクタDの大きさも大きくなり、検出信号以外の迷光を検出してノイズ(N)レベルを上げる傾向があり、上述の範囲が望ましい範囲である。
【0060】
(第2実施形態の温度検出装置)
第1実施形態の温度検出装置は、2分割フォトディテクタDにおける光スポットSのシフト量に応じて差電圧Vdを検出するものであった。そして、このような検出装置を構成する2分割フォトディテクタDおよび温度検出用の光源Lは、記録再生装置(図示しない)の1部として所定の場所に固定して配置されている。一方、ホログラム記録再生媒体10は、リムーバブルとされている。
【0061】
すなわち、記録再生装置に対して着脱可能とされている。そして、ホログラム記録再生媒体10は、ホログラム記録再生媒体10ごとに各構成部分の厚さが異なり、さらに、ホログラム記録再生媒体10を装置に装着するに際して、装着装置(図示せず)とホログラム記録再生媒体10との関係で、装着時ごとのばらつきが発生する。すなわち、ホログラム記録層13とディテクタとの距離である距離Wdm(図4参照)がホログラム記録再生媒体10ごと、または、装着ごとに変化することとなる。
【0062】
また、発生するチルトの大きさもホログラム記録再生媒体10ごとに、異なる特性を有し、さらに、ホログラム記録再生媒体10の媒体上の位置によってもチルトの大きさ、チルトの方向が異なっている。また、さらに、記録再生装置にホログラム記録再生媒体10を着脱するごとに、装着装置とホログラム記録再生媒体10との位置関係が異なり、チルトの大きさに影響を及ぼすものとなる。
【0063】
ここで、チルトとは、一般的には、記録再生媒体の記録再生面の傾きを言い、照射する光ビームの光軸とホログラム記録層13の平面(記録再生面)とがなす角度の垂直(90°)からのずれを言うものであるが、本実施形態においては、光ビームの入射角度θ0が垂直ではなく、上述した20〜60(°)の範囲の所定の入射角度θ0だけ垂直方向からずらされているので、この所定の入射角度θ0からずれるようなホログラム記録再生媒体10の傾きが有る場合にチルトが発生しているとし、予め定めた所定の光ビームの入射角度θ0からのずれ角度をチルト角度と定義して以下用いる。
【0064】
次に、図7を参照して、距離Wdmが区々となる場合の影響を図によって説明する。2分割フォトディテクタDと光源Lとは記録再生装置に固着されているのでその相対位置は変わることがない。すなわち、2分割フォトディテクタDの分割位置と光源Lとの距離は距離Lldに保たれている。
【0065】
実際には、ホログラム記録再生媒体10の構造および装着装置への装着状態に応じて、距離Wdmは区々となるのであるが、2分割フォトディテクタDおよび光源Lとホログラム記録再生媒体10との相対位置のみが問題となるので、図7においては、説明を分かりやすくするために光源Lが光源L´の位置に移動したとして、距離Wdmが変化することによる影響の説明を行う。光源が光源L´で示す位置に移動する場合には、2分割フォトディテクタDとアルミ反射膜が配されたグルーブ17との間の距離Wdm´の値は、光源が光源Lで示す位置にある場合における距離Wdmの値よりも小さくなる。
【0066】
まず、距離Wdmが予め定められた適正な値である場合には、図7に実線で示す1本の光ビームBTl(この光ビームは、作図上の仮想的な光ビームである)は、アルミ反射膜が配されたグルーブ17で反射して、2分割フォトディテクタDの1点を照射する。この1点を投影位置Ptとして図7に表す。そして、投影位置Ptは、2分割フォトディテクタDの分割線の位置Cs(2分割された、フォトディテクタDAとフォトディテクタDBとの境界の位置、図5を参照)と一致している。すなわち、この1本の光ビームBT1は、光スポットS(図7には図示せず、図5を参照)の中心点であり、上述のように2分割フォトディテクタDの分割線の位置Csに照射される。
【0067】
そして、距離Wdm´の値が距離Wdmの値よりも小さくなると、それに応じて、2分割フォトディテクタDに投影される光ビームの位置は、より温度検出用の光源L´に近い側(投影位置Pt´)に移動する。そして、2分割フォトディテクタDの位置は光源L´から距離Lldの長さだけ常に離間しているので、光スポットSの中心点は、2分割フォトディテクタDの分割線の位置Cs´よりも右側に来てしまう。そして、(式2)に示す演算によって、距離Wdmのときの差電圧Vdの値を差電圧Vdiとすると、距離Wdm´のときには差電圧Vd´となり、その差電圧の値はより小さくなる。すなわち、距離Wdmの値が小さくなると差電圧Vdの値はより小さくなり、距離Wdmの値が大きくなると差電圧Vdの値はより大きくなるように働く。このようにして、温度変化以外の要因で、差電圧Vdが、本来の差電圧Vdiから変化してしまうこととなる。
【0068】
ここで、距離Wdmを変化させる要素は、ディスクを回転させることによるディスクのばたつき、ホログラム記録再生媒体10を構成するプラスチック基板18の厚みのばらつき、および、ホログラム記録再生媒体10を装着装置(図示せず)に装着するときに、その度ごとに区々に変化する、装着装置の表面と、その装着装置の表面に対抗する面であるプラスチック基板18の裏面(図7におけるホログラム記録再生媒体10の最下部面)との間の距離のばらつきとが、主なる要素である。すなわち、装着装置のホログラム記録再生媒体10を装着する装着装置の表面(図示せず)と、アルミ反射膜が配されたグルーブ17との間の距離が大きくなると、距離Wdmの値は小さくなり、装着装置の表面とプラスチック基板18の裏面とが隙間なく密着されている場合に距離Wdmの値は大きくなる。
【0069】
そこで、本実施形態では、装着装置の表面と、2分割フォトディテクタDおよび光源Lとの距離を精度良く確保するとともに、プラスチック基板18の厚みを十分に管理し、装着装置に関しても、装着時における誤差が少なくなるようにしている。
【0070】
次に、図8を参照して、チルトの影響を図によって説明する。実際には、ディスクを回転させることによるディスクのばたつき、ホログラム記録再生媒体10の装着装置に装着されるときに生じるチルトおよびホログラム記録再生媒体10固有の平面の反りが、チルトを発生させるのであるが、2分割フォトディテクタDと光源Lとホログラム記録再生媒体10との相対位置によってチルトの影響は説明できるので、図8においては、説明を分かりやすくするために光源Lが光源L´´の位置に移動したものとして、説明を行う。なお、2分割フォトディテクタDの分割線の位置Cs´´と光源L´´との距離は距離Lldに保たれている。また、図8に示す光源Lの位置、投影位置Ptの位置、2分割フォトディテクタDの分割線の位置Csの位置はチルトがない場合の各々の位置を表すものであり、このときの光ビームを光ビーム、光ビームBT1で示す。
【0071】
図8は、図面の正面から見て右側が図面上方に傾いた場合のチルトの発生を示している。この場合のチルト角度は角度Δθsで表される。光ビームBT1´´は、入射角度θ0に比べてより大きな入射角度θ0´でホログラム記録再生媒体10に入射する。このときの入射角度θ0´は、チルトが存在しないときの入射角度θ0と角度Δθsとの和と等しくなる。
【0072】
ここで、入射角度θ0に比べて、入射角度θ0´が大きいとき、すなわち、チルト角度が角度Δθsだけ加算された場合には、2分割フォトディテクタDに投影される光ビームBT1´´の位置は、より温度検出用の光源L´´に遠い側(投影位置Pt´´)に移動する。そして、2分割フォトディテクタD位置は光源L´´から距離Lldの長さだけ常に離間しているので、光スポットS(図8には図示せず)は、2分割フォトディテクタDの分割線の位置Cs´´よりも左側に来てしまう。上述したように、光源L´´に近い側にフォトディテクタDBが配置されているので、(式2)によって、このときの差電圧Vd´´の値は、チルトが存在しない場合の差電圧Vdiの値より大きくなる。すなわち、入射角度θ0´の値が大きくなると差電圧Vdの値は大きくなり、距離Wdmの値が小さくなると差電圧Vdの値は小さくなるように働く。すなわち、温度変化以外の要因で、差電圧Vdが変化してしまうこととなる。
【0073】
このように、チルトの影響があると、温度変化に応じた差電圧Vdの変化とチルトの変化に応じた差電圧Vdの変化とを分離することができず、差電圧Vdの値からホログラム記録層13の温度を正確に検出することが困難となる。
【0074】
そこで、第2実施形態の温度検出装置は、2の光源と2のフォトディテクタを備えている。後述する、フォトディテクタ・光源ユニットDL21およびフォトディテクタ・光源ユニットDL22は、その一例である。そして、その配置は、1の光源からの光ビーム(第1の光ビーム)と他の光源からの光ビーム(第2の光ビーム)とをホログラム記録層13に垂直な面の各々の側からホログラム記録層13に入射させるようにしている。
【0075】
図9を参照して具体的に以下説明する。図9に示す符号Cs1は、後述するフォトディテクタ・光源ユニットDL21のフォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bを分割する分割線の位置(以下、分割線の位置Cs1と記載する)を示し、同時にフォトディテクタ・光源ユニットDL21から出射される光ビームの中心にある1本の仮想的な出射点を示すものである。また、図9に示す符号Cs2は、後述するフォトディテクタ・光源ユニットDL22のフォトディテクタD22AおよびフォトディテクタD22Bを分割する分割線の位置(以下、分割線の位置Cs2と記載する)を示し、同時にフォトディテクタ・光源ユニットDL21から出射される光ビームの中心にある1本の仮想的な出射点を示すものである。
【0076】
まず、図10(A)、図10(B)に沿って、フォトディテクタ・光源ユニットDL21について説明する。図10(A)は光ビームの投影面から見た平面図であり、図10(B)は、フォトディテクタ・光源ユニットDL21の断面図である。フォトディテクタ・光源ユニットDL21は、光源L21と2分割フォトディテクタD21とを具備する。
【0077】
図10(A)に示すように、2分割フォトディテクタD21は、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bを有しており、この2つのフォトディテクタは、同一平面上に分割されて配置されている。この分割の中心を通る直線が上述の分割線の位置Cs1である。フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bの各々の分割線の位置Cs1の側は、半円形状に切欠いた形状を有している。
【0078】
光源L21は、温度検出用の光ビームを出射するものであり、分割線の位置Cs1と、この分割線の位置Cs1と直行するフォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bの各々を2分する線との交点に光源L21の光ビーム放射の中心が配置されている。そして、光源L21は、波長660nmのレーザダイオードLd21およびレーザダイオードからの光ビームを平行光にするためのコリメートレンズLc21を有する。
【0079】
そして、図10(B)の断面図に示すように、フォトディテクタD21A、フォトディテクタD21B、レーザダイオードLd21およびコリメートレンズLc21は、ホルダH21に接着剤等で固着され、これらの光学部材の相対的な位置関係が所定の位置に保たれている。
【0080】
このように、ホルダH21によって、これらの光学部材の相対的な位置関係が所定の位置に保たれているために、レーザダイオードLd21から出射された光ビームは、コリメートレンズLc21で、断面形状が円形の平行な光ビーム(図10(B)において、破線矢印で表す)とされ、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bの裏面側から、切欠いて形成された円形穴を通過出射される。この光ビームの断面積は、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bの切欠きの形状と略一致している。
【0081】
そして、この光ビームは、直進するので、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bによって検出されることはないようにされている。また、このように、光源L21、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bが配置されているので、切り欠き部分では、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bは、光ビームの照射を検知することができないようになされている。
【0082】
また、フォトディテクタ・光源ユニットDL22は、フォトディテクタ・光源ユニットDL21と同一の構成を有し、2分割されたフォトディテクタであるフォトディテクタD22AおよびフォトディテクタD22Bと、光源L22とを具備しており、さらに、光源L22は、レーザダイオードLd22とコリメートレンズLc22とを有している。
【0083】
図9に示す温度検出装置は、このような、フォトディテクタ・光源ユニットDL21とフォトディテクタ・光源ユニットDL22とを備えており、フォトディテクタ・光源ユニットDL21およびフォトディテクタ・光源ユニットDL22は、記録再生装置に固着されている。そして、フォトディテクタ・光源ユニットDL21とフォトディテクタ・光源ユニットDL22の相互の位置関係は、チルトが存在しない状態においては、光源L21から出射される光ビームによって、アルミ反射膜の配されたグルーブ17で反射して、フォトディテクタD22AおよびフォトディテクタD22Bに照射される光スポットS2が、丁度、その切欠き部分を照射するようにされるとともに、光源L22から出射される光ビームによって、アルミ反射膜の配されたグルーブ17で反射して、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bに照射される光スポットS1が、丁度、その切欠き部分を照射するようになされる。
【0084】
すなわち、フォトディテクタ・光源ユニットDL21から出射される光ビームの中心にある1本の仮想的な出射点からの光ビームBT12は、ホログラム記録層13に垂直な紙面の表面から裏面へ延びる平面の右側から入射して、この平面の左側の分割線の位置Cs2に照射され、フォトディテクタ・光源ユニットDL22から出射される光ビームの中心にある1本の仮想的な出射点からの光ビームBT11は、この垂直な平面の左側から入射して、この平面の右側の分割線の位置Cs1に照射されるようになされており、図9において、分割線の位置Cs2と分割線の位置Cs1を結ぶ線上の左側から順に、フォトディテクタD22A、フォトディテクタD22B、フォトディテクタD21B、フォトディテクタD21Aが配置されている。
【0085】
そして、温度は、(式3)に示す差電圧Vd21を求める演算式によって電圧として検出される。ここで、電圧Vd21a、電圧Vd21b、電圧Vd22a、電圧Vd22bは、各々、フォトディテクタD22A、フォトディテクタD22B、フォトディテクタD21B、フォトディテクタD21Aからの出力電圧である。
【0086】
(式3)
Vd21={(Vd21a−Vd21b)/(Vd21a+Vd21b)}+{(Vd22a−Vd22b)/(Vd22a+Vd22b)}
【0087】
(式3)で検出された差電圧Vd21の値は演算器(図示せず)に入力され、温度に変換される。ここで、演算器は、例えば、差電圧Vd21から温度を出力するテーブルまたは、CPU(セントラルプロセッシングユニット)によって、所定の計算式に基づき、差電圧Vd21を入力として温度を出力とするものであっても良い。
【0088】
このように、フォトディテクタ・光源ユニットDL21とフォトディテクタ・光源ユニットDL22とを配置すれば、温度検出の精度に対して、2分割フォトディテクタD21および2分割フォトディテクタ22の切欠き部分が影響を与えることはない。
【0089】
すなわち、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21BならびにフォトディテクタD22AおよびフォトディテクタD22Bに切り欠き部分がない場合には、チルトが存在しないときには、光スポットS1の照射によって、フォトディテクタD21Aに生じる電圧Vd21aからフォトディテクタD21Bに生じる電圧Vd21bを引いた差電圧Vd21の値は0V(ボルト)となるものであり、光スポットS2の照射によって、同様に、フォトディテクタD22Aに生じる電圧Vd22aからフォトディテクタD22Bに生じる電圧Vd22bを引いた差電圧Vd22の値も0V(ボルト)となるものである。
【0090】
一方、光スポットS1および光スポットS2の形状は、略円形とされており、上述した各々のフォトディテクタの切り欠かれた部分と略同一サイズとされているので、切り欠き部分がある場合にも、フォトディテクタD21Aに生じる電圧Vd21aからフォトディテクタD21Bに生じる電圧Vd21bを引いた差電圧Vd21の値は0V(ボルト)となる。同様に、差電圧Vd21の値も0V(ボルト)となる。このように、各々のフォトディテクタD22AおよびフォトディテクタD22Bの切り欠き部分は(式2)の演算結果に影響を与えることはない。同様に、フォトディテクタD22AおよびフォトディテクタD22Bの切り欠き部分は(式2)の演算結果に影響を与えることはない。
【0091】
また、光スポットS1および光スポットS2が切り欠き部分からずれた場合には、そのずれ量に応じた差電圧Vd21が(式2)から得られるので、切り欠き部分がこの場合にも差電圧Vd21の演算結果に影響を与えることはない。
【0092】
このような、構成を有する第2実施形態の温度検出装置の動作を次に説明する。
【0093】
上述のように、図9に示す温度検出装置は、フォトディテクタ・光源ユニットDL21とフォトディテクタ・光源ユニットDL22とが配置されているので、温度T1から温度T2に温度が変化した場合には、フォトディテクタ・光源ユニットDL21からの光ビームによって、フォトディテクタ・光源ユニットDL22に照射される光スポットS2は、図4からも明らかなように図面の左手方向に移動する。その結果、フォトディテクタD22Aからの電圧Vd22aの値は大きくなり、フォトディテクタD22Bからの電圧Vd22bの値は小さくなる。同様に、フォトディテクタ・光源ユニットDL22からの光ビームによって、フォトディテクタ・光源ユニットDL21に照射される光スポットS1は、図面の右手方向に移動する。
【0094】
その結果、フォトディテクタD21Aからの電圧Vd21aの値は大きくなり、フォトディテクタD21Bからの電圧Vd21bの値は小さくなる。そして、(式3)から分かるように、差電圧Vdの値は(式2)の2倍の値が得られる。図9において、符号Cs1の上に示した太い矢印は温度T1から温度T2に変化したときの光スポットS1の移動方向を示し、符号Cs2の上に示した太い矢印は温度T1から温度T2に変化したときの光スポットS2の移動方向を示すものである。
【0095】
次に、図11に沿って、チルトが発生し、そのときのチルト角度が、角度Δθsである場合における、フォトディテクタ・光源ユニットDL21からの光ビームによって、フォトディテクタ・光源ユニットDL22に照射される光スポットS2の移動、および、フォトディテクタ・光源ユニットDL22からの光ビームによって、フォトディテクタ・光源ユニットDL21に照射される光スポットS1の移動について説明をする。
【0096】
図11において、細い矢印の付された実線は、フォトディテクタ・光源ユニットDL21から出射される光ビームの中心にある、1本の仮想的な光ビームBT12´´を表し、細い矢印の付された破線は、フォトディテクタ・光源ユニットDL22から出射される光ビームの中心にある、1本の仮想的な光ビームBT11´´を表す。フォトディテクタ・光源ユニットDL21からの、光ビームBT12´´は投影位置Pt1に照射され、フォトディテクタ・光源ユニットDL22からの、光ビームBT11´´は投影位置Pt2に照射される。
【0097】
すなわち、チルトの影響によって、フォトディテクタ・光源ユニットDL21から出射される光ビームBT12´´の入射角度θ0´の値はチルトが存在しない場合の入射角度θ0に対してΔθsだけ大きくなって、光スポットS2は、図面の左手方向に移動する。また、フォトディテクタ・光源ユニットDL22から出射される光ビームBT11´´の入射角度θ0´´の値はチルトが存在しない場合の入射角度θ0に対してΔθsだけ小さくなって、光スポットS1も同様に左手方向に移動する。ここで、角度Δθsの大きさが、小さい場合には、光スポットS1の移動量と光スポットS2の移動量は略等しいものとなる。したがって、(式3)の演算を行えば、このチルトによる光スポットの移動の影響はキャンセルされ、温度変化の影響のみを検出することが可能となる。
【0098】
図11においては、チルトは、図11の平面内で角度Δθsだけ発生するものとして説明をしたが、図11の裏面から表面方向(または、表面から裏面方向)にチルトが発生する場合において、発生するチルトの量が小さい場合には、光スポットS1は裏面側に移動し、光スポットS2は表面側に移動(または、光スポットS2は裏面側に移動し、光スポットS1は表面側に移動)する。しかしながら、この移動方向は、2分割フォトディテクタD21の分割線Cs1および2分割フォトディテクタD22の分割線Cs2の方向と一致しているので、このようなチルトが、差電圧Vd21の値に影響を与えることはない。したがって、第2実施形態の温度検出装置によれば、どのような方向にチルトが存在しても、チルトの影響をキャンセルして、ホログラム記録層13の温度を正確に検出することができる。
【0099】
図11において、符号Cs1の上に示した太い実線の矢印は温度T1から温度T2に変化したときの光スポットS1の移動方向を示し、符号Cs2の上に示した太い実線の矢印は温度T1から温度T2に変化したときの光スポットS2の移動方向を示すものであり、符号Cs1の上に示した太い破線の矢印はチルト角度が角度0°からチルト角度が角度Δθsに変化したときの光スポットS1の移動方向を示し、符号Cs2の上に示した太い破線の矢印はチルト角度が角度0°からチルト角度が角度Δθsに変化したときの光スポットS2の移動方向を示すものである。
【0100】
例えば、図11に示すホログラム記録再生媒体10が回転記録媒体である場合に、左手方向が回転中心であり右手方向が外周方向である場合、すなわち、図11が回転記録媒体のラジアル方向に切った断面図であるとしても、左手方向が進行方向の前方であり右手方向が進行方向の後方である場合、すなわち、図11が回転記録媒体のタンデンシャル方向に切った断面図であるとしても、いずれの場合であっても同様にチルトの影響の排除が可能となる。さらに、図11をラジアル方向とタンデンシャル方向との任意の方向に切った断面図であるとしても同様にチルトの影響の排除が可能となる。
【0101】
また、第2実施形態の温度検出装置においては、フォトディテクタ・光源ユニットDL21、フォトディテクタ・光源ユニットDL22は、組になる各々のフォトディテクタと光源とを同軸上に備えるので、フォトディテクタ・光源ユニットDL21から照射される光ビームのホログラム記録層13中における光路と、フォトディテクタ・光源ユニットDL22から照射される光ビームのホログラム記録層13中における光路とが、接近し、ホログラム記録層13の略同一点の温度を測定するので、正確にチルトの影響を排除するとともに、正確に光ビームサイズに応じた1点の温度を正確に検出することが可能となる。
【0102】
この他、第2実施形態の温度検出装置の変形例としては、フォトディテクタ・光源ユニットDL21、フォトディテクタ・光源ユニットDL22において、自己の光源L21からの光が自己の2分割フォトディテクタD21へ迷光として混入し、自己の光源L22からの光が自己の2分割フォトディテクタD22に迷光として混入することがないように、光源L21の波長で感度が最大となるように2分割フォトディテクタD21を選定し、光源L22の波長で感度が最大となるように2分割フォトディテクタD22を選定し、両方の波長を異ならせ、さらに、迷光の混入を少なくするものとしても良い。
【0103】
また、別の変形例として、時分割で光源L21と光源L22とを交互に発光させ、光源L21が発光しているときには、2分割フォトディテクタD22からの出力を検出して、光源L22が発光しているときには、2分割フォトディテクタD21からの出力を検出するようにして、自己の光源からの迷光の影響を排除することができる。さらに、このような検出方法を採用するに際して、光源L21および光源L22のいずれもが発光していないときに、2分割フォトディテクタD21からの出力(フォト2分割ディテクタD21の迷光出力)および2分割フォトディテクタD22からの出力(2分割フォトディテクタD22の迷光出力)を検出して、この各々の迷光出力の値を記憶しておき、光源L22のみが発光しているときの2分割フォトディテクタD21の出力から2分割フォトディテクタD21の迷光出力を差し引き、光源L22のみが発光しているときの2分割フォトディテクタD22の出力から2分割フォトディテクタD22の迷光出力を差し引き引くことによって、さらに一層、迷光の混入を少なくして検出精度を向上させることができる。
【0104】
また、さらに別の変形例を以下に説明する。
【0105】
図10に示すように、光源とフォトディテクタとを同軸上に配置することなく、図19に示すように、光源L1、2分割フォトディテクタD2、2分割フォトディテクタD1、光源L2の順に配列し、光源L1からの光ビームが2分割フォトディテクタD1に入射するようにし、光源L2からの光ビームが2分割フォトディテクタD2に入射するようになされている。2分割フォトディテクタD1および2分割フォトディテクタD2のいずれも2分割とされ、フォトディテクタD1A、フォトディテクタD1B、フォトディテクタD2A、フォトディテクタD2Bから構成されている。
【0106】
図19に示す温度検出装置の動作を簡単に説明する。チルトが存在しない場合には、光源L1からの光ビームがホログラム記録再生媒体10に入射する入射角度と、光源L2からの光ビームがホログラム記録再生媒体10に入射する入射角度とは等しなるようにされている。そして、ホログラム記録層13の温度が予め定めた所定の温度である場合には、光源L1からの光ビームは、2分割フォトディテクタD1のフォトディテクタD1AとフォトディテクタD1Bとを均等に照射するようになされ、光源L2からの光ビームは、2分割フォトディテクタD2のフォトディテクタD2AとフォトディテクタD2Bとを均等に照射するようになされている。
【0107】
そして、ホログラム記録層13の温度が上述の所定の温度から変化し、より温度が高くなった場合には、2分割フォトディテクタD1および2分割フォトディテクタD2に照射される各々の光スポットは実線矢印方向に移動する。一方、チルトが図に示すようにホログラム記録再生媒体10の右側が上がる向きに生じると、2分割フォトディテクタD1および2分割フォトディテクタD2に照射される各々の光スポットは破線矢印方向に移動する。したがって、差電圧Vd3を(式4)によって求めれば、チルトの影響を排除して、ホログラム記録層13の温度のみを正確に検出することができる。ここで、電圧Vd1a、電圧Vd1b、電圧Vd2a、電圧Vd2bは、各々、フォトディテクタD1A、フォトディテクタD1B、フォトディテクタD2A、フォトディテクタD2Bからの検出電圧を表すものである。
【0108】
(式4)
Vd3={(Vd1A−Vd1B)/(Vd1A+Vd1B)}+{(Vd2a−Vd2b)/(Vd2a+Vd2b)}
【0109】
(式4)で検出された差電圧Vd3の値は演算器(図示せず)に入力され、温度に変換される。ここで、演算器は、例えば、差電圧Vd3から温度を出力するテーブルまたは、CPU(セントラルプロセッシングユニット)によって、所定の計算式に基づき、差電圧Vd3を入力として温度を出力とするものであっても良い。
【0110】
このような、温度検出装置においては、ホログラム記録層13の温度を検出する点の位置が少しずれるものの、チルトの影響を排除するには十分な効果を生じさせることができる。
【0111】
図20に光源とフォトディテクタとの別の配置を示す、2分割フォトディテクタD4、光源L3、2分割フォトディテクタD3、光源L4の順に配列し、光源L3からの光ビームが2分割フォトディテクタD3に入射するようにし、光源L4からの光ビームが2分割フォトディテクタD4に入射するようになされている。2分割フォトディテクタD3および2分割フォトディテクタD4のいずれも2分割とされ、フォトディテクタD3A、フォトディテクタD3B、フォトディテクタD4A、フォトディテクタD4Bから構成されている。
【0112】
図20に示す温度検出装置の動作を簡単に説明する。チルトが存在しない場合には、光源L3からの光ビームがホログラム記録再生媒体10に入射する入射角度は、光源L4からの光ビームがホログラム記録再生媒体10に入射する入射角度よりもより小さくなるようにされている。そして、ホログラム記録層13の温度が予め定めた所定の温度である場合には、光源L3からの光ビームは、2分割フォトディテクタD3のフォトディテクタD3AとフォトディテクタD3Bとを均等に照射するようになされ、光源L4からの光ビームは、2分割フォトディテクタD4のフォトディテクタD4AとフォトディテクタD4Bとを均等に照射するようになされている。
【0113】
そして、ホログラム記録層13の温度が上述の所定の温度から変化し、より温度が高くなった場合には、2分割フォトディテクタD3および2分割フォトディテクタD4に照射される各々の光スポットは実線矢印方向に移動する。一方、チルトが図に示すようにホログラム記録再生媒体10の右側が上がる向きに生じると、2分割フォトディテクタD3および2分割フォトディテクタD4に照射される各々の光スポットは破線矢印方向に移動する。したがって、差電圧Vd4を(式5)によって求めれば、チルトの影響を排除して、ホログラム記録層13の温度のみを正確に検出することができる。ここで、電圧Vd3a、電圧Vd3b、電圧Vd4a、電圧Vd4bは、各々、フォトディテクタD1A、フォトディテクタD1B、フォトディテクタD2A、フォトディテクタD2Bからの検出電圧を表すものである。
【0114】
(式4)
Vd4={(Vd3A−Vd3B)/(Vd3A+Vd3B)}+{(Vd4a−Vd4b)/(Vd4a+Vd4b)}
【0115】
(式4)で検出された差電圧Vd4の値は演算器(図示せず)に入力され、温度に変換される。ここで、演算器は、例えば、差電圧Vd4から温度を出力するテーブルまたは、CPU(セントラルプロセッシングユニット)によって、所定の計算式に基づき、差電圧Vd4を入力として温度を出力とするものであっても良い。
【0116】
このような、温度検出装置においては、光源L3からの光ビームのホログラム記録層13への入射角度と、光源L4からの光ビームのホログラム記録層13への入射角度とに若干の違いがあるために、チルトをキャンセルする効果は若干損なわれるものの、温度を検出する点の位置のずれは殆どなく、チルトの影響を排除するには十分な効果を生じさせることができる。
【0117】
(第3実施形態の温度検出装置)
第3実施形態の温度検出装置は、温度検出とチルト検出とを別々に行い、チルトの影響が含まれた温度検出装置からの検出信号から、事後的にチルト信号を差し引いて温度情報のみを検出するものである。
【0118】
まず、図21にチルトを検出するチルト検出装置の一例を示す。このチルト検出装置は、光源L5、2分割フォトディテクタD5、光源L6の順に配列し、光源L5および光源L6からの光ビームが2分割フォトディテクタD5に入射するようになされている。2分割フォトディテクタD5は、2分割とされ、フォトディテクタD5A、フォトディテクタD5Bから構成されている。そして、ホログラム記録層13に垂直な面の左側から光源L5からの光ビームがホログラム記録層13に入射し、ホログラム記録層13に垂直な面の右側から光源L6からの光ビームがホログラム記録層13に入射するようになされている。
【0119】
図21に示すチルト検出装置の動作を簡単に説明する。チルトが存在しない場合には、光源L5からの光ビームがホログラム記録再生媒体10に入射する入射角度と、光源L6からの光ビームがホログラム記録再生媒体10に入射する入射角度と等しくされている。そして、光源L5からの光ビームは、2分割フォトディテクタD5のフォトディテクタD5AとフォトディテクタD5Bとを均等に照射するようになされ、光源L6からの光ビームも同様に、フォトディテクタD5AとフォトディテクタD5Bとを均等に照射するようになされている。
【0120】
そして、ホログラム記録層13の温度が上述の所定の温度から変化し、より温度が高くなった場合には、2分割フォトディテクタD5に照射される、光源L5からの光ビームによる光スポットおよび光源L6からの光ビームによる光スポットの各々は実線矢印方向に移動する。一方、チルトが図に示すようにホログラム記録再生媒体10の右側が上がる向きに生じると、光源L5からの光ビームによる光スポットおよび光源L6からの光ビームによる光スポットの各々は破線矢印方向に移動する。したがって、チルト電圧Vcを(式6)によって求めれば、ホログラム記録層13の温度変化による屈折率等の影響を排除して、チルトのみを正確に検出することができる。
【0121】
(式6)
Vc=(Vd5A−Vd5B)/(Vd5A+Vd5B)
【0122】
このような、チルト検出装置を、例えば、図8に示すような、1個の光源Lと1個の2分割フォトディテクタDのみを備える温度検出装置と併用し、(式2)であらわされる差電圧Vdから(式6)で表せるチルト電圧Vcを差し引く(式7)で表される演算を行えば、チルトの影響を排除して、ホログラム記録層13の温度を正確に検出することができる。なお、定数kは差電圧Vdに含まれるチルト成分のゲインとチルト電圧Vcとのゲインを合わせるためのものである。
【0123】
(式7)
Vd7=(Vda−Vdb)/(Vda+Vdb)
−k×(Vd5A−Vd5B)/(Vd5A+Vd5B)
【0124】
(式7)で検出された差電圧Vd7の値は演算器(図示せず)に入力され、温度に変換される。ここで、演算器は、例えば、差電圧Vd7から温度を出力するテーブルまたは、CPU(セントラルプロセッシングユニット)によって、所定の計算式に基づき、差電圧Vd7を入力として温度を出力とするものであっても良い。
【0125】
その他の変形の実施形態としては、図13に示すように、さらに高精度に温度検知を行うために3以上の複数の光ビームを複数の入射角度で入射させ、それらの光ビームのホログラム記録層13を通過後の光ビームを3以上の複数の2分割フォトディテクタで検出するようにしても良い。図13は、2分割フォトディテクタ51、2分割フォトディテクタ52および2分割フォトディテクタ53の3つの2分割フォトディテクタを用いる場合の形態を示す。この場合において、図21に示したチルト検出装置を併用すれば、チルトの影響を排除して、さらに温度検出精度を向上させることができる。
【0126】
また、ホログラム記録再生媒体10が、回転軸Rsを中心として回転する回転媒体である場合においては、各々の2分割フォトディテクタと光源との位置関係は、図22に示すように、フォトディテクタD7AとフォトディテクタD7Bとからなる2分割フォトディテクタD7と、光源L7とで配置を示すように、タンデンシャル方向のチルトを検出するように配置しても、フォトディテクタD8AとフォトディテクタD8Bとからなる2分割フォトディテクタD8と、光源L8とで配置を示すように、ラジアル方向のチルトを検出するように配置して良く、その他のいかなる配置を採ることも可能である。
【0127】
(第4実施形態の温度検出装置)
上述の実施形態は、いずれも、平行光を用いて、ホログラム記録層13の温度を検出したが、集光光を用いて、ホログラム記録層13の温度を検出することもできる。集光光を用いる場合には、ホログラム記録層13において光スポットを、さらに微小面積とすることができるので、微小領域の温度を正確に測定できる。例えば、ホログラム記録または再生を実際に行っている現実の領域の温度を正確に測定することができる。
【0128】
図14は、集光光を用いる場合の温度検出装置の実施形態を示すものである。図14の上方から光ビームは平行光として照射される。光ビームは、コヒーレント光であっても、インコヒーレント光であっても良い。
【0129】
光ビームが、コヒーレント光である場合には、レーザダイオード(図示せず)から出射された光ビームはPBS(偏光ビームスプリッタ)63を通過して、1/4波長板62で円偏光とされ、集光レンズ61を通過して集光され、さらに、ホログラム記録再生媒体10のホログラム記録層13を通過して、サイズが絞られた光スポットはアルミ反射膜の配されたグルーブ17で反射して、再び、ホログラム記録層13、1/4波長板62を通過して、PBS(偏光ビームスプリッタ)63で進路を変えられ、そのほとんどの光ビームはCMOSセンサ64に至る。ここで、CMOSセンサ64は細かく区切られた複数の受光セルから構成され、CMOSセンサ64に照射される光ビームの形状が検知可能とされている。
【0130】
光ビームは、コヒーレント光であるので、集光レンズ61のNA(開口数)とレーザの波長で定まる理論限界に略近いスポットサイズまで、アルミ反射膜の配されたグルーブ17の表面では集光される。図18に、集光レンズ61の断面中心からアルミ反射膜の配されたグルーブ17までの距離Dmlを横軸に採り、CMOSセンサ64における光スポットサイズAs(例えば、光スポットの面積でAsを表す)を採って、両者の関係を示す。
【0131】
図18において、距離Dfは、アルミ反射膜の配されたグルーブ17において、最もスポットサイズが小さくなる距離Dmlの値であり、このときのスポットサイズAsの値は、スポットサイズAfとなる。
【0132】
本実施形態では、初期の所定の初期温度Tiにおいて、集光レンズ61の断面中心からアルミ反射膜の配されたグルーブ17までの距離Dmlを距離Dfより少し離れた点である距離Dnに設定している。そして、このときのスポットサイズAsの値はスポットサイズAnとなる。ここで、CMOSセンサ64においてスポットサイズAsを演算するに際しては、複数の受光セルの各々から検出される光量を所定の閾値と比較して、閾値以上の出力を生じるセンサの数を加算することによって行っている。
【0133】
このような、距離Dnを予め設定には、一例として、サーボ用の光ビーム(図14には図示せず)で温度検出用のフォーカスサーボを行い、常時、サーボ用の光ビームはアルミ反射膜の配されたグルーブ17に焦点を結ぶようにしておき、一方、温度検出用の光ビームは、温度検出用の集光レンズ61を用いてサーボ制御も行い、レーザ光の波長とサーボ用のレーザ光の波長を若干異ならせるか、または、集光レンズ61に入射する温度検出用のレーザ光を平行光ではなく、僅かに収束または発散する光ビームとすることによってサーボ用の光ビームと温度検出用の光ビームの焦点位置を異ならせることにより実現できる。
【0134】
また、温度の変化範囲が広く、図18において、距離Dfよりも右側の領域に動作領域が移動する場合には、所謂ウオブリング法を用い、集光レンズ61をフォーカス方向に微小に振ることによって、距離Dmlが距離Dfの右側か左側かを容易に判別でき、より広範囲な温度を検出することが可能となる。
【0135】
ここで、ホログラム記録層13の温度が変化する場合においては、図18に示す曲線が横軸に沿って左右に移動し、例えば、ホログラム記録層13の温度が低くなって、屈折率が大きくなると、曲線は右方向に移動して、スポットサイズAsの大きさは、スポットサイズAnよりも小さなものとなる。一方、ホログラム記録層13の温度が高くなって、屈折率が小さくなると、曲線は左方向に移動して、スポットサイズAsの大きさは、スポットサイズAnよりも大きなものとなる。このようにして、CMOSセンサ64の出力からスポットサイズAsを検出し、この検出されたスポットサイズAsの値から、ホログラム記録層13の温度を検出することができる。
【0136】
また、スポットの変化の検出方法は、スポットサイズAsを検出するのみならず、PBS63とCMOSセンサ64との間にシリンドリカルレンズ(図示せず)を配置して、CMOSセンサ64から4分割した信号を検出し、その対角出力の和と差を演算し、非点収差法によって、フォーカス誤差信号を得、このフォーカス信号に予め対応づけられたホログラム記録層13の温度を検出するものであっても良い。
【0137】
また、光ビームとしては、インコヒーレント光を用いることもできる。光ビームが、インコヒーレント光である場合には、温度検出領域は、レーザ光を用いる場合に比べて広がるものの、LED(ライト・エミッティング・ダイオード)等の安価な光源を使えるという利点がある。この場合には、PBS63に替えて配置されたハーフミラーが用いられ、また、1/4波長板62は取り除かれる。
【0138】
LED(図示せず)から出射された光ビームは、PBS63に替えて配置されたハーフミラーを通過して、集光レンズ61を通過して集光され、さらに、ホログラム記録再生媒体10のホログラム記録層13を通過して、サイズが絞られた光スポットはアルミ反射膜の配されたグルーブ17で反射して、再び、ホログラム記録層13を通過し、ハーフミラーで進路を変えられ、光ビームはCMOSセンサ64に至る。
【0139】
そして、初期の所定の初期温度Tiにおいて、集光レンズ61の断面中心からアルミ反射膜の配されたグルーブ17までの距離Dmlを距離Dfより少し離れた点である距離Dnに設定し、CMOSセンサ64の出力からスポットサイズAsを検出し、この検出されたスポットサイズAsの値から、ホログラム記録層13の温度を検出することができる。
【0140】
ここで、スポットサイズAsを検出するに際して、CMOSセンサ64を用いて光スポットの面積を検出したが、ラインセンサ(図示せず)を用いて、光スポットの面積に替えて光スポットの直径を検出するようにしても良い。
【0141】
(第5実施形態の温度検出装置)
上述の実施形態の温度検出装置は、ホログラム記録層13の屈折率の変化および厚みの変化から温度を検出するものであったが、そのほかに、ホログラム記録層13に形成される回折格子の温度による変形を検出することによっても温度検出が可能である。
【0142】
ホログラム記録においては、ホログラム記録層13に3次元の回折格子を形成することによって記録がなされる。例えば、このような記録パターンの一例として、ホログラム記録層13に規則正しく所定の間隔、離間し、平行に長く伸びる回折格子が予め記録されている場合について説明する。
【0143】
ホログラム記録再生用ビームは、波長407nmのコヒーレント光である。このようなホログラム記録再生用ビームをホログラム記録再生媒体10に照射すると、ホログラム記録再生用ビームは、規則正しい平行な複数の線からなる格子パターンが形成されたホログラム記録層13を透過し、ダイクロイック層15で反射する。そして再び、ホログラム記録再生媒体10から光源の側に戻って来る。この光は、コヒーレント光であるので回折格子で回折され、n次の回折光が発生する。回折光としては+−1次光が最も強度が強いので、この1次光をフォトディテクタ(図示せず)で検出する。
【0144】
0次光と1次光とのなす角度は、コヒーレント光の波長と回折格子の間隔に応じて異なり、コヒーレント光の波長が一定である場合には、回折格子の間隔が狭まるほどこの角度は大きなものとなる。したがって、1次光を受光するフォトディテクタを配置しておけば、ホログラム記録層13に形成された回折格子の間隔に応じて1次光の角度は変化し、光ビームは移動するので、この移動を2分割デテクタ(図示せず)で検出することによって、回折格子の間隔を検出することができる。ここで、ホログラム記録層13に形成された回折格子の間隔は、温度依存性があるので、2分割デテクタの出力から温度を検出することが可能となる。
【0145】
(実施形態の温度検出装置を用いたホログラム記録再生装置)
上述の温度検出装置を用いたホログラム記録再生装置の一例を示す。図17にコリニア方式のホログラム記録再生装置5を示す。
【0146】
(記録再生系の説明)
記録再生に用いるレーザ光源87としては、例えば405nm(ナノメータ)のレーザダイオードや532nmのNd−YAGレーザから照射された光ビーム112がコリメートレンズ88によって平行光にされ、戻り光を防ぐためにアイソレータ89を通過する。
【0147】
その後、光ビーム112は、メカニカルシャッタ97通過し、波長板90によって強度調節され、PBS21を通過し、P偏光成分のみが、空間光変調器である反射型液晶95に入射される。ここでは空間光変調器として反射型の液晶を用いたが、これはDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)や透過型の液晶などを用いてもかまわない。反射型液晶95に投射されるパターンは、中心が信号光のデータ領域で、その周りに参照光のデータ領域が投射される。ここでこの投影の仕方は2つの光(信号光と参照光)が同一光路を伝播するときの例であって、このパターンは中心に参照光、その周りに信号光というパターンであっても良い。また信号光のパターンの両脇から参照光を入射するというパターンでもかまわない。
【0148】
ここで反射型液晶によって変調された光ビーム92は偏光が90°回転するためにPBS91によって反射する。次に波長板96によって再びP偏光に戻されてPBS86を透過し、その後、1/4波長板85によって円偏光とされる。そして、リレーレンズ83によって伝播される。このとき液晶からの高次の回折光を切るためのピンホール84が用いられている。続いてダイクロイックミラー80を通過するが、これはサーボに用いる光と記録再生に用いる光を同一の光路にするためのものであり、このダイクロイックミラー80の表面は記録再生用の光は全透過し、サーボ用に用いる光は全反射するような薄膜処理がなされている。
【0149】
その後、対物レンズ81によって光ビームは集光されホログラム記録再生媒体10に入射する。ホログラム記録再生媒体10では信号光と参照光は、各々、干渉しあってホログラム記録層(図示せず)にホログラムを形成する。このとき、記録時には参照光のパターンはある強度変調されたものであり、そのパターンがメディア内でスペックルを発生させ、そのスペックルの一致した部分のみから再生光が発生するために、スペックルサイズに依存した非常に細かいシフトピッチでの多重記録が可能となる。また記録時のビームの開閉はメカニカルシャッタ97を開閉することにより行う。
【0150】
再生時においては、反射型液晶95に参照光に相当するパターンのみを表示させ、その参照光成分のみを入射させ、ホログラムからの信号光成分のみを回折させる。再生された信号は、対物レンズ81を通り、ダイクロイックミラー80を透過し、リレーレンズ83を通り、その途中でピンホール84によってノイズがカットされる。その後、1/4波長板によってS偏光になり、PBS86で反射されてピンホール98によって外側参照光成分はカットされ、倍率調整用レンズ93を経て、信号光成分のみがCCD(電荷結合素子)94でディテクトされる。
【0151】
(温度検出装置の説明)
レーザダイオード73から出射したレーザビームは、コリメートレンズ74で平行光とされ、その後ビームを複数本に分ける為の2枚で構成されたグレーティング75を通り、ビームスプリッタ76に入射する。レーザビームは、ビームスプリッタ76を通過し、P偏光であるためにPBS100を透過し、ハーフミラー99によってトラッキングとフォーカスサーボ用の光ビーム(ハーフミラーを透過)と温度検知用の光ビーム104(ハーフミラーで反射)とに分けられる。光ビーム104(温度検出用光ビーム)はミラー103によってホログラム記録再生媒体10に入射される。
【0152】
ホログラム記録再生媒体10のアルミ反射膜が配されたグルーブ17によって反射された光ビーム104は、上述した2分割フォトディテクタ102によって、ホログラム記録層の温度が検知される。ホログラム記録層の温度は常時検出が可能であるので、記録時におけるホログラム記録層の温度情報は、ヘッダ情報として、ホログラム記録再生媒体10に記録される。そして、再生の時には、そのヘッダ情報を頼りに記録時における温度と再生時における温度差を見積もって記録再生に用いるレーザ光の波長やレーザ光のホログラム記録層への入射の角度を変化させて再生を行う。
【0153】
図12に、2分割フォトディテクタ102に光ビーム104が形成する光スポットの変位の特性を示す。図12(A)は、記録用層の温度変化に対する光スポットの変位を示し、図12(B)は、デフォーカスの距離に対する光スポットの変位を示し、図12(C)は、チルト角度に対する光スポットの変位を示す。ここで、各々のグラフに示された4本の線は、光ビーム104の入射角度θ0(図17には図示せず)をパラメータとするもので、各々の線上の4角形が最も小さいのが20°(度)、次に大きいのが30°、さらに大きいのが40°、最も大きいのが50°に各々対応するものである。
【0154】
なお、この場合において、図21に示したチルト検出装置を併用すれば、チルトの影響を排除して、さらに温度検出精度を向上させることができる。
【0155】
2分割フォトディテクタ102からの電気信号は演算器111に入力され、電気信号に応じて、ホログラム記録層13の温度が検出される。
【0156】
(サーボ手段の説明)
次にサーボ手段の説明をする。ハーフミラー99によって分けられた、トラッキングとフォーカスサーボ用の光ビームはダイクロイックミラー80によって反射する。このダイクロイックミラー80は波長によって透過又は反射するものであり、ホログラム記録用のレーザ波長より長いサーボ用レーザビームは反射するようにされている。ダイクロイックミラー80で反射されたサーボ用ビームは、対物レンズ81で絞られてホログラム記録再生媒体10のアルミ反射膜が配されたグルーブ17に照射される。
【0157】
図15で示すように、従来の光ディスクと同様にグルーブ17は、ラジアル方向に複数形成されている。そして、このグルーブ17に照射されたレーザビームは拡大図に示すようにセンタービームBCを挟んで複数の光ビームBS1ないし光ビームBS4が配置されるようになされている。
【0158】
レーザビームを複数に分けるためのグレーティング75は、2枚で構成され、1枚で光ビームBS1と光ビームBS2とを、もう1枚で光ビームBS3と光ビームBS4とを作るようになされている。
【0159】
これらのサーボ用ビームは、例えば、グルーブ17に半分だけかかるように配置され、光ビームBS3と光ビームBS4とは、光ビームBS1と光ビームBS2とに比べて反対方向に傾くようになされている。
【0160】
これらのサーボ信号検出用の、光ビームBS1、光ビームBS2、光ビームBS3、光ビームBS4は、とホログラム記録再生用のビームのとの配置に関しては、ホログラム記録層13に記録再生に用いる光ビームを十分に集光できる程度の近傍にサーボ信号検出用の光ビームを配置すれば良く、特に制限があるものではない。ホログラム記録再生媒体10からのサーボ信号検出用ビームの反射光は対物レンズ81を通り、ダイクロイックミラー80で再び反射され、ハーフミラー99、PBS100を経て、ビームスプリッタ76に入射する。そして、ビームスプリッタ76で反射され、レンズ77で絞られた後にシリンドリカルレンズ78で非点収差を発生させてフォトディテクタ79に入射する。
【0161】
フォトディテクタ79は、図16で示すように、フォトディテクタAないしフォトディテクタHの8素子で構成され、フォトディテクタG上に光ビームBS3が、フォトディテクタE上に光ビームBS1が、フォトディテクタAないしフォトディテクタD上に光ビームBCが、フォトディテクタF上に光ビームBS2が、フォトディテクタH上に光ビームBS4が各々照射するようになされている。
【0162】
そして、従来の光ディスク同様にフォーカスサーボに用いるフォーカス誤差信号Feが(式8)に表す式で検出され、トラッキングサーボに用いるトラッキング誤差信号Teが(式9)で表す式で検出されるようになされている。ここで、信号SaはフォトディテクタAから得られる電気信号、信号SbはフォトディテクタBから得られる電気信号、信号ScはフォトディテクタCから得られる電気信号、信号Sdは、フォトディテクタDから得られる電気信号、信号Seは、フォトディテクタEから得られる電気信号、信号Sfは、フォトディテクタFから得られる電気信号である。
【0163】
(式8)
Fe=(Sa+Sc)−(Sb+Sd)
(式9)
Te=Se−Sf
【0164】
そして、このような演算によって得られた、フォーカス誤差信号Fe、トラッキング誤差信号Teに基づいてフォーカス方向、トラッキング方向に対物レンズ81を移動させるアクチュエータ82に配されたアクチュエータコイルに電流を流し、アクチュエータ72を動かすことによってホログラム記録再生媒体10の所定の位置に記録し、また、所定の位置から再生を行うことが可能とされている。
【0165】
(ホログラム記録再生装置の動作の説明)
発明の要旨に係るホログラム記録再生装置5の温度検出動作の説明を以下行う。
【0166】
サーボ手段の作用によって、対物レンズ81をホログラム記録再生媒体10のヘッダ領域を再生可能な位置に移動させる。そして、このベンダーユニーク情報がグルーブの変化(図示せず)として記録されている場合には、サーボ信号からベンダーユニーク情報を読み取り、ホログラム記録層13(図示せず)に記録されている場合には、ホログラム記録層13からの信号を再生して、ベンダーユニーク情報を得る。
【0167】
ベンダーユニーク情報は、例えば、以下の1.ないし3.までのいずれかの形式またはその組み合わせで記録されている。
1. 所定の温度範囲における各々の温度に対する屈折率、所定の温度範囲における各々の温度に対する膨張率。
2. 初期温度における屈折率、膨張率および単位温度当たりの屈折率変化、膨張率変化。
3. 基準ディテクタ(規格で定める特性のディテクタを、規格で定める装置の所定の位置に配したもの)で検出した電圧の値と温度とのテーブル、または、このディテクタの検出電圧から温度を求める変換式。
【0168】
上述のベンダーユニーク情報は、ホログラム記録再生媒体10を提供する会社ごと、例えば、ホログラム記録層13に用いるフォトポリマーの性質の違いによって異なるので、温度を検知するのに必要な情報である。
【0169】
ベンダーユニーク情報を得た後は、この情報をホログラム記録再生装置5のコントロール部(図示せず)に配されたRAM(ランダムアクセスメモリ)に書き込み、次に上述した第1実施形態ないし第5実施形態のいずれかの温度検出装置によって温度を検出する。
【0170】
そして、ホログラム記録再生媒体10に情報を書き込むに際して、温度検出装置によって検出した温度も同時に書き込む。
【0171】
ここで、ベンダーユニーク情報は、温度検出装置の2分割ディテクタから検出された電圧値から、温度に変換する変換式を構成するのに用いられる。そして、演算式は演算器111によって演算される。
【0172】
すなわち、ホログラム記録再生装置5の温度検出装置が基準ディテクタで構成されている場合で、ベンダーユニーク情報が、上述の3.のケースでは、演算器111は、そのまま、ディテクタの電圧をベンダーユニーク情報で与えられる変換式またはテーブルに代入して温度を出力する。その他の、1.2.のケースでは、予め求めておいた変換式に基づき演算器111で演算して温度が出力される。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】実施形態のホログラム記録再生媒体を示す図である。
【図2】実施形態のホログラム記録再生媒体のホログラム記録層の屈折率を示すグラフある。
【図3】実施形態のホログラム記録再生媒体のホログラム記録層の膨張率を示すグラフである。
【図4】実施形態の温度検出装置の原理を説明する図である。
【図5】実施形態の2分割フォトフォトディテクタを説明する図である。
【図6】実施形態の2分割フォトフォトディテクタからの信号を説明するグラフである。
【図7】実施形態の温度検出装置における記録再生媒体までの距離の変化と温度検出特性との関係を説明する図である。
【図8】実施形態の温度検出装置における記録再生媒体のチルトと温度検出特性との関係を説明する図である。
【図9】実施形態の温度検出装置の原理を説明する図である。
【図10】実施形態のフォトディテクタ・光源ユニットを説明する図である。
【図11】実施形態の温度検出装置の動作を説明する図である。
【図12】実施形態の温度検出装置の特性を説明するグラフである
【図13】実施形態の温度検出装置を説明する図である。
【図14】実施形態の温度検出装置の原理を説明する図である。
【図15】実施形態のホログラム記録再生媒体のグルーブを説明する図である。
【図16】実施形態のホログラム記録再生装置のフォトディテクタを説明する図である。
【図17】実施形態のホログラム記録再生装置を説明する図である。
【図18】実施形態の温度検出装置の動作を説明する図である。
【図19】実施形態の温度検出装置を説明する図である。
【図20】実施形態の温度検出装置を説明する図である。
【図21】実施形態のチルト検出装置を説明する図である。
【図22】実施形態の温度検出装置を説明する図である。
【符号の説明】
【0174】
5 ホログラム記録再生装置、L1、L2、L21、L22、L3、L4、L5、L6、L7、L8 光源、10 ホログラム記録再生媒体、13 ホログラム記録層、15 ダイクロイック層、BS1、BS11、BS12、BS13、BS14、BS4、BT1、BT11、BT12、BT2、BTl 光ビーム、22、51,52,53、D、D1、D2、D21、D22、D3、D4、D5、D7、D8 2分割フォトディテクタ、DL21、DL22 フォトディテクタ・光源ユニット、A、B、C、D、E、F、G、H フォトディテクタ、81 対物レンズ、82 アクチュエータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィを利用して情報が記録されるホログラム記録再生装置、ホログラム記録再生媒体の温度検出装置およびホログラム記録再生媒体の温度検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、超高密度光記録再生のために、記録再生媒体の厚み方向も積極的に活用し、2次元の情報を1ページとするページデータの干渉パターンを、3次元的に一度に記録し、再生をするホログラフィックメモリが注目を集めている。このようなホログラフィックメモリは、高記録密度で高転送速度が実現可能な記録再生方式としてその応用範囲は、民生分野、産業分野での広範囲な応用が期待されている。
【0003】
ホログラフィックメモリでは、同一の光源からのレーザ光を、記録すべき記録信号で変調を受けた信号光と参照光とに分割して記録再生媒体に照射して、信号光と参照光との干渉縞に応じた回折格子を記録再生媒体に形成させる。そして、このようにして形成された回折格子に参照光を照射して再生光を得て、この再生光から、記録された信号を復調することができるものである。
【0004】
このようなホログラフィックメモリに用いる記録再生媒体(ホログラムメディア)として、フォトポリマーが注目されている。フォトポリマーは、安価に記録再生媒体が作成できることや、その耐久性、高感度性などからその採用が精力的に検討されている。
【0005】
しかしながら、ホログラフィックメモリにフォトポリマーを用いた場合には、温度変化によって膨張や収縮、又は屈折率変化などが生じてしまう。それによって記録再生媒体に形成された回折格子の角度変化や格子間隔の変化が生じてしまう。したがって、例えば、記録時点における温度と再生時点における温度が異なる場合には、温度変化量を検知して、例えば、再生条件を補償しなければ高精度の記録再生が困難となる。
【0006】
収縮や熱膨張などのディメンジョン変化を検知する方式としては、再生光に含まれるサーボ用の信号をCCD(電荷結合素子)などの2次元光検知素子を配置することによって収縮や熱膨張などのディメンジョン変化を間接的に検知するという方式が提案されている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2002−216359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示された方式を用いた場合には、直接に記録再生媒体の温度を知ることが困難であり、また、記録時においては記録再生媒体の温度を検知できず、さらに、記録された記録信号が含まれる再生光を復調しなければならず、装置が複雑化するという問題がある。
【0008】
また、サーミスタや熱伝対などの温度センサを用いることも考えられるが、回転する記録再生媒体の温度を直接に測定することは困難である。そこで、記録再生媒体の配置された雰囲気の温度を測定することが考えられるが、この場合には、記録再生媒体の温度と雰囲気温度とが平衡状態に達する所定の時間を経過した後でなければ正確なメディアの温度を検知できず、特に、記録再生媒体がリムーバブル媒体である場合には、正確な記録再生媒体の温度検出が困難であるという問題が生じている。
【0009】
以上のような事情に鑑み本発明はなされたものであり、本発明は、記録時、再生時を問わず、記録再生装置に頻繁に着脱するリムーバブルな記録再生媒体においても、高速に記録再生媒体の温度を検出できる、ホログラム記録再生装置、ホログラム記録再生媒体の温度検出装置およびホログラム記録再生媒体の温度検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のホログラム記録再生媒体の温度検出装置は、ホログラフィを利用してホログラム記録層に情報を記録するホログラム記録再生媒体の温度検出装置において、ホログラム記録層に所定の入射角度で入射し、ホログラム記録層を透過する光ビームを出射する光源と、ホログラム記録層を透過した光ビームを受光するフォトディテクタと、フォトディテクタで受光される光ビームの変化からホログラム記録層の温度を検出する演算器と、を具備する。
【0011】
このホログラム記録再生媒体の温度検出装置は、ホログラム記録層に所定の入射角度で入射し、ホログラム記録層を透過する光ビームを出射する光源を備える。この光源からの光ビームがホログラム記録層を透過する際に温度変化に応じて光ビームの進路が変えられる。そして、ホログラム記録層を透過した光ビームを受光するフォトディテクタを備え、光ビームの進路の変化は、フォトディテクタで検出される。そして、演算器がフォトディテクタで受光される光ビームの変化からホログラム記録層の温度を検出する。
【0012】
本発明のホログラム記録再生装置は、サーボ用光ビームを用いるサーボ手段によって記録媒体に配されたホログラム記録層の所定の位置に記録用光ビームを集光させて情報を記録し、または、ホログラム記録層に再生用光ビームを集光させて前記情報を再生するホログラム記録再生装置であって、ホログラム記録層に所定の入射角度で入射し、ホログラム記録層を透過する温度検出用光ビームを出射する光源と、ホログラム記録層を透過した、温度検出用光ビームを受光するフォトディテクタと、フォトディテクタで受光される光ビームの変化からホログラム記録層の温度を検出する演算器と、を具備する。
【0013】
このホログラム記録再生装置は、サーボ手段によって記録媒体に配されたホログラム記録層の所定の位置に記録用光ビームを集光させて情報を記録し、または、再生用光ビームを集光させて前記情報を再生する。そして、このような装置で、さらに、温度検出用光ビームを出射する光源と、温度検出用光ビームを受光するフォトディテクタと、を具備する。そして、温度検出用光ビームは、ホログラム記録層に所定の入射角度で入射し、ホログラム記録層を透過する際に温度変化に応じて光ビームの進路が変えられる。また、ホログラム記録層を透過した度検出用光ビームを受光するフォトディテクタで、温度検出用光ビームの進路の変化が検出される。そして、演算器がフォトディテクタで受光される光ビームの変化からホログラム記録層の温度を検出する。
【0014】
本発明のホログラム記録再生媒体の温度検出方法は、ホログラフィを利用してホログラム記録層に情報を記録するホログラム記録再生媒体の温度検出方法において、ホログラム記録層に所定の角度で光ビームを入射し、ホログラム記録層を透過した光ビームをフォトディテクタで受光し、フォトディテクタで受光される光ビームの変化に基づいてホログラム記録層の温度を検出する。
【0015】
このホログラム記録再生媒体の温度検出方法は、ホログラム記録層に所定の角度で光ビームを入射する。このとき、を透過する際に温度変化に応じて光ビームの進路が変えられる。そして、ホログラム記録層を透過した光ビームをフォトディテクタで受光し、これにより、ホログラム記録層の温度を検出する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のホログラム記録再生装置、ホログラム記録再生媒体の温度検出装置、およびホログラム記録再生媒体の温度検出方法では、ホログラム記録層を透過する光ビームの進路の変化をフォトディテクタによって検出し、記録時、再生時を問わず記録再生媒体の温度を検出できる。また、記録再生装置に頻繁に着脱するリムーバブルな記録再生媒体においても、高速に記録再生媒体の温度を検出できる。そして、正確で容易にホログラム記録再生媒体の温度検出が可能なホログラム記録再生装置、ホログラム記録再生媒体の温度検出装置、およびホログラム記録再生媒体の温度検出方法の提供ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0018】
(記録再生媒体の構造)
まず、図1にホログラフィックメモリに用いるホログラム記録再生媒体10を示す。図1はホログラム記録再生媒体10の断面図であり、図面の上方から、光ビームは照射される。
【0019】
ホログラム記録再生媒体10は、反射防止膜11、プラスチック基板12、ホログラム記録層13、ギャップ層14、ダイクロイック層15、ギャップ層16、グルーブ17、プラスチック基板18によって形成されている。
【0020】
反射防止膜11は、メディア表面からの反射を防ぎ、レーザ光源への戻り光が発生することを防止し、さらに迷光の発生を防止するためのものである。また、プラスチック基板12は、ホログラム記録層13を保護する役目を果たしている。プラスチック基板12を構成する材料であるプラスチックをガラスに置き換えても同様の作用を奏するものである。
【0021】
また、ホログラム記録層13は、回折格子が形成される部分であり、本実施形態においては、フォトポリマーが採用されている。ギャップ層14は、ホログラム記録層13とダイクロイック層15の間に設けられており、この層を設けることによってダイクロイック層15で反射するホログラム記録再生用ビームとプラスチック基板18の表面で反射するサーボ用光ビームとのフォーカスの位置を変化させている。ダイクロイック層15は、波長選択特性を有し、ホログラム記録再生用ビームを反射し、これと異なる波長のサーボ用光ビームを透過させるようになされている。
【0022】
また、ギャップ層16は、ダイクロイック層15とプラスチック基板18との間にギャップを設けるためのものである。グルーブ17はプラスチック基板に配された溝であり、アルミ反射膜がグルーブ17の凹凸の面に配されている。グルーブ17はトラッキングサーボを行い、アドレスを検出できるように所定のフォーマットの形状とされている。
【0023】
ホログラム記録再生媒体10は、このような構造を有するので、サーボ用光ビーム(例えば、波長660nmのコヒーレント光)とホログラム記録再生用ビーム(例えば、波長407nmまたは532nmのコヒーレント光)との2つの波長をホログラム記録再生媒体10に照射する場合において、サーボ用光ビームとホログラム記録再生用ビームとを分離して、グルーブ17とホログラム記録層13に作用させることが可能となる。
【0024】
すなわち、ホログラム記録再生用ビーム(波長407nm)はダイクロイック層15より下の層に届かないようにされている。そのために、記録時においては、アルミ反射膜が配されたグルーブ17からの波長407nmの戻り光が反射して、再び、ホログラム記録層13に作用することがない。これによって、グルーブ17からの戻り光が混入することなく、精度良く回折格子が形成される。また、再生時においては、アルミ反射膜が配されたグルーブ17からの戻り光が、ホログラム記録層13に形成された回折格子からの再生光に混入することがなく高品位の再生光が得られる。図1においては、ホログラム記録再生用ビームには符号29を付して模式的にあらわしている。
【0025】
一方サーボ用光ビーム(波長660nm)は、ダイクロイック層15を透過して、グルーブ17に配されたアルミ反射膜に到達した後に反射した戻り光からアドレス信号やサーボ用のエラー信号が得られる。図1においては、サーボ用光ビームには符号30を付して模式的にあらわしている。
【0026】
ここで、波長660nmのコヒーレント光は、いわゆる赤色レーザダイオードによって得ることができ、波長407nmのコヒーレント光は、いわゆる青色レーザダイオードによって得ることができ、波長532nmのコヒーレント光は、Nd−YAGの第二高調波として得るこができる。
【0027】
次に、ホログラム記録層13の材料としてフォトポリマーを用いた場合の温度に対する特性を図2、図3に示す。図2は、温度に対するフォトポリマーの屈折率の変化を示し、図3は、温度に対するフォトポリマーの膨張率の変化を示すものである。
【0028】
図2に示すように、フォトポリマーの屈折率は、温度の上昇とともに、略比例して小さくなり、その比例定数は、約0.0004/℃である。また、図3に示すように、フォトポリマーの膨張率は、温度の上昇とともに、略比例して大きくなり、その比例定数は、約0.0006/℃である。これらの特性に基づいて、ホログラム記録層13の温度を検出することができる。以下に、その詳細を説明する。
【0029】
(第1実施形態の温度検出装置)
図4に沿って第1実施形態の温度検出装置の原理を説明する。なお、図4は、原理を示す模式図であり、図面に表された各部の大きさの比率は、実際のホログラム記録再生媒体10におけるものとは異なるものである。
【0030】
温度検出用の光源Lから発せられた温度検出用の光ビームは、ホログラム記録再生媒体10へ、垂直面(図4の表面から裏面へ伸びる平面)に対する所定の入射角度θ0で入射され、ホログラム記録再生媒体10で反射され、その反射光は、後述する2分割フォトディテクタDで検出される。ここで、温度検出用の光ビームは、2分割フォトディテクタDで検出するに適したスポット径となるような、収束光または拡散光であっても良いが、例えば、第1実施形態においては、5〜100μm(マイクロメータ)の直径を有する断面が円形の平行光を用いている。
【0031】
また、本実施形態においては回折現象を用いて温度を検出するものではないので、インコヒーレント光を温度検出用の光ビームとして用いても良いが、例えば、第1実施形態では、波長660nmのレーザ光を用いている。
【0032】
図4において、符号BT1を付された実線、符号BT2を付された破線は、光源Lから出射された平行光の仮想的な、各々1本の光ビームの軌跡を示すものである。光ビームBT1は、ホログラム記録層13の温度が温度T1の場合の仮想的な1本の光ビームを示し、光ビームBT2は、ホログラム記録層13の温度が温度T2の場合の仮想的な1本の光ビームを示している。
【0033】
光ビームBT1および光ビームBT2は、図4の紙面上を進行し、この紙面は、ホログラム記録再生媒体10の平面(図4の紙面の表面から裏面に伸びる面)と直交している。また、この紙面およびホログラム記録再生媒体10の平面の両方に直交する図4の紙面の表から裏に伸びる、上述した垂直面に対しては、光ビームは所定の角度を有して入射しており、この角度を入射角度θ0で表す。
【0034】
このような入射角度θ0で入射した光ビームは、反射防止膜11、プラスチック基板12、ホログラム記録層13、ギャップ層14、ダイクロイック層15、ギャップ層16、グルーブ17の各々において、隣り合う層と屈折率が異なる場合には、実際には、各層の境界で光ビームの角度は、スネル(Snell)の法則にしたがって変化するが、本実施形態においては、ホログラム記録層13のみに注目しており、また、それ以外の層の屈折率変化は相対的に影響が小さい。よって、説明を簡単にして、本実施形態の温度検出装置の動作原理を明確にするために、ホログラム記録層13以外の層の屈折率は1として、温度による屈折率の変化の変化も存在しないものとして図4は作図されている。
【0035】
ホログラム記録層13の温度が温度T1の場合の光ビームBT1は、スネルの法則にしたがって、ホログラム記録層13に入射する境界面で屈折(入射角度θ0→出射角度θ1)し、ホログラム記録層13から出射する境界面で屈折(入射角度θ1→出射角度θ2)する。そして、アルミ反射膜が配されたグルーブ17で反射され、再び、ホログラム記録層13に入射する境界面で屈折(入射角度θ2→出射角度θ1、図示せず)し、ホログラム記録層13から出射する境界面で屈折(入射角度θ1→出射角度θ0、図示せず)する。
【0036】
そして、光ビームBT1は、アルミ反射膜が配されたグルーブ17から距離Wdmの長さ離間した位置である投影位置Pt1に照射される。
【0037】
また、ホログラム記録層13の温度が温度T2の場合の光ビームBT2は、ホログラム記録層13の屈折率が変化するので温度T1のときとは光路(進路)が異なるものとなり、その光路は、同様にスネルの法則にしたがって、ホログラム記録層13に入射する境界面で屈折(入射角度θ0→出射角度θ1´)し、ホログラム記録層13から出射する境界面で屈折(入射角度θ1´→出射角度θ2´)する。そして、アルミ反射膜が配されたグルーブ17で反射され、再び、ホログラム記録層13に入射する境界面で屈折(入射角度θ2´→出射角度θ1´、図示せず)し、ホログラム記録層13から出射する境界面で屈折(入射角度θ1´→出射角度θ0´、図示せず)する。そして、光ビームBT2は、アルミ反射膜が配されたグルーブ17から距離Wdmの長さ離間した位置である投影位置Pt2に照射される。
【0038】
すなわち、ホログラム記録層13の温度変化に応じた屈折率の変化は、光ビームが照射される位置の変化として検出することが可能である。
【0039】
なお、グルーブ17に照射される光ビームの断面の直径は5〜100μm程度であるのに対してグルーブ17のピッチおよびグルーブ17の凹凸はその1/数10〜1/数100程度にされているので、グルーブ17からの反射光がグルーブ17のグルーブ形状によって変化を受けることはない。
【0040】
また、温度が変化するとホログラム記録層13の厚みLの大きさも変化するため、その影響によっても同様に出射後のビームの位置がずれる。反射防止膜11、プラスチック基板12、ホログラム記録層13、ギャップ層14、ダイクロイック層15、ギャップ層16、グルーブ17の各々においても、実際には、各々の層の厚みが変化するが、本実施形態においては、ホログラム記録層13のみに注目しており、それ以外の層の温度による厚みの変化はあまり大きな影響を与えないので、説明を簡単にして、本実施形態の原理を明確にするために、上述したように、ホログラム記録層13以外の層の屈折率を1とすることによって、ホログラム記録層13以外の層の厚みの変化は考慮から除外している。
【0041】
図4においては、光ビームの光路を描くことによって、投影位置Pt1が投影位置Pt2に移動することを示したが、上述のホログラム記録層13の屈折率と、ホログラム記録層13の厚みLと、光ビームのシフト量Δt(図4の投影位置Pt1と投影位置Pt2との距離に対応する)との関係は、(式1)で表される。この式はスネルの法則を元に導き出されたものである。
【0042】
(式1)
Δt=2L×[tan{Arcsin(n0/n1×sinθ0)}
−(1+ψ)×tan{Arcsin(n0/n2×sinθ0)}]
【0043】
(式1)において、空気中の屈折率をn0、ホログラム記録層13の温度T1における屈折率をn1、温度T2における屈折率をn2、ホログラム記録再生媒体10への入射角を入射角度θ0、温度T1におけるホログラム記録層13の厚みをL、温度T2におけるホログラム記録層13の厚みを(1+ψ)Lとするものである。すなわち、シフト量Δtは、温度T1における屈折率と温度T2における屈折率n1、屈折率n2と、温度T1におけるホログラム記録層13の厚みLと温度T2におけるホログラム記録層13の厚み(1+ψ)Lと、入射角度θ0との関数となっている。
【0044】
なお、(式1)を計算するには、各々の温度に対する屈折率および厚みLの値を、ホログラム記録層13ごと(すなわち、ホログラム記録再生媒体10ごと)に知ることが必要となる。このために、ホログラム記録再生媒体10の所定の領域、例えば、ベンダーユニーク情報としてヘッダ領域、の一部に記録されており、これらの情報は、容易に知ることができるようになされている。
【0045】
また、各温度、例えば、温度T1、温度T2ごとに、これらの情報をベンダーユニーク情報として記憶させるのではなく、初期温度における屈折率および膨張率と、温度の変化に対する屈折率の変化の割合および温度の変化に対する厚みLの変化の割合をベンダーユニーク情報として記憶させておけば、より少ないデータ量のベンダーユニーク情報から(式1)を計算することができる。
【0046】
図5に、このシフト量Δtに応じた電気信号を検出する2分割フォトディテクタDを示す。この2分割フォトディテクタDからの信号を演算して差電圧Vdを検出することによって、ホログラム記録層13の温度変化を導くことが可能となる。なお、2分割フォトディテクタDの詳細は後述する。
【0047】
ここで、ホログラム記録層13の温度検出の原理を簡単に説明する。まず、初期の所定の初期温度Tiにおける2分割フォトディテクタDからの差電圧Vdの値である初期差電圧Vdiが予め分かっているとする。このとき、ある未知の温度における差電圧Vdを求めた後、初期差電圧Vdiとこの差電圧Vdとの誤差である誤差差電圧ΔVdを求め、誤差差電圧ΔVdに対応するシフト量Δtをさらに求め、(式1)に代入することによって、ホログラム記録層13の初期温度Tiからの温度の変化量を知り、初期温度Tiにこの温度の変化量を加算してホログラム記録層13の温度を知ることができることとなる。
【0048】
しかしながら、上述の手続きは煩雑であるので、予め、(式1)と、光スポットS(図5参照)の変位に対する2分割フォトディテクタDの出力電圧特性と、を掛け算しておき、2分割フォトディテクタDからの差電圧Vdの値から温度変化を求めるのが、より簡便である。図6は、このような目的に沿って、2分割フォトディテクタDからの差電圧Vdの値と温度変化との関係を実測した一例である。
【0049】
図6は、ホログラム記録層13として、フォトポリマーを用いた場合の差電圧Vdと初期温度Tiからの温度変化との関係を示す。ホログラム記録層13として、フォトポリマーを用いる場合には、差電圧Vdの大きさは温度の上昇に伴って単調に増加する1価関数であるので、1つの差電圧Vdに対して必ず1の温度変化の値が対応する。
【0050】
そして、図6から明らかなように、差電圧Vdの値を検出して、その差電圧Vdに対応する温度変化を求め、その温度変化の大きさに初期温度Tiを加算することによって、ホログラム記録層13の温度を知ることが可能となる。ここで、差電圧Vdは正負いずれの値も採るものである。例えば、差電圧Vdが負の値である場合には、ホログラム記録層13の温度は、初期温度Tiよりも低く、差電圧Vd1が正の値である場合には、ホログラム記録層13の温度は、初期温度Tiよりも高いものである。また、初期温度Tiにおける差電圧Vdの値である初期の差電圧Vdiの値は、この場合には0Vとされている。
【0051】
図5に沿って、2分割フォトディテクタDの説明をする。図5には、光スポットSが、照射されている状態を模式的に示す。2分割フォトディテクタDはフォトディテクタDAとフォトディテクタDBとの2つのディテクタから構成され、各々のフォトディテクタからは照射される光量に応じた電気信号を取り出すことができる。そして、光スポットが、ホログラム記録層13の屈折率または厚みの変化に応じて、図5の矢印の方向に移動するようにフォトディテクタDは温度検出装置において配置されている。また、フォトディテクタの大きさは、この移動する光スポットSを受光できる面積があれば十分である。
【0052】
このような2分割フォトディテクタDから得られる差電圧Vdは、(式2)の演算によって得られる。ここで、電圧Vdaは、フォトディテクタDAから検出される電圧であり、電圧Vdbは、フォトディテクタDBから検出される電圧である。
【0053】
(式2)
Vd=(Vda−Vdb)/(Vda+Vdb)
【0054】
(式2)において、電圧Vdaから電圧Vdbを引き算して、電圧Vdaと電圧Vdbとの和で割り算をしたのは、電圧Vdaと電圧Vdbとの和で規格化することによって、温度検出用の光ビームの光源Lからの光量の変化、ホログラム記録再生媒体10からの反射光量の変化があったとしても差電圧Vdの大きさが変化しないようにして正しい光スポットSの移動量、すなわち、正しい温度が検出できるようにするためである。
【0055】
(式2)で検出された差電圧Vdの値は演算器(図示せず)に入力され、温度に変換される。ここで、演算器は、例えば、差電圧Vdから温度を出力するテーブルまたは、CPU(セントラルプロセッシングユニット)によって、所定の計算式に基づき、差電圧Vdを入力として温度を出力とするものであっても良い。
【0056】
第1実施形態の温度検出装置において、2分割フォトディテクタDを、どのように配置するかについて、再び図4を参照して説明する。2分割フォトディテクタDの光検出面と、ホログラム記録再生媒体10の平面とは対抗して、距離Wdmの長さ離間して略平行に配置されている。そして、フォトディテクタDAとフォトディテクタDBとを分割する線は、図4の紙面に直交し、紙面の表面から裏面へ伸びている。
【0057】
ここで、フォトディテクタDAまたはフォトディテクタDBのいずれを光源Lに近い側に配置するかによって、差電圧Vdの極性が定まる。フォトディテクタDBを光源Lに近い側に配置すると、図2および図3に示す特性を有するフォトポリマーを用いたホログラム記録層13では、温度が上昇するに従って、光スポットSは光源Lからより離れる方向に移動し、フォトディテクタDAからの電気信号の大きさはより大きく、フォトディテクタDBからの電気信号の大きさはより小さくなり、(式2)の演算の結果として、差電圧Vdはより正方向に大きくなる。したがって、このような配置を採るときには、差電圧Vdの値が正である場合には初期温度Tiよりも高い温度が演算の結果ホログラム記録層13の温度として検出され、差電圧Vdの値が負である場合には初期温度Tiよりも低い温度が演算の結果ホログラム記録層13の温度として検出されることとなる。
【0058】
次に、このような温度検出装置の特性について説明する。温度の変化に対する差電圧Vdの変化の量(S)とノイズ(N)との比であるS/N比は、どれだけ細かく温度変化を検出できるかの分解能をあらわすものであって、温度検出用の光ビームの直径、温度検出用の光ビームの強度、2分割フォトディテクタDの大きさ、2分割フォトディテクタDのディテクタ間距離に依存しており、温度検出用の光ビームの直径および温度検出用の光ビームの強度が大きくなるほど、S/N比は大きくなる。また、2分割フォトディテクタDの大きさは、温度検出用の光ビームの直径が大きくなるほど大きくして、温度検出用の光ビームが2分割フォトディテクタDで検出されるようにしなければならないが、過度に大きくすると、検出信号以外の迷光を検出してノイズ(N)レベルを上げてS/N比を悪化させることとなる。
【0059】
一方、差電圧Vdの変化の量と温度の変化の量との比である感度は、温度検出用の光ビームの入射角度θ0に依存している。本実施形態においては、入射角度θ0は20〜60(°)の範囲としている。ここで、入射角度θ0が大きくなると、感度が高くなるが、2分割フォトディテクタDの大きさも大きくなり、検出信号以外の迷光を検出してノイズ(N)レベルを上げる傾向があり、上述の範囲が望ましい範囲である。
【0060】
(第2実施形態の温度検出装置)
第1実施形態の温度検出装置は、2分割フォトディテクタDにおける光スポットSのシフト量に応じて差電圧Vdを検出するものであった。そして、このような検出装置を構成する2分割フォトディテクタDおよび温度検出用の光源Lは、記録再生装置(図示しない)の1部として所定の場所に固定して配置されている。一方、ホログラム記録再生媒体10は、リムーバブルとされている。
【0061】
すなわち、記録再生装置に対して着脱可能とされている。そして、ホログラム記録再生媒体10は、ホログラム記録再生媒体10ごとに各構成部分の厚さが異なり、さらに、ホログラム記録再生媒体10を装置に装着するに際して、装着装置(図示せず)とホログラム記録再生媒体10との関係で、装着時ごとのばらつきが発生する。すなわち、ホログラム記録層13とディテクタとの距離である距離Wdm(図4参照)がホログラム記録再生媒体10ごと、または、装着ごとに変化することとなる。
【0062】
また、発生するチルトの大きさもホログラム記録再生媒体10ごとに、異なる特性を有し、さらに、ホログラム記録再生媒体10の媒体上の位置によってもチルトの大きさ、チルトの方向が異なっている。また、さらに、記録再生装置にホログラム記録再生媒体10を着脱するごとに、装着装置とホログラム記録再生媒体10との位置関係が異なり、チルトの大きさに影響を及ぼすものとなる。
【0063】
ここで、チルトとは、一般的には、記録再生媒体の記録再生面の傾きを言い、照射する光ビームの光軸とホログラム記録層13の平面(記録再生面)とがなす角度の垂直(90°)からのずれを言うものであるが、本実施形態においては、光ビームの入射角度θ0が垂直ではなく、上述した20〜60(°)の範囲の所定の入射角度θ0だけ垂直方向からずらされているので、この所定の入射角度θ0からずれるようなホログラム記録再生媒体10の傾きが有る場合にチルトが発生しているとし、予め定めた所定の光ビームの入射角度θ0からのずれ角度をチルト角度と定義して以下用いる。
【0064】
次に、図7を参照して、距離Wdmが区々となる場合の影響を図によって説明する。2分割フォトディテクタDと光源Lとは記録再生装置に固着されているのでその相対位置は変わることがない。すなわち、2分割フォトディテクタDの分割位置と光源Lとの距離は距離Lldに保たれている。
【0065】
実際には、ホログラム記録再生媒体10の構造および装着装置への装着状態に応じて、距離Wdmは区々となるのであるが、2分割フォトディテクタDおよび光源Lとホログラム記録再生媒体10との相対位置のみが問題となるので、図7においては、説明を分かりやすくするために光源Lが光源L´の位置に移動したとして、距離Wdmが変化することによる影響の説明を行う。光源が光源L´で示す位置に移動する場合には、2分割フォトディテクタDとアルミ反射膜が配されたグルーブ17との間の距離Wdm´の値は、光源が光源Lで示す位置にある場合における距離Wdmの値よりも小さくなる。
【0066】
まず、距離Wdmが予め定められた適正な値である場合には、図7に実線で示す1本の光ビームBTl(この光ビームは、作図上の仮想的な光ビームである)は、アルミ反射膜が配されたグルーブ17で反射して、2分割フォトディテクタDの1点を照射する。この1点を投影位置Ptとして図7に表す。そして、投影位置Ptは、2分割フォトディテクタDの分割線の位置Cs(2分割された、フォトディテクタDAとフォトディテクタDBとの境界の位置、図5を参照)と一致している。すなわち、この1本の光ビームBT1は、光スポットS(図7には図示せず、図5を参照)の中心点であり、上述のように2分割フォトディテクタDの分割線の位置Csに照射される。
【0067】
そして、距離Wdm´の値が距離Wdmの値よりも小さくなると、それに応じて、2分割フォトディテクタDに投影される光ビームの位置は、より温度検出用の光源L´に近い側(投影位置Pt´)に移動する。そして、2分割フォトディテクタDの位置は光源L´から距離Lldの長さだけ常に離間しているので、光スポットSの中心点は、2分割フォトディテクタDの分割線の位置Cs´よりも右側に来てしまう。そして、(式2)に示す演算によって、距離Wdmのときの差電圧Vdの値を差電圧Vdiとすると、距離Wdm´のときには差電圧Vd´となり、その差電圧の値はより小さくなる。すなわち、距離Wdmの値が小さくなると差電圧Vdの値はより小さくなり、距離Wdmの値が大きくなると差電圧Vdの値はより大きくなるように働く。このようにして、温度変化以外の要因で、差電圧Vdが、本来の差電圧Vdiから変化してしまうこととなる。
【0068】
ここで、距離Wdmを変化させる要素は、ディスクを回転させることによるディスクのばたつき、ホログラム記録再生媒体10を構成するプラスチック基板18の厚みのばらつき、および、ホログラム記録再生媒体10を装着装置(図示せず)に装着するときに、その度ごとに区々に変化する、装着装置の表面と、その装着装置の表面に対抗する面であるプラスチック基板18の裏面(図7におけるホログラム記録再生媒体10の最下部面)との間の距離のばらつきとが、主なる要素である。すなわち、装着装置のホログラム記録再生媒体10を装着する装着装置の表面(図示せず)と、アルミ反射膜が配されたグルーブ17との間の距離が大きくなると、距離Wdmの値は小さくなり、装着装置の表面とプラスチック基板18の裏面とが隙間なく密着されている場合に距離Wdmの値は大きくなる。
【0069】
そこで、本実施形態では、装着装置の表面と、2分割フォトディテクタDおよび光源Lとの距離を精度良く確保するとともに、プラスチック基板18の厚みを十分に管理し、装着装置に関しても、装着時における誤差が少なくなるようにしている。
【0070】
次に、図8を参照して、チルトの影響を図によって説明する。実際には、ディスクを回転させることによるディスクのばたつき、ホログラム記録再生媒体10の装着装置に装着されるときに生じるチルトおよびホログラム記録再生媒体10固有の平面の反りが、チルトを発生させるのであるが、2分割フォトディテクタDと光源Lとホログラム記録再生媒体10との相対位置によってチルトの影響は説明できるので、図8においては、説明を分かりやすくするために光源Lが光源L´´の位置に移動したものとして、説明を行う。なお、2分割フォトディテクタDの分割線の位置Cs´´と光源L´´との距離は距離Lldに保たれている。また、図8に示す光源Lの位置、投影位置Ptの位置、2分割フォトディテクタDの分割線の位置Csの位置はチルトがない場合の各々の位置を表すものであり、このときの光ビームを光ビーム、光ビームBT1で示す。
【0071】
図8は、図面の正面から見て右側が図面上方に傾いた場合のチルトの発生を示している。この場合のチルト角度は角度Δθsで表される。光ビームBT1´´は、入射角度θ0に比べてより大きな入射角度θ0´でホログラム記録再生媒体10に入射する。このときの入射角度θ0´は、チルトが存在しないときの入射角度θ0と角度Δθsとの和と等しくなる。
【0072】
ここで、入射角度θ0に比べて、入射角度θ0´が大きいとき、すなわち、チルト角度が角度Δθsだけ加算された場合には、2分割フォトディテクタDに投影される光ビームBT1´´の位置は、より温度検出用の光源L´´に遠い側(投影位置Pt´´)に移動する。そして、2分割フォトディテクタD位置は光源L´´から距離Lldの長さだけ常に離間しているので、光スポットS(図8には図示せず)は、2分割フォトディテクタDの分割線の位置Cs´´よりも左側に来てしまう。上述したように、光源L´´に近い側にフォトディテクタDBが配置されているので、(式2)によって、このときの差電圧Vd´´の値は、チルトが存在しない場合の差電圧Vdiの値より大きくなる。すなわち、入射角度θ0´の値が大きくなると差電圧Vdの値は大きくなり、距離Wdmの値が小さくなると差電圧Vdの値は小さくなるように働く。すなわち、温度変化以外の要因で、差電圧Vdが変化してしまうこととなる。
【0073】
このように、チルトの影響があると、温度変化に応じた差電圧Vdの変化とチルトの変化に応じた差電圧Vdの変化とを分離することができず、差電圧Vdの値からホログラム記録層13の温度を正確に検出することが困難となる。
【0074】
そこで、第2実施形態の温度検出装置は、2の光源と2のフォトディテクタを備えている。後述する、フォトディテクタ・光源ユニットDL21およびフォトディテクタ・光源ユニットDL22は、その一例である。そして、その配置は、1の光源からの光ビーム(第1の光ビーム)と他の光源からの光ビーム(第2の光ビーム)とをホログラム記録層13に垂直な面の各々の側からホログラム記録層13に入射させるようにしている。
【0075】
図9を参照して具体的に以下説明する。図9に示す符号Cs1は、後述するフォトディテクタ・光源ユニットDL21のフォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bを分割する分割線の位置(以下、分割線の位置Cs1と記載する)を示し、同時にフォトディテクタ・光源ユニットDL21から出射される光ビームの中心にある1本の仮想的な出射点を示すものである。また、図9に示す符号Cs2は、後述するフォトディテクタ・光源ユニットDL22のフォトディテクタD22AおよびフォトディテクタD22Bを分割する分割線の位置(以下、分割線の位置Cs2と記載する)を示し、同時にフォトディテクタ・光源ユニットDL21から出射される光ビームの中心にある1本の仮想的な出射点を示すものである。
【0076】
まず、図10(A)、図10(B)に沿って、フォトディテクタ・光源ユニットDL21について説明する。図10(A)は光ビームの投影面から見た平面図であり、図10(B)は、フォトディテクタ・光源ユニットDL21の断面図である。フォトディテクタ・光源ユニットDL21は、光源L21と2分割フォトディテクタD21とを具備する。
【0077】
図10(A)に示すように、2分割フォトディテクタD21は、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bを有しており、この2つのフォトディテクタは、同一平面上に分割されて配置されている。この分割の中心を通る直線が上述の分割線の位置Cs1である。フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bの各々の分割線の位置Cs1の側は、半円形状に切欠いた形状を有している。
【0078】
光源L21は、温度検出用の光ビームを出射するものであり、分割線の位置Cs1と、この分割線の位置Cs1と直行するフォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bの各々を2分する線との交点に光源L21の光ビーム放射の中心が配置されている。そして、光源L21は、波長660nmのレーザダイオードLd21およびレーザダイオードからの光ビームを平行光にするためのコリメートレンズLc21を有する。
【0079】
そして、図10(B)の断面図に示すように、フォトディテクタD21A、フォトディテクタD21B、レーザダイオードLd21およびコリメートレンズLc21は、ホルダH21に接着剤等で固着され、これらの光学部材の相対的な位置関係が所定の位置に保たれている。
【0080】
このように、ホルダH21によって、これらの光学部材の相対的な位置関係が所定の位置に保たれているために、レーザダイオードLd21から出射された光ビームは、コリメートレンズLc21で、断面形状が円形の平行な光ビーム(図10(B)において、破線矢印で表す)とされ、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bの裏面側から、切欠いて形成された円形穴を通過出射される。この光ビームの断面積は、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bの切欠きの形状と略一致している。
【0081】
そして、この光ビームは、直進するので、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bによって検出されることはないようにされている。また、このように、光源L21、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bが配置されているので、切り欠き部分では、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bは、光ビームの照射を検知することができないようになされている。
【0082】
また、フォトディテクタ・光源ユニットDL22は、フォトディテクタ・光源ユニットDL21と同一の構成を有し、2分割されたフォトディテクタであるフォトディテクタD22AおよびフォトディテクタD22Bと、光源L22とを具備しており、さらに、光源L22は、レーザダイオードLd22とコリメートレンズLc22とを有している。
【0083】
図9に示す温度検出装置は、このような、フォトディテクタ・光源ユニットDL21とフォトディテクタ・光源ユニットDL22とを備えており、フォトディテクタ・光源ユニットDL21およびフォトディテクタ・光源ユニットDL22は、記録再生装置に固着されている。そして、フォトディテクタ・光源ユニットDL21とフォトディテクタ・光源ユニットDL22の相互の位置関係は、チルトが存在しない状態においては、光源L21から出射される光ビームによって、アルミ反射膜の配されたグルーブ17で反射して、フォトディテクタD22AおよびフォトディテクタD22Bに照射される光スポットS2が、丁度、その切欠き部分を照射するようにされるとともに、光源L22から出射される光ビームによって、アルミ反射膜の配されたグルーブ17で反射して、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21Bに照射される光スポットS1が、丁度、その切欠き部分を照射するようになされる。
【0084】
すなわち、フォトディテクタ・光源ユニットDL21から出射される光ビームの中心にある1本の仮想的な出射点からの光ビームBT12は、ホログラム記録層13に垂直な紙面の表面から裏面へ延びる平面の右側から入射して、この平面の左側の分割線の位置Cs2に照射され、フォトディテクタ・光源ユニットDL22から出射される光ビームの中心にある1本の仮想的な出射点からの光ビームBT11は、この垂直な平面の左側から入射して、この平面の右側の分割線の位置Cs1に照射されるようになされており、図9において、分割線の位置Cs2と分割線の位置Cs1を結ぶ線上の左側から順に、フォトディテクタD22A、フォトディテクタD22B、フォトディテクタD21B、フォトディテクタD21Aが配置されている。
【0085】
そして、温度は、(式3)に示す差電圧Vd21を求める演算式によって電圧として検出される。ここで、電圧Vd21a、電圧Vd21b、電圧Vd22a、電圧Vd22bは、各々、フォトディテクタD22A、フォトディテクタD22B、フォトディテクタD21B、フォトディテクタD21Aからの出力電圧である。
【0086】
(式3)
Vd21={(Vd21a−Vd21b)/(Vd21a+Vd21b)}+{(Vd22a−Vd22b)/(Vd22a+Vd22b)}
【0087】
(式3)で検出された差電圧Vd21の値は演算器(図示せず)に入力され、温度に変換される。ここで、演算器は、例えば、差電圧Vd21から温度を出力するテーブルまたは、CPU(セントラルプロセッシングユニット)によって、所定の計算式に基づき、差電圧Vd21を入力として温度を出力とするものであっても良い。
【0088】
このように、フォトディテクタ・光源ユニットDL21とフォトディテクタ・光源ユニットDL22とを配置すれば、温度検出の精度に対して、2分割フォトディテクタD21および2分割フォトディテクタ22の切欠き部分が影響を与えることはない。
【0089】
すなわち、フォトディテクタD21AおよびフォトディテクタD21BならびにフォトディテクタD22AおよびフォトディテクタD22Bに切り欠き部分がない場合には、チルトが存在しないときには、光スポットS1の照射によって、フォトディテクタD21Aに生じる電圧Vd21aからフォトディテクタD21Bに生じる電圧Vd21bを引いた差電圧Vd21の値は0V(ボルト)となるものであり、光スポットS2の照射によって、同様に、フォトディテクタD22Aに生じる電圧Vd22aからフォトディテクタD22Bに生じる電圧Vd22bを引いた差電圧Vd22の値も0V(ボルト)となるものである。
【0090】
一方、光スポットS1および光スポットS2の形状は、略円形とされており、上述した各々のフォトディテクタの切り欠かれた部分と略同一サイズとされているので、切り欠き部分がある場合にも、フォトディテクタD21Aに生じる電圧Vd21aからフォトディテクタD21Bに生じる電圧Vd21bを引いた差電圧Vd21の値は0V(ボルト)となる。同様に、差電圧Vd21の値も0V(ボルト)となる。このように、各々のフォトディテクタD22AおよびフォトディテクタD22Bの切り欠き部分は(式2)の演算結果に影響を与えることはない。同様に、フォトディテクタD22AおよびフォトディテクタD22Bの切り欠き部分は(式2)の演算結果に影響を与えることはない。
【0091】
また、光スポットS1および光スポットS2が切り欠き部分からずれた場合には、そのずれ量に応じた差電圧Vd21が(式2)から得られるので、切り欠き部分がこの場合にも差電圧Vd21の演算結果に影響を与えることはない。
【0092】
このような、構成を有する第2実施形態の温度検出装置の動作を次に説明する。
【0093】
上述のように、図9に示す温度検出装置は、フォトディテクタ・光源ユニットDL21とフォトディテクタ・光源ユニットDL22とが配置されているので、温度T1から温度T2に温度が変化した場合には、フォトディテクタ・光源ユニットDL21からの光ビームによって、フォトディテクタ・光源ユニットDL22に照射される光スポットS2は、図4からも明らかなように図面の左手方向に移動する。その結果、フォトディテクタD22Aからの電圧Vd22aの値は大きくなり、フォトディテクタD22Bからの電圧Vd22bの値は小さくなる。同様に、フォトディテクタ・光源ユニットDL22からの光ビームによって、フォトディテクタ・光源ユニットDL21に照射される光スポットS1は、図面の右手方向に移動する。
【0094】
その結果、フォトディテクタD21Aからの電圧Vd21aの値は大きくなり、フォトディテクタD21Bからの電圧Vd21bの値は小さくなる。そして、(式3)から分かるように、差電圧Vdの値は(式2)の2倍の値が得られる。図9において、符号Cs1の上に示した太い矢印は温度T1から温度T2に変化したときの光スポットS1の移動方向を示し、符号Cs2の上に示した太い矢印は温度T1から温度T2に変化したときの光スポットS2の移動方向を示すものである。
【0095】
次に、図11に沿って、チルトが発生し、そのときのチルト角度が、角度Δθsである場合における、フォトディテクタ・光源ユニットDL21からの光ビームによって、フォトディテクタ・光源ユニットDL22に照射される光スポットS2の移動、および、フォトディテクタ・光源ユニットDL22からの光ビームによって、フォトディテクタ・光源ユニットDL21に照射される光スポットS1の移動について説明をする。
【0096】
図11において、細い矢印の付された実線は、フォトディテクタ・光源ユニットDL21から出射される光ビームの中心にある、1本の仮想的な光ビームBT12´´を表し、細い矢印の付された破線は、フォトディテクタ・光源ユニットDL22から出射される光ビームの中心にある、1本の仮想的な光ビームBT11´´を表す。フォトディテクタ・光源ユニットDL21からの、光ビームBT12´´は投影位置Pt1に照射され、フォトディテクタ・光源ユニットDL22からの、光ビームBT11´´は投影位置Pt2に照射される。
【0097】
すなわち、チルトの影響によって、フォトディテクタ・光源ユニットDL21から出射される光ビームBT12´´の入射角度θ0´の値はチルトが存在しない場合の入射角度θ0に対してΔθsだけ大きくなって、光スポットS2は、図面の左手方向に移動する。また、フォトディテクタ・光源ユニットDL22から出射される光ビームBT11´´の入射角度θ0´´の値はチルトが存在しない場合の入射角度θ0に対してΔθsだけ小さくなって、光スポットS1も同様に左手方向に移動する。ここで、角度Δθsの大きさが、小さい場合には、光スポットS1の移動量と光スポットS2の移動量は略等しいものとなる。したがって、(式3)の演算を行えば、このチルトによる光スポットの移動の影響はキャンセルされ、温度変化の影響のみを検出することが可能となる。
【0098】
図11においては、チルトは、図11の平面内で角度Δθsだけ発生するものとして説明をしたが、図11の裏面から表面方向(または、表面から裏面方向)にチルトが発生する場合において、発生するチルトの量が小さい場合には、光スポットS1は裏面側に移動し、光スポットS2は表面側に移動(または、光スポットS2は裏面側に移動し、光スポットS1は表面側に移動)する。しかしながら、この移動方向は、2分割フォトディテクタD21の分割線Cs1および2分割フォトディテクタD22の分割線Cs2の方向と一致しているので、このようなチルトが、差電圧Vd21の値に影響を与えることはない。したがって、第2実施形態の温度検出装置によれば、どのような方向にチルトが存在しても、チルトの影響をキャンセルして、ホログラム記録層13の温度を正確に検出することができる。
【0099】
図11において、符号Cs1の上に示した太い実線の矢印は温度T1から温度T2に変化したときの光スポットS1の移動方向を示し、符号Cs2の上に示した太い実線の矢印は温度T1から温度T2に変化したときの光スポットS2の移動方向を示すものであり、符号Cs1の上に示した太い破線の矢印はチルト角度が角度0°からチルト角度が角度Δθsに変化したときの光スポットS1の移動方向を示し、符号Cs2の上に示した太い破線の矢印はチルト角度が角度0°からチルト角度が角度Δθsに変化したときの光スポットS2の移動方向を示すものである。
【0100】
例えば、図11に示すホログラム記録再生媒体10が回転記録媒体である場合に、左手方向が回転中心であり右手方向が外周方向である場合、すなわち、図11が回転記録媒体のラジアル方向に切った断面図であるとしても、左手方向が進行方向の前方であり右手方向が進行方向の後方である場合、すなわち、図11が回転記録媒体のタンデンシャル方向に切った断面図であるとしても、いずれの場合であっても同様にチルトの影響の排除が可能となる。さらに、図11をラジアル方向とタンデンシャル方向との任意の方向に切った断面図であるとしても同様にチルトの影響の排除が可能となる。
【0101】
また、第2実施形態の温度検出装置においては、フォトディテクタ・光源ユニットDL21、フォトディテクタ・光源ユニットDL22は、組になる各々のフォトディテクタと光源とを同軸上に備えるので、フォトディテクタ・光源ユニットDL21から照射される光ビームのホログラム記録層13中における光路と、フォトディテクタ・光源ユニットDL22から照射される光ビームのホログラム記録層13中における光路とが、接近し、ホログラム記録層13の略同一点の温度を測定するので、正確にチルトの影響を排除するとともに、正確に光ビームサイズに応じた1点の温度を正確に検出することが可能となる。
【0102】
この他、第2実施形態の温度検出装置の変形例としては、フォトディテクタ・光源ユニットDL21、フォトディテクタ・光源ユニットDL22において、自己の光源L21からの光が自己の2分割フォトディテクタD21へ迷光として混入し、自己の光源L22からの光が自己の2分割フォトディテクタD22に迷光として混入することがないように、光源L21の波長で感度が最大となるように2分割フォトディテクタD21を選定し、光源L22の波長で感度が最大となるように2分割フォトディテクタD22を選定し、両方の波長を異ならせ、さらに、迷光の混入を少なくするものとしても良い。
【0103】
また、別の変形例として、時分割で光源L21と光源L22とを交互に発光させ、光源L21が発光しているときには、2分割フォトディテクタD22からの出力を検出して、光源L22が発光しているときには、2分割フォトディテクタD21からの出力を検出するようにして、自己の光源からの迷光の影響を排除することができる。さらに、このような検出方法を採用するに際して、光源L21および光源L22のいずれもが発光していないときに、2分割フォトディテクタD21からの出力(フォト2分割ディテクタD21の迷光出力)および2分割フォトディテクタD22からの出力(2分割フォトディテクタD22の迷光出力)を検出して、この各々の迷光出力の値を記憶しておき、光源L22のみが発光しているときの2分割フォトディテクタD21の出力から2分割フォトディテクタD21の迷光出力を差し引き、光源L22のみが発光しているときの2分割フォトディテクタD22の出力から2分割フォトディテクタD22の迷光出力を差し引き引くことによって、さらに一層、迷光の混入を少なくして検出精度を向上させることができる。
【0104】
また、さらに別の変形例を以下に説明する。
【0105】
図10に示すように、光源とフォトディテクタとを同軸上に配置することなく、図19に示すように、光源L1、2分割フォトディテクタD2、2分割フォトディテクタD1、光源L2の順に配列し、光源L1からの光ビームが2分割フォトディテクタD1に入射するようにし、光源L2からの光ビームが2分割フォトディテクタD2に入射するようになされている。2分割フォトディテクタD1および2分割フォトディテクタD2のいずれも2分割とされ、フォトディテクタD1A、フォトディテクタD1B、フォトディテクタD2A、フォトディテクタD2Bから構成されている。
【0106】
図19に示す温度検出装置の動作を簡単に説明する。チルトが存在しない場合には、光源L1からの光ビームがホログラム記録再生媒体10に入射する入射角度と、光源L2からの光ビームがホログラム記録再生媒体10に入射する入射角度とは等しなるようにされている。そして、ホログラム記録層13の温度が予め定めた所定の温度である場合には、光源L1からの光ビームは、2分割フォトディテクタD1のフォトディテクタD1AとフォトディテクタD1Bとを均等に照射するようになされ、光源L2からの光ビームは、2分割フォトディテクタD2のフォトディテクタD2AとフォトディテクタD2Bとを均等に照射するようになされている。
【0107】
そして、ホログラム記録層13の温度が上述の所定の温度から変化し、より温度が高くなった場合には、2分割フォトディテクタD1および2分割フォトディテクタD2に照射される各々の光スポットは実線矢印方向に移動する。一方、チルトが図に示すようにホログラム記録再生媒体10の右側が上がる向きに生じると、2分割フォトディテクタD1および2分割フォトディテクタD2に照射される各々の光スポットは破線矢印方向に移動する。したがって、差電圧Vd3を(式4)によって求めれば、チルトの影響を排除して、ホログラム記録層13の温度のみを正確に検出することができる。ここで、電圧Vd1a、電圧Vd1b、電圧Vd2a、電圧Vd2bは、各々、フォトディテクタD1A、フォトディテクタD1B、フォトディテクタD2A、フォトディテクタD2Bからの検出電圧を表すものである。
【0108】
(式4)
Vd3={(Vd1A−Vd1B)/(Vd1A+Vd1B)}+{(Vd2a−Vd2b)/(Vd2a+Vd2b)}
【0109】
(式4)で検出された差電圧Vd3の値は演算器(図示せず)に入力され、温度に変換される。ここで、演算器は、例えば、差電圧Vd3から温度を出力するテーブルまたは、CPU(セントラルプロセッシングユニット)によって、所定の計算式に基づき、差電圧Vd3を入力として温度を出力とするものであっても良い。
【0110】
このような、温度検出装置においては、ホログラム記録層13の温度を検出する点の位置が少しずれるものの、チルトの影響を排除するには十分な効果を生じさせることができる。
【0111】
図20に光源とフォトディテクタとの別の配置を示す、2分割フォトディテクタD4、光源L3、2分割フォトディテクタD3、光源L4の順に配列し、光源L3からの光ビームが2分割フォトディテクタD3に入射するようにし、光源L4からの光ビームが2分割フォトディテクタD4に入射するようになされている。2分割フォトディテクタD3および2分割フォトディテクタD4のいずれも2分割とされ、フォトディテクタD3A、フォトディテクタD3B、フォトディテクタD4A、フォトディテクタD4Bから構成されている。
【0112】
図20に示す温度検出装置の動作を簡単に説明する。チルトが存在しない場合には、光源L3からの光ビームがホログラム記録再生媒体10に入射する入射角度は、光源L4からの光ビームがホログラム記録再生媒体10に入射する入射角度よりもより小さくなるようにされている。そして、ホログラム記録層13の温度が予め定めた所定の温度である場合には、光源L3からの光ビームは、2分割フォトディテクタD3のフォトディテクタD3AとフォトディテクタD3Bとを均等に照射するようになされ、光源L4からの光ビームは、2分割フォトディテクタD4のフォトディテクタD4AとフォトディテクタD4Bとを均等に照射するようになされている。
【0113】
そして、ホログラム記録層13の温度が上述の所定の温度から変化し、より温度が高くなった場合には、2分割フォトディテクタD3および2分割フォトディテクタD4に照射される各々の光スポットは実線矢印方向に移動する。一方、チルトが図に示すようにホログラム記録再生媒体10の右側が上がる向きに生じると、2分割フォトディテクタD3および2分割フォトディテクタD4に照射される各々の光スポットは破線矢印方向に移動する。したがって、差電圧Vd4を(式5)によって求めれば、チルトの影響を排除して、ホログラム記録層13の温度のみを正確に検出することができる。ここで、電圧Vd3a、電圧Vd3b、電圧Vd4a、電圧Vd4bは、各々、フォトディテクタD1A、フォトディテクタD1B、フォトディテクタD2A、フォトディテクタD2Bからの検出電圧を表すものである。
【0114】
(式4)
Vd4={(Vd3A−Vd3B)/(Vd3A+Vd3B)}+{(Vd4a−Vd4b)/(Vd4a+Vd4b)}
【0115】
(式4)で検出された差電圧Vd4の値は演算器(図示せず)に入力され、温度に変換される。ここで、演算器は、例えば、差電圧Vd4から温度を出力するテーブルまたは、CPU(セントラルプロセッシングユニット)によって、所定の計算式に基づき、差電圧Vd4を入力として温度を出力とするものであっても良い。
【0116】
このような、温度検出装置においては、光源L3からの光ビームのホログラム記録層13への入射角度と、光源L4からの光ビームのホログラム記録層13への入射角度とに若干の違いがあるために、チルトをキャンセルする効果は若干損なわれるものの、温度を検出する点の位置のずれは殆どなく、チルトの影響を排除するには十分な効果を生じさせることができる。
【0117】
(第3実施形態の温度検出装置)
第3実施形態の温度検出装置は、温度検出とチルト検出とを別々に行い、チルトの影響が含まれた温度検出装置からの検出信号から、事後的にチルト信号を差し引いて温度情報のみを検出するものである。
【0118】
まず、図21にチルトを検出するチルト検出装置の一例を示す。このチルト検出装置は、光源L5、2分割フォトディテクタD5、光源L6の順に配列し、光源L5および光源L6からの光ビームが2分割フォトディテクタD5に入射するようになされている。2分割フォトディテクタD5は、2分割とされ、フォトディテクタD5A、フォトディテクタD5Bから構成されている。そして、ホログラム記録層13に垂直な面の左側から光源L5からの光ビームがホログラム記録層13に入射し、ホログラム記録層13に垂直な面の右側から光源L6からの光ビームがホログラム記録層13に入射するようになされている。
【0119】
図21に示すチルト検出装置の動作を簡単に説明する。チルトが存在しない場合には、光源L5からの光ビームがホログラム記録再生媒体10に入射する入射角度と、光源L6からの光ビームがホログラム記録再生媒体10に入射する入射角度と等しくされている。そして、光源L5からの光ビームは、2分割フォトディテクタD5のフォトディテクタD5AとフォトディテクタD5Bとを均等に照射するようになされ、光源L6からの光ビームも同様に、フォトディテクタD5AとフォトディテクタD5Bとを均等に照射するようになされている。
【0120】
そして、ホログラム記録層13の温度が上述の所定の温度から変化し、より温度が高くなった場合には、2分割フォトディテクタD5に照射される、光源L5からの光ビームによる光スポットおよび光源L6からの光ビームによる光スポットの各々は実線矢印方向に移動する。一方、チルトが図に示すようにホログラム記録再生媒体10の右側が上がる向きに生じると、光源L5からの光ビームによる光スポットおよび光源L6からの光ビームによる光スポットの各々は破線矢印方向に移動する。したがって、チルト電圧Vcを(式6)によって求めれば、ホログラム記録層13の温度変化による屈折率等の影響を排除して、チルトのみを正確に検出することができる。
【0121】
(式6)
Vc=(Vd5A−Vd5B)/(Vd5A+Vd5B)
【0122】
このような、チルト検出装置を、例えば、図8に示すような、1個の光源Lと1個の2分割フォトディテクタDのみを備える温度検出装置と併用し、(式2)であらわされる差電圧Vdから(式6)で表せるチルト電圧Vcを差し引く(式7)で表される演算を行えば、チルトの影響を排除して、ホログラム記録層13の温度を正確に検出することができる。なお、定数kは差電圧Vdに含まれるチルト成分のゲインとチルト電圧Vcとのゲインを合わせるためのものである。
【0123】
(式7)
Vd7=(Vda−Vdb)/(Vda+Vdb)
−k×(Vd5A−Vd5B)/(Vd5A+Vd5B)
【0124】
(式7)で検出された差電圧Vd7の値は演算器(図示せず)に入力され、温度に変換される。ここで、演算器は、例えば、差電圧Vd7から温度を出力するテーブルまたは、CPU(セントラルプロセッシングユニット)によって、所定の計算式に基づき、差電圧Vd7を入力として温度を出力とするものであっても良い。
【0125】
その他の変形の実施形態としては、図13に示すように、さらに高精度に温度検知を行うために3以上の複数の光ビームを複数の入射角度で入射させ、それらの光ビームのホログラム記録層13を通過後の光ビームを3以上の複数の2分割フォトディテクタで検出するようにしても良い。図13は、2分割フォトディテクタ51、2分割フォトディテクタ52および2分割フォトディテクタ53の3つの2分割フォトディテクタを用いる場合の形態を示す。この場合において、図21に示したチルト検出装置を併用すれば、チルトの影響を排除して、さらに温度検出精度を向上させることができる。
【0126】
また、ホログラム記録再生媒体10が、回転軸Rsを中心として回転する回転媒体である場合においては、各々の2分割フォトディテクタと光源との位置関係は、図22に示すように、フォトディテクタD7AとフォトディテクタD7Bとからなる2分割フォトディテクタD7と、光源L7とで配置を示すように、タンデンシャル方向のチルトを検出するように配置しても、フォトディテクタD8AとフォトディテクタD8Bとからなる2分割フォトディテクタD8と、光源L8とで配置を示すように、ラジアル方向のチルトを検出するように配置して良く、その他のいかなる配置を採ることも可能である。
【0127】
(第4実施形態の温度検出装置)
上述の実施形態は、いずれも、平行光を用いて、ホログラム記録層13の温度を検出したが、集光光を用いて、ホログラム記録層13の温度を検出することもできる。集光光を用いる場合には、ホログラム記録層13において光スポットを、さらに微小面積とすることができるので、微小領域の温度を正確に測定できる。例えば、ホログラム記録または再生を実際に行っている現実の領域の温度を正確に測定することができる。
【0128】
図14は、集光光を用いる場合の温度検出装置の実施形態を示すものである。図14の上方から光ビームは平行光として照射される。光ビームは、コヒーレント光であっても、インコヒーレント光であっても良い。
【0129】
光ビームが、コヒーレント光である場合には、レーザダイオード(図示せず)から出射された光ビームはPBS(偏光ビームスプリッタ)63を通過して、1/4波長板62で円偏光とされ、集光レンズ61を通過して集光され、さらに、ホログラム記録再生媒体10のホログラム記録層13を通過して、サイズが絞られた光スポットはアルミ反射膜の配されたグルーブ17で反射して、再び、ホログラム記録層13、1/4波長板62を通過して、PBS(偏光ビームスプリッタ)63で進路を変えられ、そのほとんどの光ビームはCMOSセンサ64に至る。ここで、CMOSセンサ64は細かく区切られた複数の受光セルから構成され、CMOSセンサ64に照射される光ビームの形状が検知可能とされている。
【0130】
光ビームは、コヒーレント光であるので、集光レンズ61のNA(開口数)とレーザの波長で定まる理論限界に略近いスポットサイズまで、アルミ反射膜の配されたグルーブ17の表面では集光される。図18に、集光レンズ61の断面中心からアルミ反射膜の配されたグルーブ17までの距離Dmlを横軸に採り、CMOSセンサ64における光スポットサイズAs(例えば、光スポットの面積でAsを表す)を採って、両者の関係を示す。
【0131】
図18において、距離Dfは、アルミ反射膜の配されたグルーブ17において、最もスポットサイズが小さくなる距離Dmlの値であり、このときのスポットサイズAsの値は、スポットサイズAfとなる。
【0132】
本実施形態では、初期の所定の初期温度Tiにおいて、集光レンズ61の断面中心からアルミ反射膜の配されたグルーブ17までの距離Dmlを距離Dfより少し離れた点である距離Dnに設定している。そして、このときのスポットサイズAsの値はスポットサイズAnとなる。ここで、CMOSセンサ64においてスポットサイズAsを演算するに際しては、複数の受光セルの各々から検出される光量を所定の閾値と比較して、閾値以上の出力を生じるセンサの数を加算することによって行っている。
【0133】
このような、距離Dnを予め設定には、一例として、サーボ用の光ビーム(図14には図示せず)で温度検出用のフォーカスサーボを行い、常時、サーボ用の光ビームはアルミ反射膜の配されたグルーブ17に焦点を結ぶようにしておき、一方、温度検出用の光ビームは、温度検出用の集光レンズ61を用いてサーボ制御も行い、レーザ光の波長とサーボ用のレーザ光の波長を若干異ならせるか、または、集光レンズ61に入射する温度検出用のレーザ光を平行光ではなく、僅かに収束または発散する光ビームとすることによってサーボ用の光ビームと温度検出用の光ビームの焦点位置を異ならせることにより実現できる。
【0134】
また、温度の変化範囲が広く、図18において、距離Dfよりも右側の領域に動作領域が移動する場合には、所謂ウオブリング法を用い、集光レンズ61をフォーカス方向に微小に振ることによって、距離Dmlが距離Dfの右側か左側かを容易に判別でき、より広範囲な温度を検出することが可能となる。
【0135】
ここで、ホログラム記録層13の温度が変化する場合においては、図18に示す曲線が横軸に沿って左右に移動し、例えば、ホログラム記録層13の温度が低くなって、屈折率が大きくなると、曲線は右方向に移動して、スポットサイズAsの大きさは、スポットサイズAnよりも小さなものとなる。一方、ホログラム記録層13の温度が高くなって、屈折率が小さくなると、曲線は左方向に移動して、スポットサイズAsの大きさは、スポットサイズAnよりも大きなものとなる。このようにして、CMOSセンサ64の出力からスポットサイズAsを検出し、この検出されたスポットサイズAsの値から、ホログラム記録層13の温度を検出することができる。
【0136】
また、スポットの変化の検出方法は、スポットサイズAsを検出するのみならず、PBS63とCMOSセンサ64との間にシリンドリカルレンズ(図示せず)を配置して、CMOSセンサ64から4分割した信号を検出し、その対角出力の和と差を演算し、非点収差法によって、フォーカス誤差信号を得、このフォーカス信号に予め対応づけられたホログラム記録層13の温度を検出するものであっても良い。
【0137】
また、光ビームとしては、インコヒーレント光を用いることもできる。光ビームが、インコヒーレント光である場合には、温度検出領域は、レーザ光を用いる場合に比べて広がるものの、LED(ライト・エミッティング・ダイオード)等の安価な光源を使えるという利点がある。この場合には、PBS63に替えて配置されたハーフミラーが用いられ、また、1/4波長板62は取り除かれる。
【0138】
LED(図示せず)から出射された光ビームは、PBS63に替えて配置されたハーフミラーを通過して、集光レンズ61を通過して集光され、さらに、ホログラム記録再生媒体10のホログラム記録層13を通過して、サイズが絞られた光スポットはアルミ反射膜の配されたグルーブ17で反射して、再び、ホログラム記録層13を通過し、ハーフミラーで進路を変えられ、光ビームはCMOSセンサ64に至る。
【0139】
そして、初期の所定の初期温度Tiにおいて、集光レンズ61の断面中心からアルミ反射膜の配されたグルーブ17までの距離Dmlを距離Dfより少し離れた点である距離Dnに設定し、CMOSセンサ64の出力からスポットサイズAsを検出し、この検出されたスポットサイズAsの値から、ホログラム記録層13の温度を検出することができる。
【0140】
ここで、スポットサイズAsを検出するに際して、CMOSセンサ64を用いて光スポットの面積を検出したが、ラインセンサ(図示せず)を用いて、光スポットの面積に替えて光スポットの直径を検出するようにしても良い。
【0141】
(第5実施形態の温度検出装置)
上述の実施形態の温度検出装置は、ホログラム記録層13の屈折率の変化および厚みの変化から温度を検出するものであったが、そのほかに、ホログラム記録層13に形成される回折格子の温度による変形を検出することによっても温度検出が可能である。
【0142】
ホログラム記録においては、ホログラム記録層13に3次元の回折格子を形成することによって記録がなされる。例えば、このような記録パターンの一例として、ホログラム記録層13に規則正しく所定の間隔、離間し、平行に長く伸びる回折格子が予め記録されている場合について説明する。
【0143】
ホログラム記録再生用ビームは、波長407nmのコヒーレント光である。このようなホログラム記録再生用ビームをホログラム記録再生媒体10に照射すると、ホログラム記録再生用ビームは、規則正しい平行な複数の線からなる格子パターンが形成されたホログラム記録層13を透過し、ダイクロイック層15で反射する。そして再び、ホログラム記録再生媒体10から光源の側に戻って来る。この光は、コヒーレント光であるので回折格子で回折され、n次の回折光が発生する。回折光としては+−1次光が最も強度が強いので、この1次光をフォトディテクタ(図示せず)で検出する。
【0144】
0次光と1次光とのなす角度は、コヒーレント光の波長と回折格子の間隔に応じて異なり、コヒーレント光の波長が一定である場合には、回折格子の間隔が狭まるほどこの角度は大きなものとなる。したがって、1次光を受光するフォトディテクタを配置しておけば、ホログラム記録層13に形成された回折格子の間隔に応じて1次光の角度は変化し、光ビームは移動するので、この移動を2分割デテクタ(図示せず)で検出することによって、回折格子の間隔を検出することができる。ここで、ホログラム記録層13に形成された回折格子の間隔は、温度依存性があるので、2分割デテクタの出力から温度を検出することが可能となる。
【0145】
(実施形態の温度検出装置を用いたホログラム記録再生装置)
上述の温度検出装置を用いたホログラム記録再生装置の一例を示す。図17にコリニア方式のホログラム記録再生装置5を示す。
【0146】
(記録再生系の説明)
記録再生に用いるレーザ光源87としては、例えば405nm(ナノメータ)のレーザダイオードや532nmのNd−YAGレーザから照射された光ビーム112がコリメートレンズ88によって平行光にされ、戻り光を防ぐためにアイソレータ89を通過する。
【0147】
その後、光ビーム112は、メカニカルシャッタ97通過し、波長板90によって強度調節され、PBS21を通過し、P偏光成分のみが、空間光変調器である反射型液晶95に入射される。ここでは空間光変調器として反射型の液晶を用いたが、これはDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)や透過型の液晶などを用いてもかまわない。反射型液晶95に投射されるパターンは、中心が信号光のデータ領域で、その周りに参照光のデータ領域が投射される。ここでこの投影の仕方は2つの光(信号光と参照光)が同一光路を伝播するときの例であって、このパターンは中心に参照光、その周りに信号光というパターンであっても良い。また信号光のパターンの両脇から参照光を入射するというパターンでもかまわない。
【0148】
ここで反射型液晶によって変調された光ビーム92は偏光が90°回転するためにPBS91によって反射する。次に波長板96によって再びP偏光に戻されてPBS86を透過し、その後、1/4波長板85によって円偏光とされる。そして、リレーレンズ83によって伝播される。このとき液晶からの高次の回折光を切るためのピンホール84が用いられている。続いてダイクロイックミラー80を通過するが、これはサーボに用いる光と記録再生に用いる光を同一の光路にするためのものであり、このダイクロイックミラー80の表面は記録再生用の光は全透過し、サーボ用に用いる光は全反射するような薄膜処理がなされている。
【0149】
その後、対物レンズ81によって光ビームは集光されホログラム記録再生媒体10に入射する。ホログラム記録再生媒体10では信号光と参照光は、各々、干渉しあってホログラム記録層(図示せず)にホログラムを形成する。このとき、記録時には参照光のパターンはある強度変調されたものであり、そのパターンがメディア内でスペックルを発生させ、そのスペックルの一致した部分のみから再生光が発生するために、スペックルサイズに依存した非常に細かいシフトピッチでの多重記録が可能となる。また記録時のビームの開閉はメカニカルシャッタ97を開閉することにより行う。
【0150】
再生時においては、反射型液晶95に参照光に相当するパターンのみを表示させ、その参照光成分のみを入射させ、ホログラムからの信号光成分のみを回折させる。再生された信号は、対物レンズ81を通り、ダイクロイックミラー80を透過し、リレーレンズ83を通り、その途中でピンホール84によってノイズがカットされる。その後、1/4波長板によってS偏光になり、PBS86で反射されてピンホール98によって外側参照光成分はカットされ、倍率調整用レンズ93を経て、信号光成分のみがCCD(電荷結合素子)94でディテクトされる。
【0151】
(温度検出装置の説明)
レーザダイオード73から出射したレーザビームは、コリメートレンズ74で平行光とされ、その後ビームを複数本に分ける為の2枚で構成されたグレーティング75を通り、ビームスプリッタ76に入射する。レーザビームは、ビームスプリッタ76を通過し、P偏光であるためにPBS100を透過し、ハーフミラー99によってトラッキングとフォーカスサーボ用の光ビーム(ハーフミラーを透過)と温度検知用の光ビーム104(ハーフミラーで反射)とに分けられる。光ビーム104(温度検出用光ビーム)はミラー103によってホログラム記録再生媒体10に入射される。
【0152】
ホログラム記録再生媒体10のアルミ反射膜が配されたグルーブ17によって反射された光ビーム104は、上述した2分割フォトディテクタ102によって、ホログラム記録層の温度が検知される。ホログラム記録層の温度は常時検出が可能であるので、記録時におけるホログラム記録層の温度情報は、ヘッダ情報として、ホログラム記録再生媒体10に記録される。そして、再生の時には、そのヘッダ情報を頼りに記録時における温度と再生時における温度差を見積もって記録再生に用いるレーザ光の波長やレーザ光のホログラム記録層への入射の角度を変化させて再生を行う。
【0153】
図12に、2分割フォトディテクタ102に光ビーム104が形成する光スポットの変位の特性を示す。図12(A)は、記録用層の温度変化に対する光スポットの変位を示し、図12(B)は、デフォーカスの距離に対する光スポットの変位を示し、図12(C)は、チルト角度に対する光スポットの変位を示す。ここで、各々のグラフに示された4本の線は、光ビーム104の入射角度θ0(図17には図示せず)をパラメータとするもので、各々の線上の4角形が最も小さいのが20°(度)、次に大きいのが30°、さらに大きいのが40°、最も大きいのが50°に各々対応するものである。
【0154】
なお、この場合において、図21に示したチルト検出装置を併用すれば、チルトの影響を排除して、さらに温度検出精度を向上させることができる。
【0155】
2分割フォトディテクタ102からの電気信号は演算器111に入力され、電気信号に応じて、ホログラム記録層13の温度が検出される。
【0156】
(サーボ手段の説明)
次にサーボ手段の説明をする。ハーフミラー99によって分けられた、トラッキングとフォーカスサーボ用の光ビームはダイクロイックミラー80によって反射する。このダイクロイックミラー80は波長によって透過又は反射するものであり、ホログラム記録用のレーザ波長より長いサーボ用レーザビームは反射するようにされている。ダイクロイックミラー80で反射されたサーボ用ビームは、対物レンズ81で絞られてホログラム記録再生媒体10のアルミ反射膜が配されたグルーブ17に照射される。
【0157】
図15で示すように、従来の光ディスクと同様にグルーブ17は、ラジアル方向に複数形成されている。そして、このグルーブ17に照射されたレーザビームは拡大図に示すようにセンタービームBCを挟んで複数の光ビームBS1ないし光ビームBS4が配置されるようになされている。
【0158】
レーザビームを複数に分けるためのグレーティング75は、2枚で構成され、1枚で光ビームBS1と光ビームBS2とを、もう1枚で光ビームBS3と光ビームBS4とを作るようになされている。
【0159】
これらのサーボ用ビームは、例えば、グルーブ17に半分だけかかるように配置され、光ビームBS3と光ビームBS4とは、光ビームBS1と光ビームBS2とに比べて反対方向に傾くようになされている。
【0160】
これらのサーボ信号検出用の、光ビームBS1、光ビームBS2、光ビームBS3、光ビームBS4は、とホログラム記録再生用のビームのとの配置に関しては、ホログラム記録層13に記録再生に用いる光ビームを十分に集光できる程度の近傍にサーボ信号検出用の光ビームを配置すれば良く、特に制限があるものではない。ホログラム記録再生媒体10からのサーボ信号検出用ビームの反射光は対物レンズ81を通り、ダイクロイックミラー80で再び反射され、ハーフミラー99、PBS100を経て、ビームスプリッタ76に入射する。そして、ビームスプリッタ76で反射され、レンズ77で絞られた後にシリンドリカルレンズ78で非点収差を発生させてフォトディテクタ79に入射する。
【0161】
フォトディテクタ79は、図16で示すように、フォトディテクタAないしフォトディテクタHの8素子で構成され、フォトディテクタG上に光ビームBS3が、フォトディテクタE上に光ビームBS1が、フォトディテクタAないしフォトディテクタD上に光ビームBCが、フォトディテクタF上に光ビームBS2が、フォトディテクタH上に光ビームBS4が各々照射するようになされている。
【0162】
そして、従来の光ディスク同様にフォーカスサーボに用いるフォーカス誤差信号Feが(式8)に表す式で検出され、トラッキングサーボに用いるトラッキング誤差信号Teが(式9)で表す式で検出されるようになされている。ここで、信号SaはフォトディテクタAから得られる電気信号、信号SbはフォトディテクタBから得られる電気信号、信号ScはフォトディテクタCから得られる電気信号、信号Sdは、フォトディテクタDから得られる電気信号、信号Seは、フォトディテクタEから得られる電気信号、信号Sfは、フォトディテクタFから得られる電気信号である。
【0163】
(式8)
Fe=(Sa+Sc)−(Sb+Sd)
(式9)
Te=Se−Sf
【0164】
そして、このような演算によって得られた、フォーカス誤差信号Fe、トラッキング誤差信号Teに基づいてフォーカス方向、トラッキング方向に対物レンズ81を移動させるアクチュエータ82に配されたアクチュエータコイルに電流を流し、アクチュエータ72を動かすことによってホログラム記録再生媒体10の所定の位置に記録し、また、所定の位置から再生を行うことが可能とされている。
【0165】
(ホログラム記録再生装置の動作の説明)
発明の要旨に係るホログラム記録再生装置5の温度検出動作の説明を以下行う。
【0166】
サーボ手段の作用によって、対物レンズ81をホログラム記録再生媒体10のヘッダ領域を再生可能な位置に移動させる。そして、このベンダーユニーク情報がグルーブの変化(図示せず)として記録されている場合には、サーボ信号からベンダーユニーク情報を読み取り、ホログラム記録層13(図示せず)に記録されている場合には、ホログラム記録層13からの信号を再生して、ベンダーユニーク情報を得る。
【0167】
ベンダーユニーク情報は、例えば、以下の1.ないし3.までのいずれかの形式またはその組み合わせで記録されている。
1. 所定の温度範囲における各々の温度に対する屈折率、所定の温度範囲における各々の温度に対する膨張率。
2. 初期温度における屈折率、膨張率および単位温度当たりの屈折率変化、膨張率変化。
3. 基準ディテクタ(規格で定める特性のディテクタを、規格で定める装置の所定の位置に配したもの)で検出した電圧の値と温度とのテーブル、または、このディテクタの検出電圧から温度を求める変換式。
【0168】
上述のベンダーユニーク情報は、ホログラム記録再生媒体10を提供する会社ごと、例えば、ホログラム記録層13に用いるフォトポリマーの性質の違いによって異なるので、温度を検知するのに必要な情報である。
【0169】
ベンダーユニーク情報を得た後は、この情報をホログラム記録再生装置5のコントロール部(図示せず)に配されたRAM(ランダムアクセスメモリ)に書き込み、次に上述した第1実施形態ないし第5実施形態のいずれかの温度検出装置によって温度を検出する。
【0170】
そして、ホログラム記録再生媒体10に情報を書き込むに際して、温度検出装置によって検出した温度も同時に書き込む。
【0171】
ここで、ベンダーユニーク情報は、温度検出装置の2分割ディテクタから検出された電圧値から、温度に変換する変換式を構成するのに用いられる。そして、演算式は演算器111によって演算される。
【0172】
すなわち、ホログラム記録再生装置5の温度検出装置が基準ディテクタで構成されている場合で、ベンダーユニーク情報が、上述の3.のケースでは、演算器111は、そのまま、ディテクタの電圧をベンダーユニーク情報で与えられる変換式またはテーブルに代入して温度を出力する。その他の、1.2.のケースでは、予め求めておいた変換式に基づき演算器111で演算して温度が出力される。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】実施形態のホログラム記録再生媒体を示す図である。
【図2】実施形態のホログラム記録再生媒体のホログラム記録層の屈折率を示すグラフある。
【図3】実施形態のホログラム記録再生媒体のホログラム記録層の膨張率を示すグラフである。
【図4】実施形態の温度検出装置の原理を説明する図である。
【図5】実施形態の2分割フォトフォトディテクタを説明する図である。
【図6】実施形態の2分割フォトフォトディテクタからの信号を説明するグラフである。
【図7】実施形態の温度検出装置における記録再生媒体までの距離の変化と温度検出特性との関係を説明する図である。
【図8】実施形態の温度検出装置における記録再生媒体のチルトと温度検出特性との関係を説明する図である。
【図9】実施形態の温度検出装置の原理を説明する図である。
【図10】実施形態のフォトディテクタ・光源ユニットを説明する図である。
【図11】実施形態の温度検出装置の動作を説明する図である。
【図12】実施形態の温度検出装置の特性を説明するグラフである
【図13】実施形態の温度検出装置を説明する図である。
【図14】実施形態の温度検出装置の原理を説明する図である。
【図15】実施形態のホログラム記録再生媒体のグルーブを説明する図である。
【図16】実施形態のホログラム記録再生装置のフォトディテクタを説明する図である。
【図17】実施形態のホログラム記録再生装置を説明する図である。
【図18】実施形態の温度検出装置の動作を説明する図である。
【図19】実施形態の温度検出装置を説明する図である。
【図20】実施形態の温度検出装置を説明する図である。
【図21】実施形態のチルト検出装置を説明する図である。
【図22】実施形態の温度検出装置を説明する図である。
【符号の説明】
【0174】
5 ホログラム記録再生装置、L1、L2、L21、L22、L3、L4、L5、L6、L7、L8 光源、10 ホログラム記録再生媒体、13 ホログラム記録層、15 ダイクロイック層、BS1、BS11、BS12、BS13、BS14、BS4、BT1、BT11、BT12、BT2、BTl 光ビーム、22、51,52,53、D、D1、D2、D21、D22、D3、D4、D5、D7、D8 2分割フォトディテクタ、DL21、DL22 フォトディテクタ・光源ユニット、A、B、C、D、E、F、G、H フォトディテクタ、81 対物レンズ、82 アクチュエータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィを利用してホログラム記録層に情報を記録するホログラム記録再生媒体の温度検出装置において、
前記ホログラム記録層に所定の入射角度で入射し、前記ホログラム記録層を透過する光ビームを出射する光源と、
前記ホログラム記録層を透過した光ビームを受光するフォトディテクタと、
前記フォトディテクタで受光される前記光ビームの変化から前記ホログラム記録層の温度を検出する演算器と、
を具備するホログラム記録再生媒体の温度検出装置。
【請求項2】
前記ホログラム記録層がフォトポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録再生媒体の温度検出装置。
【請求項3】
前記光ビームの変化は、前記フォトディテクタで受光される前記光ビームの位置の変化であることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録再生媒体の温度検出装置。
【請求項4】
前記光ビームの変化は、前記フォトディテクタで受光される前記光ビームの形状の変化であることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録再生媒体の温度検出装置。
【請求項5】
前記光源は、
前記ホログラム記録層に垂直な面の各々の側から前記ホログラム記録層に各々所定の入射角度で入射し、前記ホログラム記録層を透過する第1の光ビームを出射する第1の光源と、第2の光ビームを出射する第2の光源と、を具備し、
前記フォトディテクタは、
前記ホログラム記録層を透過した前記第1の光ビームの位置を検出する第1のフォトディテクタと、前記ホログラム記録層を透過した前記第2の光ビームの位置を検出する第2のフォトディテクタと、
前記第1のフォトディテクタから検出される第1の信号と前記第2のフォトディテクタから検出される第2の信号とに基づき前記ホログラム記録層の温度を検出する演算器と、
を具備するホログラム記録再生媒体の温度検出装置。
【請求項6】
前記ホログラム記録層には予め所定の回折格子が記録されており、
前記フォトディテクタは、
前記ホログラム記録層を透過した前記光ビームの回折角度を検出することを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録再生媒体の温度検出装置。
【請求項7】
サーボ用光ビームを用いるサーボ手段によって記録媒体に配されたホログラム記録層の所定の位置に記録用光ビームを集光させて情報を記録し、または、ホログラム記録層に再生用光ビームを集光させて前記情報を再生するホログラム記録再生装置であって、
前記ホログラム記録層に所定の入射角度で入射し、前記ホログラム記録層を透過する温度検出用光ビームを出射する光源と、
前記ホログラム記録層を透過した、前記温度検出用光ビームを受光するフォトディテクタと、を具備し、
前記フォトディテクタで受光される前記温度検出用光ビームの変化に基づき前記ホログラム記録層の温度を検出する演算器と、を具備するホログラム記録再生装置。
【請求項8】
前記サーボ用光ビームと前記温度検出用光ビームとが同一光源から発せられることを特徴とする請求項7に記載のホログラム記録再生装置。
【請求項9】
前記ホログラム記録層に記録される情報の一部に、前記温度検出用光ビームの変化に基づいて検出された前記ホログラム記録層の温度を記録することを特徴とする請求項7に記載のホログラム記録再生装置。
【請求項10】
ホログラフィを利用してホログラム記録層に情報を記録するホログラム記録再生媒体の温度検出方法において、
前記ホログラム記録層に所定の角度で光ビームを入射し、
前記ホログラム記録層を透過した光ビームをフォトディテクタで受光し、
前記フォトディテクタで受光される前記光ビームの変化に基づいて前記ホログラム記録層の温度を検出するホログラム記録再生媒体の温度検出方法。
【請求項1】
ホログラフィを利用してホログラム記録層に情報を記録するホログラム記録再生媒体の温度検出装置において、
前記ホログラム記録層に所定の入射角度で入射し、前記ホログラム記録層を透過する光ビームを出射する光源と、
前記ホログラム記録層を透過した光ビームを受光するフォトディテクタと、
前記フォトディテクタで受光される前記光ビームの変化から前記ホログラム記録層の温度を検出する演算器と、
を具備するホログラム記録再生媒体の温度検出装置。
【請求項2】
前記ホログラム記録層がフォトポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録再生媒体の温度検出装置。
【請求項3】
前記光ビームの変化は、前記フォトディテクタで受光される前記光ビームの位置の変化であることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録再生媒体の温度検出装置。
【請求項4】
前記光ビームの変化は、前記フォトディテクタで受光される前記光ビームの形状の変化であることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録再生媒体の温度検出装置。
【請求項5】
前記光源は、
前記ホログラム記録層に垂直な面の各々の側から前記ホログラム記録層に各々所定の入射角度で入射し、前記ホログラム記録層を透過する第1の光ビームを出射する第1の光源と、第2の光ビームを出射する第2の光源と、を具備し、
前記フォトディテクタは、
前記ホログラム記録層を透過した前記第1の光ビームの位置を検出する第1のフォトディテクタと、前記ホログラム記録層を透過した前記第2の光ビームの位置を検出する第2のフォトディテクタと、
前記第1のフォトディテクタから検出される第1の信号と前記第2のフォトディテクタから検出される第2の信号とに基づき前記ホログラム記録層の温度を検出する演算器と、
を具備するホログラム記録再生媒体の温度検出装置。
【請求項6】
前記ホログラム記録層には予め所定の回折格子が記録されており、
前記フォトディテクタは、
前記ホログラム記録層を透過した前記光ビームの回折角度を検出することを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録再生媒体の温度検出装置。
【請求項7】
サーボ用光ビームを用いるサーボ手段によって記録媒体に配されたホログラム記録層の所定の位置に記録用光ビームを集光させて情報を記録し、または、ホログラム記録層に再生用光ビームを集光させて前記情報を再生するホログラム記録再生装置であって、
前記ホログラム記録層に所定の入射角度で入射し、前記ホログラム記録層を透過する温度検出用光ビームを出射する光源と、
前記ホログラム記録層を透過した、前記温度検出用光ビームを受光するフォトディテクタと、を具備し、
前記フォトディテクタで受光される前記温度検出用光ビームの変化に基づき前記ホログラム記録層の温度を検出する演算器と、を具備するホログラム記録再生装置。
【請求項8】
前記サーボ用光ビームと前記温度検出用光ビームとが同一光源から発せられることを特徴とする請求項7に記載のホログラム記録再生装置。
【請求項9】
前記ホログラム記録層に記録される情報の一部に、前記温度検出用光ビームの変化に基づいて検出された前記ホログラム記録層の温度を記録することを特徴とする請求項7に記載のホログラム記録再生装置。
【請求項10】
ホログラフィを利用してホログラム記録層に情報を記録するホログラム記録再生媒体の温度検出方法において、
前記ホログラム記録層に所定の角度で光ビームを入射し、
前記ホログラム記録層を透過した光ビームをフォトディテクタで受光し、
前記フォトディテクタで受光される前記光ビームの変化に基づいて前記ホログラム記録層の温度を検出するホログラム記録再生媒体の温度検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−349368(P2006−349368A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−172506(P2005−172506)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]