説明

ホースバンドル継手

【課題】複数のホースバンドル要素が連結されて形成されるホースバンドルに電気ラインを設ける。
【解決手段】二つのホースバンドル要素を接続するためのホースバンドル継手10は、フランジ担体12を有する。フランジ担体には、二つの接続側面14,16を有し、ここに流体用のホース、および電気ライン用のホース54a,54bが固定される。ホース54a,54b内にそれぞれ収容される第1の電気ラインと第2の電気ラインの間にプラグ形式の接続部50が設けられる。このプラグ形式の接続部50を受ける受け要素20がフランジ担体12に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が帯またはストリップ内に配置される複数のライン用ホースを備えるホースバンドル要素を連結するためのホースバンドル継手に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなホースバンドル継手は、間にラインの接続のための通路が形成される第1の連結側面と第2の連結側面を備えるフランジ担体と、ホースバンドル要素のホースのフランジ接続のための第1の連結側面および第2の連結側面上の固定装置とを備える。
【0003】
欧州特許第0518292B1号は、一般的なホースバンドル継手を用いたホースバンドル要素から構築されるホースバンドルラインを有するトレンチウォール(地中連続壁)カッターを開示する。流体ラインホースのそれぞれの接続要素は、ストリップ形態のホースバンドル継手の2つの連結側にフランジ留めされる。
【0004】
個々の流体ホースの帯状またはストリップ(細長片)状の配置によって、トレンチウォールカッターへの流体ホースの整然とした供給が可能になり、それによって比較的重い流体ホースの異なる動作による望ましくないカッターの曲がりが防止される。これは、トレンチの正確な切り開きに有利である。
【0005】
このホースバンドルと平行に、ただしそれからある距離のところを、他のホースまたはケーブル、例えば切り開かれた土壌材料を取り除くためのホースラインならびに支持ケーブルが案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0518292号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
改善された展開特性を有するホースバンドルが実現されるような方式に、ホースバンドル継手を改良することが本発明の1つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明による請求項1に記載の特徴を有するホースバンドル継手によって達成される。本発明の好ましい実施形態は従属請求項に表示される。
【0009】
本発明によるホースバンドル継手は、第1の電気ラインと第2の電気ラインの間のプラグ型式の接続部のための少なくとも1つの受け要素がフランジ担体に形成されることを特徴とする。これによって電気ラインをホースバンドル内に配置することが可能になり、またこの電気ラインが損傷した場合に全ホースラインを繰り出さずに電気ラインを有するホースバンドル要素を交換することも同時に可能になる。
【0010】
今に至るまで、電気ラインは、重量が軽くかつ比較的コストにおいて有利であるという理由で、トレンチウォールカッターとベース機器の間において連続ラインとして配置されてきている。電気ラインが損傷した場合、電気ラインを取り替えるためにカッターの全ラインシステムを全長にわたり繰り出さなければならなかった。これは時間が掛かりかつそれに応じたカッターの長時間の停止に繋がる。
【0011】
本発明による構成によって、電気ラインをホースバンドル内に直接的に組み込むことが可能になる。損傷のリスクはこれによって減少する。そして、依然として、流体ホースまたは電気ラインのいずれかが損傷した場合、セグメント内のホースバンドル要素を取り替えることも可能である。
【0012】
本発明による用語「電気ライン」は、電力供給用のラインのみならずデータラインまたはそれらの組合せも意味すると理解されたい。全体として、用語「電気ライン」は、他のライン、例えば光学導波管またはガラス繊維ケーブル、またはプラグ型式の接続部を有する他のデータまたは電力供給ラインも含む。
【0013】
本発明によれば、受け要素が第1の電気ラインのプラグおよび第2の電気ラインの対合プラグを受けるように設計されるのが好ましい。この受け要素は、ストリップ形態のフランジ担体内の特に穴または他の受け領域であることができる。この受け要素は、接続される予定の電気ラインの対応するプラグを直接挿入できるように、原理的にそれ自体プラグ型式の機器を備えることができる。しかしながらこの受け要素は、それぞれが電気ラインに固定して接続されるプラグおよび対合プラグを中に受けることができる受け領域を好ましく構成することができる。分離する場合には、プラグおよび対合プラグはしたがって直接電気ライン上に残る。このプラグは、同軸プラグ、平バンドプラグまたは別の形として形成することができる。
【0014】
プラグ型式の接続が達成されるために、または接続が解除されるために、本発明によれば、電気プラグ型式の接続部が覆われる閉位置とプラグ型式の接続部が露出される解放位置の間を移動できるカバー部材をフランジ担体に設けるのが有利である。
【0015】
その結果本発明によれば、このプラグ型式の接続部がプラグおよび対合プラグを連結するためのクランプナットを備え、このクランプナットがカバー部材の解放位置で作動させ得るのが好ましい。クランプナットは、円筒状のまたは基本的に回転的に対称な電力およびデータライン用の、通例のかつ信頼性の高い接続部および固定要素である。この目的のために、接続部要素上に外部ねじが設けられ、もう1つの接続部要素上に配置されるクランプナットと係合させることができる。クランプナットは、プラグ型式の接続が達成されかつ解除されるために軸方向のプラグ移動が必要なプラグ型式の接続に特にふさわしい。
【0016】
本発明の特にコンパクトな設計が、摺動部材が環状カラーを有するスリーブを備えかつカバー部材がフランジ担体内の凹部に変位可能であり得るように搭載されるという点によって作り出される。したがって、このカバー部材は、解放位置内で摺動部材としてフランジ担体内に押し込むことができ、一方フランジ担体からの後退によって閉位置に到達し、そこでこの摺動部材は電気プラグ型式の接続部を取り囲み、その結果半径方向外向きの方向でそれを覆う。
【0017】
その結果、本発明によれば、カバー部材がフランジ担体と環状カラーの間に配置されるスペーサーによって閉位置に保持されることが提供される。このスペーサーは特に、閉位置でカバー部材を取り囲みさらにそれを保護する分割リングであることができる。この固定は、カバー部材のカラーを介してかつスペーサーを介してフランジ担体上で実現することができる。
【0018】
この結果、電気ライン用の固定機器がカバー部材上に設けられるのが特に有利である。このようにすると、フランジ担体に対する電気ラインの機械的な固定を実現することができる。これによって電気ラインのためのさらなる安定性が達成される。
【0019】
本発明の特に有利な成果は、流体ライン用のホースのための固定機器に対応する電気ライン用の固定機器から結果として生じる。この固定機器は、標準のフランジ要素、いわゆるSAEフランジを特に支持するように設計される。この目的のためにこの固定機器は、内部ねじを有する対応する穴として形成される。このフランジ要素は、ラインおよびホース上の対応する接続要素を取り囲む特に半体リング形状の固定要素である。固定機器の同じ設計を通して、それらの製造は簡略化され、どのラインまたはホースが使用されるかに関係なく同じ固定要素を使用することができる。
【0020】
本発明によれば、帯またはストリップ内に配置される複数のホースを伴う少なくとも2つのホースバンドル要素を備えるホースバンドルがさらに提供され、このホースバンドル要素はホースバンドル継手で互いに接続され、このホースバンドル継手は前に記載した本発明によるホースバンドル継手に対応し、かつプラグ型式の接続部を用いて互いに接続される少なくとも第1の電気ラインおよび第2の電気ラインが設けられ、かつこのプラグ型式の接続部はフランジ担体上の受け要素内に配置される。
【0021】
本発明によれば流体ライン用のホースが各々、それらの端部のところにフランジ担体上のフランジ要素に固定することができる接続要素を有するのがさらに好ましい。この接続要素は特に、環状または部分的なリング形状のフランジ要素によって形状ロック方式で係合するカラーのような要素であることができる。次いでこのフランジ接続は、フランジ担体上のねじ切りされた穴内の対応する固定ねじによって、公知の方法で実施することができる。
【0022】
本発明によれば、少なくとも1つの電気ラインがフランジ要素で固定することができる接続要素を有するホースによって取り囲まれているので、特に頑丈な構造が生じる。実際の電気ラインは特に、流体ホースに対応するホース内に設けることができる。したがって、ホースのシェルは電気ケーブルの損傷に対するさらなる保護を構成し、それが特にトレンチウォールカッターを有する建設装置に使用するとき特に有利である。
【0023】
添付の図面に概略的に示される好ましい実施形態を参照して本発明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明によるホースバンドルの部分斜視図である。
【図2】本発明による図1によるホースバンドルの上面図である。
【図3】図2のA−A線に沿った拡大断面図である。
【図4】閉じられた電気ラインを有する、本発明によるホースバンドル継手の拡大断面図である。
【図5】図4に示す状態から、スペーサーを取り除いた状態をを示す図である。
【図6】図4そして図5の状態に対し、カバー部材を後退させた状態を示す図である。
【図7】図4から図6の状態に対し、プラグ型式の接続が解除された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1および2によれば、本発明によるホースバンドル1は、1つがもう1つの傍らに配置される複数のホース4a、4bを各々が備える少なくとも2つのホースバンドル要素2a、2bから形成される。帯状束またはストリップ内に配置される、流体、特に液圧用流体を搬送するためのこのホース4a、4bは、横断方向ウエブ5a、5bを媒介として互いに規則正しい距離のところに固定されて配置される。ホース4a、4bのストリップ配列の両側に、チェーンのような側方ガイド6a、6bが配置されている。これらは、公知の、上向きに向いたノーズ要素とそれらの下側に対応する凹部とを有するブロック形態のガイド要素から構成される。この、下側の凹部は図1では見ることはできない。チェーンのような側方ガイド6a、6bは案内されて巻き取り可能であり、このとき個々のブロックはスペーサーとして働き、その結果ホース4a、4bの押しつぶしが防止される。
【0026】
2つのホースバンドル要素2a、2bは、本発明によるホースバンドル継手10を介して互いに接続される。2つのホースバンドル要素2a、2bのそれぞれのホース4a、4bの端部は、ホースバンドル継手10のストリップ形態のフランジ担体12の接続側に解放可能な方式でフランジ留めされる。
【0027】
2つのホースバンドル要素2a、2bの側方ガイド6a、6bも、連結ボルトまたはピン8を用いて公知の連結部材7a、7bを介してホースバンドル継手10の区域内で接合される方式で互いに連結される。このようにして、本発明によるホースバンドル1を複数のホースバンドル要素2から構築することができる。損傷したの場合、損傷したホースバンドル要素2のみを取り除き、それを交換ホースバンドル要素2と置き換えることが可能になる。
【0028】
図2を見れば分かるように、本発明によれば、電力またはデータライン用のプラグ型式接続部のための受け要素20または連結機器が、ホースバンドル継手10に設けられる。
【0029】
図1および2による図示を見れば分かるように、このホースバンドルは全部で8本のホースラインを備え、7本のホースラインが液圧流体用のホース4a、4bを装備し、一方8本のホースラインの内、図2において一番上のホース54a、54bは電気ラインを収容するように設計される。この接続では、流体用のホース4a、4bと異なり、受け要素20がフランジ担体12に形成され、このことは図3の拡大断面図により詳細に見ることができる。
【0030】
第1の接続側面14および対向する第2の接続側面16は、ストリップ形態または細長い部材の、プリズムのようなフランジ担体12上に形成され、その第1および第2の接続側面14および16上でホースラインがフランジ留めされる。対応する通路または貫通する導管によって対向するホース4a、4bが直列に接続された状態になる。その近くに、電気ライン用に設けられる接続要素42a、42bを有する収容ホース54a、54bが、流体ライン用のホース4a、4bと同じ方式で形成される。それに対応して、標準SAEフランジ要素を構成する同じフランジ要素46a、46bがこのホースを固定するために使用される。
【0031】
受け要素20が電気ライン用のプラグ型式の接続部50を受けるようにフランジ担体12に形成され、2つの環状要素を備えるスペーサー30が設けられる。
【0032】
図3の配置は図4にさらに拡大した図で示され、第1の電気ライン52および第2の電気ライン56も示される。図4は、接続された状態のプラグ型式の接続部50を示し、そこでは電気ライン接続が第1の電気ライン52および第2の電気ライン56の間で達成される。
【0033】
図4から特に、電気プラグ型式の接続部50のための受け要素20の形成のために、フランジ担体12が、流体ライン用のホース4a、4bの接続の場合と異なり非対称に形成されることが分かる。凹部22が第1の接続側面14に向かって開き、前記凹部22は第2の接続側面16に対してより小さな直径で通路23内へと延びている。
【0034】
プラグ型式の接続部50を外すために、部分的なリング形状のフランジ要素46aを第1の接続側面14上で緩めかつ取り外すことができるように、接続ねじ47がフランジ担体12の第1の接続側面14上で緩められかつ取り外される。固定ねじ47がフランジ担体12のねじ切りされた穴(図示せず)内に延びているときであっても、2つの半体リング要素から形成される環状スペーサー30を取り外すことができる。
【0035】
この結果、図5に示す状態に到達する。この状態で、プラグ型式の接続部50は、外向きに張り出す環状カラー28を有するスリーブ26を備えるカバー部材24によってさらに取り囲まれている。このカバー部材24は、この閉位置から離れて、フランジ担体12内の穴または凹部22内に押し戻すことができる。
【0036】
この結果、到達した解放位置を図6に示す。この解放位置では、プラグ型式の接続部50のクランプナット68は自由にアクセス可能であり、手または適当な工具で作動させることができる。これに対応する回転移動によって、内部ねじを有する筒状のクランプナット68は、プラグ62上の外部ねじから解放され、対合プラグ66上のフランジ担体12に向かって変位させられる。
【0037】
クランプナット68のねじ結合が解除された後、接続部を第1の電気ライン52と第2の電気ライン56の間で遮断するように、プラグ62は次に対合プラグ66から軸方向に引き抜くことができる。どちらのライン要素を交換すべきかに応じて、第1の電気ライン52を接続要素42aから取り外すこと、または第2の電気ライン56を伴う対合プラグ66をフランジ担体12から外に引き出すことのいずれも可能である。電気プラグ型式の接続部50の閉鎖は、接続要素42aが再びフランジ要素46および固定ねじ47と共に、フランジ単体12にねじ止めされ、フランジ要素46が接続要素42a上の対応する環状ショルダー44aの周りに形状ロック方式で係合するまで、対応した逆方法で実現することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 ホースバンドル、2a,2b ホースバンドル要素、4a,4b ホース、10 ホースバンドル継手、12 フランジ担体、14 第1の接続側面、16 第2の接続側面、20 受け要素、22 凹部、24 カバー部材、26 スリーブ、28 環状カラー、30 スペーサー、50 接続部、52 第1の電気ライン、54a,54b ホース、56 第2の電気ライン、62 プラグ、66 対合プラグ、68 クランプナット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が帯状束内に配置されるライン用の複数のホースを備えるホースバンドル要素を接続するためのホースバンドル継手であって、
第1の接続側面および第2の接続側面を備え、これらの接続側面の間にライン接続のための通路が形成されるフランジ担体と、
前記ホースバンドル要素のホースをフランジ接続するための、前記第1の接続側面および前記第2の接続側面上の固定機器と、
を有し、
第1の電気ラインおよび第2の電気ラインの間のプラグ型式の接続のための少なくとも1つの受け要素が前記フランジ担体に形成される、
ホースバンドル継手。
【請求項2】
請求項1に記載のホースバンドル継手であって、前記受け要素が、前記第1の電気ラインのプラグおよび前記第2の電気ラインの対合プラグを受けるように設計されている、ホースバンドル継手。
【請求項3】
請求項1に記載のホースバンドル継手であって、カバー部材が前記フランジ担体に設けられ、このカバー部材を前記電気プラグ型式の接続部が覆われる閉位置と前記プラグ型式の接続部にアクセス可能とする解放位置との間で移動させることができる、ホースバンドル継手。
【請求項4】
請求項3に記載のホースバンドル継手であって、前記プラグ型式の接続部が、前記プラグと前記対合プラグを連結するためのクランプナットを備え、前記クランプナットは、前記カバー部材の前記解放位置で動かすことができる、ホースバンドル継手。
【請求項5】
請求項3に記載のホースバンドル継手であって、
前記カバー部材が、環状カラーを有するスリーブを備え、
前記カバー部材が、前記フランジ担体内の凹部内に変位可能になり得るように搭載される、
ホースバンドル継手。
【請求項6】
請求項5に記載のホースバンドル継手であって、前記カバー部材が、前記フランジ担体と前記環状カラーの間に配置されるスペーサーによって前記閉位置に保持される、ホースバンドル継手。
【請求項7】
請求項3に記載のホースバンドル継手であって、電気ライン用の固定機器が前記カバー部材上に設けられる、ホースバンドル継手。
【請求項8】
請求項1に記載のホースバンドル継手であって、電気ライン用の前記固定機器がライン用の前記ホースのための前記固定機器に対応する、ホースバンドル継手。
【請求項9】
帯状束内に配列される複数のホースを有する少なくとも2つのホースバンドル要素を備え、前記ホースバンドル要素がホースバンドル継手によって互いに連結されるホースバンドルであって、
請求項1に記載のホースバンドル継手が設けられ、
プラグ型式の接続部を介して互いに接続される、少なくとも第1の電気ラインと第2の電気ラインが設けられ、
前記プラグ型式の接続部が、前記フランジ担体の受け要素内に配置される、
ホースバンドル。
【請求項10】
請求項9に記載のホースバンドルであって、前記ライン用の前記ホースがそれぞれ、それらの端部のところに前記フランジ担体上でフランジ要素に固定できる接続要素を有する、ホースバンドル。
【請求項11】
請求項10に記載のホースバンドルであって、少なくとも1つの電気ラインが、フランジ要素に固定可能な接続要素を有するホースによって取り囲まれる、ホースバンドル。
【請求項12】
請求項9に記載のホースバンドルが設けられる、建設機械、特にトレンチウォールカッター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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