説明

ホース固定具

【課題】大きな力を要することなくホースを容易に取り付けることができ、かつタンクの上端部からの突出高さを一定値以下にする。
【解決手段】ホース4は、曲管部材12の固定ベース14とスライド蓋15との間及び2つの直管部分13bの間に挟み込まれるので、摩擦抵抗を受けながら曲管路12a及び直管路13aにホース4を押し込む必要がなくなる。従って、ホース固定具1にホース4を容易に取り付けることができる。また、ホース4を取り付ける際、ナットが用いられないので、ナットの締め付け作業が不要となり大きな力を要することがない。また、ホース4が固定ベース14とスライド蓋15という2つの別個の部材に挟み込まれるので、曲管路12aの曲率半径を従来の限界値よりも小さく設定しても、ホース4を詰まらせることなく、タンク3の上端部からの突出高さを従来の一定値以下にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースの下端部をタンクの底面に保持するためのホース固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1は、液体洗剤を貯留したタンクからこの液体洗剤を吸い上げて業務用の食器洗浄機に供給するための洗剤供給装置を開示している。この洗剤供給装置は、液体洗剤を貯留したタンクと、このタンクから液体洗剤を吸い上げるホースと、このホースに介挿されたポンプとを備えている。ホースの一端部はタンク内に挿入され、ホースの他端部は食器洗浄機内の洗剤液貯水槽に接続されている。ポンプを作動させることにより、タンク内の液体洗剤が、ホースを通って洗剤液貯水槽に供給される。
【0003】
しかしながら、特許文献1に示されるような洗剤供給装置においては、タンク内の液体洗剤の量が少なくなったときやホースの材料比重が液体洗剤よりもり小さかった場合に、ホースの下端部がタンクの底面から浮き上がってしまい、タンク内の液体洗剤を全て確実に吸い上げることができない虞がある。また、上記洗剤液貯水槽の洗剤吸入口が水平に設けられている場合、タンクの上端部において、ホースが急角度で折り曲げられ、ホースの断面積が小さくなることによって、タンクから洗剤液貯水槽に液体洗剤が十分に供給されない虞もある。
【0004】
そこで、例えば図6(a),(b)に示すように、ホースの下端部をタンクの底面に保持するためのホース固定具が考えられる。ホース固定具101は、タンク(図示せず)のタンクキャップ102の取付け穴103に内側から挿入される筒状の直管部材104と、タンクキャップ102の外側から直管部材104の突出部に結合され、タンクキャップ102に固定されるエルボ状の曲管部材105で構成されている。直管部材104は、直線状に延びる直管路106を有し、曲管部材105は、所定の曲率半径で垂直方向から水平方向に湾曲した曲管路107を有する。ホース108は、曲管路107及び直管路106の内径とほぼ等しく、それよりも若干細い外径を有し、例えばゴムや可撓性樹脂などで形成され、曲管路107及び直管路106に挿入される。曲管部材105のホース挿入側109には、雄ねじが形成されており、そのねじにナット110を螺合させることによって、ホース108とホース固定具101が結合される。直管部材104は、タンクの深さよりも若干短く設定されており、その下端部からホース108の下端部がさらに引き出されている。曲管部材105の一端部がナット110により締め付けられて、ホース108の下端部がタンクの底面に保持される。
【0005】
タンクキャップ102をタンクに取り付ける際、一般的に、タンクに対してタンクキャップ102を回転させ、それによってねじを螺合させるが、その際、ホース固定具101がタンクキャップ102に固定されていると、様々な不都合が生じる。そのため、ホース固定具101がタンクキャップ102に装着された状態で、曲管部材105は、タンクキャップ102に対してスムーズに回転可能なように構成されている。
【0006】
ホース固定具101が装着されたタンクキャップ102をタンクに取り付けると、直管部材104はタンクの底面に対してほぼ垂直に保持され、直管部材104の下端部から引き出されたホース108の下端部は、タンクの底面に接触すると共に、底面に沿ってほぼ水平に保持される。それによって、仮にタンク内の液体洗剤の量が少なくなったり、ホースの材料比重が液体洗剤よりも小さかったとしても、ホース108の下端部がタンクの底面から浮き上がることはなく、タンク内の液体洗剤をほぼ全て確実に吸い上げることができる。また、タンクの上端部において、ホース108は曲管部材105によってガイドされているので、急角度で折り曲げられる虞はなく、ホース108の断面積が確保され、液体洗剤の供給をスムーズに行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−111914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のようなホース固定具101にホース108を挿入する場合、まず、曲管部材105の一端からホース108の一端部を挿入し、曲管路107に沿ってホース108を変形させつつ、ホース108を曲管路107に押し込む必要がある。ところが、曲管路107の内周面は全方向に湾曲しているため、ホース108の一端部が曲管路107の内周面に接触し、摩擦抵抗を生じる。さらに、曲管路107の曲率半径が、ホースの外径、内径及び材料の弾性などで決定されるある限界値よりも小さすぎると、変形したホース108が曲管路107の内部で詰まってしまい、それ以上挿入できなくなる。そのため、曲管路107の曲率半径を限界値以下にすることはできず、ホース固定具101が装着されたタンクキャップ102をタンクに取り付けた状態で、タンクの上端部からのホース固定具101の突出高さを一定値以下にすることはできない。
【0009】
同様に、ホース108を直管部材104に挿入する場合も、ホース108の外周面と直管路106の内周面との間の摩擦抵抗などによって、ホース108をスムーズに直管部材104に挿入することは困難である。さらに、ホース108とホース固定具101を結合するために、曲管部材105の端部に形成された雄ねじ部にナット110を螺合させる必要があるが、雄ねじ部にナット110を螺合させて行くに伴い、ナット110の内周面が圧迫されるように雄ねじ部内周はテーパ形状に形成されており、その結果、ホース108の外周面を圧迫して固定されるように構成されている必要がある。そのため、このような雄ねじ部にナット110を螺合させて確実にホースを固定することは容易ではなく、又、ナット110を締め付けるために大きな力が必要である。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、大きな力を要することなくホースを容易に取り付けることができ、かつタンクの上端部からの突出高さを一定値以下にすることができるホース固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、液体を貯留したタンクから該液体を吸い上げるために用いられるホースの下端部を該タンクの底面に保持するためのホース固定具であって、前記タンクのタンクキャップの取付け穴に外側から挿入され、前記タンクキャップの上面に対して垂直方向から水平方向に所定の曲率半径で湾曲する曲管路を有する曲管部材と、前記タンクの深さよりも若干短く形成され、前記タンクキャップの内側から前記曲管部材の突出部に結合され、前記タンクキャップの上面に対してほぼ垂直に延びる直管路を有する直管部材とを備え、前記曲管部材は、前記取付け穴に挿入される固定ベースと、前記固定ベースに対して、前記タンクキャップの上面に水平な方向にスライド可能に装着されるスライド蓋とを有し、前記直管部材は、その長手方向に沿う面において2分割とされた断面半円筒形状の2つの直管部分を有し、前記ホースは、前記固定ベースと前記スライド蓋との間に挟み込まれて前記曲管路内に配置されると共に、前記2分割された2つの直管部分の間に挟み込まれて前記直管路内に配置されることを特徴とする。
【0012】
また、前記直管部材は、前記2つの直管部分の分割端面同士を突き合わせた状態で、互いに係合して該状態を保持するための係合部及び被係合部を有することが好ましい。
【0013】
また、前記固定ベースと前記取付け穴との間に防水性を有するパッキンが設けらていることが好ましい。
【0014】
また、前記曲管路及び前記直管路は各々、その内周面に前記ホースを前記曲管路又は前記直管路内に保持するための前記曲管路又は前記直管路の内周方向に突出したクランプを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ホースが固定ベースとスライド蓋との間に挟み込まれて曲管路内に配置されるので、ホースを曲管部材に取り付ける際、例えば摩擦抵抗を受けながら曲管路にホースを変形させながら押し込む必要がなくなる。また、ホースが2分割された2つの直管部分の間に挟み込まれて直管路内に配置されるので、ホースを直管部材に取り付ける際、摩擦抵抗を受けながら直管路にホースを押し込む必要もなくなる。従って、ホース固定具にホースを容易に取り付けることができる。
【0016】
また、ホース固定具にホースを取り付ける際、ナットを用いないので、ホースにナットを通さなくてもよくなり、また、ナットの締め付け作業が不要となり、大きな力を要することがない。
【0017】
また、ホースが固定ベースとスライド蓋という2つの別個の部材により挟み込まれるので、曲管路の曲率半径を例えばホースの外径、内径及び材料の弾性などで決定される、従来の限界値よりも小さく設定しても、ホースの取り付けの際、曲管路内でホースが詰まる虞がない。そのため、曲管路の曲率半径を従来の限界値よりも小さくして、ホース固定具が装着されたタンクキャップをタンクに取り付けた状態で、タンクの上端部からのホース固定具の突出高さを従来の一定値以下にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るホース固定具がタンクに取り付けられたときの状態を示す断面図。
【図2】(a)は同ホース固定具の構成を示す断面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は同ホース固定具が備えるパッキンの構成を示す断面図、(d)は(b)の上面図。
【図3】(a)は同ホース固定具が備える曲管部材の構成を示す上面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は同曲管部材の断面図。
【図4】同ホース固定具が備える直管部材が2分割されたときの側面図。
【図5】(a)は同直管部材の直管路にホースを通したときの断面図、(b)は同直管部材の組み立てを示す上面図。
【図6】(a)は従来のホース固定具の構成を示す断面図、(b)は(a)のA−A線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係るホース固定具について、図1乃至図5を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態のホース固定具1は、例えば業務用の食器洗浄機に供給される液体洗剤2を貯留したタンク3から、この液体洗剤2を吸い上げるためのホース4の下端部4aをタンク3の底面3aに保持するためのものである。ホース固定具1は、タンク3の上部開口5に装着されるタンクキャップ6の取付け穴7に防水性を有するパッキン8を介して装着されている。
【0020】
ホース固定具1の上端部は、ホース4をタンク3の内部から外部へとホース4が折り曲げられることなくガイドするように構成されており、この上端部のホース挿入側9からホース4は水平方向に延出されている。延出されたホース4には、液体洗剤2を吸入するためのポンプ10が介挿されると共に、業務用の食器洗浄機11の洗剤液貯水槽(図示せず)が接続される。
【0021】
ホース固定具1のうち上端部を除く、タンク3の内部に配置される部分は、タンク3の深さよりも若干短く設定されると共に、タンク3の底面3aに対してほぼ垂直に保持されている。ホース4の下端部4aは、ホース固定具1の下端部から引き出され、タンク3の底面3aに接触すると共に、この底面3aに沿ってほぼ水平に保持されている。ポンプ10を作動させることにより、タンク3内の液体洗剤2がホース4の下端部4aから吸い込まれ、ホース4を通って食器洗浄機11の洗剤液貯水槽に供給される。
【0022】
このように、ホース4の下端部4aがタンク3の底面3aに接触しているので、ホース4の下端部4aがタンク3の底面3aから浮き上がることはなく、液体洗剤2の量が少なくなったとしても、液体洗剤2をタンク3内にほとんど残存させることなくほぼ全て吸い
上げることができる。また、タンク3の上端部において、ホース4は急角度で折り曲げられることなくガイドされているので、例えば洗剤液貯水槽の洗剤吸入口が水平に設けられている場合でも、ホース4の断面積が確保され、液体洗剤2を食器洗浄機11の洗剤液貯水槽にスムーズに供給することができる。
【0023】
次に、上記のホース固定具1の詳細な構成について、図2(a)〜(d)、図3(a)〜(c)及び図4を参照して説明する。図2(a)〜(d)に示すように、ホース固定具1は、タンクキャップ6の取付け穴7に外側から挿入されるエルボ状の曲管部材12と、タンクキャップ6の内側から曲管部材12の突出部に結合される直管部材13で構成されている。曲管部材12と取付け穴7の内周面との間にパッキン8が設けられ、ホース固定具1がタンクキャップ6に固定されている。曲管部材12は、所定の曲率半径でタンクキャップ6の上面6aに対して垂直方向から水平方向に湾曲した曲管路12aを有する。また、直管部材13は、タンクキャップ6の上面6aに対して垂直に延びる直管路13aを有する。曲管路12aと直管路13aとは、曲管部材12と直管部材13の結合部分で連通している。ホース4は、曲管路12a及び直管路13aの内径とほぼ等しく、それよりも若干細い外径を有し、例えばゴムや可撓性樹脂などで形成され、曲管路12a及び直管路13a内に配置される。
【0024】
曲管部材12は、ホース固定具1の上端部を構成するものであり、ホース4をタンク3の内部から外部にガイドする。図3(a)〜(c)に示すように、この曲管部材12は、取付け穴7に挿入される固定ベース14と、この固定ベース14に対してタンクキャップ6の上面6aに水平な方向にスライド可能に装着されるスライド蓋15とで構成されている。固定ベース14は、その内周面に曲管路12aの垂直方向に延びる部分14aと、曲管路12aの水平方向に湾曲する部分の下半分14bを有する。スライド蓋15は、その内周面に曲管路12aの水平方向に湾曲する部分の上半分15aを有する。固定ベース14にスライド蓋15が装着されると、曲管路12aの水平方向に湾曲する部分の下半分14bと曲管路12aの湾曲する部分の上半分15aとが合わさり、曲管路12aの水平方向に湾曲する部分が形成される。
【0025】
固定ベース14は、取付け穴7に挿入される筒状のベース部14cと、このベース部14c上に一体に設けられ、曲管部材12をタンクキャップ6に固定させるための環状の鍔部14dと、この鍔部14d上に立設された正面視略T字状の立設部14eとを有する。ベース部14dは、その内周面において曲管路12aの垂直方向に延びる部分14aを有する。立設部14eは、その内周面において曲管路12aの水平方向に湾曲する部分の下半分14bを有する。
【0026】
ベース部14cは、取付け穴7の内径よりも若干小さな外径を有する。そのため、固定ベース14がタンクキャップ6上でスムーズに回転可能となっている。固定ベース14がタンクキャップ7に取付けられた状態で、鍔部14dはパッキン8を介してタンクキャップ6上に載置されている。鍔部14dの内径は、曲管路12aの内径と等しい。また、鍔部14dの外径は、取付け穴7の内径よりも大きい。それにより、曲管部材12がタンクキャップ6上に安定に固定される。立設部14eは、その上端部において両側面から外側に突出する一対のレール部14fを有する。レール部14fは、水平方向に延びる曲管路12aに沿って設けられ、レール部14fの一端部側からホース挿入側9が突出するように設けられている。ホース挿入側9は、水平方向に沿って漸次径大となる開口を有している。レール部14fの他端部近傍には、一対の窪んだ凹部14gが形成されている。ベース部14cの下端部近傍の内周面には、一対の矩形状の穴部14hが互いに対向するように設けられている。これら穴部14hは、直管部材13とベース部14cとを結合するために用いられる。
【0027】
スライド蓋15は、立設部14eの上面を覆う蓋部15bと、この蓋部15bの一方側の上面において垂直方向に隆起した隆起部15cとを有する。隆起部15cは、その内周面において曲管路12aの水平方向に湾曲する部分の上半分15aを有する。蓋部15bは、その一方側の側面がL字状に内側に折り曲げられている。それにより、蓋部15bの一方側の側面の内側に溝部15dが形成されている。溝部15dの大きさは、立設部14eのレール部14fの大きさとほぼ等しくなるように設定されており、レール部14fを嵌め込み可能となっている。蓋部15bの他方側の側面の内側には、一対の突出した凸部15eが形成されている。これらの凸部15eと立設部14eの一対の凹部14gとは、固定ベース14にスライド蓋15が装着された状態で、互いに係合する位置関係となっている。
【0028】
固定ベース14及びスライド蓋15のホース挿入側9近傍の内周面には、曲管路12aの内周方向に突出したクランプ12bが形成されている。このクランプ12bに周囲を覆われたホース4の部分は、ホース4の他の部分よりも外周面を強く押圧されるので、ホース4を曲管路12a内に確実に保持することができる。曲管部材12の材料として、例えばポリプロピレン(PP)等の樹脂が用いられる。クランプ12bは、その内径がホース4の外径よりも若干小さくなるように形成されていればよく、その形状は特に限定されない。図3では、例えば環状の突起として形成されている。
【0029】
図4に示すように、直管部材13は、ホース固定具1のうちタンク3の内部に配置される部分を構成するものであり、ホース4をタンク3の底面3aに対してほぼ垂直に保持する。この直管部材13は、長手方向に沿う面において2分割とされた断面半円筒形状の2つの直管部分13bを有する。
【0030】
2つの直管部分13bは、その上端部及び下端部近傍の外周端部に設けられた接続部13cにより互いに接続されている。これら接続部13cには各々、直管部材13をその長手方向に折り曲げ可能なように切り込み部13dが設けられている。この切り込み部13dを通る長手方向に沿った直線Lに関して、一方の直管部分13bに他方の直管部分13bを折り返すことにより、容易かつ位置ズレすることなく2つの直管部分13bの分割端面13e同士を突き合わせることができるようになっている。また、接続部13cが設けられていない他方の直管部分13bの外周端部には、係合部13fが設けられ、接続部13cが設けられていない一方の直管部分13bの外周端部には、係合部13fに係合可能な被係合部13gが設けられている。直管部分13bの分割端面13e同士を突き合わせた状態で、係合部13fを被係合部13gに係合することにより、その状態を保持することができる。
【0031】
直管部材13の上端部の内径は、直管部材13の他の部分の内径よりも大きく形成されていると共に、固定ベース14のベース部14cの外径よりも若干大きくなるように形成されている。それにより、直管部材13の上端部にベース部14cを嵌め込み可能となっている。また、直管部材13の上端部近傍の内周面には、一対の矩形状の突部13hが直線Lの部分で折り曲げられたときに互いに対向するように設けられている。これら突部13hは、ベース部14cの穴部14hよりも若干小さく形成されており、突部13hを穴部14hに嵌め込み可能となっている。また、直管部材13の下端部近傍の内周面には、一対の矩形の穴部13iが直線Lの部分で折り曲げられたときに互いに対向するように設けられている。これら穴部13iは、上記の突部13hよりも若干大きく形成されており、一方の直管部材13の下端部の内周面に設けられた穴部13iに他方の直管部材13の上端部の内周面に設けられた突部13hを嵌め込み可能となっている。それにより、タンク3の深さに合わせて、複数の直管部材13を適宜互いに繋ぎ合せ、タンク3よりも若干短くなるように設定し、ホース4をタンク3の底面3aに対してほぼ垂直に保持することができる。
【0032】
なお、本例では、2つの直管部材13が用いられており、一方の直管部材13の突部13hがベース部14cの穴部14hに嵌め込まれ、他方の直管部材13の突部13hが一方の直管部材13の穴部13iに嵌め込まれている。そして、一方の直管部材13及び他方の直管部材13の全体が、タンク3の深さよりも若干短くなるように設定されている。
【0033】
直管部材13の上端部及び下端部近傍の内周面には、曲管部材12と同様に形成されたクランプ13kが形成されており、ホース4を直管路13a内に確実に保持することができるようになっている。直管部分13bの下端部の外周面には鍔部13jが形成されており、一方の直管部材13と他方の直管部材13とが結合されたとき、一方の直管部材13の鍔部13jと他方の直管部分13bの上端面とが当接する。直管部材13の材料として、例えばポリプロピレン(PP)等の樹脂が用いられる。
【0034】
パッキン8は、取付け穴7と曲管部材12との間の隙間を塞いで、取付け穴7からタンク3の内部に水を侵入し難くするためのものである。このパッキン8は、曲管部材12がタンクキャップ6に対して回転することができる程度に、取付け穴7の内面と固定ベースとの間を塞いでいる。パッキン8の材料として、例えばブチルゴム(IIR)が用いられる。
【0035】
次に、上記のホース固定具1のタンク3への取り付け方法について説明する。まず、固定ベース14のベース部14cをパッキン8を介してタンクキャップ6の取付け穴7に外側から挿入する。次に、ホース4の下端部4aを固定ベース14の曲管路12aの垂直方向に延びる部分14aに通す。次に、ホース4を固定ベース14の下端部からタンク3の深さよりも長めに引き出すと共に、ホース4を曲管路12aの水平方向に湾曲する部分の下半分14bに沿って立設部14eに載置する。
【0036】
続いて、立設部14eのレール部14fの他端部側からスライド蓋15を立設部14eに近づく方向に移動させて、レール部14fの他端部をスライド蓋15の溝部15dに嵌め込む。次に、スライド蓋15をレール部14fに沿って水平方向に移動させて、ホース4を固定ベース14とスライド蓋15との間に挟み込んで曲管路12a内に押し込む。また、レール部14fの凹部14gにスライド蓋15の凸部15eを嵌め込んで、固定ベース14にスライド蓋15を確実に装着する。
【0037】
次に、ベース部14cの穴部14hに2分割された直管部材13のうちの一方の直管部分13bの突部13hを嵌め込み、固定ベース14の下端部から引き出されたホース4を一方の直管部分13bの直管路13a内に押し込む。この場合、図5(a)に示すように、一方の直管路13aのクランプ13kによりホース4の外周面を押圧させて、ホース4を一方の直管路13a内に確実に保持させる。
【0038】
次に、図5(b)に示すように、接続部13cの切り込み部13dに沿って他方の直管部分13bを一方の直管部分13bに向かって折り返す。そして、一方の直管部分13bの分割端面13eを他方の直管部分13bの分割端面13eに突き合わせ、ホース4を一方の直管部分13bと他方の直管部分13bとの間に挟み込んで直管路13a内に押し込む。そして、一方の直管部分13bの被係合部13gに、他方の直管部分13bに設けられた係合部13fを係合させて、直管部材13の状態を保持する。
【0039】
次に、直管部材13の下端部側からホース固定具1をタンク3の上部開口5からタンク3内に挿入し、タンク3に対してタンクキャップ6を回転させてねじを螺合させ、ホース固定具1をタンク3に取り付ける。こうして、ホース固定具1をタンク3に取り付けることができる。
【0040】
本実施形態のホース固定具1によれば、ホース4が固定ベース14とスライド蓋15との間に挟み込まれて曲管路12a内に配置されるので、ホース4を曲管部材12に取り付ける際、摩擦抵抗を受けながら曲管路12aにホース4を変形させながら押し込む必要がなくなる。また、ホース4が2分割された直管部分13bの間に挟み込まれて直管路13a内に配置されるので、ホース4を直管部材13に取り付ける際、摩擦抵抗を受けながら直管路13aにホース4を押し込む必要もなくなる。従って、ホース固定具1にホース4を容易に取り付けることができる。
【0041】
また、ホース固定具1にホース4を取り付ける際、ナットを用いないので、ホース4にナットを通さなくてもよくなり、また、ナットの締め付け作業が不要となり、大きな力を要することがない。
【0042】
また、ホース4が固定ベース14とスライド蓋15という2つの別個の部材により挟み込まれるので、曲管路12aの曲率半径をホース4の外径、内径及び材料の弾性などで決定される、従来の限界値よりも小さく設定しても、ホース4の取り付けの際、曲管路12a内でホース4が詰まる虞がない。そのため、曲管路12aの曲率半径を従来の限界値よりも小さくして、ホース固定具1が装着されたタンクキャップ6をタンク3に取り付けた状態で、タンク3の上端部からのホース固定具1の突出高さを従来の一定値以下にすることができる。
【0043】
また、本実施形態のホース固定具1によれば、係合部13fを被係合部13gに係合させることにより、直管部分13bの分割端面13e同士を突き合わせた状態を保持することができる。
【0044】
また、本実施形態のホース固定具1によれば、パッキン8が固定ベース14と取付け穴7の内周面との間に設けられて、固定ベース4と取付け穴7との間の隙間を塞ぐので、取付け穴7からタンク3の内部に水が侵入し難くなる。
【0045】
また、本実施形態のホース固定具1によれば、クランプ12b,13kにより曲管路12a及び直管路13a内のホース4の外周面を押圧する力を向上させることができるので、ホース4を曲管路12a及び直管路13a内に確実に保持することができる。
【0046】
本発明は上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、直管部材13の数は2つに限定されることなく、1つだけ又は3つ以上の直管部材を用いて、これらを繋ぎ合せてもよい。また、固定ベース14の外側面に水平方向に延びる溝部を設けると共に、スライド蓋15の内側面に突起部を設け、溝部に突起部を嵌め込んで固定ベース14に対してスライド蓋15をスライドさせることにより、スライド蓋15を固定ベース14に装着してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 ホース固定具
2 液体洗剤(液体)
3 タンク
3a タンクの底面
4 ホース
4a ホースの下端部
6 タンクキャップ
6a タンクキャップの上面
7 取付け穴
8 パッキン
12 曲管部材
12a 曲管路
12b,13k クランプ
13 直管部材
13a 直管路
13b 直管部分
13e 分割端面
13f 係合部
13g 被係合部
14 固定ベース
15 スライド蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留したタンクから該液体を吸い上げるために用いられるホースの下端部を該タンクの底面に保持するためのホース固定具であって、
前記タンクのタンクキャップの取付け穴に外側から挿入され、前記タンクキャップの上面に対して垂直方向から水平方向に所定の曲率半径で湾曲する曲管路を有する曲管部材と、
前記タンクの深さよりも若干短く形成され、前記タンクキャップの内側から前記曲管部材の突出部に結合され、前記タンクキャップの上面に対してほぼ垂直に延びる直管路を有する直管部材とを備え、
前記曲管部材は、前記取付け穴に挿入される固定ベースと、前記固定ベースに対して、前記タンクキャップの上面に水平な方向にスライド可能に装着されるスライド蓋とを有し、
前記直管部材は、その長手方向に沿う面において2分割とされた断面半円筒形状の2つの直管部分を有し、
前記ホースは、前記固定ベースと前記スライド蓋との間に挟み込まれて前記曲管路内に配置されると共に、前記2分割された2つの直管部分の間に挟み込まれて前記直管路内に配置されることを特徴とするホース固定具。
【請求項2】
前記直管部材は、前記2つの直管部分の分割端面同士を突き合わせた状態で、互いに係合して該状態を保持するための係合部及び被係合部を有することを特徴とする請求項1に記載のホース固定具。
【請求項3】
前記固定ベースと前記取付け穴との間に防水性を有するパッキンが設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のホース固定具。
【請求項4】
前記曲管路及び前記直管路は各々、その内周面に前記ホースを前記曲管路及び前記直管路内に保持するための前記曲管路及び前記直管路の内周方向に突出したクランプを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のホース固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−79690(P2013−79690A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220524(P2011−220524)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000107055)シルバー株式会社 (7)
【Fターム(参考)】