説明

ホース評価試験装置

【課題】ホースの内部に安定した温度の圧力流体を供給することで、ホースに供給する流体の圧力および温度に関する評価試験が可能なホース評価試験装置を提供する。
【解決手段】ホース評価試験装置は、入口側管路12の中を流通する流体を加熱する加熱装置13と、出口側管路15に設けられ、出口側管路15の内部を流体が常時流通可能となるように出口側管路15の開度を零以外の範囲で調整する出口側バルブVoとを備える。そして、制御装置40により、出口側バルブVoの開度を零ではない範囲で小さくすることと出口側バルブVoの開度を大きくすることとを繰り返し制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などに適用される各種ホースに圧力流体を供給してホースの評価試験を行う装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などに適用される各種ホースの評価試験装置が、特開2008−267593号公報(特許文献1)および特開2006−133016号公報(特許文献2)などに記載されている。これらの装置では、評価試験対象となるホースの一端を閉塞しておき、ホースの他端側に設けられている供給バルブを開状態にしかつ排出バルブを閉状態にしてホースの他端から圧力流体を供給する。そして、供給バルブを閉状態にして排出バルブを開状態にしてホースの他端からホース内の流体を排出する。このようにして、ホース内に圧力流体の供給と排出を繰り返して、ホースの評価試験を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−267593号公報
【特許文献2】特開2006−133016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、過給機付エンジン(ガソリン車含む)において、過給機からエンジンまでの間に接続されるホースには、高温かつ高圧の流体が流れる。このようなホースの評価試験を実際の使用状態に近い状態にて行うには、ホース内に流通する流体の圧力を制御するのみではなく、流体の温度を制御する必要がある。
【0005】
従来のホース評価試験装置において、加熱した流体をホースに供給するとする。しかしながら、従来のホース評価試験装置においては、ホースの一端が閉塞されているため、ホースの他端に設けられている排出バルブが閉状態の場合には、ホースの内部に流体が滞留している期間が存在する。ホースの内部に滞留している流体に熱が伝達されて、ホースの内部の流体の温度が変化する。そのため、従来のホース評価試験装置を用いたのでは、所望の温度の流体をホース内部に供給することが困難である。つまり、従来は、ホース内部に供給する流体の温度について評価することが困難であった。なお、ホース評価試験装置において、ホースの外部の雰囲気温度を制御することも考えられるが、実際の使用状態では、ホースの内部の流体の温度とホースの外部の雰囲気温度は異なるため、実施の使用状態に近い状態での評価試験ではない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ホースの内部に安定した温度の圧力流体を供給することで、ホースに供給する流体の圧力および温度に関する評価試験が可能なホース評価試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のホース評価試験装置は、評価試験対象となるホースの一端側に装着され、前記ホースの内部に流体を供給する入口側管路と、前記ホースの他端側に装着され、前記ホースの内部の流体を排出する出口側管路と、前記入口側管路に設定された圧力の前記流体を供給し、前記入口側管路を介して前記ホースの内部に前記流体を供給する流体供給装置と、前記入口側管路の中を流通する前記流体を加熱する加熱装置と、前記出口側管路に設けられ、前記出口側管路の内部を前記流体が常時流通可能となるように前記出口側管路の開度を零以外の範囲で調整する出口側バルブと、前記出口側バルブの開度を零ではない範囲で小さくすることと前記出口側バルブの開度を大きくすることとを繰り返し制御する制御装置とを備える。
【0008】
本発明によれば、ホースの内部を流体が常時流通しているため、入口側管路にて加熱装置により流体が加熱されたとしても、加熱された流体はホースの内部に滞留することはない。従って、ホースの内部を流通する流体の温度を安定させることができる。ところで、ホースの他端側の出口側バルブの開度は零以外の範囲で調整されるため、出口側バルブは完全な閉状態になることはない。このようにしたとしても、出口側バルブの開度を小さくすることで、ホースの内部を流通する流体の圧力を調整することは可能である。つまり、本発明によれば、ホースの内部に安定した温度の圧力流体を供給することができるため、インタークーラーなどに適用されるホースの実際の使用状態に近い状態にてホースの評価試験を行うことができる。
【0009】
また、本発明において、前記ホース評価試験装置は、前記入口側管路に設けられ、前記入口側管路の内部を前記流体が常時流通可能となるように前記入口側管路の開度を零以外の範囲で調整する入口側バルブをさらに備え、前記加熱装置は、前記入口側管路のうち前記入口側バルブより上流側を流通する前記流体を加熱し、前記制御装置は、前記出口側バルブの開度を零ではない範囲で小さくし且つ前記入口側バルブの開度を前記出口側バルブの開度に対して相対的に大きくすることと、前記入口側バルブの開度を零でない範囲に小さくし且つ前記出口側バルブの開度を前記入口側バルブの開度に対して相対的に大きくすることを繰り返し制御するようにしてもよい。
【0010】
入口側バルブと出口側バルブとを備えることにより、ホースの内部を流通する流体の温度をより安定させることができる。ホースの内部の流体の圧力を高めるには、出口側バルブの開度を零でない範囲で小さくし、入口側バルブの開度を相対的に大きくする。このようにすることで、ホースの出口側で流体が流れにくい状態となるため、ホースの内部の流体の圧力が高まる。なお、この状態において、出口側バルブの開度は零ではないため、ホースの内部の流体は出口側バルブを常時通過しているため、ホースの内部を流体が常時流通する。
【0011】
続いて、ホースの内部の流体の圧力を低下させるには、入口側バルブの開度を零でない範囲で小さくし、出口側バルブの開度を相対的に大きくする。このようにすることで、ホースの内部の流体が、出口側管路における出口側バルブより下流側の圧力まで低下する。例えば、出口側管路における出口側バルブより下流側を大気開放にしておくと、ホースの内部の流体の圧力は大気圧になる。
【0012】
ここで、入口側管路において入口側バルブよりも上流側の流体が加熱装置によって加熱されている。つまり、入口側バルブの開度が零でない範囲で小さくされているとき、入口側バルブより上流側の流体が加熱装置により加熱される。さらに、入口側バルブは閉状態ではなく、常時流体を流通させている。従って、入口側バルブの上流側において加熱された流体は、滞留していないため、設定された温度に保持することができる。従って、次に入口側バルブの開度を大きくして、ホースの内部の流体の圧力を高めるときに、ホースの内部に供給される流体の温度が設定された温度にできる。このように、入口側バルブと出口側バルブを設け、両バルブを閉状態とせずに、流体が常時流通状態を維持することで、より安定した温度の流体をホースの内部に供給することができる。
【0013】
また、本発明において、前記ホース評価試験装置は、設定された圧力および温度の流体を収容し、当該収容空間内に前記ホースを配置可能なチャンバ形成部材をさらに備えるようにしてもよい。これにより、ホースの内部に供給する流体の温度を制御することに加えて、ホースの外部の雰囲気温度を制御することもできる。ここで、例えば、自動車の過給機からエンジンまでの間に接続されるホースは、エンジンルームに設置されるため、ホースの外部の雰囲気温度はエンジンにより過熱された高温の雰囲気となっている。また、当該ホースの内部を流通する流体の温度と、ホースの外部の雰囲気温度とは、通常異なる。従って、本発明によれば、ホースの内部の流体の圧力および温度を設定すると共に、ホースの外部の雰囲気温度を設定することができるため、種々の使用態様におけるホースの評価試験を行うことができる。
【0014】
また、本発明において、前記加熱装置は、加熱された熱交換用流体を流通させる熱交換用管路と前記入口側管路を流通する前記流体との間で熱交換を行う熱交換器としてもよい。これにより、効率よく、安定的に、かつ、低コストで、入口側管路を流通する流体を加熱することができる。
【0015】
また、本発明において、前記出口側管路は、二つに分岐され且つ下流側で合流された二本の分岐出口側管路を備え、前記出口側バルブは、一方の前記分岐出口側管路に設けられ、当該一方の前記分岐出口側管路を開状態と閉状態とに切り換えるメイン出口側バルブと、他方の前記分岐出口側管路に設けられ、当該他方の前記分岐出口側管路の内部を前記流体が常時流通可能となるように当該他方の前記分岐出口側管路の開度を零以外の範囲で調整可能なサブ出口側バルブと、を備え、前記制御装置は、前記メイン出口側バルブを開状態と閉状態との切り換え制御を行うようにしてもよい。
【0016】
ここで、サブ出口側バルブの開度は、予め設定しておく。このようにすることで、ホースの内部に流体を供給することと排出することを繰り返し行う場合には、単に、メイン出口側バルブの開状態と閉状態とを切り換えることとで実行できる。従って、ホースの評価試験を行う際に、出口側バルブ(メイン出口側バルブとサブ出口側バルブを総称する意味)の制御が容易となる。
【0017】
また、本発明において、前記入口側管路は、二つに分岐され且つ下流側で合流された二本の分岐入口側管路を備え、前記入口側バルブは、一方の前記分岐入口側管路に設けられ、当該一方の前記分岐入口側管路を開状態と閉状態とに切り換えるメイン入口側バルブと、他方の前記分岐入口側管路に設けられ、当該他方の前記分岐入口側管路の内部を前記流体が常時流通可能となるように当該他方の前記分岐入口側管路の開度を零以外の範囲で調整可能なサブ入口側バルブと、を備え、前記制御装置は、前記メイン入口側バルブを開状態と閉状態との切り換え制御を行うようにしてもよい。
【0018】
ここで、サブ入口側バルブの開度は、予め設定しておく。このようにすることで、ホースの内部に流体を供給することと排出することを繰り返し行う場合には、単に、メイン入口側バルブの開状態と閉状態との切り換え制御、および、メイン出口側バルブの開状態と閉状態との切り換え制御を行うことで実行できる。従って、ホースの評価試験を行う際に、入口側バルブ(メイン入口側バルブとサブ入口側バルブを総称する意味)および出口側バルブ(メイン出口側バルブとサブ出口側バルブを総称する意味)の制御が容易となる。
【0019】
また、本発明において、前記ホース評価試験装置は、前記入口側管路に油を供給する油供給装置と、前記出口側管路を流通する前記流体の中から前記油を抽出する油抽出装置とをさらに備えるようにしてもよい。ここで、実際の使用状態においてホースの内部を流通する流体が、空気に僅かな油が混合したものであることがある。また、ホースの内部にて油を流通させるためには、油の温度が発火点温度よりも低く制御することが必要である。そして、本発明のホース評価試験装置では、ホースの内部を流通する流体の温度を制御することができる。従って、ホースの内部を流通する流体の温度を、油の発火点の温度よりも低くする設定することで、ホースの内部に油を供給した評価試験が可能となる。ここで、ホース評価試験装置が入口側バルブを有する場合には、油供給装置は、入口側バルブより下流側に油を供給するとよい。入口側管路のうち入口側バルブよりも下流側では、流通する流体の温度がより安定している。従って、油が流通する領域における油の温度を安定させることが可能となり、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第一実施形態:ホース評価試験装置の模式回路図である。
【図2】第一実施形態:入口側バルブViおよび出口側バルブVoの開度と、それぞれのバルブVi,Voにおける流体の流通流量の関係を示す図である。
【図3】第一実施形態:(a)入口側バルブViにおける流体の流通流量、(b)出口側バルブVoにおける流体の流通流量、(c)ホースの内部における流体の圧力についてのタイミングチャートを示す。
【図4】第二実施形態:ホース評価試験装置の模式回路図である。
【図5】第二実施形態:サブ入口側バルブVi2およびサブ出口側バルブVo2の開度と、それぞれのバルブVi2,Vo2における流体の流通流量の関係を示す図である。また、メイン入口側バルブVi1およびメイン出口側バルブVo1の開状態における流体の流通流量を併せて示す。
【図6】第二実施形態:(a)メイン入口側バルブVi1の開度、(b)メイン出口側バルブVo1の開度、(c)メイン入口側バルブVi1およびサブ入口側バルブVi2における流体の総合流通流量、(d)メイン出口側バルブVo1およびサブ出口側バルブVo2における流体の総合流通流量、(e)ホースの内部における流体の圧力についてのタイミングチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第一実施形態>
第一実施形態におけるホース評価試験装置について、図1〜図3を参照して説明する。本実施形態におけるホース評価試験装置は、評価試験対象となるホースHの入口側管路12に入口側バルブViを設け、ホースHの出口側管路15に出口側バルブVoを設ける。そして、ホースHの内部に供給する流体は、圧縮空気が主であって、油が僅かに含まれたものとする。
【0022】
ホース評価試験装置は、圧縮空気供給装置11と、入口側管路12と、熱交換器13と、入口側バルブViと、油供給装置14と、出口側管路15と、出口側バルブVoと、油抽出装置16と、熱交換用空気供給装置21と、熱交換用管路22と、ヒーター23と、チャンバ形成部材30と、制御装置40とを備えて構成される。
【0023】
圧縮空気供給装置11は、空気の圧力を制御でき、当該圧縮空気をホースHの内部に供給するためのものである。入口側管路12の一端は、圧縮空気供給装置11の流体出力ポートに接続される。この入口側管路12は、入口側管路12の他端に、ホースHの一端を把持するための入口側チャック12bを有する。つまり、入口側管路12は、ホースHの一端側を装着し、圧縮空気供給装置11から供給される圧縮空気をホースHの内部に供給する管路を構成する。
【0024】
熱交換器13は、入口側管路12に設けられ、入口側管路12の中を流通する圧縮空気を加熱する。この熱交換器13は、入口側管路12において、後述する入口側バルブViより上流側を流通する圧縮空気を加熱する。
【0025】
ここで、熱交換用空気供給装置21から供給される空気が、熱交換用管路22に供給される。この熱交換用管路22のうち熱交換器13より上流側において、ヒーター23により加熱される。熱交換器13の内部において、加熱された空気が流通する熱交換用管路22の一部22aが配置されている。さらに、熱交換器13の内部において、ホースHの一端に接続される入口側管路12の一部12aが配置されている。
【0026】
つまり、熱交換器13の内部において、熱交換用管路22の一部22aを流通する加熱された熱交換用空気と、入口側管路12の一部12aを流通する圧縮空気との間で、熱交換を行う。このような構成とすることで、熱交換器13は、入口側管路12を流通する圧縮空気を安定的に加熱できる。なお、熱交換用管路22は、大気開放されているため、加熱された熱交換用の空気は熱交換器13を通過すると大気に排出される。熱交換用の流体として空気を採用することで、環境対策としても効果的である。
【0027】
入口側バルブViは、入口側管路12のうち熱交換器13の下流側に設けられる。この入口側バルブViは、入口側管路12の内部を圧縮空気が常時流通可能となるように入口側管路12の開度を零以外の範囲で調整する。つまり、入口側バルブViの最小の開度は、閉状態とはならず、僅かに開口した状態となる。
【0028】
入口側バルブViの開度と、入口側バルブViを流通する流体流量との関係について、図2を参照して説明する。図2の実線にて示すように、入口側バルブViの開度を大きくするにつれて、入口側バルブViを流通する流体流量が大きくなる関係になる。そして、入口側バルブViの最小の開度は零ではないX%となり、そのときの入口側バルブViを流通する流体流量は、零ではないV_minとなる。
【0029】
油供給装置14は、入口側管路12のうち入口側バルブViの下流側に接続され、接続された入口側管路12に油を供給する。従って、油供給装置14が入口側管路12に油を供給することで、ホースHの内部に供給される流体は、加熱された圧縮空気に油を含んだ流体となる。この油供給装置14は、油の供給の有無を自由に設定できる。つまり、ホースHの評価試験に際して、ホースHの内部を流通する流体が、圧縮空気に油を含んだ流体とする場合には、油供給装置14は油を供給する。一方、ホースHの評価試験に際して、ホースHの内部を流通する流体が圧縮空気のみであって油を含まない流体とする場合には、油供給装置14は油の供給を行わない。
【0030】
出口側管路15は、ホースHの他端側に装着され、ホースHの内部の流体を排出する。この出口側管路15は、出口側管路15の一端に、ホースHの他端を把持するための加振器付出口側チャック15aを有する。この加振器付出口側チャック15aは、ホースHの他端を把持した状態で、ホースHの他端に流体流通方向に直交する方向に、振動を付与することができる。つまり、加振器付出口側チャック15aを振動させることで、ホースHに振動を付与した評価試験が行える。また、出口側管路15の他端は、大気開放されている。
【0031】
出口側バルブVoは、出口側管路15に設けられ、出口側管路15の内部を流体が常時流通可能となるように出口側管路15の開度を零以外の範囲で調整する。つまり、出口側バルブVoの最小の開度は、閉状態とはならず、僅かに開口した状態となる。
【0032】
出口側バルブVoの開度と、出口側バルブVoを流通する流体流量との関係について、図2を参照して説明する。図2の実線にて示すように、出口側バルブVoの開度を大きくするにつれて、出口側バルブVoを流通する流体流量が大きくなる関係になる。そして、出口側バルブVoの最小の開度は零ではないX%となり、そのときの出口側バルブVoを流通する流体流量は、零ではないV_minとなる。
【0033】
油抽出装置16は、出口側管路15のうち出口側バルブVoの下流側に設けられ、出口側管路15を流通する流体の中から油を抽出する。油抽出装置16により出口側管路15を流通する流体の中から油を抽出すると、出口側管路15のうち油抽出装置16より下流側では、空気のみとなる。ここで、出口側管路15の他端は、大気開放されている。つまり、油抽出装置16により出口側管路15を流通する流体の中から油を抽出することで、残りの空気を大気開放することが可能となる。
【0034】
チャンバ形成部材30は、設定された圧力および温度の流体を収容する。そして、チャンバ形成部材30の当該収容空間内に評価試験対象となるホースHを配置する。つまり、チャンバ形成部材30は、評価試験対象であるホースHの外側の雰囲気温度を設定するためのものとなる。このチャンバ形成部材30の収容空間内の流体の圧力および温度は、自由に設定できる。
【0035】
制御装置40は、圧縮空気供給装置11による圧縮空気の供給制御、熱交換用空気供給装置21による空気の供給制御、ヒーター23の制御、入口側バルブViの開度制御、油供給装置14による油の供給制御、加振器付出口側チャック15aの加振制御、出口側バルブVoの開度制御、および、チャンバ形成部材30の収容空間における流体の圧力および温度の制御を行う。
【0036】
この制御装置40による入口側バルブViおよび出口側バルブVoの開度制御について図3(a)(b)を参照して説明すると共に、そのときのホースHの内部を流通する流体の圧力の変化について図3(c)を参照して併せて説明する。
【0037】
図3(a)に示すように、入口側バルブViを流通する流体流量がVi_maxとVi_setとを交互に繰り返すように、制御装置40は、入口側バルブViの開度を制御する。具体的には、時刻t1までの間は、入口側バルブViを流通する流体流量がVi_setとなり、時刻t1からt2の間は、入口側バルブViを流通する流体流量がVi_maxとなり、時刻t2からt3の間は、入口側バルブViを流通する流体流量がVi_setとなり、時刻t3からt4の間は、入口側バルブViを流通する流体流量がVi_maxとなるようにする。
【0038】
図3(b)に示すように、制御装置40は、出口側バルブVoの開度を、入口側バルブViの開度とは反対になるように制御する。すなわち、入口側バルブViの開度が100%の場合には、出口側バルブVoの開度はY%(図2に示す)とし、入口側バルブViの開度がY%の場合には、出口側バルブVoの開度は100%とする。具体的には、時刻t1までの間は、出口側バルブVoを流通する流体流量がVo_maxとなり、時刻t1からt2の間は、出口側バルブVoを流通する流体流量がVo_setとなり、時刻t2からt3の間は、出口側バルブVoを流通する流体流量がVo_maxとなり、時刻t3からt4の間は、出口側バルブVoを流通する流体流量がVo_setとなるようにする。
【0039】
このように、入口側バルブViと出口側バルブVoを制御するとき、ホースHの内部における流体の流れについて図3(c)を参照して説明する。上述したように、圧縮空気供給装置11により、設定された圧力の空気が入口側管路12に供給される。入口側管路12のうち熱交換器13の内部に有する部分12aを流通する圧縮空気が、熱交換器13により加熱される。入口側管路12のうち熱交換器13を通過した部分を流通する圧縮空気は、設定された温度に加熱されている。
【0040】
そして、時刻t1までにおいては、入口側バルブViの開度を設定された小さな値Y%とし、入口側バルブViを流通する流体流量がVi_setと少なくなっている。一方、時刻t1までにおいて、出口側バルブVoの開度を100%とし、出口側バルブVoを流通する流量はVo_maxとなる。
【0041】
このように、入口側バルブViは僅かに開口し、出口側バルブVoは大きく開口しているため、入口側管路12において圧縮空気が滞留することなく、僅かながら流通している状態が維持される。そして、入口側バルブViの開度がY%で小さいため、入口側管路12のうち入口側バルブViより上流側において流通する空気は、設定された圧力となり、かつ、設定された温度となっている。一方、入口側バルブViより下流側においては、大気開放されているため、大気圧と同程度のPminとなる。従って、ホースHは入口側バルブViより下流側に位置するため、ホースHの内部における空気の圧力は、小さな値Pminとなる。
【0042】
続いて、時刻t1からt2の間においては、入口側バルブViの開度を100%とし、入口側バルブViを流通する流体流量をVi_maxとする。一方、時刻t1からt2の間において、出口側バルブVoの開度を設定された小さな値Y%(図2に示す)とし、出口側バルブVoを流通する流量をVo_setとする。
【0043】
このように、入口側バルブViは大きく開口し、出口側バルブVoは僅かに開口しているため、入口側管路12において圧縮空気が滞留することなく、僅かながら流通している状態が維持される。そして、出口側バルブVoの開度がY%で小さいため、出口側バルブVoよりも上流側において流通する空気は、設定された圧力となり、かつ、設定された温度となっている。一方、出口側バルブVoより下流側においては、大気開放されているため、大気圧と同程度のPminとなる。従って、ホースHは出口側バルブVoより上流側に位置するため、ホースHの内部における空気の圧力は、設定された大きな値Pmaxとなる。
【0044】
続いて、時刻t2からt3の間においては、再び、入口側バルブViの開度を設定された小さな値Y%とし、入口側バルブViを流通する流体流量をVi_setとする。一方、時刻t2からt3の間において、出口側バルブVoの開度を100%とし、出口側バルブVoを流通する流量をVo_maxとする。このときのホースHの内部における空気の圧力は、小さな値Pminとなる。
【0045】
続いて、時刻t3からt4の間においては、再び、入口側バルブViの開度を100%とし、入口側バルブViを流通する流体流量をVi_maxとする。一方、時刻t3からt4の間において、出口側バルブVoの開度を設定された小さな値Y%とし、出口側バルブVoを流通する流量はVo_setとする。このときのホースHの内部における空気の圧力は、大きな値Pmaxとなる。
【0046】
以上説明したように、入口側バルブViの開度と出口側バルブVoの開度を制御して、ホースHの内部を常時流体が流通する状態とすることにより、ホースHの内部を流通する圧縮空気の温度を安定させることができる。従って、本実施形態のホース評価試験装置によれば、ホースHの内部を流通する流体の圧力および温度を自由に設定して、ホースHの評価試験を行うことができる。これにより、例えば過給機からエンジンまでの間に適用されるホースHの実際の使用状態に近い状態にて、ホースHの評価試験を行うことができる。
【0047】
また、図3(b)(c)の時刻t2からt3に示すように、ホースHの内部の圧力を低下させる際に、出口側バルブVoの開度を大きくしている。この間に入口側バルブViの開度を零でない小さな値Y%とすることで、時刻t3において入口側バルブViの開度を100%とし出口側バルブVoの開度を小さな値Y%としたときに、ホースHの内部に流入する流体の温度が安定する。つまり、入口側バルブViを設けることで、ホースHの内部を流通する流体の温度をより安定的にすることができる。
【0048】
さらに、本実施形態のホース評価試験装置は、チャンバ形成部材30によりホースHの外部の雰囲気温度を適宜設定することができる。つまり、ホースHの内部を流通する流体の温度は、熱交換器13を介して設定され、ホースHの外部の雰囲気温度は、チャンバ形成部材30により設定される。このように、ホースHの内部と外部とで自由な温度に設定でき、両者を異なる温度にも同じ温度にも設定することができる。
【0049】
例えば、自動車の過給機からエンジンまでの間に接続されるホースHは、エンジンルームに設置されるため、ホースHの外部の雰囲気温度はエンジンにより過熱された高温の雰囲気となっている。また、ホースHの内部を流通する流体の温度と、ホースHの外部の雰囲気温度とは、通常異なる。従って、ホースHの内部の流体の圧力および温度を設定すると共に、ホースHの外部の雰囲気温度を設定することにより、種々の使用態様におけるホースHの評価試験を行うことができる。
【0050】
また、本実施形態のホース評価試験装置において、熱交換器13により入口側管路12を流通する流体を加熱している。これにより、効率よく、安定的に、かつ、低コストで、入口側管路12を流通する流体を加熱することができる。
【0051】
また、本実施形態のホース評価試験装置は、油供給装置14により入口側管路12に油を供給している。つまり、ホースHの内部には、圧縮空気に微小の油が混合した状態の流体が流通している。ここで、実際の使用状態においてホースHの内部を流通する流体が、空気に僅かな油が混合したものであることがある。従って、実際の使用状態に近い状態で、ホースHの評価試験を行うことができる。
【0052】
ただし、ホースHの内部にて油を流通させるためには、油の温度が発火点温度よりも低く制御することが必要である。本実施形態のホース評価試験装置では、上述したように、ホースHの内部を流通する流体の温度を制御することができる。従って、ホースHの内部を流通する流体の温度を、油の発火点の温度よりも低くする設定することで、ホースHの内部に油を供給した評価試験が可能となる。ここで、入口側管路12のうち入口側バルブViよりも下流側では、流通する流体の温度がより安定している。そこで、油供給装置14により入口側バルブViより下流側に油を供給することで、油が流通する領域における油の温度を安定させることが可能となり、安全性を高めることができる。
【0053】
<第二実施形態>
次に、第二実施形態のホース評価試験装置について図4〜図6を参照して説明する。本実施形態におけるホース評価試験装置は、評価試験対象となるホースHの入口側に位置する第一分岐入口側管路112cにメイン入口側バルブVi1を設け、第二分岐入口側管路112dにサブ入口側バルブVi2を設ける。また、ホースHの出口側に位置する第一分岐出口側管路115bにメイン出口側バルブVo1を設け、第二分岐出口側管路115cにサブ出口側バルブVo2を設ける。メイン入口側バルブVi1およびメイン出口側バルブVo1は、開状態と閉状態を繰り返し行い、サブ入口側バルブVi2およびサブ出口側バルブVo2は、設定された開度に予め設定されている。そして、ホースHの内部に供給する流体は、圧縮空気が主であって、油が僅かに含まれたものとする。
【0054】
以下に、本実施形態のホース評価試験装置について説明するが、第一実施形態のホース評価試験装置と同一構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。本実施形態のホース評価試験装置は、第一実施形態に対して、入口側管路112、メイン入口側バルブVi1、サブ入口側バルブVi2、出口側管路115、メイン出口側バルブVo1、サブ出口側バルブVo2、および、制御装置140が相違する。
【0055】
入口側管路112の一端は、圧縮空気供給装置11の流体出力ポートに接続される。この入口側管路112は、入口側管路112の他端に、ホースHの一端を把持するための入口側チャック112bを有する。つまり、入口側管路112は、ホースHの一端側を装着し、ホースHの内部に圧縮空気を供給する管路を構成する。さらに、入口側管路112は、入口側管路12のうち熱交換器13の下流側において、二つに分岐され且つその下流側で合流された二本の分岐入口側管路(第一分岐入口側管路112cと第二分岐入口側管路112d)を備える。
【0056】
メイン入口側バルブVi1は、第一分岐入口側管路112cに設けられ、この第一分岐入口側管路を開状態(開度100%)と閉状態(開度0%)とに切り換える。つまり、メイン入口側バルブVi1は、on/offスイッチのように動作する。
【0057】
サブ入口側バルブVi2は、第二分岐入口側管路112dに設けられ、この第二分岐入口側管路112dの内部を圧縮空気が常時流通可能となるように、第二分岐入口側管路112dの開度を零以外の範囲で調整される。サブ入口側バルブVi2の開度と、サブ入口側バルブVi2を流通する流体流量との関係について、図5を参照して説明する。図5の実線にて示すように、サブ入口側バルブVi2の開度を大きくするにつれて、サブ入口側バルブVi2を流通する流体流量が大きくなる関係になる。
【0058】
そして、サブ入口側バルブVi2の最小の開度は零ではないX%となり、そのときのサブ入口側バルブVi2を流通する流体流量は、零ではないV2_minとなる。そして、実際の使用時には、サブ入口側バルブVi2の開度を例えばZ%に予め設定した状態とする。すなわち、サブ入口側バルブVi2を流通する流体流量は、V2_setとなる。また、サブ入口側バルブVi2の最大の開度100%におけるサブ入口側バルブVi2を流通する流体流量は、メイン入口側バルブVi1を流通する流体流量V1_onよりも少なく設定されている。
【0059】
出口側管路115は、ホースHの他端側に装着され、ホースHの内部の流体を排出する。この出口側管路115は、出口側管路115の一端に、ホースHの他端を把持するための加振器付出口側チャック115aを有する。この加振器付出口側チャック115aは、ホースHの他端を把持した状態で振動を付与することができる。つまり、加振器付出口側チャック115aの振動させることで、ホースHに振動を付与した評価試験が行える。また、出口側管路115の他端は、大気開放されている。さらに、出口側管路115は、二つに分岐され且つその下流側で合流された二本の分岐入口側管路(第一分岐出口側管路115bと第二分岐出口側管路115c)を備える。
【0060】
メイン出口側バルブVo1は、第一分岐出口側管路115bに設けられ、この第一分岐出口側管路を開状態(開度100%)と閉状態(開度0%)とに切り換える。つまり、メイン出口側バルブVo1は、on/offスイッチのように動作する。
【0061】
サブ出口側バルブVo2は、第二分岐出口側管路115cに設けられ、この第二分岐出口側管路115cの内部を圧縮空気が常時流通可能となるように、第二分岐出口側管路115cの開度を零以外の範囲で調整される。サブ出口側バルブVo2の開度と、サブ出口側バルブVo2を流通する流体流量との関係について、図5を参照して説明する。図5の実線にて示すように、サブ出口側バルブVo2の開度を大きくするにつれて、サブ出口側バルブVo2を流通する流体流量が大きくなる関係になる。そして、サブ出口側バルブVo2の最小の開度は零ではないX%となり、そのときのサブ出口側バルブVo2を流通する流体流量は、零ではないV2_minとなる。そして、実際の使用時には、サブ出口側バルブVo2の開度を例えばZ%に予め設定した状態とする。すなわち、サブ出口側バルブVo2を流通する流体流量は、V2_setとなる。また、サブ出口側バルブVo2の最大の開度100%におけるサブ出口側バルブVo2を流通する流体流量は、メイン出口側バルブVo2を流通する流体流量V1_onよりも少なく設定されている。
【0062】
制御装置140は、圧縮空気供給装置11による圧縮空気の供給制御、熱交換用空気供給装置21による空気の供給制御、ヒーター23の制御、メイン入口側バルブVi1の開閉制御、油供給装置14による油の供給制御、加振器付出口側チャック115aの加振制御、メイン出口側バルブVo1の開閉制御、および、チャンバ形成部材30の収容空間における流体の圧力および温度の制御を行う。なお、サブ入口側バルブVi2の開度およびサブ出口側バルブVo2の開度は、予め設定した状態としておく。
【0063】
この制御装置140によるメイン入口側バルブVi1およびメイン出口側バルブVo1の開閉制御について図6(a)(b)を参照して説明すると共に、そのときの入口側管路112および出口側管路115を流通する圧縮空気の流量について図6(c)(d)を参照し、さらに、ホースHの内部を流通する流体の圧力の変化について図6(e)を参照して併せて説明する。
【0064】
図6(a)に示すように、メイン入口側バルブVi1の開閉を交互に繰り返すように、制御装置140は、メイン入口側バルブVi1の開度を制御する。具体的には、時刻t1までの間は、メイン入口側バルブVi1は閉状態となり、時刻t1からt2の間は、メイン入口側バルブVi1が開状態となり、時刻t2からt3の間は、メイン入口側バルブVi1が閉状態となり、時刻t3からt4の間は、メイン入口側バルブVi1が開状態となるようにする。
【0065】
このとき、入口側管路112を流通する流体流量は、メイン入口側バルブVi1の開度とサブ入口側バルブVi2の開度に応じて変化する。すなわち、入口側管路112を流通する流体流量は、メイン入口側バルブVi1を流通する流体流量とサブ入口側バルブVi2を流通する流体流量の合計値(図6(c)においては「総合流量」と称する)となる。
【0066】
具体的には、図6(c)に示すように、時刻t1までの間は、Vi1,Vi2の総合流量は、サブ入口側バルブVi2を流通する流体流量Vi2_setとなり、時刻t1からt2の間は、メイン入口側バルブVi1およびサブ入口側バルブVi2を流通する流体流量(Vi1_on+Vi2_set)となる。時刻t2からt3の間は、サブ入口側バルブVi2を流通する流体流量Vi2_setとなり、時刻t3からt4の間は、メイン入口側バルブVi1およびサブ入口側バルブVi2を流通する流体流量(Vi1_on+Vi2_set)となる。
【0067】
また、図6(b)に示すように、メイン出口側バルブVo1の開閉を交互に繰り返すように、制御装置140は、メイン出口側バルブVo1の開度を制御する。さらに、制御装置140は、メイン出口側バルブVo1の開度を、メイン入口側バルブVi1の開度とは反対になるように制御する。
【0068】
具体的には、時刻t1までの間は、メイン出口側バルブVo1が開状態となり、時刻t1からt2の間は、メイン出口側バルブVo1が閉状態となり、時刻t2からt3の間は、メイン出口側バルブVo1が開状態となり、時刻t3からt4の間は、メイン出口側バルブVo1が閉状態となるようにする。
【0069】
このとき、出口側管路115を流通する流体流量は、メイン出口側バルブVo1の開度とサブ出口側バルブVo2の開度に応じて変化する。すなわち、出口側管路115を流通する流体流量は、メイン出口側バルブVo1を流通する流体流量とサブ出口側バルブVo2を流通する流体流量の合計値(図6(d)においては「総合流量」と称する)となる。
【0070】
具体的には、図6(d)に示すように、時刻t1までの間は、Vo1,Vo2の総合流量は、メイン出口側バルブVo1およびサブ出口側バルブVo2を流通する流体流量(Vo1_on+Vo2_set)となり、時刻t1からt2の間は、サブ出口側バルブVo2を流通する流体流量Vo2_setとなる。時刻t2からt3の間は、メイン出口側バルブVo1およびサブ出口側バルブVo2を流通する流体流量(Vo1_on+Vo2_set)となり、時刻t3からt4の間は、サブ出口側バルブVo2を流通する流体流量Vo2_setとなる。
【0071】
このように、メイン入口側バルブVi1とメイン出口側バルブVo1を制御するとき、ホースHの内部における流体の流れについて図6(e)を参照して説明する。上述したように、圧縮空気供給装置11により、設定された圧力の空気が入口側管路112に供給される。入口側管路112のうち熱交換器13の内部に有する部分112aを流通する圧縮空気が、熱交換器13により加熱される。入口側管路112のうち熱交換器13を通過した部分を流通する圧縮空気は、設定された温度に加熱されている。
【0072】
そして、時刻t1までにおいては、メイン入口側バルブVi1は閉状態であるため、入口側管路112においてサブ入口側バルブVi2のみを流通するため、入口側管路112を流通する流体流量がVi2_setと少なくなっている。一方、時刻t1までにおいて、メイン出口側バルブVo1は開状態であるため、出口側管路115においてメイン出口側バルブVo1およびサブ出口側バルブVo2を流通するため、出口側管路115を流通する流体流量は(Vo1_on+Vo2_set)となる。
【0073】
このように、メイン入口側バルブVi1は閉状態ではあるが、サブ入口側バルブVi2は僅かに開口し、且つ、メイン出口側バルブVo1およびサブ出口側バルブVo2が開口しているため、入口側管路112において圧縮空気が滞留することなく、僅かながら流通している状態が維持される。そして、メイン入口側バルブVi1が閉状態であって、サブ入口側バルブVi2を流通する流体流量がVi2_setと小さいため、入口側管路112のうちメイン入口側バルブVi1およびサブ入口側バルブVi2より上流側において流通する空気は、設定された圧力となり、かつ、設定された温度となっている。一方、サブ入口側バルブVi2より下流側においては、大気開放されているため、大気圧と同程度のPminとなる。従って、ホースHはサブ入口側バルブVi2より下流側に位置するため、ホースHの内部における空気の圧力は、小さな値Pminとなる。
【0074】
続いて、時刻t1からt2の間においては、メイン入口側バルブVi1を開状態とし、入口側管路112を流通する流体流量を(Vi1_on+Vi2_set)とする。一方、時刻t1からt2の間において、メイン出口側バルブVo1は閉状態であるため、出口側管路115においてサブ出口側バルブVo2のみを流通する。そのため、出口側管路115を流通する流体流量がVo2_setと少なくなる。
【0075】
このように、メイン出口側バルブVo1が閉状態であるが、メイン入口側バルブVi1およびサブ入口側バルブVi2が開口しており、且つ、サブ出口側バルブVo2が僅かに開口しているため、入口側管路112において圧縮空気が滞留することなく、僅かながら流通している状態が維持される。そして、出口側管路115においてサブ出口側バルブVo2の僅かな開度のみを流体が流通するため、サブ出口側バルブVo2よりも上流側において流通する空気は、設定された圧力となり、かつ、設定された温度となっている。従って、ホースHはサブ出口側バルブVo2より上流側に位置するため、ホースHの内部における空気の圧力は、大きな値Pmaxとなる。一方、サブ出口側バルブVo2より下流側においては、大気開放されているため、大気圧と同程度のPminとなる。
【0076】
続いて、時刻t2からt3の間においては、再び、メイン入口側バルブVi1を閉状態とし、入口側管路112を流通する流体流量をVi2_setと少なくする。一方、時刻t2からt3の間において、メイン出口側バルブVo1を開状態とし、出口側管路115を流通する流体流量は(Vo1_on+Vo2_set)となる。このときのホースHの内部における空気の圧力は、小さな値Pminとなる。
【0077】
続いて、時刻t3からt4の間においては、再び、メイン入口側バルブVi1を開状態とし、入口側管路112を流通する流体流量を(Vi1_on+Vi2_set)とする。一方、時刻t3からt4の間において、メイン出口側バルブVo1は閉状態とし、出口側管路115を流通する流体流量をVo2_setと少なくなる。このときのホースHの内部における空気の圧力は、大きな値Pmaxとなる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。さらに、入口側バルブとして、メイン入口側バルブVi1とサブ入口側バルブVi2を設け、出口側バルブとして、メイン出口側バルブVo1とサブ出口側バルブVo2を設けた。そして、サブ入口側バルブVi2およびサブ出口側バルブVo2の開度は、予め設定しておく。これにより、ホースHの内部に流体を供給することと排出することを繰り返し行う場合には、単に、メイン入口側バルブVi1とメイン出口側バルブVo1の開状態と閉状態とを切り換えることとで実行できる。従って、ホースHの評価試験を行う際に、バルブの制御が容易となる。
【0079】
<第一,第二実施形態の変形態様>
ここで、ホースHの内部における空気の圧力を高い状態と低い状態との繰り返し動作を行うには、以下のようにすることもできる。すなわち、第一実施形態に対して入口側管路12に入口側バルブViを設けない構成とすることもできる。また、第二実施形態に対して入口側管路112にメイン入口側バルブVi1およびサブ入口側バルブVi2を設けない構成とすることもできる。ただし、出口側バルブVo,Vo1,Vo2に加えて、第一実施形態および第二実施形態のように、入口側バルブVi,Vi1,Vi2を設けることで、ホースHの内部を流通する流体の温度をより安定的にすることができる。
【符号の説明】
【0080】
11:圧縮空気供給装置、 12:入口側管路、 12b:入口側チャック
13:熱交換器、 14:油供給装置
15:出口側管路、 15a:加振器付出口側チャック
16:油抽出装置、 21:熱交換用空気供給装置、 22:熱交換用管路
23:ヒーター、 30:チャンバ形成部材、 40:制御装置
112:入口側管路、 112b:入口側チャック
112c:第一分岐入口側管路、 112d:第二分岐入口側管路
115:出口側管路、 115a:加振器付出口側チャック
115b:第一分岐出口側管路、 115c:第二分岐出口側管路
140:制御装置
H:ホース、 Vi,Vi1,Vi2:入口側バルブ
Vo,Vo1,Vo2:出口側バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価試験対象となるホースの一端側に装着され、前記ホースの内部に流体を供給する入口側管路と、
前記ホースの他端側に装着され、前記ホースの内部の流体を排出する出口側管路と、
前記入口側管路に設定された圧力の前記流体を供給し、前記入口側管路を介して前記ホースの内部に前記流体を供給する流体供給装置と、
前記入口側管路の中を流通する前記流体を加熱する加熱装置と、
前記出口側管路に設けられ、前記出口側管路の内部を前記流体が常時流通可能となるように前記出口側管路の開度を零以外の範囲で調整する出口側バルブと、
前記出口側バルブの開度を零ではない範囲で小さくすることと前記出口側バルブの開度を大きくすることとを繰り返し制御する制御装置と、
を備えることを特徴とするホース評価試験装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ホース評価試験装置は、前記入口側管路に設けられ、前記入口側管路の内部を前記流体が常時流通可能となるように前記入口側管路の開度を零以外の範囲で調整する入口側バルブをさらに備え、
前記加熱装置は、前記入口側管路のうち前記入口側バルブより上流側を流通する前記流体を加熱し、
前記制御装置は、前記出口側バルブの開度を零ではない範囲で小さくし且つ前記入口側バルブの開度を前記出口側バルブの開度に対して相対的に大きくすることと、前記入口側バルブの開度を零でない範囲に小さくし且つ前記出口側バルブの開度を前記入口側バルブの開度に対して相対的に大きくすることを繰り返し制御するホース評価試験装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記ホース評価試験装置は、設定された圧力および温度の流体を収容し、当該収容空間内に前記ホースを配置可能なチャンバ形成部材をさらに備えるホース評価試験装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記加熱装置は、加熱された熱交換用流体を流通させる熱交換用管路と前記入口側管路を流通する前記流体との間で熱交換を行う熱交換器であるホース評価試験装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項において、
前記出口側管路は、二つに分岐され且つ下流側で合流された二本の分岐出口側管路を備え、
前記出口側バルブは、
一方の前記分岐出口側管路に設けられ、当該一方の前記分岐出口側管路を開状態と閉状態とに切り換えるメイン出口側バルブと、
他方の前記分岐出口側管路に設けられ、当該他方の前記分岐出口側管路の内部を前記流体が常時流通可能となるように当該他方の前記分岐出口側管路の開度を零以外の範囲で調整可能なサブ出口側バルブと、
を備え、
前記制御装置は、前記メイン出口側バルブを開状態と閉状態との切り換え制御を行うホース評価試験装置。
【請求項6】
請求項2において、
前記入口側管路は、二つに分岐され且つ下流側で合流された二本の分岐入口側管路を備え、
前記入口側バルブは、
一方の前記分岐入口側管路に設けられ、当該一方の前記分岐入口側管路を開状態と閉状態とに切り換えるメイン入口側バルブと、
他方の前記分岐入口側管路に設けられ、当該他方の前記分岐入口側管路の内部を前記流体が常時流通可能となるように当該他方の前記分岐入口側管路の開度を零以外の範囲で調整可能なサブ入口側バルブと、
を備え、
前記制御装置は、前記メイン入口側バルブを開状態と閉状態との切り換え制御を行うホース評価試験装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項において、
前記ホース評価試験装置は、
前記入口側管路に油を供給する油供給装置と、
前記出口側管路を流通する前記流体の中から前記油を抽出する油抽出装置と、
をさらに備えることを特徴とするホース評価試験装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−247749(P2011−247749A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121368(P2010−121368)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】