説明

ホーム・シアターのコンテンツ較正の最適化

パラメータ検出器102、202、214は、少なくとも1つのテスト信号をディスプレイに送信し、ディスプレイの近傍の遠隔制御装置から少なくとも1つの検出されたディスプレイ・パラメータを受信する。コンテンツ・パラメータ解析器102、202、212は、ディスプレイに送信するコンテンツから少なくとも1つのコンテンツ・パラメータを取り出す。次いで、パラメータ比較器102、202、210は、検出されたディスプレイ・パラメータをコンテンツ・パラメータと比較して、コンテンツ・パラメータに基づいて、ただし検出されたディスプレイ・パラメータに従って、発信コンテンツ信号を調節する。パラメータ比較器は、コンテンツ・パラメータが検出されたディスプレイ・パラメータよりも大きいときに、少なくとも1つの提案されたディスプレイ・パラメータ調節を提供する。提案されたディスプレイ・パラメータは、映像信号および/または音声信号を用いて伝送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にホーム・シアターに関し、さらに詳細には、ホーム・シアターにおいてベスト・エフォート再生が体験できるようにコンテンツを自動的に較正するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映画監督や写真家は、画像をフィルムに収め、それらの画像を、色、フィルム・グレイン、コントラスト、ガンマなどが正確であって、意図した通りに画像が再現されているという認識の下、視聴者に提示する。これは、フィルムと、写真印刷媒体または投影用の銀幕とを選択することによって行われていた。しかし、家庭用シアター・システムの普及が進むにつれて、家庭用エンターテインメント・システムにおいてディスプレイも再生装置も数多くの様々なタイプが登場したことで、元々の制作者が当初見せようとしていた意図が失われる。従って、元々コンテンツに込められていた創造性は、家庭用の環境に変換されたときに失われてしまう。これを克服するために、様々なテスト・ディスクなどを使用して家庭用ディスプレイおよび家庭用再生装置を較正しようとする試みが、数多くなされている。このプロセスは、極めて冗長になる傾向があり、ほとんどの人は、一度は較正を行おうと試みるが、その後は、苛々する、あるいは時間がないなどの理由で、このプロセスを行わなくなってしまう。
【発明の開示】
【0003】
芸術作品の正確な表示は、消費者のセット・トップ・ボックスなどの提示装置へのフィードバック経路で較正済みセンサを使用することによって再現される。較正済みセンサからの入力を使用して、提示装置は、その出力レベルを調節して、元々の作品を意図通りに再現することができる。一例では、内蔵された画像化要素およびマイクロフォンを、遠隔制御装置においてフィードバック機構として使用して、出力が元々のコンテンツ制作者が意図した通りの本当の正確な色を再現し、音声と映像の同期が最適化されるように映像/音声再生装置を較正する。
【0004】
上記は、本発明の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解が得られるように、本発明の簡単な概要を示したものである。この概要は、本発明の広範な概要ではない。この概要は、これらの実施形態の重要/不可欠な要素を特定する、または本発明の範囲の外延を示すものではない。単に、後述するさらに詳細な説明の前置きとして、本発明の一部の概念を簡略化した形態で示すためのものに過ぎない。
【0005】
前述の目的および関連する目的を達成するために、本明細書では、以下の説明および添付の図面に関連して、実施形態の特定の例示的な態様について述べる。ただし、これらの態様は、本発明の原理を利用することができる様々な方法のうちのごく一部を示すものに過ぎず、本発明は、これら全ての態様およびその均等物を含むものである。本発明のその他の利点および新規の特性は、以下の詳細な説明を図面と関連付けて考慮すれば、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】一実施形態の1つの態様による自動コンテンツ較正システムのブロック図である。
【図2】一実施形態の1つの態様による自動コンテンツ較正システムの別のブロック図である。
【図3】一実施形態の1つの態様による自動的にコンテンツを較正する方法のフロー図である。
【図4】一実施形態の1つの態様による自動的にコンテンツを較正する方法の別のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、図面を参照しながら本発明について説明する。図面を通じて、同じ要素は同じ参照番号を用いて示している。以下の記述では、説明のために、本発明が完全に理解されるようにするために、数多くの具体的な詳細について述べる。しかし、これらの具体的な詳細を用いずに本発明の実施形態を実現することもできることは、明らかであろう。他の例では、実施形態の説明を容易にするために、周知の構造および装置はブロック図の形で示してある。
【0008】
本願で使用する「コンポーネント」という用語は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアと実行中のソフトウェアの組合せを指すものである。例えば、コンポーネントは、プロセッサ上で動作するプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル(executable)および/またはマイクロチップなどとすることができる(ただしこれらに限定されない)。例えば、プロセッサ上で動作するアプリケーションと当該プロセッサの両方で1つのコンポーネントであってもよい。1つのプロセス内に1つまたは複数のコンポーネントが存在していてもよいし、1つのコンポーネントが、1つのシステム上に位置し、且つ/または2つ以上のシステム間に分散していてもよい。図面に示す様々なコンポーネントの機能は、専用のハードウェアを使用して実現することもできるし、ソフトウェアを実行可能なハードウェアを適当なソフトウェアと関連付けて使用することによって実現することもできる。
【0009】
これらの機能をプロセッサによって実現する場合には、単一の専用プロセッサで実現することも、単一の共用プロセッサで実現することも、あるいはその一部を共用することもできる複数の個別プロセッサで実現することもできる。さらに、「プロセッサ」または「制御装置」という用語を明示的に用いていても、ソフトウェアを実行することができるハードウェアのみを指していると解釈すべきではなく、ディジタル信号プロセッサ(「DSP」)ハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読取り専用メモリ(「ROM」)、ランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)および不揮発性記憶装置を暗に含むことがある(ただしこれらに限定されない)。さらに、本発明の例および実施形態について本明細書で述べる全ての記述は、構造的均等物および機能的均等物の両方を含むものとする。さらに、これらの均等物には、現在既知の均等物だけでなく、将来開発されるであろう均等物(すなわち、構造に関わらず、同じ機能を実行する開発される任意の要素)も含まれるものとする。
【0010】
提示装置またはその他の装置は、以下を利用して、較正済みコンテンツをディスプレイに供給する。センサを備える遠隔制御装置は、ディスプレイに送られたテスト信号にフィードバックを供給するために使用される。次いで、このフィードバックは、較正されるコンテンツに関連付けられたパラメータと比較される。次いで、上記コンテンツは、上記フィードバック・パラメータの範囲内で較正される。上記フィードバック・パラメータによって最適な較正ができない場合には、上記フィードバック・パラメータによって規定されるベスト・エフォート・プロセスを用いてコンテンツが較正される。この場合には、ディスプレイのパラメータ変更をユーザに送信して、ユーザが特定のディスプレイ・パラメータなどを変更すれば、さらに最適な較正を実行することができることを示すことができる。
【0011】
図1は、自動コンテンツ較正器102を有する自動コンテンツ較正システム100を示す。自動コンテンツ較正器102は、提示装置(例えばセット・トップ・ボックスやテレビなど)内に存在し、且つ/または遠隔位置に存在することができる。自動コンテンツ較正器102のコンポーネントは、位置に関しても機能に関しても、一体化または統合することができる。自動コンテンツ較正器102は、コンテンツ104を受信し、コンテンツ104のパラメータを、遠隔制御装置108を介して受信したディスプレイ106からのパラメータと比較する。コンテンツ104は、映像コンテンツおよび/または音声コンテンツなどを含むことができる(ただしこれらに限定されない)。コンテンツのソースは、例えば、データ・ストリーム、コンパクト・ディスク(CD)、ディジタル多用途ディスク(DVD)、携帯型メモリ装置、ハード・ドライブ、コンピュータおよび/または空中伝送などから得ることができる。
【0012】
ディスプレイ106は、ユーザが「コンテンツ104を体験する」ことを可能にする再生システムを表している。従って、ディスプレイ106は、映像再生装置および音声再生装置を含むことができる。ディスプレイ106で表される一部の機器は、一体化音声映像装置および統合音声映像装置(ただしこれらに限定されない)を含むこともできる。製造業者によっては、所有権を主張できるインタフェース・リンクによってリンクすることができ、且つ業界標準のインタフェース(例えばHDMIなど)を使用する独立製造業者製のシステムも含むコンポーネント・システムを構築している。遠隔制御装置108は、ディスプレイ、テレビジョン、音声機器、セット・トップ・ボックスなどを制御するリモート・コントロールを含むことができる(ただしこれに限定されない)。遠隔制御装置108は、自動コンテンツ較正器102のパラメータを供給する機能しかない専用のリモート・コントロールであってもよい。また、遠隔制御装置108は、単純な押しボタン式リモート・コントロール、ならびに/あるいはディスプレイおよび/または音声コマンド認識などを備えた高機能ホーム・シアター用リモート・コントロールであってもよいことは理解されるであろう。
【0013】
自動コンテンツ較正器102は、コンテンツ104のパラメータを、コンテンツ104から直接的に、且つ/あるいはユーザ入力を介して間接的に、且つ/またはコンテンツ104自体などを解析することによって、取り出すことができる。一部のコンテンツ104は、視聴体験が可能な限りオリジナルに近くなるような、元々の制作者が望む最適なパラメータ設定を含む。これは、コンテンツ104のヘッダ情報として含めることもできるし、且つ/またはコンテンツを移送するために使用される媒体に別個のファイルとして記憶することもできる(例えばDVDディスクに記憶する、またはデータ・ストリームでプレビュー情報として送信する、など)。自動コンテンツ較正器102は、コンテンツのジャンルおよび/またはコンテンツの作成技術に基づくパラメータ設定を使用することもできる(例えば、スポーツのコンテンツは、「鮮明視聴(vivid viewing)」のパラメータ・セットを有し、漫画/アニメーションのコンテンツは、アニメーションの色性能を最大化するパラメータ・セットを有し、映画ベースのコンテンツは、映画館のような体験を最大化するパラメータ・セットを有する、など)。自動コンテンツ較正器102は、デフォルトのパラメータ・セットを使用することもできる。これは、ユーザのそれまでの好み、および/または再生機器を使用する既知の環境(例えば、照明が薄暗い、照明が明るい、背面映写テレビである、直視型ディスプレイである、など)に基づいて行うことができる。
【0014】
自動コンテンツ較正器102は、コンテンツ・パラメータと検出したディスプレイ・パラメータとを使用して、ディスプレイ106へのコンテンツ出力信号を調節する。調節は、コンテンツ104からの所望のパラメータ設定、およびディスプレイ106のテスト後の遠隔制御装置108からの許容されるパラメータ設定に基づいて行われる。ディスプレイ106は、ディスプレイ106および関連機器に信号を送信することによってテストされ、結果は、遠隔制御装置108によって検出される。自動コンテンツ較正器102は、必ずしもディスプレイ106に対する直接制御権を有するとは限らないので、自動コンテンツ較正器102は、コンテンツ104からの所望のパラメータを、それらが最適化されるまで、ただしディスプレイ106の検出されたパラメータの範囲内で、調節する。所望のパラメータが検出されたパラメータを超える場合には、自動コンテンツ較正器102は、提示されたパラメータ変更を、ディスプレイ106、遠隔制御装置108および/またはその他の利用可能な任意の手段(例えば移動装置、コンピュータなど)に送信することができる。提示されたパラメータ変更は、視覚的解釈および/または聴覚的解釈に関して送信することができ、視覚パラメータ変更および/または音声パラメータ変更などを含むことができる(ただしこれらに限定されない)。
【0015】
図2を参照するに、自動コンテンツ較正器202を有する自動コンテンツ較正システム200が示される。自動コンテンツ較正器202は、コンテンツ204を受信し、コンテンツ204のパラメータを、遠隔制御装置208を介して受信したディスプレイ206からのパラメータと比較する。この例では、自動コンテンツ較正器202は、コンテンツ・パラメータ解析器212を使用して、コンテンツ・パラメータを決定し、パラメータ検出器214を使用して、ディスプレイ206のパラメータを検出し、パラメータ比較器210を使用して、コンテンツのパラメータまたは所望のパラメータを検出したディスプレイ・パラメータと比較する。自動コンテンツ較正器202のコンポーネントの相互作用の理解を容易にするために、表示発生器216および音声発生器218が示してあるが、これらは、この例を実施する上では必要ない。
【0016】
コンテンツ・パラメータ解析器212は、コンテンツ204について望ましいコンテンツ・パラメータを決定する。上述したように、コンテンツ・パラメータは、コンテンツ204から直接的に、且つ/または間接的に取得することができる。従って、コンテンツ・パラメータ解析器212は、コンテンツ204の簡単なデフォルトのパラメータ設定を採用する、且つ/またはコンテンツ204のジャンルなどに基づくデフォルトのパラメータ設定を基本とすることができる。コンテンツ・パラメータ解析器212は、高機能化することもでき、コンテンツ204のセグメントに対するテストを実行して、正しいパラメータ設定を決定することもできる。コンテンツ・パラメータ解析器212は、コンテンツ・ヘッダ情報、視聴前に送信される事前情報および/または関連ファイルとして記憶される情報などを通して、コンテンツ204から直接設定を取得することもできる。解析および/またはデフォルトによって決定されたら、コンテンツ・パラメータ解析器212は、これらの所望のパラメータをパラメータ比較器210に送信する。
【0017】
パラメータ検出器214は、ディスプレイ206に関連するパラメータの範囲および設定を検出する。これは、ディスプレイ206にテスト・パターン信号および/またはテスト音声信号などを送信することによって実施することができる。この例では、パラメータ検出器214は、表示発生器216および/または音声発生器218を介して信号を送信する。そこから、ディスプレイ206および/または関連機器(例えばステレオ・システムなど)に信号が送信される。テスト信号の例のさらなる詳細を、以下に与える(図4などを参照)。遠隔制御装置208は、パラメータ検出器214から送信されるテスト信号を検出することができるセンサを有する。遠隔制御装置208は、通常、ディスプレイ206のテスト中には、ディスプレイ206の近傍に配置される。遠隔制御装置208内の光センサが、視覚的テスト・パターンを解釈し、且つ/または遠隔制御装置208内のマイクロフォンなどが、聴覚的テスト・パターンを解釈する。遠隔制御装置208は、必ずしも両方のタイプのセンサを有していなければならないわけではなく、また、その他のタイプのセンサを有していてもよい。遠隔制御装置208内のセンサの感度が様々であることにより、光の少ない条件下などで使用される装置でも極端に近づける必要がない実施態様が可能になる可能性がある。
【0018】
一例では、パラメータ検出器214および遠隔制御装置208は、1方向通信を行う。しかし、他の例では、遠隔制御装置208およびパラメータ検出器214は、双方向通信を行う。双方向通信により、検出されたパラメータを遠隔制御装置208からパラメータ検出器214に送信することが可能になるだけでなく、パラメータ検出器214が、情報を受信したことをアクノリッジし、テストが完了したことなどを遠隔制御装置208に通知し、次のテストなどに備えることが可能になる。パラメータ検出器214は、短時間(例えば数秒)で自動的にテストを実行することができるので、このプロセスは、テストを受信し、検出されたパラメータが合格したときに、遠隔制御装置208にアクノリッジさせることによって、さらに高速化することができる。遠隔制御装置208が、次が何のテストであるかなどについてアプリオリな知識を有している(例えば、さらに良好に準備することができる、または光センサから音声センサに切り替えるなど、別のセンサに切り替えることができる)場合にも、速さおよび精度を高めることができる。パラメータ検出器214は、検出されたパラメータを受信したら、この検出されたパラメータを、パラメータ比較器210に送ることができる。パラメータ検出器214は、全てのテストが完了するまで待機した後で、検出されたパラメータをパラメータ比較器210に送ることもできる。パラメータ検出器214は、較正テストを開始して、遠隔制御装置208をテスト・モードにすることもできる。
【0019】
パラメータ比較器210は、コンテンツ・パラメータ解析器212からの所望のパラメータを、パラメータ検出器214からの検出されたパラメータと比較する。パラメータ比較器210は、所望のパラメータが、ディスプレイ206および関連機器(例えば音声機器)の検出された性能の範囲内であるかどうかを調べる。例えば、コンテンツ204の所望の輝度レベルがディスプレイ206の輝度クリッピング・レベルより高い場合には、パラメータ比較器210は、所望の輝度レベルを低下させて、ディスプレイ206の低い性能に適合するようにする。同様に、検出されたパラメータが、ディスプレイ206においてインタレース解除が行われていることを示す場合には、パラメータ比較器210は、所望のインタレース解除パラメータをOFFに設定して、コンテンツ204の2重のインタレース解除(例えば提示装置によるインタレース解除の後で、ディスプレイで再度信号がインタレース解除される)を回避する。パラメータ比較器210は、2重の鮮鋭化処理と他の2重のプロセスの適用を回避することもできる。ここでのプロセスはコンテンツを改善するためのものであるがコンテンツに2回以上適用されるようには意図されていないプロセスである。同様に、インタレース解除がディスプレイ206で実施されていないことが検出された場合には、コンテンツ信号をディスプレイ206に送信する前に、追加のインタレース解除プロセスを適用することもできる。この例では、パラメータ比較器210は、表示発生器216および音声発生器218を介してコンテンツの出力信号を調節することによって、ディスプレイ206に対するコンテンツ出力信号を制御する。
【0020】
予想されるであろうが、特に何百万ドルもする機器を用いて作成されたコンテンツの場合には、ユーザの家庭の機器が、元々の作者が意図した通りにコンテンツを正確に再現することができないこともある。しかし、ユーザが、何を変更すればよいかを知ってさえいれば、視聴体験の忠実性を高める助けとなる調節を自分の機器に対して行うことができる可能性もある。このような場合には、パラメータ比較器210は、視聴者に対して、彼らの視聴体験をさらに向上させるための提案を与えることができる。例えば、所望の黒レベルがディスプレイの検出された黒レベルより高い場合には、パラメータ比較器210は、再生性能を高くするには、彼らのディスプレイの黒レベルを上げればよいという提案を、視聴者に対して送信することができる。これにより、ほとんどのパラメータが相互に絡み合っている(1つのパラメータを調節すると通常は別の1つまたは複数のパラメータに影響が及ぶ。)ので、ユーザ側から見たプロセスは大幅に簡略化される。従って、この提案は、黒レベルを上げ、そしてその後で較正プロセスを再実行するものとすることができ、この場合、パラメータ比較器210は、関係するパラメータを変更して、ユーザとそれ以上対話することなく、再生性能レベルをさらに高めることができる。
【0021】
上記に示し、説明した例示的なシステムに鑑みて、実施形態に従って実施することができる方法は、図3から図4のフロー図を参照すればよりよく理解されるであろう。説明をわかりやすくするために、これらの方法を一連のブロックとして示し、説明するが、これらの実施形態は、当該のブロックの順序に限定されるわけではなく、実施形態に従って、一部のブロックが本明細書に示し、説明する順序とは異なる順序で起こる、且つ/または他のブロックと同時に起こってもよいことを理解および認識されたい。さらに、実施形態による方法を実施するために、図示した全てのブロックが必ずしも必要であるわけでもない。
【0022】
図3を見ると、一実施形態の1つの態様による自動的にコンテンツを較正する方法300のフロー図が示してある。この方法は、ステップ302で開始され、ステップ304で遠隔制御装置を使用してパラメータの範囲および/または状態を検出する。1方向通信手段および/または双方向通信手段を使用して、遠隔制御装置と通信することができる。ほとんどのディスプレイおよび/または音声装置は、再生能力に限界がある。パラメータの有効な範囲および/または状態(例えばONまたはOFF、高いまたは低いなど)を検出することにより、所与の再生装置の組合せでより最適な性能が実現できるようにコンテンツを調節することができる。次いで、ステップ306で所望の自動調節を決定する。再生しようとするコンテンツは、望ましいパラメータを決定するために解析することができる。コンテンツによっては、直接使用することができる情報を含むが、コンテンツによっては、最良のコンテンツ視聴体験を得るための適切な設定を決定するために、さらに解析する必要があることもある。全てのパラメータの全範囲および/またはその他のいくつかの最適パラメータ設定を「望ましいパラメータ」とする、デフォルトの「最良の体験」を使用することもできる。次いで、ステップ308で、パラメータは、検出された範囲および/または状態条件の範囲内で自動的に調節される。
【0023】
望ましいパラメータと、検出されたまたは許容可能な調節値とを比較することができる。その後、既に検出されている情報に適合するように望ましいパラメータを調節する。これにより、ユーザが介在することなく、再生装置が設定した制限の範囲内で、最良のコンテンツ視聴体験が可能になる。次いで、ステップ310で所望の自動調節が検出された範囲外および/または必要な状態変化の範囲外にある場合には、パラメータ調節が提案され、ステップ312でこのフローは終了する。ユーザにフィードバックを提供することにより、より良好な視聴体験を得ることができる。フィードバックまたは提案は、再生装置自体および/または情報をユーザに配信するために利用可能なその他の装置を介して(例えばインターネットを介して、手持ち型モバイル装置を介して、リモート・コントロールの画面上で、など)視覚的且つ/あるいは聴覚的に行うことができる。例えば、提案は、「音量を上げてください」というような漠然としたものから、「黒レベルを9上げてください」というような非常に具体的なものまで、様々な提案とすることができる。従って、ユーザが自分のディスプレイ上でこれらのフレーズを見ることが可能であり、且つ/または視聴体験に関連する音声再生装置によってこれらのフレーズをアナウンスされることが可能である。音声による提案および視覚的な提案の両方を組み合わせて行うこともできる。
【0024】
図4を参照すると、一実施形態の1つの態様による自動的にコンテンツを較正する方法400の別のフロー図が示してある。一例では、遠隔制御装置と連動したセット・トップ・ボックスなどの提示装置において、以下の方法を使用することができる。提示装置と遠隔制御装置の間の通信は、例えばZigbee(登録商標) RF(無線周波数)接続など、提示装置との間でのハンドシェーキングおよびデータの転送を可能にする双方向通信とすることができる。1つのシナリオでは、較正シーケンスが開始され、以下の方法400が実施されるときには遠隔制御装置がディスプレイの近傍に保たれる。これにより、例えば提示装置がコンテンツ出力信号を調節するために使用することができる検出されたパラメータを取得することが可能になる。いくつかの例では、以下の方法400の開始時にフォーカス・チェックを実行して、確実に遠隔制御装置がテストを適切に実行できる近さにあるようにすることができる。次いで、指示(聴覚的な指示および/または視覚的な指示)を使用して、遠隔制御装置のディスプレイからの近さを調節するようにユーザに通知することができる(例えば「装置を画面に近づけてください」または「装置を画面から離してください」など)。
【0025】
方法400は、ステップ402で開始し、ステップ404で最大輝度レベル信号をディスプレイに出力する。最大輝度レベル信号を送信するが、ディスプレイ装置は、全輝度を表示することができないこともある。輝度レベルは、「白レベル」としても知られている。次いで、ステップ406で変化が検出されるまで輝度を低下させる。ここで検出されたレベルが、当該ディスプレイの最大白レベルとして使用され、これによって出力信号レベルを白(輝度)レベルがクリッピングされる範囲の外に設定することが可能となり、また、これを使用して所要の輝度出力レベルを較正することができる。次いで、ステップ408で最大黒レベル信号をディスプレイに出力する。黒レベルは、「コントラスト」としても知られ、ディスプレイの暗さを調節するために使用される。次いで、ステップ410で変化が検出されるまで黒レベルを上げる。ここで検出されたレベルが、当該ディスプレイの最大黒レベルとして使用され、これによって出力信号レベルを黒レベルがクリッピングされる範囲の外に設定することが可能となり、また、これを使用して、ディスプレイのコントラスト設定を較正することもできる。
【0026】
次いで、ステップ412で同様のプロセスを使用して、赤/緑/青(RGB)の各色の最大レベルを検出する。すなわち、最大レベル、例えば最大緑レベル信号をディスプレイに送信し、変化が検出されるまで低下させる。次いで、ステップ414で同様のプロセスを使用して、赤/緑/青(RGB)の各色の最低レベルを検出する。すなわち、最低レベル、例えば最低緑レベル信号をディスプレイに送信し、変化が検出されるまで上昇させる。次いで、ステップ416で約10%刻みでRGBを測定する。これで、提示装置は、当該ディスプレイの検出された最低信号レベルと検出された最大信号レベルの間で、赤、緑および青の約10%の変化を測定することができる。その他の刻み(例えば1%、25%など)を使用することもできることは、当業者なら理解できるであろう。刻み(%)が小さくなるほど、解像度は高くなるが、テストを完了するのに要する時間が長くなることは明らかである。同様に、刻み(%)をさらに大きくすれば、さらに短時間でテストを行うことができるが、解像度は低くなる。これらの検出された信号レベルを使用して、ディスプレイのガンマ、すなわち出力レベルを線形化するために使用される非線形曲線を計算する。
【0027】
次いで、ステップ418でシャープネスの検出のために、約50%のグレー・ライン信号を出力する。一様な(solid)約50%のグレー・ライン信号は、通常は、白色の背景上に表示される。ディスプレイのコンテンツ信号の出力経路が鮮鋭化フィルタを有していない場合には、約50%のグレー・ライン信号だけが検出される。ディスプレイのコンテンツ信号の出力経路が鮮鋭化フィルタを有している場合には、白色とグレーの間に暗い線が検出される。この検出は、鮮鋭化フィルタが提示装置とディスプレイの両方で使用されないようことを確実にするために使用される。映像信号に対して鮮鋭化処理を2度行うとアーティファクトが生じる。例えば、鮮鋭化処理では、通常、「リング」が生じる。グレー・ラインが暗くなり、その両側のピクセル幅の線上の白色は明るくなり、知覚されるシャープネスが高くなる。鮮鋭化処理を2度行うと、リングの数が増え、細部が失われることになる。鮮鋭化処理を2度行うと、同じステップを3本の異なる線全て(元々のグレーの線が1本と、それより明るい白色の線が2本)に対して行うことになり、新たに5本の線になるからである。
【0028】
次いで、ステップ420でインタレースされたコンテンツを出力して、インタレース解除を検出する。通常は、立体の物体のインタレース画像は、ディスプレイ上で右から左に移動される。インタレース信号が細い水平方向の線とともにこれらの線の先端部に沿って表示された場合には、その表示はインタレース解除したコンテンツではない。入力コンテンツがインタレースされているときには、提示装置は、インタレース解除処理を実行するように自身を設定することができる。これにより、提示装置は、2つの異なるインタレース解除フィルタを通してコンテンツを実行することを、回避することができる。この2つの異なるインタレース解除フィルタを通してコンテンツを実行すると、コンテンツを劣化させ、コンテンツをよりソフト(softer)にする。
【0029】
ステップ422で唇の同期を検出するために白がパルス化されているときには、聴覚的信号とともに白パルスおよび黒パルスを出力する。通常は、白パルスの瞬間に、ディスプレイと連動する音声再生装置で、高周波数チャープを再生することができる。これにより、ディスプレイおよびディスプレイと連動する再生システムの唇の同期の較正が容易になる。コンテンツ素材の音声および映像は、異なる装置で再生されることが多い。一般に、音声装置および映像装置は両方とも、音声と映像を同期させるためのユーザがプログラムできる遅延を用いて構築される。この遅延を検出することにより、提示装置は、そのコンテンツ出力信号の遅延を補償することができる。次いで、ステップ424で、ピンク・ノイズ信号を出力して可聴周波数範囲を検出し、ステップ426でこのフローを終了する。ピンク・ノイズ音声は、ディスプレイと連動する音声再生装置のイコライザーの平坦性を検出するのに役立つ。全ての周波数が一度に再生され、次いで、高速フーリエ変換を使用して、全ての音声周波数に亘って応答の平坦性を検出する。次いで、提示装置は、検出した信号を使用してコンテンツ出力信号を補償して、さらに平坦な音声信号応答を生成する。
【0030】
視聴体験を向上させるためには、方法400の上記のステップを必ずしも全て完了する必要はないことは、当業者なら理解できるであろう。これらのステップは、単独で、部分的に、且つ/または一斉に実行することができ、一部のステップは、その性質上、最適な結果を得るために反復することができる。最適な結果を得るために、個々のテストを反復し、且つ/または複数のテストからなる完全なサイクルを反復することができる。一部のステップはその性質上連続して行われるが、他のステップは並行して実行することができることは理解できるであろう。例えば、ディスプレイの画面の映像再生をテストしている間に、ほぼ同時に、音声信号の音声再生をテストすることができる。同様に、映像テストに使用されるテスト・パターンを組み合わせて、複数の映像パラメータを一度にテストすることもできる。
【0031】
上記およびその他の方法で得られる検出された信号レベルにより、提示装置は、ユーザが自分の再生機器に設定を入力する方法を詳しく知っていなくても、ユーザのコンテンツ視聴体験を改善することができる。また、本明細書に記載した例では、ユーザに対して提案を伝送して、コンテンツ視聴体験をさらに改善するための調節をユーザが行うことを可能にしている。これらのタイプの提案としては、黒レベルの調節、輝度レベルの調節、音声イコライゼーションなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。こうした調節により、所与のコンテンツにより良好に適した、パラメータのより良好な範囲を見込むことができる。
【0032】
上記の実施形態のシステムおよび/または方法は、コンテンツの視聴を容易にするコンピュータのコンポーネントでも、コンピュータと関係のないコンポーネントでも、同じように利用することができることを理解されたい。一部のコンテンツ視聴および/またはコンテンツ処理は、完全に、且つ/または部分的に、ソフトウェアで実施することができる。さらに、上記の実施形態のシステムおよび/または方法は、コンピュータ、セット・トップ・ボックスおよび/または携帯型電子装置など(ただしこれらに限定されない)を含む広範なエレクトロニクス関連技術で利用可能であることを、当業者なら理解するであろう。
【0033】
いくつかの実施形態のいくつかの例について上述した。もちろん、これらの実施形態を説明するために考えられる全てのコンポーネントまたは方法の組合せを記載することは不可能であるが、当業者なら、上記の実施形態のさらに別の数多くの組合せおよび入替えが可能であることを理解できるであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲に含まれるこのような全ての改変形態、修正形態、変形形態を包含するものである。さらに、詳細な説明または特許請求の範囲において「含む(includes)」という用語を用いる限りにおいては、この用語は、「備える(comprising)」という用語を請求項において移行語(transitional word)として利用したときの「備える(comprising)」の解釈と同様、包含的であることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのテスト信号をディスプレイに送信し、前記ディスプレイの近傍の遠隔制御装置208から少なくとも1つの検出されたディスプレイ・パラメータを受信するパラメータ検出器214(102、202)と、
前記ディスプレイに送信するコンテンツから少なくとも1つのコンテンツ・パラメータを取り出すコンテンツ・パラメータ解析器212(102、202)と、
前記検出されたディスプレイ・パラメータと前記コンテンツ・パラメータを比較して、前記コンテンツ・パラメータに基づいて、ただし前記検出されたディスプレイ・パラメータに従って、発信コンテンツ信号を調節するパラメータ比較器210(102、202)と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記パラメータ比較器が、前記コンテンツ・パラメータが前記検出されたディスプレイ・パラメータよりも大きいときに、少なくとも1つの提案されたディスプレイ・パラメータ調節を提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記提案されたディスプレイ・パラメータ調節が、映像信号および音声信号の少なくとも一方として伝送される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記パラメータ検出器が、ユーザの要求に応じて前記テスト信号を開始する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムを利用する、セット・トップ・ボックス。
【請求項6】
前記遠隔制御装置が、ディスプレイ画面のごく近傍に保たれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記パラメータ検出器が、前記遠隔制御装置と双方向通信を行う、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記パラメータ検出器が、促されたときに一連のテスト信号を自動的に開始する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記パラメータ検出器が、後続のテスト信号を送信する前に、前記遠隔制御装置からのパラメータを検出したことを確認する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記テスト信号が、輝度レベル関連信号、黒レベル関連信号、色関連信号、シャープネス関連信号、インタレース解除関連信号、唇同期関連信号、および音声周波数範囲関連信号のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1つのパラメータ・テスト信号をディスプレイに送信するステップ(304)と、
前記ディスプレイの近傍の遠隔制御装置から少なくとも1つの検出されたディスプレイ・パラメータを受信するステップ(304)と、
前記ディスプレイに送信するコンテンツから少なくとも1つのコンテンツ・パラメータを取り出すステップ(306)と、
前記検出されたディスプレイ・パラメータを前記コンテンツ・パラメータと比較するステップ(308)と、
前記コンテンツ・パラメータに基づいて、ただし前記検出されたディスプレイ・パラメータに従って、発信コンテンツ信号を調節するステップ(308)と、
を含む、方法。
【請求項12】
前記コンテンツ・パラメータが前記検出されたディスプレイ・パラメータと両立しない場合に、少なくとも1つのディスプレイ・パラメータ調節を提案するステップ(310)をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
提案されたディスプレイ・パラメータ調節を、映像信号および音声信号の少なくとも一方として伝送するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ユーザの要求に応じて前記テスト信号を開始するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法を利用する、セット・トップ・ボックス。
【請求項16】
前記遠隔制御装置をディスプレイ画面のごく近傍に位置させるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記遠隔制御装置との双方向通信を用いてパラメータ情報を伝送するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
促されたときに一連のテスト信号を自動的に開始するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
後続のテスト信号を送信する前に、前記遠隔制御装置からのパラメータを検出したことを確認するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
輝度レベル関連信号、黒レベル関連信号、色関連信号、シャープネス関連信号、インタレース解除関連信号、唇同期関連信号、および音声周波数範囲関連信号のうちの少なくとも1つを含むテスト信号を伝送するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1つのパラメータ・テスト信号をディスプレイに送信する手段(102、202、214)と、
前記ディスプレイの近傍の遠隔制御装置から少なくとも1つの検出されたディスプレイ・パラメータを受信する手段(102、202、214)と、
前記ディスプレイに送信するコンテンツから少なくとも1つのコンテンツ・パラメータを取り出す手段(102、202、212)と、
前記検出されたディスプレイ・パラメータを前記コンテンツ・パラメータと比較する手段(102、202、210)と、
前記コンテンツ・パラメータに基づいて、ただし前記検出されたディスプレイ・パラメータに従って、発信コンテンツ信号を調節する手段(102、202、210)と、
を備える、システム。
【請求項22】
請求項1に記載のシステムの、コンピュータ実行可能なコンポーネントを記憶した、コンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−513129(P2013−513129A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541978(P2012−541978)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/006337
【国際公開番号】WO2011/068490
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】