説明

ホールド回路

【課題】 低消費電力化が可能なホールド回路を提供する。
【解決方法】 ピークホールド回路2では、信号保持用のコンデンサ10の一方の電極と入力端子20の間に、スイッチ回路4が形成されている。スイッチ回路4は絶縁ゲート型トランジスタ5を備えており、ゲート電極5cが切換回路15に接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ5は切換回路15によって制御され、出力電圧Voutのピーク電圧を保持する際に絶縁ゲート型トランジスタ5を遮断する。コンデンサ10に蓄えられた電荷が変動することなく、出力電圧Voutのピーク電圧が保持される。また、切換回路15はリセット端子19に接続されており、出力電圧Voutをリセットする際に、絶縁ゲート型トランジスタ5を遮断する。入力端子20からGNDへと貫通電流が流れることがない。消費電力が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リセット機能を備えたホールド回路に関する。
【背景技術】
【0002】
経時的に変化するアナログ電圧を入力し、そのアナログ電圧の最大電圧または最小電圧を保持するホールド回路が知られている。この種のホールド回路は、次回の測定に備えて保持している電圧をリセットする回路を内蔵している。この種のホールド回路には、リセット後に生じた最大電圧(以後、ピーク電圧という)を保持するピークホールド回路や、リセット後に生じた最小電圧(以後、ボトム電圧という)を保持するボトムホールド回路が知られている。
【0003】
図11に、非特許文献1に記載されているピークホールド回路902を示す。ピークホールド回路902は、経時的に変化するアナログ電圧を入力し、リセット後の最大電圧を保持する。
ピークホールド回路902は、アナログ電圧を入力する入力端子P1と、保持している電圧を出力する出力端子P2と、基準電圧(この場合は接地電圧)に接続する基準電圧端子P3と、リセット信号Reを入力するリセット端子P4を備えている。また、スイッチ回路S1と、切換回路OP2と、コンデンサCと、リセット回路S2と、インピーダンス変換回路OP1を備えている。
ピークホールド回路902では、入力端子P1とスイッチ回路S1とコンデンサCと基準電圧端子P3が、その順序で直列に接続されている。
切換回路OP2は、入力端子P1と出力端子P2とスイッチ回路S1とに接続されており、入力端子P1の電圧と出力端子P2の電圧の高低の関係が逆転する時にスイッチ回路S1のオン・オフを切換える。すなわち、切換回路OP2の反転入力端子b1は入力端子P1に接続されており、非反転入力端子b2は出力端子P2に接続されている。切換回路OP2の出力端子b3は、スイッチ回路S1に接続されている。ピークホールド回路902では、入力端子P1の電圧が出力端子P2の電圧よりも高い間はスイッチ回路S1をオンし、入力端子P1の電圧が出力端子P2の電圧よりも低い間はスイッチ回路S1をオフする。なお、ボトム電圧を保持する回路の場合は、入力端子P1の電圧が出力端子P2の電圧よりも低い間はスイッチ回路S1をオンし、入力端子P1の電圧が出力端子P2の電圧よりも高い間はスイッチ回路S1をオフする切換回路を用いる。
ピークホールド回路902のリセット回路S2は、コンデンサCと並列に接続されている。リセット端子P4にリセット信号Reが入力した時に、コンデンサCに帯電している電荷を放電させる。
インピーダンス変換回路OP1は、スイッチ回路S1とコンデンサCとの接続点P5と出力端子P2の間に接続されており、出力端子P2の電圧を接続点P5の電圧に等しく維持する。すなわち、インピーダンス変換回路OP1の非反転入力端子a2は、接続点P5に接続されており、反転入力端子a1は出力端子a3と接続されており、ボルテージフォロワ回路を形成している。
【0004】
ピークホールド回路902を利用する場合、電圧を保持している間はローであり、保持している電圧をリセットする時にハイに変化するリセット信号Reをリセット端子P4に入力する。すなわち、リセット信号Reがタイミングt1でハイに変化するとリセット回路S2がオンとなってコンデンサCに帯電していた電荷が放電される。この結果、コンデンサCに保持されていた電圧がリセットされる。リセット信号Reがタイミングt2でローに変化すると、リセット回路S2がオフとなってコンデンサCが充電されはじめる。コンデンサCは、接続点P5の電圧に一致するまで充電される。
ピークホールド回路902では、入力端子P1に入力している入力電圧Vinと、出力端子P2が出力している出力電圧Voutが、切換回路OP2で比較され、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも高い間は、スイッチ回路S1が導通する。入力電圧Vinが上昇している間はスイッチ回路S1が導通し、入力電圧Vinの上昇に追従してコンデンサCの電極間の電圧が上昇する。この電圧がインピーダンス変換回路OP1を介して出力端子P2へ出力され、出力電圧Voutが上昇する。入力電圧Vinが上昇している間は、それに追従して出力電圧Voutが上昇する。
入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも低くなると、スイッチ回路S1がオフする。入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも低い間は、スイッチ回路S1がオフする。入力電圧Vinが下降している間はスイッチ回路S1がオフするために、コンデンサCの電圧は低下しない。
以上の動作によって、コンデンサCの電圧は、リセット後に入力端子P1に入力した入力電圧Vinのうちの最大電圧に等しくなる。リセット後の最大電圧がコンデンサCに保持される。この結果、リセット後に入力端子P1に入力した入力電圧Vinのうちの最大電圧が、出力端子P2から出力される。
リセット端子P4に再びリセット信号Reを入力することによって、上記の動作が繰返される。
【0005】
【非特許文献1】電装技術会会報, pp26-32, Vol.39, No.2, 1995
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図11に示すピークホールド回路902では、リセットの際にリセット回路S2をオンする。リセット回路S2がオンするとコンデンサCが放電し、接続点P5の電圧が低下し、出力端子P2の電圧が低下する。出力端子P2の電圧が低下して入力端子P1の電圧よりも低下すると、スイッチ回路S1がオンする。すなわち、ピークホールド回路902では、リセットの際に、スイッチ回路S1とリセット回路S2の両者が同時にオンする現象が生じる。スイッチ回路S1とリセット回路S2の両者が同時にオンすると、入力端子P1から基準電圧端子P3(この場合は接地点)へ電流が流れる。これを貫通電流という。
ピークホールド回路902に貫通電流が流れると、ピークホールド回路902で消費される電力が増大してしまう。ピークホールド回路902の消費電力を抑制するためには、リセットの際に流れる貫通電流を抑制する技術が必要とされている。
なお上記の説明では、ピークホールド回路を例にして説明したが、ボトムホールド回路でも同様の問題が存在する。また、トランジスタに代えてダイオードを利用してスイッチ回路S1を構成しても、同様の問題が発生する。
【0007】
本発明は上記の課題を解決する。すなわち本発明は、リセットの際にホールド回路(最大電圧保持回路または最小電圧保持回路)に貫通電流が流れるのを抑制することが可能なホールド回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のホールド回路は、経時的に変化するアナログ電圧を入力し、リセット後の最大電圧または最小電圧を保持する。
本発明のホールド回路は、アナログ電圧を入力する入力端子と、保持している電圧を出力する出力端子と、基準電圧に接続する基準電圧端子と、リセット信号を入力するリセット端子を備えている。その他に、スイッチ回路と、切換回路と、コンデンサと、リセット回路と、インピーダンス変換回路を備えている。
入力端子とスイッチ回路とコンデンサと基準電圧端子は、その順序で直列に接続されている。
切換回路は、入力端子と出力端子とスイッチ回路に接続されており、入力端子の電圧と出力端子の電圧の高低の関係が逆転する時にスイッチ回路のオン・オフを切換える。最大電圧を保持して出力する場合は、入力端子の電圧が出力端子の電圧よりも高い間はスイッチ回路を導通させる切換回路を用いる。最小電圧を保持して出力する場合は、入力端子の電圧が出力端子の電圧よりも低い間はスイッチ回路を導通させる切換回路を用いる。
リセット回路は、コンデンサと並列に接続されており、リセット端子にリセット信号が入力した時にコンデンサに帯電している電荷を放電する。
インピーダンス変換回路は、スイッチ回路とコンデンサとの接続点と出力端子の間に接続されており、出力端子の電圧を接続点の電圧に等しく維持する。
本発明のホールド回路の切換回路は、リセット端子にも接続されており、リセット端子にリセット信号が入力した時にスイッチ回路をオフに切換る。
【0009】
本発明のホールド回路では、スイッチ回路が以下のように動作する。最初に、入力端子の電圧が出力端子の電圧よりも高い間はスイッチ回路を導通させる切換回路を用い、リセット後の最大電圧を保持して出力する場合を説明する。
(1)入力電圧がコンデンサ電圧を超えて上昇している間は、入力電圧の上昇に追従してコンデンサ電圧が上昇する。最大電圧が上昇するのに追従してコンデンサ電圧が上昇する。
(2)入力電圧が低下するとスイッチ回路がオフする。コンデンサ電圧は最大電圧に保持される。
(3)リセット回路がコンデンサに帯電している電荷を放電する際には、スイッチ回路をオフとし、入力端子とリセット回路間をオフとする。
前記(3)の動作によって、リセット回路が導通してもスイッチ回路が遮断しているために、貫通電流が流れることがない。
【0010】
次に、入力端子の電圧が出力端子の電圧よりも低い間はスイッチ回路を導通させる切換回路を用い、リセット後の最小電圧を保持して出力する場合を説明する。
(1)入力電圧がコンデンサ電圧よりも下降している間は、入力電圧の下降に追従してコンデンサ電圧が下降する。最小電圧が下降するのに追従してコンデンサ電圧が下降する。
(2)入力電圧が上昇するとスイッチ回路がオフする。コンデンサ電圧は最小電圧に保持される。
(3)リセット回路がコンデンサを充電している電荷を放電する際には、スイッチ回路をオフとし、入力端子とリセット回路間をオフとする。
前記(3)の動作によって、リセット回路が導通してもスイッチ回路が遮断しているために、貫通電流が流れることがない。
【0011】
本発明のホールド回路によると、リセット回路がコンデンサに帯電していた電荷を放電してリセットする際にはスイッチ回路をオフし、入力端子とスイッチ回路とリセット回路と基準電圧端子の直列回路が閉じないようにする。そのために、リセットの際に入力端子から基準電圧端子に貫通電流が流れることがない。貫通電流が流れるのを抑制することができ、ホールド回路の消費電力を抑えることができる。
【0012】
一つの具体的態様では、コンパレータ回路と論理回路によって、切換回路を構成する。この場合、コンパレータ回路の一方の入力端子を入力端子に接続し、コンパレータ回路の他方の入力端子を出力端子に接続し、コンパレータ回路の出力端子を論理回路の一方の入力端子に接続する。また、論理回路の他方の入力端子をリセット端子に接続し、論理回路の出力端子をスイッチ回路に接続する。
コンパレータ回路と論理回路で切換回路を構成すると、最大電圧(または最小電圧)を保持する動作と、リセット時に貫通電流が流れるのを抑制する動作を両立させることができる。
【0013】
最初に、最大電圧を保持する場合を説明する。この場合には、コンパレータによって入力電圧と出力電圧を比較する。その比較結果とリセット信号が論理回路に入力されることから、(4)入力電圧が出力電圧よりも低い、あるいは、(5)リセット信号が入力しているかのいずれかが成立しているときに、スイッチ回路をオフする。前記(4)によって最大電圧が保持され、前記(5)によってリセット時に貫通電流が流れるのを抑制することができる。
次に、最小電圧を保持する場合を説明する。この場合には、コンパレータによって入力電圧と出力電圧を比較する。その比較結果とリセット信号が論理回路に入力されることから、(6)入力電圧が出力電圧よりも高い、あるいは、(7)リセット信号が入力しているかのいずれかが成立しているときに、スイッチ回路をオフする。前記(6)によって最小電圧が保持され、前記(7)によってリセット時に貫通電流が流れるのを抑制することができる。
論理回路は、上記(4)と(5)、あるいは(6)と(7)を実現する任意の論理回路でよく、コンパレータ出力のハイ・ローの態様と、リセット信号のハイ・ローの態様によって、適宜変更される。
【0014】
一方の主電極が接続点(スイッチ回路とコンデンサの接続点)に接続されている絶縁ゲート型トランジスタによってスイッチ回路を構成する場合には、その絶縁ゲート型トランジスタのウェル領域を出力端子に接続することが好ましい。
絶縁ゲート型トランジスタでは、主電極に直接的に接するコンタクト領域の導電型と、その周辺を取り囲むウェル領域の導電型が相違しており、コンタクト領域とウェル領域の間に寄生ダイオードが形成されている。コンタクト領域とウェル領域の間に大きな電位差が発生した場合、寄生ダイオードを介して電流が流れる。絶縁ゲート型トランジスタをオフしている間に、コンデンサから寄生ダイオードを介して電荷が流出してしまうと、コンデンサに保持している電圧が変動してしまう。同様に、絶縁ゲート型トランジスタをオフしている間に、寄生ダイオードを介してコンデンサが充電されても、コンデンサに保持している電圧が変動してしまう。いずれの場合も、寄生ダイオードによって、コンデンサに保持している電圧が変動してしまう可能性がある。
絶縁ゲート型トランジスタのウェル領域を出力端子に接続すると、絶縁ゲート型トランジスタのコンタクト領域がコンデンサとの接続点に接続され、ウェル領域が出力端子に接続される。コンタクト領域とウェル領域が同電位に保持される。コンタクト領域とウェル領域の間に電位差が発生しない。従って、コンデンサに充電されている電荷が寄生ダイオードを通して流れることがない。あるいは、寄生ダイオードを通過する電荷がコンデンサを充電することがない。コンデンサで保持している電圧が変動することがなく、コンデンサによってピーク電圧またはボトム電圧を確実に保持することができる。
【0015】
本発明のスイッチ回路は、同一導電型の絶縁ゲート型トランジスタの複数個が直列に接続された多段のトランジスタを有していることが好ましい。この場合、最も接続点(コンデンサとスイッチ回路の接続点、あるいはスイッチ回路とインピーダンス変換回路の接続点)側に配置されている絶縁ゲート型トランジスタのウェル領域が出力端子に接続されており、最も入力端子側に配置されている絶縁ゲート型トランジスタのウェル領域が第2基準電圧に接続されている第2基準電圧端子に接続されていることが好ましい。基準電圧と第2基準電圧は等しい場合もあれば、異なる場合もある。
スイッチ回路の最も接続点側に配置されている絶縁ゲート型トランジスタでは、入力端子側に接続された他方の主電極に直接的に接するコンタクト領域とウェル領域の間に他方の寄生ダイオードが形成されている。この絶縁ゲート型トランジスタにおいて、ウェル領域が出力端子に接続されると、他方の寄生ダイオードのコンタクト領域に入力端子電圧が印加され、他方の寄生ダイオードのウェル領域に出力端子電圧が印加される。入力端子電圧と出力端子電圧の間に他方の寄生ダイオードの順方向電圧となる電圧が印加された場合、他方の寄生ダイオードを介して出力端子から、または出力端子に向かって多量の電流が流れ、出力電圧を安定させることができない。
本発明のスイッチ回路では、最も接続点側に配置されている絶縁ゲート型トランジスタの他方の主電極と入力端子の間に、ウェル領域が第2基準電圧端子に接続された絶縁ゲート型トランジスタが直列接続されている。この絶縁ゲート型トランジスタが接続されていると、入力端子電圧と出力端子電圧によって他方の寄生ダイオードに順方向電圧が印加されることが防止される。これによって、他方の寄生ダイオードを介して多量の電流が流れることが抑制され、出力電圧を安定させることができる。
【0016】
本発明のスイッチ回路が、p型の絶縁ゲート型トランジスタとn型の絶縁ゲート型トランジスタを備えており、p型の絶縁ゲート型トランジスタとn型の絶縁ゲート型トランジスタが、入力端子と接続点との間に並列に接続されていてもよい。上記において、p型の絶縁ゲート型トランジスタは、単数でもよければ、複数個のp型の絶縁ゲート型トランジスタが直列に接続されている多段のp型絶縁ゲート型トランジスタで形成されていてもよい。n型についても同様である。
p型の絶縁ゲート型トランジスタとn型の絶縁ゲート型トランジスタが並列に接続されることによって、p型の絶縁ゲート型トランジスタとn型の絶縁ゲート型トランジスタが同時に動作する相補型のスイッチ回路が構成される。これにより、入力電圧の動作電圧範囲を拡大することができ、動作電圧範囲の広いホールド回路を実現することができる。
【0017】
本発明のリセット回路は、一方の主電極が接続点(コンデンサとインピーダンス変換回路の接続点)に接続されているとともに、他方の主電極が基準電圧端子に接続されている絶縁ゲート型トランジスタを有しており、絶縁ゲート型トランジスタのウェル領域が出力端子に接続されていることが好ましい。
本発明のリセット回路では、絶縁ゲート型トランジスタのウェル領域が出力端子に接続されることで、接続点に接続された主電極とウェル領域の間の寄生ダイオードを通して電流が流れることがない。コンデンサの電極間の電圧が変動することがなく、スイッチ回路を遮断した時の入力電圧を確実に保持することができる。
【0018】
本発明のリセット回路は、同一導電型の絶縁ゲート型トランジスタの複数個が直列に接続された多段のリセット用トランジスタを有していることが好ましい。その場合には、最も接続点(コンデンサとインピーダンス変換回路の接続点)側に配置されているリセット用絶縁ゲート型トランジスタのウェル領域に出力端子が接続されており、最も基準電圧端子側に配置されている絶縁ゲート型トランジスタのウェル領域が、基準電圧端子に接続されていることが好ましい。
リセット回路が上記のように構成されることで、リセット回路の最も接続点側に配置されているリセット用絶縁ゲート型トランジスタにおいて、基準電圧端子側に接続された主電極と出力端子に接続されたウェル領域の間の寄生ダイオードに順方向電圧が印加されることが防止させる。出力端子から、または出力端子に向かって多量の電流が流れることが抑制され、出力電圧を安定させることができる。
【0019】
入力端子の電圧が出力端子の電圧よりも高い間オンするスイッチ回路を用いて最大電圧を保持する場合、リセット回路にn型の絶縁ゲート型トランジスタを用いることが好ましい。
リセット回路にn型の絶縁ゲート型トランジスタを用いると、基準電圧端子を接地電圧に接続した場合でも、基準電圧端子に接続されている絶縁ゲート型トランジスタの他方の主電極とウェル領域の間の寄生ダイオードにリーク電流が流れることが抑制される。そのため、基準電圧端子を接地電圧に接続してリセット回路を用いることができる。接続点の電圧を接地電圧付近までリセットすることができ、広い範囲の最大電圧を保持することが可能となる。
【0020】
入力端子の電圧が出力端子の電圧よりも低い間オンするスイッチ回路を用いて最小電圧を保持する場合、リセット回路にp型の絶縁ゲート型トランジスタを用いることが好ましい。
リセット回路にp型の絶縁ゲート型トランジスタを用いると、基準電圧端子を電源電圧に接続した場合でも、基準電圧端子に接続されている絶縁ゲート型トランジスタの他方の主電極とウェル領域の間の寄生ダイオードにリーク電流が流れることが抑制される。そのため、基準電圧端子を接地電圧に接続してリセット回路を用いることができる。接続点の電圧を電源電圧付近までリセットすることができ、広い範囲の最小電圧を保持することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、リセット回路がコンデンサに保持されている電荷を放電してリセットする際に、貫通電流が流れることを抑制できる。リセット機能を有するホールド回路の消費電力を低下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に説明する実施例の主要な特徴を最初に整理する。
(特徴1)コンパレータ回路の入力端子と出力端子の間に、ローパスフィルタが接続されている。
(特徴2)コンパレータ回路の入力端子の間には、オフセット電圧が印加されている。
【実施例】
【0023】
(第1実施例)
図1に、ピークホールド回路2を示す。ピークホールド回路2は、アナログ電圧を入力する入力端子20と、コンデンサ10に保持している電圧を出力する出力端子22と、接地して用いる基準電圧端子17と、リセット信号Reを入力するリセット端子19と、スイッチ回路4と、切換回路15と、コンデンサ10と、リセット回路12と、ボルテージフォロワ回路(インピーダンス変換回路)8を備えている。
入力端子20と、スイッチ回路4と、コンデンサ10と、基準電圧端子17は、その順序で直列に接続されている。
切換回路15は、入力端子20と出力端子22とスイッチ回路4に接続されており、入力端子20の電圧が出力端子22の電圧よりも高い間はスイッチ回路4をオンとし、入力端子20の電圧が出力端子22の電圧よりも低くなるとスイッチ回路4をオフする。
リセット回路12は、コンデンサ10と並列に接続されており、リセット端子19にリセット信号Reが入力した時に、コンデンサ10に帯電していた電荷を放電する。リセット端子19に入力している電圧は、コンデンサ10に電圧を保持している間はローであり、ハイに切り換わっている間にコンデンサ10に帯電していた電荷を放電する。ここでは、リセット端子19に印加されるハイ電圧をリセット信号Reという。
ボルテージフォロワ回路8は、スイッチ回路4とコンデンサ10との接続点11と出力端子22の間に接続されており、出力端子22の電圧を接続点11の電圧に等しく維持する。ボルテージフォロワ回路8は、接続点11と出力端子22との間の抵抗値を高めている。インピーダンス変換回路の一例である。
ピークホールド回路2の切換回路15は、リセット端子19にも接続されており、リセット端子19にリセット信号Re(コンデンサ10を放電させるハイ電圧)が入力した時に、スイッチ回路4をオフに切換る。
【0024】
スイッチ回路4は、p型の絶縁ゲート型トランジスタ5で構成されている。絶縁ゲート型トランジスタ5の一方の主電極5aは入力端子20に接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ5の他方の主電極5bは、配線6を介して、コンデンサ10の一方の電極と、ボルテージフォロワ回路8の非反転入力端子8bに接続されている。コンデンサ10の他方の電極は、基準電圧端子17に接続されており、基準電圧端子17は接地されて用いられる。
切換回路15は、コンパレータ回路14とOR回路16を備えている。コンパレータ回路14の反転入力端子14aは、入力端子20に接続されている。コンパレータ回路14の非反転入力端子14bは、出力端子22に接続されている。OR回路16の一方の入力端子16aは、コンパレータ回路14の出力端子14cに接続されている。OR回路16の他方の入力端子16bは、リセット端子19に接続されている。OR回路16の出力端子16cは、p型の絶縁ゲート型トランジスタ5のゲート電極5cに接続されている。切換回路15は、OR回路16からゲート電極5cに送る電圧によって、絶縁ゲート型トランジスタ5の主電極5a、5bの間が導通する状態と遮断する状態を切換える。
リセット回路12は、コンデンサ10と並列に接続されており、n型の絶縁ゲート型トランジスタ13を有している。リセット用トランジスタ13の一方の主電極13aは、スイッチ回路4とコンデンサ10とボルテージフォロワ回路8の接続点11に接続されている。リセット用トランジスタ13の他方の主電極13bは、基準電圧端子17に接続されており、接地されている。
リセット端子19は、リセット用トランジスタ13のゲート電極13cと、OR回路16の入力端子16bに接続されている。リセット端子19にハイ電圧が印加されると、リセット用トランジスタ13が導通し、コンデンサ10に帯電していた電荷が放電する。
ボルテージフォロワ回路8の非反転入力端子8bは、スイッチ回路4とコンデンサ10の接続点11に接続されている。反転入力端子8aは、出力端子8cに接続されている。ボルテージフォロワ回路8は、出力端子8cの電圧を非反転入力端子8bの電圧に一致させる。出力端子8cと非反転入力端子8bの間は高抵抗であり、実質的に絶縁している。出力端子8cに電流が流れても、非反転入力端子8bの電圧が低下することはなく、コンデンサ10が放電することもない。
ボルテージフォロワ回路8の出力端子8cは、反転入力端子8aと、コンパレータ回路14に接続されている。
【0025】
ピークホールド回路2では、コンパレータ回路14によって、入力端子20に入力している入力電圧Vinと、出力端子22から出力される出力電圧Voutを比較する。入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも高い場合には、コンパレータ回路14の出力端子14cからOR回路16の入力端子16aにロー電圧が印加される。リセット端子19にリセット信号(ハイ電圧)Reが入力していなければ、OR回路16の入力端子16bにはロー電圧が印加している。このため、OR回路16の出力端子16cからスイッチ回路4のゲート電極5cに、ロー電圧が印加される。これによって、p型の絶縁ゲート型トランジスタ5の主電極5aと5bの間が導通する。コンデンサ10に電荷が蓄えられ、コンデンサ10の電極間の電圧が上昇し、入力電圧Vinに等しくなる。入力電圧Vinが増大すれば、コンデンサ10の電極間の電圧も増大し、それに追従して出力電圧Voutも上昇する。
【0026】
入力電圧Vinが低下すると、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも低くなる。入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも低くなると、コンパレータ回路14の出力端子14cからOR回路16の入力端子16aにハイ電圧が印加される。これに伴って、OR回路16の出力端子16cからゲート電極5cにハイ電圧が印加される。これによって、スイッチ回路4の主電極5aと5bの間が非導通となり、スイッチ回路4が遮断する。コンデンサ10に蓄えられた電荷がスイッチ回路4を介して入力端子20にリークすることがない。コンデンサ10の電極間の電圧を保持することができる。
上記によって、入力電圧Vinが上昇すればそれに追従してコンデンサ10の電圧が上昇する一方、入力電圧Vinが低下してもコンデンサ10の電圧が低下しない現象を得ることができる。コンデンサ10に入力電圧Vinの最大電圧が保持され、それが出力端子22から出力される。
【0027】
コンデンサ10が保持しているピーク電圧をリセットする際には、リセット端子19にハイ電圧が印加される。リセット端子19にハイ電圧が印加されると、リセット用トランジスタ13の主電極13aと13bの間が導通する。すると、コンデンサ10に蓄えられていた電荷が、リセット用トランジスタ13を通してGNDへ放電され、コンデンサ10に保持されていた電圧が初期値にリセットされる。
本実施例のピークホールド回路2では、リセット端子19にリセット信号Reを印加すると、OR回路16の入力端子16bにもリセット信号Reが印加される。これに伴ってOR回路16の出力端子16cからスイッチ回路4のゲート電極5cにハイ電圧が印加される。これによって、スイッチ回路4の主電極5aと5bの間が非導通となり、スイッチ回路4が入力端子20とコンデンサ10の間を遮断する。コンデンサ10に帯電していた電荷を放電してピーク電圧をリセットする際に、入力端子20からGNDへ貫通電流が流れることがない。リセット時に発生する電力消費を抑えることができる。
【0028】
(第2実施例)
本実施例の効果は、ボトムホールド回路にも有効である。
図2に、ボトムホールド回路102を示す。第1実施例との違いは、スイッチ回路104がn型の絶縁ゲート型トランジスタ105を有していることと、リセット回路112がp型の絶縁ゲート型トランジスタ113を備えていることと、切換回路115に論理回路としてAND回路116が接続されていることと、コンデンサ10とリセット回路112の一方の電極が定電圧電源24に接続されていることと、リセット信号Reとしてロー信号が使用されることである。
【0029】
ボトムホールド回路102では、入力電圧Vinを検出する際に、コンパレータ回路14によって、入力電圧Vinと出力電圧Voutを比較する。入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも低い場合には、コンパレータ回路14の出力端子からAND回路116の入力端子にハイ電圧が印加され、AND回路116の出力端子116cからゲート電極105cにハイ電圧が印加される。これによって、n型の絶縁ゲート型トランジスタ105の主電極105aと105bの間が導通し、入力端子20とコンデンサ10が接続される。コンデンサ10の電荷が流出し、コンデンサ10の電極10aの電圧が低下し、出力電圧Voutが低下する。入力電圧Vinが低下すると、それに追従してコンデンサ10の電極10aの電圧が低下し、出力電圧Voutが低下する。
【0030】
入力電圧Vinが上昇に転じると、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも高くなる。すると、コンパレータ回路14の出力端子からAND回路116の入力端子にロー電圧が印加され、AND回路116の出力端子116cからゲート電極105cにロー電圧が印加される。これによって、絶縁ゲート型トランジスタ105の主電極105aと105bの間が非導通となり、入力端子20とコンデンサ10の間が遮断される。このために、入力電圧Vinによってコンデンサ10が充電されることがない。また、コンデンサ10の電荷が放電されることもない。
上記によって、入力電圧Vinが低下すればそれに追従してコンデンサ10の電極10aの電圧が低下する一方、入力電圧Vinが上昇してもコンデンサ10の電圧が上昇しない現象を得ることができる。コンデンサ10に入力電圧Vinの最小電圧が保持され、それが出力端子22から出力される。
【0031】
コンデンサ10が保持しているボトム電圧をリセットする際には、リセット端子19にロー電圧が印加される。リセット端子19にロー電圧が印加されると、リセット用トランジスタ113の主電極113aと113bの間が導通する。すると、コンデンサ10に貯えられていた電荷が、リセット用トランジスタ113を通して放電され、コンデンサ10に保持されていた電圧が初期値にリセットされる。
本実施例のボトムホールド回路102では、リセット端子19にリセット信号Reを印加すると、AND回路116の入力端子116bにもリセット信号Reが印加される。これに伴って、AND回路116の出力端子116cからゲート電極5cにロー電圧が印加される。これによって、スイッチ回路104の主電極105aと105bの間が非導通となり、スイッチ回路104が入力端子20とコンデンサ10の間を遮断する。コンデンサ10に帯電していた電荷を放電してボトム電圧をリセットする際に、定電圧電源24から入力端子20へ貫通電流が流れることがない。リセット時に発生する電力消費を抑えることができる。
【0032】
(第3実施例)
図3に、第3実施例のピークホールド回路202を示す。第1実施例との違いは、スイッチ回路を構成する絶縁ゲート型トランジスタ5のウェル電極5dが配線26を介して出力端子22に接続されていることと、リセット用トランジスタ13のウェル電極13dも配線26を介して出力端子22と接続されていることである。
図4に半導体基板32内に形成された絶縁ゲート型トランジスタ5の断面図を示す。絶縁ゲート型トランジスタ5はp型の絶縁ゲート型トランジスタであり、p型不純物を低濃度に含んだ半導体基板32に形成されている。半導体基板32に、半導体基板32の不純物濃度よりも濃いn型不純物を打ち込むことによって、n型のウェル領域34が形成されている。n型のウェル領域34にウェル領域34の不純物濃度よりも濃いp型不純物を打ち込むことによって、ウェル領域34を介して隔てられているp型の第1コンタクト領域36とp型の第2コンタクト領域38が形成されている。第1コンタクト領域36と第2コンタクト領域38の間のウェル領域34に対向する位置には、絶縁膜42を介して金属膜40が形成されている。ウェル領域34はウェル電極5dに接続されており、配線26を介して出力端子22に接続されている。第1コンタクト領域36は一方の主電極5aに接続されており、入力端子20に接続されている。第2コンタクト領域38は他方の主電極5bに接続されており、配線6を介してボルテージフォロワ回路8の非反転入力端子8bに接続されている。金属膜40はゲート電極5cに接続されており、OR回路16の出力端子16cに接続されている。図4に示すように、絶縁ゲート型トランジスタ5では、異なる導電型の領域の間に寄生ダイオードが形成されている。すなわち、n型のウェル領域34とp型の第1コンタクト領域36の間に、寄生ダイオード46が形成されている。n型のウェル領域34とp型の第2コンタクト領域38の間に、寄生ダイオード48が形成されている。
リセット回路12に形成されたn型の絶縁ゲート型トランジスタ13についても、同様に説明される。絶縁ゲート型トランジスタ13では、p型のウェル電極13dと主電極13a、13bに直接的に接するn型のコンタクト領域の間に寄生ダイオード50、52が形成されている。n型の絶縁ゲート型トランジスタ13については、重複説明となるため、図を用いた説明を省略する。
【0033】
本実施例のピークホールド回路202では、絶縁ゲート型トランジスタ5のウェル電極5dが、配線26を介して出力端子22に接続されている。寄生ダイオード48のアノードに相当する主電極5bは、配線6を介してボルテージフォロワ回路8の非反転入力端子8bに接続されている。寄生ダイオード48のカソードに相当するウェル電極5dは、配線26を介してボルテージフォロワ回路8の出力端子8cに接続される。ボルテージフォロワ回路8は、非反転入力端子8bの電圧と出力端子8cの電圧を等しく維持している。従って寄生ダイオード48のアノード・カソード間に電位差が発生しない。コンデンサ10に充電されている電荷が寄生ダイオード48を通して放電されることがない。コンデンサ10で保持している電荷が変動することがなく、コンデンサ10によって出力電圧Voutのピーク電圧を確実に保持することができる。
【0034】
また、本実施例のピークホールド回路202では、絶縁ゲート型トランジスタ13のウェル電極13dが、配線26によって出力端子22に接続されている。寄生ダイオード50のカソードに相当する主電極13aは、配線6を介してボルテージフォロワ回路8の非反転入力端子8bに接続されている。寄生ダイオード50のアノードに相当するウェル電極13dは、配線26を介してボルテージフォロワ回路8の出力端子8cに接続されている。ボルテージフォロワ回路8は、非反転入力端子8bの電圧と出力端子8cの電圧を等しく維持している。従って寄生ダイオード50の電極間に電位差が発生しない。コンデンサ10に充電されている電荷が寄生ダイオード50を通して放電されることがない。コンデンサ10で保持している電荷が変動することがなく、コンデンサ10によって出力電圧Voutのピーク電圧を確実に保持することができる。
本実施例の効果は、出力電圧Voutのボトム電圧のホールド回路についても有効である。重複説明となるため、説明を省略する。
【0035】
(第4実施例)
図5に、第4実施例のピークホールド回路302を示す。第3実施例との違いは、スイッチ回路304が直列に接続された2つのp型の絶縁ゲート型トランジスタ54、60を有していることと、リセット回路312が直列に接続された2つのn型の絶縁ゲート型トランジスタ66、72を備えていることである。
スイッチ回路304は、絶縁ゲート型トランジスタ54の一方の主電極54aが入力端子20に接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ54のウェル電極54dが第2基準電圧端子317を介して定電圧電源324に接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ54の他方の主電極54bが絶縁ゲート型トランジスタ60の一方の主電極60aと接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ60のウェル電極60dが配線26を介して出力端子22に接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ60の他方の主電極60bが配線6を介してボルテージフォロワ回路8の非反転入力端子8bに接続されている。
絶縁ゲート型トランジスタ54のゲート電極54cはOR回路16の出力端子16cに接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ60のゲート電極60cはコンパレータ回路14の出力端子14cに接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ54のウェル電極54dと主電極54aの間には、寄生ダイオード56が形成されており、ウェル電極54dと主電極54bの間には、寄生ダイオード58が形成されている。絶縁ゲート型トランジスタ60のウェル電極60dと主電極60aの間には、寄生ダイオード62が形成されており、ウェル電極60dと主電極60bの間には、寄生ダイオード64が形成されている。
【0036】
図3に示すように、スイッチ回路4が単一の絶縁ゲート型トランジスタ5を有している場合、寄生ダイオード46を介して出力端子22が入力端子20と接続される。そのため、入力電圧Vinと出力電圧Voutの間に寄生ダイオード46の順方向電圧となる電圧が印加された場合、寄生ダイオード46を介して入力端子20と出力端子22の間に多量の電流が流れる。出力端子22から多量に電流が流出した場合、出力電圧Voutを安定させることができない。
図5に示す本実施例のスイッチ回路304では、絶縁ゲート型トランジスタ60の主電極60aと入力端子20の間に、ウェル電極54dが第2基準電圧端子317に接続された絶縁ゲート型トランジスタ54が直列接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ54のウェル電極54dが第2基準電圧端子317を介して定電圧源324に接続されていると、入力電圧Vinと出力電圧Voutに印加される電圧によって寄生ダイオード62に順方向電圧が印加されることが防止される。これによって、寄生ダイオード62を介して多量の電流が流れることが抑制され、出力電圧Voutを安定させることができる。
【0037】
リセット回路312は、絶縁ゲート型トランジスタ66の一方の主電極66aは配線6を介してボルテージフォロワ回路8の非反転入力端子8bに接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ66のウェル電極66dは配線26を介して出力端子22に接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ66の他方の主電極66bは絶縁ゲート型トランジスタ72の一方の主電極72aと接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ72のウェル電極72dがGNDに接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ72の他方の主電極72bがGNDに接続されている。
絶縁ゲート型トランジスタ66のゲート電極66cと絶縁ゲート型トランジスタ72のゲート電極72cはリセット端子19に接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ66のウェル電極66dと主電極66aの間には、寄生ダイオード68が形成されており、ウェル電極66dと主電極66bの間には、寄生ダイオード70が形成されている。絶縁ゲート型トランジスタ72のウェル電極72dと主電極72aの間には、寄生ダイオード74が形成されており、ウェル電極72dと主電極72bの間には、寄生ダイオード76が形成されている。
【0038】
図3に示すように、リセット回路12が単一の絶縁ゲート型トランジスタ13を有している場合、寄生ダイオード52を介して出力端子22が接地電圧と接続される。そのため、出力電圧Voutに正電圧が印加された場合、寄生ダイオード52を介して出力端子22と接地電圧との間に多量の電流が流れる。出力端子22から多量に電流が流出した場合、出力電圧Voutを安定させることができない。
図5に示す本実施例のリセット回路312では、絶縁ゲート型トランジスタ66の主電極66bと基準電圧端子17の間に、ウェル電極72dが基準電圧端子17に接続された絶縁ゲート型トランジスタ72が直列接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ72のウェル電極72dが基準電圧端子17を介して接地されていると、接地電圧と出力電圧Voutに印加される電圧によって寄生ダイオード70に順方向電圧が印加されることが防止される。これによって、寄生ダイオード70を介して多量の電流が流れることが抑制され、出力電圧Voutを安定させることができる。
【0039】
図5では、ピークホールド回路302のスイッチ回路304がp型の絶縁ゲート型トランジスタで構成されている実施例を示したが、n型の絶縁ゲート型トランジスタで構成されていてもよい。ピークホールド回路302のスイッチ回路304は何れの導電型の絶縁ゲート型トランジスタで構成されていても構わない。
これに対しピークホールド回路302のリセット回路312は、n型の絶縁ゲート型トランジスタで構成されていることが好ましい。n型の絶縁ゲート型トランジスタで構成されていると、基準電圧端子17を接地した場合でも、寄生ダイオード76に順方向電圧が印加され、リーク電流が流れることが抑制される。そのため、基準電圧端子17を接地電圧に接続してリセット回路312を用いることができる。これによって、接続点11の電圧をリセットする際に、接地電圧付近までリセットすることができ、広い範囲の最大電圧を保持することができる。
【0040】
(第5実施例)
図6に、第5実施例のボトムホールド回路402を示す。ボトムホールド回路402のリセット回路412は、p型の絶縁ゲート型トランジスタで構成することが好ましい。ボトムホールド回路402では、スイッチ回路404が直列に接続された2つのn型の絶縁ゲート型トランジスタ454、460を有している。リセット回路412が直列に接続された2つのp型の絶縁ゲート型トランジスタ466、472を備えている。絶縁ゲート型トランジスタ466のウェル電極466dと主電極466aの間には、寄生ダイオード468が形成されており、ウェル電極466dと主電極466bの間には、寄生ダイオード470が形成されている。絶縁ゲート型トランジスタ472のウェル電極472dと主電極472aの間には、寄生ダイオード474が形成されており、ウェル電極472dと主電極472bの間には、寄生ダイオード476が形成されている。
【0041】
図6では、ボトムホールド回路402のスイッチ回路404がn型の絶縁ゲート型トランジスタで構成されている実施例を示したが、p型の絶縁ゲート型トランジスタで構成されていてもよい。ボトムホールド回路402のスイッチ回路404は何れの導電型の絶縁ゲート型トランジスタで構成されていても構わない。
これに対しボトムホールド回路402のリセット回路412は、p型の絶縁ゲート型トランジスタで構成されていることが好ましい。p型の絶縁ゲート型トランジスタで構成されていると、基準電圧端子17を定電圧電源424に接続した場合でも、寄生ダイオード474、476に順方向電圧が印加され、リーク電流が流れることが抑制される。そのため、基準電圧端子17を定電圧電源424に接続してリセット回路412を用いることができる。これによって、リセット回路412を用いて接続点11の電圧をリセットする際に、定電圧電源424付近までリセットすることができ、広い範囲の最小電圧を保持することができる。
【0042】
(第6実施例)
図7に、第6実施例のピークホールド回路502を示す。第6実施例では、スイッチ回路504が、直列に接続された2つのp型の絶縁ゲート型トランジスタ54、60を備えたp型絶縁ゲート型トランジスタ部78と、直列に接続された2つのn型の絶縁ゲート型トランジスタ80、82を備えたn型絶縁ゲート型トランジスタ部84を有している。絶縁ゲート型トランジスタ54のウェル領域が基準電圧端子517aを介して定電圧電源524に接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ80のウェル領域が基準電圧端子517bを介して接地されている。p型絶縁ゲート型トランジスタ部78とn型絶縁ゲート型トランジスタ部84が、入力端子20と配線6の間に並列に接続されている。切換回路515は、p型絶縁ゲート型トランジスタ部78のためにOR回路86と、n型絶縁ゲート型トランジスタ部84のためのNOT回路88とAND回路90を有している。また、コンパレータ回路14の出力端子14cをn型絶縁ゲート型トランジスタ部84とAND回路90に接続する配線に、コンパレータ回路14からの出力を反転させるNOT回路92が接続されている。OR回路86の入力端子86aとNOT回路88の入力端子88aはリセット端子19に接続されており、リセット信号Reが印加される。
なお、図7では、簡略化のために絶縁ゲート型トランジスタ内部の寄生ダイオードの記載を省略する。
本実施例のピークホールド回路502では、p型絶縁ゲート型トランジスタ部78とn型絶縁ゲート型トランジスタ部84が、入力端子20と配線6の間に並列に接続され、入力端子20と配線6の間に相補型のスイッチ回路504が構成される。これにより、入力電圧Vinの動作電圧範囲を拡大することができ、動作電圧範囲の広いピークホールド回路502を実現することができる。
【0043】
(第7実施例)
図8に、第7実施例のボトムホールド回路602を示す。第7実施例では、ボトムホールド回路602が、p型絶縁ゲート型トランジスタ部78とn型絶縁ゲート型トランジスタ部84を備えたスイッチ回路504を有しており、絶縁ゲート型トランジスタ54のウェル領域が基準電圧端子517aを介して定電圧電源524に接続されている。絶縁ゲート型トランジスタ80のウェル領域が基準電圧端子517bを介して接地されている。切換回路615は、p型絶縁ゲート型トランジスタ部78のためのOR回路86とn型絶縁ゲート型トランジスタ部84のためのNOT回路88とAND回路90を有している。また、コンパレータ回路14の出力端子14cをp型絶縁ゲート型トランジスタ部78とOR回路86を接続する配線には、コンパレータ回路14からの出力を反転させるNOT回路692が接続されている。
なお、図8では、簡略化のために絶縁ゲート型トランジスタ内部の寄生ダイオードの記載を省略する。
本実施例のボトムホールド回路602でも、入力端子20と配線6の間に相補型のスイッチ回路504が構成される。これにより、入力電圧Vinの動作電圧範囲を拡大することができ、動作電圧範囲の広いボトムホールド回路602を実現することができる。
【0044】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、ピークホールド回路において、スイッチ回路がp型の絶縁ゲート型トランジスタを用いて形成された実施例とp型とn型の絶縁ゲート型トランジスタの両方を用いて形成された実施例を例示したが、n型の絶縁ゲート型トランジスタを用いて形成されてもよい。n型の絶縁ゲート型トランジスタを用いて形成される場合、第5実施例に従って、論理回路は適宜変更される。同様に、ボトムホールド回路において、スイッチ回路がn型の絶縁ゲート型トランジスタを用いて形成された実施例とp型とn型の絶縁ゲート型トランジスタの両方を用いて形成された実施例をしめしたが、p型の絶縁ゲート型トランジスタを用いて形成されてもよい。p型の絶縁ゲート型トランジスタを用いて形成される場合、第6実施例に従って、論理回路は適宜変更される。
【0045】
また、図9に示すピークホールド回路702と図10に示すボトムホールド回路802のように、コンパレータ回路14の非反転入力端子14bと出力端子22の間に抵抗94とコンデンサ96で構成されたローパスフィルタ98が接続されていてもよい。ローパスフィルタ98が接続されることによって、コンパレータ回路14の非反転入力端子14bに入力される出力電圧の変化を遅延することができる。反転入力端子14aに変化が遅い入力電圧が入力された場合でも、正常にピーク電圧またはボトム電圧を保持することが可能となる。
また、図8のホールド回路では、コンパレータ回路14の非反転入力端子14bに入力される出力電圧が、反転入力端子14aに入力される入力電圧に比べて高くなる方向にオフセットされていてもよい。オフセット電圧が印加されることによって、変化が遅い入力電圧が入力された場合でも、正常にピーク電圧を保持することが可能となる。
また、図9のホールド回路では、コンパレータ回路14の非反転入力端子14bに入力される出力電圧が、反転入力端子14aに入力される入力電圧に比べて低くなる方向にオフセットされていてもよい。オフセット電圧が印加されることによって、変化が遅い入力電圧が入力された場合でも、正常にボトム電圧を保持することが可能となる。
【0046】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1実施例のピークホールド回路2を示す。
【図2】第2実施例のボトムホールド回路102を示す。
【図3】第3実施例のピークホールド回路202を示す。
【図4】半導体基板32に形成されたスイッチ回路4の断面図を示す。
【図5】第4実施例のピークホールド回路302を示す。
【図6】第5実施例のボトムホールド回路402を示す。
【図7】第6実施例のピークホールド回路502を示す。
【図8】第7実施例のボトムホールド回路602を示す。
【図9】第8実施例のピークホールド回路702を示す。
【図10】第9実施例のボトムホールド回路802を示す。
【図11】従来技術のピークホールド回路902を示す。
【符号の説明】
【0048】
2、202、302、502、702、902・・・ピークホールド回路
102、402、602、802・・・ボトムホールド回路
4・・・・・スイッチ回路
5、13・・・絶縁ゲート型トランジスタ
6・・・・・配線
8・・・・・ボルテージフォロワ回路
10・・・・コンデンサ
11・・・・接続点
12・・・・リセット回路
14・・・・コンパレータ回路
15・・・・切換回路
16・・・・OR回路
17・・・・基準電圧端子
19・・・・リセット端子
20・・・・入力端子
22・・・・出力端子
24・・・・定電圧電源
26・・・・配線
32・・・・半導体基板
34・・・・ウェル領域
36・・・・第1コンタクト領域
38・・・・第2コンタクト領域
40・・・・金属膜
42・・・・絶縁膜
46、48、50,52・・・寄生ダイオード
54、60、66、72、80、82・・・絶縁ゲート型トランジスタ
56、58、62、64、68、70、74、76・・・寄生ダイオード
78・・・・p型絶縁ゲート型トランジスタ部
84・・・・n型絶縁ゲート型トランジスタ部
86・・・・OR回路
88、92・・・NOT回路
90・・・・AND回路
94・・・・抵抗
96・・・・コンデンサ
98・・・・ローパスフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経時的に変化するアナログ電圧を入力し、リセット後の最大電圧または最小電圧を保持するホールド回路であり、
そのアナログ電圧を入力する入力端子と、保持している電圧を出力する出力端子と、基準電圧に接続する基準電圧端子と、リセット信号を入力するリセット端子と、スイッチ回路と、切換回路と、コンデンサと、リセット回路と、インピーダンス変換回路を備えており、
前記入力端子と前記スイッチ回路と前記コンデンサと前記基準電圧端子が、その順序で直列に接続されており、
前記切換回路は、前記入力端子と前記出力端子と前記スイッチ回路に接続されており、前記入力端子の電圧と前記出力端子の電圧の高低の関係が逆転する時に前記スイッチ回路のオン・オフを切換え、
前記リセット回路は、前記コンデンサと並列に接続されており、前記リセット端子にリセット信号が入力した時に前記コンデンサに帯電している電荷を放電し、
前記インピーダンス変換回路は、前記スイッチ回路と前記コンデンサとの接続点と前記出力端子の間に接続されており、前記出力端子の電圧を前記接続点の電圧に等しく維持し、
前記切換回路が前記リセット端子にも接続されており、前記リセット端子に前記リセット信号が入力した時に前記スイッチ回路をオフに切換ることを特徴とするホールド回路。
【請求項2】
前記切換回路が、コンパレータ回路と論理回路を備えており、
前記コンパレータ回路の一方の入力端子が前記入力端子に接続されており、
前記コンパレータ回路の他方の入力端子が前記出力端子に接続されており、
前記コンパレータ回路の出力端子が前記論理回路の一方の入力端子に接続されており、
前記論理回路の他方の入力端子が前記リセット端子に接続されており、
前記論理回路の出力端子が前記スイッチ回路に接続されており、前記スイッチ回路のオン・オフを切換えることを特徴とする請求項1のホールド回路。
【請求項3】
前記スイッチ回路が、一方の主電極が前記接続点に接続されている絶縁ゲート型トランジスタを有しており、
その絶縁ゲート型トランジスタのウェル領域が、前記出力端子に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のホールド回路。
【請求項4】
第2の基準電圧に接続する第2基準電圧端子を備えており、
前記スイッチ回路が、同一導電型の絶縁ゲート型トランジスタの複数個が直列に接続された多段トランジスタを有しており、
その多段のトランジスタのうちの最も前記接続点側に配置されている絶縁ゲート型トランジスタのウェル領域が、前記出力端子に接続されており、
前記多段のトランジスタのうちの最も前記入力端子側に配置されている絶縁ゲート型トランジスタのウェル領域が、前記第2基準電圧端子に接続されていることを特徴とする請求項3に記載のホールド回路。
【請求項5】
前記スイッチ回路が、p型の絶縁ゲート型トランジスタとn型の絶縁ゲート型トランジスタを有しており、
前記p型の絶縁ゲート型トランジスタと前記n型の絶縁ゲート型トランジスタが、前記入力端子と前記接続点の間に並列に接続されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のホールド回路。
【請求項6】
前記リセット回路が、一方の主電極が前記接続点に接続されているとともに他方の主電極が前記基準電圧端子に接続されている絶縁ゲート型トランジスタを有しており、
その絶縁ゲート型トランジスタのウェル領域が、前記出力端子に接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のホールド回路。
【請求項7】
前記リセット回路が、同一導電型の絶縁ゲート型トランジスタの複数個が直列に接続された多段のリセット用トランジスタを有しており、
その多段のリセット用トランジスタのうちの最も前記接続点側に配置されている絶縁ゲート型トランジスタのウェル領域が、前記出力端子に接続されており、
前記多段のリセット用トランジスタのうちの最も前記基準電圧端子側に配置されている絶縁ゲート型トランジスタのウェル領域が、基準電圧端子に接続されていることを特徴とする請求項6に記載のホールド回路。
【請求項8】
前記スイッチ回路が、前記入力端子の電圧が前記出力端子の電圧よりも高い間オンし、
前記リセット回路の絶縁ゲート型トランジスタがn型であり、
最大電圧を保持することを特徴とする請求項6又は7に記載のホールド回路。
【請求項9】
前記スイッチ回路が、前記入力端子の電圧が前記出力端子の電圧よりも低い間オンし、
前記リセット回路の絶縁ゲート型トランジスタがp型であり、
最小電圧を保持することを特徴とする請求項6又は7に記載のホールド回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−28215(P2010−28215A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183989(P2008−183989)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】