説明

ホールプラグ

【課題】異なる穴径を許容する範囲を拡大し、部品の統合化を図ることができるホールプラグを提供する。
【解決手段】被取付部材に開口された穴よりも径が大きい頭部20と、この頭部20の略中央から突出させて設けられた脚部30とを備えた、開口を塞ぐためのホールプラグ10であって、脚部30を、頭部20と同軸である中心部31と、この中心部31から径方向に湾曲させて延設された複数の翼部32とで形成し、翼部32を、中心部31と対峙する側の内周壁部33と、この内周壁部33の反対側の外周壁部34と、内周壁部33と外周壁部34とを連接させた先端壁部35とで形成し、先端壁部35を、穴の縁と係合する爪部37と、この爪部37から脚部30の先端に向けて窄ませた傾斜部38とで形成してホールプラグ10を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のパネルなどに開口された穴を塞ぐホールプラグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車のパネルなどに開口された作業穴や塗装抜き穴は、開口される場所によってその穴径、板厚が異なる。このため、作業穴や塗装抜き穴を塞ぐホールプラグの型を各穴径に合わせて起こしていた。したがって、各穴径ごとに異なるホールプラグが存在していた。そこで、下記特許文献1に示すような閉塞栓が提案されている。
【0003】
上記閉塞栓は、底部と、該底部の周囲側から立ち上げられた外周壁と、該外周壁の上縁で放射方向に延設された鍔部と、上記外周壁の外側壁面に設けられパネル穿設孔の周縁に嵌まる係合溝と、上記底部の内部側表面より上方に立ち上げられた押圧部と、上記外周壁と上記底部と上記押圧部との間に形成される管状溝とを備え、上記押圧部の上面が上記鍔部の上面よりも上方に位置するものである。
【0004】
上記した閉塞栓は、押圧部を押圧することで外周壁が内側へ撓み、また、管状溝を設けたことで撓みやすくなり、一度の押圧で穴への装着作業が完了するという効果を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−82467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した閉塞栓においては、以下のような問題がある。
この閉塞栓は、開口された穴へ挿入する際、係合溝が撓むスペース、すなわち、撓みしろがほとんどなく、材料の弾性を利用することで係合溝を撓ませて縮径させ、穴へ圧入していた。このため、異なる穴径を許容する範囲が狭く、例えば、±0.3mm程度の範囲にとどまっていた。また、穴径の最大時と最少時とでの挿入力、抜去力の差が大きかった。
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、撓みしろを広くとることで異なる穴径を許容する範囲を拡大し、部品の統合化を図ることができるホールプラグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、被取付部材に開口された穴よりも径が大きい頭部と、前記頭部の略中央から突出させて設けられた脚部と、を備えた前記開口を塞ぐためのホールプラグであって、前記脚部は、前記頭部と同軸である中心部と、この中心部から径方向に湾曲させて延設された複数の翼部とから形成され、前記翼部は、前記中心部と対峙する側の内周壁部と、この内周壁部の反対側の外周壁部と、前記内周壁部と前記外周壁部とを連接させた先端壁部とから形成され、前記先端壁部は、前記穴の縁と係合する爪部と、この爪部から前記脚部の先端に向けて窄ませた傾斜部とから形成されることを特徴としている。
【0009】
また、前記中心部または前記翼部のいずれか一方は、中空に形成されていることを特徴としている。
【0010】
また、前記外周壁部は、前記先端壁部に向かって徐々に肉薄に形成されていることを特徴としている。
【0011】
また、前記先端壁部は、前記外周壁部および前記内周壁部よりも肉厚に形成されていることを特徴としている。
【0012】
また、前記内周壁部は、ヒンジ部を介して前記中心部から延設され、このヒンジ部は、前記外周壁部、前記内周壁部、前記先端壁部よりも肉薄に形成されていることを特徴としている。
【0013】
また、前記翼部は、前記中心部の周方向に略等間隔に設けられ、前記内周壁部が前記先端壁部へ向かうにつれて前記中心部から離れるように形成されていることを特徴としている。
【0014】
また、前記中心部は、前記翼部の数に応じて略S字形状または略多角形状に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るホールプラグでは、被取付部材に開口された穴よりも径が大きい頭部と、頭部の略中央から突出させて設けられた脚部と、を備えた開口を塞ぐためのホールプラグであって、脚部は、頭部と同軸である中心部と、この中心部から径方向に湾曲させて延設された複数の翼部とから形成され、翼部は、中心部と対峙する側の内周壁部と、この内周壁部の反対側の外周壁部と、内周壁部と外周壁部とを連接させた先端壁部とから形成され、先端壁部は、穴の縁と係合する爪部と、この爪部から脚部の先端に向けて窄ませた傾斜部とから形成される構成とした。
したがって、撓みしろを確保することができ、爪部の逃げを確保して、大きさが異なる穴径を許容する範囲を拡大することができる。具体的には、±1mm程度の範囲まで許容することができる。また、穴径の最大時と最少時とにおける、ホールプラグの挿入時、抜去時の、挿入力、抜去力の差を少なくすることができる。
【0016】
特に、中心部または翼部のいずれか一方は、中空に形成されていることが好ましい。
この構成により、翼部の撓みやすさと、爪部の逃げを確保しやすくすることができ、大きさが異なる穴径を許容する範囲を拡大することができる。また、ホールプラグ挿入時の、挿入力を低減することができる。
【0017】
また、外周壁部は、先端壁部に向かって徐々に肉薄に形成されていることが好ましい。
この構成により、翼部の撓みやすさを確実に確保することができる。
【0018】
また、先端壁部は、外周壁部および内周壁部よりも肉厚に形成されていることが好ましい。
この構成により、翼部の撓みやすさを確実に確保しつつ、撓みの保持力を確保することができる。
【0019】
また、内周壁部は、ヒンジ部を介して中心部から延設され、このヒンジ部は、外周壁部、内周壁部、先端壁部よりも肉薄に形成されていることが好ましい。
この構成により、翼部の撓みやすさを更に向上させることができる。
【0020】
また、翼部は、中心部の周方向に略等間隔に設けられ、内周壁部が先端壁部へ向かうにつれて中心部から離れるように形成されていることが好ましい。
この構成により、翼部の撓みしろをより広く確保することができる。
【0021】
また、中心部は、翼部の数に応じて略S字形状または略多角形状に形成されていることが好ましい。
この構成により、翼部の数を増減することで、翼部の撓みしろをより広く確保し、または調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るホールプラグの一実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明に係るホールプラグの一実施形態を示す平面図である。
【図3】図1のB−B断面図であって、本発明に係るホールプラグの一実施形態の脚部を説明する断面説明図である。
【図4】本発明に係るホールプラグの一実施形態を示す底面図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態は、本発明の実施形態の一つを例示して説明するものである。したがって、本発明は、本実施形態に限定されるものではない。
【0024】
図1、図2において、本実施形態に係るホールプラグ10は、頭部20と、頭部20の略中央から突出させて設けられた脚部30とから形成されている。
【0025】
ホールプラグ10には、例えば、熱可塑性エラストマー(TPE)や、ポリエチレン(PE)などの素材が用いられる。特に、TPEよりも安価なPEを用いれば経済面において好ましい。
【0026】
頭部20は、平面視して、略円形状に形成された平坦面21と、この平坦面21の縁に沿って周回させ、略環状に形成された鍔22とから形成されている。鍔22は、正面視して、平坦面21よりも脚部30の方向へ傾斜している。なお、鍔22の形状は略環状に限られず、平坦面21の縁に沿って周回させ、この平坦面21と合わせて多角形状としてもよい。
【0027】
脚部30は、頭部20の平坦面21から軸方向に突出させて設けられている(図5参照)。図3において、脚部30は、平坦面21と同軸である中心部31と、この中心部31から径方向に湾曲させて延設された3つの翼部32とから形成されている。したがって、脚部30を平面視した形状は、渦巻き状となっている。
【0028】
中心部31の平面視断面形状は、隣り合う翼部32の基部同士が連接した略三角形状に形成されている。
【0029】
翼部32は、中心部31から反時計回りに湾曲させて延びるとともに先端が頭部30の平坦面21の縁に沿うように延設されている(図2、図3参照)。なお、3つの翼部32全体の渦巻き状の向きは、反時計回りに限られず、時計回りであってもよい。
【0030】
翼部32は、中心部31と対峙する側の内周壁部33と、この内周壁部33の反対側の外周壁部34と、この内周壁部33と外周壁部34とが連接された先端壁部35とから形成されている。内周壁部33は、ヒンジ部36を介して中心部31から延設されている。
【0031】
翼部32は、中心部31の周方向に略等間隔に設けられている。翼部32は、内周壁部33が先端壁部35へ向かうにつれて中心部31から離れるように形成されている。
【0032】
すなわち、内周壁部33と中心部31との間には撓みしろ40となる隙間が形成されている。この撓みしろ40により、翼部32は、中心部31に向かって撓むことができる。撓みしろ40は、ヒンジ部36を基点として徐々に広がるように形成されている。したがって、先端壁部35付近で撓みしろ40を広くとることができるため、翼部32を大きく撓ませることができる。
【0033】
中心部31および翼部32は、いずれも中空に形成されている。すなわち、3組の内周壁部33と外周壁部34と先端壁部35とヒンジ部36とからなる脚部30全体と、中心部31とで閉路が形成されている。
【0034】
内周壁部33は、翼部32を形成する側壁のうち中心部31に対峙する側の側壁である。内周壁部33の一端は、外周壁部34の一端に連接されている。これにより、先端壁部35が形成されている。内周壁部33の他端は、ヒンジ部36に連接されている。
【0035】
ヒンジ部36は、平面視で略U字状に湾曲して形成されている。ヒンジ部36の一端は、反時計回り側に隣接する他の翼部32の外周壁部35の他端に連接されている。ヒンジ部36の他端は、内周壁部33の他端に連接されている。ヒンジ部36は、翼部33を撓ませる際の支点となる。
【0036】
ヒンジ部36は、内周壁部33と、外周壁部34と、先端壁部35のいずれの部分よりも肉薄に形成されている。ヒンジ部36が肉薄であるため、翼部32の撓みやすさを更に向上させることができる。また、素材にポリエチレン(PE)を用いて挿入力が増大しても、ヒンジ部36を肉薄にし、併せて上記したように撓みしろ40を広くとることで、増大した挿入力を低減させることができる。
【0037】
内周壁部33の反対側の外周壁部34は、翼部32を形成する側壁のうち、内周壁部33を挟んで中心部31の反対側の側壁である。外周壁部34は弧状に形成され、一端が内周壁部33の一端に連接されている。これにより先端壁部35が形成されている。外周壁部34の他端は、時計回り側に隣接する他の翼部32のヒンジ部36に連接されている。
【0038】
外周壁部34は、先端壁部35に向かって徐々に肉薄に形成されている。したがって、翼部32の撓みやすさを確保することができる。
【0039】
先端壁部35は、外周壁部34および内周壁部33よりも肉厚に形成されている。したがって、翼部32の撓みやすさを確保しつつ、撓みの保持力も確保することができる。
【0040】
図5において、先端壁部35には、爪部37が形成されている。爪部37は、先端壁部35の縁で頭部20寄りの一部に切り欠きを設けることで形成されている。切り欠きにより、先端壁部35には溝が形成され、溝の端により爪部37が形成されている。切り欠きは、軸方向で鍔22の縁とほぼ同じ高さに形成されている。
【0041】
先端壁部35には、爪部37から脚部30の先端に向けて窄ませて形成された傾斜部38が形成されている。
【0042】
以上のようにして、本実施形態に係るホールプラグ10は構成されている。
【0043】
次に、本実施形態に係るホールプラグ10の作用について説明する。
【0044】
図3、図4、図5において、図示しない自動車のパネルなどに開口された作業穴や塗装抜き穴に、ホールプラグ10を脚部30側から挿入する。脚部30の最少径である先端の径は、穴の径よりも小さく形成されている。脚部30の最大径である爪部37が位置する径は、穴の径よりも大きく形成されている。したがって、脚部30を先端から穴に挿入することができ、脚部30を構成する翼部32の先端壁部35に形成された傾斜部38の一部が、穴の縁に引っ掛かる。
【0045】
ここで、穴径や板厚は、開口される場所によって異なるが、本実施形態では、脚部30は、中心部31から径方向に渦巻き状に形成されている。したがって、翼部32によって中心部31との間に撓みしろ40をとることができ、爪部37の逃げを確保して大きさが異なる穴径でも許容することができる。具体的には、±1mm程度の範囲まで許容することができる。
【0046】
脚部30は、傾斜部38の一部が穴の縁に引っ掛かっているため、頭部20の平坦面21を押圧すると、圧力が脚部30の径方向に働く。圧力が脚部30の径方向に働くと、穴の縁からは反発力が働く。反発力が働くと、可撓性の素材で形成された翼部32は、ヒンジ部36を支点に内周壁部33が中心部31に近づく。すなわち、翼部32は中心部31に向かって撓む。翼部32が撓むと、脚部30の径が縮む。
【0047】
特に、本実施形態では、翼部32および中心部31は中空に形成されている。更に、外周壁部34は、先端壁部35に向かって徐々に肉薄に形成されている。また、先端壁部35は、外周壁部34および内周壁部33よりも肉厚に形成されている。また、内周壁部33は、肉薄のヒンジ部36を介して中心部31から延設されている。また、翼部32は、中心部31の周方向で略等間隔に設けられ、内周壁部33が先端壁部35へ向かうにつれて中心部31から離れるように形成されている。
【0048】
このように構成することにより、撓みの保持力を確保しつつ、翼部32の撓みやすさが向上し、また、撓みしろ40を広くとることができる。したがって、脚部32の径を、容易に、かつ、大きく伸縮することができるため、異なる穴径を許容する範囲を拡大することができる。
【0049】
脚部30の径が縮むと、平坦面21を押圧されたホールプラグ10は、押圧された方向へ、すなわち、開口面から穴の方向へ深く挿入される。脚部30の径が縮みながらホールプラグ10が穴に挿入されると、穴よりも径が大きい頭部20を形成する鍔22の先端が開口面に接触する。ここで、鍔22は可撓性の素材から形成されているため、開口面からの反発力によって鍔22は水平に近づくように傾斜角が広がって撓む。
【0050】
このように、頭部20には鍔22によって撓みしろが形成されているため、厚さが異なる板厚を許容することができる。
【0051】
鍔22を撓ませながらホールプラグ10が穴に挿入されると、翼部32の先端壁部35に形成された爪部37が穴の縁に係合する。爪部37が穴の縁に係合すると、径が縮んだ脚部30は、素材の可撓性により元の径に戻ろうとする。同様に、鍔22も、開口面から押されて元の傾斜角に戻ろうとする。したがって、径方向と軸方向とに反発力が生じ、ホールプラグ10は確実に穴の縁と係合する。
【0052】
上記したように、本実施形態に係るホールプラグ10において、脚部30は、頭部20と同軸である中心部31と、この中心部31から径方向に湾曲させて延設された複数の翼部32とから形成され、翼部32は、中心部31と対峙する側の内周壁部33と、この内周壁部33の反対側の外周壁部34と、内周壁部33と外周壁部34とを連接させた先端壁部35とから形成され、先端壁部35は、穴の縁と係合する爪部37と、この爪部37から脚部30の先端に向けて窄ませた傾斜部38とから形成される。
この構成により、翼部32によって撓みしろ40をとることができ、爪部37の逃げを確保して、大きさが異なる穴径を許容する範囲を拡大することができる。具体的には、±1mm程度の差まで許容することができる。また、穴径の最大時と最少時とにおける、ホールプラグ10の挿入時、抜去時の、挿入力、抜去力の差を少なくすることができる。
【0053】
特に、本実施形態において、中心部31または翼部32のいずれか一方は、中空に形成されている。この構成により、翼部32の撓みやすさと、爪部37の逃げを確保しやすくすることができ、大きさが異なる穴径を許容する範囲を拡大することができる。また、ホールプラグ10挿入時の、挿入力を低減することができる。
【0054】
特に、本実施形態において、外周壁部34は、先端壁部35に向かって徐々に肉薄に形成されている。この構成により、翼部32の撓みやすさを確保することができる。
【0055】
特に、本実施形態において、先端壁部35は、外周壁部34および内周壁部33よりも肉厚に形成されている。この構成により、翼部32の撓みやすさを確実に確保しつつ、撓みの保持力も確保することができる。
【0056】
特に、本実施形態において、内周壁部33は、ヒンジ部36を介して中心部31から延設され、このヒンジ部36は、外周壁部34、内周壁部33、先端壁部35よりも肉薄に形成されている。この構成により、翼部32の撓みやすさを更に向上させることができる。
【0057】
特に、本実施形態において、翼部32は、中心部31の周方向に略等間隔に設けられ、内周壁部33が先端壁部35へ向かうにつれて中心部31から離れるように形成されている。この構成により、翼部32の撓みしろ40をより広く確保することができる。
【0058】
特に、本実施形態において、中心部31は、翼部32の数に応じて略S字形状または略多角形状に形成されている。この構成により、翼部32の数を増減することで、翼部32の撓みしろ40をより広く確保し、または調整することができる。
【0059】
上記した実施形態によれば、中心部31および翼部32を、いずれも中空に形成した。しかし、中心部および翼部は、いずれか一方を中空とし、他方を中実としてもよい。中空とするのがいずれか一方のみであっても、爪部の逃げを確保することができ、大きさの異なる穴径を許容することができる。また、穴への挿入力を低減させることができる。ただし、上記した実施形態のように、中心部31および翼部32は、いずれも中空であることが好ましい。確実に爪部の逃げを確保することができ、異なる穴径を許容する範囲を拡大することができるためである。また、穴への挿入力を更に低減させることができるためである。
【0060】
なお、翼部が中空であれば、撓ませる際に内周壁部と外周壁部とが近接することで翼部自身も撓ませることができるため、更に撓みしろを広くとることができる。
【0061】
上記した実施形態によれば、翼部32の数を3つとしたため、中心部31の平面視断面は略三角形状である。しかし、翼部の数は3つに限られず、2つとした簡便な構成でもよく、または4つ以上の構成としてもよい。2つ構成とすれば、材料が減り、経済面で安価となる。4つ以上の構成とすれば、各翼部がバランスよく撓み、確実に穴と係合される。ただし、上記した実施形態のように、翼部の数は3つとすることが好ましい。2つ構成とした場合に比べて、各翼部がバランスよく撓み、また、4つ以上の構成とした場合と比べて、翼部が密集した場合に撓みが固くなることも、必要以上に材料を使うこともないためである。
【0062】
なお、翼部の数が2つであれば、中心部の平面視断面は、翼部と一体となって緩やかな略S字形状となる。また、翼部の数が4つ以上であれば、中心部の平面視断面は、略四角形状またはそれ以上の略多角形状となる。翼部の数を増減することで、撓みしろや、撓みの保持力を調整することができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 ホールプラグ
20 頭部
21 平坦面
22 鍔
30 脚部
31 中心部
32 翼部
33 内周壁部
34 外周壁部
35 先端壁部
36 ヒンジ部
37 爪部
38 傾斜部
40 撓みしろ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部材に開口された穴よりも径が大きい頭部と、前記頭部の略中央から突出させて設けられた脚部と、を備えた前記開口を塞ぐためのホールプラグであって、
前記脚部は、前記頭部と同軸である中心部と、この中心部から径方向に湾曲させて延設された複数の翼部とから形成され、
前記翼部は、前記中心部と対峙する側の内周壁部と、この内周壁部の反対側の外周壁部と、前記内周壁部と前記外周壁部とを連接させた先端壁部とから形成され、
前記先端壁部は、前記穴の縁と係合する爪部と、この爪部から前記脚部の先端に向けて窄ませた傾斜部とから形成される、
ことを特徴とするホールプラグ。
【請求項2】
前記中心部または前記翼部のいずれか一方は、中空に形成されていること、
を特徴とする請求項1に記載のホールプラグ
【請求項3】
前記外周壁部は、前記先端壁部に向かって徐々に肉薄に形成されていること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のホールプラグ。
【請求項4】
前記先端壁部は、前記外周壁部および前記内周壁部よりも肉厚に形成されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のホールプラグ。
【請求項5】
前記内周壁部は、ヒンジ部を介して前記中心部から延設され、このヒンジ部は、前記外周壁部、前記内周壁部、前記先端壁部よりも肉薄に形成されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のホールプラグ。
【請求項6】
前記翼部は、前記中心部の周方向に略等間隔に設けられ、前記内周壁部が前記先端壁部へ向かうにつれて前記中心部から離れるように形成されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のホールプラグ。
【請求項7】
前記中心部は、前記翼部の数に応じて略S字形状または略多角形状に形成されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のホールプラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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