説明

ボイラー装置およびその制御方法

【課題】高温で、かつ高圧の蒸気圧を、効率よく発生することで、広い利用範囲を図ることが可能なボイラー装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】水酸素混成ガスや水酸素混合ガスを充填して燃焼する燃焼室141が設けられた燃焼シリンダ14と、高温・高圧状態で蒸気を貯留する蓄熱・畜圧タンク18と、高温・高圧蒸気を排出する蒸気圧送管183と、第1〜第10電磁バルブSV1〜SV10を制御する制御装置27とを備え、制御装置27が、燃焼室141に第1ガス供給制御バルブSV1を開放状態とすると共に、高圧蒸気送気制御バルブSV4を閉塞状態として、燃焼室141内に水酸素混成ガスを充填し、次に、第1ガス供給制御バルブSV1を閉塞状態にして、燃焼室141内の水酸素混成ガスに点火した後に、高圧蒸気送気制御バルブSV4を開放状態とすることで、燃焼室141内の高温・高圧蒸気を、蓄熱・畜圧タンク18へ送気する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素と酸素とを混成した水酸素混成ガスや、水素ガスと酸素ガスとを混合した水酸素混合ガスを燃焼ガスとして、高温で、かつ高圧の蒸気を発生するボイラー装置およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素とが2対1の割合で混成したブラウンガスなどの水酸素混成ガスや、水素ガスと酸素ガスとを所定の比率で混合した水酸素混合ガスは、化石燃料と異なり、燃焼しても二酸化炭素を発生しないので、地球温暖化現象の抑制など環境保全の観点から、これから益々活用されるエネルギー源である。このブラウンガスを燃焼の燃料とした従来のボイラー装置として、特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
この特許文献1に記載の従来のボイラー装置は、ブラウンガス火炎によって点火した噴霧状の高pH値水の燃焼火炎を、ボイラー本体内の水に直接接触するように圧入することにより、水を沸騰させるものである。そして、ボイラー本体の密閉室に設けられた排出口から蒸気を動力源とする蒸気動力装置へ蒸気を供給するものである。
【0004】
【特許文献1】特開2003−42401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の従来のボイラー装置は、密閉室内の水を直接加熱し、沸騰させた蒸気を密閉室内に蓄積して、密閉室内から蒸気動力装置へ供給しているので、密閉室内の蒸気圧を高圧とすることができないものと想定される。
【0006】
ボイラー装置は、様々な蒸気動力装置の動力源となる蒸気を高圧にして供給することで、広い利用範囲を図ることができるものである。
【0007】
そこで本発明は、水酸素混成ガスや、水酸素混合ガスを利用し、高温で、かつ高圧の蒸気を、効率よく発生させることで、広い利用範囲を図ることが可能なボイラー装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のボイラー装置は、水素と酸素とが混成した水酸素混成ガスや、水素ガスと酸素ガスとを混合した水酸素混合ガスを燃焼ガスとして、充填して燃焼する燃焼室が設けられた燃焼シリンダと、前記燃焼ガスが燃焼することで発生した蒸気を、高温・高圧状態で貯留する蓄熱・蓄圧タンクと、前記蓄熱・蓄圧タンクに貯留された高温・高圧蒸気を排出する蒸気圧送管とを備えたことを特徴とする。
【0009】
水酸素混成ガスや、水酸素混合ガスを燃焼室に充填して点火すると、爆発するように激しく燃焼して高温・高圧の蒸気が生成される爆発反応または燃焼反応が発生する。この爆発反応または燃焼反応によって得られた高温・高圧の蒸気を、蓄熱・畜圧タンクで貯留して、必要に応じて蒸気圧送管から供給することで、有用な高温で、かつ高圧の蒸気を、蒸気を動力とする装置などに供給することができる。
【0010】
前記燃焼室へ供給される燃焼ガスの供給管に設けられたガス供給制御バルブと、前記燃焼室と前記蓄熱・畜圧タンクとの間の送気管に設けられた高圧蒸気送気制御バルブと、前記ガス供給制御バルブと高圧蒸気送気制御バルブとの開放および閉塞を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記ガス供給制御バルブを開放状態とすると共に、前記高圧蒸気送気制御バルブを閉塞状態として、燃焼ガスを前記燃焼室へ充填し、前記燃焼室内に燃焼ガスが充満したときに、前記ガス供給制御バルブを閉塞状態にして、前記燃焼室内の燃焼ガスに点火し、前記点火した後に、高圧蒸気送気制御バルブを開放状態とすることで、前記燃焼室内の蒸気を前記畜熱・蓄圧タンクへ送気するのが望ましい。
【0011】
このような構成とすることで、燃焼室に燃焼ガスを充填するときに、制御装置が、燃焼シリンダと蓄熱・畜圧タンクとの間に設けられた高圧蒸気送気制御バルブを閉塞状態としているので、開放状態としたガス供給制御バルブが設けられた供給管から、十分に圧力を加えた状態で、燃焼ガスを燃焼シリンダの燃焼室に充填することができる。燃焼シリンダ内に燃焼ガスが充満したときに、制御装置が、ガス供給制御バルブを閉塞状態とし、ガス供給制御バルブ内の燃焼ガスに点火することで、密閉状態となった燃焼室内で爆発反応または燃焼反応が発生する。そして、制御装置が、点火した後に高圧蒸気送気制御バルブを開放状態とすることで、燃焼室内で、高温、かつ高圧となった蒸気を、送気管を介して蓄熱・畜圧タンクへ送り込むことができる。
【0012】
前記燃焼室内を排気する排気装置が設けられているのが望ましい。排気装置が、燃焼室内にある最初の燃焼の前から存在する空気を排気したり、点火後の燃焼室内の残留蒸気を排気したりすることで、燃焼ガスの充填をスムーズに行うことができる。
【0013】
冷却水を貯留する貯水タンクと、前記燃焼シリンダに設けられ、前記燃焼室を冷却水により冷却する冷却部と、前記貯水タンクと前記冷却部との間を冷却水が循環する循環路とが設けられているのが望ましい。
このような構成とすることで、冷却部で熱交換された冷却水が加熱されて貯湯タンクに貯留されるので、爆発反応または燃焼反応によって加熱された燃焼シリンダの廃熱を無駄なく再利用することができる。
【0014】
また、本発明のボイラー装置の制御方法は、水素と酸素とが混成した水酸素混成ガスや、水素ガスと酸素ガスとを混合した水酸素混合ガスを燃焼ガスとして、充填して燃焼する燃焼室が設けられた燃焼シリンダと、前記燃焼ガスが燃焼することで発生した蒸気を、高温・高圧状態で貯留する蓄熱・畜圧タンクと、前記蓄熱・畜圧タンクに貯留された高温・高圧蒸気を排出する蒸気圧送管と、前記燃焼室へ供給される燃焼ガスの供給管に設けられたガス供給制御バルブと、前記燃焼室と前記蓄熱・畜圧タンクとの間の送気管に設けられた高圧蒸気送気制御バルブと、前記ガス供給制御バルブと高圧蒸気送気制御バルブとの開放および閉塞を制御する制御装置とを備えたボイラー装置の制御方法であって、前記制御装置が、前記ガス供給制御バルブを開放状態とすると共に、前記高圧蒸気送気制御バルブを閉塞状態として、燃焼ガスを前記燃焼室へ充填するステップと、前記制御装置が、前記燃焼室内に燃焼ガスが充満したときに、前記ガス供給制御バルブを閉塞状態にして、前記燃焼室を密閉状態とするステップと、前記制御装置が、前記燃焼室内の燃焼ガスに点火した後に、前記高圧蒸気送気制御バルブを開放状態して、前記燃焼室内の蒸気を前記畜熱・畜圧タンクへ送気するステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
更に、前記燃焼室内を排気する排気装置により、点火した後の燃焼室内に残留する蒸気を排出するステップを含むことで、点火後の燃焼室内の残留蒸気を排気することができるので、燃焼ガスの充填をスムーズに行えると共に、残留した蒸気による失火を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、燃焼室内で発生した爆発反応または燃焼反応によって得られた高温で、かつ高圧の蒸気を、蓄熱・畜圧タンクで貯留することで、有用な高温・高圧の蒸気を供給配管から供給することができるので、高温・高圧の蒸気を、効率よく発生することにより、広い利用範囲を図ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態に係るボイラー装置を、図面に基づいて説明する。まずは、本実施の形態に係るボイラー装置の構成を、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るボイラー装置を示す概略構成図である。
【0018】
図1に示すようにボイラー装置10は、水素と酸素とが2対1の割合で混成したブラウンガスなどの水酸素混成ガスや、水素ガスおよび酸素ガスを所定比率で混合した水酸素混合ガスを燃焼ガスとして、高温・高圧蒸気を発生するものである。ボイラー装置10は、ブラウンガスを発生する水酸素混成ガス発生装置100が接続される第1供給管11と、第1供給管11に水素ガス供給装置(図示せず)を接続したときに酸素ガスが供給される第2供給管12とを備えている。本実施の形態に係るボイラー装置10おいては、ブラウンガスを発生する水酸素混成ガス発生装置100を第1供給管11に接続して、燃焼ガスとして水酸素混成ガスを使用する場合を説明する。なお、水酸素混成ガス発生装置100は、従来公知なものを使用することができる。
【0019】
第1供給管11には、第1ガス供給制御バルブ(第1電磁バルブ)SV1と、第1逆止弁CV1とが設けられている。また、第2供給管12には、第2ガス供給制御バルブ(第2電磁バルブ)SV2と、第2逆止弁CV2とが設けられている。
【0020】
第1供給管11と第2供給管12とは、第1逆止弁CV1および第2逆止弁CV2の下流側で、1本の供給管13となって、燃焼シリンダ14の上部に連通している。
【0021】
燃焼シリンダ14には、燃焼室141に充填された水酸素混成ガスに点火する着火プラグ142と、水酸素混成ガスによる燃焼の失火を監視する失火センサ143が設けられている。燃焼シリンダ14は、燃焼室141の周囲全体を囲うようにウォータジャケット部144が設けられることで、二重構造としている。この燃焼シリンダ14は、燃焼室141内に充填された水酸素混成ガスが点火されることで発生する爆発反応または燃焼反応に耐える程度の耐熱性、耐圧性および強度を有している。
【0022】
燃焼室141の下部には、送気管15が連通している。この送気管15は、第1真空ポンプ16側へ排気される第1送気管17と、蓄熱・畜圧タンク18側へ送気される第2送気管19とに分かれている。第1真空ポンプ16は、燃焼室141内に残留した空気を排出することで、排気と、減圧との両方の機能を兼ね備える排気装置である。
【0023】
第1送気管17には、排気制御バルブ(第3電磁バルブ)SV3と、第3逆止弁CV3とが設けられている。また、第2送気管19には、高圧蒸気送気制御バルブ(第4電磁バルブ)SV4と、第4逆止弁CV4とが設けられている。
【0024】
蓄熱・畜圧タンク18は、爆発反応または燃焼反応によって発生した高温で、かつ高圧の蒸気を貯留するもので、高温・高圧の蒸気を貯留しても耐えるだけの耐熱性、耐圧性および強度を有している。この蓄熱・畜圧タンク18は、下部に排出管181が、頭頂部には加熱管182が、胴部には高圧蒸気が圧送される蒸気圧送管183が、それぞれ蓄熱・畜圧タンク18内に連通している。また、蓄熱・畜圧タンク18の頭頂部には、安全弁184が設けられている。
【0025】
排出管181には、蓄熱・畜圧タンク18内の空気や蒸気を排出する第2真空ポンプ20が設けられている。加熱管182は、加熱蒸気供給制御バルブ(第5電磁バルブ)SV5を介して貯湯タンク21に連通している。蒸気圧送管183には、第5逆止弁CV5と、高圧蒸気供給制御バルブ(第6電磁バルブ)SV6と、レギュレータRとが設けられている。
【0026】
貯湯タンク21は、燃焼シリンダ14を冷却する冷却水を貯留すると共に、暖められて湯となった冷却水を、外部に供給するものである。この貯湯タンクに、ウォータジャケット部144に連通する冷却水往路管23と、冷却水復路管24とが連通することで、貯湯タンク21とウォータジャケット部144とを冷却水が循環する循環路が形成されている。冷却水往路管23には、往路制御バルブ(第7電磁バルブ)SV7が設けられている。また、冷却水復路管24には、復路制御バルブ(第8電磁バルブ)SV8と循環ポンプ242とが設けられている。
【0027】
また、貯湯タンク21は、冷却水が給水される給水管25と、加熱された湯を給湯する給湯管26が連通している。給水管25には、冷却水供給制御バルブ(第9電磁バルブ)SV9が、給湯管26には、湯供給制御バルブ(第10電磁バルブ)SV10が、それぞれ設けられている。
【0028】
制御装置27は、第1〜第10電磁バルブSV1〜SV10の開放または閉塞を制御したり、着火プラグ142の点火タイミングを制御したり、第1真空ポンプ16と、第2真空ポンプ20と、循環ポンプ242との運転制御を行ったりする機能を有している。また、失火センサ143により失火を検出したときの制御も行う。
【0029】
以上のように構成される本発明の実施の形態に係るボイラー装置10の制御方法を、更に図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の実施の形態に係るボイラー装置10の制御方法を示すフローチャートである。
【0030】
図1および図2に示すように、まず制御装置27は、ボイラー装置10を運転開始状態とする(S10)。運転開始状態は、第1〜第10電磁バルブSV1〜SV10の全てを閉塞した後に、排気制御バルブSV3、往路制御バルブSV7および復路制御バルブSV8を開放し、循環ポンプ242を稼働させる。
【0031】
次に、燃焼シリンダ14の燃焼室141内に残存する空気を排出するために、制御装置27は、第1真空ポンプ16を稼働させる(S20)。また、畜熱・畜圧タンク18の空気を排出するために、制御装置27は、第2真空ポンプ20を稼働させる(S30)。第1真空ポンプ16により燃焼室141内に残存する空気を排出することで、水酸素混成ガスの充填を残存する空気によって阻害されてしまうことを防止してスムーズに行うと共に、最初の燃焼が失火してしまうことを抑制することができる。
【0032】
燃焼室141および蓄熱・畜圧タンク18の空気の排出が完了すると、制御装置27は、第1真空ポンプ16を停止して、水酸素混成ガス発生装置100が発生する水酸素混成ガスを燃焼室141へ供給する供給制御を開始する(S40)。供給制御は、まず、排気制御バルブSV3を閉塞し、第1ガス供給制御バルブSV1を開放する。そうすることで、高圧蒸気送気制御バルブSV4が閉塞状態なので、燃焼室141は、水酸素混成ガスが供給される供給管13の供給口を除き密閉状態となる。
【0033】
水酸素混成ガス発生装置100から供給される水酸素混成ガスを、第1ガス供給制御バルブSV1および逆止弁CV1を介して燃焼室141へ充填する(S50)。この充填は、予め第1真空ポンプ16によって燃焼室141内の空気を排出しているので、燃焼室141内は、第1供給管11の上流側より低圧状態である。従って、水酸素混成ガス発生装置100から供給される水酸素混成ガスは、吸引されるように燃焼室141内に供給されるので、迅速に、かつ効率よく充填することができる。水酸素混成ガスを燃焼室141に吸引することで、燃焼室141内は、少なくとも大気中と同じ圧力状態、または高気圧状態となっている。
【0034】
そして、制御装置27は、第1ガス供給制御バルブSV1を閉塞し、着火プラグ142により燃焼室141に充填された水酸素混成ガスに点火する制御を行う(S60)。本実施の形態では、水酸素混成ガスとしてブラウンガスを使用しているので、充填した水酸素混成ガスに点火すると、爆発反応または燃焼反応でも、最も激しく燃焼する爆鳴気反応が発生する。燃焼室141内では、この激しい燃焼により、高温で、かつ高圧の蒸気が発生する。
【0035】
制御装置27は、点火直後、燃焼室141内が最も高圧となったタイミングで、高圧蒸気送気制御バルブSV4を開放することで、第2送気管19を介して、高温で、かつ高圧の蒸気を蓄熱・畜圧タンク18に貯留する蓄熱・畜圧制御を行う(S70)。
【0036】
そして制御装置27は、高圧蒸気送気制御バルブSV4を閉塞すると共に、排気制御バルブSV3を開放することで、稼働させておいた第1真空ポンプ16により燃焼室141内の残留蒸気を、第1送気管17の排気制御バルブSV3および第3逆止弁CV3を介して排気する排気制御を行う(S80)。燃焼後の燃焼室141内に残留する蒸気を、第1真空ポンプ16によって排気することで、燃焼室141内が低圧状態となるので、次の水酸素混成ガスの充填をスムーズに行うことができると共に、残留した蒸気による失火を防止することができる。そして、制御装置27は、S40へ移行して、S40からS80を繰り返することで、次々と、高温で、かつ高圧の蒸気を、蓄熱・畜圧タンク18に貯留していく。
【0037】
高温・高圧の蒸気を利用するときには、高圧蒸気供給制御バルブSV6を開放することで、レギュレータRにより調整された圧力の蒸気を、蒸気を動力源とする装置等へ蒸気圧送管183を介して圧送する。
【0038】
このように、水酸素混成ガスとしてブラウンガスを燃焼室141に充填して燃焼させることで発生する爆鳴気反応によって、効率よく高温で、かつ高圧の蒸気を得ることができるので、この爆鳴気反応によって得られた高温・高圧の蒸気を、蓄熱・畜圧タンク18で貯留することで、有用な高温で、かつ高圧の蒸気を蒸気圧送管183から手軽に供給することができる。
【0039】
燃焼シリンダ14は、燃焼と共に加熱されるが、貯湯タンク21内の冷却水を、貯湯タンク21から冷却水往路管23を介してウォータジャケット部144へ、ウォータジャケット部144から冷却水復路管24を介して貯湯タンク21へと、循環路を循環させているので、燃焼シリンダ14を冷却して過度な温度上昇を抑止することができる。また、冷却水がウォータジャケット部144での熱交換により加熱されることで湯となって貯湯タンク21に戻るので、貯湯タンク21には適度な温度の湯を貯留することができる。貯湯タンク21に貯留された湯を使用するときには、給湯管26に設けられた第10電磁バルブSV10を開放とすることで、給湯管26から熱い湯を供給することができる。このように、爆発反応または燃焼反応によって加熱された燃焼シリンダ14の廃熱を無駄なく再利用することができる。また、貯湯タンク21から湯を排出して、貯湯タンク21内の冷却水が減少したときには、第9電磁バルブSV9を開放して、給水管25を介して水を供給することで、冷却水の補充を行うことができる。
【0040】
制御装置27は、失火センサ143からの情報により燃焼室141での燃焼が失火したことを検出すると、第1電磁バルブSV1および第4電磁バルブSV4を閉塞させたまま、着火プラグ142による点火を再度行って燃焼を試みたり、第1電磁バルブSV1および第4電磁バルブSV4の開放、閉塞の制御を停止して、ブザーやランプなどで操作者に報知したりするなどの制御を行う。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。本実施の形態では、燃焼ガスとしてブラウンガスを使用したが、水素ガスと酸素ガスとを別々に供給することも可能である。この場合には、水素ガス供給装置を第1供給管11に接続し、酸素ガス供給装置を第2供給管12に接続して、水素ガスと酸素ガスとの混合比を調整して燃焼室141へ供給して燃焼させることで、同様に爆発反応または燃焼反応による燃焼を行うことが可能である。この水素ガスと酸素ガスとの混合比は、2対1と等しい比率、または近い比率とするのが、爆発反応または燃焼反応でも最も激しい燃焼となる爆鳴気反応が得られるので望ましい。この場合、水素ガス供給装置と酸素ガス供給装置とは、水素ガスや、酸素ガスを電解液から発生させて供給する発生装置でもよいし、水素ガスや酸素ガスを充填したタンクとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、水酸素混成ガスや、水酸素混合ガスを燃焼ガスに使用して、高温・高圧蒸気を発生するボイラー装置に好適である。特に、本発明は、環境保全に配慮しているので、動力を大量に必要とする工場、または施設に設置されるボイラー装置に最適である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係るボイラー装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るボイラー装置の制御方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
10 ボイラー装置
11 第1供給管
12 第2供給管
13 供給管
14 燃焼シリンダ
141 燃焼室
142 着火プラグ
143 失火センサ
144 ウォータジャケット部
15 送気管
16 第1真空ポンプ
17 第1送気管
18 蓄熱・畜圧タンク
181 排出管
182 加熱管
183 蒸気圧送管
184 安全弁
19 第2送気管
20 第2真空ポンプ
21 貯湯タンク
23 冷却水往路管
24 冷却水復路管
242 循環ポンプ
25 給水管
26 給湯管
27 制御装置
100 水酸素混成ガス発生装置
SV1 第1ガス供給制御バルブ(第1電磁バルブ)
SV2 第2ガス供給制御バルブ(第2電磁バルブ)
SV3 排気制御バルブ(第3電磁バルブ)
SV4 高圧蒸気送気制御バルブ(第4電磁バルブ)
SV5 加熱蒸気供給制御バルブ(第5電磁バルブ)
SV6 高圧蒸気供給制御バルブ(第6電磁バルブ)
SV7 往路制御バルブ(第7電磁バルブ)
SV8 復路制御バルブ(第8電磁バルブ)
SV9 冷却水供給制御バルブ(第9電磁バルブ)
SV10 湯供給制御バルブ(第10電磁バルブ)
CV1〜CV5 第1逆止弁〜第5逆止弁
R レギュレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素と酸素とが混成した水酸素混成ガスや、水素ガスと酸素ガスとを混合した水酸素混合ガスを燃焼ガスとして充填して燃焼する燃焼室が設けられた燃焼シリンダと、
前記燃焼ガスが燃焼することで発生した蒸気を、高温・高圧状態で貯留する蓄熱・蓄圧タンクと、
前記蓄熱・蓄圧タンクに貯留された高温・高圧蒸気を排出する蒸気圧送管とを備えたことを特徴とするボイラー装置。
【請求項2】
前記燃焼室へ供給される燃焼ガスの供給管に設けられたガス供給制御バルブと、
前記燃焼室と前記蓄熱・畜圧タンクとの間の送気管に設けられた高圧蒸気送気制御バルブと、
前記ガス供給制御バルブと高圧蒸気送気制御バルブとの開放および閉塞を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記ガス供給制御バルブを開放状態とすると共に、前記高圧蒸気送気制御バルブを閉塞状態として、燃焼ガスを前記燃焼室へ充填し、
前記燃焼室内に燃焼ガスが充満したときに、前記ガス供給制御バルブを閉塞状態にして、前記燃焼室内の燃焼ガスに点火し、
前記点火した後に、高圧蒸気送気制御バルブを開放状態とすることで、前記燃焼室内の蒸気を前記畜熱・蓄圧タンクへ送気することを特徴とする請求項1記載のボイラー装置。
【請求項3】
前記燃焼室内を排気する排気装置が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のボイラー装置。
【請求項4】
冷却水を貯留する貯水タンクと、
前記燃焼シリンダに設けられ、前記燃焼室を冷却水により冷却する冷却部と、
前記貯水タンクと前記冷却部との間を冷却水が循環する循環路とが設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載のボイラー装置。
【請求項5】
水素と酸素とが混成した水酸素混成ガスや、水素ガスと酸素ガスとを混合した水酸素混合ガスを燃焼ガスとして、充填して燃焼する燃焼室が設けられた燃焼シリンダと、
前記燃焼ガスが燃焼することで発生した蒸気を、高温・高圧状態で貯留する蓄熱・畜圧タンクと、
前記蓄熱・畜圧タンクに貯留された高温・高圧蒸気を排出する蒸気圧送管と、
前記燃焼室へ供給される燃焼ガスの供給管に設けられたガス供給制御バルブと、
前記燃焼室と前記蓄熱・畜圧タンクとの間の送気管に設けられた高圧蒸気送気制御バルブと、
前記ガス供給制御バルブと高圧蒸気送気制御バルブとの開放および閉塞を制御する制御装置とを備えたボイラー装置の制御方法であって、
前記制御装置が、前記ガス供給制御バルブを開放状態とすると共に、前記高圧蒸気送気制御バルブを閉塞状態として、燃焼ガスを前記燃焼室へ充填するステップと、
前記制御装置が、前記燃焼室内に燃焼ガスが充満したときに、前記ガス供給制御バルブを閉塞状態にして、前記燃焼室を密閉状態とするステップと、
前記制御装置が、前記燃焼室内の燃焼ガスに点火した後に、前記高圧蒸気送気制御バルブを開放状態して、前記燃焼室内の蒸気を前記畜熱・畜圧タンクへ送気するステップとを含むことを特徴とするボイラー装置の制御方法。
【請求項6】
前記燃焼室内を排気する排気装置により、点火した後の燃焼室内に残留する蒸気を排出するステップを含むことを特徴とする請求項5記載のボイラー装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−20167(P2008−20167A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194844(P2006−194844)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(593160529)応用電機株式会社 (11)
【Fターム(参考)】