説明

ボックスカルバートおよびその製造方法

【課題】長期的な耐久性を向上したボックスカルバートを提供する。
【解決手段】カルバート本体6の通水路5の内面の略全体に設ける防食板のベース板の他主面側に、多数の孔部を有する熱可塑性樹脂製の板材により波形状に形成したアンカー材を予め一体に設ける。アンカー材をカルバート本体6の成形により通水路5の内面と一体に固着することで、カルバート本体6の通水路5の内面に対して短い製造工期でかつ安定した品質で防食被覆でき、長期的な耐久性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通水路を区画するカルバート本体を備えたボックスカルバートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、下水道管渠などのプレキャスト製のコンクリート構造体が、硫化水素に起因する微生腐食などの要因により劣化し、道路が陥没するなど、市民生活の安全性に影響が出ており、設計耐用年数である50年を待たずして補修、補強、あるいは更生などを必要とする事例が多く報告されている。また、農業用水や工業用水においての、腐食や損傷、日照などによる劣化なども同様である。
【0003】
このため、管渠の維持管理コストの増大が問題となってきており、今後、ライフサイクルコストなどを踏まえたコストの削減が重要になる。
【0004】
一般に、老朽化したり腐食を受けたりしている下水道施設に防食被覆を施す場合には、塗布型ライニング工法が考えられる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−349096号公報(第4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の塗布型ライニング工法では、施工後に、被覆面の膨れや剥がれなどの障害事例が報告されており、施工管理や品質管理の難点が指摘されている。
【0006】
また、管渠などのコンクリート構造体への対応には、製品工場や施工現場での塗布作業や製造サイクルの長期化による保管用地や供給納期、施工工期などの、製法や経済性での問題点がある。
【0007】
さらに、上記コンクリート構造体は、下水道管渠として共用されるため、定期的な点検やメンテナンスなどの維持管理が容易でない。
【0008】
このため、コンクリート構造体の防食被覆には、長期的な耐久性および経済性が求められている。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、長期的な耐久性を向上したボックスカルバートおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載のボックスカルバートは、床版部と、この床版部に設けられた壁部とを少なくとも備え、これら床版部と壁部とにより通水路の少なくとも一部を区画するコンクリート製のカルバート本体と、このカルバート本体の前記通水路の内面の略全体に一体に設けられた防食板とを具備し、前記防食板は、少なくとも一主面側が繊維強化樹脂により形成されたベース板と、多数の孔部を有する熱可塑性樹脂製の板材により波形状に形成され、前記ベース板の他主面側に予め一体に設けられているとともに、前記カルバート本体の成形により前記通水路の内面と一体に固着されるアンカー材とを備えているものである。
【0011】
請求項2記載のボックスカルバートは、請求項1記載のボックスカルバートにおいて、カルバート本体が、高流動コンクリートにより成形されているものである。
【0012】
請求項3記載のボックスカルバートの製造方法は、床版部と、この床版部に設けられた壁部とを少なくとも備え、これら床版部と壁部とにより通水路の少なくとも一部を区画するコンクリート製のカルバート本体と、このカルバート本体の前記通水路の内面の略全体に設けられた防食板とを具備し、前記防食板が、少なくとも一主面側が繊維強化樹脂により形成されたベース板と、多数の孔部を有する熱可塑性樹脂製の板材により波形状に形成され、前記ベース板の他主面側に予め一体に設けられたアンカー材とを備えたボックスカルバートの製造方法であって、前記カルバート本体成形用の型枠内に前記防食板を配設し、前記型枠内に配筋し、前記型枠内にコンクリートを打設して、前記防食板のアンカー材をコンクリートに一体に固着するものである。
【0013】
請求項4記載のボックスカルバートの製造方法は、請求項3記載のボックスカルバートの製造方法において、型枠内にコンクリートを打設した後、蒸気養生するものである。
【0014】
請求項5記載のボックスカルバートの製造方法は、請求項3または4記載のボックスカルバートの製造方法において、コンクリートが、高流動コンクリートであるものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載のボックスカルバートによれば、少なくとも一主面側が繊維強化樹脂により形成されたベース板の他主面側に予め一体に設けたアンカー材をカルバート本体の成形により通水路の内面と一体に固着することで、カルバート本体の通水路の内面に対して、短い製造工期でかつ安定した品質で防食被覆でき、長期的な耐久性を向上できる。
【0016】
請求項2記載のボックスカルバートによれば、請求項1記載のボックスカルバートの効果に加えて、カルバート本体を高流動コンクリートにより成形することで、成形時にこの高流動コンクリートがアンカー材の孔部からアンカー材の波形状の内側へと浸透しやすくなるので、カルバート本体への防食板の固着性を向上できる。
【0017】
請求項3記載のボックスカルバートの製造方法によれば、少なくとも一主面側が繊維強化樹脂により形成されたベース板の他主面側に予め一体に設けられたアンカー材をカルバート本体の成形により通水路の内面と一体に固着することで、カルバート本体の通水路の内面に対して安定した品質で防食被覆でき、長期的な耐久性を向上できる。
【0018】
請求項4記載のボックスカルバートの製造方法によれば、請求項3記載のボックスカルバートの製造方法の効果に加えて、型枠内にコンクリートを打設した後、蒸気養生することにより、コンクリートの固化を促進して製造工期を、より短縮できる。
【0019】
請求項5記載のボックスカルバートの製造方法によれば、請求項3または4記載のボックスカルバートの製造方法の効果に加えて、コンクリートを高流動コンクリートとすることで、カルバート本体の成形時にこの高流動コンクリートが防食板のアンカー材の孔部からアンカー材の波形状の内側へと浸透しやすくなるので、カルバート本体への防食板の固着性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態のボックスカルバートの構成を図1ないし図4を参照して説明する。
【0021】
図1において、1は下水道管渠などに用いられるボックスカルバートを示し、このボックスカルバート1は、例えば図示しない配筋に高流動コンクリート(High Performance Concrete(HPC))Cを打って成形され、四角形状の床版部2と、この床版部2の両側からそれぞれ略垂直に設けられた壁部としての側壁部3,3と、これら側壁部3,3の上端部を連結する頂版部4とを有し、これら床版部2、側壁部3,3および頂版部4により、内部に通水路5を区画する角筒状に形成されたプレキャストコンクリート製のカルバート本体6を備えている。
【0022】
さらに、このカルバート本体6の通水路5は、床版部2の上面となる底面5aと、各側壁部3の内側面となる側面5b,5bと、頂版部4の下面となる天面5cと、底面5aと各側面5bとの間および天面5cと各側面5bとの間にそれぞれ形成された傾斜状の隅角面5d,5d,5d,5dとを有し、これら面5a〜5dのそれぞれに防食板8が一体に設けられ、かつ、これら防食板8の間(目地)は、例えばシリコーン系などの図示しないシーリング材によりシールされている。
【0023】
そして、上記ボックスカルバート1は、図4に示すように、地盤11の上部に順次設けられた栗石基礎12、基礎コンクリート13および図示しない敷きモルタルにより形成された基礎上に、図示しないPC鋼棒およびモルタルなどによって軸方向に互いに連結するように配設される。
【0024】
ここで、防食板8としては、例えば特開2003−285381号公報に記載されたコンクリート防食板、具体的には、日東紡績株式会社製のGSボードなどを用いる。
【0025】
すなわち、防食板8は、図2および図3に示すように、平面状のベース板15と、このベース板15に一体に設けられたアンカー材16とを備えている。
【0026】
そして、ベース板15は、例えば熱硬化性樹脂であるビニルエステル樹脂とガラス繊維とで構成された繊維強化樹脂(Fiberglass Reinforced Plastic(FRP))などにより厚さ2〜3mm程度の板状に設けられ、図3に示す下側面である一主面15aが平滑に形成されているとともに、図3に示す上側面である他主面15bにアンカー材16が一体に接合されている。なお、一主面15aには、例えばフィラー、あるいは着色剤などにより適宜着色層15cが形成されている。
【0027】
また、繊維強化樹脂に含まれる補強繊維としては、ガラス繊維、水酸化アルミニウム繊維、カーボン繊維などの無機繊維、あるいは、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維などの有機繊維などを用いることができ、また、樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン系樹脂、アクリル系樹脂などを挙げることができる。不飽和ポリエステル樹脂を用いる場合、そのタイプはオルソ系、イソ系、軟質系など、いずれでもよい。
【0028】
なお、ベース板15は、繊維強化樹脂層と他の材料層(例えば、耐熱性を上げるために不燃材や発泡不燃材など)との積層構造としてもよく、この場合には、両面15a,15bを繊維強化樹脂層とすることが好ましい。
【0029】
また、アンカー材16は、多数の孔部17aを有するポリエチレン繊維(特に高強度ポリエチレン繊維)、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの熱可塑性樹脂製の板材17により、両面に頂部が交互に形成される波形状に形成されている。さらに、このアンカー材16は、ベース板15の他主面15b側に対向する波形状の下側の頂部がそれぞれベース板15の他主面16b側の樹脂内に入り込む状態(頂部の内側に樹脂が回り込む状態)に埋設され、ベース板15に予め一体に設けられている。
【0030】
したがって、アンカー材16は、波方向に交差する方向に沿って、ベース板15の他主面16b側との間に空間部18がそれぞれ形成され、これら空間部18は、孔部17aによりアンカー材16の外側と連通している。
【0031】
ここで、板材17は、孔部17aから空間部18へと流れ込んだ高流動コンクリートC、あるいはその中の骨材などで押し潰されない程度の剛性を有し、その波形状は、上下の頂部を円弧状としたもの以外でも、クランク形状、あるいは折板形状のものなど任意の波形状とすることができ、また、その高さは、小さくなるとアンカー効果が小さくなり、大きくなるとアンカー効果は増すものの嵩張って保管などの取り扱いが困難となると共にコスト高となるので、これらを考慮して適宜設定できる。
【0032】
具体的に、この板材17の波形状は、アンカー効果および取り扱い性、コストなどのバランスを考慮し、アンカー材16をベース板15に取り付けた状態でのアンカー材16のベース板15からの突出高さが3〜30mm程度、より好ましくは5〜20mm程度とする。また、板材17の波形状のピッチは、好ましくは突出高さの0.5〜2倍程度とする。
【0033】
さらに、孔部17aの大きさは、高流動コンクリートCの通過を良好にするために、例えば2mm以上の開口面積を持つように設定することが好ましい。
【0034】
なお、図3において、孔部17aは一部のみを記載し、他の部分の孔部17aは省略されている。
【0035】
そして、各防食板8は、それぞれ通水路5の各面5a〜5dに対応する形状の四角形状に形成され、アンカー材16の波形状がカルバート本体6のスパン方向(図1の紙面に垂直な方向)に対して直交する方向、あるいは、このスパン方向に対して平行な方向に沿うようにカルバート本体6に固着されている。
【0036】
次に、上記一実施の形態のボックスカルバートの製造方法を説明する。
【0037】
まず、カルバート本体6の製造用の図示しない鋼製型枠を清掃し、この鋼製型枠に、予め成形された防食板8を、アンカー材16が内向きとなるように適宜固定する。
【0038】
次いで、防食板8の間をシーリング材でシールし、鋼製型枠内に鉄筋籠を設置して配筋するとともにボルト箱を取り付けて、その鋼製型枠内に高流動コンクリートCを打設すると、高流動コンクリートCがアンカー材16の波形状を押し潰すことなく孔部17aなどからその内部に入り込む。
【0039】
この後、蒸気養生により高流動コンクリートCの固化を促進すると、アンカー材16が高流動コンクリートC内に食い込みベース板15がカルバート本体6の通水路5の各面5a〜5dにそれぞれ固定された防食被覆が形成される。
【0040】
さらに、鋼製型枠の脱型の後、防食板8の目地部の処理を施し、出荷検査をしてボックスカルバート1を出荷する。
【0041】
そして、このようなボックスカルバート1を、図4に示すように、軸方向に順次連結することで、内部に暗渠が区画される。
【0042】
このように、ベース板15の他主面15b側に、多数の孔部17aを有する熱可塑性樹脂製の板材17により波形状に形成されたアンカー材16を予め一体に設け、このアンカー材16をカルバート本体6の成形により通水路5の内面と一体に固着することで、カルバート本体6の製造の際に、高流動コンクリートCが孔部17aを介してアンカー材16の波形状の内側である空間部18に入り込むので、アンカー材16がコンクリートに絡みついて防食板8がカルバート本体6と一体化され、防食板8をカルバート本体6の通水路5の内面に確実に固着できる。
【0043】
すなわち、カルバート本体6を成形する際に防食板8を同時に固着、すなわちボックスカルバート1の製造段階で防食被覆を施すことができるので、一般的なボックスカルバートの製造工程に大幅な変更を加えることなく、防食板8をカルバート本体6に容易に一体化でき、かつ、カルバート本体の成形後に防食板を取り付ける場合、あるいは作業者が手作業で施す塗布ライニング工法などと比較して、防食被覆の品質に作業者の技量が影響することがなく安定した品質で通水路5の内面に対して防食被覆でき、また、塗布作業用のスペースなども必要なく、さらには、鋼製型枠の脱型後にカルバート本体を乾燥させたり通水路内面を処理したりする時間も必要なくなり、工期の短縮を図ることができる。
【0044】
すなわち、ボックスカルバート1は、工場生産品であるため、性能を確認した上での使用が可能となり、高い品質を得ることができる。
【0045】
また、コンクリートを鋼製型枠内に打設した後、蒸気養生することで、コンクリートの固化を促進して、ボックスカルバート1の製造工期を、より短縮できる。
【0046】
すなわち、例えば硬質塩化ビニル、高密度ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂製のシートライニング材にリブ構造やスタッド構造を設けた従来のシートライニング工法などに用いられる防食板に対して、本実施の形態の防食板8は、熱硬化性樹脂とガラス繊維とでベース板15を形成したことにより、蒸気養生時の耐熱性に優れ、この蒸気養生時にベース板15の延びが抑制され、品質が確保されるとともに、防食板8自体の剛性も高くなり、かつ、アンカー材16を介して防食板8がカルバート本体6に全面的に一体化しているので、カルバート本体6のコンクリートの変形に対して防食板8全体が剥離することなく追従する。
【0047】
この結果、本実施の形態のボックスカルバート1は、防食性能の設計耐用年数が一般的なボックスカルバートの耐用年数である50年を超えるものと考えられ、耐用年数を長期化でき、施工性、品質、耐久性および経済性などの利点から、ライフサイクルコストなどを踏まえた下水道運営上のトータルコスト経済性に優れる。
【0048】
また、防食板8のアンカー材16をカルバート本体6に埋設するように固着することで、例えば防食板をカルバート本体の通水路の内面に、アンカーボルトなどの部品で固定して通水路との隙間にモルタルを充填して後工程により防食板をカルバート本体に固着する場合と比較して、防食板8の厚みにより通水断面が狭くなる量を抑制できるとともに、防食板8を取り付けるための部品なども必要ないので、製造コストをより抑制でき、かつ、通水路5の内面部分において、コンクリートの鉄筋への被りを低減しても防食板8により充分な強度を得ることができ、カルバート本体6の部材厚を低減でき、ボックスカルバート1当たりの材料コストを抑制できる。
【0049】
しかも、防食板8の一主面15aを平滑に形成することにより、防食板を設けない場合と比較して、通水路5の粗度係数が改善されるため、通水量が向上し、防食板8の厚みにより通水断面が若干狭くなっても、通水量を確保できる。
【0050】
さらに、防食板8を通水路5の略全体に固着することにより、ベース板15の剛性およびアンカー材16の特性などによりひび割れ強度および破壊強度が向上する。
【0051】
そして、カルバート本体6を高流動コンクリートCにより成形することで、この高流動コンクリートCの流動性により、成形時にこの高流動コンクリートCが防食板8に対して分離することなくアンカー材16の孔部17aからアンカー材16の空間部18へと浸透しやすくなるので、カルバート本体6への防食板8の固着性を向上できるとともに、締固めなどが不要となり、製造性をより向上できるとともに、複雑なカルバート本体6の形状にも容易に対応できる。
【0052】
すなわち、高流動コンクリートCを用いたプレキャストコンクリート製のカルバート本体6に上記のような防食板8を適用することで、例えばアンカー材を植毛状とする従来の防食板では、高流動コンクリートの高流動性により防食板を構造体本体に確実に固着することが容易でなかったのに対して、上記一実施の形態では、高流動コンクリートCの高流動性を逆に利用してアンカー材16の空間部18内に高流動コンクリートCを確実に充填することが可能となるから、防食板8をカルバート本体6の通水路5の各面5a〜5dに、確実に固着できる。
【0053】
また、アンカー材16を波形状としたことで、流れ込んだ高流動コンクリートCで押し潰されない程度の剛性を容易に付与でき、また、波形形状のアンカー材16は波形の進行方向(頂部の延びる方向に直交する方向)に曲げやすいので、防食板8の製造、あるいは使用に際して有利となる。
【0054】
さらに、経時的にコンクリートに部分的なひび割れや損傷が発生した場合でも、防食板8によりコンクリート片などの剥落防止効果が期待され、部分的な陥没防止ともなり、安全性が向上する。
【0055】
また、各種樹脂により防食板8を形成するので、防食板8を軽量化でき取り扱いが容易になる。
【0056】
そして、上記ボックスカルバート1の耐久性能を確認するため、ボックスカルバート1を用いた各種実証試験および試験体を用いた要素試験を実施した結果、カルバート本体6と防食板8との一体性においては、ひび割れ荷重までに防食板8がカルバート本体6から剥離せず、対荷能力が設計荷重を上回り、防食性においては、日本下水道事業団(JS)指針のシートライニング工法(D種)の品質規格に適合し、耐薬品性においては、日本下水道協会規格(JSWAS)K−2「下水道用強化プラスチック複合管」の耐薬品性試験を満たし、耐摩耗性においては、高強度コンクリートよりも優れ、耐衝撃性においては、漂流物により破損しない耐衝撃性を有し、かつ、平滑性においては、粗度係数が0.01以下であるなどの結果を得た。
【0057】
なお、上記一実施の形態において、カルバート本体6は、例えば断面U字状、あるいは逆T字状など、他の様々な形状のものとすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施の形態のボックスカルバートを示す正面図である。
【図2】同上ボックスカルバートの一部を拡大して示す断面図である。
【図3】同上ボックスカルバートの防食板を示す斜視図である。
【図4】同上ボックスカルバートの使用状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ボックスカルバート
2 床版部
3 壁部としての側壁部
5 通水路
6 カルバート本体
8 防食板
15 ベース板
16 アンカー材
C 高流動コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床版部と、この床版部に設けられた壁部とを少なくとも備え、これら床版部と壁部とにより通水路の少なくとも一部を区画するコンクリート製のカルバート本体と、
このカルバート本体の前記通水路の内面の略全体に一体に設けられた防食板とを具備し、
前記防食板は、
少なくとも一主面側が繊維強化樹脂により形成されたベース板と、
多数の孔部を有する熱可塑性樹脂製の板材により波形状に形成され、前記ベース板の他主面側に予め一体に設けられているとともに、前記カルバート本体の成形により前記通水路の内面と一体に固着されるアンカー材とを備えている
ことを特徴としたボックスカルバート。
【請求項2】
カルバート本体は、高流動コンクリートにより成形されている
ことを特徴とした請求項1記載のボックスカルバート。
【請求項3】
床版部と、この床版部に設けられた壁部とを少なくとも備え、これら床版部と壁部とにより通水路の少なくとも一部を区画するコンクリート製のカルバート本体と、このカルバート本体の前記通水路の内面の略全体に設けられた防食板とを具備し、前記防食板が、少なくとも一主面側が繊維強化樹脂により形成されたベース板と、多数の孔部を有する熱可塑性樹脂製の板材により波形状に形成され、前記ベース板の他主面側に予め一体に設けられたアンカー材とを備えたボックスカルバートの製造方法であって、
前記カルバート本体成形用の型枠内に前記防食板を配設し、
前記型枠内に配筋し、
前記型枠内にコンクリートを打設して、前記防食板のアンカー材をコンクリートに一体に固着する
ことを特徴としたボックスカルバートの製造方法。
【請求項4】
型枠内にコンクリートを打設した後、蒸気養生する
ことを特徴とした請求項3記載のボックスカルバートの製造方法。
【請求項5】
コンクリートは、高流動コンクリートである
ことを特徴とした請求項3または4記載のボックスカルバートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−38453(P2008−38453A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−213781(P2006−213781)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(391034499)鶴見コンクリート株式会社 (15)
【出願人】(000003975)日東紡績株式会社 (251)
【Fターム(参考)】