説明

ボックス

【課題】別体をなす設置部材に対して、簡易に着脱および固定を行ない得るようにする。
【解決手段】ボックス10は、別体をなす設置部材60に着脱自在に載置されるボックス本体12と、ボックス本体12の上部開口を閉成するボックスリッド14と、ボックスリッド14の外面所要位置に配設され、非使用状態と使用状態とに姿勢変位可能なグリップ部材56と、ボックス本体12の所要位置に設けられ、設置部材60に設けた係止受部材66に対し係脱可能な係止部材100とからなる。グリップ部材56を使用状態に姿勢変位させると、係止部材100と係止受部材66とが非係止状態となって設置部材60に対するボックス本体12の離脱が許容され、グリップ部材56を非使用状態に姿勢変位させると、係止部材100と係止受部材66とが係止状態となって設置部材60に対するボックス本体12の固定が許容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボックスに関し、更に詳細には、別体をなす設置部材に対して着脱自在に載置されるボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
種々物品の収納を可能とした各種形態のボックスが実用化されている。このようなボックスは、有底筒体状を呈して物品収納部を内部画成したボックス本体と、このボックス本体の上部に枢設されて物品収納部の上部開口を開閉可能なボックスリッドとを有している。また、持ち上げたり持ち運びを可能とする場合には、前述したボックス本体またはボックスリッドの所要位置に取っ手形態のグリップ部材が配設されており、このグリップ部材を把持しながらボックスを全体的に持ち上げ得るようになっている。
【0003】
また前述したボックスは、使用形態から分類すると、(a)それ単体として実施に供されるもの、(b)適宜部位に固定または設けられて別体をなす設置部材と共にユニット化されて該設置部材に対して着脱可能であり、この設置部材に取り付けた場合および該設置部材から取り外した場合の両方で実施に供されるもの、等に大別される。ここで前述した設置部材が、例えば自動車の乗員室内等に設置される車両内装部材等、不安定な機械や装置等に固定したりまたはその一部をなす部材である場合、このボックスと設置部材との間に適宜のロック機構を装備して、振動や傾き等を起因とした該ボックスの脱落等を防止する対策が講じられている。例えば特許文献1は、自動車の乗員室内に設置される車両用コンソールボックスであって、コンソール受け台からコンソールボックス本体を着脱可能とした構成のコンソールボックスが開示されている。そして、特許文献1の図4等には、コンソール受け台に設けたストッパー孔、コンソールボックス本体に設けたロックピンおよびロックピン解除ボタン等から構成された所謂ロック機構が開示されている。
【特許文献1】特開2001−80422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示した車両用コンソールボックスでは、走行中に振動や傾き等が付与されたとしても、コンソールボックス本体がコンソール受け台から脱落することを好適に防止し得る構造となっている。しかしながら、コンソール受け台からコンソールボックス本体を取り外す場合には、両手で各ロック解除ボタンを同時に操作する必要があり、片手での取り外し作業が不可能な欠点を内在している。しかも、各ロック解除ボタンがコンソールボックス本体の両側面に設けられていると共に、該ロック解除ボタンは解除状態に保持することができないため、身体を大きく捻ったかなり不自然な姿勢での取り外し作業を余儀なくされる問題等も内在していた。
【0005】
本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、別体をなす設置部材に対して簡易に着脱および固定を行ない得るようにしたボックスを提供することをその目的とする。
【0006】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため本発明に係るボックスは、
別体をなす設置部材に着脱自在に載置されるボックス本体と、
前記ボックス本体の上部開口を閉成するボックスリッドと、
前記ボックス本体またはボックスリッドの外面所要位置に配設され、非使用状態と使用状態とに姿勢変位可能なグリップ部材と、
前記ボックス本体の所要位置に設けられ、前記設置部材に設けた係止受部材に対し係脱可能な係止部材とからなり、
前記グリップ部材を使用状態に姿勢変位させると、前記係止部材と前記係止受部材とが非係止状態となって前記設置部材に対する前記ボックス本体の離脱が許容される一方、
前記グリップ部材を非使用状態に姿勢変位させると、前記係止部材と前記係止受部材とが係止状態となって前記設置部材に対する前記ボックス本体の固定が許容されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るボックスによれば、グリップ部材を使用状態に姿勢変位させると、係止部材と係止受部材とが非係止状態となって設置部材に対するボックスの離脱を許容する一方、グリップ部材を非使用状態に姿勢変位させると、係止部材と係止受部材とが係止状態となって設置部材に対するボックスの固定を許容し得る。すなわち、グリップ部材の姿勢変位操作のみで、設置部材に対する着脱および固定を図ることができる利点がある。しかもグリップ部材は、ボックスリッドの上面に配設するようにした場合、着脱および固定に係る操作を片手で行なうことが可能であり、極めて簡単かつ容易に着脱および固定を行ない得る等の有益な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明に係るボックスにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例】
【0009】
図1は、好適実施例に係るボックスを、別体をなす設置部材に対して装着する状態で示した説明斜視図、図2は、図1のII−II線断面図、図3は、設置部材に対するボックスの着脱を実現するための連繋機構等を示した説明斜視図である。本実施例のボックス10は、別体をなして適宜部位に固定または設置される設置部材60と共にユニット化され、この設置部材60に対して着脱可能でかつ固定可能であり、該設置部材60に取り付けた(固定した)場合および該設置部材60から取り外した(離脱させた)場合の両方で実施に供し得るものである。
【0010】
ボックス10は、物品収納部16を画成した矩形の有底箱状をなすボックス本体12と、このボックス本体12に開閉および着脱可能に配設されるボックスリッド14とから構成されている。ボックス本体12は、有底箱状に形成されてボックス10の外部へ露出する合成樹脂製の外側ケース部材20と、この外側ケース部材20より一回り小さい有底箱体状に形成されて、前述した物品収納部16の内面として機能する合成樹脂製の内側ケース部材22とからなり、これら外側ケース部材20と内側ケース部材22との間に適宜の本体空間24を画成した二重箱形態となっている。そして本体空間24内には、後述する連繋機構70の第2連繋部74を構成する種々連繋部材等が配設されている。
【0011】
ボックス本体12の上部には、上部開口部18を挟んだ長手方向における両端縁に、所要量だけ上方へ突出した本体突出部26,26が形成されており、上部開口部18へ臨む内壁面26Aの両端部近傍には、前述したボックスリッド14の開閉動作時の支点として機能する回動支軸28と、該ボックスリッド14の開放角度に規定する開放規制ピン30とが、水平に延出した姿勢で夫々配設されている。また、ボックス本体12の上部において、上部開口部18を挟んだ短手方向における両端縁には、連繋機構70の第2連繋部74を構成する昇降ロッド部材96を外方(上方)へ臨ませるための本体開口32が、夫々2つずつ形成されている。なお、本体空間24に臨む外側ケース部材20の内壁面および内側ケース部材22の外壁面には、前述した昇降ロッド部材96の昇降スライドを案内するためのリブ片34,34が、鉛直状に突設されている。
【0012】
また、ボックス本体12の下部部分における両端縁部は、設置部材60に設けた後述の部材突出部64,64が整合する本体陥凹部36,36が形成されている。そして、これら本体陥凹部36,36の垂直面から底面に至る隅角部には、前述した部材突出部64,64に設けた後述の係止ピン(係止受部材)66の挿通を許容するL字状のスリット38が、該係止ピン66が整合するようになる位置に形成されている。
【0013】
ボックスリッド14は、逆トレー状の表側リッド部材40とトレー状の裏側リッド部材42とからなり、両リッド部材40,42の内部にリッド空間44を画成した中空体となっている。そして、ボックスリッド14の表側中央には、取っ手形態をなすコ字形のグリップ部材56,56が回動可能に配設されており、表側リッド部材40には該グリップ部材56,56を収容するための収容部46が陥設されている。これらグリップ部材56は、前述した収容部46に収容されるように倒伏した非使用状態と、ボックスリッド14の表面から略垂直に起立した使用状態とに、指先操作により姿勢変位可能となっている。各グリップ部材56は、倒伏した非使用状態と起立した使用状態の夫々において、姿勢保持されるようになっている。
【0014】
また、ボックスリッド14の短手方向における端縁部中央には、当該ボックスリッド14の開閉および着脱に際して指先操作を行なう操作レバー48,48が配設されている。これら操作レバー48の両端には、ボックスリッド14の長手方向へ延在する2本のロッド部材50,50が同一軸線上に連結され、これらロッド部材50,50が裏側リッド部材42に設けた軸支部52,52に回動可能に支持されている。そして、各ロッド部材50,50の他端部には、前述したボックス本体12の本体突出部26,26に配設した回動支軸28に係脱可能に係止する係止フック54,54が配設されている。このような各々の操作レバー48は、図示しない捻りバネ等の付勢部材により、常には係止フック54が回動支軸28へ係止した状態となる角度で付勢保持されており、指先でボックスリッド14の表面側へ引き上げるように回動させることで、回動支軸28に対する係止フック54の係止を解除させ得るようになっている。
【0015】
従って、例えば図4における手前側(図示左側)の操作レバー48を指先操作すると、この操作レバー48に連結した係止フック54と回動支軸28との係止が解除され、奥側(図示右側)の操作レバー48に連結した係止フック54と回動支軸28とは係止状態のままとなっているため、図10に例示したように、奥側をヒンジポイントとしてボックスリッド14を開放させ得る。また逆に、図4における奥側(図示右側)の操作レバー48を指先操作すると、この操作レバー48に連結した係止フック54と回動支軸28との係止が解除され、手前側(図示左側)の操作レバー48に連結した係止フック54と回動支軸28とは係止状態のままとなっているため、図示省略するが図4の手前側をヒンジポイントとしてボックスリッド14を開放させ得る。更に、手前側および奥側の両方の操作レバー48,48を同時に指先操作すると、夫々の操作レバー48,48に連結した係止フック54,54と回動支軸28,28との係止が同時に解除されるため、上方へ引き上げながらボックスリッド14をボックス本体12から取り外し得る。
【0016】
ボックス10と別体をなす設置部材60は、その上面がボックス10を載置するための載置部62として機能すると共に、この載置部62の両側に所要量だけ上方へ突出した部材突出部64,64が、対向的に形成されている。そして、各々の部材突出部64,64の載置部62へ臨む内壁面64Aの両端部近傍には、前述したボックス本体12を固定するための係止ピン66が、水平に延出した姿勢で配設されている。これら部材突出部64,64は、ボックス本体12に形成した前述の本体陥凹部36,36へ夫々整合するようになっており、載置部62へ載置するボックス10の位置決めを図ると共に、該載置部62へ載置した該ボックス10を安定的に支持するために機能する。なお設置部材60の形状は、図1等に例示したものに限定されるものではなく、様々な形状に設定し得ることは勿論であり、またこれ自体が単体として適宜の部位に固定されたり、或いは車両の乗員室内に設置される車両内装部材(インストルメントパネル、フロアコンソール、フロアパネル等)の種々機械、装置等に配設される部材の一部として設けられることもある。
【0017】
次に、前述のように構成された設置部材60に対するボックス10の着脱形態につき、図面を参照しながら説明する。
【0018】
設置部材60に対するボックス10の着脱を実現する構造は、ボックス本体12の外面所要位置に配設され、倒伏した非使用状態と起立した使用状態とに姿勢変位可能な前述のグリップ部材56と、ボックス本体10の所要位置に設けられ、前述した設置部材60に設けた係止ピン(係止受部材)66に対し係脱可能な係止フック(係止部材)100とからなっている。そして後述するように、ボックス10に配設されたグリップ部材56を使用状態(起立状態)に姿勢変位させると設置部材60に対する当該ボックス10の離脱(着脱)が許容される一方、グリップ部材56を非使用状態(倒伏状態)に姿勢変位させると設置部材60に対する当該ボックス10の固定が許容される構造となっている。
【0019】
このような着脱形態では、前述したグリップ部材56の姿勢変位に対して係止フック100を連動させるため、これらグリップ部材56と係止フック100とは連繋機構70により連繋されている。ここで本実施例のボックス10は、前述したように、物品収納部16を画成したボックス本体12と、このボックス本体12に開閉および着脱可能に配設されるボックスリッド14とから構成されていて、グリップ部材56はボックスリッド14に配設されると共に、係止フック100はボックス本体12の底部に配設されている。従って連繋機構70は、ボックスリッド14のリッド空間44内に配設されて、グリップ部材56に連繋する第1連繋部72と、ボックス本体12の本体空間24内に配設されて、第1連繋部72および係止フック100に夫々連繋する第2連繋部74とから構成されている。
【0020】
ボックスリッド14のリッド空間44内に配設される第1連繋部72は、図2および図3等に例示するように、グリップ部材56を回動可能に支持する支軸ピン76に配設された回動レバー部材78と、裏側リッド部材42に形成されたレール80に沿ってスライド移動可能に配設され、該回動レバー部材78に連繋するスライド部材82と、裏側リッド部材42に形成されたガイド壁84に沿ってスライド移動可能に配設され、スライド部材82に連繋する押圧部材86とから構成されている。各スライド部材82の内側には、例えば圧縮バネ形態の付勢部材88が内装されており、両スライド部材82は相互に近接する方向へ付勢されている。なお第1連繋部72は、1つのグリップ部材56に対して2系列が並設されており、夫々が同期的に作動するようになっているので、同一部材、部位には同一の符号を付して説明する。
【0021】
回動レバー部材78は、グリップ部材56に対して90°の位相差を以て支軸ピン76に固定されている。すなわち、グリップ部材56がボックスリッド14へ倒伏した非使用状態においては(図4〜図6)、鉛直下方を指向した垂下姿勢に保持される一方、グリップ部材56を起立させた使用状態においては(図1、図2)、対応のスライド部材82側を指向した水平姿勢に変位して保持されるようになっている。
【0022】
前述したスライド部材82は、前述したレール80に沿ってスライド移動する箱体状を呈しており、ボックスリッド14の中央方向へ変位した第1位置(図5)と、該ボックスリッド14の側方へ変位した第2位置(図2)との間でスライド可能となっている。そして両側壁面における先端側には、図2等に例示したように、その先端に向け所要角度で上方傾斜する案内溝90,90が対向的に形成されており、これら案内溝90,90に前述した押圧部材86に設けた係止ピン92,92が、スライド移動可能に嵌合している。またスライド部材82の内部には、前述したように、レール80に沿って延在する付勢部材88が内装されており、当該のスライド部材82は常に前述した第1位置の方向へ付勢されている。
【0023】
ガイド壁84により支持された押圧部材86は、前述した係止ピン92がスライド部材82に形成した傾斜状の案内溝90に嵌合されているため、該スライド部材82のスライド移動に伴って係止ピン92が案内溝90に沿って移動することで、該ガイド壁84に沿って昇降移動するようになっている。すなわち、スライド部材82が前述した第1位置に位置している場合は、図5に例示したように、係止ピン92が案内溝90の最上位置に到来しているため、押圧部材86は、裏側リッド部材42に形成したリッド開口58から突出せずにボックスリッド14内へ完全に収容されるようになる。一方、スライド部材82が前述した第2位置に変位した場合は、図2に例示したように、係止ピン92が案内溝90に沿って移動して該案内溝90の最下位置に到来するようになるため、押圧部材86は、裏側リッド部材42に形成したリッド開口58を介してボックスリッド14の裏面から所要量だけ突出するようになっている。
【0024】
従って図5に例示したように、グリップ部材56を非使用状態に倒伏させた場合には、付勢部材88の弾力付勢によりスライド部材82が第1位置へ移動して停止するようになり、押圧部材86がボックスリッド14内へ完全に収容される。また図2に例示したように、グリップ部材56を使用状態に起立させた場合には、回動レバー部材78に押圧されてスライド部材82が第2位置へ移動するようになり、押圧部材86がボックスリッド14の裏面から突出するようになる。
【0025】
ボックス本体12の本体空間24内に配設される第2連繋部74は、図2および図3等に例示するように、該本体空間24の側方部分に略垂直状態で昇降可能に配設される昇降ロッド部材96と、該本体空間24の底部分において略水平状態で回動可能に配設され、前述した昇降ロッド部材96に連繋する回動ロッド部材98とからなり、この回動ロッド部材98の両端部に前述の係止フック(係止部材)100が固定されている。そして、前述した回動ロッド部材98の所要位置には、図示しない捻りバネ等の付勢部材が配設されており、常には前述した昇降ロッド部材96を上昇させる方向へ回動付勢されている。なお第2連繋部74には、2本の昇降ロッド部材96,96が配設されており、前述した第1連繋部72の各押圧部材86,86に対応している。
【0026】
各々の昇降ロッド部材96は、前述すると共に図2に例示したように、ボックス本体12を構成する外側ケース部材20および内側ケース部材22に形成したリブ片34,34により、姿勢保持されながら昇降するようになっている。そして、その上端面102はボックス本体12の上端面に形成した前述の本体開口32に臨んでいると共に、その下端面104は、前述した回動ロッド部材98に設けたレバー体106のレバー部に当接している。この本体開口32は、ボックスリッド14の裏面に形成した前述のリッド開口58と夫々一致するようになっており、該ボックスリッド14をボックス本体12へ閉成した状態においては、昇降ロッド部材96の上端面102が前述の押圧部材86の先端に整合する。なお、各々の昇降ロッド部材96には複数のリブ96Aが形成されており、このリブ96Aが前述したリブ片34,34に摺接するようになっている。
【0027】
回動ロッド部材98は、前述したレバー体106と、このレバー体106の両端に対して同一軸線上に連結した支軸108,108とからなり、外側ケース部材20に設けた軸支部110,110に各支軸108,108が支持されることで回動可能となっている。そして、常には前述した昇降ロッド部材96を上昇させる方向へ回動付勢されているものの、該ロッド部材96が上方から押圧された場合には、付勢部材の付勢力に抗して反対方向へ回動するようになっている。
【0028】
前述した各支軸108,108の他端部に配設した係止フック100は、前述したボックスリッド14に配設した係止フック54と基本的に同一のものであって、前述した設置部材60の部材突出部64,64に配設した係止ピン66に係脱可能に係止するようになっている。そして、回動ロッド部材98が付勢部材の付勢力により回動規制位置まで回動付勢されている場合には、図5および図6の状態、すなわちスリット38の上方へ延出して係止ピン66に係止した係止位置へ姿勢変位する。一方、昇降ロッド部材96が下方へ移動して回動ロッド部材98が回動変位した場合には、図8および図9の状態、すなわちスリット38の上方から退避して係止ピン66に対する係止が解除された非係止位置へ姿勢変位するようになっている。
【0029】
従って、前述した第1連繋部72および第2連繋部74から構成される連繋機構70は、グリップ部材56を使用状態に起立させた場合には、前述したように、相互に整合したリッド開口58介して突出した押圧部材86が、本体開口32を介して昇降ロッド部材96を押し下げるようになるので、図8および図9に例示するように、回動ロッド部材98が回動して係止フック100が非係止位置へ姿勢変位する。これにより、係止フック100と係止ピン66との係止が解除されるため、設置部材60に対するボックス10の離脱(着脱)が許容されるようになる。一方、グリップ部材56を非使用状態に倒伏させた場合には、前述したように、押圧部材86がリッド開口58からボックスリッド14内へ収容されるため、図5および図6に例示するように、回動ロッド部材98が付勢部材により回動付勢されて係止フック100が係止位置へ姿勢変位する。これにより、係止フック100が係止ピン66に係止するようになるため、載置部62に載置したボックス10が設置部材60へ固定されるようになる。
【0030】
次に、前述のように構成された本実施例に係るボックスの作用について説明する。
【0031】
本実施例のボックス10は、前述した設置部材60から取り外した状態で単体としても実施可能であり、また該設置部材60に固定した状態でも実施可能となっている。そして持ち上げたり持ち運ぶ際には、前述した各グリップ部材56をボックスリッド14から起立させて使用状態とすることで、手で把持することが可能となる。また、適宜に位置に載置して保管する場合は、前述した各グリップ部材56をボックスリッド14へ倒伏させて収容部46へ収納する。
【0032】
そして、ボックス10を設置部材60へ固定する場合には、先ず各グリップ部材56を起立させて使用状態とする。これにより各係止フック100は、スリット38の上方から退避して非係止位置へ姿勢変位するようになる。このもとで、グリップ部材56を把持しながら持ち上げたボックス10を設置部材60の上方へ到来させ(図1、図2)、該設置部材60の載置部62へゆっくりと載せる。そして、ボックス10を載置部62に対して適切に載置すると、図4〜図6に例示したように各係止ピン66は、対応のスリット38に嵌合して該スリット38を介してボックス本体12の本体空間24内へ突入した状態となり、当該ボックス10の位置決めが図られる。
【0033】
そして、設置部材60に対してボックス10を適切にセットしたら、図5および図6に例示したように、各々のグリップ部材56を倒伏させて非使用状態とする。これにより各係止フック100は、スリット38の上方へ延出して係止位置へ姿勢変位するようになり、対応の係止ピン66に対して係止した状態となる。従って、グリップ部材56を非使用位置へ姿勢変位させることにより、4つの各係止フック100が対応の係止ピン66に夫々係止されるため、設置部材60に対するボックス10の固定が許容される。これにより、設置部材60が揺れたり傾いても、該設置部材60からボックス10が脱離することが好適に防止される。
【0034】
一方、設置部材60に固定したボックス10を該設置部材60から取り外す場合は、図7〜図9に例示するように、倒伏させて非使用状態に保持されていた各グリップ部材56を夫々起立させて使用状態とする。これにより各係止フック100は、スリット38の上方から退避して非係止位置へ姿勢変位するようになる。このもとで、各グリップ部材56を把持してボックス10を持ち上げると、各係止ピン66は、対応のスリット38から抜け出るようになり、設置部材60に対するボックス10の取り外しが許容される。
【0035】
このように本実施例に係るボックス10では、グリップ部材56を使用状態に姿勢変位させると、係止フック100と係止ピン66とが非係止状態となって設置部材60に対するボックス10の離脱(着脱)が許容される一方、グリップ部材56を非使用状態に姿勢変位させると、係止フック100と係止ピン66とが係止状態となって設置部材60に対するボックス10の固定が許容される。すなわち、グリップ部材56の姿勢変位操作のみで、設置部材60に対する着脱および固定を図ることができる。しかもグリップ部材56は、ボックスリッド14の上面に配設されており、片手での着脱操作および固定操作が可能であり、設置部材60に対する着脱を極めて簡単かつ容易に行ない得る。
【0036】
なお前述した実施例では、グリップ部材56と係止フック100とを連動させる連繋機構70を、適宜の機械的な構成部品から構成した場合を例示したが、この連繋機構70は、適宜の電気的な構成部品から構成することも可能である。例えば、前述したボックスリッド14に、グリップ部材56の姿勢変位に基づいてON・OFF制御されるスイッチ部材を配設すると共に、前述したボックス本体12に、このスイッチ部材の信号に基づいて作動制御され、前述した係止フック100を係止位置と非係止位置とに姿勢変位させる作動部材(電磁ソレノイド、電気モータ等)を配設した構成としてもよい。このような電気的な部材構成であっても、グリップ部材56の姿勢変位操作のみで、設置部材60に対するボックス10の着脱および固定を図ることができる。
【0037】
また前述した実施例では、グリップ部材56をボックスリッド14の上面に配設した構成を例示したが、このグリップ部材56は、ボックス本体12の上面等に配設した構成であっても、設置部材60に対するボックス10の着脱が実現可能である。また、連繋機構70の第1連繋部72および第2連繋部74は、前述した実施例の態様に限定されるものではなく、様々な構成態様として実施することが可能である。
【0038】
更に前述した実施例では、ボックスリッド14に対して回動可能に配設したグリップ部材56を例示したが、このグリップ部材の形態はこれに限定されるものではなく、例えば常にはボックスリッド14に対して起立した状態に保持されて、該ボックスリッド14へ押し込んで収容した非使用状態および該ボックスリッド14から引き出して突出させた使用状態に姿勢変位可能な形態のグリップ部材等であっても好適に実施可能である。
【0039】
更に前述した実施例では、開閉および着脱可能なボックスリッド14を例示したが、このボックスリッド14の形態はこれに限定されるものではない。すなわち、開閉のみ可能で着脱が不可能なボックスリッドや、着脱のみが可能なボックスリッドも実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本願のボックスは、別体をなす設置部材に対して簡易に着脱および固定を行ない得るようにしたもので、グリップ部材を有する種々形態のものに応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】好適実施例に係るボックスを、別体をなす設置部材に対して装着する状態で示した説明斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】設置部材に対するボックスの着脱を実現するための連繋機構等を示した説明斜視図である。
【図4】設置部材にセットしたボックスを、グリップ部材を非使用位置に倒伏させることで該設置部材へ固定した状態を示した斜視図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図4のVI−VI線断面図である。
【図7】設置部材に固定されていたボックスを、グリップ部材を使用位置に起立させることで取り外し可能とした状態を示した斜視図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図7のIX−IX線断面図である。
【図10】ボックスリッドを開放した状態で示したボックスの斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
12 ボックス本体
14 ボックスリッド
56 グリップ部材
60 設置部材(車両内装部材)
66 係止ピン(係止受部材)
70 連繋機構
78 回動レバー部材
82 スライド部材
86 押圧部材
96 昇降ロッド部材
98 回動ロッド部材
108 支軸
100 係止フック(係止部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
別体をなす設置部材(60)に着脱自在に載置されるボックス本体(12)と、
前記ボックス本体(12)の上部開口を閉成するボックスリッド(14)と、
前記ボックス本体(12)またはボックスリッド(14)の外面所要位置に配設され、非使用状態と使用状態とに姿勢変位可能なグリップ部材(56)と、
前記ボックス本体(12)の所要位置に設けられ、前記設置部材(60)に設けた係止受部材(66)に対し係脱可能な係止部材(100)とからなり、
前記グリップ部材(56)を使用状態に姿勢変位させると、前記係止部材(100)と前記係止受部材(66)とが非係止状態となって前記設置部材(60)に対する前記ボックス本体(12)の離脱が許容される一方、
前記グリップ部材(56)を非使用状態に姿勢変位させると、前記係止部材(100)と前記係止受部材(66)とが係止状態となって前記設置部材(60)に対する前記ボックス本体(12)の固定が許容される
ことを特徴とするボックス。
【請求項2】
前記グリップ部材(56)と前記係止部材(100)とは、ボックス本体(12)および/またはボックスリッド(14)に配設された連繋部材(78,82,86,96,98,108)からなる連繋機構(70)により、相互に連動可能となっている請求項1記載のボックス。
【請求項3】
前記設置部材(60)は、車両の乗員室内に設置される車両内装部材である請求項1または2記載のボックス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−44712(P2006−44712A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226077(P2004−226077)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】