説明

ボトム衣類

【課題】着用感や外観を損なう虞を大きく低減しつつ、二以上の体型補整機能を実現することが可能なボトム衣類を提供する。
【解決手段】ガードル1は、左右の身頃10を備える。身頃10は、伸縮抑制部16と、臀部緊締部20と、臀部被覆部22と、大腿部緊締部24とを有する。大腿部緊締部24は、臀部緊締部20及び臀部被覆部22と比較して緊締力が大きくなっている。臀部緊締部20は、臀部被覆部22と比較して緊締力が大きくなっている。伸縮抑制部16は、他の部分と比較して伸縮し難くなっている。左右の各身頃10(伸縮抑制部16、臀部緊締部18、臀部緊締部20及び臀部被覆部22、大腿部緊締部24)は、一体的に編成された経編地30によってそれぞれ構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトム衣類、特に、体に密着して着用するボトム衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状の緊締部を有する衣類(ガードル)が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。この緊締部は、その長手方向において、緊締力が相対的に強い部分と緊締力が相対的に弱い部分とが切り替わるように、経編機によって構成されている。緊締部のうち緊締力が相対的に強い部分は、着用者がガードルを着用したときに、着用者の大腿部の前方中央部に相当する箇所に位置している。緊締部のうち緊締力が相対的に弱い部分は、着用者がガードルを着用したときに、大腿部の前方中央部以外の部分であって大腿部を囲むように配置されている。そのため、緊締力が相対的に強い部分によって着用者の大腿四頭筋が強く緊締されると共に、緊締力が相対的に強い部分及び緊締力が相対的に弱い部分によって着用者の大腿部全体についても十分に緊締されるので、歩行に際して脚を大きく蹴ることができ、美しい体型を保つことができるようになっている。
【0003】
また、従来、緊締力が相対的に強い部分と緊締力が相対的に弱い部分とを有する衣類(ガードル)が知られている(例えば、下記特許文献2参照)。このガードルは、緊締力が相対的に強い部分及び緊締力が相対的に弱い部分が帯状であり且つカーブした連続パターンである経編地によって構成されている。ガードルにおいては、帯状であり且つカーブしている緊締力が相対的に強い部分及び緊締力が相対的に弱い部分がヒップの膨らみの下から脇腹にかけて設けられている。そのため、緊締力が相対的に強い部分及び緊締力が相対的に弱い部分によってガードルにヒップアップ機能が付与されるので、ヒップ形状を整えることができるようになっている。
【0004】
さらに、従来、ループが経方向に連綴される地編地と共に柄が編成されて構成された経編地が知られている(例えば、下記特許文献3参照)。この経編地は、ループに対して挿入された弾性糸の緯方向における振りが互いに異なる複数種類の地編領域を有しており、この複数種類の地編領域が経方向に繰り返して連続している。
【特許文献1】特開2007−113125号公報
【特許文献2】特許第3023354号公報(特開2000−8023号公報)
【特許文献3】登録実用新案第3136451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1〜3に記載されているような従来の衣類(特に、ガードル等の下着類)では、経編地の編構造に工夫を施すことで、体型の補整機能(大腿部の緊締やヒップアップ)を実現している。しかしながら、従来の衣類においては、一の経編地を用いたときに一の体型補整機能を実現できるものの、二以上の体型補整機能を実現するためには当て布などを要するものであった。当て布を用いる場合には、当て布が縫製された部分が嵩張ってしまうので、通気性が低下する虞や、アウターウェアに下着のラインが浮き出て、着用者の外観を損なう虞が高まってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、着用感や外観を損なう虞を大きく低減しつつ、二以上の体型補整機能を実現することが可能なボトム衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るボトム衣類は、着用状態において右大腿部の外側部分の少なくとも一部を覆うと共に上下方向に沿って延在する右側伸縮抑制部と、着用状態において左大腿部の外側部分の少なくとも一部を覆うと共に上下方向に沿って延在する左側伸縮抑制部と、着用状態において右臀部の下縁に沿って延在する右臀部緊締部と、着用状態において左臀部の下縁に沿って延在する左臀部緊締部と、着用状態において右臀部の少なくとも頂点を覆う右臀部被覆部と、着用状態において左臀部の少なくとも頂点を覆う左臀部被覆部とを備え、右側伸縮抑制部及び左側伸縮抑制部は、着用状態において上下方向に沿って延在すると共に、右臀部緊締部、左臀部緊締部、右臀部被覆部及び左臀部被覆部よりも伸縮し難く、右臀部緊締部及び左臀部緊締部は、右臀部被覆部及び左臀部被覆部よりも緊締力が大きく、右側伸縮抑制部、右臀部緊締部及び右臀部被覆部は、一体的に編成された一の経編地から構成され、左側伸縮抑制部、左臀部緊締部及び左臀部被覆部は、一体的に編成された一の経編地から構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るボトム衣類では、着用状態において、相対的に伸縮し難い右側伸縮抑制部によって右大腿部の外側部分が覆われると共に、相対的に伸縮し難い左側伸縮抑制部によって左大腿部の外側部分が覆われる。そのため、着用者の右大腿部の外側部分及び左大腿部の外側部分が右側伸縮抑制部及び左側伸縮抑制部によってそれぞれ引き締められることとなるので、右大腿部の外側部分及び左大腿部の外側部分の膨出が抑制され、美しくすっきりしたボディラインを作り出すことが可能となる。
【0009】
また、本発明に係るボトム衣類では、着用状態において、相対的に緊締力が大きい右臀部緊締部によって右臀部の下縁が覆われると共に、相対的に緊締力が大きい左臀部緊締部によって左臀部の下縁が覆われる。そのため、右臀部及び左臀部が右臀部緊締部及び左臀部緊締部によってそれぞれしっかりと支えられることとなるので、ヒップアップ機能が発揮されることとなる。
【0010】
また、本発明に係るボトム衣類では、右側伸縮抑制部、右臀部緊締部及び右臀部被覆部が一体的に編成された一の経編地から構成され、左側伸縮抑制部、左臀部緊締部及び左臀部被覆部が一体的に編成された一の経編地から構成されている。つまり、上記の2つの体型補整機能が、右半身及び左半身においてそれぞれ一の経編地で提供されることとなる。そのため、当て布等を用いていないので、二つの体型補整機能を実現しつつ着用感や外観を損なう虞を大きく低減することが可能となっている。
【0011】
好ましくは、右側伸縮抑制部、右臀部緊締部及び右臀部被覆部は、同一の糸によって右臀部被覆部、右臀部緊締部及び右側伸縮抑制部の順で連続的に編成されており、左側伸縮抑制部、左臀部緊締部及び左臀部被覆部は、同一の糸によって左臀部被覆部、左臀部緊締部及び左側伸縮抑制部の順で連続的に編成されている。
【0012】
好ましくは、右臀部緊締部、左臀部緊締部、右臀部被覆部及び左臀部被覆部は、経編編成により地組織を構成する地糸と、経方向に沿って地組織に挿入され、地組織と共に編成されることにより、挿入組織を構成する第1〜第N(Nは2以上の自然数)の第1挿入糸による第1挿入糸群及び第1〜第Nの第2挿入糸による第2挿入糸群とを有し、第1〜第Nの第1挿入糸と第1〜第Nの第2挿入糸とは、緯方向に並んで配置され、第n(nは1〜Nの自然数)の第1挿入糸と第nの第2挿入糸とは、経方向において互いに近接しながら地組織に編成される第1部分と、経方向において互いに離間しながら地組織に編成される第2部分と、第1部分と第2部分とを接続する屈曲部分とをそれぞれ有し、第1部分、第2部分及び屈曲部分によって全体として蛇行形状を呈しており、第nの第1挿入糸の屈曲部分と第nの第2挿入糸の前記屈曲部分とは、厚さ方向から見て互いに重なり合っている。
【0013】
この場合、第1〜第Nの第1挿入糸及び第1〜第Nの第2挿入糸が経方向に沿って地組織に挿入されており、第nの第1挿入糸と第nの第2挿入糸とが第1部分、第2部分及び屈曲部分によって全体として蛇行形状を呈している。そのため、経方向における経編地の強度が確保されることとなる。また、この場合、第nの第1挿入糸の屈曲部分と第nの第2挿入糸の屈曲部分とが厚さ方向から見て互いに重なり合うように、第1〜第Nの第1挿入糸及び第1〜第Nの第2挿入糸がそれぞれ地組織に編成されている。そのため、第nの第1挿入糸と第nの第2挿入糸とがそれぞれの屈曲部分において地組織を介して接続され、第nの第1挿入糸の第1部分と第nの第2挿入糸の第2部分とによりあたかも斜め方向(経方向及び緯方向に対して交差する方向)に連続して延びるラインが形成されると共に、第nの第1挿入糸の第2部分と第nの第2挿入糸の第1部分とによりあたかも斜め方向に連続して延びるラインが形成されることとなる。従って、斜め方向及び緯方向における強度が確保されることとなる。その結果、右臀部緊締部、左臀部緊締部、右臀部被覆部及び左臀部被覆部が、強度に関して等方性を発揮することが可能となる。そのため、一般に半球形状を呈する臀部に対しても均等に力が働くこととなるので、臀部が特定の方向から締め付けられることによって着用時に不快感等が生じてしまう虞も大きく低減できる。
【0014】
好ましくは、右臀部緊締部、左臀部緊締部、右臀部被覆部及び左臀部被覆部は、経編編成により地組織を構成する地糸と、経方向に沿って地組織と共に編成されることにより、ルーピング組織を構成する第1〜第N(Nは2以上の自然数)の第1編糸による第1編糸群及び第1〜第Nの第2編糸による第2編糸群とを有し、第1〜第Nの第1編糸と第1〜第Nの第2編糸とは、緯方向に並んで配置され、第n(nは1〜Nの自然数)の第1編糸と第nの第2編糸とは、経方向において互いに近接しながら地組織に編成される第1部分と、経方向において互いに離間しながら地組織に編成される第2部分と、第1部分と第2部分とを接続する屈曲部分とをそれぞれ有し、第1部分、第2部分及び屈曲部分によって全体として蛇行形状を呈しており、第nの第1編糸の屈曲部分と第nの第2編糸の屈曲部分とは、厚さ方向から見て互いに重なり合っている。
【0015】
この場合、第1〜第Nの第1編糸及び第1〜第Nの第2編糸が経方向に沿って地組織と共に編成されており、第nの第1編糸と第nの第2編糸とが第1部分、第2部分及び屈曲部分によって全体として蛇行形状を呈している。そのため、経方向における経編地の強度が確保されることとなる。また、この場合、第nの第1編糸の屈曲部分と第nの第2編糸の屈曲部分とが厚さ方向から見て互いに重なり合うように、第1〜第Nの第1編糸及び第1〜第Nの第2編糸がそれぞれ地組織に編成されている。そのため、第nの第1編糸と第nの第2編糸とがそれぞれの屈曲部分において地組織を介して接続され、第nの第1編糸の第1部分と第nの第2編糸の第2部分とによりあたかも斜め方向(経方向及び緯方向に対して交差する方向)に連続して延びるラインが形成されると共に、第nの第1編糸の第2部分と第nの第2編糸の第1部分とによりあたかも斜め方向に連続して延びるラインが形成されることとなる。従って、斜め方向及び緯方向における強度が確保されることとなる。その結果、右臀部緊締部、左臀部緊締部、右臀部被覆部及び左臀部被覆部が、強度に関して等方性を発揮することが可能となる。そのため、一般に半球形状を呈する臀部に対しても均等に力が働くこととなるので、臀部が特定の方向から締め付けられることによって着用時に不快感等が生じてしまう虞も大きく低減できる。
【0016】
また、本発明に係るボトム衣類は、少なくとも下半身の一部を被覆する股付きのボトム衣類であって、着用状態において右大腿部の外側部分の少なくとも一部を覆うと共に上下方向に沿って延在する右側伸縮抑制部と、着用状態において左大腿部の外側部分の少なくとも一部を覆うと共に上下方向に沿って延在する左側伸縮抑制部と、着用状態において右臀部の下縁に沿って延在する右臀部緊締部と、着用状態において左臀部の下縁に沿って延在する左臀部緊締部と、着用状態において右臀部の少なくとも頂点を覆う右臀部被覆部と、着用状態において左臀部の少なくとも頂点を覆う左臀部被覆部と、着用状態において、右臀部緊締部の下方に配置されると共に、右側伸縮抑制部から始まり右大腿部の背側及び内側にかけて延在する右大腿部緊締部と、着用状態において、左臀部緊締部の下方に配置されると共に、左側伸縮抑制部から始まり左大腿部の背側及び内側にかけて延在する左大腿部緊締部とを備え、右側伸縮抑制部及び左側伸縮抑制部は、着用状態において上下方向に沿って延在すると共に、右臀部緊締部、左臀部緊締部、右臀部被覆部、左臀部被覆部、右大腿部緊締部及び左大腿部緊締部よりも伸縮し難く、右臀部緊締部、左臀部緊締部、右大腿部緊締部及び左大腿部緊締部は、右臀部被覆部及び左臀部被覆部よりも緊締力が大きく、右側伸縮抑制部、右臀部緊締部、右臀部被覆部及び右大腿部緊締部は、一体的に編成された一の経編地から構成され、左側伸縮抑制部、左臀部緊締部、左臀部被覆部及び左大腿部緊締部は、一体的に編成された一の経編地から構成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るボトム衣類では、着用状態において、相対的に伸縮し難い右側伸縮抑制部によって右大腿部の外側部分が覆われると共に、相対的に伸縮し難い左側伸縮抑制部によって左大腿部の外側部分が覆われる。そのため、着用者の右大腿部の外側部分及び左大腿部の外側部分が右側伸縮抑制部及び左側伸縮抑制部によってそれぞれ引き締められることとなるので、右大腿部の外側部分及び左大腿部の外側部分の膨出が抑制され、美しくすっきりしたボディラインを作り出すことが可能となる。
【0018】
また、本発明に係るボトム衣類では、着用状態において、相対的に伸縮し難い右大腿部緊締部によって右大腿部の背側及び内側が覆われると共に、相対的に伸縮し難い左大腿部緊締部によって左大腿部の背側部分及び内側部分が覆われる。そのため、着用者の右大腿部の股下部分が右側伸縮抑制部と右大腿部緊締部とによって引き締められ、着用者の左大腿部の股下部分が左側伸縮抑制部と左大腿部緊締部とによって引き締められることとなるので、右大腿部の内側部分及び左大腿部の内側部分の膨出が抑制され、より美しくすっきりしたボディラインを作り出すことが可能となる。
【0019】
また、本発明に係るボトム衣類では、着用状態において、相対的に緊締力が大きい右臀部緊締部によって右臀部の下縁が覆われると共に、相対的に緊締力が大きい左臀部緊締部によって左臀部の下縁が覆われる。そのため、右臀部及び左臀部が右臀部緊締部及び左臀部緊締部によってそれぞれしっかりと支えられることとなるので、ヒップアップ機能が発揮されることとなる。
【0020】
また、本発明に係るボトム衣類では、右側伸縮抑制部、右臀部緊締部、右臀部被覆部及び右大腿部緊締部は、一体的に編成された一の経編地から構成され、左側伸縮抑制部、左臀部緊締部、左臀部被覆部及び左大腿部緊締部は、一体的に編成された一の経編地から構成されている。つまり、上記の3つの体型補整機能が、右半身及び左半身においてそれぞれ一の経編地で提供されることとなる。そのため、当て布等を用いていないので、二以上の体型補整機能を実現しつつ着用感や外観を損なう虞を大きく低減することが可能となっている。
【0021】
好ましくは、右側伸縮抑制部、右臀部緊締部、右臀部被覆部及び右大腿部緊締部は、同一の糸によって右臀部被覆部、右臀部緊締部、右大腿部緊締部及び右側伸縮抑制部の順で連続的に編成されており、左側伸縮抑制部、左臀部緊締部、左臀部被覆部及び左大腿部緊締部は、同一の糸によって左臀部被覆部、左臀部緊締部、左大腿部緊締部及び左側伸縮抑制部の順で連続的に編成されている。
【0022】
好ましくは、右臀部緊締部、左臀部緊締部、右臀部被覆部、左臀部被覆部、右大腿部緊締部及び左大腿部緊締部は、経編編成により地組織を構成する地糸と、経方向に沿って地組織に挿入され、地組織と共に編成されることにより、挿入組織を構成する第1〜第N(Nは2以上の自然数)の第1挿入糸による第1挿入糸群及び第1〜第Nの第2挿入糸による第2挿入糸群とを有し、第1〜第Nの第1挿入糸と第1〜第Nの第2挿入糸とは、緯方向に並んで配置され、第n(nは1〜Nの自然数)の第1挿入糸と第nの第2挿入糸とは、経方向において互いに近接しながら地組織に編成される第1部分と、経方向において互いに離間しながら地組織に編成される第2部分と、第1部分と前記第2部分とを接続する屈曲部分とをそれぞれ有し、第1部分、第2部分及び屈曲部分によって全体として蛇行形状を呈しており、第nの第1挿入糸の屈曲部分と第nの第2挿入糸の屈曲部分とは、厚さ方向から見て互いに重なり合っている。
【0023】
この場合、第1〜第Nの第1挿入糸及び第1〜第Nの第2挿入糸が経方向に沿って地組織に挿入されており、第nの第1挿入糸と第nの第2挿入糸とが第1部分、第2部分及び屈曲部分によって全体として蛇行形状を呈している。そのため、経方向における経編地の強度が確保されることとなる。また、この場合、第nの第1挿入糸の屈曲部分と第nの第2挿入糸の屈曲部分とが厚さ方向から見て互いに重なり合うように、第1〜第Nの第1挿入糸及び第1〜第Nの第2挿入糸がそれぞれ地組織に編成されている。そのため、第nの第1挿入糸と第nの第2挿入糸とがそれぞれの屈曲部分において地組織を介して接続され、第nの第1挿入糸の第1部分と第nの第2挿入糸の第2部分とによりあたかも斜め方向(経方向及び緯方向に対して交差する方向)に連続して延びるラインが形成されると共に、第nの第1挿入糸の第2部分と第nの第2挿入糸の第1部分とによりあたかも斜め方向に連続して延びるラインが形成されることとなる。従って、斜め方向及び緯方向における強度が確保されることとなる。その結果、右臀部緊締部、左臀部緊締部、右臀部被覆部、左臀部被覆部、右大腿部緊締部及び左大腿部緊締部が、強度に関して等方性を発揮することが可能となる。そのため、一般に半球形状を呈する臀部や円柱状を呈する大腿部に対しても均等に力が働くこととなるので、臀部や大腿部が特定の方向から締め付けられることによって着用時に不快感等が生じてしまう虞も大きく低減できる。
【0024】
好ましくは、右臀部緊締部、左臀部緊締部、右臀部被覆部、左臀部被覆部、右大腿部緊締部及び左大腿部緊締部は、経編編成により地組織を構成する地糸と、経方向に沿って地組織と共に編成されることにより、ルーピング組織を構成する第1〜第N(Nは2以上の自然数)の第1編糸による第1編糸群及び第1〜第Nの第2編糸による第2編糸群とを有し、第1〜第Nの第1編糸と第1〜第Nの第2編糸とは、緯方向に並んで配置され、第n(nは1〜Nの自然数)の第1編糸と第nの第2編糸とは、経方向において互いに近接しながら地組織に編成される第1部分と、経方向において互いに離間しながら地組織に編成される第2部分と、第1部分と第2部分とを接続する屈曲部分とをそれぞれ有し、第1部分、第2部分及び屈曲部分によって全体として蛇行形状を呈しており、第nの第1編糸の屈曲部分と第nの第2編糸の屈曲部分とは、厚さ方向から見て互いに重なり合っている。
【0025】
この場合、第1〜第Nの第1編糸及び第1〜第Nの第2編糸が経方向に沿って地組織と共に編成されており、第nの第1編糸と第nの第2編糸とが第1部分、第2部分及び屈曲部分によって全体として蛇行形状を呈している。そのため、経方向における経編地の強度が確保されることとなる。また、この場合、第nの第1編糸の屈曲部分と第nの第2編糸の屈曲部分とが厚さ方向から見て互いに重なり合うように、第1〜第Nの第1編糸及び第1〜第Nの第2編糸がそれぞれ地組織に編成されている。そのため、第nの第1編糸と第nの第2編糸とがそれぞれの屈曲部分において地組織を介して接続され、第nの第1編糸の第1部分と第nの第2編糸の第2部分とによりあたかも斜め方向(経方向及び緯方向に対して交差する方向)に連続して延びるラインが形成されると共に、第nの第1編糸の第2部分と第nの第2編糸の第1部分とによりあたかも斜め方向に連続して延びるラインが形成されることとなる。従って、斜め方向及び緯方向における強度が確保されることとなる。その結果、右臀部緊締部、左臀部緊締部、右臀部被覆部、左臀部被覆部、右大腿部緊締部及び左大腿部緊締部が、強度に関して等方性を発揮することが可能となる。そのため、一般に半球形状を呈する臀部や円柱状を呈する大腿部に対しても均等に力が働くこととなるので、臀部や大腿部が特定の方向から締め付けられることによって着用時に不快感等が生じてしまう虞も大きく低減できる。
【0026】
なお、本明細書でいう体に密着する衣類とは、体の表面に直接に接して密着する場合に限らず、他の下着類を介して体に密着する場合も含むものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、着用感や外観を損なう虞を大きく低減しつつ、二以上の体型補整機能を実現することが可能なボトム衣類を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明に係るボトム衣類の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下では、ボトム衣類として女性用の股付きのガードル(ロングタイプガードル)1を例にとって説明している。
【0029】
ガードル1は、図1及び図2に示されるように、左右の身頃10と、腹部布12とを備えており、矢状面に対して略対称となっている。身頃10は、大腿部腹側被覆部14と、伸縮抑制部16と、臀部緊締部18と、臀部緊締部20と、臀部被覆部22と、大腿部緊締部24と、大腿部背側被覆部26と、下端部28とを有している。
【0030】
大腿部腹側被覆部14は、着用状態において大腿部の腹側を覆っている。伸縮抑制部16は、帯状を呈しており、着用状態において大腿部の外側を覆うと共に上下方向に延在している。臀部緊締部18は、帯状を呈しており、着用状態において臀部の上縁に沿って延在している。臀部緊締部20は、帯状を呈しており、着用状態において臀部の下縁に沿って延在している。臀部被覆部22は、着用状態において、頂部を含む臀部の略全体を覆うと共に伸縮抑制部16及び臀部緊締部18,20によって囲まれている領域に配置されている。
【0031】
大腿部緊締部24は、着用状態において、臀部緊締部20の下方に配置されると共に、伸縮抑制部16から始まり大腿部の背側及び内側にかけて延在している。大腿部背側被覆部26は、着用状態において、大腿部緊締部24の下方で且つ伸縮抑制部16及び大腿部緊締部24の間に配置されると共に、大腿部の背側を部分的に覆っている。下端部28は、ガードル1の下端に配置されている。
【0032】
ここで、大腿部緊締部24は、大腿部腹側被覆部14、臀部緊締部18,20、臀部被覆部22、大腿部背側被覆部26及び下端部28と比較して緊締力が大きくなっている。臀部緊締部18,20及び下端部28は、大腿部腹側被覆部14、臀部被覆部22及び大腿部背側被覆部26と比較して緊締力が大きくなっている。そのため、大腿部緊締部24は相対的に緊締力が最も大きく、臀部緊締部18,20及び下端部28は相対的に緊締力が次に大きく、大腿部腹側被覆部14、臀部被覆部22及び大腿部背側被覆部26は相対的に緊締力がもっとも小さい。また、伸縮抑制部16は、他の部分と比較して、特に矢印S方向(後述する経編地30の編み方向)において伸縮し難くなっている。
【0033】
続いて、ガードル1の身頃10を作成するための経編地30について、図3を参照して説明する。経編地30は、矢印Sで示す方向に糸が供給されて構成されている。すなわち、図3に示されるように、左右の各身頃10(大腿部腹側被覆部14、伸縮抑制部16、臀部緊締部18、臀部緊締部20、臀部被覆部22、大腿部緊締部24、大腿部背側被覆部26及び下端部28)は、一体的に編成された経編地30によってそれぞれ構成されている。ガードル1を作成するには、図3に示される経編地30から右の身頃10を裁断し、図示しない経編地から左の身頃10を裁断して、これらを腹部布12やクロッチ(図示せず)と共に縫製する。なお、本実施形態に係る経編地30は、例えばKarl Mayer社製ジャカードラッシェル機RSJ5/1ELを用いて製造することができる。また、矢印Sで示す方向とは反対の方向に糸を供給することで経編地30を構成することもできる。
【0034】
ここで、図3に示されるように、例えば第W1番目のウェールでは、大腿部腹側被覆部14、伸縮抑制部16、大腿部緊締部24及び大腿部背側被覆部26が、同一の糸によって大腿部緊締部24、大腿部背側被覆部26、伸縮抑制部16及び大腿部腹側被覆部14の順で連続的に編成されている。また、例えばW2番目のウェールでは、大腿部腹側被覆部14、伸縮抑制部16、臀部緊締部20、臀部被覆部22、大腿部緊締部24が、同一の糸によって臀部被覆部22、臀部緊締部20、大腿部緊締部24、伸縮抑制部16及び大腿部腹側被覆部14の順で連続的に編成されている。
【0035】
続いて、経編地30のうち大腿部腹側被覆部14、臀部被覆部22及び大腿部背側被覆部26をそれぞれ構成する第1部分32について、図4〜図7を参照して説明する。経編地30の第1部分32は、地組織34と、挿入糸群36,38とを有する。
【0036】
地組織34は、第1部分32の基礎となるものであり、第1部分32の全面にわたって存在している。地組織34は、図5に示されるように、本実施形態において3種類の糸Y1〜Y3(地糸)によって構成されている。糸Y1,Y2としては、例えば、33デシテックス、26フィラメントのナイロン糸(東レ株式会社製Ny33T/26−2M94)を用いることができる。糸Y3としては、例えば、310デシテックスのポリウレタン糸(旭化成せんい株式会社製Roica(登録商標)310T−C804)を用いることができる。
【0037】
ここで、図5〜図11の組織図では、黒点が各コースのニードルヘッドの位置を表しており、黒点同士の緯方向の間隙はニードル間部を表している。また、図5〜図11の組織図では、緯方向に並んだ黒点の列が1つのコースを表しており、糸が矢印S方向に供給されるときに、各コースにおいてどのような編み方をされるかを、1本の糸によって示している。さらに、図5〜図11の組織図では、糸の編成をニードル間部の位置によって表す目的で、各糸がガイドバーに案内されて通過する最も右側のニードル間部を0とし、そこから順に左側に1,2,3・・・の番号を付与している(編機の種類によっては、0、2、4、6・・・と番号を付与するものもある)。
【0038】
糸Y1は、ジャカード筬J1のガイドバーに通糸される糸Y1aと、ジャカード筬J2のガイドバーに通糸される糸Y1bとを有している。糸Y1a,Y1bは、矢印S方向に給糸されることで、経編編成される。ここで、ジャカード筬J1,J2は、筬の運動とは別に、圧電素子(ピエゾ素子)等によって、各ガイドバーに対してニードル1つ分だけ緯方向に変位が与えられるようになっている。このジャカード筬J1,J2により、糸Y1a,Y1bは、互いに異なる組織として編成される。この糸Y1a,Y1bは、図5に示されるように、1ウェール間隔で隣り合っている。なお、図5、図8〜図10において示される破線は、ジャカード筬J1,J2の圧電素子(ピエゾ素子)等によって緯方向に変位が与えられない場合の糸Y1の組織図を示すものである。
【0039】
具体的には、糸Y1aは、コースC1において番号1のニードル間部から番号2のニードル間部に移動し、コースC2において番号2のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC3において番号1のニードル間部から番号2のニードル間部に移動し、コースC4において番号1のニードル間部から番号0のニードル間部に移動し、コースC5において番号0のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC6において番号2のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC7において番号0のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC8において番号2のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC9において番号0のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC10において番号1のニードル間部から番号0のニードル間部に移動し、その後は以上を繰り返している。つまり、糸Y1aは、10コースを1つの繰り返し単位としている。この糸Y1aの編成は、「12/21/12/10/01/21/01/21/01/10//」と表すことができる。これにより、糸Y1aは、開き目(ループが交差しないで開いている状態)と閉じ目(ループが交差して閉じた形の編目が形成されている状態)とを交えたルーピング組織を構成する。
【0040】
また、糸Y1bは、コースC1において番号0のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC2において番号2のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC3において番号0のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC4において番号1のニードル間部から番号0のニードル間部に移動し、コースC5において番号1のニードル間部から番号2のニードル間部に移動し、コースC6において番号2のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC7において番号1のニードル間部から番号2のニードル間部に移動し、コースC8において番号1のニードル間部から番号0のニードル間部に移動し、コースC9において番号0のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC10において番号2のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、その後は以上を繰り返している。つまり、糸Y1bは、10コースを1つの繰り返し単位としている。この糸Y1bの編成は、「01/21/01/10/12/21/12/10/01/21//」と表すことができる。これにより、糸Y1bは、開き目と閉じ目とを交えたルーピング組織を構成する。なお、実際の地組織12では、糸Y1aと糸Y1bとが緯方向に1ウェール間隔で交互に並ぶと共に、緯方向に隣り合う糸Y1a,Y1b同士が絡み合っている。
【0041】
糸Y2は、筬GB3のガイドバーに通糸されて矢印S方向に給糸されることで、経編編成される。具体的には、糸Y2は、コースC1において番号1のニードル間部から番号2のニードル間部に移動し、コースC2において番号2のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC3において番号1のニードル間部から番号2のニードル間部に移動し、コースC4において番号1のニードル間部から番号0のニードル間部に移動し、コースC5において番号0のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC6において番号1のニードル間部から番号0のニードル間部に移動し、その後は以上を繰り返している。つまり、糸Y2は、6コースを1つの繰り返し単位としている。この糸Y2の編成は、「12/21/12/10/01/10//」と表すことができる。これにより、糸Y2は、開き目と閉じ目とを交えたルーピング組織を構成する。なお、実際の地組織34では、複数の糸Y2が緯方向に1ウェール間隔で並ぶと共に、緯方向に隣り合う糸Y2同士が絡み合っている。
【0042】
糸Y3は、筬GB4のガイドバーに通糸されて矢印S方向に給糸されることで、糸Y1,Y2によって経編編成された編組織に、経方向に沿って挿入される。具体的には、糸Y3は、コースC1において番号2のニードル間部の位置でスイングインすると共に同じ位置でスイングアウトし、コースC2において番号1のニードル間部の位置でスイングインすると共に同じ位置でスイングアウトし、コースC3において番号2のニードル間部の位置でスイングインすると共に同じ位置でスイングアウトし、コースC4において番号0のニードル間部の位置でスイングインすると共に同じ位置でスイングアウトし、コースC5において番号1のニードル間部の位置でスイングインすると共に同じ位置でスイングアウトし、コースC6において番号0のニードル間部の位置でスイングインすると共に同じ位置でスイングアウトし、その後は以上を繰り返している。つまり、糸Y3は、6コースを1つの繰り返し単位としている。この糸Y3の編成は、「22/11/22/00/11/00//」と表すことができる。これにより、糸Y3は、ニードルループの間やシンカーループの間等に横たわったような状態、すなわち、糸Y1,Y2と絡み合い糸Y1,Y2に編成された状態となり、挿入組織を構成する。なお、実際の地組織12では、複数の糸Y3が緯方向に1ウェール間隔で並んでいる。
【0043】
挿入糸群14(第1挿入糸群)は、図6に示されるように、同種の4本の糸Y4a〜Y4d(第1〜第4の第1挿入糸)によって構成されている。糸Y4a〜Y4dとしては、例えば、78デシテックスのポリウレタン糸(旭化成せんい株式会社製Roica(登録商標)78T−C805)を用いることができる。
【0044】
糸Y4a〜Y4dは、それぞれ、筬GB5のガイドバーに通糸されて矢印S方向に給糸されることで、緯方向に1ウェール間隔で並んだ状態で、糸Y1,Y2によって経編編成された編組織に、経方向に沿って挿入される。具体的には、糸Y4aは、コースC1において番号5のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC2において番号4のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC3において番号5のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC4において番号3のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC5において番号4のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC6において番号2のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC7において番号3のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC8において番号4のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC9において番号3のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC10において番号1のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC11において番号2のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC12において番号0のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC13において番号1のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC14において番号0のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC15において番号2のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC16において番号1のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC17において番号2のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC18において番号1のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC19において番号3のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC20において番号2のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC21において番号3のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC22において番号2のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC23において番号4のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC24において番号3のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、その後は以上を繰り返している。つまり、糸Y4aは、24コースを1つの繰り返し単位としている。
【0045】
この糸Y4aの編成は、「55/44/55/33/44/22/33/44/33/11/22/00/11/00/22/11/22/11/33/22/33/22/44/33//」と表すことができる。これにより、糸Y4aは、ニードルループの間やシンカーループの間等に横たわったような状態、すなわち、糸Y1,Y2と絡み合い糸Y1,Y2に編成された状態となり、挿入組織を構成する。
【0046】
また、糸4aは、図6に示されるように、全体として蛇行形状を呈する。具体的には、糸4aは、コースC1からコースC3へと進むにつれて、全体として経方向に進み、コースC3からコースC12へと進むにつれて、全体として図面右方向に進み、コースC12からコースC14へと進むにつれて、全体として経方向に進み、コースC14からコースC24へと進むにつれて、全体として図面左方向に進んでいる。そのため、糸4aのうちコースC3〜C12における部分36a(第1部分)は全体として経方向に対して交差する方向に延びており、糸4aのうちコースC14〜C24における部分36b(第2部分)は全体として経方向に対して交差する方向に延びており、糸4aのうちコースC12〜C14における部分36c(屈曲部分)は全体として経方向に沿う方向に延びると共に部分36a,36bを接続する屈曲部分となっている。なお、糸Y4b〜Y4dについても同様である。
【0047】
挿入糸群16(第2挿入糸群)は、図6に示されるように、同種の4本の糸Y5a〜Y5d(第1〜第4の第2挿入糸)によって構成されている。糸Y5a〜Y5dとしては、例えば、78デシテックスのポリウレタン糸(旭化成せんい株式会社製Roica(登録商標)78T−C805)を用いることができる。
【0048】
糸Y5a〜Y5dは、それぞれ、筬GB6のガイドバーに通糸されて矢印S方向に給糸されることで、緯方向に1ウェール間隔で並んだ状態で、糸Y1,Y2によって経編編成された編組織に、経方向に沿って挿入される。具体的には、糸Y5aは、コースC1において番号1のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC2において番号0のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC3において番号2のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC4において番号1のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC5において番号2のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC6において番号1のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC7において番号3のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC8において番号2のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC9において番号3のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC10において番号2のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC11において番号4のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC12において番号3のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC13において番号5のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC14において番号4のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC15において番号5のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC16において番号3のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC17において番号4のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC18において番号2のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC19において番号3のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC20において番号2のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC21において番号3のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC22において番号1のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC23において番号2のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、コースC24において番号0のニードル間部の位置でスイングイン及びスイングアウトし、その後は以上を繰り返している。つまり、糸Y4aは、24コースを1つの繰り返し単位としている。
【0049】
この糸Y4aの編成は、「11/00/22/11/22/11/33/22/33/22/44/33/55/44/55/33/44/22/33/22/33/11/22/00//」と表すことができる。これにより、糸Y5aは、ニードルループの間やシンカーループの間等に横たわったような状態、すなわち、糸Y1,Y2と絡み合い糸Y1,Y2に編成された状態となり、挿入組織を構成する。
【0050】
また、糸5aは、図6に示されるように、全体として蛇行形状を呈する。具体的には、糸5aは、コースC1からコースC2へと進むにつれて、全体として経方向に進み、コースC2からコースC13へと進むにつれて、全体として図面左方向に進み、コースC13からコースC15へと進むにつれて、全体として経方向に進み、コースC15からコースC24へと進むにつれて、全体として図面右方向に進んでいる。そのため、糸5aのうちコースC2〜C13における部分38a(第1部分)は全体として経方向に対して交差する方向に延びており、糸5aのうちコースC15〜C24における部分38b(第2部分)は全体として経方向に対して交差する方向に延びており、糸5aのうちコースC13〜C15における部分38c(屈曲部分)は全体として経方向に沿う方向に延びると共に部分38a,38bを接続する屈曲部分となっている。なお、糸Y5b〜Y5dについても同様である。
【0051】
ここで、糸Y4a〜Y4d及び糸Y5a〜Y5dが地組織34に挿入された状態について、図7を参照しつつ説明する。まず、糸Y4a及び糸Y5aに着目すると、糸Y4aの部分36aと糸Y5aの部分38aとは、経方向(矢印S方向)に進むにつれて、互いに近接しながら地組織12に編成されている。糸Y4aの部分36bと糸Y5aの部分38bとは、経方向(矢印S方向)に進むにつれて、互いに離間しながら地組織34に編成されている。糸Y4aの部分36cと糸Y5aの部分38cとは、厚さ方向から見て互いに重なり合っている。そのため、糸Y4aの部分36cと糸Y5aの部分38cとの重なりの観点からは、糸Y4aと糸Y5aとが対応関係にあるといえる。なお、ここでいう「厚さ方向から見て互いに重なり合っている」とは、完全に重なり合って一致している場合のみならず、糸Y4aの部分36cが通過するニードル間部と糸Y5aの部分38cが通過するニードル間部とが一致している場合も広く含むものとする。
【0052】
続いて、糸Y4b及び糸Y5bに着目すると、糸Y4bの部分36aと糸Y5bの部分38aとは、経方向(矢印S方向)に進むにつれて、互いに近接しながら地組織34に編成されている。糸Y4bの部分36bと糸Y5bの部分38bとは、経方向(矢印S方向)に進むにつれて、互いに離間しながら地組織34に編成されている。糸Y4bの部分36cと糸Y5bの部分38cとは、厚さ方向から見て互いに重なり合っている。そのため、糸Y4bの部分36と糸Y5bの部分38cとの重なりの観点からは、糸Y4bと糸Y5bとが対応関係にあるといえる。なお、ここでいう「厚さ方向から見て互いに重なり合っている」とは、完全に重なり合って一致している場合のみならず、糸Y4bの部分36cが通過するニードル間部と糸Y5bの部分38cが通過するニードル間部とが一致している場合も広く含むものとする。
【0053】
続いて、糸Y4c及び糸Y5cに着目すると、糸Y4cの部分36aと糸Y5cの部分38aとは、経方向(矢印S方向)に進むにつれて、互いに近接しながら地組織34に編成されている。糸Y4cの部分36bと糸Y5cの部分38bとは、経方向(矢印S方向)に進むにつれて、互いに離間しながら地組織34に編成されている。糸Y4cの部分36cと糸Y5cの部分38cとは、厚さ方向から見て互いに重なり合っている。そのため、糸Y4cの部分36cと糸Y5cの部分38cとの重なりの観点からは、糸Y4cと糸Y5cとが対応関係にあるといえる。なお、ここでいう「厚さ方向から見て互いに重なり合っている」とは、完全に重なり合って一致している場合のみならず、糸Y4cの部分36cが通過するニードル間部と糸Y5cの部分38cが通過するニードル間部とが一致している場合も広く含むものとする。
【0054】
続いて、糸Y4d及び糸Y5dに着目すると、糸Y4dの部分36aと糸Y5dの部分38aとは、経方向(矢印S方向)に進むにつれて、互いに近接しながら地組織34に編成されている。糸Y4dの部分36bと糸Y5dの部分38bとは、経方向(矢印S方向)に進むにつれて、互いに離間しながら地組織34に編成されている。糸Y4dの部分36cと糸Y5dの部分38cとは、厚さ方向から見て互いに重なり合っている。そのため、糸Y4dの部分36cと糸Y5dの部分38cとの重なりの観点からは、糸Y4dと糸Y5dとが対応関係にあるといえる。なお、ここでいう「厚さ方向から見て互いに重なり合っている」とは、完全に重なり合って一致している場合のみならず、糸Y4dの部分36cが通過するニードル間部と糸Y5dの部分38cが通過するニードル間部とが一致している場合も広く含むものとする。
【0055】
以上より、経編地30の第1部分32は、図4に示されるように、地組織34からなる領域Aと、地組織34及び挿入糸群36からなる領域B1と、地組織34及び挿入糸群38からなる領域B2と、地組織34及び挿入糸群36,38からなる領域Cを有することとなる。
【0056】
続いて、経編地30のうち臀部緊締部18,20及び下端部28をそれぞれ構成する第2部分(図示せず)について説明する。経編地30の第2部分は、地組織(図示せず)と、第1部分32と同様の挿入糸群36,38とを有する。ここで、第2部分の地組織は、糸Y1の編成の点で第1部分32の地組織34と異なるだけであるので、特に糸Y1について、図8を参照して説明する。
【0057】
糸Y1は、ジャカード筬J1又はジャカード筬J2のガイドバーに通糸されて矢印S方向に給糸されることで、経編編成される。具体的には、糸Y1は、コースC1において番号1のニードル間部から番号2のニードル間部に移動し、コースC2において番号1のニードル間部から番号0のニードル間部に移動し、コースC3において番号1のニードル間部から番号2のニードル間部に移動し、コースC4において番号2のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC5において番号0のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC6において番号2のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、その後は以上を繰り返している。つまり、糸Y1は、6コースを1つの繰り返し単位としている。この糸Y1aの編成は、「12/10/12/21/01/21//」と表すことができる。これにより、糸Y1は、開き目と閉じ目とを交えたルーピング組織を構成する。なお、実際の地組織では、複数の糸Y1が緯方向に1ウェール間隔で並ぶと共に、緯方向に隣り合う糸Y1同士が絡み合っている。
【0058】
続いて、経編地30のうち大腿部緊締部24を構成する第3部分(図示せず)について説明する。経編地30の第3部分は、地組織(図示せず)と、第1部分32と同様の挿入糸群36,38とを有する。ここで、第3部分の地組織は、糸Y1の編成の点で第1部分32の地組織34と異なるだけであるで、特に糸Y1について、図9を参照して説明する。
【0059】
糸Y1は、ジャカード筬J1又はジャカード筬J2のガイドバーに通糸されて矢印S方向に給糸されることで、経編編成される。具体的には、糸Y1は、コースC1において番号0のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC2において番号2のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、その後は以上を繰り返している。つまり、糸Y1は、2コースを1つの繰り返し単位としている。この糸Y1aの編成は、「01/21//」と表すことができる。これにより、糸Y1は、全てのコースにおいて開き目からなるルーピング組織を構成する。なお、実際の地組織では、複数の糸Y1が緯方向に1ウェール間隔で並ぶと共に、緯方向に隣り合う糸Y1同士が絡み合っている。
【0060】
続いて、経編地30のうち伸縮抑制部16を構成する第4部分(図示せず)について説明する。経編地30の第4部分は、図10に示されるように、本実施形態において5種類の糸Y1〜Y5によって構成されている。
【0061】
糸Y1は、ジャカード筬J1又はジャカード筬J2のガイドバーに通糸されて矢印S方向に給糸されることで、経編編成される。具体的には、糸Y1は、コースC1において番号0のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC2において番号2のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、その後は以上を繰り返している。つまり、糸Y1は、2コースを1つの繰り返し単位としている。この糸Y1aの編成は、「01/32//」と表すことができる。これにより、糸Y1は、全てのコースにおいて開き目からなるルーピング組織を構成する。なお、実際の第4部分の組織では、複数の糸Y1が緯方向に1ウェール間隔で並ぶと共に、緯方向に隣り合う糸Y1同士が絡み合っている。
【0062】
糸Y2は、筬GB3のガイドバーに通糸されて矢印S方向に給糸されることで、経編編成される。具体的には、糸Y2は、コースC1において番号1のニードル間部から番号2のニードル間部に移動し、コースC2において番号2のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC3において番号1のニードル間部から番号2のニードル間部に移動し、コースC4において番号1のニードル間部から番号0のニードル間部に移動し、コースC5において番号0のニードル間部から番号1のニードル間部に移動し、コースC6において番号1のニードル間部から番号0のニードル間部に移動し、その後は以上を繰り返している。つまり、糸Y2は、6コースを1つの繰り返し単位としている。この糸Y2の編成は、「12/21/12/10/01/10//」と表すことができる。これにより、糸Y2は、開き目と閉じ目とを交えたルーピング組織を構成する。なお、実際の第4部分の組織では、複数の糸Y2が緯方向に1ウェール間隔で並ぶと共に、緯方向に隣り合う糸Y2同士が絡み合っている。
【0063】
糸Y3〜Y5は、それぞれ、筬GB4〜GB6の各ガイドバーに通糸されて矢印S方向に給糸されることで、糸Y1,Y2によって経編編成された編組織に、経方向に沿って挿入される。具体的には、糸Y3〜Y5は、いずれも、コースC1において番号2のニードル間部の位置でスイングインすると共に同じ位置でスイングアウトし、コースC2において番号1のニードル間部の位置でスイングインすると共に同じ位置でスイングアウトし、コースC3において番号2のニードル間部の位置でスイングインすると共に同じ位置でスイングアウトし、コースC4において番号0のニードル間部の位置でスイングインすると共に同じ位置でスイングアウトし、コースC5において番号1のニードル間部の位置でスイングインすると共に同じ位置でスイングアウトし、コースC6において番号0のニードル間部の位置でスイングインすると共に同じ位置でスイングアウトし、その後は以上を繰り返している。つまり、糸Y3は、6コースを1つの繰り返し単位としている。この糸Y3〜Y5の編成は、「22/11/22/00/11/00//」と表すことができる。これにより、糸Y3〜Y5は、ニードルループの間やシンカーループの間等に横たわったような状態、すなわち、糸Y1,Y2と絡み合い糸Y1,Y2に編成された状態となり、挿入組織を構成する。なお、実際の第4部分の組織では、複数の各糸Y3〜Y5が緯方向に1ウェール間隔で並んでいる。
【0064】
以上のような本実施形態においては、着用状態において、相対的に伸縮し難い伸縮抑制部16によって大腿部の外側部分が覆われる。そのため、着用者の大腿部の外側部分が伸縮抑制部16によって引き締められることとなるので、大腿部の外側部分の膨出が抑制され、美しくすっきりしたボディラインを作り出すことが可能となる。
【0065】
また、本実施形態においては、着用状態において、相対的に伸縮し難い大腿部緊締部24によって大腿部の背側及び内側が部分的に覆われる。そのため、着用者の大腿部の股下部分が伸縮抑制部16と大腿部緊締部24とによって引き締められることとなるので、大腿部の内側部分の膨出が抑制され、より美しくすっきりしたボディラインを作り出すことが可能となる。
【0066】
また、本実施形態においては、着用状態において、相対的に緊締力が大きい臀部緊締部18によって臀部の下縁が覆われる。そのため、臀部が臀部緊締部18によってしっかりと支えられることとなるので、ヒップアップ機能が発揮されることとなる。
【0067】
また、本実施形態においては、伸縮抑制部16、臀部緊締部18、臀部被覆部22及び大腿部緊締部24は、一体的に編成された一の経編地から構成されている。つまり、上記の3つの体型補整機能が、右半身及び左半身においてそれぞれ一の経編地で提供されることとなる。そのため、当て布等を用いていないので、二以上の体型補整機能を実現しつつ着用感や外観を損なう虞を大きく低減することが可能となっている。
【0068】
また、本実施形態においては、糸Y4a〜Y4d,Y5a〜Y5dが経方向に沿って地組織34に挿入されており、糸Y4a〜Y4dが各部分36a〜36cによって全体として蛇行形状を呈していると共に、糸Y5a〜Y5dが各部分38a〜38cによって全体として蛇行形状を呈している。そのため、縦方向における経編地の強度が確保されることとなる。また、本実施形態においては、糸Y4aの部分36cと糸Y5aの部分38cとが厚さ方向から見て互いに重なり合い、糸Y4bの部分36cと糸Y5bの部分38cとが厚さ方向から見て互いに重なり合い、糸Y4cの部分36cと糸Y5cの部分38cとが厚さ方向から見て互いに重なり合い、糸Y4dの部分36cと糸Y5dの部分38cとが厚さ方向から見て互いに重なり合うように、糸Y4a〜Y4d,Y5a〜Y5dがそれぞれ地組織34に挿入されて編成されている。そのため、糸Y4aの部分36cと糸Y5aの部分38cにおいて地組織34を介して接続され、糸Y4aの部分36aと糸Y5aの部分38bとによりあたかも斜め方向(経方向及び緯方向に対して交差する方向)に連続して延びるラインが形成されると共に、糸Y4aの部分36bと糸Y5aの部分38aとによりあたかも斜め方向に連続して延びるラインが形成されることとなる。糸Y4b〜Y4d,Y5b〜Y5dについても同様である。従って、斜め方向及び緯方向における強度が確保されることとなる。その結果、強度に関して等方性を発揮することが可能となる。
【0069】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、ボトム衣類としてロングタイプのガードル1を例にとって説明したが、図11及び図12に示されるように、ボトム衣類としてショートタイプ(ショート丈)のガードル2に本発明を適用してもよい。具体的には、ガードル2は、左右の身頃10と、腹部布12とを備えており、矢状面に対して略対称となっている。身頃10は、伸縮抑制部16と、臀部緊締部18と、臀部緊締部20と、臀部被覆部22と、下端部28とを有している。
【0070】
伸縮抑制部16は、帯状を呈しており、着用状態において大腿部の外側を覆うと共に上下方向に延在している。臀部緊締部18は、帯状を呈しており、着用状態において臀部の上縁に沿って延在している。臀部緊締部20は、帯状を呈しており、着用状態において臀部の下縁に沿って延在している。臀部被覆部22は、着用状態において、頂部を含む臀部の略全体を覆うと共に伸縮抑制部16及び臀部緊締部18,20によって囲まれている領域に配置されている。下端部28は、ガードル2の下端に配置されている。
【0071】
ここで、ガードル2において、臀部緊締部20は、臀部緊締部18、臀部被覆部22及び下端部28と比較して緊締力が大きくなっている。臀部緊締部18及び下端部28は、臀部被覆部22と比較して緊締力が大きくなっている。そのため、臀部緊締部20は相対的に緊締力が最も大きく、臀部緊締部18及び下端部28は相対的に緊締力が次に大きく、臀部被覆部22は相対的に緊締力がもっとも小さい。また、伸縮抑制部16は、他の部分と比較して、特に矢印S方向(後述する経編地30の編み方向)において伸縮し難くなっている。
【0072】
また、本実施形態においては、ボトム衣類として女性用のガードル1,2を例にとって説明したが、男性用のボトム衣類に本発明を適用してもよい。
【0073】
また、本実施形態においては、糸Y1,Y2として非弾性糸であるナイロン糸を使用していたが、他の非弾性糸としてポリエステル糸を用いてもよい。また、糸Y3〜Y5として弾性糸であるポリウレタン糸(スパンデックス糸)を使用していたが、他の弾性糸としてSCY(シングルカバーリングヤーン)やDCY(ダブルカバーリングヤーン)その他の伸縮性を有する糸を用いてもよく、また、弾性糸の外側に他の合成繊維を巻付けたカバリング弾性糸を用いることもできる。
【0074】
また、糸Y1,Y2の太さとしては、22デシテックス〜78デシテックスであると好ましく、28デシテックス〜44デシテックスであるとより好ましい。糸Y3の太さとしては、44デシテックス〜620デシテックスであると好ましく、78デシテックス〜470デシテックスであるとより好ましい。糸Y4,Y5の太さとしては、22デシテックス〜620デシテックスであると好ましく、44デシテックス〜390デシテックスであるとより好ましい。
【0075】
また、本実施形態においては、糸Y1,Y2によって地組織34のルーピング組織を構成し、糸Y3によって地組織34の挿入組織を構成していたが、糸Y1,Y2,Y3の全てをルーピング組織として地組織34を構成するようにしてもよい。他の地組織についても同様である。
【0076】
また、本実施形態においては、挿入糸群14を4本の糸Y4a〜Y4dによって構成し、挿入糸群16を4本の糸Y5a〜Y5dによって構成していたが、挿入糸群14,16を構成する糸の数は2本以上であればよい。
【0077】
また、本実施形態においては、糸Y4a〜Y4d,Y5a〜Y5dは24コースを1つの繰り返し単位としていたが、糸Y4a〜Y4d,Y5a〜Y5dが全体として蛇行形状を呈し、厚さ方向から見て互いに重なり合う部分と互いに重なり合わない部分とを有していれば、繰り返し単位としては24コースに限定されない。ただし、繰り返し単位のコース数が少なくなると、糸Y4a〜Y4d,Y5a〜Y5d全体としての緯方向における振り幅が小さくなる共に地組織12からなる領域Aの面積が小さくなるので、強度が増加する傾向にある。一方、繰り返し単位のコース数が多くなると、糸Y4a〜Y4d,Y5a〜Y5d全体としての緯方向における振り幅が大きくなると共に地組織12からなる領域Aの面積が大きくなるので、強度が減少する傾向にある。
【0078】
また、本実施形態においては、全体として蛇行形状を呈する糸Y4a〜Y4d,Y5a〜Y5dによって挿入組織を構成していたが、全体として蛇行形状を呈する糸Y4a〜Y4d,Y5a〜Y5dによってルーピング組織を構成するようにしてもよい。具体的には、例えば図13に示されるように、糸Y4a〜Y4dを「45/54/45/43/34/32/23/32/23/21/12/10/01/10/12/21/12/21/23/32/23/32/34/43//」で表される編成とし、糸Y5a〜Y5dを「01/10/12/21/12/21/23/32/23/32/34/43/45/54/45/43/34/32/23/32/23/21/12/10//」で表される編成とすることができる。図14に、これらの糸Y4a〜Y4d,Y5a〜Y5dが地組織12と共に編成された状態を部分的に示す。なお、この場合、糸Y4a〜Y4d,Y5a〜Y5dのうち緯方向に隣り合う糸同士は絡み合っている。
【0079】
また、図6及び図7では経編地30の編み方向(矢印S方向)において全ての糸Y4a〜Y4d,Y5a〜Y5dが挿入組織を構成しており、図13及び図14では経編地30の編み方向(矢印S方向)において全ての糸Y4a〜Y4d,Y5a〜Y5dがルーピング組織を構成していたが、経編地30の編み方向(矢印S方向)においてルーピング組織と挿入組織とを切り替えるようにしてもよい。具体的には、例えば、糸Y4a〜Y4d,Y5a〜Y5dについて、コースC1〜C8を挿入組織、コースC9〜C16をルーピング組織、コースC17〜C24を挿入組織とすることも可能である。
【0080】
また、経編地30に模様を適宜入れてもよく、模様を入れなくてもよい。
【実施例】
【0081】
以下、実施例1〜2及び比較例1並びに図15〜図23に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0082】
(実施例1)
図4に示されるような、経編地30のうち地組織34及び挿入糸群36,38によって構成される第1部分32を用意した。この実施例1の第1部分32においては、糸Y1a,Y1b,Y2として東レ株式会社製Ny33T/26−2M94を用い、糸Y3として日清紡績株式会社製Mo−78T−Rを用い、糸Y4,Y5として旭化成せんい株式会社製Roica(登録商標)155T−HSを用いた。また、ジャカード筬J1のガイドバーに通糸される糸Y1a及びジャカード筬J2のガイドバーに通糸される糸Y1bの編成を共に「01/10//」とし、筬GB3のガイドバーに通糸される糸Y2の編成を「12/21/12/10/01/10//」とし、筬GB4のガイドバーに通糸される糸Y3の編成を「22/11/22/00/11/00//」とした。また、18本の糸Y4により挿入糸群14とし、各糸Y4が全体として蛇行形状となると共に各糸Y4の1つの繰り返し単位が120コースとなるように、各糸Y4を筬GB5のガイドバーに通糸して編成した。また、18本の糸Y5により挿入糸群16とし、各糸Y5が全体として蛇行形状となると共に各糸Y5の1つの繰り返し単位が120コースとなるように、各糸Y5を筬GB6のガイドバーに通糸して編成した。そして、実施例1の第1部分32を裁断して、幅(緯方向)2.5cm、長さ(経方向)20cmの試験片とした。
【0083】
続いて、この試験片を、JIS L 1018 8.15.1伸長弾性率A法(定伸長法) カットストリップ法を準用して、以下の条件で、経方向、緯方向及び斜め方向(試験片の表面編終わり方向を上にして45°右上がり方向)の各方向において、伸度が80%となるまで引き伸ばし、直ちに同じ速度で元の位置まで戻す操作を3回繰り返した。そして、試験片の引き伸ばし時に伸度が30%となったときにおける試験片の引張り力(伸長力)及び試験片の収縮時に伸度が30%となったときにおける試験片の引張り力(緊締力)を、上記操作の1回目及び3回目においてそれぞれ計測した。なお、伸度が30%となったときの伸長力及び緊締力を計測したのは、経編地30を用いて衣類(下着類)とした場合、着用時に伸度が30%を超えることが稀であることによる。
試験機 : 定速伸長形引張試験機
試験片幅 : 2.5cm
つかみ間距離 : 10cm
試験速度 : 30cm/min
初荷重 : 0cN
繰り返し回数 : 3回
伸長後の放置時間 : 0秒
元の位置まで戻した後の放置時間 : 0秒
【0084】
(実施例2)
実施例1の第1部分32と比較して、4本の糸Y4により挿入糸群14とし、各糸Y4が全体として蛇行形状となると共に各糸Y4の1つの繰り返し単位が24コースとなるように、各糸Y4を筬GB5のガイドバーに通糸して編成し、また、4本の糸Y5により挿入糸群16とし、各糸Y5が全体として蛇行形状となると共に各糸Y5の1つの繰り返し単位が24コースとなるように、各糸Y5を筬GB6のガイドバーに通糸して編成した以外は、実施例1と同様の第1部分32を用意した。そして、実施例2の第1部分32を用いて、実施例1と同じ試験を行った。
【0085】
(比較例)
比較例の経編地においては、糸Y1a,Y1b,Y2として東レ株式会社製Ny33T/26−2M94を用い、糸Y3として旭化成せんい株式会社製Roica(登録商標)310T−SCRを用い、糸Y4として旭化成せんい株式会社製Roica(登録商標)44T−SCRを用い、糸Y5を用いなかった。また、ジャカード筬J1のガイドバーに通糸される糸Y1a及びジャカード筬J2のガイドバーに通糸される糸Y1bの編成を共に「21/12/21/01/10/01//」とし、筬GB3のガイドバーに通糸される糸Y2の編成を「21/23/21/12/10/12//」とし、筬GB4のガイドバーに通糸される糸Y3の編成を「11/33/11/22/00/22//」とし、筬GB5のガイドバーに通糸される糸Y4の編成を「11/22/00/11/00/22//」とした。そして、比較例の第1部分を用いて、実施例1と同じ試験を行った。
【0086】
(試験結果)
試験結果を図15及び図16に示す。図15は、1回目の伸長力及び緊締力の値を示す表であり、図16は、3回目の伸長力及び緊締力の値を示す表である。そして、この試験結果に基づいて、1回目及び3回目の伸長力及び緊締力の、実施例1,2及び比較例における標準偏差をそれぞれ計算した(図17参照)。
【0087】
図17によれば、1回目及び3回目の伸長力及び緊締力のいずれにおいても、比較例の標準偏差が実施例1,2の標準偏差よりも大きくなっている。ここで得られる標準偏差は、経方向、斜め方向及び緯方向における伸長力の大きさ又は緊締力の大きさのばらつきを表すものであることを考慮すると、実施例1,2における第1部分32は、経方向、斜め方向及び緯方向における伸長力の大きさ又は緊締力の大きさのばらつきが小さく強度に関して異方性が小さい(等方的である)といえることが確認された。一方、比較例における第1部分は、経方向、斜め方向及び緯方向における伸長力の大きさ又は緊締力の大きさのばらつきが大きく、強度に関して異方性が大きいものといえることが確認された。なお、図18〜図21からも、実施例1,2における第1部分32のばらつきの大きさよりも比較例における第1部分のばらつきの大きさが大きいことが伺える。
【0088】
また、試験結果に基づいて、実施例1,2及び比較例における、1回目と3回目との伸長力の減少率及び緊締力の減少率を下記式(1)にて経方向、斜め方向及び緯方向についてそれぞれ計算した(図22及び図23参照)。なお、減少率が小さいほど第1部分が繰り返しの伸縮に強く、減少率が大きいほど第1部分が繰り返しの伸縮に弱いことを示す。
減少率[%]=(1回目の試験結果−3回目の試験結果)/1回目の試験結果×100・・・(1)
【0089】
図22及び図23によれば、実施例1,2では、経方向、斜め方向及び緯方向のいずれにおいても減少率がほぼ一定であるのに対し、比較例では、方向によって減少率が大きく違っている。そのため、実施例1,2における第1部分32では、繰り返し伸縮した場合にいずれの方向にも同程度に伸びることとなり、繰り返し伸縮した後であっても強度に関して等方性を保つことができることが確認された。一方、比較例の第1部分では、繰り返し伸縮した場合に特定の方向に伸びやすくなってしまい、繰り返し伸縮した後には強度に関して異方性がより大きくなってしまうことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、本実施形態に係るボトム衣類を腹側から見た状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るボトム衣類を背側から見た状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るボトム衣類を作成するための経編地を示す概念図である。
【図4】図4は、経編地のうち大腿部腹側被覆部、臀部被覆部及び大腿部背側被覆部をそれぞれ構成する第1部分の一部を示す平面図である
【図5】図5は、経編地のうち大腿部腹側被覆部、臀部被覆部及び大腿部背側被覆部をそれぞれ構成する第1部分の地組織の組織図である。
【図6】図6は、糸Y4a〜Y4d及び糸Y5a〜Y5dの組織図である。
【図7】図7は、糸Y4a〜Y4d及び糸Y5a〜Y5dが、経編地のうち大腿部腹側被覆部、臀部被覆部及び大腿部背側被覆部をそれぞれ構成する第1部分の地組織に挿入された状態を部分的に示す図である。
【図8】図8は、経編地のうち臀部緊締部及び下端部をそれぞれ構成する第2部分の地組織の組織図である。
【図9】図9は、経編地のうち大腿部緊締部を構成する第3部分の地組織の組織図である。
【図10】図10は、経編地のうち伸縮抑制部を構成する第4部分の地組織の組織図である。
【図11】図11は、本実施形態に係るボトム衣類の他の例を腹側から見た状態を示す斜視図である。
【図12】図12は、本実施形態に係るボトム衣類の他の例を背側から見た状態を示す斜視図である。
【図13】図13は、1回目の伸長力及び緊締力の値を示す表である。
【図14】図14は、3回目の伸長力及び緊締力の値を示す表である。
【図15】図15は、本実施形態に係る他の例のボトム衣類における糸Y4a〜Y4d及び糸Y5a〜Y5dの組織図である。
【図16】図16は、本実施形態に係る他の例のボトム衣類における糸Y4a〜Y4d及び糸Y5a〜Y5dが地組織と共に編成された状態を部分的に示す図である。
【図17】図17は、1回目及び3回目の伸長力及び緊締力の、実施例1,2及び比較例における標準偏差を示す表である。
【図18】図18は、横軸に経方向、斜め方向及び緯方向をとり、縦軸に1回目の伸長力をとったときの、実施例1,2及び比較例のそれぞれの試験結果を示す図である。
【図19】図19は、横軸に経方向、斜め方向及び緯方向をとり、縦軸に1回目の緊締力をとったときの、実施例1,2及び比較例のそれぞれの試験結果を示す図である。
【図20】図20は、横軸に経方向、斜め方向及び緯方向をとり、縦軸に3回目の伸長力をとったときの、実施例1,2及び比較例のそれぞれの試験結果を示す図である。
【図21】図21は、横軸に経方向、斜め方向及び緯方向をとり、縦軸に3回目の緊締力をとったときの、実施例1,2及び比較例のそれぞれの試験結果を示す図である。
【図22】図22は、横軸に経方向、斜め方向及び緯方向をとり、縦軸に減少率をとったときの、実施例1,2及び比較例のそれぞれの伸長力の減少率を示す図である。
【図23】図23は、横軸に経方向、斜め方向及び緯方向をとり、縦軸に減少率をとったときの、実施例1,2及び比較例のそれぞれの緊締力の減少率を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
1…ガードル、10…身頃、14…大腿部腹側被覆部、16…伸縮抑制部、18…臀部緊締部、20…臀部緊締部、22…臀部被覆部、24…大腿部緊締部、26…大腿部背側被覆部、28…下端部、30…経編地、34…地組織、36…挿入糸群(第1挿入糸群)、36a…部分(第1部分)、36b…部分(第2部分)、36c…部分(屈曲部分)、38…挿入糸群(第2挿入糸群)、38a…部分(第1部分)、38b…部分(第2部分)、38c…部分(屈曲部分)、Y1〜Y3…糸(地糸)、Y4a〜Y4d…糸(第1〜第4の第1挿入糸)、Y5a〜Y5d…糸(第1〜第4の第2挿入糸)、A,B1,B2,C…領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用状態において右大腿部の外側部分の少なくとも一部を覆うと共に上下方向に沿って延在する右側伸縮抑制部と、
着用状態において左大腿部の外側部分の少なくとも一部を覆うと共に上下方向に沿って延在する左側伸縮抑制部と、
着用状態において右臀部の下縁に沿って延在する右臀部緊締部と、
着用状態において左臀部の下縁に沿って延在する左臀部緊締部と、
着用状態において右臀部の少なくとも頂点を覆う右臀部被覆部と、
着用状態において左臀部の少なくとも頂点を覆う左臀部被覆部とを備え、
前記右側伸縮抑制部及び前記左側伸縮抑制部は、前記右臀部緊締部、前記左臀部緊締部、前記右臀部被覆部及び前記左臀部被覆部よりも伸縮し難く、
前記右臀部緊締部及び前記左臀部緊締部は、前記右臀部被覆部及び前記左臀部被覆部よりも緊締力が大きく、
前記右側伸縮抑制部、前記右臀部緊締部及び前記右臀部被覆部は、一体的に編成された一の経編地から構成され、
前記左側伸縮抑制部、前記左臀部緊締部及び前記左臀部被覆部は、一体的に編成された一の経編地から構成されていることを特徴とするボトム衣類。
【請求項2】
前記右側伸縮抑制部、前記右臀部緊締部及び前記右臀部被覆部は、同一の糸によって前記右臀部被覆部、前記右臀部緊締部及び前記右側伸縮抑制部の順で連続的に編成されており、
前記左側伸縮抑制部、前記左臀部緊締部及び前記左臀部被覆部は、同一の糸によって前記左臀部被覆部、前記左臀部緊締部及び前記左側伸縮抑制部の順で連続的に編成されていることを特徴とする、請求項1に記載されたボトム衣類。
【請求項3】
前記右臀部緊締部、前記左臀部緊締部、前記右臀部被覆部及び前記左臀部被覆部は、
経編編成により地組織を構成する地糸と、
経方向に沿って前記地組織に挿入され、前記地組織と共に編成されることにより、挿入組織を構成する第1〜第N(Nは2以上の自然数)の第1挿入糸による第1挿入糸群及び第1〜第Nの第2挿入糸による第2挿入糸群とを有し、
前記第1〜第Nの第1挿入糸と前記第1〜第Nの第2挿入糸とは、緯方向に並んで配置され、
前記第n(nは1〜Nの自然数)の第1挿入糸と前記第nの第2挿入糸とは、経方向において互いに近接しながら前記地組織に編成される第1部分と、経方向において互いに離間しながら前記地組織に編成される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを接続する屈曲部分とをそれぞれ有し、前記第1部分、前記第2部分及び前記屈曲部分によって全体として蛇行形状を呈しており、
前記第nの第1挿入糸の前記屈曲部分と前記第nの第2挿入糸の前記屈曲部分とは、厚さ方向から見て互いに重なり合っていることを特徴とする、請求項1又は2に記載されたボトム衣類。
【請求項4】
前記右臀部緊締部、前記左臀部緊締部、前記右臀部被覆部及び前記左臀部被覆部は、
経編編成により地組織を構成する地糸と、
経方向に沿って前記地組織と共に編成されることにより、ルーピング組織を構成する第1〜第N(Nは2以上の自然数)の第1編糸による第1編糸群及び第1〜第Nの第2編糸による第2編糸群とを有し、
前記第1〜第Nの第1編糸と前記第1〜第Nの第2編糸とは、緯方向に並んで配置され、
前記第n(nは1〜Nの自然数)の第1編糸と前記第nの第2編糸とは、経方向において互いに近接しながら前記地組織に編成される第1部分と、経方向において互いに離間しながら前記地組織に編成される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを接続する屈曲部分とをそれぞれ有し、前記第1部分、前記第2部分及び前記屈曲部分によって全体として蛇行形状を呈しており、
前記第nの第1編糸の前記屈曲部分と前記第nの第2編糸の前記屈曲部分とは、厚さ方向から見て互いに重なり合っていることを特徴とする、請求項1又は2に記載されたボトム衣類。
【請求項5】
少なくとも下半身の一部を被覆する股付きのボトム衣類であって、
着用状態において右大腿部の外側部分の少なくとも一部を覆うと共に上下方向に沿って延在する右側伸縮抑制部と、
着用状態において左大腿部の外側部分の少なくとも一部を覆うと共に上下方向に沿って延在する左側伸縮抑制部と、
着用状態において右臀部の下縁に沿って延在する右臀部緊締部と、
着用状態において左臀部の下縁に沿って延在する左臀部緊締部と、
着用状態において右臀部の少なくとも頂点を覆う右臀部被覆部と、
着用状態において左臀部の少なくとも頂点を覆う左臀部被覆部と、
着用状態において、前記右臀部緊締部の下方に配置されると共に、前記右側伸縮抑制部から始まり右大腿部の背側及び内側にかけて延在する右大腿部緊締部と、
着用状態において、前記左臀部緊締部の下方に配置されると共に、前記左側伸縮抑制部から始まり左大腿部の背側及び内側にかけて延在する左大腿部緊締部とを備え、
前記右側伸縮抑制部及び前記左側伸縮抑制部は、前記右臀部緊締部、前記左臀部緊締部、前記右臀部被覆部、前記左臀部被覆部、前記右大腿部緊締部及び前記左大腿部緊締部よりも伸縮し難く、
前記右臀部緊締部、前記左臀部緊締部、前記右大腿部緊締部及び前記左大腿部緊締部は、前記右臀部被覆部及び前記左臀部被覆部よりも緊締力が大きく、
前記右側伸縮抑制部、前記右臀部緊締部、前記右臀部被覆部及び前記右大腿部緊締部は、一体的に編成された一の経編地から構成され、
前記左側伸縮抑制部、前記左臀部緊締部、前記左臀部被覆部及び前記左大腿部緊締部は、一体的に編成された一の経編地から構成されていることを特徴とするボトム衣類。
【請求項6】
前記右側伸縮抑制部、前記右臀部緊締部、前記右臀部被覆部及び前記右大腿部緊締部は、同一の糸によって前記右臀部被覆部、前記右臀部緊締部、前記右大腿部緊締部及び前記右側伸縮抑制部の順で連続的に編成されており、
前記左側伸縮抑制部、前記左臀部緊締部、前記左臀部被覆部及び前記左大腿部緊締部は、同一の糸によって前記左臀部被覆部、前記左臀部緊締部、前記左大腿部緊締部及び前記左側伸縮抑制部の順で連続的に編成されていることを特徴とする、請求項5に記載されたボトム衣類。
【請求項7】
前記右臀部緊締部、前記左臀部緊締部、前記右臀部被覆部、前記左臀部被覆部、前記右大腿部緊締部及び前記左大腿部緊締部は、
経編編成により地組織を構成する地糸と、
経方向に沿って前記地組織に挿入され、前記地組織と共に編成されることにより、挿入組織を構成する第1〜第N(Nは2以上の自然数)の第1挿入糸による第1挿入糸群及び第1〜第Nの第2挿入糸による第2挿入糸群とを有し、
前記第1〜第Nの第1挿入糸と前記第1〜第Nの第2挿入糸とは、緯方向に並んで配置され、
前記第n(nは1〜Nの自然数)の第1挿入糸と前記第nの第2挿入糸とは、経方向において互いに近接しながら前記地組織に編成される第1部分と、経方向において互いに離間しながら前記地組織に編成される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを接続する屈曲部分とをそれぞれ有し、前記第1部分、前記第2部分及び前記屈曲部分によって全体として蛇行形状を呈しており、
前記第nの第1挿入糸の前記屈曲部分と前記第nの第2挿入糸の前記屈曲部分とは、厚さ方向から見て互いに重なり合っていることを特徴とする、請求項5又は6に記載されたボトム衣類。
【請求項8】
前記右臀部緊締部、前記左臀部緊締部、前記右臀部被覆部、前記左臀部被覆部、前記右大腿部緊締部及び前記左大腿部緊締部は、
経編編成により地組織を構成する地糸と、
経方向に沿って前記地組織と共に編成されることにより、ルーピング組織を構成する第1〜第N(Nは2以上の自然数)の第1編糸による第1編糸群及び第1〜第Nの第2編糸による第2編糸群とを有し、
前記第1〜第Nの第1編糸と前記第1〜第Nの第2編糸とは、緯方向に並んで配置され、
前記第n(nは1〜Nの自然数)の第1編糸と前記第nの第2編糸とは、経方向において互いに近接しながら前記地組織に編成される第1部分と、経方向において互いに離間しながら前記地組織に編成される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを接続する屈曲部分とをそれぞれ有し、前記第1部分、前記第2部分及び前記屈曲部分によって全体として蛇行形状を呈しており、
前記第nの第1編糸の前記屈曲部分と前記第nの第2編糸の前記屈曲部分とは、厚さ方向から見て互いに重なり合っていることを特徴とする、請求項5又は6に記載されたボトム衣類。

【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−270215(P2009−270215A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120652(P2008−120652)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(306033379)株式会社ワコール (116)
【Fターム(参考)】