説明

ボビンを取外すための装置

本発明は少なくとも1つのボビン(3)を巻取るために片持式に保持された巻取りスピンドル(2.1)を有する巻取り機にて、ボビンを取外すための装置に関する。当該装置は複数の旋回アームを有し、該旋回アームはそれぞれ1つの自由な差嵌め端部と反対側にある保持端部とを有している。保持端部で旋回アームは旋回軸(5)に保持され、この場合、前記旋回アームの少なくとも一方はボビンを取外すために取外し位置にて巻取り機の巻取りスピンドルに対し軸方向で整合配置される。ボビン交換をできるだけ狭い空間で行なうためには、本発明によれば旋回軸は水平方向に向けられている。この場合には、旋回アームは垂直に向けられた案内平面にて案内されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の上位概念として記載した巻取り機においてボビンを取外すための装置に関する。
【0002】
合成糸を製造する場合には通常は糸は溶融紡績された後で巻取り機によって個々のボビンに巻取られる。連続的な材料流を実現するためには有利には、可動な保持体に配置されかつ巻取り領域と交換領域とに交互にもたらされる片持式に保持された2つの巻取りスピンドルを備えた巻取り機が使用される。この巻取り機をもって溶融された糸は連続的にプロセスの中断なしでボビンに巻取られる。さらに自動化するために巻取り機に、ボビンを製作後に巻取り機から受取り、例えばボビン搬送装置に供給するボビンを取外すための装置を対応配置することが公知である。このような装置はDE4421916A1号明細書によって公知である。
【0003】
この公知の装置においては互いに間隔をおいて配置された複数の旋回アームが旋回軸に保持されている。この場合には有利にはボビンを受取るための第1の旋回アームと巻管を供給するための第2の旋回アームとが使用される。旋回アームは水平な一平面に保持され、垂直に配向された旋回軸にて取外し位置から引渡し位置へ移動させられる。旋回アームはこの場合、旋回軸に回転十字体の形で配置されている。
【0004】
公知の装置の場合には旋回アームは回転の間、ボビンの数に関連して、ひいては旋回アームの張出し長さに関連して巻取り機の側部領域を著しく越えて突出する。しかし、溶融紡績された糸を製造する場合には多数の巻取り機を一列に横に配置して、多数の糸を製造することが一般的である。したがって公知の装置は隣り合う巻取り機の間により大きな間隔が必要であり、設備全体の所要スペースが大きくなる。
【0005】
したがって本発明の課題は冒頭に述べた形式のボビン取外し装置を改良し、ボビン取出しがほぼ巻取り機の機械幅の領域で行なわれるようにすることである。
【0006】
本発明の別の目的は冒頭に述べた形式のボビンを取外す装置であって、ボビンの取出しと巻管供給とに際して高いオートマ化が可能である装置を提供することである。
【0007】
本発明の課題は本発明によれば請求項1の特徴を有する装置によって解決された。
【0008】
本発明の有利な実施態様は従属請求項の特徴及びその組合わせで規定されている。
【0009】
本発明の利点は、何時でもかつ任意の時間的なインターバルで巻取り機にて生じるボビンを取出しかつ搬出できることである。したがって定置に使用された装置の利点はボビン取出しに対し維持される。さらに特に複数のボビンを巻取り機からもっとも狭い空間で取外しかつ搬送するために上方へ得られる空間が活用される。このためには旋回アームは垂直に配向された案内平面内で、水平に配向された旋回軸にて案内されている。したがって旋回アームはボビンの幅を大きく越えることのない所要空間しか必要としない。したがって当該装置は機械長手側を形成する多数の巻取り機にてそれぞれボビンを搬出するのに特に適している。隣り合う巻取り機の間隔はもっぱら巻取り機の機械幅によって決定される。
【0010】
巻かれたボビンを巻取り機から受取ったあとで、解放された巻取りスピンドルは通常は、巻取り過程の新たな開始のために巻管で装備されるので、本発明による特に有利な構成によれば、旋回アームが1案内平面にて互いに角度を成してずらされて旋回軸に保持されており、旋回アームが交互に取外し位置へもたらされ得るように構成されている。これによって短い中断時間が実現される。何故ならばボビンの取外しは旋回アームの一方で行なわれ、新しい巻管の供給は第2の旋回アームで行なわれるからである。この場合、旋回アームの間の角度は、一方の旋回アームからのボビン取外しとボビン搬出並びに第2の旋回アームに対する巻管の装備に支障がないように設定される。
【0011】
90°の領域にある大きさを有する旋回アーム間の角度が、ボビン取外しと巻管供給とを最小の空間で実施できるためには有利であることが証明された。
【0012】
ボビンの取外しと巻管の供給との高い融通性は本発明の装置では旋回アームが旋回軸にて時計回り及び/又は反時計回りに旋回可能に構成されていると可能である。特に旋回アームに対応配置された補助装置のエネルギの供給を簡単な形式で、ケーブル案内で実施できるようにするためには、旋回アームの往復運動が用いられると有利である。
【0013】
このためには旋回軸は有利には定置の保持体に回転可能に支承されかつ回転駆動装置と連結されている。旋回アームの保持端部は旋回軸と不動に結合されるので、旋回アームは直接的に回転駆動装置を介して旋回させられることができる。
【0014】
巻取り機から取外されたボビンが迅速にかつ確実に搬出されることを保証するためにはボビン搬送装置が設けられ、該ボビン搬送装置が巻取り機あたり少なくとも1つのボビン受取りステーションを有している。したがって旋回アームの少なくとも一方が取外し位置からボビン受取りステーションの引渡し位置へ案内されることができる。
【0015】
走行移動可能な搬送装置を使用した場合には、本発明の更なる構成が使用されると有利である。この構成では、ボビン受取りステーションは巻取り機に向き合って配置されており、旋回アームは180°の領域での旋回角で取外し位置と引渡し位置との間で旋回可能である。この場合にはボビンを搬送するためには一方の機械長手方向側面に対し平行に配向された搬送路を活用することができる。
【0016】
しかしながら、ボビン受取りステーションを、巻取り機械の前で床に構成することもできる。取外し位置と引渡し位置との間で旋回可能に保持された旋回アームはボビンを固定するためにクランプ機構を有している。これにより90°の簡単な旋回でボビンを取外し位置から引渡し位置へ導くことができる。
【0017】
合成糸を製造する場合には巻取りに際してはボビンが糸切れに基づき不十分な大きさしか有していないか又はプロセス案内の欠陥に基づき不十分な糸品質しか有していない状態が発生する。これらの場合にはボビン搬送装置が複数のボビン受取りステーションを巻取り機あたり有し、該ボビン受取りステーションが旋回アームの旋回領域に複数の引渡し位置を相前後して形成することが有利である。これによってクラス分けは既にボビンを取外す場合に行なうことができる。したがって欠陥のあるボビンを引渡し位置の1つに別個に取外しかつ搬出することができる。
【0018】
旋回アームによって案内されたボビンの受取りのためにはボビン受取りステーションは引渡し位置にて旋回アームに対し整合保持される可動に案内されたボビンマンドレルで構成されるか又はボビンシュート又は走行移動する搬送ベルトによって構成されていることができる。
【0019】
完全な自動化のためには旋回アームには、巻管供給装置の巻管送出ステーションが対応配置されている。該巻管送出ステーションは有利には1つの案内管を有し、この案内管は少なくとも一方の旋回アームと充填位置にて軸方向に整合配置された状態に保持される。
【0020】
充填位置に待機する旋回アームに巻管を供給することは、有利には本発明の別の構成にしたがって、巻管供給装置が巻取りスピンドルの上側で、巻取り機の前に構成されている。これによって巻管は重力だけで案内管から旋回アームに引渡される。付加的な案内手段は不要である。
【0021】
しかしながら、巻管送出ステーションが床に、巻取り機の前に構成されていることも可能である。この場合には充填位置に保持された旋回アームは単数又は複数の巻管を固定するためにクランプ機構を有している。
【0022】
旋回アームに保持されたボビン又は巻管を引渡すためには旋回アームが押離し機構を有し、この押離し機構によってボビン及び/又は巻管が軸方向で旋回アームに沿って移動可能に保持されていると特に有利である。これによってボビンは旋回アームの引渡し位置で一様に旋回アームから押離され、直接ボビン受取りステーションに引渡される。同様に旋回アームに保持された単数又は複数の巻管は連続的な運動で、待機した巻取りスピンドルの受取り位置へ供給される。
【0023】
特に有利であるのは押離し機構が押し部材とリニア駆動装置とから構成されていることである。この場合、押し部材は旋回アームに沿って案内され、リニア駆動装置は旋回アームの軸延長に配置されている。これにより、旋回アームの旋回運動によって必要とされる空間は付加的な装置を受容するために活用されることができる。さらにこの場合には旋回軸における旋回アームの重量補償が可能である。
【0024】
本発明の装置は連続的に巻取る巻取り機において規則的に発生する満管ボビンを取外しかつボビン搬送装置に引渡すのに特に適している。この場合には巻取りスピンドルにて巻取られたボビンの数は無関係である。したがって本発明の装置は巻取りスピンドルあたり1つのボビンしか受取らないか又は巻取りスピンドルあたり複数のボビンを受取るためにも適している。
【0025】
以下、本発明を添付図面に示された若干の実施例に基づき詳細に説明する。
【0026】
図1と図2とには本発明の装置の第1実施例が異なる方向から見て示されている。図1においては実施例は側面図で示され、図2においては平面図で示されている。この限りにおいては一方の図面に関連して以後行なう説明は両方の図面に当て嵌まる。
【0027】
本発明の装置は複数の旋回アーム4.1と4.2とを有し、これらの旋回アーム4.1と4.2はそれぞれ1つの保持端部8と1つの自由な差嵌め端部9とを有している。旋回アーム4.1と4.2は保持端部8で旋回軸5と結合されている。旋回軸5は水平方向に配向されかつ保持体6に回転可能に支承されている。この実施例では旋回軸5は片持式に支承されている。この場合、旋回軸5の自由端部にて旋回アーム4.1と4.2は旋回軸5と固定的に結合されている。反対側の端部で旋回軸5は回転駆動装置7と連結され、この回転駆動装置7によって旋回軸5は旋回アーム4.1と4.2と共に時計回り方向と反時計回り方向とに回動させられることができる。この場合には旋回アーム4.1と4.2は垂直に配向された案内平面にて移動する。図1では案内平面は図平面で示されている。図2においては案内平面は旋回アーム4.1の区分で示されている。
【0028】
旋回アーム4.1と4.2との側方には巻取り機1が配置されている。巻取り機1は可動なスピンドル保持体25に保持された複数の巻取りスピンドル2.1と2.2とを有している。スピンドル保持体25は機械フレーム26に可動に支承され、巻取りスピンドル2.1と2.2が交互にボビンを巻取るための巻取り領域と巻き終わったボビン3を取外すための交換領域とに案内される。このような巻取り機は一般的に公知であり、例えばEP374536B1号明細書に記載されている。その限りにおいては本願の明細書には巻取り機の構成と機能との詳細は記載しておらず、これについては援用したEP374536B1号明細書を参照されたい。
【0029】
旋回アーム4.1と4.2は巻取り機の前に、交換領域に案内された巻取りスピンドル2.1が取外し位置の一方の旋回アーム4.1と整合させられて向き合うように保持されている。旋回軸5を回動させることで選択的に1つの旋回アーム4.1又は旋回アーム4.2が、取外し位置にて巻取りスピンドル2.1の直前に位置決めされる。
【0030】
旋回軸5の上側には巻管供給装置17が配置されている。巻管供給装置17は巻取り機あたり、1つの巻管送出ステーション18を有している。この巻管送出ステーション18はこの実施例では下を向いた開口を備えた案内管19を有している。案内管19は前記案内平面内に配置されている。この場合、旋回アーム4.1又は4.2は充填位置において案内管19のすぐ下側に位置決め可能である。この場合には旋回アーム4.1と4.2は案内管19によって形成された開口に有利には同心的に保持されている。案内管19は上方領域にて巻管マガジン20と連結されている。該巻管マガジン20は多数の巻管27を保持している。巻管マガジン20は巻管27のそれぞれ1つを案内管19内へ案内することのできる案内部材21を有している。
【0031】
旋回軸5の、巻取り機1とは反対の側には、ボビン搬送装置10が構成されている。ボビン搬送装置10はボビン受取りステーション11を有し、該ボビン受取りステーション11内にはボビン台車13が位置せしめられている。ボビン台車13は、旋回アーム4.1と4.2との案内路に自由端部で対応配置されたボビンマンドレル12を有している。旋回アーム4.1は旋回軸5の回動によって引渡し位置へ案内され、この引渡し位置にて、旋回アーム4.1とボビンマンドレル12とはほぼ軸方向で整合させられて向き合う。
【0032】
本発明の装置の機能を説明するためには図1に加えて図3と図4とを使用する。図3と図4とにおいては本発明の装置の実施例が変更された運転位置で示されている。この場合、図1にはボビン取外し開始する状態が示され、図3にはボビンをボビン搬送装置へ引渡す場合の状態が示され、図4には空の巻取りスピンドルに新しい巻管を備える状態が示されている。
【0033】
図1に示された巻取り機の場合には巻取りスピンドル2.1が巻き終わったボビン3と共に交換位置にある。巻取りスピンドル2.2は2本の供給される糸が互いに平行にボビンに巻かれる巻取り位置にある。巻取り機の巻取り領域にある巻取りスピンドル2.1は駆動されておらず、ボビン交換のために待機している。このためには旋回軸5によって旋回アーム4.1が取出し位置において巻取りスピンドル2.1に直接的に向き合って案内されかつ保持される。次いで巻取りスピンドル2.1における押離し装置を介してボビン3が巻取りスピンドル2.1から押し離され、旋回アーム4.1の上に導かれる。この状態は図1に破線で示されている。ボビン3が旋回アーム4.1に保持されたあとで、旋回軸5の回転駆動装置7が時計回り方向に回転するために作動させられ、旋回アーム4.1は取出し位置から外へもたらされる。回転駆動装置7は旋回アーム4.1が反対側の引渡し位置に達し、ボビン受取りステーション11のボビンマンドレル12に向き合うまで作動される。その際、旋回アーム4.1は約180°の回転角に相当する移動を行なう。旋回アーム4.1と4.2は相互に固定されかつ相互間に90°の領域の角度αを成す。これによって旋回軸5の回転に際して同時に旋回アーム4.2は90°ずらされて時計回り方向に旋回させられる。
【0034】
図3においては旋回軸5における180°の回転角のあとの状態が示されている。旋回アーム4.1は引渡し位置にボビンマンドレル12に向き合って係止されている。旋回アーム4.2はこの状態では充填位置で巻管送出ステーションのすぐ下側に保持されている。案内管19を介して旋回アーム4.2には順次2つの巻管27が保持される。第2の巻管27は巻管マガジン20から案内部材21によって案内管19内へ案内される。案内管19内で巻管27はその重力で案内管19の出口開口に向かって直接的に、待機する旋回アーム4.2の上へ落下する。
【0035】
同時に旋回アーム4.1におけるボビン3は待機したボビンマンドレル12に引渡される。ボビンマンドレル12にボビン3を引渡したあとで旋回軸5の回転駆動装置があらためて作動され、旋回軸5は反時計回りへ約90°の回動を行なう。この場合には旋回アーム4.2は巻管27と一緒に充填位置から受取り位置へもたらされる。
【0036】
受取り位置では旋回アーム4.2は図4に示されているように巻取りスピンドル2.1に軸方向で整合配置されている。いまや巻管27は旋回アーム4.2から巻取りスピンドル2.1に引渡されることができる。これによって巻取り機1におけるボビン交換は完了する。旋回アーム4.1と4.2とは回転駆動装置7の作動によって旋回軸5を回動させることにより、図1に示したような出発状態にもたらされる。ボビンマンドレル12におけるボビンはボビン台車13によって搬出される。
【0037】
図1から図4までに示された実施例では、旋回アーム4.1と4.2の案内平面は垂直に配向されているので、ボビンの数が大きい場合ですら、もっとも狭いスペースでボビンを巻取り機からボビン搬送装置へもたらすことができる。この場合に旋回アームはほぼボビン幅に相応する寸法を必要とする。旋回アームに対応配置された巻管供給装置17とボビン搬送装置10の構成は例的なものである。原則的には巻管の供給又はボビンの受取りが可能であるシステムが適している。したがって例えばボビンマンドレル12は懸吊路又はその他の搬送手段で案内しかつ位置決めすることができる。
【0038】
図5と図6とには本発明の装置の別の実施例が概略的に側面図で複数の運転状態で示されている。図5と図6との一方に対する断りがない限り、以下の記述は図5と図6との両方に当て嵌まるものである。
【0039】
図5と図6とに示された実施例は図1の実施例とほぼ同じである。したがって以後、相違点だけを説明し、その他は先の記述を参考にされたい。
【0040】
図5と図6とに示された装置では旋回アーム4.1と4.2は角度αだけ互いにずらされて旋回軸5に保持されている。旋回アーム4.1と4.2は旋回軸5を回動させることによって時計回り方向と反時計回り方向とに駆動される。旋回軸5は図示されていない回転駆動装置と連結され、保持体に片持式に又は両側で支承されている。
【0041】
旋回アーム4.1と4.2はそれぞれ押離し機構22を有している。この押離し機構22は、押し部材23とリニア駆動装置24とで形成されている。押し部材23は各旋回アーム4.1又は4.2の周面に例えばリングとして案内されている。リニア駆動装置24、例えばニューマチックシリンダは各旋回アーム4.1又は4.2の軸方向の延長に配置され、リニア駆動装置24はほぼ、案内平面内で、旋回軸5に対し、旋回アーム4.1とは反対側を延びている。この構成は旋回軸5に対する対称的な配置が得られ、旋回軸5に関して重量が補償されるという特別な利点を有している。したがって旋回軸5を作動するために必要な回転モーメントはボビンによってもたらされる負荷に限定される。旋回アーム4.1と4.2のリニア駆動装置24は互いに、旋回アーム4.1と4.2との各押し部材23が個別にかつ互いに無関係に作動され得るように配置されている。
【0042】
旋回アーム4.1と4.2との片側には巻取り機1が配置されている。巻取り機1はフレーム壁28に可動に保持されたスピンドル保持体25を有している。スピンドル保持体25は片持式に保持された2つの巻取りスピンドル2.1と2.2を保持し、巻取りスピンドル2.1と2.2はそれぞれ1つのボビンを保持しかつ巻取る。このためには巻取りスピンドル2.1,2.2はスピンドル保持体25によって交互に巻取り領域と交換領域とにもたらされる。図5に示された状態では巻取りスピンドル2.1はボビン3と共に交換位置に保持されている。
【0043】
巻取り機1とは反対側では旋回アーム4.1と4.2とには、ボビン搬送装置の2つのボビン受取りステーション11.1と11.2とが対応配置されている。第1のボビン受取りステーション11.1は旋回アーム4.1から押離されたボビンを受取るボビンシュート15を有している。ボビンシュート15は旋回アーム4.1と4.2とに対し側方に保持されている。第2のボビン受取りステーション11.2は巻取り機1の直前で床に構成されている。この場合にはボビン受取りステーション11.2は容器29によって形成され、この容器29は一方の旋回アーム4.1又は4.2から解放されたボビンを受取る。ボビン受取りステーション11.2は例えば十分なボビン直径を有していないか又は十分な糸質を有していない欠陥ボビンを受取るために設けられている。この場合には容器29は人的に又は搬送ベルトによって自動的に導かれることができる。
【0044】
案内平面にて旋回アーム4.1と4.2との上側には、巻管供給装置17が構成されている。この実施例では巻管を供給するための案内管19しか図示されていない。
【0045】
図5と図6とに示された実施例の機能は先の実施例とほぼ同じであるので、以後、相違点だけを記述し、その他は先の記述に委ねる。
【0046】
図5においては旋回アーム4.1が受取り位置にて巻取りスピンドル21の直前に位置している状態が示されている。巻取りスピンドル2.1からボビン3を引渡した後に、旋回軸5を作動することによって旋回アーム4.1と4.2とが時計回り方向に旋回させられる。ボビンの品質により、旋回アームは180°又は270°の回動角だけ旋回させられる。欠陥のないボビンの場合には旋回アーム4.1は180°後に到達した引渡し位置にもたらされる。次いで旋回アーム4.1における押離し機構22が作動され、ボビン3.1が旋回アーム4.1の自由端部を越えて押離されかつ自動的にボビンシュート15の上に導かれる。この状態は図6に示されている。同時に充填位置に保持された旋回アーム4.2に巻管27が供給される。
【0047】
巻取りスピンドル2.1から取外されたボビン3に欠陥がある場合には旋回軸5は旋回アーム4.1と4.2を動かすために270°の回動角だけ時計回りに旋回させられる。選択的に旋回アーム4.1は旋回軸5を反時計回りに90°だけ、ボビン受取りステーション11.2にとって決定的な引渡し位置に位置決めされることができる。引渡し位置に達したあとでボビンはボビン受取りステーション11.2に引渡され、ひいてはボビン3が容器29に導かれる。この状態は図示されていない。
【0048】
空の巻取りスピンドル2.1に新しい巻管27を装備することは、先の実施例と同様に行なわれ、したがって旋回アーム4.2は充填位置から受取り位置へもたらされる。巻管27を押離すためには旋回アーム4.2における押離し機構22が作動される。
【0049】
図5と図6とに示された実施例はボビンの品質選別を行なうために特に適している。したがって十分なA品質を有するすべてのボビンが直接的にボビンシュートに給送され、そこで人的に受取られかつ直接的に包装されることができる。これに対しいわゆるB品質のボビンは容器29に送られかつ除外される。
【0050】
図7には本発明の装置の別の実施例が概略的に側面図で示されている。この実施例はほぼ図5と図6との実施例と同じであるので、以後、相違点だけを記述し、その他は先の記述を参照されたい。
【0051】
図7に示された実施例では、旋回アーム4.1と4.2とは一緒に旋回軸5に保持されており、時計回り方向と反時計回り方向とに回転駆動装置によって積極的に移動させられることができる。旋回アーム4.1にはクランプ機構14が対応配置され、該クランプ機構14は旋回アーム4.1の外周に分配された複数のクランプ体を有している。これらのクランプ体はクランプ体の内部に案内された圧縮空気ピストンによって旋回アーム4.1の周面に保持されたボビンを掴むために作動可能である。このためには圧縮空気接続部31が旋回アーム41に対応配置されている。これに対し旋回アーム4.2は押離し機構22を有し、該押離し機構22は押し部材23とリニア駆動装置24とによって形成されている。旋回アーム4.1と4.2には案内平面内で上側では巻管供給装置17がかつ床にはボビン搬送装置10が対応配置されている。この場合、ボビン搬送装置10のボビン受取りステーション11は搬送ベルト16によって形成され、該搬送ベルト16は複数の突出するボビンマンドレル12を有している。ボビンマンドレル12は垂直に上方へ突出し、ボビン受取りステーション11においては引渡し位置に保持された旋回アーム4.2に軸方向で整合させられている。
【0052】
図7に示された実施例では、巻取りスピンドル2.1から旋回アーム4.1に1つのボビンが引渡されたあとで、旋回軸5は反時計回りへ、旋回アーム4.1が90°の回動角を旋回しかつ引渡し位置にもたらされるまで回動させられる。この時間の間、旋回アーム4.1のクランプ機構14が作動されるので、ボビン3は旋回アーム4.1に不動に保持される。旋回アーム4.1がボビンマンドレル12の上側の引渡し位置に達すると、クランプ機構14が解放され、ボビン3は旋回アーム4.1に沿って滑動し、自動的に、ボビンマンドレル12を介してセンタリングされて搬送ベルト16の上に落下する。ボビン3は搬送ベルト16によって排出される。同時に巻取りスピンドル2.2には第2の旋回アーム4.2で巻管27が装備される。このためには旋回アーム4.2における押離し機構22が作動されるので、巻管27は一様な運動で旋回アーム4.2から掻落され、巻取りスピンドル2.1に導かれる。巻管27が巻取りスピンドル2.1に保持されたあとで、旋回アーム4.1と4.2は90°時計回りに回動させられるので旋回アーム4.2は充填位置にかつ旋回アーム4.1は受取り位置に係止される。この場合、旋回アーム4.2には充填位置に達した後、直接的に新しい巻管27が装備される。
【0053】
先に述べた実施例においてはボビン取外し装置はそれぞれ2つの旋回アームで示されている。基本的には本発明においては旋回軸5を中心として旋回可能である旋回アームの数は2つに限定されるものではない。ボビン取外し及び巻管装備を行なうために3つ又は4つの旋回アームを使用することもできる。さらに旋回アームを互いに平行に配向させられた垂直な案内平面に配置し、旋回アームが軸方向でもずらされて旋回軸に保持されるようにする可能性もある。したがって巻取りスピンドルからボビンを押離すためと巻取りスピンドルに巻管を差し嵌めるためとに巻取りスピンドルの2つの異なる位置を活用することができる。これは、巻取りスピンドルが普通の巻取り過程の間、1つの旋回円の上を移動し、ボビン交換のためだけに停止させられると特に有利である。この場合、巻取りスピンドルの停止時間は2つの小さい時間帯区分に分けられることができる。同様に本発明の装置はボビンを受容するために水平に配向された巻取りスピンドルを有することに限定されるものではない。したがって垂直に向けられた巻取りスピンドルも可能である。この場合には有利には旋回アームは巻取りスピンドルの下側を案内されるのでボビンの押離しは不要になる。その理由は満管のボビンは自動的に旋回アームの上へ移動するからである。さらに本発明の装置は制御装置と連結され、該制御装置がセンサを介して個々の運転状態を認識し、ひいては旋回アームの旋回運動を実行することも付言しておく。しかしながらボビン取外しを行なうために本発明の装置を人的に操作することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明による装置の第1実施例の概略的な正面図。
【図2】図1に示した実施例の概略的な平面図。
【図3】図1に示した実施例を異なる運転状態で示した図。
【図4】図1に示した実施例を異なる運転状態で示した図。
【図5】本発明の装置の別の実施例の概略的な正面図。
【図6】図5に示された実施例を運転状態を変えて示した概略的な正面図。
【図7】本発明の装置の別の実施例の概略的な平面図。
【符号の説明】
【0055】
1 巻取り機、 2.1,2.2 巻取りスピンドル、 4.1,4.2 旋回アーム、 5 旋回軸、 6 保持体、 7 回転駆動装置、 8 保持端部、 9 差嵌め端部、 10 ボビン搬送装置、 11,11.1,11.2 ボビン受取りステーション、 12 ボビンマンドレル、 13 ボビン台車、 14 クランプ機構、 15 ボビンシュート、 16 搬送ベルト、 17 巻管供給装置、 18 巻管送出ステーション、 19 案内管、 20 巻管マガジン、 21 案内部材、 22 押離し機構、 23 押し部材、 24 リニア駆動装置、 25 スピンドル保持体、 26 機械フレーム、 27 巻管、 28 フレーム壁、 29 容器、 30 クランプ体、 31 圧縮空気接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのボビン(3)を巻取るために片持式に保持された巻取り機にて、ボビンを取外すための装置であって、それぞれ1つの自由な差嵌め端部(9)と反対側にある1つの保持端部(8)とを有する複数の旋回アーム(4.1,4.2)を備えており、該旋回アーム(4.1,4.2)の保持端部(8)が旋回軸(5)と結合されており、前記旋回アーム(4.1,4.2)の少なくとも一方がボビン(3)を取外すために取外し位置にて巻取り機(1)の巻取りスピンドル(2.1)と軸方向で整合させられて保持される形式のものにおいて、前記旋回軸(5)が水平に配向されかつ前記旋回アーム(4.1,4.2)が垂直方向に配向された案内平面にて案内可能であることを特徴とする、巻取り機においてボビンを取外すための装置。
【請求項2】
前記旋回アーム(4.1,4.2)が前記案内平面内で互いに角度を成してずらされて前記旋回軸(5)に保持されており、この場合、旋回アーム(4.1,4.2)が交互に取出し位置にもたらされる、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記角度が90°の領域の大きさを有している、請求項2記載の装置。
【請求項4】
旋回アーム(4.1,4.2)が旋回軸(5)にて時計回り方向にかつ/又は反時計回り方向に旋回可能に構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
旋回軸(5)が定置の保持体(6)に回転可能に支承されかつ回転駆動装置(7)と連結されており、この場合、旋回アーム(4.1,4.2)の保持端部(8)が旋回軸(5)と固定的に結合されている、請求項4記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つのボビン受取りステーション(11)を有するボビン搬送装置(10)が設けられ、旋回アーム(4.1,4.2)の少なくとも一方が取外し位置からボビン受取りステーション(11)に対応する引渡し位置へ案内可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
ボビン受取りステーション(11)が巻取り機(1)に向き合って配置されており、旋回アーム(4.1,4.2)が取外し位置と引渡し位置との間で180°の領域の旋回角だけ旋回可能である、請求項6記載の装置。
【請求項8】
ボビン受取りステーション(11)が巻取り機(1)の前で床に構成されており、取出し位置と引渡し位置との間で旋回可能に保持された旋回アーム(4.1,4.2)がボビン(3)を固定するためのクランプ機構(14)を有している、請求項6記載の装置。
【請求項9】
ボビン搬送装置(10)が複数のボビン受取りステーション(11.1,11.2)を巻取り機(1)あたり有しており、前記ボビン受取りステーション(11.1,11.2)が旋回アーム(4.1,4.2)の旋回領域に複数の引渡し位置を相前後して形成している、請求項6から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
ボビン受取りステーション(11)が可動に案内されたボビンマンドレル(12)を有し、該ボビンマンドレル(12)が引渡し位置で旋回アーム(4.1,4.2)に軸方向で整合配置される、請求項6から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
ボビン受取りステーションがボビンシュート又は走行する搬送ベルト(16)を有している、請求項6から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
案内管(19)を備えた巻管送出ステーション(18)を有する巻管供給装置(17)が設けられており、旋回アーム(4.1,4.2)の少なくとも一方が充填位置にて案内管(19)に軸方向で整合するように配置可能である、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
巻管送出ステーション(18)が巻取りスピンドル(2.1)の上側で巻取り機(1)の前に構成されており、旋回アーム(4.1,4.2)が充填位置で案内管(19)の下側に位置決め可能である、請求項12記載の装置。
【請求項14】
巻管送出ステーション(18)が巻取り機(1)の前で床に構成されており、充填位置と取外し位置との間で旋回可能に保持された旋回アーム(4.1,4.2)が巻管(27)を固定するためのクランプ機構(14)を有している、請求項12記載の装置。
【請求項15】
旋回アーム(4.1,4.2)の少なくとも1つがボビン(3)及び/又は巻管(27)を軸方向で旋回アーム(4.1,4.2)に摺動可能に保持する押離し機構(22)を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
押離し機構(22)が押し部材(23)とリニア駆動装置(24)とを有し、押し部材(23)が旋回アーム(4.1,4.2)に案内されており、リニア駆動装置(24)が旋回アーム(4.1,4.2)の軸延長部に配置されている、請求項15記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−529472(P2009−529472A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557651(P2008−557651)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001892
【国際公開番号】WO2007/101649
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(307031976)エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (105)
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D−42897 Remscheid, Germany
【Fターム(参考)】