説明

ボリューム式コントローラー

【課題】ボリューム式摘みの回動の上限及び/又は下限を設定する必要がある場合の回動端設定が容易な、ボリューム式コントローラーを提供することを課題とする。
【解決手段】コントローラー本体1と、それに被装されるカバー11と、コントローラー本体1から延びてカバー11に形成される軸挿通孔12から突出するボリューム軸2に取り付けられる摘み21とから成り、カバー11の軸挿通孔12の周囲に、ボリューム軸2の回転によって変わる量に対応する記号14が複数円弧状に表記されると共に、記号14にそれぞれ対応する差し込み孔15が円弧状に穿設され、摘み21には、その外表面に回転に伴って記号14のいずれかを指し示す指示手段22が形成されると共に、その内面に堰板23が形成され、堰板23が、カバー11の内側から差し込み孔15のいずれかに差し込まれるストッパー16に当たることにより、ボリューム軸2の回転端が規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボリューム式コントローラー、より詳細には、換気装置の換気量調整や照明器具の光量調整等のために用いられる手動式コントローラーで、使用環境、使用条件等に応じて任意にボリューム回動端を規制調整できる、ボリューム式コントローラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築基準法の改正により、シックハウスの原因となるホルムアルデヒド等の化学物質の室内濃度を下げるため、建築物に使用する建材や換気設備についての規制が強化されている。例えば、換気設備についてみると、ホルムアルデヒドを発散する建材を使用しない場合であっても、家具からの発散があるため、原則として全ての建築物に機械換気設備の設置が義務付けられている。そして、住宅の場合は、換気回数0.5回/h(1時間当たりに部屋の空気の半分以上が入れ替わることを意味する)以上の機械換気設備(いわゆる24時間換気システム等)の設置が必要とされる。
【0003】
上記機械換気システムは、換気量(ファンモーター回転数)調整のためのコントローラーを伴う。一般にこのコントローラーは、壁面に取り付けられるボリューム式のものであって、そのボリューム摘みを回すことで、住宅の大きさ(坪数)に応じた換気量の調整を行うことができるようになっている。例えば、本願出願人の製品においては、摘みの周囲に、坪数に対応する1〜9の符号(1は20坪、2は30坪、・・・、9は95坪)が表示されていて、ボリューム摘みの指示線をいずれかの数字に合わせることにより、当該住宅の坪数に応じた換気量が確保されるようになっている。
【0004】
このように従来のボリューム式コントローラーの場合は、使用者がそのボリューム摘みを自由に操作することができるため、度々の操作や不用意な操作により、適正な換気量設定位置が分からなくなってしまうおそれがある。その結果、換気回数0.5回/h以上という規制を担保することができなくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−221217号公報
【特許文献2】特開2006−145116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来のボリューム式コントローラーの場合は、使用者がそのボリューム摘みを自由に操作することができることから、換気回数0.5回/h以上という規制を担保することができなくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであって、ボリューム式摘みの回動の上限及び/又は下限を設定する必要がある場合の回動端設定が容易で、例えば、住宅用機械換気システムのコントローラーとして利用されることにより、設置時においてボリューム式摘みの回動端を当該住宅に対応させて設定でき、以て、換気回数0.5回/h以上という規制を確実に担保することができるボリューム式コントローラーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、コントローラー本体と、前記コントローラー本体に被装されるカバーと、前記コントローラー本体から延びて前記カバーに形成される軸挿通孔から突出するボリューム軸に取り付けられる摘みとから成り、前記カバーの前記軸挿通孔の周囲に、前記ボリューム軸の回転によって変わる量に対応する記号が複数円弧状に表記されると共に、前記記号にそれぞれ対応する差し込み孔が円弧状に穿設され、前記摘みには、その外表面に回転に伴って前記記号のいずれかを指し示す指示手段が形成されると共に、その内面に堰板が形成され、前記堰板が、前記カバーの内側から前記差し込み孔のいずれかに差し込まれるストッパーに当たることにより、前記ボリューム軸の回転端が規制されることを特徴とするボリューム式コントローラーである。
【0009】
一実施形態においては、前記差し込み孔は、前記記号の内側に穿設される。その場合、前記差し込み孔は、前記記号の内側に多重に穿設されることもある。また、一実施形態においては、前記指示手段は前記摘みの環状ベースの外表面に形成され、前記堰板は、前記環状ベースの前記指示手段形成位置に対応する内面位置において、前記環状ベースの内側面から中心部に延びるように板状に形成される。また、前記ストッパーはネジとされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述したとおりであって、このボリューム式コントローラーによれば、前記摘みに、その外表面に回転に伴って前記記号のいずれかを指し示す指示手段が形成されると共に、その内面に堰板が形成され、前記堰板が前記カバーの内側から前記差し込み孔のいずれかに差し込まれるストッパーに当たることにより、前記ボリューム軸の回転端が規制されるので、例えば、本コントローラーを住宅用機械換気システムのコントローラーとして利用する場合、壁面等への設置時において、当該工事担当者が単に停止手段を所望の差し込み孔に差し込むだけで、ボリューム式摘みの回動端を当該住宅に対応させて設定でき、以て、換気回数0.5回/h以上という規制を確実に担保することが可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るボリューム式コントローラーの一実施形態の分解斜視図である。
【図2】本発明に係るボリューム式コントローラーにおけるカバーの構成例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るボリューム式コントローラーにおけるカバーの構成例を示す裏面図である。
【図4】本発明に係るボリューム式コントローラーにおける摘みの構成例を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るボリューム式コントローラーの動作を示す一部切截正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図面に依拠して説明する。図示した例は、本発明に係るボリューム式コントローラーを室内換気装置の換気量調整に用いた場合のものであり、その場合、本コントローラーは図示せぬファンに接続され、その操作によりファンの回転制御、換言すれば、換気量の増減調整を行うために用いられる。
【0013】
本コントローラーは、通例、壁面埋め込み型に構成され、壁面31に埋め込まれるコントローラー本体1と、室内側に表出するようにコントローラー本体1に被装されるカバー11と、コントローラー本体1から延びてカバー11に形成される軸挿通孔12から突出するボリューム軸2に取り付けられる摘み21とから成る。
【0014】
コントローラー本体1の四隅には、カバー11の内面四隅に形成される係止手段13に対応する係止手段3が形成され、各係止手段同士3、13が係止し合うことにより、カバー11がコントローラー本体1に取り付けられるようになっている。例えば、係止手段3、13は、一方を孔とし、他方をこれに係合する爪付き突部として構成することができるが、他の任意の係合手段とすることができることは言うまでもない。
【0015】
本コントローラーは摘み21を回してボリューム軸2を回転させることにより、図示せぬファンの換気量(ファンモーター回転数)を制御するものであるため、カバー11の軸挿通孔12の周囲に、ボリューム軸2の回転によって変わる換気量(ファンモーター回転数)に対応する記号14が複数、円弧状に表記される。図示した例における記号14は、1乃至9の数字(坪数に対応するもので、例えば、1は20坪、2は30坪、・・・、9は95坪に対応する)と、その数字の内側に表示され、その大きさで以て換気量(ファンモーター回転数)の大小を示す黒丸とから成る。黒丸は、1乃至9の数字に対応するものの他に、各数字の中間値を指し示す小さな黒丸を含む。
【0016】
更に、記号14の内側において軸挿通孔12を囲むように、記号14のそれぞれに対応する差し込み孔15が円弧状に穿設される。図示した例では、差し込み孔15は、記号14の各数字に対応するものと、各数字の中間値に対応するものとが二重に配置されている(前者が外輪)。後述するように、この差し込み孔15には、選択的にストッパー16が差し込まれる。ストッパー16としては、通常、ネジが用いられるが、他のピン状のものであってもよい。なお、後述する堰板23の厚みとの関係で、各差し込み孔15は、各数字及び各数字の中間値対応位置よりも少し、数字の若い側にずらして形成される(図5参照)。
【0017】
コントローラー本体1には運転確認ランプ4が組み込まれ、カバー11に運転確認ランプ4を視認させるための窓17が形成される。
【0018】
摘み21には、その外表面に、回転に伴って記号14のいずれかを指し示す指示手段22が形成されると共に、その内面に堰板23が形成される。例えば、指示手段22は、摘み21の環状ベース24に形成される突部であり、堰板23は、環状ベース24の指示手段22形成位置に対応する内面位置において、環状ベース24の内側面から中心部に延びるように形成される板状体である。
【0019】
本発明に係るコントローラーの設置に当たっては、先ずコントローラー本体1を、配線の接続をした後壁面31に埋め込み固定する。次いで、当該住宅の居室の広さに対応する換気量(ファンモーター回転数)の下限、即ち、換気回数0.5回/h以上という規制をクリアできる範囲を確認し、その下限に対応する記号14の位置に存する差し込み孔15に、ストッパー16たるネジをねじ付けたカバー11を、コントローラー本体1に被着する。そして、コントローラー本体1から延びて軸挿通孔12から突出するボリューム軸2に摘み21を被せ、止めネジ25をねじ込んで摘み21をボリューム軸2に固定する。
【0020】
このようにして設置された本コントローラーにおいては、摘み21を回すことによってボリューム軸2を自由に回転させることができるが、反時計方向への回転は、堰板23がストッパー16に当たることにより規制される。従って、摘み21が、度々の操作や不用意な操作により適正位置を外れたとしても、換気回数0.5回/h以上という規制を外れることは皆無となる。また、設定の変更をする場合は、カバー11を外し、ストッパー16の差し込み位置を変えればよい。
【0021】
上述した例は、本コントローラーを換気装置の換気量設定用に用いた場合であるが、本コントローラーはこれに限らず、照明器具の光量調整その他、使用環境、使用条件等に応じてボリューム回動端を規制する必要のある種々の場合に適用可能なものである。
【0022】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【符号の説明】
【0023】
1 コントローラー本体
2 ボリューム軸
3 係止手段
4 運転確認ランプ
11 カバー
12 軸挿通孔
13 係止手段
14 記号
15 差し込み孔
16 ストッパー
17 窓
21 摘み
22 指示手段
23 堰板
24 環状ベース
25 止めネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラー本体と、前記コントローラー本体に被装されるカバーと、前記コントローラー本体から延びて前記カバーに形成される軸挿通孔から突出するボリューム軸に取り付けられる摘みとから成り、前記カバーの前記軸挿通孔の周囲に、前記ボリューム軸の回転によって変わる量に対応する記号が複数円弧状に表記されると共に、前記記号にそれぞれ対応する差し込み孔が円弧状に穿設され、前記摘みには、その外表面に、回転に伴って前記記号のいずれかを指し示す指示手段が形成されると共に、その内面に堰板が形成され、前記堰板が前記カバーの内側から前記差し込み孔のいずれかに差し込まれるストッパーに当たることにより、前記ボリューム軸の回転端が規制されることを特徴とするボリューム式コントローラー。
【請求項2】
前記差し込み孔は、前記記号の内側に穿設される、請求項1に記載のボリューム式コントローラー。
【請求項3】
前記差し込み孔は、前記記号の内側に多重に穿設される、請求項2に記載のボリューム式コントローラー。
【請求項4】
前記指示手段は前記摘みの環状ベースの外表面に形成され、前記堰板は、前記環状ベースの前記指示手段形成位置に対応する内面位置において、前記環状ベースの内側面から中心部に延びるように板状に形成される、請求項1乃至3のいずれかに記載のボリューム式コントローラー。
【請求項5】
前記ストッパーはネジである、請求項1乃至4のいずれかに記載のボリューム式コントローラー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate