説明

ボルト締めランジュバン型振動子

【課題】溝から金属ブロックねじ穴内に溜まった空気又は余剰接着剤を外へ排出することで、金属ブロック接着面と振動板の間に空気が侵入することを防ぎ、圧縮された余剰接着剤が、金属ブロックのねじ込みを妨げないため、適正な接着層を確保することができる。
【解決手段】2つの金属ブロック1,2の間にリング状の圧電セラミックス3,4が挟持され、ねじ穴に結合ボルトがねじ込まれて一体に形成された、ボルト締めランジュバン型振動子8の2つの金属ブロックの一方のねじ穴の端部に、ねじ止めする振動板を固着したスタッドボルトの、側面の軸方向に少なくとも1つの溝を形成し、スタッドボルト10を接着剤を塗布して、2つの金属ブロックの一方のねじ穴の端部にねじ止めするときに、金属ブロックのねじ穴内の空気又は余剰接着剤を抜く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッドボルトを用いた接着における接着強度を向上するするランジュバン型振動子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図3及び図4に示すように、2つの金属ブロック1,2の間にリング状の圧電セラミックス3,4が挟持され、これらの圧電セラミックス3,4の間及び端部に電極5,6が挟持され、2つの金属ブロック1,2のねじ穴1a、2aに結合ボルト7がねじ込まれて一体に形成されたボルト締めランジュバン型振動子8が提案されている。
【0003】
このように構成されたボルト締めランジュバン型振動子では、図6に示すように、2つの金属ブロック1,2の一方の金属ブロック1のねじ穴1aを、振動板9に固着したスタッドボルト10にねじ込んで、振動板9にボルト締めランジュバン型振動子を固定する場合、スタッドボルト10に金属ブロック1のねじ穴1aをねじ込む際に、金属ブロック1のねじ穴1aに入っている空気又は余剰接着剤がスタッドボルト10で圧縮され、この圧縮された空気は接着面1cと振動板9の間に噴出するために、接着面1cと振動板9との接着面に空気層を形成し、接着強度を低減させるという問題があり、又、圧縮された又は余剰接着剤は、金属ブロックのねじ込みを妨げ、適正な接着層が確保できないという問題があった。
【特許文献1】実開平5−39677号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、従来のボルト締めランジュバン型振動子では、金属ブロック1のねじ穴1aに入っている空気又は余剰接着剤がスタッドボルト10で圧縮され、この圧縮された空気は接着面1cと振動板9の間に噴出するために、接着面1cと振動板9との接着面に空気層を形成し、接着強度を低減させるという問題があり、又、圧縮された余剰接着剤は、金属ブロックのねじ込みを妨げ、適正な接着層が確保できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、2つの金属ブロックの間にリング状の圧電体振動子が挟持され、前記2つの金属ブロックのねじ穴に結合ボルトがねじ込まれて一体に形成されたボルト締めランジュバン型振動子の前記2つの金属ブロックの一方のねじ穴の端部にねじ止めする振動板を固着したスタッドボルトの側面の軸方向に少なくとも1つの溝を形成し、該スタッドボルトを接着剤を塗布して前記2つの金属ブロックの一方のねじ穴の端部にねじ止めするときに、前記金属ブロックのねじ穴内の空気又は余剰接着剤を抜くものであり、又、前記スタッドボルトは側面の軸方向に2つ以上の溝を形成したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のボルト締めランジュバン型振動子では、ランジュバン型振動子と振動板を接着する際、振動板を固着したスタッドボルトの側面の軸方向に少なくとも1つの溝を形成することによって、この溝から金属ブロックねじ穴内に溜まった空気又は余剰接着剤を外へ排出することで、金属ブロック接着面と振動板の間に空気が侵入することを防ぐことができるという利点がある。又、圧縮された余剰接着剤が、金属ブロックのねじ込みを妨げないため、適正な接着層を確保することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明では、振動板を固着したスタッドボルトの側面の軸方向に少なくとも1つの溝を形成することによって、2つの金属ブロックの一方のねじ穴の端部に振動板に固着したスタッドボルトに接着剤を塗布してねじ止めするときに、金属ブロックねじ穴内の空気又は余剰接着剤を外へ排出するものである。
【実施例】
【0008】
図1は本発明の実施例のボルト締めランジュバン型振動子の側面断面図で、1,2は金属ブロック、3,4は圧電セラミックス、5,6は電極、7は結合ボルト、8はボルト締めランジュバン型振動子、9は振動板、10はスタッドボルトで、これらの構成は上記従来例と同じであるので、説明は省略するが、本実施例では、スタッドボルト10側面に溝10aが形成されている。
【0009】
このように構成された本実施例のボルト締めランジュバン型振動子では、まず、図3に示した振動板9に固着されたスタッドボルト10にボルト締めランジュバン型振動子8の金属ブロック1のねじ穴1aを接着剤を塗布してねじ嵌合すると、金属ブロック1のねじ穴1aにスタッドボルト10を入れると同時に、ねじ穴1aに入っている空気又は余剰接着剤はスタッドボルト10の溝10a介して外部に排出されるので、金属ブロック接着面と振動板の間に空気が侵入することがなく、又、圧縮された余剰接着剤が、金属ブロックのねじ込みを妨げることがなく、適正な接着層を確保することができ、ボルト締めランジュバン型振動子8と振動板9の接着強度が低減されることがない。
【産業上の利用可能性】
【0010】
なお、上記実施例において、スタッドボルト10の側部に1つの溝10aを形成した例を示したが、図2に示すように、スタッドボルト10の溝10aの対向する位置に他の溝10bを形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例のボルト締めランジュバン型振動子と振動板とスタッドボルトの斜視図である。
【図2】本発明の実施例のボルト締めランジュバン型振動子のスタッドボルトの斜視図である。
【図3】従来のボルト締めランジュバン型振動子と振動板とスタッドボルトの斜視図である。
【図4】図3のボルト締めランジュバン型振動子の断面図である。
【符号の説明】
【0012】
1、2 金属ブロック
3,4 圧電体振動子
5,6 電極
7 結合ボルト
8 ボルト締めランジュバン型振動子
9 振動板
10 スタッドボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの金属ブロックの間にリング状の圧電セラミックスが挟持され、前記2つの金属ブロックのねじ穴に結合ボルトがねじ込まれて一体に形成されたボルト締めランジュバン型振動子の前記2つの金属ブロックの一方のねじ穴の端部にねじ止めする振動板を固着したスタッドボルトの側面の軸方向に少なくとも1つの溝を形成し、該スタッドボルトを接着剤を塗布して前記2つの金属ブロックの一方のねじ穴の端部にねじ止めするときに、前記金属ブロックのねじ穴内の空気又は余剰接着剤を抜くことを特徴とするボルト締めランジュバン型振動子。
【請求項2】
前記スタッドボルトは側面の軸方向に2つ以上の溝を形成したことを特徴とする請求項1記載のボルト締めランジュバン型振動子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−279499(P2009−279499A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132738(P2008−132738)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000243364)本多電子株式会社 (255)
【Fターム(参考)】