ボーリングツールのための超硬質挿入体
回転ボーリングツールのための超硬質挿入体は、周囲カッター縁部を有するカッター先端部を備え、周囲カッター縁部の少なくとも一部分は、複数の硬質領域および複数の超硬質領域のいずれか一方からなる複数の縁部によって画定されている。超硬質領域の縁部は、互いに間隔を空けて配置されており、かつ硬質領域の縁部によって隔離されている。各硬質領域の硬度は、各超硬質領域の硬度の最大で50%である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、回転ボーリングツールのための超硬質挿入体に関する。
【背景技術】
【0002】
回転ボーリングツールは、オイルまたはガスの調査、開発および建設などの産業において、地面に穴をあけるために用いられている。岩盤のボーリングのための回転ドリルビット硬質リルビット本体部に取り付けられた複数の超硬質挿入体を備えることができる。使用中、頭部は、高速かつ多大な力で回転され、そして、せん断切断動作によって岩の材料を取り除くよう、壁および穴の先端に対して超硬質挿入体を回転駆動する。そのような使用に適した挿入体は、“シャーカッター”挿入体とも称され、また、超硬合金基材に結合された多結晶の超硬質材料の層を備えることができる。多結晶の超硬質材料の一例として、多結晶ダイヤモンド(PCD)がある。
【0003】
PCDは、相互に成長した(inter−grown)ダイヤモンド粒の塊と、ダイヤモンド粒の間の隙間と、を備える超硬質材料である。PCDは、ダイヤモンド粒の凝集した塊を、超高圧および超高温の下に置くことによって作製され得る。PCDは、岩、金属、セラミックス、複合材料および木材含有材料などの硬質または研磨用の材料を切断、穴あけまたは分解するために広く使用されている。例えば、PCD挿入体は、オイルまたはガスの穴あけ産業において地面に穴をあけるためのドリルビットで広く用いられている。これらの分野の多くで、PCD材料が岩盤層、被加工物または塊に係合するとき、PCD材料の温度は上昇する。
【0004】
EP0278703は、超硬合金コアおよび研磨用切断隅部を有する研磨用本体部を開示している。ここで、研磨用切断隅部は、同一の材料から構成されていてもよく、または、異なる材料から構成されていてもよい。研磨用本体部は、基材に結合された、結合超硬研磨用粒子の層を有していてもよく、結合超硬研磨用粒子は、ダイヤモンドまたは立方晶窒化ホウ素であってもよい。
【0005】
WO2002/022311は、炭化タングステン系超硬合金基材を備える挿入体ツールを開示している。炭化タングステン系超硬合金基材は、その中に形成された、予め焼結された複数の凹部を有している。挿入体ツールの一形態は、基材の1つのセクションであって、当該セクションの4つの隅部の各々に4つの研磨用本体部が結合されるセクションからなっている。
【0006】
US5607024は、支持部材に取り付けられたカッター先端部を有する超硬質挿入体を開示している。カッター先端部は、主にコバルトからなるバインダーの中に結合された多結晶ダイヤモンド粒を有する、ディスクまたはタブレットに成形された形態となっている。このタブレットまたはディスクは、従来の高温かつ高圧の焼結処理によって、円筒状の支持部材にしっかりと取り付けられている。
【0007】
US7533740は、先端面および周囲部を含む基材を有する切断エレメントを開示している。先端面は周囲部へ延びている。“TSP”材料層が、先端面の一部分のみに形成されており、また、周囲部へ延びている。一形態において、TSPは、切断エレメントに機械的にロックされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
回転ボーリングツールのための超硬質挿入体であって、低減されたコストまたは優れた特性を有する、特に地面をボーリングする、または岩盤層を穴あけするまたはさもなくば分解する、超硬質挿入体への需要がある。
【発明を解決するための手段】
【0009】
ここで、“超硬質”は、少なくとも25GPaのビッカース硬度を意味している。
【0010】
第1の側面として、回転ボーリングツールのための超硬質挿入体であって、周囲カッター縁部を有するカッター先端部を備え、周囲カッター縁部の少なくとも一部分は、複数の硬質領域および複数の超硬質領域のいずれか一方からなる複数の縁部によって画定されており、超硬質領域の縁部は、互いに間隔を空けて配置されており、かつ硬質領域の縁部によって隔離されており、各硬質領域の硬度は、各超硬質領域の硬度の最大でも50%である、超硬質挿入体が提供される。
【0011】
硬質領域の縁部は、超硬質領域の切断効果を改善するため、使用中、超硬質領域よりも速くすり減ってもよい。
【0012】
いくつかの形態において、周囲カッター縁部の少なくとも一部は、角張っており、丸められており、面取りされており、または斜めに切られている。
【0013】
ここで、傾斜面とは、超硬質挿入体の切断動作によって取り除かれた材料がその上を流れる、切断挿入体の表面である。上記取り除かれた材料は、典型的には、いわゆる“チップ(chips)”と呼ばれる片の形態である。傾斜角とは、切断され、穴があけられるまたは分解される被加工物またはその他の塊の表面に対する、傾斜面の傾きである。正の傾斜角は、チップが被加工物から離れるよう動くことを可能にし、負の傾斜角は、チップが被加工物に向かうことを可能にする。
【0014】
いくつかの形態において、カッター先端部は、複数の傾斜面を有している。複数の傾斜面は、互いに異なる角度で傾けられていてもよく、また、周囲カッター縁部と、周囲カッター縁部から離れた領域との間で放射状に配置されていてもよく、また、周囲カッター縁部から始まって、第1面、第2面などと称されてもよい。
【0015】
いくつかの形態において、カッター先端部は、2、3、4、5または10またはそれ以上の、超硬質領域からなる縁部を備えている。
【0016】
いくつかの形態において、超硬質挿入体は、概して円筒状またはディスク状の形態を有している。いくつかの形態において、超硬質挿入体は、実質的に、カッター先端部の平面図で見た場合に、中心軸の周りにおける、2回、3回、4回または5回以上の回転対称性を有している。
【0017】
超硬質挿入体は、いくつかの形態において、ツールに再利用可能に取り付けられていてもよい。これによって、超硬質挿入体の動作寿命を延ばすことにより、超硬質挿入体の事実上のコストを低減することに役立つ。
【0018】
一形態において、カッター先端部は、周囲カッター縁部から離れている硬質中央領域を備え、またカッター先端部は、複数の超硬質領域の間で中央に配置されている。一形態において、中央硬質領域は、隆起部分または突起部分を含んでいる。隆起部分または突起部分は、支持体と一体的に形成されていてもよく、または、機械的手段、蝋付け手段または接着手段によって支持体に固定されていてもよい。
【0019】
いくつかの形態において、隆起部分または突起部分は、有利には、使用中にチップ破砕機として機能し、この場合、穴あけされ、または分解された材料から形成されるチップが、カッター先端部からそらされ、これによって、切断面の摩耗を低減する。
【0020】
一形態において、カッター先端部は、周囲カッター縁部に向かって隆起部分または突起部分から垂れ下がっている少なくとも1つの切断面を備えている。
【0021】
負の傾斜角は、超硬質挿入体がツールキャリアに固定される角度を修正する必要無く、実現され得る。
【0022】
一形態において、超硬質領域は、正の傾斜角を有する傾斜面上にある。一形態において、中央領域は、隆起部分または突起部分を有しており、隆起部分または突起部分から、傾斜面の一部分が垂れ下がっており、傾斜面のその他の部分が、正の傾斜角を形成するよう上方に延びる周囲カッター縁部に隣接し、この結果、カッター先端部にスコップ状(Scoop−like)の特徴が生じる。
【0023】
一形態において、各超硬質領域は、それを特定するためのマークを有している。
【0024】
異なる硬度またはその他の特性を有する2つまたはそれ以上の超硬質領域が、容易に特定可能であってもよい。使用者は、所望の分野または被加工材料(例えば、岩盤層のタイプ)に最も適した超硬質領域を選択するためのマークを利用することができる。一形態において、マークは、各超硬質領域に隣接する硬質領域に記入されていてもよい。
【0025】
いくつかの形態において、超硬質挿入体は、放射状に外方に突出した複数のスポーク構造部を備えており、各スポークは、超硬質構造部を有している。
【0026】
いくつかの形態において、少なくとも1つの超硬質領域の各々は、カッター先端部の平面図で見た場合に、概して収束している、または概して発散している側部を有している。そのような形態は、実質的に一定の、さもなくば、使用中に当該領域で摩耗する程度の所望の超硬質縁部長さを示すよう構成されている。
【0027】
縁部の長さは、超硬質挿入体の動作寿命にわたって実質的に一定であってもよく、従って、それが使用中に次第に摩耗されるとき、カッターの性能を引き延ばす。
【0028】
いくつかの形態において、各超硬質領域の硬度は、少なくとも約40Gpaであり、少なくとも約50GPaであり、または少なくとも約60GPaである。いくつかの形態において、複数の超硬質領域の少なくとも1つは、少なくとも900GPa、少なくとも約1050GPaまたは少なくとも約1100GPaの平均ヤング率を有する材料を備えている。
【0029】
いくつかの形態において、各硬質領域は、各超硬質領域の硬度の少なくとも20%または少なくとも30%の硬度を有している。一形態において、各硬質領域は、タングステン炭化物系超硬合金材料を備えている。
【0030】
一形態において、超硬質挿入体は、超硬質材料を備えた複数の超硬質構造部を備えており、超硬質構造部は、支持部に対して結合され、クランプされ、さもなくば接合されている。いくつかの形態において、支持体は、各超硬質領域のヤング率の少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%のヤング率を有している。
【0031】
一般に、支持体の平均ヤング率と超硬質構造部の平均ヤング率との間の差が小さくなるほど、カッター挿入部がより頑丈なものとなり、かつ、超硬質構造部が支持体から分離されるようになるリスクが小さくなる、または破砕するリスクが小さくなる。
【0032】
一形態において、支持体は、タングステン炭化物系超硬合金を備えている。
【0033】
一形態において、支持体は、粒状の、または微粒子状の、ダイヤモンドまたは立方晶窒化ホウ素などの超硬質材料を備えている。
【0034】
支持体における超硬質材料の存在は、超硬質挿入体の剛性を増加させる効果を有することができ、かつ、超硬質構造部の破砕のリスクを低減することができる。
【0035】
いくつかの形態において、超硬質構造部の少なくとも1つは、ピン、リベット、ボルトまたは同様のものによって支持体に固定されており、または、クランプ手段によって支持体にクランプされている。いくつかの形態において、支持体は、固定ピン、リベット、ボルトまたは同様のものに適合させるよう構成された貫通孔を備えている。いくつかの形態において、固定ピン、リベット、ボルトまたは同様のものにはねじ山が形成されている。
【0036】
いくつかの形態は、ピンまたはスクリュー手段によってツール本体部に固定されるのに特に適したものとなっていてもよい。なぜなら、それらは、超硬質ではない中央領域を有しており、またその中には、ピン、リベットまたはスクリューに適合する貫通孔が形成され得るからである。
【0037】
ここで“多結晶ダイヤモンド”すなわちPCDは、実質的に相互に成長した(inter−grown)ダイヤモンド粒の塊を備え、ダイヤモンド粒の間に隙間を画定する骨格構造を形成する材料を意味している。
【0038】
一形態において、各超硬質領域は、PCD材料を、好ましくは熱的に安定なPCDを備えている。いくつかの形態において、PCD材料は、少なくとも約88体積%または少なくとも約90体積%のダイヤモンド含有量を有している。いくつかの形態において、PCD材料は、最大で約99体積%のダイヤモンド含有量を有している。
【0039】
いくつかの形態において、複数の超硬質領域の少なくとも1つは、PCDまたはその先行核を、約6GPaよりも高い、少なくとも約7.0GPa、または少なくとも約8.0Paの圧力にさらすことを含む方法によって得られたPCD材料を備えている。
【0040】
超硬質構造部がPCDを備えるいくつかの形態は、以下のことを生じさせるのに十分な高い圧力で焼結されたPCDを備えていてもよい。
・高められたダイヤモンド隣接性および高められた粒間結合(inter−grain bonding)
・ダイヤモンド粒のより同質な空間分布
・小さい気孔率および低い全体的な溶媒/触媒含有量
また、PCDは、より高い硬度、摩耗抵抗および弾性率またはヤング率を有していてもよい。
【0041】
いくつかの形態において、複数の超硬質領域の少なくとも1つは、少なくとも約60.5%または少なくとも約61.5%の平均ダイヤモンド粒隣接性を有するダイヤモンド粒を備えるPCD材料を備えている。一般に、ダイヤモンド粒隣接性が高いほど、超硬質挿入体が破砕しにくくなる。
【0042】
いくつかの形態において、複数の超硬質領域の少なくとも1つは、少なくとも約0.05μm、少なくとも約0.1μm、少なくとも約0.2μm、または少なくとも約0.5μmの格子間平均自由工程を有するPCD材料を備えている。いくつかの形態において、複数の超硬質領域の少なくとも1つは、最大で1.5μm、最大で約1.3μmまたは最大で約1μmの格子間平均自由工程を有するPCD材料を備えている。
【0043】
一方における、PCD内での、高い隣接性および/または高い同質性および/または低減された金属性溶媒/触媒の含有量、および他方における、少なくとも2つのピークまたはモード、好ましくは3つのピークまたはモードを備える寸法分布は、PCDにおける摩耗抵抗およびその他の特性の実質的な改善をもたらす。
【0044】
一形態において、複数の超硬質領域の少なくとも1つは、多数の様式の寸法分布を有するダイヤモンド粒を備えるPCD材料を備えている。いくつかの形態において、PCD材料は、最大で約20μm、最大で約10μm、最大で約7μmまたは最大で約5μmの平均寸法を有するダイヤモンド粒を備えている。一形態において、PCD材料は、少なくとも約0.1μmの平均寸法を有するダイヤモンド粒を備えている。
【0045】
一形態において、PCDは、粒の少なくとも50%が5μmより大きい平均寸法を有し、かつ、粒の少なくとも20%が10〜15μmの範囲の平均寸法を有する、という寸法分布特徴を有するダイヤモンド粒を備えている。
【0046】
ここで組み入れられる超硬質材料の体積は、低減または最小化され得る。このことは重要である。なぜなら、超硬質材料は、製造コストが高くつき、かつ、引っ張り残留応力が高い傾向があるからである。
【0047】
さらなる側面によれば、上述の、またはここで記載される超硬質挿入体を備える回転ドリルビットが提供される。
【0048】
その他の側面によれば、上述の、またはここで記載される超硬質挿入体を備えるボーリングツールが提供される。一形態において、ボーリングツールは、例えばオイルまたはガスを抽出する目的のための、岩盤に穴をあけるための回転ドリルビットであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1A】図1Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図1B】図1Bは、図1Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図2A】図2Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図2B】図2Bは、図2Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図3A】図3Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図3B】図3Bは、図3Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図4A】図4Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図4B】図4Bは、図4Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図5A】図5Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図5B】図5Bは、図5Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図6A】図6Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図6B】図6Bは、図6Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図7A】図7Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図7B】図7Bは、図7Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図8A】図8Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図8B】図8Bは、図8Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図9】図9は、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図、および、超硬質挿入体の当該形態を示す部分分解斜視図。
【図10】図10は、超硬質挿入体の一形態のための支持体およびクランプ手段を示す斜視図。
【図11】図11は、複数の超硬質挿入体の形態を備えた、ボーリングのための回転ドリルビットの一形態の一部分を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0050】
非限定的な形態について、図を参照して説明する。
【0051】
全ての図において、同一の特徴を参照する上で同一の符号が用いられる。
【0052】
図1Aおよび1Bを参照すると、回転ボーリングツール(図示せず)のための超硬質挿入体100は、周囲カッター縁部120を有するカッター先端部110を備えている。周囲カッター縁部120の少なくとも一部分は、複数の硬質領域122a,122b,122cおよび複数の超硬質領域124a,124b,124cのいずれか一方からなる複数の縁部120a,120b,120c,120d,120e,120fによって画定されている。超硬質領域124a,124b,124cの縁部は、互いに間隔を空けて配置され、かつ硬質領域122a,122b,122cの縁部によって隔離されている。各硬質領域122a,122b,122cの硬度は、各超硬質領域124a,124b,124cの硬度の最大で50%である。超硬質挿入体100は、複数の超硬質構造部130a,130b、130cを備えている。超硬質構造部130a,130b、130cは、超硬合金の支持体140の周囲に形成された複数の凹部にそれぞれ取り付けられている。超硬質構造部の各々は、カッター先端部の各超硬質領域124a,124b,124cをもたらすようカッター先端部110で露出された表面を有している。超硬質構造部の各々は、カッター先端部の超硬質領域124a,124b,124cの縁部を形成する縁部を有している。
【0053】
図2を参照すると、超硬質挿入体100の一形態は、カッター先端部110の上方からみた場合に概して楕円形に見え、また、カッター先端部110の楕円の長軸A−Aに沿う一対のPCD構造部130a、130bを備えている。各PCD構造部130a、130bは、カッター先端部110上の超硬質領域124a,124bを表している。
【0054】
図3および4を参照すると、超硬質挿入体100の一形態は、カッター先端部110の上方からみた場合に、3つの曲線的な隅部を有する、概して三角形になっており、かつ、3つのPCD構造部130a,130b,130cの各々は、曲線的な隅部の各々に配置されている。
【0055】
図5Aおよび5Bを参照すると、超硬質挿入体100の一形態は、カッター先端部の中央領域160から放射状に突出したスポーク構造部150a,150b,150cを備えている。各スポークは、各PCD構造部130a,130b,130cを有している。
【0056】
図6Aおよび6Bを参照すると、超硬質挿入体100の一形態は、カッター先端部110上にある隆起部分または突起部分180を備えている。隆起部分または突起部分180は、使用中にチップ破砕機として機能することができる。隆起部分または突起部分180は、支持体140と一体的に形成されていてもよく、または、機械的手段、蝋付け手段または接着手段(図示せず)によって支持体140に固定されていてもよい。
【0057】
図7Aおよび7Bを参照すると、超硬質挿入体100の一形態は、複数のPCD構造部130a,130b,130cを備えており、各PCD構造部130a,130b,130cは、カッター先端部110に露出した表面を有している。クランプ部材182が、ピン、リベットやボルトなどの手段190によって作用面110に固定されており、クランプ部材182のヘリ184は、各PCD構造部130a,130b,130cの露出した表面124a,124b,124cの上方に延びている。ヘリ184は、PCD構造部130a,130b,130cを所定の場所に固定することを補助する。一形態において、クランプ部材182は、カッター先端部110に傾斜面をもたらしている。
【0058】
図8Aおよび8Bを参照すると、超硬質挿入体100の一形態は、複数のPCD構造部130a,130b,130cを備えており、各PCD構造部130a,130b,130cは、切断面124a,124b,124cを有している。切断面124a,124b,124cは、隆起または突起した中央部分180から周囲カッター縁部120へ垂れ下がっている傾斜面186a,186b,186cに位置している。いくつかの形態において、超硬質挿入体100がボーリングビットなどのツールキャリア(図示せず)にピン、リベットやボルトなどの手段190によって固定されることを可能にするための貫通孔が設けられている。図10の一形態を参照すると、各傾斜面186a,186b,186cは、互いに異なる角度で配置されており、また各傾斜面186a,186b,186cは、各PCD構造部130a,130b,130cの角度または傾斜度のいずれかまたは両方を特定するために使用され得る視認可能マークを有している。
【0059】
図9を参照すると、超硬質挿入体100の一形態は、カッター支持構造部210およびベース部220をさらに備える支持アッセンブリ200を備えている。カッター支持構造部210は、機械的ロック機構によってベース部に固定可能となっている。ロック機構は、ベース部220またはカッター支持構造部210のいずれかまたはその両方に形成された少なくとも1つの凹部220a,220b,220cと、カッター支持構造部210またはベース部220に形成された少なくとも1つの協働するトングまたは突起部230と、を備えている。
【0060】
図10を参照すると、超硬質挿入体の部品の一形態は、支持体140およびクランプ手段142を備えている。PCD構造部(図示せず)は、クランプ手段142によって支持体140にクランプされていてもよい。
【0061】
図11を参照すると、地面および岩盤のボーリングのためのドリルビット300の一形態において、本発明による超硬質挿入体100の形態の複数が、キャリア本体310に取り付けられている。超硬質挿入体100は、PCD構造部に対して、キャリアから少なくとも部分的に突出するよう取り付けられている。
【0062】
カッター挿入体は、蝋付け、接着材料、機械的手段(例えば支持体との連結)、を含む様々な手段によって支持体に固定されていてもよく、または、従来のようにPCDが焼結される工程の間に、支持体に対して一体的に結合されてもよい。好ましくは、PCD構造部は、それらが支持体に固定されるよりも前に、焼結されて加工される。このことは、PCD材料が、それが最終的に固定される支持体から独立して準備され得るという利点を有しており、従って、材料を作製する上での所定の制限、例えば、ダイヤモンドのための溶媒/触媒のタイプの選択およびPCDの隙間が充填(フィラー)材料を含むかどうか、などの制限を取り除くことができる。
【0063】
PCD構造部の同質性または均一性は、研磨片の多数の顕微鏡写真を用いて統計的な評価を実施することによって定量化され得る。フィラー相の分布は、電子顕微鏡法を用いることによって容易にダイヤモンド相の分布から区別可能である。フィラー相の分布は、EP0974566(またはWO2007/110770)に開示されている方法と同様の方法によって測定され得る。この方法は、複数の任意に描かれた、微細構造を通る線に沿ってのバインダー相の平均厚さの統計的な評価を可能にする。このバインダー厚さ測定はまた、この分野の当業者によって、“平均自由工程”とも称される。類似の全体構成またはバインダー含有量および平均ダイヤモンド粒径からなる2つの材料にとって、より小さい平均厚さを有する材料がより同質なものとなる傾向がある。なぜなら、このことは、ダイヤモンド相におけるバインダーの細かいスケール分布を暗示しているからである。加えて、この測定の標準偏差が小さいほど、構造はより同質なものとなる。大きな標準偏差は、バインダー厚さが微細構造にわたって広く変化すること、すなわち、構造が均一ではなく、はなはだしく異なる構造のタイプを含んでいることを暗示している。
【0064】
画像分析のために用いられる画像は、後方散乱電子信号を用いて撮られた走査型電子顕微鏡写真(SEM)によって得られるべきである。光学顕微鏡写真は、十分なコントラストを与えない。十分なコントラストは、隣接性の測定のために重要である。なぜなら、粒間(inter−grain)境界は、グレースケールのコントラストに基づいて特定されるからである。
【0065】
隣接性は、SEM画像から、画像分析ソフトウェアによって決定され得る。特に、Soft Imaging System社の商品名“analySIS Pro”(Olympus Soft Imaging Solutions GmbHの登録商標)というソフトウェアが用いられ得る。このソフトウェアは、“Separate Grains”フィルタを有している。このフィルタは、操作マニュアルによると、隔離されている構造部が閉鎖構造部である場合にのみ満足な結果をもたらす。従って、このフィルタを適用する前に全ての孔を満たすことが重要である。例えば“Morph. Close”コマンドが用いられる。または、“Fillhole”モジュールから手助けが得られる。このフィルタに加えて、“Separator”も、粒の隔離のために利用可能な強力なその他のフィルタである。このセパレータは、操作マニュアルによると、カラー画像および白黒画像に適用可能でもある。
【0066】
粒径の測定を得るため、“円相当径(equivalent circle diameter)”として知られている方法が用いられる。ここでは、個々の顕微鏡観察の領域に相当する寸法の円が、微細構造においてバインダー相として特定される。これらの円の集められた分布が、次に統計的に評価される。平均自由工程のための方法とほぼ同様に、この測定における標準偏差が大きいほど、構造が同質ではないということになる。
【0067】
ダイヤモンドの粒の隣接性、k、は、ダイヤモンド−ダイヤモンドの接触および/または結合の測定であり、また、PCDの研磨片の画像分析から得られたデータを用いる以下の公式に従って計算される。
【数1】
ここで、δはダイヤモンド境界線であり、βはバインダー境界線である。
【0068】
ダイヤモンド境界線(perimeter)は、その他のダイヤモンド粒に接触しているダイヤモンド粒の表面の部分のことである。それは、全体のダイヤモンド粒表面領域によって割られた全体のダイヤモンド−ダイヤモンド接触領域として、仮定の体積のために測定される。バインダー境界線は、その他のダイヤモンド粒に接触していないダイヤモンド粒の表面の部分のことである。実際、隣接性の測定は、研磨片の表面の画像分析によって実行され、そして、分析された部分の中で、全てのダイヤモンド−ダイヤモンド界面上にある全ての点を通る線の結合された長さが合計され、これによって、ダイヤモンド境界線を決定し、また類推的にバインダー境界線を決定する。
【実施例】
【0069】
本発明の形態は、以下の実施例を参照することによってさらに詳細に説明される。以下の実施例は、本発明を限定することを意図してはいない。
【0070】
PCDディスクが準備された。原料ダイヤモンドパウダーが、約1μmから約15μmの範囲内の様々な平均寸法を有する源からのダイヤモンド粒を混合することによって準備された。混合された混合体の平均粒径は、約10μmであった。混合体は、凝集した塊に成形され、そして、コバルトが結合されたタングステン炭化物系超硬合金(WC−Co)基材の上に、圧力約6.8Gpaおよび温度約1,500℃で、従来技術で周知の超高圧炉によって焼結された。
【0071】
焼結の後、焼結された合成物の成形体が、装置から取り除かれた。成形体は、基材に一体的に結合されたPCDの1つの層を備えていた。PDCの微細構造のデータが表1に示されている。PCD層のダイヤモンド含有量は、約92体積%であった。平衡は、コバルトおよび小規模な沈殿相であり、コバルトは、焼結工程の間、凝集したダイヤモンドの塊の中へ基材から浸透していた。PCD構造部の中のダイヤモンド粒は、多様な寸法分布を有していた。画像分析が、ダイヤモンド粒の相互成長だけでなく、PCDの中でのダイヤモンド粒の空間的な分布の同質性を分析するために用いられた。粒の相互成長および接触は、ダイヤモンド粒の隣接性に関連して表され得る。PCDの平均隣接性は、62.0%(±1.9%)であった。PCDの格子間平均自由工程は、約0.74(±0.62)μmであった。
【表1】
【0072】
超硬合金基材が、合成物の成形体から研削加工によって取り除かれ、支持されていない、自由に立っているPCDディスクが残った。PCDディスクは、約2.2μmの厚さに研削され、その後、放電加工(EDS)によって3つの部分に切断された。各部分の形状は、ほぼ図3に示されているようなものである。3つのPCD部分の全ては、その後、コバルト溶媒/触媒材料の全てをPCD構造部の全体にわたって取り除くため、周知の方法で、酸によって処理(ろ過)された。
【0073】
ほぼ図3に示されているような基材の支持が、タングステン炭化物系超硬合金の塊から加工された。上方から見ると、基材は、丸められた隅部を含む、概して三角形の形状を有していた。凹部が、各隅部において基材に加工され、凹部の寸法および形状は、PCD部分に対応するよう適合されており、そして、PCD部分が凹部に蝋付けされた。
【技術分野】
【0001】
この開示は、回転ボーリングツールのための超硬質挿入体に関する。
【背景技術】
【0002】
回転ボーリングツールは、オイルまたはガスの調査、開発および建設などの産業において、地面に穴をあけるために用いられている。岩盤のボーリングのための回転ドリルビット硬質リルビット本体部に取り付けられた複数の超硬質挿入体を備えることができる。使用中、頭部は、高速かつ多大な力で回転され、そして、せん断切断動作によって岩の材料を取り除くよう、壁および穴の先端に対して超硬質挿入体を回転駆動する。そのような使用に適した挿入体は、“シャーカッター”挿入体とも称され、また、超硬合金基材に結合された多結晶の超硬質材料の層を備えることができる。多結晶の超硬質材料の一例として、多結晶ダイヤモンド(PCD)がある。
【0003】
PCDは、相互に成長した(inter−grown)ダイヤモンド粒の塊と、ダイヤモンド粒の間の隙間と、を備える超硬質材料である。PCDは、ダイヤモンド粒の凝集した塊を、超高圧および超高温の下に置くことによって作製され得る。PCDは、岩、金属、セラミックス、複合材料および木材含有材料などの硬質または研磨用の材料を切断、穴あけまたは分解するために広く使用されている。例えば、PCD挿入体は、オイルまたはガスの穴あけ産業において地面に穴をあけるためのドリルビットで広く用いられている。これらの分野の多くで、PCD材料が岩盤層、被加工物または塊に係合するとき、PCD材料の温度は上昇する。
【0004】
EP0278703は、超硬合金コアおよび研磨用切断隅部を有する研磨用本体部を開示している。ここで、研磨用切断隅部は、同一の材料から構成されていてもよく、または、異なる材料から構成されていてもよい。研磨用本体部は、基材に結合された、結合超硬研磨用粒子の層を有していてもよく、結合超硬研磨用粒子は、ダイヤモンドまたは立方晶窒化ホウ素であってもよい。
【0005】
WO2002/022311は、炭化タングステン系超硬合金基材を備える挿入体ツールを開示している。炭化タングステン系超硬合金基材は、その中に形成された、予め焼結された複数の凹部を有している。挿入体ツールの一形態は、基材の1つのセクションであって、当該セクションの4つの隅部の各々に4つの研磨用本体部が結合されるセクションからなっている。
【0006】
US5607024は、支持部材に取り付けられたカッター先端部を有する超硬質挿入体を開示している。カッター先端部は、主にコバルトからなるバインダーの中に結合された多結晶ダイヤモンド粒を有する、ディスクまたはタブレットに成形された形態となっている。このタブレットまたはディスクは、従来の高温かつ高圧の焼結処理によって、円筒状の支持部材にしっかりと取り付けられている。
【0007】
US7533740は、先端面および周囲部を含む基材を有する切断エレメントを開示している。先端面は周囲部へ延びている。“TSP”材料層が、先端面の一部分のみに形成されており、また、周囲部へ延びている。一形態において、TSPは、切断エレメントに機械的にロックされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
回転ボーリングツールのための超硬質挿入体であって、低減されたコストまたは優れた特性を有する、特に地面をボーリングする、または岩盤層を穴あけするまたはさもなくば分解する、超硬質挿入体への需要がある。
【発明を解決するための手段】
【0009】
ここで、“超硬質”は、少なくとも25GPaのビッカース硬度を意味している。
【0010】
第1の側面として、回転ボーリングツールのための超硬質挿入体であって、周囲カッター縁部を有するカッター先端部を備え、周囲カッター縁部の少なくとも一部分は、複数の硬質領域および複数の超硬質領域のいずれか一方からなる複数の縁部によって画定されており、超硬質領域の縁部は、互いに間隔を空けて配置されており、かつ硬質領域の縁部によって隔離されており、各硬質領域の硬度は、各超硬質領域の硬度の最大でも50%である、超硬質挿入体が提供される。
【0011】
硬質領域の縁部は、超硬質領域の切断効果を改善するため、使用中、超硬質領域よりも速くすり減ってもよい。
【0012】
いくつかの形態において、周囲カッター縁部の少なくとも一部は、角張っており、丸められており、面取りされており、または斜めに切られている。
【0013】
ここで、傾斜面とは、超硬質挿入体の切断動作によって取り除かれた材料がその上を流れる、切断挿入体の表面である。上記取り除かれた材料は、典型的には、いわゆる“チップ(chips)”と呼ばれる片の形態である。傾斜角とは、切断され、穴があけられるまたは分解される被加工物またはその他の塊の表面に対する、傾斜面の傾きである。正の傾斜角は、チップが被加工物から離れるよう動くことを可能にし、負の傾斜角は、チップが被加工物に向かうことを可能にする。
【0014】
いくつかの形態において、カッター先端部は、複数の傾斜面を有している。複数の傾斜面は、互いに異なる角度で傾けられていてもよく、また、周囲カッター縁部と、周囲カッター縁部から離れた領域との間で放射状に配置されていてもよく、また、周囲カッター縁部から始まって、第1面、第2面などと称されてもよい。
【0015】
いくつかの形態において、カッター先端部は、2、3、4、5または10またはそれ以上の、超硬質領域からなる縁部を備えている。
【0016】
いくつかの形態において、超硬質挿入体は、概して円筒状またはディスク状の形態を有している。いくつかの形態において、超硬質挿入体は、実質的に、カッター先端部の平面図で見た場合に、中心軸の周りにおける、2回、3回、4回または5回以上の回転対称性を有している。
【0017】
超硬質挿入体は、いくつかの形態において、ツールに再利用可能に取り付けられていてもよい。これによって、超硬質挿入体の動作寿命を延ばすことにより、超硬質挿入体の事実上のコストを低減することに役立つ。
【0018】
一形態において、カッター先端部は、周囲カッター縁部から離れている硬質中央領域を備え、またカッター先端部は、複数の超硬質領域の間で中央に配置されている。一形態において、中央硬質領域は、隆起部分または突起部分を含んでいる。隆起部分または突起部分は、支持体と一体的に形成されていてもよく、または、機械的手段、蝋付け手段または接着手段によって支持体に固定されていてもよい。
【0019】
いくつかの形態において、隆起部分または突起部分は、有利には、使用中にチップ破砕機として機能し、この場合、穴あけされ、または分解された材料から形成されるチップが、カッター先端部からそらされ、これによって、切断面の摩耗を低減する。
【0020】
一形態において、カッター先端部は、周囲カッター縁部に向かって隆起部分または突起部分から垂れ下がっている少なくとも1つの切断面を備えている。
【0021】
負の傾斜角は、超硬質挿入体がツールキャリアに固定される角度を修正する必要無く、実現され得る。
【0022】
一形態において、超硬質領域は、正の傾斜角を有する傾斜面上にある。一形態において、中央領域は、隆起部分または突起部分を有しており、隆起部分または突起部分から、傾斜面の一部分が垂れ下がっており、傾斜面のその他の部分が、正の傾斜角を形成するよう上方に延びる周囲カッター縁部に隣接し、この結果、カッター先端部にスコップ状(Scoop−like)の特徴が生じる。
【0023】
一形態において、各超硬質領域は、それを特定するためのマークを有している。
【0024】
異なる硬度またはその他の特性を有する2つまたはそれ以上の超硬質領域が、容易に特定可能であってもよい。使用者は、所望の分野または被加工材料(例えば、岩盤層のタイプ)に最も適した超硬質領域を選択するためのマークを利用することができる。一形態において、マークは、各超硬質領域に隣接する硬質領域に記入されていてもよい。
【0025】
いくつかの形態において、超硬質挿入体は、放射状に外方に突出した複数のスポーク構造部を備えており、各スポークは、超硬質構造部を有している。
【0026】
いくつかの形態において、少なくとも1つの超硬質領域の各々は、カッター先端部の平面図で見た場合に、概して収束している、または概して発散している側部を有している。そのような形態は、実質的に一定の、さもなくば、使用中に当該領域で摩耗する程度の所望の超硬質縁部長さを示すよう構成されている。
【0027】
縁部の長さは、超硬質挿入体の動作寿命にわたって実質的に一定であってもよく、従って、それが使用中に次第に摩耗されるとき、カッターの性能を引き延ばす。
【0028】
いくつかの形態において、各超硬質領域の硬度は、少なくとも約40Gpaであり、少なくとも約50GPaであり、または少なくとも約60GPaである。いくつかの形態において、複数の超硬質領域の少なくとも1つは、少なくとも900GPa、少なくとも約1050GPaまたは少なくとも約1100GPaの平均ヤング率を有する材料を備えている。
【0029】
いくつかの形態において、各硬質領域は、各超硬質領域の硬度の少なくとも20%または少なくとも30%の硬度を有している。一形態において、各硬質領域は、タングステン炭化物系超硬合金材料を備えている。
【0030】
一形態において、超硬質挿入体は、超硬質材料を備えた複数の超硬質構造部を備えており、超硬質構造部は、支持部に対して結合され、クランプされ、さもなくば接合されている。いくつかの形態において、支持体は、各超硬質領域のヤング率の少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%のヤング率を有している。
【0031】
一般に、支持体の平均ヤング率と超硬質構造部の平均ヤング率との間の差が小さくなるほど、カッター挿入部がより頑丈なものとなり、かつ、超硬質構造部が支持体から分離されるようになるリスクが小さくなる、または破砕するリスクが小さくなる。
【0032】
一形態において、支持体は、タングステン炭化物系超硬合金を備えている。
【0033】
一形態において、支持体は、粒状の、または微粒子状の、ダイヤモンドまたは立方晶窒化ホウ素などの超硬質材料を備えている。
【0034】
支持体における超硬質材料の存在は、超硬質挿入体の剛性を増加させる効果を有することができ、かつ、超硬質構造部の破砕のリスクを低減することができる。
【0035】
いくつかの形態において、超硬質構造部の少なくとも1つは、ピン、リベット、ボルトまたは同様のものによって支持体に固定されており、または、クランプ手段によって支持体にクランプされている。いくつかの形態において、支持体は、固定ピン、リベット、ボルトまたは同様のものに適合させるよう構成された貫通孔を備えている。いくつかの形態において、固定ピン、リベット、ボルトまたは同様のものにはねじ山が形成されている。
【0036】
いくつかの形態は、ピンまたはスクリュー手段によってツール本体部に固定されるのに特に適したものとなっていてもよい。なぜなら、それらは、超硬質ではない中央領域を有しており、またその中には、ピン、リベットまたはスクリューに適合する貫通孔が形成され得るからである。
【0037】
ここで“多結晶ダイヤモンド”すなわちPCDは、実質的に相互に成長した(inter−grown)ダイヤモンド粒の塊を備え、ダイヤモンド粒の間に隙間を画定する骨格構造を形成する材料を意味している。
【0038】
一形態において、各超硬質領域は、PCD材料を、好ましくは熱的に安定なPCDを備えている。いくつかの形態において、PCD材料は、少なくとも約88体積%または少なくとも約90体積%のダイヤモンド含有量を有している。いくつかの形態において、PCD材料は、最大で約99体積%のダイヤモンド含有量を有している。
【0039】
いくつかの形態において、複数の超硬質領域の少なくとも1つは、PCDまたはその先行核を、約6GPaよりも高い、少なくとも約7.0GPa、または少なくとも約8.0Paの圧力にさらすことを含む方法によって得られたPCD材料を備えている。
【0040】
超硬質構造部がPCDを備えるいくつかの形態は、以下のことを生じさせるのに十分な高い圧力で焼結されたPCDを備えていてもよい。
・高められたダイヤモンド隣接性および高められた粒間結合(inter−grain bonding)
・ダイヤモンド粒のより同質な空間分布
・小さい気孔率および低い全体的な溶媒/触媒含有量
また、PCDは、より高い硬度、摩耗抵抗および弾性率またはヤング率を有していてもよい。
【0041】
いくつかの形態において、複数の超硬質領域の少なくとも1つは、少なくとも約60.5%または少なくとも約61.5%の平均ダイヤモンド粒隣接性を有するダイヤモンド粒を備えるPCD材料を備えている。一般に、ダイヤモンド粒隣接性が高いほど、超硬質挿入体が破砕しにくくなる。
【0042】
いくつかの形態において、複数の超硬質領域の少なくとも1つは、少なくとも約0.05μm、少なくとも約0.1μm、少なくとも約0.2μm、または少なくとも約0.5μmの格子間平均自由工程を有するPCD材料を備えている。いくつかの形態において、複数の超硬質領域の少なくとも1つは、最大で1.5μm、最大で約1.3μmまたは最大で約1μmの格子間平均自由工程を有するPCD材料を備えている。
【0043】
一方における、PCD内での、高い隣接性および/または高い同質性および/または低減された金属性溶媒/触媒の含有量、および他方における、少なくとも2つのピークまたはモード、好ましくは3つのピークまたはモードを備える寸法分布は、PCDにおける摩耗抵抗およびその他の特性の実質的な改善をもたらす。
【0044】
一形態において、複数の超硬質領域の少なくとも1つは、多数の様式の寸法分布を有するダイヤモンド粒を備えるPCD材料を備えている。いくつかの形態において、PCD材料は、最大で約20μm、最大で約10μm、最大で約7μmまたは最大で約5μmの平均寸法を有するダイヤモンド粒を備えている。一形態において、PCD材料は、少なくとも約0.1μmの平均寸法を有するダイヤモンド粒を備えている。
【0045】
一形態において、PCDは、粒の少なくとも50%が5μmより大きい平均寸法を有し、かつ、粒の少なくとも20%が10〜15μmの範囲の平均寸法を有する、という寸法分布特徴を有するダイヤモンド粒を備えている。
【0046】
ここで組み入れられる超硬質材料の体積は、低減または最小化され得る。このことは重要である。なぜなら、超硬質材料は、製造コストが高くつき、かつ、引っ張り残留応力が高い傾向があるからである。
【0047】
さらなる側面によれば、上述の、またはここで記載される超硬質挿入体を備える回転ドリルビットが提供される。
【0048】
その他の側面によれば、上述の、またはここで記載される超硬質挿入体を備えるボーリングツールが提供される。一形態において、ボーリングツールは、例えばオイルまたはガスを抽出する目的のための、岩盤に穴をあけるための回転ドリルビットであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1A】図1Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図1B】図1Bは、図1Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図2A】図2Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図2B】図2Bは、図2Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図3A】図3Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図3B】図3Bは、図3Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図4A】図4Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図4B】図4Bは、図4Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図5A】図5Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図5B】図5Bは、図5Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図6A】図6Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図6B】図6Bは、図6Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図7A】図7Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図7B】図7Bは、図7Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図8A】図8Aは、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図。
【図8B】図8Bは、図8Aの線A−Aに沿って見た縦断面図。
【図9】図9は、超硬質挿入体の一形態を示す斜視図、および、超硬質挿入体の当該形態を示す部分分解斜視図。
【図10】図10は、超硬質挿入体の一形態のための支持体およびクランプ手段を示す斜視図。
【図11】図11は、複数の超硬質挿入体の形態を備えた、ボーリングのための回転ドリルビットの一形態の一部分を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0050】
非限定的な形態について、図を参照して説明する。
【0051】
全ての図において、同一の特徴を参照する上で同一の符号が用いられる。
【0052】
図1Aおよび1Bを参照すると、回転ボーリングツール(図示せず)のための超硬質挿入体100は、周囲カッター縁部120を有するカッター先端部110を備えている。周囲カッター縁部120の少なくとも一部分は、複数の硬質領域122a,122b,122cおよび複数の超硬質領域124a,124b,124cのいずれか一方からなる複数の縁部120a,120b,120c,120d,120e,120fによって画定されている。超硬質領域124a,124b,124cの縁部は、互いに間隔を空けて配置され、かつ硬質領域122a,122b,122cの縁部によって隔離されている。各硬質領域122a,122b,122cの硬度は、各超硬質領域124a,124b,124cの硬度の最大で50%である。超硬質挿入体100は、複数の超硬質構造部130a,130b、130cを備えている。超硬質構造部130a,130b、130cは、超硬合金の支持体140の周囲に形成された複数の凹部にそれぞれ取り付けられている。超硬質構造部の各々は、カッター先端部の各超硬質領域124a,124b,124cをもたらすようカッター先端部110で露出された表面を有している。超硬質構造部の各々は、カッター先端部の超硬質領域124a,124b,124cの縁部を形成する縁部を有している。
【0053】
図2を参照すると、超硬質挿入体100の一形態は、カッター先端部110の上方からみた場合に概して楕円形に見え、また、カッター先端部110の楕円の長軸A−Aに沿う一対のPCD構造部130a、130bを備えている。各PCD構造部130a、130bは、カッター先端部110上の超硬質領域124a,124bを表している。
【0054】
図3および4を参照すると、超硬質挿入体100の一形態は、カッター先端部110の上方からみた場合に、3つの曲線的な隅部を有する、概して三角形になっており、かつ、3つのPCD構造部130a,130b,130cの各々は、曲線的な隅部の各々に配置されている。
【0055】
図5Aおよび5Bを参照すると、超硬質挿入体100の一形態は、カッター先端部の中央領域160から放射状に突出したスポーク構造部150a,150b,150cを備えている。各スポークは、各PCD構造部130a,130b,130cを有している。
【0056】
図6Aおよび6Bを参照すると、超硬質挿入体100の一形態は、カッター先端部110上にある隆起部分または突起部分180を備えている。隆起部分または突起部分180は、使用中にチップ破砕機として機能することができる。隆起部分または突起部分180は、支持体140と一体的に形成されていてもよく、または、機械的手段、蝋付け手段または接着手段(図示せず)によって支持体140に固定されていてもよい。
【0057】
図7Aおよび7Bを参照すると、超硬質挿入体100の一形態は、複数のPCD構造部130a,130b,130cを備えており、各PCD構造部130a,130b,130cは、カッター先端部110に露出した表面を有している。クランプ部材182が、ピン、リベットやボルトなどの手段190によって作用面110に固定されており、クランプ部材182のヘリ184は、各PCD構造部130a,130b,130cの露出した表面124a,124b,124cの上方に延びている。ヘリ184は、PCD構造部130a,130b,130cを所定の場所に固定することを補助する。一形態において、クランプ部材182は、カッター先端部110に傾斜面をもたらしている。
【0058】
図8Aおよび8Bを参照すると、超硬質挿入体100の一形態は、複数のPCD構造部130a,130b,130cを備えており、各PCD構造部130a,130b,130cは、切断面124a,124b,124cを有している。切断面124a,124b,124cは、隆起または突起した中央部分180から周囲カッター縁部120へ垂れ下がっている傾斜面186a,186b,186cに位置している。いくつかの形態において、超硬質挿入体100がボーリングビットなどのツールキャリア(図示せず)にピン、リベットやボルトなどの手段190によって固定されることを可能にするための貫通孔が設けられている。図10の一形態を参照すると、各傾斜面186a,186b,186cは、互いに異なる角度で配置されており、また各傾斜面186a,186b,186cは、各PCD構造部130a,130b,130cの角度または傾斜度のいずれかまたは両方を特定するために使用され得る視認可能マークを有している。
【0059】
図9を参照すると、超硬質挿入体100の一形態は、カッター支持構造部210およびベース部220をさらに備える支持アッセンブリ200を備えている。カッター支持構造部210は、機械的ロック機構によってベース部に固定可能となっている。ロック機構は、ベース部220またはカッター支持構造部210のいずれかまたはその両方に形成された少なくとも1つの凹部220a,220b,220cと、カッター支持構造部210またはベース部220に形成された少なくとも1つの協働するトングまたは突起部230と、を備えている。
【0060】
図10を参照すると、超硬質挿入体の部品の一形態は、支持体140およびクランプ手段142を備えている。PCD構造部(図示せず)は、クランプ手段142によって支持体140にクランプされていてもよい。
【0061】
図11を参照すると、地面および岩盤のボーリングのためのドリルビット300の一形態において、本発明による超硬質挿入体100の形態の複数が、キャリア本体310に取り付けられている。超硬質挿入体100は、PCD構造部に対して、キャリアから少なくとも部分的に突出するよう取り付けられている。
【0062】
カッター挿入体は、蝋付け、接着材料、機械的手段(例えば支持体との連結)、を含む様々な手段によって支持体に固定されていてもよく、または、従来のようにPCDが焼結される工程の間に、支持体に対して一体的に結合されてもよい。好ましくは、PCD構造部は、それらが支持体に固定されるよりも前に、焼結されて加工される。このことは、PCD材料が、それが最終的に固定される支持体から独立して準備され得るという利点を有しており、従って、材料を作製する上での所定の制限、例えば、ダイヤモンドのための溶媒/触媒のタイプの選択およびPCDの隙間が充填(フィラー)材料を含むかどうか、などの制限を取り除くことができる。
【0063】
PCD構造部の同質性または均一性は、研磨片の多数の顕微鏡写真を用いて統計的な評価を実施することによって定量化され得る。フィラー相の分布は、電子顕微鏡法を用いることによって容易にダイヤモンド相の分布から区別可能である。フィラー相の分布は、EP0974566(またはWO2007/110770)に開示されている方法と同様の方法によって測定され得る。この方法は、複数の任意に描かれた、微細構造を通る線に沿ってのバインダー相の平均厚さの統計的な評価を可能にする。このバインダー厚さ測定はまた、この分野の当業者によって、“平均自由工程”とも称される。類似の全体構成またはバインダー含有量および平均ダイヤモンド粒径からなる2つの材料にとって、より小さい平均厚さを有する材料がより同質なものとなる傾向がある。なぜなら、このことは、ダイヤモンド相におけるバインダーの細かいスケール分布を暗示しているからである。加えて、この測定の標準偏差が小さいほど、構造はより同質なものとなる。大きな標準偏差は、バインダー厚さが微細構造にわたって広く変化すること、すなわち、構造が均一ではなく、はなはだしく異なる構造のタイプを含んでいることを暗示している。
【0064】
画像分析のために用いられる画像は、後方散乱電子信号を用いて撮られた走査型電子顕微鏡写真(SEM)によって得られるべきである。光学顕微鏡写真は、十分なコントラストを与えない。十分なコントラストは、隣接性の測定のために重要である。なぜなら、粒間(inter−grain)境界は、グレースケールのコントラストに基づいて特定されるからである。
【0065】
隣接性は、SEM画像から、画像分析ソフトウェアによって決定され得る。特に、Soft Imaging System社の商品名“analySIS Pro”(Olympus Soft Imaging Solutions GmbHの登録商標)というソフトウェアが用いられ得る。このソフトウェアは、“Separate Grains”フィルタを有している。このフィルタは、操作マニュアルによると、隔離されている構造部が閉鎖構造部である場合にのみ満足な結果をもたらす。従って、このフィルタを適用する前に全ての孔を満たすことが重要である。例えば“Morph. Close”コマンドが用いられる。または、“Fillhole”モジュールから手助けが得られる。このフィルタに加えて、“Separator”も、粒の隔離のために利用可能な強力なその他のフィルタである。このセパレータは、操作マニュアルによると、カラー画像および白黒画像に適用可能でもある。
【0066】
粒径の測定を得るため、“円相当径(equivalent circle diameter)”として知られている方法が用いられる。ここでは、個々の顕微鏡観察の領域に相当する寸法の円が、微細構造においてバインダー相として特定される。これらの円の集められた分布が、次に統計的に評価される。平均自由工程のための方法とほぼ同様に、この測定における標準偏差が大きいほど、構造が同質ではないということになる。
【0067】
ダイヤモンドの粒の隣接性、k、は、ダイヤモンド−ダイヤモンドの接触および/または結合の測定であり、また、PCDの研磨片の画像分析から得られたデータを用いる以下の公式に従って計算される。
【数1】
ここで、δはダイヤモンド境界線であり、βはバインダー境界線である。
【0068】
ダイヤモンド境界線(perimeter)は、その他のダイヤモンド粒に接触しているダイヤモンド粒の表面の部分のことである。それは、全体のダイヤモンド粒表面領域によって割られた全体のダイヤモンド−ダイヤモンド接触領域として、仮定の体積のために測定される。バインダー境界線は、その他のダイヤモンド粒に接触していないダイヤモンド粒の表面の部分のことである。実際、隣接性の測定は、研磨片の表面の画像分析によって実行され、そして、分析された部分の中で、全てのダイヤモンド−ダイヤモンド界面上にある全ての点を通る線の結合された長さが合計され、これによって、ダイヤモンド境界線を決定し、また類推的にバインダー境界線を決定する。
【実施例】
【0069】
本発明の形態は、以下の実施例を参照することによってさらに詳細に説明される。以下の実施例は、本発明を限定することを意図してはいない。
【0070】
PCDディスクが準備された。原料ダイヤモンドパウダーが、約1μmから約15μmの範囲内の様々な平均寸法を有する源からのダイヤモンド粒を混合することによって準備された。混合された混合体の平均粒径は、約10μmであった。混合体は、凝集した塊に成形され、そして、コバルトが結合されたタングステン炭化物系超硬合金(WC−Co)基材の上に、圧力約6.8Gpaおよび温度約1,500℃で、従来技術で周知の超高圧炉によって焼結された。
【0071】
焼結の後、焼結された合成物の成形体が、装置から取り除かれた。成形体は、基材に一体的に結合されたPCDの1つの層を備えていた。PDCの微細構造のデータが表1に示されている。PCD層のダイヤモンド含有量は、約92体積%であった。平衡は、コバルトおよび小規模な沈殿相であり、コバルトは、焼結工程の間、凝集したダイヤモンドの塊の中へ基材から浸透していた。PCD構造部の中のダイヤモンド粒は、多様な寸法分布を有していた。画像分析が、ダイヤモンド粒の相互成長だけでなく、PCDの中でのダイヤモンド粒の空間的な分布の同質性を分析するために用いられた。粒の相互成長および接触は、ダイヤモンド粒の隣接性に関連して表され得る。PCDの平均隣接性は、62.0%(±1.9%)であった。PCDの格子間平均自由工程は、約0.74(±0.62)μmであった。
【表1】
【0072】
超硬合金基材が、合成物の成形体から研削加工によって取り除かれ、支持されていない、自由に立っているPCDディスクが残った。PCDディスクは、約2.2μmの厚さに研削され、その後、放電加工(EDS)によって3つの部分に切断された。各部分の形状は、ほぼ図3に示されているようなものである。3つのPCD部分の全ては、その後、コバルト溶媒/触媒材料の全てをPCD構造部の全体にわたって取り除くため、周知の方法で、酸によって処理(ろ過)された。
【0073】
ほぼ図3に示されているような基材の支持が、タングステン炭化物系超硬合金の塊から加工された。上方から見ると、基材は、丸められた隅部を含む、概して三角形の形状を有していた。凹部が、各隅部において基材に加工され、凹部の寸法および形状は、PCD部分に対応するよう適合されており、そして、PCD部分が凹部に蝋付けされた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ボーリングツールのための超硬質挿入体であって、
周囲カッター縁部を有するカッター先端部を備え、
周囲カッター縁部の少なくとも一部分は、複数の硬質領域および複数の超硬質領域のいずれか一方からなる複数の縁部によって画定されており、
超硬質領域の縁部は、互いに間隔を空けて配置されており、かつ硬質領域の縁部によって隔離されており、
各硬質領域の硬度は、各超硬質領域の硬度の最大で50%である、超硬質挿入体。
【請求項2】
カッター先端部は、周囲カッター縁部から離れている硬質中央領域を備え、
硬質中央領域は、穴あけまたは分解される材料から形成された小片を、カッター先端部からそらすよう作用可能な隆起部分または突起部分を含んでいる、請求項1に記載の超硬質挿入体。
【請求項3】
少なくとも1つの超硬質領域が、特定マークを有している、請求項1または2に記載の超硬質挿入体。
【請求項4】
放射状に外方に突出した複数のスポーク構造部を備え、
各スポークは、超硬質構造部を有している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の超硬質挿入体。
【請求項5】
少なくとも1つの超硬質領域のうちの1つ、2つ以上または各々が、カッター先端部の平面図で見た場合に概して収束している、または概して発散している側部を有している、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の超硬質挿入体。
【請求項6】
各超硬質領域のビッカース硬度が少なくとも40Gpaである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の超硬質挿入体。
【請求項7】
複数の超硬質領域のうちの1つ、2つ以上または各々が、PCD材料を備えている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の超硬質挿入体。
【請求項8】
複数の超硬質領域の少なくとも1つが、PCD材料を備え、
PCD材料が、少なくとも約60.5%の平均ダイヤモンド粒隣接性を有するダイヤモンド粒を備えている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の超硬質挿入体。
【請求項9】
複数の超硬質領域の少なくとも1つが、PCD材料を備え、
PCD材料が、少なくとも0.05μmの、かつ最大で1μmの格子間平均自由工程を有している、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の超硬質挿入体。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の超硬質挿入体を備えた回転ドリルビット。
【請求項11】
請求項10に記載の回転ドリルビットを備えた回転ボーリングツール。
【請求項1】
回転ボーリングツールのための超硬質挿入体であって、
周囲カッター縁部を有するカッター先端部を備え、
周囲カッター縁部の少なくとも一部分は、複数の硬質領域および複数の超硬質領域のいずれか一方からなる複数の縁部によって画定されており、
超硬質領域の縁部は、互いに間隔を空けて配置されており、かつ硬質領域の縁部によって隔離されており、
各硬質領域の硬度は、各超硬質領域の硬度の最大で50%である、超硬質挿入体。
【請求項2】
カッター先端部は、周囲カッター縁部から離れている硬質中央領域を備え、
硬質中央領域は、穴あけまたは分解される材料から形成された小片を、カッター先端部からそらすよう作用可能な隆起部分または突起部分を含んでいる、請求項1に記載の超硬質挿入体。
【請求項3】
少なくとも1つの超硬質領域が、特定マークを有している、請求項1または2に記載の超硬質挿入体。
【請求項4】
放射状に外方に突出した複数のスポーク構造部を備え、
各スポークは、超硬質構造部を有している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の超硬質挿入体。
【請求項5】
少なくとも1つの超硬質領域のうちの1つ、2つ以上または各々が、カッター先端部の平面図で見た場合に概して収束している、または概して発散している側部を有している、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の超硬質挿入体。
【請求項6】
各超硬質領域のビッカース硬度が少なくとも40Gpaである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の超硬質挿入体。
【請求項7】
複数の超硬質領域のうちの1つ、2つ以上または各々が、PCD材料を備えている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の超硬質挿入体。
【請求項8】
複数の超硬質領域の少なくとも1つが、PCD材料を備え、
PCD材料が、少なくとも約60.5%の平均ダイヤモンド粒隣接性を有するダイヤモンド粒を備えている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の超硬質挿入体。
【請求項9】
複数の超硬質領域の少なくとも1つが、PCD材料を備え、
PCD材料が、少なくとも0.05μmの、かつ最大で1μmの格子間平均自由工程を有している、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の超硬質挿入体。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の超硬質挿入体を備えた回転ドリルビット。
【請求項11】
請求項10に記載の回転ドリルビットを備えた回転ボーリングツール。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−517400(P2013−517400A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549335(P2012−549335)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050632
【国際公開番号】WO2011/089125
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512148551)エレメント、シックス、アブレイシブズ、ソシエテ、アノニム (2)
【氏名又は名称原語表記】ELEMENT SIX ABRASIVES S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050632
【国際公開番号】WO2011/089125
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512148551)エレメント、シックス、アブレイシブズ、ソシエテ、アノニム (2)
【氏名又は名称原語表記】ELEMENT SIX ABRASIVES S.A.
【Fターム(参考)】
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