ボールねじ装置
【課題】冷却によってナットが収縮したときにも、動摩擦トルクが上昇しにくいボールねじ装置を提供する。
【解決手段】ねじ軸10と、複数の転動体30を介してねじ軸10に螺合するナット20と、ナット20を冷却する冷却手段40とを備えたボールねじ装置であり、ねじ軸10のねじ溝10aとナット20のねじ溝20aとの間には、予圧方向を引張り方向として2点接触状態で予圧を付与された複数の転動体30が組み込まれている。ナット21、22及び間座50には循環路21c、22c及び第二の貫通孔52が形成され、これらに冷却媒体が供給されて冷却手段を構成する。循環路21c、22cと第二の貫通孔52との間には密封手段70が設けられている。冷却用貫通孔20b、20c、チューブ4、冷却液導入配管5及び冷却液排出配管6は各々の流路断面の形状及び面積が同じかほぼ同じであって、各々が直列に接続されている。
【解決手段】ねじ軸10と、複数の転動体30を介してねじ軸10に螺合するナット20と、ナット20を冷却する冷却手段40とを備えたボールねじ装置であり、ねじ軸10のねじ溝10aとナット20のねじ溝20aとの間には、予圧方向を引張り方向として2点接触状態で予圧を付与された複数の転動体30が組み込まれている。ナット21、22及び間座50には循環路21c、22c及び第二の貫通孔52が形成され、これらに冷却媒体が供給されて冷却手段を構成する。循環路21c、22cと第二の貫通孔52との間には密封手段70が設けられている。冷却用貫通孔20b、20c、チューブ4、冷却液導入配管5及び冷却液排出配管6は各々の流路断面の形状及び面積が同じかほぼ同じであって、各々が直列に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールねじ装置に関し、特に、ナットを冷却可能なボールねじ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、送りねじ軸と、該送りねじ軸に螺合して相対的に回転可能とされた送りナットとを有するねじ装置では、回転時に点接触又は面接触が生じるため、熱源(例えば、前記送りナット)に冷却手段が設けられることがあった。
このようなねじ装置としては、前記冷却手段(熱交換器)として、冷媒が循環する冷却パイプを前記送りナット内に配設したねじ装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭52−63557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたねじ装置では、熱交換器によって冷却された送りナットに熱収縮が生じ、結果として、トルクが上昇する問題があった。
具体的に、ねじ装置の温度上昇値θは、下記式(1)で表される。なお、下記式(1)において、tは経過時間、CMはねじ装置の熱容量、βはねじ装置からの単位時間、単位温度差あたりの放熱量、Qはナットから発生する単位時間当たりの熱量である。
【0005】
【数1】
【0006】
また、式(1)におけるQは、下記式(2)で表される。なお、下記式(2)において、Tは動摩擦トルク、nは軸回転数である。
Q=Tx60nx2π/1000=0.12πnT・・・・・・式(2)
特許文献1に示されているように、送りナットを単に冷却すると、式(1)のβが大きくなるが、上述のように同時にトルクが上昇してしまうと、式(2)よりQも大きくなってしまい、Q/βで得られる温度上昇値は大きくなる。従って、送りナットを単に冷却することにより、トータルとしての冷却効率は落ちてしまうという問題があった。
【0007】
ここで、図10及び図11は予圧形式ごとの予圧方向とナットの熱収縮方向との関係を示した模式図である。図10は予圧方向を圧縮方向とした2点接触状態の予圧形式を示す図であり、図11はオーバーサイズボール予圧状態を示す図である。
図10及び図11に示すように、ボールねじ装置1は、ねじ軸10と、ねじ軸10に対し、複数の転動体30を介して螺合するナット20とを有する。転動体30は、ねじ軸10のねじ溝10aとナット20のねじ溝20aとの間で予圧が付与されている。
【0008】
ナット20が冷却されて中心方向へ向かう熱収縮fが起きた場合、図10及び図11に示す予圧状態では、予圧荷重Fa0を高くする方向にナット20が収縮してしまい、動摩擦トルクが上昇してしまう。そこで、本発明は上記の問題点に着目してなされたものであり、その目的は、冷却によってナットが収縮したときにも、動摩擦トルクが上昇しにくいボールねじ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、トータルの予圧荷重がほとんど増加しない予圧形式を採用することにより、冷却によってナットが収縮したときにも動摩擦トルクが上昇しにくいことを知見した。
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、上記課題を解決するための本発明の請求項1に係るボールねじ装置は、一のねじ軸と、複数の転動体を介して前記ねじ軸に螺合する複数のナットと、軸方向に配列された前記複数のナット間に配置される間座と、前記ナットを冷却する冷却手段とを備え、前記転動体が、予圧方向を引張り方向として2点接触状態で予圧を付与され、前記冷却手段が、前記複数のナットの少なくとも一のナット軸方向に沿って形成された複数の冷却用貫通孔及び該冷却用貫通孔に対応して前記間座に形成された貫通穴を含み、隣り合う冷却用貫通孔は、断面形状および断面積が同じかほぼ同じであり、前記ナットの軸方向端部で、これらの冷却用貫通孔が、流路断面の形状および面積が同じかほぼ同じである流路形成部材で直列に接続されて流路をなし、該流路の入口および出口に、流路断面の形状および面積が同じかほぼ同じである冷却媒質導入配管および冷却媒質排出配管が直列に接続され、前記複数のナットの少なくとも一のナットに形成された前記冷却用貫通孔の一方の開口部と、前記間座に形成された前記貫通穴の一方の開口部との間に生じるすきまを密封する密封手段が設けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係るボールねじ装置によれば、冷却手段がナットに具備されると共に、前記ナットの予圧方式を引張り方向の2点接触予圧としたので、径方向への収縮は予圧荷重を高める方向に作用するが軸方向への収縮はこれを軽減するように作用するため、トータルの予圧荷重はほとんど増加しない。従って、冷却によってナットが収縮したときにも、動摩擦トルクが上昇しにくいボールねじ装置を提供することができる。また、本発明の請求項1に係るボールねじ装置によれば、隣り合う冷却用貫通孔を、これらと断面積が異なる流路形成部材を接続して流路を形成したものと比較して、流路内を流れる冷却媒質の圧力損失が小さいため、冷却効率が高いものとなる。更にまた、本発明の請求項1に係るボールねじ装置によれば、ダブルナット予圧が付与され、複数のナットに形成された循環路と、間座を貫通する貫通穴とを繋ぐことで複数のナットを同時に冷却でき、間座の貫通穴の開口部とナットの循環路の開口部との間に密着部材を設けることで冷却媒体の漏れを防止することができる。したがって、ダブルナット予圧ボールねじを効率的に冷却でき、かつナットから冷却媒体の漏れを防止することができるボールねじ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るボールねじ装置の第1の実施形態における構成を示す軸方向に沿う断面図である。
【図2】図1のボールねじ装置のA矢視図である。
【図3】本発明に係るボールねじ装置の第1の実施形態において引張方向を予圧方向とした2点接触状態の予圧状態と収縮との関係を示す図である。
【図4】本発明に係るボールねじ装置の第2の実施形態における構成を示す軸方向に沿う断面図である。
【図5】実施例2における密封手段の構成を示す軸方向に沿う断面図である。
【図6】実施例2における別の密封手段の構成を示す軸方向に沿う断面図である。
【図7】実施例1のボールねじ装置を駆動し、ナットを冷却したときのナットの温度上昇値とトルクを同時に測定した結果を示すグラフである。
【図8】比較例1のボールねじ装置を駆動し、ナットを冷却したときのナットの温度上昇値とトルクを同時に測定した結果を示すグラフである。
【図9】比較例1のボールねじ装置の構成を示す軸方向に沿う断面図である。
【図10】予圧方向を圧縮方向とした2点接触状態の予圧状態と収縮との関係を示す図である。
【図11】オーバーサイズボール予圧状態と収縮との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係るボールねじ装置の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るボールねじ装置の第1の実施形態における構成を示す軸方向に沿う断面図である。
図1に示すように、本実施形態のボールねじ装置1は、ねじ軸10と、ナット20とを有する。ねじ軸10及びナット20は、複数の転動体30を介して螺合している。ナット20は、ねじ軸10の外径より大きい内径で筒状に形成されている。ナット20の内周面には、ねじ軸10の外周面に螺旋状に形成されたねじ溝10aに対向するようにねじ溝20aが形成されている。ねじ溝10aとねじ溝20aとによって形成された転動路において転動体30は転動可能とされている。
【0013】
本実施形態のボールねじは、図1に示すように、半円弧状のチューブ(流路形成部材)4と、冷却液導入配管(冷却媒質導入配管)5と、冷却液排出配管(冷却媒質排出配管)6と、コネクタ71〜74とを備えている。図1において、ボール循環部材およびシールは省略されている。
【0014】
ナット20には、軸方向に貫通する2つの冷却用貫通孔20b,20cが、ナット20の直径方向で対向する位置に形成されている。ナット20のフランジ20d側の端部で、これらの冷却用貫通孔20b,20cが半円弧状のチューブ4により接続されている。チューブ4の一端と冷却用貫通孔20bは、コネクタ71で連結されている。チューブ4の他端と冷却用貫通孔20cは、コネクタ72で連結されている。これにより、冷却用貫通孔20b、20cとチューブ4からなる流路が形成されている。
【0015】
冷却用貫通孔20bのチューブ4が接続されていない端部が、コネクタ73を介して冷却液導入配管5と接続されている。冷却用貫通孔20cのチューブ4が接続されていない端部が、コネクタ74を介して冷却液排出配管6と接続されている。すなわち、この流路の入口および出口は、冷却用貫通孔20b,20cのチューブ4で接続されていない端部に設けてある。図2に図1のボールねじ装置1のA矢視図を示す。
【0016】
これにより、冷却液は、冷却液導入配管5→コネクタ73→ナット20の冷却用貫通孔20b→コネクタ71→チューブ4→コネクタ72→ナット1の冷却用貫通孔20c→コネクタ74→冷却液排出配管6の順に流れる。この冷却液の流れにおいて、直接的には冷却用貫通孔20b、20c内の冷却水の流れにより、ナット20が冷却される。
この実施形態のボールねじによれば、ナット20の冷却用貫通孔20b、20cとチューブ4からなる流路、この流路の出入り口に接続される冷却液導入配管5と冷却液排出配管6の全てにおいて、流路断面(流路の断面形状および断面積)が同じであるため、冷却液の圧力損失が小さくなる。よって、冷却効率が高くなり、冷却液供給用ポンプの負担も軽減される。
【0017】
また、2つの冷却用貫通孔20b、20cが冷却液導入配管5に対して直列に接続されていることから、流速が一定に保持されるため、2つの冷却用貫通孔20b、20cが冷却液導入配管5に対して並列に接続されている場合のように、分岐点で流路断面が大きくなって流速が低下する場合と比較して、冷却効果が高くなる。
【0018】
ねじ軸10のねじ溝10aと、ナット20のねじ溝20aとの間には、予圧方向を引張り方向として、予圧荷重Fa0でオフセットリード予圧(2点接触予圧)された複数の転動体30が組み込まれている。
図3は、引張方向を予圧方向とした2点接触状態の予圧状態と収縮との関係を示す図である。
【0019】
図3に示すように、引張方向の2点接触予圧をナット20に与えた場合は、径方向への熱収縮f1は予圧荷重Fa0を高める方向に作用するが、軸方向への熱収縮f2はこれを軽減するように作用するため、トータルの予圧荷重はほとんど増加しない。
このため、本発明に係るボールねじ装置1では、引張方向の2点接触予圧をナット20に与えることにより、ナット20を冷却しても予圧トルクが増大することなく効率的にボールねじ装置1全体を冷却することができる。
【0020】
(第2の実施形態)
図4は、本発明に係るボールねじ装置の第2の実施形態を示す図である。図4に示すように、本実施形態は、第1の実施形態が予圧方式として、オフセットリード予圧を採用したのに対し、ダブルナット予圧方式を採用している。
【0021】
具体的には、図4に示すように、本実施形態のボールねじ装置1は、共通のねじ軸10に、複数の転動体30を介して螺合する第1のナット21及び第2のナット22と、間座50とを有する。間座50は、第1のナット21及び第2のナット22の内径とほぼ同じ内径を有する円環状をなし、第1のナット21と第2のナット22との相対回転を阻止する。また、間座50が設けられることによって、第1のナット21及び第2のナット22のそれぞれのねじ溝21a,22aと、ボールねじ10のねじ溝10aとの間に組み込まれる複数の転動体30に予圧荷重Fa0で2点接触状態の予圧が与えられている。なお、予圧方向は第1の実施形態と同様に引張方向である。
【0022】
次に、第2の実施形態における密封手段を図面5を参照にして以下に説明する。第1のナット21及び第2のナット22と、間座50との間には、密封手段70が設けられている。具体的には、第1のナット21及び第2のナット22のそれぞれの間座50との接触面21b,22bに、循環路21c、22cの一方(接触面21b,22b側)の開口部を囲むように第1の収容部(凹部)21d、22dが形成されている。そして、第1の収容部21d、22dには、循環路21c,22cを囲む円環状の弾性部材71が設置されている。弾性部材71は、例えば、Oリング等である。密封手段70は、第1の収容部21d、22dと弾性部材71とを有してなる。このようにして第1のナット21及び第2のナット22と、間座50との間に密封手段70が設けられることにより、この部分から冷却媒体が漏れない構造となっている。なお、密封手段70は密封状態を確実にするものであって、間座50との密封状態が十分であれば、密封手段70は、第1のナット21及び第2のナット22のいずれかであってもよく、第1の収容部21d、22dの両方に必ず設けられなくともよい。
【0023】
また、第2の実施形態における別の密封手段を図面6を参照して説明する。本実施形態に係るボールねじ装置は、密封手段の構成が前述の密封手段の実施形態と異なるだけであるので、同じ符号を付した同様の構成については説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態は、間座50とナット21,22との間に設置される密封手段70を間座50側に形成したことを特徴とする。具体的には、間座50における第1のナット21に対向する一方の面50a、及び間座50における第2のナット22に対向する他方の面50bのそれぞれに、第2の貫通穴52の一方の開口部分を囲むように第2の収容部(凹部)51が形成され、これら第2の収容部51に弾性部材(例えば、Oリング等)71が設置されている。密封手段70は、第2の収容部51と弾性部材71とを有してなる。なお、密封手段70は密封状態を確実にするものであって、間座50との密封状態が十分であれば、密封手段70は、第1のナット21及び第2のナット22のいずれかであってもよく、第2の収容部51,51が両面50a,50bの両面に必ず設けられなくともよい。
【0024】
このように、密封手段70を間座50側に形成したことにより、例えば、間座50側に第2の収容部51を形成すればいいので、従来のナットをそのまま用いることができ、製造コストを低減させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。例えば、弾性部材を収容する収容部は、間座の一方の面側では、ナット(第1のナット又は第2のナット)に形成され、間座の他方の面側では、間座に形成されてもよい。また、弾性部材は、ナット側に設けることがより好ましい。これは、予圧量を間座の厚さで調整するために、間座側に弾性部材を設置すると、予圧調整(間座加工)のたびに弾性部材を着脱する煩わしさを解消できる利点があるからである。
【実施例】
【0025】
以下、本発明に係るボールねじ装置の実施例について説明する。
図7は、前述の第1の実施形態のボールねじ装置(図1参照)を実施例1のボールねじ装置として駆動し、駆動の途中でナットを冷却したときのナットの温度上昇値とトルクを同時に測定した結果を示すグラフである。
また、図8は、比較例1のボールねじ装置を駆動し、駆動の途中でナットを冷却したときのナットの温度上昇値とトルクを同時に測定した結果を示すグラフである。
【0026】
実施例1及び比較例1のボールねじ装置の構成を表1に示し、実施例1及び比較例1の駆動条件を表2に示し、実施例1及び比較例1の冷却条件を表3に示す。
ここで、比較例1のボールねじ装置の構成は、図9に示すように、ねじ溝10aとねじ溝20aとの間において、予圧荷重Fa0でオーバーサイズボール予圧(4点接触予圧)された複数の転動体30が組み込まれている点が実施例1と異なる。
なお、図7及び図8において、ナットの温度が急激に低下したときが、冷却開始時である。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
図7及び図8に示すように、実施例1及び比較例1ともに、冷却を開始すればナットの温度が低下することが分かるが、実施例1のボールねじ装置の方が、軸の温度低下が大きいことが分かる。ボールねじ装置駆動の送り系ではテーブル精度に直接的に影響する軸の温度変化が重要になる。
【0031】
また、トルクの変化に着目すると、比較例1では、冷却前の約2倍までトルクが上昇している。これは、冷却によってナットが熱収縮をおこし、その熱収縮の方向が予圧方向と一致し、予圧荷重が高くなっているためである。この発熱が、冷却による放熱効果を薄め、結果的にトータルとしての冷却効果が小さくなっている。また、過大予圧を招き、結果としてボールねじ装置の寿命を低下させてしまう。
【0032】
これに対して、実施例1のボールねじ装置のトルクは、冷却前後でほとんど変化していない。これは冷却によるナットの熱収縮の方向の中で径方向は予圧荷重を高めるが軸方向は予圧荷重を低くする方向に作用し、これらが相互に作用しているためである。この結果、実施例1のボールねじ装置では、ナットの熟収縮の影響を受けず、高い冷却効果が得られる。
【0033】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ボールねじ装置
10 ねじ軸
20 ナット
21 第1のナット
22 第2のナット
30 転動体
50 間座
51 第2の収容部
70 密封手段
71 弾性部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールねじ装置に関し、特に、ナットを冷却可能なボールねじ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、送りねじ軸と、該送りねじ軸に螺合して相対的に回転可能とされた送りナットとを有するねじ装置では、回転時に点接触又は面接触が生じるため、熱源(例えば、前記送りナット)に冷却手段が設けられることがあった。
このようなねじ装置としては、前記冷却手段(熱交換器)として、冷媒が循環する冷却パイプを前記送りナット内に配設したねじ装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭52−63557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたねじ装置では、熱交換器によって冷却された送りナットに熱収縮が生じ、結果として、トルクが上昇する問題があった。
具体的に、ねじ装置の温度上昇値θは、下記式(1)で表される。なお、下記式(1)において、tは経過時間、CMはねじ装置の熱容量、βはねじ装置からの単位時間、単位温度差あたりの放熱量、Qはナットから発生する単位時間当たりの熱量である。
【0005】
【数1】
【0006】
また、式(1)におけるQは、下記式(2)で表される。なお、下記式(2)において、Tは動摩擦トルク、nは軸回転数である。
Q=Tx60nx2π/1000=0.12πnT・・・・・・式(2)
特許文献1に示されているように、送りナットを単に冷却すると、式(1)のβが大きくなるが、上述のように同時にトルクが上昇してしまうと、式(2)よりQも大きくなってしまい、Q/βで得られる温度上昇値は大きくなる。従って、送りナットを単に冷却することにより、トータルとしての冷却効率は落ちてしまうという問題があった。
【0007】
ここで、図10及び図11は予圧形式ごとの予圧方向とナットの熱収縮方向との関係を示した模式図である。図10は予圧方向を圧縮方向とした2点接触状態の予圧形式を示す図であり、図11はオーバーサイズボール予圧状態を示す図である。
図10及び図11に示すように、ボールねじ装置1は、ねじ軸10と、ねじ軸10に対し、複数の転動体30を介して螺合するナット20とを有する。転動体30は、ねじ軸10のねじ溝10aとナット20のねじ溝20aとの間で予圧が付与されている。
【0008】
ナット20が冷却されて中心方向へ向かう熱収縮fが起きた場合、図10及び図11に示す予圧状態では、予圧荷重Fa0を高くする方向にナット20が収縮してしまい、動摩擦トルクが上昇してしまう。そこで、本発明は上記の問題点に着目してなされたものであり、その目的は、冷却によってナットが収縮したときにも、動摩擦トルクが上昇しにくいボールねじ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、トータルの予圧荷重がほとんど増加しない予圧形式を採用することにより、冷却によってナットが収縮したときにも動摩擦トルクが上昇しにくいことを知見した。
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、上記課題を解決するための本発明の請求項1に係るボールねじ装置は、一のねじ軸と、複数の転動体を介して前記ねじ軸に螺合する複数のナットと、軸方向に配列された前記複数のナット間に配置される間座と、前記ナットを冷却する冷却手段とを備え、前記転動体が、予圧方向を引張り方向として2点接触状態で予圧を付与され、前記冷却手段が、前記複数のナットの少なくとも一のナット軸方向に沿って形成された複数の冷却用貫通孔及び該冷却用貫通孔に対応して前記間座に形成された貫通穴を含み、隣り合う冷却用貫通孔は、断面形状および断面積が同じかほぼ同じであり、前記ナットの軸方向端部で、これらの冷却用貫通孔が、流路断面の形状および面積が同じかほぼ同じである流路形成部材で直列に接続されて流路をなし、該流路の入口および出口に、流路断面の形状および面積が同じかほぼ同じである冷却媒質導入配管および冷却媒質排出配管が直列に接続され、前記複数のナットの少なくとも一のナットに形成された前記冷却用貫通孔の一方の開口部と、前記間座に形成された前記貫通穴の一方の開口部との間に生じるすきまを密封する密封手段が設けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係るボールねじ装置によれば、冷却手段がナットに具備されると共に、前記ナットの予圧方式を引張り方向の2点接触予圧としたので、径方向への収縮は予圧荷重を高める方向に作用するが軸方向への収縮はこれを軽減するように作用するため、トータルの予圧荷重はほとんど増加しない。従って、冷却によってナットが収縮したときにも、動摩擦トルクが上昇しにくいボールねじ装置を提供することができる。また、本発明の請求項1に係るボールねじ装置によれば、隣り合う冷却用貫通孔を、これらと断面積が異なる流路形成部材を接続して流路を形成したものと比較して、流路内を流れる冷却媒質の圧力損失が小さいため、冷却効率が高いものとなる。更にまた、本発明の請求項1に係るボールねじ装置によれば、ダブルナット予圧が付与され、複数のナットに形成された循環路と、間座を貫通する貫通穴とを繋ぐことで複数のナットを同時に冷却でき、間座の貫通穴の開口部とナットの循環路の開口部との間に密着部材を設けることで冷却媒体の漏れを防止することができる。したがって、ダブルナット予圧ボールねじを効率的に冷却でき、かつナットから冷却媒体の漏れを防止することができるボールねじ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るボールねじ装置の第1の実施形態における構成を示す軸方向に沿う断面図である。
【図2】図1のボールねじ装置のA矢視図である。
【図3】本発明に係るボールねじ装置の第1の実施形態において引張方向を予圧方向とした2点接触状態の予圧状態と収縮との関係を示す図である。
【図4】本発明に係るボールねじ装置の第2の実施形態における構成を示す軸方向に沿う断面図である。
【図5】実施例2における密封手段の構成を示す軸方向に沿う断面図である。
【図6】実施例2における別の密封手段の構成を示す軸方向に沿う断面図である。
【図7】実施例1のボールねじ装置を駆動し、ナットを冷却したときのナットの温度上昇値とトルクを同時に測定した結果を示すグラフである。
【図8】比較例1のボールねじ装置を駆動し、ナットを冷却したときのナットの温度上昇値とトルクを同時に測定した結果を示すグラフである。
【図9】比較例1のボールねじ装置の構成を示す軸方向に沿う断面図である。
【図10】予圧方向を圧縮方向とした2点接触状態の予圧状態と収縮との関係を示す図である。
【図11】オーバーサイズボール予圧状態と収縮との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係るボールねじ装置の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るボールねじ装置の第1の実施形態における構成を示す軸方向に沿う断面図である。
図1に示すように、本実施形態のボールねじ装置1は、ねじ軸10と、ナット20とを有する。ねじ軸10及びナット20は、複数の転動体30を介して螺合している。ナット20は、ねじ軸10の外径より大きい内径で筒状に形成されている。ナット20の内周面には、ねじ軸10の外周面に螺旋状に形成されたねじ溝10aに対向するようにねじ溝20aが形成されている。ねじ溝10aとねじ溝20aとによって形成された転動路において転動体30は転動可能とされている。
【0013】
本実施形態のボールねじは、図1に示すように、半円弧状のチューブ(流路形成部材)4と、冷却液導入配管(冷却媒質導入配管)5と、冷却液排出配管(冷却媒質排出配管)6と、コネクタ71〜74とを備えている。図1において、ボール循環部材およびシールは省略されている。
【0014】
ナット20には、軸方向に貫通する2つの冷却用貫通孔20b,20cが、ナット20の直径方向で対向する位置に形成されている。ナット20のフランジ20d側の端部で、これらの冷却用貫通孔20b,20cが半円弧状のチューブ4により接続されている。チューブ4の一端と冷却用貫通孔20bは、コネクタ71で連結されている。チューブ4の他端と冷却用貫通孔20cは、コネクタ72で連結されている。これにより、冷却用貫通孔20b、20cとチューブ4からなる流路が形成されている。
【0015】
冷却用貫通孔20bのチューブ4が接続されていない端部が、コネクタ73を介して冷却液導入配管5と接続されている。冷却用貫通孔20cのチューブ4が接続されていない端部が、コネクタ74を介して冷却液排出配管6と接続されている。すなわち、この流路の入口および出口は、冷却用貫通孔20b,20cのチューブ4で接続されていない端部に設けてある。図2に図1のボールねじ装置1のA矢視図を示す。
【0016】
これにより、冷却液は、冷却液導入配管5→コネクタ73→ナット20の冷却用貫通孔20b→コネクタ71→チューブ4→コネクタ72→ナット1の冷却用貫通孔20c→コネクタ74→冷却液排出配管6の順に流れる。この冷却液の流れにおいて、直接的には冷却用貫通孔20b、20c内の冷却水の流れにより、ナット20が冷却される。
この実施形態のボールねじによれば、ナット20の冷却用貫通孔20b、20cとチューブ4からなる流路、この流路の出入り口に接続される冷却液導入配管5と冷却液排出配管6の全てにおいて、流路断面(流路の断面形状および断面積)が同じであるため、冷却液の圧力損失が小さくなる。よって、冷却効率が高くなり、冷却液供給用ポンプの負担も軽減される。
【0017】
また、2つの冷却用貫通孔20b、20cが冷却液導入配管5に対して直列に接続されていることから、流速が一定に保持されるため、2つの冷却用貫通孔20b、20cが冷却液導入配管5に対して並列に接続されている場合のように、分岐点で流路断面が大きくなって流速が低下する場合と比較して、冷却効果が高くなる。
【0018】
ねじ軸10のねじ溝10aと、ナット20のねじ溝20aとの間には、予圧方向を引張り方向として、予圧荷重Fa0でオフセットリード予圧(2点接触予圧)された複数の転動体30が組み込まれている。
図3は、引張方向を予圧方向とした2点接触状態の予圧状態と収縮との関係を示す図である。
【0019】
図3に示すように、引張方向の2点接触予圧をナット20に与えた場合は、径方向への熱収縮f1は予圧荷重Fa0を高める方向に作用するが、軸方向への熱収縮f2はこれを軽減するように作用するため、トータルの予圧荷重はほとんど増加しない。
このため、本発明に係るボールねじ装置1では、引張方向の2点接触予圧をナット20に与えることにより、ナット20を冷却しても予圧トルクが増大することなく効率的にボールねじ装置1全体を冷却することができる。
【0020】
(第2の実施形態)
図4は、本発明に係るボールねじ装置の第2の実施形態を示す図である。図4に示すように、本実施形態は、第1の実施形態が予圧方式として、オフセットリード予圧を採用したのに対し、ダブルナット予圧方式を採用している。
【0021】
具体的には、図4に示すように、本実施形態のボールねじ装置1は、共通のねじ軸10に、複数の転動体30を介して螺合する第1のナット21及び第2のナット22と、間座50とを有する。間座50は、第1のナット21及び第2のナット22の内径とほぼ同じ内径を有する円環状をなし、第1のナット21と第2のナット22との相対回転を阻止する。また、間座50が設けられることによって、第1のナット21及び第2のナット22のそれぞれのねじ溝21a,22aと、ボールねじ10のねじ溝10aとの間に組み込まれる複数の転動体30に予圧荷重Fa0で2点接触状態の予圧が与えられている。なお、予圧方向は第1の実施形態と同様に引張方向である。
【0022】
次に、第2の実施形態における密封手段を図面5を参照にして以下に説明する。第1のナット21及び第2のナット22と、間座50との間には、密封手段70が設けられている。具体的には、第1のナット21及び第2のナット22のそれぞれの間座50との接触面21b,22bに、循環路21c、22cの一方(接触面21b,22b側)の開口部を囲むように第1の収容部(凹部)21d、22dが形成されている。そして、第1の収容部21d、22dには、循環路21c,22cを囲む円環状の弾性部材71が設置されている。弾性部材71は、例えば、Oリング等である。密封手段70は、第1の収容部21d、22dと弾性部材71とを有してなる。このようにして第1のナット21及び第2のナット22と、間座50との間に密封手段70が設けられることにより、この部分から冷却媒体が漏れない構造となっている。なお、密封手段70は密封状態を確実にするものであって、間座50との密封状態が十分であれば、密封手段70は、第1のナット21及び第2のナット22のいずれかであってもよく、第1の収容部21d、22dの両方に必ず設けられなくともよい。
【0023】
また、第2の実施形態における別の密封手段を図面6を参照して説明する。本実施形態に係るボールねじ装置は、密封手段の構成が前述の密封手段の実施形態と異なるだけであるので、同じ符号を付した同様の構成については説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態は、間座50とナット21,22との間に設置される密封手段70を間座50側に形成したことを特徴とする。具体的には、間座50における第1のナット21に対向する一方の面50a、及び間座50における第2のナット22に対向する他方の面50bのそれぞれに、第2の貫通穴52の一方の開口部分を囲むように第2の収容部(凹部)51が形成され、これら第2の収容部51に弾性部材(例えば、Oリング等)71が設置されている。密封手段70は、第2の収容部51と弾性部材71とを有してなる。なお、密封手段70は密封状態を確実にするものであって、間座50との密封状態が十分であれば、密封手段70は、第1のナット21及び第2のナット22のいずれかであってもよく、第2の収容部51,51が両面50a,50bの両面に必ず設けられなくともよい。
【0024】
このように、密封手段70を間座50側に形成したことにより、例えば、間座50側に第2の収容部51を形成すればいいので、従来のナットをそのまま用いることができ、製造コストを低減させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。例えば、弾性部材を収容する収容部は、間座の一方の面側では、ナット(第1のナット又は第2のナット)に形成され、間座の他方の面側では、間座に形成されてもよい。また、弾性部材は、ナット側に設けることがより好ましい。これは、予圧量を間座の厚さで調整するために、間座側に弾性部材を設置すると、予圧調整(間座加工)のたびに弾性部材を着脱する煩わしさを解消できる利点があるからである。
【実施例】
【0025】
以下、本発明に係るボールねじ装置の実施例について説明する。
図7は、前述の第1の実施形態のボールねじ装置(図1参照)を実施例1のボールねじ装置として駆動し、駆動の途中でナットを冷却したときのナットの温度上昇値とトルクを同時に測定した結果を示すグラフである。
また、図8は、比較例1のボールねじ装置を駆動し、駆動の途中でナットを冷却したときのナットの温度上昇値とトルクを同時に測定した結果を示すグラフである。
【0026】
実施例1及び比較例1のボールねじ装置の構成を表1に示し、実施例1及び比較例1の駆動条件を表2に示し、実施例1及び比較例1の冷却条件を表3に示す。
ここで、比較例1のボールねじ装置の構成は、図9に示すように、ねじ溝10aとねじ溝20aとの間において、予圧荷重Fa0でオーバーサイズボール予圧(4点接触予圧)された複数の転動体30が組み込まれている点が実施例1と異なる。
なお、図7及び図8において、ナットの温度が急激に低下したときが、冷却開始時である。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
図7及び図8に示すように、実施例1及び比較例1ともに、冷却を開始すればナットの温度が低下することが分かるが、実施例1のボールねじ装置の方が、軸の温度低下が大きいことが分かる。ボールねじ装置駆動の送り系ではテーブル精度に直接的に影響する軸の温度変化が重要になる。
【0031】
また、トルクの変化に着目すると、比較例1では、冷却前の約2倍までトルクが上昇している。これは、冷却によってナットが熱収縮をおこし、その熱収縮の方向が予圧方向と一致し、予圧荷重が高くなっているためである。この発熱が、冷却による放熱効果を薄め、結果的にトータルとしての冷却効果が小さくなっている。また、過大予圧を招き、結果としてボールねじ装置の寿命を低下させてしまう。
【0032】
これに対して、実施例1のボールねじ装置のトルクは、冷却前後でほとんど変化していない。これは冷却によるナットの熱収縮の方向の中で径方向は予圧荷重を高めるが軸方向は予圧荷重を低くする方向に作用し、これらが相互に作用しているためである。この結果、実施例1のボールねじ装置では、ナットの熟収縮の影響を受けず、高い冷却効果が得られる。
【0033】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ボールねじ装置
10 ねじ軸
20 ナット
21 第1のナット
22 第2のナット
30 転動体
50 間座
51 第2の収容部
70 密封手段
71 弾性部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一のねじ軸と、複数の転動体を介して前記ねじ軸に螺合する複数のナットと、軸方向に配列された前記複数のナット間に配置される間座と、前記ナットを冷却する冷却手段とを備え、
前記転動体が、予圧方向を引張り方向として2点接触状態で予圧を付与され、
前記冷却手段が、前記複数のナットの少なくとも一のナット軸方向に沿って形成された複数の冷却用貫通孔及び該冷却用貫通孔に対応して前記間座に形成された貫通穴を含み、
隣り合う冷却用貫通孔は、断面形状および断面積が同じかほぼ同じであり、前記ナットの軸方向端部で、これらの冷却用貫通孔が、流路断面の形状および面積が同じかほぼ同じである流路形成部材で直列に接続されて流路をなし、該流路の入口および出口に、流路断面の形状および面積が同じかほぼ同じである冷却媒質導入配管および冷却媒質排出配管が直列に接続され、
前記複数のナットの少なくとも一のナットに形成された前記冷却用貫通孔の一方の開口部と、前記間座に形成された前記貫通穴の一方の開口部との間に生じるすきまを密封する密封手段が設けられることを特徴とするボールねじ装置。
【請求項2】
前記密封手段は、前記複数のナットの少なくとも一のナットの前記間座との接触面における前記貫通穴の一方の開口部を囲むように形成された第1の収容部と、該第1の収容部に収容された円環状の弾性部材とを有することを特徴とする請求項1に記載のボールねじ装置。
【請求項3】
前記密封手段は、前記間座の、前記複数のナットの少なくとも一のナットとの接触面における前記貫通穴の一方の開口部を囲むように形成された第2の収容部と、該第2の収容部に収容された円環状の弾性部材とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のボールねじ装置。
【請求項1】
一のねじ軸と、複数の転動体を介して前記ねじ軸に螺合する複数のナットと、軸方向に配列された前記複数のナット間に配置される間座と、前記ナットを冷却する冷却手段とを備え、
前記転動体が、予圧方向を引張り方向として2点接触状態で予圧を付与され、
前記冷却手段が、前記複数のナットの少なくとも一のナット軸方向に沿って形成された複数の冷却用貫通孔及び該冷却用貫通孔に対応して前記間座に形成された貫通穴を含み、
隣り合う冷却用貫通孔は、断面形状および断面積が同じかほぼ同じであり、前記ナットの軸方向端部で、これらの冷却用貫通孔が、流路断面の形状および面積が同じかほぼ同じである流路形成部材で直列に接続されて流路をなし、該流路の入口および出口に、流路断面の形状および面積が同じかほぼ同じである冷却媒質導入配管および冷却媒質排出配管が直列に接続され、
前記複数のナットの少なくとも一のナットに形成された前記冷却用貫通孔の一方の開口部と、前記間座に形成された前記貫通穴の一方の開口部との間に生じるすきまを密封する密封手段が設けられることを特徴とするボールねじ装置。
【請求項2】
前記密封手段は、前記複数のナットの少なくとも一のナットの前記間座との接触面における前記貫通穴の一方の開口部を囲むように形成された第1の収容部と、該第1の収容部に収容された円環状の弾性部材とを有することを特徴とする請求項1に記載のボールねじ装置。
【請求項3】
前記密封手段は、前記間座の、前記複数のナットの少なくとも一のナットとの接触面における前記貫通穴の一方の開口部を囲むように形成された第2の収容部と、該第2の収容部に収容された円環状の弾性部材とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のボールねじ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−92917(P2012−92917A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241677(P2010−241677)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]