説明

ポット苗用移植機

【課題】水平搬送ベルトから下降ベルトへのポット苗の供給効率を高め、また、送り爪の上昇時にポット苗を持ち上げることを防止する。
【解決手段】水平搬送ベルト6の端縁から落下されるポット苗Pを上下揺動可能な送り爪17により上から押し込んで下降ベルト7へと供給させ、下降ベルト7の下端で植付装置8に供給させるポット苗用移植機10であって、送り爪17は、水平搬送ベルト6の端縁に沿って下降して下死点に達した後、水平搬送ベルト6の端縁から離れた位置を上昇して上死点に達する軌道パターンで上下揺動を繰り返す構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポット苗用移植機に関し、詳しくは、水平搬送ベルトの端縁から送出されるポット苗を上下揺動可能な送り爪により上から押し込んで下降ベルトへと強制落下させ、該下降ベルトの下端からポット苗を植付装置に連続的に供給して、圃場に移植する移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のポット苗用移植機は、苗載台上のポット苗箱から押出された横一列のポット苗を、その前方に待機する苗受けアームにより、横方向(移植機の幅方向)に作動する無端水平搬送ベルト上に供給し、その搬送方向下流側端縁から一対の下降ベルトに落下させ、下方の円盤状植付装置に供給させ、この植付装置によってポット苗を逐次圃場に移植している。そして、ポット苗を前記水平搬送ベルトから下降ベルトにスムーズかつ迅速に落下させるために、水平搬送ベルトの端縁に至ったポット苗を上から下降ベルト間に押し込むように上下降する送り爪が配設されている。(特許文献1および特許文献2を参照)
【0003】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された送り爪は、単に水平支軸を揺動支点として上下揺動するものであるため、水平搬送ベルトの端縁に沿って下降して下降ベルトに向けてポット苗を強制落下させた後も、水平搬送ベルトの端縁に沿って上昇するので、送り爪がシャッタのように機能して、後続のポット苗はこの送り爪によって水平搬送ベルト上で堰き止められることになる。そのため、送り爪の作動速度が上がってくると水平搬送ベルトの端縁からシャッター内へ自動落下するタイミングが間に合わず、植付装置による圃場への移植速度に限界が生じる原因となっていた。
また、送り爪は下死点に至るとそのまま水平搬送ベルトの端縁に沿って上昇するので、上昇の際にポット苗を持ち上げてしまい、ポット苗の供給間隔が変化したり、ポット苗の位置が変化する場合もあった。ポット苗の供給間隔が変化すると、植付タイミングがズレてしまう一方、ポット苗の位置が変わると、送り爪がポット部の中心に当らずにポット部が崩れたりする問題がある。
【0004】
【特許文献1】特許2787536号公報
【特許文献2】特許2826695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、水平搬送ベルトから下降ベルトへのポット苗の送出効率を高めると共に、送り爪の上昇時にポット苗を持ち上げることのないようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、水平搬送ベルトの端縁から落下されるポット苗を上下揺動可能な送り爪により上から押し込んで下降ベルトへと供給させ、該下降ベルトの下端で植付装置に供給させるポット苗用移植機であって、
前記送り爪は、前記水平搬送ベルトの端縁に沿って下降して下死点に達した後、前記水平搬送ベルトの端縁から離れた位置を上昇して上死点に達する軌道パターンで上下揺動を繰り返す構成としているポット苗用移植機を提供している。
【0007】
前記構成とすると、送り爪が水平搬送ベルトの端縁に沿って下降して下死点に達した後は、送り爪は水平搬送ベルトの端縁から離れるようにして上昇するので、この上昇の間、後続するポット苗は送り爪によって水平搬送ベルトの端縁で堰き止められることがなく、水平搬送ベルトの端縁からシャッター内への供給がスムーズに行うことができる。したがって、水平搬送ベルトの搬送速度と送り爪の上下揺動タイミングとの調整により、ポット苗の下降ベルトへの効率的な送致がなされ、移植効率の向上が図られる。
【0008】
また、送り爪が下死点に達した後、離反方向に振られるように上昇するので、水平搬送ベルトの端縁に達したポット苗が持ち上げられるようなことがなく、ポット苗の供給間隔の変化やポット苗の位置変化を生じさせることもない。したがって、植付タイミングがズレたり、送り爪がポット部の中心に当らずにポット部が崩れたりすること等を好適に防止することができる。
【0009】
前記送り爪は、水平支軸を揺動支点として上下に揺動する揺動杆の先端に固定され、
該揺動杆は、前記水平支軸に取付けられたベースブラケットに対して回動自在にヒンジ連結されていると共にその中間においてクランク機構を介して回転駆動軸に連結され、
前記クランク機構を構成するクランク及びクランク腕は、互いに近接する方向に付勢手段によって付勢された状態でクランクピンを介して連結されると共に、該クランクとクランク腕との間にはカム機構が介在され、
前記回転駆動軸の回転に伴って前記揺動杆が上下揺動する際に、前記カム機構と前記付勢手段の付勢力とにより、前記クランク腕が前記揺動杆と共に前記クランクに対して近接/離反を繰り返すことで、前記送り爪が前記軌道パターンを形成する構成していると好ましい。
【0010】
前記構成とすると、送り爪の上昇時に水平搬送ベルトの端縁から離れた位置を上昇する軌道パターンは、クランク機構及びカム機能によって簡単に実現されるので、構造が簡素化でき実用価値も極めて高いものとなる。
【0011】
具体的には、前記カム機構は、前記送り爪の上昇時に前記クランク腕が前記クランクから離反する一方、前記送り爪の下降時に前記クランク腕が前記クランクに近接する構成としていると好ましい。
前記カム機構を構成するカムは、前記クランク腕の前記クランク側の対向面に形成され、対向方向の高さが前記クランクピンを中心として周方向に漸次変化する円環状隆起部を有し、前記クランクには前記円環状隆起部上を摺接する摺動突子が形成されていると好ましい。
また、前記クランクピンと前記クランクとの間には、前記クランク腕を前記クランク側に引寄せるよう付勢する圧縮ばねを前記付勢手段として設けていると好ましい。
【0012】
前記揺動杆の水平支軸側の先端と、前記水平支軸に回転自在に嵌合した揺動軸受ボスとを弾性体を介して連結している構成とすることが好ましい。
具体的には、前記揺動軸受ボスの外周面から突設した受け片と揺動杆の先端との間にバネ片からなる弾性体を介在させ、該バネ片の両端を前記受け片と揺動杆とにボルト・ナットで締結固定している。
該構成とすると、揺動杆が上下に揺動すると共に下死点と上死点に達すると横方向へも若干揺動して、略楕円形状の軌道パターンで揺動すため、該揺動時に前記弾性体で水平軸の揺動軸受ボスとの間に左右方向のガタつきが発生しないようにしている。このように、ガタつきを発生させないことで、揺動杆を常に正規軌道で揺動させて、ポット苗を水平搬送ベルトから下降ベルトへと確実に押し込むことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、送り爪が下死点に達した後は水平搬送ベルトの端縁から離反するように上昇するので、この上昇の間、次のポット苗は送り爪によって水平搬送ベルトの端縁で堰き止められることがなく落下し、後続するポット苗の下降ベルトへの効率的な送致が可能となり移植効率の向上が図られる。かつ、水平搬送ベルトの端縁に達したポット苗が送り爪により持ち上げられることがないので、ポット苗の供給間隔の変化やポット苗の位置変化を生じさせず、植付タイミングのズレやポット部の崩れ等を防止することができる。
【0014】
また、揺動杆と、該揺動杆を揺動自在に支持する水平支軸との間に弾性体を介在させることで、揺動杆の揺動時にガタつきを発生させないようにすることができ、揺動杆の軌道パターンを正確に維持してポット苗を確実に水平搬送ベルトの先端より下方ベルトへと押し込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図5は本発明のポット苗用移植機の第一実施形態を示し、図1は全体側面図である。
図1に示すポット苗用移植機1は、車体フレーム2の前方(進行方向)に装備されたエンジン3と、車輪4と、苗箱台5と、ポット苗箱から押出されたポット苗を横方向(移植機の幅方向)に搬送する左右一対の水平搬送ベルト6と、該水平搬送ベルト6の端縁(搬送方向端部)の下方に配設された下降ベルト7と、円盤状の植付装置8と、溝切板9と、土寄せ輪10等を備えている。
【0016】
エンジン3の動力は、減速機11及びチェーン12等を介して車輪4に駆動伝達され、また、減速機11及び植付部シャフト13等を介して植付装置8を含むポット苗植付部14に駆動伝達される。更に、減速機11及び供給部シャフト15等を介し水平搬送ベルト6、下降ベルト7および後述する送り爪17の動作機構等を含むポット苗供給部16にも駆動伝達される。
なお、本実施形態のポット苗用移植機1は、エンジン3を駆動させて車輪4を回転させ、ポット苗植付部14及びポット苗供給部16を作動させながら、操作者(不図示)が自らハンドル18、サイドクラッチレバー19或いは植付クラッチレバー19a等を操作し、手押しで圃場を走行させてポット苗を移植して行くものであるが、運転席を設けた乗用タイプの移植機であってもよいことは言うまでもない。
【0017】
ポット苗供給部16の内、水平搬送ベルト6へのポット苗の供給機構については、前記特許文献1に開示された機構が採用されるため詳細な説明は省略し、水平搬送ベルト6から下降ベルト7へのポット苗の送致および植付装置8への供給に係る機構について詳しく説明する。
【0018】
図1および図2において、水平搬送ベルト6は、2条植用として、左右一対配設され、互いに反対方向(移植機1の両外側を向くよう)に作動するよう設定されており、図2は図1の側面から見た要部拡大図を示している。送り爪17及びその動作機構、下降ベルト7、植付装置8等のポット苗植付部14も左右一対配設されている。水平搬送ベルト6の表面にはその長手方向に等間隔で多数の仕切爪6aが突設されており、供給されるポット苗Pを1苗毎に区分して搬送する構成としている。
【0019】
送り爪17は、車体フレーム2に固設された水平支軸18を揺動支点として上下に揺動する揺動杆19の先端に固定されている。この揺動杆19は、水平支軸18に回動可能に取り付けられたベースブラケット19aに対して、水平支軸18に直交するヒンジピン19bを介して連結されており、これによって、揺動杆19は、その先側がヒンジピン19bを支点として車体幅方向に回動するような動きも許容される。更に、揺動杆19は、その中間位置においてクランク機構20を介して回転駆動軸21に駆動連結されている。なお、19cは揺動杆19を抑えるための抑え部材であり、左右の揺動時のきしみを吸収すべく弾性材で構成することが好ましく、更にこの外側に圧縮スプリングを配し、その吸収機能を高めるようにしても良い。
【0020】
クランク機構20は、図4に示すように、回転駆動軸21にボルト20aによって固着されたクランク20bと、該クランク20bに回転自在に内嵌されたクランクピン20cと、該クランクピン20cに対してその軸心周りに回動可能に取り付けられたクランク腕20dとを備え、揺動杆19はこのクランク腕20dの作動端側に連結ピン20eをして回転自在に連結されている。クランク20bとクランクピン20cとの間には圧縮ばね20f(付勢手段)が弾装されており、この圧縮ばね20fの弾力により、クランク腕20dが常時クランク20b側に引き付けられるよう付勢されている。
【0021】
クランク20bとクランク腕20dとの間にはカム機構22が介在され、回転駆動軸21の回転に伴い、揺動杆19が上下に揺動すると共に、カム機構22と圧縮ばね20fの付勢力との協働作用によって、クランク腕20dが揺動杆19と共にクランク20bに対して接近・離反を繰返すよう構成されている。
【0022】
詳しくは、クランク腕20dのクランク20bとの対向面には、クランクピン20cの軸心を中心とする円環状隆起部(カム)22aが形成され、円環状隆起部22aは隆起高さが周方向に漸次変化するよう形成され、その天面がカム面22bとされている。この隆起高さは、直径方向対向位置の最高部22cと最低部22dとの間で漸次変化するようになされている。一方、クランク20bのクランク腕20c側の面には、円環状隆起部22aのカム面20bに摺接する半円球状の摺動突子(カムフォロア)22eが固設されている。この摺動突子22eの頂点のクランクピン20cの軸心からの距離は、円環状隆起部22aの中心円環部の半径と略同一とされており、また、クランク腕20dは、前記のように常時クランク20b側に引き付けられるよう付勢されているので、クランク20bとクランク腕20cがどのような相対位置関係にあっても、摺動突子22eは円環状隆起部22aのカム面20b上のいずれかの位置に接触された状態とされる。
【0023】
水平搬送ベルト6のポット苗送り出し側の端縁直下には、互いに対向関係で作動する2列の下降ベルト7、7が配設され(図3参照)、送り出されたポット苗Pを順次挟装して、植付装置8へと移送する。この水平搬送ベルト6の端縁から下降ベルト7、7への送り出し部には、ポット苗Pの飛び出しを防止するための苗受け23が、揺動支軸23bに一端が支持されて揺動可能とし、かつ、圧縮ばね23aによって水平搬送ベルト6側に付勢されている。この苗受け23は、水平搬送ベルト6の端部から送出落下されたポット苗Pを一旦受止め、ポット苗Pの下降ベルト7、7への落下が許容されるようになされている。下降ベルト7、7の下部には円盤状の植付装置8が近接され、図2の矢示方向に回転しながら、下降ベルト7、7から供給されるポット苗Pを挟むように受取り、そのまま回転を続け、溝切板9によって形成された地表の溝にポット苗Pをポット部分から降ろすように植え付ける。植え付けられたポット苗Pには土寄せ輪10によって土寄せがなされる。この植付装置8の駆動は、下降ベルト7、7の駆動機構から図示しない伝達機構を介してなされ、その回転速度等は下降ベルト7、7からのポット苗の受け取りタイミングと植付装置8の動きとが同期するよう設定されている。
【0024】
次に、送り爪17の動作について説明する。
図2、図3の実線部は送り爪17が上死点にある状態を示し、2点鎖線部は送り爪17が下死点にある状態を示している。クランク機構20を構成するクランク20bは、回転駆動軸21の軸回転により、その軸心周りに回転し、これに伴い、クランク20bに回転自在に嵌装されたクランクピン20cも、回転駆動軸21の周りに回転する。図2、図3の実線部および図4は、クランクピン20cが最上部に位置していることを示しており、このクランピン20cにクランク腕20dを介して連結された揺動杆19は引き上げられた状態で、送り爪17は水平搬送ベルト6の端縁部上方に位置する。この時、クランク20bに固設された摺動突子22e及びクランク腕20dに形成された円環状隆起部22aの最高部22cも共に最上部に位置して互いに圧接状態とされる。したがって、摺動突子22eと円環状隆起部22aの最高部22cとの接触により、圧縮ばね20fの弾力に抗しクランク腕20dがクランク20bに対して引き離された状態となる。
【0025】
そして、回転駆動軸21の軸回転に伴い、クランク20b及びクランクピン20cが回転駆動軸21の軸心周りに回転し、これに伴い、クランク腕20dは揺動杆19との連結部である連結ピン20eの規制とクランクピン20cの回転駆動軸21の軸心周りの回転作用とにより、相対的な上下の位置関係を略維持した状態で半円形の軌跡を描いて下方に変位する。このクランク腕20dの変位動作により、連結ピン20eを介し揺動杆19が水平支軸18の軸心周りに下向きに揺動し、送り爪17が水平搬送ベルト6の端縁に沿って下降し、クランク20bが半回転すると2点鎖線で示す下死点位置に達する。送り爪17は、水平搬送ベルト6の端縁に沿った下降の際、苗受け23に当接し、且つこれを下方に押し開くようにしながら、該苗受け23に一時的に受止められていたポット苗Pに作用して該ポット苗Pを下降ベルト7、7間に供給する。
【0026】
クランク20bが半回転する間、クランク腕20dも前記のような半円形軌跡を描いて下方に変位するから、摺動突子22eは円環状隆起部22aの最高部22cから隆起高さが漸次低くなるカム面22b上を摺動し、クランク20bが半回転した時には、図2、図3の2点鎖線で示すように円環状隆起部22aの最低部22dに圧接した状態で最下部に達する。従って、クランク腕20dは、圧縮ばね20fの弾力によりクランクピン20cをしてクランク20b側に引寄せられることになり、送り爪17は、実線で示す上死点位置の場合に比べて水平搬送ベルト6の端縁側に寄った位置で下死点に至ることになる。クランク腕20dは連結ピン20eによって揺動杆19に連結されているが、揺動杆19は前記のようにヒンジピン19bを介してベースブラケット19aにヒンジ結合されているので、揺動杆19の左右の揺動が許容され、図5に示すような動きが円滑になされる。
【0027】
次いで、回転駆動軸21の軸回転が続行されると、クランク20bもそのまま回転駆動軸21の軸心周りに回転し、半回転して元の実線位置に達し、これに連動してクランク腕20dも前記に続く半円形の軌跡を描いて同様実線位置に達する。クランク腕20dに連結された揺動杆19は上向きに揺動し、送り爪17が実線位置の上死点に至る。この下死点から上死点に向かう際、前記摺動突子22eは円環状隆起部22aの最低部22dから隆起高さが漸次高くなるカム面22b上を摺動するから、クランク腕20dが漸次クランク20bから離れながら上方に変位する。これに伴い、送り爪17は、図5に示すように水平搬送ベルト6の端縁から横方向に離れるようにして上昇する。従って、水平搬送ベルト6上を順次搬送されるポット苗Pは、送り爪17によって堰き止められることなく下降ベルト7側に落下することになるので、水平搬送ベルト6の端縁からのポット苗Pの送出が滞ることなく円滑になされる。また、送り爪17は水平搬送ベルト6から離反するよう上昇するので、ポット苗Pを持ち上げることがない。したがって、ポット苗の移植間隔を短くすることができ、移植効率が飛躍的に向上する。
【0028】
また、図5で示すように、送り爪17の上昇時で水平搬送ベルト6の側方を通過時における送り爪17と水平搬送ベルト6の端縁との間の水平距離Lは、ポット苗Pのポット部の径Dより大となるよう設定しておけば、ポット苗Pの水平搬送ベルト6の端縁からの落下が円滑かつ確実になる。回転駆動軸21の連続回転により、揺動杆19がヒンジピン19bを支点とする左右の揺動を伴いながら、上下の揺動動作が繰り返し円滑になされ、水平搬送ベルト6上を順次搬送されるポット苗Pは、その端縁から円滑に送出され、送り爪17により1苗毎に下降ベルト7、7間に確実に供給された後、植付装置8に移送されて、圃場に移植される。
【0029】
図6および図7は第二実施形態を示し、揺動杆19と水平支軸18との連結部の構造を第一実施形態と相違させている。
第二実施形態では、水平支軸18に回転自在に取り付けた揺動軸受ボス30の外周面から突設した受け片31と、揺動杆19の先端との間にバネ片32からなる弾性体を介設し、該バネ片32の一端を前記受け片31と、他端を揺動杆19の先端と夫々ボルト33とナット34とで締結している。
他の構成は第一実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
前記のように、水平支軸18の揺動軸受ボス30と揺動杆19との間にバネ片32を介在させると、揺動杆19が下死点と上死点とに達した後に左右方向へ揺動する際に、該揺動杆19と揺動軸受ボス30との間に発生する左右方向の遊びをバネ片32で吸収してガタつきの発生を防止している。その結果、揺動杆19を常に正規軌道で上下に揺動し、ポット苗を水平搬送ベルトの先端から下降ベルトへと正確に押し込むことができる。
【0031】
なお、2条植のポット苗用移植機を例に採って述べたが、4条植等のポット苗用移植機にも本発明が適用され得ることは言うまでもなく、また乗用タイプの移植機に適用しても好適である。また、下降ベルト7は、縦方向の直状のものとして説明したが、装置の全体レイアウト等を勘案し、途中を湾曲させて植付装置に整合させるようになすことも可能である。その他、この種のポット苗用移植機であれば、その他の構造の移植機にも本発明が適用され得ることも言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第一実施形態のポット苗用移植機の全体側面図である。
【図2】送り爪の動作状態を説明する要部側面図である。
【図3】図2の白矢示方向から見た図である。
【図4】同縦断面図である。
【図5】送り爪の軌道を説明する図面である。
【図6】第二実施形態の正面図である。
【図7】第二実施形態の平面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ポット苗用移植機
6 水平搬送ベルト
7 下降ベルト
8 植付装置
17 送り爪
18 水平支軸
19 揺動杆
19a ベースブラケット
19b ヒンジピン
20 クランク機構
20b クランク
20c クランクピン
20d クランク腕
20f 圧縮ばね(付勢手段)
21 回転駆動軸
22 カム機構
22a 円環状隆起部(カム)
22e 摺動突子(カムフォロア)
30 バネ片
P ポット苗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平搬送ベルトの端縁から落下されるポット苗を上下揺動可能な送り爪により上から押し込んで下降ベルトへと供給させ、該下降ベルトの下端で植付装置に供給させるポット苗用移植機であって、
前記送り爪は、前記水平搬送ベルトの端縁に沿って下降して下死点に達した後、前記水平搬送ベルトの端縁から離れた位置で上昇して上死点に達する軌道パターンで上下揺動を繰り返す構成としているポット苗用移植機。
【請求項2】
前記送り爪は、水平支軸を揺動支点として上下に揺動する揺動杆の先端に固定され、
該揺動杆は、前記水平支軸に取付けられたベースブラケットに対して回動自在にヒンジ連結されていると共にその中間においてクランク機構を介して回転駆動軸に連結され、
前記クランク機構を構成するクランク及びクランク腕は、互いに近接する方向に付勢手段によって付勢された状態でクランクピンを介して連結されると共に、該クランクとクランク腕との間にはカム機構が介在され、
前記回転駆動軸の回転に伴って前記揺動杆が上下揺動する際に、前記カム機構と前記付勢手段の付勢力とにより、前記クランク腕が前記揺動杆と共に前記クランクに対して近接/離反を繰り返すことで、前記送り爪が前記軌道パターンを形成する構成している請求項1に記載のポット苗用移植機。
【請求項3】
前記カム機構は、前記送り爪の上昇時に前記クランク腕が前記クランクから離反する一方、前記送り爪の下降時に前記クランク腕が前記クランクに近接する構成としている請求項2に記載のポット苗用移植機。
【請求項4】
前記カム機構を構成するカムは、前記クランク腕の前記クランク側の対向面に形成され、対向方向の高さが前記クランクピンを中心として周方向に漸次変化する円環状隆起部を有し、前記クランクには前記円環状隆起部上を摺接する摺動突子が形成されている請求項2または請求項3に記載のポット苗用移植機。
【請求項5】
前記揺動杆の水平支軸側の先端と、前記水平支軸に回転自在に嵌合した揺動軸受ボスとを弾性体を介して連結している請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のポット苗用移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−325579(P2006−325579A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41411(P2006−41411)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【Fターム(参考)】