説明

ポリアミド樹脂フィルム

【課題】同時二軸延伸法においてフィルムの粒状の微結晶構造を制御することによって、種々物性のバランスが取れ、物性に優れたポリアミド樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂フィルムであって、フィルム面における100×100μmの範囲に、粒径が0.1〜10μmであるポリアミド樹脂由来の微結晶が、1〜1000個存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリアミド樹脂フィルムに関し、特に微結晶構造を有するポリアミド樹脂フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂フィルムは、その耐ピンホール性、耐衝撃性、耐熱性、柔軟性などの特性から、包装用フィルムとして広く利用されている。フィルムには、その用途にもよるが様々な性能が要求される。その中で相反する特性もあり、全ての要求性能を満たすことは非常に困難である。
【0003】
また、フィルムを製造する際に、フィルム物性が幅方向や長さ方向にばらつくという問題がある。特に、ばらつきが大きくなると、生産したフィルムロールの中心部分しか使用できないなどの場合があり、生産効率が非常に低くなる。また、フィルムの縦方向(MD方向)および横方向(TD方向)における物性のバランス差が大きいと、フィルムを製品に加工した際に、製品強度に異方性がでて、全体として強度不足となる場合があるなど、使い勝手が非常に悪くなるなどの問題がある。
【0004】
このようなフィルムの物性バランスとフィルムの結晶構造との相関性に関する報告は、これまであまり多くない。これに対し、ボーイング現象とよばれる、フィルム中心部と端部との熱収縮率などの斜め差に関しての検討例がみられる(特許文献1および3)。しかし、ボーイング現象はフィルム幅方向すなわち横方向のばらつきのみに着目しているのであって、フィルムの縦方向および、または横方向における複数の物性のばらつきについて言及したものではない。
【0005】
フィルムの結晶構造を制御した例として、特許文献1〜4などの例があげられる。特許文献1および2は、無機物を添加することによって結晶状態を制御する方法であり、目的もボーイング現象の抑制または滑り性の改良にとどまっている。また特許文献3はボーイング現象の改良が目的であり、特許文献4はS字カールの抑制が目的であるに過ぎない。
【特許文献1】特開2005―146032号公報
【特許文献2】特開2002―086555号公報
【特許文献3】特開2001―341198号公報
【特許文献4】特開平8−267569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、ポリアミド樹脂フィルムの製造の際に、ポリアミド樹脂の持つ特性を引き出すために、製造条件の変更などの、様々な検討がなされている。しかしながら、製造条件を変更する場合には、一条件のみを変更しただけではフィルムを安定的に生産することは困難である。つまり、ポリアミド樹脂の温度、含水率、キャストロールの温度、延伸温度、延伸倍率、巻取り速度など、多数の条件の変更、調整が必要となる。また、フィルム製造工場では複数の機台によってフィルムを製造することがあるが、フィルム製造機台間の差もあり、製造条件の調整が非常に煩雑で、同一条件で同一の物性を持つフィルムを製造するような制御は非常に困難であり、製造条件を制御できるような単一の指標は見出されていない。さらに、透明性の向上を試みると強度が低下する、強度の向上を試みるとフィルム幅方向すなわち横方向における厚み差(ばらつき)が増大するなど、複数のフィルム物性を効率よく制御することはきわめて困難である。
【0007】
そこで本発明は、物性バランスに優れたポリアミド樹脂フィルムを生産しようとする際の問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ポリアミドフィルムにおいて、ポリアミド樹脂由来の特定の微結晶構造を発現させ、制御することによって、種々物性のバランスの取れたポリアミド樹脂フィルムを提供するものである。
【0009】
本発明者らは、微結晶のサイズ、分布をコントロールすることにより、諸物性のバランスの取れたポリアミド樹脂フィルムを生産性良く製造可能なことを見出し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
【0011】
(1)フィルム面における100×100μmの範囲に、粒径が0.1〜10μmであるポリアミド樹脂由来の微結晶が、1〜1000個存在することを特徴とするポリアミド樹脂フィルム。
【0012】
(2)ポリアミド樹脂由来の任意の100個の微結晶のうちの70個以上の粒径が、前記100個の微結晶の平均粒径の0.5〜1.5倍の範囲内にあることを特徴とする(1)のポリアミド樹脂フィルム。
【0013】
(3)ヘーズが5%以下であることを特徴とする(1)または(2)のポリアミド樹脂フィルム。
【0014】
(4)結晶完全性が70%以上であることを特徴とする(1)から(3)までのいずれかのポリアミド樹脂フィルム。
【0015】
(5)フィルムの縦方向および横方向についての引き裂き伝播抵抗力の比が、(縦方向の引き裂き伝播抵抗力)/(横方向の引き裂き伝播抵抗力)=0.7〜1.3であることを特徴とする(1)から(4)までのいずれかのポリアミド樹脂フィルム。
【0016】
(6)フィルム幅方向における中心部の厚み(T0)と端部の厚み(T1)との比(T0/T1)が0.90〜1.10であることを特徴とする(1)から(5)までのいずれかのポリアミド樹脂フィルム。
【0017】
(7)フィルムの引張強度が180MPa以上であり、かつ縦方向および横方向における引張破断伸度の比(横/縦)が0.9〜1.5であることを特徴とする(1)から(6)までのいずれかのポリアミド樹脂フィルム。
【0018】
(8)ポリアミド樹脂がナイロン6であることを特徴とする(1)から(7)までのいずれかのポリアミド樹脂フィルム。
【0019】
(9)上記(1)から(8)までのいずれかに記載のポリアミド樹脂フィルムを製造するための方法であって、同時二軸延伸法で製造することを特徴とするポリアミド樹脂フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明のポリアミド樹脂フィルムは、微結晶構造を制御することによって、各種フィルム物性のバランスの取れたフィルムを、従来の製造装置を用いて簡便な方法で生産でき、産業上の利用価値はきわめて高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、微結晶という一つの変数に着目することにより、フィルムの透明性、結晶完全性、厚みムラ、強度、物性バランス(ばらつき)の制御を行うことを目的としたものである。
【0022】
本発明における微結晶について説明する。本発明における微結晶は、光学顕微鏡によって観察されるものであり、X線回折などにより測定される微結晶などとは異なるものである。
【0023】
二軸延伸法によりフィルムを作製する際、光学顕微鏡の倍率でも観察できる粒状の微結晶構造が形成される場合がある。この微結晶構造は、フィルムの製膜条件を調整することにより、その形態が変化し、出現密度、大きさなどが変わる。
【0024】
これらの微結晶は、偏光をかけても特有のマルタクロス模様は観察されず、球晶構造とは異なるものである。また、縦延伸または横延伸のみでは粒状の微結晶構造は観察されず、縦および横延伸の延伸倍率など、諸条件の揃った場合にのみ形成される。特に、逐次二軸延伸法では観察されず、同時二軸延伸法の限られた場合にのみ現れる特有の構造である。
【0025】
ポリアミド樹脂フィルムでは延伸時に結晶化が進行し、結晶は延伸方向に配向する。逐次延伸では初めの縦延伸時に結晶化が進行し、その後の横延伸では、縦延伸ですでに結晶化してしまっているために縦延伸に比べて結晶化の進行度合いは小さくなり、縦方向に配向した結晶となる。このため、粒状の微結晶が生じないと考えられる。しかしながら、同時二軸延伸においては、縦、横の延伸が同時に行われるため、結晶化は縦、横方向を中心にバランスよく進行し、粒状の微結晶が生成するものと考えられる。
【0026】
本発明者らは、この微結晶がフィルム物性と強く相関し、フィルムの微結晶構造をコントロールすることにより、諸物性をバランスよく満たしたポリアミド樹脂フィルムを製造可能であることを見出し、本発明に到達した。
【0027】
本発明のポリアミド樹脂フィルムは、フィルム面における100×100μmの範囲に、粒径が0.1〜10μmであるポリアミド樹脂由来の微結晶(以下、「ポリアミド微結晶」と称する)が、1〜1000個存在する。
【0028】
上記のように、ポリアミド微結晶の大きさは、粒径で、0.1〜10μmであることが重要であり、好ましくは、0.5〜8μm、より好ましくは1〜5μmである。0.1μmより小さい場合は、厚みムラ、ヘーズ、引張破断伸度および引き裂き伝播抵抗力の比(縦方向/横方向)を低減する効果がない。また、10μmより大きい場合には、ヘーズが増大して物性が悪化したり、延伸切断が頻発するなど操業性が悪化したりする。粒径が0.1〜10μmであるポリアミド微結晶は、フィルム面におけるいずれの位置においても、100×100μmの範囲に1〜1000個存在することが必要で、2〜200個存在することが好ましい。これによって、フィルム中心部と端部における厚みムラが小さく、しかも引き裂き伝播抵抗力や引張破断伸度の縦/横比の小さい、バランスの取れたフィルムを得ることができる。
【0029】
フィルム面に100×100μmの測定範囲を複数個設定した場合に、その一つでも上記の条件を満足しないと、バランスの取れたフィルムを得ることができない。これらの条件を満たさない場合、フィルム中心部と端部における厚みムラが大きくなったり、また引き裂き伝播抵抗力や引張破断伸度の縦/横比が大きくなったりして、バランスの取れたフィルムを得ることができなくなる。100×100μmの範囲に粒径が0.1〜10μmであるポリアミド微結晶が1000個より多く存在すると、フィルムのヘーズが増大することになる。
【0030】
本発明のポリアミド樹脂フィルムにおいては、ポリアミド樹脂由来の任意の100個の微結晶のうちの70個以上の粒径が、その100個の微結晶の平均粒径の0.5〜1.5倍の範囲内にあることが好適である。この範囲内であれば、結晶完全性が高く、引張強度が大きくなる。
【0031】
ポリアミド微結晶の平均粒径の0.5〜1.5倍の範囲内に入るポリアミド微結晶が100個のうちの70個未満すなわち70%未満である場合、つまり粒径の分散が大きい場合、換言すると粒径が小径または大径側に偏在している場合は、結晶完全性が低下し、引張強度が小さくなる。特に、100個のポリアミド微結晶のうちの70個以上の粒径が、これら100個の微結晶の平均粒径の1.5倍を超える場合、すなわち粒径が大径側に偏在している場合は、結晶完全性が低下し、引張強度が小さくなる傾向が増大する。
【0032】
本発明のポリアミド樹脂フィルムにおいては、結晶完全性が70%以上であることが好ましい。結晶完全性とは、dを面間隔として、下記の(1)式から求められる値で、フィルムをX線回折法で分析した際に、観察された結晶がどれだけ完全結晶に近い構造をしているか、の指標を示すものである。
【0033】
結晶完全性
={[d(200)/d(002),(202)]−1}/0.211×100
・・・(1)
【0034】
結晶完全性が70%以上であると、フィルムの引張強度が高いという利点がある。結晶完全性が70%未満であると、フィルム強度が低下しやすくなる。
【0035】
本発明のポリアミド樹脂フィルムにおいては、フィルムの縦方向および横方向についての引き裂き伝播抵抗力の比が、(縦方向の引き裂き伝播抵抗力)/(横方向の引き裂き伝播抵抗力)=0.7〜1.3であることが好ましい。この範囲内であることで、縦/横の物性バランスがよく、寸法安定性に優れたフィルムとなる。このようなフィルムでは印刷製袋時の印刷ズレや製袋品のひねりなどが発生せず、良好な製袋品が得られる。
【0036】
(縦方向の引き裂き伝播抵抗力)/(横方向の引き裂き伝播抵抗力)が0.7〜1.3の範囲にない場合には、縦/横の物性バランスが悪く、寸法安定性に劣ったフィルムとなる。このようなフィルムでは印刷製袋時の印刷ズレや製袋品のひねりなどが発生し、不良品となる。
【0037】
本発明のポリアミド樹脂フィルムにおいては、フィルム幅方向における中心部の厚み(T0)と端部の厚み(T1)との比(T0/T1)が0.90〜1.10であることが好ましい。さらに好ましくは0.95〜1.05である。この範囲であると、フィルム加工時にタルミやしわのないフィルムが得られる。このようなフィルムでは、印刷やラミネーション工程で不具合が生じることがなく、生産性良く製品を製造することが可能となる。また、このようなフィルムでは、製造したフィルムの全幅近くを製品とすることができ、生産性が高い。
【0038】
比(T0/T1)が0.90〜1.10の範囲を外れると、フィルム加工時にタルミやしわが生じ、印刷工程では印刷ズレやその他の加工ムラが発生する。また、このようなフィルムでは製造したフィルムの中心部分しか製品とならず、端部は廃棄物となるために、生産性が非常に低下する。
【0039】
なお、本発明において、フィルム幅方向における中心部とは、フィルムの幅方向に沿った中心位置のことをいう。端部とは、幅方向に沿ったフィルム末端から中心に向かって全幅の10%の距離の位置のことをいう。端部の厚みとは、両端部を測定した平均値をいう。
【0040】
本発明のポリアミド樹脂フィルムにおいては、フィルムの引張強度が180MPa以上であり、かつ縦方向および横方向における引張破断伸度の比(横/縦)が0.9〜1.5であることが好ましい。この範囲であると、ポリアミド樹脂フィルムとしての強度が十分であり、各種包装材料用途に使用可能となる。また、縦横比が上述の範囲であると、これまで述べたように、物性バランスおよび寸法安定性に優れ、各種加工適性に優れたフィルムとなる。
【0041】
フィルムの引張強度が180MPa未満であると、ポリアミド樹脂フィルムとして求められる強度が不足するという不都合が生じやすくなる。また引張破断伸度の比(横/縦)が0.9〜1.5の範囲を外れると、物性バランス、寸法安定性に劣るフィルムとなって、加工適性が低下する。
【0042】
本発明で用いるポリアミド樹脂としては、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリエンデカミド(ナイロン11)、ポリラウラミド(ナイロン12)、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)やこれらの混合物などが挙げられる。特に、結晶性の高いナイロン6が好適に用いられる。
【0043】
これらの樹脂は、フィルムの物性および製造性に大きく悪影響しないのであれば、滑剤、酸化防止剤、補強剤などの各種添加剤を含有していてもよい。
【0044】
ポリアミド樹脂フィルムは、吸湿し易く、湿度とともに、スリップ性が低下したり、フィルム加工工程においてシワが発生したり、印刷工程において印刷ヒゲが発生したりするなどの問題が生じる。スリップ性を改良する手段として、酸化ケイ素、アルミナ、炭酸カルシウムなどの無機滑剤やエチレンビスステアリルアミドなどの有機滑剤、ポリオレフィン、ポリテトラフロオロエチレンなどの有機高分子滑剤を添加する方法が一般に用いられている。これらの滑剤の添加量は0.01〜1質量%の範囲が好ましい。
【0045】
本発明のポリアミド樹脂フィルムを製造する場合には、同時二軸延伸法が好ましい。逐次二軸延伸法やインフレーション法では、粒状の微結晶構造は、観察されないか、または観察されても非常に少ない。なお、延伸により結晶の成長が促進されるとともに、結晶成長時に縦延伸および横延伸のバランスやその他の条件が揃った場合にのみ、粒状の微結晶構造が形成されると考えられる。
【0046】
本発明のポリアミド樹脂の製造方法を、図面を参照して説明する。
図1は、延伸ポリアミドフィルムの一般的な製造方法の工程図である。まず、ホッパー1に原料樹脂ペレットを供給し、溶融押出機2で可塑化溶融し、溶融した樹脂を押出機2の先端に取り付けられたTダイ3よりシート状に押し出し、キャストロール4で冷却固化する。このとき、空気によりポリアミド樹脂をキャストロール4に押し付けて未延伸フィルムを得る。
【0047】
キャストロール4の温度設定範囲は20〜80℃とすることが好ましい。20℃未満であると、本発明における微結晶を得ることが困難であり、80℃を超えると、得られた微結晶が大きくなりすぎたり、結晶の大きさのバラツキが大きくなりすぎたりして、本発明の効果が得られなくなる、という不都合が生じる。
【0048】
キャストロール4とポリアミド樹脂の間に介在する空気層の厚みは、ロール中央部より端部の方が比較的厚くなるが、どの位置をとっても50〜220μmとなるようにすることが好ましく、85〜190μmとすることがより好ましい。
【0049】
溶融シートをキャストロール4に押し付けて冷却固化する場合に、押し付ける方法としては、一般に、
(1)溶融シートの両端に空気を吹き付けるエアノズル法
(2)溶融シートに均一にエアーを吹き付けるエアナイフ法
(3)溶融シートに高電圧電極により電荷を析出させ静電気的に密着させる静電密着法
などがある。このうち、空気層の厚みがほとんどない静電密着法では、ポリアミド微結晶を発現させることは困難である。エアナイフ法またはエアノズル法で、空気層の厚みが上記範囲のときに、ポリアミド微結晶が発現しやすくなる。
【0050】
空気層の厚みが50μm未満の場合は、得られた未延伸シートの結晶化度が低すぎ、微結晶が生じないか、生じても非常に小さなものとなるため、最終的に得られるフィルムのポリアミド微結晶の平均粒径が、0.1μm未満となる。また、空気層の厚みが220μmを超える場合は、微結晶が成長し、大きな結晶粒界が生じ、最終的に得られるフィルムのポリアミド微結晶の平均粒径が10μmを超え、その結果、フィルムが白化したりする。
【0051】
キャストロール4と、溶融シートを冷却固化させることにより得られる未延伸シートとの間の距離(空気層厚み)は、例えばレーザーフォーカス変位計(キーエンス社製など)を用いて測定することができる。
【0052】
フィルム製造工程においては、いわゆるボーイング現象が生じる。すなわち、フィルムの幅方向に沿って結晶化の進行度合いが異なる現象が生じる。したがって、幅方向や斜め方向の物性を均一にするためには、空気層の厚みを調節するだけでは不十分であり、キャスティングロールに押し付ける工程で生成した微結晶のサイズと分布を最終的にフィルムの各位置で均一にさせることが好ましい。フィルムの各位置での微結晶のサイズと分布を本発明の範囲内に入るようにするためには、空気層のコントロールだけでは不十分である。
【0053】
すなわち、未延伸フィルムは、次いで、水槽5による吸水処理工程を通したうえで、フィルム延伸機6による延伸工程で縦横二軸方向に同時延伸され、延伸ポリアミド樹脂フィルムの巻取りロール7の形で製品化される。
【0054】
微結晶を有する未延伸フィルムを吸水処理工程のために水槽5に通過させることで、微結晶のサイズと分布が決定されるため、この工程は重要である。吸水処理工程では、温度の異なる2槽以上の吸水槽でフィルムに吸水させることが好ましく、第1段階目の温度が、微結晶のサイズと分布に影響を与える。詳細には、第1段階目の吸水槽の温度は30〜50℃の範囲内に設定し、水槽上部と底部との温度が、水槽設定温度±8℃の範囲内、好ましくは、設定温度±5℃の範囲内、より好ましくは設定温度±3℃の範囲内となるように温度管理するのがよい。ここで水槽の上部とは水面下15〜20cmの範囲内の任意の点、底部とは水槽の底から15〜20cm上方の任意の点をいう。このようにすることで、平均粒径が上述の所定の範囲となるポリアミド微結晶を、フィルム面における100×100μmの範囲に、1〜1000個存在させることが可能となる。
【0055】
第1段階目の吸水槽の温度が30℃未満では、ポリアミド微結晶の成長が阻害される。反対にこの温度が50℃を越えると、未延伸フィルムに皺が入りやすく、得られる延伸フィルムの品質が低下しやすくなる。第1段階目の吸水槽の温度が、槽内の場所によって±8℃以上ばらつくと、ポリアミド微結晶の分布がばらつき、その結果、延伸処理を経て最終的に得られるポリアミド樹脂フィルムの熱収縮率や破断伸度のばらつきが大きくなる。
【0056】
この第1段階目の吸水槽を通過させた後、第2段階目以降の吸水槽でフィルムの水分率を2〜10質量%に調節し、その後に同時二軸延伸機に導いて、縦2〜5倍、横2〜5倍の範囲で延伸し、設定温度180〜240℃の範囲で熱処理してから、0.1〜10%の範囲で弛緩処理して、最終的なポリアミド樹脂フィルムを得る。
【0057】
本発明のポリアミド樹脂フィルムは、透明で、かつ縦方向および横方向における物性差が小さく、物性バランスが優れており、フィルムのどの方向、どの位置でも近い物性を持ち、取り扱いが容易で、種々の用途に用いることができる。特に、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、活版印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷や、易接着層、ガスバリア層、帯電防止層などの各種コーティング、ラミネートなどが多用される包装用フィルムなどに好適である。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
以下の実施例・比較例における各種物性の測定方法は、下記のとおりとした。なお、いずれの測定も、温度20℃、湿度65%の環境下で行った。
【0059】
(1)微結晶構造の観察
フィルムの幅方向に沿った両端部と中央部との3点について、50cm×50cmの正方形の形にフィルム試料を切り出し、この試料の対角線上で四隅から5cm内側に入った点を4点ずつ、計12点を測定した。なお、ここで、フィルムの両端部とは、幅方向に沿ったフィルム末端から中心に向かって全幅の10%の距離の位置のことをいい、この端部を中心に試料を切り出した。また、フィルムの幅が狭く端部を中心に50cm×50cmの正方形を切り出せない場合は、フィルムの端を正方形の一辺として試料を切り出した。
【0060】
それぞれの観察点において、偏光顕微鏡を用いて100〜400倍の倍率で観察した。粒径は、その粒状の最も長い辺により規定した。
【0061】
微結晶の数は、前記12点のフィルム面における任意の100×100μmの範囲についての粒状の微結晶を数えることにより求め、mmあたりの個数である存在密度(×10/mm)として表現した。このとき、微結晶はフィルム内部にも存在しているため、顕微鏡の焦点をフィルム厚み方向に3回にわけて合わせ、そこで観察される微結晶を全て数え上げた。さらに、前記12点の最大値、最小値を求めた。
【0062】
平均粒径は、前記12点のうちのいずれかの1点で観察された任意の微結晶100個について求めた。100個の微結晶のうちの70個以上の粒径が、これら100個の微結晶の平均粒径の0.5〜1.5倍の範囲内であるかどうかの測定は、観察された任意の結晶100個について計算することにより行った。
【0063】
(2)フィルム厚みおよび厚みムラ
厚み計MT−12B(HEIDENHAIN社製)を用いて厚みを測定した。すなわち、フィルムの横方向すなわちフィルム幅方向について、中心位置の厚み(T0)および末端から中心に向かって全幅の10%の距離の位置の厚み(T1=両端部の平均)を測定した。そして、T0/T1より厚みムラを求め、0.90〜1.10を合格とした。
【0064】
(3)引張強伸度
オートグラフAG-1(島津製作所社製)を用いて測定した。試験片は幅10mm、長さ150mmの短冊状で、使用セルは100kg、試験速度は500mm/min、チャック間隔は100mmであった。
【0065】
引張強度に関し、測定試料すなわち試験片は、フィルム中心部の位置と、フィルム幅方向における両方の末端からそれぞれ中心に向かって全幅の10%の距離をとった両端部の2箇所の位置とにおいて、フィルム縦方向とフィルム幅方向(横方向)とについてそれぞれ採取した。そして、合計6個の試験片について引張強度を求め、その平均値をそのフィルムの引張強度とした。
【0066】
伸度は、フィルムの中心部と両端部とのそれぞれについて、フィルム縦方向に関して測定した測定値の平均値と、フィルム横方向に測定した測定値の平均値とを求め、縦方向の平均値と横方向の平均値との比から算出した。
【0067】
(4)引き裂き伝播抵抗力
オートグラフAG-1(島津製作所社製)を用いて測定した。使用セルは100kgまたは5kg、試験速度は200mm/minであった。試験片は、短冊状で、幅25mm、長さ75mmで、25mm幅の中心に長手方向に50mmのスリットを入れた。試験片は引張強伸度測定と同様にフィルムの幅方向における中心部および端部の位置においてフィルム縦方向および横方向に各5点作製し、各試験片についての測定値の平均値を求め、フィルム縦方向の平均値とフィルム横方向の平均値との比を求めた。
【0068】
(5)ヘーズ
ヘーズメーターNDH2000(日本電色工業社製)を用いて測定した。引張強伸度測定と同様にフィルムの幅方向における中心部および端部の位置から50×100mmの試験片を切り取り、金属板に貼り付けて、2回測定した平均値を測定値とした。ヘーズは5以下を合格とした。
【0069】
(6)結晶完全性
広角X線散乱法を用いて測定した。すなわち、Rad−X型X線回折装置(理学電機社製)を用いて測定し、線源にはCuKα線を用いた。試料は、3×3cmに切り出したものを75枚重ねて使用した。(002)面は、装置出力50kV、50mAで反射法によりX線回折ピークを測定して、面間隔(d)を算出した。(200)面は、試料を67.5°回転させて、装置出力50kV、50mAで透過法によりX線回折ピークを測定して、面間隔(d)を算出した。
【0070】
結晶完全性(%)は、上述のように、下記(1)式に従い計算した。
結晶完全性
={[d(200)/d(002),(202)]−1}/0.211×100
・・・(1)
【0071】
フィルム中心部および端部について結晶完全性の測定を行い、それらの平均値を、そのフィルムの結晶完全性とした。端部での値は、両端部についての平均値を用いた。
【0072】
結晶完全性は、微結晶(ポリアミド樹脂中の実際の結晶)がどれだけ完全結晶に近いかを示す指標である。
【0073】
[マスターチップの作成]
95%濃硫酸中、温度25℃、濃度0.5g/dlの条件で測定した相対粘度が3.0であるナイロン6樹脂(ユニチカ社製、A1030−BRF)を乾燥し、その100質量部あたりに、無機滑剤である酸化ケイ素(水澤化学工業社製、サイロイドSY−150)を6質量部溶融混合して、マスターチップを作成した。
【0074】
実施例1
乾燥したナイロン6樹脂(ユニチカ社製、A1030−BRF)と、上述のマスターチップとをブレンドし、無機滑剤の配合割合が0.05質量%となるようにして、押出機に投入し、温度270℃に加熱したシリンダー内で溶融し、Tダイオリフィスよりシート状に押出し、40℃に設定されたキャストロールに対しノズルから噴き出した空気により押し付けて密着させて冷却し、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。キャストロールと未延伸シート間の距離(空気層厚み)をレーザーフォーカス変位計(キーエンス社製)を用いて測定したところ、最小値が92μm、最大値が157μmであった。
【0075】
次に、この未延伸フィルムを第1吸水槽に浸漬させた。この第1吸水槽は、設定温度が45℃であるとともに、上部と底部の温度が設定温度に対し±3℃の範囲となるように管理されたものであった。続いて、60℃に設定された第2吸水槽にてフィルムに含水させて水分率を調節した。その後、同時二軸延伸機に導いて、175℃で予熱したあとに、延伸温度190℃で、縦方向に3.5倍、横方向に3.3倍の倍率で延伸した。続いて、フィルム走行工程3mの間において温度220℃で熱処理し、3%の弛緩処理を行って、厚み15μmのナイロン6フィルムを得た。フィルム巻取り速度は130m/分であった。得られたナイロン6フィルムの物性を表1に示す。
【0076】
実施例2
乾燥したナイロン6樹脂(ユニチカ社製、A1030−BRF)と、上述のマスターチップとをブレンドし、無機滑剤の配合割合が0.05質量%となるようにして、押出機に投入し、温度260℃に加熱したシリンダー内で溶融し、Tダイオリフィスよりシート状に押出し、60℃に保たれたキャストロールに対しノズルから噴き出した空気により押し付けて密着させて冷却し、厚さ170μmの未延伸フィルムを得た。キャストロールと未延伸シート間の距離(空気層厚み)を上述のレーザーフォーカス変位計を用いて測定したところ、最小値が103μm、最大値が185μmであった。
【0077】
次に、この未延伸フィルムを第1吸水槽に浸漬させた。この第1吸水槽は、設定温度が30℃であるとともに、上部と底部の温度が設定温度に対し±3℃の範囲となるように管理されたものであった。続いて、60℃に設定された第2吸水槽にてフィルムに含水させて水分率を調節した。その後、同時二軸延伸機に導いて、175℃で予熱したあとに、延伸温度190℃で、縦方向に3.3倍、横方向に3.3倍の倍率で延伸した。続いて、フィルム走行工程3mの間において温度200℃で熱処理し、2%の弛緩処理を行って、厚み15μmのナイロン6フィルムを得た。フィルム巻取り速度は180m/分であった。得られたナイロン6フィルムの物性を表1に示す。
【0078】
実施例3
乾燥したナイロン6樹脂(ユニチカ社製、A1030−BRF)と、上述のマスターチップとをブレンドし、無機滑剤の配合割合が0.05質量%となるようにして、押出機に投入し、温度270℃に加熱したシリンダー内で溶融し、Tダイオリフィスよりシート状に押出し、50℃に設定されたキャストロールに対しノズルから噴き出した空気により押し付けて密着させて冷却し、厚さ170μmの未延伸フィルムを得た。上記と同様にして測定した空気層厚みの最小値は61μm、最大値は154μmであった。
【0079】
次に、この未延伸フィルムを、設定温度が50℃であるとともに、上部と底部の温度が設定温度に対し±5℃の範囲となるように制御された第1吸水槽に浸漬して、次いで、50℃に設定された第2吸水槽で水分調整を行った。その後、同時二軸延伸機に導いて、175℃で予熱したあとに、延伸温度190℃で、縦3.4倍、横3.2倍の倍率で延伸した。続いて、フィルム走行工程3mの間において温度210℃で熱処理し、2%の弛緩処理を行って、厚み15μmのナイロン6フィルムを得た。フィルム巻取り速度は160m/分であった。得られたナイロン6フィルムの物性を表1に示す。
【0080】
実施例4
乾燥したナイロン6樹脂(ユニチカ社製、A1030−BRF)と、上述のマスターチップとをブレンドし、無機滑剤の配合割合が0.05質量%となるようにして、押出機に投入し、温度270℃に加熱したシリンダー内で溶融し、Tダイオリフィスよりシート状に押出し、20℃に冷却されたキャストロールに対しノズルから噴き出した空気により押し付けて密着させて急冷し、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。この際、上記と同様にして測定した空気層の厚みは最小値が50μm、最大値が187μmであった。
【0081】
次に、この未延伸フィルムを、設定温度が45℃であるとともに、上部と底部の温度が設定温度に対し±5℃の範囲となるように制御された第1吸水槽に浸漬して含水させ、次いで、70℃に設定された第2吸水槽で水分調整を行った。その後、同時二軸延伸機に導いて、175℃で予熱したあとに、延伸温度190℃で、縦3.5倍、横3.3倍の倍率で延伸した。続いて、フィルム走行工程3mの間において温度220℃で熱処理し、3%の弛緩処理を行って、厚み15μmのナイロン6フィルムを得た。フィルム巻取り速度は190m/分であった。得られたナイロン6フィルムの物性を表1に示す。
【0082】
比較例1
第1吸水槽における上部と底部の温度制御を、設定温度である45℃に対して±10℃まで許容するようにした。それ以外は実施例1と同様にして、ナイロン6フィルムを得た。このとき、第1吸水槽の上部温度は49℃、底部の温度は33℃であった。得られたナイロン6フィルムの物性を表1に示す。
【0083】
比較例2
ノズルからの空気の噴出し流量を変えて、空気層厚みを最小値が10μm、最大値が55μmとなるようにした。それ以外は実施例2と同様にして、ナイロン6フィルムを得た。得られたナイロン6フィルムの物性を表1に示す。
【0084】
比較例3
キャストロールの温度を15℃に設定した。それ以外は実施例3と同様にして、ナイロン6フィルムを得た。得られたナイロン6フィルムの物性を表1に示す。
【0085】
比較例4
第1吸水槽を用いなかった。それ以外は実施例2と同様にして、ナイロン6フィルムを得た。得られたナイロン6フィルムの物性を表1に示す。
【0086】
比較例5
乾燥したナイロン6樹脂(ユニチカ社製、A1030−BRF)と、上述のマスターチップとをブレンドし、無機滑剤の配合割合が0.05質量%となるようにして、押出機に投入し、温度260℃に加熱したシリンダー内で溶融し、Tダイオリフィスよりシート状に押出し、エアナイフキャスト法により、キャストロールと未延伸シートとの間の距離の最小値を90μmになるようにして、表面温度20℃のキャストロールに密着させて冷却し、厚さ150μmの未延伸フィルムを得た。
【0087】
この未延伸フィルムを周速の異なる加熱ローラー群からなる縦方向延伸機により、温度55℃、延伸倍率2.7倍で縦方向に延伸を試みたが、フィルム切断が多発し、フィルムを採取できなかった。
【0088】
その対策として、キャストロールと未延伸シートとの間の距離を上記よりも短くすることで、フィルム切断は軽減した。最終的に、キャストロールと未延伸シートとの間の距離の最小値が10μm以下となったときに、延伸が可能となった。
【0089】
そこで、このようにして得られた未延伸フィルムを、周速の異なる加熱ローラー群からなる縦方向延伸機により、温度55℃、延伸倍率2.7倍で縦方向に延伸し、続いてこの縦方向延伸フィルムを予熱部にて60℃で予熱し、温度90℃で延伸倍率3.8倍で横方向に延伸し、続いて、211℃で熱処理したあと、温度210℃で横方向に2%の弛緩処理を行って、厚み15μmのナイロン6フィルムを得た。得られたナイロン6フィルムの物性を表1に示す。
【0090】
比較例6
ノズルからの空気の噴出し流量を変えて、空気層の厚みを、最小値が130μm、最大値が250μmとなるようにした。それ以外は実施例2と同様にして、ナイロン6フィルムを得た。得られたナイロン6フィルムの物性を表1に示す。
【0091】
【表1】

【0092】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜4は、いずれも、フィルム中の微結晶が、平均粒径が0.1〜10μmで、フィルム面に対して100×100μmの範囲に1〜1000個存在するものであったため、フィルム中心部と端部との厚みムラが小さく、フィルム縦/横の物性比が小さい、バランスの取れたフィルムであった。また、微結晶の70%以上の粒径が、平均粒径の0.5〜1.5倍の範囲以内であったため、結晶完全性が70%以上と高く、このため、透明で、強度が高く、物性に優れたフィルムであった。
【0093】
これに対し、比較例1では、微結晶が存在しない部分があり、また存在密度のバラツキが大きいために、厚みムラが大きく、物性バランスの悪いフィルムであった。また、フィルムの巻き姿も悪かった。
【0094】
比較例2では、微結晶は存在するものの、測定個所によっては存在密度が1000個を超えており、また平均粒径が非常に小さかったためにヘーズが悪化し、また引き裂き伝播抵抗力や引っ張り破断伸度の縦横比の大きい、バランスの悪いフィルムとなった。
【0095】
比較例3〜5は、微結晶の存在密度が低過ぎたために、引き裂き伝播抵抗力や引っ張り破断伸度の縦横比の大きい、バランスの悪いフィルムとなった。特に比較例4は、厚み斑が大きく、巻き姿が悪いものとなった。比較例5は、同時二軸延伸法により製造されたものではなく、縦延伸を行った後に横延伸を行う逐次二軸延伸法により製造されたものであったため、上記のように微結晶の存在密度が低過ぎるものとなった。
【0096】
比較例6は、微結晶の存在しない部分があり、存在密度のバラツキが大きく、平均粒径も大き過ぎたために、ヘーズが悪く、また引っ張り強度が低くて、引き裂き伝播抵抗力や引っ張り破断伸度の縦横比の大きい、バランスの悪いフィルムとなった。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明のポリアミド樹脂フィルムを製造するための製造装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1 ホッパー
2 溶融押出機
3 Tダイ
4 キャストロール
5 水槽
6 フィルム延伸機
7 巻取りロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム面における100×100μmの範囲に、粒径が0.1〜10μmであるポリアミド樹脂由来の微結晶が、1〜1000個存在することを特徴とするポリアミド樹脂フィルム。
【請求項2】
ポリアミド樹脂由来の任意の100個の微結晶のうちの70個以上の粒径が、前記100個の微結晶の平均粒径の0.5〜1.5倍の範囲内にあることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂フィルム。
【請求項3】
ヘーズが5%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド樹脂フィルム。
【請求項4】
結晶完全性が70%以上であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載のポリアミド樹脂フィルム。
【請求項5】
フィルムの縦方向および横方向についての引き裂き伝播抵抗力の比が、(縦方向の引き裂き伝播抵抗力)/(横方向の引き裂き伝播抵抗力)=0.7〜1.3であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載のポリアミド樹脂フィルム。
【請求項6】
フィルム幅方向における中心部の厚み(T0)と端部の厚み(T1)との比(T0/T1)が0.90〜1.10であることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載のポリアミド樹脂フィルム。
【請求項7】
フィルムの引張強度が180MPa以上であり、かつ縦方向および横方向における引張破断伸度の比(横/縦)が0.9〜1.5であることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項記載のポリアミド樹脂フィルム。
【請求項8】
ポリアミド樹脂がナイロン6であることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項記載のポリアミド樹脂フィルム。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のポリアミド樹脂フィルムを製造するための方法であって、同時二軸延伸法で製造することを特徴とするポリアミド樹脂フィルムの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−260837(P2008−260837A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104355(P2007−104355)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】