説明

ポリアミド樹脂組成物

【課題】ガスバリア性に優れ、色調が良好でゲルが少なく、さらにそれを用いた成形加工において長時間に渡る連続運転を可能とするポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とα,ω−直鎖状脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分とをリン原子含有化合物(A)の存在下で溶融重縮合して得られるポリアミド(X)と、変質抑制化合物(B)の少なくとも2成分を混合してなるポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド(X)が、ポリアミド(X)中のリン原子濃度が50〜400ppmとなるようにリン原子含有化合物(A)を重縮合系内に添加して得られたものであり、かつ変質抑制化合物(B)のモル数を重縮合系内に添加したリン原子含有化合物(A)のモル数で除した値が0.05〜0.5であるポリアミド樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメタキシリレン基を含有するポリアミドに関する。詳しくは、色調が良好でゲルが少なく、さらにそれを用いた成形加工において長時間に渡る連続運転を可能としたポリアミドに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー主鎖にメタキシリレン基を含有するポリアミドは剛性が高く、熱的性質にも優れるため、エンジニアリングプラスチックとして広く利用されている。またメタキシリレン基をポリマー主鎖に持つことから酸素や炭酸ガス等を遮断する性能にも優れており、フィルム、ボトル、シート等の様々な包装材料のガスバリア材料としても利用されている。包装材料として利用されるポリマーに求められる特性としては、着色が少なく透明で、異物やゲルが少ないことであり、さらには長時間に渡る成形加工において安定運転が可能なことである。
【0003】
メタキシリレン基を含有するポリアミドは、ベンジルメチレン基でラジカルが生成しやすく、ナイロン6等のポリアミドと比較して熱安定性が低い。このため、従来からポリマー製造時あるいは押出成形加工時における熱安定性向上に関わる提案が多くなされてきた。
【0004】
例えば、製造工程においてゲルの少ないポリアミドを得るためには、ポリアミドの製造工程における熱履歴を極力少なくしつつ速やかに所望の分子量に到達するよう重縮合を進めることが重要である。ポリアミドの製造工程における熱履歴を少なく方法としてはアミド化反応を速やかに進行させるため、重縮合系内に触媒効果を有する化合物を添加することが効果的である。
【0005】
アミド化反応に対して触媒効果を有する化合物としては、リン原子含有化合物が広く知られている。ポリアミドの重縮合に際してリン原子含有化合物およびアルカリ金属化合物を添加する方法が過去に提案されている(例えば、特許文献1参照)。リン原子含有化合物はポリアミドのアミド化反応を促進するだけではなく、重縮合系内に存在する酸素によるポリアミドの着色を防止する酸化防止剤としての効果を発揮するため、適切な添加量を選択すればゲルが少なく色調に優れたポリアミドを得ることができる。
【0006】
ところが、リン原子含有化合物を重縮合工程で添加して得たポリアミドを押出機等で再溶融して成形加工した際、押出機の樹脂圧力が徐々に上昇して安定した運転が不可能になることがある。この原因について発明者らが調査したところ、この現象はポリアミドの押出機出口に設置されたフィルターにおいてポリアミド中に含まれるリン原子含有化合物が変質して析出し、それがフィルターに付着して目詰まりを起こしていることが明らかになった。
【0007】
ポリアミドに添加するリン原子含有化合物やアルカリ金属化合物等の添加量を少なくすることで、フィルターの目詰まりを防止する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながらこの方法は、添加剤の量を少なくすることでフィルターでの添加剤のつまりを少なくする方法に関するものであり、本発明のようにリン原子含有化合物の変質に着目したものとは異なる。またこの方法ではポリアミドの着色を防止するリン原子含有化合物の添加量が少ないため、得られたポリアミドの色調は黄色く着色したものであり、包装材料としての利用価値は低いものである。
【0008】
またポリアミドを成形加工する際に、滑剤、有機リン系安定剤、ヒンダードフェノール類化合物、ヒンダードアミン類化合物から選ばれた少なくとも1種類以上を0.0005〜0.5重量部添加して検討することによりポリアミドのゲル化を防止する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながらこの方法は成形加工中の熱履歴によって生じるポリアミドのゲル化を防止することについてのみ提案されたものであって、ポリアミド中のリン原子含有化合物の変質に起因するフィルターの目詰まりについては一切記載が無い。
【特許文献1】特開昭49−45960号公報
【特許文献2】特開2005−194328号公報
【特許文献3】特開2001−164109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記課題を解決し、ゲルが少なくかつ色調が良好であり、さらに長時間に渡る成形加工を安定して行うことのできるメタキシリレン基を含有するポリアミドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記ポリアミドについて鋭意研究を重ねた結果、ポリアミドの製造工程において、特定量のリン原子含有化合物の存在下で重縮合を行いペレット化した後、得られたポリアミドペレットに更に特定量の変質抑制化合物を混合したポリアミド樹脂組成物が、フィルターの目詰まりを起こさず、長時間の連続運転を安定して行うことができ、かつ得られた成形品はゲルや着色の少ない外観良好なものとなることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0011】
すなわち本発明は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とα,ω−直鎖状脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分とをリン原子含有化合物(A)の存在下で溶融重縮合して得られるポリアミド(X)と、変質抑制化合物(B)の少なくとも2成分を混合してなるポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド(X)が、ポリアミド(X)中のリン原子濃度が50〜400ppmとなるようにリン原子含有化合物(A)を重縮合系内に添加して得られたものであり、かつ変質抑制化合物(B)のモル数を重縮合系内に添加したリン原子含有化合物(A)のモル数で除した値が0.05〜0.5であるポリアミド樹脂組成物に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、色調が良好でゲルが少なく、さらにそれを用いた成形加工において長時間に渡る連続運転を可能としたものであり、ガスバリア材料として各種包装材料に利用できる非常に有用なものであり、その工業的価値は非常に高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のポリアミド樹脂組成物を構成するポリアミド(X)は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とα,ω−直鎖状脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドである。
【0014】
ポリアミド(X)を構成するジアミン成分としては、メタキシリレンジアミンが70モル%以上含まれることが好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。ジアミン成分中のメタキシリレンジアミンが70モル%以上であると、それから得られるポリアミドは優れたガスバリア性を発現することができる。メタキシリレンジアミン以外に使用できるジアミンとしては、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
ポリアミド(X)を構成するジカルボン酸成分としては、α,ω−直鎖状脂肪族ジカルボン酸が70モル%以上含まれることが好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。α,ω−直鎖状脂肪族ジカルボン酸が70モル%以上であると、ガスバリア性の低下や結晶性の過度の低下を避けることができる。α,ω−直鎖状脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数4〜20のα,ω−直鎖状脂肪族ジカルボン酸のうち1種以上が好ましく使用され、特に好ましくはアジピン酸である。その他セバシン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカンジカルボン酸、ウンデカン二酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、キシリレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
前記のジアミン成分、ジカルボン酸成分以外にも、ポリアミド(X)を構成する成分として、本発明の効果を損なわない範囲でε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類、パラ−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等も共重合成分として使用できる。
【0017】
ポリアミド(X)は、リン原子含有化合物(A)を添加して溶融重縮合(溶融重合)法により製造される。溶融重縮合法としては、例えばジアミン成分とジカルボン酸成分からなるナイロン塩を水の存在下に、加圧下で昇温し、加えた水および縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法がある。また、ジアミン成分を溶融状態のジカルボン酸成分に直接加えて、重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を均一な液状状態に保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミドおよびポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
【0018】
ポリアミド(X)の重縮合系内に添加されるリン原子含有化合物(A)としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸エチル、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム、亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等が挙げられ、これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩がアミド化反応を促進する効果が高く、かつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。本発明で使用できるリン原子含有化合物(A)はこれらの化合物に限定されない。
【0019】
ポリアミド(X)の重縮合系内に添加するリン原子含有化合物(A)の添加量は、ポリアミド(X)中のリン原子濃度換算で50〜400ppmであることが好ましく、より好ましくは60〜350ppmであり、さらに好ましくは70〜300ppmである。50ppmを下回る場合、重合中にポリアミドが着色する傾向にあり好ましくない。また400ppmを超える場合、ポリアミドのゲル化反応が促進されたり、リン原子含有化合物(A)に起因すると考えられるフィッシュアイが成形品中に混入する場合があり、成形品の外観が悪化する傾向があるため好ましくない。
【0020】
また、ポリアミド(X)の重縮合系内には、リン原子含有化合物(A)と併用してアルカリ金属化合物(C)を添加することが好ましい。重縮合中のポリアミドの着色を防止するためにはリン原子含有化合物(A)を十分な量存在させる必要があるが、場合によってはポリアミドのゲル化を招く恐れがあるため、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物(C)を共存させることが好ましい。アルカリ金属化合物(C)としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩が好ましい。
本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物(C)としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。
【0021】
ポリアミド(X)の重縮合系内にアルカリ金属化合物(C)を添加する場合、該化合物のモル数をリン原子含有化合物(A)のモル数で除した値が0.5〜1となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.55〜0.95であり、さらに好ましくは0.6〜0.9である。0.5を下回る場合、リン原子含有化合物(A)のアミド化反応促進効果を抑制する効果が不足することがあり、場合によってはポリアミド中のゲルが多くなることがある。また1を超えるとリン原子含有化合物(A)のアミド化反応促進効果を抑制しすぎて、重縮合の進行が遅くなり、場合によってはポリアミド製造時の熱履歴が増加してポリアミドのゲルが多くなることがあるので好ましくない。
【0022】
溶融重縮合で得られたポリアミド(X)は一旦取り出され、ペレット化された後、乾燥して使用される。また更に重合度を高めるために固相重合しても良い。乾燥乃至固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置およびナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されることなく公知の方法、装置を使用することができる。特にポリアミドの固相重合を行う場合は、上述の装置の中で回分式加熱装置が、系内を密閉化でき、着色の原因となる酸素を除去した状態で重縮合を進めやすいことから好ましく用いられる。
【0023】
上述の工程を経て得られるポリアミド(X)は着色が少なく、ゲルの少ないものであるが、本発明では上述の工程を経て得られたポリアミドのうち、JIS−K−7105の色差試験におけるb値が3以下のものが好ましく用いられ、特に好ましくは2以下のものであり、さらに好ましくは1以下のものである。ポリアミドのb値が3を超えるものは、後加工によって得られる成形品が黄色味がかったものとなり、その商品価値は低いものとなるため好ましくない。
【0024】
ポリアミド(X)は、少なくともリン原子含有化合物(A)の存在下で重縮合が行われる。本発明においては溶融重縮合の段階でリン原子含有化合物(A)を添加することが好ましい。この段階で系内にリン原子含有化合物(A)が存在しないと得られるポリアミドは黄色く着色したものとなったり、さらにはアミド化反応速度が遅くなってしまうために、例えば包装材料として利用可能な重合度まで重縮合を進めようとすると熱履歴が増大してポリアミドのゲル化、着色を招く恐れがある。
【0025】
ポリアミド(X)の重合度の指標としてはいくつかあるが、相対粘度は一般的に使われるものである。ポリアミド(X)において好ましい相対粘度は1.5〜4.2であり、より好ましくは1.7〜4.0、さらに好ましくは2.0〜3.8である。ポリアミド(X)の相対粘度が1.5未満の場合には、溶融したポリアミドの流動性が不安定になりやすく成形品の外観が悪化することがある。またポリアミド(X)の相対粘度が4.2を超えると、ポリアミドの溶融粘度が高すぎて成形加工が不安定になることがある。
尚、ここで言う相対粘度は、ポリアミド1gを96%硫酸100mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0 ・・・(イ)
【0026】
ポリアミド(X)には、本発明の効果を損なわない範囲で艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤、層状珪酸塩等のクレイやナノフィラー等を加えることもできるが、以上に示したものに限定されることなく、種々の材料を混合しても良い。
【0027】
ポリアミド(X)をそのまま成形加工して得られる成形品は着色やゲルが少ない外観特性に優れたものであるが、異物除去を目的として通常成形装置内に設けられるフィルターが目詰まりを起こして樹脂圧力が増大し、製品の品質が不安定になったり、短時間で装置を停止せざるを得なくなり、生産効率が悪化することがある。これはポリアミド(X)中に残存するリン原子含有化合物(A)が熱履歴を受けて変質し、析出してフィルターを詰まらせるためである。
【0028】
本発明では成形加工中に起こるポリアミド(X)中のリン原子含有化合物(A)の変質を防止するため、ポリアミド(X)に変質抑制化合物(B)を混合し、これを成形加工に供する。溶融したポリアミド(X)中に変質抑制化合物(B)が存在すると、フィルターの目詰まりの原因となるリン原子含有化合物(A)の変質を抑制すると考えられる。
なお、ポリアミド(X)を製造する際に添加可能なアルカリ金属化合物(C)は変質抑制化合物(B)と同じ化合物も例示されるが、アルカリ金属化合物(C)は重縮合系内でイオン化し、重縮合反応を進めるための脱水工程においてアルカリ金属化合物(C)から生成した負のイオン(例えば−OH、CHCOO)が水や酢酸となって、或いは水と共に系外へ流去されてしまうために、ポリアミド(X)中ではアルカリ金属化合物(C)は元の形で存在していないと考えられる。このことからポリアミド(X)を製造する際に添加したアルカリ金属化合物(C)は成形加工の際にリン原子含有化合物(A)の変質を防止する役割を果たすことができないと推測される。
【0029】
本発明でポリアミド(X)に加える変質抑制化合物(B)としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等の金属水酸化物;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム等の金属酢酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド等の金属アルコキシド;炭酸ナトリウム等の金属炭酸塩;脂肪酸、脂肪酸金属塩等の各種脂肪酸系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
特に本発明では各種脂肪酸系化合物が好ましく用いられ、特に好ましくは炭素数(C)10以上の脂肪酸系化合物であり、例えば脂肪酸としてはステアリン酸(C18)、エイコ酸(C20)、ベヘン酸(C22)、モンタン酸(C28)、トリアコンタン酸(C30)などの直鎖飽和脂肪酸が挙げられ、さらに脂肪酸と塩を形成する金属としてはナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、ストロンチウム、アルミニウム、亜鉛等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。本発明に用いられる変質抑制化合物(B)は、上記のうち1種類でもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前述の脂肪酸金属塩は水酸化物や酢酸塩と比較してハンドリング性に優れ、この中でもステアリン酸金属塩は安価である上、滑剤としての効果を有しており、成形加工をより安定化することできるため好ましい。
【0031】
変質抑制化合物(B)とポリアミド(X)の混合は、従来公知の方法を用いることができるが、低コストでかつ熱履歴を受けない乾式混合が好ましく行われる。例えば、タンブラーにポリアミド(X)と変質抑制化合物(B)を入れ、回転させることで混合する方法が挙げられる。本発明では変質抑制化合物(B)の形状に特に制限はないが、粉体でかつその粒径が小さい方が乾式混合にて樹脂組成物中に均一に分散させることが容易であるため、その粒径は0.2mm以下が好ましい。
また本発明では乾式混合後のポリアミド(X)と変質抑制化合物(B)の分級を防止するために粘性のある液体を展着剤としてポリアミド(X)に付着させた後、変質抑制化合物(B)を添加、混合する方法を採ることもできる。展着剤としては、界面活性剤等が挙げられるが、これに限定されることなく公知のものを使用することができる。
【0032】
本発明において、ポリアミド(X)と混合される変質抑制化合物(B)の添加量は、変質抑制化合物(B)のモル数をポリアミド(X)の製造工程において添加したリン原子含有化合物(A)のモル数で除した値が0.05〜0.5の範囲内となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.07〜0.4であり、さらに好ましくは0.1〜0.3である。0.05を下回る場合、リン原子含有化合物(A)の変質を防止できず、フィルターの目詰まりを起こす場合がある。また0.5を超える場合、変質抑制化合物(B)によりポリアミド(X)が成形加工中に分解したり、場合によっては着色することがあるため好ましくない。
なお脂肪酸金属塩のような滑剤としての効果を有するものを添加する場合は、上述の添加量の範囲内を考慮した上で、ポリアミド(X)100重量部に対して変質抑制化合物(B)は0.5重量部以下となるように添加することが好ましく、より好ましくは0.4重量部以下、さらに好ましくは0.3重量部以下である。変質抑制化合物(B)は必要量以上添加すると、ポリアミドが押出機に食い込まなくなり成形不良を起こすことがある。
【0033】
本発明のポリアミド樹脂組成物はフィルム、シート、ボトル等の各種包装材料はもちろん、モノフィラメント、成形材料等様々なものに使用することができる。また包装材料を形成する際には他の熱可塑性樹脂材料や金属箔、板紙等と組み合わせて使用することができ、さらに本発明のポリアミド樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂を溶融混合して使用することもできる。
【実施例】
【0034】
以下実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において各種測定は以下の方法により行った。
(1)ポリアミドの相対粘度
ポリアミド1gを精秤し、96%硫酸100mlに20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下速度(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下速度(t0)も同様に測定した。tおよびt0から次式(イ)により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0 ・・・(イ)
(2)ポリアミドペレットのb
JIS−K−7105に準じて、反射法によりb値を測定した。b値が高い値を示すほど、黄色く着色しているものと判断される。b値の測定装置は、日本電色工業社製の色差測定装置(型式:Z−Σ80 Color Measuring System)を使用した。
【0035】
<実施例1>
(ポリアミドの溶融重合)
攪拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したアジピン酸15000g(102.6mol)、次亜リン酸ナトリウム5.174g(0.0488mol)、酢酸ナトリウム2.803g(0.0342mol)を入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を攪拌しながら170℃まで加熱した。これにメタキシリレンジアミン13974g(102.6mol)を攪拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を260℃として40分反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約24kgのポリアミドを得た。
(ポリアミドの固相重合)
次いで、窒素ガス導入管、真空ライン、真空ポンプ、内温測定用の熱電対を設けたジャケット付きのタンブルドライヤーに前記ポリアミドを仕込み、一定速度で回転させつつ、タンブルドライヤー内部を純度が99容量%以上の窒素ガスで十分に置換した後、同窒素ガス気流下でタンブルドライヤーを加熱し、約150分かけてペレット温度を150℃に昇温した。ペレット温度が150℃に達した時点で系内の圧力を1torr以下に減圧した。さらに昇温を続け、約70分かけてペレット温度を200℃まで昇温した後、200℃で30分保持した。次いで、系内に純度が99容量%以上の窒素ガスを導入して、タンブルドライヤーを回転させたまま冷却して相対粘度が2.6のポリアミド1を得た。得られたポリアミド1のb値は1.1であった。
(ポリアミド樹脂組成物の調製)
次いで、20kgのポリアミド1に対して、ステアリン酸カルシウム3.9g(0.0065mol)を加え、タンブラーで10分間撹拌混合してポリアミド樹脂組成物1を得た。
(フィルムの製造)
次いで、25mmφ単軸押出機、600メッシュのフィルターを設けたヘッド、Tダイからなるフィルム押出機、冷却ロール、マミヤオーピー社製のフィッシュアイ検査機(型式:GX70W)、巻き取り機等を備えた引き取り装置を使用して、押出機からポリアミド樹脂組成物1を3kg/hの吐出速度に保持しつつフィルム状に押し出し、引き取り速度を調節して幅15cm、厚み50ミクロンのフィルムとし、このフィルムをフィッシュアイ検査機のカメラと光源の間を通過させ、巻き取り機にて巻き取りつつ、押し出しを開始してから1時間経過した時点で幅10cm、長さ50mのフィルム中のフィッシュアイ数(円相当径が20ミクロン以上)をカウントし、1m当たりのフィッシュアイ数を算出した。またフィッシュアイのカウント終了後も押し出しを継続して押出機ヘッドの樹脂圧力を観察し、その変化の有無を確認した。また、得られたフィルムの着色状況を目視で観察した。結果を表1〜3に示す。
【0036】
<実施例2>
次亜リン酸ナトリウムを12.953g(0.1220mol)、酢酸ナトリウムを7.008g(0.0854mol)とした以外は実施例1と同様にして溶融重合と固相重合を行って相対粘度が2.6、b値が−2.0のポリアミド2を得た。なお、ペレット温度を200℃で保持した時間は20分であった。
次いで、20kgのポリアミド2に対して、ステアリン酸カルシウム7.6g(0.0126mol)を加え、タンブラーで10分間撹拌混合してポリアミド樹脂組成物2を得、実施例1と同様にしてフィッシュアイ数のカウント、樹脂圧力の変動観察および着色状況の観察を行った。結果を表1〜3に示す。
【0037】
<実施例3>
次亜リン酸ナトリウムを17.247g(0.1627mol)、酢酸ナトリウムを9.344g(0.1139mol)とした以外は実施例1と同様にして溶融重合と固相重合を行って相対粘度が2.6、b値が−3.7のポリアミド3を得た。なお、ペレット温度を200℃で保持した時間は20分であった。
次いで、20kgのポリアミド3に対して、ステアリン酸カルシウム11.8g(0.0194mol)を加え、タンブラーで10分間撹拌混合してポリアミド樹脂組成物3を得、実施例1と同様にしてフィッシュアイ数のカウント、樹脂圧力の変動観察および着色状況の観察を行った。結果を表1〜3に示す。
【0038】
<実施例4>
次亜リン酸ナトリウムを25.871g(0.2441mol)、酢酸ナトリウムを14.016g(0.1709mol)とした以外は実施例1と同様にして溶融重合と固相重合を行って相対粘度が2.6、b値が−4.5のポリアミド4を得た。なお、ペレット温度を200℃で保持した時間は20分であった。
次いで、20kgのポリアミド4に対して、ステアリン酸カルシウム18.8g(0.0310mol)を加え、タンブラーで10分間撹拌混合してポリアミド樹脂組成物4を得、実施例1と同様にしてフィッシュアイ数のカウント、樹脂圧力の変動観察および着色状況の観察を行った。結果を表1〜3に示す。
【0039】
<実施例5>
実施例2と同じ方法で溶融重合と固相重合を行って得たポリアミド(ポリアミド5)20kgに対して、ステアリン酸カルシウムを3.5g(0.0058mol)を加えたこと以外は実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物5を得、実施例1と同様にしてフィッシュアイ数のカウント、樹脂圧力の変動観察および着色状況の観察を行った。結果を表1〜3に示す。
【0040】
<実施例6>
実施例2と同じ方法で溶融重合と固相重合を行って得たポリアミド(ポリアミド6)20kgに対して、ステアリン酸カルシウムを17.1g(0.0281mol)を加えたこと以外は実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物6を得、実施例1と同様にしてフィッシュアイ数のカウント、樹脂圧力の変動観察および着色状況の観察を行った。結果を表1〜3に示す。
【0041】
<実施例7>
酢酸ナトリウムを8.009g(0.0976mol)とした以外は実施例3と同様にして溶融重合と固相重合を行って相対粘度が2.6、b値が−3.8のポリアミド7を得た。なお、ペレット温度を200℃で保持した時間は18分であった。
次いで、実施例3と同様にしてポリアミド樹脂組成物7を得、実施例1と同様にしてフィッシュアイ数のカウント、樹脂圧力の変動観察および着色状況の観察を行った。結果を表1〜3に示す。
【0042】
<実施例8>
酢酸ナトリウムを12.014g(0.1465mol)とした以外は実施例3と同様にして溶融重合と固相重合を行って相対粘度が2.6、b値が−3.6のポリアミド8を得た。なお、ペレット温度を200℃で保持した時間は27分であった。
次いで、実施例3と同様にしてポリアミド樹脂組成物8を得、実施例1と同様にしてフィッシュアイ数のカウント、樹脂圧力の変動観察および着色状況の観察を行った。結果を表1〜3に示す。
【0043】
<実施例9>
攪拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したアジピン酸14250g(97.5mol)、イソフタル酸850g(5.1mol)、次亜リン酸ナトリウム8.624g(0.0814mol)、酢酸ナトリウム4.004g(0.0488mol)を入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を攪拌しながら170℃まで加熱した。これにメタキシリレンジアミン13974g(102.6mol)を攪拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を260℃として40分反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約24kgのポリアミドを得た。
次いで、窒素ガス導入管、真空ライン、真空ポンプ、内温測定用の熱電対を設けたジャケット付きのタンブルドライヤーに前記ポリアミドを仕込み、一定速度で回転させつつ、タンブルドライヤー内部を純度が99容量%以上の窒素ガスで十分に置換した後、同窒素ガス気流下でタンブルドライヤーを加熱し、約150分かけてペレット温度を150℃に昇温した。ペレット温度が150℃に達した時点で系内の圧力を1torr以下に減圧した。さらに昇温を続け、約70分かけてペレット温度を200℃まで昇温した後、200℃で30分保持した。次いで、系内に純度が99容量%以上の窒素ガスを導入して、タンブルドライヤーを回転させたまま冷却して相対粘度が2.6のポリアミド9を得た。得られたポリアミド9のb値は0.2であった。
次いで、20kgのポリアミド9に対して、ステアリン酸カルシウム3.9g(0.0065mol)を加え、タンブラーで10分間撹拌混合してポリアミド樹脂組成物9を得た。
次いで、実施例1と同様にしてフィッシュアイ数のカウント、樹脂圧力の変動観察および着色状況の観察を行った。結果を表1〜3に示す。
【0044】
<実施例10>
次亜リン酸ナトリウムを12.953g(0.1220mol)、酢酸ナトリウムを7.008g(0.0854mol)とした以外は実施例9と同様にして溶融重合と固相重合を行って相対粘度が2.6、b値が−0.5のポリアミド10を得た。なお、ペレット温度を200℃で保持した時間は27分であった。
次いで、20kgのポリアミド10に対して、ステアリン酸カルシウム7.6g(0.0126mol)を加え、タンブラーで10分間撹拌混合してポリアミド樹脂組成物10を得、実施例1と同様にしてフィッシュアイ数のカウント、樹脂圧力の変動観察および着色状況の観察を行った。結果を表1〜3に示す。
【0045】
<比較例1>
ステアリン酸カルシウムを混合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてフィルムを製造し、フィッシュアイ数のカウント、樹脂圧力の変動観察および着色状況の観察を行った。結果を表1に示す。結果を表1〜3に示す。
【0046】
<比較例2>
次亜リン酸ナトリウムを2.587g(0.0244mol)、酢酸ナトリウムを1.402g(0.0171mol)とした以外は実施例1と同様にして溶融重合と固相重合を行って相対粘度が2.6、b値が3.5のポリアミド11を得た。なお、ペレット温度を200℃で保持した時間は45分であった。
次いで、20kgのポリアミド11に対して、ステアリン酸カルシウム3.8g(0.0062mol)を加え、タンブラーで10分間撹拌混合してポリアミド樹脂組成物11を得、実施例1と同様にしてフィッシュアイ数のカウント、樹脂圧力の変動観察および着色状況の観察を行った。結果を表1〜3に示す。
【0047】
<比較例3>
次亜リン酸ナトリウムを43.118g(0.4068mol)、酢酸ナトリウムを23.360g(0.2848mol)とした以外は実施例1と同様にして溶融重合と固相重合を行って相対粘度が2.6、b値が−4.5のポリアミド12を得た。なお、ペレット温度を200℃で保持した時間は20分であった。
次いで、20kgのポリアミド12に対して、ステアリン酸カルシウム29.4g(0.0484mol)を加え、タンブラーで10分間撹拌混合してポリアミド樹脂組成物12を得、実施例1と同様にしてフィッシュアイ数のカウント、樹脂圧力の変動観察および着色状況の観察を行った。結果を表1〜3に示す。
【0048】
<比較例4>
実施例2と同じ方法で溶融重合と固相重合を行って得たポリアミド(ポリアミド13)20kgに対して、ステアリン酸カルシウムを1.8g(0.0029mol)を加えたこと以外は実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物13を得、実施例1と同様にしてフィッシュアイ数のカウント、樹脂圧力の変動観察および着色状況の観察を行った。結果を表1〜3に示す。
【0049】
<比較例5>
実施例2と同じ方法で溶融重合と固相重合を行って得たポリアミド(ポリアミド14)20kgに対して、ステアリン酸カルシウム38.2g(0.0629mol)を加えたこと以外は実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物14を得、実施例1と同様にしてフィッシュアイ数のカウント、樹脂圧力の変動観察および着色状況の観察を行った。結果を表1〜3に示す。なおポリアミド樹脂組成物14の押し出し中、樹脂圧力が低下していたため、得られたフィルムの相対粘度を測定したところ、2.4まで粘度が低下していた。また得られたフィルムは実施例2で得られたものと比較して黄色く着色していた。
【0050】
表1記載のポリアミド形成モノマーの略称は、それぞれ以下のものを表す。
MXDA:メタキシリレンジアミン
AA:アジピン酸
IA:イソフタル酸
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
実施例1〜10に示したように、本発明のポリアミド樹脂組成物は色調が良好で、フィッシュアイの基となるゲルの少ないものであり、さらに押出中の樹脂圧力は安定していた。一方、ステアリン酸カルシウムを添加しなかった比較例1やその添加量が少なかった比較例4では次亜リン酸ナトリウムの変質に起因するフィルターの目詰まりが発生し、樹脂圧力の経時的な上昇が観察された。またステアリン酸カルシウム量が多い比較例5では押出中にポリアミドの分解が進み、得られたフィルムは黄色く着色し、相対粘度も低下して品質に劣るものであった。ポリアミド中のリン濃度が低い比較例2では次亜リン酸ナトリウムによる着色防止効果とアミド化反応促進効果が小さくなり、反応時間は延びて熱履歴が増え、さらに黄色く着色したものとなった。またポリアミド中のリン濃度が高い比較例3では過剰な次亜リン酸ナトリウムによるポリアミドのゲル化が起こったと推測され、フィッシュアイの多いものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とα,ω−直鎖状脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分とをリン原子含有化合物(A)の存在下で溶融重縮合して得られるポリアミド(X)と、変質抑制化合物(B)の少なくとも2成分を混合してなるポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド(X)が、ポリアミド(X)中のリン原子濃度が50〜400ppmとなるようにリン原子含有化合物(A)を重縮合系内に添加して得られたものであり、かつ変質抑制化合物(B)のモル数を重縮合系内に添加したリン原子含有化合物(A)のモル数で除した値が0.05〜0.5であるポリアミド樹脂組成物。
【請求項2】
ポリアミド(X)が、アルカリ金属化合物(C)を、該化合物のモル数をリン原子含有化合物(A)のモル数で除した値が0.5〜1となるようにリン原子含有化合物(A)と共にポリアミド(X)の重縮合系内に添加して得られることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
ポリアミド(X)のJIS−K−7105の色差試験におけるb値が3以下であることを特徴とする請求項1乃至2記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
変質抑制化合物(B)が炭素数10以上の脂肪酸系化合物であることを特徴とする請求項1乃至3記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項5】
脂肪酸系化合物が脂肪酸金属塩であることを特徴とする請求項4記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項6】
脂肪酸金属塩がステアリン酸金属塩であることを特徴とする請求項5記載のポリアミド樹脂組成物。

【公開番号】特開2007−321035(P2007−321035A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151663(P2006−151663)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】