説明

ポリアミド酸組成物およびポリイミド

【課題】高弾性と柔軟性を両立させ、高い機械強度、機械的耐久性を実現できる、ポリアミド酸組成物、ポリイミド組成物の提供。
【解決手段】p−フェニレンジアミン:51〜99モル%、および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン:1〜49モル%を含むジアミン成分と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む酸成分とを重合させることによって得られるポリアミド酸を含有するポリアミド酸組成物、ポリアミド酸組成物を用いるポリイミド組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリアミド酸組成物およびポリイミドに関する。より詳細には本発明は、芳香族ジアミン化合物として2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)とp−フェニレンジアミン(PDA)、および、芳香族テトラカルボン酸化合物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から成るポリアミド酸組成物、およびそれを硬化させて得られるポリイミド組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族テトラカルボン酸化合物および芳香族ジアミン化合物を縮重合し、硬化して得られる芳香族ポリイミドは、機械強度、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性などに優れているため、電子機器用材料、航空宇宙機器用材料などの用途で多く利用されている。さらに最近では、機器の高性能化、高寿命化の要求に伴い、より高い機械強度、機械的耐久性を有するポリイミド材料が求められている。
従来から多く使用されているポリイミド材料としては、例えば、特許文献1に示されるようなPDA−BPDA系ポリイミドや、特許文献2に示されるような4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)−ピロメリット酸二無水物(PMDA)系ポリイミドなどの二成分系ポリイミドが挙げられる。しかし、PDA−BPDA系ポリイミドは、高い弾性率を有するものの、柔軟性にやや欠けるため、割れなどの破壊を生じやすい。一方、ODA−PMDAは、柔軟性は高いものの、弾性率が低いため、破断強度などの機械強度はあまり高くないという問題点がある。
また、特許文献3などでは、上記モノマーを任意の比率で共重合した三成分系や四成分系ポリイミドも多く提案されているが、弾性率が向上する場合は柔軟性が低下する、柔軟性が向上する場合は弾性率が低下するなどの結果、いずれの場合も機械強度は低下する傾向にある。
さらに、例えば特許文献4では、上記以外のモノマーを共重合で導入することで機械強度の向上が図られているが、分子骨格が剛直すぎるために弾性率は高いが、柔軟性に乏しく、機械的耐久性は高くないと考えられる。
また、特許文献5ではTFMBを共重合で導入したポリイミドが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭60−42817号公報
【特許文献2】特公昭36−10999号公報
【特許文献3】特許第3677044号公報
【特許文献4】特開平6−172529号公報
【特許文献5】特開2010−235789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献5に示されたTFMBを共重合で導入したポリイミドの目的は白色ポリイミドの製造方法の提供であり、得られるポリイミド中のTFMBの含有率が高いため、機械強度は高くないと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する手段として、本発明では、まず、高い弾性率をもつPDA−BPDA系に、芳香族ジアミン成分として、やや柔軟な分子構造をもつTFMBを共重合で導入することにより、高弾性と柔軟性を両立させることで、機械強度および機械的耐久性の向上を検討した。
ここで本願発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、芳香族ジアミン成分においてTFMBとPDAとが特定の量比であることによって、ポリイミドの高弾性と柔軟性を両立させ、高い機械強度および機械的耐久性を実現できることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、下記1〜4を提供する。
1. p−フェニレンジアミン:51〜99モル%、
および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン:1〜49モル%を含むジアミン成分と、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む酸成分とを重合させることによって得られるポリアミド酸を含有するポリアミド酸組成物。
2. p−フェニレンジアミン:51〜99モル%、
および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン:1〜49モル%を含むジアミン成分と、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む酸成分とを重合させることによって得られるポリイミドを含有するポリイミド組成物。
3. p−フェニレンジアミン:51〜99モル%、
および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン:1〜49モル%を含むジアミン成分と、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む酸成分とを重合させることによって得られるポリアミド酸。
4. p−フェニレンジアミン:51〜99モル%、
および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン:1〜49モル%を含むジアミン成分と、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む酸成分とを重合させることによって得られるポリイミド。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリアミド酸組成物および本発明のポリイミド組成物は、高弾性と柔軟性を両立することで、高い機械強度、機械的耐久性など優れた機械特性を実現したものであり、従来技術の問題点を改善できるものである。
本発明のポリアミド酸および本発明のポリイミドは、高弾性と柔軟性を両立することで、機械強度、機械的耐久性などの機械特性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明について以下詳細に説明する。
まず、本発明のポリアミド酸組成物は、
p−フェニレンジアミン(PDA):51〜99モル%、
および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB):1〜49モル%を含むジアミン成分と、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を含む酸成分とを重合させることによって得られるポリアミド酸を含有するポリアミド酸組成物である。
本発明において、ジアミン成分としてPDAとTFMBとを併用し、ジアミン成分中のTFMBの量が1〜49モル%であることによって、得られるポリイミドにおいて高弾性と柔軟性を両立させ高い機械強度、機械的耐久性などの優れた機械特性を実現することができる。
TFMBは、直線性の高い構造を有することから、ポリイミドの弾性率、伸び率の向上を両立させることができる。本願発明者はポリイミドにTFMBを特定の量で導入することによって、機械特性(特に、機械強度、伸び率、機械的耐久性)を優れたものとすることができることを見出した。
本発明のポリアミド酸組成物に含有されるポリアミド酸は本発明のポリアミド酸に相当する。
【0009】
本発明のポリアミド酸組成物に含有されるポリアミド酸は、p−フェニレンジアミン(PDA):51〜99モル%、および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB):1〜49モル%を含むジアミン成分と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を含む酸成分とを重合させることによって得られる。
【0010】
本発明において、ポリアミド酸を重合する際に使用されるジアミン成分は高弾性と柔軟性とを両立させ機械強度、機械的耐久性に優れるという観点から、p−フェニレンジアミン(PDA):51〜99モル%、および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB):1〜49モル%を含む。ジアミン成分において、TFMBの割合が上記より小さく、PDAの割合が高くなると、得られるポリイミド組成物の柔軟性が低くなるなどの結果、機械強度が低下するため好ましくない。また、TFMBの割合が上記より高く、PDAの割合が小さくなると、弾性率が低下する、ポリアミド酸の重合度が低下するなどの結果、機械強度が低下するため好ましくない。
ジアミン成分中におけるTFMBの量は、高弾性と柔軟性とを両立させ機械強度、機械的耐久性に優れるという観点から、1〜49モル%であるのが好ましく、さらに5〜20モル%であるのがより好ましい。
また、ジアミン成分中におけるPDAの量は、上記と同様の理由から、51〜99モル%であるのが好ましく、80〜95モル%であるのがより好ましい。
ジアミン成分は、PDA、TFMB以外のジアミンをさらに含むことができる。PDA、TFMB以外のジアミンとして、例えば、芳香族ジアミン(PDA、TFMB以外のもの)、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンが挙げられる。PDA、TFMB以外のジアミンはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0011】
本発明において、ポリアミド酸を重合する際に使用される酸成分は高弾性と柔軟性とを両立させ機械強度、機械的耐久性のような機械特性に優れ、耐薬品性、電気絶縁性に優れるという観点から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を含む。
酸成分はBPDA以外のポリカルボン酸化合物を含むことができる。BPDA以外のポリカルボン酸化合物としては例えば、テトラカルボン酸二酸無水物が挙げられる。具体的には例えば、ピロメリット酸二無水物(PMDA)のような芳香族テトラカルボン酸二酸無水物が挙げられる。
【0012】
ジアミン成分と酸成分との量は、重合物の分子量を十分に高め、高い機械特性を得るために、ジアミン成分が有するアミノ基に対して酸成分が有する酸無水物基が、0.9〜1.0当量であるのが好ましい。
【0013】
本発明のポリアミド酸組成物はさらに溶媒を含有するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。本発明のポリアミド酸組成物が含有することができる溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドおよびジメチルスルホンなどが挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用するのが好ましい。
【0014】
本発明のポリアミド酸組成物(本発明のポリアミド酸)はその製造について、p−フェニレンジアミン(PDA):51〜99モル%、および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB):1〜49モル%を含むジアミン成分と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を含む酸成分とを重合させること以外は特に制限されない。
本発明のポリアミド酸組成物(本発明のポリアミド酸)を製造する際さらに溶媒を用いるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。例えば、溶媒中で酸成分(芳香族テトラカルボン酸類成分)とジアミン成分(芳香族ジアミン成分)とを添加し(酸成分とジアミン成分とはほぼ等モルとなる量で使用することができる。)、これらを混合して混合物とし、混合物を重合することで得られる。混合物は必要に応じて後述する添加剤をさらに含有することができる。
【0015】
混合物を重合させる条件は特に制限されない。例えば、NMPに、TFMB、PDA及びBPDAを添加して得られた混合物を、常温〜50℃の条件下において、大気圧中で撹拌し反応させて、ポリアミド酸の溶液(ポリアミド酸組成物)を製造する方法が挙げられる。
上記製造方法で得られるポリアミド酸(共重合ポリアミド酸)は溶媒中に10〜30重量%の割合(濃度)で調製するのが好ましい。
本発明のポリアミド酸組成物はワニスとして使用することができる。
【0016】
本発明のポリアミド酸組成物に含有されるポリアミド酸(本発明のポリアミド酸)は、下記式(I)及び式(II)で表される繰り返し単位を有する。
【化1】


ポリアミド酸はその分子構造について特に制限されない。例えば、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体が挙げられる。
本発明のポリアミド酸組成物に含有されるポリアミド酸はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0017】
本発明のポリアミド酸組成物(本発明のポリアミド酸)はさらに添加剤を含有することができる。添加剤としては、ポリアミド酸を環化させてポリイミドにするために使用される、脱水剤、触媒などが挙げられる。
脱水剤としては、例えば、無水酢酸等の脂肪族酸無水物、フタル酸無水物等の芳香族酸無水物等が挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用するのが好ましい。
また触媒としては、ピリジン、ピコリン、キノリン等の複素環式第3級アミン類、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン類、N,N−ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン類等が挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用するのが好ましい。
【0018】
本発明のポリアミド酸組成物はその使用方法について特に制限されない。例えば、本発明のポリアミド酸組成物から溶媒を除去してフィルムを形成することができる。フィルムを形成する方法は特に制限されない。例えが従来公知のものが挙げられる。
本発明のポリアミド酸組成物(本発明のポリアミド酸)を硬化させてポリイミド組成物(ポリイミド)を製造することができる。
【0019】
本発明のポリイミド組成物について以下に説明する。
本発明のポリイミド組成物は、
p−フェニレンジアミン:51〜99モル%、
および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン:1〜49モル%を含むジアミン成分と、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む酸成分とを重合させることによって得られるポリイミドを含有するポリイミド組成物である。
本発明のポリイミド組成物を製造する際に使用される、ジアミン成分、酸成分は本発明のポリアミド酸組成物と同様である。
本発明のポリイミド組成物に含有されるポリイミドは本発明のポリイミドに相当する。
【0020】
本発明のポリイミド組成物(本発明のポリイミド)は、その製造について、p−フェニレンジアミン(PDA):51〜99モル%、および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB):1〜49モル%を含むジアミン成分と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を含む酸成分とを重合させること以外は特に制限されない。
例えば、溶媒に酸成分(芳香族テトラカルボン酸類成分)とジアミン成分(芳香族ジアミン成分)とを添加して、これらを混合して混合物とし、混合物を重合することによって得ることができる。
本発明のポリイミド組成物(本発明のポリイミド)は、混合物を用いて直接重合させて製造することもできるし、本発明のポリアミド酸組成物または本発明のポリアミド酸を用いて製造することもできる。
【0021】
ポリアミド酸を環化させてポリイミドにする方法としては、例えば、脱水剤と触媒を用いて脱水する化学閉環法、熱的に脱水する熱閉環法があり、これらのうちのいずれかまたはこれらを併用して行っても良い。化学閉環法で使用する脱水剤、触媒は上記と同様である。
【0022】
具体的には例えば、ポリアミド酸組成物(ポリアミド酸)のフィルムを高温に加熱してポリイミド組成物(ポリイミド)のフィルムを製造することができる。化学閉環法を併用してもよい。
ポリアミド酸組成物からのフィルムの形成における溶媒の除去、イミド化のための加熱は連続して行ってもよい。溶媒除去とイミド化が同時に行われてもよい。
【0023】
本発明のポリイミド組成物に含有されるポリイミド(本発明のポリイミド)は、下記式(III)及び式(IV)で表される繰り返し単位を有する。
【化2】


ポリイミドはその分子構造について特に制限されない。例えば、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体が挙げられる。
【0024】
本発明のポリイミド組成物に含有されるポリイミドはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【実施例】
【0025】
以下実施例により本発明を具体例に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
<評価>
下記のようにして得られたフィルムについて引張弾性率、伸び率、引張強度、耐折回数を評価した。引張弾性率、伸び率、引張強度は引張強度試験によって、耐折回数は耐折強度試験によって評価した。結果を各表に示す。
・引張強度試験
試験方法:JIS K7127
引張速度:102mm/min
チャック間距離:30mm
試験機:島津製作所製AGS−J
・耐折強度試験
試験方法:JIS P8115
荷重:500gf
耐折角度:±112.5°
耐折速度:175回/分
試験機:テスター産業製BE−203
【0026】
(実施例1)
NMP400gに、TFMBを7.56g(0.024モル)、PDA22.98g(0.21モル)、BPDAを68.91g(0.23モル)を添加し、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させ、ポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液15gを、バーコーターを用いてガラス板に塗布し、100℃で20分間、200℃で20分間、300℃で20分間、400℃で20分間加熱硬化し、約60μm厚のポリイミドフィルムを得た。
得られたフィルムの評価試験を行い、表1にその結果を示した。なお、各成分モル比は、全芳香族ジアミン成分中および全芳香族テトラカルボン酸成分中のモル比とする。
【0027】
(実施例2)
実施例1と同様の手順で、芳香族ジアミン成分および芳香族テトラカルボン酸成分を表1に示すモル比でポリアミド酸およびポリイミドフィルムを作製、評価試験を行い、表1にその結果を示した。
【0028】
(比較例1−4)
実施例1と同様の手順で、芳香族ジアミン成分および芳香族テトラカルボン酸成分を表2に示すモル比でポリアミド酸およびポリイミドフィルムを作製、評価試験を行い、表2にその結果を示した。
【0029】
【表1】


【表2】

【0030】
各表に示されている成分の詳細は以下のとおりである。
・TFMB:2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
・PDA:p−フェニレンジアミン
・BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
・ODA:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
・PMDA:ピロメリット酸二無水物
【0031】
上記の表に示す結果から明らかなように、TFMBを含まないODA−PMDA系ポリイミド(比較例4)は、柔軟性は高いものの、弾性率、引張強度が低かった。TFMBを含まないPDA−BPDA系ポリイミド(比較例3)は引張強度、耐折回数が低かった。PDA50モル%およびTFMB50モル%を含む比較例1およびTFMB100モル%を含む比較例2は、引張弾性率、伸び率、引張強度、耐折回数がいずれも低く機械強度、機械的耐久性に劣った。
これに対して、実施例1、2は引張弾性率、伸び率、引張強度、耐折回数がいずれも高く機械強度、機械的耐久性に優れる。
比較例1、2と実施例1、2とを比較すると、実施例1、2は、比較例1、2より高い弾性率を維持しつつ、機械強度、機械的耐久性を飛躍的に向上させることができる。実施例1、2の引張強度、耐折回数は比較例3より高く、機械強度、機械的耐久性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のポリアミド酸組成物は、芳香族ジアミン化合物として特定量のTFMBとPDA、芳香族テトラカルボン酸化合物としてBPDAから成る共重合体(本発明のポリアミド酸)を含有する。また本発明のポリアミド酸組成物を硬化させて得られるポリイミド組成物は、高い機械強度、機械的耐久性を有し機械特性に優れる。本発明を用いて得られるポリイミド材料を機械的負荷が生じる部位に用いた機器(例えば、電子機器、航空宇宙機器)では、その性能や寿命を向上することが期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
p−フェニレンジアミン:51〜99モル%、
および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン:1〜49モル%を含むジアミン成分と、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む酸成分とを重合させることによって得られるポリアミド酸を含有するポリアミド酸組成物。
【請求項2】
p−フェニレンジアミン:51〜99モル%、
および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン:1〜49モル%を含むジアミン成分と、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む酸成分とを重合させることによって得られるポリイミドを含有するポリイミド組成物。
【請求項3】
p−フェニレンジアミン:51〜99モル%、
および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン:1〜49モル%を含むジアミン成分と、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む酸成分とを重合させることによって得られるポリアミド酸。
【請求項4】
p−フェニレンジアミン:51〜99モル%、
および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン:1〜49モル%を含むジアミン成分と、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む酸成分とを重合させることによって得られるポリイミド。

【公開番号】特開2013−14727(P2013−14727A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150071(P2011−150071)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(591067794)JFEケミカル株式会社 (220)
【Fターム(参考)】