説明

ポリアミド

【課題】従来技術によるポリアミドと比較してDIN EN ISO 527-1による引張破断歪が向上したポリアミド、及びこのポリアミドの製造方法を提供する。
【解決手段】主鎖に化学的に結合したN−アルキルカプロラクタムを含むポリアミドが得られた。更に、ポリアミド形成に適するモノマーを、N−アルキルカプロラクタムの存在下にポリアミドに変換するポリアミドの製造方法が得られた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主鎖に化学的に結合したN−アルキルラクタムを含むポリアミドに関する。
【0002】
更に、本発明は上記ポリアミドの製造方法、及び少なくとも1種類の上記ポリアミドを含む繊維、フィルム及び成形体に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリアミド、特にナイロン−6及びナイロン−6,6は工業的に重要なポリマーである。これらは、水の存在下に反応する、適するモノマー、例えばカプロラクタム、アジピン酸又はヘキサメチレンジアミンから一般に製造される。
【0004】
ポリアミドポリマーは、通常、繊維、フィルム又は成形体等に成形される。
【0005】
上記成形体組成物は、使用に際して応力を受けることが多く、応力の付加は成形組成物の破断ないし破壊の原因となり得る。
【0006】
評価の基準には、DIN EN ISO 10350−1及びDIN EN ISO 527-1による、引張破断歪(tensile strain at break)εB又は公称歪(nominal strain)εt が用いられる。
【0007】
引張破断歪とは、降伏点に達する前に破断が生ずる場合であって、破断応力付加による相対伸び率を意味し、公称歪とは、降伏点を越えた相対伸び率を意味する。伸びは降伏点までは可逆的であるが、降伏点を越えると非可逆的となる。
【0008】
高い引張破断歪は成形組成物の特性として望ましい。これは、引張破断歪が大きいと、成形組成物が受けた応力を弾性吸収し、応力が静まった後に当初の形態に復元されるためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は従来技術によるポリアミドと比較してDIN EN ISO 527-1による引張破断歪が向上したポリアミドと、同ポリアミドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明者らは冒頭に記載したポリアミド、その製造方法、及び同ポリアミドの1種類以上を含む、繊維、フィルム、及び成形体を見出した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明においてポリアミドとはポリマー主鎖中の主構成要素としてアミド基を繰り返し有する単独重合体、共重合体、合成長鎖ポリアミドのブレンドおよびグラフトである。この様なポリアミドの例は、ナイロン−6(ポリカプロラクタム)、ナイロン−6,6(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ナイロン−4,6(ポリテトラメチレンアジパミド)、ナイロン−6,10(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ナイロン−7(ポリエナントラクタム)、ナイロン−11(ポリウンデカノラクタム)、ナイロン−12(ポリドデカノラクタム)である。ポリアミドには、通常名称ナイロンとして公知のポリアミドの他に、アラミド(芳香族ポリアミド)、例えばポリ−m−フェニレンイソフタルアミド(NOMEX(登録商標)繊維、US−A−3287324号)またはポリ−p−フェニレンテトラフタルアミド(KEVLAR(登録商標)繊維、US−A−3,671,542)がある。
【0012】
原則的にポリアミドは2種類の方法により得られる。
【0013】
ジカルボン酸およびジアミンの重合、およびアミノ酸またはその誘導体、例えばアミノカルボニトリル、アミノカルボキサミド、アミノカルボン酸エステルまたはアミノカルボン酸塩の重合では、出発モノマーまたは出発オリゴマーのアミノ末端基とカルボキシル末端基とが反応してアミド基と水が生成する。水は後にポリマーから除去される。アミノカルボキサミドの重合では、出発モノマーまたは出発オリゴマーのアミノ末端基とアミド末端基とが相互に反応を開始し、アミド基とアンモニアが生成する。アンモニアは後にポリマーから除去される。アミノカルボン酸エステルを重合する場合、出発モノマーとオリゴマーのアミノ末端基及びエステル末端基が相互に反応して、アミド基とアルコールを生成する。次いで、アルコールをポリマーから除去する。アミノカルボン酸ニトリルの重合においては、ニトリル基を、まず水と反応させてアミド基又はカルボキシル基を形成し、アミノカルボン酸アミド又はアミノカルボン酸が得られる。
この重合反応は重縮合として一般に公知である。
【0014】
ラクタムを出発モノマーまたは出発オリゴマーとする重合は重付加として公知である。
【0015】
上述の各ポリアミドは、ラクタム、ω−アミノカルボン酸、ω−アミノカルボニトリル、ω−アミノカルボキサミド、ω−アミノカルボン酸塩、ω−アミノカルボン酸エステル、ジアミンとジカルボン酸の等モル混合物、ジカルボン酸/ジアミン塩、ジニトリルおよびジアミンまたはこれらの混合物から、DE−A−1495198号公報、DE−A−2558480号公報、EP−A−129196号公報、Polymerization Process, Interscience、ニューヨーク、1977、424−467ページ、特に444−446ページ等に記載されている慣用の方法により製造可能である。
【0016】
有用なモノマーの例を以下に挙げる。
【0017】
2−C20、好ましくはC2−C18アリール脂肪族、または好ましくは脂肪族ラクタム、例えばエナントラクタム、ウンデカノラクタム、ドデカノラクタム又はカプロラクタムのモノマーまたはオリゴマー、
2−C20、好ましくはC3−C18アミノカルボン酸、例えば6−アミノカプロン酸または11−アミノウンデカン酸のモノマーまたはオリゴマー、およびこれらの塩、例えばアルカリ金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩、
2−C20、好ましくはC3−C18アミノカルボニトリル、例えば6−アミノカプロニトリルまたは11−アミノウンデカノニトリル、
2−C20アミノ酸アミドのモノマーまたはオリゴマー、例えば6−アミノカプロンアミドまたは11−アミノウンデカンアミド、
2−C20、好ましくはC3−C18アミノカルボン酸のエステル、好ましくはC1−C4アルキルエステル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチルまたはs−ブチルエステル、例えば6−アミノカプロン酸メチル等の6−アミノカプロン酸エステル、または11−アミノウンデカン酸メチル等の11−アミノウンデカン酸エステル、
2−C20、好ましくはC2−C12アルキルジアミン、例えばテトラメチレンジアミンまたは、好ましくはヘキサメチレンジアミンのモノマーまたはオリゴマーと、C2−C20、好ましくはC2−C14脂肪族ジカルボン酸またはそのモノニトリルまたはジニトリル、例えばセバシン酸、ドデカンジオン酸、アジピン酸、セバシン酸ジニトリル、ドデカン酸1,10−ジニトリルまたはアジポジニトリル、
2−C20、好ましくはC2−C12アルキルジアミン、例えばテトラメチレンジアミンまたは、好ましくはヘキサメチレンジアミンのモノマーまたはオリゴマーと、C8−C20、好ましくはC8−C12芳香族ジカルボン酸またはその塩化物等の誘導体、例えばナフタレン−2,6−ジカルボン酸、好ましくはイソフタル酸またはテレフタル酸、
2−C20、好ましくはC2−C12アルキルジアミン、例えばテトラメチレンジアミン、例えばテトラメチレンジアミン、または、好ましくはヘキサメチレンジアミンのモノマーまたはオリゴマーと、C9−C20、好ましくはC9−C18アリール脂肪族ジカルボン酸またはその塩化物等の誘導体、例えばo−、m−、p−フェニレン二酢酸、
6−C20、好ましくはC6−C10芳香族ジアミン、例えばm−またはp−フェニレンジアミンのモノマーとオリゴマーと、C2−C20、好ましくはC2−C14脂肪族ジカルボン酸またはそのモノニトリルまたはジニトリル、例えばセバシン酸、ドデカンジオン酸、アジピン酸、セバシン酸ジニトリル、デカン−1,10−ジニトリルまたはアジポニトリル、
6−C20、好ましくはC6−C10芳香族ジアミン、例えばm−またはp−フェニレンジアミンと、C8−C20、好ましくはC8−C12芳香族ジカルボン酸またはその塩化物等の誘導体、例えばナフタレン−2,6−ジカルボン酸、好ましくはイソフタル酸またはテレフタル酸、
6−C20、好ましくはC6−C10芳香族ジアミン、例えばm−またはp−フェニレンジアミンと、C9−C20、好ましくはC9−C18アリール脂肪族ジカルボン酸またはその塩化物等の誘導体、例えばo−、m−またはp−フェニレン二酢酸、
7−C20、好ましくはC8−C18アリール脂肪族ジアミン、例えばm−またはp−キシレンジアミンのモノマー又はオリゴマーと、C2−C20、好ましくはC2−C14脂肪族ジカルボン酸またはそのモノニトリルまたはジニトリル、例えばセバシン酸、ドデカンジオン酸、アジピン酸、セバシン酸ジニトリル、デカン−1,10−ジニトリルまたはアジポジニトリル、
7−C20、好ましくはC8−C18アリール脂肪族ジアミン、例えばm−またはp−キシレンジアミンのモノマーまたはオリゴマーと、C6−C20、好ましくはC6−C10芳香族ジカルボン酸またはその塩化物等の誘導体、例えばナフタレン−2,6−ジカルボン酸、好ましくはイソフタル酸またはテレフタル酸、
7−C20、好ましくはC8−C18アリール脂肪族ジアミン、例えばm−またはp−キシレンジアミンと、C9−C20、好ましくはC9−C18アリール脂肪族ジカルボン酸、またはその塩化物等の誘導体、例えばo−、m−またはp−フェニレン二酢酸、および
上記出発モノマーまたは出発オリゴマーの単独重合体、共重合体、混合物またはグラフト共重合体。
【0018】
適するオリゴマーの例には、特に、上記モノマー又は上記モノマー混合物の二量体、三量体、四量体、五量体又は六量体がある。
【0019】
好ましい実施の形態において、ラクタムとしてはカプロラクタムが、ジアミンとしてはテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンまたはこれらの混合物が、ジカルボン酸としてはアジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはこれらの混合物が用いられる。特に好ましいラクタムの例はカプロラクタム、特に好ましいジアミンの例はヘキサメチレンジアミン、特に好ましいジカルボン酸の例はアジピン酸、テレフタル酸、又はこれらの混合物である。
【0020】
重合によりナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−4,6、ナイロン−6,10−、ナイロン−6,12、ナイロン−7、ナイロン−11、又はナイロン−12のポリアミドとされる上述の出発モノマー又はオリゴマー、又は重合によりポリ−m−フェニレンイソフタルアミドまたはポリ−p−フェニレンテレフタルアミドのアラミドとされる上述の出発モノマーまたはオリゴマー、特にナイロン6またはナイロン6,6が好ましく用いられる。
【0021】
好ましい実施の形態において、1種類以上の連鎖調整剤を用いてポリアミドを調製してもよい。有用な連鎖調整剤の好ましい例は、ポリアミド生成において反応性の1個以上、例えば2、3又は4個のアミノ基、特に繊維状物の製造にあっては2個のアミノ基を有する化合物、またはポリアミド形成において反応性の1個以上、例えば2、3又は4個のカルボキシル基、特に繊維状物の製造にあっては2個のカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。
【0022】
ポリアミド製造の第一の場合において、ポリアミド形成に使用されるモノマー又は連鎖調整剤中には、ポリマー鎖形成に関与するアミノ基又はその均等物が、ポリマー鎖形成に関与するカルボン酸基又はその均等物よりも多く含まれる。
【0023】
ポリアミド製造の第二の場合において、ポリアミド形成に使用されるモノマー又は連鎖調整剤中には、ポリマー鎖形成に関与するカルボン酸基又はその均等物が、ポリマー鎖形成に関与するアミノ基又はその均等物よりも多く含まれる。
【0024】
有用な連鎖調整剤の好ましい例は、モノカルボン酸、例えばアルカンカルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、例えばベンゼンモノカルボン酸またはナフタレンモノカルボン酸、例えば安息香酸、ジカルボン酸、例えばC4−C10アルカンジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、C5−C8シクロアルカンジカルボン酸、例えばシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、ベンゼンジカルボン酸またはナフタレンジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、C2−C20、好ましくはC2−C12アルキルアミン、例えばシクロヘキシルアミン、C6−C20、好ましくはC6−C10芳香族モノアミン、例えばアニリン、C7−C20、好ましくはC8−C18アリール脂肪族モノアミン、例えばベンジルアミン、ジアミン、例えばC4−C10アルカンジアミン、例えばヘキサメチレンジアミンである。
【0025】
連鎖調整剤は、無置換であっても、脂肪族基、好ましくはC1−C8アルキル基、例えばメチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、OH、=O、C1−C8アルコキシ、COOH、C2−C6カルボアルコキシ、C1−C10アシルオキシ又はC1−C8アルキルアミノ、硫酸又はその塩、例えばアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、シアノ又はハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素により置換されていてもよい。置換された連鎖延長剤の例は、スルホイソフタル酸及びそのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩、スルホイソフタル酸エステル、例えばC1−C16アルカノールエステル、又はスルホイソフタル酸モノ−又はジアミド、特にポリアミド形成に適しており少なくとも1個のアミノ基を有するモノマーを有するもの、例えばヘキサメチレンジアミン又は6−アミノカプロン酸である。
【0026】
好ましい連鎖延長剤は、下式
【0027】
【化1】

で示される、立体障害を有するピペリジン誘導体である。
【0028】
上記式中、R1はポリアミドのポリマー鎖に対してアミド形成可能な官能基、好ましくは−(NH)R5で示される基(R5は水素またはC1−C8アルキル)、カルボキシル基、またはカルボキシル誘導体、または−(CH2x(NH)R5で示される基(Xは1〜6、R5は水素またはC1−C8アルキル)、または−(CH2yCOOHで示される基(yは1〜6)、または−(CH2yCOOH酸誘導体(yは1〜6)、特に−NH2
2はアルキル基、好ましくはC1−C4アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル,i−ブチル、s−ブチルまたはt−ブチル、特にメチル基、
3が水素、C1−C4アルキルまたはO−R4(R4は水素またはC1−C7アルキル)、特に水素を意味すると好ましい。
【0029】
このような化合物において、立体障害により、通常はピペリジン環系の第三級アミノ基および特に第二級アミノ基の反応が妨害される。
【0030】
特に好ましい立体障害を有する化合物は、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンである。
【0031】
連鎖調整剤は、ポリアミドの1モルの酸アミド基に対して0.001モル%以上、好ましくは0.01モル%以上、特に好ましくは0.03モル%以上、更に好ましくは0.08モル%以上の量で用いられる。
【0032】
連鎖調整剤は、ポリアミドの1モルの酸アミド基に対して2.0モル%以下、好ましくは1モル%以下、特に好ましくは0.6モル%以下、更に好ましくは0.5モル%以下の量で用いられる。
【0033】
本発明において、ポリアミドの主鎖は化学的に結合したN−アルキルラクタムを含む。
【0034】
本発明において用いられるN−アルキルラクタムという用語はN−アルキルラクタムのみならず、N−アルキルラクタムの混合物も含む。
【0035】
好ましい実施の形態において、N−アルキルラクタムとしては、N−C1−C10アルキルラクタム、好ましくはN-メチルラクタム、N−エチルラクタム、N−n−プロピルラクタム、N−i−プロピルラクタム、N−n−ブチルラクタム、N−i−ブチルラクタム及びN−t−ブチルラクタムからなる群から選択されるN−アルキルラクタム、特にN−エチルラクタムが用いられる。
【0036】
適するN−アルキルラクタムは、ラクタム環に3〜10個の炭素原子を含むもの、好ましくはラクタム環がピロリドン、ピペリドン及びカプロラクタムからなる群から選択されたもの、特にカプロラクタムであるものである。
【0037】
ラクタム環は1個以上のアルキル基、好ましくはC1−C10アルキル基、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチルもしくはt−ブチル、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素、ハロアルキル、例えばトリフルオロメチルにより置換されていてもよいが、無置換のラクタム環が好ましく使用される。
【0038】
特に好ましい実施の形態において、N−アルキルラクタムとしてN−エチルカプロラクタムが使用される。
【0039】
上記N−アルキルラクタム及びその製造法は公知である。
【0040】
N−アルキルラクタムの使用量は、ポリアミド中の酸アミド基1モルに対して0.001モル%以上とされると有利であり、0.01モル%以上であると好ましく、0.03モル以上であると特に好ましく、0.8モル%以上であると更に好ましい。
【0041】
N−アルキルラクタムの使用量は、ポリアミド中の酸アミド基1モルに対して2.0モル%以下とされると有利であり、1モル%以下であると好ましく、0.6モル%以下であると特に好ましく、0.5モル%以下であると極めて好ましい。
【0042】
本発明のポリアミドは、N−アルキルラクタム又はポリアミド製造の反応条件下にN−アルキルラクタムを放出する化合物の存在下に、ポリアミドの形成に適するモノマー、オリゴマー、又はこれらの混合物をポリアミドに変換する工程を含む方法により製造可能である。
【0043】
本発明のポリアミドは、例えばDE−A−1495198号公報、DE−A−2558480号公報、EP−A−129196号公報、DE−A−19709390号公報、DE−A−3534817号公報、及びWO99/38908号公報、WO99/43734号公報、WO99/43732号公報、WO00/24808号公報、WO01/56984号公報、又はPolymerization Process, Interscience、ニューヨーク、1977、424−467ページ、特に444−446ページ等に記載されているようなモノマーを用い、ポリアミド製造に慣用の製造条件により製造される。
【0044】
他の好ましい実施の形態において、本発明の方法における重合または重縮合を少なくとも1種類の顔料の存在下に行うことができる。好ましい顔料は二酸化チタン、好ましくはアナターゼ又はルチル結晶形の二酸化チタン、または無機または有機の着色化合物である。顔料は、ポリアミド100質量部に対して0〜5質量部、特に0.02〜2質量部の量で添加されると好ましい。顔料は出発材料と共に反応器に添加しても、出発材料と別に添加してもよい。
【0045】
更に、ポリアミドは上記2種類の好ましい方法の他、アニオン重合によっても製造可能である。
【0046】
一般に、アニオン重合法は以下の材料の反応工程を含む。すなわち、
a)ラクタム又はラクタム混合物、
b)ラクタメート、又は上記a)のラクタムからラクタメートを放出する化合物、又はこのような成分の混合物、及び
c)重合−調整活性剤、
を相互に反応させることによりポリアミドを得る。
【0047】
ラクタムのアニオン重合法は、ラクタムのアルカリ重合法としても公知であり、適する化合物a)、b)及びc)は、例えばUS−A−3,206,418号明細書、US−A−3,207,713号明細書、US−A−3,494,999号明細書、US−A−3,793,255号明細書、US−A−4,233,433号明細書、US−A−4,393,193号明細書、US−A−4,503,014号明細書、US−A−5,747,634号明細書、WO−A−00/58387号公報、WO−A−01/49906号公報、International Polymer Processing 16(2)(2001) 172-182又はFourne, Synthetische Fasern Carl Hanser Verlag、ミュンヘン/ウィーン、1995、第38−39ページより一般に公知である。
【0048】
本発明のポリアミドは、上述のポリアミドを含む、特に好ましくは上述のポリアミドのみから成る繊維、フィルム及び成形体の製造に好適に用いられる。
【0049】
[実施例]
以下、実施例に記載する溶液粘度は、DIN51562-1〜-4に準じ、96%の硫酸中の相対溶液粘度として測定したものである。
【0050】
100mlの溶液ごとに1gのポリマーを計量して導入し、Ubbelohde粘度計を用いて、その流動時間を、純粋な溶媒の流動時間を基準として測定、比較した。
【0051】
[本発明の実施例1]
加圧容器に、500kg(4419モル)のカプロラクタム、50kgの鉄を完全に排除した水、1271g(9モル)のN−エチルカプロラクタムを、窒素雰囲気下に、内部温度270℃まで加熱し、その直後に60分間にわたり大気圧まで圧力を低下させ、補助的に60分間縮合した後、反応容器から放出した。放出されたポリアミドを抽出し、乾燥させ、固体状態で相対溶液粘度RV=2.72まで加熱処理した。
【0052】
[比較例1]
N−エチルカプロラクタムを添加しない以外は、本発明の実施例1と同様の操作を繰り返した。加熱処理後の溶液粘度RV=2.73であった。
【0053】
[実施例2]
本発明の実施例1及び比較例1で製造したポリマーを、押出機において、30質量%のOCF123D10Pガラスファイバー(OCF社製)及び7質量%のLupolen KR 1270ゴム(BASF社製)(上記割合は予め調合済みの材料の全体量を基準とする)と混合した。混合、調製後の相対溶液粘度はいずれの場合も2.80であった。
【0054】
上記2種類の調製済み材料の引張破断歪をISO 527-1に準じて測定した。以下の結果が得られた。
【0055】
本発明の実施例1により得られたポリマーの引張破断公称歪(normalized tensile strain at break): 6%
本発明の比較例1により得られたポリマーの引張破断公称歪(normalized tensile strain at break): 4%
本発明の実施例1より得られたポリマーは、比較例1により得られたポリマーよりも、引張破断歪が50%大きいと言える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖に化学的に結合したN−アルキルカプロラクタムを含むポリアミド。
【請求項2】
N−アルキルカプロラクタムがN−C1−C10アルキルカプロラクタムである請求項1に記載のポリアミド。
【請求項3】
N−アルキルカプロラクタムが、N−メチルカプロラクタム、N−エチルカプロラクタム、N−n−プロピルカプロラクタム、N−i−プロピルカプロラクタム、N−n−ブチルカプロラクタム、N−i−ブチルカプロラクタム、及びN−t−ブチルカプロラクタムからなる群から選択される、請求項1に記載のポリアミド。
【請求項4】
N−アルキルカプロラクタムがN−エチルカプロラクタムである請求項1に記載のポリアミド。
【請求項5】
ポリアミドの酸アミド基1モルに対するN−アルキルカプロラクタム含有率が、0.001モル%〜2モル%の範囲にある請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド。
【請求項6】
ポリアミド形成に適するモノマーを、N−アルキルカプロラクタムの存在下にポリアミドに変換する工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミドの製造方法。
【請求項7】
ポリアミド形成に適するオリゴマーを、N−アルキルカプロラクタムの存在下にポリアミドに変換する工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミドの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミドを含む繊維、フィルム及び成形体。

【公表番号】特表2006−528269(P2006−528269A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529747(P2006−529747)
【出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004816
【国際公開番号】WO2004/101647
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】