説明

ポリアミン系腐食抑制剤

【課題】新規の金属腐食抑制剤を提供する。
【解決手段】N,N’−ジ(カルボキシメチル)−N,N’−ジメチル−N,N’−ジラウリルエチレンジアンモニウムニ水酸化物内塩、およびN,N’−ジメチル−N,N’−ジラウリルエチレンジアミン−N,N’−ビス(N−オキシド)に代表されるポリアミン系化合物。該化合物は、金属の腐食抑制剤として有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は腐食抑制剤に関する。より詳しくは、本発明は窒素官能性を含む腐食抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
耐腐食性合金の開発にかなりの努力が向けられてきたが、金属腐食の防止又は抑制は依然として主要な関心事である。腐食の低減は、多くの用途、例えば、自動車の冷却系、加熱ボイラー、油井の掘削、並びに原油及び種々の石油留分のハンドリング、輸送及び貯蔵において重要である。これら及び他の用途において、腐食は、関連設備に関して必要とされる保守、休止時間及び交換スケジュールの見地から重要な経済的影響を有し得る場合が多い。したがって、腐食の防止又は抑制により、予定外の運転停止、保守及び修理が最小限に抑えられ、流体のハンドリング設備のより安全な操業が可能となる。これを達成するため、腐食抑制剤と称される1つ又は複数の添加剤が腐食性のプロセス流に典型的に組み入れられ腐食が低減される。多数の腐食抑制剤が当技術分野で公知であるが、満足のいく腐食の抑制が現行のシステムに関して常に得られるわけではない。したがって、上記の環境又は他の環境の幾つか又はすべてにおいて使用するのに好適な新規の腐食抑制剤に対する継続したニーズがある。
【発明の開示】
【0003】
1つの態様においては、本発明は、式(1)による化合物であって、
【化1】

式中、R1がC4〜C18の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール及びアラルキルからなる群より選択され;R2がC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル及び式(A)
【化2】

の部分からなる群より選択され;R3がC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール又は(CH2p−COO-であって、式中、pが1又は2であり;nが2〜14の整数であり;mが0〜2の整数であり;R4がH、α−D−グルコピラノシル、β−D−ピラノシル又はβ−D−ガラクトピラノシルであり;X-がCl-、Br-、I-、OH-、CH3COO-、1/2SO4-2又は1/3PO4-3であり、但し、式(1)におけるX-部分の数が(CH2p−COO-である各R3については1だけ少なく;さらにR3が(CH2p−COO-でない場合にはR1が直鎖アルキルではない化合物を提供する。
【0004】
別の態様においては、本発明は、式(2)による化合物であって、
【化3】

式中、R1がC4〜C18の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール及びアラルキルからなる群より選択され;R2がC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル及び式(A)
【化4】

の部分からなる群より選択され;nが2〜14の整数であり;mが0〜2の整数であり;R4がH、α−D−グルコピラノシル、β−D−ピラノシル又はβ−D−ガラクトピラノシルである化合物を提供する。
【0005】
なお別の態様においては、本発明は、式(3)による化合物であって、
【化5】

式中、R1がC3〜C12の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル又はアリール置換の分枝若しくは直鎖アルキルであり;R2及びR3がそれぞれ独立してC1〜C4のアルキル、ベンジル、C3〜C5のアルケニル及び(CH2p−COO-からなる群より選択され、式中、pが1又は2であり、但し、R2とR3の両方が(CH2p−COO-であることはなく;R4及びR5が独立してC2〜C6のアルキレンより選択され;nが0〜4の整数であり;X-がCl-、Br-、I-、OH-、CH3COO-、1/2SO4-2又は1/3PO4-3であり、但し、式(3)におけるX-部分の数が(CH2p−COO-である各R3については1だけ少なく;さらにnが0であり、R4が(CH22である場合には、R1が直鎖アルキルでないか又はR3が(CH2p−COO-であるか又はその両方である化合物を提供する。
【0006】
さらなる態様においては、本発明は、式(4)による化合物であって、
【化6】

式中、R1がC3〜C12の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル又はアラルキルであり;R2がC1〜C4のアルキル、ベンジル、C3〜C5のアルケニル及び(CH2p−COO-からなる群より選択され、式中、pが1又は2であり;R4及びR5が独立してC2〜C6のアルキレンより選択され;nが0〜4の整数であり;但し、R2が(CH2p−COO-でない場合にはn≧1である化合物を提供する。
【0007】
なおさらなる態様においては、本発明は、金属表面の腐食を低減する方法であって、金属表面を上で示した式(1)、(2)、(3)及び(4)のいずれかによる腐食抑制剤を含む腐食性媒体と接触させることを含む方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、水性又は他の腐食性環境における金属表面の腐食の防止又は抑制において使用するのに好適な、幾つかの置換されたアルキレンジアミン又はポリアミン及びそれらの誘導体を提供する。4つのクラスの化合物が提供され、式(1)〜(4)として以下に明らかにされる。これらのそれぞれを次に詳細に論じる。
【0009】
第1のクラスの新規腐食抑制剤は、式(1)において以下に示すN,N’−ジアルキルアルキレンジアミンの幾つかの誘導体からなる。
【化7】

【0010】
式(1)において、R1はC4〜C18の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール及びアラルキルからなる群より選択され;R2はC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル及び式(A)
【化8】

の部分からなる群より選択され;R3はC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール又は(CH2p−COO-であって、式中、pは1又は2であり;nは2〜14の整数であり;mは0〜2の整数であり;R4はH、α−D−グルコピラノシル、β−D−ピラノシル又はβ−D−ガラクトピラノシルであり;X-はCl-、Br-、I-、OH-、CH3COO-、1/2SO4-2又は1/3PO4-3であり、但し、式(1)におけるX-部分の数は(CH2p−COO-である各R3については1だけ少なく;さらにR3が(CH2p−COO-でない場合にはR1は直鎖アルキルではない。上記式(A)の置換基は、R4に関係なく本明細書で「ポリヒドロキシアルキル」基と称される。当業者であれば、式(1)及び以下の式1(a)における「2X-」という語の使用は、電荷の中性を提供するのに必要とされるアニオンの量を示すものであると理解するであろう。
【0011】
好適な例示的R1基としては、直鎖又は分枝鎖のアルキル基、例えば、n−ブチル、2−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、tert−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、3,5−ジメチルオクチル、3,7−ジメチルオクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、3−メチル−10−エチルドデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ココアルキル(C817〜C1633)及び獣脂(C1633〜C1837)、並びにアラルキル、アリール、アルカリール、脂環式、二環式及び同様の基が挙げられる。このような基の例としては、シクロヘキシルメチル、ベンジル、ピニル、ピニルメチル、フェネチル、p−メチルベンジル、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、エチルフェニル、メチルナフチル、ジメチルナフチル、ノルボルニル及びノルボルニルメチルがある。
【0012】
好適な例示的R2及びR3基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、tert−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、オクチル、シクロヘキシルメチル、ベンジル、フェネチル、p−メチルベンジル、フェニル、トリル、キシリル及びエチルフェニルが挙げられる。好適な例示的R2基としてはまた、ポリヒドロキシアルキル基、例えば、1−デオキシグルシチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、並びにマンニトール、キシリトール、ガラクチトール、マルチトール及びラクチトールから誘導される類似の1−デオキシ基が挙げられる。
【0013】
式(1)による化合物は、合成有機化学の技術分野で公知の任意の方法によって調製することができる。例えば、これらの化合物は、化学分野で周知の方法に従い、対応するN,N’−ジ(R1)−N,N’−ジ(R2)アルキレンジアミンとハロゲン化アルキルを反応させてR3基を導入することにより調製できる。R3が(CH2p−COO-である場合には、ハロカルボン酸塩、例えば、ハロ酢酸塩との反応を使用することができる(例えば、E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール&カンパニーの米国特許第3,839,425号明細書の例1を参照されたい)。
【0014】
2がポリヒドロキシアルキル基である場合には、幾つかのR2の変形態様が可能であり、R4及びmの値に応じて以下の式(1a)による種々の化合物が形成される。
【化9】

【0015】
式(1a)による化合物は、任意の好適な手順、例えば、V.I.VekslerらのZhurnal Obshchei Khimii,50(9),2120−2123(1980)により報告された手順によって得ることができる。任意の種々のポリヒドロキシアルキル基を本発明による化合物に組み入れることができるが、これらのポリヒドロキシアルキル基は、最も典型的には還元糖、例えば、グルコースの開鎖形態から誘導される。例示的なポリヒドロキシアルキル基はグルコースから誘導される。即ち、それらは、1−デオキシグルシチル基である。一般に、本発明によるN,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(ポリヒドロキシアルキル)アルキレンジアミンを製造するのに有用なN−(ポリヒドロキシアルキル)アルキルアミンのポリヒドロキシアルキル基は、グルコース、フラクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノース及びキシロースからなる還元糖の任意の群から誘導することができる。ケトースを使用することもできるが、典型的には還元糖はアルドースであり、単糖類と二糖類の両方を使用することができ、後者の好都合な供給源としては、高デキストロースコーンシロップ、高フラクトースコーンシロップ及び高マルトースコーンシロップが挙げられる。他の有用なポリヒドロキシアルキル基はグリセルアルデヒドから誘導することができる。幾つかの実施態様においては、R2はグルコースから誘導されたポリヒドロキシアルキル基である。即ち、この基は1−デオキシグルシチルである。この場合、mは2であり、R4は水素である。
【0016】
第2のクラスの腐食抑制剤は、一般式(2)のビスN−オキシドであって、
【化10】

式中、R1及びR2が式(1)の化合物に関して先に規定したとおりであるビスN−オキシドを含む。
【0017】
式(2)による化合物は、合成有機化学の技術分野で公知の任意の方法によって調製することができる。例えば、これらの化合物は、対応するジ第三アミンを酸化剤、例えば、過酸化水素で処理することにより調製することができる(例えば、N,N−ジアルキルグルカミンのN−オキシドの調製については、米国特許第5,710,332号明細書の例4を参照されたい)。
【0018】
2がポリヒドロキシアルキル基である場合は、式(2a)として以下に示される式(2)の下位分類を構成し、
【化11】

式中、R1、R4、m及びnは、式(1a)に関して先に規定したのと同じ意味を有する。1つの実施態様においては、ポリヒドロキシアルキル基はグルコースから誘導される。即ち、この基は1−デオキシグルシチルである。この場合には、mは2であり、R4は水素である。
【0019】
第3のクラスの腐食抑制剤は、一般式(3)のN,N’−ジアルキルポリアルキレンポリアミンの第四誘導体からなる。
【化12】

【0020】
式(3)において、R1はC3〜C12の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル又はアリール置換の分枝若しくは直鎖アルキルであり;R2及びR3はそれぞれ独立してC1〜C4のアルキル、ベンジル、C3〜C5のアルケニル及び(CH2p−COO-からなる群より選択され、式中、pは1又は2であり、但し、R2とR3の両方が(CH2p−COO-であることはなく;R4及びR5は独立してC2〜C6のアルキレンより選択され;nは0〜4の整数であり;X-はCl-、Br-、I-、OH-、CH3COO-、1/2SO4-2又は1/3PO4-3であり、但し、式(3)におけるX-部分の数は(CH2p−COO-である各R3については1だけ少ない。当業者であれば、式(3)における「(n+2)X-」という語の使用は、電荷の中性を提供するのに必要とされるアニオンの量を示すものであると理解するであろう。
【0021】
本発明の幾つかの実施態様においては、nが0であり、R4が(CH22である場合には、R1が直鎖アルキルでないか又はR3が(CH2p−COO-であるか又はその両方である。好適な例示的R1基としては、直鎖又は分枝鎖のアルキル基、例えば、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、tert−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、3,5−ジメチルオクチル、3,7−ジメチルオクチル、デシル、ウンデシル及びドデシル、並びにシクロヘキシルメチル、ベンジル、フェネチル及びp−メチルベンジルが挙げられる。好適な例示的R2及びR3基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、tert−ブチル、イソブチル及びベンジルが挙げられる。幾つかの実施態様においては、R4とR5は両方とも、(CH22、(CH23、(CH26又は(CH23CH(CH3)CH2である。
【0022】
式(3)による化合物は、合成有機化学の技術分野で公知の任意の方法によって調製することができる。例えば、これらの化合物は、当技術分野で公知の条件下において対応するポリアミン(4)をアルキル化することにより調製でき、ポリアミン(4)は、例えば、米国特許第4,126,640号明細書、同第4,195,152号明細書又は同第6,015,852号明細書のいずれの手順に従って得ることができる。
【化13】

式中、R1〜R5は式(3)に関して規定したとおりである。このようなアルキル化は、例えば、ハロゲン化アルキルとの反応によって行なうことができる(例えば、Synthetic Organic Chemistry,R.B.Wagner及びH.D.Zook,John Wiley and Sons,New York,1953,668頁を参照されたい)。式(4)による化合物はそれ自体が、本発明による腐食抑制剤の第4のクラスを構成し、R1〜R5及びnは式(3)に関して先に規定されたとおりである。幾つかの実施態様においては、R2が(CH2p−COO-でない場合にはn≧1である。幾つかの実施態様においては、R4とR5は両方とも、(CH22、(CH23、(CH26又は(CH23CH(CH3)CH2である。
【0023】
本発明の抑制剤は、単独で、又は互いの任意の所望の混合物において、又は他の抑制剤若しくは不活性な物質若しくは協調的な物質との任意の所望の混合物において金属に対する腐食の保護を提供することができる。このような他の成分の限定的でない例としては、中和アミン、脂肪族アミン、第四アンモニウム塩、イミダゾリン、イミダゾール、アルキノール、ホスホン酸、消泡剤、及び水又は他の溶媒が挙げられる。このような混合物中の本発明による抑制剤の量は、1〜100重量%、好ましくは5〜50重量%の範囲にわたって変化させることができる。典型的に、抑制剤を含有する混合物は金属表面と接触する腐食性媒体に対して1〜5000重量ppmの濃度で添加されるが、1〜100ppmの範囲の濃度がより典型的である。腐食性媒体は、水性若しくは液体の有機媒体である場合があるか、又は溶液、懸濁液若しくはそれらの組合せであり得る混合物中に水性成分と有機成分の両方を含有する場合がある。腐食抑制剤で処理することのできる腐食性媒体の例としては、自動車の冷却系、加熱ボイラー、油井の掘削、並びに原油及び種々の石油留分のハンドリング、輸送及び貯蔵が挙げられる。
【0024】
本発明の腐食抑制剤を含むボイラー水又は水蒸気凝縮液の処理のための典型的な水性腐食抑制剤処方物は、以下の成分、即ち、
1〜20重量%の式(1)、(2)、(3)及び(4)のいずれかによる化合物と;
4〜40重量%の1つ又は複数の塩基性中和化合物、例えば、NaOH、KOH、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、アンモニア、アンモニウム塩、中和アミン及び揮発性アミン、例えば、シクロヘキシルアミン、モルホリン、ジシクロヘキシルアミン及びジエチルアミノエタノールと;
0〜20重量%の膜形成アミン、例えば、オクタデシルアミン、獣脂アミン、ココアミン、オレイルアミン、アミドアミン、イミダゾリン、脂肪族アルキルアミン又はジアミン、及びこれらの四級塩又は有機若しくは無機酸とこれらの塩と;
0〜10重量%の1つ又は複数の他の活性成分、例えば、脱酸素剤、スケール抑制剤、キレート化剤、分散剤、乳化剤、界面活性剤、及び水溶性ポリマーと;
10〜95重量%の水と
を含むことができる。
【0025】
本発明の腐食抑制剤を含む金属工作、金属処理又は金属潤滑剤のための典型的な腐食抑制剤処方物は、以下の成分、即ち、
30〜99重量%の1つ又は複数のキャリヤー又は溶媒、例えば、炭化水素の溶媒、油又はワックス、鉱油又は鉱物蝋、合成のエステル又はポリエステル、ポリエーテル、アルコール、水、及び天然の脂肪又は油、例えば、トール油、なたね油、トウモロコシ油、ヒマシ油、綿実油、パーム油、ラード油、及び獣脂と;
1〜20重量%の式(1)、(2)、(3)及び(4)のいずれかによる化合物と;
0〜20重量%の共腐食抑制剤、例えば、有機酸及びその無機塩又はアミン塩、有機ホウ素化合物又は塩、オクタデシルアミン、獣脂アミン、ココアミン、オレイルアミン、アミドアミン、イミダゾリン、アルカノールアミド、スルホンアミド、脂肪族アルキルアミン又はジアミン、及びこれらの四級塩又は有機若しくは無機酸とこれらの塩と;
0〜20重量%の塩基性中和化合物、例えば、中和アミン、アルキルアミン、アルキルアルカノールアミン、アルカノールアミン、及びアルカリ塩と;
0〜10重量%の1つ又は複数の他の活性成分、例えば、撥水剤、酸化防止剤、潤滑剤、乳化剤、界面活性剤、消泡剤、殺生物剤、及び安定剤と
を含むことができる。
【0026】
本発明の腐食抑制剤を含む油田、石油輸送又は製油用途のための典型的な腐食抑制剤処方物は、以下の成分、即ち、
20〜99重量%の1つ又は複数のキャリヤー又は溶媒、例えば、炭化水素の溶媒又は油、水、及び分散剤又はカップリング剤、例えば、グリコール、グリコールエーテル、アルコール、エステル、ケトン、アミド、界面活性剤、乳化剤又は分散剤と;
1〜30重量%の式(1)、(2)、(3)及び(4)のいずれかによる化合物と;
0〜30重量%の1つ又は複数の共腐食抑制剤、例えば、有機酸及びその無機塩又はアミン塩、有機ホスホン酸塩、リン酸エステル、アルキノール;中和抑制剤、例えば、アルカリ塩、アンモニア、アンモニウム塩、及び中和アミン;揮発性アミン、例えば、シクロヘキルアミン、モルホリン、アルキルアミン、アルキルアルカノールアミン、及びアルカノールアミン;オクタデシルアミン、獣脂アミン、ココアミン、オレイルアミン、アミドアミン、イミダゾリン、アルキルピリジン、アミド及びそれらの塩、脂肪族アルキルアミン又はジアミン、及びこれらの四級塩又は有機若しくは無機酸とこれらの塩と;
0〜20重量%の1つ又は複数の他の活性成分、例えば、非乳化剤、泡止め剤、界面活性剤、殺生物剤、脱酸素剤、脱硫化水素剤、及びスケール抑制剤と
を含むことができる。
【0027】
腐食抑制剤としてのそれらの活性に加えて、本発明の化合物(1a)及び(2a)は、従来技術の抑制剤に比べて高い生物分解性と低い水生毒性を示すことができる。より一般的には、ジアミン又はポリアミン化合物である本発明の抑制剤(1)、(2)、(3)及び(4)は、幾つかの既存の抑制剤と比べて低い水生毒性を示すことができる。
【0028】
本発明は以下の例によってさらに説明されるが、これらの例は、例証を目的として提示されており、本発明の方法及び組成物を限定するものではない。
【実施例】
【0029】
例1では、式(1)のクラスの腐食抑制剤の合成における中間体の例であるN,N’−ジメチル−N,N’−ジラウリルエチレンジアミンの調製を説明する。例2〜10では、他のN,N’−ジ(R1)−N,N’−ジ(R2)アルキレンジアミンの調製を説明する。
【0030】
[例1〜10]
300mLのオートクレーブエンジニアーズ製ステンレス鋼反応器に、ラウロニトリル72.4g(0.40モル)、N,N’−ジメチルエチレンジアミン16.8g(0.19モル)、5%パラジウム担持炭素触媒1.45g(乾燥重量ベース)及びイソプロパノール48gを仕込んだ。反応器を閉じて窒素及び水素でパージし、水素で約600psigに加圧した。混合物を撹拌(1000rpm)しながら125℃に加熱し、水素で1000psigまで加圧し、水素フィードを調節してこの温度及び圧力で維持した。7時間後、混合物を室温まで冷却し、内径0.5μmの焼結金属エレメントで濾過することにより生成物を反応器から取り出した。GC(ガスクロマトグラフィー)とGC−MS(ガスクロマトグラフィー−質量分析法)による生成物の分析で、転化が完全であり、生成物が98+%のN,N’−ジメチル−N,N’−ジラウリルエチレンジアミンと、ちょうど1%を超えるN,N’−ジメチル−N−ラウリルエチレンジアミンからなることが示された。真空蒸留(190〜200℃/80〜100Torr)により、純粋なN,N’−ジメチル−N,N’−ジラウリルエチレンジアミンが得られた。追加のN,N’−ジ(R1)−N,N’−ジ(R2)アルキレンジアミンは、上記と同様の手順により調製して特性を明らかにすることができる。これらジアミンの幾つかを表1に例2〜10として示す。
【化14】

【0031】
【表1】

【0032】
例11〜15では、ビスベタイン塩、即ち、R3が(CH2p−COO-であるクラス(1)の腐食抑制剤の例、具体的には表2における例11の調製を説明する。
【0033】
[例11〜15]
マグネチックスターラー、還流凝縮器、温度計及び窒素パージを備えた250mLの三口フラスコに、N,N’−ジメチル−N,N’−ジラウリルエチレンジアミン20g(0.0472モル)、ヨード酢酸ナトリウム25.54g(0.1180モル)、イソプロパノール80mL及び脱イオン水8mLを周囲温度で添加した。混合物を撹拌しながら80℃に加熱し、この温度で4.5時間維持した。室温に冷却した後、ロータリーエバポレータを用いて真空下で溶媒を除去した。イソプロパノール(約100mL)を添加し、真空濾過し、次いでロータリーエバポレータを用いて真空下でイソプロパノールを除去して、純粋なN,N’−ジ(カルボキシメチル)−N,N’−ジメチル−N,N’−ジラウリルエチレンジアンモニウム二水酸化物内塩を得た。追加のビスベタインは、上記と同様の手順により調製して特性を明らかにすることができる。これらの幾つかを表2に示す(すべての例においてXはIである)。
【化15】

【0034】
【表2】

【0035】
例16〜20では、窒素上のいずれの置換基もポリヒドロキシアルキル基ではないクラス(2)の腐食抑制剤の例である幾つかのビスN−オキシドの調製を説明する。
【0036】
[例16〜20]
マグネチックスターラー、還流凝縮器、温度計、隔壁及び窒素パージを備えた100mLの三口フラスコに、N,N’−ジメチル−N,N’−ラウリルエチレンジアミン5g(0.0118モル)及びイソプロパノール25mLを周囲温度で添加した。混合物を撹拌しながら60℃に加熱し、その後、30重量%水性過酸化水素3.2g(0.028モル;2.4当量)をシリンジから滴下した。反応を60℃で6時間維持した。室温まで冷却した後、ロータリーエバポレータを用いて真空下で溶媒を除去し、N,N’−ジメチル−N,N’−ジラウリルエチレンジアミン−N,N’−ビス(N−オキシド)を得た。生成物の同定及び純度はNMR分析により決定した。追加の類似のアルキレンジアミンビス(N−オキシド)は、上記と同様の手順により調製して特性を明らかにすることができる。これらの幾つかを表3に示す。
【化16】

【0037】
【表3】

【0038】
例21〜24では、両方の窒素原子がポリヒドロキシアルキル基で置換された幾つかのビスN−オキシド、即ち、下位分類(2a)の化合物の調製を説明する。
【0039】
[例21〜24]
溶媒としてイソプロパノールよりもむしろメタノールを使用するとともに、N,N’−ジオクチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)エチレンジアミンを使用して例20の手順を繰り返し、表4に示す化合物(R4=H、mとnがともに2)を調製する。
【化17】

【0040】
【表4】

【0041】
例25及び26では、腐食抑制剤として本発明の幾つかの例示的な化合物の使用を説明する。
【0042】
[例25−対照標準(抑制剤なし)]
腐食の速度は、電気化学ポテンショダイナミック(potentiodynamic)技術によって決定した。実験装置は、1018炭素鋼の固体ロッドから製作した試験片又は作用電極を有する標準的な3極式電気化学セルであった。溶液/作用電極表面積の比は、190mL/cm2を試験のために用いた。開回路電位(1時間後のEoc)より250mV下(より活性)で分極を開始し、0.6V/時の速度でEocより250mV上に正方向において走査した。電流を連続的に記録した。腐食電位(Ecorr)と腐食電流(Icorr)を、Tafel分析により分極曲線(E対Log I)から得た。年当たりのミルで表した腐食速度(mpy)を腐食電流から計算した。腐食試験は、NACE試験法1D196に従って、塩化カルシウム二水和物85.07g、塩化マグネシウム六水和物39.16g、塩化ナトリウム2025.00g及び蒸留水19Lを混合して調製した模擬ブライン溶液を用いて行なった。この例のために、溶液/作用電極表面積の比190mL/cm2に必要とされる体積の模擬ブライン溶液を、120(±2)°Fの温度で電気化学試験装置において保持した。試験の前及びその間の2時間、ブライン溶液に気体の二酸化炭素を連続的に散布した。抑制剤を添加しない場合、1018炭素鋼の試験基材について決定された腐食速度は47.7mpyであった。
【0043】
[例26−クラス(1)、(2)、(3)及び(4)の腐食抑制剤]
腐食性能は例25の一般的な手順を用いて決定されるが、ブライン溶液に対してタイプ(1)、(1a)、(2)、(2a)、(3)又は(4)の化合物100重量ppmが測定前に電気化学試験装置に添加される。25mpy未満の腐食速度が1018炭素鋼の試験基材について決定される。
【0044】
[式(1)〜(4)の化合物の使用]
上記4つのクラスのいずれかによる化合物は、腐食抑制剤としてのそれらの有用性を補うよう設計された他の任意の種々の成分を含む組成物に組み入れることができる。このような製品の性能特性は、抑制剤の構造、置換基R1、R2、R3、R4及びR5の選択、結合基における反復単位の数m又はn、及び窒素原子間のアルキレン基の長さを適切に変更することにより、特定用途について最適化することができる。このような最適化は通常のことであり、特定用途の分野における当業者の能力の範囲内である。したがって、これらの変数をうまく操作することで、例えば、先の開示で概説したものを含む種々の用途において腐食抑制剤として有用性を見出すことができる化合物が得られる。
【0045】
本発明は具体的な実施態様を参照して本明細書で説明及び記載されているが、特許請求の範囲は示された詳細に限定されることを意図するものではない。むしろ、これらの詳細において種々の変更が当業者によりなされることが期待され、このような変更は依然として特許請求された主題の趣旨及び範囲内にあり、それに応じてこれらの請求項が解釈されることを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)による化合物であって、
【化1】

式中、R1がC4〜C18の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール及びアラルキルからなる群より選択され;R2がC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル及び式(A)
【化2】

の部分からなる群より選択され;R3がC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール又は(CH2p−COO-であって、式中、pが1又は2であり;nが2〜14の整数であり;mが0〜2の整数であり;R4がH、α−D−グルコピラノシル、β−D−ピラノシル又はβ−D−ガラクトピラノシルであり;X-がCl-、Br-、I-、OH-、CH3COO-、1/2SO4-2又は1/3PO4-3であり、但し、式(1)におけるX-部分の数が(CH2p−COO-である各R3については1だけ少なく;さらにR3が(CH2p−COO-でない場合にはR1が直鎖アルキルではない化合物。
【請求項2】
1が式(A)の部分である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1がドデシルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
1がココアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
1が獣脂である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
2が1−デオキシグルシチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
2がメチル又はエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
3が(CH2p−COO-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
nが2又は6である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式(2)による化合物であって、
【化3】

式中、R1がC4〜C18の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール及びアラルキルからなる群より選択され;R2がC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル及び式(A)
【化4】

の部分からなる群より選択され;nが2〜14の整数であり;mが0〜2の整数であり;R4がH、α−D−グルコピラノシル、β−D−ピラノシル又はβ−D−ガラクトピラノシルである化合物。
【請求項11】
1がドデシルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
1がココアルキルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
1が獣脂である、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
2がメチル又はエチルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項15】
2が式(A)の部分である、請求項10に記載の化合物。
【請求項16】
2が1−デオキシグルシチルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項17】
1がブチル、ヘキシル、オクチル及びドデシルからなる群より選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
nが2又は6である、請求項10に記載の化合物。
【請求項19】
式(3)による化合物であって、
【化5】

式中、R1がC3〜C12の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル又はアリール置換の分枝若しくは直鎖アルキルであり;R2及びR3がそれぞれ独立してC1〜C4のアルキル、ベンジル、C3〜C5のアルケニル及び(CH2p−COO-からなる群より選択され、式中、pが1又は2であり、但し、R2とR3の両方が(CH2p−COO-であることはなく;R4及びR5が独立してC2〜C6のアルキレンより選択され;nが0〜4の整数であり;X-がCl-、Br-、I-、OH-、CH3COO-、1/2SO4-2又は1/3PO4-3であり、但し、式(3)におけるX-部分の数が(CH2p−COO-である各R3については1だけ少なく;さらにnが0であり、R4が(CH22である場合には、R1が直鎖アルキルでないか又はR3が(CH2p−COO-であるか又はその両方である化合物。
【請求項20】
1が分枝のC3〜C12アルキルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
3が(CH2p−COO-である、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
4とR5の両方が(CH22である、請求項19に記載の化合物。
【請求項23】
4とR5の両方が(CH23である、請求項19に記載の化合物。
【請求項24】
4とR5の両方が(CH26である、請求項19に記載の化合物。
【請求項25】
4とR5の両方が(CH23CH(CH3)CH2である、請求項19に記載の化合物。
【請求項26】
式(4)による化合物であって、
【化6】

式中、R1がC3〜C12の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル又はアラルキルであり;R2がC1〜C4のアルキル、ベンジル、C3〜C5のアルケニル及び(CH2p−COO-からなる群より選択され、式中、pが1又は2であり;R4及びR5が独立してC2〜C6のアルキレンより選択され;nが0〜4の整数であり;但し、R2が(CH2p−COO-でない場合にはn≧1である化合物。
【請求項27】
4とR5の両方が(CH22である、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
4とR5の両方が(CH23である、請求項26に記載の化合物。
【請求項29】
4とR5の両方が(CH26である、請求項26に記載の化合物。
【請求項30】
4とR5の両方が(CH23CH(CH3)CH2である、請求項26に記載の化合物。
【請求項31】
金属表面の腐食を低減する方法であって、金属表面を
a)式(1)による腐食抑制剤であって、
【化7】

式中、R1がC4〜C18の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール及びアラルキルからなる群より選択され;R2がC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル及び式(A)
【化8】

の部分からなる群より選択され;R3がC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール又は(CH2p−COO-であって、式中、pが1又は2であり;nが2〜14の整数であり;mが0〜2の整数であり;R4がH、α−D−グルコピラノシル、β−D−ピラノシル又はβ−D−ガラクトピラノシルであり;X-がCl-、Br-、I-、OH-、CH3COO-、1/2SO4-2又は1/3PO4-3であり、但し、式(1)におけるX-部分の数が(CH2p−COO-である各R3については1だけ少なく;さらにR3が(CH2p−COO-でない場合にはR1が直鎖アルキルではない腐食抑制剤;
b)式(2)による腐食抑制剤であって、
【化9】

式中、R1がC4〜C18の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール及びアラルキルからなる群より選択され;R2がC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル及び式(A)
【化10】

の部分からなる群より選択され;nが2〜14の整数であり;mが0〜2の整数であり;R4がH、α−D−グルコピラノシル、β−D−ピラノシル又はβ−D−ガラクトピラノシルである腐食抑制剤;
c)式(3)による腐食抑制剤であって、
【化11】

式中、R1がC3〜C12の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル又はアリール置換の分枝若しくは直鎖アルキルであり;R2及びR3がそれぞれ独立してC1〜C4のアルキル、ベンジル、C3〜C5のアルケニル及び(CH2p−COO-からなる群より選択され、式中、pが1又は2であり、但し、R2とR3の両方が(CH2p−COO-であることはなく;R4及びR5が独立してC2〜C6のアルキレンより選択され;nが0〜4の整数であり;X-がCl-、Br-、I-、OH-、CH3COO-、1/2SO4-2又は1/3PO4-3であり、但し、式(3)におけるX-部分の数が(CH2p−COO-である各R3については1だけ少なく;さらにnが0であり、R4が(CH22である場合には、R1が直鎖アルキルでないか又はR3が(CH2p−COO-であるか又はその両方である腐食抑制剤;並びに
d)式(4)による腐食抑制剤であって、
【化12】

式中、R1がC3〜C12の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル又はアラルキルであり;R2がC1〜C4のアルキル、ベンジル、C3〜C5のアルケニル及び(CH2p−COO-からなる群より選択され、式中、pが1又は2であり;R4及びR5が独立してC2〜C6のアルキレンより選択され;nが0〜4の整数であり;但し、R2が(CH2p−COO-でない場合にはn≧1である腐食抑制剤
のいずれかを含む腐食性媒体と接触させることを含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)による化合物であって、
【化1】

式中、R1がC4〜C18の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール及びアラルキルからなる群より選択され;R2がC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル及び式(A)
【化2】

の部分からなる群より選択され;R3がC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール又は(CH2p−COO-であって、式中、pが1又は2であり;nが2〜14の整数であり;mが0〜2の整数であり;R4がH、α−D−グルコピラノシル、β−D−ピラノシル又はβ−D−ガラクトピラノシルであり;X-がCl-、Br-、I-、OH-、CH3COO-、1/2SO4-2又は1/3PO4-3であり、但し、式(1)におけるX-部分の数が(CH2p−COO-である各R3については1だけ少なく;さらにR3が(CH2p−COO-でない場合にはR1が直鎖アルキルではない化合物。
【請求項2】
1が式(A)の部分である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(2)による化合物であって、
【化3】

式中、R1がC4〜C18の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール及びアラルキルからなる群より選択され;R2がC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル及び式(A)
【化4】

の部分からなる群より選択され;nが2〜14の整数であり;mが0〜2の整数であり;R4がH、α−D−グルコピラノシル、β−D−ピラノシル又はβ−D−ガラクトピラノシルである化合物。
【請求項4】
1がドデシルである、請求項1又は3に記載の化合物。
【請求項5】
1がココアルキルである、請求項1又は3に記載の化合物。
【請求項6】
1が獣脂である、請求項1又は3に記載の化合物。
【請求項7】
2がメチル又はエチルである、請求項1又は3に記載の化合物。
【請求項8】
2が式(A)の部分である、請求項に記載の化合物。
【請求項9】
2が1−デオキシグルシチルである、請求項1又は3に記載の化合物。
【請求項10】
1がブチル、ヘキシル、オクチル及びドデシルからなる群より選択される、請求項に記載の化合物。
【請求項11】
nが2又は6である、請求項1又は3に記載の化合物。
【請求項12】
式(3)による化合物であって、
【化5】

式中、R1がC3〜C12の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル又はアリール置換の分枝若しくは直鎖アルキルであり;R2及びR3がそれぞれ独立してC1〜C4のアルキル、ベンジル、C3〜C5のアルケニル及び(CH2p−COO-からなる群より選択され、式中、pが1又は2であり、但し、R2とR3の両方が(CH2p−COO-であることはなく;R4及びR5が独立してC2〜C6のアルキレンより選択され;nが0〜4の整数であり;X-がCl-、Br-、I-、OH-、CH3COO-、1/2SO4-2又は1/3PO4-3であり、但し、式(3)におけるX-部分の数が(CH2p−COO-である各R3については1だけ少なく;さらにnが0であり、R4が(CH22である場合には、R1が直鎖アルキルでないか又はR3が(CH2p−COO-であるか又はその両方である化合物。
【請求項13】
1が分枝のC3〜C12アルキルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
3が(CH2p−COO-である、請求項1又は12に記載の化合物。
【請求項15】
式(4)による化合物であって、
【化6】

式中、R1がC3〜C12の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル又はアラルキルであり;R2がC1〜C4のアルキル、ベンジル、C3〜C5のアルケニル及び(CH2p−COO-からなる群より選択され、式中、pが1又は2であり;R4及びR5が独立してC2〜C6のアルキレンより選択され;nが0〜4の整数であり;但し、R2が(CH2p−COO-でない場合にはn≧1である化合物。
【請求項16】
4とR5の両方が(CH22である、請求項12又は15に記載の化合物。
【請求項17】
4とR5の両方が(CH23である、請求項12又は15に記載の化合物。
【請求項18】
4とR5の両方が(CH26である、請求項12又は15に記載の化合物。
【請求項19】
4とR5の両方が(CH23CH(CH3)CH2である、請求項12又は15に記載の化合物。
【請求項20】
金属表面の腐食を低減する方法であって、金属表面を
a)式(1)による腐食抑制剤であって、
【化7】

式中、R1がC4〜C18の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール及びアラルキルからなる群より選択され;R2がC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル及び式(A)
【化8】

の部分からなる群より選択され;R3がC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール又は(CH2p−COO-であって、式中、pが1又は2であり;nが2〜14の整数であり;mが0〜2の整数であり;R4がH、α−D−グルコピラノシル、β−D−ピラノシル又はβ−D−ガラクトピラノシルであり;X-がCl-、Br-、I-、OH-、CH3COO-、1/2SO4-2又は1/3PO4-3であり、但し、式(1)におけるX-部分の数が(CH2p−COO-である各R3については1だけ少なく;さらにR3が(CH2p−COO-でない場合にはR1が直鎖アルキルではない腐食抑制剤;
b)式(2)による腐食抑制剤であって、
【化9】

式中、R1がC4〜C18の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール及びアラルキルからなる群より選択され;R2がC1〜C8のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル及び式(A)
【化10】

の部分からなる群より選択され;nが2〜14の整数であり;mが0〜2の整数であり;R4がH、α−D−グルコピラノシル、β−D−ピラノシル又はβ−D−ガラクトピラノシルである腐食抑制剤;
c)式(3)による腐食抑制剤であって、
【化11】

式中、R1がC3〜C12の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル又はアリール置換の分枝若しくは直鎖アルキルであり;R2及びR3がそれぞれ独立してC1〜C4のアルキル、ベンジル、C3〜C5のアルケニル及び(CH2p−COO-からなる群より選択され、式中、pが1又は2であり、但し、R2とR3の両方が(CH2p−COO-であることはなく;R4及びR5が独立してC2〜C6のアルキレンより選択され;nが0〜4の整数であり;X-がCl-、Br-、I-、OH-、CH3COO-、1/2SO4-2又は1/3PO4-3であり、但し、式(3)におけるX-部分の数が(CH2p−COO-である各R3については1だけ少なく;さらにnが0であり、R4が(CH22である場合には、R1が直鎖アルキルでないか又はR3が(CH2p−COO-であるか又はその両方である腐食抑制剤;並びに
d)式(4)による腐食抑制剤であって、
【化12】

式中、R1がC3〜C12の分枝アルキル、直鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル又はアラルキルであり;R2がC1〜C4のアルキル、ベンジル、C3〜C5のアルケニル及び(CH2p−COO-からなる群より選択され、式中、pが1又は2であり;R4及びR5が独立してC2〜C6のアルキレンより選択され;nが0〜4の整数であり;但し、R2が(CH2p−COO-でない場合にはn≧1である腐食抑制剤
のいずれかを含む腐食性媒体と接触させることを含む方法。

【公開番号】特開2006−249079(P2006−249079A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−36274(P2006−36274)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】