説明

ポリアリーレンの製造方法

【課題】ポリアリーレンの製造方法の提供。
【解決手段】


(Aは、1つもしくは2つの炭化水素で置換され、該炭化水素の炭素数の合計が3〜20であるアミノ基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を、Rは、同一または相異なり、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基等を表わし、隣接する2つのR1が結合して環を形成していてもよい。Xは塩素、臭素又はヨウ素原子を表わす。mは1又は2、kは4−mを表わす。)で示されるジハロベンゼン化合物を含むモノマーを、ニッケル化合物の存在下に、重合して得られるポリアリーレンを、窒素のオキソ酸に接触させることを特徴とするポリアリーレンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアリーレンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スルホン酸基を有するポリアリーレンは、固体高分子型燃料電池用の高分子電解質膜等として有用であり、その製法も幾つか報告されている(特許文献1、2、3、非特許文献1)。本出願人は、主鎖に直接スルホン酸のエステル又はアミド部位を有するモノマーを重合させたポリ(アリーレンスルホン酸)類は、スルホン酸基を有するポリアリーレンの製造中間体として、製造コスト、溶解性の点において特に有用であることを見出した(特願2006−247804)。この出願に記載の重合方法はいわゆる山本反応(非特許文献2)であるが、電子吸引性基が存在している場合、高分子量体を得ることは容易ではない。ポリマーの高分子量化は、例えば膜形成、柔軟性、機械的安定性を向上させるために非常に有利である。
この問題に対して山本らは、モデル系として、カップリング反応中間体であるニッケル錯体Ni(C(bpy)等に着目し、C基のような電子吸引基を含む基質を山本反応でカップリングさせる場合は、反応中間体であるニッケル錯体が安定であり、そこで反応が停止してしまうことを指摘している。その反応を促進させるには、反応後にブレンステッド酸を加えることを報告しており、硫酸、臭化水素酸を特に推奨している。
山本らは、上記知見を山本重合反応に適用し、硫酸及び空気の系で高い分子量を有するポリマーが得られることも報告しているが、モノマーの構造によってはどの酸処理でも有意差がない系もあると報告している(非特許文献3)。
本系のようなスルホン酸誘導体は、スルホン酸が電子吸引性基であり、かつその立体障害により、カップリングを阻害すると考えられるため、例えばC基よりも中間体が安定であり、高分子量体を得ることはより困難であると予想された。
また、得られたポリアリーレンは、最終的に、固体高分子型燃料電池用の高分子電解質膜として利用することを考慮すると、膜を劣化させる鉄、ニッケル等の遷移金属はできるだけ除去しておくことが望ましい。スルホン酸基を有するポリアリーレンの製造中間体の段階においても、鉄、ニッケル等の金属を低減しておくことは高分子電解質膜を製造する上で有利である。
【特許文献1】米国特許第3,376,235号
【特許文献2】特開2003−238665号
【特許文献3】国際公開第2005/075535号
【非特許文献1】Macromol.Rapid Commun.,15,669−676(1994)
【非特許文献2】Chem.Lett.,353(1977)
【非特許文献3】Bull.Chem.Soc.Jpn.,75,1997(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、スルホン酸基を有するポリアリーレンの製造中間体として優れているポリ(アリーレンスルホン酸)類をより高分子量体として得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を続け、スルホン酸基を有するポリアリーレンを製造するための山本重合において、反応後に酸処理する方法を検討した結果、窒素のオキソ酸を接触させることが特に有効であり、他の酸処理よりも高い分子量を有し、かつ、金属含量も低いポリアリーレンが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、式(1)

(式中、Aは、1つもしくは2つの炭化水素で置換され、該炭化水素の炭素数の合計が3〜20であるアミノ基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表わす。ここで、前記炭化水素及び炭素数1〜20のアルコキシ基は、フッ素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基で置換されていてもよい。
は、同一または相異なり、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基又はシアノ基を表わす。ここで、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基及び炭素数2〜20のアシル基は、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい。また、隣接する2つのR1が結合して環を形成していてもよい。
は塩素、臭素又はヨウ素原子を表わす。mは1又は2を表わし、kは4−mを表わす。)
で示されるジハロベンゼン化合物を含むモノマーを、ニッケル化合物の存在下に、重合して得られる式(2)

(式中、A、R、m及びkは前記と同じ意味を表わす。)
で示される繰り返し単位を有するポリアリーレンを、窒素のオキソ酸に接触させることを特徴とするポリアリーレンの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、スルホン酸を有するポリアリーレンの製造中間体として有用なポリ(アリーレンスルホン酸)類を、低金属含量、且つ、高分子量で効率良く提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
まず、式(1)で示されるジハロベンゼン化合物(以下、ジハロベンゼン化合物(1)と略記する。)について説明する。
Aは、1つもしくは2つの炭化水素で置換され、該炭化水素の炭素数の合計が3〜20であるアミノ基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表わす。
【0007】
炭化水素としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、フェニル基、1,3−ブタジエン−1,4−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ビフェニル−2,2’−ジイル基、o−キシリレン基等の炭素数1〜20の炭化水素基が挙げられる。
【0008】
1つもしくは2つの炭化水素で置換され、該炭化水素の炭素数の合計が3〜20であるアミノ基としては、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、2,2−ジメチルプロピルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、n−ウンデシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基、n−トリデシルアミノ基、n−テトラデシルアミノ基、n−ペンタデシルアミノ基、n−ヘキサデシルアミノ基、n−ヘプタデシルアミノ基、n−オクタデシルアミノ基、n−ノナデシルアミノ基、n−イコシルアミノ基、ピロリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、カルバゾリル基、ジヒドロインドリル基、ジヒドロイソインドリル基等が挙げられ、ジエチルアミノ基及びn−ドデシルアミノ基が好ましい。
【0009】
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−イコシルオキシ基等の直鎖状、分枝鎖状もしくは環状の炭素数3〜20のアルコキシ基が挙げられ、イソブトキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基及びシクロヘキシルオキシ基が好ましい。
前記炭化水素及び炭素数1〜20のアルコキシ基は、フッ素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基で置換されていてもよい。
【0010】
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−イコシルオキシ基等の直鎖状、分枝鎖状もしくは環状の炭素数1〜20のアルコキシ基が挙げられる。
【0011】
炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、3−フェナントリル基、2−アントリル基等が挙げられる。炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、3−フェナントリルオキシ基、2−アントリルオキシ基等の前記炭素数6〜20のアリール基と酸素原子とから構成されるものが挙げられる。
【0012】
炭素数2〜20のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等の炭素数2〜20の脂肪族もしくは芳香族アシル基が挙げられる。
【0013】
なかでも、Aとしては、炭素数3〜20の無置換アルコキシ基が好ましく、イソブトキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基及びシクロヘキシルオキシ基がより好ましい。
【0014】
は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基又はシアノ基を表わす。
【0015】
炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等の直鎖状、分枝鎖状もしくは環状の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
【0016】
炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基及び炭素数2〜20のアシル基としては、前記したものと同様のものが挙げられる。
【0017】
かかる炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基及び炭素数2〜20のアシル基は、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよく、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、前記したものと同様のものが挙げられる。
【0018】
が複数の場合、Rは同一の基であってもよいし、異なる基であっていてもよい。また、隣接する2つのR1が結合して環を形成していてもよい。
なかでも、Rとしては、水素原子が好ましい。
【0019】
は塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表わし、塩素原子、臭素原子が好ましい。mは1又は2を表わし、kは4−mを表わす。好ましくは、mは1を表わす。
【0020】
かかるジハロベンゼン化合物(1)としては、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸メチル、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸エチル、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸イソプロピル、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸イソブチル、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸シクロヘキシル、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸n−オクチル、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸n−ペンタデシル、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸n−イコシル、N,N−ジエチル−2,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド、N,N−ジイソプロピル−2,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド、N−(2,2−ジメチルプロピル)−2,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド、N−n−ドデシル−2,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド、N−n−イコシル−2,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド、3,5−ジクロロベンゼンスルホン酸イソプロピル、3,5−ジクロロベンゼンスルホン酸イソブチル、3,5−ジクロロベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、3,5−ジクロロベンゼンスルホン酸シクロヘキシル、3,5−ジクロロベンゼンスルホン酸n−オクチル、3,5−ジクロロベンゼンスルホン酸n−ペンタデシル、3,5−ジクロロベンゼンスルホン酸n−イコシル、N,N−ジエチル−3,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド、N,N−ジイソプロピル−3,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド、N−(2,2−ジメチルプロピル)−3,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド、N−n−ドデシル−3,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド、N−n−イコシル−3,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド、
【0021】
2,5−ジブロモベンゼンスルホン酸メチル、2,5−ジブロモベンゼンスルホン酸エチル、2,5−ジブロモベンゼンスルホン酸イソプロピル、2,5−ジブロモベンゼンスルホン酸イソブチル、2,5−ジブロモベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,5−ジブロモベンゼンスルホン酸シクロヘキシル、2,5−ジブロモベンゼンスルホン酸n−オクチル、2,5−ジブロモベンゼンスルホン酸n−ペンタデシル、2,5−ジブロモベンゼンスルホン酸n−イコシル、N,N−ジエチル−2,5−ジブロモベンゼンスルホンアミド、N,N−ジイソプロピル−2,5−ジブロモベンゼンスルホンアミド、N−(2,2−ジメチルプロピル)−2,5−ジブロモベンゼンスルホンアミド、N−n−ドデシル−2,5−ジブロモベンゼンスルホンアミド、N−n−イコシル−2,5−ジブロモベンゼンスルホンアミド、3,5−ジブロモベンゼンスルホン酸イソプロピル、3,5−ジブロモベンゼンスルホン酸イソブチル、3,5−ジブロモベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、3,5−ジブロモベンゼンスルホン酸シクロヘキシル、3,5−ジブロモベンゼンスルホン酸n−オクチル、3,5−ジブロモベンゼンスルホン酸n−ペンタデシル、3,5−ジブロモベンゼンスルホン酸n−イコシル、N,N−ジエチル−3,5−ジブロモベンゼンスルホンアミド、N,N−ジイソプロピル−3,5−ジブロモベンゼンスルホンアミド、N−(2,2−ジメチルプロピル)−3,5−ジブロモベンゼンスルホンアミド、N−n−ドデシル−3,5−ジブロモベンゼンスルホンアミド、N−n−イコシル−3,5−ジブロモベンゼンスルホンアミド、
【0022】
2,5−ジヨードベンゼンスルホン酸メチル、2,5−ジヨードベンゼンスルホン酸エチル、2,5−ジヨードベンゼンスルホン酸イソプロピル、2,5−ジヨードベンゼンスルホン酸イソブチル、2,5−ジヨードベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,5−ジヨードベンゼンスルホン酸シクロヘキシル、2,5−ジヨードベンゼンスルホン酸n−オクチル、2,5−ジヨードベンゼンスルホン酸n−ペンタデシル、2,5−ジヨードベンゼンスルホン酸n−イコシル、N,N−ジエチル−2,5−ジヨードベンゼンスルホンアミド、N,N−ジイソプロピル−2,5−ジヨードベンゼンスルホンアミド、N−(2,2−ジメチルプロピル)−2,5−ジヨードベンゼンスルホンアミド、N−n−ドデシル−2,5−ジヨードベンゼンスルホンアミド、N−n−イコシル−2,5−ジヨードベンゼンスルホンアミド、3,5−ジヨードベンゼンスルホン酸イソプロピル、3,5−ジヨードベンゼンスルホン酸イソブチル、3,5−ジヨードベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、3,5−ジヨードベンゼンスルホン酸シクロヘキシル、3,5−ジヨードベンゼンスルホン酸n−オクチル、3,5−ジヨードベンゼンスルホン酸n−ペンタデシル、3,5−ジヨードベンゼンスルホン酸n−イコシル、N,N−ジエチル−3,5−ジヨードベンゼンスルホンアミド、N,N−ジイソプロピル−3,5−ジヨードベンゼンスルホンアミド、N−(2,2−ジメチルプロピル)−3,5−ジヨードベンゼンスルホンアミド、N−n−ドデシル−3,5−ジヨードベンゼンスルホンアミド、N−n−イコシル−3,5−ジヨードベンゼンスルホンアミド、
【0023】
2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,4−ジブロモベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,4−ジヨードベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,4−ジクロロ−5−メチルベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,5−ジクロロ−4−メチルベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,4−ジブロモ−5−メチルベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,5−ジブロモ−4−メチルベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,4−ジヨード−5−メチルベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,5−ジヨード−4−メチルベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,4−ジクロロ−5−メトキシベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,5−ジクロロ−4−メトキシベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,4−ジブロモ−5−メトキシベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,5−ジブロモ−4−メトキシベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,4−ジヨード−5−メトキシベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,5−ジヨード−4−メトキシベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、1−(2,5−ジクロロベンゼンスルホニル)ピロリジン等が挙げられる。
【0024】
なかでも、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸イソブチル、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸シクロヘキシル、N,N−ジエチル−2,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド及びN−n−ドデシル−2,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド、2,5−ジブロモベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2,5−ジブロモベンゼンスルホン酸イソブチル、2,5−ジブロモベンゼンスルホン酸シクロヘキシル、N,N−ジエチル−2,5−ジブロモベンゼンスルホンアミド、N−n−ドデシル−2,5−ジブロモベンゼンスルホンアミドが好ましい。
【0025】
ジハロベンゼン化合物(1)を含むモノマーを重合させることにより、ポリアリーレンを製造することができる。また、ジハロベンゼン化合物(1)のみを重合させることにより、ポリアリーレンを製造することもできる。以下、かかるポリアリーレン及びその製造方法について説明する。
【0026】
かかるポリアリーレンの具体例としては、式(2)

(式中、A、R、m及びkは前記と同一の意味を表わす。)
で示される繰り返し単位(以下、繰り返し単位(2)と略記する。)を含むポリアリーレン、前記繰り返し単位(2)のみからなるポリアリーレン、
【0027】
前記繰り返し単位(2)と式(4)

(式中、a、b及びcは同一又は相異なって、0又は1を表わし、nは5以上の整数を表わす。Ar、Ar、Ar及びArは、同一又は相異なって、2価の芳香族基を表わす。ここで、2価の芳香族基は、
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基;
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基;
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基;
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基;及び、
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数2〜20のアシル基;
からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい。
及びYは同一又は相異なって、単結合、カルボニル基、スルホニル基、2,2−イソプロピリデン基、2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン基又はフルオレン−9,9−ジイル基を表わす。
及びZは同一又は相異なって、酸素原子又は硫黄原子を表わす。)
で示されるセグメント(以下、セグメント(4)と略記する。)とを含むポリアリーレン、
【0028】
前記繰り返し単位(2)と式(6)

(式中、Arは、2価の芳香族基を表わす。
ここで、2価の芳香族基は、
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基;
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基;
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基;
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基;及び、
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数2〜20のアシル基;
からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい。)
で示される繰り返し単位(以下、繰り返し単位(6)と略記する。)とを含むポリアリーレン等が挙げられる。
【0029】
かかる繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンは、通常該繰り返し単位(2)が少なくとも2個連続している。
【0030】
繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンは、繰り返し単位(2)以外の繰り返し単位やセグメントを含んでいてもよい。繰り返し単位(2)とセグメント(4)とを含むポリアリーレンは、繰り返し単位(2)とセグメント(4)のみからなるポリアリーレンであってもよいし、繰り返し単位(2)とセグメント(4)に加えて、繰り返し単位(2)とセグメント(4)以外の繰り返し単位やセグメントを含んでいてもよい。繰り返し単位(2)と繰り返し単位(6)とを含むポリアリーレンは、繰り返し単位(2)と繰り返し単位(6)のみからなるポリアリーレンであってもよいし、繰り返し単位(2)と繰り返し単位(6)に加えて、繰り返し単位(2)と繰り返し単位(6)以外の繰り返し単位やセグメントを含んでいてもよい。
【0031】
これらポリアリーレンのポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常1,000〜1,000,000である。
【0032】
繰り返し単位(2)の具体例としては、例えば、下記式(2a)〜(2e)で示される繰り返し単位が挙げられる。

【0033】
セグメント(4)中の2価の芳香族基としては、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族基;ナフタレン−1,3−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−1,6−ジイル基、ナフタレン−1,7−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基等の2価の縮合環系芳香族基;ピリジン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,6−ジイル基、キノキサリン−2,6−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基等の2価のヘテロ芳香族基;などが挙げられる。
なかでも、2価の単環性芳香族基及び2価の縮合環系芳香族基が好ましく、1,4−フェニレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基及びナフタレン−2,7−ジイル基がより好ましい。
【0034】
前記2価の芳香族基は、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基;フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基;フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基;及び、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数2〜20のアシル基;からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい。
【0035】
かかる炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基及び炭素数2〜20のアシル基としては、前記したものと同様のものが挙げられる。
【0036】
セグメント(4)の具体例としては、下記式(4a)〜(4y)で示されるセグメントが挙げられる。なお、下記式中、nは上記と同一の意味を表わし、nは5以上が好ましく、より好ましくは10以上である。かかるセグメント(4)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常2,000以上であり、好ましくは3,000以上である。

【0037】

【0038】

【0039】

【0040】

【0041】

【0042】

【0043】
繰り返し単位(2)とセグメント(4)とを含むポリアリーレンとしては、例えば、前記式(2a)〜(2e)で示される繰り返し単位のうちのいずれか一つの繰り返し単位と前記式(4a)〜(4y)で示されるセグメントのうちのいずれか一つのセグメントとを含むポリアリーレンが挙げられる。具体的には、例えば、下記式(I)〜(VII)で示されるポリアリーレンが挙げられる。ここで、下記式中、nは前記と同一の意味を表わし、pは2以上の整数を表わす。

【0044】

【0045】
繰り返し単位(2)とセグメント(4)とを含むポリアリーレン中の繰り返し単位(2)の量は、5重量%以上、95重量%以下が好ましく、30重量%以上、90重量%以下がより好ましい。繰り返し単位(2)とセグメント(4)とを含むポリアリーレン中のセグメント(4)の量は、5重量%以上、95重量%以下が好ましく、10重量%以上、70重量%以下がより好ましい。
【0046】
繰り返し単位(6)における2価の芳香族基としては、前記セグメント(4)中の2価の芳香族基と同様のものが挙げられる。かかる2価の芳香族基は、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基;フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基;フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基;及び、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数2〜20のアシル基;からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい。炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、上記したものと同様のものが挙げられる。
【0047】
繰り返し単位(6)の具体例としては、例えば、下記式(6a)及び(6b)で示される繰り返し単位が挙げられる。

【0048】
繰り返し単位(2)と繰り返し単位(6)とを含むポリアリーレンとしては、例えば、前記式(2a)〜(2e)で示される繰り返し単位のうちのいずれか一つの繰り返し単位と前記式(6a)〜(6b)で示される繰り返し単位のうちのいずれか一つの繰り返し単位とを含むポリアリーレンが挙げられる。具体的には、例えば、下記式(VIII)〜(XI)で示されるポリアリーレンが挙げられる。

【0049】
かかる繰り返し単位(2)と繰り返し単位(6)とを含むポリアリーレン中の繰り返し単位(2)の量は、5重量%以上、95重量%以下が好ましく、30重量%以上、90重量%以下がより好ましい。繰り返し単位(2)と繰り返し単位(6)とを含むポリアリーレン中の繰り返し単位(6)の量は、5重量%以上、95重量%以下が好ましく、10重量%以上、70重量%以下がより好ましい。
【0050】
繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンは、ジハロベンゼン化合物(1)を含むモノマーを、ニッケル化合物の存在下に重合させることにより製造することができる。繰り返し単位(2)のみからなるポリアリーレンは、ジハロベンゼン化合物(1)のみを、ニッケル化合物の存在下に重合させることにより製造することができる。繰り返し単位(2)とセグメント(4)とを含むポリアリーレンは、ジハロベンゼン化合物(1)と式(3)

(式中、a、b、c、n、Ar、Ar、Ar、Ar、Y、Y、Z及びZは前記と同一の意味を表わす。Xは塩素、臭素又はヨウ素原子を表わす。)
で示される化合物(以下、化合物(3)と略記する。)とを含むモノマーを、ニッケル化合物の存在下に重合させることにより製造することができる。また、ジハロベンゼン化合物(1)のみをニッケル化合物の存在下に重合させた後、化合物(3)を加えてさらに重合反応を行うことにより、繰り返し単位(2)とセグメント(4)とを含むポリアリーレンを製造することもできる。
【0051】
繰り返し単位(2)と繰り返し単位(6)とを含むポリアリーレンは、ジハロベンゼン化合物(1)と式(5)

(式中、Arは前記と同一の意味を表わし、Xは塩素、臭素又はヨウ素原子を表わす。)
で示される化合物(以下、化合物(5)と略記する。)とを含むモノマーを、ニッケル化合物の存在下に重合させることにより製造することができる。
【0052】
化合物(3)としては、例えば、下記に示す化合物及び下記に示す化合物の両末端の塩素原子が臭素原子に代わった化合物等が挙げられる。

【0053】

【0054】

【0055】

【0056】

【0057】

かかる化合物(3)は、例えば、日本特許第2745727号公報等の公知の方法に準じて製造したものを用いてもよいし、市販されているものを用いてもよい。市販されているものとしては、例えば、住友化学株式会社製スミカエクセルPES等が挙げられる。
化合物(3)としては、ポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上のものを用いることが好ましく、3,000以上であるものがより好ましい。
【0058】
化合物(5)としては、例えば、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエン、3,5−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,5−ジブロモトルエン、3,5−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、2,5−ジヨードトルエン、3,5−ジヨードトルエン、1,3−ジクロロ−4−メトキシベンゼン、1,4−ジクロロ−3−メトキシベンゼン、1,3−ジブロモ−4−メトキシベンゼン、1,4−ジブロモ−3−メトキシベンゼン、1,3−ジヨード−4−メトキシベンゼン、1,4−ジヨード−3−メトキシベンゼン、1,3−ジクロロ−4−アセトキシベンゼン、1,4−ジクロロ−3−アセトキシベンゼン、1,3−ジブロモ−4−アセトキシベンゼン、1,4−ジブロモ−3−アセトキシベンゼン、1,3−ジヨード−4−アセトキシベンゼン、1,4−ジヨード−3−アセトキシベンゼン、2,5−ジクロロ−4’−フェノキシベンゾフェノン等が挙げられる。
かかる化合物(5)は、通常市販されているものが用いられる。
【0059】
モノマー中のジハロベンゼン化合物(1)の含量を適宜調整することにより、得られるポリアリーレン中の繰り返し単位(2)の含量を調整することができる。
【0060】
ニッケル化合物としては、例えば、ニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)、ニッケル(0)(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)、ニッケル(0)テトラキス(トリフェニルホスフィン)等のゼロ価ニッケル化合物、ハロゲン化ニッケル(例えば、フッ化ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル等)、ニッケルカルボン酸塩(例えば、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケル等)、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトナート、(ジメトキシエタン)塩化ニッケル等の2価ニッケル化合物が挙げられ、ニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)及びハロゲン化ニッケルが好ましい。
【0061】
ニッケル化合物の使用量が少ないと、分子量の小さいポリアリーレンが得られやすく、また、使用量が多いと、分子量の大きいポリアリーレンが得られやすいため、目的とするポリアリーレンの分子量に応じて、ニッケル化合物の使用量を決めればよい。ニッケル化合物の使用量は、通常、モノマー1モルに対して、0.4〜5モルである。ここで、モノマー中のモノマーとは、モノマー中に含まれるジハロベンゼン化合物、化合物(3)、化合物(5)等の重合反応に関与するモノマーを意味する。
【0062】
ニッケル化合物と含窒素二座配位子の存在下に重合反応を実施することが好ましい。含窒素二座配位子としては、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、メチレンビスオキサゾリン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられ、2,2’−ビピリジンが好ましい。含窒素二座配位子を用いる場合のその使用量は、ニッケル化合物1モルに対して、通常0.2〜2モル、好ましくは1〜1.5モルである。
【0063】
ニッケル化合物として、2価ニッケル化合物を用いる場合は、通常亜鉛が併用される。亜鉛は、通常粉末状のものが用いられる。亜鉛を用いる場合のその使用量は、モノマー1モルに対して、通常1モル以上であり、その上限は特に制限されないが、多すぎると、重合反応後の後処理が面倒になり、また経済的にも不利になるため、実用的には10モル以下、好ましくは5モル以下である。
【0064】
また、ニッケル化合物として、ゼロ価ニッケル化合物を用いる場合であって、ゼロ価ニッケル化合物の使用量が、モノマー1モルに対して、1モル未満であるときは、亜鉛の共存下に重合反応が実施される。亜鉛は、通常粉末状のものが用いられる。亜鉛を用いる場合のその使用量は、モノマー1モルに対して、通常1モル以上であり、その上限は特に制限されないが、多すぎると、重合反応後の後処理が面倒になり、また経済的にも不利になるため、実用的には10モル以下、好ましくは5モル以下である。
【0065】
重合反応は、通常溶媒の存在下に実施される。溶媒としては、モノマー及び生成するポリアリーレンが溶解し得る溶媒であればよい。かかる溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒;ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒等が挙げられる。かかる溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、エーテル溶媒及び非プロトン性極性溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン及びN,N−ジメチルアセトアミドがより好ましい。溶媒の使用量は、多すぎると、分子量の小さなポリアリーレンが得られやすく、少なすぎると、反応混合物の性状が悪くなりやすいため、モノマー中のモノマーに対して、通常1〜200重量倍、好ましくは5〜100重量倍である。
【0066】
重合反応は、通常、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で実施される。
重合温度は、通常0〜250℃であり、好ましくは30〜100℃である。重合時間は、通常0.5〜48時間である。
【0067】
重合反応終了後、ポリアリーレン溶液を、窒素のオキソ酸を接触させることで、他の酸処理よりも高い分子量を有するポリアリーレンが得られる。窒素のオキソ酸としては、硝酸または亜硝酸もしくはその混合使用が挙げられる。硝酸の濃度としては特に制限されないが、通常70%以下の水溶液で使用することが好ましい。硝酸使用量は、重合反応で使用している金属分を溶解させるため、通常、使用している合計金属量に対して0.05〜100当量、好ましくは、0.2〜20モル当量である。硝酸の発生方法としては五酸化二窒素を水に溶解させてもよい。
窒素下で硝酸と接触させると、分子量向上に長時間を有する場合があるので、空気下で実施することが好ましい。処理に要する時間は通常、数分から48時間程度である。
【0068】
亜硝酸も、硝酸と同等の高い分子量のポリアリーレンを得ることができ、硝酸を使用する場合よりも、少ない量でかつ短時間で高い分子量のポリアリーレンを得ることができるのでより有効である。亜硝酸は水溶液でも不安定なため亜硝酸塩と酸を使用し系内で調製する。亜硝酸塩としては、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム等が挙げられる。取扱やすい水溶液で使用しても差し支えない。その使用量は、通常、モノマーに対して0.01〜100モル当量、好ましくは、0.1〜10モル当量である。
亜硝酸の場合は窒素下でも空気下でも要する処理時間は、大きく変わらない。共存する物質の性質に応じて、気体を選択すればよい。可燃性物質が存在する場合は窒素下で実施することが望ましい。処理に要する時間は通常、数分から48時間程度である。
【0069】
亜硝酸塩と同時に使用する酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の水に溶解する酸が好ましい。特に、経済性の面で、硝酸、硫酸、塩酸が好ましい。酸の使用量としては、重合反応で使用している金属分を溶解させるため、通常、使用している合計金属量に対して0.1〜100当量、好ましくは、0.2〜20モル当量である。
窒素のオキソ酸を系内で調整する方法として窒素酸化物のガスを吹き込んでもよい。
窒素のオキソ酸と他の酸種を混合して利用してもよい。また、亜硝酸塩と同時に使用する酸種は、二種類以上混合して使用しても差し支えない。
【0070】
重合後の溶液と窒素のオキソ酸を接触させる方法としては、特に限定されないが、窒素のオキソ酸水溶液に重合後の溶液を加える方法や、水や水溶性有機溶媒に重合後の溶液を加えてポリマーを析出させ窒素のオキソ酸を加える方法、水や水溶性有機溶媒に亜硝酸塩を加えてから重合後の溶液を加え最後に酸を加える方法、などが挙げられる。水や水溶性有機溶媒としては水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトニトリル等が挙げられ、水及びメタノールが好ましい。
【0071】
また、重合後の溶液を貧溶媒と接触させてポリアリーレン混合物を析出させ、ポリアリーレン混合物を濾別したあとに、窒素のオキソ酸と接触させても高い分子量のポリアリーレンを得ることができる。一旦、濾別することにより重合に使用した溶媒を除去できるが、その利点としては、窒素のオキソ酸や同時に使用する酸が重合に使用した溶媒に対して混合危険がある場合に、その危険を回避できることであり、特に工業的に有利である。貧溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトニトリル等の水溶性有機溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒が挙げられ、水及びメタノールが好ましい。
ポリアリーレン混合物と窒素のオキソ酸を接触させる前に、ポリアリーレン混合物を溶媒と混合し懸濁させてもよい。混合させる溶媒としては、酸と任意の割合で混合する親水性の溶媒が好ましい。水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトニトリル等の水溶性有機溶媒が挙げられ、特に工業的には水が好ましい。
【0072】
窒素のオキソ酸と重合後の溶液を接触させた後は、ポリアリーレンが析出していれば、そのまま濾別してポリアリーレンを取り出すことができる。析出していなければ、さらに貧溶媒を加えてポリマーを析出させ、濾別して取り出すことができる。貧溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトニトリル等が挙げられ、水及びメタノールが好ましい。接触させる温度は、通常、0℃から100℃の範囲であり、好ましくは5℃〜70℃である。接触させる時間は、通常、1分〜48時間である。
濾別する装置が金属製の場合、強酸性雰囲気下では装置が腐食するため、濾別する前に塩基性物質により中和してもよい。そのpHは1〜11が好ましく、より好ましくは3〜9である。使用する塩基は特に限定されないが、無機塩基、有機塩基が使用できる。無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどのアルカリ金属炭酸塩やアンモニア等が挙げられ、有機塩基としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン等が挙げられ、特に、経済性の面で、安価な水酸化ナトリウム、水酸化リチウムが好ましい。
濾別した後は必要に応じて、水洗浄や有機溶媒等で洗浄してもよい。有機溶媒としては水と混合する溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトニトリル等が挙げられ、メタノールが好ましい。
【0073】
以上のようにして得られたポリアリーレンの分子量や構造は、ゲル浸透クロマトグラフィ、NMR等の通常の分析手段により分析することができる。
【0074】
繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンから式(7)


(式中、R、m及びkは前記と同一の意味を表わす。)
で示される繰り返し単位(以下、繰り返し単位(7)と略記する。)を含むポリアリーレンへの変換は、
繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンを、酸もしくはアルカリの存在下に加水分解する方法、繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンとアルカリ金属ハロゲン化物もしくはハロゲン化第四級アンモニウムとを反応させ、次いで酸処理する方法が挙げられる。
【0075】
かかる方法により、繰り返し単位(2)のみからなるポリアリーレンは、繰り返し単位(7)のみからなるポリアリーレンに変換でき、繰り返し単位(2)とセグメント(4)とを含むポリアリーレンは、繰り返し単位(7)とセグメント(4)とを含むポリアリーレンに変換できる。また、繰り返し単位(2)と繰り返し単位(6)とを含むポリアリーレンは、繰り返し単位(7)と繰り返し単位(6)とを含むポリアリーレンに変換できる。
【0076】
以下、繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンを、酸もしくはアルカリの存在下に加水分解する方法について説明する。
繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンの加水分解反応は、通常、繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンと酸もしくはアルカリの水溶液とを混合することにより実施される。酸の水溶液としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸の水溶液が挙げられ、アルカリの水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液が挙げられる。好ましくは、酸の水溶液が用いられ、塩酸を用いることがより好ましい。酸もしくはアルカリの使用量は、繰り返し単位(2)を含むポリアリーレン中の−SOAで示される基1モルに対して、通常1モル以上であればよく、その上限は特に限定されない。
【0077】
加水分解反応は、溶媒の存在下に実施してもよく、かかる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等の親水性アルコール溶媒が挙げられる。かかる溶媒の使用量は特に制限されない。
加水分解温度は、通常0〜250℃、好ましくは40〜120℃である。加水分解時間は、通常1〜48時間である。
反応の進行は、例えば、NMR、IR等により確認することができる。
繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンを酸の存在下に加水分解した場合には、加水分解反応終了後、通常繰り返し単位(7)を含むポリアリーレンが反応混合物中に析出しており、反応混合物を濾過することにより、繰り返し単位(7)を含むポリアリーレンを取り出すことができる。繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンをアルカリの存在下に加水分解した場合には、反応混合物と酸を混合することにより、反応混合物を酸性化し、繰り返し単位(7)を含むポリアリーレンを反応混合物中に析出させた後、反応混合物を濾過することにより、繰り返し単位(7)を含むポリアリーレンを取り出すことができる。
【0078】
繰り返し単位(2)とセグメント(4)とを含むポリアリーレンについて、上記と同様に実施することにより、繰り返し単位(7)とセグメント(4)とを含むポリアリーレンが得られる。また、繰り返し単位(2)と繰り返し単位(6)とを含むポリアリーレンについて、上記と同様に実施することにより、繰り返し単位(7)と繰り返し単位(6)とを含むポリアリーレンを得ることができる。
【0079】
続いて、繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンとアルカリ金属ハロゲン化物もしくはハロゲン化第四級アンモニウムとを反応させ、次いで酸処理する方法について説明する。
アルカリ金属ハロゲン化物としては、例えば、臭化リチウム、ヨウ化ナトリウム等が挙げられ、ハロゲン化第四級アンモニウムとしては、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等が挙げられ、臭化リチウム及び臭化テトラブチルアンモニウムが好ましい。
【0080】
アルカリ金属ハロゲン化物もしくはハロゲン化第四級アンモニウムの使用量は、繰り返し単位(2)を含むポリアリーレン中の−SOAで示される基1モルに対して、通常1モル以上であればよく、その上限は特に限定されない。
繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンとアルカリ金属ハロゲン化物もしくはハロゲン化第四級アンモニウムとの反応は、通常、溶媒の存在下に、繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンとアルカリ金属ハロゲン化物もしくはハロゲン化第四級アンモニウムとを混合することにより実施される。溶媒としては、繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンを溶解し得る溶媒であればよく、前記した重合反応に用いられる溶媒と同様のものが挙げられる。かかる溶媒の使用量は、少ないと反応混合物の性状が悪くなりやすく、多すぎると、得られる繰り返し単位(7)を含むポリアリーレンの濾過性が悪くなりやすいため、繰り返し単位(2)を含むポリアリーレンに対して、通常1〜200重量倍、好ましくは5〜50重量倍である。
【0081】
反応温度は、通常0〜250℃、好ましくは100〜160℃である。反応時間は、通常1〜48時間である。
反応の進行は、NMR、IR等により確認することができる。
反応終了後、反応混合物を酸処理し、濾過することにより、繰り返し単位(7)を含むポリアリーレンを取り出すことができる。
酸処理は、通常反応混合物と酸を混合することにより実施される。酸としては、例えば、塩酸、硫酸等が挙げられる。酸の使用量は、反応混合物を酸性化するに足る量であればよい。
【0082】
繰り返し単位(2)のみからなるポリアリーレンについて、上記と同様に実施することにより、繰り返し単位(7)のみからなるポリアリーレンが得られる。
繰り返し単位(2)とセグメント(4)とを含むポリアリーレンについて、上記と同様に実施することにより、繰り返し単位(7)とセグメント(4)とを含むポリアリーレンが得られる。また、繰り返し単位(2)と繰り返し単位(6)とを含むポリアリーレンについて、上記と同様に実施することにより、繰り返し単位(7)と繰り返し単位(6)とを含むポリアリーレンを得ることができる。
【0083】
かくして得られる繰り返し単位(7)を含むポリアリーレンもしくは繰り返し単位(7)のみからなるポリアリーレンのイオン交換容量(滴定法により測定)は、通常0.5〜8.5meq/gである。
【0084】


モノマーであるジハロベンゼン化合物(1)の製造は、例えば、
ジハロベンゼン化合物(1)は、第3級アミン化合物又はピリジン化合物の存在下に、式(8)

(式中、R、X、m及びkは前記と同一の意味を表わす。)
で示される化合物(以下、化合物(8)と略記する。)と式(9)

(式中、Aは、前記と同一の意味を表わす。)
で示される化合物(以下、化合物(9)と略記する。)とを反応させることにより製造することができる。
【0085】
化合物(8)としては、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸クロリド、3,5−ジクロロベンゼンスルホン酸クロリド、2,5−ジブロモベンゼンスルホン酸クロリド、3,5−ジブロモベンゼンスルホン酸クロリド等が挙げられる。かかる化合物(8)としては、通常市販されているものが用いられる。
【0086】
化合物(9)としては、イソプロパノール、イソブタノール、2,2−ジメチルプロパノール、シクロヘキサノール、n−オクタノール、n−ペンタデカノール、n−イコサノール、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、2,2−ジメチルプロピルアミン、n−ドデシルアミン、n−イコシルアミン等が挙げられる。かかる化合物(9)としては、通常市販されているものが用いられる。
化合物(9)の使用量は、化合物(8)中の−SOClで示される基1モルに対して、通常0.2モル以上であり、その上限は特になく、化合物(9)が反応温度において液体である場合には、反応溶媒を兼ねて大過剰量用いてもよい。実用的な化合物(9)の使用量は、化合物(8)中の−SOClで示される基1モルに対して、0.5〜2モルである。
【0087】
第3級アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ(n−プロピル)アミン、トリ(n−ブチル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ(n−オクチル)アミン、トリ(n−デシル)アミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルピロリジン等が挙げられる。第3級アミン化合物は、通常、市販されているものが用いられる。第3級アミン化合物の使用量は、化合物(8)中の−SOClで示される基1モルに対して、通常1モル以上であり、その上限は特になく、第3級アミン化合物が反応温度において液体である場合には、反応溶媒を兼ねて大過剰量用いてもよい。実用的な第3級アミン化合物の使用量は、化合物(8)中の−SOClで示される基1モルに対して、1〜30モル、好ましくは1〜20モル、さらに好ましくは1〜10モルである。
【0088】
ピリジン化合物としては、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。ピリジン化合物は、通常市販されているものが用いられる。ピリジン化合物の使用量は、化合物(8)中の−SOClで示される基1モルに対して、通常1モル以上であり、その上限は特になく、ピリジン化合物が反応温度において液体である場合には、反応溶媒を兼ねて大過剰量用いてもよい。実用的なピリジン化合物の使用量は、化合物(8)中の−SOClで示される基1モルに対して、1〜30モル、好ましくは1〜20モル、さらに好ましくは1〜10モルである。
【0089】
化合物(8)と化合物(9)との反応は、通常、溶媒の存在下に、化合物(8)と化合物(9)と第3級アミン化合物もしくはピリジン化合物とを混合することにより実施される。混合順序は特に制限されない。
溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒;ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒等が挙げられる。また、上記したとおり、化合物(9)、第3級アミン化合物もしくはピリジン化合物が、反応温度において液体である場合には、これらを反応溶媒として用いてもよい。かかる溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。溶媒の使用量は特に制限されない。
【0090】
化合物(8)と化合物(9)との反応温度は、通常−30〜150℃、好ましくは−10〜70℃である。反応時間は、通常0.5〜24時間である。
反応終了後、例えば、反応混合物に、水もしくは酸の水溶液、及び、必要に応じて、水に不溶の有機溶媒を加えて、抽出処理することにより、ジハロベンゼン化合物(1)を含む有機層を得ることができる。得られた有機層を、必要に応じて、水、アルカリ水溶液等で洗浄した後、濃縮することにより、ジハロベンゼン化合物(1)を取り出すことができる。取り出したジハロベンゼン化合物(1)は、シリカゲルクロマトグラフィ、再結晶等の通常の精製手段によりさらに精製してもよい。
水に不溶の有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒等が挙げられ、その使用量は特に制限されない。
【0091】
ジハロベンゼン化合物(1)は、化合物(8)と式(10)

(式中、Aは、前記と同一の意味を表わす。Mはアルカリ金属原子を表わす。)
で示される化合物(以下、化合物(10)と略記する。)とを反応させることにより製造することもできる。
アルカリ金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられ、リチウム及びナトリウムが好ましい。
化合物(10)としては、リチウムイソプロポキシド、リチウムイソブトキシド、リチウム2,2−ジメチルプロポキシド、リチウムシクロヘキシルオキシド、リチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウム2,2−ジメチルプロピルアミド、リチウムn−ドデシルアミド、リチウムn−イコシルアミド、ナトリウムイソブトキシド、カリウムイソブトキシド等が挙げられる。化合物(10)は、市販されているものを用いてもよいし、公知の方法に準じて製造したものを用いてもよい。
化合物(10)の使用量は、化合物(8)中の−SOClで示される基1モルに対して、通常0.2〜2モルである。
【0092】
化合物(8)と化合物(10)との反応は、通常、溶媒の存在下に、化合物(8)と化合物(10)とを混合することにより実施される。混合順序は特に制限されない。
溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒;ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒等が挙げられる。かかる溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。溶媒の使用量は特に制限されない。
【0093】
化合物(8)と化合物(10)との反応温度は、通常−30〜150℃、好ましくは−10〜70℃である。反応時間は、通常0.5〜24時間である。
反応終了後、反応混合物に水、及び、必要に応じて、水に不溶の有機溶媒を加えて、抽出処理することにより、ジハロベンゼン化合物(1)を含む有機層を得ることができる。得られた有機層を、必要に応じて、水等で洗浄した後、濃縮することにより、ジハロベンゼン化合物(1)を取り出すことができる。取り出したジハロベンゼン化合物(1)は、シリカゲルクロマトグラフィ、再結晶等の通常の精製手段によりさらに精製してもよい。
水に不溶の有機溶媒としては、上記したものと同様のものが挙げられる。
【実施例】
【0094】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。得られたポリアリーレンを、ゲル浸透クロマトグラフィにより分析(分析条件は下記のとおり)し、分析結果からポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を算出した。
<分析条件>
測定装置:HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
カラム:TSK−GEL(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:臭化リチウム含有N,N−ジメチルアセトアミド(臭化リチウム濃度:10mmol/dm
流量:0.5mL/分
検出波長:300nm
ポリアリーレンの金属含量は、株式会社住化分析センター 大阪事業所に委託して分析した。
<分析条件>
硫硝酸分解−塩酸溶解−ICP発光分析
【0095】
[実施例1]
窒素置換した反応容器を使用し、無水塩化ニッケル10.9gとジメチルスルホキシド110gとを混合し、内温70℃に昇温し1時間攪拌した。これを50℃に冷却し、2,2’−ビピリジン14.5gを加え、同温度で10分撹拌しニッケル含有溶液を調製した。
窒素置換した反応容器を使用し、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)9.97gをジメチルスルホキシド150gに溶解させて50℃に調整した。得られた溶液に、亜鉛粉末8.25gを加え、これに、前記ニッケル含有溶液を注ぎ込み、ついで70℃に昇温して2時間重合反応を行い、黒色の重合溶液304gを得た。
反応容器に23%硝酸水40gを加え、上記で調製した重合溶液14.8gを空気中、室温で注ぎ込み、30分攪拌した。析出固体の色目はただちに数分で赤黒色から灰色に変化した。得られた混合物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して下記式

で示される繰り返し単位を含むポリアリーレン0.34gを灰白色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率92%、Mw192,000、Mn39,000。
H−NMR((CDSO,δ(ppm)):0.08−1.05(br),3.80−4.00(br),7.00−8.50(c)固体中の金属含量:Ni 0.1重量%、Zn 0.01重量%未満。
【0096】
[比較例1]
反応容器に20%硫酸水40gを加え、空気中で、上記の重合溶液15.0gを室温で注ぎ込み、30分攪拌した。析出固体の色目は赤黒色であり変化なかった。得られた混合物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して、実施例1で示したものと同様の構造をもつポリアリーレン0.40gを赤褐色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率107%、Mw56,000、Mn22,000。固体中の金属含量:Ni 3.0重量%、Zn 0.02重量%。
【0097】
[比較例2]
反応容器に18.9%塩酸水40gを加え、実施例1で調製した重合溶液15.3gを空気中、室温で注ぎ込み、30分攪拌した。析出固体の色目は赤黒色のままであった。得られた混合物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して実施例1で示したものと同様の繰り返し単位を含むポリアリーレン0.40gを赤褐色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率96%、Mw52,000、Mn20,000。固体中の金属含量:Ni 2.7重量%、Zn 0.01重量%。
【0098】
[比較例3]
反応容器に24%臭化水素水40gを加え、実施例1で調製した重合溶液14.3gを空気中、室温で注ぎ込み、30分攪拌した。析出固体の色目は赤黒色のままであった。得られた混合物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して実施例1で示したものと同様の繰り返し単位を含むポリアリーレン0.35gを赤褐色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率98%、Mw62,000、Mn22,000。固体中の金属含量:Ni 2.1重量%、Zn 0.05重量%。
【0099】
[比較例4]
反応容器に21%リン酸水40gを仕込み、実施例1で調製した重合溶液14.7gを空気中、室温で注ぎ込み、30分攪拌した。析出固体の色目は赤黒色のままであった。得られた混合物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して実施例1で示したものと同様の繰り返し単位を含むポリアリーレン0.39gを赤褐色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率106%、Mw69,000、Mn24,000。固体中の金属含量:Ni 3.0重量%、Zn 0.15重量%。
【0100】
【表1】

【0101】
[実施例2]
窒素置換した反応容器を使用し、無水塩化ニッケル11.0gとジメチルスルホキシド110gとを混合後、70℃に昇温し2時間攪拌した。これを50℃に冷却し、2,2’−ビピリジン14.5gを加え、水85μgを加え、同温度で10分攪拌しニッケル含有溶液を調製した。
窒素置換した反応容器を使用し、下記式


で示されるスミカエクセルPES 5200P(住友化学株式会社製;Mw=63,000、Mn=30,000:上記分析条件で測定)4.94gとジメチルスルホキシド150gを混合後、50℃に昇温し、1時間攪拌した。得られた溶液に、亜鉛粉末8.3gを加え、これに、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)10.0gを加えた。得られた混合溶液に、前記ニッケル含有溶液を注ぎ込み、ついで70℃に昇温して2時間重合反応を行い、黒色の重合溶液310gを得た。
反応容器に室温、空気中で、水80gを加え、さらに、上記で調製した重合溶液62.3gを注ぎ込み、15分攪拌した。析出固体の色目は赤黒色であり変化なかった。得られた混合溶液に70%硝酸水14.7gを加えた。得られた混合溶液を3時間室温で攪拌した。析出固体の色目は硝酸混合直後は赤黒色であったが、次第に薄褐色となり3時間目には灰色となった。析出物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して、下記式


で示される繰り返し単位と下記式

で示されるセグメントとを含むポリアリーレン2.52gを灰白色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率100%、Mw242,000、Mn52,000、固体中の金属含量:Ni 0.06重量%、Zn 0.01重量%未満。
H−NMR((CDSO,δ(ppm)):0.08−1.05(br),3.80−4.00(br),7.25(d),8.00(d),7.00−8.50(c)
【0102】
[実施例3]
反応容器に室温、空気中で、水80gを仕込み、亜硝酸ナトリウム0.23gを溶解させた。実施例2で得られた重合溶液62.3gを注ぎ込み、15分攪拌した。析出固体の色目は赤黒色であり変化なかった。得られた混合溶液に20%硫酸水21gを10分かけて加えた。析出固体の色目は硫酸を加えると次第に白色へ変化し、加え終わった直後の析出固体の色目は薄桃白色であった。30分攪拌後、析出物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して、実施例2と同様の構造を有するポリアリーレン2.56gを白色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率102%、Mw247,000、Mn53,000。固体中の金属含量:Ni 0.05重量%、Zn 0.01重量%未満。
【0103】
[比較例5]
反応容器に室温、空気中で、水80gを仕込んだ。実施例2で調製した重合溶液62.3gを注ぎ込み、15分攪拌した。析出固体の色目は赤黒色であり変化なかった。得られた混合溶液に20%硫酸水86gを15分かけて加え3時間室温で攪拌した。析出固体の色目は赤黒色のままであり変化なかった。析出物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して、実施例2と同様の構造を有するポリアリーレン2.93gを赤褐色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率117%、Mw163,000、Mn45,000、固体中の金属含量:Ni 1.5重量%、Zn 0.01重量%未満。
【0104】
[実施例4]
反応容器に室温、空気中で、水50gを加え、亜硝酸ナトリウム0.15gを溶解させた。反応容器内を窒素置換した。実施例2で得られた重合溶液37.1gを注ぎ込み、15分攪拌した。析出固体の色目は赤黒色であり変化なかった。得られた混合溶液中に窒素を15分吹き込んだ後、70%硝酸水8.3gを加えた。析出固体の色目は硝酸仕込み後に、薄赤褐色に変化した。さらに亜硝酸ナトリウム0.14gを加えた。析出固体の色目は直ちに灰色となった。5分攪拌後、析出物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して、実施例2と同様の構造を有するポリアリーレン1.52gを灰白色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率102%、Mw240,000、Mn51,000。固体中の金属含量:Ni 0.05重量%、Zn 0.01重量%未満。
【0105】
[実施例5]
反応容器に室温で、水50gを加え、窒素置換した。実施例2で得られた重合溶液37gを注ぎ込み、15分攪拌した。析出固体の色目は赤黒色であり変化なかった。得られた混合溶液中に窒素を15分吹き込んだ後、70%硝酸水9.2gを加えた。析出固体の色目は硝酸仕込み後に、薄赤褐色に変化した。六時間攪拌後の析出固体を一部抜き出したところ、固体の色目は薄赤褐色であり、Mw216,000、Mn49,000であった。さらに一晩室温で熟成させたところ、析出固体の色目は灰色に変化した。析出物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して、実施例2と同様の構造を有するポリアリーレン1.53gを灰色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率102%、Mw230,000、Mn50,000。固体中の金属含量:Ni 0.04重量%、Zn 0.01重量%未満。
【0106】
【表2】

【0107】
[実施例6]
窒素置換した反応容器を使用し、無水塩化ニッケル10.9gとジメチルスルホキシド110gとを混合後、70℃に昇温し、5時間攪拌した。これを50℃に冷却し、2,2’−ビピリジン14.5gを加え、水71μgを加え、同温度で10分攪拌しニッケル含有溶液を調製した。
窒素置換した反応容器を使用し、下記式

で示されるスミカエクセルPES 5200P(住友化学株式会社製;Mw=63,000、Mn=30,000:上記分析条件で測定)4.94gとジメチルスルホキシド148gを混合後、50℃に昇温し1時間攪拌した。得られた溶液に、亜鉛粉末8.3gを加え、これに、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)10.0gを加えさらにジメチルスルホキシド2.5gを加えた。得られた混合溶液に、前記ニッケル含有溶液を注ぎ込み、ついで70℃に昇温して2時間重合反応を行い、黒色の重合溶液309gを得た。
反応容器に室温、空気中で、水120gを加え、亜硝酸ナトリウム0.70gを溶解させた。上記の重合溶液87gを注ぎ込み、15分攪拌した。析出固体の色目は赤黒色であり変化なかった。得られた混合溶液に18.9%塩酸37gを5分かけて加えた。析出固体の色目は塩酸を加えると次第に白色へ変化し、加え終わった直後の析出固体の色目は薄桃白色であった。30分攪拌後、析出物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して、実施例2と同様の構造を有するポリアリーレン3.6gを白色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率96%、Mw135,000、Mn33,000。固体中の金属含量:Ni 0.05重量%、Zn 0.01重量%未満。
【0108】
[比較例6]
反応容器に室温、空気中で、水120gに実施例6で調製した重合溶液91gを注ぎ込み、15分攪拌した。析出固体の色目は赤黒色であり変化なかった。得られた混合溶液に18.9%塩酸37gを5分かけて加え2時間室温で攪拌した。析出固体の色目は赤黒色のままであり変化なかった。析出物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して、実施例2と同様の構造を有するポリアリーレン4.03gを赤褐色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率107%、Mw96,000、Mn29,000、固体中の金属含量:Ni 2.0重量%、Zn 0.03重量%。
【0109】
【表3】

【0110】
[実施例7]
窒素置換した反応容器を使用し、無水塩化ニッケル11.0gとジメチルスルホキシド110gとを混合後、70℃に昇温し、1時間攪拌した。これを50℃に冷却し、2,2’−ビピリジン14.5gを加え、同温度で10分攪拌しニッケル含有溶液を調製した。
窒素置換した反応容器を使用し、下記式

で示されるスミカエクセルPES 5200P(住友化学株式会社製;Mw=63,000、Mn=30,000:上記分析条件で測定)4.94gとジメチルスルホキシド150gを混合後、50℃に昇温し1時間攪拌した。得られた溶液に、亜鉛粉末8.3gを加え、これに、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)10.0gを加えた。得られた混合溶液に、前記ニッケル含有溶液を注ぎ込み、ついで70℃に昇温して2時間重合反応を行い、黒色の重合溶液310gを得た。
反応容器に室温、空気中で、水80gを加え、亜硝酸ナトリウム0.46gを溶解させた。上記の重合溶液62gを注ぎ込み、15分攪拌し、さらに窒素を10分間バブリングして窒素置換した。析出固体の色目は赤黒色であり変化なかった。得られた混合溶液にトリフルオロ酢酸4.8gを5分かけて加え、さらに亜硝酸ナトリウム0.46gを加えた。析出固体の色目は薄茶色を経由して、薄肌色になった。1時間攪拌後、析出物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して、実施例2と同様の構造を有するポリアリーレン2.7gを白色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率109%、Mw172,000、Mn42,000。固体中の金属含量:Ni 0.4重量%、Zn 0.01重量%。
【0111】
[実施例8]
反応容器に室温、空気中で、水80gを加え、亜硝酸ナトリウム0.46gを溶解させた。実施例7で調製した重合溶液62gを注ぎ込み、15分攪拌し、さらに窒素置換した。析出固体の色目は赤黒色であり変化なかった。得られた混合溶液に硫酸4.2gを5分かけて加え、さらに亜硝酸ナトリウム0.23gを加えた。析出固体の色目は薄茶色を経由して、灰白色になった。10分攪拌後、析出物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して、実施例2と同様の構造を有するポリアリーレン2.7gを白色固体として得た。ポリマー理論得量に対する回収率109%、Mw174,000、Mn42,000。固体中の金属含量:Ni 0.4重量%、Zn 0.4重量%。
【0112】
[比較例7]
反応容器に室温、空気中で、水80gに実施例7で調製した重合溶液61gを注ぎ込み、15分攪拌した。析出固体の色目は赤黒色であり変化なかった。得られた混合溶液にトリフルオロ酢酸21gを10分かけて加え6時間室温で攪拌した。析出固体の色目は赤褐色のままであり殆ど変化なかった。析出物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して、実施例2と同様の構造を有するポリアリーレン3.1gを赤褐色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率124%、Mw135,000、Mn38,000、固体中の金属含量:Ni 1.3重量%、Zn 0.09重量%。
【0113】
[比較例8]
反応容器に室温、空気中で、水80gに実施例7で調製した重合溶液63gを注ぎ込み、15分攪拌した。析出固体の色目は赤黒色であり変化なかった。得られた混合溶液にトリフルオロ酢酸21gを10分かけて加え6時間室温で攪拌した。析出固体の色目は赤褐色のままであり殆ど変化なかった。析出物を濾過し、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥して、実施例2と同様の構造を有するポリアリーレン2.9gを赤褐色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率114%、Mw109,000、Mn32,000、固体中の金属含量:Ni 1.6重量%、Zn 0.01重量%未満。
【0114】
【表4】

【0115】
[実施例9]
窒素置換した反応容器を使用し、無水塩化ニッケル11.0gとジメチルスルホキシド110gとを混合後、70℃に昇温し2時間攪拌した。これを50℃に冷却し、2,2’−ビピリジン14.5gを加え、同温度で10分攪拌しニッケル含有溶液を調製した。
窒素置換した反応容器を使用し、下記式

で示されるスミカエクセルPES 5200P(住友化学株式会社製;Mw=63,000、Mn=30,000:上記分析条件で測定)4.94gとジメチルスルホキシド150gを混合後、50℃に昇温し、1時間攪拌した。得られた溶液に、亜鉛粉末8.3gを加え、これに、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)10.0gを加えた。得られた混合溶液に、前記ニッケル含有溶液を注ぎ込み、ついで70℃に昇温して2時間重合反応を行い、黒色の重合溶液を得た。
反応容器に室温、空気中で、水600gを加え、70℃に昇温した。上記の重合溶液全量を注ぎ込み、さらに水20gで洗いこみ、70℃で1時間攪拌した。析出固体の色目は赤黒茶色であり変化なかった。析出物を濾過し、濾上物を水洗浄し、黒茶褐色の重合混合物を得た。
室温で、反応容器に得られた重合混合物全量と水196g、35%亜硝酸ナトリウム水溶液4.9gを加えて混合し、懸濁液とした。70%硝酸水水80gを30分かけて加えた。析出固体の色目は硝酸を加えると次第に薄褐色へ変化し、硝酸水21g仕込み時点で灰色へと変化した。30分攪拌後、析出物を濾過し、濾上物を水洗浄して灰色固体を得た。
室温で、反応容器に得られた灰色固体全量と水244gを加え、攪拌し懸濁液とした。5%水酸化リチウム水でpH7に調整した。メタノール333gを加え、還流温度まで昇温した。1時間還流後、約50℃まで冷却し、析出物を濾過、濾上物を水洗浄、メタノール洗浄、80℃で12時間減圧乾燥して、実施例2と同様の構造を有するポリアリーレン11.3gを灰白色固体として得た。
ポリマー理論得量に対する回収率90%、Mw232,000、Mn55,000。固体中の金属含量:Ni 0.2重量%、Zn 0.01重量%未満。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

(式中、Aは、1つもしくは2つの炭化水素で置換され、該炭化水素の炭素数の合計が3〜20であるアミノ基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表わす。ここで、前記炭化水素及び炭素数1〜20のアルコキシ基は、フッ素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基で置換されていてもよい。
は、同一または相異なり、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基又はシアノ基を表わす。ここで、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基及び炭素数2〜20のアシル基は、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい。また、隣接する2つのR1が結合して環を形成していてもよい。
は塩素、臭素又はヨウ素原子を表わす。mは1又は2を表わし、kは4−mを表わす。)
で示されるジハロベンゼン化合物を含むモノマーを、ニッケル化合物の存在下に、重合して得られる式(2)

(式中、A、R、m及びkは前記と同じ意味を表わす。)
で示される繰り返し単位を有するポリアリーレンを、窒素のオキソ酸に接触させることを特徴とするポリアリーレンの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の式(1)で示されるジハロベンゼン化合物と式(3)

(式中、a、b及びcは、同一又は相異なって、0又は1を表わし、nは5以上の整数を表わす。Ar、Ar、Ar及びArは、同一又は相異なって、2価の芳香族基を表わす。ここで、2価の芳香族基は、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基;
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基;
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数6〜10のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基;
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基;及び
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数2〜20のアシル基
からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい。
及びYは、同一又は相異なって、単結合、カルボニル基、スルホニル基、2,2−イソプロピリデン基、2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン基又はフルオレン−9,9−ジイル基を表わす。
及びZは、同一又は相異なって、酸素又は硫黄原子を表わす。Xは塩素、臭素又はヨウ素原子を表わす。)
で示される化合物とを含むモノマーを、ニッケル化合物の存在下に重合して得られる、請求項1に記載の式(2)で示される繰り返し単位と式(4)

(式中、a、b、c、n、Ar、Ar、Ar、Ar、Y、Y、Z及びZは上記で定義したと同じ意味を表わす。)
で示されるセグメントを有するポリアリーレンを、窒素のオキソ酸に接触させることを特徴とするポリアリーレンの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の式(1)で示されるジハロベンゼン化合物と式(5)

(式中、Arは、2価の芳香族基を表わす。
ここで、2価の芳香族基は、
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基;
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基;
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基;
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基;及び、
フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数2〜20のアシル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい。Xは塩素、臭素又はヨウ素原子を表わす。)
で示されるアリール化合物とを含むモノマーを、ニッケル化合物の存在下に重合して得られる、請求項1に記載の式(2)で示される繰り返し単位と式(6)

(式中、Arは、前記と同じ意味を表わす。)
で示される繰り返し単位を有するポリアリーレンを、窒素のオキソ酸に接触させることを特徴とするポリアリーレンの製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のポリアリーレンを貧溶媒と接触させてポリアリーレンを析出させ、得られたポリアリーレンと貧溶媒との混合物を、又は析出したポリアリーレンを濾別したポリアリーレンを、窒素のオキソ酸に接触させることを特徴とするポリアリーレンの製造方法。
【請求項5】
窒素のオキソ酸が、硝酸である請求項1から4のいずれかに記載のポリアリーレンの製造方法。
【請求項6】
窒素のオキソ酸が亜硝酸である請求項1から4のいずれかに記載のポリアリーレンの製造方法。
【請求項7】
ニッケル化合物が、ニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)であり、含窒素二座配位子の共存下に重合させる請求項1から6のいずれかに記載のポリアリーレンの製造方法。
【請求項8】
ニッケル化合物が、ハロゲン化ニッケルであり、含窒素二座配位子及び亜鉛の共存下に重合させる請求項1から6のいずれかに記載のポリアリーレンの製造方法。
【請求項9】
請求項4に記載の貧溶媒が、水または低級アルコールである請求項4から8のいずれかに記載のポリアリーレンの製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の式(1)で示されるジハロベンゼン化合物において、m=1であり、Xが塩素原子である請求項1から9のいずれかに記載のポリアリーレンの製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載の式(1)で示されるジハロベンゼン化合物において、Aが2,2−ジメチルプロポキシ基である請求項1から10のいずれかに記載のポリアリーレンの製造方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の方法で製造したポリアリーレン。

【公開番号】特開2008−179661(P2008−179661A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12350(P2007−12350)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】