説明

ポリウレア化合物

1以上のポリイソシアネートを1以上の非キラルなモノアミン(I)及び1以上のキラルなモノアミン(II)と反応させ、反応生成物を共沈殿させてポリウレア化合物を形成することにより得られ得るポリウレア化合物において、該ポリウレア化合物におけるモノアミンの2〜98モル%がキラルなモノアミンであるポリウレア化合物。本発明は、該ポリウレア化合物をレオロジー調節剤、特にコーティング組成物における垂れコントロール剤(SCA)として使用する方法に関する。本発明は、垂れコントロール剤組成物、コーティング組成物、及び垂れコントロール剤としてポリウレア化合物を含むコーティング組成物及びコーティングにさらに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1以上のポリイソシアネートをアミンと反応させることにより得られる得る化合物及び該ポリウレア化合物のレオロジー調節剤、特にコーティング組成物における垂れコントロール剤(SCA)としての使用に関する。本発明は、さらに垂れコントロール剤組成物、コーティング組成物、及び垂れコントロール剤としてポリウレア化合物を含むコーティング組成物及びコーティングにさらに関する。
【0002】
コーティング組成物におけるSCAの使用は周知である。米国特許第4,311,622号は、バインダー及び、ジイソシアネートとモノアミン若しくはヒドロキシルモノアミンとの反応生成物であるところの垂れコントロール剤から調製されたチキソトロープ性のコーティング組成物を開示している。同様に欧州特許出願公開第0261863号は、ペイントに適用されたときコーティングフィルムにチキソトロープ性を与え、かつ厚いコーティングフィルムの形成においてサギングをほとんど起こさないペイントのための流動性コントローリング剤を開示している。
【0003】
しかし、慣用のレオロジーコントロール剤の性能は、常に十分というわけではなく、所望されるレオロジー性、特に、低い剪断における高い粘度を得るためには、かなり高い量が必要とされ得る。また、(配合及び硬化条件に依存して)ヘイズ又は変色のような光学的外観への負の効果が生じ得る場合もある。従って、使用されるべき量が減らされることのできる、改良された性能を有するレオロジーコントロール剤に対する必要性がまだある。
【0004】
本発明に従うと、1以上のポリイソシアネートを1以上の非キラルなモノアミン及び1以上のキラルなモノアミンと反応させ、反応生成物を共沈殿させてポリウレア化合物を形成することにより得られ得るポリウレア化合物であって、ポリウレア化合物におけるモノアミンの2〜98モル%がキラルなモノアミンであるポリウレア化合物が提供される。
【0005】
本発明に従うポリウレア化合物は非常に強力なレオロジー調節剤であることが見出された。特に、非キラルなモノアミン化合物のみを含む先行技術のポリウレア化合物と比較して、モノアミン混合物中の低量のキラルなモノアミンでさえ、垂れシミュレーション試験においてコンプライアンス値の有意な減少をもたらすことが見出された。該値は室温における湿ったコーティングフィルムにより示される、フローの累積量に比例すると考えられる。基本的に純粋なキラルアミンに基づくポリウレア化合物は公開前の欧州特許出願2004/007597号及び欧州特許出願2004/007602号に記載されている。これらの化合物の欠点は、キラル化合物は高価であるので、それらは相対的に高価であることである。本発明に従うポリウレア化合物は、純粋なキラルアミンに基づくポリウレアに比較してより安価であるばかりでなく、改良されたレオロジー改質効率を有し得る。
【0006】
本発明のポリウレア化合物の高められたレオロジー改質効率のために、コーティング組成物のフラッシュオフ期間のフロー(flash−off period flow)は減らされることができ、粘度、特に低い剪断におけるものは増加されることができ、粘度ビルドアップ及び/又は剪断応力に対する反応の速度又は希釈のレベルは改善されることができ、施与条件下での良好な垂れコントロール及び良好なレベリングを与える。増加されたレオロジー改質効率はレオロジー調節剤の量を減少させるために使用されることもでき、そのことは費用の節約をもたらし、垂れコントロール剤としてポリウレア化合物を含むコーティング組成物から製造されるコーティングの改良された光学的性質をもたらし得る。一般的に、本発明のポリウレア化合物の微細構造は、低いヘイズレベルに貢献する。
【0007】
たとえキラル化合物が相対的に高価であっても、本発明に従うポリウレア化合物は経済的な観点から非常に魅力的である、なぜなら相対的に低いキラルなモノアミン含有量においてかなりなレオロジー改質の改良が既に得られるからである。
【0008】
非キラルなモノアミンに基づく先行技術のポリウレア化合物に対する本発明のポリウレア化合物のさらなる利点は、高温のフローが改良され、非キラルなモノアミンに基づく先行技術のポリウレア化合物におけるより、より滑らかで、より光沢のあるコーティング表面をもたらす。
【0009】
好ましい実施態様において、1以上のポリイソシアネートが1以上の非キラルなモノアミン及び1以上のキラルなモノアミンの混合物と反応され、続いて反応生成物を沈殿させ、ポリウレア化合物を形成するところの本発明に従う方法においてポリウレア化合物は得られる。そのような方法において、多数の種々の反応生成物が存在し得る。好ましい実施態様において、ジイソシアネートは1の非キラルなモノアミン及び1のキラルなモノアミンとの混合物と反応され、少なくとも3のポリウレア反応生成物が形成される。キラルなモノアミンは2以上のエナンチオマーを有するので、該ポリウレア反応生成物のずっと多数の種々の立体異性体が形成される。トリイソシアネートを反応させるとき、多数の種々の反応生成物が生成される。
【0010】
代替の実施態様において、ポリウレア化合物は、工程Aにおいて1以上のポリイソシアネートが1以上の非キラルなモノアミンと反応され、別の工程Bにおいて、1以上のポリイソシアネートが1以上のキラルなモノアミンと反応され、続いて工程A及びBの反応生成物を混合し、混合された反応生成物を沈殿させてポリウレア化合物を形成する方法において得られることができる。
【0011】
ポリイソシアネート(R−NC(=O))とキラルな/非キラルなモノアミン(RNH)との反応は、ウレア結合(R−NC(=O)N−R)を生じることに留意されたい。当業者には明らかであるように、このウレア結合は対称であり、従って正確に同じポリウレア化合物はポリアミンを対応するキラルな/非キラルなモノイソシアネートと反応させることにより得られ得る。従って、本発明はポリアミンをキラルな/非キラルなモノイソシアネートと反応させることにより得られ得るポリウレアをもまた含む。選択肢の一つのみが記載されているときにもまた別に特に示されない限り、本明細書において両方の選択肢が意味される。しかし、キラルなモノアミンを使用することが好ましい、なぜならキラルなモノアミン容易に入手可能であり、より安価だからである。
【0012】
ポリイソシアネート及びポリアミンのための接頭語「ポリ」の使用は、少なくとも2の挙げられた官能基がそれぞれの「ポリ」化合物中に存在することを示す。ポリウレア化合物、すなわちアミンとポリイソシアネートとの反応生成物、又はイソシアネートとポリアミンとの反応生成物が製造されるとき、ジウレア又はトリウレア生成物を製造することが好ましいことに留意されたい。キラルなアミン又はイソシアネートが使用されるけれども、得られるポリウレア反応生成物は必ずしも光学的に活性ではないことにも留意されたい。
【0013】
非キラルなアミンで、炭素原子に共有結合的に結合されたアミンであって、該炭素原子が2つの同一の置換基を有し、キラルではないようなアミンが意味される。非キラルなアミンの場合、幅広い種々の非キラルなモノアミンが原則として使用されることができる。適する非キラルなモノアミンIは、例えばシクロヘキシルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、2−フェニルアミン、ベンジルアミン、メトキシプロピルアミン、ヘキシルアミン、3−アミノメチル−ピリジルアミン等である。アミン基に隣接する炭素は、1、2又は3の(非水素)置換基を有することができる、ただし該置換基の2つは、炭素原子が非キラルであるように同一でなければならない。好ましくは、非キラルなモノアミンはアミン基の隣の炭素原子上に2つの水素原子及び1つの置換基R1を有するアミンである。
【0014】
さらに、ポリアミンが、結晶化挙動に影響を及ぼすために使用されることができる。しかし、もしポリアミンが使用されるならば、ポリアミンはモノアミンに次いで少量において、好ましくは20モル%、より好ましくは15、さらにより好ましくは10モル%、最も好ましくは5モル%未満で使用されることが好ましい。高すぎるポリアミン含有量は、重合化及び抗サギング性の低下をもたらす。PCT/EP2004/007957(実施例25)において、ポリウレアは、キラルなモノアミン(S−AMBA)は別にして約20%の非キラルなジアミンを有するポリウレアが記載されている。このポリウレアは非キラルなモノアミンを含まない。米国特許第4165329号(実施例9及び10)においてポリウレア化合物は非キラルなモノアミン及び50モル%のキラルなジアミンを有するポリレア化合物が記載されており、該ジアミンにおいてキラル中心は、本発明と反対に、アミン基の隣の炭素原子上にはない。生成物はキラルなモノアミンを含まない。先行技術ポリウレア化合物は、高価なキラルアミンのかなり高い含有量においてさえ、かなり少ない抗垂れ性を有する。米国特許第3367920号において、キラルなジイソシアネート及び非キラルなジアミンを反応させることにより得られたポリウレア化合物が記載されている。該ポリウレアは、モノアミンを含まず、実際にはコーティング組成物としての使用のためのポリマーである。米国特許出願公開第20020166630号は、ポリイソシアネート、非キラルな脂環式ジアミン、及びキラルなポリアミン(ポリアスパラギン酸エステル)から形成されたポリウレアを記載する。ポリウレアは、非キラルなモノアミンを含まず、ポリアミンのみを含むために、このポリウレアは実際には構造エンジニアリング樹脂としての使用のためのポリマー樹脂である。
【0015】
キラルなモノアミンにより、炭素原子に共有結合的に結合されたアミンであって、該炭素原子が3つの異なる置換基を有し、その結果該炭素がキラルであるようなアミンが意味される。キラルはモノアミンの場合もまた、原則として幅広い種々のモノアミンが使用されることができる。好ましくは、キラルなモノアミンはアミン基の隣の炭素原子上に1つの水素原子及び2つの異なる置換基R及びRを有するアミンである。適するキラルなモノアミンは例えば未公開の欧特許出願第2004/007597号及び欧特許出願第2004/007602号に記載されており、該公報は、参照することにより本明細書に取り込まれる。
【0016】
好ましくは、本発明に従うポリウレア化合物は、1以上のポリイソシアネートを式(I)の非キラルなモノアミン及び式(II)のキラルなモノアミンの混合物と反応させることにより得られ得る。
【0017】

【0018】
ここで該混合物は2〜98モル%のキラルなモノアミンIIを含む。ここでR〜Rのそれぞれは独立して直鎖又は分岐状の、置換された又は無置換の、飽和又は不飽和の炭化水素又はヘテロ原子を含む基からなる群から選択され、そうすることにより各キラルなモノアミンIIのR及びRは異なり、その結果モノアミンIIの炭素原子はキラル中心である。本発明に従うポリウレア化合物においてキラルなモノアミンで置換されたその化合物は、非キラルなモノアミンで置換された化合物と共に共結晶化すると考えられる。もしモノアミンIの置換基RがモノアミンIIのRと実質的に同形(isomorphous)であり、Rが、好ましくは1〜6の炭素原子を含むアルキル、アリール、又はヘテロ原子含有基であるならば、最適な結果が得られることができることが見出された。好ましくはRはメチル基である。
【0019】
式I及び式IIは、一般的な化学構造を反映し、キラルモノアミンIIの特定のエナンチオマー構造を反映していないことに留意されたい。キラルなモノアミンIIは、キラルなモノアミンIIのエナンチオマーの混合物であることができる。
【0020】
「実質的に同形」により、モノアミンIの置換基R及びモノアミンIIのRのサイズ及び形状が実質的に同じであることが意味される。これらの置換基は同一である必要はないこと、及びもし置換基のサイズ及び形状に実施的な相違があるならば、より低いレベルにおいてさえ、本発明に従うポリウレア化合物の利点もまた得られることができることが強調される。当業者は、モノアミンIの置換基R及びモノアミンIIのRのどの組合せが、高いレオロジー改質効率をもたらすか無理な実験なしに説明に基づいて決めることができる。
【0021】
もし、本発明に従うポリウレア化合物において、モノアミンIのR及びモノアミンIIのRがおよそ同じ数の原子を含む、又はもしモノアミンIのR及びモノアミンIIのRの両方がアリール基中におよそ同じ数の原子を含むアリール基を含むならば、又はモノアミンIのR及びモノアミンIIのRがおよそ同じ数の原子を有するアルキル又はヘテロアルキル基を含む場合に、良好な結果が得られることができる。「およそ」により、本明細書において、同じ数の原子プラス又はマイナス2の原子、又はプラス又はマイナス25%が意味される。最も好ましくは、モノアミンIのR及びモノアミンIIのR中の原子の数が同じであることが意味される。適する組合せは、何よりもメチル/エチルであり、好ましくはモノアミンI及びキラルなモノアミンIIのRは、同じ塩基性アリール、場合によって異なる置換基を有していてもよいアルキル又はヘテロ原子含有基である。置換基は好ましくは小さく、好ましくはメチル、エチル、又はメトキシ基である。置換基はタイプ又はそれら上の位置が異なっていてもよく、塩基性アリール、アルキル又はヘテロ原子含有基である。本発明に従うポリウレア化合物の最も好ましい実施態様において、モノアミンI及びキラルなモノアミンIIのRは同一である。
【0022】
本発明に従うポリウレア化合物の好ましい実施態様において、キラルなモノアミンIIは、アルファ−メチルベンジルアミン(AMBA)又は場合によってエステル化されていてもよいアミノ酸である。好ましい実施態様において、モノアミンIはベンジルアミン(BA)であり、キラルなモノアミンIIはアルファ−メチルベンジルアミン(AMBA)である。別の好ましい実施態様においてモノアミンIにおけるR及び/又はキラルなモノアミンIIのRは、ピリジル部分である。さらに別の実施態様において、モノアミンIは3−アミノメチルピリジン(AMP)及びキラルなモノアミンIIはアルファメチルベンジルアミン(AMBA)である。
【0023】
ポリウレア化合物において、(モノアミンの合計量に対して)2〜98%はキラルなモノアミンである。有意に改良されたレオロジー改質を達成するために、特に有意に減少されたコンプライアンスを達成するために、及び/又は改良された高温フローを達成するために、キラルなモノアミン含有量は好ましくは少なくとも2モルパーセントである。好ましくは、含有量は少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%である。50%超のキラルなモノアミン含有量において、レオロジーの追加の改良は相対的に小さい。キラルなモノアミン含有量は好ましくは98%未満である。高すぎるキラルなモノアミン含有量は、低すぎる融解温度及びポリウレア化合物を含む垂れコントロール剤組成物の低下された保存期間をもたらし得る。さらに、キラルなモノアミンのより高いコストの観点において、含有量は不必要に高くないことが好ましい。好ましくは、モノアミン含有量は90%未満、より好ましくは80%未満、さらにより好ましくは70%未満であり、最も好ましくは55%未満である。ポリウレア化合物の用途環境におけるポリウレア化合物の融解(溶解)温度は、所望される量の高温フローを作るために、モノアミンI及びモノアミンIIの比で調節されることができる。この最適比は、まさにその使用方法及び使用されるポリイソシアネートに依存する。
【0024】
本発明の混合物に従うポリウレア化合物において、キラルなモノアミンIIの含有量(合計のモノアミン含有量に対して)は5〜80モル%、より好ましくは7〜70モル%、最も好ましくは10〜55モル%である。
【0025】
タイプIIモノアミンの任意のエナンチオマー混合物が、本発明に従うポリウレア化合物を作るのに使用されることができることが理解されるべきである。もしキラルなモノアミンIIがエナンチオマーのラセミ混合物であるならば、良好な結果さえ得られることができる。しかし、本発明に従うポリウレア化合物においてキラルなモノアミン化合物IIが有意なエナンチオマー過剰で用意されることが好ましい。用語「エナンチオマー過剰」は、以降「ee」ともまた呼ばれ、キラルなモノアミンIIの両方のエナンチオマーを含む試料中のラセミ物質に対する1のエナンチオマーの過剰を意味するために使用される。エナンチオマー過剰は百分率として表現される。ラセミ試料、すなわち両方のエナンチオマーの50:50の混合物は、0%のeeを有し、エナンチオマー的に純粋な試料は100%のeeを有する。最適な結果は、より高いee値において通常得られるが、必ずしも100%ではない。eeは、好ましくは少なくとも10%(55:45の比におけるように)、より好ましくは少なくとも20%(60:40の比におけるように)、さらにより好ましくは少なくとも40%(70:30の比におけるように)、最も好ましくは少なくとも50%(75:25の比におけるように)、少なくとも80%でさえある。
【0026】
本発明は、異なる融解温度を有する2以上の異なるポリウレア化合物の物理的な混合物を含むポリウレア化合物混合物にさらに関する。コーティング組成物の高温フロー性は、温度耐性ポリウレア化合物により低い融解温度を有する十分量のポリウレア化合物を添加することにより改良されることができる。上述されたように、異なる融解温度は、適切なタイプのモノアミン及びポリイソシアネート成分を選択することにより、及び/又はより好ましくはキラルモノアミンの異なる含有量を選択することにより達成されることができる。好ましくは、そのようなポリウレア化合物混合物において、少なくとも1のポリウレア化合物は上述されたような本発明に従うポリウレア化合物である。さらにより好ましくは、ポリウレア化合物混合物は異なる融解温度及び好ましくは異なるキラルなモノアミン含有量を有する本発明に従う2つのポリウレア化合物を含む。
【0027】
キラルなモノアミンにおいて、アミン基に隣接する炭素原子上の置換基は水素、直鎖又は分岐状、置換又は無置換の、飽和又は不飽和の炭化水素又はヘテロ原子含有基(置換された又は無置換のフェニル又はナフチルを含む)から独立して選択され、そうすることにより、置換基のそれぞれは異なり、その結果炭素原子がキラル中心である。
【0028】
置換基が炭化水素である場合、それは、直鎖、環状、又は分岐状の、置換又は無置換の、飽和又は不飽和の、場合によってヘテロ原子を含んでいてもよく、上述の条件を満たす、C〜C25のアルキル、アリール、アラルキル、及びアルケニルからなる群から独立して選択される。
【0029】
式IIに従う好ましい実施態様において、置換基R及びRは上に示されたC〜C25の基の一つから独立して選択される。場合によって、R,R,及びRの2つはそれらが結合されている炭素原子と一緒にされて、4〜8の炭素原子を含む置換又は無置換の環を形成することができる。もし存在するならば、置換基は好ましくはアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ(好ましくは非1級)アミン、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ケト、ケチミン、ウレタン、アロハネート、アミド、及びウレア基からなる群から選択され、最も好ましくは置換基はアルキル又はアルコキシ基から選択される。もし1以上の置換基がヘテロ原子を含有するC〜C25基であるならば、それは好ましくはエーテル単位の形態である。
【0030】
一つの好ましい実施態様において、キラルなモノアミンは下式の化合物から選択される。
【0031】

ここでRは直鎖又は分岐状の,置換又は無置換の、飽和又は不飽和の炭化水素である。R上の置換基は、もし存在するならば、ヒドロキシ、アミン、カルボン酸、ホスホン酸、ケト、ケチミン、アミン、エーテル、ウレタン、アロハネート、ウレア、及びイソシアヌレート基からなる群から好ましくは選択される。好ましくはRは、直鎖又は分岐状の,置換又は無置換の、飽和又は不飽和のC〜C25アルキル,アリール,アラルキル及びアルケニルからなる群から選択される。より好ましくはRは、直鎖又は分岐状のC〜C25アルキルである。さらにより好ましくはRは直鎖又は分岐状のC〜Cアルキルである。最も好ましくはRはメチル又はエチル基である。
【0032】
別の好ましい実施態様において、キラルなモノアミンは、アルファ−メチルベンジルアミン,アルファ−メチル(4−メチル)ベンジルアミン,1,1−(1−ナフチル)アミノエタン,アルファ−メチル(4−メトキシ)ベンジルアミン,1,1−{2−ナフチル)アミノエタン,2−アミノ,3−メチルブタン,1−フェニル,1−アミノ,5−ジエチルアミノペンタン,1−インジル,1−アミノエタン,3,3−ジメチル,2−アミノブタン,2−アミノヘプタン,3−メトキシ−2−アミノプロパン,1−シクロヘキシル,1−アミノエタン,1−アミノ,1−(1−テトラヒドロナフチル)エタン,3−ベンジルオキシ,2−アミノプロパン,1−ベンジルオキシ,2−アミノブタン,3−フェノキシ,2−アミノプロパン,1−アミノ,2−ベンジルオキシシクロペンタン,1−アミノ,2−ベンジルオキシシクロヘキサン,1−アミノ,1−(4−メトキシフェニル)ブタン及び1−アミノ,1−(4−メトキシフェニル)プロパンからなる群か選択され,該化合物はそれぞれ以下の式を有する。
【0033】
【化1】

【化2】

【0034】
及び(S/R)−2−アミノ−ヘキサン及び(S/R)−1−フェニルプロピルアミン。
【0035】
キラルなモノアミンは、光学的に活性なアミノ酸、
【0036】
【化3】

式(AA)のエステル及び/又は塩であることもできる。
【0037】
ここでR,R,及びRは、水素、及び直鎖、環状、又は分岐状の、置換又は無置換の、飽和又は不飽和の炭化水素又はヘテロ原子含有基から独立して選択され、各R及びRは異なっており、その結果炭素原子Cはキラル中心である。以降、「アミノ酸、そのエステル及び/又は塩」は「アミノ酸誘導体」ともまた呼ばれる。
【0038】
もし式(AA)のR及び/又はRが炭化水素であるならば、該炭化水素は、直鎖、環状、又は分岐状の、置換又は無置換の、飽和又は不飽和の、場合によってヘテロ原子を含んでいてもよいC〜C24のアルキル,アリール,アラルキル,及びアルケニルであって、上に述べられた条件を満足するものからなる群から独立して選択され、より好ましくは直鎖又は分岐状のC〜C24のアルキルからなる群から、さらにより好ましくは直鎖又は分岐状のC〜Cアルキルからなる群から選択され、最も好ましくは炭化水素はメチル又はエチル基である。
【0039】
式IIに従うキラルなモノアミンの好ましい実施態様において、一つの置換基は水素であり、他は上に示されたC〜C25の基の一つから選択された炭化水素である。置換基がヘテロ原子を含むC〜C25の基であるならば、それはエーテル単位の形であることが好ましい。場合によって、置換基はそれらが結合されているキラルな炭素原子Cと一緒になって置換基が取られ、4〜8の炭素原子を含む置換又は無置換の環を形成する、ただし該環は炭素原子Cにおける対掌性は維持される。
【0040】
もし存在するならば、アミノ酸におけるR及び/又はR上、及び上述の環上の置換基は、好ましくはアルキル、アリール、アルコキシ、ヒドロキシ(好ましくは非1級の)アミン、カルボン酸、エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ケト、ケチミン、ウレタン、アロハネート、アミド、チオール、イミダゾール、インドール、グアニジン、アルキルスルフィド、及びウレア基からなる群から、最も好ましくはアルキル又はアルコキシ基から選択される。もしアミノ酸式AAのR3が上で定義された炭化水素であるならば、直鎖、環状、又は分岐状の、置換又は無置換の、飽和又は不飽和の、場合によってヘテロ原子を含んでいてもよいC〜C25のアルキル,アリール,アラルキル,及びアルケニルからなる群から好ましくは選択される;より好ましくはR3は直鎖又は分岐状、置換又は無置換の、場合によってヘテロ原子を含んでいてもよいC1〜C25のアルキルからなる群から、さらにより好ましくは直鎖又は分岐状の、置換又は無置換のC1〜C8アルキル、エーテル及び/又は場合によってエステル化されていてもよいC1〜C8の(ポリ)アルコキシからなる群から、最も好ましくは直鎖のC1〜C4アルキル、及び場合によってアルコキシル化されていてもよい直鎖のC1〜C4アルコキシからなる群から選択される。もしアルコキシ化されているならば、エトキシル化、プロポキシル化、及び/又はブトキシル化された化合物を使用することが好ましい。もし存在するならば、R上の置換基は好ましくはモノエーテルアルコール及びアルコキシ化された化合物からなる群から選択される。
【0041】
好ましい実施態様において、キラルなモノアミンは好ましくはその天然に存在する配置における活性アミノ酸誘導体であり、アラニン(Ala),アミノ酪酸(Abu),アルギニン(Arg),アスパラギン(Asn),アスパラギン酸(Asp),システイン(Cys),グルタミン酸(GIu),グルタミン(GIn),ヒスチジン(His),ホモシステイン(Hcy),イソロイシン(Ile),ロイシン(Leu),リシン(Lys),メチオニン(Met),ノルロイシン(NIe)ノルバリン(Nva),オルニチン(Orn),フェニルアラニン(Phe),セリン(Ser),スレオニン(Thr),トリプトファン(Trp),チロシン(Tyr),バリン(Val)、それらのエステル及び塩からなる群から選択される。
【0042】
ポリイソシアネートは、脂肪族,脂環式,アラルキレン,及びアリーレンポリイソシアネートからなる群,より好ましくは置換又は無置換の直鎖脂肪族ポリイソシアネート(及びそれらのイソシアヌレート、ビューレット、ウレトジオン)及び置換又は無置換のアリーレン,アラルキレン,及びシクロヘキシレンポリイソシアネートからなる群から選択される。ポリイソシアネートは通常2〜40、好ましくは4〜12の炭素原子をNCO基の間に含む。ポリイソシアネートは好ましくは4以下のイソシアネート基を含み、より好ましくは,3以下のイソシアネート基を含み、最も好ましくは2のイソシアネート基を含む。対称の脂肪族又はシクロヘキシレンジイソシアネートを使用することがさらにより好ましい。ジイソシアネートの適する例は、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート,ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート(HMDI),トランス−シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート,ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネート,1,5−ジメチル−(2,4−ω−ジイソシアナートメチル)ベンゼン,1,5−ジメチル(2,4−ω−ジイソシアナートエチル)ベンゼン,1,3,5−トリメチル(2,4−ω−ジイソシアナート−メチル)ベンゼン,1,3,5−トリエチル{2,4−ω−ジイソシアナートメチル)ベンゼン,メタ−キシリレンジイソシアネート,パラ−キシリレンジイソシアネート,ジシクロヘキシル−ジメチルメタン−4,4´−ジイソシアネート,2,4−トルエンジイソシアネート,2,6−トルエンジイソシアネート,及びジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート(MDI)からなる群から好ましく選択される。さらに適するポリイソシアネートは好ましくはHMDI(HDMIの濃縮された誘導体を含む)に基づくポリイソシアネート、例えばウレトジオン,ビューレット,イソシアヌレート(トリマー),及び非対称トリマー等からなる群から選択される。それらの多くはDesmodur(商標)N及びTolonate(商標)HDB及びTolonate(商標)HDT,及び「ポリマー状MDI」として公知であるポリイソシアネートとして市販されている。ポリマー状MDIは典型的には、純粋なMDI及びMDIのオリゴマーの混合物である。特に好ましいポリイソシアネートは、HMDI,そのイソシアヌレートトリマー,そのビューレット,トランス−シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート,パラ−及びメタ−キシリレンジイソシアネート,及びトルエンジイソシアネートからなる群から好ましく選択される。最も好ましくはHMDIが選択される。
【0043】
当業者により理解されるように、インシチューで2以上のイソシアネートを生成する慣用のブロックされたポリイソシアネートを使用することもまた可能である。ただし、ブロック化剤が分裂した後、本発明に従うレオロジー調節剤の形成を阻止しない限りにおいてである。この書類を通して、用語「ポリイソシアネート」は、すべてのポリイソシアネート及びポリイソシアネート生成化合物を意味するために使用される。
【0044】
アミノ化合物のアミノ基の数:(生成された)イソシアネート基の数の比は、0.7〜1.5の範囲であり得る。好ましくは比は約0.9〜1.1である。
【0045】
イソシアネートとモノアミン成分の間の反応は、当業者に明らかであるように、場合によって高められた温度において、反応成分を混合することにより任意に選択された方法で実行されることができる。反応は0℃〜150℃の範囲で、より特に20℃〜8O℃の範囲で実行されることが好ましい。一般的に、反応成分は任意に選択された方法で混合されるが、好ましくはイソシアネートがモノアミン成分に添加され、これはもし所望されるならばいくつかの工程で行われえる。場合によって、反応は不活性溶媒、例えばアセトン、メチルイソブチルケトン、N−メチルピロリドン、ベンゼン,トルエン,キシレン,又は脂肪族炭化水素、例えば石油エーテル,アルコール,及び水又はそれらの混合物の存在下で行われ得る。ここで用語「不活性な」は、該溶媒がポリウレア形成の工程を有意に妨害しないことを示し、これは、溶媒が存在するときに形成されるポリウレアの量が、溶媒が存在しないときに生成される量の少なくとも80%であることを意味する。
【0046】
ポリウレア化合物、以降レオロジー調節剤ともまた呼ばれる、の合成は、場合によってバインダーの存在下で行われてもよい。これはバインダーとイソシアネートとの混合物をアミン成分と混合することにより、又はイソシアネートを、バインダーとアミン成分との混合物と混合することにより、又はバインダーとアミン成分及びNCO−成分それぞれとの2つの混合物を混合することにより行われることができる。もしバインダーがアミン又はイソシアネートのいずれかと非常に反応性であるならば、バインダー及びその特に敏感な化合物はプレ混合されることができないことは明白である。用語「非常に反応性」は本明細書において、レオロジー調節剤を製造するためにアミノ酸誘導体及びイソシアネートが混合される前に、敏感なアミノ酸誘導体又はイソシアネートの30%超がバインダーと反応することが意味される。混合操作は、反応物が激しく攪拌されながら、バッチ又は連続法において任意の簡便な方法で行われ得る。アミン成分はイソシアネートに添加され得るか又はイソシアネートがアミン成分に添加され得、いずれか最も都合のよい方法でよい。もしバインダーが使用され、かつアミン成分又はイソシアネートがバインダーと非常に反応性であるならば、バインダーと最も反応性である化合物が、バインダー及び、バインダーと最も反応性の低い化合物の混合物に添加されることが好ましい。
【0047】
本発明の一つの実施態様において、ポリウレア化合物は、最終コーティング組成物のバインダー又は硬化成分において非常に低濃度、好ましくは0.1〜8%、で製造されるので、バインダーの分散物は、まだ流動体として扱われることができ、次に、場合によってさらなるバインダー、硬化成分、及び/又は他の(慣用の)添加剤を使用して、コーティング組成物において続けて使用されることができる。レオロジー調節剤がバインダー中で製造されるとき、十分な攪拌下、20〜80℃の範囲の温度において好ましく製造される。
【0048】
本発明は、上述のポリウレア化合物をレオロジー調節剤として、特に接着剤、印刷インク、洗剤、紙、ボール紙、織物、建設資材、エンジニアリングプラスチック、顔料、掘削用流動体(mining fluid)、又は化粧料において使用する方法にさらに関する。ポリウレア化合物の最も重要な用途は、コーティング組成物における垂れコントロール剤としてである。
【0049】
本発明は、バインダー、及び垂れコントロール剤としてポリウレア化合物を含むコーティング組成物、又は本発明に従う垂れコントロール剤にもまたさらに関する。コーティング組成物は好ましくは(コーティング組成物の合計固体重量に基づいて)0.05〜10重量%のポリウレア化合物を含む。本発明は、本発明に従うコーティング組成物から製造されるコーティングにもまた関する。これらのコーティングはより均一な厚さを有し、より少ない垂れ、及びよりよい光学的外観を有する。
【0050】
コーティング組成物はポリウレア化合物、バインダー及び任意的な他のコーティング組成物成分を最も好ましくはバインダー物質中に分散された本発明に従うポリウレア化合物を含む垂れコントロール剤組成物のマスターバッチの形態で混合することにより製造される。そのマスターバッチの組成物はバインダー、溶媒、及び(組成物の合計固体重量に対して)バインダーに分散されている、0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜7重量%、最も好ましくは0.5〜5重量%のポリウレア化合物を含む。バインダーの含有量は、好ましくは(組成物の合計重量に対して)50〜80重量%である。このマスターバッチSCA組成物は、液体として取り扱われることができ、コーティング組成物と容易に混合されることができる。
【0051】
ポリウレア化合物は、種々の異なる方法でコーティング組成物に添加されることができる。例えば、ポリウレア化合物は沈殿され、分離され、そして乾燥粉末としてコーティング組成物へと混合されることができる。あるいは、ポリウレア化合物は、好ましくは、溶媒として例えばN−メチルピロリドン(NMP)、ブタノール、又は酢酸を使用して溶解された状態で、場合によって助剤物質と共に、濃縮された、もし必要であれば暖かい溶液としてコーティング組成物に添加されることができ、続いてコーティング組成物中にポリウレア化合物が沈殿される。その結果、細かな分散物が得られる。
【0052】
レオロジー調節剤の製造の別の実施態様において、バインダーが、反応の結果、固体状物質として混合物が得られるような量のイソシアネート及びアミン成分と混合され、該固体状物質は、95〜1,好ましくは94〜50,より好ましくは93〜75,重量部のバインダーに対して、5〜99,好ましくは6〜50,より好ましくは7〜25重量部のレオロジー調節剤からなるレオロジー調節剤のマスターバッチとして使用されることができる。場合によって、さらなる希釈剤又は助剤が存在していてもよい。最終的な組成物及びレオロジー調節剤のマスターバッチ中のバインダーは、同じ又は異なる組成であってもよい。あまり所望されないことではあるが、レオロジー調節剤を含むバインダー又は硬化組成物は、該レオロジー調節剤の存在下で、又はバインダー又は硬化化合物並びにレオロジー調節剤を同時に製造することにより製造又は改質され得る。当業者は、レオロジー調節剤又はレオロジー調節剤のための出発物質をバインダー又は硬化化合物のための出発物質と混合して、続く反応でレオロジー調節剤含有バインダー又は硬化組成物を形成することに、いかなる問題をも有しない。
【0053】
本発明は、バインダー及び本発明に従うレオロジー調節剤を含むコーティング組成物にさらに関する。
【0054】
レオロジー調節剤は、コーティング組成物を配合するために使用されるとき、得られるコーティング組成物は改良されたレオロジー(ここでチキソトロピー性と呼ばれる)を示し、レオロジー調節剤の分散された粒子のサイズ及び屈折率に依存して不透明、オパール色に光る、又は透明さえの外観を有し得る。
【0055】
場合によって、慣用の添加剤、例えば他の共バインダー、架橋剤、溶媒及び/又は分散添加剤、顔料分散剤、染料、顔料、ナノ粒子、UV硬化剤、フロー添加剤、他のレオロジーコントロール添加剤、溶媒、及び硬化反応促進剤、例えば酸性化合物、例えばp−トルエンスルホン酸又はそのブロックされた生成物が、任意の本発明のコーティング組成物に存在し得る。コーティング組成物は、溶媒をベースとする又は溶媒なしの、他の慣用のレオロジー調節剤を含み得る。他の実施態様において、液状の他の慣用のレオロジー調節剤は水をベースとする。
【0056】
チキソトロピー性コーティング組成物は任意の所望される方法、例えばローリング、空気若しくは静電噴霧、刷毛塗り、散布、キャスティング、及び浸漬で基体に施与され得る。
【0057】
レオロジーが変化される程度は、中でもポリウレア化合物の割合及び性質、及び組成物の成分、及びどのポリウレア化合物がレオロジー調節剤として使用されるかに依存する。一般的に、チキソトロピー性の所望される程度はレオロジー調節剤を、組成物の合計重量に基づいて少なくとも0.01%,より好ましくは少なくとも0.05%,さらにより好ましくは少なくとも0.10%,最も好ましくは少なくとも0.15%であり、かつ好ましくは30%以下,より好ましくは10%以下,さらにより好ましくは3%以下,最も好ましくは1.5%以下の量で使用することにより得られ得る。
【0058】
本発明に従うチキソトロピー性組成物は極性及び/又は非極性溶媒を含み得る。好ましくは、チキソトロピー性は、室温において存在するだけでなく、高められた温度においても存在し、その結果、本発明に従うレオロジー調節剤は室温における使用、及び焼成ペイント(硬化)、例えば2〜120分の50℃〜250℃、好ましくは165℃未満の範囲において適する。
【0059】
SCAとして使用される、本発明に従うレオロジー調節剤は、特にクリアコートの場合、組成物のつや又は光沢をほとんど低下させないという重要な利点を有する。
【0060】
該レオロジー調節剤はすべての種類の熱可塑性及び架橋コーティング配合物において使用されることができる;該改質剤は、ポリオール−イソシアネート硬化(ブロックされたすべてのイソシアネート及びOH基がカルバメート基において交換されることができるCylink2000(商標Cytec)のような化合物を含む)に基づくコーティング組成物、ホルムアルデヒドに基づく架橋剤によるポリオール硬化(例えば一般的に使用されるメラミンホルムアルデヒドタイプ)に基づくコーティング組成物、ホルムアルデヒドをベースとする架橋剤によるポリカルバメートに基づくコーティング組成物、イソシアネートによる立体的に歪んだアミン(例えばDesmophen(商標)NH1220,Desmophen(商標)NH1420,及びDesmophen(商標)NH1521)に基づくコーティング組成物,イソシアネートによるチオールに基づくコーティング組成物、(メタ)アクリロイルに基づくコーティング組成物、エポキシ硬化可能なコーティング組成物(酸、酸無水物、又はアミンを架橋剤として使用する)、及びこれらの化学種の1以上を組み合わせる任意の系、(後者はハイブリッド硬化可能なコーティング組成物ともまた呼ばれる(例えばOH−NCO硬化系に統合されたアクリロイルをベースとする系))において好ましく使用される。本発明に従うレオロジーコントロール剤と組み合わせて使用され得る他の架橋化学は、ケト官能性バインダー、アセトアセトキシ官能性バインダー、又は酸化メカニズム(例えば不飽和ポリエステルを使用する)を通じて、又は熱ラジカル開始剤、光開始系、又は高エネルギー照射により引き起こされるラジカルメカニズムにより硬化することのできるバインダーに基づく。
【0061】
コーティング用途以外に、本発明のレオロジーコントロール剤が使用され得る他の用途は、接着剤、印刷インク、例えばスクリーン印刷用途又は抗ミスティング用途、洗剤及びクリーニング用途、紙、及びボール紙産業、織物、レザー、及びカーペット用途、建築化合物、顔料組成物、採掘及び化粧料である。
【0062】
本発明は以下の実施例により説明される。
以下に記載される実施例及び比較例において、コーティング組成物用の種々の垂れコントロール剤がポリイソシアネート及びモノアミンをポリオールバインダーの存在下で反応させることにより製造された(以降、ポリオールSCA混合物と呼ばれる)。
【0063】
1成分(1K)ポリオールコーティング組成物は、ポリオールSCA混合物を、同じ性質の変性されていないポリオールのある量とUS138ブチル化されたメラミンホルムアルデヒド架橋剤のある量との混合物を乾燥重量で70/30の比で混合し、Solvesso100で700mPasの高い剪断濃度を有する配合物にまでさらに希釈することにより製造された;これは、噴霧されて基体に到達する塗料に典型的であると考えられる粘度のレベルである。報告されたSCAの量は、合計乾燥重量に対して使用されるアミン及びイソシアネートの量に基づく。
【0064】
2成分(2K)ポリオールコーティング組成物はポリオールSCA混合物を、同じ性質の変性されていないポリオールのある量及びTolonateHDTイソシアネート架橋剤のある量と、1のOH−NCO化学量論を得る比で混合することにより製造された。この混合物はさらに酢酸ブチルで希釈され、700mPasの高い剪断粘度を得た。報告されたSCAの量は合計乾燥重量に基づくものである。
【0065】
エポキシ酸配合物は、SCA改質を有するエポキシ官能性樹脂の適当量を、同じ、変性されていないエポキシ官能性樹脂のある量、及び欧州特許出願公開第0275138号の製造Cに従って製造された三価酸溶液と混合することにより製造され、1:1の化学量論及び酸及びエポキシ基を得た。この配合物はさらに酢酸ブチルで希釈され、700mPasの高い剪断粘度を得た。
【0066】
コンプライアンス測定は、存在するすべてのレオロジー的構造を破壊するための短い高剪断処理の後、0.5Paの一定の剪断応力において、典型的な厚さの垂直な湿ったフィルム上への重力の影響をシミュレーションする、応力制御されたレオメーターで行われた。コンプライアンスは、湿ったフィルムにより室温において示されるフローの累積量に比例すると考えられる。
【0067】
実施例1:Setal(商標)166SS−80中の(90/10)S/R−AMBA+BA+HDI
100.00gのSetal(商標)166SS−80(酢酸ブチル/o−キシレン中の80%ポリエステルポリオール)が反応容器に添加され,1500rpmにおいて5分間回転ディスクディゾルバーを使用して、0.07g(0.58ミリモル)のR−(+)−α−メチルベンジルアミン,0.62g(5.1ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミン及び0.61g(5.7ミリモル)のベンジルアミンと混合された。攪拌速度は4000rpmに上昇され,0.99g(5.9ミリモル)の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが、シリンジを使用して添加された。混合物は4000rpmにおいてさらに30秒間攪拌された。
【0068】
比較例1:Setal(商標)166SS−80中のBA+HDI
1.22g(11.4ミリモル)のベンジルアミンがモノアミン成分として使用された以外は実施例1におけるようにSCA混合物が製造された。
【0069】
比較例2:Setal(商標)166SS−80中の(90/10)S/R−AMBA+HDI0.14g(1.2ミリモル)のR−(+)−α−メチルベンジルアミン及び1.16g(9.6ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は実施例1におけるようにSCA混合物が製造された。
【0070】
比較例3:比較例1及び2の物理的混合物.
50.00gの比較例2からの物質が、5分間500rpmにおいて回転ディスクディゾルバーを使用して50.00gの比較例1から物質と混合された。
【0071】
コーティング組成物の合計固体重量に対して、それぞれ1.2重量%及び0.5重量%のポリウレア化合物を含む2つのポリオール−イソシアネート2K配合物が上述のように製造された。レオロジー的なコンプライアンスが上記のように測定された。結果が表1において比較される。慣用のBA−HDI SCAに対して、高いエナンチオマー過剰SAMBA−HDIに基づくSCAを使用して得られることのできるフラッシュオフコンプライアンスにおける利点が、SAMBA−BA混合物を使用してHDIと反応させることにより同じ又はさらにより高い程度まで得られることができることが明らかに見られる。2つの別のタイプのSCAの物理的混合物の使用は、明らかに異なる結果を生み出し、(S)AMBA−BA混合アミンSCAのレオロジー的効率と対等であり得ない。
【0072】
【表1】

【0073】
図2〜4のこれらの物質のSEM写真は、混合されたアミンSCA(図4)が、BA−HDI(図3)並びにSAMBA−HDI(図2)の両方とは異なる形態を有することを示しており、このことは実際には共結晶化が起きていることを示す。
【0074】
実施例2:Setal(商標)166SS−80中のS−AMBA+BA(25:75)+HDI
100.0gのSetal(商標)166SS−80が反応器に添加され,1500rpmにおいて2分間回転ディスクディゾルバーを使用して0.33g(2.7ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミン及び0.90g(8.4ミリモル)のベンジルアミンと混合された。混合速度は4000rpmに上昇され,0.97g(5.77ミリモル)の1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネートがシリンジを使用して添加された。混合物は4000rpmにおいてさらに30秒間攪拌された。
【0075】
実施例3:Setal(商標)166SS−80中のS−AMBA+BA(20:80)+HDI
0.25g(2.1ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミン及び0.99g(9.2ミリモル)のベンジルアミンが使用された以外は実施例2におけるようにしてSCA混合物が製造された。
【0076】
実施例4:Setal(商標)166SS−80中のS−AMBA+BA(10:90)+HDI
0.14g(1.2ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミン及び1.10g(10.3ミリモル)のベンジルアミンが使用された以外は、実施例2におけるようにしてSCA混合物が製造された。
【0077】
実施例5:Setal(商標)166SS−80中のS−AMBA+BA(5:95)+HDI
0.07g(0.6ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミン及び1.17g(10.9ミリモル)のベンジルアミンが使用された以外は、実施例2におけるようにSCA混合物が製造された。
【0078】
比較例4:Setal(商標)166SS−80中のBA+HDI
1.22g(11.4ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は、実施例2におけるようにSCA混合物が製造された。
【0079】
ポリオール−イソシアネート2K配合物が上記のように製造され、レオロジー的コンプライアンスが測定された。結果が表2において比較される。この表は、支配的にBAに基づくSCAにおいて共反応する少量のSAMBAでさえ、すでにフラッシュオフサギングにおいて有意な利点を与えることを明らかに示す。
【0080】
【表2】

【0081】
実施例6:Setalux(商標)1770VS−70中のS−AMBA+BA(1:1)+HDI
100.00gのSetalux(商標)1770VS−70(solvesso100/酢酸ブチル中の70%熱硬化性ヒドロキシル化アクリル樹脂)が反応器に添加され、1500rpmにおいて2分間回転ディスクディゾルバーを使用して0.56g(4.6ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミン及び0.53g(4.9ミリモル)のベンジルアミンと混合された。混合速度は4000rpmに上昇され、0.83g(4.9ミリモル)の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートがシリンジを使用して添加された。混合物は4000rpmにおいてさらに30秒間攪拌された。
【0082】
比較例5:Setalux(商標)1770VS−70中のS−AMBA+HDI
1.13g(9.3ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は、実施例6におけるようにSCA混合物が製造された。
【0083】
比較例6:Setalux(商標)1770VS−70中のBA+HDI
1.07g(l0.0ミリモル)のベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は、実施例6におけるように、SCA混合物が製造された。
【0084】
実施例7:Setalux(商標)1715VX−74中のS−AMBA+BA(1:1)+HDI
100.00gのSetalux(商標)1715VX−74(solvesso 100/o−キシレン中の74%飽和ポリエステルポリオール)がバインダーとして使用された以外は、実施例6におけるように、SCA混合物が製造された。
【0085】
比較例7:Setalux(商標)1715VX−74中のS−AMBA+HDI
1.19g(9.82ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は、実施例7におけるようにSCA混合物が製造された。
【0086】
比較例8:Setalux(商標)1715VX−74中のBA+HDI
1.13g(10.5ミリモル)のベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は、実施例7におけるようにSCA混合物が製造された。
【0087】
実施例8:Setalux(商標)1757W−70中のS−AMBA+BA(1:1)+HDI
100.00gのSetalux(商標)1757W−70(Solvesso 100中の70%熱硬化性ヒドロキシル化アクリルコポリマー)がバインダーとして使用された以外は、実施例7におけるようにSCA混合物が製造された。
【0088】
比較例9:Setalux(商標)1757W−70中のS−AMBA+HDI
1.13g(9.32ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は、実施例8におけるようにSCA混合物が製造された。
【0089】
比較例10:Setalux(商標)1757W−70中のBA+HDI
1.06g(9.9ミリモル)のベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は、実施例8におけるようにSCA混合物が製造された。
【0090】
実施例9:Setalux(商標)1760VB−64中のS−AMBA+BA(1:1)+HDI
Setalux(商標)1760VB−64(solvesso 100/n−ブタノール中の64%熱硬化性ヒドロキシル化アクリルコポリマー)がバインダーとして使用された以外は、実施例8におけるようにSCA混合物が製造された。
【0091】
比較例11:Setalux(商標)1760VB−64中のS−AMBA+HDI
1.03g(8.5ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は実施例9におけるようにSCA混合物が製造された。
【0092】
比較例12:Setalux(商標)1760VB−64中のBA+HDI
0.98g(9.2ミリモル)のベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は、実施例9におけるようにSCA混合物が製造された。
【0093】
Setamine(商標)US138ブチル化メラミンホルムアルデヒド架橋剤を使用して、Setalux(商標)1715,1757,1760及び1770に基づく実施例及び比較例のために、コーティング配合物が製造された。レオロジー的コンプライアンスが測定され、結果が表3において比較される。
【0094】
【表3】

【0095】
表3は、表1に示された利点が全く普遍的であり、他のポリエステルポリオール及びアクリルポリオール樹脂及びメラミンホルムアルデヒド架橋剤に基づく1Kタイプの配合物に敷衍されることができることを示す。
【0096】
実施例10A:Setalux(商標)1767W−65中のS−AMBA+BA(1:1)+HDI
600.0gのSetalux(商標)1767W−65(solvesso 100中の65%アクリルポリオール)が反応器に添加され、1500rpmにおいて5分間回転ディスクディゾルバーを使用して4.40g(36.3ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミン及び4.18g(39.0ミリモル)のベンジルアミンと混合された。温度は、上記の5分間に40℃に上昇された。次に攪拌速度は4000rpmに上昇され、6.52g(38.8ミリモル)の1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネートがシリンジを使用して添加された。混合物は4000rpmにおいて1分30秒間さらに攪拌された。
【0097】
実施例10B:Setalux(商標)1767W−65中のS−AMBA+BA(2:1)+HDI
5.90g(48.7ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミン及び2.77g(25.9ミリモル)のベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は実施例10A1におけるようにSCA混合物が製造された。
【0098】
比較例13:Setalux(商標)1767W−65中のS−AMBA+HDI
100.0gのSetalux(商標)1767W−65が反応器に添加され、1.49g(12.3ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は、実施例10AにおけるようにSCA混合物が製造された。
【0099】
比較例14:Setalux(商標)1767W−65中のBA+HDI
1.42g(11.7ミリモル)のベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は、比較例13におけるようにSCA混合物が製造された。
【0100】
ポリオール−イソシアネート2K配合物がSetalux(商標)1767実施例から製造され、レオロジー的コンプライアンスが測定された。結果が表4において比較される。このアクリルポリオールに基づく2K配合物においてもまた、利点が観察されることができる。
【0101】
【表4】

【0102】
実施例11:Setal(商標)166SS−80中のD,L−AMBA+BA(1:3)+HDI
100.0gのSetal(商標)166SS−80(酢酸ブチル/o−キシレン中80%ポリエステルポリオール)が反応器に添加され、5分間1500回転においてディスクディゾルバーを使用して0.32g(2.6ミリモル)のラセミの(+/−)−α−メチルベンジルアミン及び0.91g(8.5ミリモル)ベンジルアミンと混合された。攪拌速度は4000rpmに上昇され、0.97g(5.77ミリモル)の1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネートがシリンジを使用して添加された。混合物は4000rpmにおいて30秒間さらに攪拌された。
【0103】
実施例12:Setal(商標)166SS−80中のD,L−AMBA+BA(1:1)+HDI
0.64g(5.3ミリモル)のラセミ(+/−)−α−メチルベンジルアミン及び0.59g(5.5ミリモル)のベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は実施例11におけるようにSCA混合物が製造された。
【0104】
ポリオール−イソシアネート2K配合物が製造され、レオロジー的コンプライアンスが測定された。結果は表5において比較され、高いエナンチオマー過剰混合物の代わりにアルファ−メチルベンジルアミンのラセミ混合物を使用して利点が得られることを示す。しかし、本発明における高いエナンチオマー過剰AMBAの結果はより明確である。
【0105】
【表5】

【0106】
実施例13:Setalux(商標)8503SS−60中の%S−AMBA+BA(1:1)+HDI
100.0gのSetalux(商標)8503SS−60(酢酸ブチル中の60%エポキシ官能性アクリル樹脂)が反応器に添加され、2分間1500回転においてディスクディゾルバーを使用して0.69g(4.1ミリモル)の1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネートと混合された。回転速度は4000rpmに上昇され、0.48g(4.0ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミン及び0.45g(4.2ミリモル)のベンジルアミンの混合物がシリンジを使用して添加された。混合物は4000rpmにおいてさらに30秒間攪拌された。
【0107】
比較例15:Setalux(商標)8503SS−60中のS−AMBA+HDI
0.97g(8.0ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は、実施例13におけるようにSCA混合物が製造された。
【0108】
比較例16:Setalux(商標)8503SS−60中のBA+HDI
0.92g(8.6ミリモル)のベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は実施例13におけるようにSCA混合物が製造された。
【0109】
上記の三価酸の架橋剤と組み合わせてSetalux(商標)8503に基づく配合物が製造された。レオロジーの結果が表6において比較されている。
【0110】
【表6】

【0111】
SAMBA−HDIに基づくSCAは、Setalux(商標)8503において非常に活性であるように見えるが、三価酸架橋剤溶液と配合すると溶解し,ニュートニアン透明液体を与える。この配合物のコロイドの性質はそのままであるが、この配合物における慣用のHDI−BA SCAは非常に低いレオロジー的活性を有する。
【0112】
実施例14:Setalux(商標)1757VV−70中のS−AMBA+BA(1:3)+HDI
100.0gのSetalux(商標)1757VV−70(solvesso 100中の70%熱硬化性ヒドロキシル化アクリルコポリマー)が反応器に添加され、2分間1500回転において回転ディスクディゾルバーを使用して0.28g(2.3ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミン及び0.80g(7.5ミリモル)のベンジルアミンと混合された。攪拌速度が4000rpmに上昇され、0.85g(5.0ミリモル)の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートがシリンジを使用して添加された。混合物は4000rpmにおいてさらに30秒間攪拌された。
【0113】
Setamine(商標)US138ブチル化メラミンホルムアルデヒド架橋剤と組み合わせてSetalux(商標)1757に基づく実施例から配合物が製造され、いわゆる落下波セット装置(falling wave setup)において試験された。この実験において、重力の引張による元の表面のプロフィールの変位が、時間の関数として追跡されることができる。これらの実験は蒸発の効果を含み、並びに室温における実質的なフラッシュオフタイム、続くヒーティングサイクルを模倣する。波の変位はフラッシュオフ期間(5分)、並びに加熱の間の期間(140℃まで、30℃/分の初期速度)の両方において測定されることができる:図1を参照されたい。
【0114】
BA−HDI SCAはフラッシュオフ期間にかなりの波のシフトを示すが、SCA構造が構築されたときはもはやフローを示さないことが見られる;すなわちオーブン中でそのままである。対照的に、SAMBA−HDI SCAはフラッシュオフの間は非常に小さなフローしか示さず、上で使用されたコンプライアンス測定の結果と一致している。オーブン中では、このSAMBA−HDI SCAの最も低い融解温度のために、構造は崩壊し、いくらか高温のフローが許される。フラッシュオフフロー対高温フローの比は、SAMBA−BA混合アミンを使用することによりコントロールされることができ、より高いBAレベルはこの比をフラッシュオフ側にシフトさせることが見られることができる。すなわち、SCAを製造するためのこれらの混合されたアミンの使用は、施与−硬化サイクル全体におけるテーラーメードなレオロジー的挙動を作り出すツールであることができる。
【0115】
実施例15:Setalux(商標)1760VB−64におけるS−AMBA+AMP(1:1)+HDI
100.0gのSetalux(商標)1760VB−64(Solvesso 100/n−ブタノール中の64%熱硬化性ヒドロキシル化アクリルコポリマー)が反応器に添加され、2分間1500回転において回転ディスクディゾルバーを使用して0.72g(5.9ミリモル)のS−(−)−α−メチルベンジルアミン及び0.69g(6.4ミリモル)の3−(アミノメチル)ピリジンと混合された。攪拌速度は4000rpmに上昇され、1.07g(6.36ミリモル)の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートがシリンジを使用して添加された。混合物は4000rpmにおいてさらに30秒間攪拌された。
【0116】
比較例17:Setalux(商標)1760VB−64中のAMP+HDI
1.4Og(12.9ミリモル)の3−(アミノメチル)ピリジンがアミン成分として使用された以外は、実施例15におけるようにSCA混合物が製造された。
【0117】
比較例18:Setalux(商標)1760VB−64中のS−AMBA+HDI
1.47g(12.1ミリモル)のS−(−)−α−エチルベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は、実施例15におけるようにSCA混合物が製造された。
【0118】
Setamine(商標)US138ブチル化メラミンホルムアルデヒド架橋剤を使用して、Setalux(商標)1760に基づく実施例及び比較例のためのコーティング配合物が製造された。レオロジーのコンプライアンスが測定され、結果が表7において比較され、フラッシュオフコンプライアンスに関して、実施例15の利点を示す。
【0119】
【表7】

【0120】
実施例16:Setalux(商標)1760VB−64中のL−alabu+BA(1:1)+HDI
0.77g(5.3ミリモル)のL−アラニンブチルエステル及び0.69g(6.4ミリモル)のベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は、実施例15におけるようにSCA混合物が製造された。
【0121】
比較例19:Setalux(商標)1760VB−64中のL−alabu+HDI
1.58g(10.88ミリモル)のL−アラニンブチルエステルがアミン成分として使用された以外は、実施例16におけるようにSCA混合物が製造された。
【0122】
比較例20:Setalux(商標)1760VB−64中のBA+HDI
1.40g(13.1ミリモル)のベンジルアミンがアミン成分として使用された以外は、実施例15におけるようにSCA混合物が製造された。
【0123】
Setamine(商標)US138ブチル化メラミンホルムアルデヒド架橋剤を使用して、Setalux(商標)1760に基づいて実施例及び比較例のためのコーティング組成物が製造された。レオロジーのコンプライアンスが測定された。結果は表8において比較され、実施例16の物質の相対的に強いコンプライアンスの限界を示す。
【0124】

【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】1K配合物:FW試験における波シフト
【図2】SAMBA−HDIのSEM写真
【図3】BA−HDIのSEM写真
【図4】SAMBA−HDIのSEM写真

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のポリイソシアネートを1以上の非キラルなモノアミン(I)及び1以上のキラルなモノアミン(II)と反応させ、反応生成物を共沈殿させてポリウレア化合物を形成することにより得られ得るポリウレア化合物において、該ポリウレア化合物におけるモノアミンの2〜98モル%がキラルなモノアミンであるポリウレア化合物。
【請求項2】
1以上のポリイソシアネートを、式(I)の非キラルなモノアミン及び式(II)のキラルなモノアミンの混合物と反応させることにより得られ得る、請求項1に記載のポリウレア化合物、

ここで該混合物は2〜98モル%のキラルなモノアミンIIを含み、ここでR〜Rのそれぞれは直鎖又は分岐状の、置換又は無置換の、飽和又は不飽和の炭化水素又はヘテロ原子含有基からなる群から独立して選択され、そうすることにより各キラルなモノアミンIIのR及びRは異なり、その結果モノアミンIIの炭素原子はキラル中心であるところのポリウレア化合物。
【請求項3】
ポリイソシアネートが、置換又は無置換の直鎖の脂肪族ポリイソシアネート及び置換又は無置換のアリーレン,アラルキレン,及びシクロヘキシレンポリイソシアネートからなる群から選択される、請求項1又は2のいずれか1項に記載のポリウレア化合物。
【請求項4】
モノアミンIのRがモノアミンIIのRと実質的に同形であり、Rが、好ましくは1〜6の炭素原子を含むアルキル、アリール、又はヘテロ原子含有基である、請求項2〜3のいずれか1項に記載のポリウレア化合物。
【請求項5】
がメチル基である、請求項2〜4のいずれか1項に記載のポリウレア化合物。
【請求項6】
モノアミンIのR及びモノアミンIIのRが同じ数の原子プラス又はマイナス2原子又はプラス又はマイナス25%の数の原子を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載のポリウレア化合物。
【請求項7】
モノアミンIのR及びモノアミンIIのRの両方が、同じ数の原子プラス又はマイナス2原子又はプラス又はマイナス25%の数の原子を有するアリール基、アルキル又はヘテロアルキル基を含む、請求項2〜6のいずれか1項に記載のポリウレア化合物。
【請求項8】
モノアミンIのR及びキラルなモノアミンIIのRが、場合によって異なる置換基を有していてもよい、同じ塩基性のアリール、アルキル又はヘテロ原子含有基を含む、請求項2〜7のいずれか1項に記載のポリウレア化合物。
【請求項9】
モノアミンIのR及びキラルなモノアミンIIのRが同一である、請求項2〜8のいずれか1項に記載のポリウレア化合物。
【請求項10】
キラルなモノアミンIIがアルファ−メチルベンジルアミン(AMBA)である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリウレア化合物。
【請求項11】
キラルなモノアミンIIが、場合によってエステル化されていてもよいアミノ酸である、請求項1〜10のいずれか1項に記載ポリウレア化合物。
【請求項12】
モノアミンIがベンジルアミン(BA)であり、キラルなモノアミンIIがアルファ−メチルベンジルアミン(AMBA)である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリウレア化合物。
【請求項13】
モノアミンIのR及び/又はキラルなモノアミンIIのRがピリジル基である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリウレア化合物。
【請求項14】
モノアミンIが3−(アミノメチル)ピリジン(AMP)であり、キラルなモノアミンIIがアルファ−メチルベンジルアミン(AMBA)である、請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリウレア化合物。
【請求項15】
混合物が、10〜55モル%のキラルなモノアミンIIを含む、請求項2〜14のいずれか1項に記載のポリウレア化合物。
【請求項16】
キラルなアミン化合物IIが少なくとも20%の対掌体過剰率で用意される、請求項1〜15のいずれか1項に記載のポリウレア化合物。
【請求項17】
異なる融解温度を有する2以上の異なるポリウレア化合物の物理的な混合物を含む、ポリウレア化合物混合物において、少なくとも1のポリウレア化合物が請求項1〜16のいずれか1項に記載のポリウレア化合物であるところのポリウレア化合物混合物。
【請求項18】
異なる融解温度を有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載のポリウレア化合物の2つを含む、請求項17に記載のポリウレア化合物混合物。
【請求項19】
2つのポリウレア化合物が、異なるキラルなアミンの含有量を有することにおいて異なる、請求項18に記載のポリウレア化合物混合物。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のポリウレア化合物又は請求項17〜19のいずれか1項に記載のポリウレア化合物混合物をレオロジー調節剤として使用する方法。
【請求項21】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のポリウレア化合物又は請求項17〜19のいずれか1項に記載のポリウレア化合物混合物を、接着剤、印刷インク、洗剤、紙、ボール紙、織物、建設資材、エンジニアリングプラスチック、顔料、掘削用流動体、又は化粧料においてレオロジー調節剤として使用する方法。
【請求項22】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のポリウレア化合物又は請求項17〜19のいずれか1項に記載のポリウレア化合物混合物を、コーティング組成物において垂れコントロール剤として使用する方法。
【請求項23】
バインダー物質中に分散された、請求項1〜16のいずれか1項に記載のポリウレア化合物を含む垂れコントロール剤組成物。
【請求項24】
コーティング組成物の製造においてマスターバッチとして使用するための請求項23に記載の垂れコントロール剤組成物において、該組成物が、バインダー、溶媒、及び(該組成物の合計重量に対して)0.5〜7重量%のポリウレア化合物を含む垂れコントロール剤。
【請求項25】
バインダー及び、垂れコントロール剤として、請求項1〜19のいずれか1項に記載のポリウレア化合物又は請求項23又は24のいずれか1項に記載の垂れコントロール剤組成物を含むコーティング組成物。
【請求項26】
(コーティング組成物の合計重量に基づいて)0.05〜10重量%のポリウレア化合物を含む、請求項25に記載のコーティング組成物。
【請求項27】
請求項25又は26のいずれか1項に記載のコーティング組成物から作られたコーティング。
【請求項28】
1以上のポリイソシアネートが、1以上の非キラルなモノアミンと1以上のキラルなモノアミンとの混合物と反応され、続いて反応生成物を沈殿させて、固体の共沈殿ポリウレア化合物を形成する、請求項1〜16のいずれか1項に記載のポリウレア化合物の製造方法。
【請求項29】
1以上のポリアミンが、1以上の非キラルなモノイソシアネートと1以上のキラルなモノイソシアネートとの混合物と反応され、続いて反応生成物を沈殿させて、固体の共沈殿ポリウレア化合物を形成する、請求項1〜16のいずれか1項に記載のポリウレア化合物の製造方法。
【請求項30】
工程Aにおいて1以上のポリイソシアネートが1以上の非キラルなモノアミンと反応され、別の工程Bにおいて、1以上のポリイソシアネートが1以上のキラルなモノアミンと反応され、続いて工程A及び工程Bの反応生成物を混合し、混合された反応生成物を沈殿させて、固体の共沈殿ポリウレア化合物を形成する、請求項1〜16のいずれか1項に記載のポリウレア化合物の製造方法。
【請求項31】
反応工程及び沈殿工程が別々の段階において行われ、第一段階において、反応工程後、分離の中間体ポリウレア生成物が製造され、該中間体ポリウレア生成物が、後の段階において他の化合物と混合されて、ポリウレア化合物を沈殿させる、請求項28〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
溶解されたポリウレア化合物が共結晶化して、請求項1〜16のいずれか1項に記載のポリウレア化合物を形成するところの用途において使用するための、溶解された状態にある請求項1〜16のいずれか1項に記載のポリウレア化合物を含む、中間体ポリウレア生成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−526922(P2008−526922A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550788(P2007−550788)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050134
【国際公開番号】WO2006/075000
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(505396349)ヌプレクス レジンズ ビー.ブイ. (13)
【Fターム(参考)】