説明

ポリウレタンフォームの製造方法及びポリウレタンフォーム

【課題】放出が少ないシラノール含有オルガノシロキサンを含む高効率の気泡安定組成物であって、VOC放出を減らした連続気泡のポリウレタンフォームを製造するために、単独でまたは他のポリマーシロキサン流体と組合せて使用することが可能であるものを提供すること。
【解決手段】ウレタン触媒、発泡剤、および1から200のシロキサン反復単位を有するシラノール官能化されたオルガノシロキサンを含む実効的な量のシロキサン系界面活性剤組成物の存在下で、少なくとも一種のポリイソシアネートと活性水素含有化合物とを接触することを含むポリウレタンフォームの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリウレタンフォームに関するものであり、特に気泡安定剤としてシリコーン系界面活性剤を使用してポリウレタン軟質フォームの製造プロセスに関するものである。特に、このフォームの安定剤としてシラノールを基材とする界面活性剤系を使用してポリウレタンフォームの製造プロセスを開示する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームとその製法は技術的によく知られており、広く様々な分野での用途を有している。一般的に、ポリウレタン(PU)フォームは一般的に発泡剤、触媒、シリコーン系界面活性剤およびその他助剤の存在下で、ポリイソシアネートと2以上の活性水素を含む化合物とを反応することにより生成される。この活性水素含有化合物は一般的にはポリオール、第一および第二ポリアミン、および水である。2つの主反応、ゲル化と発泡、はこのポリウレタンフォームの製造中にこの反応物中の触媒によって促進される。望ましい物理的性質のポリウレタンフォームを産するために、このプロセスの間、これらの反応は同時に、かつ競合的にバランスした速度で進行しなければならない。
【0003】
このイソシアネートとポリオールまたはポリアミン間の反応は、通常はゲル化反応として言及され、高い分子量のポリマーの形成につながる。この反応はもっぱら低沸点有機化合物で発泡させたフォームにおいて支配的である。この反応の進行はこの混合物の粘度を増し、そして一般に多官能価のポリマーとの架橋結合形成に貢献する。第二の主反応はイソシアネートと水の間で起こる。この反応はウレタンポリマーの成長を増大させ、かつフォーミングを促進する二酸化炭素ガスの生成にとって重要である。結果として、この反応はしばしば発泡反応として言及される。この発泡反応は発泡助剤の使用の回避または削減のために必要不可欠である。
【0004】
優れた品質の型成形された軟質フォームはいくつかの重要な性質を示す。それは優れたバルク(嵩)、ベント(孔)、およびせん断安定性を有し、このことはこのフォームが小さく、均質なセル(気泡)構造をこのフォームの内部全体にわたって有していることを意味する。これらのフォームはまた優れた表面安定性、これはこのフォームの外表面近くの微細なセルの層、および優れた寸法安定性を有する(すなわち、この型から外された後の収縮を減らす傾向を示す)ことと定義される、を有する。収縮に影響を受けないフォームはプロセスを簡単にし、このポリウレタンの物理的な結合性を弱めることができる機械破砕の要求を低減し、そしてスクラップや修復の率を減らす。より優れた品質の型成形でない軟質フォームは第一に優れたバルク寸法安定性を要求し、もしこれがない場合にはフォームの気泡破壊あるいは深刻な稠密化につながる。この軟質フォームからの添加物[揮発性有機化合物”VOC”]の全般的な放出を削減することもまた望ましく、特に自動車用窓ガラスの曇りが問題となりうる自動車内装用途において望ましい。例えば、この型成形された軟質フォームから蒸発するVOCの主要成分のひとつはこのアミン触媒である。
【0005】
この製造装置および化学物質はこのフォームの品質に重要な影響を有する。しかしながらこの界面活性剤は、このフォームの放出と同様に、このバルク、ベント、せん断、表面および寸法安定性にも直接的かつ重大な影響を有するので、この界面活性剤はしばしばこの処方の中で最も重大な成分のひとつである。過去に、バルク、せん断、ベント、表面および寸法安定性を最適化するために処方変数を選択する化学的戦略が多くのポリウレタンフォームの応用に成功してきた。鍵となる変数とは、この界面活性剤および触媒の賢明な選択、およびセルを連続化させるポリオールを組み込むことを含む。
【0006】
このフォーム産業は現在コスト削減問題に直面しており、そしてフォームの物理的特性を維持しつつ一方で同時にこれらの原材料とプロセスコストを減らすことに挑戦している。アプローチは、この処方により多くの水を組み込むことまたは液体二酸化炭素を注入することによってフォーム密度を低減すること、比較的高価なグラフトコポリマーの量を少なくすること、TDI(トルエンジイソシアネート)/MDI(メチレンジフェニルイソシアネート)の混合物を使用すること、およびイソシアネートを末端基とするプレポリマーを組み込むことを含んできた。特にフォームの寸法安定性を維持するという観点で、これらのアプローチのすべてが、これに付随する添加剤に関する課題の増加をもたらした。
【0007】
このポリウレタンフォームで利用される界面活性剤組成物は、この処方の中でしばしばもっとも重大な組成物のひとつである、というのはそれが、このフォームの揮発性放出と同様に、全体的な寸法安定性に直接的かつ重大な影響を有するからである。このような連続した気泡を有するフォームを提供するひとつの方法はシリコーン系界面活性剤、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)流体および/または有機変性されたPDMS流体、を使用して、この製品をフォーミングする化学反応が十分に完了するまで、このフォームを安定化させることであり、これによりこのフォームが自立し、そして望ましくない気泡破壊を被ることがないようにする。加えて、このシリコーン界面活性剤はフォーミングプロセスの終了時に、連続気泡フォームの提供を助けるはずであり、これは特にHR(高弾性)フォームを製造するときに重大なことである。このようなシリコーン系界面活性剤の例は、約2から約7のシロキサン単位を有する短いポリジメチルシロキサン界面活性剤である。このタイプの界面活性剤は一般に低い分子量のものでありそして流動性が高く、それゆえにこのセル構造を閉じることなくこのフォームを安定化させる。このタイプの界面活性剤の使用と関連する欠点は、例えばフォームシート、ヘッドライナー、サンバイザー、等のようなフォーミング部品にこのタイプの界面活性剤に基づくポリウレタンフォームを使用する場合に、この未反応の低分子量の界面活性剤がこのポリウレタンフォームから揮発し、続いて油膜として、例えばその自動車の窓に、付着する。そうすると、これが照明を散乱させドライバーに劣悪な照明条件を与えることになる。それゆえに、ポリウレタンフォーム組織に適当なバルク、ベント、表面および寸法安定性を提供するが、高温でこのフォーム内部に保持もされ、その結果VOC放出を減らしたポリウレタンフォームを製造し、一方で実質的にこのポリウレタンフォームの気泡を独立させる(締め付ける)ことの無い卓越した物理的性質を授けるシロキサン系界面活性剤を使用することが望ましい。
【0008】
これに応じて、ポリウレタンフォームの製造におけるシリコーン界面活性剤の代替品の開発と使用に対していくつかの様々なアプローチが進められた。米国特許第6,245,824号明細書、米国特許第6,235,804号明細書および米国特許第4,797,501号明細書において、シロキサン−オキシアルキレン系コポリマー(シリコーンポリエーテル)の界面活性剤、をポリエーテル系軟質ポリウレタンフォームの製造のための気泡安定剤として使用することが明らかにされている。これらの特許はポリエーテルで官能化されたシリコーンコポリマーをポリウレタン界面活性剤配合物中の活性化合物として使用することを提案する。
【0009】
ネルソンらの「シリコーン変性ポリウレタン」プロシーディング、難燃性に関するBCC第8回年次会議(コネチカット州、スタンフォード、1997年)は、カルビノールやシラノール基を有する二官能基のポリジメチルシロキサンを使用してポリウレタンエラストマーの難燃性を高めることを報告した。これらの二官能基のPDMSは他のシリコーン系界面活性剤といくつかの点で異なっている。第一に、この技術的に既に公知の官能化されたポリジメチルシロキサンはポリウレタンエラストマーの形成において主成分として使用された。第二に、この官能化されたシロキサンは固体ポリウレタンエラストマー組織の難燃性を高めるために使用された。
【0010】
米国特許第6,239,186号明細書は特にシロキサンオリゴマーを連続気泡のポリウレタンフォームの製造のための気泡安定剤として使用することを開示する。これらのオルガノシロキサンは分子量分布の狭いポリジメチルシロキサン界面活性剤であり、これの使用が安定化された、連続気泡のポリウレタン(PU)フォームをもたらした。
【0011】
米国特許公開第2004/0152796号明細書はヒドロキシアルキルまたはカルビノールを末端基としたシロキサンを、放出の少ないポリウレタンフォームの製造のための界面活性剤として使用することを開示した。この開示は、VOC放出の少ないまたは低減したポリウレタンフォームの製造において活性な界面活性剤成分としてのカルビノール(COH)官能価を有するシロキサンの使用に焦点を当てる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,245,824号明細書
【特許文献2】米国特許第6,235,804号明細書
【特許文献3】米国特許第4,797,501号明細書
【特許文献4】米国特許第6,239,186号明細書
【特許文献5】米国特許公開第2004/0152796号明細書
【特許文献6】米国特許第6,316,655号明細書
【特許文献7】米国特許第6,417,310号明細書
【特許文献8】米国特許第5,488,125号明細書
【特許文献9】米国特許第4,395,563号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ネルソンら著、「シリコーン変性ポリウレタン」プロシーディング、難燃性に関するBCC第8回年次会議(コネチカット州、スタンフォード、1997年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、放出が少ないシラノール含有オルガノシロキサンを含む高効率の気泡安定化組成物であって、VOC放出を減らした連続気泡のポリウレタンフォームを製造するために、単独でまたは他のポリマーシロキサン流体と組合せて使用することが可能であるものに対する要求は今もなお存在している。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明はシラノールを含むオルガノシロキサンを含む、新規かつ斬新な、高効率のポリウレタンフォーム安定化組成物を提供し、これは優れた寸法安定性を有しかつVOC放出を減らした連続気泡のポリウレタンフォームを製造するために、単独でまたはポリジメチルシロキサン(PDMS)流体と組合せて使用することが可能である。このように、本発明は、このポリウレタンフォームの界面活性剤組成物における活性成分として、シラノール官能化されたオルガノシロキサンを使用することを含む(オルガノシロキサンはシロキサンの主鎖の珪素原子に直接結合したヒドロキシル基を有する)。このようなシラノール系オルガノシロキサンは、約1から約200のシロキサン反復単位を有し、そして線状、枝分かれ状または環状構造であってもよい。さらにこのようなシラノール系オルガノシロキサンは、脂肪族ポリエーテル、脂肪族フッ素化基または脂肪族過フッ素化基を含んでもよい。
【0016】
本発明は、表面セルの調節活性を有する高効率のバルク安定化剤として、シラノール官能化されたオルガノシロキサンを含む界面活性剤組成物を提供する。そしてこれ自体は、シリコーンポリエーテル界面活性剤から製造されるフォームと比較すると、優れた寸法安定性および低減された揮発性シロキサンの放出を示す、シラノール系界面活性剤組成物からポリウレタンフォームを製造する方法を提供する。
【0017】
ポリウレタン軟質フォームを製造するための本発明のこの方法は、1以上の特別な、シラノール系界面活性剤を含む組成物を使用する。特にこの方法は、ウレタン触媒組成物、発泡剤、および実効的な量、すなわち許容できる寸法安定性を有するフォームを提供するために効果的な量、のシロキサン系界面活性剤組成物の存在下で、有機ポリイソシアネートと、1以上の活性水素含有化合物、特にポリオール、とを接触させることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、一般に、低減されたVOC放出を有するポリウレタンフォームの製造プロセスに関係するものである。この発明はワンショットフォーミング、疑似プレポリマーおよびプレポリマーのプロセスを使用する、半軟質および軟質ポリウレタンフォームの製造に特に好適である。これに応じて、本発明は、発泡剤、好ましくは水だけまたは他の発泡剤と組み合わせたもの、および触媒および場合により架橋剤の存在下における、イソシアネート成分と、活性水素含有成分と、フォームの安定剤として、シラノール系オルガノシロキサンを含むシリコーン系界面活性剤組成物とを含む、ポリウレタンフォームのフォーミング反応混合物から得られる半軟質および軟質ポリウレタンフォームを提供する。
【0019】
本発明の一面において、軟質ポリウレタンフォームのような、ポリウレタンフォームの製造プロセスが提供され、これは、ウレタン触媒、発泡剤、および放出の少ない、シロキサン系(シラノールを含む)界面活性剤組成物の存在下で、少なくとも一種のポリイソシアネートを活性水素含有化合物と接触させることを含む。このシロキサン系界面活性剤組成物は、一般化学式(I)のシラノール官能化されたオルガノシロキサンを含む。
【0020】
【化1】

ここで、このR基は独立してC〜Cアルキル基、フェニル基または−OSi(R)基であり、少なくとも一のR基はいずれかの珪素原子に直接結合したヒドロキシル基(−OH)であり、かつXは0〜200、好ましくは1〜60、さらに好ましくは1〜25の整数のひとつである。望ましくはこのR基はメチル基であって、少なくとも一のRは−OHである。このシラノール系オルガノシロキサンは、この平均的な高分子構造において珪素原子に直接結合した1〜10のヒドロキシル基、または1〜5のヒドロキシル基、または特に約2のヒドロキシル基を有しても良い。
【0021】
ここで使用されるとおり、「C〜C」は、C、CまたはCのように、1から3の炭素原子を有するアルキル基のいずれかひとつを意味する。同様に、例えばC〜CやC〜Cのように、これらの値のいずれか2つの間の範囲も意味する。このようなアルキルの例はメチル、エチル、ノルマルプロピルおよびイソプロピルを含む。
【0022】
この化学式(I)で示されるシラノール官能化されたオルガノシロキサン分子に含まれるものは、シラノール基(SiOH)を含む枝分かれ構造のもの、およびMT−樹脂やMQ−樹脂として当業者に公知となっているものである。シラノール官能化されたオルガノシロキサン分子の例を以下に描く。
【0023】
【化2】

ここでこのR基は独立してC〜Cアルキルまたはフェニルである。
【0024】
さらに本発明の別の一面において、ポリオールと、ポリマーポリオールと、約1から約200のシロキサン反復単位を有する、シラノール官能化されたオルガノシロキサンを含む、シロキサン系界面活性剤組成物と、発泡剤と、およびウレタン触媒とを混合することにより製造されるポリウレタンフォーム組成物が提供される。ここでこのポリウレタンフォーム組成物は約60から約120のイソシアネートインデックス値を有する。
【0025】
構成と方法が様々な構成要素または工程を「含む」という観点で記載される一方で、この構成と方法は様々な構成要素または工程「から本質的に構成される」または「から構成される」ことも可能である。
【0026】
シラノール
本発明において有用であるこのシラノール官能化されたオルガノシロキサンを、米国特許第6,316,655号明細書;米国特許第6,417,310号明細書;米国特許第5,488,125号明細書および米国特許第4,395,563号明細書で開示された合成に従って、製造することができる。シラノール官能化されたオルガノシロキサンはジレスト社、ダウコーニング社やGEシリコーン社から市販されている。
【0027】
本発明は、放出の少ない、シラノール含有オルガノシロキサンを含む高効率のポリウレタンフォーム安定化組成物を提供し、これはVOC放出を減らした連続気泡のポリウレタンフォームを製造するために、単独でまたはポリジメチルシロキサン流体と組合せて使用することが可能である。本発明は特別な分類のシラノール官能化されたオルガノシロキサンのポリウレタンフォーム界面活性剤を含む組成物を使用してポリウレタンフォームを製造する方法である。このフォームの製造方法は、触媒組成物およびシラノール官能化されたオルガノシロキサン組成物および場合によってはセル連続化剤の存在下で、有機イソシアネートとポリオールを反応させることから構成される。
【0028】
ここで記載されるシラノール官能化されたオルガノシロキサン化合物は、約0.00001から約5pbw(質量部)の量、そして通常は0.0001から2pbwの量で、このポリウレタン組成物およびこのような組成物を製造するためのプロセスにおいて、界面活性剤として使用することが可能である。場合により、このシラノール官能化されたオルガノシロキサン化合物は約0.001pphppから約1pphpp、そしてさらに通常は約0.001pphppから約0.5pphpp、の量で使用されることが可能である(pphpp=ポリオール100質量部に対する質量部)。
【0029】
シラノール官能化されたオルガノシロキサン化合物はこのようにしてまたはグリコールや脂肪アルコール、脂肪族もしくは芳香族の炭化水素、またはポリエーテルのような溶液に溶解して使用することも可能である。これらのシラノール系オルガノシロキサン界面活性剤組成物はまた、米国特許第6,239,186号明細書に記載されているように、オルガノシロキサン流体と組み合わせて使用することもできる。このような組合せで使用するときは、このシラノール官能化されたオルガノシロキサンは、すべての界面活性剤組成物に対して活性度ベースで約0.1〜100質量パーセント、好ましくは約0.2〜40質量パーセントで構成してもよい。
【0030】
ここで使用されるとおり、この「シラノール官能化されたオルガノシロキサン」という用語は珪素原子に直接結合するヒドロキシル基(OH)を含むシロキサン、特にこのポリウレタンフォームの製造にとって高効率かつ放出の少ない界面活性剤として働く能力を有するものを言及する。
【0031】
本発明によるこのシラノール官能化されたオルガノシロキサン界面活性剤組成物は、ポリエーテルやポリエステルポリウレタンフォームの製造に技術的に公知の要領で採用される。ポリウレタンフォームはスラブ材や型成形されたフォーム、粘弾性、半軟質(半硬質)および高弾性(HR)のフォームを含むことが意図される。ここでこれらの用語は技術的に公知である。シラノール官能化されたオルガノシロキサン界面活性剤組成物はまた当業者によって硬質フォームの製造に拡大適用されてもよい。これらの界面活性剤組成物を使用するポリウレタンフォームの製造において、1以上のポリエーテルまたはポリエステルポリオールがポリイソシアネートと反応し、ウレタン結合を提供する。本発明においてこのポリオール組成物はこのようなポリオールを1以上含んでもよい。
【0032】
ポリイソシアネート
本発明のポリウレタンフォーム形成プロセスにおいて有用なポリイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート基を含みかつ一般に公知の芳香族または脂肪族ポリイソシアネートのいずれかになる有機ポリイソシアネート化合物である。好適な有機ポリイソシアネートは、例えばメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)および2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)のような、炭化水素ジイソシアネート(例えばアルキレンジイソシアネートやアリーレンジイソシアネート)、同様に、高分子量MDIまたは粗MDIとしても知られる、トリイソシアネートおよびポリメチレンポリ(フェニレンイソシアネート)を含む。半軟質および軟質フォームに関して、この好ましいイソシアネートは一般に、例えば2,4−TDIと2,6−TDIがそれぞれ約80%と約20%の質量比率またそれぞれ約65%と約35%である混合物;TDIと高分子量MDI、好ましくは質量比率が約80%のTDIと約20%の粗高分子量MDIから約5%のTDIと約95%の粗高分子量MDI、の混合物;およびこのMDIタイプのポリイソシアネートの配合物全てである。
【0033】
ここで使用されるフォーム処方に含まれるイソシアネートの量は、この処方中の他の材料の量に関係し、「イソシアネートインデックス」という観点で記述される。「イソシアネートインデックス」は、使用されるポリイソシアネートの実際の量を、理論的に求められる化学量論的な、反応混合物中の全ての活性水素と反応するために必要なポリイソシアネートの量で割って、100を掛けたものである。本発明のプロセスで使用される反応混合物中のイソシアネートインデックスは一般に約60と約120の間にある。さらに通常は、このイソシアネートインデックスは、軟質TDIフォームに関しては通常約85と約120の間にあり、型成形のTDIフォームに関しては通常約90と約105の間にあり、型成形のMDIフォームに関してはほとんどの場合約70と約90の間にある。
【0034】
ポリオール
本発明のポリウレタンフォームのフォーミングにおいて前述のポリイソシアネートとともに使用される活性水素含有化合物は、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する、例えばポリオールのような、有機化合物のいずれかであってもよい。ポリウレタンフォームの製造のための本発明のプロセス、特にワンショットフォーミングプロセス、において有用なポリオールは、軟質スラブ材、軟質型成形フォームおよび半軟質フォームの製造技術に現在採用されているタイプのいずれかである。このポリオール、例えばポリエーテルポリオールとポリエステルポリオール、は通常約15から約700の範囲のヒドロキシル価を有する。このヒドロキシル価は通常、半軟質フォームに関して約100から約300の間にあり、そして軟質フォームに関して約20から約60の間にある。軟質フォームに関して、このポリオールの標準的な官能価、すなわちポリオール分子あたりのヒドロキシル基の平均数、は約2から約4であり、そして本発明の別の面においては約2.3から約3.5である。
【0035】
ここで単独または添加剤のいずれでも使用できるポリオールは、以下の限定的でない分類のいずれかであってもよい。
a)ポリヒドロキシアルカンと1以上のアルキレン酸化物、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等、との反応から派生したポリエーテルポリオール。
b)高官能価アルコール、糖アルコール、サッカリドおよび/または高官能価アミンと(望まれる場合は低官能価のアルコールおよび/またはアミンと混合した状態でもよい)、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のようなアルキレン酸化物、との反応から派生したポリエーテルポリオール。
c)リンおよびポリリン酸と、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のようなアルキレン酸化物、との反応から派生したポリエーテルポリオール。
d)ポリ芳香族アルコールと、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のようなアルキレン酸化物、との反応から派生したポリエーテルポリオール。
e)アンモニアおよび/またはアミンと、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のようなアルキレン酸化物、との反応から派生したポリエーテルポリオール。
f)例えばジオールのような多官能価の開始剤と、例えばヒドロキシカプロン酸またはカプロラクトンのようなヒドロキシカルボン酸またはそのラクトン、との反応から派生したポリエステルポリオール。
g)ポリエーテルポリオール中での、オキサレートエステルと、例えばヒドラジン、エチレンジアミン等のようなジアミン、との直接的な反応から派生したポリオキサメートポリオール。
h)ポリエーテルポリオール中での、ジイソシアネートと、例えばヒドラジン、エチレンジアミン等のようなジアミン、との直接的な反応から派生したポリ尿素ポリオール。
【0036】
このポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールに加えて、このマスターバッチまたはプレミックス組成物がしばしばポリマーポリオールを含む。ポリマーポリオールは軟質ポリウレタンフォームにおいて使用され、このフォームの変形に対する抵抗力を増し、言い換えるとこのフォームの耐力特性を増す。現在、異なる2つのタイプのポリマーポリオールを使用して、耐力向上を得ている。グラフトポリオールとして記載される、第一のタイプはトリオールであって、ここにビニルモノマーがグラフトコポリマー化される。スチレンとアクリロニトリルは通常好まれるモノマーである。第二のタイプ、ポリ尿素変性ポリオール、はジアミンとTDIとの反応によって形成されたポリ尿素分散体を含んだポリオールである。TDIは過剰に使用されるため、一部のTDIはポリオールとポリ尿素の両方と反応することがある。この第二のタイプのポリマーポリオールは、このポリオール中でTDIとアルカノールアミンがその場でポリマー化することにより形成されるPIPAポリオールと呼ばれる変異体を有する。この耐力の要求に応じて、ポリマーポリオールはこのマスターバッチの約4から約80%を構成してもよい。
【0037】
軟質フォームに関して、ポリヒドロキシアルカンのアルキレン酸化物付加物の標準的なタイプは、脂肪族トリヒドロキシアルカンのエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド付加物である。
【0038】
グラフトまたはポリマーポリオールは軟質フォームの製造に拡大適用されて使用され、そして、標準的なポリオールとともに、本発明のポリウレタンフォームの形成において有用なポリオールの中で好ましい部類のひとつである。ポリマーポリオールは安定したポリマー分散を含むポリオール、例えば上記のポリオール(a)から(e)である。本発明の一面において、このポリマーポリオールはタイプ(a)のポリオールである。本発明のプロセスにおいて有用な他のポリマーポリオールはポリ尿素ポリオールとポリオキサメートポリオールである。
【0039】
発泡剤
この標準的に使用される発泡剤のいずれも本発明の実施において単独または組み合わせで使用することが可能であるが、水は一般に軟質フォームにおいて反応性発泡剤として使用される。軟質スラブ材フォームの製造において、水は一般に、例えば約1.5から6.5pphpp(ポリオール100部に対する部)の間、たいていは約2.5から5.5pphppの間の濃度で使用する。TDI型成形フォームの場合の水のレベルは通常約3から約4.5pphppの範囲にある。MDI型成形フォームの場合、この水レベルは例えば通常約2.5と5pphppの間にある。しかしながら、当業者であれば容易に理解することであるが、この水レベルは通常は望まれるフォーム密度に応じて定められる。発泡剤の好適なレベルは当業者に公知である。例えば、高密度の半軟質ポリウレタンフォームの場合、この水レベルは約0.2pphpp程度まで低くすることが可能である。例えば揮発性炭化水素またはハロゲン化炭化水素に基づく発泡剤およびその他非反応性ガスのような、物理的発泡剤もまた本発明に従ってポリウレタンフォームを製造する際に使用することが可能である。軟質スラブ材フォームの製造において、水は主要な発泡剤である。しかしながら、他の発泡剤を補助的な発泡剤として使用することが可能である。軟質スラブ材フォームの場合、好ましい補助的発泡剤は二酸化炭素およびジクロロメタン(メチレンクロライド)である。本発明に従って使用することが可能である他の発泡剤は、クロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)およびフッ素化されていない有機発泡剤、例えば液体二酸化炭素、ペンタンおよびアセトンを含むが限定はしない。
【0040】
触媒
このポリウレタンの製造のために使用することが可能な触媒は、ウレタン触媒、遅延作用触媒、非反応性および反応性タイプ両方の第三アミン、アミノウレタン触媒、有機金属および/または有機金属ウレタン触媒、およびこれらの混合物を含むが限定はしない。本発明において有用で好適なウレタン触媒はトリエチレンジアミン(TEDA)、N−メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、N-メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、およびビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、同様にこれらの混合物を含むが限定はしない。反応性アミン触媒(非逃散性の触媒としても知られている)は、1以上の活性水素を含み、結果としてイソシアネートと反応し、そして化学的にポリウレタンポリマー母材に結合することが可能である化合物である。軟質スラブ材や型成形フォームの製造の場合、たいていは、このアミン触媒はビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテルおよびTEDAである。金属塩触媒もまたポリウレタンフォーム処方において使用可能であり、しばしば使用される。ここでの使用に好適な金属塩触媒はオクタン酸スズ、酢酸スズ、オレイン酸スズ、ラウリン酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、およびその他のこのようなスズ塩のような、有機スズを含むが限定はしない。金属塩触媒は通常はポリウレタン処方において少量、例えば約0.001から約0.5pphpp(ポリオール100質量部に対する質量部)の範囲の量、で使用する。
【0041】
その他添加物
多様な添加物もまたこの異なる特性を提供するフォームの製造に使用することができる。少なくとも2つの水素原子を有し、イソシアネートと反応することができる架橋剤または鎖長長延化剤を反応混合物に添加することが可能である。例えばヒドロキシルおよび/またはアミノおよび/またはカルボキシル基を有する化合物である。コストを下げかつ特別な物理的性質を与えるために、充填剤、例えば粘土、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸アンモニウム等を添加することができる。色づけのために染料を添加することができ、そして強度化のためにガラス繊維または合成繊維を添加することができる。くわえて、可塑剤、消臭剤、気泡安定剤、顔料、老化に対する安定化剤および耐候性剤、難燃剤、制カビ剤、制菌剤を添加することができる。
【0042】
ポリウレタンフォームの製造において使用してもよい架橋剤は、通常は小さい分子であり、たいていは350未満の分子量であり、イソシアネートと反応するための活性水素を含む。この架橋剤の官能価は3より大きく、本発明の別の面では3と5の間である。使用する架橋剤の量は約0.1pphppと約20pphppの間で変化することが可能であり、そしてこの使用量は要求される気泡安定性またはフォーム硬度を得るように調整される。架橋剤の例はグリセリン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびテトラヒドロキシエチルエチレンジアミンを含むが限定はしない。
【0043】
本発明で使用することができる連鎖延長剤は、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサン ジメタノール、p−キシレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンおよび1,12−ドデカンジオールを含むが限定はしない。本発明の別の面では、1,4−ブタンジオールを連鎖延長剤として使用する。
【0044】
プロセス
このポリウレタンの製造に有用な温度は、当業者に周知の製品のために使用する、フォームおよび特定のプロセスのタイプに応じて変化する。軟質スラブ材フォームは通常は反応物を一般的には約20℃と約40℃の間の環境温度で混合することによって製造される。このフォームが膨らみそして硬化する場所であるこのコンベアは本質的に環境温度にあるが、この温度はこのフォームが製造される地理的地域やその時期によってかなり変化しうる。軟質型成形フォームは通常は反応物を約20℃と約30℃の間の温度で混合することによって製造される。この混合した出発原料を通常は流し込みによって型に供給する。この型を、例えば約20℃と約70℃の間の温度に、加熱する。本発明の別の面では、この型を約40℃と約65℃の間の温度に加熱する。
【0045】
本発明に従って軟質スラブ材フォームおよび型成形フォームの製品のために使用することが可能なプロセスは、「ワンショット」プロセスまたはこの疑似プレポリマープロセスである。この「ワンショット」プロセスまたはこの疑似プレポリマーのプロセスにおいて、この出発原料は一工程で混合し反応する。
【0046】
このワンショットおよびプレポリマー法の簡単な説明は米国特許公開第2004/0152796号明細書で見つけることができる。すなわち、ポリウレタンフォームの製造のための「ワンショットプロセス」は、一つの工程で、該ポリイソシアネート、該有機ポリオール、水、触媒、界面活性剤、場合により発泡剤およびこれに類似するものを含むポリウレタンフォーム製品を製造するために必要な(または望まれる)全ての材料を単純に一緒に配合し、動いているコンベアまたは好適な形状の型に流し込み、そして硬化する、一工程プロセスである。このワンショットプロセスは、フォームを生成する構成要素がひとつもないところで、まずノルマルイソシアネート末端基を有するポリオールとポリイソシアネートとの液体プレポリマー付加物を用意し、次に固体ウレタンポリマーを形成するための第二工程において、触媒の存在下でこのプレポリマーを水と反応させる、プレポリマープロセスと対照をなす。
【0047】
本発明の一面によると、約1lb/ftから約3.75lb/ft(約16kg/mから約60kg/m)の範囲の密度を有し、オルガノシロキサン気泡安定剤を有する一般的なポリウレタン軟質フォームの処方は以下の成分をpbw(質量部)で含む。
【0048】
【表1】

【実施例】
【0049】
以下に記載する例および表において、以下の原料を使用した。
ダウケミカル製ポリエーテルポリオール、OH価=21
ダウケミカル製ポリマーポリオール、OH価=31
エアプロダクトアンドケミカル社(APCI)製 DABCO33−LV(登録商標)触媒
APCI製 DABCO(登録商標) BL−11触媒
APCI製 DABCO(登録商標) DC6070シリコーンポリエーテル界面活性剤
APCI製 DABCO DC5169シリコーンポリエーテル界面活性剤
APCI製 DABCO DC5164シリコーンポリエーテル界面活性剤
ジレスト製 DMS−S14 ジシラノール官能化PDMS(DP=17)
バイエル製 Mondur TD80 トルエンジイソシアネート
【0050】
以下の実施例において、ポリウレタンフォームA、BおよびDの製造に使用される気泡安定剤はシロキサンポリエーテルコポリマー(ポリオキシアルキレンシロキサン)であり、一方ポリウレタンフォームCおよびEの製造に使用される気泡安定剤は、DMS−S14、すなわち化学式(I)においてX=15に対応する重合度(DP)17を有するジシラノール官能化されたポリジメチルシロキサンが0.50wt%のポリプロピレングリコールモノブチルエーテル溶液であった。
【0051】
例1
以下の表1はポリウレタンフォーム処方A−Cの製造で使用する処方成分を明らかにする。ポリウレタンフォームA−Cは、当業者が精通している手練り技術を使って作製した。この界面活性剤とポリオールを1.9リットルカップに入れ、約6000rpmで約25秒間混合した。次に予め配合されたアミンをこのカップに加え、この内容物を約20秒間混合した。TDIを加え、そして約5秒間このカップの内容物の残りと混合した。最後に、この反応混合物を約68℃に温度制御された9.44dmの型に流し込んだ。十分な量のこの反応混合物を使用し、最終的なフォームパッドの全体の密度が約31.5kg/mになるようにした。このフォームを約240秒後に型から取りだし、そして取り出し30秒後に初期圧壊力(FTC)の試験を行った。収縮はヘリントン、ホックらの「軟質ポリウレタンフォーム」(ダウケミカル社、1997年発行)に記載された方法で測定した。すなわち、圧壊されていない型成形のフォームパッドを環境温度で一晩立たせておいた。この収縮したパッドを最も収縮した範囲で切断し、残存する厚みを測定し、もとのフォームの厚みに対するパーセンテージで報告した。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
実験の処方A−Cは、シラノール官能化されたオルガノシロキサン配合物(SiOH)をポリウレタンフォームの製造において使用すると、市販のシリコーンポリエーテル系界面活性剤に比べて低減したFTCと収縮の値を有する、より連続するフォームを結果としてもたらすことを示す。このデータはまた、この発明の範囲内の低放出のシラノール官能化された界面活性剤組成物を使用すると、市販のシリコーン界面活性剤に比べてシロキサン放出の大幅な減少が得られたことも示す。
【0054】
【表3】

【0055】
例2
以下の表3はポリウレタンフォーム処方D−Eの製造で使用する処方成分を明らかにする。ポリウレタンフォームD−Eは、高度先端技術の高圧フォーム装置を使って作製した。この樹脂「B−サイド」成分を混合し、そして5.5ガロン(20.8リットル)タンクに入れ、窒素圧力約2.2barの下で約72°F(約22℃)で、攪拌しそして維持した。このTDI「A−サイド」成分もまた5.5ガロン(20.8リットル)タンクに含め、窒素圧力約2.2barの下で約72°F(約22℃)で、攪拌しそして維持した。型に射出する前に、まず材料を配管およびミキシングヘッドを通ってタンクに戻るように循環させ、この混合ライン全体に均一な温度をもたらした。射出中に、油圧ピストンを上昇させ、樹脂とTDI成分が高圧衝撃ミキシングを通じて混合するようにした。このミックスヘッドからの材料を型に導き、軟質型成形パッドを作製した。型はこの型の設計に組み込んだ温水循環システムを通して約155°F(約68℃)に維持した。このフォームを約240秒後にこの型から取りだし、そして取り出し30秒後に初期圧壊力(FTC)の試験を行った。圧壊し、十分に硬化したフォームパッドでエアフローを測定し、より連続したフォームであることを示す高い値であった。例D−Eについて関連する物理的性質のデータを表4に示す。
【0056】
【表4】

【0057】
より高密度の処方を使用する高度先端技術ポリウレタンフォーム(例D−E)から得られた物理的性質のデータは、例D−Eで見られたものと類似の連続フォームの傾向を生じた。この表2と表4にまとめた結果は、この発明の範囲内で記載された低放出のシラノール官能化されたオルガノシロキサン組成物が、低放出で、寸法安定なポリウレタンフォームの製造において効果的であることを示す。
【0058】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン触媒、発泡剤、および1から200のシロキサン反復単位を有するシラノール官能化されたオルガノシロキサンを含む実効的な量のシロキサン系界面活性剤組成物の存在下で、少なくとも一種のポリイソシアネートと活性水素含有化合物とを接触することを含むポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項2】
該シラノール官能化されたオルガノシロキサンが線状、枝分かれ状または環状である、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
該シラノール官能化されたオルガノシロキサンが脂肪族ポリエーテル、脂肪族フッ素化基または脂肪族過フッ素化基を含んでなる、請求項1に記載された方法。
【請求項4】
該シラノール官能化されたオルガノシロキサンが化学式(I)のものであって、該R基は独立してC〜Cアルキル基、フェニル基または−OSi(R)基であり、すくなくとも1つのR基はいずれかの珪素原子に直接結合したヒドロキシル基(−OH)であり、かつXは0〜200の整数である、請求項1に記載された方法。
【化1】

【請求項5】
該シラノール官能化されたオルガノシロキサンが以下の構造のひとつを有し、ここで該R基は独立してC〜Cアルキル基またはフェニル基である、請求項4に記載された方法。
【化2】

【請求項6】
該オルガノシロキサンが、該平均的な高分子構造において珪素原子に結合した1〜10のヒドロキシル基を有する、請求項1に記載された方法。
【請求項7】
該オルガノシロキサンが、該平均的な高分子構造において珪素原子に結合した1〜5のヒドロキシル基を有する、請求項1に記載された方法。
【請求項8】
該オルガノシロキサンが、該平均的な高分子構造において珪素原子に結合した2のヒドロキシル基を有する、請求項1に記載された方法。
【請求項9】
該活性水素含有化合物がポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールまたはそれらの混合物である、請求項1に記載された方法。
【請求項10】
Rがメチルである、請求項4に記載された方法。
【請求項11】
該実効的な量の該シロキサン系界面活性剤組成物が0.001から1pphpp(ポリオール100部に対する部)である該シラノール官能化されたオルガノシロキサンを含んでなる、請求項9に記載された方法。
【請求項12】
該シロキサン系界面活性剤組成物が0.2〜40質量パーセントの該シラノール官能化されたオルガノシロキサンを含んでなる、請求項9に記載された方法。
【請求項13】
該発泡剤が水を含んでなる、請求項1に記載された方法。
【請求項14】
Xが1から60の整数である、請求項4に記載された方法。
【請求項15】
ウレタン触媒、発泡剤、および0.001から1pphppのシラノール官能化された化学式(I)のオルガノシロキサンを含むシロキサン系界面活性剤組成物の存在下で、少なくとも一種のポリイソシアネートとポリオールとを接触することを含むポリウレタンフォームの製造方法であって、ここで該R基は独立してメチル基、フェニル基または−OSi(R)基であり、すくなくとも1つのR基はいずれかの珪素原子に直接結合したヒドロキシル基(−OH)であり、かつXは0〜200の整数である、ポリウレタンフォームの製造方法。
【化3】

【請求項16】
該オルガノシロキサンが、該平均的な高分子構造において珪素原子に結合した1〜5のヒドロキシル基を有する、請求項15に記載された方法。
【請求項17】
該オルガノシロキサンが、該平均的な高分子構造において珪素原子に結合した2のヒドロキシル基を有する、請求項15に記載された方法。
【請求項18】
該ポリオールがポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールまたはそれらの混合物である、請求項16に記載された方法。
【請求項19】
Rがメチルである、請求項18に記載された方法。
【請求項20】
該シロキサン系界面活性剤組成物が0.001から0.5pphpp(ポリオール100部に対する部)である該シラノール官能化されたオルガノシロキサンを含んでなる、請求項19に記載された方法。
【請求項21】
該シロキサン系界面活性剤組成物が0.2〜40質量パーセントの該シラノール官能化されたオルガノシロキサンを含んでなる、請求項20に記載された方法。
【請求項22】
該発泡剤が水を含んでなる、請求項20に記載された方法。
【請求項23】
Xが1から60の整数である、請求項20に記載された方法。
【請求項24】
該オルガノシロキサンが該平均的な高分子構造において珪素原子に結合した2のヒドロキシル基を有する、請求項20に記載された方法。
【請求項25】
ポリウレタンフォームであって、該フォームのための実効的な量の安定剤を含むポリウレタンフォーム形成反応混合物から得られるものであって、該安定剤はシラノール官能化された一般化学式(I)のオルガノシロキサン組成物を含み、ここで該R基は独立してメチル基、フェニル基または−OSi(R)基であり、すくなくとも1つのR基はいずれかの珪素原子に直接結合したヒドロキシル基(−OH)であり、かつXは0〜200の整数であるポリウレタンフォーム。
【化4】

【請求項26】
該ポリウレタンフォーム形成反応混合物がさらにポリイソシアネートと、ポリエステルおよび/またはポリエーテルポリオールと、水を含む発泡剤とを含んでなる、請求項25に記載されたポリウレタンフォーム。
【請求項27】
該オルガノシロキサンが、該平均的な高分子構造において珪素原子に直接結合した1〜5のヒドロキシル基を有する、請求項26に記載されたポリウレタンフォーム。

【公開番号】特開2011−6708(P2011−6708A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229033(P2010−229033)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【分割の表示】特願2006−260622(P2006−260622)の分割
【原出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】