説明

ポリウレタン樹脂エマルション

【課題】 乾燥塗膜の耐水性に優れ、かつ高分子量であることにより乾燥塗膜の強度にも優れるポリウレタン樹脂エマルションを提供する。
【解決手段】 ポリウレタン樹脂(U)及び水を含有してなり、下記(1)〜(3)を満たすことを特徴とするポリウレタン樹脂エマルション。
(1)前記ポリウレタン樹脂(U)の重量平均分子量(Mw)が20,000〜2,000,000であり、かつ前記ポリウレタン樹脂(U)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である。
(2)前記ポリウレタン樹脂(U)が、アンモニア及び炭素数1〜10のアミンからなる群から選ばれる1種以上の中和剤で中和されたカルボキシル基及び/又はスルホ基を有する。
(3)前記ポリウレタン樹脂(U)を水に分散させる際に乳化剤を使用しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐水性に優れる高分子量のポリウレタン樹脂エマルションに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン樹脂エマルションは、その優れた耐久性、耐薬品性及び耐磨耗性等の性能から、高機能エマルションとして、塗料、接着剤、バインダー及びコーティング剤分野に使用されており、今後も環境保全、省資源及び安全性等の観点からますます重要性を増していくと考えられる。ポリウレタン樹脂エマルションとしては主鎖にカルボキシル基及びスルホ基等のアニオン性基を含み、中和剤としてトリエチルアミン等の第3級アミンを有するものが一般的である。例外としては中和剤として第1級及び/又は第2級モノアミンを有することで熱硬化型塗料に使用される場合の硬化反応に用いられる酸触媒の失活を防止するポリウレタン樹脂エマルション(特許文献−1)及び中和剤としてアンモニアを有することにより乾燥が速く、耐水性が優れたポリウレタン樹脂エマルション(特許文献−2)等が報告されている。
【特許文献−1】特開平6−93068号公報
【特許文献−2】特開平9−100332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献−1に記載のポリウレタン樹脂エマルションは、第3級アミン塩を有するポリウレタン樹脂エマルションと第1級又は第2級モノアミンを混合し、次いで遊離する第3級アミンを除去するため、高沸点の第1級又は第2級アミンを有するポリウレタン樹脂エマルションしか得られず、乾燥塗膜の耐水性が悪いという問題点があった。一方、特許文献−2に記載のポリウレタン樹脂エマルションは、イソシアネートとアンモニア又は水との副反応抑制が十分でなく、高分子量のポリウレタン樹脂エマルションが得られず、乾燥塗膜の強度が低いという問題点があった。
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものであり、本発明の課題は、乾燥塗膜の耐水性に優れ、かつ高分子量であることにより乾燥塗膜の強度にも優れるポリウレタン樹脂エマルションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、ポリウレタン樹脂(U)及び水を含有してなり、下記(1)〜(3)を満たすことを特徴とするポリウレタン樹脂エマルションである。
(1)前記ポリウレタン樹脂(U)の重量平均分子量(Mw)が20,000〜2,000,000であり、かつ前記ポリウレタン樹脂(U)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である。
(2)前記ポリウレタン樹脂(U)が、アンモニア及び炭素数1〜10のアミンからなる群から選ばれる1種以上の中和剤で中和されたカルボキシル基及び/又はスルホ基を有する。
(3)前記ポリウレタン樹脂(U)を水に分散させる際に乳化剤を使用しない。
【発明の効果】
【0005】
本発明のポリウレタン樹脂エマルションは、乾燥塗膜の耐水性が優れ、かつ高分子量のポリウレタン樹脂からなることで乾燥塗膜の強度にも優れるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は、ポリイソシアネート成分(a1)、ポリオール成分(a2)、親水基含有活性水素含有成分(a3)及び必要によりその他の成分(a4)から構成される。
【0007】
(U)を構成するポリイソシアネート成分(a1)としては、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。(a1)としては、2個以上のイソシアネート基を有し、炭素数(以下、Cと略記する)6〜20(イソシアネート基中の炭素を除く、以下同様)の芳香族ポリイソシアネート(a11)、C2〜18の脂肪族ポリイソシアネート(a12)、C4〜15の脂環式ポリイソシアネート(a13)、C8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート(a14)及びこれらのポリイソシアネートの変性物(a15)等が挙げられる。(a1)は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0008】
C6〜20の芳香族ポリイソシアネート(a11)としては、例えば1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン{ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン等)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20重量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物}のホスゲン化物及びポリアリールポリイソシアネート(PAPI)等]、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3 ’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート及びm−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
【0009】
C2〜18の脂肪族ポリイソシアネート(a12)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート及び2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
【0010】
C4〜15の脂環式ポリイソシアネート(a13)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
【0011】
C8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート(a14)としては、例えばm−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)が挙げられる。
【0012】
ポリイソシアネートの変性物(a15)としては、上記ポリイソシアネート(a11)〜(a14)の変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等;遊離イソシアネート基含量が通常8〜33%、好ましくは10〜30%、特に12〜29%のもの)、例えば変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI及びイソシアヌレート変性IPDIが挙げられ、ウレタン変性ポリイソシアネート[過剰のポリイソシアネート(TDI及びMDI等)とポリオールとを反応させて得られる遊離イソシアネート含有プレポリマー]の製造に用いるポリオールとしては、後述の低分子ポリオール(a22)が挙げられる。
【0013】
これらポリイソシアネート成分(a1)の内で好ましいのは、C2〜18の脂肪族ポリイソシアネート(a12)及びC4〜15の脂環式ポリイソシアネート(a13)であり、更に好ましいのは(a13)、特に好ましいのはIPDI及び水添MDIである。
【0014】
ポリオール成分(a2)としては、数平均分子量(以下、Mnと略記)400〜5,000の高分子ポリオール(a21)及びMn400未満の低分子ポリオール(a22)が挙げられる。
【0015】
Mnはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPC)を用いて、テトラヒドロフランを溶媒として、ポリスチレンを標準として測定することができる。
【0016】
高分子ポリオール(a21)としては、ポリエーテルポリオール(a211)、ポリエステルポリオール(a212)及びポリカーボネートポリオール(a213)等が挙げられる。
(a21)のMnは、乾燥塗膜の物性の観点から、通常400〜5,000、好ましくは500〜5,000、更に好ましくは1,000〜3,000である。
【0017】
ポリエーテルポリオール(a211)としては、脂肪族ポリエーテルポリオール及び芳香族環含有ポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0018】
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、脂肪族低分子量活性水素原子含有化合物(水酸基当量が30〜150の2価〜8価又はそれ以上の脂肪族多価アルコール及び活性水素原子含有基として第1級又は第2級アミノ基を含有する化合物)のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)付加物が使用できる。
【0019】
AOが付加される脂肪族多価アルコールとしては、直鎖又は分岐の脂肪族2価アルコール[(ジ)エチレングリコール、(ジ)プロピレングリコール、1,2−,1,3−,2,3−又は1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール及び1,12−ドデカンジオール等]、脂環式2価アルコール[環状基を有する低分子ジオール、例えば特公昭45−1474号公報記載のもの]、脂肪族3価アルコール[グリセリン、トリメチロールプロパン及びトリアルカノールアミン等]、及び脂肪族4価以上のアルコール[ペンタエリスリトール、ジグリセリン、トリグリセリン、ジペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン及びソルバイド等]が挙げられる。
【0020】
AOが付加される1級又は2級アミノ基を含有する化合物としては、アルキル(C1〜12)アミン及び(ポリ)アルキレンポリアミン(アルキレン基のC2〜6、アルキレン基の数1〜4及びアミンの数2〜5)等が挙げられる。
【0021】
芳香族環含有ポリエーテルポリオールとしては芳香族低分子量活性水素原子含有化合物(水酸基当量が30〜150の2価〜8価又はそれ以上の、フェノール類及び芳香族アミン)のAO付加物が使用できる。
【0022】
AOが付加されるフェノール類としては、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールS及びビスフェノールF等、芳香族アミンとしてはアニリン及びフェニレンジアミン等が挙げられる。
【0023】
AO付加物の製造に用いるAOとしては、C2〜12又はそれ以上のAO、例えばエチレンオキサイド(以下、EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−、2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(THF)、α−オレフィンオキサイド、スチレンオキサイド、エピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0024】
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリオキシエチレンポリオール[ポリエチレングリコール(以下PEGと略記)等]、ポリオキシプロピレンポリオール[ポリプロピレングリコール(以下PPGと略記)等]、ポリテトラメチレングリコール(以下、PTMGと略記)及びポリオキシエチレンオキシプロピレンポリオールが挙げられる。
【0025】
芳香族環含有ポリエーテルポリオールとしては、ビスフェノール骨格を有するポリオール[例えばビスフェノールAのEO付加物(付加モル数2〜20)及びビスフェノールAのPO付加物(付加モル数2〜20)]並びにレゾルシンのEO又はPO付加物等が挙げられる。
【0026】
ポリエステルポリオール(a212)としては、縮合型ポリエステルポリオール及びポリラクトンポリオールが挙げられる。
【0027】
縮合型ポリエステルポリオールは、低分子量の多価アルコールと多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とのポリエステルが挙げられる。
低分子量の多価アルコールとしては、水酸基当量が30〜150の2価〜8価又はそれ以上の脂肪族多価アルコール及び水酸基当量が30〜150の2価〜8価又はそれ以上のポリフェノールのAO低モル付加物(付加モル数1〜10)が使用できる。
【0028】
縮合型ポリエステルポリオールに使用できる低分子量の多価アルコールの具体例としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサングリコール、ビスフェノールAのEO又はPO低モル付加物及びこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フマル酸及びマレイン酸等)、脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸等)、3価又はそれ以上のポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、これらの無水物(無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及び無水トリメリット酸等)、これらの酸ハロゲン化物(アジピン酸ジクロライド等)、これらの低分子量アルキルエステル(コハク酸ジメチル及びフタル酸ジメチル等)並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
縮合型ポリエステルポリオールとしては、例えばポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール及びポリネオペンチルテレフタレートジオールが挙げられる。
【0031】
ポリラクトンポリオールは、上記低分子量の多価アルコールへのラクトンの重付加物であり、ラクトンとしては、C4〜12のラクトン(例えばε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトン等の単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。ポリラクトンポリオールとしては、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトントリオールが挙げられる。
【0032】
ポリカーボネートポリオール(a213)としては、C4〜12、乾燥塗膜の物性の観点から、好ましくはC6〜10、更に好ましくはC6〜9のアルキレン基を有するアルキレンジオールの1種又は2種以上と、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基のC1〜6のジアルキルカーボネート、C2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及びC6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネート)から、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートポリオールが挙げられる。
【0033】
C4〜12のアルキレン基を有するアルキレンジオールとしては、直鎖アルキレンジオール(例えばテトラメチレンジオール、ペンタメチレンジオール、ヘキサメチレンジオール、ヘプタメチレンジオール、オクタメチレンジオール及びノナメチレンジオール)及び分岐アルキレンジオール(例えば2−メチルペンタンジオール、3−メチルペンタンジオール、2−メチルヘキサンジオール、3−メチルヘキサンジオール、2−メチルヘプタンジオール、3−メチルヘプタンジオール、4−メチルヘプタンジオール、2−メチルオクタンジオール、3−メチルオクタンジオール及び4−メチルオクタンジオール)であり、特に好ましいのは、直鎖のものではテトラメチレンジオール、ペンタメチレンジオール、ヘキサメチレンジオール及びノナメチレンジオール、分岐のものでは3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び2−メチル−1,8−オクタンジオールである。
【0034】
ポリカーボネートジオール(a213)の市販品としては、例えば「ニッポラン980R」[日本ポリウレタン(株)製]、「プラクセルCD220」[ダイセル(株)製]、「PCDL T4671」[旭化成(株)製]、「PCDL T5652」[旭化成(株)製]及び「クラレポリオールC−2090」[クラレ(株)製]が挙げられる。
【0035】
高分子ポリオール(a21)の内好ましいのは脂肪族ポリエーテルジオール及び脂肪族ポリエステルジオール、特に好ましいのはPTMG、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール及びこれらの内の2種以上の混合物である。
【0036】
Mn400未満の低分子ポリオール(a22)としては、C2〜15の多価アルコール類[2価アルコール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコール);3価アルコール(例えばグリセリン及びトリメチロールプロパン);これらの多価アルコールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド低モル付加物(Mn400未満)等]が挙げられる。
【0037】
親水基含有活性水素含有成分(a3)としては、分子中にカルボキシル基又はスルホ基を有するジオール並びにこれらの酸基を中和剤で中和したジオールが挙げられる。
【0038】
分子中にカルボキシル基を有するジオールとしては、C6〜24のジアルキロールアルカン酸[例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2 ,2−ジメチロールヘプタン酸及び2,2−ジメチロールオクタン酸]が挙げられる。
【0039】
分子中にスルホ基を有するジオールとしては、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸、スルホイソフタル酸ジ(エチレングリコール)エステル及びN,N−ビス(2−ヒドロキシルエチル)スルファミン酸等が挙げられる。
【0040】
(a3)の内で好ましいものは、ポリウレタン樹脂(U)の樹脂物性及びポリウレタン樹脂エマルションの経時安定性および分散安定性の観点から2,2−ジメチロールプロピオン酸及び2,2−ジメチロールブタン酸である。
【0041】
カルボキシル基、スルホ基又はホスホノ基を中和する際に使用する中和剤としては、アンモニア及びC1〜10のアミン化合物(例えばモノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン及びモノエタノールアミン等の第1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン及びジエタノールアミン等の第2級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン及びトリエタノールアミン等の第3級アミン)が挙げられる。
【0042】
中和剤としては、生成するポリウレタン樹脂のエマルションの乾燥性及び乾燥後の耐水性の観点から、沸点が90℃以下の化合物が好適である。このような観点から、中和剤として、アンモニア、モノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びジメチルエチルアミンが好ましく、更に好ましいのはアンモニア、モノエチルアミン、ジメチルアミン及びジエチルアミン、特に好ましいのはアンモニアである。
【0043】
必要に応じて用いられるその他の成分(a4)としては、鎖伸長剤(a41)及び停止剤(a42)が挙げられる。
【0044】
(a41)としては、C2〜10のジアミン類(例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、トルエンジアミン及びピペラジン)、ポリ(2〜10)アルキレンポリ(3〜11)アミン類(例えばジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミン)、ヒドラジン及びその誘導体(二塩基酸ジヒドラジド例えばアジピン酸ジヒドラジド)並びにC2〜10のアミノアルコール類(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール及びトリエタノールアミン)等が挙げられる。
【0045】
(a42)としては、C1〜8のモノアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、セロソルブ類及びカルビトール類等)、C1〜10のアミン類(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン及びモノオクチルアミン等のモノ又はジアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン等のモノ又はジアルカノールアミン等)等が挙げられる。
【0046】
(U)中のカルボキシル基[−COOH]及びスルホ基[−SO3H]の含量の合計(以下において酸基含量と表記する)は、塗膜の耐水性の観点から、(U)の重量に基づいて、5.0重量%以下であることが好ましく、更にに好ましくは0.5〜3.0重量%である。尚、本発明における酸基含量は、中和された酸アニオン基(−COO-及び−SO3-)であっても該酸アニオン基から酸基に換算した含有量を酸基含量とする。
【0047】
(U)中の酸基含量が上記の範囲内となるようにするためには、下記式に従って(U)の製造時の(a3)の仕込み量を設定することが好ましい。
目標とする酸基含量(%)=[(a3)の仕込量に基づくCOOHに相当する重量+(a3)の仕込量に基づくSO3Hに相当する重量]÷エマルション製造後の樹脂成分の全重量×100
【0048】
(a3)を中和剤で中和する場合の中和率[ウレタン樹脂(U)を構成する(a3)の全モル数に対する中和された(a3)のモル数の割合(百分率)]は、塗膜の耐水性及びエマルションの安定性の観点から、50〜100%が好ましく、更に好ましくは70〜100%、特に好ましくは90〜100%である。このような中和率とすることで、ウレタン樹脂(U)を水に分散する際に乳化剤を使用することなく、分散安定性の良好なエマルションを得ることができる。
尚、中和剤での中和は、(U)の高分子量化の観点から、ウレタン化反応後、水への分散の前又は分散中に行うことが好ましい。
【0049】
乾燥性及び乾燥塗膜の耐水性の観点から、(a3)の中和剤の30〜100モル%がアンモニア、第1級アミン及び/又は第2級アミンであることが好ましく、更に好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは80〜100モル%である。
【0050】
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は有機溶剤の非存在下で、(a1)〜(a3)及び必要により(a4)を、反応温度50〜250℃、好ましくは100℃〜250℃、更に好ましくは150℃〜250℃、最も好ましくは180℃〜240℃で、反応時間5分〜70分、好ましくは6分〜60分、更に好ましくは7分〜50分、最も好ましくは8分〜40分ウレタン化反応させて得られる。反応温度と反応時間がこの範囲であれば乾燥後の樹脂物性が良好である。
【0051】
上記ウレタン化反応においては反応を促進させるため、必要により通常のウレタン反応に使用される触媒を使用してもよい。触媒としては、トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン及び米国特許第4524104号明細書に記載のシクロアミジン類[1,8−ジアザ−ビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(サンアプロ(株)「DBU」等]等のアミン触媒;ジブチル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジラウリレート及びオクチル酸錫等の錫系触媒;テトラブチルチタネート等のチタン系触媒等が挙げられる。
【0052】
ウレタン化反応を行うための反応容器は、加熱、撹拌可能な反応容器であれば問題なく使用できるが、撹拌強度、密閉性および加熱能力の観点から、一軸又は二軸の押出機を用いるのが好ましい。一軸又は二軸の押出機としては、コンティニアスニーダー[株栗本鐵工(株)製]及び一軸混練機等が挙げられる。
【0053】
本発明のポリウレタン樹脂エマルションは、上記ポリウレタン樹脂(U)及び水を含有してなる。
【0054】
本発明のポリウレタン樹脂エマルション中のポリウレタン樹脂(U)の重量平均分子量(Mw)[GPCによって、N,N−ジメチルホルムアミド又はテトラヒドロフランを溶媒として、標準ポリスチレンを基準にして測定されるもの]は、非架橋型(熱可塑性:架橋剤を使用しないタイプ)の場合には通常20,000 〜2,000,000、好ましくは2,1000〜500,000、特に好ましくは22,000〜100,000である。架橋型(架橋剤を使用するタイプ)の(U)は上記範囲より高いMwのもの又はGPCで測定できない高いMwのものでもよい。 また、本発明におけるポリウレタン樹脂(U)のMw/Mnは、GPCで測定されるものであって、通常1.5〜3.5であり、好ましくは1.5〜3.3、特に好ましくは1.5〜3である。Mw及びMw/Mnがこの範囲であれば、塗膜の物性及び造膜性が良好である。
【0055】
本発明のポリウレタン樹脂エマルションにおけるポリウレタン樹脂(U)の体積平均粒子径(以下、Dvと略記)は、分散安定性の向上の観点から、0.01〜5μmであること好ましく、更に好ましくは0.01〜4μm、特に好ましくは0.02〜2μm、とりわけ好ましくは0.01〜1μm、最も好ましくは0.03〜0.8μmである。またポリウレタン樹脂粒子の体積平均粒子径/個数平均粒子径(以下、Dv/Dnと略記)は、1.2〜5であることが好ましく、更に好ましくは1.2〜4、特に好ましくは1.2〜3である。Dv及びDv/Dnが、この範囲であれば分散安定性及び乾燥時の造膜性が更に良好である。
【0056】
Dv及びDv/Dnは、レーザー回折粒度分布測定装置[例えば、LA−750:堀場制作所(株 )製]又は光散乱粒度分布測定装置[例えば、ELS−8000:大塚電子(株)製]を用いて測 定できる。
【0057】
本発明のポリウレタン樹脂エマルションの25℃での粘度は、エマルションの安定性の観点から、好ましくは10〜100,000mpa・s、更に好ましくは10〜5,000mpa・sである。粘度はBL型粘度計を用いて測定することができる。
本発明のポリウレタン樹脂エマルションのpHは、経時安定性および分散安定性の観点から、好ましくは2〜12、更に好ましくは4〜10である。pHは、pH Meter M−12[堀場製作所(株)製]で25℃で測定することができる。
【0058】
本発明のポリウレタン樹脂エマルションの固形分濃度(水以外の成分の含有量)は、エマルションの安定性の観点から好ましくは20〜65重量%、更に好ましくは25〜55重量%である。
固形分濃度は、エマルション約1gをペトリ皿上にうすく伸ばし、精秤した後、循環式定温乾燥機を用いて130℃で、45分間加熱した後の重量を精秤し、加熱前の重量に対する加熱後の残存重量の割合(百分率)を計算することにより得ることができる。
【0059】
本発明のポリウレタン樹脂エマルションは、上記のポリウレタン樹脂(U)を中和剤で中和した後あるいは中和しながら水分散させることで製造することができる。具体的には、例えば分散混合装置として回転式分散混合装置を用いてポリウレタン樹脂(U)の溶融温度未満の温度で水中に分散させる方法が挙げられる。
【0060】
上記方法を用いる場合、ポリウレタン樹脂(U)は、70〜280℃の溶融温度を有し、通常は室温では固状であり、25℃で好ましくは0.2〜50mm、更にに好ましくは0.5〜30mm、特に好ましくは1〜10mmの体積平均粒子径を有する粒子状物であることが、回転式分散混合装置に供給し易いという観点から好ましい。
【0061】
ポリウレタン樹脂(U)を粒子状に調整する手段としては、裁断、ペレット化、粒子化又は粉砕する等の手段を用いることができる。この粒子状への調整は、水中又は水の非存在下において実施することができる。例えば、シート状に圧延したポリウレタン樹脂(U)を角形ペレット機[(株)ホーライ製]で粒子状にするという方法が挙げられる。
【0062】
粒子状に調整されたポリウレタン樹脂(U)を、水とともに回転式分散混合装置に導入するが、この装置の主たる分散原理は、駆動部の回転などによって粒子に外部から剪断力を与えて粉砕し、分散させるという原理である。またこの装置は、常圧又は加圧下で稼働させることができる。
【0063】
回転式分散混合装置としては、例えばTKホモミキサー[プライミクス(株)製]、クレアミックス[エムテクニック(株)製]、フィルミックス[プライミクス(株)製]、ウルトラターラックス[IKA(株)製]、エバラマイルダー[荏原製作所(株)製]、キャビトロン(ユーロテック社製)及びバイオミキサー[日本精機(株)製]が挙げられ、これらの2種類以上の装置を併用してもかまわない。
【0064】
回転式分散混合装置を用いてポリウレタン樹脂(U)を分散混合処理する際の分散液の温度としては、分散体であるポリウレタン樹脂(U)の分解や劣化等を防ぐ観点から、ポリウレタン樹脂(U)の溶融温度未満、好ましくは溶融温度よりも5℃以上低い温度で室温以上の温度、さらに好ましくは溶融温度よりも10〜120℃低い温度で室温以上の温度が、分散効率および分解・劣化抑制の観点から好ましい。
【0065】
ポリウレタン樹脂(U)と水との回転式分散混合装置内の滞留時間は、分解・劣化抑制の観点から通常、0.1〜60分、好ましくは10〜30分である。
【0066】
上記ポリウレタン樹脂エマルションの製造方法では、従来のプレポリマーミキシング法のように末端イソシアネートプレポリマーを中和する必要が無いので、アンモニア、第1級アミン又は第2級アミンを中和剤に用いても高分子量のポリウレタン樹脂(U)が分散したエマルションを得ることができる。
【0067】
本発明の製造方法で得られたポリウレタン樹脂エマルションはその製造過程において、有機溶剤を実質的に使用しないため、残存する有機溶剤も実質的に存在しない。よって、環境に対する低負荷性、安全性および低臭気性に優れる。
【0068】
本発明のポリウレタン樹脂エマルションは、塗料組成物、接着剤組成物、繊維加工用のバインダー組成物(顔料捺染用バインダー組成物、不織布用バインダー組成物、補強繊維用集束剤組成物及び抗菌剤用バインダー組成物等)、コーティング組成物(防水コーティング組成物、撥水コーティング組成物及び防汚コーティング組成物等)及び人工皮革・合成皮革用原料組成物等に使用することができる。
【0069】
塗料組成物には、必要により添加剤、例えば塗膜形成補助樹脂、架橋剤、顔料、顔料分散剤、粘度調整剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤及び凍結防止剤を1種又は2種以上添加することができる。
【0070】
抗菌剤用バインダー組成物、コーティング組成物及び人工皮革・合成皮革用原料組成物として用いる場合の添加剤、処理液の濃度、繊維への適用手段、繊維への付着量及び処理条件等は用途に応じて適宜採択することができる。
【0071】
<実施例>
以下、実施例を以て本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下、部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0072】
実施例1
2軸混練機のKRCニーダー[栗本鐵工(株)製]に、Mnが1,000のポリカーボネートジオール「旭化成PCDL−T4671」[旭化成ケミカルズ(株)製]123.2部、1、4−ブタンジオール 19.4部、2,2−ジメチロールプロピオン酸25.2部及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート132.6部を窒素雰囲気下で導入した。その後220℃に加熱し、10分間混練してウレタン化反応を行った。反応物を取り出し、180℃に熱した加圧プレス機で圧延後、角形ペレット機[(株)ホーライ製]にて裁断した。続いて、90℃のイオン交換水686.8部に25%アンモニア水(中和剤)12.8部とペレット化したウレタン樹脂300.4部を加え、140℃の条件下でクレアミックス[エムテクニック(株)製]を用いて20,000rpmにて3分間分散させポリウレタン樹脂エマルション(Q−1)1,000部を得た。ウレタン樹脂の組成、及びウレタン樹脂エマルションの物性値を表1に示す。以下の実施例及び比較例についても同様に、ウレタン樹脂の組成及びウレタン樹脂エマルションの物性値等を表1に示す。
【0073】
実施例1と同様の方法で、表1に記載の原料を表1に記載の部数用いて実施例2〜5及び比較例1のポリウレタン樹脂エマルションを製造した。尚「PTMG1000」[三菱化学(株)製]はMn1,000のポリテトラメチレングリコール、「ニッポラン4073」[日本ポリウレタン(株)製]はMn2,000のポリヘキサメチレンアジペートジオールである。また、アンモニアを使用する場合、アンモニアとして表1に記載の部数となるような部数の25%アンモニア水を使用した。
【0074】
比較例2
撹拌機及び加熱器を備えた簡易加圧反応装置に、Mn1,000のポリカーボネートジオール「旭化成PCDL−T4671」[旭化成ケミカルズ(株)製]を110.9部、1,4ブタンジオールを18部、2,2−ジメチロールプロピオン酸を3621.6部、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを149.9部及びアセトン(1)を75部、窒素を導入しながら仕込んだ。その後95℃に加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、プレポリマーを製造した。反応混合物を40℃に冷却後、アセトン(2)115部及び25%アンモニア水5.5部を添加・混合し、更に水463部を加え回転子−固定子式方式の機械乳化機で乳化することでエマルションを得た。得られたエマルションに撹拌下、10%のジエチレントリアミン水溶液を53.1部及び25%アンモニア水5.5部を加え、50℃で5時間撹拌し、鎖伸長反応を行った。その後、減圧下に65℃でアセトンを除去し、ポリウレタン樹脂エマルションを得た。
【0075】
比較例3
比較例2と同様の方法で、表1に記載の原料を表1に記載の部数用いて比較例3のポリウレタン樹脂エマルションを製造した。
【0076】
表1に記載の物性の測定方法及び評価方法を以下に示す。
<Mw及びMn>
エマルションを、DMF中にポリウレタン樹脂固形分が0.0125重量%となるように加えて、常温で1時間撹拌後、0.3μmの孔径のフィルターで加圧ろ過して、得られたろ液に含まれているウレタン樹脂を、DMFを溶媒として分子量標準としてポリスチレンを用いて、GPCにより測定した。
<Dv及びDn>
ポリウレタン樹脂エマルションを、イオン交換水でポリウレタン樹脂の固形分が0.01重量%となるよう希釈した後、光散乱粒度分布測定装置[ELS−8000(大塚電子(株)製)]を用いて測定した。
<乾燥被膜の物性(100%応力、引張強度及び破断伸び)>
JIS K7311に記載の5.引張試験に基づいて行った。測定試料は、ポリウレタン樹脂エマルション10部とN−メチルピロリドン1部を均一に混合し、10cm×20cm×0.1cmのポリプロピレン製モールドに、水分乾燥後のフィルム膜厚が200μmになる量を流し込み、室温で12時間、循風乾燥機で105℃で3時間加熱乾燥することによって得られるフィルムを基に、JIS K7311に記載の5.1試験片に基づき作成した。
<乾燥塗膜の耐水性>
前記の乾燥被膜の物性測定と同様にして得られたフィルム上を、イオン交換水に24時間浸漬した後、取り出したフィルムの状態を目視により評価した。まったく変化しない場合は○、白化が見られる場合は△、白化し原形をとどめていない場合は×とした。
【0077】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のポリウレタン樹脂エマルションは、塗料組成物、接着剤組成物及び繊維加工用のバインダーとして好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン樹脂(U)及び水を含有してなり、下記(1)〜(3)を満たすことを特徴とするポリウレタン樹脂エマルション。
(1)前記ポリウレタン樹脂(U)の重量平均分子量(Mw)が20,000〜2,000,000であり、かつ前記ポリウレタン樹脂(U)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である。
(2)前記ポリウレタン樹脂(U)が、アンモニア及び炭素数1〜10のアミンからなる群から選ばれる1種以上の中和剤で中和されたカルボキシル基及び/又はスルホ基を有する。
(3)前記ポリウレタン樹脂(U)を水に分散させる際に乳化剤を使用しない。
【請求項2】
前記中和剤におけるアンモニア、第1級アミン及び第2級アミンの合計量が、全中和剤のモル数に基づいて、30〜100モル%である請求項1記載のポリウレタン樹脂エマルション。
【請求項3】
前記第1級アミン及び第2級アミンの沸点が90℃以下である請求項2記載のポリウレタン樹脂エマルション。
【請求項4】
前記ポリウレタン樹脂(U)の体積平均粒子径(Dv)が0.01〜5μmであり、且つ体積平均粒子径/個数平均粒子径(Dv/Dn)が1.2〜5である請求項1〜3のいずれか記載のポリウレタン樹脂エマルション。
【請求項5】
有機溶剤を含有しない請求項1〜4のいずれか記載のポリウレタン樹脂エマルション。

【公開番号】特開2009−292973(P2009−292973A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149593(P2008−149593)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】