説明

ポリウレタン発泡体の製造方法

【課題】発泡性ビーズが一旦発泡した後に崩壊して収縮するのを防ぎ、発泡状態が良好なポリウレタン発泡体を得られるようにする。
【解決手段】ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、未発泡の発泡性ビーズ及び触媒を含有するポリウレタン原料を反応させることにより発泡、硬化させ、前記反応による発熱で前記発泡性ビーズを発泡させるポリウレタン発泡体の製造方法において、前記ポリウレタン原料に熱可塑性合成樹脂粒状物を添加してポリウレタン原料を反応させ、発泡、硬化させると共に、ポリウレタン原料の反応発泡熱で熱可塑性合成樹脂粒状物を融解させ、その融解熱によってポリウレタン原料の反応発泡に基づく発熱温度の上昇を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン原料の反応による発泡、硬化に基づく発熱によってポリウレタン原料中の発泡性ビーズを発泡させるポリウレタン発泡体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軽量かつ高硬度のポリウレタン発泡体の製造方法として、ポリウレタン原料中に未発泡の発泡性ビーズを添加して、ポリウレタン原料の反応による発泡、硬化に基づく発熱によって発泡性ビーズを発泡させることにより、発泡性ビーズの分散したポリウレタン発泡体を得る方法が提案されている。
【0003】
しかし、発泡性ビーズを用いる従来の製造方法にあっては、ポリウレタン原料の反応による発泡、硬化に基づく発熱によって一旦発泡した発泡性ビーズが、その後に崩壊して収縮し、良好なポリウレタン発泡体が得られないことがある。この理由はポリウレタン原料の発泡、硬化時に発熱温度が高くなりすぎることにあると、本発明者は推測する。
【0004】
【特許文献1】特開昭48−77957号公報 特表2002−532596号公報(段落0041,0042)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、発泡性ビーズが一旦発泡した後に収縮するのを防いで、発泡性ビーズが良好に発泡しているポリウレタン発泡体を得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、未発泡の発泡性ビーズ及び触媒を含有するポリウレタン原料を反応させることにより発泡、硬化させ、前記反応による発熱で前記発泡性ビーズを発泡させるポリウレタン発泡体の製造方法において、前記ポリウレタン原料に熱可塑性合成樹脂粒状物を添加して前記ポリウレタン原料を反応させ、発泡、硬化させることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記熱可塑性合成樹脂粒状物の融点が80〜150℃からなることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記熱可塑性合成樹脂粒状物がポリエチレン、ポリプロピレンの粒状物単体、及びそれらの混合物の何れかであることを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記ポリウレタン原料中のポリオール100重量部に対して、未発泡の発泡性ビーズの添加量が5〜100重量部、熱可塑性合成樹脂粒状物の添加量が10〜100重量部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ポリウレタン原料が反応し、発泡、硬化する際、ポリウレタン原料の反応による発熱で未発泡の発泡性ビーズが発泡すると共に、熱可塑性合成樹脂粒状物が融解し、その際の融解潜熱によってポリウレタン原料の反応による発熱を抑制し、一旦発泡した発泡性ビーズが熱で崩壊して収縮するのを防ぐことができる。そのため、発泡状態が良好なポリウレタン発泡体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明におけるポリウレタン発泡体の製造方法は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、未発泡の発泡性ビーズ及び触媒を含有するポリウレタン原料に熱可塑性合成樹脂粒状物を添加して前記ポリウレタン原料を反応させることで発泡、硬化させるものである。また、前記ポリウレタン原料には添加剤が適宜添加される。
【0011】
本発明において使用されるポリオールは、ポリウレタン発泡体に用いられる公知のエーテル系ポリオールまたはエステル系ポリオールの何れか一方又は両方が用いられる。
【0012】
エーテル系ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコール、またはその多価アルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールを挙げることができる。また、エステル系ポリオールとしては、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等とから重縮合して得られたポリエステルポリオールを挙げることできる。
【0013】
ポリイソシアネートとしては、芳香族系、脂環式、脂肪族系の何れでもよく、また、1分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能のイソシアネートであっても、あるいは1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する3官能以上のイソシアネートであってもよく、それらを単独であるいは複数組み合わせて使用してもよい。
【0014】
例えば、2官能のイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネートなどの芳香族系のもの、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式のもの、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンイソシアネートなどの脂肪族系のものを挙げることができる。
【0015】
また、3官能以上のイソシアネートとしては、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、ポリメリックMDI等を挙げることができる。なお、その他ウレタンプレポリマーも使用することができる。また、ポリイソシアネートは、それぞれ一種類に限られず一種類以上であってもよい。例えば、脂肪族系イソシアネートの一種類と芳香族系イソシアネートの二種類を併用してもよい。
【0016】
発泡剤はポリウレタン原料を発泡させてポリウレタン発泡体とするためのものであり、水、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、炭酸ガス等が用いられる。発泡剤が水の場合、添加量はポリウレタン発泡体において目的とする密度や良好な発泡状態が得られる範囲に決定され、特にポリオール100重量部に対して3〜5重量部が好ましい。
【0017】
発泡性ビーズは、未発泡状態のものが使用される。未発泡状態の発泡性ビーズは、発泡後の発泡性ビーズよりも粒径が小さく、ポリウレタン原料に所望の量を分散混合し易いことから好ましいものである。一般に、ビーズの成形体の製造方法では、未発泡の発泡性ビーズを一次発泡させて、粒径が1〜5mmまで球形の状態で発泡させ、この一次発泡させた球形の発泡性ビーズをモールド内に投入して加熱融着させることで成形体としている。しかし、本発明において、一次発泡させた発泡性ビーズをポリウレタン原料に混合分散させて本発明のポリウレタン発泡体を得ることは、発泡性ビーズの粒径が大きすぎ、所望量を混合分散できないことから好ましくない。
【0018】
発泡性ビーズの素材には、ポリカーボネート、メチルメタアクリレート、ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体、ポリエチレン/ポリスチレン共重合体、アクリル/スチレン共重合体、ポリ尿酸等を挙げることができる。また、上記素材を混合してもよい。なかでも、発泡性ビーズの好ましい一例として、発泡性ポリスチレンビーズを挙げることができる。発泡性ポリスチレンビーズは、ポリスチレン又はスチレンを主体にした共重合プラスチックに発泡剤を含浸させたものからなる。発泡性ポリスチレンビーズに用いられる発泡剤としては、ペンタン、ブタン、プロパン等であって、数平均分子量が1000〜3000の高分子が好ましい。また、前記未発泡の発泡性ビーズは、耐熱温度が80℃以上、発泡開始温度が150℃以下のものが好ましい。耐熱温度が80℃より低い場合、発泡性ビーズが一旦発泡した後、崩壊して収縮しやすくなる。一方、発泡開始温度が150℃より高い場合、ポリウレタン原料の反応発泡時の発熱で発泡性ビーズが発泡し難くなる。未発泡の発泡性ビーズの粒径は、0.3〜1.6mm程度が好ましい。また、未発泡の発泡性ビーズの添加量は、ポリオール100重量部に対して5〜100重量部、より好ましくは10〜80重量部である。未発泡の発泡性ビーズは発泡による減熱作用を有するため、添加量が5重量部未満の少量の場合、ポリウレタン原料の反応発泡時の発熱抑制効果が少なくなり、熱可塑性合成樹脂粒状物を多量に添加しないと発泡後の発泡性ビーズに収縮を生じ易くなる。一方、添加量が100重量部を超えると、ポリウレタン原料の反応発泡時に発泡バランスが崩れて良好なポリウレタン発泡体を得難くなったり、発泡性ビーズの発泡が不十分となったりしやすい。
【0019】
触媒は、ポリウレタン発泡体用として公知のものを用いることができる。例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N−エチルモルホリン、テトラメチルグアニジン等のアミン触媒や、スタナスオクトエートやジブチルチンジラウレート等の錫触媒やフェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒(有機金属触媒とも称される。)を挙げることができる。触媒の一般的な量は、ポリオール100重量部に対して0.01〜2.0重量部程度である。
【0020】
熱可塑性合成樹脂粒状物は、ポリウレタン原料の反応発泡時の発熱で融解し、その際の融解潜熱によって反応発泡熱を抑制する作用を有する。本発明において使用される熱可塑性合成樹脂粒状物は、ポリウレタン原料の反応発泡時の発熱温度で融解可能なものとされ、融点が80〜150℃のものが好ましい。融点が80℃未満の場合、ポリウレタン原料の反応初期における発熱温度が低い時点で熱可塑性合成樹脂粒状物が融解し、その融解潜熱によってポリウレタン原料の反応温度を低下させてポリウレタン原料の反応進行を妨げるおそれがある。それに対して融点が150℃を超えると、ポリウレタン原料の反応発泡時の発熱で熱可塑性合成樹脂粒状物が融解せず、融解潜熱による発熱抑制作用が得られなくなる。本発明において好ましい熱可塑性合成樹脂粒状物の具体例として、ポリエチレン粒状物、ポリプロピレン粒状物の単体、及びそれらの混合物を挙げることができる。ポリエチレン粒状物及びプロピレン粒状物は何れも融点が120〜150℃の範囲にある。
【0021】
本発明では、前記熱可塑性合成樹脂粒状物における「粒状物」は、パウダー状のものを含む意味で使用されている。前記熱可塑性合成樹脂粒状物の粒径は。500μm以下のものが好ましい。前記熱可塑性合成樹脂粒状物の粒径が大きくなりすぎると、ポリウレタン原料に熱可塑性合成樹脂粒子が均一に分散し難くなって、ポリウレタン原料の良好な発泡が損なわれるようになる。また、前記熱可塑性合成樹脂粒状物の添加量は、ポリオール100重量部に対して10〜100重量部、より好ましくは20〜50重量部である。10重量部未満の場合、前記反応発泡時の発熱抑制効果が得難くなり、一方、100重量部を超えると、ポリウレタン原料の反応発泡時に発泡バランスが崩れて良好なポリウレタン発泡体が得難くなったり、発泡性ビーズの発泡が不十分となったりしやすい。
【0022】
その他の添加剤として、整泡剤、顔料などを挙げることができる。整泡剤は、ポリウレタン発泡体に用いられるものであればよく、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤および公知の界面活性剤を挙げることができる。顔料は、求められる色に応じたものが用いられる。
【0023】
なお、ポリウレタン原料に対する未発泡の発泡性ビーズと熱可塑性合成樹脂粒状物の添加は、ポリオールに熱可塑性合成樹脂粒状物を最初に混合した後、発泡剤、触媒、適宜の添加剤を混合し、その後、未発泡の発泡性ビーズを添加混合し、この混合物にポリイソシアネートを混合するのが特に好ましい。このように、熱可塑性合成樹脂粒状物をポリオールに最初に混合することにより、熱可塑性合成樹脂粒状物をポリウレタン原料に均一に分散させやすくなる。
【0024】
本発明におけるポリウレタン発泡体の製造は、ポリウレタン原料を常温大気圧下で反応させる公知のスラブ発泡により行われる。具体的には、ポリオール、発泡剤、触媒、熱可塑性合成樹脂粒状物、適宜の添加剤を混合した後、未発泡の発泡性ビーズを添加混合し、この混合物にポリイソシアネートを公知のポリウレタン注入機で混合したポリウレタン原料を、ベルトコンベア上に吐出し、該ベルトコンベアが移動する間に、ポリウレタン原料を常温大気圧下で反応させて自然発泡させ、硬化させることで連続的に製造することができる。その際、ポリウレタン原料の反応は、ワンショット法でもプレポリマー法でも、いずれの方法で反応させてもよい。なお、ワンショット法は、ポリオールとポリイソシアネートを、未発泡の発泡性ビーズ、触媒、発泡剤、熱可塑性合成樹脂粒状物及びその他適宜の添加剤等の存在下、直接反応させる反応方法である。それに対してプレポリマー法は、ポリオールとポリイソシアネートを事前に反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造し、このプレポリマーに未発泡の発泡性ビーズ、触媒、発泡剤、熱可塑性合成樹脂粒状物及びその他適宜の添加剤等の存在下、ポリオールを反応させる方法である。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の実施例について、比較例とともに具体的に説明する。表1及び表2に示す各成分を同表中の配合割合にしたがって配合し、ワンショット法を用いるスラブ発泡によって反応させ、ポリウレタン発泡体を得た。その際、ポリオールに熱可塑性合成樹脂粒状物を最初に混合した後、発泡剤、触媒、適宜の添加剤を混合し、その後、未発泡の発泡性ビーズを添加混合し、この混合物にポリイソシアネートを混合した。なお、実施例1〜5は熱可塑性合成樹脂粒状物にポリエチレン粒状物を用いると共にポリエチレン粒状物と未発泡の発泡性ビーズの量を変化させた例、実施例6〜9は熱可塑性合成樹脂粒状物にポリプロピレン粒状物を用いると共にポリプロピレン粒状物と未発泡の発泡性ビーズの量を変化させた例、実施例10は熱可塑性合成樹脂粒状物にポリエチレン粒状物とポリプロピレン粒状物を併用した例である。一方、比較例1は熱可塑性合成樹脂粒状物を添加しない例、比較例2は未発泡の発泡性ビーズの添加量を好ましい範囲より少なくした例、比較例3は未発泡の発泡性ビーズを好ましい範囲より僅かに多くした例、比較例4は熱可塑性合成樹脂粒状物としてのポリエチレン粒状物の添加量を好ましい範囲より少なくした例、比較例5は熱可塑性合成樹脂粒状物としてポリエチレン粒状物の添加量を好ましい範囲より僅かに多くした例である。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
表1及び表2におけるポリオールはポリエーテルポリオール(品番:GP3050F、官能基数f=3、OH価=56、Mw=3000、三洋化成工業株式会社製)、ポリエチレン粒状物は粒径100μm、融点120℃、三井化学工業株式会社製、ポリプロピレン粒状物は粒径100μm、融点140〜150℃、三井化学工業株式会社製、アミン触媒は6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール(品番:カオーライザーNo.25、花王株式会社製)、金属触媒はオクチル酸第一錫(品番:MRH110、城北化学工業株式会社製)、整泡剤はシリコーン整泡剤(品番:F650A、信越化学工業株式会社製)、発泡性ビーズは発泡性ポリスチレンビーズ(品番:SSBTX17、耐熱温度120〜130℃、発泡開始温度80℃、粒径0.7〜0.9mm、日立化成工業株式会社製)、ポリイソシアネートはトリレンジイソシアネート(品番:T−80、日本ポリウレタン工業株式会社製)である。
【0029】
このようにして得られたポリウレタンフォームを切断して内部を目視で観察して発泡状態を判断したところ、実施例については、何れも発泡後の発泡性ビーズに収縮は見られず、良好な発泡状態(○)であった。それに対して熱可塑性合成樹脂粒状物(ポリエチレン粒状物)を添加していない比較例1については、発泡後の発泡性ビーズの大部分に収縮が見られ、発泡状態が不良(×)であった。また、熱可塑性合成樹脂粒状物を好ましい範囲の添加量とすると共に未発泡の発泡性ビーズの添加量を好ましい範囲よりも少とした比較例2については、発泡後の発泡性ビーズに僅かな収縮が見られたが、比較例1よりも発泡状態は良好(△)であった。熱可塑性合成樹脂粒状物を好ましい範囲の添加量とすると共に未発泡の発泡性ビーズの添加量を好ましい範囲よりも僅かに多くした比較例3については、発泡性ビーズに未発泡のものと膨張(発泡)したものが見られ、発泡状態がやや良好(△)な程度であった。それに対し、未発泡の発泡性ビーズの添加量を好ましい範囲とすると共に、熱可塑性合成樹脂粒状物の添加量を好ましい範囲よりも少とした比較例4は、発泡後の発泡性ビーズに僅かな収縮が見られ、発泡状態がやや良好(△)な程度であった。また、未発泡の発泡性ビーズの添加量を好ましい範囲とすると共に、熱可塑性合成樹脂粒状物の添加量を好ましい範囲よりも僅かに多くした比較例5は、発泡性ビーズに未発泡のものと膨張(発泡)したものが見られ、発泡状態が不良(×)であった。比較例として、通常、これら実施例に使用した発泡性ビーズを単体で水蒸気加熱、膨張(発泡)させた場合、ポリプロピレン粒状物では0.7〜1.5mm、ポリエチレン粒状物では0.7〜1.5mmまで膨張(発泡)する。さらに、実施例のポリウレタンフォームに対して密度をJIS K 7222に基づいて測定し、硬度をJIS K 6400−2、D法に準拠して測定した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、未発泡の発泡性ビーズ及び触媒を含有するポリウレタン原料を反応させることにより発泡、硬化させ、前記反応による発熱で前記発泡性ビーズを発泡させるポリウレタン発泡体の製造方法において、
前記ポリウレタン原料に熱可塑性合成樹脂粒状物を添加して前記ポリウレタン原料を反応させ、発泡、硬化させることを特徴とするポリウレタン発泡体の製造方法。
【請求項2】
前記熱可塑性合成樹脂粒状物の融点が80〜150℃からなることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン発泡体の製造方法。
【請求項3】
前記熱可塑性合成樹脂粒状物がポリエチレン、ポリプロピレンの粒状物単体、及びそれらの混合物の何れかであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリウレタン発泡体の製造方法。
【請求項4】
前記ポリウレタン原料中のポリオール100重量部に対して、未発泡の発泡性ビーズの添加量が5〜100重量部、熱可塑性合成樹脂粒状物の添加量が10〜100重量部であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のポリウレタン発泡体の製造方法。

【公開番号】特開2007−176975(P2007−176975A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373829(P2005−373829)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】