説明

ポリウレタン系セメント組成物及び床層構造

【課題】電導性能の設計がし易く、耐久性があり、塗材の外観が良い組成物、塗床層構造を提供する。
【解決手段】施工時にポリール、イソシアネート、セメントとを混同・塗布し硬化させてなる水系硬質ウレタン塗り床材に等方性PITCH系カーボン短繊維とPAN系カーボン繊維を複合して配合し導電性を付与することで重量物の繰り返し走行にも耐えうる帯電防止床が可能となった。また、このとき、塗材中に混合繊維を多く含み塗布面方向に通電する下塗り層と、繊維量が少なく厚み方向に通電する上塗り層を設け、二層構造とすることにより、平滑性に優れる良好な仕上がりと安定した導電性能を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性を有するポリウレタン系セメント組成物及び床層構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、静電気により、樹脂フィルム包装などの帯電しやすい工程を行う場所では引火による火災や、半導体や精密電子部品を扱う工場ではデバイスの破壊などの事故の可能性があり、これを防止するために塗り床材に帯電防止性能が求められ、エポキシ樹脂やウレタン樹脂に金属や金属酸化物、炭素等を配合することにより導電性を付与した塗り床材が用いられてきた。しかし、同じ走路を繰り返し走行する自動搬送機を導入された床材では局所にかかる負荷が大きく、従来の塗り床材では耐えられなかった。一方で、水硬性セメント、水、ポリオールおよびイソシアネート化合物からなるポリウレタン系セメント塗り床材は、熱や機械的な衝撃強度に優れ、大きな負荷のかかる部位の床に施工実績はあるものの帯電防止のための導電機能設計と得られる床材としての外観に満足するものがなかった。
【0003】
水硬性セメント、水、セメント減水剤、及び、硬化して樹脂となり得る成分からなるセメント組成物は施工現場での混合にて均一に分散されやすく、作業性・性能・仕上がり外観にムラが生じにくいことが開示されている。(特許文献1)
【0004】
(a)水硬性セメント、(b)骨材、(c)イソシアネート基を含む化合物、(d)水、(e)3級アミン化合物触媒、および、(f)活性水素含有化合物(ただし水および3級アミン化合物触媒を除く)、を必須成分とするポリウレタン系セメント組成物が良好な仕上がり外観となることが開示されている。(特許文献2)
【0005】
水硬性セメント、水、骨材、ひまし油系ポリオール等の疎水性のポリオール、及び、ひまし油系ポリオール等の疎水性ポリオールとジイソシアネート化合物の反応で得られるイソシアネート基末端プレポリマーを含有するイソシアネート成分からなるポリマーセメント組成物が高耐久性塗り床材となることを開示している。(特許文献3)
【0006】
ポリエステルポリオール、イソシアネート化合物並びに水硬性セメントを含む骨材を配合してなる樹脂セメント組成物により、塗膜厚みが5mm以下においても、表面の樹脂成分だけからなる層と骨材を含む中心部の層の収縮率が異ならず、反り上がり現象や表層の亀裂誘発ななくなることが開示されている。(特許文献4)
【0007】
水硬性セメント、水、ポリオール、骨材、イソシアネート化合物を含むポリウレタン系セメントにおいて、硬化後の60度鏡面光沢度が5.0以上90以下である塗り床材、ポリオールが水分散性であり、イソシアネート化合物がポリメリックMDIで、このポリメリックMDIの2、4’−MDIが6重量%以下でかつNCO重量%を25%以下であるポリウレタン系セメント組成物が光沢度が5.0以上となり、耐汚染性すなわち汚染除去性が高いことが開示されている。(特許文献5)
【0008】
床基盤上に、下層として水系エポキシウレア樹脂セメントモルタルを塗布し、下層上に、上層として導電材料を混入した水系エポキシウレア樹脂セメントモルタルを塗布し、様ざまな劣化外力に対して耐久性能を持ち、長期間帯電防止性能を保持可能な、施工性がよい環境にやさしい帯電防止塗り床構造及び帯電防止塗り床材料が開示されている。(特許文献6)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−169744号公報
【特許文献2】特開平11−79820号公報
【特許文献3】特開2000−72507号公報
【特許文献4】特開2005−47719号公報
【特許文献5】特開2007−254179号公報
【特許文献6】特開2008−31721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする課題は、電導性能の設計がし易く、耐久性があり、塗材の外観が良い組成物、床層構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
施工時にポリール、イソシアネート、セメントとを混同・塗布し硬化させてなる水系硬質ウレタン塗り床材に等方性PITCH系カーボン短繊維とPAN系カーボン繊維を複合して配合し導電性を付与することで重量物の繰り返し走行にも耐えうる帯電防止床が可能となった。また、このとき、塗材中に混合繊維を多く含み塗布面方向に通電する下塗り層と、繊維量が少なく厚み方向に通電する上塗り層を設け、二層構造とすることにより、平滑性に優れる良好な仕上がりと安定した導電性能を確保できる。
【0012】
請求項1の発明は、ポリオール、水、イソシアネート、水硬性セメントを必須成分とするポリウレタン系セメント組成物であり、等方性PITCH系カーボン短繊維とPAN系カーボン繊維を含有することを特徴とするポリウレタン系セメント組成物で金属の導電材料を含まずに低い電気抵抗の硬化物、塗床が得られる。
【0013】
請求項2の発明は、上記等方性PITCH系カーボン短繊維がPAN系カーボン繊維に対して重量比で2〜10であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン系セメント組成物で低い電気抵抗の硬化物、塗床が安定して得られる。
【0014】
請求項3発明は、請求項1乃至2のいずれかに記載のポリウレタン系セメント組成物が塗布面方向に導電性を有する下塗り層と厚み方向に導電性を有する上塗り層とから構成されることを特徴とする床層構造で、外観が良い塗床が得られ、耐久性があり、自動搬送機等の重量物の繰り返し走行に耐えられる塗床となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の組成物、層構造は、導電性能を有し、表面が滑らかな仕上とすることができるという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は抵抗値測定の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
従来、厨房室、試験室、薬品・化学工場、電子回路の工場などの床には防水性、耐熱性、耐薬品性、耐熱水性並びに耐衝撃強度などの機能を付加させるため、打設したコンクリート表面に強化樹脂を施工した複合床や、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂とセメントとを配合した樹脂モルタル系の床が施工されている。特に、水硬性セメント、水、ポリオールおよびイソシアネート化合物からなるポリウレタン系セメント塗り床材は、熱や機械的な衝撃強度に優れるため、大きな負荷のかかる部位の床に施工される。上記用途で導電性が要求されることが多々ある。
例えば塗り床工業会では以下の指針では
・最小着火エネルギー0.1mJ未満の可燃物(水素,アセチレン等)を扱う工程の火災防止:10MΩ以下
・最小着火エネルギー0.1mJ以上の可燃物(炭化水素液体,粉体等)を扱う工程の火災防止:100MΩ以下
・粉体の袋詰め、紙やフィルムの巻き取り工程の電撃防止:1000MΩ以下
・半導体を扱う工程の生産障害防止:10MΩ以下
・製品の汚れ等が問題となる工程の生産障害防止:100MΩ以下
※低圧配線等の接触により感電の危険性がある場合0.1MΩ以上が望ましい。
本発明は従来の組成物の特性をそのままに、導電性が必要な場所、部位での導電性付与を確実・容易に実施するため有用な組成物でそれを使用した床層構造は美観が優れた、滑らかな仕上がりが得られる。また、付随して金属導電材料を使用しないため、酸化等による抵抗値変化がないほか、自動搬送機の磁気誘導を阻害するリスクを低減でき、層構造により、自動搬送機等の重量物の繰り返し走行に耐える耐久性がえられる。
【0018】
本発明はポリオール、水、イソシアネート、セメントを必須成分とするポリウレタン系セメント組成物に、等方性PITCH系カーボン短繊維とPAN系カーボン繊維を含有することを特徴とし、ポリウレタン系セメント組成物は重量比でポリオール組成物20〜50、水10〜40、イソシアネート化合物80〜120、水硬性セメント50〜200からなる基本成分に、等方性PITCH系カーボン短繊維とPAN系カーボン繊維を含有したものである。さらに必要に応じて硅砂や希釈剤、その他添加剤を配合することで塗り床材として使用できる。
組成物中のポリオールの量が上記範囲内であれば、作業性の低下や発泡によるフクレという不具合が少なく、硬化物の強度が低下することがない。水の量が上記範囲であれば、硬化物の強度低下せず、微細クラック、光沢低下などを誘発しない。また配合物の水硬性セメント成分の分散が容易なものとなる。イソシアネート量が上記範囲であると、多くて発泡によるフクレやクラックという不具合が少なく、少な過ぎて硬化物の強度が不足と言うこともない。水硬性セメントの量が上記範囲であれば作業性が問題無く、少なくて硬化物の発泡によるフクレや強度低下が生じるという不具合が少ない。
【0019】
ポリウレタン系セメント組成物硬化物で分散されたカーボン短繊維が導電経路を形成するには繊維同士の接触が必須であ。PAN系カーボン繊維は繊維径が小さく均一であり、湾曲がなく真直ぐであり、導電経路の距離を確保するのに適している。その形状のため分散状態では別の繊維との接触確率が低いと考えられ、この繊維の配合量を増やして接触量を確保しようとすると、組成物の流動性を著しく低下させたり、絡まりが生じたりして作業性や仕上りに悪影響を与える。一方、等方性PITCH系カーボン短繊維は繊維径が大きく、湾曲した形状であるため、導電経路を形成するためには不利な形状であるが、分散状態では絡まりが生じにくく流動性の低下も少ないため比較的多く含有させることができる。これらを複合して用いることにより、PAN系カーボン繊維によって形成される導電経路において、等方性PITCH系カーボン短繊維がアンカーポイントの役割を果たし、断点の少ない連続的な3次元的経路を形成し易くなり、より少ない繊維量で導電性能を確保できると考えられ、仕上りが良く安定した導電性能を有する塗材ポリウレタン系セメント組成物の発明に至った。
【0020】
ポリオール組成物
本発明のポリオール組成物は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、エポキシ変性ポリオール等の二基以上の水酸基を持つポリオールを使用することができる。好ましい例として、ひまし油変性ポリオールがあげられる。
具体的な製品として、住友バイエルウレタン(株)ディスモフェン1145、ディスモフェン1150などがある。
ポリオール組成物中にはポリオールを水に分散させる、或いはポリオールに水を分散させる形態で水を含むことができ、ポリオールの種類によっては単独でその中に水を分散させることが可能なものもあるが、必要に応じて界面活性剤を乳化剤として含むことができる。
またポリオール組成物中には、塗装作業性確保のためや、発泡によるフクレの制御のために希釈剤を配合できる。
【0021】
イソシアネート化合物
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が使用できるが、好ましい例としては多核ポリフェニレンポリメチルポリイソシアネート、(以下ポリメリックMDIと略す)を含有するものがあげられる。
具体的な製品として、ポリメリックMDIを含有するものとして、スミジュール44V10、スミジュール44V20(以上 住友バイエルウレタン(株)、商品名)やコロネート3520、MR−100(以上 日本ポリウレタン(株)、商品名)などがあげられる。
【0022】
水硬性セメント
水硬性セメントはポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉セメント、早強ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメントなどが単体若しくは混合して使用される。
なお、施工の色調を特定色に設定したい場合には白色ポルトランドセメントが使用されれば、淡色に仕上ることが可能になる。
水硬性セメントにはあらかじめ硅砂、ガイシ粉末等を混合しておくことができ、プレミックス骨材として使用できる。硅砂、ガイシ粉末等を含むことにより、塗材の寸法安定性が向上し、また、施工上の塗布厚みを安定させることができる。
【0023】
カーボン繊維
本発明では、等方性PITCH系カーボン短繊維およびPAN系カーボン繊維を複合して使用する。ここでいう等方性PITCH系カーボン短繊維とは、光学的に無秩序で偏向を示さない等方性ピッチを原料としたものであり、一般的には直径12−18μmの短繊維で、原料の分子配列の規則性を反映して、繊維軸に沿った炭素の配向構造が弱いという特徴がある。また、PAN系カーボン繊維とは、アクリル繊維を炭素化して得られる、一般的に直径5−7μmの長繊維であり、これを適宜サイジング処理やカットを施したものをカーボンチョップと呼ぶこともある。
配合される等方性PITCH系カーボン短繊維の重量がPAN系カーボン繊維に対し2〜10倍の重量比で用いることが望ましい。また、上塗り塗布厚みとして1.5〜9mmの範囲にあるときは、平均値・最頻値・中央値等で得られる繊維長が等方性PITCH系カーボン短繊維は1〜3mmかつPAN系カーボン繊維は2〜5mmの範囲にあることが望ましい。繊維長がこの範囲であれば、仕上り美観がよく、導電性能が得られる。混合カーボン繊維の配合量としては、下塗り材には組成物中のポリオール組成物、イソシアネート化合物、水、希釈剤の総計を100重量部として、2〜5重量部含有させることで塗布面方向への導電経路を生じやすく望ましい。また、上塗り材には組成物中のポリオール組成物、イソシアネート化合物、水、希釈剤の総計を100重量部として、0.5〜2重量部含有させるのが望ましく、この事により厚み方向への導電経路を生じさせ且つ表面が滑らかな仕上がりとなる。
また、いずれのカーボン繊維も電気抵抗率が10Ω・cm以下であることが望ましい。
これらは、施工の混合時に添加することや、ポリオール組成物もしくはプレミックス骨材中に配合することができるが、均一な分散を確保するためにポリオール組成物に予め配合するのが望ましい。さらに好ましくはポリオール組成物の一部少量と混合しペースト状にしたものを用いるのがよい。これにより、保管時の沈降による不均一を防止できる。配合される繊維の不均一は仕上りや性能の低下の原因となる。
【0024】
添加剤その他
各組成物中には、希釈剤や消泡剤、流動化剤、界面活性剤、硬化促進剤等の添加剤や、着色剤さらに硅砂、消石灰、ガイシ粉末などの骨材を必要に応じて含むことができる。水は施工時に後添加することもできるが、あらかじめポリオール組成物に配合し、エマルションもしくは水溶液にして用いることが望ましい。
【0025】
本発明の導電性能は上塗りを施す際の下地条件により異なる。大地との間の絶縁層の有無や、必要とされる抵抗値等の条件によりカーボン繊維量の多い下塗り材を施すか否かを選択できる。
【0026】
以下、本発明について実施例、比較例により詳細に説明する。
【0027】
実施例・比較例構成原料
ドナカーボS−247 大阪ガスケミカル(株)、商品名、等方性PITCH系カーボン短繊維、電気抵抗率:2×10−2Ωcm、繊維長:1.7mm、繊維径:13μm
ベスファイトHTA C3−E 東邦テナックス(株)、商品名、PAN系カーボン繊維、電気抵抗率:1.5×10−3Ωcm、繊維長:3mm、繊維径:7μm
ディスモフェン1150 住友バイエルウレタン(株)、商品名、ひまし油変性ポリオール、水酸基価:165mgKOH/g
サンソサイザーDINA 新日本理化(株)、商品名、希釈剤、ジイソノニルアジペート
BYK−057 ビックケミー(株)、商品名、ポリマー型消泡剤
ミリオネートMR−100 、日本ポリウレタン工業(株)、商品名ポリメリックMDI、NCO含有量31%
【0028】
本発明の効果を示すため、下塗り材例、上塗り材を下記に記す。
【0029】
下塗り材
下塗り組成物1
ドナカーボS−247を8重量部、ベスファイトHTA C3−Eを1重量部、ディスモフェン1150を50重量部、サンソサイザーDINAを20重量部、水を30重量部、ミリオネートMR−100を100重量部、ポルトランドセメントを100重量部、6号硅砂を100重量部、7号硅砂を100重量部を配合し下塗り組成物1とした。
下塗り組成物2
下塗り組成物1のドナカーボS−247とベスファイトHTA C3−Eを無配合とした以外同じにし下塗り組成物2とした。
【0030】
上塗り材
上塗り組成物1
ドナカーボS−247を1重量部、ベスファイトHTA C3−Eを0.5重量部、ディスモフェン1150を50重量部、サンソサイザーDINAを20重量部、BYK−057を1重量部、水を30重量部、ミリオネートMR−100を100重量部、白セメントを100重量部、6号硅砂を150重量部、7号硅砂を150重量部を配合し上塗り組成物1とした。
上塗り組成物2
上塗り組成物1のドナカーボS−247を2.4重量部、ベスファイトHTA C3−Eを0.3重量部にした以外同じにし上塗り組成物2とした。
上塗り組成物3
上塗り組成物1のドナカーボS−247を無配合、ベスファイトHTA C3−Eを1重量部にした以外同じにし上塗り組成物3とした。
【実施例1】
【0031】
下地に金コテにて上塗り組成物1を4Kg塗布し常温12時間静置し実施例1とした。
【実施例2】
【0032】
下地に金コテにて下塗り組成物1を1Kg塗布し常温12時間静置し硬化させた後、上塗り組成物1を4Kg塗布し常温にて12時間静置し硬化させ、実施例2とした。
【実施例3】
【0033】
下地に金コテにて下塗り組成物1を1Kg塗布し常温12時間静置し硬化させた後、上塗り組成物2を4Kg塗布し常温にて12時間静置し硬化させ、実施例3とした。
【0034】
比較例1
下地に金コテにて下塗り組成物2を1Kg塗布し常温12時間静置し硬化させた後、上塗り組成物1を4Kg塗布し常温にて12時間静置し硬化させ、比較例1とした。
【0035】
比較例2
下地に金コテにて上塗り組成物3を4Kg塗布し常温12時間静置し硬化させ、比較例2とした。
【0036】
【表1】

【0037】
試験方法
仕上り性:実施例・比較例の試験体を目視にて塗装時のコテ波や繊維による凹凸を観察し、平滑なものを○、凹凸が確認されたものを×とした。
抵抗値測定:N.F.P.A.(米国防火協会)の方法に準じ、重量2.27Kg(5ポンド)、接地面の直径6.35cm(2.5インチ)である2つの電極分銅を91.4cm(3フィート)隔て実施例・比較例の試験体上に設置し、電極間に500Vの印加電圧をかけて抵抗値を測定し、5箇所測定の平均値を有効数字1桁に丸めたものを抵抗値とした。
下地:JIS A5430に適合する900×900mmスレート平板で、上記抵抗値測定を行い、100〜500MΩのものを用いた。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は自動搬送機等の重量物の繰り返し走行に耐え、且つ静電気発生による引火等の事故や電子製品等の不良を防止する帯電防止床が可能となる。また、従来の導電性床材と異なり、金属の導電材料を含まないため自動搬送機の磁気誘導を阻害するリスクが低減される。
【符号の説明】
【0039】
1 絶縁抵抗計
2 電極分銅
3 基材
4 上塗り
5 下塗り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、水、イソシアネート、水硬性セメントを必須成分とするポリウレタン系セメント組成物であり、等方性PITCH系カーボン短繊維とPAN系カーボン繊維を含有することを特徴とするポリウレタン系セメント組成物。
【請求項2】
上記等方性PITCH系カーボン短繊維がPAN系カーボン繊維に対して重量比で2〜10であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン系セメント組成物。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載のポリウレタン系セメント組成物が塗布面方向に導電性を有する下塗り層と厚み方向に導電性を有する上塗り層とから構成されることを特徴とする床層構造。

【図1】
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【公開番号】特開2011−73944(P2011−73944A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229363(P2009−229363)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】