説明

ポリエステル樹脂製造用触媒化合物、これを用いて製造されたポリエステル樹脂及び成形容器

【課題】新しいポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供し、経済的且つ環境親和的でありながらも、固相重合時の反応速度、アセトアルデヒドの発生、容器成形に適した固有粘度、黄変現象などの問題を全て解決できるポリエステル樹脂及びこれを用いて形成された容器を提供する。
【解決手段】本発明は、チタニウム化合物を含むポリエステル樹脂製造用触媒化合物において、前記チタニウム化合物は、チタニウムを含む所定の構造を有する化合物がグリコール系化合物に分散されて形成されたことを特徴とする、ポリエステル樹脂製造用触媒化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル樹脂製造用触媒化合物に関するもので、より詳細には、新しいポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供し、黄変現象を改善した樹脂及びこれを用いて成形された容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル樹脂は、容器、シート、フィルム、ファイバー、注入物質などに最も多く使用される樹脂の一種類であって、これを製造するとき、触媒としてはアンチモンオキシド又はアンチモントリアセテートが最も多く使用されている。
【0003】
前記アンチモン触媒は、色相が優れており、エステル化(esterification:ES)及び縮重合(polycondensation:P.C)反応時に活性が高いことから生産性が高いという長所を有するが、アンチモンは、その毒性のために人体に有害な物質として規制され、全世界的に人体に安全でかつ環境親和的な新しい触媒の開発が要求されている。
【0004】
日本では、このような問題の代案として、ゲルマニウム触媒を使用してポリエステル樹脂を生産してきたが、ゲルマニウム触媒がアンチモン触媒よりも数十倍以上高価であるという短所があるので、安価でかつ人体に無害で、環境親和的な新しい触媒に対する関心が増大している。
【0005】
前記アンチモン触媒に対する代案としてチタニウム化合物の触媒が開発されたが、開示されているチタニウム触媒で製造されたポリエステル樹脂は、黄変現象のために容器成形用には適しておらず、固相重合反応時に反応速度が遅くなることから生産性が低下するとともに、容器、シート、フィルム、ファイバーなどの成形品の製造過程での速い熱分解速度のためにアセトアルデヒドが多く発生し、低い固有粘度(I.V)のために容器成形用樹脂として使用するには制限が伴うという問題がある。
【0006】
前記チタニウム触媒に対する問題を解決するために、特許文献1では、チタニウム化合物触媒を使用してポリエステルを製造する方法として、チタニウムアルコキシド、アセチルアセトネート、ジオキシド、チタネート及びホスファイトを使用し、固相重合時に固有粘度(I.V)の向上のためにピロメリット酸二無水物を使用する方法を提案したが、この方法には色相改善のための方案がないという問題がある。
【0007】
特許文献2では、チタニウム触媒及びマグネシウム化合物を使用し、チタニウム触媒の特性である黄変問題を改善しようとするポリエステルの製造方法を提案したが、前記方法では、チタニウム触媒の使用時における固相重合の速度が低下したり、速い熱分解のためにアセトアルデヒドが多く発生するという問題は改善されなかった。
【0008】
特許文献3では、多機能性剤を使用し、分岐したポリエステルを製造する多様な方法が提案されたが、この方法は、チタニウム触媒が生産される前の技術であって、その目的が明らかでなく、色相改善方法及びチタニウム触媒の短所である固相重合の反応速度を向上できる技術がないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,143,837号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0155947号明細書
【特許文献3】米国特許第4,217,440号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、前記問題を解決するためになされたもので、新しいポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供し、経済的且つ環境親和的でありながらも、固相重合時の反応速度、アセトアルデヒドの発生、容器成形に適した固有粘度、黄変現象などの問題を全て解決できるポリエステル樹脂及びこれを用いて形成された容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための一つの様態として、本発明は、
(1)チタニウム化合物を含むポリエステル樹脂製造用触媒化合物において、前記チタニウム化合物は、下記の式(1)で示される化合物がグリコール系化合物に分散されて形成されたことを特徴とするポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供する。
【0012】
【化1】

(1)

【0013】
〜Rは、それぞれアルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、シクロアルキルラジカル、アリールラジカル及びアラルキルラジカルからなる群から選ばれる1以上で、Rは、ラジカル当たり1〜30個の炭素原子を含有し、R〜Rは、それぞれラジカル当たり1〜10個の炭素原子を含有する。
【0014】
(2)前記(1)において、前記グリコール系化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群から選ばれる1以上であることを特徴とするポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供する。
【0015】
(3)前記(1)において、前記グリコール系化合物は、前記式1で示される化合物1質量部に対して10〜200質量部含有されたことを特徴とするポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供する。
【0016】
(4)前記(1)において、前記触媒化合物は、錯化剤及び/又は金属塩をさらに含むことを特徴とするポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供する。
【0017】
前記課題を解決するための他の様態として、本発明は、
(5)チタニウム化合物を含むポリエステル樹脂製造用触媒化合物において、前記チタニウム化合物は、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトライソブチルチタネート、ブチルイソプロピルチタネート、テトラ(2―エチルヘキシル)チタネート、チタニウムアセチルアセトネート及びトリエタノールアミンチタネートからなる群から選ばれる1以上からなるチタニウムアルコキシドがグリコール系化合物に分散されて形成され、前記触媒化合物は錯化剤をさらに含むことを特徴とするポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供する。
【0018】
(6)前記(4)又は(5)において、前記錯化剤は、ヒドロキシカルボン酸、アルカノールアミン及びアミノカルボン酸からなる群から選ばれる1以上であることを特徴とするポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供する。
【0019】
(7)前記(4)又は(5)において、前記錯化剤の含量は、前記ポリエステル樹脂の総質量に対して100ppm以下であることを特徴とするポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供する。
【0020】
(8)前記(5)において、前記触媒化合物は、金属塩をさらに含むことを特徴とするポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供する。
【0021】
前記課題を解決するための更に他の様態として、本発明は、
(9)チタニウム化合物を含むポリエステル樹脂製造用触媒化合物において、前記チタニウム化合物は、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトライソブチルチタネート、ブチルイソプロピルチタネート、テトラ(2―エチルヘキシル)チタネート、チタニウムアセチルアセトネート及びトリエタノールアミンチタネートからなる群から選ばれる1以上からなるチタニウムアルコキシドがグリコール系化合物に分散されて形成され、前記触媒化合物は金属塩をさらに含むことを特徴とするポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供する。
【0022】
(10)前記(4)、(8)及び(9)のうちいずれか一つにおいて、前記金属塩は、周期律表第2A族の金属、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ガリウム及びゲルマニウムからなる群から選ばれる1以上の金属を含むことを特徴とするポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供する。
【0023】
(11)前記(4)、(8)及び(9)のうちいずれか一つにおいて、前記金属塩の含量は、金属元素を基準にして前記ポリエステル樹脂の総質量に対して0.5〜30ppmであることを特徴とするポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供する。
【0024】
(12)前記(5)又は(9)において、前記グリコール系化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群から選ばれる1以上であることを特徴とするポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供する。
【0025】
(13)前記(5)又は(9)において、前記グリコール系化合物は、前記チタニウムアルコキシド1質量部に対して10〜200質量部含有されたことを特徴とするポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供する。
【0026】
(14)前記(1)、(5)、(8)及び(9)のうちいずれか一つにおいて、前記チタニウム化合物の含量は、チタニウム元素を基準にして前記ポリエステル樹脂の総質量に対して5〜60ppmであることを特徴とするポリエステル樹脂製造用触媒化合物を提供する。
【0027】
前記他の課題を解決するために、本発明は、
(15)前記(1)、(5)、(8)及び(9)のうちいずれか一つの触媒化合物を用いて製造されたポリエステル樹脂を提供する。
【0028】
(16)前記(15)において、前記ポリエステル樹脂は、ブルー染料又はレッド染料を含有し、前記ブルー染料とレッド染料の含量の和は、前記ポリエステル樹脂の総質量に対して0.5〜10ppmであることを特徴とするポリエステル樹脂を提供する。
【0029】
前記更に他の課題を解決するために、本発明は、
(17)前記(14)のポリエステル樹脂を用いて成形された容器を提供する。
【発明の効果】
【0030】
このような本発明に係るポリエステル樹脂製造用触媒化合物、これを用いて製造されたポリエステル樹脂及び成形容器は、新しい構造のチタニウム化合物又はチタニウムオキシドがグリコール系化合物に分散された触媒化合物を用いて、人体に無害でかつ環境親和的でありながら、既存のチタニウム触媒を用いる場合よりも固有粘度が高いことから固相重合時の反応速度を向上させ、熱分解によるアセトアルデヒドの発生を低下させることができ、容器成形用樹脂に使用するのに適したポリエステル樹脂及びこれを用いて成形された容器を提供することができる。
【0031】
また、本発明に係る前記チタニウム触媒化合物として最適な成分及び最適な含量の錯化剤と金属塩が含まれたチタニウム触媒化合物を用いて、既存のチタニウム触媒を用いる場合よりも向上したカラーL、b値を維持することによって、黄変現象が改善されたポリエステル樹脂及びこれを用いて成形された容器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、好適な実施例を通して本発明を詳細に説明する。ここで、本明細書及び特許請求の範囲で使用された用語や単語は、通常的又は辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者が自身の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義できるとの原則に立脚し、本発明の技術的思想に符合する意味と概念に解釈されなければならない。したがって、本明細書に記載された実施例の構成は、本発明の最も望ましい一実施例に過ぎないもので、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願時点において、これらに取って代わる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0033】
本発明に係るポリエステル樹脂製造用触媒化合物は、
(1)下記の化合物A
(2)下記の化合物Aと下記の化合物Cとの複合物
(3)下記の化合物Aと下記の化合物Dとの複合物
(4)下記の化合物A、下記の化合物C及び下記の化合物Dの複合物
(5)下記の化合物Bと下記の化合物Cとの複合物
(6)下記の化合物Bと下記の化合物Dとの複合物
(7)下記の化合物B、下記の化合物C及び下記の化合物Dの複合物
のうちいずれか一つを適用することができる。
【0034】
化合物Aは、チタニウム化合物であって、下記の式(1)で示される化合物(TiOR)がグリコール系化合物に分散されて形成されたチタニウム化合物である。
【0035】
【化2】

(1)
【0036】
〜Rは、それぞれアルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、シクロアルキルラジカル、アリールラジカル及びアラルキルラジカルからなる群から選ばれる1以上で、Rは、ラジカル当たり1〜30個の炭素原子を含有し、R〜Rは、それぞれ1〜10個の炭素原子を含有する。
【0037】
化合物Bは、チタニウム化合物であって、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトライソブチルチタネート、ブチルイソプロピルチタネート、テトラ(2―エチルヘキシル)チタネート、チタニウムアセチルアセトネート及びトリエタノールアミンチタネートからなる群から選ばれる1以上からなるチタニウムアルコキシドがグリコール系化合物に分散されて形成されたチタニウム化合物である。
【0038】
化合物Cは、錯化剤であって、ヒドロキシカルボン酸、アルカノールアミン及びアミノカルボン酸からなる群から選ばれる1以上であり得る。
【0039】
化合物Dは金属塩であって、前記金属は、周期律表第2A族の金属、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)及びゲルマニウム(Ge)からなる群から選ばれる1以上であり得る。
【0040】
本発明に係るポリエステル製造用触媒化合物は、チタニウム化合物を含み、既存のチタニウム触媒化合物を用いてポリエステル樹脂を製造するときに発生する各問題を克服するために、基本的に前記化合物A又は前記化合物Bを含むチタニウム触媒化合物で構成されている。
【0041】
すなわち、本発明者らは、ポリエステル製造用チタニウム化合物として前記式1のような新しい構造の化合物又はチタニウムオキシドがグリコール系化合物に分散された触媒化合物を含む場合、既存のチタニウム触媒化合物に比べてポリエステル樹脂製造時の固有粘度の向上、固相重合時の反応速度向上、熱分解によるアセトアルデヒド発生の低下、黄変現象の改善などの優れた特性を発揮するポリエステル樹脂を製造できることを発見し、さらに、前記式(1)による化合物又は前記チタニウムオキシドに特定錯化剤及び/又は金属塩をさらに含む場合、製造されるポリエステル樹脂の物性向上に著しい相乗効果を得られることを発見し、本発明に至るようになった。
【0042】
本発明によると、前記式(1)による化合物又はチタニウムオキシドは、グリコール系化合物に一定濃度だけ分散されている。このとき、前記グリコール系化合物は、本発明に係るポリエステル樹脂の望ましい特性発揮のために、前記式1による化合物又はチタニウムオキシド1質量部に対して10〜200質量部含有することができ、望ましくは、15〜100質量部、より望ましくは、20〜30質量部含有することができる。
【0043】
また、前記グリコール系化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなどを適用することができる。ただし、これに限定されることはなく、経済性、購入の容易性、溶液形成の容易性などの側面で効果的なエチレングリコールを適用することが望ましい。
【0044】
本発明の前記式(1)による新しい構造の化合物は、前記チタニウムアルコキシドと共に、既存のチタニウム化合物を用いる場合に比べてより優れたポリエステル樹脂を製造できるようにする化合物であって、前記式(1)で、Rは、具体的に、C―C30のアルキルラジカル、C―C30のシクロアルキルラジカル、C―C30のアリールラジカル又はC―C30のアラルキルラジカルであってもよく、R〜Rは、具体的に、C―C10のアルキルラジカル、C―C10のシクロアルキルラジカル、C―C10のアリールラジカル又はC―C10のアラルキルラジカルであってもよい。
【0045】
このような前記チタニウム触媒化合物の含量は、チタニウム元素を基準にして前記ポリエステル樹脂の総質量に対して5〜60ppmであることが望ましく、20〜40ppmであることがより望ましい。前記チタニウムの含量が5ppm未満である場合は、重合速度が遅くなるため生産性が低下するおそれがあり、60ppmを超える場合は、チタニウム触媒特有の活性が高くなることから黄変現象が増加し、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドの発生量も増加するおそれがあるので、前記含量範囲であることが望ましい。また、前記チタニウム触媒化合物は、スラリー製造段階、エステル化反応段階及び縮重合段階以前の段階のうちいずれか一つの段階で投入することができる。このような前記チタニウム触媒化合物の含量及び投入方法は、後述する錯化剤や金属塩がさらに含まれたチタニウム触媒化合物である場合にも同一に適用することができる。
【0046】
本発明に係るポリエステル樹脂製造用触媒化合物は、ポリエステル樹脂のより向上した固有粘度及び黄変現象の改善のために錯化剤と金属塩をさらに含むことができる。
【0047】
前記錯化剤は、ポリエステル樹脂の製造において、過度に投入したときに反応過程で錯化合物が少量生成され得るので、このような錯化合物の生成を防止するために、その含量が前記の製造されるポリエステル樹脂の総質量に対して100ppm以下であることが望ましく、固有粘度及び黄変現象の改善に最も望ましい前記錯化剤の含量は10〜30ppmである。
【0048】
また、本発明において、前記錯化剤としては、例えば、ヒドロキシカルボン酸、アルカノールアミン及びアミノカルボン酸などを適用できるが、これに限定されることはなく、望ましくは、製造されるポリエステル樹脂の良好な色調と共に固有粘度を増加できるアミノカルボン酸を適用することができる。
【0049】
前記金属塩の含量は、金属元素を基準にして前記の製造されるポリエステル樹脂の総質量に対して0.5〜30ppmであることが望ましく、5〜15ppmであることがより望ましく、10ppm程度であることが最も望ましい。前記金属塩を追加的に含有するとき、これが含有されていない本発明のチタニウム触媒化合物を適用する場合に比べて、製造されるポリエステル樹脂の固有粘度、カラーL及びカラーbをいずれも向上できるが、その含量が0.5ppm未満である場合は、追加的に含有された金属塩による改善効果が明確でないおそれがあり、30ppmを超える場合は、チタニウム触媒の活性を過度に促進させるおそれがあるので、カラーL及びカラーbが暗くなることもあり得る。すなわち、前記金属塩の含量が前記望ましい範囲であるとき、チタニウム触媒化合物の安定的な活性を得ることができ、良好な色調を有するポリエステル樹脂を製造することができる。
【0050】
また、本発明において、前記金属塩を構成する金属としては、例えば、周期律表第2A族の金属、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ガリウム及びゲルマニウムなどを適用することができる。前記第2A族の金属としては、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)などを挙げることができる。前記各金属のうち、特に固有粘度及び色調をいずれも向上できるアルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ガリウム及びゲルマニウムからなる群から1以上を選ぶことが望ましく、最も望ましい金属はゲルマニウムである。
【0051】
また、前記各金属で構成される金属塩は、塩化塩、炭酸塩、酢酸塩、窒酸塩などの多様な形態で構成することができる。ただし、最も望ましい金属塩であるゲルマニウム塩のうち、経済的かつ入手が容易な四塩化ゲルマニウム(GeCl)を選択することが望ましい。
【0052】
一方、本発明に係るポリエステル樹脂製造用触媒化合物を用いてポリエステル樹脂を製造するときは、通常の方法で製造することができ、特別に限定されるものではない。例えば、バッチ式反応器を用いて下記のような方法で製造することができる。もちろん、連続的に行うこともでき、特別に限定されるものではない。
【0053】
まず、ポリエステルの原料であるジカルボン酸化合物とジオール化合物を本発明に係るチタニウム触媒化合物と共に投入してスラリーを形成した後、エステル化反応器でエステル化反応させてオリゴマーを生成し、エステル化率(ジカルボン酸化合物の全体のカルボキシル基のうちジオール成分と反応してエステル化したものの比率)が少なくとも90%以上、望ましくは93%以上まで到達した後、生成されたオリゴマーを縮重合(poly condensation;PC)反応器に移送して重合度100以上まで縮重合反応させ、水中でカッティングを実施してポリエステル樹脂を重合することができる。このとき、前記チタニウム触媒化合物は、上述したように、触媒化合物の投入なしにエステル化反応を進行した後、縮重合反応の初期に投入することもできる。
【0054】
その後、前記縮重合された反応物を押出して液相チップを製造し、前記液相チップを結晶化して固相重合を行うことによって固相チップを製造することができる。
【0055】
本発明に係るチタニウム触媒化合物を用いてポリエステル樹脂を製造するときに使用される前記ジカルボン酸化合物は、ジアシド化合物のうち主要成分として芳香族分子を含むものであって、本発明では、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’―ジフェニルジカルボン酸、4,4’―ジフェニルエトレカルボン酸、4,4’―ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’―ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’―ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸などを使用することができ、望ましくは、テレフタル酸やイソフタル酸又はこれらの混合物を使用することができる。テレフタル酸とその他のジカルボン酸化合物が混合された場合は、テレフタル酸(又はその誘導体)の比率が90モル%以上であることが望ましく、95モル%以上であることがより望ましく、99モル%以上であることが最も望ましい。
【0056】
また、前記ジオール化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4―ブタンジオール、1,3―プロパンジオール、1,4―シクロへキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールなどを使用することができ、望ましくは、エチレングリコールやネオペンチルグリコールを使用することができる。エチレングリコールとその他のジオール化合物が混合された場合は、エチレングリコールの比率が95モル%以上であることが望ましく、98モル%以上であることがより望ましい。
【0057】
ここで、前記ジカルボン酸化合物に対するジオール化合物の含量比は、モル比率で1:1〜1:2であってもよく、予備重合物の物性低下を防止するために、1:1.1〜1:1.3であることが望ましい。
【0058】
また、前記エステル化反応は、例えば、単一のエステル化反応器又は複数のエステル化反応器を直列に連結した多段階反応装置を用いて、ジオール化合物の還流下で反応するときに生成される水と余剰のジオール化合物を系外に除去しながら、上述したように、エステル化率が一定水準に到達するまで行われる。そして、前記単一のエステル化反応器を使用する場合、温度は210〜270℃、望ましくは250〜260℃で、圧力は0.1〜5kg/cm、望ましくは0.5〜3kg/cmである条件で1〜10時間程度撹拌下で反応させることができ、前記複数のエステル化反応器を使用する場合、温度は230〜280℃、望ましくは250〜270℃で、圧力は0.1〜3kg/cm、望ましくは0.5〜1.5kg/cmである条件で1〜10時間程度撹拌下で反応させることができる。
【0059】
前記縮重合反応は、例えば、単一の縮重合反応器又は複数の縮重合反応器を直列に連結した多段階反応装置を使用し、減圧下で生成されるジオール化合物を系外に除去しながら行う方法を使用することができる。そして、前記単一の縮重合反応器を使用する場合、温度は250〜300℃、望ましくは270〜290℃で、圧力は0.1〜5torr、望ましくは0.5〜2torrである条件で1〜20時間程度撹拌下で反応させることができ、前記複数の縮重合反応器を使用する場合、温度は250〜290℃、望ましくは270〜280℃で、圧力は0.1〜10torr、望ましくは0.5〜5torrである条件で1〜20時間程度撹拌下で反応させることができる。
【0060】
本発明に係るポリエステル樹脂は、これを用いて成形される容器の色相改善のために、色相改善剤としてブルー染料又はレッド染料をスラリーの形成時に投入することができる。前記ブルー染料はアントラセン系ブルー染料であることが望ましく、前記レッド染料もアントラセン系レッド染料であることが望ましい。このとき、前記色相改善剤の含量は、前記ポリエステル樹脂の総質量に対して0.5〜10ppmにすることが望ましく、2〜6ppmにすることがより望ましい。前記色相改善剤の含量が0.5ppm未満である場合は、色相改善効果が充分でないおそれがあり、前記色相改善剤の含量が10ppmを超える場合は、色相が暗くなるおそれがある。
【0061】
一方、本発明に係るチタニウム触媒化合物を用いてポリエステル樹脂を製造するとき、色相改善のための助色剤と、熱による樹脂の物理的、化学的な性質変化を防止するための熱安定剤とをさらに投入することができる。このとき、前記助色剤は、前記スラリー製造時に投入することが望ましく、前記熱安定剤は、前記スラリー製造時に投入することもできるが、本発明では、既存のチタニウム触媒化合物の場合とは異なり、エステル化反応器に投入するときに黄変現象がより改善されることに表れ、前記熱安定剤は、エステル化反応時に投入することが望ましく、エステル化反応の末尾に投入することがより望ましい。
【0062】
前記助色剤としては、コバルト化合物を使用することができ、望ましくは、コバルトアセテートを使用することができる。また、前記コバルト化合物は、本発明によって製造されるポリエステル樹脂の総質量に対してコバルト元素を基準にして10〜200ppm含有することができ、望ましくは50〜150ppm、より望ましくは90〜110ppm含有することができる。前記コバルト化合物の含量が10ppm未満である場合はカラーbが高くなるおそれがあり、200ppmを超える場合は、費用面で不利であり、却ってカラーLとカラーbが暗くなるおそれがある。
【0063】
前記熱安定剤としては、リン化合物を使用することができ、例えば、リン酸、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、メチル酸ホスフェート、エチル酸ホスフェート、イソプロピル酸ホスフェート、ブチル酸ホスフェート、ジエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、トリエチレングリコール酸ホスフェートなどの5価のリン化合物を使用することができ、リン酸、トリエチルホスフェート、エチル酸ホスフェートを使用することが望ましく、トリエチルホスフェートを使用することがより望ましい。また、前記リン化合物は、本発明によって製造されるポリエステル樹脂の総質量に対して5〜150ppm含有することができ、60〜100ppm含有することが望ましい。前記リン化合物の含量が5ppm未満である場合は、反応速度が遅くなり、黄変現象が発生するおそれがあり、150ppmを超える場合は、費用面で不利であり、縮重合反応時にヒュームが発生するので、却って反応に不利に作用するおそれがある。
【実施例】
【0064】
(製造例)
本発明に係るポリエステル樹脂製造のために容量5リットルのバッチ式重合器を使用した。すなわち、反応器として単一のエステル化反応器、単一の縮重合反応器及びカッティングシステムを備えた重合器を使用し、エステル化の反応は4〜5時間、縮重合反応は2.5〜3.5時間行い、試料取出量2〜3kgであるポリエステル樹脂製造用重合器を使用した。反応器で、テレフタル酸100モル部、エチレングリコール120モル部、助色剤としてコバルトアセテート100ppm及び触媒化合物を混合してスラリーを形成した。その後、250〜260℃の温度及び1〜2kg/cmの圧力条件でエステル化反応を行い、エステル化反応の末尾に熱安定剤としてトリエチルホスフェート80ppmを投入した。このとき、一実施例によって色相改善剤(染料)を追加的に投入した。その後、エステル化反応を通して生成されたオリゴマーを縮重合反応器に移送し、270〜290℃の温度及び0.5〜2torrの圧力条件で縮重合反応を行った。その後、前記の縮重合された反応物を押出して液相チップを製造し、前記液相チップを結晶化して固相重合を行うことによって固相チップを製造した。固相重合は、容量5リットルのバッチ式重合器で220〜230℃の温度及び0.4torr以下の圧力で10時間行った。
【0065】
(実施例1〜6:チタニウム化合物及び金属塩の適用)
本発明の一実施例に係るチタニウム化合物とその含量、チタニウム化合物及び金属塩の含量による実施例及び比較例の組成を表1に示し、前記実施例の組成によって製造されたポリエステル樹脂の物性測定結果を表2に示した。前記チタニウム化合物としてはTiOR(TiO12)1質量部がエチレングリコール20質量部に均一に分散されたチタニウム化合物を使用し、金属塩としてはゲルマニウム塩(四塩化ゲルマニウム)を使用した。各化合物の含量は、ポリエステル樹脂の総質量を基準にしたもので、以下の全ての実施例及び比較例において同一である。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
以下、前記表1及び表2を参照して物性測定結果を説明する。
【0069】
まず、チタニウム化合物としてTiOを使用した場合(比較例1〜4)と本発明に係るTiORを使用した場合(実施例1〜6)を比べると、液相チップのI.Vの場合は全体的にやや増加するが、同一の含量条件(実施例2と比較例1、実施例4と比較例2)では増加幅がより大きいことが分かる。また、固相チップのI.Vは全体的に増加し、カラーL及びカラーbがいずれも改善されたことが分かる。
【0070】
このとき、前記TiORの含量が増加するほど(実施例1〜3)I.Vが増加することが分かる。したがって、既存のチタニウム化合物を用いる場合に比べて、固相重合時の反応速度を向上できることが分かる。ただし、カラーLには大きな影響がなく、カラーbはやや低下することが分かる。したがって、前記TiORは本発明に係る望ましい範囲で含有しなければならなく、前記望ましい範囲で発生しうるカラーbの低下は、本発明によって追加的に含まれ得る錯化剤や金属塩によって克服することができる。
【0071】
一方、TiORにゲルマニウム塩をさらに添加した場合(実施例4〜6)、同一含量のTiORのみが適用された場合(実施例2)に比べて、I.V、カラーL及びカラーbがいずれも改善されたことが分かる。このとき、ゲルマニウム塩の含量が5〜15ppmであるときに効果的であり、より効果的な含量は10ppm近傍であることが分かる。
【0072】
(実施例7〜11:チタニウム化合物及び錯化剤の適用)
本発明の更に他の一実施例として、TiOR及び錯化剤からなる触媒化合物の含量による実施例の組成を表3に示し、前記実施例の組成によって製造されたポリエステル樹脂の物性測定結果を表4に示した。前記チタニウム化合物としてTiOR(TiO12)1質量部がエチレングリコール20質量部に均一に分散されたチタニウム化合物を使用し、錯化剤としてヒドロキシカルボン酸、アルカノールアミン又はアミノカルボン酸を使用した。
【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
前記表3及び表4を参照すれば、触媒化合物としてTiOR及び錯化剤が適用された場合(実施例7〜9)、同一含量のTiORのみが適用された場合(実施例2参照)に比べて、I.V、カラーL及びカラーbがいずれも改善されたことが分かる。本発明によると、カラーL及びbが良好でありながらも固有粘度が最も大きく表れたアミノカルボン酸を錯化剤として使用することが最も望ましいことが分かる。また、望ましい錯化剤であるアミノカルボン酸の含量を調節して行った結果、錯化剤の含量が10〜30ppmであるときに効果的であり、20ppm近傍で最も効果的であることが分かる。
【0076】
(実施例12〜14:チタニウム化合物、錯化剤及び金属塩の適用)
本発明の更に他の一実施例として、TiOR、錯化剤及び金属塩からなる触媒化合物の含量による実施例の組成を表5に示し、前記実施例の組成によって製造されたポリエステル樹脂の物性測定結果を表6に示した。前記錯化剤としてはアミノカルボン酸を使用し、前記金属塩としてはゲルマニウム塩を使用した。

【0077】
【表5】

【0078】
【表6】

【0079】
前記表5及び表6を参照すると、触媒化合物としてTiOR、錯化剤及び金属塩が共に適用された場合(実施例12〜14)は、同一含量のTiOR及び錯化剤のみが適用された場合(実施例9〜11参照)と同一含量のTiOR及び金属塩のみが適用された場合(実施例4参照)に比べて、概してカラーL及びカラーbがより改善されたことが分かる。このとき、錯化剤の含量が20ppm近傍で、金属塩の含量が10ppm近傍で最も効果的であることが分かる。
【0080】
(実施例15〜21:触媒化合物及び染料の適用)
本発明の更に他の一実施例として、TiOR、錯化剤及び金属塩からなる触媒化合物にブルー染料及びレッド染料を適用し、染料の含量による実施例の組成を表7に示し、前記実施例の組成によって製造されたポリエステル樹脂の物性測定結果を表8に示した。前記ブルー染料及びレッド染料としては、いずれもアントラセン系染料を使用し、触媒化合物の含量は、TiORが30ppm、アミノカルボン酸が20ppm、ゲルマニウム塩が5ppm(実施例13参照)含有されるようにした。

【0081】
【表7】

【0082】
【表8】

【0083】
前記表7及び表8を参照すると、触媒化合物にブルー染料の含量が増加するほどカラーbが減少するが、カラーLも減少する傾向を示すことに表れた。したがって、本発明によると、前記実施例15〜21に係る含量範囲でも優れたポリエステル樹脂を製造できるが、良好なカラーbを維持しながらもより優れたカラーL値を表す染料の含量である3〜6ppm程度(実施例15〜17)であることが最も望ましいことが分かる。このような染料を適用して製造されたポリエステル樹脂を容器に成形したとき、透明度が良好であり、青みがかかった(bluish)容器の成形が可能になる。
【0084】
上述したように、本発明に係るポリエステル樹脂製造用触媒化合物を用いて製造されたポリエステル樹脂は、既存のチタニウム系触媒を用いる場合に比べて優れた固有粘度、カラーL及びbを得ることができ、人体に無害で且つ環境親和的でありながら、固相重合時の反応速度を向上させ、熱分解によるアセトアルデヒドの発生を低下させることができ、容器成形用樹脂として使用するとき、黄変現象の改善などの諸般物性が向上したポリエステル樹脂及びこれを用いて成形された容器を提供することができる。また、このような本発明に係るポリエステル樹脂製造用触媒化合物は、最適な含量の錯化剤と金属塩をさらに含むことによって、既存のチタニウム触媒を用いる場合に比べて物性が著しく向上したポリエステル樹脂及びこれを用いて成形された容器を提供することができる。
【0085】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタニウム化合物を含むポリエステル樹脂製造用触媒化合物において、
前記チタニウム化合物は、下記の式(1)で示される化合物がグリコール系化合物に分散されて形成されたことを特徴とする、ポリエステル樹脂製造用触媒化合物。
【化1】

(1)

(R〜Rは、それぞれアルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、シクロアルキルラジカル、アリールラジカル及びアラルキルラジカルからなる群から選ばれる1以上で、Rは、ラジカル当たり1〜30個の炭素原子を含有し、R〜Rは、それぞれ1〜10個の炭素原子を含有する。)
【請求項2】
前記グリコール系化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群から選ばれる1以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル樹脂製造用触媒化合物。
【請求項3】
前記グリコール系化合物は、前記式(1)で示される化合物1質量部に対して10〜200質量部含有されたことを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル樹脂製造用触媒化合物。
【請求項4】
前記触媒化合物は、錯化剤及び/又は金属塩をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル樹脂製造用触媒化合物。
【請求項5】
チタニウム化合物を含むポリエステル樹脂製造用触媒化合物において、
前記チタニウム化合物は、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトライソブチルチタネート、ブチルイソプロピルチタネート、テトラ(2―エチルヘキシル)チタネート、チタニウムアセチルアセトネート及びトリエタノールアミンチタネートからなる群から選ばれる1以上からなるチタニウムアルコキシドがグリコール系化合物に分散されて形成され、前記触媒化合物は錯化剤をさらに含むことを特徴とする、ポリエステル樹脂製造用触媒化合物。
【請求項6】
前記錯化剤は、ヒドロキシカルボン酸、アルカノールアミン及びアミノカルボン酸からなる群から選ばれる1以上であることを特徴とする、請求項4又は5に記載のポリエステル樹脂製造用触媒化合物。
【請求項7】
前記錯化剤の含量は、前記ポリエステル樹脂の総質量に対して100ppm以下であることを特徴とする、請求項4又は5に記載のポリエステル樹脂製造用触媒化合物。
【請求項8】
前記触媒化合物は、金属塩をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載のポリエステル樹脂製造用触媒化合物。
【請求項9】
チタニウム化合物を含むポリエステル樹脂製造用触媒化合物において、
前記チタニウム化合物は、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトライソブチルチタネート、ブチルイソプロピルチタネート、テトラ(2―エチルヘキシル)チタネート、チタニウムアセチルアセトネート及びトリエタノールアミンチタネートからなる群から選ばれる1以上からなるチタニウムアルコキシドがグリコール系化合物に分散されて形成され、前記触媒化合物は金属塩をさらに含むことを特徴とする、ポリエステル樹脂製造用触媒化合物。
【請求項10】
前記金属塩は、周期律表第2A族の金属、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ガリウム及びゲルマニウムからなる群から選ばれる1以上の金属を含むことを特徴とする、請求項4、8又は9のうちいずれか1項に記載のポリエステル樹脂製造用触媒化合物。
【請求項11】
前記金属塩の含量は、金属元素を基準にして前記ポリエステル樹脂の総質量に対して0.5〜30ppmであることを特徴とする、請求項4、8又は9のうちいずれか1項に記載のポリエステル樹脂製造用触媒化合物。
【請求項12】
前記グリコール系化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群から選ばれる1以上であることを特徴とする、請求項5又は9に記載のポリエステル樹脂製造用触媒化合物。
【請求項13】
前記グリコール系化合物は、前記チタニウムアルコキシド1質量部に対して10〜200質量部含有されたことを特徴とする、請求項5又は9に記載のポリエステル樹脂製造用触媒化合物。
【請求項14】
前記チタニウム化合物の含量は、チタニウム元素を基準にして前記ポリエステル樹脂の総質量に対して5〜60ppmであることを特徴とする、請求項1、5、8又は9のうちいずれか1項に記載のポリエステル樹脂製造用触媒化合物。
【請求項15】
請求項1、5、8又は9のうちいずれか1項の触媒化合物を用いて製造されたポリエステル樹脂。
【請求項16】
前記ポリエステル樹脂は、ブルー染料又はレッド染料を含有し、前記ブルー染料とレッド染料の含量の和は、前記ポリエステル樹脂の総質量に対して0.5〜10ppmであることを特徴とする、請求項15に記載のポリエステル樹脂。
【請求項17】
請求項15に記載のポリエステル樹脂を用いて成形された容器。



【公開番号】特開2012−52115(P2012−52115A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190894(P2011−190894)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(511123485)ホナムペトロケミカルコーポレーション (10)
【Fターム(参考)】