説明

ポリエステル組成物

(A)芳香族ジカルボン酸残基及び非芳香族ジカルボン酸;脂肪族ジオール、ポリアルキレンエーテル及び脂環式ジオールからなる群から選ばれたジオールを含む少なくとも1種のポリエステル;並びに(B)可塑化有効量の相容性可塑化剤を含んでなる、約10℃未満のガラス転移温度を有するポリエステル組成物が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、或る種の新規なポリマー組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、ある種の生分解性ポリエステル及び可塑剤を含む新規なポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー材料は、多くの最終用途に関して他の材料に取って代わるのに有効である。このような材料は、置換される材料と同一の種々の特性を示すだけでなく、追加の有益な特性を与える。耐薬品性、可撓性(又は軟質)(flexibility)及び「触感(feel)」は、これらの独特な特質の一部である。しかし、場合によっては、ポリマー材料がそれほど可撓性でもなく、それらの目的用途に望ましい触感も有さない。ポリマーは、ガラス転移温度又はTgとして知られる転移を受ける。これらの温度は通常は、熱容量、密度、バリヤーなどの不連続領域が温度の関数として生じる曲線の中点として記録される。この温度において、ポリマーは、この温度より高温においては分子運動が増加し、又はこの温度より低温においては分子運動が停止することによってポリマーがより硬くなる結果として性質の極端な変化を受ける。Tgが室温よりもわずかだけ高いか又は低い多くの場合には、製品は可撓性であると考えられる。一般に、Tgが室温より低ければ低いほど、製品は可撓性になる。より高い可撓性及び増大したソフト触感を有するポリマーを必要とする製品の場合には、以下の2つの方法によってTgを低下させることによって、より低いモジュラスを実現できる:ポリマーの組成の調整によって、例えばポリエチレンコポリマーを用いて、より低いTgを有するポリマーを設計するか、或いは所望の使用温度に適するようにポリマー組成物のTgを低下させることができる可塑剤として知られる添加剤を添加する。ポリマーのTgが通常の環境温度又はそれ以下(−30℃〜60℃)である場合には、典型的には、Tgを更に低下させる必要性は生じないと考えられる。しかしながら、例えば(1)強化材、耐衝撃性及び/又は増量剤が製品の要求以上にモジュラスを増加させた場合;(2)全てのウェザーブーツ又はシューズの場合にように、周囲使用温度及び条件が変わりやすい場合;(3)もっぱら、通常の環境温度条件よりもかなり低い温度においてポリマー材料を使用する可能性がある場合;並びに(4)Tgの低下が、通常の環境温度条件において製品により大きな柔軟性の感触を与える場合には、Tgの更なる低下が望ましいことがある。
【0003】
本質的に比較的低いTgを有するポリマーを設計し且つ製造することはできるが、場合によっては、得られるポリマーは他の重要な特性は有さず、例えば、本質的に比較的低いTgを有するポリマーは増大した表面粘着性を示し、その結果、表面への粘着が増加するおそれがある。このため、この材料を用いて製造された製品は、製品又はフィルムを融合させて1つの塊にするような融合点にまで自己粘着するであろう。この不都合を克服する1つの方法は、周囲の使用若しくは貯蔵又は輸送温度よりかなり高い溶融温度を有する結晶が表面に形成される可能性を増し、それによって融合しないスキンを製品、フィルム又はシートの表面に残すことである。ポリマー表面に現れる表面粘着性を克服する別の方法は、「粘着防止(anti−blocking)」添加剤、無機化合物又はTgが比較的高いポリマーを混和して、フィルム又は製品上の新しい表面に添加剤の粘着特性を本質的に与えることである。これらの方法はいずれも、モジュラスを増大させる、即ち、剛性の打ち消しを増し、望ましい柔軟性触感をいくぶん増大させるであろう。
【0004】
ポリマー材料のTgを低下させるために可塑剤を添加する場合には、所望の効果は、ポリマーより更に低いTg及び/又は更に高い易動度(一般にははるかに低い分子量)を有する材料の添加によって得られる。適当な又は相容性の可塑剤は以下の効果をもたらす。
(1)分子間力の遮蔽によってポリマー鎖と鎖末端の間の潤滑性を増大させ、それによって、ゲル構造を形成する任意の三次元相互作用を減少させ且つそれらの再編成を防ぎ、また、互いに滑る能力を増大させ;
(2)相互作用する鎖同士の間隔を増大させ、実際には、鎖とそれらの末端及び側鎖の回転、爬虫類のような動き及び振動のより大きな自由度を可能にするより大きな自由体積を作り出し;
(3)マトリックスへの末端基寄与総数を増加させることによって自由体積を増大させ;
(4)鎖の連続的溶媒和及び非溶媒和によって鎖を並びに可塑剤によって末端基を含む液体状態を鎖の間に作り;
(5)結晶を組織化する可能性を増大させることによって結晶の形成をもたらし、又はそれを減少させてモジュラスを低下させる。
例えば、非特許文献1及び2を参照されたい。
【0005】
前述の可塑化作用は、文献中に最もよく記載されているものであるが、種々の可塑剤と種々のポリマーとの全ての相互作用に対して単一の理論が上手く適用されるわけではない、NMRの出現により、これらの相互作用ははるかに複雑であることがわかった。非特許文献1は、可塑化とそのメカニズムの理論を詳細に説明している。
【0006】
【非特許文献1】Searsら,The Technology of Plasticizers,Chapters 2 and 3,Wiley−Interscience Publications/John Wiley and Sons,Inc.,(1982)
【非特許文献2】Encyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.4,Jacqueline Kroschwitz,Executive Editor,Wiley−Interscience Publications/John Wiley and Sons,Inc.(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
いくつかの用途、例えば工具の柄、履き物及びスポーツ用品に関しては、予定の最終用途の商業的要求を満たすために、柔軟感の増大及びより広範囲の可撓性が望ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、約10℃未満のTgを有するいくつかのポリエステルの柔軟感(softness)及び可撓性(flexibility)の範囲が、このようなポリエステルにある種の相容性可塑剤化合物を混和することによって改善できることを見い出した。従って、本発明は、
(A)(1)芳香族ジカルボン酸残基約1〜65モル%と炭素数約4〜14の脂肪族ジカルボン酸残基及び炭素数約5〜15の脂環式ジカルボン酸残基からなる群から選ばれた非芳香族ジカルボン酸残基35〜約99モル%を含む二酸残基(二酸残基の総モル%は100モル%に等しい);並びに
(2)炭素数約2〜8の1種又はそれ以上の脂肪族ジオール、炭素数約2〜8の1種又はそれ以上のポリアルキレンエーテル及び炭素数約4〜12の1種又はそれ以上の脂環式ジオールからなる群から選ばれたジオール残基(ジオール残基の総モル%は100モル%に等しい)
を含んでなる、約10℃未満のガラス転移温度を有するコポリエステル;及び
(B)可塑化有効量の1種又はそれ以上の相容性可塑剤
を含んでなるポリマー組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリエステルは意外なことに、それらが約10℃未満のTgを有し且つある種の可塑剤と組合される場合には、改善された柔軟性及びより広い可撓性範囲を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、
(A)(1)約1〜65モル%、好ましくは約25〜65モル%、より好ましくは35〜65モル%、更に好ましくは約40〜60モル%の芳香族ジカルボン酸残基と、99〜約35モル%、好ましくは約75〜35モル%、更に好ましくは約60〜40モル%の、炭素数約4〜14の脂肪族ジカルボン酸残基及び炭素数約5〜15の脂環式ジカルボン酸残基からなる群から選ばれた非芳香族ジカルボン酸残基を含む二酸残基(二酸残基の総モル%は100モル%に等しい);並びに
(2)炭素数約2〜8の1種又はそれ以上の脂肪族ジオール、炭素数約2〜8の1種又はそれ以上のポリアルキレンエーテル及び炭素数約4〜12の1種又はそれ以上の脂環式ジオールからなる群から選ばれたジオール残基(ジオール残基の総モル%は100モル%に等しい)
を含んでなる、約10℃未満のガラス転移温度を有するコポリエステル;及び
(B)可塑化有効量の相容性可塑剤(前記ポリマーより低いTg)
を含んでなるポリマー組成物を含む。
【0011】
意外なことに、本発明は、改善された柔軟性及び改善された可撓性範囲の組合せを示すポリエステルを提供する。
【0012】
本発明において有用なコポリエステルは、本発明の成分(1)を構成する脂肪族−芳香族コポリエステル(本明細書中において、AAPEと称する)であり、米国特許第5,661,193号、第5,599,858号、第5,580,911号及び第5,446,079号に記載されたものを含む。これらの特許の開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0013】
本発明のコポリエステルは、−10℃未満のガラス転移温度を有するポリマーを含む。本発明の他の実施態様においては、軟質バイオポリマーは約−20℃未満、更に好ましくは約−30℃未満のガラス転移温度を有する。
【0014】
特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用する成分の量、分子量、反応条件のような性質などを表す全ての数値は、いずれの場合においても、用語「約」によって修飾されるものと理解されたい。従って、そうでないことが示されない限り、以下の明細書及び添付した「特許請求の範囲」中に記載した数値パラメーターは、本発明が得ようとする目的の性質によって異なり得る近似値である。最低限でも、各数値パラメーターは少なくとも、報告された有効数字の数を考慮に入れ且つ通常の丸めを適用することによって解釈すべきである。更に、本明細書の開示及び特許請求の範囲中に記載した範囲は、端点だけでなく、全範囲を具体的に含むものとする。例えば、0〜10と記載した範囲は、0と10の間の全ての整数、例えば、1、2、3、4など、0と10の間の全ての分数、例えば、1.5、2.3、4.57、6.1113など並びに端点0及び10を開示するものとする。また、化学置換基に関する範囲、例えば「C1〜C5炭化水素」は、C1及びC5炭化水素だけでなく、C2、C3及びC4炭化水素を具体的に含み且つ開示するものとする。
【0015】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメーターは近似値であるが、具体例に記載した数値は、可能な限り正確に報告してある。しかし、任意の数値は本質的に、個々の試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生ずる若干の誤差を含む。
【0016】
本明細書中で使用する用語「ポリエステル」は、「コポリエステル」を含むものとし、1種又はそれ以上の二官能価カルボン酸と1種又はそれ以上の二官能価ヒドロキシル化合物との重縮合によって製造された合成ポリマーを意味すると解する。典型的には、二官能価カルボン酸はジカルボン酸であり、二官能価ヒドロキシル化合物は二価アルコール、例えばグリコール及びジオールである。本明細書中で使用する用語「残基(residue)」は、対応するモノマーを伴う重縮合反応によってポリマー又は可塑剤中に組み込まれる任意の有機構造を意味する。本明細書中で使用する用語「反復単位」は、カルボニルオキシ基によって結合されたジカルボン酸残基及びジオール残基を有する有機構造を意味する。このため、ジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマー又はそれに関連した酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物又はそれらの混合物から得ることができる。従って、本明細書中で使用する用語「ジカルボン酸」は、高分子量ポリエステルを製造するためのジオールとの重縮合プロセスにおいて有用な、ジカルボン酸及びジカルボン酸の任意の誘導体、例えばその関連した酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物、又はそれらの混合物を含むものとする。
【0017】
本発明に含まれるポリエステルは、実質的に等しいモル比の酸残基(100モル%)及びジオール残基(100モル%)を含み、それらは、反復単位の総モルが100モル%となるように実質的に等しい割合で反応する。従って、本発明の開示において示されるモル%は、酸残基の総モル、ジオール残基の総モル又は反復単位の総モルに基づくことができる。例えば、総酸残基に基づき30モル%のアジピン酸を含むコポリエステルは、合計100モル%の酸残基のうちアジピン酸残基を30モル%含むことを意味する。このため、酸残基100モル当たり30モルのアジピン酸残基が存在する。別の例において、総ジオール残基に基づき30モル%の1,6−ヘキサンジオールを含むコポリエステルは、コポリエステルが合計100モル%のジオール残基うち1,6−ヘキサンジオール残基を30モル%含むことを意味する。このため、ジオール残基100モル当たり30モルの1,6−ヘキサンジオール残基が存在する。
【0018】
本発明のポリエステルは、典型的には、よく知られた方法、例えば示差走査熱量測定法(DSC)によって測定された場合に10℃未満のガラス転移温度(「Tg」と略する)を示す。本発明において使用されるポリエステルは好ましくは、約5℃未満、より好ましくは約0℃未満のガラス転移温度を有する。
【0019】
本発明のコポリエステル組成物は、AAPE及び可塑化有効量の相容性可塑剤を含む。AAPEは、炭素数2〜約8の脂肪族ジオール、炭素数2〜8のポリアルキレンエーテルグリコール及び炭素数約4〜約12の脂環式ジオールから選ばれた1種又はそれ以上の置換又は非置換、直鎖又は分岐鎖ジオールの残基を含むジオール残基を含む線状のランダムコポリエステル又は分岐及び/若しくは連鎖延長コポリエステルであることができる。置換ジオールは典型的には、ハロ、C6〜C10アリール及びC1〜C4アルコキシから独立して選ばれた1〜約4個の置換基を含むものとする。使用できるジオールの例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない。エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコール。脂肪族ジオールが、必要ではないが好ましい。より好ましいジオールは、1,4−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;エチレングリコール;1,6−ヘキサンジオール;ジエチレングリコール;及び1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれた1種又はそれ以上のジオールを含む。単独の又は組合された1,4−ブタンジオール、エチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールが、必要ではないが更に好ましい。
【0020】
AAPEはまた、酸残基の総モルに基づき、約35〜約99モル%の、炭素数2〜約12の脂肪族ジカルボン酸及び炭素数約5〜約10の脂環式ジカルボン酸から選ばれた、1種又はそれ以上の置換又は非置換、直鎖又は分岐鎖非芳香族ジカルボン酸の残基を含む二酸残基を含む。置換非芳香族ジカルボン酸は、典型的には、ハロ、C6〜C10アリール及びC1〜C4アルコキシから選ばれた1〜約4個の置換基を含む。脂肪族及び脂環式ジカルボン酸の非限定的例としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸及び2,5−ノルボルナンジカルボン酸が挙げられる。非芳香族ジカルボン酸の他に、AAPEは、酸残基の総モルに基づき、約1〜約65モル%の、炭素数6〜約10の1種又はそれ以上の置換又は非置換の芳香族ジカルボン酸の残基を含む。置換芳香族ジカルボン酸を使用する場合には、それらは、典型的には、ハロ、C6〜C10アリール及びC1〜C4アルコキシから選ばれた1〜約4個の置換基を含むものとする。本発明のAAPE中に使用できる芳香族ジカルボン酸の非限定的例は、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ソジオイソフタル酸の塩及び2,6−ナフタレンジカルボン酸である。別の実施態様において、AAPEは、1,4−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;エチレングリコール;1,6−ヘキサンジオール;ジエチレングリコール;又は1,4−シクロヘキサンジメタノールのうち1種又はそれ以上の残基を含むジオール残基と、(i)酸残基の総モルに基づき、約35〜約95モル%の、グルタル酸、ジグリコール酸、コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びアジピン酸(好ましくは、単独又は組合せのグルタル酸及びアジピン酸)から選ばれた1種又はそれ以上の非芳香族ジカルボン酸の残基;(ii)酸残基の総モルに基づき、約5〜約65モル%の、テレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれた1種又はそれ以上の芳香族ジカルボン酸の残基を含む二酸残基を含んでなる。より好ましくは、非芳香族ジカルボン酸はアジピン酸を含み、芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸を含み、ジオールは1,4−ブタンジオールを含むものとする。
【0021】
本発明のAAPEの他の好ましい組成物は、二酸成分100モル%及びジオール成分100モル%に基づき、以下のモル%の以下のジオール及びジカルボン酸(又はそれらのコポリエステル形成性等価物、例えばジエステル)から製造されるものである。
(1)グルタル酸(約30〜約75%);テレフタル酸(約25〜約70%);1,4−ブタンジオール(約90〜100%);及び改質用ジオール(0〜約10%);
(2)コハク酸(約30〜約95%);テレフタル酸(約5〜約70%);1,4−ブタンジオール(約90〜100%);及び改質用ジオール(0〜約10%);並びに
(3)アジピン酸(約30〜約75%);テレフタル酸(約25〜約70%);1,4−ブタンジオール(約90〜100%);及び改質用ジオール(0〜約10%)。
【0022】
改質用ジオールは、好ましくは1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びネオペンチルグリコールから選ばれる。最も好ましいAAPEは、約50〜約60モル%のアジピン酸残基、約40〜約50モル%のテレフタル酸残基及び少なくとも95モル%の1,4−ブタンジオール残基を含む線状、分岐又は連鎖延長コポリエステルである。更に好ましくは、アジピン酸残基は約55〜約60モル%の量で存在し、テレフタル酸残基は約40〜約45モル%の量で存在し、且つ1,4−ブタンジオール残基は約95〜100モル%の量で存在する。このような組成物は、Eastman Chemical Company(Kingsport,TN)から商標Eastar Bio(登録商標)コポリエステルとして市販されている。
【0023】
更に、好ましいAAPEの具体例としては、以下のものが挙げられる。(a)グルタル酸残基50モル%、テレフタル酸残基50モル%及び1,4−ブタンジオール残基100モル%、(b)グルタル酸残基60モル%、テレフタル酸残基40モル%及び1,4−ブタンジオール残基100モル%又は(c)グルタル酸残基40モル%、テレフタル酸残基60モル%及び1,4−ブタンジオール残基100モル%を含むポリ(テトラメチレングルタレート−co−テレフタレート);(a)コハク酸残基85モル%、テレフタル酸残基15モル%及び1,4−ブタンジオール残基100モル%又は(b)コハク酸残基70モル%、テレフタル酸残基30モル%及び1,4−ブタンジオール残基100モル%を含むポリ(テトラメチレンスクシネート−co−テレフタレート);コハク酸残基70モル%、テレフタル酸残基30モル%及びエチレングリコール残基100モル%を含むポリ(エチレンスクシネート−co−テレフタレート);並びに(a)アジピン酸残基85モル%、テレフタル酸残基15モル%及び1,4−ブタンジオール残基100モル%又は(b)アジピン酸残基55モル%、テレフタル酸残基45モル%及び1,4−ブタンジオール残基100モル%を含むポリ(テトラメチレンアジペート−co−テレフタレート)。
【0024】
AAPEは好ましくは約10〜約1,000個、より好ましくは約15〜約600個の反復単位を含む。AAPEは、また、フェノール/テトラクロロエタンの重量比60/40の溶液100ml中コポリエステル0.5gの濃度を用いて25℃の温度において測定されたインヘレント粘度が、好ましくは約0.4〜約2.0dL/g、より好ましくは約0.7〜約1.4dL/gである。
【0025】
AAPEは、場合によっては、分岐剤の残基を含むことができる。分岐剤の重量%範囲は、AAPEの総重量に基づき、約0〜約2重量%(本発明におけるwt%は、重量%を意味する)、好ましくは約0.1〜約1重量%、最も好ましくは約0.1〜約0.5重量%である。分岐剤は、好ましくは約50〜約5000、より好ましくは約92〜約3000の重量平均分子量及び約3〜約6の官能価を有する。例えば、分岐剤は3〜6個のヒドロキシル基を有するポリオール、3〜4個のカルボキシル基(若しくはエステル形成性等価基)を有するポリカルボン酸又は合計3〜6個のヒドロキシル基及びカルボキシル基を有するヒドロキシ酸のエステル化残基であることができる。
【0026】
分岐剤として使用できる代表的な低分子量ポリオールとしては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ポリエーテルトリオール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、1,2,6−ヘキサントリオール、ソルビトール、1,1,4,4−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート及びジペンタエリスリトールが挙げられる。より高分子量のポリオール(MW400〜3000)の詳細な分岐剤の例は、ポリオール開始剤を用いてエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのような炭素数2〜3のアルキレンオキシドを縮合させることによって得られるトリオールである。分岐剤として使用できる代表的なポリカルボン酸としては、ヘミメリット酸、トリメリット酸(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸)及び無水物、トリメシン酸(1,3,5−ベンゼントリカルボン酸)、ピロメリット酸及び無水物、ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸、1,1,2−エタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸及び1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸が挙げられる。酸はそれ自体を使用することもできるが、それらの低級アルキルエステルの形態で又は環状無水物を形成できる場合には、それらの環状無水物の形態で用いるのが好ましい。分岐剤としての代表的なヒドロキシ酸としては、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、3−ヒドロキシグルタル酸、ムチン酸、トリヒドロキシグルタル酸、4−カルボキシフタル酸無水物、ヒドロキシイソフタル酸及び4−(β−ヒドロキシエチル)フタル酸が挙げられる。このようなヒドロキシ酸は、3個又はそれ以上のヒドロキシル及びカルボキシル基の組合せを含む。特に好ましい分岐剤としては、トリメリット酸、トリメシン酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及び1,2,4−ブタントリオールが挙げられる。
【0027】
本発明の脂肪族−芳香族ポリエステルは、また、それらの溶融粘度を増大させるために1種又はそれ以上のイオン含有モノマーを含むこともできる。イオン含有モノマーはスルホイソフタル酸の塩又はその誘導体から選ばれる。この型のモノマーの典型的な例はソジオスルホイソフタル酸又はソジオスルホイソフタル酸のジメチルエステルである。イオン含有モノマーの好ましい濃度範囲は、酸残基の総モルに基づき、約0.3〜約5.0モル%、より好ましくは約0.3〜約2.0モル%である。
【0028】
本発明の分岐AAPEの一例は、1,4−ブタンジオール残基100モル%、テレフタル酸残基43モル%及びアジピン酸残基57モル%を含み且つ約0.5重量%のペンタエリスリトールを分岐剤として含むポリ(テトラメチレンアジペート−co−テレフタレート)である。このAAPEは、アジピン酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、ペンタエリスリトール及び1,4−ブタンジオールのエステル交換及び重縮合によって生成できる。AAPEは、最初はチタンテトライソプロポキシドとして存在する100ppmのTiの存在下において真空下でモノマーを190℃で1時間、200℃で2時間、210℃で1時間、次いで250℃で1.5時間加熱することによって製造できる。
【0029】
分岐AAPEの別の例は、1,4−ブタンジオール残基100モル%、テレフタル酸残基43モル%及びアジピン酸残基57モル%を含み且つ0.3重量%のピロメリット酸二無水物を分岐剤として含むポリ(テトラメチレンアジペート−co−テレフタレート)である。このAAPEは、押出機を用いたピロメリット酸二無水物を含む線状ポリ(テトラメチレンアジペート−co−テレフタレート)の反応性押出によって生成する。
【0030】
本発明のコポリエステル組成物は、また、組成物の総重量に基づき、0〜約5重量%の1種又はそれ以上の連鎖延長剤を含むことができる。代表的な連鎖延長剤は、ジビニルエーテル、例えば米国特許第5,817,721号に開示されたもの又はジイソシアネート、例えば米国特許第6,303,677号に開示されたものである。代表的なジビニルエーテルは1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,5−ヘキサンジオールジビニルエーテル及び1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルである。
【0031】
代表的なジイソシアネートはトルエン2,4−ジイソシアネート、トルエン2,6−ジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びメチレンビス(2−イソシアナトシクロヘキサン)である。好ましいジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートである。重量%の範囲は、好ましくはAAPEの総重量に基づき、約0.3〜約3.5重量%、最も好ましくは約0.5〜約2.5重量%である。また、3以上の官能価を有するイソシアヌレート及び/若しくはビウレア基を含むことができる三官能価イソシアネート化合物を用いること、又はジイソシアネート化合物を一部分、トリ−若しくはポリイソシアネートで置き換えることも基本的に可能である。
【0032】
本発明のAAPEは、適当なジカルボン酸、エステル、無水物又は塩、適当なジオール又はジオール混合物及び任意の分岐剤から典型的な重縮合反応条件を用いて容易に製造できる。これらは、連続、半連続又は回分操作様式によって生成でき、種々の反応器型を用いることができる。適当な反応器型の例としては、攪拌漕型反応器、連続攪拌漕型反応器、スラリー反応器、管状反応器、ワイプドフィルム反応器、流下薄膜式反応器又は押出反応器が挙げられるが、これらに限定するものではない。ここで使用する用語「連続」とは、反応体の投入及び生成物の回収を同時に連続的に行うプロセスを意味する。「連続」とは、方法が、「回分」法とは異なり実質的に又は完全に連続的に実施されることを意味する。「連続」は、例えば始動、反応器のメンテナンス又は定期的シャットダウン期間による方法の連続性の正常な中断を禁止することは意味しない。ここで使用する用語「回分」法は、反応体全てを反応器に添加してから、所定の反応過程に従って処理し、その間に反応器への材料の供給又は材料の除去は行わないプロセスを意味する。用語「半連続(semicontinuous)」は、反応体の一部をプロセスの最初に装填し且つ残りの反応体を、反応の進行につれて連続的に供給するプロセスを意味する。或いは、半連続プロセスはまた1種又はそれ以上の生成物を反応の進行につれて連続的に除去する以外は、反応体全てをプロセスの最初に添加する回分法と同様なプロセスを含むことができる。本発明のプロセスは、経済的理由から、また、過度に長い期間、高温の反応器中に滞留させるとコポリエステルの外観が悪化する可能性があるのでポリマーの優れた着色を生じるために、連続プロセスとして実施するのが有利である。
【0033】
本発明のAAPEは、当業者に知られた、例えば米国特許第2,012,267号に記載された方法によって製造する。このような反応は通常、重縮合触媒、例えばアルコキシチタン化合物、アルカリ金属水酸化物及びアルコラート、有機カルボン酸の塩、アルキル錫化合物、金属酸化物などの存在下で150℃〜300℃の温度において実施する。触媒は、典型的には、反応体の総重量に基づき、10〜1000ppmの量で使用する。
【0034】
ジオールとジカルボン酸との反応は、従来のコポリエステル重合条件を用いて実施できる。例えば、エステル交換反応によって、即ち、エステル型のジカルボン酸成分からコポリエステルを製造する場合には、反応プロセスは2工程を含むことができる。第1の工程において、ジオール成分とジカルボン酸成分、例えばテレフタル酸ジメチルとを高温、典型的には約150℃〜約250℃において約0.0kPaゲージ〜約414kPaゲージ(60ポンド/平方インチ(psig))の範囲の圧力で約0.5〜約8時間反応させる。好ましくは、エステル交換反応の温度は約180℃〜約230℃で約1〜約4時間であり、好ましい圧力は約103kPaゲージ(15psig)〜約276kPaゲージ(40psig)の範囲である。その後、反応生成物をより高い温度において減圧下で加熱して、ジオールを除去しながらAAPEを形成する。ジオールは、これらの条件下では容易に揮発し、系から除去される。この第2の工程、又は重縮合工程は、より高真空下で一般には約230℃〜約350℃、好ましくは約250℃〜約310℃、最も好ましくは約260℃〜約290℃の温度で約0.1〜約6時間又は好ましくは約0.2〜約2時間、インヘレント粘度によって測定される所望の重合度を有するポリマーが得られるまで続ける。重縮合工程は、約53kPa(400トル)〜約0.013kPa(0.1トル)の範囲の減圧下で実施できる。反応混合物の充分な熱伝達及び表面更新を保証するために、いずれの段階においても攪拌又は適当な条件を使用する。両段階の反応速度は、適当な触媒、例えば四塩化チタン、二酢酸マンガン、酸化アンチモン、ジブチル錫ジアセテート、塩化亜鉛又はそれらの組合せによって増加させる。米国特許第5,290,631号に記載されたのと同様な3段製造法も、酸及びエステルの混合モノマー供給材料を使用する場合には特に使用できる。例えば、典型的な脂肪族―芳香族コポリエステル、30モル%のテレフタル酸残基を含むポリ(テトラメチレングルタレート−co−テレフタレート)は、グルタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル及び1,4−ブタンジオールを、最初はチタンテトライソプロポキシドとして存在する100ppmのTiの存在下において真空下で、最初に200℃で1時間、次いで245℃で0.9時間加熱することによって製造できる。
【0035】
エステル交換反応によるジオール成分とジカルボン酸成分との反応を確実に完了させるために、場合によっては、1モルのジカルボン酸成分に対して約1.05〜約2.5モルのジオール成分を用いるのが望ましい。しかし、当業者ならば、ジオール成分対ジカルボン酸成分の比が一般に、反応プロセスが行われる反応器の設計によって決まることがわかるであろう。
【0036】
直接エステル化による、即ち、酸型のジカルボン酸成分からのコポリエステルの製造においては、ポリエステルは、ジカルボン酸又はジカルボン酸の混合物をジオール成分又はジオール成分の混合物及び分岐用モノマー成分と反応させることによって生成する。この反応は、平均重合度約1.4〜約10の低分子量コポリエステル生成物を生成するために約7kPaゲージ(1psig)〜約1379kPaゲージ(200psig)、好ましくは689kPaゲージ(100psig)未満の圧力において実施する。直接エステル化反応において使用する温度は、典型的には、約180℃〜約280℃、より好ましくは約220℃〜約270℃の範囲である。この低分子量ポリマーは、次に重縮合反応によって重合させることができる。
【0037】
本明細書中で使用する用語「可塑化有効量」は、可塑剤の量が、ポリマーを軟化させるか、又はそのTgを低下させる効果を有するのに充分な量であることを意味する。コポリエステル組成物中に使用する可塑剤の量は、典型的には、コポリエステルの総重量%に基づき、約5〜約40重量%である。一実施態様において、コポリエステル組成物中に使用する可塑剤の量は、コポリエステルの総重量に基づき、約5〜約20重量%である。
【0038】
本明細書中で使用する用語「相容性可塑剤(compatible plasticizer)」は、可塑剤がAAPEと混和性でなければならないことを意味する。可塑剤に関してここで使用する用語「相容性可塑剤」は、可塑剤とAAPEとが混じり合って、加工条件又は使用条件下において、可塑剤の若干の滲出がありがちであるが、急速には多相に分離しない安定な混合物を形成することを意味するものと理解する。当業界ではこれをブルーミング(blooming)と言い、可塑剤の大部分が通常の使用条件下で使用期間において化合物中に残っている場合に、可塑剤が化合物(ポリマー+可塑剤+添加剤)からゆっくりと時間と共に滲出することを意味する。従って、可塑剤に関して使用する用語「相容性可塑剤」は、可塑剤とAAPEとが真の溶液を形成する「可溶性」混合物と、可塑剤とAAPEとの混合物が必ずしも真の溶液を形成せずに安定なブレンドを形成するだけであることを意味する「相容性(compatible)」混合物の両方を含むものとする。一般に、全ての場合ではないが、溶剤/可塑剤の溶解度パラメーター値は、ポリマー自体に関して確認された値の2(cal/cc)1/2の範囲内に入る。溶解度パラメーターが測定できなかった可塑剤に関しては、ポリマーが可塑剤によって溶解されて透明な溶液を形成する温度を観察することによって溶解度を決定する。
【0039】
コポリエステル組成物は、また、燐含有難燃剤を含むことができるが、難燃剤の存在は本発明に重要ではない。燐含有難燃剤はAAPEと混和性(miscible)でなければならない。好ましくは、燐含有化合物は非ハロゲン化有機化合物、例えば有機置換基を含む燐の酸のエステルである。難燃剤は、当業界でよく知られた広範な燐化合物、例えばホスフィン、亜燐酸エステル、亜ホスフィン酸エステル、亜ホスホン酸エステル、ホスフィン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィンオキシド及び燐酸エステルを含むことができる。燐含有難燃剤の例としては以下のものが挙げられる。燐酸トリブチル、燐酸トリエチル、燐酸トリ−ブトキシエチル、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、エチルジメチルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、燐酸トリラウリル、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸トリキシレニル、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、燐酸トリベンジル、フェニルエチルホスフェート、チオノ燐酸トリメチル、フェニルエチルチオノホスフェート、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、ペンチルホスホン酸ジエチル、メチルホスホン酸ジラウリル、メチルホスホン酸ジフェニル、メチルホスホン酸ジベンジル、クレジルホスホン酸ジフェニル、クレジルホスホン酸ジメチル、メチルチオノホスホン酸ジメチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸ベンジル、ジフェニルホスフィン酸メチル、トリメチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、トリベンジルホスフィンオキシド、4−メチルジフェニルホスフィンオキシド、亜燐酸トリエチル、亜燐酸トリブチル、亜燐酸トリラウリル、亜燐酸トリフェニル、亜燐酸トリベンジル、フェニルジエチルホスファイト、フェニルジメチルホスファイト、ベンジルジメチルホスファイト、メチル亜ホスホン酸ジメチル、ペンチル亜ホスホン酸ジエチル、メチル亜ホスホン酸ジフェニル、メチル亜ホスホン酸ジベンジル、クレジル亜ホスホン酸ジメチル、ジメチル亜ホスフィン酸メチル、ジエチル亜ホスフィン酸メチル、ジフェニル亜ホスフィン酸フェニル、ジフェニル亜ホスフィン酸メチル、ジフェニル亜ホスフィン酸ベンジル、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン及びメチルジフェニルホスフィン。
【0040】
難燃剤は、コポリエステル組成物の総重量に基づき、約5重量%〜約40重量%の濃度でポリエステルブレンドに添加できる。
【0041】
溶融又は半溶融材料を加工する際の酸化分解を防ぐために、酸化安定剤も本発明のコポリエステル組成物中に含ませることができる。このような安定剤としては、チオジプロピオン酸ジステアリル又はチオジプロピオン酸ジラウリルのようなエステル;フェノール系安定剤、例えばCiba−Geigy AGから入手可能なIRGANOX(登録商標)1010、Ethyl Corporationから入手可能なETHANOX(登録商標)330及びブチル化ヒドロキシトルエン;並びに燐含有安定剤、例えばCiba−Geigy AGから入手可能なIrgafos(登録商標)及びGE Specialty Chemicalsから入手可能なWESTON(登録商標)安定剤が挙げられる。これらの安定剤は、単独でも組合せても使用できる。
【0042】
更に、コポリエステル組成物は、染料、顔料及び加工助剤、例えば充填剤、艶消し剤、粘着防止剤、帯電防止剤、発泡剤、チョップトファイバー、ガラス、耐衝撃性改良剤、カーボンブラック、タルク、TiO2などを必要に応じて含むことができる。トナーとも称することがある着色剤を、コポリエステル及び製品に所望のニュートラルな色相及び/又は明度を与えるために添加することができる。加工助剤の代表例としては、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、TiO2、NH4Cl、シリカ、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム及び燐酸カルシウムが挙げられる。本発明のコポリエステル組成物中における加工助剤レベルの更なる例は、約5〜約25重量%及び約10〜約20重量%である。好ましくは、加工助剤は生分解促進剤でもあり、即ち、加工助剤は環境における生分解速度を増大又は加速する。本発明らは、堆肥化環境のpHを変える働きをすることもできる加工助剤、例えば炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、水酸化バリウム、珪酸ナトリウム、燐酸カルシウム、酸化マグネシウムなども、生分解プロセスを促進できることを発見した。本発明のコポリエステル組成物は、環境におけるそれらの崩壊及び生分解性を増大させる生分解性添加剤を含むことができる。本発明のコポリエステル組成物中に含めることができる生分解性添加剤の代表例としては、微晶質セルロース、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリビニルアルコール、熱可塑性澱粉若しくは他の炭水化物又はそれらの組合せが挙げられる。好ましくは生分解性添加剤は熱可塑性澱粉である。熱可塑性澱粉は、無秩序な結晶構造を与えるためにエクストルージョンクッキングによってゼラチン化された澱粉である。ここで使用する「熱可塑性澱粉」は、例えば、Bastioli,C.Degradable Polymers,1995,Chapman & Hall:London,112〜137頁に記載されたような「ゼラチン化された澱粉」及び「非構造化された(destructured)澱粉」を含むものとする。「ゼラチン化された」とは、澱粉顆粒が、水中で滑らかで粘稠な分散液を形成するほど充分に膨潤し且つ崩壊していることを意味する。ゼラチン化は、水又は水溶液の存在下で、約60℃の温度において加熱するなどの任意の公知の方法で行う。強アルカリの存在は、このプロセスを促進することが知られている。熱可塑性澱粉は、穀粒又は根菜作物、例えばトウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ及びタピオカからの任意の未変性澱粉から;澱粉のアミロース及びアミロペクチン成分から;変性澱粉製品、例えば部分解重合澱粉及び誘導体化澱粉から;また、澱粉グラフトコポリマーから製造できる。熱可塑性澱粉はNational Starch Companyから市販されている。
【0043】
本明細書中において本発明のAAPEに関して使用する用語「生分解性(biodegradable)」は、本発明のポリエステル組成物が、例えばASTM Standard Method D6340−98,”Standard Test Methods for Determining Aerobic Biodegradation of Radiolabeled Plastic Materials in an Aqueous or Compost Environment”によって定義される適当で実証可能な時間長で環境の影響下において分解されることを意味する。本発明のAAPE、コポリエステル組成物は「生崩壊性」であることもできる。「生崩壊性(biodisintegradable)」は、これらの材料が、DIN Method 54900によって測定される場合に、堆肥化環境において容易に崩壊されることを意味する。AAPE、組成物は最初に、熱、水、空気、微生物及び他の要因の作用によって環境中で分子量が低下される。この分子量の低下は、物理的性質(フィルム強度)を低下させ、多くの場合更にフィルムを破壊させる。AAPEの分子量が充分に低くなったら、次にモノマー及びオリゴマーが微生物によって同化される。好気的環境においては、これらのモノマー又はオリゴマーは最終的にCO2、H2O及び新しい細胞バイオマスまで酸化される。嫌気的環境においては、モノマー又はオリゴマーは最終的にCO2、H2、アセテート、メタン及び細胞バイオマスに酸化される。生分解が上手くいくには、生分解性材料と活性微生物個体群又は活性微生物個体群によって生成される酵素との間で直接的な物理的接触が確立される必要がある。本発明のフィルム、コポリエステル及びコポリエステル組成物の分解に有用な活性微生物個体群は、一般に、任意の都市下水若しくは工業排水処理施設又は堆肥化施設から入手できる。更に、生分解が上手くいくには、適当なpH、温度、酸素濃度、適切な栄養素及び水分レベルのようないくつかの最小物理化学的要件を満たすことが要求される。
【0044】
コポリエステル組成物の種々の成分、例えば難燃剤、剥離剤、他の加工助剤及びトナーは、回分法、半連続法又は連続法でブレンドすることができる。小規模バッチは、カレンダー加工又は他の熱処理前に、当業者によく知られた任意の強力混合装置、例えばバンバリーミキサー中で容易に製造できる。成分はまた、適当な溶媒中に溶解してブレンドできる。溶融ブレンド法は、コポリエステル、添加剤及び任意の追加非重合成分を、コポリエステルを少なくとも一部分溶融させるのに充分な温度でブレンドすることを含む。ブレンドは冷却して、更なる使用のためにペレット化することもできるし、或いはこの溶融ブレンドを、例えばフィルム、シート又は成形品に直接加工することもできる。ここで使用する「溶融」は、AAPEを単に軟化させることを含むが、これに限定するものではない。ポリマー業界で一般的に知られた溶融混合法については、”Mixing and Compounding of Polymers”(I.Manas−Zloczower & Z.Tadmor編,Carl Hanser Verlag Publisher,1994,New York,N.Y.)を参照されたい。着色された製品(例えば、シート、成形品又はフィルム)が望ましい場合には、顔料又は着色剤を、ジオールとジカルボン酸との反応の間にコポリエステル混合物中に含ませることもできるし、或いはこれらを予備成形コポリエステルと溶融ブレンドすることもできる。着色剤を含ませる好ましい方法は、着色剤がコポリエステル中に共重合され且つ組み込まれてコポリエステルの色合いを向上させるような反応性基を有する熱安定性有機着色化合物を有する着色剤を用いるものである。例えば青色及び赤色置換アントラキノン類を含む(これらに限定されない)反応性ヒドロキシル及び/又はカルボキシル基を有する染料のような着色剤をポリマー鎖中に共重合させることができる。染料を着色剤として使用する場合には、エステル交換又は直接エステル化反応後にコポリエステル反応プロセスに添加することができる。
【0045】
本発明のポリマー組成物は、ここに記載したポリマーと組合された可塑剤を含む。可塑剤の存在は、得られるフィルム若しくはシート又は成形品の可撓性及び優れた機械的性質を向上させるのに有用である。可塑剤はまた、ポリエステルの加工温度を低下させるのに役立つ。可塑剤は典型的には、1個又はそれ以上の芳香環を含む。好ましい可塑剤は、160℃又はそれ以下の温度においてポリエステルの厚さ5mil(0.127mm)のフィルムを溶解させて透明な溶液を生成することによって示されるように、ポリエステル中に可溶である。より好ましくは、可塑剤は、150℃又はそれ以下の温度においてポリエステルの厚さ5mil(0.127mm)のフィルムを溶解させて透明な溶液を生成することによって示されるように、ポリエステル中に可溶である。ポリエステルへの可塑剤の溶解度は以下のようにして測定できる。
【0046】
1.小バイアルに、厚さ5mil(0.127mm)及びバイアルの幅に概ね等しい幅の標準対照フィルムの1/2インチの部分を入れる。
【0047】
2.フィルムが完全に覆われるまで、可塑剤をバイアル中に添加する。
【0048】
3.フィルム及び可塑剤を含むバイアルを棚の上に置いて、1時間後と4時間目に観察する。フィルム及び液体の外観を記録する。
【0049】
4.周囲の観察後、バイアルを加熱ブロック中に入れ、温度を1時間75℃の一定に留め、フィルム及び液体の外観を観察する。
【0050】
5.以下の温度のそれぞれについて工程4を繰り返す:100℃、140℃、150℃及び160℃。
【0051】
本発明において有用な可能性のある可塑剤の例は以下の通りである。これらの可塑剤の一部は本発明のポリエステル組成物と相容性であるが、それらの全てが相容性であることは期待できない。
表A:可塑剤
アジピン酸誘導体:
アジピン酸ジカプリル
ジ−(2−エチルヘキシルアジペート)
ジ(n−ヘプチル,n−ノニル)アジペート
アジピン酸ジイソブチル
アジピン酸ジイソデシル
アジピン酸ジノニル
ジ−(トリデシル)アジペート
アゼライン酸誘導体:
ジ−(2−エチルヘキシルアゼレート)
アゼライン酸ジイソデシル
アゼライン酸ジイソオクチル
アゼライン酸ジメチル
アゼライン酸ジ−n−ヘキシル
安息香酸誘導体:
ジエチレングリコールジベンゾエート(DEGDB)
ジプロピレングリコールジベンゾエート
プロピレングリコールジベンゾエート
ポリエチレングリコール200ジベンゾエート
ネオペンチルグリコールジベンゾエート
クエン酸誘導体:
アセチルトリ−n−ブチルシトレート
アセチルトリエチルシトレート
クエン酸トリ−n−ブチル
クエン酸トリエチル
ダイマー酸誘導体:
ビス−(2−ヒドロキシエチルダイメレート)
エポキシ誘導体:
エポキシ化アマニ油
エポキシ化大豆油
エポキシタル油酸2−エチルヘキシル
フマル酸誘導体:
フマル酸ジブチル
グリセロール誘導体:
グリセロールトリベンゾエート
グリセロールトリアセテート
グリセロールジアセテートモノラウレート
イソブチレート誘導体:
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール,ジイソブチレート
テキサノールジイソブチレート
イソフタル酸誘導体:
イソフタル酸ジメチル
イソフタル酸ジフェニル
ジ−n−ブチルフタレート
ラウリン酸誘導体:
ラウリン酸メチル
リノール酸誘導体:
リノール酸メチル,75%
マレイン酸誘導体:
マレイン酸ジ−(2−エチルヘキシル)
マレイン酸ジ−n−ブチル
メリット酸類:
トリメリット酸トリカプリル
トリメリット酸トリイソデシル
トリ−(n−オクチル,n−デシル)トリメリテート
トリメリット酸トリイソニル
ミリスチン酸誘導体:
ミリスチン酸イソプロピル
オレイン酸誘導体:
オレイン酸ブチル
グリセロールモノオレエート
グリセロールトリオレエート
オレイン酸メチル
オレイン酸n−プロピル
テトラヒドロフルフリルオレエート
パルミチン酸誘導体:
パルミチン酸イソプロピル
パルミチン酸メチル
パラフィン誘導体:
クロロパラフィン,塩素41%
クロロパラフィン,塩素50%
クロロパラフィン,塩素60%
クロロパラフィン,塩素70%
燐酸誘導体:
2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート
イソデシルジフェニルホスフェート
t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート
レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)(RDP)
100%RDP
RDP重量75%とDEGDB25重量%とのブレンド
RDP50重量%とDEGDB50重量%とのブレンド
RDP25重量%とDEGDB75重量%とのブレンド
燐酸トリ−ブトキシエチル
燐酸トリブチル
燐酸トリクレジル
燐酸トリフェニル
フタル酸誘導体:
ブチルベンジルフタレート
テキサノールベンジルフタレート
ブチルオクチルフタレート
フタル酸ジカプチル
フタル酸ジシクロヘキシル
フタル酸ジ−(2−エチルヘキシル)
フタル酸ジエチル
フタル酸ジヘキシル
フタル酸ジイソブチル
フタル酸ジイソデシル
フタル酸ジイソヘプチル
フタル酸ジイソノニル
フタル酸ジイソオクチル
フタル酸ジメチル
フタル酸ジトリデシル
フタル酸ジウンデシル
リシノール酸誘導体:
リシノール酸ブチル
グリセロールトリ(アセチル)リシノレエート
メチルアセチルリシノレエート
リシノール酸メチル
n−ブチルアセチルリシノレエート
プロピレングリコールリシノレエート
セバシン酸誘導体:
セバシン酸ジブチル
セバシン酸ジ−(2−エチルヘキシル)
セバシン酸ジメチル
ステアリン酸誘導体:
エチレングリコールモノステアレート
グリセロールモノステアレート
イソステアリン酸イソプロピル
ステアリン酸メチル
ステアリン酸n−ブチル
プロピレングリコールモノステアレート
コハク酸誘導体:
コハク酸ジエチル
スルホン酸誘導体:
N−エチルo,p−トルエンスルホンアミド
o,p−トルエンスルホンアミド
【0052】
前述と同様な試験は、Society of Plastic Engineers/Wiley and Sons(New York)によって1982に発行された、J.Kern Sears及びJoseph R.DarbyによるThe Technology of Plasticizers,136〜137頁に記載されている。この試験においては、加熱された顕微鏡のステージ上の1滴の可塑剤中に1粒のポリマーが置かれる。ポリマーが消失する場合には、それは可溶化されている。可塑剤はまた、それらの溶解度パラメーターに従って分類できる。Colemanら(Polymer 31,1187(1990))によって記載された方法によって、可塑剤の溶解度パラメーター又は凝集エネルギー密度の平方根を計算できる。一般に、可塑剤の溶解度パラメーターはポリエステルの溶解度パラメーターの2.0単位以内、好ましくはポリエステルの溶解度パラメーターの1.5単位未満以内、より好ましくはポリエステルの溶解度パラメーターの1.0単位未満以内でなければならないことがわかる。
【0053】
本発明の方法に従って使用できる可塑剤の例は(i)フタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、安息香酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、酪酸、グルタル酸、クエン酸又は燐酸のうち1種又はそれ以上の残基を含む酸残基及び(ii)炭素数約20以下の脂肪族、脂環式又は芳香族アルコールの1種又はそれ以上の残基を含むアルコール残基を含むエステルである。更に、可塑剤のアルコール残基の非限定的例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコールが挙げられる。可塑剤は1種又はそれ以上の安息香酸エステル、フタル酸エステル、燐酸エステル又はイソフタル酸エステルを含むこともできる。
【0054】
一実施態様において、好ましい可塑剤はN−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、燐酸トリブチル、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、燐酸トリクレジル、クロロパラフィン(塩素60%)、クロロパラフィン(塩素50%)、コハク酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、ステアリン酸n−ブチル、アセチルトリエチルシトレート、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ−n−ブチル、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、オレイン酸メチル、フマル酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アゼライン酸ジメチル、エポキシ化アマニ油、グリセロールモノオレエート、メチルアセチルリシノレエート、n−ブチルアセチルリシノレエート、プロピレングリコールリシノレエート、ポリエチレングリコール200ジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、ブチルベンジルフタレート、及びグリセロールトリアセテートからなる群から選ばれる。
【0055】
第二の実施態様において、好ましい可塑剤はN−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、燐酸トリブチル、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、燐酸トリクレジル、クロロパラフィン(塩素60%)、クロロパラフィン(塩素50%)、コハク酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、ステアリン酸n−ブチル、アセチルトリエチルシトレート、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ−n−ブチル、アゼライン酸ジメチル、ポリエチレングリコール200ジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、ブチルベンジルフタレート又はグリセロールトリアセテートからなる群から選ばれる。
【0056】
第三の実施態様において、好ましい可塑剤はN−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、燐酸トリクレジル、クロロパラフィン(塩素60%)、クロロパラフィン(塩素50%)、コハク酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、ステアリン酸n−ブチル、ポリエチレングリコール200ジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル又はブチルベンジルフタレートからなる群から選ばれる。
【0057】
第四の実施態様において、好ましい可塑剤はN−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、燐酸トリクレジル、クロロパラフィン(塩素60%)、ポリエチレングリコール200ジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル又はブチルベンジルフタレートからなる群から選ばれる。
【0058】
第五の実施態様において、好ましい可塑剤はN−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、燐酸トリクレジル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル又はブチルベンジルフタレートからなる群から選ばれる。
【0059】
第六の実施態様において、好ましい可塑剤は、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、又はフタル酸ジメチルからなる群から選ばれる。
【0060】
第七の実施態様において、ジエチレングリコールジベンゾエートが好ましい可塑剤である。
【0061】
本発明の新規ポリマー組成物は好ましくは、燐触媒失活剤成分(C)、典型的には1種又はそれ以上の燐化合物、例えば、燐の酸、例えば、燐酸及び/若しくは亜燐酸、又は燐の酸のエステル、例えば、燐酸エステル若しくは亜燐酸エステルを含む。燐触媒失活剤の更なる例は、米国特許第5,907,026号及び第6,448,334号に記載されている。存在する燐失活剤の量は、(A)及び(B)の総重量に基づき約0〜0.5重量%、好ましくは0.05〜0.3重量%の元素燐含有量を提供する。
【0062】
本発明の新規ポリマー組成物は好ましくは、燐触媒失活剤成分(C)、典型的には1種又はそれ以上の燐化合物、例えば、燐の酸、例えば、燐酸及び/若しくは亜燐酸、又は燐の酸のエステル、例えば、燐酸エステル若しくは亜燐酸エステルを含む。燐触媒失活剤の更なる例は、米国特許第5,907,026号及び第6,448,334号に記載されている。存在する燐失活剤の量は、ポリエステルカーボネート(A)及びポリエステル(A)nの総重量に基づき、約0〜0.5重量%、好ましくは0.05〜0.3重量%の元素燐含有量を提供する。
【0063】
ポリエステル組成物はまた、押出、射出成形、押出成形及びカレンダー加工を含む(これらに限定するものではない)当業者に知られた多くの方法を用いて、フィルム、成形品又はシートに形成できる。押出法においては、典型的にはペレットの形態のポリエステルが、タンブラー中で一緒に混合され、次いで溶融配合のために押出機のホッパー中に入れられる。或いは、ペレットが、ペレットを所望の重量比で計量供給する種々の供給装置によって押出機のホッパーに添加することができる。押出機から出たら、その時すでに均質であるコポリエステルブレンドがフィルム又は成形品に造形される。フィルム又は成形品の形状に制限はない。例えばフィルムは、フラットシート又はチューブであることができる。得られたフィルムは、例えば特定の方向に元の寸法の2〜6倍に伸張することができる。
【0064】
フィルムの伸張方法は、公知の任意の方法、例えばロール伸張法、ロングギャップ伸張、テンター伸張法及び管伸張法によることができる。これらの方法のいずれかを用いて、連続的二軸伸張、同時二軸伸張、一軸伸張又はこれらの組合せを行うことが可能である。前記二軸伸張に関しては、縦方向及び横断方向の伸張を同時に行うことができる。また、最初に一方向に伸張を行ってから、次に他の方向に伸張を行って、効率的な二軸伸張を引き起こすこともできる。ポリマー組成物はまた、柔軟性、耐引掻き性の増加及び表面粘着性の減少を示す。
【0065】
いくつかの実施態様においては、本発明のポリマー組成物の射出成形、押出ブロー成形、フィルム/シート押出又はカレンダー加工の工程を含む、このような製品、フィルム、シート及び/又は繊維の製造方法が開示される。
【0066】
本発明を、以下に示した具体な実施例によって更に詳細に説明する。これらの実施例は、説明に役立つ実施態様であって、本発明の限定を目的とせず、むしろ、添付した「特許請求の範囲」の範囲及び内容の範囲内で広範に解するべきである。
【実施例】
【0067】
成分(1)として、約−35℃のTg及び〜115℃の結晶融点を有する、Eastman Chemical Companyから以前は入手可能であった、EASTAR(登録商標)BIOコポリエステルとして知られる、テレフタル酸44モル%、アジピン酸56モル%及び1,4−ブタンジオール100モル%を含むコポリエステルを用いて、種々の化合物を可塑剤活性に関して評価した。好ましい可塑剤は、約160℃未満の温度においてポリエステルのフィルムを溶解させて透明な溶液を生成する。可塑剤のこの性質を、溶解性と称する。試験化合物が、成分(1)のコポリエステルに適当な可塑剤であるか否かを判断するための方法は、厚さ25ミクロン(1mil)のコポリエステルフィルムの1.77×1.77cm(0.5×0.5インチ)の正方形サンプルを小バイアル中に入れることからなるものであった。試験化合物を、フィルムを覆うように添加した。フィルムを、室温(RT)で1時間後と4時間後に見てすぐわかるフィルム中の変化について観察した。次いで、フィルムを試験管加熱ブロック中に入れ、温度を上昇させ、1時間後及び4時間後に以下の温度において室温サンプルと同様に観察した:40、50、60、70、80、90、100及び110℃。この温度変化は、室温からコポリエステルのピーク結晶融点近くまでの範囲を包含する。この評価に用いた各温度における各期間の最後のポリマー及びバイアル内容物の外観を、以下の基準に従って数値によって評価した。
【0068】
0=可塑剤は液体であるが、フィルムに目に見える変化はない
1=フィルムは透明になりつつある(フィルムは最初は曇っていた)
2=フィルムは完全に透明になった
3=フィルムは剛性を失い、もはやバイアル中に立っていることができない
4=フィルムは構造を失い;ポリマーはバイアルのそこに塊で存在する
5=フィルム/ポリマーは分散し且つ溶解しつつある
6=液体は濁り、ポリマーは目に見えない
7=液体は透明である
【0069】
試験化合物が成分(2)の可塑剤と評価されるためには、試験化合物は典型的には、110℃又はそれ以下の温度で、AAPEコポリエステルのフィルムがコポリエステルの形のない塊に転化される4の値を有さなければならない。コポリエステル用の可塑剤のより効率的な溶剤特性を予測できる順序に関する試験化合物の等級分けは、7、次いで6、次いで5が観察される最低温度を確認することによって行うことができる。表Iは以下の通りである:
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
可塑剤としての効率に関する試験化合物の等級分けは、7、次いで6、次いで5の評点が観察される最低温度を確認することによって行うことができる。選択の優先傾向を変えることによって、コスト、健康及び安全性のような問題を検討することができる。前記試験法に基づくと、好ましい可塑剤は、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、燐酸トリブチル、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、燐酸トリクレジル、クロロパラフィン(Cl 60%又は50%)、コハク酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、ステアリン酸n−ブチル、アセチルトリエチルシトレート、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ−n−ブチル、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、オレイン酸メチル、フマル酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アゼライン酸ジメチル、エポキシ化アマニ油、グリセロールモノオレエート、メチルアセチルリシノレエート、n−ブチルアセチルリシノレエート、プロピレングリコールリシノレエート、ポリエチレングリコール200ジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、ブチルベンジルフタレート及びグリセロールトリアセテートを含む。好ましい可塑剤のうち、より好ましい可塑剤は、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、燐酸トリクレジル、クロロパラフィン(Cl 60%)、ポリエチレングリコール200ジベンゾエート、フタル酸ジ−n−ブチル及びグリセロールトリアセテートを含み、最も好ましい可塑剤は、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、ジエチレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジエチル、ブチルベンジルフタレート、コハク酸ジエチル及びクエン酸トリエチルを含む。
【0074】
前述のようにして評価され、かつ使用したAAPEに対する可塑剤有効量を有することが判明した可塑剤化合物を表IIに示す。これらの可塑剤化合物は相容性可塑化剤であり、有効性の降順で記載してある。溶解度はまた、Michael M.Coleman,John E.Graf及びPaul C.Painterによって彼らの著書”Specific Interactions and the Miscibility of Polymer Blends”に記載されたような溶解度パラメーターの測定値を用いて予測できる。溶解度値は試験における種々の可塑剤に関して確認された。溶解度値は、45モル%のテレフタル酸、55モル%のアジピン酸及び本質的に100モル%のブタンジオールからコポリエステルのAAPEに対して、10.17と確認された。一実施態様において、溶解度値は、本発明の相容性可塑剤に対して8.17〜12.17(cal/cc)1/2の溶解度値の範囲内であることが確認されることができる。
【0075】
各可塑剤の溶解度値と比較したColemanらによる実験データの評価は、溶剤/可塑剤がポリマーに関して確認された値の±2(cal/cc)1/2以内に含まれるならば、その溶剤/可塑剤はそのポリマーとある程度は相容性であることを示唆している。更に、可塑剤の溶解度値がAAPEコポリエステルの溶解度値に近いほど、相容性は大きいであろう。しかし、2つの分子が出会うときには多くの力が同時に働くため、特に、可塑剤/溶剤はポリマーの巨大分子に比べて極めて小さいため、また、単に、純粋には名前を挙げられる材料ではないものも若干あるため、溶解度パラメーターは絶対的でない。例えば、ジプロピレングリコールジベンゾエートの場合には、商業的に製造された材料は、あるレベルのジプロピレングリコールモノベンゾエート、プロピレングリコールジベンゾエート及びプロピレングリコールモノベンゾエート並びに複数のポリプロピレングリコール基の可能性を含むことがある。更に、Calemanらによって提示された研究を用いる不利点は、一部の可塑剤が、末端基、例えばヒドロキシル及び金属イオン並びに中心元素基、例えば、燐、硫黄、更に、彼らの研究による種々の溶解度寄与についてのデータに欠落があるために容易には数学的に表されることができない他の潜在的な中心元素を含むことである。従って、実験データは、より細かい尺度まで可塑化効率の可能性を示すことが必要である。
【0076】
【表4】

【0077】
【表5】

【0078】
本発明を、特にその好ましい実施態様に関して詳述したが、本発明の精神及び範囲内において変形及び変更が可能なことは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(1)芳香族ジカルボン酸残基約1〜65モル%と炭素数約4〜14の脂肪族ジカルボン酸残基及び炭素数約5〜15の脂環式ジカルボン酸残基からなる群から選ばれた非芳香族ジカルボン酸残基99〜約35モル%を含んでなる二酸残基(二酸残基の総モル%は100モル%に等しい);並びに
(2)炭素数約2〜8の1種又はそれ以上の脂肪族ジオール、炭素数約2〜8の1種又はそれ以上のポリアルキレンエーテル及び炭素数約4〜12の1種又はそれ以上の脂環式ジオールからなる群から選ばれたジオール残基(ジオール残基の総モル%は100モル%に等しい)
を含んでなる、約10℃未満のガラス転移温度を有するコポリエステル;及び
(B)可塑化有効量の1種又はそれ以上の相容性可塑剤
を含んでなるポリマー組成物。
【請求項2】
酸残基、アルコール残基、安息香酸エステル、フタル酸エステル、燐酸エステル又はイソフタル酸エステルからなる群から選ばれた1種又はそれ以上の可塑剤を含む請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記酸残基がフタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、安息香酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、酪酸、グルタル酸、クエン酸又は燐酸からなる群から選ばれた1種又はそれ以上の残基を含む請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記アルコール残基が炭素数1〜20の脂肪族、脂環式又は芳香族アルコールの1種又はそれ以上の残基を含む請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記アルコール残基が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール又はジエチレングリコールからなる群から選ばれた1種又はそれ以上の残基を含む請求項4に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記の1種又はそれ以上の可塑剤がN−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、燐酸トリブチル、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、燐酸トリクレジル、クロロパラフィン(塩素60%)、クロロパラフィン(塩素50%)、コハク酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、ステアリン酸n−ブチル、アセチルトリエチルシトレート、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ−n−ブチル、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、オレイン酸メチル、フマル酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アゼライン酸ジメチル、エポキシ化アマニ油、グリセロールモノオレエート、メチルアセチルリシノレエート、n−ブチルアセチルリシノレエート、プロピレングリコールリシノレエート、ポリエチレングリコール200ジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、ブチルベンジルフタレート又はグリセロールトリアセテートからなる群から選ばれる請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記可塑剤がN−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、燐酸トリブチル、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、燐酸トリクレジル、クロロパラフィン(塩素60%)、クロロパラフィン(塩素50%)、コハク酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、ステアリン酸n−ブチル、アセチルトリエチルシトレート、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ−n−ブチル、アゼライン酸ジメチル、ポリエチレングリコール200ジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、ブチルベンジルフタレート又はグリセロールトリアセテートからなる群から選ばれる請求項6に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記の1種又はそれ以上の可塑剤が、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、燐酸トリクレジル、クロロパラフィン(塩素60%)、クロロパラフィン(塩素50%)、コハク酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、ステアリン酸n−ブチル、ポリエチレングリコール200ジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル又はブチルベンジルフタレートからなる群から選ばれる請求項7に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記の1種又はそれ以上の可塑剤が、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、燐酸トリクレジル、クロロパラフィン(塩素60%)、ポリエチレングリコール200ジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル又はブチルベンジルフタレートからなる群から選ばれる請求項8に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記の1種又はそれ以上の可塑剤が、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、燐酸トリクレジル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル又はブチルベンジルフタレートからなる群から選ばれる請求項9に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
前記の1種又はそれ以上の可塑剤がN−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート又はフタル酸ジメチルからなる群から選ばれる請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
前記の1種又はそれ以上の可塑剤がジエチレングリコールジベンゾエートを含む請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
ポリエステル(A)がテレフタル酸、イソフタル酸又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
ポリエステル(A)が約25〜65モル%のテレフタル酸残基を含む請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
ポリエステル(A)が約35〜65モル%のテレフタル酸残基を含む請求項14に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
ポリエステル(A)が約40〜60モル%のテレフタル酸残基を含む請求項15に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
前記非芳香族ジカルボン酸残基がアジピン酸、グルタル酸又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
ポリエステル(A)がアジピン酸、グルタル酸又はそれらの混合物からなる群から選ばれた1種又はそれ以上の非芳香族ジカルボン酸を約75〜35モル%含む請求項17に記載のポリマー組成物。
【請求項19】
前記ポリエステル(A)がアジピン酸、グルタル酸又はそれらの混合物からなる群から選ばれた1種又はそれ以上の非芳香族ジカルボン酸を約65〜35モル%含む請求項18に記載のポリマー組成物。
【請求項20】
前記ポリエステル(A)がアジピン酸、グルタル酸又はそれらの2種若しくはそれ以上のジオール残基の組合せからなる群から選ばれた1種又はそれ以上の非芳香族ジカルボン酸を約40〜60モル%含む請求項19に記載のポリマー組成物。
【請求項21】
ポリエステル(A)の1種又はそれ以上のジオール残基がエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコール又はそれらの2種又はそれ以上のジオール残基の組合せからなる群から選ばれる請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項22】
ポリエステル(A)のジオール残基が脂肪族ジオール残基から本質的になる請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項23】
ポリエステル(A)が1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール又はそれらの2種若しくはそれ以上のジオール残基の組合せからなる群から選ばれた1種又はそれ以上のジオールを含む請求項22に記載のポリマー組成物。
【請求項24】
ポリエステル(A)が1,4−ブタンジオール、エチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール又はそれらの2種若しくはそれ以上のジオール残基の組合せからなる群から選ばれた1種又はそれ以上のジオールを含む請求項22に記載のポリマー組成物。
【請求項25】
ポリエステル(A)の前記ジオール残基が1,4−ブタンジオールを含む請求項24に記載のポリマー組成物。
【請求項26】
ポリエステル(A)が、約80〜100モル%の1,4−ブタンジオールを更に含んでなるジオール残基を含み、ジオール残基の総モル%が100モル%に等しい請求項25に記載のポリマー組成物。
【請求項27】
ポリエステル(A)の前記二酸及びジオール残基が、
(1)約25〜65モル%のテレフタル酸残基及び75〜約35モル%の非芳香族ジカルボン酸残基を含む芳香族ジカルボン酸残基;並びに
(2)脂肪族ジオールからなるジオール残基
から本質的になる請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項28】
ポリエステル(A)の前記二酸及びジオール残基が、
(1)約25〜65モル%のテレフタル酸残基及び75〜約35モル%のアジピン酸残基、グルタル酸残基又はアジピン酸残基とグルタル酸残基との組合せを含む芳香族ジカルボン酸残基;並びに
(2)1,4−ブタンジオールからなるジオール残基
から本質的になる請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項29】
ポリエステル(A)の前記二酸及びジオール残基が、
(1)約35〜65モル%のテレフタル酸残基及び65〜約35モル%のアジピン酸残基、グルタル酸残基又はアジピン酸残基とグルタル酸残基との組合せを含む芳香族ジカルボン酸残基;並びに
(2)1,4−ブタンジオールからなるジオール残基
から本質的になる請求項28に記載のポリマー組成物。
【請求項30】
ポリエステル(A)の前記二酸及びジオール残基が、
(1)約40〜60モル%のテレフタル酸残基及び60〜約40モル%のアジピン酸残基、グルタル酸残基又はアジピン酸残基とグルタル酸残基との組合せを含む芳香族ジカルボン酸残基;並びに
(2)1,4−ブタンジオールからなるジオール残基
から本質的になる請求項29に記載のポリマー組成物。
【請求項31】
ポリエステル(A)がフェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%からなる溶剤100mL当たりポリマー0.50gを用いて25℃において測定されたインヘレント粘度(I.V.)が約0.4〜2.0dL/gである請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項32】
前記可塑剤の総重量%が約5〜40重量%であり且つポリエステル(A)の重量%が約95〜60重量%であり、前記可塑剤と前記ポリエステル(A)との総重量%が100重量%に等しい請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項33】
前記可塑剤の総重量%が約5〜20重量%であり且つポリエステル(A)の重量%が約80〜95重量%であり、前記可塑剤と前記ポリエステル(A)との総重量%が100重量%に等しい請求項32に記載のポリマー組成物。
【請求項34】
前記ポリエステル(A)が、成分(A)と(B)との重量に基づき、約0〜0.5重量%の元素燐濃度を生じる1種又はそれ以上の燐触媒失活剤を更に含んでなる成分(C)を含む請求項33に記載のポリマー組成物。
【請求項35】
ポリエステル(A)が、ポリエステル(A)の総重量に基づき、約0.01〜約10.0重量%を構成する1種又はそれ以上の分岐剤を含む請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項36】
ポリエステル(A)の総重量に基づき、約0.05〜約5重量%を構成する1種又はそれ以上の分岐剤を含む請求項35に記載のポリマー組成物。
【請求項37】
前記分岐剤が3個又はそれ以上のカルボキシル置換基、ヒドロキシル置換基又はそれらの組合せを有するモノマーの1種又はそれ以上の残基を含む請求項36に記載のポリマー組成物。
【請求項38】
前記分岐剤がトリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、グリセロール、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン又はトリメシン酸のうち1種又はそれ以上の残基を含む請求項37に記載のポリマー組成物。
【請求項39】
前記ポリマー組成物の総重量に基づき、約5〜約40重量%の難燃剤を含む請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項40】
燐を基材とする化合物からなる群から選ばれた1種又はそれ以上の難燃剤を含む請求項39に記載のポリマー組成物。
【請求項41】
燐酸の1種又はそれ以上のモノエステル、ジエステル又はトリエステルを含む請求項40に記載のポリマー組成物。
【請求項42】
請求項1に記載のポリマー組成物の押出又はカレンダー加工又は射出成形の工程を含むフィルム又はシート又は成形品の製造方法。
【請求項43】
請求項1に記載のポリマー組成物を含んでなるフィルム又はシート又は成形品。
【請求項44】
前記フィルム又はシートが押出又はカレンダー加工によって製造された請求項42に記載のフィルム又はシート又は成形品。
【請求項45】
請求項1に記載のポリマー組成物を含んでなる成形品。
【請求項46】
前記可塑剤の溶解度がポリエステル自体の溶解度値の±2(cal/cc)1/2の範囲内に入る請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項47】
前記可塑剤の溶解度がポリエステル自体の溶解度値の±1.5(cal/cc)1/2の範囲内に入る請求項46に記載のポリマー組成物。
【請求項48】
前記可塑剤の溶解度がポリエステル自体の溶解度値の±1(cal/cc)1/2の範囲内に入る請求項47に記載のポリマー組成物。
【請求項49】
ポリエステル(A)がテレフタル酸残基を45モル%、アジピン酸を55モル%及び1,4−ブタンジオールを本質的に100モル%含むコポリエステルであり、前記可塑剤の溶解度が8.17〜12.17(cal/cc)1/2の溶解度値範囲内に入る請求項1に記載のポリマー組成物。

【公表番号】特表2007−515545(P2007−515545A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547160(P2006−547160)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/042438
【国際公開番号】WO2005/063868
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】