説明

ポリエチレン微細多孔膜

【課題】分子量増加による問題を改善する同時に電池用微細多孔膜でも使うことができる優秀な物性及び均一な空隙構造を持つ高密度ポリエチレン微細多孔膜を提供する。
【解決手段】重量平均分子量が2×10〜5×10であり、分子量が1×10以下の分子の含有量が5重量%以下の高密度ポリエチレンで構成され、引張強度が横方向及び縦方向でそれぞれ1,100kg/cm以上、穿孔強度が0.22N/μm以上、気体透過度(Darcy's permeability constant)が1.3×10−5ダーシー(Darcy)以上で収縮率が縦方向及び横方向にそれぞれ5%以下の特性を持つポリエチレン微細多孔膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高密度ポリエチレン微細多孔膜に関する。より詳しくは圧出混錬性及び延伸性が優秀だけではなく高い生産性を持って、これを使う電池の性能と安全性を高めることができる高密度ポリエチレン微細多孔膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン微細多孔膜(microporous film)はその化学的安全性と優秀な物性で各種電池用隔離膜(battery separator)、分離用フィルター及び微細濾過用分離膜(membrane)などで幅広く利用されている。
【0003】
ポリオレフィンから微細多孔膜を作る方法は大きく三種類で分類される。一番目はポリオレフィンを薄い纎維(thin fiber)で作って不織布(non woven fabric)形態で微細多孔膜を作る方法であり、二番目は厚いポリオレフィンフィルムを作った後、低温で延伸してポリオレフィンの結晶部分である薄板(lamella)の間に微細クラック(micro crack)を誘発させて微細空隙を形成させる乾式法である。三番目はポリオレフィンを高温で希釈液と混錬して単一相を作って冷却過程でポリオレフィンと希釈液を相分離させた後、希釈液部分を抽出させてポリオレフィンに空隙を作る湿式法である。
【0004】
この中、三番目の湿式法は他の二つの方法と比べてフィルムの厚さが薄くて均一である薄膜のフィルムを作ることができ、物性も優秀でリチウムイオン電池など2次電池の隔離膜用で幅広く使われている。
【0005】
湿式法による一般的な多孔性フィルムの製造方法としはアメリカ特許第4,247,498号に記載されている。この特許にはポリエチレンとこれと合う混成液状化合物(compatible liquid)を使って、これら混合物を高温で混合して熱力学的単一相溶液を作った後、これを冷却させて冷却過程でポリエチレンと混成溶媒を固体/液体又は液体/液体で相分離させて、これを利用してポリオレフィン多孔膜を製造する技術が記載されている。
【0006】
アメリカ特許第4,335,193号にはポリオレフィンにジオクチルフタレート(dioctylphthalate)、液状パラフィン(liquid paraffin)などの有機液状化合物(organic liquid)と無機物(inorganic filler)を添加し加工した後、有機液状化合物と無機物をとり除いてポリオレフィン多孔膜を製造する技術が記述されており、これらの技術はアメリカ特許第5,641,565号等にも記述されている。
【0007】
しかし、このような方法はシリカなどの無機物を使うので無機物投入及び混錬過程が難しくて、後工程でこれを抽出およびとり除くための工程が加えられて工程が複雑になる共に延伸比を高めにくい短所がある。
【0008】
アメリカ特許第4,539,256号にもポリエチレンと混成液状化合物を圧出加工し延伸した後、抽出して微細多孔フィルムを作る基本的な方法が記載されている。
【0009】
二次電池の本格使用と共に、微細多孔膜の生産性とフィルムの特性を向上させるための努力が持続的に成り立って来た。代表的に重量平均分子量100万程度の超高分子量ポリオレフィン(UHMWPO)を使うとか、混合して組成物の分子量を高めて多孔膜の強度を高める方法がある。
【0010】
これと関連して、アメリカ特許第4,588,633号及び第4,873,034号に重量平均分子量50万以上のポリオレフィンとポリオレフィンを高温で溶かす事ができる溶媒を使って、2段階の溶媒抽出過程と延伸過程を通じて微細多孔膜を作る工程が紹介されている。しかし、この方法は超高分子量ポリオレフィンの短所である溶媒との混錬性及び圧出性を向上させるために圧出過程で過量の溶媒を使ってこれを1段階抽出して延伸した後に再び抽出する段階を経る。
【0011】
アメリカ特許第5,051,183号には重量平均分子量70万以上の超高分子量ポリオレフィンを1%以上含有したポリオレフィン10〜50重量%とミネラルオイルなどの溶媒を90〜50重量%含有し、多分散指数(重量平均分子量/数平均分子量)が10〜300である組成物を使ったポリエチレン微細多孔膜が紹介されている。空隙を形成する方法は前記組成物を圧出してゲル状のシーツを作って、組成物の融点と融点+10℃の間の温度で延伸した後、溶媒を抽出して多孔膜を形成するのである。
【0012】
しかし、この方法は超高分子量ポリオレフィンを混合することと同時に分子量分布が広くなって分子量が大きいポリオレフィンを過糧含むようになる。このようになればこれらの分子による絡み合い(chain entanglement)がひどく発生して延伸性が非常に落ちるようになる。即ち、高延伸比及び早い延伸速度での破断や低延伸比での未延伸現象が発生することになる。
【0013】
これを解決する方法は延伸温度を高めて延伸の時組成物を軟質性(soft)で作るとか延伸速度を延ばして組成物の温度を高めることと同一な効果を得るのである。しかし、このようにすれば逆に延伸の時、樹脂の配列(orientation)が少なくなって延伸効果が落ちて最終多孔膜の物性が低下する問題が起こる。
【0014】
また、分子量分布が広い樹脂で作られたフィルムは分子量分布が狭い樹脂で作られたフィルムと比べて分子量が小さい分子たちによる欠点(defect)が多く存在することになり、これによって衝撃強度(impact strength)、穿孔強度(puncture strength)などが低下する短所がある。
【0015】
このような現象は微細多孔膜フィルムでも例外ではなくて、分子量分布が広くなれば微細多孔膜フィルムの一番重要な物性の中ひとつの穿孔強度が充分に高くならない。即ち、物性向上のために添加された超高分子量ポリオレフィンの効果が充分に現われなくなるのである。このような問題点は類似の技術である日本特開平06‐234876号、06‐212006号及びアメリカ特許第5,786,396号などにも存在する。
【0016】
一方、日本特開平09-3228号でもこれと類似の樹脂造成が使われており、縦方向(MD)及び横方向(TD)の延伸比均衡を合わせて物性を補完する方法が紹介されてある。
【0017】
日本特開平09-259858号ではポリエチレン微細多孔膜のシャットダウン(shutdown)温度(電池の異常作動で電池内部の温度が上がる場合発火、爆発などの事故を防止するために多孔膜が溶融されて空隙を阻んで電流の流れを阻んでくれる温度)を低めるために重量平均分子量が50万以上のポリエチレン70〜99重量%と重量平均分子量が1,000〜4,000である低分子量ポリエチレン1〜30重量%になった樹脂組成物10〜80重量%と溶媒20〜90重量%の溶液を製造してダイで圧出して冷凍させてゲル状組成物を作って延伸後残存溶媒を抽出する方法が紹介されている。
【0018】
この技術では重量平均分子量が1,000〜4,000である低分子量ポリエチレンを使ってシャットダウン温度を低めることを特徴としている。しかし、この技術にも二つの問題が存在する。
【0019】
即ち、低分子量分子の追加で分子量が低くなって分子量分布が広くなるので物性が低下する。実施例にこのような技術で製造されたポリエチレン多孔膜の引張強度は1,000〜1,200kg/cm程度で比較的に低い水準であることを示した。
【0020】
また、ポリオレフィンと希釈液あるいは溶媒を混練する過程は高い技術を要する。商業的には二軸圧出器(twin screw extruder)、混練器(kneader)及びバンバリーミキサー(banbury mixer)などが使われる。
【0021】
前述した技術のように粘度が大きく違う(重量平均分子量が50万以上の超高分子ポリエチレンと重量平均分子量が1,000〜4,000である低分子量ポリエチレン)樹脂を溶媒と一緒に混合する場合、樹脂/溶媒の間の混練問題だけでなく、分子量が違う(溶融状態の粘度が大きく違う)二つの樹脂間の混練問題も発生する。
【0022】
この場合最終フィルムにファインゲル(fine gel又はfish eye)が発生してフィルムの質が落ちることもある。これを解決する方法は溶融物の圧出器内滞留時間をふやす方法があるが、生産性が落ちる短所がある。
【0023】
アメリカ特許第5,830,554号には分子量分布が広い樹脂から発生する物性及び延伸性低下問題などを解決するために、重量平均分子量が50万から2百50万の間であり、重量平均分子量と数平均分子量の比が10以下の樹脂を5〜50重量%含む溶液を圧出‐延伸-抽出してポリオレフィン微細多孔膜を作る方法が記載されている。
【0024】
この方法は超高分子量樹脂の圧出で発生する粘度増加による圧出バラ付き問題を解決するために多量の溶媒を使い(望ましくは80〜90重量%)、従って空隙度が高くなって、多孔性フィルムの引張強度が800kg/cm以上(実施例950-1200kg/cm)で物性が大きく向上されなかった。
【0025】
アメリカ特許第6,566,012号でも重量平均分子量が50万以上の超高分子量ポリオレフィンや重量平均分子量が50万以上の超高分子量ポリオレフィンを含む樹脂組成物10〜40重量%と90〜60重量%の溶媒を圧出‐成形‐延伸‐抽出‐熱固定して電池用分離膜に適合なポリオレフィン微細多孔膜を製造する方法が記載されている。
【0026】
前述したように前記従来技術は物性を増加させるために分子量が大きい樹脂を使ったが、使用樹脂の分子量の増加は付加的に圧出負荷増大、溶媒との圧出混錬性低下、延伸時の延伸の負荷増加、未延伸発生、延伸速度及び延伸比減少による生産性低下などの問題を誘発させることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
ここで本発明者たちは前述したような従来技術の問題点を解決するために幅広く研究を繰り返えした結果、ポリエチレンに含まれている低分子量ポリエチレン分子の含有量を特定含有量以下で調節することでポリエチレンに欠点が形成されることを防止することができるという事実に着目して本発明を完成した。
【0028】
従って、本発明の目的は分子量増加による問題を改善する同時に電池用微細多孔膜でも使うことができる優秀な物性及び均一な空隙構造を持つ高密度ポリエチレン微細多孔膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
前記目的を果たすための本発明によるポリエチレン微細多孔膜は分子量が1×10以下である分子の含有量が5重量%以下である重量平均分子量2×10〜5×10の高密度ポリエチレン(成分I)20〜50重量%と希釈液(成分II)80〜50重量%で成り立った組成物から製造されて、引張強度が横方向及び縦方向でそれぞれ1,100kg/cm以上、穿孔強度が0.22N/μm以上、気体透過度(Darcy's permeability constant)が1.3×10−5ダーシー(Darcy)以上であり収縮率が横方向及び縦方向にそれぞれ5%以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
下記実施例のように、本発明の高密度ポリエチレン微細多孔膜は圧出及び延伸が容易で安定した製品生産で生産性を高めることができ、生産された製品は気体透過度が高くてなおかつ引張強度及び穿孔強度が優秀で収縮率も少ないので電池用セパレーター及び各種フィルターで有効に使われることができる。本発明の単純な変形ないし変更はすべて本発明の領域に属することで本発明の具体的な保護範囲は特許請求の範囲によって明確になるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を次のようにもっと詳しく説明する。前述したように、本発明は、分子量増加による問題を改善する同時に電池用微細多孔膜に適用できるように圧出混錬性及び延伸性が優秀な高密度ポリエチレン微細多孔膜を提供する。本発明で使われるポリエチレンからポリエチレン微細多孔膜を作る基本理論は次のようになる。ポリエチレンと類似な分子構造を持つ低分子量有機物質(以下、希釈液だとする)はポリエチレンが溶ける高温でポリエチレンと熱力学的単一相(single phase)を形成する。これら熱力学的単一相を成したポリエチレンと希釈液溶液を常温で冷凍させれば冷却過程でポリエチレンと希釈液の相分離が起こる。
【0032】
相分離される各相は、ポリエチレンの結晶部分である薄板(lamella)を中心に成り立ったポリエチレン多含有相(polyethylene rich phase)と、常温でも希釈液にとけてある少量のポリエチレンと希釈液で成り立った希釈液多含有相(diluent rich phase)で成り立つ。冷却後希釈液を有機溶剤で抽出すればポリエチレン多孔膜が作られるようになるのである。
【0033】
従って、微細多孔膜の基本構造は相分離過程で決まる。即ち、相分離後作られた希釈液多含有相の大きさ及び構造によって最終的に微細多孔膜の空隙大きさ及び構造が決まることになる。また、微細多孔膜の基本物性は希釈液が抽出される過程から作られるポリエチレンの結晶構造に影響を受ける。
【0034】
本発明者たちの研究結果、次のような事実を見つけた。即ち、優秀な微細多孔膜を作るためには希釈液多含有相にできるだけ少ない量のポリエチレンが存在しなければならないし希釈液が抽出される過程でポリエチレンに欠点が作られてはいけないというのであり、これに最大の影響を与えることはポリエチレンに含まれている低分子量ポリエチレン分子である。
【0035】
これを基にして低分子量物質が少ないポリエチレンを使って製品を生産した結果、従来の発明より分子量が小さな樹脂でも優秀な物性及び均一な空隙構造を持つポリエチレン微細多孔膜を作ることができ、加工性も大きく向上された。
【0036】
本発明による高密度ポリエチレン微細多孔膜は重量平均分子量が2×10〜5×10であり、分子量が1×10以下である分子の含有量が5重量%以下である高密度ポリエチレン(成分I)20〜50重量%と希釈液(成分II)80〜50重量%の造成物で成り立った造成物を溶融圧出してシーツ(sheet)形態の成形物を作った後、これを延伸してフィルムを作って希釈液を抽出した後、乾燥及び熱固定して製造される。
【0037】
特に、本発明の高密度ポリエチレン微細多孔膜は引張強度が横方向及び縦方向でそれぞれ1,100kg/cm以上、穿孔強盗が0.22N/μm以上、気体透過度(Darcy's permeability constant)が1.3×10−5ダーシー(Darcy)以上、収縮率が横方向及び縦方向でそれぞれ5%以下であることを特徴とする。
【0038】
一般的に、商業的に使われるポリエチレンは必ず分子量分布が存在して、重量平均分子量が1×10を超えるポリエチレンにも分子量が数千である分子が一部存在する。商業的にポリエチレンの一般的用途であるブローンフィルムとブローモールディングなどの用途では低分子量分子たちは分子量が大きい樹脂の加工性を向上させる役割をするからこれら低分子量物質はポリエチレン生産工程中意図的に作られて来た。
【0039】
しかし、ポリエチレン微細多孔膜を作る工程ではこれら低分子量物質はポリエチレン多含有相でポリエチレン結晶部分である薄板の完成度を落として、薄板の間を連結してくれるタイ分子(Tie molecule)の数を落としてポリエチレン全体の強度を低下させるようになる。
【0040】
また、希釈液と親和力が高くて希釈液多含有相に多く存在するようになって抽出後空隙の界面(interface)部分に存在するようになり、これは空隙の界面を不完全にさせて空隙度を落とす要因として作用する。このような現象は分子量1×10以下の分子で現われて、その含有量が5重量%を超過する時に現われる。
【0041】
従来技術で通常的に使われるポリエチレン微細多孔膜の素材はいろんな種類のポリエチレン(低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等)とポリプロピレンなどがある。
【0042】
しかし、高密度ポリエチレンを除いたポリエチレンとポリプロピレンの場合はポリマーの構造規則性(structural regularity)を落として樹脂自体結晶部分の薄板完成度を下げて厚さを薄くする。また、重合反応中コモノマーが存在するようになれば、コモノマーの反応性がエチレン対比落ちるので低分子量の分子がたくさん生産されることになる。
【0043】
従って、本発明で使われる高密度ポリエチレンは重量平均分子量が2×10〜5×10で、分子量が1×10以下の分子の含有量が5重量%以下である。
【0044】
また、前記高密度ポリエチレンは望ましくはコモノマーの含有量が2重量%以下であるのが良い。前記コモノマーにプロピレン、ブテン‐1、ヘキセン‐1、4‐メチルペンテン‐1、オクテン‐1などのアルファオレフィンが使われることができるが、より望ましくは反応性が相対的に高いプロピレン、ブテン‐1、ヘキセン‐1又は4‐メチルペンテン‐1が適当である。
【0045】
一方、多孔膜の最終物性のためには分子量が大きい高密度ポリエチレンを使った方が良いが、分子量が大きい場合、圧出過程で粘度増加による圧出器の負荷増加、希釈液との大きい粘度差による混錬性低下が発生されて、圧出されるシーツの表面形状も荒くなる。
【0046】
これを解決する方法は圧出温度を高めるとかスクリューコンパウンドのスクリュー構造(screw configuration)をせん断率(shear rate)が高くなるようにすることや、この場合樹脂の烈火(deterioration)が発生され物性が減少される。
【0047】
また、樹脂の分子量増加は分子間の練れ増加によってシーツの強制が増加してこれによって延伸負荷が増加してシーツを固定するクリップ(clip)ですべりが発生することがある。また、シーツの強度増加によって低延伸比で未延伸が発生することがある。しかし、延伸比の増加は生産される微細多孔膜の収縮率が高くなって延伸器クリップの負荷も増加するので大きく高めることは難しい。
【0048】
これを解決する方法は延伸温度を高めて延伸シーツを軟質性で作るとか延伸速度を遅くして組成物の温度を高めることと同一な効果を得るのである。しかし、このようにすれば、逆に延伸樹脂の配列(orientation)が少なくなり延伸効果が落ちて最終多孔膜の物性が低下する問題が起こる。延伸速度の減少は生産性も低下させるので望ましくない。
【0049】
従って、本発明では前記高密度ポリエチレンの低分子量部分が充分少ない、即ち分子量1×10以下である部分が5重量%以下の高密度ポリエチレンを使う場合、重量平均分子量が5×10以下でも電池用分離膜などに使われるように十分な物性を持つことができることを分かった。
【0050】
ここで、前記高密度ポリエチレンの重量平均分子量が2×10未満では十分な物性を持つことができないので、本発明で使われる高密度ポリエチレンは2×10〜5×10の重量平均分子量を持つのが選択される。
【0051】
このような分子量と分子量分布を持つ高密度ポリエチレンは延伸性も優秀で低倍率延伸でも優秀な空隙構造を持って、延伸クリップの負荷が少ないので延伸しやすくなって生産性も増大される。
【0052】
本発明で使われる希釈液は圧出加工温度で樹脂と単一相を成すすべての有機液状化合物(organic liquid)が可能である。その例としてノナン(nonane)、デカン(decane)、デカリン(decalin)、パラフィンオイル(paraffin oil)などの脂肪族(aliphatic)あるいは環形炭化水素(cyclic hydrocarbon)とフタル酸ジブチル(dibutyl phthalate)、フタル酸ジオクチル(dioctyl phthalate)などのフタル酸エステル(phthalic acid ester)がある。
【0053】
望ましくは人体に無害であり、沸騰点が高くて、揮発成分が少ないパラフィンオイルが適当であり、さらに望ましくは40℃での動粘度(kinetic viscosity)が20〜200cStであるパラフィンオイルが適当である。
【0054】
パラフィンオイルの動粘度が200cStを超過すれば圧出工程での動粘度が高くて負荷上昇、シーツ及びフィルムの表面不良などの問題が発生することがあり、抽出工程では抽出が難しくなり、生産性が落ち、残留するオイルによる透過度の減少などの問題が発生することもある。パラフィンオイルの動粘度が20cSt未満なら圧出器内で溶融ポリエチレンとの粘度差によって圧出加工の時混錬が難しくなる。
【0055】
使われる高密度ポリエチレンと希釈液の造成は高密度ポリエチレンが20〜50重量%で希釈液が80〜50重量%であるのが望ましい。前記高密度ポリエチレンの含有量が50重量%を超過すれば(即ち、希釈液が50重量%未満であれば)空隙度が減少して空隙の大きさが小さくなるので、空隙の間の相互連結(interconnection)が少なくなって透過度が大きく落ちる事になる。
【0056】
一方、前記高密度ポリエチレンの含有量が20重量%未満であれば(即ち、希釈液が80重量%を超過すれば)ポリエチレンと希釈液の混錬性が低下されポリエチレンが希釈液に熱力学的に混錬できなくなってゲル形態に圧出されて延伸の時、破断及び厚さのバラ付きなどの問題を起こすことになる。
【0057】
前記組成物には必要な場合酸化安定剤、UV安定剤、帯電防止剤など特定機能向上のための一般的添加剤などがさらに添加されることもある。
【0058】
前記組成物は希釈液とポリエチレンとの混錬のためにデザインされた二軸コンパウンド、混錬器あるいはバンバリーミキサー(banbury mixer)などを利用して溶融圧出してシーツ形態の成形物を作る。ポリエチレンとオイルは事前にブルレンディングされコンパウンドに投入されるとか分離された供給器(feeder)からそれぞれ投入されることができる。溶融物からシーツ形態の成形物を作る方法には一般的にキャスティング(casting)又はカレンティング(calendaring)などの方法が使われている。
【0059】
次に、延伸過程はテンタータイプ(tenter type)の同時延伸で行われるのが望ましい。ロールタイプ(roll type)の延伸は延伸過程でフィルム表面に傷ができるなどの欠点がある。ここで延伸比は縦方向、横方向それぞれ3倍以上であり、総延伸比は25〜50倍であるのが望ましい。
【0060】
片方方向の延伸比が3倍未満の場合は片方方向の配向が十分ではなくて同時に縦方向及び横方向間の物性均衡が割れて引張強度及び穿孔強度などが低下されることになる。また、総延伸比が25倍未満であれば未延伸が発生して、50倍を超過すると延伸中に破断が発生する可能性が高くて、最終的にフィルムの収縮率が増加する短所がある。
【0061】
この時、前記延伸温度は使われたポリエチレンの融点と希釈液の濃度及び種類によって変わる。最適延伸温度は前記フィルム成形物内のポリエチレン結晶部分の30〜80重量%が溶ける温度範囲で選択されることが望ましい。
【0062】
前記延伸温度が前記フィルム成形物内ポリエチレンの結晶部分の30重量%が溶ける温度より低い温度範囲で選択されればフィルムの延伸性(softness)がないので、延伸の時破断が発生する可能性が高い同時に未延伸も発生する。
【0063】
一方、前記延伸温度が結晶部分の80重量%が溶ける温度より高い温度範囲で選択されれば延伸し易くて未延伸発生は少ないが、部分的な過延伸で厚さ偏差が発生して、樹脂の配向効果が少なくなり物性が大きく落ちるようになる。一方、温度による結晶部分の溶ける程度はフィルム成形物の示差走査熱量計(DSC、differencial scanning calorimetry)分析から得られることができる。
【0064】
このように延伸されたフィルムは有機溶媒を使って抽出及び乾燥する。本発明で使用可能な有機溶媒は特別に限定されずに樹脂圧出に使われた希釈液を抽出し出すことができるどんな溶剤でも使用可能だが、望ましくは抽出効率が高くて乾燥が早いメチルエチルケトン、メチレンクロライド、ヘキサンなどが望ましい。
【0065】
抽出方法は沈積(immersion)方法、溶剤スプレー(solvent spray)方法及び超音波(ultrasonic)法などの一般的なすべての溶媒抽出方法がそれぞれあるいは複合的に使われることができる。抽出の時、残留希釈液の含有量は1重量%以下でなければならない。残留希釈液が1重量%を超過すれば物性が低下されてフィルムの透過度が減少する。
【0066】
残留希釈液の量(抽出率)は抽出温度と抽出時間によって大きく左右される。抽出温度は希釈液と溶剤の溶解度増加のために温度が高いのが良いが溶剤の沸騰(boiling)による安全性問題を考慮すれば40℃以下が望ましい。
【0067】
抽出温度が希釈液の凝固点以下ならば抽出効率が大きく落ちるので希釈液の凝固点よりは必ず高くなければならない。抽出時間は生産されるフィルムの厚さによって違うが、10〜30μm厚さの一般的な微細多孔膜を生産する場合には2〜4分が適当である。
【0068】
乾燥されたフィルムは最後に残留応力をとり除いて最終フィルムの収縮率を減少させるために熱固定段階を経る。熱固定はフィルムを固定させ熱を加えて、収縮しようとするフィルムを強制で取ることによって残留応力をとり除くことになる。熱固定温度は高い方が収縮率を低めることに有利だが、過度に高い場合にはフィルムが部分的にとけて形成された微細多孔が塞がって透過度が低下されることになる。
【0069】
望ましい熱固定温度はフィルムの結晶部分の10〜30重量%が溶ける温度範囲で選択されることが望ましい。前記熱固定温度が前記フィルムの結晶部分の10重量%が溶ける温度より低い温度範囲内で選択されればフィルム内ポリエチレン分子の再配列(reorientation)の不備でフィルムの残留応力除去効果がなく、フィルムの結晶部分の30重量%が溶ける温度より高い温度範囲で選択されれば部分的溶融によって微細多孔が塞がって透過度が低下されることになる。
【0070】
ここで、熱固定時間は熱固定温度が高い場合には逆に短くしなければならないし、熱固定温度が低い場合には長くすることができる。一番望ましくは、フィルムの結晶部分の10〜20重量%が溶ける温度範囲では5分から20分、20〜30重量%が溶ける温度範囲では1分から5分位が適当である。
【0071】
前述したように製造された本発明の高密度ポリエチレン微細多孔膜は次のような物性を持つ。
(1)引張強度が横方向及び縦方向でそれぞれ1,100kg/cm以上である。
引張強度が1,100kg/cm未満である場合は微細多孔膜使用過程で多孔膜の破断が発生することがある。特に電池用セパレーターに使われる場合高速の電池組み立て過程で加えられるテンションによって多孔膜の破断が発生する。本発明によるポリエチレン微細多孔膜は引張強度が1,100kg/cm以上で組み立て過程での破断を最小化することができる。
【0072】
(2)穿孔強度が0.22N/μm以上である。
穿孔強度はシャープな物質に対するフィルムの強度を現わすことで、電池用セパレーターに使われる場合穿孔強度が十分でなければ電極の表面異常や電池使用中に発生するデンドライト(dendrite)によってフィルムが破れて短絡(short)が発生する。
商業的に使われる電池用セパレーターは破断点の重さが350g以下である場合、短絡による安全性が問題になる。本発明による穿孔強度が0.22N/μmを超えるフィルムは、現在商業的に広く使われているセパレーターフィルムの中で一番薄い16μm厚さのフィルムが使われる場合、破断点の重さが350g以上なので安全に使われることができる。
【0073】
(3)気体透過度(Darcy´s permeability constant)が1.3×10−5ダーシー(Darcy)以上である。
気体透過度が1.3×10−5ダーシー以下である場合は多孔膜としての効率が大きく落ちることになる。特に気体透過度が1.3×10−5ダーシーを超えなければ、電池用セパレーターとして使われる場合電池の充放電特性が悪くなって寿命が短くなる。本発明による気体透過度が1.3×10−5ダーシー以上のフィルムは電池の高効率充放電など充放電特性と低温特性及び寿命が優秀である。
【0074】
(4)収縮率が横方向及び縦方向にそれぞれ5%以下である。
収縮率はフィルムを105℃で10分間放置した後測定することで、収縮率が高ければ高温の用途では使うことができなくなる。特に、電池用セパレーターの場合、収縮率が5%を超えれば電池自体の発熱によってセパレーターが収縮されて電極がお互いに触れ合うようになって短絡が発生することになる。
【0075】
本発明によるフィルムは収縮率が横方向及び縦方向それぞれ5%以下で電池用セパレーターとして安全に使われることができる。このような物性的特性外にも本発明の高密度ポリエチレン微細多孔膜は圧出混錬性及び延伸性が優秀である。
【0076】
以下、次のような実施例を通じて本発明をもっと具体的に説明するがこの実施例に本発明の範囲が限定されることではない。
【0077】
[実施例]
ポリエチレンの分子量及び分子量分布の測定はポリマーラブ(Polymer Lab.)社の高温GPC(Gel Permeation Chromatography)で測定された。そして希釈液の粘度はキヤノン社のCAV−4自動粘度計(Automatic Viscometer)で測定した。
【0078】
ポリエチレンと希釈液はφ=30mmである二軸コンパウンダーで混錬された。圧出温度は160〜240℃であり、残留時間(residence time)は3分だった。圧出された溶融物はT字形ダイで圧出物をキャスティングロ−ル(casting roll)によって厚さ600〜1200μmのシーツに成形され、これらを延伸に使った。
【0079】
溶融及び混錬不良によるゲルの存在可否を分かるために200μm厚さのフィルムを別に製作して2000cm面積中のゲルの数を数えた。微細多孔膜の品質に影響を与えないためには2000cm当りゲルの数が50個以下でなければならない。
【0080】
成形されたシーツは温度による結晶部分が溶ける現象を分析するために示差走査熱量計(DSC)分析を行った。分析条件は試料の重さが5mg、スキャニング速度(scanning rate)が10℃/minであった。
【0081】
シーツの延伸はテンタータイプのラブ延伸器(lab. Stretcher)から延伸比、延伸温度、延伸速度を変化させて同時延伸で行われた。延伸温度は示差走査熱量計(DSC)の結果を参考してフィルム成形物内のポリエチレン結晶部分の30〜80重量%が溶ける温度範囲で決めた。
【0082】
5枚のシーツを延伸してクリップでのすべり及び延伸破断が発生しない延伸成功率性を測定した。希釈液の抽出はメチレンクロライドを使って沈積方法で実施した。熱固定は希釈液が抽出されたフィルムを空気中で乾燥させた後、フィルムをフレームに固定させて熱風オーブン(convection oven)で温度と時間を変化させながら実施した。
【0083】
製造されたフィルムは微細多孔膜で一番重要な物性である引張強度、穿孔強度、気体透過度及び収縮率を測定して、その結果を下記の表1に示した。
※物性測定方法
(1)引張強度はASTM D882で測定された。
(2)穿孔強度は直径0.5mmのピンが120mm/minの速度でフィルムを破断させる時の強度として測定された。
(3)気体透過度は空隙測定機(porometer:PMI社のCFP‐1500‐AEL)で測定された。一般的に気体透過度はGurley numberで表示されるが、Gurley numberはフィルム厚さの影響が補正されてないのでフィルム自らの空隙構造による相対的透過度が分かりにくい。これを解決するために本発明ではDarcy's透過度定数を使った。Darcy's透過度定数は下記の数学式1から得られる。本発明では窒素を使った。
(数1)
C=(8FTV)/(πD(P−1))
ここでC=Darcy's透過度定数、F=流速、T=試料厚さ、V=気体の粘度(0.185 for N)、D=試料直径、P=圧力。本発明では100〜200psi領域でDarcy's透過度定数の平均値を使った。
(4)収縮率はフィルムを105℃で10分間放置した後縦方向及び横方向の収縮率を%で測定した。
【0084】
[実施例1]
成分Iで重量平均分子量が3.0×10であり、分子量が10以下の分子の含有量が4.2重量%で、コモノマーが含まれてない高密度ポリエチレンが使われた。成分IIでは40℃動粘度が95cStであるパラフィンオイルが使われた。成分Iと成分IIの含有量はそれぞれ30重量%、70重量%だった。
【0085】
延伸はポリエチレンの結晶部分が30%溶ける温度である115℃で、延伸比36倍(縦方向×横方向=6×6)、延伸速度2.0m/minで成り立った。希釈液が抽出されたフィルムは空気中の乾燥過程を経った後、フレームに固定してフィルムの結晶部分が20重量%溶ける温度である120℃で15分間熱固定された。得られた最終フィルムの厚さは20±2μmであった。
【0086】
[実施例2]
成分Iで重量平均分子量が4.0×10であり、分子量が10以下の分子の含有量が3.9重量%で、コモノマーでブテン‐1が0.5重量%使われた高密度ポリエチレンが使われたことを除き前記実施例1と同一に実施された。実施例1のように延伸結晶部分がとけた割合を30重量%で合わせるために延伸温度は114.5℃にした。また熱固定温度も実施例1のように結晶が溶ける程度を20重量%で合わせるために119℃にした。
【0087】
[実施例3]
成分Iで重量平均分子量が4.7×10であり、分子量が10以下の分子の含有量が1.2重量%で、コモノマーを含まない高密度ポリエチレンが使われた。延伸はポリエチレンの結晶部分が40重量%溶ける温度である117℃で行われたことを除き前記実施例1と同一に実施された。
【0088】
[実施例4]
成分Iで重量平均分子量が3.0×10であり、分子量が10以下の分子の含有量が4.5重量%で、コモノマーでブテン‐1が1.5重量%使われた高密度ポリエチレンが使われた。成分IIとしては40℃動粘度が70cStであるパラフィンオイルが使われた。成分Iと成分IIの含有量はそれぞれ40重量%、60重量%だった。これを除き前記実施例1と同一に実施された。実施例1のように延伸結晶部分が溶ける割合を30重量%で合わせるために延伸温度は116℃にした。また熱固定温度も実施例1のように結晶が溶ける程度を20重量%で合わせるために118℃にした。
【0089】
[実施例5]
成分Iでは実施例3と同一に重量平均分子量が4.7×10で、分子量が10以下の分子の含有量が1.2重量%で、コモノマーを含まない高密度ポリエチレンが使われた。成分IIでは40℃動粘度が120cStであるパラフィンオイルが使われた。成分Iと成分IIの含有量はそれぞれ40重量%、60重量%だった。
【0090】
延伸はポリエチレンの結晶部分が 30重量%溶ける温度である117℃で、延伸比36倍(縦方向×横方向=6×6)、延伸速度2.0m/minで成り立った。熱固定はフィルムの結晶部分が10%溶ける温度である115℃で15分間熱固定された。
【0091】
[実施例6]
成分Iでは実施例3と同一に重量平均分子量が4.7×10で、分子量が10以下の分子の含有量が1.2重量%で,コモノマーを含まない高密度ポリエチレンが使われた。成分IIでは40℃動粘度が30cStであるパラフィンオイルが使われた。成分Iと成分IIの含有量はそれぞれ20重量%、80重量%だった。
【0092】
延伸はポリエチレンの結晶部分が30重量%溶ける温度である113℃で、延伸比49倍(縦方向×横方向=7×7)、延伸速度2.0m/minで成り立った。熱固定はフィルムの結晶部分が20%溶ける温度である120℃で5分間熱固定された。
【0093】
[実施例7]
延伸温度がポリエチレン結晶の60重量%が溶ける温度である122℃であり、延伸比が25倍(縦方向×横方向=5×5)である
のを除き実施例3と同一に実施された。
【0094】
[実施例8]
成分Iで実施例4と同一に重量平均分子量が3.5×10で、分子量が10以下の分子の含有量が4.5重量%で、コモノマーでブテン‐1が1.5重量%使われた高密度ポリエチレンが使われた。成分IIでは40℃動粘度が160cStであるパラフィンオイルが使われた。
【0095】
成分Iと成分IIの含有量はそれぞれ30重量%、70重量%だった。延伸はポリエチレンの結晶部分が50重量%溶ける温度である120℃で、延伸比25倍(縦方向×横方向=5×5)、延伸速度2.0m/minで成り立った。熱固定はフィルムの結晶部分が20重量%溶ける温度である118℃で15分間熱固定された。
【0096】
[実施例9]
成分Iと成分IIは実施例3と等しく使われた。成分Iと成分IIの含有量はそれぞれ50重量%、50重量%だった。延伸はポリエチレンの結晶部分が30重量%溶ける温度である119℃で、延伸比36倍(縦方向×横方向=6×6)、延伸速度10.0m/minで成り立った。熱固定はフィルムの結晶部分が30重量%溶ける温度である123℃で5分間熱固定された。
【0097】
[実施例10]
成分Iで実施例4と同一に重量平均分子量が3.5×10で、分子量が10以下の分子の含有量が4.5重量%で、コモノマーでブテン‐1が1.5重量%使われた高密度ポリエチレンが使われた。成分IIでは40℃動粘度が95cStであるパラフィンオイルが使われた。成分Iと成分IIの含有量はそれぞれ20重量%、80重量%だった。延伸はポリエチレンの結晶部分が30重量%溶ける温度である112℃で、延伸比36倍(縦方向×横方向=6×6)、延伸速度2.0m/minで成り立った。熱固定はフィルムの結晶部分が25重量%溶ける温度である119℃で15分間熱固定された。
【0098】
[実施例11]
成分Iと成分II及びその含有量は実施例3と同一に使われた。延伸はポリエチレンの結晶部分が30重量%溶ける温度である115℃で、延伸比49倍(縦方向×横方向=7×7)、延伸速度2.0m/minで成り立った。熱固定はフィルムの結晶部分が10重量%溶ける温度である115℃で20分間熱固定された。
【0099】
[比較例1]
成分Iで重量平均分子量が1.8×10で、分子量が10以下の分子の含有量が22.0重量%であり、コモノマーでブテン‐1が0.5重量%使われた高密度ポリエチレンが使われたことを除き前記実施例1と等しく実施された。実施例1のように延伸時結晶部分がとけた割合を30重量%で合わせるために延伸温度は114.5℃にしてまた熱固定温度も実施例1のように結晶が溶ける程度を20重量%で合わせるために119℃にした。
【0100】
[比較例2]
成分Iで重量平均分子量が2.1×10で、分子量が10以下の分子の含有量が15.0重量%であり、コモノマーでブテン‐1が1.5重量%使われた高密度ポリエチレンが使われたことを除き前記実施例1と同一に実施された。実施例1のように延伸時結晶部分がとけた割合を30重量%で合わせるために延伸温度は114℃にしてまた熱固定温度も実施例1のように結晶が溶ける程度を20重量%で合わせるために118℃にした。
【0101】
[比較例3]
成分Iで重量平均分子量が5.7×10で、分子量が10以下の分子の含有量が9.0重量%であり、コモノマーでブテン‐1が0.8重量%使われた高密度ポリエチレンが使われたことを除き前記実施例1と等しく実施された。実施例1のように延伸時結晶がとけた割合を30重量%で合わせるために延伸温度は114.5℃にしてまた熱固定温度も実施例1のように結晶が溶ける程度を20重量%で合わせるために119℃にした。
【0102】
[比較例4]
成分Iの含有量が60重量%、成分IIの含有量が40重量%であり、延伸温度が延伸の時結晶部分が溶ける割合が30%である120℃であることを除き前記実施例3と同一に実施された。
【0103】
[比較例5]
成分Iの含有量が13重量%で、成分IIの含有量が87重量%であるのを除き比較例4と同一に実施された。延伸結晶部分がとけた割合を30重量%で合わせるために延伸温度は112℃にした。
【0104】
[比較例6]
延伸温度がポリエチレンの結晶が5重量%溶ける温度である110℃であることを除き前記実施例3と同一に実施した。
【0105】
[比較例7]
延伸温度がポリエチレンの結晶が85重量%溶ける温度である125℃であることを除き前記実施例3と同一に実施された。
【0106】
[比較例8]
成分Iで重量平均分子量が5.1×10で、分子量が10以下の分子の含有量が9.4重量%であり、コモノマーを含まない高密度ポリエチレンが使われた。延伸比が16倍(縦方向×横方向=4×4)であることを除き実施例1と同一に実施した。
【0107】
[比較例9]
成分Iで重量平均分子量が5.1×10で、分子量が10以下の分子の含有量が9.4重量%であり、コモノマーを含まない高密度ポリエチレンが使われた。延伸比が56.25倍(縦方向×横方向=7.5×7.5)であることを除き実施例1と等しく実施した。
【0108】
[比較例10]
熱固定をフィルムの結晶部分が35重量%溶ける温度である127℃から15分間実施したことを除き実施例3と等しく実施した。前記実施例及び比較例の実験条件及びこれから得られた結果を下記表1〜4に整理して示した。
【0109】
【表1】

【0110】
【表2】

【0111】
【表3】

【0112】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子量が1×10以下である分子の含有量が5重量%以下である重量平均分子量2×10〜5×10の高密度ポリエチレン(成分I)20〜50重量%と、
希釈液(成分II)80〜50重量%と、を含む組成物から製造されて、
引張強度が横方向及び縦方向でそれぞれ1,100kg/cm以上、穿孔強度が0.22N/μm以上、気体透過度(Darcy's permeability constant)が1.3×10−5ダーシー(Darcy)以上であり、収縮率が横方向及び縦方向にそれぞれ5%以下であることを特徴とする高密度ポリエチレン微細多孔膜。
【請求項2】
前記成分Iは2重量%以下のコモノマーを含み、前記コモノマーはプロピレン、ブテン‐1、ヘキセン‐1又は4‐メチルペンテン‐1であることを特徴とする請求項1に記載の高密度ポリエチレン微細多孔膜。
【請求項3】
前記成分IIは40℃動粘度が20〜200cStであるパラフィンオイルを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の高密度ポリエチレン微細多孔膜。

【公開番号】特開2011−208144(P2011−208144A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92804(P2011−92804)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【分割の表示】特願2007−526972(P2007−526972)の分割
【原出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(308007044)エスケー エナジー カンパニー リミテッド (53)
【Fターム(参考)】