説明

ポリカプロラクトンに基づくポリ尿素から製造されたゴルフボールカバー

【課題】フィーリング、柔らかい打球感、スピン性能を犠牲にすることなくより優れた耐久性、強靭性、耐摩耗性を付与するポリ尿素カバーを備えたゴルフボールを提供する。
【解決手段】ポリ尿素組成物から製造されたカバー材料を具備する。1バージョンでは、ゴルフボール10はポリブタジエンコアとポリ尿素組成物から製造される被覆カバー層14とを含む。他のバージョンでは、ゴルフボールはポリブタジエンコアと、アイオノマー樹脂から製造された中間ケーシング層と、ポリ尿素組成物から製造された外側カバー層とを含む。ポリ尿素組成物は、イソシアネート、アミン末端ポリカプロラクトン、およびアミン末端硬化剤の反応生成物である、生成されたカバー材料は、改善された耐久性、強靱性、摩擦耐性、および湿気耐性を含む多くの有益な特性を伴う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、全般的にはポリ尿素組成物から製造されたカバー材料を具備するゴルフボールに関する。より具体的には、ポリ尿素組成物は、イソシアネート、アミン末端ポリカプロラクトン、およびアミン末端硬化剤の反応生成物である。生成されたカバー材料は、改善された耐久性、強靱性、摩擦耐性、および湿気耐性を含む多くの利点を伴う。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴルフボール製造業者は研究努力を広げてより好ましい特性および性能特徴を伴うゴルフボールカバー材料を開発するようになってきている。具体的には、ゴルフ業界は、最適な「ソフト」な特性を維持しつつ改善された「ハード」な特性を具備するカバー材料の開発を目論んできた。改良された耐久性、強靱性、および摩耗耐性は所望のハードな特性のいくつかである。ソフトな特性は、ゴルフクラブでボールを打ったときにプレイヤにより良好な「フィール」を与える。プレイヤは、クラブフェースが衝突するときにボールに対するより大きな制御を感得する。ボールのハードな特性は、プレイヤがショットで、より長い飛行距離を実現するのを容易にする。他方、ボールカバーのよりソフトなフィーリングにより、プレイヤはボールにスピンを付与することが可能になり、その飛行パターンをより良好に制御できるようになる。
【0003】
過去においては、天然または合成ゴムで被覆されたゴルフボールが広く用いられた。例えば、バラタで被覆されたボールは、ソフトなフィーリングとともに良好な飛行距離を実現したので、かつて、かなり人気があった。ゴルフプレイヤは、比較的ソフトなバラ他ボールを打ったときに爽快感を経験し、ゴルフボールの飛行パターンをより良好に制御できた。プライヤはクラブフェースがボールに当たるときに、「クリック」オンを聞くことができた。しかしながら、そのようなバラタ被覆ボールを用いるときの1つの不利益は、カバーが、繰り返しのプレイの後にすり減りやすいということであった。バラタボールは一般に良好な耐久性、切断/剪断耐性、または衝撃耐性を伴わなかった。つぎに、ゴルフ業界はより耐久性のあるカバーを製造するためにアイオノマー樹脂に着目した。これら架橋ポリマーは共有結合とともに鎖間のイオン性結合を含む。アイオノマー樹脂は、例えば、エチレンおよびビニルコモノマーの酸基、例えばメタクリル酸またはアクリル酸のコポリマーを含む。ナトリウム、リチウム、亜鉛、およびマグネシウムのような金属イオンがポリマー中の酸基を中和するのに用いられる。商業的に入手可能なアイオノマー樹脂は当業界で知られており、商標Surlyn(DuPont)およびEscorおよびIotek(Exxon)の下で販売されている多数の樹脂を含む。アイオノマー樹脂は種々のグレードで入手でき、ベース樹脂のタイプ、分子量、金属イオンのタイプ、酸の量、中和の程度、添加物、およびその他の特性に基づいて特定される。そのようなアイオノマー樹脂で製造されたボールカバーは、優れた、耐久性、機械強度、および切断/剪断耐性を発揮する。しかしながら、これと同時に、これらのボールカバーはハードな表面を伴い、プレイヤは、これらのボールでショットを行ったときにフィーリングおよび満足感の劣化を感じやすい。
【0004】
より最近になって、ゴルフ業界はポリ尿素組成物からゴルフボールカバーを製造することに注目するようになった。例えば、米国特許第5,484,870号(Wu。特許文献1)はゴルフボールカバーを成型するために適したポリ尿素組成物を開示している。ポリ尿素組成物は、少なくとも2つのイソシアネート官能基を具備する有機化合物とアミン硬化剤との反応生成物である。アミン基のイソシアネート基に対する分子当量比は広い範囲で変化して良い。着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤、その他の添加物材料を組成物中に含ませて良い。
【0005】
米国特許第6,964,621号(Bulpett等。特許文献2)はゴルフボールの構造中に使用できるポリ尿素組成物を開示している。これら組成物はポリ尿素プレポリマーと硬化剤とから準備される。’621特許によれば、生成されたゴルフボールは切断および剪断耐性が改善されたものとなる。
【0006】
いままでのポリ尿素カバー材料のいくつかはある程度有効なものであるけれども、依然として改善されたゴルフボールカバーが要望される。具体的には、フィーリング、柔らかさ、スピン制御等のような競技特性を犠牲にすることなく、より優れた耐久性、強靱性、および摩擦耐性をゴルフボールに付与することができるポリ尿素カバー材料を保有することが望まれる。この発明はそのようなゴルフボールを実現する。また、天候および湿度の耐性に優れたカバー材料を保有することも望まれる。そのようなボール被覆によれば、ボールが水を含有したりサイズや重量が増大したりするのを阻止できる。この発明はこのような特性や他の有益な特徴および利点を有するボールカバーを実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,484,870号明細書
【特許文献2】米国特許第6,964,621号明細書
【発明の開示】
【0008】
この発明は、ポリ尿素組成物から製造されるカバー材料を具備するゴルフボールを実現し、このポリ尿素組成物は、イソシアネート、アミン末端ポリカプロラクトン、およびアミン末端硬化剤の反応生成物である。製造されたポリ尿素カバー材料は、改善された耐久性、強靱性、摩擦耐性および湿気耐性を含む多くの利点を有する。1つのバージョンでは、ゴルフボールは、ポリブタジエンコアと、このポリ尿素組成物で製造された周囲のカバー層とを含む。他のバージョンでは、ゴルフボールは、ポリブタジエンコアと、アイオノマー樹脂から製造された中間ケーシング層と、このポリ尿素組成物で製造された外側カバー層とを含む。
【0009】
この発明に従うゴルフボールは、種々の構造を有してよい。1実施例において、ゴルフボールコアの直径は約1.26〜約1.60インチであり;中間層の厚さは約0.015〜約0.120インチであり;カバーの厚さは約0.015〜約0.090インチである。ゴルフボールを構成する部品の硬度レベルは異なっても良い。例えば、1バージョンでは、ゴルフボールコアの硬度は約35〜約60ショアDの範囲であり;中間層の硬度は約30〜約75ショアDの範囲であり;カバーの材料硬度は約30〜約65ショアDである。
【0010】
この発明を特徴付ける新規な特徴は添付の特許請求の範囲に示される。ただし、この発明の好ましい実施例は、他の目的および付随的な効果とともに、添付の図面と関連する以下の詳細な説明を参照して最も良く理解される。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明に従って製造された、単一層、ツーピースのゴルフボールの断面図である。
【図2】この発明に従って製造された、多層、スリーピースのゴルフボールの断面図である。
【図3】この発明に従って製造された、ツーピースコアを含む、多層、フォーピースのゴルフボールの断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明は、ポリ尿素組成物から製造されたカバー材料を伴うゴルフボールに関する。一般には、ポリ尿素組成物は、イソシアネート基のアミン基との反応により生成された尿素結合を含む。ポリ尿素の鎖長は、ポリマーのアミン末端硬化剤との反応により延長される。生成されたポリ尿素は、ともに共有結合される、「ハード」および「ソフト」セグメントに由来して、弾性的な特性を有する。ポリアミンから形成される、ソフトで、非晶質な、低融点のセグメントは比較的柔軟性があり、可動性があり、他方、イソシアネートおよび鎖エクステンダーから形成される、ハードな高融点セグメントは比較的堅固で非可動的である。ハードおよびソフトのセグメントの相分離によりポリマーはエラストマー性の弾力性を有する。アミン末端化合物が硬化剤として採用されるときには、生成されたポリマーは尿素結合のみを有する。
【0013】
ただし、ヒドロキシル末端硬化剤が使用されるならば、ポリマー中の任意の過剰なイソシアネート基は硬化剤中のヒドロキシル基と反応してウレタン結合を形成する。すなわち、ポリ尿素/ウレタンハイブリッド組成物が形成され、これは純粋なポリ尿素組成物とは区別される。また、ポリウレタンおよびポリ尿素は著しく異なる材料であることも理解すべきである。ポリウレタンは、イソシアネート基をヒドロキシル基と反応させて生成されたウレタン結合を含む。商業的なポリウレタン材料は、イソシアネートをポリアルコール(ポリオール)と触媒および他の添加物の存在の下で反応させて生成される。ポリウレタンの鎖長は、ポリマーをヒドロキシルまたはアミン末端硬化剤と反応させて延長される。
【0014】
当業界で知られている任意の適切なイソシアネートをこの発明に従ってポリ尿素を生成するのに採用できる。そのようなイソシアネートは、例えば、1分子あたり2以上のイソシアネート基(−N=C=O)を具備する、脂肪族、脂環式、芳香族脂肪族、芳香族、それらの任意の誘導体、およびそれら化合物の組み合わせを含む。
イソシアネートは、有機ポリイソシアネート末端プレポリマー、低遊離イソシアネートプレポリマー、およびこれらの混合物であってよい。イソシアネート含有反応性成分は、また、任意のイソシアネート基モノマー、ダイマー、トリマー、またはそのポリマー性付加物、プレポリマー、疑似プレポリマー、またはそれらの混合物を含んでも良い。イソシアネート基化合物は、2またはそれ以上の任意のイソシアネート基を含むモノイソシアネートまたはポリイソシアネートであってよい。
【0015】
好ましいイソシアネートは、ジイソシアネート(分子あたり2つのNCO基を具備するもの)、そのビウレット、そのダイマー化されたウレトジオン、そのトリマー化されたイソシアヌレート、多官能価イソシアネート、例えばモノマー性トリイソシアネートを含む。ジイソシアネートは典型的にはOCN−−R−−NCOの一般式を有する。事例的なジイソシアネートは、これに限定されないが、不飽和イソシアネート、例えば、p−フェニレンジイソシアネート(”PPDI”、すなわち1,4−フェニレンジイソシアネート)、m−フェニレンジイソシアネート(”MPDI”、すなわち1,3−フェニレンジイソシアネート)、o−フェニレンジイソシアネート(すなわち1,2−フェニレンジイソシアネート)、4−クロロ−1,3−フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(”TDI”)、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート(”m−TMXDI”)、p−テトラメチルキシレンジイソシアネート(”p−TMXDI”)、1,2−,1,3−および1,4−キシレンジイソシアネート、2,2’−,2,4’−および4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(”TODI”)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(”MDI”)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミドMDI、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(”PMDI”、すなわちポリマーMDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(”NDI”)、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、アントラセンジイソシアネート、テトラセンジイソシアネート;および飽和イソシアネート、例えば、1,4−テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネート(”HDI”)およびそのアイソマー、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,7−ハプタメチレンジイソシアネートおよびそのアイソマー、1,8−オクタメチレンジイソシアネートおよびそのアイソマー、1,9−ノバメチレンジイソシアネートおよびそのアイソマー、1,10−デカメチレンジイソシアネートおよびそのアイソマー、1,12−ドデカンジイソシアネートおよびそのアイソマー、1,3−シクロブタンジイソシアネート、1,2−、1,3−、および1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,4−および2,6−メチルシクロへキシサンジイソシアナート(”HTDI”)、イソホロンジイソシアネート(”IPDI”)、イソシアナトメチルシクロヘキサンイソシアネート、イソシアナトエチルシクロヘキサンイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(すなわち1,4−シクロヘキサン−ビス(メチレンイソシアネート))、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI、すなわち、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタン)、2,4’−および4,4’−ジシクロヘキサンジイソシアネート、2,4’−および4、4’−ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサンを含む。ダイマー化されたジイソシアネートおよびポリイソシアネートのウレトジオンは、例えば、トルエンジイソシアネートのウレトジオン、ジフェニルメタンジイソシアネートのウレトジオンのような不飽和イソシアネート;および、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオンのような飽和イソシアネートを含む。ジイソシアネートのトリマー化されたイソシアネートは、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートのトリマー、テトラメチレンジイソシアネートのトリマー、トルエンジイソシアネートのイソシアネートのような不飽和イソシアネート;および、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートのような飽和イソシアネートを含む。モノマー性トリイソシアネートは、例えば、2,4,4’−ジフェニレントリイソシアネート、2,4,4’−ジフェニルメタントリイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネートのような不飽和イソシアネート;および1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネートのような飽和イソシアネートを含む。好ましくは、イソシアネートは、MDI、H12MDI、PPDI、TDI、IPDI、HDI,NDI、XDI、TMXDI、THDIおよびTMDI、ならびにそれらのホモポリマー、コポリマーおよび混合物からなるグループから選択される。
【0016】
先に検討したとおり、イソシアネート成分とアミン末端ポリマー樹脂の反応生物であるエラストマー性材料である。さらに以下に説明するように、反応過程で採用できる多くの実現可能なアミン末端化合物のなかで、アミン末端ポリカプロラクトンがイソシアネートと反応してこの発明の目的に最も好適な特性を伴うポリ尿素組成物を実現できることがわかった。一般的には、カプロラクトンは以下の構造式で示される環式エステル化合物である。
【0017】
【化1】

【0018】
アミン末端ポリカプロラクトン化合物を製造する方法は当業界では知られており、Carr等のPCT国際出願公開WO2006/040355A1号(Solvay)のような参考文献に説明されており、これについては参照してここに組み入れる。’355PCT公報に説明されている方法において、ラクトン環がポリカルボキシル酸開始剤を用いて開環され、その末端にカルボキシル酸基を有するポリカプロラクトンが生成される。つぎに、この生成物が50°Cを上回る温度でポリアミンと反応させられてつぎの全体構造を具備するアミン末端ポリカプロラクトンを生成する。
【0019】
【化2】

【0020】
アミン末端ポリカプロラクトンの分子量は一般的には約1000から約10000の範囲である。
【0021】
この発明のアミン末端ポリカプロラクトンは、イソシアネートと反応して機械強度および一体性に優れたポリ尿素を製造することができることがわかった。さらに、このアミン末端ポリカプロラクトンは加水分解安定性を増強させ、これにより、生成したポリ尿素組成物の湿気耐性を増強させると考えられる。アミン末端ポリカプロラクトンの炭素鎖に沿ってエステル結合が少なくなればなるほど、その結果として、湿気攻撃サイトが少なくなる。さらに相対的なエステル結合の距離が比較的長く、このことが加水分解安定性を助長する。湿気がエステル結合を攻撃するのを阻止し、ポリマー差を小さな弱い鎖に分断するのを阻止する。この結果、ポリマーは良好な天候耐性を有する。このポリマーは、水および熱の影響に対する耐性を示し、同時に良好な紫外線(UV)光安定性を示す。
【0022】
この発明のポリ尿素エラストマーを製造するのに採用できる2つの基本方法、a)ワンショット法、およびb)プレポリマー法がある。ワンショット法では、イソシアネート、アミン末端化合物、およびアミン末端硬化剤が1ステップで反応させられる。他方、プレポリマー法では、イソシアネートとアミン末端化合物との間で第1の反応が行われポリ尿素プレポリマーがせいぞうされ、つぎの反応がこのプレポリマーとアミン末端硬化剤との間で行われる。イソシアネートとアミン末端ポリカプロラクトンとの間の反応の結果として、ポリ尿素プレポリマー中にある程度の未反応NCO基が残る。プレポリマーは14%未満のNCO基しか含んではならない。好ましくは、プレポリマーは8.5%以下の未反応NCO基、より好ましくは2.5%から8%、最も好ましくは5.0%から8.0%の未反応NCO基しか伴わない。未反応のイソシアネート基の重量%が増大していくと、組成物の硬度も一般的に増大していく。ワンショット法またはプレポリマー法のいずれかを用いてこの発明のポリ尿素組成物を製造できるけれども、プレポリマー法は、化学反応をより良好に制御できるのでプレポリマー法が好ましい。プレポリマー法によれば混合物がより均一になり、より一貫性のあるポリマー組成物をもたらす。ワンショット法では、非均一(よりランダム)な混合物をもたらし、製造業者に生成組成物の分子構造に対する制御をより少なくする。
【0023】
キャスティング過程において、ポリ尿素プレポリマーを単一の硬化剤または以下に説明するような硬化剤のブレンドによって鎖延長することのより、ポリ尿素組成物を製造できる。この発明の組成物は、鋳造可能な熱可塑性または熱硬化性材料の双方から選択して良い。熱可塑性ポリ尿素は、典型的には、各々2つ(またはそれ以下)の官能基を具備する、イソシアネートおよびアミン末端化合物を、1:1の理論量比で反応させて製造される。例えば、プレポリマーは、第2ジアミンで硬化されて非架橋熱可塑性組成物を製造する。他方、熱硬化性組成物は、架橋ポリマーであり、典型的にはイソシアネートおよびアミン末端化合物の反応から製造され、そこでは、各成分は2つ(またはそれより多く)の官能基を具備し、通常では1.05:1の理論量比である。例えば、プレポリマーは第1または第2のジアミンで硬化され架橋熱硬化ポリ尿素を製造する。一般的には、熱硬化性ポリ尿素組成物の方が熱可塑性ポリ尿素より準備しやすい。
【0024】
好ましい実施例において、純粋なポリ尿素組成物が準備される。すなわち、組成物は尿素結合しか含まない。アミン末端硬化剤を反応に用いて純粋なポリ尿素組成物を製造する。ただし、ある場合にはこの発明に従ってポリ尿素/ウレタンハイブリッド組成物を準備して良いことに留意されたい。ポリ尿素プレポリマーがヒドロキシル末端硬化剤により硬化されるならば、そのようなハイブリッド組成物を取得できるであろう。ポリ尿素中の任意の過剰なイソシアネートが硬化剤中のヒドロキシル基と反応してウレタン結合を生成する。生成されたポリ尿素・ウレタンハイブリッド組成物は尿素およびウレタン結合の双方を含む。
【0025】
この発明のポリ尿素プレポリマーを鎖延長するのに採用できる、適切なアミン末端硬化剤は、これに限定されないが:不飽和ジアミン、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(すなわち4,4’−メチレン−ジアニリンまたは”MDA”)、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,2−または1,4−ビス(sec−ブチルアミノ)ベンゼン,3,5−ジエチル−(2,4−または2,6−)トルエンジアミンまたは”DETDA”、3,5−ジメチルチオ−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン、3,5−ジエチルチオ−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−5,5’−字メチル4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン(すなわち4,4’−メチレン−ビス(2−エチル−6−メチル−ベンゼンアミノ)、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(すなわち4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)または”MOCA”)、3,3’5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン(すなわち4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアニリン))、2,2’−ジクロロ−3,3’5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン(すなわち4,4’−メチレン−ビス(3−クロロ−2,6−ジエチレンアニリン)または”MCDEA”)、3,3’−ジエチル−5,5’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンまたは”MDEA”、3,3’−ジクロロ−2,2’,6,6’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、4,4’−メチレン−ビス(2,3−ジックロロアニリン)(すなわち2,2’,3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンまたは”MDCA”、4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン、N,N’−ジアルキルアミノ−ジフェニルメタン、トリメチレングリコール−ジ(p−アミノベンゾエート)、ポリエチレングリコール−ジ(p−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレングリコール−ジ(p−アミノベンゾエート);飽和アミン、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、2−メチル−ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−エキサンジアミン、イミノ−ビス(プロピルアミン)、イミド−ビス(プロピルアミン)、メチルイミノ−ビス(プロピルアミン)(すなわちN−(3−アミノプロピル)−N−メチル−1,3−プロパンジアミン)、1,4−ビス(3−アミノプロキシ)ブタン(すなわち3,3’−[1,4−ブタンジイルビス−(オキシ)ビス]−1−プロパンアミン)、ジエチレングリコール−ビス(プロピルアミン)(すなわちジエチレングリコール−ジ(アミノプロピル)エーテル)、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、1−メチル−2,6−ジアミノ−シクロヘキサン、1,4−ジアミノ−シクロヘキサン、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ジアミン,1,3−または1,4−ビス(メチルアミノ)−シクロヘキサン、イソホロンジアミン、1,2−または1,4−ビス(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン、N,N’−ジイソプロピル−イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、N,N’−ジアルキルアミノ−ジシクロヘキシルメタン、ポリオキシエチレンジアミン、3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、ポリオキシプロピルジアミン、3,3’−ジエチル−5,5’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、ポリテトラメチレンエーテルジアミン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン(すなわち、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアミノシクロヘキサン))、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、2,2’−ジクロロ−3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、(エチレンオキシド)−キャップドポリオキシプロプレンエーテルジアミン、2,2’,3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)ジシクロヘキシルメタン;トリアミン、例えば、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、(プロピレンオキシド)ベースのトリアミン(すなわち、ポリオキシプロピレントリアミン)、N−(2−アミノエチル−1,3−プロピレンジアミン(すなわちN−アミン)、N−(アミノプロピル)エチレンジアミン、N−(アミノプロピルブチレンジアミン、N−(アミノエチル)ヘキサメチレンジアミン、N−(アミノプロピル)ヘキサメチレンジアミン、トリメチロールプロパンベースのトリアミン、グリセリンベースのトリアミン、(すべて飽和);テトラアミン、例えば、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン(すなわち、Nアミン)、トリメチレンテトラアミン、(双方飽和);および他のポリアミン、例えば、テトラエチレンペンタミン(飽和)を含む。この発明のアミン末端ポリカプロラクトンはいくつかの場合にはアミン硬化剤としても採用できることも留意されたい。
【0026】
先に検討したように、いくつかの場合には、ポリ尿素/ポリウレタンハイブリッド組成物を生成することが望ましいかもしれない。そのような環境下では、ポリ尿素プレポリマーの反応に採用される硬化剤は、ヒロドキシ末端硬化剤と、アミン末端およびヒドリキシル末端硬化剤の混合物とからなるグループから選択されて良い。
【0027】
ヒドロキシ末端硬化剤は好ましくはつぎのグループから選択される。そのグループは、エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;2−メチル−1,3−プロパンジオール;2−メチル−1,4−ブタンジオール;モノエタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン;ジイソプロパノールアミン;ジプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;1,2−ブタンジオール;1,3−ブタンジオール;1,4−ブタンジオール;2,3−ブタンジオール;2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール;トリメチロールプロパン;シクロヘキシルジメチルオール;トリイソプロパノール;N,N,N’,N’−テトラ−(2−ヒドロキシルプロピル)−エチレンジアミン;ジエチレングリコールビス−(アミノプロピル)エーテル;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン;1,4−シクロヘキシルジメチルオール;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]シクロヘキサン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}シクロヘキサン;トリメチロールプロパン;ポリテトラメチレンエーテルグリコール、好ましくは約250〜約3900の分子量を持つもの;およびこれらの混合物からなる。
【0028】
当業界で知られている付加的な材料をポリ尿素組成物に付加しても良い。これら付加的な材料は、これに限定されないが、触媒、湿潤剤、発色剤、光学的光沢剤、架橋剤、二酸化チタンおよび酸化亜鉛のような白色剤、紫外線(UV)光吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、脱泡剤、処理助剤、表面活性剤、および他の慣用的な添加剤を含む。例えば、湿潤添加剤はより効率的に顔料を分散させるために添加して良い。抗酸化剤、安定化剤、軟化剤、内的および外的可塑剤を含む可塑剤、衝撃改質剤、発泡剤、密度調整フィラー、強化剤、および相溶化剤も当業界で知られえ散る量だけ添加しても良い。一般的に、添加剤は、所望の特性に応じて、組成物の全充用をベースにして約1から約70重量パーセントの範囲で組成物中に存在する。
【0029】
ポリ尿素組成物を製造するためのプレポリマーと硬化剤との反応を助長するために触媒を採用しても良い。適切な触媒は、これに限定されないが、ビスマス触媒;亜鉛オクトエート;第一錫オクトエート;ビス−ブチル錫ジラウレート、ビス−ブチル錫ジアセテート、第一錫オクトエートのような錫触媒;錫(II)クロライド、錫(IV)クロライド、ビス−ブチル錫ジメトキシド、ジメチル−ビス[(1−オキソンデシル)オキシ]スタンナン、ジ−n−オクチル錫ビス−イソオクチルメルカプトアセテート;アミン触媒、例えば、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、およびトリブチルアミン;有機酸、例えば、オレイン酸および酢酸;遅延触媒;およびこれらの混合物を含む。触媒は、好ましくは、反応混合物中の成分の反応が助長されるのに十分な量だけ添加される。1実施例においては、触媒は、組成物の重量に基づいて約0.001パーセント〜約5パーセントの量だけ存在する。
【0030】
好ましくは、ボールカバーを構成するポリマーマトリックスは純粋なポリ尿素組成物である。すなわち、ポリマー組成物は以下の一般構造を有する尿素結合のみ含む。
【化3】

【0031】
しかしながら、式に検討したように、この発明に従ってポリ尿素/ウレタンハイブリッドの組成物も準備されてよいことに留意されたい。ポリ尿氏プレポリマーがハドリキシル末端硬化剤により硬化されたならば、このようなことが起こる。ポリ尿素プレポリマー中の任意の過剰なイソシアネートが硬化剤中のヒドロキシル基と反応してウレタン結合を生成する。結果としてのポリ尿素/ポリウレタン組成物は尿素結合(上述した)および下記の一般構造を有するウレタン結合の双方を含む。
【化4】

【0032】
ボールカバーの1つのバージョンでは、ボールカバーを構成するポリマーマトリックスはこの発明のポリ尿素組成物を100重量パーセント有する。他のバージョンでは、ボールカバーのポリマーマトリックスはポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドブレンドである。ブレンドは約10〜約90重量%のポリ尿素組成物と約90〜約10%のポリウレタン組成物とを含む。さらに他の実施例では、ボールカバーのポリマーマトリックスは約10〜約90重量%のポリ尿素組成物と約90〜約10%の他のポリマーまたは他の材料、例えばビニル樹脂、ポリエステル、ポリアミド、またはポリオレフィンとを含む。
【0033】
この発明のポリ尿素カバー材料は、当業界で知られている任意のタイプのボール構造とともに採用して良い。そのようなゴルフボールデザインは、例えば、ツーピース、スリーピース、およびフォーピースのデザインを含む。ゴルフボールを構築する、コア、中間ケーシング、およびカバーの各部分は単一層または多重層であってよい。図1を参照すると、単一層(ツーピース)ゴルフボール(10)が示され、これはソリッドコア(12)およびこの発明のポリ尿素カバー(14)を有する。図2は多重層(スリーピース)ゴルフボール(20)が示され、これはこの発明に従って製造される。このバージョンでは、ボール(20)はソリッドコア(22)、中間ケーシング層(24)、およびポリ尿素カバー(26)を含む。
【0034】
図1および図2に示されるゴルフボール(10、20)中のコア部分(12、22)は、それぞれ典型的にはベースゴム、フィラー、開始剤、および架橋剤を含む組成物から製造される。ベースゴムは、通常、天然または合成ゴム、例えばポリブタジエンゴムである。1実施例において、ベースゴムは少なくとも40%のcis−構造を伴う1,4−ポリブタジエンである。ポリブタジエンは他のエラストマー例えば天然ゴム、ポリイソプレンゴム、シチレン−ブタジエンゴム、および/または他のポリブタジエンとブレンドして良い。このポリブタジエンアイソマーは、成型サイクルにおいて、ポリブタジエンのcis−アイソマーをtrans−アイソマーに変換することにより製造される。ソフトおよびファースト剤、例えば、ペンタクロロチオフェノール(PCTP)またはZnPCTPをポリブタジエンにブレンドして良い。これら化合物はcis−to−trans触媒としても働き、ポリブタジエン中のcis−1,4結合をtrans結合に変換可能である。フィラーは比重(密度改質材料)、硬度、重量、弾性、弾力性、圧縮、その他の特性を修正するために使用でき、コア組成物中に添加できる。通常、フィラーは、無機であり、適切なフィラーは多くの金属または金属酸化物、例えば、酸化亜鉛、および酸化錫、さらに硫酸バリウム、硫酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、暮れ意、タングステン、炭化タングステン、シリカ、およびこれらの混合物を含む。
【0035】
中間層(24)は、図2のゴルフボール(20)に示されるように、当業界で知られている任意に適切な材料で製造されて良く、これは熱可塑性および熱硬化性材料を含む。中間コア層を製造するのに適した熱可塑性材料は、これに限定されないが、部分的に、および充分に中和されたアイオノマー、アイオノマーおよびポリアミドのグラフトコポリマー、および以下の非アイオノマーポリマー、そのホモポリマーおよびコポリマー、ならびに、少なくとも1つのグラフト化またはコポリマー化された官能基、例えば、無水マレイン酸、アミン、エポキシ、イソシアネート、ヒドロキシル、スフホネート、ホスホネート等と適合性があるそれらの誘導体を含み、非アイオノマーポリマーは、ポリエステル;ポリアミド;ポリアミド−エーテルおよびポリアミド−エステル;ポリウレタン、ポリ尿素、およびポリウレタン−ポリ尿素ハイブリッド;フルオロポリマー;非アイオノマー性酸ポリマー、例えばE/Y−およびE/X/Y−タイプのコポリマー、ただし、Eはオレフィン(例えばエチレン)であり、Yはカルボン酸であり、かつ、Xは軟化コモノマー、例えば、脂肪族カルボン酸のビニルエステート、およびアルキルアクリレート;メタローセン触媒ポリマー;ポリスチレン;ポリプロピレンおよびポリエチレン;ポリビニルクロライドおよびグラフト化ポリビニルクロライド;ポリビニルアセテート;ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエンスチレンブレンド、ポリカーボネート/ポリウレタンブレンド、およびポリカーボネート/ポリエステルブレンドを含むポリカーボネート;ポリビニルアルコール;ポリエーテル;ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、;および上述の熱可塑性ポリマーの任意の2つ以上の混合物を含む。
【0036】
中間ケーシング層を製造するのに適した商業的に入手可能な熱可塑性材料の例は、これに限定されないが、Arkema Incから商業的に入手可能なPebax商標)熱可塑性ポリエーテルブロックアミド;Surlyn(商標)アイオノマー樹脂、Hytrel(商標)熱可塑性ポリエステルエラストマー、DuPont HPF1000およびHPG2000の商標の下で販売されているアイオノマー材料であって、すべてE.I.DuPont社から商業的に入手可能なもの;ExxonMobil Chemical社から商業敵意入手可能なIotek(商標)アイオノマー;The Dow Chemical Company社から商業的に入手可能なAmplify(商標)IOエチレンアクリル酸コポリマーのアイオノマー;A. Schulman Incから商業的に入手可能なClarixアイオノマー樹脂;BASF社から商業的に入手可能なElastollan(商標)ポリウレタンブレンドベースの熱可塑性エラストマー;およびSABIC Innovative Plastics社から商業的に入手可能なXylex(商標)ポリカーボネート/ポリエステルブレンドを含む。先に説明した添加物およびフィラーが中間層組成物に添加されて比重(密度改質材料)、硬度、重量、弾性率、弾力性、圧力、その他の特性を修正して良い。
【0037】
アイオノマー性樹脂は非イオン性熱可塑性樹脂でブレンドしてよい。適切な非イオン性熱可塑性樹脂は、これに限定されないが、ポリウレタン、ポリ−エーテル−エステル、ポリ−アミド−エーテル、ポリ−エーテル−尿素、熱可塑性ポリエーテルブロックアミド(例えば、Arkema Incから商業的に入手可能なPebax(商標)ブロックコポリマー)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン(エチレン−ブチレン)−スチレンブロックコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリエチレン−(メタクリレート)アクリレート、ポリエチレン−(メタクリル酸)アクリル酸、無水マレイン酸グラフト化により官能化されたポリマー、E.I.DuPont社から商業的に入手可能なFusabond(商標)官能化ポリマー、エポキシ化により官能化されたポリマー、エラストマー(例えばエチレンプロピレンジエンモノマーゴム、メタローセン触媒ポリオレフィン)、および熱可塑性エラストマーの粉砕粉末を含む。
【0038】
図1および図2を参照すると、コア部分(12、22)はポリブタジエンのような天然または合成ゴム組成物から製造される単一ピースとして示されている。他の例では、多重ピースコアを構築してよい。すなわち、2またはそれ以上のコア部分があってよい。例えば、図3では、ゴルフボール(28)がツーピースのソリッドコア(30、32)、中間層(34)、およびカバー層(36)を具備するように示され、カバー層(36)はこの発明に従って製造される。中間層(34)は上述したアイオノマー樹脂で製造されて良く、カバーはこの発明のポリ尿素組成物で製造されて良い。多層コア(内側および外側コアそう(30、32)を有する)はボールの「センタ」と呼ばれて良い。内側コア部分(30)は第1のベースゴム材料で製造されてよく、外側コア層(32)が内側コア(30)を包囲し、これが第2のベースゴム材料から製造されて良い。それぞれのコアピース(30、32)は上述の同一または異なるゴム材料から製造されて良い。各コアピースには架橋剤およびフィラーが添加されてよい。
【0039】
この発明に従って製造されたゴルフボールのサイズは任意でよいけれども、USGAは競技用ゴルフボールの直径が少なくとも1.68インチで、重量が1.62オンス以下であることを要求する。USGA競技以外のプレイでは、ゴルフボールの径はより小さくても、重量がより重くても良い。好ましくは、ゴルフボールの径は約1.68〜約1.80インチの範囲である。コアの径は一般に約1.26〜約1.60インチの範囲である。1実施例において、単一ピースコアの径は約1.57インチである。コアの硬度はボールの所望の特性に応じて変化する。一般に、コアの硬度は約30〜約65ショアDの範囲であり、より好ましくは、約35〜約60ショアDの範囲である。コア部分の圧縮は一般的に約70〜約110の範囲であり、より好ましくは約80〜約100の範囲である。図3に示すように、コア部分は一般的にボールの実質的な部分を構成し、例えば、コアはボール構造中の少なくとも95%またはそれ以上を構成して良い。
【0040】
図2および図3はそれぞれ中間層(24、34)を具備するゴルフボールを示しており、これらの図を参照すると、種々の材料を採用できるので、中間層の厚さの範囲は変化して良い。ただし、一般的には、中間層の厚さは約0.015〜約0.120インチの範囲であり、好ましくは約0.020〜約0.060インチの範囲である。内側コアおよび外側カバーの間に複数の中間層が配置されて良い。好ましくは、コアおよびすべての中間層の全体の径は、完成したボールの全体の径の約90パーセント〜約98パーセントである。図1〜3に示し、また上述したように、カバー材料(14、26、36)はこの発明のポリ尿素組成物から製造される。ポリ尿素カバーを用いれば、良好な機械強度および耐久性が、プレイ性能特性とともにボールに付与される。ポリ尿素カバーの厚さは変えることができるが、一般的には約0.015〜約0.090インチの範囲であり、好ましくは約0.020〜約0.050インチであり、より好ましくは約0.020〜約0.035インチである。
【0041】
この発明のゴルフボールは同一またが異なる硬度値の層を含んでよい。表面硬度および材料硬度はボールデザインおよび構造において考慮される重要な特性である。表面硬度および材料硬度を測定するテスト方法は以下にさらに説明される。ゴルフボールの種々の層に渡って均一な硬度が採用されても良く、また各層を横切って硬度勾配があってもよい。例えば、コアの硬度は変化しても良いが、一般的には約30〜約65ショアDの範囲であり、より好ましくは約35〜約60ショアDの範囲である。この発明の中間層の硬度もボールの個別の構想に左右されて変化して良い。1実施例において、中間層の硬度は約30〜約75ショアDである。コアおよび中間層と同様に、カバーの硬度も変化して良いけれども、一般的にそれは約30〜65ショアDの範囲である。いくつかの例では、コアは中間層よりも柔らかくなるように企図される。例えば、コアの硬度が約40〜約55ショアDの範囲であって良く、中間層の硬度が約60〜75ショアDの範囲であって良い。さらに、いくつかの例では、外側カバー層が中間層よりも柔らかくなるように企図される。それゆえ、中間層の硬度が約60〜約75ショアDの範囲であり、カバー材料に硬度が約20〜約55ショアDの範囲である。
【0042】
この発明のゴルフボールは当業界で知られている任意の適切な技術を採用して構築されて良い。これらの方法は、一般的には、圧縮成型、フリップ成型、または射出成型を含む。先に検討したように、適切なコア材料は、例えばゴム、スチレンブタジエン、ポリブタジエン、イソプレン、ポリイソプレン、トランス−イソプレンのような熱硬化性材料や、例えば、アイオノマー樹脂、ポリアミドまたはポリエステルのような熱可塑性材料を含む。中間ケーシング層はアイオノマー樹脂または他のポリマー材料から製造して良く、例えば、後退可能ピン射出成型または圧縮成型のような既知の方法を採用して製造して良い。
【0043】
つぎに中間ケーシング層は反応性射出成型または鋳造プロセスを採用してカバー材料により被覆される。鋳造プロセスにおいては、ポリ尿素混合物が上側成型部材のキャビティに注入される。この第1の成型反対は半球構造を伴う。つぎに、対応する下側成型部材のキャビティがポリ尿素混合物で満たされる。この第2の成型半体も半球構造を伴う。キャビティは典型的には予め加熱されてある。ボールカップはゴルフボール(コアおよび上側に配されているケーシング層)を真空により保持する。第1の成型半体中のポリ尿素混合物が準ゲルまたはゲル状態に至ったのち、圧力が除去され、ゴルフボールが下降されて、ポリ尿素混合物を含有する上側成型半体中に移動させられる。つぎに、第1の成型半体が反転されて、ポリ尿素混合物を含有する第2の成型半体と係合され、このポリ尿素混合物も準ゲル状態またはゲル状態に至っている。係合された成型部材中のポリ尿素混合物はゴルフボールカバーを形成する。ポリ尿素混合物およびゴルフボールセンタを含有する係合した第1および第2の成型半体はそのつぎに加熱されて混合物が硬化し、硬くなるようにしてよい。つぎに、ゴルフボールが成型金型から取り外される。ボールは必要であれば加熱または冷却してよい。
【0044】
この発明のポリ尿素組成物で製造されたボールカバー材料はいくつかの有利な特性および効果を伴い、これは以下を含む。第1に、カバー材料は良好な湿気耐性を示す。いずれの理論にも拘束されることを意図しないけれども、ポリ尿素組成物を製造するために採用されたアミン末端ポリカプロラクトンの撥水性の主鎖が、先に説明したように、湿気耐性を改善するのに著しく貢献すると考えられる。第2に、ポリ尿素カバー材料はすぐれた耐久性および摩擦耐性を有する。ポリ尿素カバー材料は長期に渡り元の外観や美観を維持する。
【0045】
[テスト方法]
【0046】
[硬度]:ゴルフボール層(または他の球面)の表面硬度は、コアの分離線または穴や突起のような表面欠陥で測定を行わないように中止しつつ対抗する半球から多くの測定を行ってその平均をとることにより取得される。硬度の測定はASTM D−2240「デュロメータによるゴムおよびプラスチックのアイデンテーションハードネス」に従って行われる。ゴルフボールの面は曲面であるので、表面硬度を読み取る前に、ゴルフボールまたはゴルフボール組立体がデュロメータインデンターの下に芯だしされるように注意する。0.1硬度ユニットの読み出しが可能な較正されたデジタルデュロメータをすべての硬度測定に用い、最大読み値が得られてから1秒後に硬度値を読むように設定する。デジタルデュロメータが自動スタンドのベースに取り付け、その脚部はこのベースに並行にしなければならない。デュロメータの重量およびアタック速度はASTM D2240に準拠する。「材料硬度」および「ゴルフボール表面で直接に測定される硬度」との間には基本的な相違があることに留意されたい。この発明の目的の範囲では、材料硬度はASTM D2240に従って測定され、材料から製造された平らな「スラブ」または「ボタン」の硬度を測定することに一般的に関連する。ゴルフボール(または他の球面)の表面で直接に測定されるような表面硬度は、典型的には異なる硬度値をもたらす。「表面硬度」値と「材料硬度」値との差は、いくつかのファクターに起因し、このファクターは、これに限定されないが、ボール構造(すなわち、コアのタイプ、コアおよび/またはカバー層の数、その他);ボール(または球)の径;および隣接層の材料組成を含む。2つの測定技術は線型には関係しておらず、したがって、一方の硬度値が他方の硬度値と容易に関連付けられないことに留意されたい。
【0047】
ここに説明され図示されたポリ尿素カバーを具備するゴルフボールはこの発明の単に現存の好ましい実施例を示すにすぎないことに留意されたい。この発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、種々の変更や他の実施例を当業者が想到できることを理解されたい。すべてのそのような実施例は添付の特許請求の範囲によりカバーされることに留意されたい。
【符号の説明】
【0048】
10、20、28 ゴルフボール
12、22、30、32 ソリッドコア
24、34 中間ケーシング層
14、24、34 ポリ尿素カバー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、
イソシアネート、アミン末端ポリカプロラクトン、およびアミン末端架橋剤を有する諸成分の反応により生成されるポリ尿素カバー材料とを有するゴルフボール。
【請求項2】
上記コアはポリブタジエンを有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】
上記イソシアネートは、MDI、H12MDI、PPDI、TDI、IPDI、HDI、NDI、XDI、TMXDI、THDI、およびTMDI、ならびにそれらのホモポリマーおよびコポリマーおよび混合物からなるグループから選択される請求項1記載のゴルフボール。
【請求項4】
上記硬化剤は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン;3,5−ジエチル−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン;3,5−ジメチルチオ−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン;3,5−ジエチルチオ−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン;2,2’−ジクロロ−3,3’5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン;ポリテトラメチレングリコール−ジ(p−アミノベンゾエート);4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン;およびこれらの混合物からなるグループから選択された1つのアミン末端効果剤である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項5】
上記ポリ尿素カバー材料はさらに顔料およびフィラーを含む請求項1記載のゴルフボール。
【請求項6】
上記コアの径が約1.26〜約1.60インチである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項7】
上記カバーの厚さが約0.015〜約0.090インチである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項8】
上記カバーの厚さが約0.020〜約0.050インチである請求項7記載のゴルフボール。
【請求項9】
上記カバーの厚さが約0.020〜約0.035インチである請求項8記載のゴルフボール。
【請求項10】
上記コアの硬度が約30〜約65ショアDである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項11】
上記カバーの材料硬度が約30〜約65ショアDである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項12】
上記カバーの材料硬度が約35〜約55ショアDである請求項11記載のゴルフボール。
【請求項13】
コアと、
上記コアを被覆する中間ケーシング層と、
イソシアネート、アミン末端ポリカプロラクトン、およびアミン末端架橋剤を有する諸成分の反応により生成されるポリ尿素カバー材料であって、上記ケーシング層を被覆するものとを有するゴルフボール。
【請求項14】
上記コアはポリブタジエンを有する請求項13記載のゴルフボール。
【請求項15】
上記ケーシング層はアイオノマー樹脂を有する請求項13記載のゴルフボール。
【請求項16】
上記ケーシング層はアイオノマー樹脂および非アイオノマー樹脂のブレンドを有する請求項13記載のゴルフボール。
【請求項17】
上記イソシアネートは、MDI、H12MDI、PPDI、TDI、IPDI、HDI、NDI、XDI、TMXDI、THDI、およびTMDI、ならびにそれらのホモポリマーおよびコポリマーおよび混合物からなるグループから選択される請求項13記載のゴルフボール。
【請求項18】
上記硬化剤は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン;3,5−ジエチル−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン;3,5−ジメチルチオ−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン;3,5−ジエチルチオ−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン;2,2’−ジクロロ−3,3’5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン;ポリテトラメチレングリコール−ジ(p−アミノベンゾエート);4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン;およびこれらの混合物からなるグループから選択された1つのアミン末端効果剤である請求項13記載のゴルフボール。
【請求項19】
上記ポリ尿素カバー材料はさらに顔料およびフィラーを含む請求項13記載のゴルフボール。
【請求項20】
上記コアの径が約1.26〜約1.60インチである請求項13記載のゴルフボール。
【請求項21】
上記中間ケーシング層の厚さが約0.015〜約0.120インチである請求項13記載のゴルフボール。
【請求項22】
上記中間ケーシング層の厚さが約0.020〜約0.060インチである請求項21記載のゴルフボール。
【請求項23】
上記カバーの厚さが約0.015〜約0.090インチである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項24】
上記カバーの厚さが約0.020〜約0.050インチである請求項23記載のゴルフボール。
【請求項25】
上記カバーの厚さが約0.020〜約0.035インチである請求項23記載のゴルフボール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−246930(P2010−246930A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−93980(P2010−93980)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
【Fターム(参考)】