説明

ポリグアニジニウム化合物を含有する口腔用組成物及び製造の方法並びにその使用

本発明は、その抗細菌性、抗齲歯性、及び粘膜付着特性のために有用であるポリグアニジン化合物を形成するための、ポリアミン基剤物質の改変を記載する。本発明は、更に歯周病及び齲歯を予防又は治療するための方法に関し、これは、治療的に有効な量のポリグアニジン化合物を含有する口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、口腔的に受容可能な担体中に分布された、ポリグアニジン化合物を含むオーラルケア組成物を包含する。本発明は、更にポリグアニジン化合物を含有する口腔用組成物を調製するための方法、及びその使用の方法を包含する。活性成分を口腔上皮組織に標的化する、静細菌性又は殺細菌性物質を口腔表面に沈着する、齲歯を遅延又は予防する、象牙質過敏症を治療又は予防する、象牙質の細管を閉塞する、齲蝕性病変を治療する、暴露された歯髄を石灰化する、並びに歯の基部、又は、窪み若しくは亀裂の全てを石灰化する、等のための方法も、更に本発明に包含され、これは、治療的に有効な量のポリグアニジン化合物を含む口腔用組成物を、口腔の供給することを含む。
【背景技術】
【0002】
[0002]歯周病及び齲歯は、最も蔓延した歯の問題である。口腔組織に影響することに加えて、歯周病は、更に各種の全身性疾病を伴う。疾病の軽度の形態である歯肉炎は、宿主の組織の炎症及び歯肉周辺の細菌性プラークの蓄積によって特徴づけられる。改良された口腔衛生の慣行による歯肉炎の治療は、疾病の症状を有意に逆転することができる。然しながら、未治療のまま放置すると、歯肉炎は、更に重篤な、そして不可逆的な歯周病を導く可能性があり、これは、歯の周囲の歯槽骨の進行的喪失に関係し、そして未治療のまま放置した場合、緩み及びその後の歯の喪失を導く可能性がある。
【0003】
[0003]齲歯は、最も感染性の歯の疾病であり、そしてエナメル質、象牙質、及びセメント質の脱石灰化及び喪失をもたらす可能性があり得る。細菌性プラークが起こした未治療の齲歯は、更に象牙質の過敏症及び疼痛、及びその後の歯の喪失を導く可能性があり得る。発酵性の炭化水素の細菌性分解の最終産物として生産された酸は、エナメル質、象牙質、及びセメント質の石灰の殆どを構成するリン酸カルシウム石灰であるヒドロキシアパタイトを溶解する。ある種の食物及びオーラルパーソナルケア製品を含む酸性の薬剤も、更に歯の脱石灰化を起こす可能性があり得る。後者は、多くの商業的に入手可能なマウスウオッシュ及び研磨性練り歯磨きである。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本発明は、ポリグアニジン化合物を形成するポリアミン基剤物質を含む組成物を包含する。ポリグアニジン化合物は、その抗細菌性、抗齲歯性、及び粘膜付着性の特性のために有用である。従って、本発明は、例えば、口腔空洞の歯周病及び齲歯に伴う細菌性プラークを標的とする、抗細菌性及び酸中和特性を伴う活性成分を含むポリグアニジン化合物を包含する。
【0005】
[0005]一つの態様において、本発明は、ポリグアニジン化合物を含有し、対イオン及び口腔的に受容可能な担体を含む口腔用組成物を包含する。
[0006]もう一つの態様において、本発明は、ポリグアニジン化合物を含み、口腔的に受容可能な担体中に分布された対イオンを含む口腔用組成物を調製するための方法を包含する。
【0006】
[0007]もう一つの態様において、本発明は、哺乳動物の口腔上皮組織及び/又は歯を、治療的に有効な量のポリグアニジン化合物を含み、対イオンを含む組成物と接触することによって口腔空洞中の細菌性プラークを阻害する方法を包含する。
【0007】
[0008]もう一つの態様において、本発明は、哺乳動物の口腔上皮組織及び/又は歯を、治療的に有効な量のポリグアニジン化合物を含み、対イオンを含む組成物と接触することによって口腔空洞の歯周病及び齲歯の発症を予防する方法を包含する。
【0008】
[0009]もう一つの態様において、本発明は、治療的に有効な量のポリグアニジン化合物を含み、対イオンを含む口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む、口腔表面に、研磨又は洗浄後も持続する静細菌性又は殺細菌性物質を沈積する方法を包含する。
【0009】
[0010]もう一つの態様において、本発明は、ポリグアニジン化合物を含有し、対イオンを含む、治療的に有効な量の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む、齲歯を遅延又は予防する方法を包含する。
【0010】
[0011]もう一つの態様において、本発明は、ポリグアニジン化合物を含有し、対イオンを含む、治療的に有効な量の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む、象牙質の過敏症を治療又は予防する方法を包含する。
【0011】
[0012]もう一つの態様において、本発明は、ポリグアニジン化合物を含有し、対イオンを含む、治療的に有効な量の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む、象牙質の細管を閉鎖する方法を包含する。
【0012】
[0013] もう一つの態様において、本発明は、ポリグアニジン化合物を含有し、対イオンを含む、治療的に有効な量の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む、齲歯性病変を治療する方法を包含する。
【0013】
[0014] もう一つの態様において、本発明は、ポリグアニジン化合物を含有し、対イオンを含む、治療的に有効な量の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む、暴露された歯髄を石灰化する方法を包含する。
【0014】
[0015] もう一つの態様において、本発明は、ポリグアニジン化合物を含有し、対イオンを含む、治療的に有効な量の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む、歯の基部、又は、窪み若しくは亀裂の全てを石灰化する方法を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本明細書中で開示される組成物を使用する象牙質細孔の閉鎖を示す一連の画像である。
【図2】図2は、本明細書中で開示される組成物による治療後の象牙質表面の酸抵抗性を示す一連の画像である。
【図3】図3は、本明細書中で開示される組成物に対する対照組成物による治療に対して測定された象牙質のコンダクタンス間の比較を示すグラフである。上の線は、生理活性ガラスを含有する試料であり、そして下の線は、対照である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0019]本発明は、ポリグアニジン化合物又はその塩、及び口腔的に受容可能な担体を含むオーラルケア組成物、並びに当該組成物を調製するための方法を包含する。本発明は、更に歯周病及び齲歯を予防又は治療するための方法を包含し、これは、治療的に有効な量のポリグアニジン化合物又はその塩を含む口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む。
【0017】
[0020]I.ポリグアニジン化合物
[0021]本発明は、その抗細菌性、抗齲歯性、及び/又は粘膜付着特性のために有用である、少なくとも一つのポリグアニジン化合物又はその塩を含むオーラルケア組成物を包含する。本発明に含まれるポリグアニジン化合物又はその塩は、口腔表面への治療剤及び対イオンの沈積を可能にし、抗細菌剤として作用して、細菌種の増殖を組成物の使用後長期に阻害し、そして高いpHを維持し、そして再石灰化を促進する。幾つかの態様において、本発明のポリグアニジン組成物は:少なくとも一つのポリカチオン種、少なくとも一つの対イオン種、及び少なくとも一つの口腔的に受容可能な担体を含む。
【0018】
[0022]A.本発明のポリ(グアニジニウム)化合物
[0023]本発明は、少なくとも一つのポリグアニジニウム化合物を含む口腔用組成物を包含する。本明細書中で使用する場合、用語“ポリグアニジン”又は“ポリグアニジニウム”は、互換的に使用され、そして以下の式(I):
【0019】
【化1】

【0020】
の化合物を指し、
[0024]式中:
[0025]Rは、ZがCHである場合、水素、水酸化物、メトキシド、及び直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の、所望によりヒドロキシル化されたCないしC16アルキル基であり、或いはZがNである場合、水素及び直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の、所望によりヒドロキシル化されたCないしC16アルキルであり;
[0026]R及びRは、それぞれ独立に水素、或いは直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の所望によりヒドロキシル化されたCないしC16アルキル基であり;
[0027]Aは、共有結合であるか、或いは直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の、所望によりヒドロキシル化されたCないしC16アルキル基であり;
[0028]Zは、CH又はNであり;
[0029]X−は、対イオン(counter ion)、例えば、重炭酸又は塩化物であり;そして
[0030]nは、2及び5,000間の整数である。
【0021】
[0031]本発明のポリグアニジニウム化合物は、口腔的に受容可能な多価荷電イオン又は正味の正の電荷により多価荷電イオンに解離することが可能な塩として存在することができる。幾つかの態様において、ポリカチオン種は、ポリアミンである。幾つかの態様において、ポリカチオン種は、ポリグアニジニウム化合物である。
【0022】
[0032]幾つかの態様において、ポリグアニジン化合物は、少なくとも一つの側鎖基(R)を含む。幾つかの態様において、側鎖基(R)は、水素;ヒドロキシル;及び直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の、所望によりヒドロキシル化されたCないしC16アルキル基である。一つの態様において、側鎖基は、水素原子である。
【0023】
[0033]幾つかの態様において、ポリグアニジン化合物は、炭水化物鎖(A)を含む。幾つかの態様において、アルキル鎖(A)は、直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の、所望によりヒドロキシル化されたCないしC16アルキル基である。幾つかの態様において、アルキル鎖(A)は、直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の:ヒドロキシル、カルボキシル、又はカルボン酸ラジカル或いはハロゲン;を含む少なくとも一つの基で所望により置換されていてもよいCないしC16アルキレンラジカルであり;アルキレンラジカルは:アミン、エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、カルバミン酸、尿素、又は、C−Cアルキル基、ヒドロキシル若しくはハロゲンで所望により置換されていてもよい、Cアリール又はCないしC環、からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を所望により含有していてもよい。幾つかの態様において、アルキル鎖(A)は、非置換の、又はC−Cアルキル、ヒドロキシル基若しくはハロゲンで置換された、一つ又はそれより多いC又はCアリール或いはCないしCシクラニル(cyclanyl)環である。幾つかの態様において、炭化水素鎖(A)は:C10ないしC14ポリアリール又はCないしC10ポリシクラニル鎖からなる群から選択され、これは:C−Cアルキレンラジカル、アミン、アミド、エーテル、チオエーテル、水素原子、カルバミン酸又は尿素からなる群から選択される少なくとも一つの官能基で中断されていてもよい。
【0024】
[0034]幾つかの態様において、ポリグアニジン化合物は、n単位を含み、ここで、nは2及び5,000間の整数である。
[0035]ある態様において、ポリグアニジニウム化合物は、以下の式:
【0025】
【化2】

【0026】
【化3】

【0027】
【化4】

【0028】
【化5】

【0029】
【化6】

【0030】
【化7】

【0031】
である。
[0036]幾つかの態様において、ポリグアニジン化合物は、抗細菌特性を有する。一つの態様において、ポリグアニジン化合物の抗細菌活性は、強力に塩基性のカチオン性構造−クロルヘキサジンに類似の存在による。理論によって制約されるものではないが、作用の機構は、唾液のタンパク質中に見出される酸性基に強力に引付けられた正の電荷による。結果として、これは、口腔空洞中の薄皮及び軟質組織に強力に結合し、ここにこれは、数時間にわたって存在する。従って、ポリグアニジニウム塩は、負に荷電した細菌の壁への付着、そしてその後の、薄皮及び歯肉への細菌性プラークの付着のために必要なCa2+塩架橋の破壊により、口腔空洞中の細菌の増殖を阻害する。一つの態様において、本発明のポリグアニジン化合物は、負に荷電した細菌細胞の壁に対するその親和性により、一般的な抗菌活性を有するポリカチオンである。一つの態様において、この反対に荷電した相互作用は、細菌性プラークの付着又は細菌細胞の死の阻害を導くことができる、細菌膜との会合及び破壊を起こす。
【0032】
[0037]幾つかの態様において、本発明のポリグアニジニウム化合物は、粘膜付着特性を有する。幾つかの態様において、これらの粘膜付着特性は、静電気的及び親油性の相互作用を含む。粘膜性上皮を含む口腔表面は、膜の糖タンパク質及び糖脂質による正味負の電荷を有する。唾液中の糖タンパク質も更に全体的に負の電荷を含有する。更に、口腔表面は、細胞膜中に包埋された多くのリン酸塩及び二座の荷電された種を含有し、これは、ポリカチオンと相互作用して、細胞の脂質膜を横切ることができる強力に付着性の親油性分子を作成する。従って、一つの態様において、本発明のポリグアニジニウム化合物は、静電気的相互作用による口腔粘膜表面への強力な親和性を有する。
【0033】
[0038]一つの態様において、ポリグアニジニウム化合物は、口腔組織に吸着されることができる強力に付着性の親油性分子を形成する。一つの態様において、ポリグアニジン化合物は、会合した活性成分を直接口腔表面に標的化する。一つの態様において、ポリグアニジン化合物は、活性成分の口腔組織への吸着を容易にする。一つの態様において、活性成分は、静細菌性及び殺細菌性物質からなる群から選択される。一つの態様において、ポリグアニジン化合物は、静細菌性又は殺細菌性物質を口腔表面に沈積し、これは、研磨及び洗浄後、長期に持続する。
【0034】
[0039]B.対イオン
[0040]幾つかの態様において、本発明のオーラルケア組成物は、少なくとも一つの対イオン種を含む。幾つかの態様において、対イオンの供給源は:抗細菌剤、抗齲歯性薬剤、及び酸中和性化合物からなる群から選択される。幾つかの態様において、本発明の口腔用組成物は:炭酸及びリン酸からなる群から選択される対イオンを組み込んでいる。幾つかの態様において、対イオン種は炭酸である。幾つかの態様において、対イオン種は重炭酸である。幾つかの態様において、対イオンはリン酸である。幾つかの態様において、対イオン種は塩化物である。
【0035】
[0041]一つの態様において、少なくとも一つの対イオン種は、重炭酸である。幾つかの態様において、本発明の口腔用組成物は、更に第2の対イオン種を含む。幾つかの態様において、第2の対イオン種は、炭酸である。一つの態様において、第2の対イオン種は、炭酸カルシウムである。
【0036】
[0042]幾つかの態様において、本発明の口腔用組成物は、酸を中和する及び/又は口腔表面に見出される細菌の代謝に影響することができる対イオン種を含む。幾つかの態様において、対イオン種は、脱石灰化を減少させ得る。幾つかの態様において、対イオン種はリン酸であり、これは、歯のエナメル質に表面毒を与え、そして質量作用によって歯のエナメル質の可溶化を抑制するオルトリン酸に加水分解することによって、歯の脱石灰化を減少することができる。
【0037】
[0043]幾つかの態様において、対イオン種は炭酸又は重炭酸であり、これは、歯の石灰の溶解のために利用可能である歯垢及び歯の表面の酸の量を減少する緩衝作用を提供する。幾つかの態様において、炭酸及び重炭酸対イオン種は、プラーク細菌によるグアニジンの分解のための最適pHの近辺のpHを維持することによって、ポリグアニジン化合物の酸中和活性を向上する。グアニジンは、多くの細菌によって窒素化合物の供給源として代謝される。その分解は、副産物としてのアンモニアの産生をもたらし、これは更に酸の中和及び高いpHレベルの維持に貢献する。幾つかの態様において、炭酸又は重炭酸対イオン種は、pHをpH6.0ないしpH9.0のレベルに維持する。一つの態様において、口腔用組成物のpHは、pH7.0ないしpH8.0の範囲である。幾つかの態様において、炭酸又は重炭酸対イオン種は、酸が中和される場合、二酸化炭素の濃度を減少する。
【0038】
[0044]C.担体
[0045]受容可能な口腔用担体は、デンタルケア製品、食物製品、及びチューインガムのようないずれもの慣用的な口腔供給系を含む。デンタルケア産物の例は、制約されるものではないが、歯磨剤、局所用溶液又はペースト、液体の形態のマウスウオッシュ又は噴霧剤或いはスラリー、粉末、ゲル又は錠剤、及びデンタルフロスを含む得る。本明細書中に記載される口腔用組成物を含有することができる食品産物の例は、制約されるものではないが、ロゼンジ及び菓子を含み得る。
【0039】
[0046]幾つかの態様において、本発明の口腔用組成物は、当業者にとって既知の、特定の口腔用担体のためのいずれもの慣用的成分を含有してもよい。例えば、液体のマウスウオッシュは、蒸留又は脱イオン水、エタノール等のような溶媒;サッカリン、アスパルテーム等のような甘味剤;及び薄荷油、スペアミント油等のような芳香剤を含有することができる。歯磨きペースト又はゲルは、例えば、水、グリセリン又はソルビトール、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、樹脂、不溶性メタリン酸アルカリ金属等のような慣用的研磨剤;ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンゴム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のような結合剤;ラウリル硫酸ナトリウム、スルホン酸ココナツモノグリセリドナトリウム、ナトリウム−N−メチル−N−パルミトイルタウライド(tauride)等のような発泡剤;芳香剤;甘味剤;防腐剤及び特定の製剤のために必要ないずれもの他の成分を含有することができる。歯磨き粉は、慣用的研磨剤及び芳香剤を含有することができる。錠剤及び粉末は、例えば、ラクトース、マンニトール等のようなベヒクル;トウモロコシデンプン、カルボキシメチルセルロース等のような結合剤;並びに崩壊剤を含有することができる。
【0040】
[0047]口腔に暴露された歯根の表面の破壊されたセメント質のような敏感な歯の部位に対する局所適用のための歯磨剤又はペーストは、組成物においてより単純なものであtってもよく、そして柔らかい塗布器で適用され得る。このような歯磨剤又はペーストは、慣用的な研磨剤、発泡剤、及び芳香剤を含有してもよく、又は、これらを含有しなくてもよい。歯の修復のための歯形成後の象牙質のような局在的部位は、更により単純な組成物に関係し、そして覆髄、キャビティーライナー及びセメントに使用される充填剤、並びに当業者によって組成物のために必要とされる、いずれもの他の成分を含むものである。例えば、酸化亜鉛及びオイゲノールは、歯科用セメント組成物のために適当であることができる。
【0041】
[0048]D.賦形剤
[0049]幾つかの態様において、本発明のポリグアニジン組成物は、更に少なくとも一つの賦形剤を含むことができる。賦形剤は、本発明において使用するために適したいずれもの化学基又は化合物の群から選択することができる。
【0042】
[0050]幾つかの態様において、本発明の口腔用組成物は、更にカルシウム塩を含む。幾つかの態様において、カルシウム塩は:炭酸カルシウム、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、フッ化カルシウム、モノフルオロリン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウムナトリウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、及びこれらの組合せからなる群から選択される。一つの態様において、カルシウム塩は、炭酸カルシウムである。幾つかの態様において、カルシウム塩は、歯のエナメル質を再石灰化するための水酸化カルシウムを製造する。幾つかの態様において、カルシウム塩は、フッ化カルシウムである。幾つかの態様において、本発明の口腔用組成物は、治療的に有効な量のフッ化カルシウムを含む。
【0043】
[0051]幾つかの態様において、本発明の口腔用組成物は、更にリンの供給源を含む。幾つかの態様において、リンの供給源は:イノシトール三リン酸(IP3)、イノシトール四リン酸(IP4)、イノシトール五リン酸(IP5)、イノシトール六リン酸(inositol hexakisphophate)(IP6)、及びこれらの組合せからなる群から選択されるフィチン酸基(phytate)又はフィチン酸(phytic acid)である。これらの化合物は、多数のリン酸基を含有し、そして結果としてカチオンとのイオン性架橋を形成することが可能である。
【0044】
[0052]幾つかの態様において、ポリグアニジン化合物及び重炭酸対イオン種を含む本発明の口腔用組成物は、更に炭酸カルシウム及びフィチン酸塩(phytate salt)を含む。幾つかの態様において、ポリグアニジン化合物及び重炭酸対イオン種を含み、そして更に炭酸カルシウム及びフィチン酸塩を含む前記の口腔用組成物は、重炭酸及び炭酸イオンの緩衝能力によってpHの低下を防止することが可能である。本発明のポリグアニジン化合物は、酸の中和のために、鎖当たり多数の重炭酸対イオンを保持することが可能である。グアニジニウム基の大きいpKa値は、第1にこれらが重炭酸対イオン種を安定させることを可能にする。次いで重炭酸及び炭酸は、細菌性プラークによって産生された炭水化物発酵産物からの酸性の副産物と直接反応し、そして中和することが可能である。この高いpHの範囲は、齲歯の形成を阻害し、そしてカルシウムイオンの存在によって再石灰化を促進する。
【0045】
[0053]幾つかの態様において、ポリグアニジン化合物、炭酸カルシウム、及びフィチン酸塩は、更に相互作用して、複合化合物を形成することができる。幾つかの態様において、ポリグアニジン化合物及び炭酸カルシウムは、フィチン酸塩に結合して、フィチン酸グアニジンカルシウム複合体を形成することができる。幾つかの態様において、本発明のポリグアニジン基剤の口腔用組成物へのCa2+イオンの組込み及び供給は、フィチン酸塩の使用によって援助され、これは、Ca2+及びグアニジニウムポリカチオン間にイオン性架橋を形成する。
【0046】
[0054]II.本発明の組成物中の他の成分
[0055]ある態様において、本発明は、歯磨剤の処方において慣用的に使用されるいずれかの他の添加剤を含んでもよい。いずれかの適した量又は形態の、いずれかの適した添加剤を使用することができる。本発明における使用のために適した添加剤は、制約されるものではないが:界面活性剤、カルシウム塩を含む脱感作剤、フッ素源、ホワイトニング剤、歯石制御剤、抗細菌剤、シリカを含む研磨剤、結合剤及び増粘剤、洗浄剤、接着剤、発泡調節剤、pH調節剤、口内感触剤、甘味剤、芳香剤、着色剤、保存剤、これらの組合せ、等を含む。これらの添加剤が、所望による成分であり、そして本発明の自動皿洗い組成物から、個別に又は一括して除外することができることは理解されることである。それぞれの上記の物質の分類の一般的特質は異なっているが、幾つかの共通の特質が存在し、そしていずれもの与えられた物質は、二つ又はそれより多いこのような分類の物質の多数の目的を果たすことができることも更に理解されることである。
【0047】
[0056]A.界面活性剤
[0057]本発明において使用するために適した界面活性剤は、制約されるものではないが:当業者にとって既知の、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性電解質界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物を含む。適した界面活性剤は、所望により界面活性剤系であってもよい、いずれかの適した量又は形態で加えることができ、そして制約されるものではないが、清浄性及び/又は発泡特性を含むいずれもの所望の特性を得るために加えることができる。適した界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性界面活性剤を含むことができる。
【0048】
[0058]一つの態様において、本発明の組成物は、少なくとも一つの界面活性剤を含む。一つの態様において、少なくとも一つの界面活性剤を含む組成物は、ラウリル硫酸ナトリウムを含む。一つの態様において、組成物は、ラウリル硫酸ナトリウムを0.5重量%ないし10重量%の量で含む。一つの態様において、組成物は、ラウリル硫酸ナトリウムを1重量%ないし5重量%の量で含む。一つの態様において、組成物は、ラウリル硫酸ナトリウムを1.5重量%ないし2重量%の量で含む。
【0049】
[0059]一つの態様において、少なくとも一つの界面活性剤を含む本発明の歯磨剤組成物は、ポロキサマーを含む。一つの態様において、ポロキサマーを含む組成物は、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーを含む。一つの態様において、ポロキサマーを含む組成物は、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーを、1.0重量%ないし45.0重量%の量で含む。一つの態様において、ポロキサマーを含む組成物は、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーを、5.0重量%ないし35.0重量%の量で含む。一つの態様において、ポロキサマーを含む組成物は、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーを、10.0重量%ないし25.0重量%の量で含む。
【0050】
[0060]歯石制御剤
[0061]幾つかの態様において、本発明の組成物は、本明細書中で詳細に記載される生理活性ガラス及び/又はカリウム塩の効力を妨害しないように処方された、歯石制御(抗歯石)剤を所望により含んでもよい。本明細書中で有用な歯石制御剤は、いずれかのこれらの薬剤の塩、例えばそのアルカリ金属及びアンモニウム塩:リン酸塩及びポリリン酸塩(例えばピロリン酸塩)、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、ポリオレフィンスルホン酸塩、ポリオレフィンリン酸塩、アザシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸塩(例えば、アザシクロヘプタン−2,2−ジホスホン酸)、N−メチルアザシクロ−ペンタン−2,3−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸(EHDP)及びエタン−1−アミノ−1,1−ジホスホン酸塩、ホスホノアルカンカルボン酸及びのようなジホスホン酸塩を含む。有用な無機リン酸及びポリリン酸塩は、一塩基性、二塩基性及び三塩基性リン酸ナトリウム、トリポリリン酸、テトラポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸一、二、三及び四ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム及びこれらの混合物を含む。
【0051】
[0062]C.フッ化物源
[0063]本発明において使用するために適したフッ化物源は、生理活性ガラスの効力を妨害しないように処方された、いずれかの口腔的に受容可能な粒状化されたフッ化物イオン含有薬剤を含んでもよく、そしてこれは、例えば抗齲歯性薬剤として有用であり得る。適したフッ素源は、制約されるものではないが:アルカリ金属フッ化物を含むイオン性フッ化物;オラフルール(N’−オクタデシルトリメチレンジアミン−N,N,N’−トリス(2−エタノール)−ジヒドロフルオライド)のようなアミンフッ化物;フッ化スズ;フッ化インジューム;並びにカリウム、ナトリウムのようなアルカリ金属モノフルオロリン酸塩並びにアンモニウムフッ化物及びモノフルオロリン酸塩を含むイオン性モノフルオロリン酸塩を含み得る。
【0052】
[0064]一つの態様において、本発明の歯磨剤組成物は、更にフッ素源を含む。一つの態様において、組成物は、更にフッ化物塩を含む。一つの態様において、フッ化物塩を更に含む組成物は、モノフルオロリン酸ナトリウムを含む。一つの態様において、フッ化物源がイオン性モノフルオロリン酸基である場合、イオン性モノフルオロリン酸基の活性を向上することが示されているグリセロリン酸カルシウムを、所望により加えることができる。一つの態様において、組成物は、100ないし3000ppm間のフッ化物を与えるフッ素源を含んでもよい。一つの態様において、組成物は、500ないし2000ppmのフッ化物を与えるフッ素源を含むことができる。
【0053】
[0065]ホワイトニング剤
[0066]本発明において使用するために適したホワイトニング剤は、口腔空洞中で使用するために適したいずれかの治療的に有効な薬剤を含んでもよい。適したホワイトニング剤は、制約されるものではないが:二酸化チタン、過酸化水素、トリポリリン酸ナトリウム、等を含む。一つの態様において、本発明の歯磨剤組成物は、更にホワイトニング剤を含む。一つの態様において、本発明の組成物は、更に二酸化チタンを含む。一つの態様において、二酸化チタンを適当なレベルで含むことができる。
【0054】
[0067]E.研磨剤
[0068]本発明において使用するために適した研磨剤は、生理活性ガラスの効力を妨害しないように処方された、いずれかの口腔的に受容可能な粒状化された薬剤を含んでもよい。本発明において使用するための適した研磨剤は、制約されるものではないが:シリカ、オルトリン酸亜鉛、重炭酸ナトリウム(重曹)、プラスチック粒子、アルミナ、水和アルミナ、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、及びこれらの混合物を含み得る。シリカ研磨剤は、珪藻土を含む天然の非晶質シリカ;又は沈降シリカのような合成非晶質シリカ;又はシリカキセロゲルのような、シリカゲル;或いはこれらの混合物であってもよい。
【0055】
[0069]一般的に、本発明の歯磨剤組成物において使用するために適した研磨剤の量は、当技術において公知の技術によって、清浄さ及び研磨の受容可能なレベル得るために、経験的に決定されるものである。一つの態様において、本発明の歯磨剤組成物は、研磨剤を含む。一つの態様において、本発明の歯磨剤組成物は、シリカ研磨剤を含む。一つの態様において、シリカ研磨剤は、1重量%ないし30重量%の量で存在する。一つの態様において、シリカ研磨剤は、5重量%ないし15重量%の量で存在する。一つの態様において、シリカ研磨剤は、7重量%ないし10重量%の量で存在する。
【0056】
[0070]F.口内感触剤
[0071]本発明において使用するために適した口内感触剤は、歯磨剤組成物の使用中に所望の質感又は他の感触を与える、いずれかの口腔的に受容可能な物質を、いずれかの形態又は量で含んでもよい。適した口内感触剤は、制約されるものではないが:分散性芳香剤、甘味剤、唾液刺激剤、等を含み得る。
【0057】
[0072]本明細書中で有用な芳香剤は、組成物の風味を向上するために使用可能ないずれかの物質又は物質の混合物を含む。芳香油、芳香性アルデヒド、エステル、アルコール、同様な物質、及びこれらの混合物のようないずれもの口腔的に受容可能な天然の又は合成の芳香剤を使用し得る。芳香剤は、バニラ、セージ、マジョラム、パセリ油、スペアミント油、桂皮油、緑冬油(サリチル酸メチル)、薄荷油、丁子油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、柑橘油、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、アプリコット、バナナ、ブドウ、リンゴ、イチゴ、サクランボ、パイナップル、等から誘導されたものを含む果実油及び精油、コーヒー、ココア、コーラ、ピーナツ、アーモンド、等のような豆及び木の実由来の香料、吸着された及びカプセル化された芳香剤、並びにこれらの混合物を含む。本明細書中の芳香剤に更に包含されるものは、芳香及び/又は冷却又は加熱効果を含む口中の他の感覚効果を与える成分である。このような成分は、メタノール、酢酸メチル(menthyl)、酪酸メチル(menthyl)、樟脳、ユーカリ油、ユーカリプトール、アネトール、オイゲノール、カッシア、オキサノン(oxanone)、アルファ−イリソン、プロペニルグアイエトール(guaiethol)、チモール、リナロール、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、N−エチル−p−メタン(menthan)−3−カルボキシアミン、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、3−1−メトキシ(menthoxy)プロパン−1,2−ジオール、シンナムアルデヒドグリセロールアセタール(CGA)、メタン(methone)グリセロールアセタール(MGA)、及びこれらの混合物を含む。一つ又はそれより多い芳香剤は、0.01%ないし5%、各種の態様において所望により0.05ないし2%、0.1%ないし2.5%、そして0.1ないし0.5%の全量で所望により存在する。
【0058】
[0073]本明細書中で有用な甘味剤は、口腔的に受容可能な天然の又は人工の、栄養的又は非栄養的甘味剤を含む。このような甘味剤は、デキストロース、ポリデキストロース、スクロース、マルトース、デキストリン、乾燥転化糖、マンノース、キシロース、リボース、フルクトース、左旋糖、ガラクトース、コーンシロップ(高フルクトースコーンシロップ及びコーンシロップの固体を含む)、部分的に加水分解されたデンプン、水素化デンプン加水分解物、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、イソマルト(isomalt)、アスパルテーム、ネオテーム、サッカリン及びその塩、スクラロース、ジペプチドベース強力甘味剤、シクラミン酸、ジヒドロカルコン、並びにこれらの混合物を含む。選択される特定の甘味料(類)に強く依存するが、しかし典型的には0.005%ないし5%、所望により0.01%ないし1%の全量で、一つ又はそれより多い甘味剤が所望により存在する。
【0059】
[0074]本発明の組成物は、本明細書中に詳細に記載される生理活性ガラス及び/又はカリウム塩の効力を妨害しないように処方された、例えば口渇症の寛解において有用な唾液刺激剤を、所望により含んでもよい。一つ又はそれより多い唾液刺激剤が、唾液刺激に有効な全量で所望により存在する。
【0060】
[0075]G.閉塞剤
[0076]本発明の閉塞剤は、制約されるものではないが、生理活性ガラス、アルギニン/炭酸カルシウム、重炭酸アルギニン/炭酸カルシウム、及び細粒シリカ又は組合せを含む。本明細書中で使用する場合、用語“閉塞剤”は、歯又は歯の表面の再石灰化を援助するいずれもの薬剤、或いは歯の表面上及びその内部に化合物を沈積し、そして歯の組織に適用された場合、歯の脆弱性を予防及び/又は修復する薬剤を指す。例えば、非晶質リン酸カルシウム、非晶質フッ化リン酸カルシウム及び非晶質リン酸炭酸カルシウムを含む非晶質カルシウム化合物のような歯の再石灰化において使用するための生理活性ガラス。本発明の閉塞剤は、歯の組織に適用された場合、歯の脆弱性を予防及び/又は修復する。
【0061】
[0077]1.生理活性ガラス
[0078]本発明の組成物は、一般的に一つ又はそれより多い生体受容可能(bioacceptable)生理活性ガラスを含む。
【0062】
[0079]本発明において使用するための適した生体受容可能な生理活性ガラスは、制約されるものではないが、本発明によるヒドロキシ炭酸アパタイトの層を形成することが可能な無機ガラス物質を含む。一つの態様において、本発明の歯磨剤組成物は、生理活性な生体受容可能なガラスを含む。一つの態様において、組成物は、ホスホケイ酸カルシウムナトリウムを含む。一つの態様において、組成物は、ホスホケイ酸カルシウムナトリウムを、1.0重量%ないし20重量%の量で含む。一つの態様において、組成物は、ホスホケイ酸カルシウムナトリウムを、5.0重量%ないし15重量%の量で含む。一つの態様において、組成物は、ホスホケイ酸カルシウムナトリウムを、10重量%の量で含む。
【0063】
[0080]適した生体受容可能及び生理活性ガラスは:40重量%ないし86重量%の二酸化ケイ素(SiO);0重量%ないし35重量%の酸化ナトリウム(NaO);4重量%ないし46重量%の酸化カルシウム(CaO);及び1重量%ないし15重量%の酸化リン(P)を含む組成を有することができる。好ましくは、生体受容可能及び生理活性ガラスは:40重量%ないし60重量%の二酸化ケイ素(SiO);10重量%ないし30重量%の酸化ナトリウム(NaO);10重量%ないし30重量%の酸化カルシウム(CaO);及び2重量%ないし8重量%の酸化リン(P)を含む。酸化物は、固溶液、又は混合酸化物として、或いは酸化物の混合物として存在することができる。本発明において使用するために適した例示的な生体受容可能及び生理活性ガラスは、NovaMin(登録商標)を含み、これは、45重量%の二酸化ケイ素、24.5重量%の酸化ナトリウム、6重量%の酸化リン、及び24.5重量%の酸化カルシウムを含む組成を有する。
【0064】
[0081]一つの態様において、適した生体受容可能及び生理活性ガラスの組成物は、ケイ素、ナトリウム、リン及びカルシウム酸化物に加えて、更に:CaF、B、Al、MgO及びKOも含み得る。ある態様において、CaFの範囲は、0重量%ないし25重量%である。Bの好ましい範囲は、0重量%ないし10重量%である。Alの好ましい範囲は、0重量%ないし4重量%である。MgOの好ましい範囲は、0重量%ないし5重量%である。KOの好ましい範囲は、0重量%ないし8重量%である。
【0065】
[0082]生体受容可能及び生理活性ガラスの“有効な”量は、活性成分が投与されるヒト又は下等動物の患者において、不都合な副作用(毒性、刺激、又はアレルギー性反応のような)を伴わずに、本発明の方法で使用された場合、妥当な利益/危険度比で均衡した所望の治療又は予防的効果を有するために十分である量である。具体的な有効な量は、治療される特定の症状、患者の身体的状態、併用療法の特質(もしあれば)、使用される具体的な活性物質(active)、具体的な投与形態、使用される担体、及び所望の投与計画のような因子によって変化するものである。
【0066】
[0083]本発明の生理活性ガラスは、歯の構造との相互作用のための有効な物質を提供する。本発明による生体適合性ガラスは、不都合な免疫性反応を引き起こさないものである。
【0067】
[0084]本発明によれば、規定された粒子の大きさの生理活性ガラスが、上述の症状の治療において特に有用であることが見いだされている。具体的には、小さい及び非常に小さい粒子が混合された本発明の組成物によって驚くべき結果が得られている。ある態様において、例えば、組成物の生理活性ガラス部分は、歯の構造と結合することが可能である小さい粒子(例えば90ミクロンより小さい)を含み、同様により小さい粒子(例えば10より小さい)が組合せて使用され、これらの粒子の大きいものは、歯の構造に付着し、そしてイオン貯蔵所として作用し、一方小さいものは各種の歯の構造の表面の不規則部分の内部に入り、そしてその中に留まることが可能である。
【0068】
[0085]一つの態様において、本発明における使用のために適した生体受容可能及び生理活性ガラスは、粒子の非連結生理活性ガラスである。一つの態様において、ガラスは、90μmより小さい粒子の大きさの範囲を有する。一つの態様において、ガラスは、70μmより小さい粒子の大きさの範囲を有する。一つの態様において、ガラスは、50μmより小さい粒子の大きさの範囲を有する。一つの態様において、ガラスは、40μmより小さい粒子の大きさの範囲を有する。一つの態様において、ガラスは、30μmより小さい粒子の大きさの範囲を有する。一つの態様において、ガラスは、20μmより小さい粒子の大きさの範囲を有する。ある態様において、組成物の生理活性ガラス部分の粒子の大きさは、20、10、5、4、3、2、1ミクロンより小さい。
【0069】
[0086]ある態様において、これらの粒子(例えば90ミクロンより小さいないし20ミクロンより小さい)の大きいものは、小さい粒子(例えば20ミクロンより小さいないし1ミクロンより小さい)によって開始された石灰化、又はリン酸カルシウム層の沈積を継続することができるように、更なるカルシウム及びリンの貯蔵所を提供する。本発明のある態様において、更なるカルシウム及びリンは、全ての歯の構造、並びに粒子に浸出することができ、これは、象牙質細管のような歯の構造の表面の不規則部分の内部又は開口部に付着するようになる。これが、今度は全体の反応の継続を提供し、そしてこれらの粒子の小さいものの成長を継続し、これは、このような表面の不規則部分の開口部の内側又はその上に留まり、そして表面の不規則部分の有効な被覆又は充填をもたらすことができる。小さい粒子がその比較的高い表面積のためにそのイオンを急速に消耗するために、このカルシウム及びリンのイオンの過剰な濃度は、これらの粒子の小さいものの反応が起こることを可能にする。これらの粒子の大きいものは、そのイオンを更にゆっくりと反応し、そして長時間効果として放出するものである。更に、これらの粒子の大きいものは、歯の表面の開口部の各種の表面の不規則部分を機械的に摩耗し、小さい粒子が表面の不規則部分に侵入し、そしてそれと反応することを可能にする。
【0070】
[0087]この効果は、各種の適用において非常に利益がある。例えば、齲歯又は崩壊の予防において、本発明の組成物は、最小の表面の不規則部分の深部に侵入し、そしてその貯蔵したイオン供給を消耗した後に成長することを可能にするために、イオンの継続した供給を大きい近辺の粒子から受けることが可能である。これは、更に窪み及び亀裂を密封する場合非常に有用であり、そしてなお更に有効なそして長持ちする密封が得られる。
【0071】
[0088]これらの細管の閉塞は、例えば歯周病の手術後の敏感性の量の有意な減少に導く。ある態様において、直径2ミクロンより小さい粒子及び45ミクロンより大きい粒子の混合物が使用される。この組み合わせが特に有効な組成物を得ることが見いだされている。
【0072】
[0089]ある態様において、生体受容可能及び生理活性ガラスは、重量による以下を含むガラス組成を包含する:
【0073】
【表1】

【0074】
[0090]ある態様において、重量パーセントによる以下の組成は、生理活性ガラスを包含する:
【0075】
【表2】

【0076】
[0091]各種の態様において、生理活性ガラスは、1重量%ないし35重量%、5重量%ないし30重量%、10重量%ないし25重量%、15重量%ないし20重量%、及び20重量%の量で組成物中に存在する。
【0077】
[0092]2.重炭酸アルギニン/炭酸カルシウム
[0093]ある態様において、閉塞剤は、アミノ酸複合体である重炭酸アルギニン及び炭酸カルシウムの粒子を含む。ある態様において、重炭酸アルギニン/炭酸カルシウムは、研磨剤である。ある態様において、重炭酸アルギニン/炭酸カルシウム複合体は、粒子の接続をさらに向上するアルカリ性環境を作る。
【0078】
[0094]ある態様において、重炭酸アルギニン/炭酸カルシウム組成物は、齲歯における歯の鉱質の喪失及び象牙質過敏症を攻撃することができる。他の態様において、これらの重炭酸アルギニン/炭酸カルシウム組成物は、酸の産生を中和し、そして歯の構造の再石灰化することが可能である。
【0079】
[0095]各種の態様において、重炭酸アルギニン/炭酸カルシウムは、1重量%ないし35重量%、5重量%ないし30重量%、10重量%ないし25重量%、15重量%ないし20重量%、及び20重量%の量で組成物中に存在する。
【0080】
[0096]3.細粒シリカ
[0097]ある態様において、閉塞剤は、シリカを含み、ある態様において細粒シリカを含む。近年歯科の分野で広く使用されている複合修復物質は、以下の特質を有することが要求されている。ある態様において、細粒シリカは、0.01μmないし100μm、0.1μmないし50μm、1μmないし10μm、及び5μmの平均の粒子の大きさを有する、又はこれらの組合せの超微粒子を含む。
【0081】
[0098]更に、細粒シリカの存在は、製剤をISO標準によって容認されるpHの範囲にし、同時に更なる閉塞の利益を提供する、pH緩衝剤として作用した。In vitroの保持、及び象牙質のコンダクタンスの研究は、従来の消費者及び臨床的に試験された対照産物と比較した場合、保持、歯液の流れの減少、及び酸抵抗性において有意な改良を示した。
【0082】
[0099]各種の態様において、細粒シリカは、1重量%ないし35重量%、5重量%ないし30重量%、10重量%ないし25重量%、15重量%ないし20重量%、及び20重量%の量で組成物中に存在する。
【0083】
[00100]H.他の活性物質(actives)
[00101]幾つかの態様において、本発明の組成物は、口腔空洞中の硬質又は軟質組織の症状又は疾患の予防或いは治療、或いは生理学的疾患又は症状の予防又は治療のために使用可能な他の活性物質を所望により含んでもよい。幾つかの態様において、活性物質は、全体的に又は部分的に口腔空洞の疾患ではない疾患を治療又は予防するために使用可能である“全身性活性物質”である。幾つかの態様において、活性物質は、口腔空洞内の疾患を治療又は予防する、或いは美容上の利益を得るために使用可能な“オーラルケア活性物質”である(例えば口腔空洞の歯、歯肉或いは他の硬質又は軟質組織への)。本明細書中で有用なオーラルケア活性物質は、ホワイトニング剤、抗齲歯剤、歯石制御剤、抗プラーク剤、歯周部活性物質、研磨剤、口臭消臭剤、歯減感剤、唾液刺激剤、及びこれらの組合せを含む。
【0084】
[00102]幾つかの態様において、本発明の組成物は、本明細書中で詳細に説明される生理活性ガラス及び/又はカリウム塩の効力を妨害しないように処方された抗細菌剤を所望により含むことができる。抗細菌剤の例は、制約されるものではないが、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、及びこれらの組合せを含む。
【0085】
[00103]幾つかの態様において、本発明の組成物は、本明細書中で詳細に説明される生理活性ガラス及び/又はカリウム塩の効力を妨害しないように処方された栄養剤を所望により含み、含んでなることができる。適した栄養剤は、ビタミン、鉱質、アミノ酸、及びこれらの混合物を含む。ビタミンは、ビタミンC及びD、チアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン、パラ−アミノ安息香酸、ビフラボノイド(bioflavonoids)、及びこれらの混合物を含む。栄養補助食品は、アミノ酸(L−トリプトファン、L−リシン、メチオニン、トレオニン、レボカルニチン及びL−カルニチンのような)、脂肪作動薬(コリン、イノシトール、ベタイン、及びリノレイン酸のような)、及びこれらの混合物を含む。
【0086】
[00104]幾つかの態様において、本発明の組成物は、更に抗汚染剤を含有することができる。適した抗汚染剤は、制約されるものではないが:カルボン酸、アミノカルボン酸化合物、ホスホノ酢酸、ポリビニルピロリドン、等を含むことができる。抗汚染剤は、歯磨剤組成物中に組込むことができるか、又は歯磨剤の後に使用するための別個の組成物として提供することができる。
【0087】
[00105]幾つかの態様において、本発明の組成物は、更に生体ガラスの表面沈着/保持を向上する薬剤、及び制約されるものではないが、ガントレッズ(Gantrez)、アメロゲニン、牛乳タンパク質(カゼイン)、キトサン、プルラケア(pluracare)L1220(エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー)、ポリオックス(polyox)、PVP、メタクリレート、シェラック、アルギニン、及びこれらの組合せを含むいずれもの得られたHAP沈殿物を含むことができる。
【0088】
[00106]III.ポリグアニジン化合物を含有する口腔用組成物の調製のための方法
[00107]ポリグアニジン化合物の合成は、当業者にとって既知のいずれもの手段によるポリアミンの改変によって達成し得る。第一アミン部分のグアニジニウム基への転換は、温和な水性の条件下で高効率で達成し得る。幾つかの態様において、本発明の口腔用組成物を調製するための方法は、まずスキーム1に示すような少なくとも一つの第一アミンを含有するポリマーを選択することを含む。
【0089】
【化8】

【0090】
[00108]幾つかの態様において、第一アミンを含有するポリマーは、キトサン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリアミノアルキルアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレンイミン、ポリリシン、ポリオルニチン化合物、及びこれらの混合物である。幾つかの態様において、本発明の口腔用組成物を調製するための方法は、次に前記ポリマー上の第一アミン部分をグアニジニウム基に転換することを含む。
【0091】
[00109]幾つかの態様において、本発明の口腔用組成物を調製するための方法は、次いで対イオン溶液による、ポリグアニジニウム対イオン複合体を形成する量及び条件下の滴定を含む。幾つかの態様において、本発明の口腔用組成物を調製するための方法は、更に前記のポリグアニジニウム対イオン複合体を、カルシウム源で、カルシウムポリグアニジニウム対イオン複合体を形成する量及び条件下で滴定することを含む。
【0092】
[00110]IV.歯周病及び齲歯を予防又は治療するための方法
[00111]本発明は、更に歯周病及び齲歯を予防又は治療するための方法を包含し、これは、治療的に有効な量のポリグアニジン化合物を含有する口腔用組成物を供給することを含む。本明細書中で使用する場合、本発明によって定義されるとおりの口腔用組成物の治療的に有効な量は、歯周病及び齲歯を予防又は治療することが可能な口腔用組成物の量である。幾つかの態様において、治療的に有効な量は、炭水化物の代謝の結果として歯垢によって産生される酸を減少又は中和することが可能な量である。幾つかの態様において、治療的に有効な量は、質量作用又は好ましい再石灰化によって歯の可溶化を抑制するカルシウムを提供することによって、歯のエナメル質、象牙質及びセメント質の脱石灰化を減少することが可能な量である。幾つかの態様において、本発明の口腔用組成物は、脱灰又は他の歯のエナメル質を損傷することなく口腔的に適用することができる。
【0093】
[00112]幾つかの態様において、活性成分が口腔の上皮組織に標的化する方法は、治療的に有効な量の本発明の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む。幾つかの態様において、静細菌性又は殺細菌性物質を口腔表面に沈着する、物質を研磨又は洗浄後長期に持続する方法は、治療的に有効な量の本発明の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む。幾つかの態様において、齲歯を遅延又は予防する方法は、治療的に有効な量の本発明の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む。幾つかの態様において、象牙質の過敏性を治療又は予防する方法は、治療的に有効な量の本発明の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む。
【0094】
[00113]もう一つの側面において、歯の象牙質の過敏性を治療、軽減又は予防する方法は、組成物が象牙質の細管の開口部に組成物の一部を導入する方法で歯の表面に接触するように、治療的に有効な量の本発明の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む。一つの態様において、組成物の一部は象牙質の細管に入り、ここにおいて、細管に入った組成物は、細管を、ある種の物質、鉱質、イオン、化合物、等の通過が阻害されるか又は向上されるかのいずれかのように効率よく塞ぎ(即ち“閉塞し”)、歯の脱感作をもたらす。幾つかの態様において、象牙質の細管を塞ぐ方法は、治療的に有効な量の本発明の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む。幾つかの態様において、齲歯性病変を治療する方法は、治療的に有効な量の本発明の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む。幾つかの態様において、暴露された歯髄を石灰化する方法は、治療的に有効な量の本発明の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む。幾つかの態様において、歯の基部或いは全ての窪み又は亀裂を石灰化する方法は、治療的に有効な量の本発明の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含む。
【実施例】
【0095】
[00114]実施例1−優れた歯の過敏性の軽減を提供する閉塞剤(類)及びカリウム塩(類)を含む単一チューブの練り歯磨き製品
[00115]本発明の例示的態様は、一つ又はそれより多い閉塞剤及び一つ又はそれより多いカリウム塩を含む単一チューブの練り歯磨きを包含する。一つの例示的態様において、より早い軽減を供給するために、急速閉塞剤、例えば、生理活性及び生体受容可能ガラス(例えば、Novamin)をカリウムと組合せた単一チューブ技術で製造する。カリウムを伴う非水性の生理活性及び生体受容可能ガラス処方が、有意なin vitroの閉塞を提供することが見いだされた。
【0096】
[00116]もう一つの例示的態様において、生理活性及び生体受容可能なガラス(例えば、Novamin)処方は、商業的に入手可能な細粒シリカ(例えば、Sorbosil AC−43)を加えることによって、更なる閉塞の利益を保有することが驚くべきことに見出された。
【0097】
[00117]急速閉塞のための最適な生理活性及び生体受容可能ガラス(例えば、Novamin)のレベルを決定するために、in vitroの用量反応研究を行った。5%、7.5%及び10%の生理活性及び生体受容可能ガラス(例えば、Novamin)を伴う製品を調製した。製品を、6及び10回のブラッシング後、共焦点顕微鏡によって評価した。6回の処置後、10%の生理活性及び生体受容可能ガラス(例えば、Novamin)処方は、有意な閉塞を示したが、一方、全ての生理活性及び生体受容可能ガラス(例えば、Novamin)のレベルは、10回の処置後、有意な閉塞を示した。図1を参照されたい。
【0098】
[00118]5%の生理活性及び生体受容可能ガラス(例えば、Novamin)の6回の処置による閉塞を強化するために、シリカ(例えば、Ineos AC43シリカ)の添加の効果を、in vitroで研究した。図1の共焦点顕微鏡の画像に示すように、9%のシリカ(例えば、Ineos AC43シリカ)の添加は、6回の処置における閉塞を有意に改良した。
【0099】
[00119]二つの優れた系の酸抵抗性を、in vitroで評価した。6回処置の象牙質円盤を、コーククラシック中に1分間浸漬した。画像を図2に示す。両方の系は、酸の攻撃に対して有意な抵抗性を示した。
【0100】
[00120]粘りを加え、そして分離を防止するため、各種のゴムを非水性のグリセリン基剤処方に加えた。ある態様において、カルボキシメチルセルロースは、最良の全体的口内感触を与えた。カルボポールは粘りを与えたが、しかしある態様において粘着性の感触を与えた。処方を最適化した。全ての優れた処方は、40℃で4週間安定(stabile)であった。
【0101】
[00121]10%Novamin/20%Pluraflo/CMC(KCl無し)。
[00122]10%Novamin/3.75%KCL/CMC。
[00123]5%Novamin/3.75%KCL/9%AC43/CMC。
【0102】
[00124]実施例2
[00125]以下の表1に例示したものは、慣用的な非閉塞性シリカ練り歯磨きの対照に対する10%Novaminの練り歯磨きのコンダクタンスのデータであり、そして共焦点レーザー顕微鏡の画像は、Novaminの用量反応及びAC43シリカの強化効果を示した。グラフによる結果の描写を図3に示す。
【0103】
[00126]表1:本明細書中に開示された組成物による処置後のコンダクタンスの測定
【0104】
【表3】

【0105】
[00127]本発明は、本発明の幾つかの側面の例示を意図した実施例中に開示された具体的態様によって範囲を制約されるものではなく、そして機能的に均等であるいずれもの態様は、本発明の範囲内である。実際、本明細書中に示され、そして記載されたものに加えた本発明の各種の改変は、当業者にとって明白となるものであり、そして付属する特許請求の範囲に入ることを意図している。
【0106】
[00128]引用されたいずれもの参考文献に対して、その全体の開示は、本明細書中に参考文献として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.以下の式(I):
【化1】

[式中:
Xは、口腔的に受容可能な対イオンを示し;
Zは、CH又はNであり;
、R、及びRは、互いに独立に水素或いは直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の、所望によりヒドロキシル化されていてもよいCないしC16アルキルラジカルであり;
Aは、直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の、所望によりヒドロキシル化されていてもよいCないしC16アルキルラジカルを示すか;或いはAは、直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の:ヒドロキシル、カルボキシル、若しくはカルボン酸ラジカル、又はハロゲンからなる群から選択される少なくとも一つのラジカルで所望により置換されていてもよいCないしC16アルキレンラジカルを指し;前記アルキレンラジカルは:アミン、エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、カルバミン酸基、尿素、又は、C−Cアルキル、ヒドロキシル若しくはハロゲンで所望により置換されていてもよい、Cアリール又はCないしCシクラニル(cyclanyl)環、からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を所望により含有していてもよく;或いはAは、非置換の、又はC−Cアルキル、ヒドロキシル若しくはハロゲンで置換された、一つ又はそれより多いC又はCアリール或いはCないしCシクラニル環を示すか;或いはAは:C−Cアルキレンラジカル、アミン、アミド、エーテル、チオエーテル、水素原子、カルバミン酸基又は尿素からなる群から選択される少なくとも一つの官能基で中断されていてもよいC10ないしC14ポリアリール又はCないしC10ポリシクラニル鎖を示し;
nは2及び5,000間の整数を示す;]
のポリグアニジン化合物;及び
b.口腔的に受容可能な担体;
を含んでなる口腔用組成物。
【請求項2】
前記対イオンが、重炭酸(HCO)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
更にカルシウム塩を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記カルシウム塩が、炭酸カルシウム、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、フッ化カルシウム、モノフルオロリン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウムナトリウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、及びこれらの混合物である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記カルシウム塩が、炭酸カルシウムである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
更にリン源を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記リン源が:イノシトール三リン酸(IP3)、イノシトール四リン酸(IP4)、イノシトール五リン酸(IP5)、イノシトール六リン酸(IP6)、及びこれらの組合せからなる群から選択されるフィチン酸基又はフィチン酸である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記口腔用組成物が、デンタルケア製品、食物製品、及びチューインガムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
a.少なくとも一つの第一アミンを含有するポリマーを選択し;
b.前記ポリマー上の第一アミン部分をグアニジニウム基に転換し;そして
c.ポリグアニジン対イオン複合体を形成するための量及び条件下で対イオン溶液で滴定すること;
を含んでなる、請求項1に記載の口腔用組成物を調製するための方法。
【請求項10】
前記第一アミンを含有するポリマーが、キトサン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリアミノアルキルアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレンイミン、ポリリシン、ポリオルニチン化合物、及びこれらの混合物である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対イオン溶液が、重炭酸(HCO)溶液である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリグアニジン対イオン複合体が、ポリグアニジン重炭酸複合体である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
更に、
d.前記ポリグアニジン対イオン複合体を、カルシウムポリグアニジン対イオン複合体を形成する量及び条件下でカルシウム源で滴定すること;
の工程を含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記複合体が、カルシウムポリグアニジン重炭酸複合体である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記カルシウム源が、炭酸カルシウム、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、フッ化カルシウム、モノフルオロリン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウムナトリウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、及びこれらの混合物である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記カルシウム源が、炭酸カルシウムである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
治療的に有効な量の請求項1に記載の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含んでなる、活性成分を口腔上皮組織を標的化する方法。
【請求項18】
治療的に有効な量の請求項1に記載の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含んでなる、ブラッシング又は洗浄後長期に維持する静細菌剤又は殺細菌性物質を、口腔表面に沈着する方法。
【請求項19】
治療的に有効な量の請求項1に記載の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含んでなる、齲歯を遅延または予防する方法。
【請求項20】
治療的に有効な量の請求項1に記載の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含んでなる、象牙質の過敏性を治療又は予防する方法。
【請求項21】
治療的に有効な量の請求項1に記載の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含んでなる、象牙質の細管を閉塞する方法。
【請求項22】
治療的に有効な量の請求項1に記載の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含んでなる、齲歯性病変を治療する方法。
【請求項23】
治療的に有効な量の請求項1に記載の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含んでなる、暴露した歯髄を石灰化する方法。
【請求項24】
治療的に有効な量の請求項1に記載の口腔用組成物を口腔空洞に供給することを含んでなる、歯の基部、又は窪み若しくは亀裂の全てを石灰化する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−527456(P2012−527456A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511793(P2012−511793)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/044349
【国際公開番号】WO2010/134904
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】