説明

ポリシルセスキオキサン気泡開放剤を含有するポリウレタンフォーム形成組成物

本発明は、改善されたフォーム寸法安定性を有する高弾性可撓性ポリウレタン成形フォームを提供するポリシルセスキオキサンを含有するポリウレタンフォーム形成組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善されたフォーム寸法安定性を有する高弾性可撓性ポリウレタン成形フォームに関する。より具体的には、本発明は、改善された物理的特性を有する高弾性可撓性ポリウレタン成形フォームを提供するポリシルセスキオキサンを含有するポリウレタンフォーム形成組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性ポリウレタンフォームを作製する技術分野において、高反応性有機ポリイソシアネート、およびあるレベルの第1ヒドロキシ基含量を有する高分子量ポリオールを組み込んだフォーム形成配合物を利用することにより、改善された弾性およびその他の望ましい物理学的特性を備えるフォームを達成することができることが知られている。そのようにして得られるフォームは、当技術分野において「高弾性」フォームと呼ばれるようになった。弾性は、変形させる力が物体に加えられ、それから取り除かれた後に、容易に元の形状および寸法に戻る能力として定義される。ポリウレタンフォームの技術において、業界では一般に、「たるみ係数」が高弾性フォームを従来のフォームと区別する特徴として考慮される。このたるみ係数は、緩衝材により提供される支持の指標であり、25パーセントたわみでの圧入負荷たわみILDに対する65パーセントたわみでの圧入負荷たわみILDの比率を表す(ASTM D−1564−64Tに従う)。SPI基準によれば、従来の可撓性フォームは、約1.7から2.2のたるみ係数を示し、一方高弾性フォームは、約2.2を超え約3.2までの係数を示す。
【0003】
高弾性フォームは、家具および自動車用シートにおける緩衝材として幅広い用途が見出されている。最も顕著なものとしては、これらのフォームは、自動車業界において成形自動車用シート作製のために利用されている。すでに確立されているポリウレタンフォーム技術のほとんどは、高弾性フォームに容易に適用することができる。しかしながら、1つの特定の技術領域であるフォームの安定化および圧潰は、極めて転換不可能であることが見出されている。高弾性フォームが調製される元となる反応混合物の高反応性に起因して、そのようなフォームは、脱型および冷却時に特徴的な収縮を示すことが判明している。反応、発泡、および固化時に組成物を安定化するように機能する従来のフォーム反応混合物成分には、高弾性発泡反応における収縮を防止する効果はない。
【0004】
高弾性フォームの安定化要件を満たすために、いわゆる「気泡開放物質」がフォーム内に組み込まれる様々な手法が開発されている。これらの付加成分は、一般的に、約2マイクロメートル以内の直径を有する粒子の形態をとる。1つの技術は、米国特許第3,383,351号、米国特許第3,652,639号および米国特許第3,823,201号における開示により例示されるような、エチレン性不飽和モノマーおよびポリオールから生成される「ポリマー−ポリオール」系の形成を含む。これらのポリマー−ポリオールは、一般的に、従来のポリエーテルポリオールと混合され、出発ポリオール反応物質として使用される。
【0005】
別の米国特許第4,278,770号は、臨界分散特性を特色とする効果的に分散した粒子材料を含有するポリオール組成物を使用して、高弾性ポリウレタンフォームの調製においてフォーム反応物を安定化させることができることを教示している。
【0006】
米国特許第4,374,209号では、有機イソシアネートを、オラミン、1個または複数のヒドロキシル基および1個または複数のアミン基を含有する有機化合物と反応させることにより、ポリマー粒子がポリオール中に形成されている。これは高弾性フォーム用途における実用性を提供し得るが、アミン基は一般にイソシアネート−水間の反応を触媒し、処理上の自由度を狭くする。このように、系は、触媒量の小さな変動に敏感である。これらの限界からのごく僅かな逸脱でも、過度に速い反応をもたらし、不十分な弾性がフォーム生成物に生じ得る。
【0007】
高弾性ポリウレタンフォームを調製する際、冷却時の収縮を防ぐために、フォームが確実に十分な量の開放気泡を有するようにすることが重要である。高弾性ポリウレタンフォームの調製には、ほとんどの場合、いくつかの独立気泡の形成が伴う。独立気泡の存在は、フォームの寸法安定性および可撓性を実質的に低下させる一方で、その剛性および脆性を増加させる。フォームの独立気泡含量は、その硬化処理中に圧壊または屈曲を行って独立気泡を破壊し開放させる等の機械的手段により低減することができる。あるいは、独立気泡の形成の程度は、気泡開放剤およびフォーム調製のためのそのレベルを慎重に選択することにより、ある程度最小限化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,383,351号
【特許文献2】米国特許第3,652,639号
【特許文献3】米国特許第3,823,201号
【特許文献4】米国特許第4,278,770号
【特許文献5】米国特許第4,374,209号
【特許文献6】米国特許第5,744,703号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】F.Brownら、J.Polymer Sci.、Part C、No.1、83頁(1983)
【非特許文献2】岩田敬治著「ポリウレタン樹脂ハンドブック」、日刊工業新聞社、1987
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ほぼすべての従来の気泡開放物質に共通した問題は、それらがフォームの機械的特性、特に圧縮強度の低下をもたらすという点である。気泡開放物質は、気泡の開放を除き、フォームの全体的な特性には寄与しないため、必要な気泡開放物質の量を低減するか、またはそれらがフォームの特性に寄与し得るように改質することが望ましい。
【0011】
したがって、本発明は、気泡開放を補助し、高弾性可撓性ポリウレタンフォームの機械的特性を維持し得る、気泡開放剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
a)少なくとも1種のポリオールと、
b)少なくとも1種のポリイソシアネートと、
c)少なくとも1種のポリウレタン触媒と、
d)少なくとも1種の発泡剤と、
e)少なくとも1種のポリシルセスキオキサンと、必要に応じて、
f)界面活性剤、鎖伸長剤、架橋剤、充填剤、補強剤、色素、着色料、染料、顔料、難燃剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、UV安定剤、帯電防止剤、殺生物剤および生物抑制剤からなる群から選択される、少なくとも1種の成分と
を含む、フォーム形成組成物を提供する。
【0013】
本発明は、約20kg/m3から約60kg/m3のフォーム密度を有し、改善されたフォーム寸法安定性を備える高弾性または粘弾性ポリウレタン成形フォームの調製のための、ポリシルセスキオキサンを含有するポリウレタンフォーム形成組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1〜3のポリシルセスキオキサンの、様々な濃度対圧壊力のグラフである。
【図2】実施例1〜3のポリシルセスキオキサンの、様々な濃度対識別負荷たわみのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施例以外、または別段に指定されている以外、明細書および特許請求の範囲に記載される、材料の量、反応条件、期間、材料の数量化された特性等を表すすべての数は、すべての場合において「約」という用語により修飾されているものとして理解されたい。
【0016】
また、本明細書において列挙される任意の数値範囲は、その範囲内のすべての部分範囲、およびそのような範囲または部分範囲の様々な端点の任意の組合せを含むことを意図する。
【0017】
さらに、構造的、組成的および/または機能的に関連した化合物、材料または物質の群に属するものとして、明示的もしくは黙示的に明細書において開示される、および/または特許請求の範囲において列挙される、任意の化合物、材料または物質は、その群の個々の代表物およびそれらのすべての組合せを含むことが理解される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、本発明は、
a)少なくとも1種のポリオールと、
b)少なくとも1種のポリイソシアネートと、
c)少なくとも1種のポリウレタン触媒と、
d)少なくとも1種の発泡剤と、
e)少なくとも1種のポリシルセスキオキサンと、必要に応じて、
f)界面活性剤、鎖伸長剤、架橋剤、充填剤、補強剤、色素、着色料、染料、顔料、難燃剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、UV安定剤、帯電防止剤、殺生物剤および生物抑制剤からなる群から選択される、少なくとも1種の成分と
を含む、フォーム形成組成物を提供する。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、フォーム形成組成物は、高弾性可撓性ポリウレタンフォームの調製を目的とする。高弾性(HR)フォームは、家具クッション、マットレス、自動車用クッションおよび詰め物、ならびに、より良好な支持および快適性を必要とする数多くの他の用途に広く使用される。HRフォームは、より高い快適性または支持係数、およびより高い弾性により、従来のフォームから区別される。HRフォームはまた、典型的には20kg/mを超え、多くの場合40kg/mを超える、より高いフォーム密度を提供するために、通常、低い水レベルを使用して生成される。本発明はまた、15kg/mまでの低い密度を有し、大部分は約40kg/m未満の密度を有する、従来のフォームにおいても有用である。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、フォーム形成組成物は、粘弾性ポリウレタンフォームの調製を目的とする。粘弾性ポリウレタンフォーム(「デッド」フォーム、「低速回復」フォーム、または「高減衰」フォームとしても知られる)は、圧縮からの遅く緩やかな回復を特徴とする。粘弾性ポリウレタンフォームの物理的特性のほとんどは、従来のフォームの物理的特性と類似しているが、粘弾性ポリウレタンフォームの密度勾配はずっと低い。粘弾性ポリウレタンフォームを製造するために、いわゆる「粘弾性ポリオール」を使用することが望ましい場合が多い。粘弾性ポリオールは、高ヒドロキシル価(OH)を特徴とし、得られるフォームのガラス転移温度が室温により近い、より短鎖のポリウレタンブロックを生成する傾向がある。
【0021】
一般に、本発明のポリウレタンフォーム形成組成物の成分は、1種または複数のポリオール、MDI、TDI(80/20および/または様々な混合物)およびこれらのブレンド等の有機ジイソシアネート、触媒、シリコーンフォーム安定剤、発泡剤ならびに気泡開放物質を含む。
【0022】
本発明のポリウレタンフォーム形成組成物において有用なポリオール、すなわち成分(a)は、本明細書において、ヒドロキシル基を有する通常は液体のポリマーとして定義される。さらに、ポリオールは、ポリウレタンフォームの調製に一般的に使用される種類の少なくとも1つ、例えば約150から約10,000の分子量を有するポリエーテルポリオール(a)であってもよい。「ポリオール」という用語は、直鎖および分岐鎖ポリエーテル(エーテル結合を有する)、ポリエステルおよびこれらのブレンドを含み、少なくとも2個のヒドロキシル基を有する。
【0023】
高弾性ポリウレタンフォームの生成に一般的に使用される反応性水素原子を含有するポリオールを、本発明の配合物に使用することができる。ポリオールは、様々な分子量およびヒドロキシ官能性を有する広範な組成物を対象とする、ヒドロキシ官能性化学物質またはポリマーである。これらのポリヒドロキシ化合物は、一般的にはいくつかの成分の混合物であるが、原則として純粋なポリヒドロキシ化合物、すなわち個々の化合物を使用することができる。
【0024】
好適なポリオール(a)は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、アクリル成分添加ポリオール、アクリル成分分散ポリオール、スチレン添加ポリオール、スチレン分散ポリオール、ビニル添加ポリオール、ビニル分散ポリオール、尿素分散ポリオールおよびポリカーボネートポリオール、ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオール、混合ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンジオール、ポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレントリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンジオールおよびトリオール等を含み、これらのすべては、少なくとも2個の第1ヒドロキシ基を有する。一実施形態において、ポリエーテルポリオール(a)のいくつかの具体例は、ポリオキシアルキレンポリオール、特に直鎖および分岐鎖ポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、これらのコポリマー、およびこれらの組合せである。典型的にはポリマーポリオールと呼ばれるグラフトまたは改質ポリエーテルポリオールは、それに分散したエチレン性不飽和モノマーの少なくとも1種のポリマーを有するポリエーテルポリオールである。限定されない代表的な改質ポリエーテルポリオールは、ポリ(スチレンアクリロニトリル)またはポリ尿素が分散したポリオキシプロピレンポリエーテルポリオール、およびポリ(スチレンアクリロニトリル)またはポリ尿素が分散したポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)ポリエーテルポリオールを含む。グラフトまたは改質ポリエーテルポリオールは、分散したポリマー固体を含む。本発明の好適なポリエステルは、芳香族ポリエステルポリオール、例えば無水フタル酸(PA)、ジメチルテレフタレート(DMT)ポリエチレンテレフタレート(PET)、および脂肪族ポリエステル等で作製されたもの等を含むが、これに限定されない。本発明の一実施形態において、ポリエーテルポリオール(a)は、Bayer AG製ARCOL(登録商標)ポリオール1053およびArcol E−743、Hyperlite(登録商標)E−848、Voranol(登録商標)Dow BASF、Stepan社製Stepanpol(登録商標)、Invista社製Terate(登録商標)、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される。
【0025】
好適なポリオール(a)の限定されない例は、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドおよびアルキレンオキシド重合の有機開始剤もしくは開始剤の混合物から得られるもの、ならびにこれらの組合せである。周知なように、ポリオールのヒドロキシル価は、1グラムのポリオールから調製された完全アクリル化誘導体の完全加水分解に必要な水酸化カリウムのミリグラム数である。ヒドロキシル価はまた、ポリエーテルポリオール(a)の官能性および分子量との関係を反映する以下の式により定義される:
【0026】
【数1】

【0027】
式中、OH=ポリエーテルポリオール(a)のヒドロキシル価、f=平均官能性、すなわちポリエーテルポリオール(a)の分子あたりのヒドロキシル基の平均数、およびM.W.=ポリエーテルポリオール(a)の数平均分子量である。ポリエーテルポリオール(a)におけるヒドロキシル基の平均数は、ポリエーテルポリオール(a)の生成に使用される開始剤または開始剤の混合物の官能性の制御により達成される。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、ポリオール(a)は、約2から約12の官能性を有することができ、本発明の別の実施形態においては、ポリオールは、少なくとも2の官能性を有する。これらの範囲はその間のすべての部分範囲を含むことが、当業者には理解される。
【0029】
本発明の一実施形態において、ポリウレタンフォーム形成組成物は、約10から約3200のヒドロキシル価を有するポリエーテルポリオール(a)を含む。本発明の別の実施形態において、ポリエーテルポリオール(a)は、約20から約2000のヒドロキシル価を有する。さらに別の実施形態において、ポリエーテルポリオール(a)は、約30から約1000のヒドロキシル価を有する。さらに別の実施形態において、ポリエーテルポリオール(a)は、約35から約800のヒドロキシル価を有する。
【0030】
本発明のポリイソシアネート(b)は、ポリウレタンフォームの生成に商業的にまたは従来使用される任意のジイソシアネートを含む。本発明の一実施形態において、ポリイソシアネート(b)は、少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機化合物であってもよく、一般に、既知の芳香族または脂肪族ジイソシアネートのいずれかである。
【0031】
本発明のポリウレタンフォーム形成組成物において有用なポリイソシアネートは、少なくとも2個のイソシアネート基を含有する有機ポリイソシアネート化合物であり、一般に、既知の芳香族または脂肪族ポリイソシアネートのいずれかである。本発明の一実施形態によれば、ポリイソシアネート(b)は、炭化水素ジイソシアネート(例えばアルキレンジイソシアネートおよびアリーレンジイソシアネート)、例えばポリマー形態を含むトルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、およびこれらの組合せであってもよい。本発明のさらに別の実施形態において、ポリイソシアネート(b)は、上記の異性体、例えばメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)および2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、ならびにポリマーまたは粗MDIとしても知られる既知のトリイソシアネートおよびポリメチレンポリ(フェニレンイソシアネート)、ならびにこれらの組合せであってもよい。2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートの異性体の限定されない例には、Mondur(登録商標)TDI、Papi 27 MDIおよびこれらの組合せが含まれる。
【0032】
本発明の一実施形態において、ポリイソシアネート(b)は、2,4−トルエンジイソシアネートおよび2,6−トルエンジイソシアネートの少なくとも1種の混合物であってもよく、2,4−トルエンジイソシアネートは、混合物の約80質量パーセントから約85質量パーセントの量で存在し、2,6−トルエンジイソシアネートは、混合物の約20質量パーセントから約15質量パーセントの量で存在する。これらの範囲はその間のすべての部分範囲を含むことが、当業者には理解される。
【0033】
ポリウレタンフォーム形成組成物中の他の材料の量に対するポリウレタンフォーム形成組成物中に含まれるポリイソシアネート(b)の量は、「イソシアネート指数」という用語で説明される。「イソシアネート指数」は、使用されるポリイソシアネート(b)の実際の量を、ポリウレタンフォーム形成組成物中のすべての活性水素と反応するのに必要なポリイソシアネート(b)の理論的必要化学量で除し、百(100)を乗じたものを意味する。本発明の一実施形態において、本明細書における方法に使用されるポリウレタンフォーム形成組成物中のイソシアネート指数は、約60から約300であり、別の実施形態においては約70から約200であり、さらに別の実施形態においては約80から約120である。これらの範囲はその間のすべての部分範囲を含むことが、当業者には理解される。
【0034】
本明細書におけるポリウレタンフォームの生成のための触媒(c)は、ポリウレタンフォームを形成するポリオールおよび水とポリイソシアネートとの反応を触媒するために一般に使用されるもの等の、単一の触媒または触媒の混合物であってもよい。この目的のために有機アミンおよび有機スズ化合物の両方を使用することが一般的であるが、必須ではない。有機スズ化合物の代わりに、またはそれに加えて、他の金属触媒を使用することができる。ポリウレタンフォーム形成触媒の好適な限定されない例には、(i)ビス(2,2’−ジメチルアミノ)エチルエーテル、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、2−{[2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エチル]メチルアミノ}エタノール、ピリジンオキシド等の第3級アミン、(ii)アルカリおよびアルカリ土類金属水酸化物、アルコキシド、フェノキシド等の強塩基、(iii)塩化第二鉄、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、硝酸ビスマスおよび塩化ビスマス等の強酸の酸性金属塩、(iv)アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、エチルアセトアセテート、サリチルアルデヒド、シクロペンタノン−2−カルボキシレート、アセチルアセトンイミン、ビス−アセチルアセトン−アルキレンジイミン、サリチルアルデヒドイミン等と、Be、Mg、Zn、Cd、Pb、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Ni等の各種金属、もしくはMoO++、UO++等のイオンとから得ることができるもの等の各種金属のキレート、(v)Ti(OR)、Sn(OR)、Sn(OR)、Al(OR)等の各種金属(式中、Rは、1個から約12個の炭素原子のアルキルもしくはアリールである)のアルコラートおよびフェノラート、ならびにアルコラートとカルボン酸、β−ジケトン、および2−(N,N−ジアルキルアミノ)アルカノールとの反応生成物、例えばこの手順もしくは同等の手順で得られる周知のチタンのキレート、(vi)酢酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ヘキサン酸カルシウム、酢酸スズ(II)、オクタン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ、オクタン酸鉛、金属乾燥剤、例えばナフテン酸マンガンおよびコバルト等を含む、有機酸とアルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、Bi、およびCu等の各種金属との塩、(vii)四価スズ、三価および五価As、Sb、およびBiの有機金属誘導体と、鉄およびコバルトの金属カルボニル;ならびにこれらの組合せが含まれる。具体的な一実施形態において、カルボン酸のジアルキルスズ塩である有機スズ化合物は、二酢酸ジブチルスズ、二ラウリン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ、二酢酸ジラウリルスズ、二酢酸ジオクチルスズ、ジブチルスズ−ビス(4−メチルアミノベンゾエート)、ジブチルスズジラウリルメルカプチド、ジブチルスズ−ビス(6−メチルアミノカプロエート)等、およびこれらの組合せの限定されない例を含み得る。同様に、別の具体的な実施形態において、トリアルキルスズ水酸化物、ジアルキルスズ酸化物、ジアルキルスズジアルコキシド、またはジアルキルスズ二塩化物およびこれらの混合物が使用されてもよい。これらの化合物の限定されない例には、水酸化トリメチルスズ、水酸化トリブチルスズ、水酸化トリオクチルスズ、酸化ジブチルスズ、酸化ジオクチルスズ、酸化ジラウリルスズ、ジブチルスズ−ビス(イソプロポキシド)ジブチルスズ−ビス(2−ジメチルアミノペンチレート)、二塩化ジブチルスズ、二塩化ジオクチルスズ等、およびこれらの組合せが含まれる。
【0035】
一実施形態において、触媒(c)は、オクタン酸第一スズ、二ラウリン酸ジブチルスズ、二酢酸ジブチルスズ、オレイン酸第一スズおよびこれらの組合せからなる群から選択される有機スズ触媒であってもよい。別の実施形態において、触媒(c)は、有機アミン触媒、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス(2,2’−ジメチルアミノ)エチルエーテル、N−エチルモルホリン、ジエチレントリアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エンおよびこれらの組合せ等の第3級アミンであってもよい。別の実施形態において、触媒(c)は、第3級アミンおよびグリコールの混合物、例えばNiax(登録商標)触媒C−183(Momentive Performance Materials,Inc.製)、オクタン酸第一スズ、例えばNiax(登録商標)触媒D−19(Momentive Performance Materials,Inc.製)、およびこれらの組合せを含み得る。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、高弾性可撓性スラブストックおよび成形フォームの生成のためのアミン触媒(c)は、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテルおよび1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む。
【0037】
別の実施形態において、アミン触媒は、すべてMomentive Performance Materials社から入手可能な、第3級アミンおよびグリコールの混合物、例えばNiax(登録商標)触媒C−183、オクタン酸第一スズ、例えばNiax(登録商標)触媒D−19、およびこれらの組合せを含み得る。
【0038】
フォーム形成組成物の少なくとも1種の発泡剤、すなわち成分(d)は、物理的および/または化学的な種類のいずれかを、反応混合物に含めることができる。典型的な物理的発泡剤は、塩化メチレン、アセトン、水またはCOを含み、これらは発泡プロセスにおいて膨張をもたらすために使用される。典型的な化学的発泡剤は水であり、これはフォーム形成反応混合物中のイソシアネートと反応して二酸化炭素ガスを生成する。これらの発泡剤は、ポリウレタンフォームの形成に使用されるその他の成分との様々なレベルの溶解度または相溶性を有する。相溶性の低い成分を使用する際に良好な乳化を生じさせそれを維持することは、許容されるポリウレタンフォーム品質の処理および達成に重要である。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、ポリシルセスキオキサン、すなわち成分(e)は、特許請求される高弾性可撓性ポリウレタンフォームを生成するために望ましいポリウレタン気泡開放特性を有する、ポリアルキルシルセスキオキサン材料である。望ましくは、これらのポリシルセスキオキサンは、フォーム形成組成物内で反応性ではなく、可撓性ポリウレタンフォーム形成組成物との十分な相溶性を有する。
【0040】
本発明のポリシルセスキオキサン、すなわちポリ有機シルセスキオキサンまたはポリアルキルシルセスキオキサンは、かご型または二重環状構造を有する。ポリシルセスキオキサンは、従来の方法、例えばF.Brownら、J.Polymer Sci.、Part C、No.1、83頁(1983)に開示されている方法等により、トリアルコキシシランの1種または複数が酸触媒により加水分解し濃縮するような様式で、調製することができる。ポリ有機シルセスキオキサンの好適な例には、ポリアルキルシルセスキオキサンが含まれ、したがってアルキル基は、メチル、2個から18個の炭素を含有するアルキル、フェニル、ビニル、シクロヘキシルまたはこれらの任意の組合せであってもよい。
【0041】
本発明の一実施形態において、ポリ有機シルセスキオキサンは、ポリアルキルシルセスキオキサンであり、アルキル基は、メチル、2個から18個の炭素を含有するアルキル、フェニル、ビニル、シクロヘキシルまたはこれらの組合せであってもよい。例には、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリフェニル−メチルシルセスキオキサン、液体形態のフェニルシルセスキオキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ポリフェニル−ビニルシルセスキオキサン、ポリシクロヘキシルシルセスキオキサン、およびポリシクロペンチルシルセスキオキサンが含まれる。
【0042】
本発明の一実施形態において、ポリ有機シルセスキオキサンは、表面が主にアルキル官能性シリコーン原子からなる明確な粒子構造を生じるような様式のアルキルシランまたはアルキルシロキサンの加水分解、重合または架橋のうちの1つにより調製される、ポリアルキルシロキサン粉末材料である。
【0043】
さらに別の実施形態において、シリコンラダー樹脂は、アンモニア水溶液またはアミン中のメチルトリ−アルコキシシランの加水分解縮合により得られるポリ(メチルシルセスキオキサン)、またはそのヒドロキシレートもしくは縮合物である。樹脂は、球形の形状であり、塩素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属等の不純物が低い浮遊性粉末を形成する。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、ポリシルセスキオキサンは、本発明の高弾性ポリウレタンフォームにおいて所望の気泡開放効果を提供するために十分な量で使用される。一実施形態において、ポリシルセスキオキサンの量は、全ポリウレタンフォーム形成組成物の約0.001質量パーセントから7.5質量パーセントである。別の実施形態において、ポリシルセスキオキサンの量は、約0.010質量パーセントから約5質量パーセントである。別の実施形態において、ポリシルセスキオキサンの量は、全ポリウレタンフォーム形成組成物の約0.20質量パーセントから約3質量パーセントである。さらに別の実施形態において、ポリシルセスキオキサンの量は、ポリウレタンフォーム形成組成物の約0.2質量パーセントから約1質量パーセントである。
【0045】
本発明の一実施形態において、ポリ有機シルセスキオキサンは、約12μm以下の平均粒度を有する。別の実施形態において、ポリ有機シルセスキオキサンは、約2μm以下の平均粒度を有する。さらに別の実施形態において、ポリ有機シルセスキオキサンは、約4.0μm以下の平均粒度を有するTospearl(Momentive performance Materials,Inc.から入手可能)の商品名のポリメチルシルセスキオキサン粉末である。さらに別の実施形態において、ポリ有機シルセスキオキサンは、約2.0μm以下の平均粒度を有するTospearl 120(Momentive performance Materials,Inc.から入手可能)の商品名のものである。
【0046】
任意選択の界面活性剤は、全組成物の0質量パーセントから約20質量パーセント、より好ましくは約0.1質量パーセントから約5質量パーセント、最も好ましくは約0.2質量パーセントから約1質量パーセントの範囲の量の、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エトキシル化ヒマシ油、オレイン酸エトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、エチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)のコポリマーおよびシリコーンとポリエーテルのコポリマー(シリコーンポリエーテルコポリマー)、シリコーンのコポリマー、ジメチルシリコーン油、ならびにエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、ならびにこれらの混合物を含む。非イオン性界面活性剤としてのシリコーンポリエーテルの使用は、参照することによりその教示が本明細書に具体的に組み込まれる米国特許第5,744,703号に記載されている。
【0047】
当技術分野において知られているように、ポリウレタンフォームに特異的な特性を付与するために、これらに限定されないが、難燃剤、安定剤、着色剤、充填剤、抗菌剤、伸展油、帯電防止剤、溶媒およびこれらの組合せを含む他の添加剤が、その通常および従来の量でポリウレタンフォームに添加されてもよい。
【0048】
本発明のポリウレタンフォーム形成組成物からポリウレタンフォームを生成するための方法は、特に限定されない。当技術分野において一般に使用される様々な方法を使用することができる。例えば、岩田敬治著「ポリウレタン樹脂ハンドブック」、日刊工業新聞社、1987に記載の様々な方法を使用することができる。例えば、本発明の組成物は、ポリオール、アミン触媒、界面活性剤、発泡剤、および任意選択の成分を含む追加的な化合物を、プレミックス中に合わせることにより調製され得る。このポリオールブレンドは、イソシアネートに添加され、混合される。
【実施例】
【0049】
本明細書において示される実施例1〜4のポリシルセスキオキサンは、Momentive Performance Materials Inc.により製造され、0.5ミクロンから12ミクロンの範囲の異なる粒度を有するマイクロファインシリコーン樹脂として提供された。ポリシルセスキオキサンの粒度と説明を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
ポリシルセスキオキサンの使用量およびサイズの効果を評価するために、以下の表2に示す配合物を調製した。以下の配合物は、TM20系、すなわち80質量%TDIおよび20質量%MDIを含むTDI/MDIブレンドをベースとした。調製されたフォームの密度は約46kg/mであった。
【0052】
【表2】

【0053】
表2に示されている配合物は、以下の手順に従い調製される手混合用高弾性可撓性ポリウレタン成形フォーム形成配合物である。イソシアネートを除くすべての発泡成分を紙コップに量り取り、大型混合羽根で30秒間3000rpmで混合する。イソシアネートを別個の容器に量り取り、前述の混合物に添加し、さらに6秒間3000rpmで混合する。発泡混合物を速やかに65℃の温度に維持された300mm×300mm×100mmのアルミニウム製正方形型に注ぐ。脱型時間は5分である。フォームの物理的特性を、ASTM D−3574に従い測定する。圧壊力(Force-to-crush)(FTC)は、フォーム気泡開放に関連した重要な特性である。高温(Hot)ILD(識別負荷たわみ)は、圧壊後のフォームの硬度を意味する。
【0054】
フォーム性能を図1および2に示す。
【0055】
配合物には図1および2に示されるように実施例1〜3が存在する。0.03pphpの実施例1〜3を使用して、図1および2に示される高弾性可撓性ポリウレタン成形フォーム形成配合物を調製した。図1に示されるデータは、圧壊力(FTC)の著しい低下を示し、一方図2において、「N」力(ニュートン単位)により測定される高温圧入負荷たわみ(高温ILD)(高温ILDは、型から脱型した後のフォーム硬度の指標である)が維持されていることが示されている。
【0056】
表3に示されるフォーム配合物を使用して、TM20系におけるポリシルセスキオキサン効果を評価した。調製されたフォームの密度は約46kg/mであった。
【0057】
【表3】

【0058】
以下のような高弾性可撓性ポリウレタン成形フォームの調製において、0.05pphp(ポリオール百分率)の実施例1〜4のポリシルセスキオキサンを気泡開放剤として使用した。ベースポリオールおよびグラフトポリオールを、80:20の質量比に従い、10分間3000rpmで互いに混合した。ジエタノールアミン、水、A−400、A−33およびL−3555をブレンドされたポリオールに添加し、10分間混合する。ブレンドされた樹脂の準備が整う。ブレンドされた樹脂およびTospearlを少なくとも3分間3000rpmで混合する。TM20イソシアネートを5秒間にわたり添加し、次いでさらに6秒間混合する。最後に、それらを65℃の温度に維持された300mm×300mm×100mmの正方形型に注ぐ。5分後、フォームを脱型する。1分後、フォームの圧壊力(FTC)を、Zwick Materials Testing機を使用して、ASTM D−3574に従い測定する。この試験の後、フォームを圧壊し、フォームの高温ILDを測定する。
【0059】
フォーム性能を表4に示す。
【0060】
【表4】

【0061】
0.05phpの実施例1〜4は、FTCを40パーセントから50パーセント低減した。実施例1〜4は、実施例1〜4と比較して20倍の使用量レベルでFTCを40パーセント低減した市販の気泡開放剤比較例2よりも効果的な結果をもたらした。データは、ポリシルセスキオキサンのサイズもまた気泡開放に影響することを示している。3〜4.5μmの粒度を有する実施例2および3は、この配合物において最も良好な結果をもたらした。また、すべての実施例の気泡開放剤は、TM20高弾性成形可撓性ポリウレタンフォームにおいて、高温ILDを大きく低減しないことが観察され得る。
【0062】
0.05pphp(ポリオール百分率)の実施例1〜4を気泡開放物質として使用して、自動車用シートに使用される高弾性可撓性ポリウレタン成形フォームを調製した。配合物を表5に示すが、以下のように調製した。ベースポリオールおよびグラフトポリオールを、75/25の質量比に従い、10分間3000rpmで互いに手混合により混合する。ジエタノールアミン、水、A−1、A−33およびL−3555をブレンドされたポリオールに添加する。さらに10分間の混合後、ブレンドされた樹脂の準備が整う。実施例1〜4をそれぞれ配合物に添加し、少なくとも3分間3000rpmで混合した。TDIを5秒間にわたり添加し、次いでさらに6秒間混合する。最後に、フォーム形成組成物を65℃の温度に維持された300mm×300mm×100mmの正方形型に注いだ。5分後、フォームを脱型する。1分後、フォームの圧壊力(FTC)を、Zwick Materials Testing機を使用して、ASTM D−3574に従い測定する。次いで、フォームを圧壊し、フォームの高温ILDを測定する。結果を表6に示す。
【0063】
【表5】

【0064】
【表6】

【0065】
TDI高弾性可撓性ポリウレタン成形配合物中0.05pphpの実施例1〜4は、FTCを24〜30パーセント低減した。データは、実施例1〜4が、FTCを15パーセント低減する比較例2の市販の気泡開放剤よりも効果的であることを示した。3〜8μmの粒度を有する実施例2、3および4は、この配合物において最も良好な結果をもたらした。また、市販の気泡開放剤41WB01として、Tospearl樹脂は、全TDI高弾性可撓性ポリウレタン成形フォームにおいて、高温ILDを大きく低減しない。
【0066】
全MDI系におけるポリシルセスキオキサン。ここでも、従来の自動車用シート配合物を使用して、高弾性可撓性ポリウレタン成形フォームを調製する(表7を参照)。0.05pphpの実施例1〜4を気泡開放剤としてフォームに配合する。フォームは以下のように調製した。ベースポリオール、ジエタノールアミン、水、A−400、A−33およびL−3418を一緒に加えて10分間混合し、十分混合してブレンドされた樹脂を得る。次いで実施例1〜4を添加し、少なくとも3分間3000rpmで混合した。5秒間にわたりMDIを添加し、MDIをすべて添加した後にさらに系を6秒間混合する。それを速やかに65℃の温度の300mm×300mm×100mmの正方形型に注ぐ。5分後、フォームを脱型する。1分後、フォームの圧壊力(FTC)を、Zwick Materials Testing機で、ASTM D−3574に従い測定する。次いで、フォームを圧壊し、フォームの高温ILDを測定する。結果を表8に示す。
【0067】
【表7】

【0068】
【表8】

【0069】
0.05pphpの実施例1〜4を使用して表8に示されるフォームを調製したが、FTCは少なくとも8パーセント低減された。実施例4は、FTCを少なくとも30パーセント低減した。比較例2(すなわち、市販の気泡開放物質41WB01)はこの値を低下させ、一方ポリシルセスキオキサン気泡開放樹脂は高温ILDに大きく影響しない。ポリシルセスキオキサン樹脂の低い使用量(0.05pphp)は、全MDI系高弾性可撓性ポリウレタン成形フォームの開放に役立つことができる。実施例4は、FTCの低減においては市販の気泡開放物質比較例2(41WB01)に匹敵するが、実施例4は、比較例2(41WB01)と比較すると、この使用レベルにおいてより高い高温ILDの利益を維持する。
【0070】
好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明したが、当業者には、本発明の範囲から逸脱せずに様々な変更を行うことができること、およびその要素を等価物で置き換えることができることが理解される。本発明は、本発明を実施するための最良の形態として開示される具体的実施形態に限定されず、本発明は添付の特許請求の範囲に包含されるすべての実施形態を含むことが意図される。本明細書において言及されるすべての引用は、参照することにより本明細書に明示的に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種のポリオールと、
b)少なくとも1種のポリイソシアネートと、
c)少なくとも1種のポリウレタン触媒と、
d)少なくとも1種の発泡剤と、
e)少なくとも1種のポリシルセスキオキサンと、必要に応じて、
f)界面活性剤、鎖伸長剤、架橋剤、充填剤、補強剤、色素、着色料、染料、顔料、難燃剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、UV安定剤、帯電防止剤、殺生物剤および生物抑制剤からなる群から選択される、少なくとも1種の成分と
を含む、フォーム形成組成物。
【請求項2】
ポリオール(a)が、ポリエーテルポリオール、グラフトされたポリエーテルポリオールポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ヒドロキシ末端ポリオレフィンポリオール、グラフトされたポリオールおよび天然源由来のポリオールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリイソシアネート(b)が、メタンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリマーMDI、改質MDI、MDIのプレポリマー、トルエンジイソシアネート(TDI)、TDIのプレポリマー、および改質TDIからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ポリイソシアネート(b)が、メタンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリマーMDI、改質MDI、およびMDIのプレポリマーからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ポリイソシアネート(b)が、トルエンジイソシアネート(TDI)、TDIのプレポリマー、および改質TDIからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
触媒が、有機金属触媒、アルカリ金属カルボキシレート触媒、重金属系触媒および第3級アミンウレタン触媒からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ポリシルセスキオキサンが、ポリアルキルシルセスキオキサンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
ポリシルセスキオキサンが、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリフェニル−メチルシルセスキオキサン、固体または液体形態のフェニルシルセスキオキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ポリフェニル−ビニルシルセスキオキサン、ポリシクロヘキシルシルセスキオキサン、およびポリシクロペンチルシルセスキオキサンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
ポリシルセスキオキサンが、ポリメチルシルセスキオキサンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
ポリシルセスキオキサンが、0.5μmから12μmの範囲の平均粒度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ポリシルセスキオキサンが、2.0μmから8μmの範囲の平均粒度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
ポリシルセスキオキサンが、2.0μm未満の平均粒度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
ポリシルセスキオキサンが、ポリウレタンフォーム形成組成物中に0.001pphpから10pphpの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
ポリシルセスキオキサンが、ポリウレタンフォーム形成組成物中に0.01から0.05の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
ポリシルセスキオキサンが、ポリウレタンフォーム形成組成物中に0.03から0.05の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の組成物から調製される、ポリウレタンフォーム。
【請求項17】
可撓性高弾性ポリウレタンフォームまたは粘弾性ポリウレタンフォームである、請求項16に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項18】
約20kg/mから約60kg/mの密度を有する、請求項17に記載のフォーム。
【請求項19】
ASTM D−3574に従う約50から約2000の圧壊力を有する、請求項17に記載のフォーム。
【請求項20】
約100から約1500の高温圧入負荷たわみを有する、請求項17に記載のフォーム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2011−518916(P2011−518916A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506328(P2011−506328)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/038416
【国際公開番号】WO2009/131791
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(510279284)モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】